JP2006218617A - 丸駒インサートおよび丸駒インサート着脱式切削工具 - Google Patents

丸駒インサートおよび丸駒インサート着脱式切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】切刃の被削材への食い付き時に大きな衝撃や負荷が作用するのを防いでチッピングや欠損の発生を防止するとともに、切屑処理性の向上や切削抵抗の低減を図る。
【解決手段】概略円板状のインサート本体1を有して、その略円形をなすすくい面2の外周に、すくい面2に対向する平面視に凹凸する切刃3が形成された丸駒インサートにあって、すくい面2の外周側部分を周方向に沿ってインサート本体1の厚さ方向に凹凸させることにより、切刃3を、平面視に凸となる突端3cが逃げ面6に対向する側面視においてもインサート本体1の厚さ方向に凸となる波刃状に形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、略円板状のインサート本体を有してその略円形をなすすくい面の外周に切刃が形成された丸駒インサート、および該丸駒インサートが工具本体に着脱可能に取り付けられた丸駒インサート着脱式切削工具(以下、単に切削工具と称する。)に関するものである。
例えば自動車部品の製造に用いられる金型においては、近年いわゆる掘りの深い金型が多く用いられるようになってきており、このような金型をエンドミルやカッタ等の転削工具によって切削加工する場合には必然的に工具突き出し量も長くなるため、ビビリが発生し易く、突発的な切刃の欠損などにより工具寿命が低下したり、加工精度が損なわれたりするおそれがある。しかるに、このようなビビリを抑制する手段の一つとして、工具の送りや切込み等の切削条件を低減することが挙げられるが、このような手段では加工効率も低下してしまうことが免れない。
そこで、ビビリを抑制する他の手段として、エンドミルやカッタ等の転削工具において剛性の高い回転軸線方向に切削力の多くの成分が作用するように、すなわち切削力のうち背分力が多くの割合を占めるように、切刃のコーナ角を大きく設定することが挙げられる。ここで、概略円板状のインサート本体の円形面がすくい面とされて、このすくい面と逃げ面とされる周面との交差稜線部に切刃が形成された丸駒インサートは、これを取り付けたラジアスカッタのような上記切削工具において、切刃のコーナ角が工具先端側に向けて漸次大きくなるため、上記軸線方向への背分力を大きくしてビビリを抑制し易く、また金型の複雑な曲面形状も倣い切削することができるので、特に上述のような掘りの深い金型の切削加工に用いて好適である。
さらに、このような丸駒インサートおよびこれを取り付けた切削工具では、特に粗加工において切削抵抗を軽減することによりビビリの発生をさらに抑制するため、丸駒インサートの上記逃げ面とされる周面に、すくい面に達するニック溝を形成したものが、例えば特許文献1、2に提案されている。従って、このような丸駒インサートでは、円周状の切刃がニック溝によって分割されて、すくい面から見て例えば波形に凹凸しつつ周回するように形成されるため、切屑をその幅方向に完全に分断しながら生成することができて切削抵抗の低減を図ることができ、またかかる丸駒インサートを取り付けた切削工具では、その工具本体に形成された複数のインサート取付座ごとに、分割された切刃が呈する凹凸の位相をずらして丸駒インサートを取り付けることで、その軸線回りの回転軌跡では円周状に連続した切刃を得て滑らかな加工面を形成することができる。
実開昭62−156411号公報 国際公開第2005/009660号パンフレット
しかしながら、これら特許文献1、2に記載の丸駒インサートでは、上記すくい面は全体に亙って円板状のインサート本体の中心線に垂直な平坦面とされており、従って上記切刃も逃げ面に対向する側面視には直線状に延びるように形成されるため、このような丸駒インサートが取り付けられた上記ラジアスカッタのような切削工具では、この切刃が被削材の加工面に一気に食い付くことになる。このため、切削時に大きな衝撃や抵抗が切刃に作用することが避けられず、特に逃げ面にニック溝を形成して切刃を分割した上記丸駒インサートでは、このような大きな衝撃や抵抗によって切刃にチッピングや欠損が生じるおそれがあった。
また、すくい面がこのように平坦面とされていると、上記切刃によって生成された切屑は、そのまますくい面上を内側に流出しつつ該すくい面と擦過してその抵抗により単にこの流出方向にカールさせられるだけとなる。このため、切削条件によっては伸び気味の切屑が生成されたり、ニック溝によって分割された切刃により生成された切屑同士が絡まったりして切屑処理性が損なわれるおそれがあるとともに、切屑がすくい面と擦過したまま該すくい面の奥まで長く流出することによって切削抵抗の増大を招いたりするおそれもある。
本発明は、このような背景の下になされたもので、切刃の被削材への食い付き時に大きな衝撃や負荷が作用するのを防いでチッピングや欠損の発生を防止するとともに、切屑処理性の向上や切削抵抗の低減を図ることが可能な丸駒インサートおよびこれを取り付けた切削工具を提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の丸駒インサートは、概略円板状のインサート本体を有して、その略円形をなすすくい面の外周に、該すくい面に対向する平面視に凹凸する切刃が形成された丸駒インサートであって、上記すくい面の外周側部分が周方向に沿って上記インサート本体の厚さ方向に凹凸することにより、上記切刃は、上記平面視に凸となる突端が逃げ面に対向する側面視においても上記厚さ方向に凸となる波刃状に形成されることを特徴とする。また、本発明の切削工具は、このような丸駒インサートが、工具本体に形成されたインサート取付座に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
上記構成の丸駒インサートにおいては、平面視に凹凸する上記切刃が、この平面視に凸となるその突端が逃げ面に対向する側面視においてもインサート本体の厚さ方向に凸となる波刃状に形成されているので、このような丸駒インサートを取り付けた切削工具、例えば軸線回りに回転される工具本体の先端部外周に、複数のインサート取付座が周方向に間隔をあけて形成されていて、これらのインサート取付座にそれぞれ上記丸駒インサートが着脱可能に取り付けられ、これらの丸駒インサートが、少なくとも工具本体の周方向に隣接する丸駒インサート同士でその切刃の上記平面視における凹凸の位相が互いにずらされて、上記軸線回りの回転軌跡において各切刃が略円周状に連続するようにされた上記ラジアスカッタのような切削工具では、側面視に切刃がなす波刃のうちインサート本体の厚さ方向に凸、すなわち工具本体の回転方向に凸となるその突端側から切刃が被削材に徐々に食い付いてゆくことになる。このため、切刃が被削材に食い付く際の衝撃や負荷を分散して緩和することができ、切刃にチッピングや欠損が発生するのを防止することが可能となる。
また、平面視に凹凸した切刃によって幅方向に分断されて生成される切屑は、この切刃が側面視にも凹凸する波刃状とされることにより、その断面が幅方向に凸曲した状態で生成されて流出するとともに、外周側部分が切刃と同じくインサート本体の厚さ方向に凹凸するすくい面を擦過してカールさせられることにより、上記幅方向に交差する流出方向には反り上がって凹曲させられ、すなわち鞍状に変形させられることになる。従って、切屑は、特にこの幅方向の両端部側で該すくい面から浮き上がるように離間することになるため切屑離れが良く、切削抵抗の低減を図ることができるとともに、伸び気味の切屑が生成されるような切削条件でも、切屑が伸び切る前にこの幅方向両端部などから引き裂かれるようにして亀裂が生じ、速やかに分断されて処理されることになる。
ここで、上記切刃が上記側面視になす波刃の波形状は、少なくとも上記突端の周辺が凸曲線状とされているのが望ましく、これにより切刃が食い付く際の衝撃や負荷をより効果的に分散、緩和することができるとともに、切刃自体にも高い強度を確保してチッピングや欠損を一層確実に防止することができる。さらに、上記すくい面を、上記切刃が上記側面視になす波形状のまま、上記インサート本体の中心線に垂直に内周側に延びるように形成することにより、切刃の刃先角を大きくして一層高い強度を確保することができる。
ただし、こうしてすくい面を上記中心線に垂直に延設する場合において、上記すくい面の切刃に交差するその最外周部にランド部を形成し、このランド部を上記中心線に垂直に内周側に延びるように形成しても、刃先の強度を確保することができる。そして、このような場合において、さらに上記すくい面には、このランド部の内周側に、切刃から離間するに従いすくい面とは反対側のインサート本体の着座面側に傾斜する傾斜面部を形成すれば、刃先強度は確保しつつ切刃の切れ味を鋭くして一層の切削抵抗の低減を図ることが可能となる。
一方、切刃を上記平面視に凹凸するように形成するのに、上記インサート本体の逃げ面に、すくい面に達する複数のニック溝を形成して、切刃をこれらのニック溝により上記平面視にインサート本体の中心線を中心とした円弧状の切刃部に分割した場合には、この円弧状の切刃部において当該切刃を上記側面視に凸となる波刃状に形成すればよい。このとき、上記円弧状の切刃部の両端部を、上記平面視に該切刃部よりも曲率半径の小さい凸曲線状に形成すれば、この両端部における切刃のチッピングや欠損も防ぐことができるとともに、上述のようなラジアスカッタにおいて被削材に形成される加工面を滑らかにすることが可能となる。さらに、すくい面の上記切刃に交差するその最外周部に、例えば上述のようなランド部を形成した場合に、このランド部を、上記円弧状の切刃部の両端部において幅広となるように形成すれば、該両端部における刃先強度を一層向上させて、チッピングや欠損をより確実に防止することが可能となる。
図1ないし図7は、本発明の丸駒インサートの一実施形態を示すものであり、図8ないし図12は、この丸駒インサートが着脱可能に取り付けられた本発明の切削工具の一実施形態を示すものである。まず、本実施形態の丸駒インサートは、そのインサート本体1が超硬合金等の硬質材料により形成されて中心線Cを中心とした概略円板状をなし、その一方の円板面がすくい面2とされて、このすくい面2の外周に切刃3が形成されている。なお、このインサート本体1の上記すくい面2とこれとは反対の着座面4とされる他方の円板面との間には、インサート本体1を上記中心線Cに沿って貫通するように取付孔5が形成されている。また、上記すくい面2との交差稜線部に切刃3を画成する逃げ面6とされるインサート本体1の周面は、すくい面2側から着座面4側に向かうに従い漸次縮径する中心線Cを中心とした概略円錐面状とされていて、これにより本実施形態の丸駒インサートは切刃3に逃げ角が付されたポジティブインサートとされている。
ここで、この逃げ面6の着座面4側には、上記円錐状面をこれら逃げ面6と着座面4とに鈍角に交差する平面によって面取りするように切り欠くようにして、複数の切欠面7が周方向に等間隔に、かつすくい面2には達しないように形成されており、本実施形態ではこの切欠面7の数は偶数の8とされている。従って、これらの切欠面7は、上記中心線Cに直交する断面が該中心線Cを中心とした正多角形(本実施形態では正8角形)をなして、中心線C回りに45°ずつインサート本体1を回転させたときに重なり合うように形成され、また着座面4はその外周縁にこれらの切欠面7が交差して、図7に示すように正8角形状に形成される。なお、隣接する切欠面7同士の交差稜線部は両切欠面7に滑らかに連なる突曲面状とされ、また切欠面7のすくい面2側の逃げ面4との交差部分は、該切欠面7に滑らかに連なる凹曲面状とされている。
さらに、このインサート本体1の逃げ面6には、インサート本体1の中心線Cに対する径方向内側に凹む複数条のニック溝8が、周方向に等間隔に、また中心線C方向には、切欠面7の途中からすくい面2に向けて凹み始めて該中心線C方向に延び、すくい面2にまで達するように形成されている。これらのニック溝8は、中心線Cに直交する断面においては、その溝底部分が概略凹円弧状をなすとともに、この溝底から周方向両側に向けて逃げ面6に連なる側縁部は、溝底の断面がなす凹円弧よりも半径の小さい凸円弧状を呈して、円錐面状の逃げ面6に略滑らかに連なるように形成され、また中心線Cに沿った断面においては、図5に示すようにその溝底部分が、すくい面2側では逃げ面6の逃げ角または切欠面7の中心線Cに対する傾斜角と略等しい角度で着座面4側に向かうに従い中心線C側に向かうとともに、着座面4側では中心線Cと略平行に延びて切欠面7に切れ上がるように形成されている。
なお、これらのニック溝8の数は、切欠面7の数では割り切れない数とされており、本実施形態では偶数とされた切欠面7の数8の半分の4に対して、これの3以上の奇数倍、特に3倍の12とされている。さらに、このうち一部のニック溝8aは、複数の切欠面7のうち周方向に一定数の切欠面7おきに位置する一部の切欠面7内に延びるように、すなわち該切欠面7の内側に延びてこれを周方向に分断するように形成されていて、特に本実施形態では1つの上記一部のニック溝8aが、1つの上記一部の切欠面7の周方向中央部に延びるように形成されており、こうして一部のニック溝8aが面内に延びるように形成された一部の切欠面7が、後述する拘束面7aとされる。
ここで、切欠面7の数が8、ニック溝8の数が12とされて、それぞれに周方向に等間隔に形成された本実施形態では、一部のニック溝8aが拘束面7a内の周方向中央部に延びると、この拘束面7aに隣接する切欠面7では、一部のニック溝8a以外のニック溝8が2つ、周方向において該切欠面7の両外側部分にそれぞれ延びるように形成されることになり、その次に隣接する切欠面7では再び1つの上記一部のニック溝8aが周方向中央部に延びて、該切欠面7が拘束面7aとされる。すなわち、上記丸駒インサートにおいては、複数(本実施形態では偶数)形成された切欠面7のうち、一定数(本実施形態では1つ)おきの切欠面7が、周方向において所定の位置(本実施形態では中央部)に一部のニック溝8aが延びる拘束面7aとされ、この拘束面7A以外の残りの切欠面7bでは、残りのニック溝8bが拘束面7aとは異なる位置(本実施形態では両側部)に延びるように形成されることになり、このような拘束面7aと残りの切欠面7b、あるいは一部のニック溝8aと残りのニック溝8bとがインサート本体1の周方向に周期的に配設されることになる。
なお、複数のニック溝8自体は、一部のニック溝8aも残りのニック溝8bも互いに等しい断面形状とされていて、インサート本体1を中心線C回りに30°ずつ回転させたときに互いに重なり合うように形成されている。ただし、上記残りの切欠面7bの両側部に形成される残りのニック溝8bは、切欠面7同士が交差するこの両側部の中心線Cからの距離が、上記一部のニック溝8aが形成される拘束面7aの中央部までの距離よりも長いために、該中心線C方向にはこの一部のニック溝8aよりも着座面4に近い位置まで延設されることになる。
一方、このようにニック溝8が形成されることにより、すくい面2の外周は中心線C方向視のすくい面2に対向する平面視に周方向に向けて該すくい面2の内外周に凹凸することになり、これに伴い切刃3は図2に示すように周方向に等間隔かつ互いに等しい長さの中心線Cを中心とした円弧状に、ニック溝8と同じ数だけ分割されることになる。また、ニック溝8の両側縁部が上述のように断面凸円弧状に形成されていることから、分断された切刃3は、上記中心線Cを中心とした円弧状をなす切刃部3aに対して、その両端部3bが、中心線C方向から見た平面視に該切刃部3aよりも曲率半径の小さい凸曲線状に形成されることになる。
そして、こうして分割された切刃3およびニック溝8に連なるすくい面2の外周側部分は、その周回り方向に沿ってインサート本体1の厚さ方向すなわち上記中心線C方向に凹凸するように形成されており、特に分割された切刃3の内周側では、中心線C方向視における上記円弧状の切刃部3aの二等分線上の部分が最も凸となるように、周方向に向けて湾曲する凸曲面状に形成されている。従って、このような凸曲面状のすくい面2の外周に形成される切刃3も、図3および図4に示すように中心線Cに垂直に逃げ面6に対向する方向から見た側面視において、平面視に凸となる上記切刃部3aが上記厚さ方向にも凸となる波刃状に形成されることになる。
さらに、本実施形態では、切刃3に上記厚さ方向に連なって逃げ面6とされるインサート本体1の周面が着座面4側に向かうに従い漸次縮径する概略円錐面状のポジティブインサートとされているため、このように側面視にすくい面2および切刃3が凹凸すると、上記切刃部3aのうちでも側面視において厚さ方向に最も凸となる上記二等分線上の部分の突端3cが、平面視においても最もすくい面2の外周側に凸となる突端3cとなり、この突端3cから両端部3bに向かうに従い切刃部3aは、極僅かではあるが漸次着座面4側およびすくい面2の内周側に向かうことになる。なお、こうして凸となる切刃部3aは、本実施形態では少なくともその上記突端3c周辺が側面視にも平面視にも凸曲線状とされ、特に平面視には上述のように略凸円弧とされるとともに、側面視には突端3cにおける曲率半径が平面視の凸円弧の半径、すなわちすくい面2の半径よりも大きくなるようにされている。
また、このように凸曲面状に形成されたすくい面2は、本実施形態では切刃3に交差するその最外周部が、切刃3が側面視になす波形状のまま内周側に向けて上記中心線Cに直交する方向に延びるようにして、この最外周部にランド部2aが形成されるように構成されている。さらに、このランド部2aの内周側のすくい面2は切刃3から離間するに従い着座面4側に一定の傾斜角で傾斜する傾斜面部2bとされ、さらにこの傾斜面部2bよりも内周側は、上記取付孔5の開口縁に至るまで、中心線Cに垂直な平面部2cとされている。そして、上記ランド部2aの幅は、図2に示されるように切刃3の上記円弧状切刃部3aの内側では一定幅とされる一方、両端部3bでは上記切刃部3a側から離間するに従い漸次幅広となるように形成されている。
このような丸駒インサートが取り付けられる本実施形態の切削工具は、その工具本体11が図8ないし図10に示すように軸線Oを中心とした概略円筒状をなし、その後端部(図8および図9において上側部分)が工作機械の主軸端に取り付けられることにより、上記軸線O回りに図10に符号Tで示す工具回転方向に回転されつつ該軸線Oに垂直な方向に送り出され、取り付けられた上記丸駒インサートの切刃3によって被削材を切削してゆく。すなわち、本実施形態の切削工具は、丸駒インサート着脱式の転削工具であり、しかも上記工具本体11の先端部外周に複数のチップポケット12が形成されるとともに、これらのチップポケット12の回転方向T側を向く壁面にはインサート取付座13が工具本体11の周方向に間隔をあけてそれぞれ形成され、これらのインサート取付座13に上記実施形態の丸駒インサートがその円周状の切刃3の一部を工具先端外周側に向けて着脱可能に取り付けられた、ラジアスカッタの構成とされている。
ここで、上記インサート取付座13は図12に示すように、工具回転方向T側(図12では上側)を向いてインサート本体1の上記着座面4が密着する底面13aと、この底面13aの工具後端側(図12では奥側)と内周側(図12では左側)とに屹立して工具回転方向T側に延びる一対の壁面13b,13cとを備えており、これらの壁面13b,13cは、底面13aに対しては、インサート本体1の上記切欠面7が着座面4に対してなす角度と等しい角度で傾斜させられるとともに、壁面13b,13c同士では、周方向に1つおきの一対の切欠面7同士が交差する角度と等しい角度をなすように形成され、すなわち底面13aに平行な断面において直交する方向に形成されている。ただし、これらの壁面13b,13c同士の間、および該壁面13b,13cと底面13aとの間には、インサート本体1とインサート取付座13との干渉を防ぐための凹所(ヌスミ部)13dがそれぞれ形成されている。また、底面13aには取付ネジ孔13eが垂直に穿設されている。
なお、これらの壁面13b,13cには、該壁面13b,13cから突出する突起13fが、それぞれ壁面13b,13cの幅方向(壁面13bにおいては工具本体1の径方向、壁面13cにおいては軸線O方向)の略中央部に1つずつ形成されている。この突起13fは、例えば上記底面13aに対向する方向から見て壁面13b,13cに沿う長方形をなし、また各壁面13b,13cと底面13aとに沿う方向から見た場合には、例えばその壁面13b,13cから突出した側の突端面が底面13aに垂直とされて、壁面13b,13cに対しては底面13a側から離間するに従い漸次突出してゆくように形成されており、その大きさおよび底面13aからの高さは、インサート本体1の上記切欠面7のうち拘束面7aを該壁面13b,13cに当接させた際に、その周方向中央部に形成された上記一部のニック溝8a内に収容可能なものとされている。
言い換えれば、このように幅方向中央部に突起13fが形成された壁面13b,13cには、図12に鎖線で示すように切欠面7のうち周方向中央部に一部のニック溝8aが形成された拘束面7aだけしか当接させることができず、この周方向中央部にニック溝8が形成されていない残りの切欠面7bを当接させようとしても、突起13fがこの切欠面7bに当接してしまって壁面13b,13cとの間に隙間が生じ、切欠面7bを壁面13b,13cに密着させて当接させることは不可能となる。さらに、一対の壁面13b,13cにそれぞれ突起13fが形成された本実施形態では、インサート本体1の周方向に1つの上記残りの切欠面7bを介して隣接する一対の拘束面7aが、これらの突起13fをそれぞれの上記一部のニック溝8aに収容した状態で、壁面13b,13cに当接可能とされる。
また、底面13aに穿設された上記取付ネジ孔13eは、こうして突起7fをニック溝8aに収容して一対の拘束面7aを壁面13b,13cに当接させるとともに着座面4を底面8aに密着させてインサート本体1をインサート取付座13に着座させた状態で、その内周がインサート本体1の取付孔5内に開口して、すくい面2側から取付孔5に挿通されたクランプネジ14がねじ込み可能とされており、逆に拘束面7a以外の残りの切欠面7bを壁面13b,13cに向けて突起13fに当接させた際には、インサート本体1のすくい面2側から見て取付孔5の内周が取付ネジ孔13eの内周に交差するように位置させられて、クランプネジ14を取付孔5に挿通しても取付ネジ孔13eにねじ込むことはできないようにされている。なお、この取付ネジ孔13eは、クランプネジ14をねじ込むことによって丸駒インサートが上記壁面13b,13cの間の凹所13d側に押し付けられるように、着座させられたインサート本体1の中心線Cからこの凹所13d側に向けて僅かに偏心させられている。
従って、こうして取付孔5に挿通されたクランプネジ14が取付ネジ孔13eにねじ込まれることにより、上記実施形態の丸駒インサートは、上述のように底面13aに着座面4を密着させるとともにすくい面2を工具回転方向T側に向け、また上記壁面13b,13cに上記一対の拘束面7aを押し付けるように当接させて上記中心線C回り方向に拘束され、さらにすくい面2外周の切刃3の1/4を工具本体11先端の軸線Oに対して外周側に離れた位置から後端外周側に延びるように先端外周側に突出させて、インサート取付座13に固定される。なお、本実施形態ではこうして先端外周側に突出させられて切削に供される切刃3部分に、図9に示すように正の軸方向すくい角と図10に示すように負の径方向すくい角とが与えられるようになされている。
さらにまた、工具本体11に複数のチップポケット12およびインサート取付座13が形成された本実施形態の切削工具では、これらのインサート取付座13に装着された丸駒インサートの切削に供される切刃3間で、ニック溝8によって分割された上記切刃部3aの位相が、軸線O回りの回転軌跡において中心線C回りにずらされるように構成されている。ここで、本実施形態では、図10に示すように工具本体11に6つのインサート取付座が周方向に等間隔に形成されており、このうち軸線Oを挟んで互いに反対側に位置する一対のインサート取付座13に取り付けられた丸駒インサート同士では上記位相が同じになるようにされる一方、周方向に隣接する3つのインサート取付座13に取り付けられた丸駒インサート間では、図11に示すように上記位相が、その切刃3のニック溝8により分割された切刃部3a間の間隔を等分するように、すなわち本実施形態では中心線C回りに10°ずつずらされるようにされている。
従って、こうして工具本体11に装着された複数の丸駒インサートでは、その切刃3がニック溝8によって分割されていても、回転軌跡においては図11に示したように上記切刃部3aが連続して略円周状の切刃3が形成されることになる。なお、本実施形態では、いずれのインサート取付座13に取り付けられる丸駒インサートも、そのインサート本体1自体は同形同大の共通のものであり、インサート取付座13の壁面13b,13cの向きを上記3つのインサート取付座13間でずらすことにより、上述のような回転軌跡となるようにされている。また、工具本体1の周方向に1つおきの丸駒インサート同士で上記位相が同じになるようにして、周方向に隣接するもの同士の切刃3の回転軌跡が略円周状に形成されるようにしてもよい。
このように構成された切削工具および丸駒インサートにおいては、こうしてニック溝8によって分割された切刃3が回転軌跡において円周状を呈するように丸駒インサートが取り付けられているので、個々の丸駒インサートでは切屑をその幅方向に分断した状態で生成して切削抵抗を低減しつつも、切削工具全体としては削り残しをなくして滑らかな加工面を形成するとともに、切削力のうち工具本体1の軸線O方向への背分力の割合を大きくすることができる。このため、かかる切削工具によって工具突き出し量が大きくなる金型の深掘り加工を行った場合に、この切削力の多くを剛性の高い上記軸線O方向で受け止めることができ、切削抵抗の低減とも相俟って切削条件を低下させることなくビビリの発生を抑制することが可能となり、加工精度の向上や工具寿命の延長を図ることができる。
そして、上記構成の丸駒インサートでは、ニック溝8によって分割された切刃3が、その内側に連なるすくい面2が周方向に向けて湾曲する凸曲面状をなすことにより、インサート本体1の逃げ面6側から見た側面視にその中央部分が中心線C方向に最も凸となる波刃状とされており、従ってかかる丸駒インサートが取り付けられた上述のような切削工具では、切刃3が被削材に食い付く際に、この切刃3が側面視になす波刃のうちインサート本体1の厚さ方向に凸となった部分、すなわち工具本体11の回転方向Tに凸となるその突端3c側から該切刃3が徐々に被削材に食い付いてゆくことになる。このため、この食い付きの際の衝撃や負荷を分散して緩和することができるので、切刃3にチッピングや欠損が発生するのを防止することが可能となるとともに、このような衝撃によるビビリの発生も抑制することができる。
また、このような切刃3によって上述のように幅方向に分断されて生成される切屑は、その断面が切刃3と同様にこの幅方向に凸曲した形状で該切刃3の内側のすくい面2上に上記二等分線に沿って流出し、特にこの二等分線上の部分ですくい面2と擦過して抵抗を受けることにより反り上がってカールさせられる。すなわち、切屑は、幅方向に凸曲したものがこの幅方向に交差する流出方向には凹曲させられて、いわゆる鞍状に変形させられることになり、すくい面が上記二等分線上の部分から周方向に離間するに従い凹となることとも相俟って、この幅方向の両端部側で該すくい面2から浮き上がるように離間することになるため切屑離れが良く、切削抵抗の低減を図ることができる。さらに、こうして切屑が鞍状に変形させられることにより、例えば伸び気味の切屑が生成されるような切削条件でも、切屑が伸び切る前にこの幅方向両端部などから引き裂かれるようにして亀裂が生じるため、切屑を速やかに分断してその処理性の向上を図ることもできる。
さらにまた、本実施形態では切刃3が上記側面視になす波刃の波形状が、その上記突端3cの周辺が凸曲線状となるようにされており、これにより切刃3が食い付く際の衝撃や負荷をより効果的に分散、緩和することができるとともに、切刃3自体にも高い強度を確保してチッピングや欠損を一層確実に防止することが可能となる。しかも、本実施形態ではこの切刃3に交差するすくい面2の最外周部にはランド部2aが形成されており、このランド部がインサート本体1の上記中心線Cに垂直に内周側に延びるように形成されているので、切刃3の刃先角を大きく確保してその強度を向上させることができ、チッピングや欠損をさらに確実に防止することができる一方、このランド部2aよりもさらに内側には着座面4側に後退傾斜する傾斜面部2bが形成されているため、すくい面2がそのまま中心線Cに垂直に延びているのに比べて、切刃3に鋭い切れ味を与えて切削抵抗が増大するのを防ぐことが可能となる。
一方、本実施形態においては、インサート本体1の逃げ面6に複数のニック溝8が形成され、これらのニック溝8によって切刃3が分割されて上記平面視に凹凸するように形成されていて、そのうち凸となる部分で側面視にも切刃3が凸となるようにされており、例えば切削時の工具本体11の送り量が比較的大きい場合でも、確実に切屑を分断して生成するとともに衝撃や負荷の緩和と切削抵抗の低減等を図ることが可能となる。さらに、こうして分割された切刃3の円弧状切刃部3aの両端部3bを、上記平面視において該切刃部3aよりも曲率半径の小さい凸曲線状に形成しているので、ニック溝8との境界となるこれら両端部3bにおいても、切刃3のチッピングや欠損を確実に防ぐことができるとともに、切刃3の円弧状の切刃部3aが回転軌跡において連続する部分の削り残しを減らして、より滑らかな加工面を被削材に形成することが可能となる。
また、本実施形態では上述のようにすくい面2の切刃3に交差するその最外周部に形成されたランド部2aが、上記円弧状の切刃部3aでは一定幅とされる一方、この円弧状の切刃部3aの両端部3bでは上記一定幅よりも幅広となるように形成されており、従って切刃3のうちでもこの両端部3bの刃先強度を一層向上させることができて、ニック溝8との境界となる該両端部3bにおけるチッピングや欠損をより確実に防止することが可能となる。なお、本実施形態では図示のように、ニック溝8に連なるすくい面2の内側にもランド部2aおよび傾斜面部2bが形成されており、ランド部2aは上記両端部3bよりもさらに幅広となるように形成されている。
さらに、本実施形態の丸駒インサートおよび切削工具では、インサート本体1の逃げ面6とされる周面に形成された複数の切欠面7のうち一部が拘束面7aとされていて、この拘束面7aが工具本体11のインサート取付座13における壁面13b,13cに当接させられた状態で、該インサート本体1がインサート取付座13に取付可能とされている。すなわち、インサート本体1が、その中心線Cからの距離が大きくて切刃3に近い周面に形成された拘束面7aによる面同士の当接によりインサート取付座13に保持されるため取付安定性が高く、例えば本実施形態や特許文献1、2記載の切削工具のように上記中心線Cに沿って形成された取付孔5にクランプネジ14を挿通してインサート本体1を固定した場合に、切削時等にこの中心線C回りにインサート本体1を回転させようとする力が作用しても、インサート本体1がずれ動いたり脱落したりするのを防いで安定した切削加工を促すことができる。
また、丸駒インサートにおいては周面に拘束面7aを含めた切欠面7を形成するだけでよいとともに、切削工具においてもインサート本体1を収容するだけのインサート取付座13を形成するだけでよいので、例えば特許文献2記載の丸駒インサートや切削工具のようにインサート本体に凸部を形成したり、工具本体に凹部を形成したりする必要もなく、インサート本体や工具本体の製造が容易で低コスト化を図ることができるとともに、工具本体においてはその強度や剛性が損なわれて損傷が生じるようなこともない。
さらに、上記丸駒インサートにおいては、概略円板状のインサート本体1の周面に形成された上記ニック溝8の数が、同じくこの周面に形成された上記切欠面7の数では割り切れない数とされていて、このうち一部の切欠面7が、一部のニック溝8aが該切欠面7内に周方向に所定の位置で延びた上記拘束面7aとして、周方向に一定数おきの切欠面7ごとに配設されている一方、切削工具においては、そのインサート取付座13の壁面13b,13cに、拘束面7aに延びたニック溝8に収容される突起13fが形成されている。従って、図12に示したように上記切欠面7のうち拘束面7aのみを壁面13bに当接させてインサート本体1を取り付けることができ、この拘束面7aが切欠面7中に配設される上記一定数おきの間隔を、切刃3の全円周における切削時の切刃3の使用範囲に応じて設定することで、インサート本体1取付時の誤装着を防いで該切刃3を満遍なく使い切ることが可能となる。
すなわち、本実施形態の丸駒インサートでは、切欠面7の数が偶数の8とされて、そのうち周方向に1つおきの4つの切欠面7が拘束面7aとされているのに対して、ニック溝8の数がこの拘束面7aの数の3以上の奇数倍である3倍の12とされて、切欠面7の数では割り切れない数とされており、拘束面7aは中心線C回りに周方向に90°おきに配設されることになって、これらの拘束面7aでは、その面内の周方向における所定の位置(本実施形態では周方向の中央部)に周期的に突起13fを収容可能な上記一部のニック溝8aが延設される一方、残りの切欠面7bではこの所定の位置にニック溝8は形成されず、上述したように突起13fが切欠面7bに当接してしまうため、壁面13b,13cと切欠面7bとを面接触させて当接させることはできない。
このため、切刃3の工具先端外周側に向けられた部分が切削に供されることによって摩耗等が生じた際に、インサート本体1を回転させて他の未使用の部分の切刃3が工具先端外周側に向くように取り付け直すときでも、拘束面7a以外の残りの切欠面7bを壁面13b,13cに当接させるような取り付け間違いを起こすことなく、本実施形態では中心線C回りに90°ずつ正確にインサート本体1を位置決めしてインサート取付座13に取り付けることができる。すなわち、1つの丸駒インサートで確実に4回の切刃3の使い回しが可能となり、回転角度が大きすぎて未使用の切刃部分が残されるために4回の使い回しができなくなったり、逆に回転角度が小さかったために使用済みの切刃部分が再び切削に供されて切削性能の低下を招いたりするようなことがなく、効率的かつ経済的な切削加工を図ることが可能となる。
ここで、ニック溝8の数が、拘束面7aの数と同数や偶数倍であったりして、切欠面7の数で割り切れると、上記残りの切欠面7bでもニック溝8が拘束面7aと同じ位置に延設されて壁面13b,13cに当接可能となり、例えば90°ずつインサート本体1を位置決めして回転させようとしても、135°あるいは45°回転した状態で誤装着されて過不足が生じてしまうおそれがある。
ただし、言い換えれば、本実施形態の切削工具に係わる工具本体11は、そのような丸駒インサートを装着するのにも兼用することが可能である。すなわち、例えば図13に示すように切欠面7とニック溝8の数がともに8とされて、すべての切欠面7がその周方向中央部にニック溝8が延設されて拘束面7aとされたインサート本体21を有する丸駒インサートを取り付けることも可能となるので、1つの工具本体11でこのような複数種の丸駒インサートに対応することができて一層経済的であるという利点が得られる。なお、図13に示す丸駒インサートでは、上記実施形態の丸駒インサートと共通する要素には同一の符号を配してある。
また、本実施形態のように切欠面7の数を偶数として1つおきの切欠面7を拘束面7aとする一方、ニック溝8の数をこの拘束面7aの数の奇数倍とするのに、1倍、すなわちニック溝8と拘束面7aとが同数となるようにしても、誤装着は防止することはできるが、この場合には拘束面7a以外の残りの切欠面7bの部分にはニック溝8が形成されなくなって切屑分断が不十分となるおそれがあるため、本実施形態のように3以上の奇数倍とされるのが望ましい。ただし、このニック溝8の数が多すぎても、インサート本体1の強度や剛性が損なわれたりするとともに、拘束面7aの面積が小さくなってインサート取付座13の壁面13b,13cへの当接が不安定となるおそれが生じるので、拘束面7aには、それぞれ1つずつの上記一部のニック溝8aがその周方向中央部に延設されるように形成されるのが望ましい。
一方、本実施形態の切削工具においては、丸駒インサートがそのインサート本体1の中心線Cに沿って形成された取付孔5にクランプネジ14を挿通してインサート取付座13の底面13aの取付ネジ孔13eにねじ込むことにより、いわゆるクランプオン方式によってインサート取付座13に固定されるが、このとき上述したように上記拘束面7a以外の残りの切欠面7bが壁面13b,13cに当接していると、インサート本体1のすくい面2側からのぞき見て上述のように取付孔5の内周が取付ネジ孔13eの内周に交差して、クランプネジ14をねじ込むことができない。すなわち、こうしてインサート本体1が誤装着されているとその固定が不可能となるので、本実施形態によればこのような誤装着が生じること自体を防いで、一層効率的かつ経済的な切削加工を促すことができる。
また、本実施形態では、インサート取付座13に一対の壁面13b,13cが形成されていて、これらの壁面13b,13cにそれぞれ1つずつの一対の突起13fが形成されており、これらの壁面13b,13cが、インサート本体1の周方向に1つの上記残りの切欠面7bを介して隣接する一対の拘束面7aに当接することにより、丸駒インサートが保持されている。従って、インサート本体1をより安定してインサート取付座13に固定することができるとともに、両壁面13b,13cの突起13fに上記一部のニック溝8aを収容しなければインサート本体1を着座させることができないので、一層確実に誤装着の防止を図ることが可能となる。
なお、本実施形態ではこのようにインサート取付座13の壁面13b,13cの1つにそれぞれ1つの突起13fが形成されて、この突起13fが拘束面7aごとに1つずつ延設された上記一部のニック溝8aに収容可能とされているが、例えばこの突起13fを、壁面13b,13cにそれぞれ2つずつ、互いにインサート本体1において隣接するニック溝8の周方向の間隔と等しい間隔で形成することにより、本実施形態とは逆に、上記残りの切欠面7bを拘束面として壁面13b,13cに当接させ、インサート本体1を着座させることができる。ただし、この残りの切欠面7bは、その両側縁にニック溝8が延設されるため、図3に示した拘束面7aとされる切欠面7に比べて、図4に示すように面積が小さくなって当接が不安定となるおそれがあるので、突起13fはやはり本実施形態のように壁面13b,13cごとに1つずつとして、インサート本体1の拘束面7aの周方向中央部に1つずつ延設された上記一部のニック溝8a内に収容されるのが望ましい。
次に、図14ないし図17は、本発明の丸駒インサートの他の実施形態を示すものであり、図18ないし図20は、この他の実施形態の丸駒インサートを取り付けた切削工具(ラジアスカッタ)の他の実施形態を示すものであり、図1ないし図13に示した実施形態の丸駒インサートおよび切削工具と共通する要素には同一の符号を配して説明を省略する。すなわち、上記実施形態の丸駒インサートでは、インサート本体1の逃げ面6とされる周面に、すくい面2に達するニック溝8が形成されることにより、切刃3が平面視に周方向に沿って凹凸するようにされていたのに対し、本実施形態ではこの逃げ面6が上記実施形態と同様に中心線Cを中心とした概略円錐面状とされて逃げ角が付され、この逃げ面6と、外周側部分が周方向に沿ってインサート本体1の厚さ方向に凹凸するすくい面2とが交差して切刃3が形成されることだけで、該切刃3が平面視に凹凸するように形成されている。
従って、切刃3は、上記逃げ面6に対向する側面視において図15に示すように波刃状をなすとともに、中心線Cに沿ったすくい面2側からの平面視にも図14に示すように、側面視になす波と等しい波長で、ただし図1ないし図7に示した実施形態の丸駒インサートよりは振幅の小さい波刃状を呈することとなる。なお、本実施形態でも、この切刃3の平面視および側面視に凸となる部分は凸曲線状に形成されているが、その突端3cにおける曲率半径は、図14および図15に示すように、平面視における曲率半径よりも側面視の曲率半径の方が小さくされている。
また、本実施形態では、すくい面2は、概ね上記側面視になす切刃3の波形状のまま凹凸しつつ、中心線Cに垂直に取付孔5の開口部近傍まで内周側に延びるように形成されていて、上記実施形態のような傾斜面部2bは形成されておらず、すなわちこの実施形態の上記ランド部2aがそのまま内周側に延びるように形成されている。なお、この凹凸するすくい面2の内周側の上記取付孔5の開口部周辺には、上記中心線Cに垂直な平面部2cが、切刃3の上記突端3cよりもインサート本体1の厚さ方向すなわち該中心線C方向に僅かに一段突出するようにして環状に形成されている。さらに、本実施形態では、ニック溝8が形成されないために、いずれの切欠面7も周回り方向に所定角度(45°)ずつ回転対称な同形同大の平坦面とされている一方、切削工具の工具本体11におけるインサート取付座13にも、その壁面13b,13cに突起13fは形成されていない。
このような丸駒インサートおよび切削工具においても、平面視と側面視とで切刃3の突端3cが一致するようにすくい面2と切刃3が凹凸させられるので、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、特に本実施形態では、すくい面2が傾斜面部2bを有することなく、側面視に凹凸する切刃3の波刃形状のまま取付孔5の開口部近傍まで中心線Cに垂直に延びているとともに、上記実施形態のようなニック溝8が形成されることがなく、すなわち切刃3の端部3bのような境界となるコーナ部が形成されることがないので、切刃3にさらに高い強度を確保することができて、チッピングや欠損を確実に防ぐことができる。さらに、こうしてニック溝8が形成されることがなく、すなわち平面視において凸となる部分の切刃3の曲率半径よりも小さな曲率半径ですくい面2の内側に大きく凹む部分が形成されることがないので、上記境界部分による削り残しが生じても目立つことがなく、高品位の加工面を得ることができる。
本発明の丸駒インサートの一実施形態を示す斜視図である。 図1に示す実施形態を中心線Cに沿ってすくい面2側から見た平面視の図である。 図1に示す実施形態を中心線Cに垂直に拘束面7a側から見た側面視の図(図2における矢線W方向視の側面図)である。 図1に示す実施形態を中心線Cに垂直に残りの切欠面7b側から見た側面視の図(図2における矢線X方向視の側面図)である。 図2におけるY−Y断面図である。 図2におけるZ−Z断面図である。 図1に示す実施形態を着座面4側から見た図である。 図1に示す実施形態の丸駒インサートを取り付けた本発明の丸駒インサート着脱式切削工具の一実施形態を示す側面図(図10における矢線X方向視の側面図)である。 図8に示す実施形態の他の側面図(図10における矢線Y方向視の側面図)である。 図8に示す実施形態を工具先端側から見た図である。 図8に示す実施形態において位相をずらして取り付けられた丸駒インサートの切刃3の回転軌跡を示す図である。 図1に示す実施形態の丸駒インサートを図8に示した切削工具のインサート取付座13に装着する場合を示す図である。 図8に示した切削工具のインサート取付座13に装着し得る、図1に示す実施形態の変形例を示す斜視図である。 本発明の丸駒インサートの他の実施形態を中心線Cに沿ってすくい面2側から見た平面視の図である。 図14に示す実施形態を中心線Cに垂直に切欠面7側から見た側面視の図である。 図14に示す実施形態を着座面4側から見た図である。 図14におけるZ−Z断面図である。 図14に示す実施形態の丸駒インサートを取り付けた本発明の丸駒インサート着脱式切削工具の他の実施形態を示す側断面図である。 図18に示す実施形態を工具先端側から見た図である。 図18に示す実施形態のインサート取付座13を示す図である。
符号の説明
1 インサート本体
2 すくい面
2a ランド部
2b 傾斜面部
3 切刃
3a インサート本体1の中心線Cを中心とした円弧状をなす切刃部
3b 切刃3の両端部
3c 切刃3の突端
4 着座面
5 取付孔
6 逃げ面
7 切欠面
8 ニック溝
11 工具本体
13 インサート取付座
14 クランプネジ
O 工具本体11の軸線
T 工具本体11の回転方向
C インサート本体1の中心線

Claims (10)

  1. 概略円板状のインサート本体を有して、その略円形をなすすくい面の外周に、該すくい面に対向する平面視に凹凸する切刃が形成された丸駒インサートであって、
    上記すくい面の外周側部分が周方向に沿って上記インサート本体の厚さ方向に凹凸することにより、上記切刃は、上記平面視に凸となる突端が逃げ面に対向する側面視においても上記厚さ方向に凸となる波刃状に形成されることを特徴とする丸駒インサート。
  2. 上記切刃が上記側面視になす波刃の波形状は、少なくとも上記突端の周辺が凸曲線状とされていることを特徴とする請求項1に記載の丸駒インサート。
  3. 上記すくい面は、上記切刃が上記側面視になす波形状のまま、上記インサート本体の中心線に垂直に内周側に延びていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の丸駒インサート。
  4. 上記すくい面には、上記切刃に交差するその最外周部にランド部が形成され、このランド部が上記中心線に垂直に内周側に延びていることを特徴とする請求項3に記載の丸駒インサート。
  5. 上記すくい面には、上記ランド部の内周側に、上記切刃から離間するに従い上記すくい面とは反対側の上記インサート本体の着座面側に傾斜する傾斜面部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の丸駒インサート。
  6. 上記インサート本体の逃げ面には、上記すくい面に達する複数のニック溝が形成されていて、上記切刃はこれらのニック溝により上記平面視に上記インサート本体の中心線を中心とした円弧状の切刃部に分割されており、この円弧状の切刃部において当該切刃は上記側面視に凸となる波刃状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の丸駒インサート。
  7. 上記円弧状の切刃部の両端部は、上記平面視に該切刃部よりも曲率半径の小さい凸曲線状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の丸駒インサート。
  8. 上記すくい面には、上記切刃に交差するその最外周部にランド部が形成され、このランド部は、上記円弧状の切刃部の両端部において幅広とされていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の丸駒インサート。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載の丸駒インサートが、工具本体に形成されたインサート取付座に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする丸駒インサート着脱式切削工具。
  10. 軸線回りに回転される上記工具本体の先端部外周に、複数の上記インサート取付座が周方向に間隔をあけて形成されていて、これらのインサート取付座にそれぞれ上記丸駒インサートが着脱可能に取り付けられており、これらの丸駒インサートは、少なくとも上記工具本体の周方向に隣接する上記丸駒インサート同士でその切刃の上記平面視における凹凸の位相が互いにずらされて、上記軸線回りの回転軌跡において各切刃が略円周状に連続することを特徴とする請求項9に記載の丸駒インサート着脱式切削工具。
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