JP5365285B2 - 切削インサート - Google Patents

切削インサート Download PDF

Info

Publication number
JP5365285B2
JP5365285B2 JP2009066266A JP2009066266A JP5365285B2 JP 5365285 B2 JP5365285 B2 JP 5365285B2 JP 2009066266 A JP2009066266 A JP 2009066266A JP 2009066266 A JP2009066266 A JP 2009066266A JP 5365285 B2 JP5365285 B2 JP 5365285B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cutting
rake face
cutting edge
breaker
corner
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009066266A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010214562A (ja
Inventor
豊 名田
修 一ノ関
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP2009066266A priority Critical patent/JP5365285B2/ja
Publication of JP2010214562A publication Critical patent/JP2010214562A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5365285B2 publication Critical patent/JP5365285B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、インサート着脱式の旋削工具に取り付けられて被削材の旋削加工を行う切削インサートであって、特にステンレス鋼のような難削材を被削材とした場合でも境界摩耗等の損傷を抑制することが可能な切削インサートに関するものである
このような旋削加工に用いられる切削インサートにおいて、例えば特許文献1には、軽切削から中切削までの幅広い範囲で切屑処理を可能とするものとして、すくい面に切刃に沿うブレーカ溝を形成するとともに、切刃のコーナ部にはボス面の突起を延在させ、この突起の先端を平面視においてコーナ部を囲む凹状とし、この凹状を呈する突起の2つの頂部から切刃近くに張り出して最長となる起立角度10°〜30°の起立面を形成し、この起立面がコーナ部から離れるに従い切刃より遠くなるように形成したものが提案されている。
また、特許文献2、3には、特に切り込み量の小さい仕上げ切削における切屑の処理を図るために、すくい面上のコーナ部近傍にくぼみを設けるとともに、このくぼみのコーナ部とは反対側にブレーカとなる傾斜面やリブを設けたものが提案されている。
特開2006−272548号公報 特許第2966007号公報 特開2004−216510号公報
ところで、このような切削インサートによって、例えばステンレス鋼のような難削材の旋削加工を行うときには、特に切り込み量がある程度大きくてコーナ部の切刃(コーナ刃)からこれに連なって直線状に延びる切刃までが被削材に切り込まれる場合に、この切刃の切り込み境界部分に生じる摩耗等の境界損傷が顕著になる。これは、ステンレス鋼のような難削材では、切刃によって切削された加工面側の切り込み境界部分にバリが発生し易く、しかもこうして発生したバリは加工硬化を生じているため、被削材が回転して切刃がこのバリを削り取る際に、硬化したバリによって該切刃やすくい面の切り込み境界部分に損傷が与えられてしまうためである。
従って、このような境界損傷を防いで切削インサートの寿命を延長するには、切刃の切れ味を鋭くして切削抵抗を低減することにより切屑を滑らかに生成してバリの発生を抑制する必要があるが、特許文献1に記載の切削インサートのようにすくい面に突起を延在させたり、特許文献2、3に記載の切削インサートのようにコーナ部近傍のくぼみのコーナ部とは反対側にブレーカやリブを設けたりしたのでは、これら突起やブレーカ、リブに切屑が衝突した際に詰まりを生じて抵抗が大きくなり、バリの発生を抑制することができない。
また、その一方で、このように滑らかに生成された切屑も、そのままでは連続して延びてしまって被削材やインサート着脱式旋削工具の工具本体に絡まったりするため、過度の大きさとならない程度の抵抗を与えて切屑をカールさせることにより分断して処理しなければならない。しかしながら、特に特許文献2、3に記載の切削インサートのようにくぼみがすくい面のコーナ部近傍に設けられただけのものであると、切り込み量が大きい場合には幅広に生成される切屑がくぼみを乗り越えてしまうため、このような切屑の処理を図ることも容易ではない。
本発明は、このような背景の下になされたもので、ステンレス鋼のような難削材の旋削加工において、被削材の加工面にバリが発生するのを抑えて切削インサートの境界損傷を防ぐことによりインサート寿命の延長を図りつつ、生成された切屑は確実に処理して円滑な旋削加工を行うことが可能な切削インサートを提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、すくい面の辺稜部に形成された一対の切刃同士が交差する上記すくい面のコーナ部にコーナ刃が形成された切削インサートであって、上記一対の切刃に連なる上記すくい面にはそれぞれ、各切刃に連なって該切刃から離間するに従い漸次後退するように傾斜するとともに該切刃に沿って上記コーナ刃側から離間するに従い漸次幅広となるポジすくい面と、このポジすくい面の上記切刃と反対側に連なり該切刃から離間するに従い上記ポジすくい面よりも大きな傾斜角で漸次後退するように傾斜するブレーカ壁面とが形成されていて、上記一対の切刃のうち一方の切刃に連なる上記ポジすくい面の延長線上に、他方の切刃に連なる上記ブレーカ壁面が位置するように配置されており、上記切刃に垂直な断面における上記ブレーカ壁面の傾斜角が、該切刃に沿って上記コーナ刃から離間するに従い漸次小さくなることを特徴とする。
このように構成された切削インサートでは、まずコーナ刃に交差した一対の切刃に連なるすくい面に、各切刃に連なって該切刃から離間するに従い漸次後退するように傾斜するポジすくい面がそれぞれ形成されており、従ってこれら切刃のすくい角を正角側に大きくすることができて、その切れ味を鋭くすることにより切削抵抗の低減を図り、加工面側の切り込み境界部分にバリが発生するのを抑えることができる。また、このポジすくい面は、切刃に沿ってコーナ刃側から離間するに従い漸次幅広となるようにされているため、切り込み量が大きくなるに従い幅広となる切屑はこのポジすくい面を擦過する距離も長くなるので、切り込み量に応じた適度の摩擦抵抗を与えつつ切屑を円滑に流出させることができる。
そして、このポジすくい面の切刃と反対側には、このポジすくい面に連なって切刃から離間するに従い該ポジすくい面よりも大きな傾斜角で漸次後退するように傾斜するブレーカ壁面が形成されており、一対の切刃のうち一方の切刃に連なるポジすくい面の延長線上に、他方の切刃に連なるブレーカ壁面が位置するように配置されているので、一方の切刃によって生成されて上述のようにポジすくい面を擦過して適度な抵抗を与えられつつ流出した切屑は、このポジすくい面とは反対側のポジすくい面を介して他方の切刃に連なるブレーカ壁面に当たることになる。このため、このブレーカ壁面によって切屑を適切にカールさせて確実に分断処理することができる。
ここで、上記切刃に垂直な断面における上記ポジすくい面の傾斜角は、該切刃に沿って一定とすることにより、切刃の切れ味も一定とすることができるので、切り込み量が大きくなって切屑が幅広になっても、その幅方向において切屑に作用する抵抗が部分的に大きくなって詰まりを生じたりするのを防ぐことができ、より確実に切屑の円滑な流出を促すことが可能となる。
そして、本発明では、これに対して、上記切刃に垂直な断面における上記ブレーカ壁面の傾斜角を、該切刃に沿って上記コーナ刃から離間するに従い漸次小さくなるようにすることにより、上述のように大きな切り込み量で幅広に生成された切屑がポジすくい面から反対側のブレーカ壁面に当たってカールさせられる際に抵抗が大きくなりすぎるのを防ぐことができる。このため、一層確実な切屑処理を図りつつも、円滑な切屑の流出は妨げずにバリの発生を抑制することが可能となる。
なお、このように切り込み量が大きくはなく、コーナ刃の部分のみが使用される仕上げ旋削の場合には、加工面側にバリが生じることは少なく、このコーナ刃によって生成された切屑は、コーナ部を二等分する平面に沿うようにして一対の対向するブレーカ壁面の間に流れ込み、このブレーカ壁面に擦過して抵抗を受けることによりカールさせられて処理される。
そして、このとき、上記ブレーカ壁面同士の間に、コーナ部を二等分する上記平面に垂直に延びるブレーカ底面を形成しておけば、このブレーカ底面にも切屑を擦過させて抵抗を与えることができるとともに、これらブレーカ壁面同士の間隔が狭まりすぎるのを防ぐことができて、このような仕上げ旋削の際の切屑がこれら一対の対向するブレーカ壁面に挟まれてしまうことにより詰まりを生じるような事態も防止することができる。
以上説明したように、本発明によれば、ステンレス鋼のような難削材でも、切刃に鋭い切れ味を与えるとともに、この切刃によって生成された切屑には過度の抵抗が与えられるのを防ぐことにより、バリを生じることなく旋削加工を行うことができて、切刃やすくい面に境界損傷が生じるのを防ぎ、インサート寿命の延長を図ることができる。その一方で、こうして生成された切屑は確実に分断して処理することができるので、円滑な旋削加工を安定して行うことが可能となる。
本発明の一実施形態を示す斜視図である。 図1に示す実施形態の平面図である。 図1に示す実施形態の側面図である。 図1に示す実施形態のコーナ部周辺の拡大斜視図である。 図1に示す実施形態のコーナ部周辺の拡大平面図である。 図6におけるVV断面図である。 図6におけるWW断面図である。 図6におけるXX断面図である。 図6におけるYY断面図である。 図6におけるZZ断面図である。
図1ないし図10に示す本発明の一実施形態の切削インサートは、そのインサート本体1が超硬合金等の硬質材料により菱形平板状に形成され、その一対の菱形状をなす面がすくい面2とされるとともに、4つの側面は逃げ面3とされ、これらすくい面2と逃げ面3との交差稜線部に切刃4がそれぞれ形成されている。なお、すくい面2がなす菱形の各コーナ部は、逃げ面3が円筒面状に形成とされることにより凸円弧状に形成されており、すくい面2の直線状に延びる4つの辺稜部にそれぞれ滑らかに接するコーナ刃5とされている。
ここで、これら切刃4およびコーナ刃5は、表裏のすくい面2ごとに、図3に示すようにそれぞれインサート本体1の厚さ方向(図3および図6〜10における上下方向。以下、インサート厚さ方向と称する。)に垂直な1つの平面P上に位置するように形成されている。また、すくい面2の内側には、該すくい面2がなす菱形よりも一回り小さな菱形状をなすインサート厚さ方向に垂直なボス面6が、上記平面Pよりもインサート厚さ方向に僅かに突出するように形成されている。
さらに、インサート本体1の表裏のこれらボス面6の中央には、このインサート本体1をインサート着脱式の切削工具(旋削工具)のインサート取付座に取り付けるためのクランプネジが挿通される取付孔7が、インサート本体1をインサート厚さ方向に貫通して開口するように形成されており、当該インサート本体1は、この取付孔7の中心線回りに180°回転対称形状に形成されているとともに、インサート厚さ方向の中央に位置するインサート本体1の断面がなす菱形の各対角線回りにも180°回転対称形状、すなわち表裏反転対称形状とされ、さらにすくい面2がなす菱形の各コーナ部を二等分する平面Q、すなわち該菱形の対角線に沿った平面に関しても対称形状とされている。
図4ないし図10は、このようなインサート本体1の鋭角をなすコーナ部を示すものである。これらの図に示すように、コーナ部のすくい面2上には、該コーナ部を二等分する平面Qに沿って、すなわちすくい面2がなす菱形の対角線を含んでインサート厚さ方向に延びる平面に沿って、ブレーカ溝8が、切刃4およびコーナ刃5から間隔をあけて、上記ボス面6がなす菱形のコーナ部に至るように、すくい面2に対向する平面視において細長く延びるように形成されている。すなわち、このブレーカ溝8は、そのすくい面2における開口縁の上記平面Qに沿った長さが、該平面Qに直交する方向の溝幅より大きくされている。
このブレーカ溝8は、図7および図8に示すように、上記平面Qを間にして互いに対向するように配置された一対のブレーカ壁面8Aと、該ブレーカ溝8の溝底においてこれらのブレーカ壁面8Aに交差するブレーカ底面8Bとにより構成されている。このうち、一対のブレーカ壁面8Aは、ブレーカ底面8Bから立ち上がるに従って上記平面Qから離間するように傾斜するとともに、コーナ刃5側からボス面6側に向かうに従っても平面Qから離間するように形成されている。
従って、ブレーカ溝8は、上記インサート厚さ方向に沿って平面Qに直交する断面において、図7および図8に示したようにブレーカ底面8Bからすくい面2側に向けてブレーカ壁面8Aによる溝幅が拡がるV字状とされるとともに、すくい面2に対向する平面視においても図5に示すようにコーナ刃5側からボス面6側に向けてブレーカ壁面8A同士が離れて溝幅が拡がるV字状を呈することになる。
また、ブレーカ底面8Bは、図7および図8に示すように上記平面Qに垂直に延びるとともに、本実施形態では図6に示すようにインサート厚さ方向にも垂直に延びる平坦面状に形成されており、従って切刃4およびコーナ刃5が位置する上記平面Pからのブレーカ溝8の溝深さは一定とされている。なお、このブレーカ底面8Bは、ブレーカ壁面8Aが上記平面視においてV字状を呈することからコーナ刃5側に向けて先細りとなるように形成され、ただしこのブレーカ底面8Bと一対のブレーカ壁面8Aとの交線がなす挟角θは、当該ブレーカ溝8が形成されたコーナ部Cにおいて上記コーナ刃5に交差する一対の切刃4がなす交差角よりも小さくされる。
なお、このブレーカ溝8のコーナ刃5側では、一対のブレーカ壁面8Aが、すくい面2に対向する平面視において図5および図6に示すように、インサート厚さ方向に沿ってコーナ刃5の略中心を通る中心線を有してブレーカ底面8Bからすくい面2側に向かうに従い漸次拡径する略凹円錐面状をなすように形成されて、コーナ刃5に連なるすくい面2に鈍角に交差するようにされている。ここで、切刃4およびコーナ刃5に直交する断面におけるブレーカ壁面8Aの上記平面Pに対する傾斜角αは、このコーナ刃5の中央の突端を通る上記平面Qに沿った断面で最も大きくされ、この中央突端からコーナ刃5の両端、さらに切刃4に沿って、図6および図9、10に示すように該中央突端から離間するに従い漸次小さくなるようにされている。
一方、ブレーカ溝8のコーナ刃5とは反対側には、このブレーカ溝8のブレーカ壁面8Aおよびブレーカ底面8Bから上記ボス面6に向けて立ち上がるに従いインサート本体1の内側(取付孔7側)に向けて傾斜する傾斜平面6Aが、上記平面Qに直交してボス面6がなす菱形のコーナ部を面取りするように形成されている。また、このブレーカ溝8を除いたすくい面2の内側からボス面6にかけても、同様に傾斜する傾斜平面6Bが形成されている。
さらに、上記切刃4に連なるすくい面2は、この切刃4から離間してインサート本体1の内側に向かうに従い上記インサート厚さ方向に漸次後退するように傾斜するポジすくい面とされている。また、本実施形態ではコーナ刃5に連なってブレーカ溝8のブレーカ壁面8Aに交差するコーナ刃すくい面2Aも、コーナ刃5から離間して該コーナ刃5がなす凸円弧の中心に向かうに従い同じくインサート厚さ方向に漸次後退するように傾斜する略凹円錐台面状のポジすくい面とされている。
ただし、これらポジすくい面とされたすくい面2およびコーナ刃すくい面2Aが、切刃4およびコーナ刃5に直交する断面において上記平面Pに対してなす傾斜角βは、いずれの断面においても上記ブレーカ壁面8Aが平面Pに対してなす傾斜角αより小さくされている。また、このうちコーナ刃すくい面2Aにおける傾斜角βは、コーナ刃5の中央突端を通る上記平面Qに沿った断面で最も大きくされていて、この中央突端からコーナ刃5の両端に向かうに漸次小さくなるようにされているのに対し、このコーナ刃5に交差する切刃4に連なるすくい面2の傾斜角βは該切刃4に沿って一定の大きさとされ、従ってこの切刃4に連なるすくい面2は上述のように傾斜する傾斜平面状とされる。
さらに、上記平面視においてブレーカ溝8がなすV字の挟角θが、コーナ刃5に交差する一対の切刃4の交差角よりも小さくされていることから、これら切刃4に連なる上記傾斜平面状とされたすくい面(ポジすくい面)2は、その幅Aがコーナ刃5側から離間するに従い漸次幅広となってゆき、このすくい面2とブレーカ溝8のブレーカ壁面8Aとの交差稜線は、コーナ刃5側から離間するに従い漸次インサート厚さ方向に後退することになるとともに、本実施形態では図7および図8に示すように上記平面Qに垂直なインサート厚さ方向に沿った断面でも、また図9および図10に示すように切刃4に直交する断面においても、すくい面2の延長線上には反対側のブレーカ壁面8Aが互いに位置することになる。なお、この交差稜線は、ブレーカ壁面8Aの傾斜角αがコーナ刃5側から離間するに従い漸次小さくなる捩れ面状に形成されることから、上記平面視において上記平面Qに対して外側に僅かに膨らんだ凸曲線状を呈することになる。
このような構成の切削インサートでは、こうして一対の切刃4に連なるすくい面2が、各切刃4から離間するに従いインサート厚さ方向に漸次後退するように傾斜したポジすくい面とされているので、そのすくい角を正角側に大きくすることにより切刃4に鋭い切れ味を与えることができて切削抵抗の低減を図ることができる。このため、ステンレス鋼のような難削材に対して切り込み境界がこの切刃4上に位置するようなある程度の切り込み量で旋削加工を行う場合に、加工面側の切り込み境界部分にバリが生じるのを防ぐことができ、加工硬化したこのようなバリを削り取る際に切刃4やすくい面2が傷付けられて境界損傷が発生するのを防止することができる。
また、こうして切刃4により切れ味良く被削材から切削された切屑は、ポジすくい面とされたすくい面2上を擦過する。このとき、切屑には抵抗が与えられてカールされ易い状態となり、しかもすくい面2が切刃4に沿ってコーナ刃5側から離間するに従いその幅Aは漸次幅広となっているため、切り込み量が大きくなるに従い切屑のコーナ刃から離れた側で漸次大きくなるように適度な抵抗を与えることができる。ただし、この抵抗は、切屑がすくい面2を擦過することによるものであって、特許文献1〜3記載の切削インサートにおける突起やブレーカ、リブに切屑が衝突した際の抵抗のように、詰まりを生じるような大きな抵抗となることはない。
次いで、こうしてすくい面2を擦過した切屑はブレーカ溝8内に流れ込むが、このすくい面2の傾斜角βに対してブレーカ溝8のブレーカ壁面8Aはその傾斜角αが大きくされているため、ブレーカ溝8内で切屑は、擦過した側のすくい面2に連なるブレーカ壁面8Aやブレーカ底面8Bには接触することなく上記平面Qを越えて、該平面Qに対して対称に形成されてこのすくい面2の延長線上に位置することになる反対側のブレーカ壁面8Aに当たり、その流出の向きが該ブレーカ壁面8Aに沿った向きに変えられて適切にカールさせられ、分断されて処理される。
このように、上記構成の切削インサートによれば、切刃4に与えられた鋭い切れ味と、該切刃4により生成された切屑に過度の抵抗が作用することがないこととにより、切削抵抗の低減を図ることができ、ステンレス鋼のような難削材の旋削加工でも加工硬化したバリが発生するのを防止し、切刃4やすくい面2の切り込み境界に損傷が生じるのを防いでインサート寿命を延長することができる。その一方で、抵抗少なく流出した切屑は、上記反対側のブレーカ壁面8Aによって確実に処理することができるので、かかる切屑が被削材やインサート着脱式旋削工具の工具本体に絡まったりすることもなく、従って円滑な旋削加工を長期に亙って安定して行うことが可能となる。
また、本実施形態では、切刃4に連なるポジすくい面とされたすくい面2のなす傾斜角βが該切刃4に沿って一定の大きさとされており、従ってこの切刃4に与えられる切れ味も該切刃4に沿って略一定とすることができる。すなわち、切り込み量が大きい場合でも、部分的に切刃4の切れ味が鈍って切屑に作用する抵抗が大きくなったりすることがないので、より円滑に切屑をすくい面2に流出させることができてバリの発生を抑えることが可能となる。
さらに、このすくい面2に連なるブレーカ溝8のブレーカ壁面8Aは、その切刃4に垂直な断面における傾斜角αが、該切刃4に沿ってコーナ刃5側から離間するに従い漸次小さくなるようにされている。このため、切り込み量が大きい場合において、この切り込みの境界部分で生成された切屑がすくい面2を擦過して平面Qと反対側のブレーカ壁面8Aに当たったときに、その流出の方向が著しく変えられることにより抵抗が大きくなりすぎて切屑が詰まり気味になるのを防ぐことができ、上記境界部分でのバリの発生をより効果的に防止することができる。
また、本実施形態では、このブレーカ壁面8Aが形成されるブレーカ溝8は上記平面Qに沿って延びる溝長さが溝幅より大きい細長溝状とされているので、このように切り込み量が比較的大きい場合でも、ボス面6に連なる傾斜平面6A、6Bに切屑を衝突させて過度の抵抗を生じることなく、ブレーカ溝8内に導いて上記反対側のブレーカ壁面8Aに当てることにより処理することができる。
さらに、このブレーカ溝8は、すくい面2に対向する平面視においてコーナ刃5側から離間するに従いブレーカ壁面8A同士が離れて溝幅が拡がるV字状を呈しており、従って切り込み量が大きい場合の切り込み境界部分で生成された切屑は、切刃4に連なるすくい面2を擦過してブレーカ溝8内に流れ込んでから、反対側のブレーカ壁面8Aに当たるまでに、より長い距離すくい面2やブレーカ壁面8Aに接触せずに抵抗を受けない状態となる。このため、本実施形態では、かかる部分で生成された切屑の流出を一層滑らかなものとして、バリの発生をさらに確実に防止することが可能となる。
一方、このように切り込み量が大きくはなく、切刃のうちでも上記コーナ刃5部分だけが使用される低切り込みの旋削加工においては、もともとバリが生じることが少なく、該コーナ刃5によって生成された幅の小さな切屑は、そのまま平面Qに沿うようにブレーカ溝8内に導かれてブレーカ壁面8Aと摺接することにより抵抗を受けてカールさせられ、分断処理される。
そして、このとき、本実施形態の切削インサートでは、これらブレーカ壁面8Aがブレーカ溝8の溝底でV字状に交差することなく、このブレーカ溝8の溝底に上記平面Qに対して垂直なブレーカ底面8Bが形成されているので、こうしてブレーカ溝8内に導かれた切屑がブレーカ壁面8A同士の間に挟み込まれて詰まってしまうような事態が生じるのも防ぐことができる。従って、本実施形態の切削インサートによれば、上述のような切り込みの大きい場合から、このように低切り込みの旋削加工でも、安定した切屑の処理を促すことが可能となる。
ただし、本実施形態では、こうしてブレーカ溝8の溝底に上記平面Qに対して垂直なブレーカ底面8Bが形成されているが、専ら高切込みの旋削加工のみに使用される場合には、このようなブレーカ底面8Bが形成されずに、ブレーカ壁面8A同士がブレーカ溝8の溝底でV字状に交差するようにされていてもよい。同様に、ポジすくい面とされたすくい面2の傾斜角βは切刃4に沿って一定でなくとも、漸次大きくなったり小さくなったりしていてもよい。さらに、コーナ部は上記平面Qに関して対称に形成されているが、これについても、一方の切刃4に連なるすくい面2(ポジすくい面)の延長線上に、他方の切刃4に連なるブレーカ壁面8Aが位置するように配置されていれば、非対称形状とされていてもよい。
1 インサート本体
2 すくい面(ポジすくい面)
2A コーナ刃すくい面
3 逃げ面
4 切刃
5 コーナ刃
8 ブレーカ溝
8A ブレーカ壁面
8B ブレーカ底面
Q コーナ部を二等分する平面
α ブレーカ壁面8Aの傾斜角
β すくい面2の傾斜角

Claims (3)

  1. すくい面の辺稜部に形成された一対の切刃同士が交差する上記すくい面のコーナ部にコーナ刃が形成された切削インサートであって、上記一対の切刃に連なる上記すくい面にはそれぞれ、各切刃に連なって該切刃から離間するに従い漸次後退するように傾斜するとともに該切刃に沿って上記コーナ刃側から離間するに従い漸次幅広となるポジすくい面と、このポジすくい面の上記切刃と反対側に連なり該切刃から離間するに従い上記ポジすくい面よりも大きな傾斜角で漸次後退するように傾斜するブレーカ壁面とが形成されていて、上記一対の切刃のうち一方の切刃に連なる上記ポジすくい面の延長線上に、他方の切刃に連なる上記ブレーカ壁面が位置するように配置されており、上記切刃に垂直な断面における上記ブレーカ壁面の傾斜角が、該切刃に沿って上記コーナ刃から離間するに従い漸次小さくなることを特徴とする切削インサート。
  2. 上記切刃に垂直な断面における上記ポジすくい面の傾斜角が、該切刃に沿って一定とされていることを特徴とする請求項1に記載の切削インサート。
  3. 上記ブレーカ壁面同士の間には、上記コーナ部を二等分する平面に垂直に延びるブレーカ底面が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切削インサート。
JP2009066266A 2009-03-18 2009-03-18 切削インサート Active JP5365285B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009066266A JP5365285B2 (ja) 2009-03-18 2009-03-18 切削インサート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009066266A JP5365285B2 (ja) 2009-03-18 2009-03-18 切削インサート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010214562A JP2010214562A (ja) 2010-09-30
JP5365285B2 true JP5365285B2 (ja) 2013-12-11

Family

ID=42973954

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009066266A Active JP5365285B2 (ja) 2009-03-18 2009-03-18 切削インサート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5365285B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107363276B (zh) * 2017-08-31 2023-10-03 株洲欧科亿数控精密刀具股份有限公司 一种双面槽型可转位切削刀片
CN108746683A (zh) * 2018-07-04 2018-11-06 株洲华锐精密工具股份有限公司 一种用于切削高温合金的可转位车刀片
US20230056761A1 (en) * 2019-12-11 2023-02-23 Kyocera Corporation Insert, cutting tool, and method for cutting workpiece using the cutting tool

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2556519Y2 (ja) * 1991-12-16 1997-12-03 京セラ株式会社 スローアウェイチップ
JP4102202B2 (ja) * 2003-01-15 2008-06-18 京セラ株式会社 切削インサート

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010214562A (ja) 2010-09-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5515504B2 (ja) 切削インサート
JP6287197B2 (ja) ドリル用インサートおよび刃先交換式ドリル
JP5024483B2 (ja) 切削インサート
WO2017122715A1 (ja) 切削インサートおよび刃先交換式切削工具
JP4353067B2 (ja) ねじ切り切削用インサート
JP2008213122A (ja) 切削インサート
JP4729894B2 (ja) インサートおよびスローアウェイ式切削工具
JP2011115896A (ja) 切削インサート
JP6361948B2 (ja) 切削インサートおよび切削工具
JP2009255287A (ja) インサートクランプ用クサビおよびインサート着脱式カッタ
WO2014065228A1 (ja) 切削インサート及び刃先交換式切削工具
JP5365285B2 (ja) 切削インサート
JP2017159440A (ja) 切削インサートおよび刃先交換式切削工具
JP4155157B2 (ja) エンドミル
JP5589425B2 (ja) 溝入れ・突っ切り加工用切削インサート
JP2006218617A (ja) 丸駒インサートおよび丸駒インサート着脱式切削工具
JP7171605B2 (ja) 前部および後部コンポーネントの切れ刃を備えた分割切れ刃を有する切削インサート
JP2008073827A (ja) 切削インサート
JP2008284666A (ja) 切削インサート
JP2005288613A (ja) スローアウェイチップ
WO2017150541A1 (ja) 切削インサートおよび刃先交換式切削工具
JP5343600B2 (ja) 切削インサート
JP6251988B2 (ja) 切削インサート
JP2015160266A (ja) 切削インサート及び刃先交換式バイト
KR102582037B1 (ko) 절삭 인서트 및 절삭 공구

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110927

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130507

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130708

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130813

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130826

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5365285

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150