JP2015000446A - 切削インサート - Google Patents

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宏樹 菅谷
Hiroki Sugaya
宏樹 菅谷
修 一ノ関
Osamu Ichinoseki
修 一ノ関
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Abstract

【課題】耐熱合金切削における熱損傷と切屑の打撃による欠けを防ぐ。【解決手段】表裏の多角形面2の一方がすくい面、他方が着座面とされ、切刃5の主切刃5Bはコーナ刃5Aの一端から順にすくい角一定の第1領域Lと、すくい角が小さくなる第2領域Mと、第1領域Lより小さなすくい角で一定の第3領域Nを備え、多角形面2には突部11と突起12が切刃5と間隔をあけて形成され、突部11は切刃5よりも突出してインサート厚さ方向に垂直な頂面11Aと頂面11Aに向かうに従い多角形面2の内側に向けて傾斜する周面11Bを備えて平面視にコーナ刃5Aに臨む突端部11Cを有し、突起12は表面が凸曲面状で突出高さが突部11より低く主切刃5Bより高くされ、突端部11Cに対しコーナ刃5Aとは反対側に位置するとともに突起12の少なくとも一部が第2領域Mの内側に位置している。【選択図】図4

Description

本発明は、耐熱合金等の金属材料の切削加工に用いて好適な切削インサートに関するものである。
耐熱合金のような熱伝導率が低くて加工硬化の大きい金属材料を切削する場合には、切刃のすくい角を正角側に大きくして切れ味を鋭くし、切削抵抗を低減して切削熱の発生を抑えるのが望ましい。ただし、すくい角を大きくすると、すくい面上を擦過した切屑が分断されずに弧を描いてすくい面とは反対側のインサート取付座への着座面に向けて延び、この着座面の周縁に形成された切刃や、その内側のインサート本体を反転させたときにすくい面となる面に衝突する現象を引き起こし、これらの部分を打撃して欠けやチッピング等が生じる場合がある。
このような着座面やその周縁の切刃の欠けやチッピングを防止するには、例えば特許文献1、2に記載されているように、一方がすくい面とされたときに他方が着座面とされるインサート本体の表裏の多角形面に、その周縁にランド面を形成するとともに、このランド面の内側にブレーカ溝を挟んで中央面を形成し、さらにこれらランド面と中央面とをインサート厚さ方向に同じ高さとして連結部により連結し、着座面とされた他方の多角形面とこの着座面が着座するインサート取付座の底面との間に隙間が空かないようにすることが考えられる。
ところが、そのような特許文献1、2に記載された切削インサートでは、この多角形面がすくい面とされたときには、ブレーカ溝に収容された切屑がランド面および中央面と同じ高さとされた連結部によって行き場を無くしてしまい、切屑詰まりを生じるおそれがある。そこで、特許文献3には、インサート本体の表裏の多角形面のコーナ刃側に凸球面状をなす主ドットが形成されるとともに、この主ドットから切刃に沿って離間した位置にも凸球面状をなす副ドットが形成された切削インサートが提案されている。
この特許文献3に記載された切削インサートでは、主ドットと副ドットとが切刃との間に間隔をあけて形成されているので、すくい面とされた多角形面において切り屑詰まりを生じることがない。そして、これら主ドットおよび副ドットのインサート厚さ方向への突出高さを切刃よりも高く、インサート取付座の底面に密着するボス面よりは低くすることにより、この底面と着座面とされる多角形面との間の隙間をドットによって小さくして、切屑の侵入による多角形面の欠けを防止することができる。
特許第4095431号公報 特許第4163981号公報 特開2003−220503号公報
しかしながら、この特許文献3に記載された切削インサートでは、切刃のすくい角が多角形面のコーナ部から切刃に沿って離間する方向に漸次または段階的に小さくなるようにされている。このため、上述した耐熱合金のような金属材料の切削加工においては、特に切り込み量に関わらず常に切削に使用されるコーナ部側の切刃ですくい角が小さくなって切れ味が鈍ると、切削抵抗が増大することによって切削熱が高くなるのに対し、熱伝導率が低いためにこのような切削熱が切屑に伝達されずに除去され難くなって被削材の切削部位や切刃のコーナ部側に集中してしまい、インサート本体に熱による損傷が生じるおそれがある。
本発明は、このような背景の下になされたもので、耐熱合金のような金属材料の切削加工において熱によるインサート本体の損傷を防ぐとともに、着座面とされた多角形面が切屑に打撃されて欠けを生じたりするのも防ぐことが可能な切削インサートを提供することを目的としている。
上記の課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、表裏の多角形面と、これらの多角形面の周りに配置される側面とを有する多角形板状のインサート本体を備え、上記多角形面のそれぞれと上記側面との交差稜線部には切刃が形成され、上記切刃は、上記インサート本体の表裏に位置する上記多角形面の少なくとも1つずつのコーナ部に配置されて該多角形面に対向するインサート厚さ方向から見た平面視に凸曲線状をなすコーナ刃と、このコーナ刃の少なくとも一端から延びる主切刃とを備え、上記多角形面は互いに、一方の多角形面がすくい面とされたときに他方の多角形面が着座面とされる切削インサートであって、上記主切刃は、上記コーナ刃の一端から離間する方向に向けて順に、すくい角が一定とされた第1領域と、この第1領域から離間するに従いすくい角が小さくなる第2領域と、上記第1領域よりも小さな角度ですくい角が一定とされた第3領域とを備え、上記多角形面にはそれぞれ、該多角形面から上記インサート厚さ方向に突出する突部と突起とが上記切刃と間隔をあけて形成されていて、上記突部は、上記多角形面のそれぞれにおいて、該多角形面の上記切刃よりも突出して上記インサート厚さ方向に垂直な1つの平面上に配置される頂面と、各多角形面から上記頂面に向かうに従い該多角形面の内側に向かうように傾斜する周面とを備えて、上記平面視において上記コーナ刃に臨む突端部を有し、上記突起は表面が凸曲面状であって、上記多角形面のそれぞれにおいて、上記インサート厚さ方向への突出高さが上記突部の頂面よりも低く、上記主切刃よりは高くされており、上記平面視において、上記突部の上記突端部に対して上記主切刃に沿った方向に上記コーナ刃とは反対側に位置するとともに、該突起の少なくとも一部が、上記多角形面における上記主切刃の第2領域の内側に位置していることを特徴とする。
このように構成された切削インサートでは、まず主切刃が、コーナ刃側から順に一定の大きなすくい角とされた第1領域と、この第1領域の大きなすくい角から小さなすくい角へとすくい角が小さくなる第2領域と、この小さなすくい角で一定とされた第3領域とを備えているので、コーナ刃側の大きな一定のすくい角とされた第1領域により切刃の切れ味を鋭くして切削抵抗の低減を図り、耐熱合金のような金属材料の切削加工でも切削熱の発生を抑えてインサート本体の損傷を防ぐことができる。その一方で、第3領域までもが使用される切り込み量の大きな切削加工では、小さなすくい角で一定とされたこの第3領域によって切刃強度を確保することができる。
また、こうして切刃によって生成される切屑は、切り込み量が小さくてコーナ刃から主切刃のコーナ刃側の部分だけが使用される場合には、すくい面とされた一方の多角形面に形成された突部のコーナ刃に臨む突端部の周面により案内されて該多角形面上をコーナ刃とは反対側に擦過し、この突端部に対して上記主切刃に沿った方向にコーナ刃と反対側に位置する突起の凸曲面状の表面に乗り上げるように摺接して抵抗を受けることによりカールされて分断される。このときにも、突起の表面が凸曲面状であるので、切屑との接触面積は小さく、切削抵抗の増大を避けることができる。
一方、上述のように切り込み量が大きくてコーナ刃から突起にかけての主切刃のある程度の部分までが使用される場合に生成される切屑は、主切刃からすくい面とされた一方の多角形面の内側に流出して突部の突端部と突起とに乗り上げるように摺接することによりカールされるとともに、流出方向にみてV字状に折り曲げられるようにして分断されて処理される。従って、切り込み量に関わらずに確実な切屑の処理を図ることができるとともに、たとえ十分に分断処理されなかったとしても、切屑は突起や突端部に乗り上げてすくい面とされた一方の多角形面の上方に流出するので、弧状に巻き込まれて着座面とされた他方の多角形面側に延びるのは避けることができる。
そして、万一このように切屑が十分に分断処理されず、しかも着座面とされた他方の多角形面側に向けて延びたとしても、この着座面とされた他方の多角形面にも主切刃よりはインサート厚さ方向への突出高さが高い表面凸曲面状の突起が形成されているので、他方の多角形面とインサート取付座の底面との間の隙間を小さくすることができ、この隙間に他方の多角形面側に向けて延びた切屑が侵入してインサート本体に欠けを生じるような事態を防ぐことができる。
さらに、この突起は、その少なくとも一部が主切刃の第2領域の内側に位置している。しかるに、すくい角が一定の第1、第3領域の間にあってすくい角が変化する第2領域の内側では、主切刃の切刃強度が不安定となって欠け等が生じ易くなるが、そのような第2領域に突起の少なくとも一部が形成されることにより、切屑の侵入によるインサート本体の欠けの発生を一層確実に防止することができる。これは、すくい面とされた多角形面においても同様である。
ここで、第1領域における主切刃の切れ味をさらに鋭くするのに、主切刃は、第1領域においてコーナ刃から離間するに従いインサート厚さ方向に後退するように傾斜していてもよい。この場合には、着座面とされた他方の多角形面において、第2、第3領域で主切刃とインサート取付座の底面との隙間が大きくなって切屑が侵入し易くなるが、上述のように第2領域に突起の少なくとも一部が形成されていることにより、このような場合でも切屑の侵入を確実に防止することができる。
また、専らコーナ刃から主切刃のコーナ刃側の部分が使用される低切り込み加工用の切削インサートにおいては、上記突部の上記突端部から、該突部の上記頂面よりも上記インサート厚さ方向への突出高さが低く、上記突端部における上記周面に対して凹曲して交差する側面を有する突条部を、上記平面視において上記コーナ刃に向けて延びるように形成することにより、コーナ刃の周辺で生成される延び気味となる切屑を、この突条部の側面から突端部の周面に摺接させて抵抗を与えることにより、確実に突端部から突起に向けて案内することができる。
一方、これとは逆に、コーナ刃から主切刃のある程度の部分までが使用される高切り込み加工用の切削インサートにおいては、上記突部の上記突端部に円錐台状部を形成し、この円錐台状部の円錐面の母線が上記インサート厚さ方向に垂直な平面に対してなす傾斜角を、上記平面視において上記コーナ刃の二等分線に沿った断面における傾斜角が最も小さく、上記円錐面の周回り方向に該断面から離間するに従い大きくなるようにすることにより、主切刃から円錐台状部までの間隔を確保して、高切り込みの際の幅広の切屑による円錐台状部の摩耗を抑制することができる。
以上説明したように、本発明によれば、耐熱合金のような金属材料の切削加工においても、切削熱の発生を抑えて熱によるインサート本体の損傷を防ぐことができるとともに、切屑の円滑な処理を図ることができ、さらに切屑が着座面とされた他方の多角形面側に向けて延びても、この他方の多角形面とインサート取付座の底面との間に侵入してインサート本体に欠け等が生じるのを防止することができる。
本発明の第1の実施形態を示す斜視図である。 図1に示す実施形態のインサート厚さ方向に多角形面に対向する方向から見た平面図である。 図1に示す実施形態の側面図である。 図1に示す実施形態の1つの鋭角コーナ部のインサート厚さ方向に多角形面に対向する方向から見た拡大平面図である。 図4におけるPP断面図である。 図4におけるQQ断面図である。 図4におけるRR断面図である。 図4におけるSS断面図である。 図4におけるTT断面図である。 図4におけるUU断面図である。 図4におけるVV断面図である。 図4におけるWW断面図である。 図4におけるXX断面図である。 図4におけるYY断面図である。 図4におけるZZ断面図である。 本発明の第2の実施形態を示す斜視図である。 図16に示す実施形態のインサート厚さ方向に多角形面に対向する方向から見た平面図である。 図16に示す実施形態の側面図である。 図16に示す実施形態の1つの鋭角コーナ部のインサート厚さ方向に多角形面に対向する方向から見た拡大平面図である。 図19におけるRR断面図である。 図19におけるSS断面図である。 図19におけるTT断面図である。 図19におけるUU断面図である。 図19におけるVV断面図である。 図19におけるWW断面図である。 図19におけるXX断面図である。 図19におけるYY断面図である。 図19におけるZZ断面図である。
図1ないし図15は、本発明の第1の実施形態を示すものであって、切り込み量が小さい仕上げ旋削加工に専ら使用される切削インサートに本発明を適用したものである。本実施形態において、インサート本体1は超硬合金等の硬質材料により形成されて、多角形板状、詳しくは四角形板状、より詳しくは菱形平板状をなしており、表裏の多角形面2とその周囲に配置される本実施形態では4つの側面3とを備えている。多角形面2がなす菱形の鋭角コーナ部Aの挟角は、本実施形態では80°とされている。これら表裏の多角形面2は、一方が切削に使用されるすくい面とされたときに、他方が刃先交換式バイト等の切削工具の工具本体に形成されたインサート取付座への着座面とされる。
また、インサート本体1には、表裏の多角形面2がなす菱形の中心を通るインサート中心線Cを中心とした断面円形の取付孔4が、このインサート中心線C方向すなわちインサート厚さ方向(図3における上下方向)にインサート本体1を貫通するように形成されている。本実施形態では、インサート本体1が、このインサート中心線C回りに180°回転対称な形状に形成されるとともに、インサート厚さ方向に多角形面2に対向する平面視において多角形面2がなす菱形の対角線に沿った2つの平面に関してそれぞれ面対称形状とされている。さらに、インサート本体1は、これらの平面上に位置してインサート厚さ方向の中央でインサート中心線Cに直交する2つの直線に関してもそれぞれ180°回転対称形状とされ、すなわち表裏の多角形面2に関して表裏反転対称な形状に形成されている。
さらにまた、表裏の多角形面2と側面3との交差稜線部にはそれぞれ切刃5が形成されている。ここで、多角形面2の周回り方向に隣接する側面3同士の交差稜線部は凸曲面状に形成されており、これに伴い菱形をなす多角形面2のそれぞれ表裏に位置する各一対の鋭角コーナ部Aと鈍角コーナ部Bは上記平面視において図2および図4に示すように凸曲線状に形成される。本実施形態では、上記凸曲面は凸円筒面であって鋭角コーナ部Aと鈍角コーナ部Bは凸円弧状に形成され、切刃5は、このうち一対の鋭角コーナ部Aにコーナ刃5Aをそれぞれ備えるとともに、これらのコーナ刃5Aの両端から上記平面視に直線状に延びる1つのコーナ刃5Aに対して2つずつの主切刃5Bを備えている。
従って、側面3は、表裏の多角形面2の一方がすくい面とされたときの切刃5の逃げ面とされる。ここで、この逃げ面とされる側面3は、隣接する側面3同士の上記交差稜線部も含め、インサート厚さ方向に向けてインサート中心線Cに平行に延びるように形成されており、本実施形態の切削インサートは切刃5に逃げ角が付されていないネガティブタイプのインサートとされている。
主切刃5Bは、該主切刃5Bが連なるコーナ刃5A側からこのコーナ刃5Aとは反対側に向けて順に、第1領域L、第2領域M、および第3領域Nを備えている。コーナ刃5Aに連なる第1領域Lでは、主切刃5Bに連なる多角形面2の周縁部が、主切刃5Bから離間して該多角形面2の内側に向かうに従い一定の傾斜角(すくい角)でインサート厚さ方向に後退するように傾斜したポジすくい面6とされ、逃げ面とされる側面3に鋭角に交差するように形成されている。この第1領域Lにおいて一定とされたすくい角は、例えば20°とされている。なお、コーナ刃5Aのすくい角も、この第1領域Lにおける主切刃5Bのすくい角と等しい一定の角度とされている。
また、コーナ刃5Aとは反対側の第3領域Nにおいては、主切刃5Bに連なる多角形面2の周縁部に、インサート厚さ方向に垂直な平面状で幅広のフラットランド7が主切刃5Bを稜線として介して側面3に直交するように形成され、このフラットランド7によって主切刃5Bのすくい角が0°と、第1領域Lにおけるすくい角に対して小さくされている。このフラットランド7の上記平面視における幅は第3領域Nでは鈍角コーナ部Bの手前まで一定とされている。
さらに、第3領域Nにおいて、このフラットランド7の内側には、多角形面2の内側に向かうに従いインサート厚さ方向に後退するように傾斜したポジすくい面8が形成されている。本実施形態では、この第3領域Nにおけるポジすくい面8に、多角形面2の内側に向けてすくい角が段階的に大きくなる複数段(2段)の第1、第2のポジすくい面8A、8Bが形成され、このうち最も内側の第1のポジすくい面8Aのすくい角は、第1領域Lにおけるポジすくい面6のすくい角と等しく20°とされている。また、この第1のポジすくい面8Aとフラットランド7との間の第2のポジすくい面8Bの上記平面視における幅は、鈍角コーナ部Bの手前まで一定とされている。
さらにまた、第1領域Lと第3領域Nの間の第2領域Mでは、第1領域Lから第3領域Nに向けてすくい角が小さくなるようにされている。ここで、この第2領域Mのポジすくい面9は、第1領域Lとの境界側では図10に示すように多角形面2の周縁部はポジすくい面6、8Aと等しいすくい角の第1のポジすくい面9Aとされ、この境界から第3領域N側に向けて第2領域Mの略中央までには、第1のポジすくい面9Aの外側の多角形面2の周縁部に、第3領域Nの第2のポジすくい面8Bと等しいすくい角の第2のポジすくい面9Bが上記平面視に漸次幅広となるように形成されて、第3領域Nの第2のポジすくい面8Bに連なっている。
また、この第2領域Mの中央から第3領域Nに向けては、第2のポジすくい面9Bの外側の多角形面2の周縁部に、第3領域Nのフラットランド7と面一のインサート厚さ方向に垂直な平面状をなすフラットランド10が漸次幅広となるように形成されて第3領域Nのフラットランド7に連なっている。従って、本実施形態では、この第2領域Nにおいて主切刃5Bのすくい角は、第1領域Lから第3領域Nに向けて段階的に小さくなる。
さらに、主切刃5Bは、本実施形態では図3に示すように上記第1領域Lにおいてコーナ刃5Aから離間するに従いインサート厚さ方向に後退するように一定の傾斜角で傾斜している。また、第2、第3領域M、Nでは、主切刃5Bはインサート厚さ方向に垂直な1つの平面上に位置している。さらにまた、第3領域Nから鈍角コーナ部Bに向かうに従い多角形面2と側面3との交差稜線部はインサート厚さ方向に突出するように傾斜し、この鈍角コーナ部Bと上記コーナ刃5Aとは、それぞれの多角形面2において互いにインサート厚さ方向に垂直な1つの平面上に位置するように形成されている。
このように周縁部が形成された多角形面2の内側には、インサート厚さ方向に突出する突部11と突起12とが切刃5と間隔をあけて形成されている。このうち、突部11は、インサート厚さ方向に垂直な1つの平面上に配置される頂面11Aと、各多角形面2からこの頂面11Aに向かうに従い該多角形面2の内側に向かうように傾斜して延びる周面11Bとを備えているとともに、上記平面視においてコーナ刃5Aに臨むように配置された突端部11Cを有している。頂面11Aは、それぞれの多角形面2において、コーナ刃5Aや鈍角コーナ部B、あるいは突起12よりもインサート厚さ方向への突出高さが高くされ、インサート本体1において最も突出した位置に配置されている。
突部11のコーナ刃5Aに臨む上記突端部11Cは、コーナ刃5Aの二等分線上に位置してインサート厚さ方向に延びる中心線を有する略1/2円錐台状に形成されている。ただし、本実施形態では、この突端部11Cがなす円錐台の母線がインサート厚さ方向に垂直な平面に対してなす傾斜角は一定とされている。また、この突端部11Cのコーナ刃5Aとは反対側には、主切刃5B側を向くように凹曲部11Dが突部11の周面11Bに形成されている。この凹曲部11Dは、主切刃5Bが延びる方向に向けて凹曲するとともに周面11Bに沿って上述のように傾斜する略凹円筒面状をなしていて、突部11の頂面11Aから第1領域Lの内側のポジすくい面6に達するように形成されている。すなわち、本実施形態では、凹曲部11Dは、多角形面2における主切刃5Bの第1領域Lの内側に形成されている。
なお、この凹曲部11Dのコーナ刃5A側の端縁と上記突端部11Cがなす1/2円錐台のコーナ刃5Aとは反対側の端縁との間の部分は、これらの端縁に接する傾斜平面状とされ、やはり頂面11Aから第1領域Lの内側のポジすくい面6に達するように形成されて、上記平面視においてコーナ刃5A側に向かうに従い主切刃5Bに近づくように形成されている。
さらに、凹曲部11Dのコーナ刃5Aとは反対側の周面11Bは、コーナ刃5Aから離間するに従い主切刃5Bに近づくように延びる傾斜平面とされており、この傾斜平面は、本実施形態では第1、第2領域L、Mに跨って延びるように形成されている。そして、上記突起12は、この傾斜平面と、該傾斜平面が交差する第1、第2領域L、Mの内側の上記ポジすくい面6、8Aとから突出するように形成されて、上記突端部11Cに対して上記主切刃5Bに沿った方向にコーナ刃5Aとは反対側に位置するとともに、該突起12の少なくとも一部が上記平面視に主切刃5Bに垂直な方向に第2領域Mの内側に位置している。
突起12は、表面が凸曲面状をなしていて、本実施形態では凸球面状をなしており、その中心は上記平面視において第2領域Mにおける第2のポジすくい面9Bが主切刃5Bに交差する部分の内側に位置している。また、突起12は、本実施形態では主切刃5Bに沿って第1領域Lの第2領域Mとの境界付近から第2領域Mにおいてフラットランド10が主切刃5Bに交差する部分を越える位置にまで形成され、突起12の半分以上の大部分が第2領域Mの内側に形成されている。さらに、この突起12のインサート厚さ方向への突出高さは、図3に示すように第2、第3領域M、Nにおける主切刃5Bの高さより高く、コーナ刃5Aよりも僅かに高くされ、突部11の頂面11Aの突出高さよりは僅かに低くされている。
また、この突起12が形成された周面11Bの上記傾斜平面よりもコーナ刃5Aとは反対側は、上記平面視において主切刃5Bと略平行に延びる傾斜平面とされており、第3領域Nの略中央部で多角形面2の内側に曲折して主切刃5Bに沿った突部11の終端部をなしている。なお、本実施形態では、この突部11の終端部にも、突起12と等しい半径と突出高さの表面凸球面状をなす突起13が、該終端部における傾斜平面と第3領域Nの内側の第1のポジすくい面8Aから突出するように形成されている。
さらに、この突部11と上記取付孔4の多角形面2への開口部との間には、突部11の頂面11Aよりも突出高さが一段低いインサート厚さ方向に垂直な平面部14が形成されている。従って、この平面部14と突部11の頂面11Aとの間には段差が形成され、この段差は、上記平面視においてコーナ刃5Aの二等分線側に向かうに従い、突起12が形成された傾斜平面と略平行に主切刃5Bから離れる方向に延びており、ただしこの二等分線に至る途中には該二等分線に略平行に取付孔4側に突出する角(つの)部11Eを有している。
また、本実施形態では、突部11のコーナ刃5Aに臨んだ上記突端部11Cからコーナ刃5Aに向けては、上記平面視においてコーナ刃5Aの二等分線に沿って延びるように突条部15が形成されている。この突条部15は、上記二等分線に直交してインサート厚さ方向に延びる断面において、図6に示すように凸円弧等の凸曲面をなす頂面15Aと、この頂面15Aから主切刃5Bの第1領域Lにおけるポジすくい面6に向かうに従い互いに離間するように延びる一対の側面15Bとを備えており、やはり切刃5と間隔をあけるように形成されている。
突条部15の頂面15Aは、図5に示すようにインサート厚さ方向への突出高さが、突部11の頂面11Aの突出高さよりも一段低くされるとともに、コーナ刃5Aに向かうに従い漸次低くなるように形成されている。また、側面15Bは、突部11の上記突端部11Cにおける周面11Bからコーナ刃5Aの二等分線に略平行に延びていて、この突端部11Cの周面11Bに凹曲して交差するように形成されている。
なお、本実施形態では、表裏の多角形面2がなす菱形面の鈍角コーナ部Bにも、それぞれ突部11と同じような頂面16Aと周面16Bとを有する突部16が切刃5と間隔をあけて形成されており、この突部16の頂面16Aのインサート厚さ方向における突出高さは、各多角形面2において突部11の頂面11Aの突出高さと等しくされている。また、この鈍角コーナ部B側の突部16は、本実施形態では鋭角コーナ部A側の突部11とも間隔をあけて形成されている。
さらに、この突部16の周面16Bにも、主切刃5Bの第3領域Nに臨む位置に突起12と同様の球面状をなす突起17が形成されるとともに、鈍角コーナ部Bに臨む突端部には突条部15と同様の突条部18が形成されている。従って、本実施形態では、1つの主切刃5Bに対して合計3つの突起12、13、17が形成されることになる。また、この鈍角コーナ部B側の突部16と取付孔4の開口部との間には平面部14は形成されておらず、頂面16Aがそのまま開口部に達するように形成されている。
このように構成された切削インサートが取り付けられる上記インサート取付座は、上述の刃先交換式バイトのような切削工具の工具本体先端部に形成された凹所であり、多角形面2と合同または相似形の平坦な底面と、本実施形態のようなネガティブタイプのインサートを取り付ける場合にはこの底面から垂直に立ち上がる2つの壁面とを有している。壁面同士は、インサート本体1の多角形面2の鋭角コーナ部Aにおける挟角と等しい角度で交差している。さらに、底面の中央部には、レバーロック等のインサート取付機構のピンが突出している。
このようなインサート取付座に、上記構成の切削インサートは、上述のように表裏の多角形面2の一方がすくい面とされたときに他方が着座面とされ、上記ピンが取付孔4に挿入されながらこの着座面とされた多角形面2が上記底面に対向して着座させられ、次いでインサート取付機構の上記ピンによってインサート本体1が壁面同士の交差角の二等分線方向に引き込まれることにより、鋭角コーナ部Aに交差する2つの側面3が壁面に当接させられて取り付けられる。
このとき、1つの多角形面2においては、2つの鋭角コーナ部A側の突部11の頂面11Aと本実施形態では2つの鈍角コーナ部B側の突部16の頂面16Aとが、インサート厚さ方向に最も突出して1つの平面上に位置しているため、着座面とされる他方の多角形面2においては、これらの頂面11A、16Aがインサート取付座の底面に密着する。そして、反対側のすくい面とされた一方の多角形面2の切刃5のうち、工具本体先端部に突出する鋭角コーナ部Aに形成されたコーナ刃5A、およびこのコーナ刃5Aの一端に連なる主切刃5Bが切り込み量に応じて切削に使用される。
ここで、まず上記構成の切削インサートでは、すくい面とされた一方の多角形面2において、突部11および突起12が切刃5と間隔をあけて形成されていて、特許文献1、2に記載された切削インサートのように多角形面の中央面とランド面とがインサート厚さ方向に同じ高さの連結部によって連結されたりしていない。このため、切刃5によって生成されて多角形面2上に流れ出た切屑がこのような連結部に遮られることにより行き場を無くして詰まりを生じるようなことがない。
そして、主切刃5Bは、切り込み量に関わらず切削に使用されるコーナ刃5A側の第1領域Lが、本実施形態ではすくい角が20°と正角側に大きくされているので、鋭い切れ味を確保して切削抵抗の低減を図ることができる。このため、切削熱の発生を抑えることができ、耐熱合金のような熱伝導率の低い金属材料の切削加工のように切削熱が切屑とともに除去され難い場合でも、インサート本体1の切刃5周辺や被削材の切削部位に切削熱が集中して損傷が生じたりするのを防ぐことが可能となり、安定した切削加工を行うことができる。
また、本実施形態のように専ら低切り込みの軽切削に使用される切削インサートにおいては、切刃5のコーナ刃5Aと主切刃5Bの第1領域Lのうちコーナ刃5A側の部分とが主として切削に使用されるが、このとき生成された切屑は、第1領域Lのポジすくい面6を擦過し、上記平面視にコーナ刃5Aに臨む突部11の突端部11Cにおける周面11Bに摺接する。そして、切屑は、この突端部11Cによって多角形面2上をコーナ刃5Aとは反対側に案内され、この反対側に位置する突起12に乗り上げて摺接させられることになる。
さらに、この突起12に乗り上げて摺接した切屑は、抵抗を受けることによりカールさせられて分断され、処理される。このとき、突起12は凸曲面状であって、特に本実施形態では凸球面状であり、切屑との接触面積が必要以上に大きくなることがないので、切削抵抗を確実に低減することができるとともに、突起12の摩耗を抑えることができる。また、仮に切屑に与えられる抵抗が不足して、切屑を十分に分断することができなかったとしても、突起12に乗り上げた切屑はすくい面とされた多角形面2の上方に流出してゆくので、切屑が着座面とされた多角形面2側に延びてインサート取付座の底面との間から侵入することによりこの着座面とされた多角形面2に欠けが生じたりするのを避けることができる。
さらにまた、万一このように突起12に乗り上げた切屑が上方に流出せずに弧を描いて着座面とされた他方の多角形面2側に延びたとしても、この他方の多角形面2にも突起12が形成されており、この突起12はインサート厚さ方向への突出高さが、突部11の頂面11Aよりは低いものの切刃5よりは高くされているので、他方の多角形面2とインサート取付座の底面との間の隙間を小さくして、上述のような切屑が侵入するのを阻止することができる。このため、上記構成の切削インサートによれば、このような切屑の侵入により着座面とされた他方の多角形面2が打撃されて欠け等が生じるのを防ぐことができ、インサート本体1を表裏反転させてインサート取付座に取り付け直すことにより他方の多角形面2をすくい面としたときに切削加工に支障が生じたりするのを防止することができる。
そして、さらにこの突起12は、主切刃5Bのすくい角が第1領域Lの大きな一定のすくい角から第3領域Nの小さな一定のすくい角に移り変わる第2領域Mの内側に、その少なくとも一部が位置するように形成されている。ここで、このようにすくい角が変化する部分では、主切刃5Bの切刃強度が不安定となるために欠け等が生じ易いが、そのような第2領域Mの内側に突起12が形成されることにより、上述のような切屑の侵入によるインサート本体1の損傷を一層確実に防止することができる。
また、すくい面とされた一方の多角形面2においても、このように第2領域Mの内側に突起12が形成されることにより、この第2領域Mの内側のインサート本体1の損傷を防止することができる。すなわち、本実施形態の切削インサートは上述したように切り込み量が小さい場合に専ら使用されるものであるが、これよりも切り込み量が大きくて、例えばコーナ刃5Aから第2領域M全体までの主切刃5Bが使用されるような場合には、これらの部分から多角形面2の内側に流出した切屑は、突部11の突端部11Cと突起12とに乗り上げるように摺接することにより流出方向にカールさせられるとともに、この流出方向から見てV字状に折り曲げられることにより分断される。
従って、このような場合でも、切削に使用される主切刃5Bの第2領域M内側に凸曲面状の突起12が形成されることにより、この第2領域Mの内側においてインサート本体1の肉厚を大きくすることができるとともに、第2領域Mの主切刃5Bに連なるポジすくい面9A、9Bおよびフラットランド10から切屑が速やかに離れるようにすることができ、切刃強度が不安定となる第2領域Mにおいてインサート本体1に欠け等が生じるのを防止することが可能となる。しかも、第2領域Mのコーナ刃5Aとは反対側にはフラットランド10が形成されて第3領域Nのフラットランド7に連続しているので、第2領域Mや第3領域Nの主切刃5Bまでもが切削に使用される場合でも切刃強度を確保することができる。
また、本実施形態では、第1領域Lにおいて主切刃5Bがコーナ刃5Aから離間するに従いインサート厚さ方向に後退するように傾斜しており、これに伴って着座面とされた他方の多角形面2とインサート取付座の底面との間の隙間は一層大きくなるのに対し、上述のように突起12によって切屑の侵入を防止することができるので、インサート本体1の欠け等を防ぎつつ、第1領域Lにおける主切刃5Aの切れ味をさらに鋭くして耐熱合金等の切削加工における熱損傷を防止することが可能となる。しかも、本実施形態では、1つの主切刃5Bに対して合計3つの突起12、13、17が形成されているので、さらに確実に切屑の侵入を防止することができる。
一方、本実施形態では、突部11のコーナ刃5Aに臨む上記突端部11Cに、コーナ刃5Aに向けて延びる突条部15が形成されており、この突条部15の頂面15Aは、突部11の頂面11Aよりもインサート厚さ方向への突出高さが低く、また突条部15の側面15Bは、突端部11Cの周面11Bに対して凹曲するように交差させられている。このため、切り込み量が大きい場合には、突出高さの低い突条部15を切屑が乗り越えて突端部11Cに摺接するので、コーナ刃5A側で切削抵抗が増大したり、切屑詰まりを生じたりすることはない。
そして、これとは逆に切り込み量がより小さくてコーナ刃5Aとその極近傍の主切刃5Bだけが切削に使用されるような場合には、切屑は幅が小さくて延び気味に生成されることになるが、このような切屑は突条部15の側面15Bにまず摺接し、次いでこの側面15Bと凹曲するように交差する突端部11Cの周面11Bに摺接して抵抗が与えられることにより、突起12に向けて案内されることになる。
従って、本実施形態によれば、このような切屑が延びきって流出してしまうのを防ぐことができ、突起12によって上述のように分断処理することが可能となる。また、本実施形態では、突端部11Cのコーナ刃5Aとは反対側に、主切刃5Bが延びる方向に沿って凹曲する凹曲部11Dが形成されており、この凹曲部11Dによっても切屑を突起12に確実に案内することができる。
次に、図16ないし図28は本発明の第2の実施形態を示すものであり、第1の実施形態と共通する要素には同一の符号を配して説明を簡略化する。本実施形態の切削インサートは、切り込み量が大きい粗切削加工に専ら用いられるもので、表裏の多角形面2と側面3との交差稜線部は図18に示すように各多角形面2の全周に亙ってインサート厚さ方向に垂直な1つの平面上に位置しており、切刃5もコーナ刃5Aから主切刃5Bかけて同一の平面上に形成されている。
また、この第2の実施形態では、第1領域Lにおいても多角形面2の周縁部のポジすくい面21に、多角形面2の内側に向けてすくい角が段階的に大きくなる複数段(2段)の第1、第2のポジすくい面21A、21Bが形成されている。さらに、このうち最も内側の第1のポジすくい面21Aのさらに内側には、インサート厚さ方向に垂直な平面状をなすフラットすくい面21Cが形成されている。なお、第1領域Lの最も外側の第2のポジすくい面21Bによる主切刃5Bのすくい角は10°とされて、第1の実施形態の第1領域Lにおけるすくい角よりも小さくされ、また第1領域L自体も第2の実施形態では第1の実施形態よりも長くされている。
さらに、第2の実施形態では、主切刃5Bの第2領域Mに連なるポジすくい面22においても、第1領域Lとの境界から第1領域Lの第1、第2のポジすくい面21A、21Bに連続する第1、第2のポジすくい面22A、22Bが形成されている。また、1つの多角形面2の2つのコーナ刃5Aの両端から延びる主切刃5Bの各第3領域Nにおいては、そのフラットランド7および第1、第2のポジすくい面8A、8Bが鈍角コーナ部Bまでそれぞれ延びて連続している。さらにまた、この第3領域Nの最も内側の第1のポジすくい面8Aの内側と、第2領域Mの最も内側の第1のポジすくい面22Aの内側にも、第1領域Lの上記フラットすくい面21Cと面一となるフラットすくい面8C、22Cが形成されている。
なお、この第2の実施形態では、突部11の凹曲部11Dの外側と、鈍角コーナ部B側の突部16における凹曲部の外側とに、突部11と取付孔4との間の平面部14とインサート厚さ方向の突出高さが等しい平面部23が形成されている。また、上記フラットすくい面8C、21C、22Cからこれらの平面部14、23にかけては、多角形面2の内側に向かうに従いインサート厚さ方向に突出するように傾斜する傾斜面24が形成されている。
さらに、この第2の実施形態では、突起12は上記平面視において主切刃5Bに垂直な方向に第2、第3領域M、Nの内側に跨って形成されており、ただしその半分以上の部分は第3領域Nに形成されている。すなわち、本実施形態でも突起12の表面は凸球面状であるが、その中心は上記平面視において第3領域Nの内側に位置させられている。また、本実施形態では、この突起12は、上記平面視において主切刃5B側を向く突部11の周面11Bのうち、コーナ刃5Aから最も離れた突部11の終端部に1つだけ形成されており、1つの主切刃5Bに対して1つの突起12のみが形成されている。
一方、第2の実施形態でも、突部11のコーナ刃5Aに臨む突端部11Cに、コーナ刃5Aの二等分線上に位置してインサート厚さ方向に延びる中心線を有する略1/2円錐台状をなす円錐台状部25が形成されているが、この円錐台状部25は、第1の実施形態の突端部11Cがなす円錐台とは異なり、その切刃5側を向く円錐面25Aの母線がインサート厚さ方向に垂直な平面に対してなす傾斜角が、上記平面視においてコーナ刃5Aの二等分線に沿った図20に示す断面において最も小さく、上記円錐面25Aの周回り方向に該断面から離間するに従い大きくなるようにされている。
また、この円錐台状部25の上記円錐面25Aは、上記突部11の頂面11Aと面一とされたその頂面25Bから平面部23および傾斜面24を越えて、主切刃5Bの第1領域Lの内側のフラットすくい面8Cに達するように形成されている。なお、この円錐台状部25の円錐面25Aからは、第1の実施形態のような突条部15がコーナ刃5Aに向けて延びるように形成されてはいない。
このような第2の実施形態においても、主切刃5Bのすくい角が変化する第2領域Mの内側に、表面が凸曲面状をなす突起12の少なくとも一部が形成されているので、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、主切刃5Bの第1領域Lに連なって第1、第2のポジすくい面21A、21Bが形成され、このうち主切刃5Bに交差する第2のポジすくい面21Bは、第1の実施形態の主切刃5Bの第1領域Lに連なるポジすくい面6よりもすくい角が小さくされているので、上述のような切り込み量が大きい粗切削加工に用いた場合でも切刃強度を確保することができる。
その一方で、この第2のポジすくい面21Bの内側の第1のポジすくい面21Aは、第2のポジすくい面21Bよりもすくい角が大きくされているので、主切刃5Bの切れ味は鋭く維持して耐熱合金のような金属材料の切削加工でも切削熱の発生を抑制することが可能となる。これらの効果は、コーナ刃5Aや主切刃5Bの第2、第3領域M、Nについても同様である。
さらに、本実施形態では、突部11の突端部11Cに形成された円錐台状部25において、その切刃5側を向く円錐面25Aの母線がインサート厚さ方向に垂直な平面に対してなす傾斜角が、上記平面視においてコーナ刃5Aの二等分線に沿った断面において最も小さく、上記円錐面25Aの周回り方向に該断面から離間するに従い大きくなるようにされており、第1の実施形態の突端部11Cがなす円錐台のように上記傾斜角が一定とされている場合の円錐面に対し、上記断面から離間して主切刃5B側を向く部分が円錐台状部25の中心線側に後退するように形成することができる。
このため、主切刃5Bから円錐台状部25の円錐面25Aまでの間隔を大きく確保することができるので、特に上述のように切り込み量が大きい高切り込みの際に主切刃5Bによって幅広の切屑が生成されても、突端部11Cに形成された円錐台状部25の摩耗を抑制してインサート寿命の延長を図ることができる。
なお、上記第1、第2の実施形態では、鋭角コーナ部Aの挟角が80°の菱形板状のインサート本体1を備えた切削インサートに本発明を適用した場合について説明したが、挟角が80°以外の菱形板状のインサート本体1を備えた切削インサートに本発明を適用することも可能である。さらに、菱形以外の正方形や長方形のような四角形、あるいは正三角形、もしくは等辺不等角六角形等の他の多角形板状のインサート本体を備えた切削インサートに本発明を適用することも可能である。
また、同じく上記第1、第2の実施形態では、コーナ刃5Aの両端から主切刃5Bが延びていて、インサート本体1が上記平面視において多角形面2がなす菱形の対角線(コーナ刃5Aの二等分線)に沿った平面に関して面対称形状とされた、いわゆる勝手無しの切削インサートに本発明を適用した場合について説明したが、コーナ刃5Aの一端からのみ主切刃5Bが延びていて、インサート本体1が上記平面に関して面対称とされていない、いわゆる勝手付きの切削インサートに本発明を適用することも可能である。
さらに、上記第1、第2の実施形態では突起12の表面が凸球面状をなしているが、凸曲面状であれば楕円球面状や長円球面状であったり、涙滴形であったりしてもよい。さらにまた、第1、第2の実施形態では、主切刃5Bの第2領域Mにおいて第1領域L側から第3領域N側に向かうに従いすくい角が段階的に小さくなっているが、連続的に漸次小さくなるようにされていてもよい。
1 インサート本体
2 多角形面
3 側面
4 取付孔
5 切刃
5A コーナ刃
5B 主切刃
6、8A、8B、9A、9B、21A、21B、22A、22B ポジすくい面
7、10 フラットランド
8C、21C、22C フラットすくい面
11、16 突部
11A 突部11の頂面
11B 突部11の周面
11C 突部11の突端部
11D 凹曲部
12、13、17 突起
15、18 突条部
C インサート中心線
L 第1領域
M 第2領域
N 第3領域

Claims (4)

  1. 表裏の多角形面と、これらの多角形面の周りに配置される側面とを有する多角形板状のインサート本体を備え、
    上記多角形面のそれぞれと上記側面との交差稜線部には切刃が形成され、
    上記切刃は、上記インサート本体の表裏に位置する上記多角形面の少なくとも1つずつのコーナ部に配置されて該多角形面に対向するインサート厚さ方向から見た平面視に凸曲線状をなすコーナ刃と、このコーナ刃の少なくとも一端から延びる主切刃とを備え、
    上記多角形面は互いに、一方の多角形面がすくい面とされたときに他方の多角形面が着座面とされる切削インサートであって、
    上記主切刃は、上記コーナ刃の一端から離間する方向に向けて順に、すくい角が一定とされた第1領域と、この第1領域から離間するに従いすくい角が小さくなる第2領域と、上記第1領域よりも小さな角度ですくい角が一定とされた第3領域とを備え、
    上記多角形面にはそれぞれ、該多角形面から上記インサート厚さ方向に突出する突部と突起とが上記切刃と間隔をあけて形成されていて、
    上記突部は、上記多角形面のそれぞれにおいて、該多角形面の上記切刃よりも突出して上記インサート厚さ方向に垂直な1つの平面上に配置される頂面と、各多角形面から上記頂面に向かうに従い該多角形面の内側に向かうように傾斜する周面とを備えて、上記平面視において上記コーナ刃に臨む突端部を有し、
    上記突起は、表面が凸曲面状であって、上記多角形面のそれぞれにおいて、上記インサート厚さ方向への突出高さが上記突部の頂面よりも低く、上記主切刃よりは高くされており、上記平面視において、上記突部の上記突端部に対して上記主切刃に沿った方向に上記コーナ刃とは反対側に位置するとともに、該突起の少なくとも一部が、上記多角形面における上記主切刃の第2領域の内側に位置していることを特徴とする切削インサート。
  2. 上記主切刃は、上記第1領域において上記コーナ刃から離間するに従い上記インサート厚さ方向に後退するように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の切削インサート。
  3. 上記突部の上記突端部からは、該突部の上記頂面よりも上記インサート厚さ方向への突出高さが低く、上記突端部における上記周面に対して凹曲して交差する側面を有する突条部が、上記平面視において上記コーナ刃に向けて延びていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切削インサート。
  4. 上記突部の上記突端部には円錐台状部が形成されており、この円錐台状部の円錐面の母線が上記インサート厚さ方向に垂直な平面に対してなす傾斜角は、上記平面視において上記コーナ刃の二等分線に沿った断面における傾斜角が最も小さく、上記円錐面の周回り方向に該断面から離間するに従い大きくなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切削インサート。
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