JP2002254215A - スローアウェイチップ - Google Patents

スローアウェイチップ

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JP2002254215A
JP2002254215A JP2001055538A JP2001055538A JP2002254215A JP 2002254215 A JP2002254215 A JP 2002254215A JP 2001055538 A JP2001055538 A JP 2001055538A JP 2001055538 A JP2001055538 A JP 2001055538A JP 2002254215 A JP2002254215 A JP 2002254215A
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JP
Japan
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cutting
chip
land
chips
nose portion
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JP2001055538A
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Inventor
Kensuke Watanabe
研輔 渡邉
Yoshihiro Kitagawa
芳博 北川
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Mitsubishi Materials Corp
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 幅広い切削条件で切屑の処理を良好に行う。 【解決手段】 チップ本体2の角部2aにノーズ部3を
形成し、このノーズ部3を挟むチップ本体2の隣合う一
対の側面4のそれぞれと、ノーズ部3に連なるチップ本
体2の上面5とがなす二つの交差稜線に、ノーズ部3に
連なって切刃6を形成する。上面5に切刃6に連なる第
一ランド8を形成し、ノーズ部3の近傍にのみ、第一ラ
ンド8に連なる第二ランド9を形成する。これら第一、
第二ランド8、9の内側にすくい面10を形成し、すく
い面10において第二ランド9より内側に離間した位置
に、すくい面10から隆起する島状の第一ドットブレー
カ10を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バイト等の工具本
体に装着されて被削材の切削加工を行うスローアウェイ
チップに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のスローアウェイチップ(以下、単
にチップという)は、その用途によって様々な形状のも
のがあり、その一例として、例えば図10に示すものが
ある。チップ31は、四角形平板形状をなすチップ本体
32の角部32aにノーズ部33が形成されるととも
に、このノーズ部33を挟むチップ本体32の隣合う一
対の側面34のそれぞれと、このノーズ部33に連なる
チップ本体32の上面35とがなす二つの交差稜線に切
刃36が形成されている。上面35には、切刃36に連
なるランド37が形成され、ランド37の内側にすくい
面38が形成され、すくい面38においてランド37よ
り内側に離間した位置に、すくい面38から隆起する島
型のドットブレーカ39が形成されている。このチップ
31は、上面35の中心から着座面をなす下面まで達す
るボルト挿通孔40が形成されており、図示せぬ工具本
体のチップ取付座に対して着座面を当接させた状態で、
ボルト挿通孔40に挿通されるボルトによって工具本体
に装着されるものである。このようなチップ31を工具
本体に装着して被削材を切削加工する場合、切刃36に
よって被削材から削り取られた切屑は、ランド37を乗
り越えてすくい面38に沿って走行し、ドットブレーカ
39に衝突してその流れる方向を変えて折り曲げられ
て、適切な長さに分断、排出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のチップ31で
は、低切り込みの切削を行った場合には、ノーズ部33
の切刃36によって被削材から削り取られた切屑がドッ
トブレーカ39まで届かないことがある。この場合に
は、切屑を十分に折り曲げて分断することができず、切
屑が長くなってチップ31や工具本体にからみついてし
まうなど、切屑の処理を良好に行うことができなかっ
た。しかし、単純にドットブレーカ39をノーズ部33
の切刃36に近付けて設けると、今度は高切り込み高送
りの切削を行った場合に切屑が切刃36とドットブレー
カ39との間で詰まりやすくなるため、切削抵抗が大き
くなって良好な切削を行うことができなくなってしま
う。
【0004】この発明は、上記事情に鑑みてなされたも
ので、幅広い切削条件で切屑の処理を良好に行うことが
できるチップを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のチップにおいては、多角形平板状をなすチ
ップ本体の角部にノーズ部が形成されるとともに、この
ノーズ部を挟む前記チップ本体の隣合う一対の側面のそ
れぞれと、前記ノーズ部に連なる前記チップ本体の上面
とがなす二つの交差稜線の少なくとも一方に切刃が形成
されており、前記上面には、前記切刃に連なる第一ラン
ドが形成され、前記ノーズ部の近傍にのみ前記第一ラン
ドに連なる第二ランドが形成され、これら第一、第二ラ
ンドの内側にすくい面が形成され、該すくい面において
前記第二ランドより内側に離間した位置に、前記すくい
面から隆起するブレーカが形成されていることを特徴と
する。
【0006】このように構成されるチップにおいては、
低切り込みの切削を行った場合、ノーズ部の切刃によっ
て被削材から削り取られた切屑は、第一ランドを乗り越
えた直後に第一ランドに連なる第二ランドによって受け
られて、その流れる方向を変えて折り曲げられて、分
断、排出される。このとき、切屑は、第一ランドを乗り
越えた直後に第二ランドによって折り曲げられるので、
ブレーカによって折り曲げられる場合に比べて小さいカ
ール径で折り曲げられることとなり、切屑がより短く折
れやすくなる。また、高切り込み高送りの切削を行った
場合、切刃によって削り取られた切屑は、第一ランド及
び第二ランドを通過してすくい面に沿って走行し、ブレ
ーカに衝突することでその流れる方向を変えて折り曲げ
られて、適切な長さに分断、排出される。ここで、第二
ランドはノーズ部の近傍にのみ設けられているので、ノ
ーズ部から離間した位置ではノーズ部の近傍に比べて切
刃に交差する方向のすくい面の幅が広くとられている。
このため、この部分では、切屑は第一ランドを通過した
後は幅広のすくい面に沿って走行し、切刃によって被削
材から削り取られてから所定距離おいてブレーカに衝突
するので、切屑が詰まりにくくなって切削抵抗が低減す
る。さらに、切屑は、ノーズ部側の部分を第二ランドに
よって受けられるため、切屑全体が第二ランドから離間
する向きにねじられて、工具基端側に向けて排出され
る。
【0007】ここで、第二ランドには、平面視で前記ノ
ーズ部の二等分線に沿って溝を形成してもよい。この場
合には、第二ランドにおいてノーズ部近傍の部分で受け
た切屑を溝によって受けてカールさせることができ、低
切り込みの切削を行った際に、より効果的に切屑をカー
ルさせることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明のスローアウェイチ
ップの一実施形態について、図1から図4を用いて説明
する。図1は本実施形態にかかるスローアウェイチップ
の形状を示す平面図、図2(a)は図1の部分拡大図で
あって、図2(b)は図2(a)をさらに拡大した図、
図3は本実施形態にかかるスローアウェイチップの形状
を示す図であって、(a)は図2のA−A矢視断面図、
(b)は図2のB−B矢視断面図、図4は本実施形態に
かかるスローアウェイチップによる切屑の処理の様子を
示す図である。スローアウェイチップ1(以下、単にチ
ップと呼ぶ)は、図1に示すように、略四角形平板状を
なすチップ本体2の角部2aにノーズ部3が形成される
とともに、このノーズ部3を挟むチップ本体2の隣合う
一対の側面4のそれぞれと、ノーズ部3に連なるチップ
本体2の上面5とがなす二つの交差稜線に切刃6が形成
されている。ここで、本実施の形態では、チップ1は、
平面視略菱形をなすネガチップとされている。このチッ
プ1は、上面5の中心から着座面をなす下面まで達する
ボルト挿通孔7が形成されており、図示せぬ工具本体の
チップ取付座に対して着座面を当接させた状態で、ボル
ト挿通孔7に挿通されるボルトによって工具本体に装着
されるものである。
【0009】上面5には、切刃6の全長にわたって、切
刃6に連なる第一ランド8が形成され、またノーズ部3
の近傍にのみ、第一ランド8に連なる第二ランド9が形
成されている。そして、これら第一、第二ランド8、9
の内側にはすくい面10が形成されている。第二ランド
9は、第一ランド8よりも高さが低く、かつすくい面1
0よりも高くされている。第二ランド9は、各ノーズ部
3から、このノーズ部3に連なる切刃6に沿って設けら
れており、本実施の形態では、第二ランド9においてノ
ーズ部3の先端からの切刃6に沿った長さL(図2
(b)参照)は、ノーズ部3の曲率半径Rの2倍として
いる。また、図3(a)に示すように、第二ランド9の
上面9aの、すくい面10からの高さHは0.05mm
とされている。ここで、第二ランド9は、図3(a)中
に実線で示すように、その上面9aをチップ1の軸線に
略直交する平面としてもよく、また図3(a)中に二点
鎖線で示すように、第一ランド8から離間するにつれて
上方に傾斜する傾斜面としてもよい。そして、第二ラン
ド9の側面9bは、第二ランド9の端部では第一ランド
8に向けて曲面状に湾曲されて、第一ランド8の側面8
aと接続されている。さらに、図2に示すように、第二
ランド9の上面9aには、平面視でノーズ部3の二等分
線に沿ってブレーカ溝11が形成されている。本実施の
形態では、ブレーカ溝11は断面視略U字形状に形成さ
れている。
【0010】また、図1に示すように、すくい面10に
おいて第二ランド9より内側に離間した位置には、すく
い面10から隆起する島状の第一ドットブレーカ12が
形成され、すくい面10において隣り合う角部2a間の
略中間位置には、第一ドットブレーカ12よりも切刃6
に近接した位置に、すくい面10から隆起する島状の第
二ドットブレーカ13が形成されている。第一ドットブ
レーカ12は、ノーズ部3に向けて延びる半島部12a
を有しており、第一ドットブレーカ12は、ノーズ部3
から離間するにつれて次第に幅が広げられて、側面12
bがノーズ部3を挟む各切刃6に向けて凹となる凹曲面
状に形成されている。第二ドットブレーカ13は、切刃
6側の辺が長く、切刃6から離間する側の辺が短い平面
視略台形に形成されている。
【0011】このように構成されるチップ1の使用にあ
たっては、着座面を図示せぬ工具本体のチップ取付座に
装着固定した状態で、図4に示すように、切刃6のう
ち、一つのノーズ部3及びこのノーズ部3につながる稜
辺をなす切刃6によって被削材Wの切削加工を行う。こ
こで、図4では、チップ1を前逃げ角θが5°となる工
具本体に装着した例を示している。そして、低切り込み
の切削を行った場合、ノーズ部3の切刃6によって被削
材Wから削り取られた切屑Kは、第一ランド8を乗り越
えた直後に第一ランド8に連なる第二ランド9によって
受けられて、その流れる方向を変えて折り曲げられて、
分断、排出される。このとき、切屑Kは、図3(a)及
び図4に実線で示すように、第一ランド8を乗り越えた
直後に第二ランド9によって折り曲げられるので、第一
ドットブレーカ12によって折り曲げられる場合に比べ
て小さいカール径で折り曲げられることとなり、切屑K
はより短く折れやすくなる。また、第二ランド9には、
平面視でノーズ部3の二等分線に沿ってブレーカ溝11
が形成されているので、図4に実線で示すように、第二
ランド9においてノーズ部3近傍の部分で受けた切屑K
をブレーカ溝11によって受けてカールさせることがで
き、より効果的に切屑をカールさせることができる。
【0012】また、高切り込み高送りの切削を行った場
合、ノーズ部3または切刃6においてノーズ部3近傍の
部分によって削り取られた切屑Kは、図3(a)及び図
4に破線で示すように、第一ランド8及び第二ランド9
を通過してすくい面10に沿って走行し、第一ドットブ
レーカ12に衝突することでその流れる方向を変えて折
り曲げられて、適切な長さに分断、排出される。切屑K
は、第一ドットブレーカ12の半島部12a、または切
刃6に対して凹となる凹曲面状の側面12bに衝突し
て、工具基端側に向けて折り曲げられる。
【0013】ここで、第二ランド9はノーズ部3の近傍
にのみ設けられているので、図2(a)に示すように、
ノーズ部3から離間した位置(本実施の形態ではノーズ
部3の先端から、ノーズ部3の曲率半径Rの2倍以上の
距離離間した位置)では、ノーズ部3の近傍に比べて切
刃6に交差する方向のすくい面10の幅Dが広くとられ
ている。このため、この部分では、図3(b)に二点鎖
線で示すように、切屑Kは第一ランド8を通過した後は
幅広のすくい面10に沿って走行し、切刃6によって被
削材Wから削り取られてから所定距離おいて第一ドット
ブレーカ12に衝突するので、切屑Kが詰まりにくくな
って切削抵抗が低減する。さらに、切屑Kは、図4に二
点鎖線で示すように、ノーズ部3側の部分を第二ランド
9に受けられるため、切屑K全体が第二ランド9から離
間する向きにねじられて、工具基端側に向けて排出され
る。ここで、第二ランド9の端部では側面9aは曲面状
に形成されているので、切屑Kはスムーズに送り出され
る。また、切屑Kが第一ドットブレーカ12でも十分に
折り曲げられなかった場合には、切屑Kは第一ドットブ
レーカ12の側面12bによって案内されて第二ドット
ブレーカ13に送り込まれ、第二ドットブレーカ13に
衝突して折り曲げられて、分断、排出される。
【0014】このように構成されるチップ1によれば、
第二ランド9によって、従来のチップ31では切屑の処
理が困難であった低切り込みの切削時にも、切屑Kをよ
り小さいカール径で折り曲げて、分断、排出することが
でき、切屑Kの処理をより良好に行うことができる。さ
らに、第二ランド9に設けたブレーカ溝11によって、
第二ランド9においてノーズ部3近傍の部分で受けた切
屑Kをカールさせることができ、低切り込みの切削を行
った際に、より効果的に切屑Kをカールさせて、切屑K
の処理をより良好に行うことができる。
【0015】また、高切り込み高送りの切削を行った場
合には第一ドットブレーカ12によって切屑Kの折り曲
げが行われる。そして、第二ランド9はノーズ部3の近
傍にのみ設けられているので、ノーズ部3から離間した
位置では、切屑Kは、切刃6によって被削材Wから削り
取られてから所定距離おいて第一ドットブレーカ12に
衝突することとなり、切屑Kが詰まりにくくなって切削
抵抗を低減することができる。さらに、切刃6において
第二ランド9の端部近傍に位置する部分で削り取られた
切屑Kは、ノーズ部3側の部分を第二ランド9に受けら
れることによって全体が第二ランド9から離間する向き
にねじられて、工具基端側に向けて排出されるので、切
屑Kをチップ1に絡まりにくくすることができる。
【0016】このように、切削条件に応じて、第二ラン
ド9または第一ドットブレーカ12のうち、切屑Kの処
理に適した方で切屑Kの折り曲げが行われることとな
り、低切り込みの切削から高切り込み高送りの切削ま
で、幅広い切削条件で切屑Kの処理を良好に行うことが
できる。
【0017】なお、上記実施の形態では、チップ1が四
角形(菱形)平板形状をなすものとしたが、これに限ら
れることなく、例えば他の多角形形状としてもよい。ま
た、チップ1はポジチップであってもよい。
【0018】
【実施例】次に、上記実施の形態で示したチップ1を用
いて、被削材への切り込み深さApと被削材Wに対する
相対速度(送り)fとを様々に変えて被削材の切削を行
った。このときに発生した切屑を図5に示す。なお、比
較のために、図6に、従来のチップ31のうち、中・荒
切削に用いられるチップ(以下チップ31aとする)を
用いて同様の切削条件で被削材の切削を行った場合に生
じた切屑を示し、図7に、従来のチップ31のうち、軽
切削に用いられるチップ(チップ31aにおいてドット
ブレーカ39をノーズ部33の切刃36に近付けて設け
たチップ、以下チップ31bとする)を用いて同様の切
削条件で被削材の切削を行った場合に生じた切屑を示
す。そして、図5〜図7において、切屑が300mmよ
り長い場合には×印を付け、切屑が300mmより短
く、かつ200mmより長い場合には△印を付け、切屑
詰まりを生じてしまった場合には☆印を付けて示した。
また、図5〜図7において、切屑の処理が良好に行われ
ている範囲を斜線の縁取りで囲って示した。被削材とし
ては、直径が127.3mmの丸棒状で、JIS S4
5C(197HB)からなる鋼材を用い、直径118.
3mmまで切削を行った。切削条件としては、切削速度
Vc=200m/min、切り込み深さAp=0.8〜
4.0mm、送りf=0.2〜0.63mm/rev、
切削油としてはWSO(YUSHIRO社、#810
20倍希釈液)を、20L/min供給しながら切削を
行った。
【0019】従来のチップ31aは、図6に示すよう
に、切り込み深さApが1.6〜4.0mmの範囲内に
ある場合には、ほとんどの場合で切屑を200mmより
も短く分断することができるので、切屑がチップ31a
に絡まりにくくなり、かつスムーズに排出することがで
きる。しかし、切り込み深さApが1.2mm以下であ
る場合には、ほとんどの場合で切屑が300mmより長
くなってしまい、切屑がチップ31aに絡まりやすい。
このように、従来のチップ31aでは、低切り込みの切
削を行った場合の切屑の処理能力が低いことがわかる。
【0020】一方、従来のチップ31bは、図7に示す
ように、切り込み深さApが1.2mmである場合に
も、送りfが0.32mm以上である場合には切屑を2
00mmよりも短く分断することができる。しかし、こ
のチップ31bは、切り込み深さApが2.0mm以上
である場合には、送りfを大きくすると切屑が300m
mよりも長くなってしまう。このことは、切り込み深さ
Apが大きくなるにつれて顕著になる。このように、チ
ップ31bは、従来のチップ31aに比べて、低切り込
みの切削を行った場合の切屑の処理能力は高くなるもの
の、高切り込み高送りの切削を行った場合の切屑処理能
力が低下してしまう。また、切屑の処理を良好に行うこ
とができる範囲も小さくなってしまう。すなわち、単に
ドットブレーカ39をノーズ部33の切刃36に近付け
て設けただけでは、幅広い切削条件で切屑の処理を良好
に行うことができないことがわかる。
【0021】これに対して、本発明にかかるチップ1で
は、切り込み深さApが1.6〜4.0mmの範囲内に
ある場合には、従来のチップ31aとほぼ同等の切屑処
理能力を示し、また切り込み深さApが1.2mmであ
る場合には、従来のチップ31bと同等の切屑処理能力
を示している。さらに、本発明にかかるチップ1は、切
り込み深さApが0.8〜1.0mmと、より低切り込
みの場合にも切屑の処理を良好に行うことができる。
【0022】以上の試験結果から理解できるように、本
発明にかかるチップ1によれば、従来のチップ31(チ
ップ31a、31b)に比べて、低切り込みで被削材の
切削を行っても、切屑の処理を良好に行うことができ
る。また、従来のチップ31よりも幅広い切削条件で切
屑の処理を良好に行うことができる。
【0023】さらに、本発明にかかるチップ1、従来の
チップ31a、31bを用いて、低切り込みの切削と高
切り込みの切削のそれぞれの場合について、被削材Wに
対する相対速度(送り)fを様々に変えて切削を行い、
そのときの切削抵抗の大きさを測定した。その結果を表
1、及び図8、図9のグラフに示す。なお、切削条件は
上記の切削試験と同じ条件とした。まず、以下の表1及
び図8に、低切り込みの切削(切り込み深さAp=1.
5mm)で、送りfを0.3mm/revとした場合
と、送りfを0.6mm/revとした場合のそれぞれ
について、主分力、送り分力、背分力(N)を示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1及び図8からわかるように、低切り込
みの切削において、送りf=0.3mm/rev(低送
り)の場合、及び送りf=0.6mm/rev(高送
り)の場合のいずれにおいても、チップ31bの切削抵
抗が最も高く、チップ1とチップ31aの切削抵抗は、
主分力、送り分力、背分力のいずれもほぼ同水準にあ
る。そして、チップ31bでは、送りf=0.6mm/
revの場合には、他のチップに比べて明らかに切削抵
抗が大きくなる。
【0026】表1及び図9に、高切り込みの切削(切り
込み深さAp=3.0mm)で、送りfを0.3mm/
revとした場合と、送りfを0.6mm/revとし
た場合のそれぞれについて、主分力、送り分力、背分力
(N)を示す。表1及び図9からわかるように、高切り
込みの切削において、送りf=0.3mm/rev(低
送り)の場合には、切削抵抗は、主分力、送り分力、背
分力のいずれもチップ1が最も小さく、以下チップ31
a、チップ31bの順に小さくなっている。そして、送
りf=0.6mm/rev(高送り)の場合にはこの傾
向がさらに強くなり、チップ1は、チップ31aに比べ
て一層切削抵抗が低くなる。一方、チップ31bに至っ
ては他のチップに比べて明らかに切削抵抗が大きくなっ
ており、切屑処理が良好に行われていないと思われる。
この試験結果からわかるように、本発明にかかるチップ
1では、高切り込み・高送り、特に高切り込みかつ高送
りで被削材の切削を行っても、切削抵抗を低減すること
ができる。
【0027】上記の各試験結果から理解できるように、
本発明にかかるチップ1によれば、従来のチップ31に
比べて、高切り込み高送りの切削時の切屑処理性能を維
持しつつ、低切り込みの切削時にも切屑の処理を良好に
行うことができ、また、高切り込み・高送りの切削時の
切削抵抗も低減されるので、幅広い切削条件で切削加工
を良好に行うことができる。
【0028】
【発明の効果】本発明にかかるチップによれば、ノーズ
部の近傍に第一ランドに連なる第二ランドが形成されて
おり、従来のチップでは切屑の処理が困難であった低切
り込みの切削時にも、切屑を第二ランドによって折り曲
げて、分断、排出することができる。この場合、切屑
は、ブレーカによって折り曲げられる場合に比べて小さ
いカール径で折り曲げられるので、切屑がより短く折れ
やすくなり、切屑の分断、排出をより良好にすることが
できる。また、すくい面において第二ランドから内側に
離間した位置にブレーカが設けられており、高切り込み
高送りの切削を行った場合にはブレーカによって切屑の
折り曲げが行われる。ここで、第二ランドはノーズ部の
近傍にのみ設けられているので、ノーズ部から離間した
部分では、切屑は、第一ランドを通過した後は幅広のす
くい面に沿って走行し、切刃によって被削材から削り取
られてから所定距離おいてブレーカに衝突するので、切
屑が詰まりにくくなって切削抵抗を低減することができ
る。さらに、切屑は、ノーズ部側の部分を第二ランドに
よって受けられるため切屑全体が第二ランドから離間す
る向きにねじられて、工具基端側に向けて排出されるの
で、切屑をチップに絡まりにくくすることができる。こ
のように、切削条件に応じて、第二ランドまたはブレー
カのうち、切屑の処理に適した方で切屑の折り曲げが行
われることとなり、低切り込みの切削から高切り込み高
送りの切削まで、幅広い切削条件で切屑の処理を良好に
行うことができる。
【0029】そして、第二ランドに、平面視でノーズ部
の二等分線に沿ってブレーカ溝を形成した場合には、第
二ランドにおいてノーズ部近傍の部分で受けた切屑をブ
レーカ溝によって受けてカールさせることができ、低切
り込みの切削を行った際に、より効果的に切屑をカール
させて、切屑の処理をより良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態にかかるチップの形状を
示す平面図である。
【図2】 (a)は図1の部分拡大図であって、(b)
は(a)をさらに拡大した図である。
【図3】 本発明の一実施形態にかかるチップの形状を
示す図であって、(a)は図2のA−A矢視断面図、
(b)は図2のB−B矢視断面図である。
【図4】 本発明の一実施形態にかかるチップによる切
屑の処理の様子を示す図である。
【図5】 本発明の一実施形態にかかるチップを用い
て、被削材への切り込み深さと被削材に対する相対速度
(送り)を変えて被削材の切削を行った場合の切屑の形
状を示す図である。
【図6】 従来のチップ(中・荒切削用)を用いて、被
削材への切り込み深さと被削材に対する相対速度(送
り)を変えて被削材の切削を行った場合の切屑の形状を
示す図である。
【図7】 従来のチップ(軽切削用)を用いて、被削材
への切り込み深さと被削材に対する相対速度(送り)を
変えて被削材の切削を行った場合の切屑の形状を示す図
である。
【図8】 本発明にかかるチップと従来のチップ(中・
荒切削用と軽切削用)とを用いて低切り込みの切削を行
った際の切削抵抗の大きさを示すグラフである。
【図9】 本発明にかかるチップと従来のチップ(中・
荒切削用と軽切削用)とを用いて高切り込みの切削を行
った際の切削抵抗の大きさを示すグラフである。
【図10】 従来のチップの形状を示す平面図である。
【符号の説明】
1 チップ 2 チップ本体 3 ノーズ部 4 側面 5 上面 6 切刃 8 第一ランド 9 第二ランド 10 すくい面 11 ブレーカ溝 12 第一ドットブレーカ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多角形平板状をなすチップ本体の角部に
    ノーズ部が形成されるとともに、このノーズ部を挟む前
    記チップ本体の隣合う一対の側面のそれぞれと、前記ノ
    ーズ部に連なる前記チップ本体の上面とがなす二つの交
    差稜線の少なくとも一方に切刃が形成されており、 前記上面には、前記切刃に連なる第一ランドが形成さ
    れ、 前記ノーズ部の近傍にのみ前記第一ランドに連なる第二
    ランドが形成され、 これら第一、第二ランドの内側にすくい面が形成され、 該すくい面において前記第二ランドより内側に離間した
    位置に、前記すくい面から隆起するブレーカが形成され
    ていることを特徴とするスローアウェイチップ。
  2. 【請求項2】 前記第二ランドには、平面視で前記ノー
    ズ部の二等分線に沿って溝が形成されていることを特徴
    とする請求項1に記載のスローアウェイチップ。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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