JP2014533363A - 膀胱癌のバイオマーカーおよびそれを用いる方法 - Google Patents
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Abstract
膀胱癌のバイオマーカーとして有用な生化学的実体を識別および評価するための方法、標的識別/検証、および薬物有効性の監視が提供される。また膀胱癌のバイオマーカーとして一連の低分子実体も提供される。
Description
関連出願の相互参照
本発明は、2011年11月11日に出願された米国仮特許出願第61/558,688号、および2012年8月24日に出願された米国仮特許出願第61/692,738号の利益を主張し、それら両方の全体内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
本発明は、2011年11月11日に出願された米国仮特許出願第61/558,688号、および2012年8月24日に出願された米国仮特許出願第61/692,738号の利益を主張し、それら両方の全体内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
本発明は、概して、膀胱癌のバイオマーカーおよびそのバイオマーカーに基づく方法に関する。
米国において、膀胱癌(BCA)症例の90%超は、移行上皮細胞癌(TCC)であり、尿路上皮癌(UC)とも称される。約70%の新たに診断されたTCC/UC患者は、非筋肉浸潤性膀胱癌(NMIBC)腫瘍(すなわち、T0a、T1、およびCIS)を有する。NMIBC患者の管理は、膀胱腫瘍の経尿道的切除(TURB−T)による可視腫瘍の除去、および腫瘍再発についての積極的監視を伴い、癌の進行の危険性を最小にする。
膀胱鏡検査は、膀胱癌の診断のため、および非筋肉浸潤性膀胱癌(NMIBC)を持つ患者を監視するための代表的な判断基準であると考えられる。この技術の主な制限は、尿路上皮の一部分を可視化することの不可能性と、上皮内(CIS)腫瘍を可視化することの困難性である。いずれの場合も、腫瘍の存在は、上部尿路内の腫瘍位置に起因するか、または可視光膀胱鏡検査における腫瘍の比較的正常な出現のために見逃される場合がある。CISの検出は、最近では膀胱鏡検査前に膀胱内注入された蛍光色素の導入から恩恵を受けている。検出率は増加しているが、より長い手順(膀胱内注入後の染料の培養)を必要とし、米国ではまだルーチンベースで用いられていない。
多くの場合、膀胱鏡検査では目に見えないか、またはよく見えない膀胱腫瘍の検出を補助することができる細胞診検査が行われる。細胞診は、60余年の間ルーチン臨床診療で用いられている。しかしながら、細胞診は、高いオペレータ間変動を有する、複雑な方法である。注目すべきは、細胞診は、検査室の検査ではなく診断であり、剥離した尿路上皮細胞の形態的特徴の解釈は、各病理医により評価される。それにもかかわらず、細胞診は、高悪性度の腫瘍(すなわち、TaG3、T1/G3およびCIS)に対する非常に高い特異性および優れた感度を有すると評価されている。
しかしながら、細胞診は、低悪性度の腫瘍(すなわち、TaG1/G2)では性能が悪いことが証明されており、最近では高悪性度の腫瘍における高性能の細胞診の概念に異議が唱えられている。例えば、Mayo Clinicによる研究(n=75)は、細胞診の全体感度は、すべての腫瘍型について58%、Taについて47%、CISについてわずか78%、およびpT1〜pT4については60%であった。比較して、同一のMayo Clinic試料セットに関する蛍光原位置ハイブリダイゼーション(FISH)分析は、81%の全体感度、Taについて65%、CISについて100%、およびT1〜T4腫瘍について95%の感度を有した(Halling K.et al.(2000)A comparison of cytology and fluorescence in situ hybridization for the detection of urothelial carcinoma.J.Urol.164;1768)。
別の実施例において、異なる研究(n=668)は、FDA承認されたNMP22試験を、異なる施設において膀胱癌の病歴を持つ一連の継続患者における再発評価のための細胞診に対する補助として調べた(Grossman H.B.et al.(2006)Surveillance for recurrent bladder cancer using a point−of−care proteomic assay.JAMA 295;299−305)。再度、本研究は、細胞診が高悪性度の腫瘍において以前に考えられていたほど良好に機能しなかったことを強調した。NMP22の感度(49.5%)は、細胞診の感度(12.2%)と比較してより良好であるにも関わらず、両試験の陽性予測値(PPV)は、本質的に41.5%で同じであり、細胞診が特異性(細胞診の場合99%、NMP22の場合87%)に関して有する顕著な利益を強調する。また、細胞診の感度/特異性を評価するいくつかの研究の公表されたレビューは、細胞診の高い特異性([0.83〜0.997]の95%CIで0.99)およびその比較的低い感度0.34([0.20〜0.53]の95%CI)を再確認した(Lotan Y.and Roehrborn C.G.(2003)Sensitivity and specificity of commonly available bladder tumor markers versus cytology:results of a comprehensive literature review and meta−analysis.Urology61;109−118)。
それにもかかわらず、尿細胞診を用いる、または用いない膀胱鏡検査は、血尿/排尿障害患者における膀胱癌の診断およびNMIBC患者における再発の評価についての対処の現行基準である。しかしながら、細胞診評価は決定的でない場合が多く、膀胱腫瘍の診断を補助するその意図された目標を満たすことができない。また、陰性細胞診結果は、細胞診評価が低感度であることを考えると、腫瘍(特に低病期/低悪性度の腫瘍)の存在を除外しない。さらに、その低い感度にも関わらず、細胞診は、全ての新たな試験がそれに対して比較される基準試験になっている。
細胞診の制限および膀胱鏡検査の浸潤性のために、NMIBC患者の監視と関連付けられるコストを低減する一方で、膀胱腫瘍を検出するための臨床的に有用な非浸潤性ツールを提供するバイオマーカーが探索されている。膀胱癌の初期診断のための膀胱鏡検査および細胞診を補助し、NMIBC患者における再発膀胱癌腫瘍の検出を補助するために、新規の非浸潤性診断試験の臨床的必要性がある。
いくつかのFDA承認された尿ベースマーカー、例えば、膀胱腫瘍抗原、ImmunoCyt、核マトリックスタンパク質−22、および蛍光原位置ハイブリダイゼーションは、その目的で入手可能である。これらの試験はいずれも代謝産物または生化学的バイオマーカーに依存しない。これらの試験の多くは、良好な感度を有するが、特異性が不十分であるため、ルーチン臨床診療で用いられる場合、過剰な偽陽性結果をもたらし得る。これまで、全米総合がん情報ネットワーク(NCCN)ガイドラインは、実験プロトコル環境以外のこれらの試験の使用を推奨していない。
細胞診の特異性に相当する特異性および細胞診の感度よりも優れた感度を持つ尿ベースの試験は、偽陽性結果の数を最小にする一方で、膀胱腫瘍の検出率を改善することにより、膀胱鏡検査および/または細胞診と併せて用いられるときに、臨床診療に著しい影響を及ぼす。このようなバイオマーカーを用いて、膀胱癌の病歴のない症状のある患者において膀胱癌の初期診断を補助するとともに、膀胱癌再発の評価を補助することができる。例えば、バイオマーカーは、一団のバイオマーカー代謝物を定量的に測定する尿検査において用いることができ、バイオマーカー代謝物のレベルは、特定のアルゴリズムとともに用いられるときに、患者における膀胱内膀胱腫瘍の存在または非存在を示し、膀胱癌と一致する症状(すなわち、血尿/排尿障害)を持つ患者集団における膀胱癌の初期診断、およびNMIBCの病歴を持つ患者集団における膀胱腫瘍再発の検出を補助する。さらに、該バイオマーカーは、腫瘍の悪性度および病期を示す診断試験を形成するように、特定のアルゴリズムと共に用いられてもよい。
一態様において、本発明は、対象が膀胱癌を有するか否かを診断する方法を提供し、この方法は、対象からの生体試料を分析して、試料中の、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、対象が膀胱癌を有するか否かを診断するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陽性および/または膀胱癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。
別の態様において、本発明はまた、対象が膀胱癌を発症する性質にあるか否かを決定する方法も提供し、この方法は、対象からの生体試料を分析して、試料中の、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、対象が膀胱癌を発症する性質にあるか否かを決定するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陽性および/または膀胱癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。
さらに別の態様において、本発明は、対象における膀胱癌の進行/退縮を監視する方法を提供し、この方法は、対象からの第1の生体試料であって、対象から第1の時点で得られる、第1の試料を分析して、試料中の、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、対象からの第2の生体試料であって、対象から第2の時点で得られる、第2の試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、対象における膀胱癌の進行/退縮を監視するために、第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む。
さらなる態様において、本発明は、膀胱癌を他の泌尿器科癌(例えば、腎癌、前立腺癌)から区別する方法を提供し、この方法は、対象からの生体試料を分析して、試料中の、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、膀胱癌を他の泌尿器科癌から区別するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陽性および/または膀胱癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。
別の態様において、本発明は、対象が再発膀胱癌を有するか否かを決定する方法を提供し、この方法は、膀胱癌の病歴を持つ対象からの生体試料を分析して、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、(a)1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陽性基準レベルおよび/または1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。
別の態様において、本発明は、膀胱癌の病期を決定する方法も提供し、この方法は、対象からの生体試料を分析して、試料中の、膀胱癌の病期についての、表5および/または9から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、対象の膀胱癌の病期を決定するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの高病期膀胱癌および/または低病期膀胱癌基準レベルと比較することと、を含む。
別の態様において、本発明は、膀胱癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法を提供し、この方法は、膀胱癌を有する、および組成物で現在または以前に治療されている対象からの生体試料を分析して、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、(a)対象から以前に採取された生体試料であって、組成物で治療される前に対象から得られた生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル、(b)1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陽性基準レベル、および/または(c)1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。
別の態様において、本発明は、膀胱癌を治療することにおける組成物の有効性を評価するための方法を提供し、この方法は、対象からの第1の生体試料であって、対象から第1の時点で得られる第1の試料を分析して、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、組成物を対象に投与することと、対象からの第2の生体試料であって、組成物の投与後の第2の時点で対象から得られる第2の試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、膀胱癌を治療するための組成物の有効性を評価するために、第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む。
さらに別の態様において、本発明は、膀胱癌を治療するための2つ以上の組成物の相対的有効性を評価するための方法を提供し、この方法は、膀胱癌を有する、および第1の組成物で現在または以前に治療されている第1の対象からの第1の生体試料を分析して、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、膀胱癌を有する、および第2の組成物で現在または以前に治療されている第2の対象からの第2の生体試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、膀胱癌を治療するための第1および第2の組成物の相対的有効性を評価するために、第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む。
別の態様において、本発明は、膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーを調節することにおける活性について組成物をスクリーニングするための方法を提供し、この方法は、1つ以上の細胞を組成物と接触させることと、1つ以上の細胞または該細胞と関連付けられた生体試料の少なくとも一部分を分析して、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、バイオマーカーの既定の標準レベルと比較して、組成物が、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を調節したか否かを決定することと、を含む。
さらなる態様において、本発明は、膀胱癌の潜在的な薬物標的を識別するための方法を提供し、この方法は、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーと関連付けられた1つ以上の生化学的経路を識別することと、1つ以上の識別された生化学的経路のうちの少なくとも1つに作用するタンパク質であって、膀胱癌の潜在的な薬物標的であるタンパク質を識別することと、を含む。
さらに別の態様において、本発明は、膀胱癌を有する対象を治療するための方法を提供し、この方法は、膀胱癌を有する対象において減少する、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される有効な量の1つ以上のバイオマーカーを対象に投与することを含む。
FDAにより承認された現在使用可能な試験は、タンパク質またはDNA技術のいずれかに基づく。尿中の生化学的成分は、一般に個人間および個人内の両方で経時的に劇的な変動の対象となると考えられている。この変動は、それらの診断能力に対して、成分の審査の障壁となる。多くの尿代謝産物が、膀胱癌を有する対象を膀胱癌を有しない対象から区別するという発見は新規であり、明らかに生産されるものもあれば尿から消費されるものもあるという事実は、これらのデータの外部正規化の必要性を最小にする。膀胱癌患者の尿中で識別された特定の代謝産物は、他の癌(特に腎癌)について公表されたデータに基づいて、大部分が予期されないものである。同様に、類似の手法を用いて、新規のバイオマーカーは、膀胱癌を持つ患者からの組織試料において識別された。
本発明は、膀胱癌のバイオマーカー、膀胱癌の診断または診断を補助するための方法、膀胱癌を他の泌尿器科癌(例えば、前立腺癌、腎癌)から区別する方法、膀胱癌の素因を決定するか、または決定を補助する方法、膀胱癌の進行/退縮を監視する方法、膀胱癌の再発を決定する方法、膀胱癌を病期分類する方法、膀胱癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法、膀胱癌のバイオマーカーを調節することにおける活性のための組成物をスクリーニングする方法、膀胱癌の潜在的な薬物標的を識別する方法、膀胱癌を治療する方法、ならびに膀胱癌のバイオマーカーに基づく他の方法に関する。本発明をさらに詳細に説明する前に、以下の用語を最初に定義する。
定義:
定義:
「バイオマーカー」は、第2の表現型を有する(例えば、疾患を有しない)対象または対象群からの生体試料と比較して、第1の表現型を有する(例えば、疾患を有する)対象または対象群からの生体試料中に差異的に存在する(すなわち、増加または減少する)化合物、好ましくは代謝産物を意味する。バイオマーカーは、任意のレベルで差異的に存在してよいが、概して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、もしくはそれ以上で増加するレベルで存在するか、または概して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは100%(すなわち非存在)減少するレベルで存在する。バイオマーカーは、好ましくは、統計的に有意なレベル(すなわち、ウェルチのT検定またはウィルコクソンの順位和検定のいずれかを用いて決定されるように、0.05未満のp値および/または0.10未満のq値)で差異的に存在する。
1つ以上のバイオマーカーの「レベル」は、試料中のバイオマーカーの絶対量もしくは相対量または濃度を意味する。
「試料」または「生体試料」は、対象から単離された生体材料を意味する。生体試料は、所望のバイオマーカーを検出するために適した任意の生体材料を含んでよく、また対象からの細胞および/または非細胞材料を含んでもよい。試料は、例えば、膀胱組織、血液、血漿、尿、または脳脊髄液(CSF)などの任意の適した生体組織または流体から単離することができる。
「対象」は、任意の動物を意味するが、好ましくは哺乳類、例えば、ヒト、サル、マウス、ウサギ、またはラットなどである。
バイオマーカーの「基準レベル」は、特定の疾患状態、表現型、またはそれらの欠失、ならびに疾患状態、表現型、またはそれらの欠失の組み合わせを示すバイオマーカーのレベルを意味する。バイオマーカーの「陽性」基準レベルは、特定の疾患状態または表現型を示すレベルを意味する。バイオマーカーの「陰性」基準レベルは、特定の疾患状態または表現型の欠失を示すレベルを意味する。例えば、バイオマーカーの「膀胱癌陽性基準レベル」は、対象における膀胱癌の陽性診断を示すバイオマーカーのレベルを意味し、バイオマーカーの「膀胱癌陰性基準レベル」は、対象における膀胱癌の陰性診断を示すバイオマーカーのレベルを意味する。バイオマーカーの「基準レベル」は、バイオマーカーの絶対量もしくは相対量または濃度、バイオマーカーの存在または非存在、バイオマーカーの量または濃度の範囲、バイオマーカーの最小および/もしくは最大量または濃度、バイオマーカーの平均量もしくは濃度、および/またはバイオマーカーの中央量もしくは濃度であってもよく、さらにバイオマーカーの組み合わせの「基準レベル」は、2つ以上のバイオマーカーの互いに対する絶対量もしくは相対量または濃度の比であってもよい。特定の疾患状態、表現型、またはそれらの欠失についてのバイオマーカーの適切な陽性および陰性基準レベルは、1人以上の適切な対象において所望のバイオマーカーのレベルを測定することにより決定され得、このような基準レベルは、特定の対象集団に対して調整されてもよい(例えば、基準レベルは、ある年齢の対象からの試料中のバイオマーカーレベルと、特定の疾患状態、表現型、またはそれらの欠失の基準レベルとの間で比較が行われ得るように、年齢適合されてもよい)。このような基準レベルは、生体試料中のバイオマーカーのレベルを測定するために用いられる特定の手法(例えば、LC−MS、GC−MSなど)に対して調整されてよく、バイオマーカーのレベルは、用いられる特定の手法に基づいて異なってもよい。
「非バイオマーカー化合物」は、第2の表現型を有する(例えば、第1の疾患を有しない)対象または対象群からの生体試料と比較して、第1の表現型を有する(例えば、第1の疾患を有する)対象または対象群からの生体試料中に差異的に存在しない化合物を意味する。しかしながら、このような非バイオマーカー化合物は、第1の表現型(例えば、第1の疾患を有する)または第2の表現型(例えば、第1の疾患を有しない)と比較して、第3の表現型を有する(例えば、第2の疾患を有する)対象または対象群からの生体試料中のバイオマーカーであり得る。
「代謝産物」または「低分子」は、細胞内に存在する有機および無機分子を意味する。この用語は、大きな高分子、例えば、大きなタンパク質(例えば、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000超の分子量を持つタンパク質)、大きな核酸(例えば、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000超の分子量を持つ核酸)、または大きな多糖(例えば、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000超の分子量を持つ多糖)を含まない。細胞の低分子は、一般的に、細胞質もしくはミトコンドリアなどの他の細胞小器官内の溶液中に遊離することが見出され、それらはさらに代謝されるか、または高分子と呼ばれる大きな分子を生成するために用いることができる中間体のプールを形成する。用語「低分子」は、食物由来のエネルギーを利用可能な形態に変換する化学反応におけるシグナル伝達分子および中間体を含む。低分子の例としては、糖、脂肪酸、アミノ酸、ヌクレオチド、細胞過程中に形成された中間体、および細胞内で見出される他の低分子が挙げられる。
「代謝プロファイル」または「低分子プロファイル」は、標的細胞、組織、器官、生物、もしくはそれらの分画(例えば、細胞内コンパートメント)内の低分子の完全または部分インベントリを意味する。このインベントリは、存在する低分子の量および/または種類を含んでよい。「低分子プロファイル」は、単一技術または複数の異なる技術を用いて決定され得る。
「メタボローム」は、所与の生物中に存在する低分子のすべてを意味する。
「膀胱癌」(BCA)または「移行上皮細胞癌」(TCC)は、癌が膀胱内で発生する疾患を指す。本明細書では、BCAおよびTCCの両方が膀胱癌を示すために同義的に用いられる。
膀胱癌の「病期分類」は、膀胱腫瘍がどの程度広がっているかの指標を指す。腫瘍病期を用いて、治療オプションを選択し、患者の予後を推定する。膀胱腫瘍の病期分類は、T0(原発腫瘍の証拠がない、一番進行していない状態)〜T4(腫瘍が膀胱を取り囲む脂肪組織を越えて隣接する器官の中に広がっている、最も進行した状態)に及ぶ。膀胱癌の初期段階は、上皮内(CIS)癌として特徴付けることもでき、細胞が異常に増殖しているが、依然として膀胱内に含まれることを意味する。「低病期」または「より低い病期」の膀胱癌は、膀胱癌腫瘍を指し、再発、進行、浸潤、および/または転移の可能性が低い悪性腫瘍(すなわち、低侵襲性であると考えられる膀胱癌)を含む。膀胱に局限している癌腫瘍(すなわち、非筋肉浸潤性膀胱癌、NMIBC)は、低侵襲性膀胱癌であると考えられる。「高病期」または「より高い病期」の膀胱癌は、再発および/もしくは進行する、並びに/または対象において浸潤性になる可能性が高い膀胱癌腫瘍を指し、転移の可能性がより高い悪性腫瘍(より侵襲性が強いと考えられる膀胱癌)を含む。膀胱に局限していない癌腫瘍(すなわち、筋肉浸潤性膀胱癌)は、より侵襲性の強い膀胱癌であると考えられる。
「膀胱癌の病歴」は、以前に膀胱癌を有した患者を指す。
「前立腺癌」(PCA)は、癌が前立腺内で発生する疾患を指す。
「腎癌」または「腎細胞癌」(RCC)は、癌が腎臓内で発生する疾患を指す。
「泌尿器科癌」(UCA)は、癌が膀胱、腎臓、および/または前立腺内で発生する疾患を指す。
「血尿」は、血液が尿中に存在する状態を指す。
「細胞診」は、FDA承認された手順であって、標準治療の一部であり、再発の検出もしくは膀胱癌の診断のための膀胱鏡検査と共に、またはそれに対する反射として用いられる、手順を指す。形態学的特性に基づいて腫瘍細胞を識別する。それ自体は試験ではないが、尿試料に基づく病理学的診察である。この手順は複雑であり、正しい評価を提供するために、試料採取における専門性と配慮を要する。歴史的に、細胞診の性能は、高悪性度腫瘍について極めて良好であると記載されているが、近年の研究はその認識に異議を唱えている。一方ですべての研究は、低悪性度、低病期腫瘍(NMIBC腫瘍の大部分)における細胞診の低感度に関して一般的に同意している。その2つの主な利点は、臨床診療における長い使用歴(定着していること)、および非常に高い特異性(90〜100%の間のどこかであると評価され、多くの研究はそれを99%としていること)である。これが、細胞診診療に優れた陽性予測値を提供する。この手順は、細胞診評価を置換または補助する目的で、すべての他の試験が、これに対して現在評価されているものである。
「BCAスコア」は、膀胱癌の重篤度の尺度または指標であり、本明細書に記載される膀胱癌バイオマーカーおよびアルゴリズムに基づいている。BCAスコアは、医師が、正常(すなわち、膀胱癌がない)〜高い(例えば、高病期、またはより侵襲性の強い膀胱癌)膀胱癌重篤度のスペクトル上に患者を置くことができるようにする。当業者であれば、BCAスコアが、膀胱癌の診断および治療において複数の用途を有し得ることを理解するであろう。例えば、BCAスコアを用いて、低病期膀胱癌を高病期膀胱癌から区別し得、膀胱癌の進行および/または退縮を監視し得る。
I.バイオマーカー
I.バイオマーカー
本明細書に記載される膀胱癌バイオマーカーは、メタボロームプロファイリング技術を用いて発見された。このようなメタボロームプロファイリング技術は、以下に記載される実施例、および米国特許第7,005,255号、同第7,329,489号、同第7,550,258号、同第7,550,260号、同第7,553,616号、同第7,635,556号、同第7,682,783号、同第7,682,784号、同第7,910,301号、同第6,947,453号、同第7,433,787号、同第7,561,975号、同第7,884,318号においてさらに詳細に説明され、これらの全体内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
一般に、代謝プロファイルは、膀胱癌について陽性であったヒト対象からの生体試料、または膀胱癌陰性であったヒト対象からの試料(対照症例)について決定した。例示的な対照としては、癌陰性の健常な対象、癌陰性の血尿対象、膀胱癌陰性の癌対象が挙げられる。膀胱癌を有する対象からの生体試料についての代謝プロファイルを、1つ以上の他の対象群からの生体試料についての代謝プロファイルと比較した。別の群(例えば、膀胱癌陰性試料)と比較して、膀胱癌陽性試料の代謝プロファイルにおいて、統計的に有意なレベルで差異的に存在する分子を含む、差異的に存在する分子を、バイオマーカーとして識別し、それらの群を区別した。
バイオマーカーは、本明細書においてさらに詳述される。発見されたバイオマーカーは、膀胱癌を有する対象を、膀胱癌と診断されていない対照対象に対して区別するためのバイオマーカーに対応する(表1、5、7、9、11、および/または13を参照)。
代謝プロファイルは、高病期膀胱癌と診断されたヒト対象、または低病期膀胱癌と診断されたヒト対象からの生体試料についても決定した。高病期膀胱癌を有する対象からの生体試料についての代謝プロファイルを、低病期膀胱癌を持つ対象からの生体試料についての代謝プロファイルと比較した。別の群(例えば、高病期膀胱癌と診断されていない対象)と比較して、高病期膀胱癌を持つ対象からの試料の代謝プロファイルにおいて、統計的に有意なレベルで差異的に存在する分子を含む、差異的に存在する分子を、バイオマーカーとして識別し、それらの群を区別した。
バイオマーカーは、本明細書においてさらに詳述される。発見されたバイオマーカーは、高病期膀胱癌を有する対象を、低病期膀胱癌を有する対象に対して区別するためのバイオマーカーに対応する(表5および9を参照)。
II.方法
A.膀胱癌の診断
II.方法
A.膀胱癌の診断
膀胱癌のバイオマーカーの識別は、膀胱癌の存在と一致する1つ以上の症状を呈する対象における膀胱癌の診断(または診断の補助)を可能にし、膀胱癌を有するとして以前に識別されていない対象における膀胱癌の初期診断、および以前に膀胱癌の治療を受けた対象における膀胱癌の再発の診断を含む。対象が膀胱癌を有するか否かを診断する(または診断を補助する)方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象が膀胱癌を有するか否かを診断する(または診断を補助する)ために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陽性および/または膀胱癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。用いられる1つ以上のバイオマーカーは、表1、5、7、9、11、および/または13、並びにこれらの組み合わせから選択される。このような方法を用いて膀胱癌の診断を補助するとき、この方法の結果を、対象が膀胱癌を有するか否かの臨床決定において有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定するために、任意の好適な方法を用いて生体試料を分析してもよい。好適な方法としては、クロマトグラフィー(例えば、HPLC、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー)、質量分析(例えば、MS、MS−MS)、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、抗体結合、他の免疫化学技術、およびこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)は、例えば、測定することが望まれるバイオマーカー(複数可)のレベルと相関する化合物(複数可)のレベルを測定する検定を用いることにより、間接的に測定されてもよい。
表1、5、7、9、11、および/または13のバイオマーカーのうちの1つ以上のレベルは、対象が膀胱癌を有するか否かを診断する方法および診断を補助する方法において決定され得る。例えば、以下のバイオマーカー、乳酸塩、パルミトイルスフィンゴミエリン、コリンリン酸塩、コハク酸塩、アデノシン、1,2−プロパンジオール、アジピン酸塩、アンセリン、3−ヒドロキシ酪酸塩(BHBA)、ピリドキシン酸塩、アセチルカルニチン、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、キヌレニン、チラミン、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、3−ヒドロキシフェニル酢酸塩、2−ヒドロキシ馬尿酸塩(サリチル尿酸塩)、3−インドキシル−硫酸塩、フェニルアセチルグルタミン、p−クレゾール−硫酸塩、3−ヒドロキシ馬尿酸塩、イタコン酸メチレンコハク酸塩、コルチゾール、イソブチリルグリシン、グルコン酸塩、キサンツレン酸塩、グロノ1,4−ラクトン、シンナモイルグリシン、2−オキシンドール−3−酢酸塩、α−CEHC−グルクロニド、カテコール−硫酸塩、γ−グルタミルフェニルアラニン、2−イソプロピルリンゴ酸塩、4−ヒドロキシフェニル酢酸塩、イソバレリルグリシン、カルニチン、酒石酸塩、6−ホスホグルコン酸塩、ステアロイルスフィンゴミエリン、myo−イノシトール、グルコース、3−(4−ヒドロキシフェニル)乳酸塩、1−リノレオイルグリセロール(1−モノリノレイン)、pro−ヒドロキシ−pro、γ−グルタミルグルタミン酸塩、クレアチン、5,6−ジヒドロウラシル、ドコサジエン酸塩(22:2n6)、フェニル乳酸塩(PLA)、プロピオニルカルニチン、イソロイシルプロリン、N2−メチルグアノシン、エイコサペンタエン酸塩(eicosapentanenoate)(EPA20:5n3)、5−メチルチオアデノシン(MTA)、α−グルタミルリシン、3−ホスホグリセリン酸塩、6−ケトプロスタグランジンF1α、ドコサトリエン酸塩(22:3n3)、2−パルミトレオイルグリセロホスホコリン、1−ステアロイルグリセロホスホイノシトール、1−パルミトイルグリセロホスホイノシトール、scyllo−イノシトール、ジホモ−リノール酸塩(20:2n6)、3−ホスホセリン、ドコサペンタエン酸塩(n6 DPA22:5n6)、1−パルミトイルグリセロール、および(1−モノパルミチン)のうちの1つ以上を単独で、または組み合わせで用いて、膀胱癌を診断するか、または診断を補助してよい。加えて、例えば、表1、5、7、9、11、および/または13におけるバイオマーカーのすべての組み合わせ、ならびにそれらの任意の分画を含む、1個のバイオマーカー、2個以上のバイオマーカー、3個以上のバイオマーカー、4個以上のバイオマーカー、5個以上のバイオマーカー、6個以上のバイオマーカー、7個以上のバイオマーカー、8個以上のバイオマーカー、9個以上のバイオマーカー、10個以上のバイオマーカーなどのレベル(複数可)を決定し、このような方法において用いてもよい。バイオマーカーの組み合わせのレベルを決定することは、膀胱癌を診断すること、および膀胱癌の診断を補助することにおいて、より優れた感度および特異性を可能にし得る。例えば、生体試料中のあるバイオマーカー(および非バイオマーカー化合物)のレベルの比は、膀胱癌を診断すること、および膀胱癌の診断を補助することにおいて、より優れた感度および特異性を可能にし得る。
ある種の試料(例えば、尿試料または組織血漿試料)中の膀胱癌を診断する(または膀胱癌の診断を補助する)ために特異的な1つ以上のバイオマーカーが用いられてもよい。例えば、生体試料が尿であるとき、表1、5、11、および/もしくは13に列挙される1つ以上のバイオマーカー、またはこれらの任意の組み合わせを用いて、対象が膀胱癌を有するか否かを診断(または診断を補助)してもよい。試料が膀胱組織であるとき、表7および/または9から選択される1つ以上のバイオマーカーを用いて、対象が膀胱癌を有するか否かを診断(または診断を補助)してもよい。
試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定した後、このレベル(複数可)を、膀胱癌陽性および/もしくは膀胱癌陰性レベルと比較して、対象が膀胱癌を有するか否かの診断を補助するか、または診断する。膀胱癌陽性基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、対象における膀胱癌の診断を示す。膀胱癌陰性基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、並びに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、対象において膀胱癌がないことを診断する指標である。さらに、膀胱癌陰性基準レベルと比較して、試料中に(特に、統計的に有意なレベルで)差異的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、対象における膀胱癌の診断を示す。膀胱癌陽性基準レベルと比較して、試料中に(特に、統計的に有意なレベルで)差異的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、対象における膀胱癌がないことを診断する指標である。
1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、膀胱癌陽性および/または膀胱癌陰性基準レベルに対する生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)の簡単な比較(例えば、マニュアル比較)を含む、様々な技術を用いて、膀胱癌陽性および/または膀胱癌陰性基準レベルと比較してよい。生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上の統計的分析(例えば、t検定、ウェルチのT検定、ウィルコクソンの順位和検定、ランダムフォレスト、Tスコア、Zスコア)を用いるか、または数理モデル(例えば、アルゴリズム、統計モデル)を用いて、膀胱癌陽性および/もしくは膀胱癌陰性基準レベルと比較してもよい。
例えば、単一アルゴリズムまたは複数のアルゴリズムを含む数理モデルを用いて、対象が膀胱癌を有するか否かを決定してもよい。数理モデルを用いて、膀胱癌の病期を区別してもよい。例示的な数理モデルは、対象からの任意の数のバイオマーカー(例えば、2、3、5、7、9など)の測定されたレベルを用いて、測定されたバイオマーカーのレベル間の数理関係に基づくアルゴリズムもしくは一連のアルゴリズムを使用して、対象が膀胱癌を有するか否か、膀胱癌が対象において進行しているか、または退縮しているか、対象が高病期膀胱癌を有するか、または低病期膀胱癌を有するかなどを決定してもよい。
この方法の結果を、対象における膀胱癌の診断に有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
一態様では、本明細書に提供されるバイオマーカーを用いて、対象における膀胱癌の存在および/または重篤度を示すBCAスコアを医師に提供することができる。このスコアは、バイオマーカーおよび/またはバイオマーカーの組み合わせについて臨床的に著しく変化した基準レベル(複数可)に基づいている。基準レベルは、アルゴリズムから導出することができる。BCAスコアを用いて、正常(すなわち、膀胱癌がない)〜高い膀胱癌の重篤度範囲内に対象を置くことができる。BCAスコアは、複数の方法で使用することができ、例えば、疾患の進行、退縮、または寛解は、BCAスコアの定期的な決定および監視により監視することができ、治療介入に対する応答は、BCAスコアを監視することにより決定することができ、薬物の有効性をBCAスコアを用いて評価することができる。
対象のBCAスコアを決定するための方法は、生体試料中の、表1、5、7、9、11、および/または13において識別される膀胱癌バイオマーカーのうちの1つ以上を用いて行われ得る。この方法は、対象のBCAスコアを決定するために、試料中の1つ以上の膀胱癌バイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌基準レベルと比較することを含んでよい。この方法は、表1、5、7、9、11、および/または13に列挙されるものから選択される任意の数のマーカーを用いてよく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上のマーカーを含む。複数のバイオマーカーは、回帰分析などの統計的方法を含む、任意の方法により膀胱癌と関連付けられ得る。
1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定した後、このレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカー(複数可)の膀胱癌基準レベル(複数可)または基準曲線と比較して、試料中の1つ以上のバイオマーカーのそれぞれについて格付けを決定する。この格付け(複数可)を任意のアルゴリズムを用いて集計し、対象についてのスコア、例えば、BCAスコアを作成してもよい。このアルゴリズムは、バイオマーカーの数、バイオマーカーと膀胱癌との相関などを含む、膀胱癌に関する任意の要因を考慮し得る。
加えて、一実施形態では、膀胱癌を診断するか、またはその診断を補助するために本明細書において提供されるバイオマーカーを用いて、血尿を呈する対象における血尿から膀胱癌を区別してもよい。対象における血尿から膀胱癌を区別する方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)血尿から膀胱癌を区別するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陽性および/または膀胱癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。用いられる1つ以上のバイオマーカーは、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される。例えば、以下のバイオマーカー、キサンツレン酸塩、イソバレリルグリシン、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、4−ヒドロキシ馬尿酸塩、グルコン酸塩、グロノ1,4−ラクトン、3−ヒドロキシ馬尿酸塩、酒石酸塩、2−オキシンドール−3−酢酸塩、イソブチリルグリシン、カテコール−硫酸塩、フェニルアセチルグルタミン、コハク酸塩、3−ヒドロキシ酪酸塩(BHBA)、シンナモイルグリシン、イソブチリルカルニチン、3−ヒドロキシフェニル酢酸塩、3−インドキシル−硫酸塩、ソルボース、2,5−フランジカルボン酸、メチル−4−ヒドロキシ安息香酸塩、2−イソプロピルリンゴ酸塩、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、2−メチルブチリルグリシン、パルミトイル−スフィンゴミエリン、フェニルプロピオニルグリシン、β−ヒドロキシピルビン酸塩、チラミン、3−メチルクロトニルグリシン、カルノシン、フルクトース、乳酸塩、コリンリン酸塩、アデノシン、1,2−プロパンジオール、アジピン酸塩、アンセリン、ピリドキシン酸塩、アセチルカルニチン、およびキヌレニンのうちの1つ以上を単独で、または任意の組み合わせで用いて、血尿から膀胱癌を区別してもよい。このような方法を用いて血尿から膀胱癌を区別するとき、この方法の結果を、血尿から膀胱癌を区別する臨床的決定において有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
別の実施形態では、膀胱癌を診断する、またはその診断を補助するために本明細書において提供されるバイオマーカーを用いて、他の泌尿器科癌から膀胱癌を区別してもよい。対象における他の泌尿器科癌から膀胱癌を区別する方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)他の泌尿器科癌から膀胱癌を区別するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陽性および/または膀胱癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。用いられる1つ以上のバイオマーカーは、表1および/または11から選択される。例えば、以下のバイオマーカー:イミダゾール−プロピオン酸塩、3−インドキシル−硫酸塩、フェニルアセチルグリシン、乳酸塩、コリン、メチル−インドール−3−酢酸塩、β−アラニン、パルミトイル−スフィンゴミエリン、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、コハク酸塩、4−アンドロステン−3β−17β−ジオール二硫酸塩−2,4−ヒドロキシフェニル酢酸塩、グリセロール、ウラシル、グロノ1,4−ラクトン、フェノール硫酸塩、ジメチルアルギニン(ADMA+SDMA)、シクロ−グリ−プロ、スクロース、アデノシン、セリン、アゼライン酸塩(ノナンジオン酸塩)、トレオニン、プレグナンジオール−3−グルクロニド、エタノールアミン、グルコン酸塩、N6−メチルアデノシン、N−メチル−プロリン、グリシン、およびグルコース6−リン酸塩(G6P)、コリンリン酸塩、1,2−プロパンジオール、アジピン酸塩、アンセリン、3−ヒドロキシ酪酸塩(BHBA)、ピリドキシン酸塩、アセチルカルニチン、2−ヒドロキシ酪酸塩、キヌレニン、チラミン、およびキサンツレン酸塩のうちの1つ以上を単独で、または任意の組み合わせで用いて、他の泌尿器科癌から膀胱癌を区別してもよい。このような方法を用いて他の泌尿器科癌から膀胱癌を区別するとき、この方法の結果を、他の泌尿器科癌から膀胱癌を区別する臨床的決定において有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
B.膀胱癌に対する素因を決定する方法
B.膀胱癌に対する素因を決定する方法
膀胱癌のバイオマーカーの識別は、膀胱癌の症状を有しない対象が、膀胱癌を発症する素因があるか否かの決定も可能にする。膀胱癌の症状を有しない対象が、膀胱癌を発症する素因があるか否かを決定する方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の、表1、5、7、9、11、および/または13に列挙される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象が膀胱癌を発症する素因があるか否かを決定するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陽性および/または膀胱癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。この方法の結果を、対象が膀胱癌を発症する素因があるか否かの臨床的決定に有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
膀胱癌を診断する(またはその診断を補助する)方法に関連して上述されるように、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定するために、任意の好適な方法を用いて生体試料を分析してもよい。
上記の膀胱癌を診断する(またはその診断を補助する)方法と同様に、表1、5、7、9、11、および/もしくは13のバイオマーカーのすべての組み合わせ、またはそれらの任意の分画を含む、1個のバイオマーカー、2個以上のバイオマーカー、3個以上のバイオマーカー、4個以上のバイオマーカー、5個以上のバイオマーカー、6個以上のバイオマーカー、7個以上のバイオマーカー、8個以上のバイオマーカー、9個以上のバイオマーカー、10個以上のバイオマーカーなどのレベル(複数可)を決定し、膀胱癌の症状を有しない対象が、膀胱癌を発症する素因があるか否かを決定する方法において用いてもよい。
試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が決定された後、対象が膀胱癌を発症する素因があるか否かを予測するために、このレベル(複数可)を、膀胱癌陽性および/または膀胱癌陰性レベルと比較する。膀胱癌陽性基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、対象が膀胱癌を発症する素因があることを示す。膀胱癌陰性基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、対象が膀胱癌を発症する素因がないことを示す。さらに、膀胱癌陰性基準レベルと比較して、試料中に(特に、統計的に有意なレベルで)差異的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、対象が膀胱癌を発症する素因があることを示す。膀胱癌陽性基準レベルと比較して、試料中に(特に、統計的に有意なレベルで)差異的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、対象が膀胱癌を発症する素因がないことを示す。
さらに、膀胱癌を有しない対象が、膀胱癌を発症する素因があるか否かを評価することに特異的な基準レベルを決定することも可能であり得る。例えば、膀胱癌を発症することについて、対象における異なる危険性の程度(例えば、低、中、高)を評価するために、バイオマーカーの基準レベルを決定することが可能であり得る。このような基準レベルを、対象からの生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベルとの比較に用いることができる。
上記の方法と同様に、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、簡単な比較、1つ以上の統計分析、およびこれらの組み合わせを含む、様々な技術を用いて膀胱癌陽性および/または膀胱癌陰性基準レベルと比較してよい。
対象が膀胱癌を有するか否かを診断する(または診断を補助する)方法と同様に、膀胱癌の症状を有しない対象が、膀胱癌を発症する素因があるか否かを決定する方法は、生体試料を分析して、1つ以上の非バイオマーカー化合物のレベル(複数可)を決定することをさらに含んでもよい。
C.膀胱癌の進行/退縮を監視する方法
C.膀胱癌の進行/退縮を監視する方法
膀胱癌のバイオマーカーの識別は、対象における膀胱癌の進行/退縮も可能にする。対象における膀胱癌の進行/退縮を監視する方法は、(1)対象からの第1の生体試料であって、第1の時点で対象から得られる第1の試料を分析して、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象からの第2の生体試料であって、第2の時点で対象から得られる第2の試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(3)対象における膀胱癌の進行/退縮を監視するために、第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む。例えば、以下のバイオマーカー:3−ヒドロキシフェニル酢酸塩、3−ヒドロキシ馬尿酸塩、3−ヒドロキシ酪酸塩(BHBA)、イソバレリルグリシン、フェニルアセチルグルタミン、ピリドキサン酸塩、2,5−フランジカルボン酸、アラントイン、ピメル酸塩(ヘプタンジオン酸塩)、乳酸塩、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、カテコール−硫酸塩、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、イソブチリルグリシン、2−ヒドロキシ馬尿酸塩(サリチル尿酸塩)、グルコン酸塩、イミダゾール−プロピオン酸塩、コハク酸塩、α−CEHC−グルクロニド、3−インドキシル−硫酸塩、4−ヒドロキシフェニル酢酸塩、アセチルカルニチン、キサンチン、p−クレゾール−硫酸塩、酒石酸塩、4−ヒドロキシ馬尿酸塩、2−イソプロピルリンゴ酸塩、パルミトイル−スフィンゴミエリン、アジピン酸塩、およびN(2)−フロイル−グリシン、コリンリン酸塩、アデノシン、1,2−プロパンジオール、アンセリン、チラミン、キサンツレン酸塩、およびキヌレニンのうちの1つ以上を単独で、または組み合わせで用いて、膀胱癌の進行/退縮を監視してもよい。この方法の結果は、対象における膀胱癌の経過(すなわち、何らかの変化がある場合、進行または退縮)を示す。
経時的な1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)の変化(存在する場合)は、対象における膀胱癌の進行または退縮を示し得る。対象における膀胱癌の経過を特徴付けるために、第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、ならびに/または第1および第2の試料中のバイオマーカーのレベルの比較結果を、膀胱癌陽性および膀胱癌陰性基準レベルと比較してもよい。この比較が、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が、(例えば、第1の試料と比較して、第2の試料中で)経時的に増加または減少して、膀胱癌陽性基準レベルにさらに類似する(または膀胱癌陰性基準レベルに類似しなくなる)ことを示す場合、その結果は、膀胱癌の進行を示す。比較が、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が、経時的に増加または減少して膀胱癌陰性基準レベルにさらに類似する(または膀胱癌陽性基準レベルに類似しなくなる)ことを示す場合、その結果は、膀胱癌の退縮を示す。
一実施形態では、評価は、対象における膀胱癌を示し、経時的に監視することができるBCAスコアに基づき得る。第1の時点の試料からのBCAスコアを、少なくとも第2の時点の試料からのBCAスコアと比較することにより、膀胱癌の進行または退縮を決定することができる。対象における膀胱癌の進行/退縮を監視するこのような方法は、(1)対象からの第1の生体試料を分析して、第1の時点で対象から得られる第1の試料のBCAスコアを決定することと、(2)対象からの第2の生体試料であって、第2の時点で対象から得られる第2の試料を分析して、第2のBCAスコアを決定することと、(3)対象における膀胱癌の進行/退縮を監視するために、第1の試料におけるBCAスコアを、第2の試料におけるBCAスコアと比較することと、を含む。
本明細書に記載されるバイオマーカーおよびアルゴリズムは、医師が治療方針、例えば、外科的処置(例えば、経尿道的切除術、根治的膀胱切除術、膀胱区域切除術)などの処置を行うか否か、薬物療法で治療するか否か、または慎重な経過観察手法を用いるか否かを決定する際の指針または補助となり得る。
本明細書に記載される他の方法と同様に、対象における膀胱癌の進行/退縮を監視する方法において行われる比較は、簡単な比較、1つ以上の統計分析、数理モデル(アルゴリズム)、およびこれらの組み合わせを含む、様々な技術を用いて行われてよい。
この方法の結果を、対象における膀胱癌の進行/退縮の臨床的監視に有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
膀胱癌を診断する(またはその診断を補助する)方法に関連して上述されるように、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定するために、任意の好適な方法を用いて生体試料を分析してもよい。さらに、表1、5、7、9、11、および/もしくは13のバイオマーカーのすべての組み合わせ、またはそれらの任意の分画を含む、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定し、対象における膀胱癌の進行/退縮を監視する方法において用いてもよい。
このような方法を行って、膀胱癌を有する対象における膀胱癌の経過を監視することができるか、または膀胱癌に対する素因のレベルを監視するために、膀胱癌を有しない対象(例えば、膀胱癌を発症する素因があると疑われる対象)において用いることができる。
D.膀胱癌を病期分類する方法
D.膀胱癌を病期分類する方法
膀胱癌のバイオマーカーの識別は、対象の膀胱癌病期の決定も可能にする。膀胱癌の病期を決定する方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の、表5および/または9に列挙される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象の膀胱癌の病期を決定するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの高病期膀胱癌および/または低病期膀胱癌の基準レベルと比較することと、を含む。この方法の結果を、対象の膀胱癌の病期の臨床的決定に有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
膀胱癌を診断する(またはその診断を補助する)方法に関連して上述されるように、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定するために、任意の好適な方法を用いて生体試料を分析してもよい。
表5および9に列挙される1つ以上のバイオマーカーのレベル、ならびにそれらの組み合わせは、対象の膀胱癌の病期を決定する方法において決定されてよい。例えば、以下の1つ以上のバイオマーカー:パルミトイルエタノールアミド、パルミトイルスフィンゴミエリン、トロンボキサンB2、ビリルビン(Z,Z)、アドレナート(22:4n6)、C−グリコシルトリプトファン、メチル−α−グルコピラノシド、メチルリン酸塩、3−ヒドロキシデカン酸塩、3−ヒドロキシオクタン酸塩、4−ヒドロキシフェニルピルビン酸塩、N−アセチルトレオニン、1−アラキドノイルグリセロホスホイノシトール、5,6−ジヒドロチミン、2−ヒドロキシパルミチン酸塩、補酵素A、N−アセチルセリオン、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)、ドコサトリエン酸塩(22:3n3)、グルタチオン還元型(GSH)、プロスタグランジンA2、グルタミン、グルタミン酸γ−メチルエステル、ドコサペンタエン酸塩(n6 DPA 22:5n6)、グリコケノデオキシコール酸塩、ヘキサノイルカルニチン、アラキドン酸塩(20:4n6)、pro−ヒドロキシ−pro、ドコサヘキサエン酸塩(DHA 22:6n3)、ラウリルカルニチン、乳酸塩、コリンリン酸塩、コハク酸、アデノシン、1,2−プロパンジオール、アジピン酸塩、アンセリン、3−ヒドロキシ酪酸塩(BHBA)、ピリドキシン酸塩、アセチルカルニチン、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、キヌレニン、チラミン、およびキサンツレン酸塩のうちの1つ以上を単独で、または組み合わせで用いて、膀胱癌の病期を決定してもよい。加えて、例えば、表5および/もしくは9におけるバイオマーカーのすべての組み合わせ、またはそれらの任意の分画を含む、1個のバイオマーカー、2個以上のバイオマーカー、3個以上のバイオマーカー、4個以上のバイオマーカー、5個以上のバイオマーカー、6個以上のバイオマーカー、7個以上のバイオマーカー、8個以上のバイオマーカー、9個以上のバイオマーカー、10個以上のバイオマーカーなどのレベル(複数可)を決定し、対象の膀胱癌の病期を決定する方法において用いてもよい。
試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定した後、対象の膀胱癌の病期を決定するために、このレベル(複数可)を、低病期膀胱癌および/または高病期膀胱癌の基準レベルと比較する。高病期膀胱癌基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、高病期膀胱癌を有する対象を示す。低病期膀胱癌基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、低病期膀胱癌を有する対象を示す。さらに、低病期膀胱癌基準レベルと比較して、試料中に(特に、統計的に有意なレベルで)差異的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、低病期膀胱癌を有しない対象を示す。高病期膀胱癌基準レベルと比較して、試料中に(特に、統計的に有意なレベルで)差異的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、高病期膀胱癌を有しない対象を示す。
研究を行って、対象の膀胱癌病期を決定するために用いることができる一式のバイオマーカーを識別した。別の実施形態では、本明細書に提供されるバイオマーカーを用いて、対象における膀胱癌の病期を示すBCAスコアを医師に提供することができる。このスコアは、バイオマーカーおよび/またはバイオマーカーの組み合わせについて臨床的に著しく変化した基準レベル(複数可)に基づいている。基準レベルは、アルゴリズムから導出することができる。BCAスコアを用いて、正常(すなわち、膀胱癌がない)〜高病期膀胱癌の対象における膀胱癌の病期を決定することができる。
本明細書に記載されるバイオマーカーおよびアルゴリズムは、医師が治療方針、例えば、外科的処置(例えば、経尿道的切除術、根治的膀胱切除術、膀胱区域切除術)などの処置を行うか否か、薬物療法で治療するか否か、または慎重な経過観察手法を用いるか否かを決定する際の指針または補助となり得る。
上記の方法と同様に、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、簡単な比較、1つ以上の統計分析、数理モデル(アルゴリズム)、およびこれらの組み合わせを含む、様々な技術を用いて、高病期膀胱癌および/または低病期膀胱癌の基準レベルと比較してよい。
対象が膀胱癌を有するか否かを診断する(または診断を補助する)方法と同様に、対象の膀胱癌の病期を決定する方法が、生体試料を分析して、1つ以上の非バイオマーカー化合物のレベル(複数可)を決定することをさらに含んでもよい。
E.膀胱癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法
E.膀胱癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法
膀胱癌のバイオマーカーの識別は、膀胱癌を治療するための組成物の有効性の評価、ならびに膀胱癌を治療するための2つ以上の組成物の相対的有効性の評価も可能にする。このような評価は、例えば、有効性研究において、ならびに膀胱癌を治療するための組成物の主な選択において用いてもよい。
膀胱癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法は、(1)膀胱癌を有する、および組成物で現在または以前に治療されている対象からの生体試料を分析して、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、(a)対象から以前に採取された生体試料であって、組成物で治療される前に対象から採取された生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル、(b)1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陽性基準レベル、および(c)1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。この比較の結果は、膀胱癌を治療するための組成物の有効性を示す。
したがって、膀胱癌を治療するための組成物の有効性を特徴付けるために、生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、(1)膀胱癌陽性基準レベル、(2)膀胱癌陰性基準レベル、および(3)組成物での治療前の対象における1つ以上のバイオマーカーの以前のレベルと比較する。
(膀胱癌を有する、および組成物で現在または以前に治療されている対象からの)生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、膀胱癌陽性基準レベルおよび/または膀胱癌陰性基準レベルと比較するとき、膀胱癌陰性基準レベルと一致する試料中のレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、膀胱癌を治療するための有効性を有する組成物を示す。膀胱癌陽性基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、膀胱癌を治療するための有効性を有しない組成物を示す。この比較は、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)に基づいて、膀胱癌を治療するための有効性の程度も示し得る。
(膀胱癌を有する、および組成物で現在または以前に治療されている対象からの)生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、組成物での治療前の対象から以前に採取された生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較するとき、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)における任意の変化は、膀胱癌を治療するための組成物の有効性を示す。すなわち、この比較が、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が、組成物での治療後に増加または減少して、膀胱癌陰性基準レベルにさらに類似した(または膀胱癌陽性基準レベルに類似しなくなる)ことを示す場合、その結果は、組成物が膀胱癌を治療するための有効性を有することを示す。この比較が、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が、組成物での治療後に増加または減少して、膀胱癌陰性基準レベルにさらに類似しなかった(または膀胱癌陽性基準レベルに類似しなくなる)ことを示す場合、その結果は、組成物が膀胱癌を治療するための有効性を有しないことを示す。この比較は、治療後の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)において観測される変化の量に基づいて、膀胱癌を治療するための有効性の程度も示し得る。このような比較を特徴付ける助けとなるために、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、治療前の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、および/または組成物で現在もしくは以前に治療されている対象における1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)の変化を、膀胱癌陽性基準レベルおよび/または膀胱癌陰性基準レベルと比較してよい。
膀胱癌を治療することにおける組成物の有効性を評価するための別の方法は、(1)対象からの第1の生体試料であって、第1の時点で対象から得られる第1の試料を分析して、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)組成物を対象に投与することと、(3)対象からの第2の生体試料であって、組成物の投与後の第2の時点で対象から得られる第2の試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(4)膀胱癌を治療するための組成物の有効性を評価するために、第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む。上述のとおり、試料の比較が、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が組成物の投与後に増加または減少して、膀胱癌陰性基準レベルにさらに類似したことを示す場合、その結果は、組成物が膀胱癌を治療するための有効性を有することを示す。比較が、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が組成物での治療後に膀胱癌陰性基準レベルにさらに類似するように増加または減少しなかったことを示す場合、その結果は、組成物が膀胱癌を治療するための有効性を有しないことを示す。この比較は、上述されるように、組成物の投与後の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)において観測される変化の量に基づいて、膀胱癌を治療するための有効性の程度も示し得る。
膀胱癌を治療するための2つ以上の組成物の相対的有効性を評価する方法は、(1)膀胱癌を有する、および第1の組成物で現在または以前に治療されている第1の対象からの第1の生体試料を分析して、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)膀胱癌を有する、および第2の組成物で現在または以前に治療されている第2の対象からの第2の生体試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(3)膀胱癌を治療するための第1および第2の組成物の相対的有効性を評価するために、第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む。結果は、2つの組成物の相対的有効性を示し、またその結果(または第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベルおよび/または第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可))を、膀胱癌陽性基準レベル、膀胱癌陰性基準レベルと比較して、相対的有効性を特徴付ける補助としてもよい。
有効性を評価する方法のそれぞれを、1人以上の対象または1つ以上の対象群(例えば、第1の組成物で治療される第1の群、および第2の組成物で治療される第2の群)に対して行ってもよい。
本明細書に記載される他の方法と同様に、膀胱癌を治療するための組成物の有効性(または相対的有効性)を評価する方法において行われる比較は、簡単な比較、1つ以上の統計分析、およびこれらの組み合わせを含む、様々な技術を用いて行ってもよい。用いられ得る技術の一例は、対象のBCAスコアを決定することである。任意の好適な方法を用いて、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定するために、生体試料を分析してもよい。さらに、表1、5、7、9、11、および/もしくは13のバイオマーカーのすべての組み合わせ、またはそれらの任意の分画を含む、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定し、膀胱癌を治療するための組成物の有効性(または相対的有効性)を評価する方法で用いてもよい。
最後に、膀胱癌を治療するための1つ以上の組成物の有効性(または相対的有効性)を評価する方法は、生体試料を分析して、1つ以上の非バイオマーカー化合物のレベル(複数可)を決定することをさらに含んでもよい。次に、非バイオマーカー化合物を、膀胱癌を有する(または有しない)対象について、非バイオマーカー化合物の基準レベルと比較してもよい。
F.膀胱癌と関連付けられたバイオマーカーを調節することにおける活性のための組成物をスクリーニングする方法
F.膀胱癌と関連付けられたバイオマーカーを調節することにおける活性のための組成物をスクリーニングする方法
膀胱癌のバイオマーカーの識別は、膀胱癌と関連付けられたバイオマーカーを調節することにおける活性のための組成物のスクリーニングも可能にし、これは膀胱癌を治療することにおいて有用であり得る。膀胱癌の治療に有用な組成物をスクリーニングする方法は、表1、5、7、9、11、および/または13の1つ以上のバイオマーカーのレベルを調節することにおける活性のための試験組成物を検定することを含む。このようなスクリーニング検定は、インビトロおよび/またはインビボで行われてよく、例えば、細胞培養検定、器官培養検定、およびインビボ検定(例えば、動物モデルを伴う検定)などの試験組成物の存在下で、このようなバイオマーカーの調節を検定するために有用な当該技術分野において既知の任意の形態であってもよい。
一実施形態では、膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーを調節することにおける活性のための組成物をスクリーニングするための方法は、(1)1つ以上の細胞を組成物と接触させることと、(2)1つ以上の細胞の少なくとも一部分、またはその細胞と関連付けられた生体試料を分析して、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(3)1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの既定の標準レベルと比較して、組成物が1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を調節したか否かを決定することと、を含む。上述のとおり、細胞をインビトロおよび/またはインビボで組成物と接触させてもよい。1つ以上のバイオマーカーの既定の標準レベルは、組成物の非存在下での1つ以上の細胞内の1つ以上のバイオマーカーのレベルであってよい。1つ以上のバイオマーカーの既定の標準レベルは、組成物と接触していない対照細胞内の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)であってもよい。
さらに、この方法は、1つ以上の細胞の少なくとも一部分またはその細胞と関連付けられた生体試料を分析して、膀胱癌の1つ以上の非バイオマーカー化合物のレベル(複数可)を決定することをさらに含んでよい。次に、非バイオマーカーのレベルを、1つ以上の非バイオマーカー化合物の既定の標準レベルと比較してもよい。
任意の好適な方法を用いて、1つ以上の細胞の少なくとも一部分、またはその細胞と関連付けられた生体試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)(または非バイオマーカー化合物のレベル)を決定してもよい。好適な方法としては、クロマトグラフィー(例えば、HPLC、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー)、質量分析(例えば、MS、MS−MS)、ELISA、抗体結合、他の免疫化学技術、およびこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)(または非バイオマーカー化合物のレベル)は、例えば、測定することが望まれるバイオマーカー(複数可)(または非バイオマーカー化合物)のレベルと相関する化合物(複数可)のレベルを測定する検定を用いることにより、間接的に測定されてもよい。
G.潜在的な薬物標的を識別する方法
G.潜在的な薬物標的を識別する方法
膀胱癌のバイオマーカーの識別は、膀胱癌の潜在的な薬物標的の識別も可能にする。膀胱癌の潜在的な薬物標的を識別するための方法は、(1)表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーと関連付けられた1つ以上の生化学的経路を識別することと、(2)1つ以上の識別された生化学的経路のうちの少なくとも1つに作用するタンパク質(例えば、酵素)であって、膀胱癌の潜在的な薬物標的であるタンパク質を識別することと、を含む。
膀胱癌の潜在的な薬物標的を識別するための別の方法は、(1)表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカー、ならびに膀胱癌の1つ以上の非バイオマーカー化合物と関連付けられた1つ以上の生化学的経路を識別することと、(2)1つ以上の識別された生化学的経路のうちの少なくとも1つに作用するタンパク質であって、膀胱癌の潜在的な薬物標的であるタンパク質を識別することと、を含む。
1つ以上のバイオマーカー(または非バイオマーカー化合物)と関連付けられる1つ以上の生化学的経路(例えば、生合成および/または代謝(異化)経路)を識別する。生化学的経路を識別した後、その経路のうちの少なくとも1つに作用する1つ以上のタンパク質を識別する。好ましくは、複数の経路に作用するタンパク質を識別する。
1つの代謝産物(例えば、経路中間体)の構築は、代謝産物の「ブロック」下流の存在を示し得、ブロックは、低/消失レベルの下流代謝産物(例えば、生合成経路の生成物)を生じ得る。同様の方法で、代謝産物の不在は、該代謝産物の経路上流における「ブロック」の存在を示し得、不活性もしくは非機能的酵素(複数可)、または生成物を生成するために必要な基質である生化学中間体が利用できないことに起因し得る。代替的に、代謝産物のレベルの増加は、異常なタンパク質を生成する遺伝子変異を示すことができ、代謝産物の過剰生成および/もしくは蓄積をもたらし、次に他の関連する生化学的経路の変化につながり、かつ経路を通る正常な流束の異常調節をもたらし、さらに生化学中間体代謝産物の構築は、毒性であり得るか、または関連する経路に必要な中間体の生成を侵害し得る。経路間の関係は、現在未知であり得、このデータがこのような関係を明らかにできる可能性がある。
例えば、データは、窒素排出、アミノ酸代謝、エネルギー代謝、酸化応力、プリン代謝、および胆汁酸代謝を伴う生化学経路中の代謝産物が、膀胱癌対象において豊富になることを示す。さらに、ポリアミンレベルは、癌対象においてより高く、酵素オルニチンデカルボキシラーゼのレベルおよび/活性が増加することを示す。ポリアミンは、有糸分裂薬として作用することができ、遊離ラジカルの損傷と関連付けられることが知られている。これらの観測は、ポリアミンの生成(または異常なバイオマーカーのいずれか)に至る経路が、薬物発見に有用な多数の潜在的標的を提供することを示す。
別の実施例では、データは、脂質膜代謝、エネルギー代謝、I相およびII相肝臓解毒、およびアデノシン代謝を伴う生化学経路中の代謝産物が、膀胱癌対象において豊富になることを示す。さらに、コリンリン酸レベルは、癌対象においてより高く、スフィンゴミエリナーゼ酵素のレベルおよび/または活性が増加することを示す。これらの観測は、コリンリン酸塩の生成(または異常なバイオマーカーのいずれか)に至る経路が、薬物発見に有用な多数の潜在的標的を提供することを示す。
次に、潜在的な薬物標的として識別されるタンパク質を用いて、遺伝子療法のための組成物を含む、膀胱癌を治療するための潜在的な候補であり得る組成物を識別し得る。
H.膀胱癌を治療する方法
H.膀胱癌を治療する方法
膀胱癌のバイオマーカーの識別は、膀胱癌の治療も可能にする。例えば、膀胱癌を有する対象を治療するために、膀胱癌を有しない健常な対象と比較して、膀胱癌において低下する有効な量の1つ以上の膀胱癌バイオマーカーを、対象に投与してもよい。投与され得るバイオマーカーは、膀胱癌において減少する表1、5、7、9、11、および/または13のバイオマーカーの1つ以上を含んでよい。いくつかの実施形態では、投与されるバイオマーカーは、膀胱癌において減少し、0.10未満のp値を有する表1、5、7、9、11、および/または13に列挙される1つ以上のバイオマーカーである。他の実施形態では、投与されるバイオマーカーは、膀胱癌において、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%(すなわち、非存在)減少する表1、5、7、9、11、および/または13に列挙される1つ以上のバイオマーカーである。
一実施例では、尿中に存在するスフィンゴミエリナーゼは、スフィンゴミエリンを開裂させて、コリンリン酸塩およびクレアミドを形成する。大量のスフィンゴミエリンを処理するために、スフィンゴミエリナーゼ活性は、膀胱癌対象において増加し得る。スフィンゴミエリナーゼなどの酵素の活性の増加が、膀胱癌と関連付けられるとき、スフィンゴミエリナーゼ活性の阻害剤を投与することは、膀胱癌を治療する1つの可能な方法を表す。
III.他の方法
III.他の方法
本明細書で論じられるバイオマーカーを用いる他の方法も企図される。例えば、米国特許第7,005,255号、米国特許第7,329,489号、米国特許第7,553,616号、米国特許第7,550,260号、米国特許第7,550,258号、米国特許第7,635,556号、米国特許出願第11/728,826号、米国特許出願第12/463,690号、および米国特許出願第12/182,828号に記載される方法は、本明細書で開示されるバイオマーカーのうちの1つ以上を含む低分子プロファイルを用いて行ってもよい。
本明細書に列挙される方法のいずれかにおいて、用いられるバイオマーカーは、0.05未満のp値を有する表1、5、7、9、11、および/または13のバイオマーカーから選択されてもよい。本明細書に記載の方法のいずれかで用いられるバイオマーカーは、膀胱癌において(対照と比較して)、または泌尿器科癌において(対照と比較して)、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%(すなわち、非存在)減少する表1、5、7、9、11、および/または13のバイオマーカー、および/または膀胱癌において(対照もしくは寛解と比較して)、または寛解において(対照もしくは膀胱癌と比較して)、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、またはそれ以上増加する表1、5、7、9、11、および/または13のバイオマーカーから選択されてもよい。
本発明は、非限定的であることが意図される以下の例証的な実施例によりさらに説明される。
I.一般的な方法
A.膀胱癌の代謝プロファイルの識別
I.一般的な方法
A.膀胱癌の代謝プロファイルの識別
各試料を分析して、数百の代謝産物の濃度を決定した。GC−MS(ガスクロマトグラフィー−質量分析法)およびLC−MS(液体クロマトグラフィー−質量分析法)などの分析技術を用いて、代謝産物を分析した。複数のアリコートを同時かつ並行して分析し、適切な品質管理(QC)後、各分析から生じる情報を再び合わせた。すべての試料を、数千の特徴に従って特徴付けて、最終的に合計数百の化学種にした。用いられる技術は、新規および化学的に無名の化合物を識別することができた。
B.統計分析
B.統計分析
T検定を用いてデータを分析して、定義可能な集団(例えば、膀胱癌と対照)を区別するために有用な定義可能な集団または亜集団(例えば、対照生体試料と比較、または膀胱癌からの寛解にある患者と比較した膀胱癌生体試料のバイオマーカー)中に差異的なレベルで存在する分子(既知の名前のある代謝産物もしくは無名の代謝産物のいずれか)を識別した。定義可能な集団または亜集団における他の分子(既知の名前のある代謝産物または無名の代謝産物のいずれか)も識別された。
一元配置分散分析(ANOVA)対比も用いてデータを分析して、定義可能な集団(例えば、膀胱癌および対照)を区別するために有用な定義可能な集団または亜集団(例えば、対照生体試料と比較、または膀胱癌からの寛解にある患者と比較した膀胱癌生体試料のバイオマーカー)中に差異的なレベルで存在する分子(既知の名前のある代謝産物もしくは無名の代謝産物のいずれか)を識別した。ANOVAは、複数の群(2以上)の平均が等しいことを試験するために用いられる統計モデルである。群は、単一変数(一元配置ANOVAと呼ばれる)、または2、3、もしくはそれ以上の変数の組み合わせ(二元配置ANOVA、三元配置ANOVAなど)のレベルであってよい。一般的な変数の効果は、主効果および交互作用項を介して得られる。次に群平均の線形結合が0に等しいことを試験する対比を用いて、より特定の仮説を試験することができる。2試料t検定とは異なり、ANOVAは、反復測定/依存性観測に対処することができる。定義可能な集団または亜集団における他の分子(既知の名前のある代謝産物または無名の代謝産物のいずれか)も識別された。
ランダムフォレスト分析も用いてデータを分析した。ランダムフォレストは、新たなデータセット内の個人が、どの程度良好に既存の群に分類され得るかを推定する。ランダムフォレスト分析は、実験単位および化合物の連続サンプリングに基づいて、一式の分類ツリーを作成する。次に各観測値を、すべての分類ツリーからの多数決に基づいて分類する。統計において、分類ツリーは、変数の組み合わせに基づいて観測値を群に分類する(この例では、変数は代謝産物または化合物である)。ツリーを作成するために用いられるアルゴリズムに関して多くの変動がある。ツリーアルゴリズムは、2つの群間の最大分割を提供する代謝産物(化合物)を検索する。これがノードを生成する。次に、各ノードにおいて、最適な分割を提供する代謝産物が用いられるなどする。ノードを改善することができない場合は、そのノードで停止し、該ノード内の任意の観測値は多数群として分類される。
ランダムフォレストは、多数の(例えば、数千の)ツリーに基づいて分類する。化合物のサブセットおよび観測値のサブセットを用いて各ツリーを作成する。ツリーを作成するために用いられる観測値は、インバッグ(in−bag)サンプルと呼ばれ、残りのサンプルはアウトオブバッグ(out−of−bag)サンプルと呼ばれる。分類ツリーは、インバッグ(in−bag)サンプルから作成され、アウトオブバッグ(out−of−bag)サンプルは、このツリーから予測される。観測値の最終分類を得るために、アウトオブバッグ(out−of−bag)サンプルであった回数に基づいて、各群の「票数」をカウントする。例えば、観測値1を2,000ツリーで「対照」として分類し、3,000ツリーで「疾患」として分類したと仮定する。「過半数の獲得」を基準として用いて、このサンプルを「疾患」として分類する。
ランダムフォレストの結果を混同行列にまとめる。行は真の群化に対応し、列は、ランダムフォレストからの分類に対応する。したがって、対角要素は正しい分類を示す。2つの群の場合、50%のエラーが偶然に起こり、3つの群の場合、66.67%のエラーが偶然に起こる、などである。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、サンプルが罹患対象に由来するか、または対照対象に由来するか)の推定を示す。
最終分類においてどの変数がより「重要」であるかを判断することも関心のある問題である。「重要性プロット」は、上位化合物であって、それらの重要性に関してランク付けされた上位化合物を示す。精度測定の平均減少を用いて重要性を決定する。平均減少精度は、以下のように算出される:ランダムフォレストの各ツリーについて、アウトオブバッグ(out−of−bag)サンプルに基づく分類エラーを算出する。次に各変数(代謝産物)を順位変更し、各ツリーについて得られるエラーを算出する。次に、2つのエラー間の差異の平均を算出する。次に、この平均をこれらの差異の標準偏差により分割することによってスケーリングする。変数がより重要であるほど、平均減少精度は高くなる。
リッジロジスティック回帰モデルを用いて回帰分析を行った。ロジスティック回帰のリッジ回帰バージョンは、二乗された係数の合計に制限を置く、すなわち、b1、b2、b3などが各代謝産物の係数である場合、次にリッジ回帰は、これらの二乗の合計(すなわち、b1^2+b2^2+b3^2+・・・+bp^2<c)に制限を置く。この結合は、係数の多くをゼロに低下させるため、この方法も変数選択を行う。
C.バイオマーカーの識別
C.バイオマーカーの識別
統計的に有意であると識別されるものを含む、分析(例えば、GC−MS、LC−MS、LC−MS−MS)で識別された様々なピークを、質量分析法に基づく化学的識別処理にかけた。
膀胱癌のバイオマーカー
バイオマーカーは、(1)ヒト対象の異なる群からの尿試料を分析して、試料中の代謝産物のレベルを決定すること、次に(2)その結果を統計的に分析して、2つの群内に差異的に存在する代謝産物を決定することにより発見された。
バイオマーカーは、(1)ヒト対象の異なる群からの尿試料を分析して、試料中の代謝産物のレベルを決定すること、次に(2)その結果を統計的に分析して、2つの群内に差異的に存在する代謝産物を決定することにより発見された。
2つの研究を行って、膀胱癌のバイオマーカーを識別した。研究1では、膀胱癌を有しない対象から採取された10個の対照尿試料、および膀胱癌(尿路上皮移行細胞癌)を有する対象からの10個の尿試料を分析に用いた。年齢、人種、および性別をすべて厳しく制御して、交絡する人口学的に影響された変数の効果を最小限にした。すべての対象は白人男性であった。膀胱癌コホートの平均年齢は、71.1歳であり、対照コホートの平均年齢は67.7歳であった。一対のt検定分析の年齢p値は0.2であり、年齢が2群間で有意に異ならなかったことを示す。
代謝産物のレベルを決定した後、一変量T検定(すなわち、ウェルチのT検定)を用いてデータを分析した。以下の表1に列挙されるように、名前が挙げられた化合物の分析は、対照対象と比較して膀胱癌患者からの尿中で上昇したバイオマーカーと、対照対象と比較して膀胱癌患者からの尿中で低下したバイオマーカーと、を識別した。
膀胱癌患者からの尿試料と、膀胱癌を有しない対照患者との間で差異的に存在したバイオマーカーを識別した。表1の列1〜3は、識別されたバイオマーカーを列挙し、列挙された各バイオマーカーについて、バイオマーカーの生化学名、対照平均レベルと比較した癌試料中のバイオマーカーの平均レベルの比である、非癌対象と比較した癌中のバイオマーカーの倍率変化(FC)(TCC/対照)、およびバイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値を含む(表1、列1〜3)。表1の列10は、認証基準の組織内化学ライブラリにおけるそのバイオマーカー化合物の内部識別子(CompID)を列挙する。(*)の付いた代謝産物は、TCC/対照比較(研究1)および以下に記載されるより大規模な研究(研究2)の両方において、統計的有意性(p<0.1)を示す。太字の値は、0.1以下のp値を持つ倍率変化を示す。表1は、追加のデータを含み、以下で完全に説明される。
バイオマーカー代謝産物であって、膀胱癌の診断バイオマーカーとしてのそれらの使用を支持する存在度プロファイルを呈するバイオマーカー代謝産物の例としては、他の癌において観察される癌代謝産物(グリセロール−2−リン酸塩、イソクエン酸塩、グリセロホスホリルコリン(GPC)、イソブチリルカルニチン/グリシン、キサンツレン酸塩)と、膀胱癌に対して新規の代謝産物(α−ヒドロキシ酪酸塩、N−アセチルグルタミン酸塩)との組み合わせが挙げられる。図1は、選択された例示的バイオマーカー代謝産物のTCCと症例対象との間の浸透圧正規化された存在比について倍率変化プロファイルのグラフ表示を提供する。同様のグラフ図は、表1に列挙されるバイオマーカー代謝産物のうちのいずれについても準備することができる。
研究2では、バイオマーカーは、(1)89人の膀胱癌を有しない対照対象(正常)、66人の膀胱癌を有する対象(BCA)、58人の血尿を有する対象(Hem)、48人の腎細胞癌(RCC)を有する対象、および58人の前立腺癌(PCA)を有する対象から採取された尿試料を分析して、試料中の代謝産物のレベルを決定することと、次に(2)その結果を統計的に分析して、その群内に差異的に存在するそれらの代謝産物を決定することと、により発見された。
代謝産物のレベルを決定した後、一元配置分散分析対比を用いてデータを分析した。3つの比較:膀胱癌対正常、膀胱癌対血尿、膀胱癌対腎細胞癌および前立腺癌を用いて、膀胱癌のバイオマーカーを識別した。表1に列挙されるように、名前が挙げられた化合物の分析は、a)膀胱癌と正常(列4〜5)、b)膀胱癌と血尿(列6〜7)、および/またはc)膀胱癌と腎細胞癌+前立腺癌(列8〜9)の間で差異的に存在するバイオマーカーを識別した。
表1は、各バイオマーカーについて、バイオマーカーの生化学名、非膀胱癌平均レベルと比較した膀胱癌試料中のバイオマーカーの平均レベルの比である、非膀胱癌対象と比較した膀胱癌中のバイオマーカーの倍率変化(FC)(BCA/正常、BCA/血尿、およびBCA/RCC+PCA)、およびバイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値を含む。表1の列10は、認証基準の組織内化学ライブラリにおけるそのバイオマーカー化合物の内部識別子(CompID)を列挙する。(*)の付いた代謝産物は、上記の両研究における統計的有意性を示す。太字の値は、0.1以下のp値を持つ倍率変化を示す。
統計モデルにおける尿バイオマーカーに基づく対象の分類
A.BCA対非癌
多数の分析手法を用いて、患者の状態の診断に対する識別されたバイオマーカーの利用を評価することができる(例えば、患者が膀胱癌を有するか否か)。以下、2つの簡単な手法:主成分分析およびピアソンの相関を用いる階層的クラスタリングを用いた。
A.BCA対非癌
多数の分析手法を用いて、患者の状態の診断に対する識別されたバイオマーカーの利用を評価することができる(例えば、患者が膀胱癌を有するか否か)。以下、2つの簡単な手法:主成分分析およびピアソンの相関を用いる階層的クラスタリングを用いた。
1つの分析手法では、主成分分析を行って、対象を対照(非癌)または膀胱癌(TCC)として分類するためのモデルを作成した。主成分分析モデルで用いられたデータは、実施例1の研究1において尿試料(すなわち、膀胱癌を有しない対象から採取された10個の対照尿試料、および膀胱癌(尿路上皮移行細胞癌)を有する対象からの10個の尿試料)から得られた浸透圧正規化されたデータであった。
主成分分析から導出されたモデルを用いて、10個の対照対象試料のうちの7個が対照として正確に分類され、10個の膀胱癌対象試料のうちの7個がバイオマーカーの測定されたレベルに基づいて膀胱癌として正確に分類されることが見出された。このモデルは、一部の個人について中間値を決定した。中間値を持つ個人は、2つの群のうちの一方に分離することができなかった。中間群は、対照3人および膀胱癌患者3人の6人の対照で構成された。PCA結果のグラフ図を図2に示す。
別の統計分析では、階層的クラスタリング(ピアソンの相関)を使用し、実施例1において研究1について得られた浸透圧正規化されたバイオマーカー値(すなわち、膀胱癌を有しない対象から採取された10個の対照尿試料、および膀胱癌(尿路上皮移行細胞癌)を有する対象からの10個の尿試料)を用いて、BCAおよび非癌対照対象を分類した。この分析は、対象を3つの別個の群に分割した。1つの群は、100%対照個人で構成され、1つの群は、100%膀胱癌患者で構成され、1つの群は、33%対照および67%膀胱癌患者で構成された。図3は、階層的クラスタリングの結果のグラフ図を提供する。
PCAおよび階層的クラスタリングモデルからの結果は、尿バイオマーカー代謝産物レベルを用いて区別することができる、膀胱疾患および/または膀胱癌の複数の代謝型の存在の証拠を提供した。例えば、中間群において識別された癌患者は、侵襲性の弱い形態の膀胱癌を有し得るか、または癌の初期段階であり得る。癌の種類(例えば、弱侵襲性対強侵襲性)と癌の病期との間の区別は、治療の経過を決定する医師に対して有用な情報であり得る。
別の分析では、実施例1において識別されたバイオマーカーをランダムフォレスト分析を用いて評価し、対象を正常またはBCAを有するとして分類した。66人のBCA対象および89人の正常対象(BCAまたは他の泌尿器科癌と診断されていない対象)からの尿試料をこの分析で用いた。
ランダムフォレストの結果は、試料が84%の予測精度で分類されたことを示す。表2に示される混同行列は、各分類に対して予測される試料数および各群における実際の数(BCAまたは正常)を示す。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、試料が膀胱癌対象に由来するか、または正常な対象に由来するか)の推定を示す。このランダムフォレストからのOOBエラー率は、約16%であり、モデルは、新たな対象群に対して用いられるとき、正常な対象の識別が87%の確率で正確に予測され得ること、および膀胱癌対象が80%の確率で予測され得ることを推定した。
16%のOOBエラー率に基づいて、作成されたランダムフォレストモデルは、対象からの試料において測定されたバイオマーカーのレベルに基づいて、約84%の精度で膀胱癌を持つ個人から試料が得られたか否かを予測した。群を区別するための例示的バイオマーカーは、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、3−ヒドロキシフェニル酢酸塩、2−ヒドロキシ馬尿酸塩(サリチル尿酸塩)、3−インドキシル−硫酸塩、フェニルアセチルグルタミン、p−クレゾール−硫酸塩、3−ヒドロキシ馬尿酸塩、乳酸塩、イタコン酸メチレンコハク酸塩、コルチゾール、イソブチリルグリシン、グルコン酸塩、キサンツレン酸塩、グロノ1,4−ラクトン、3−ヒドロキシ酪酸塩(BHBA)、シンナモイルグリシン、2−オキシンドール−3−酢酸塩、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、1,2−プロパンジオール、α−CEHC−グルクロニド、パルミトイル−スフィンゴミエリン、カテコール−硫酸塩、γ−グルタミルフェニルアラニン、2−イソプロピルリンゴ酸塩、コハク酸塩、4−ヒドロキシフェニル酢酸塩、ピリドキシン酸塩、イソバレリルグリシン、カルニチン、および酒石酸塩である。
ランダムフォレスト分析は、バイオマーカーを用いることにより、BCA対象が、感度80%、特異性87%、PPV82%、およびNPV86%で正常対象から区別されたことを実証する。
B.BCA対他の泌尿器科癌
B.BCA対他の泌尿器科癌
表1のバイオマーカーを用いて、対象をBCAまたは別の泌尿器科癌を有するとして分類するための統計モデルを作成した。ランダムフォレスト分析を用いて、バイオマーカーを数理モデルにおいて使用して、対象をBCAを有する、またはPCAもしくはRCCのいずれかを有するとして分類した。66人のBCA対象および106人のPCAまたはRCCを持つ対象からの尿試料をこの分析で用いた。
ランダムフォレストの結果は、試料が83%の予測精度で分類されたことを示す。表3に示される混同行列は、各分類に対して予測される試料数および各群における実際の数(BCAまたはPCA+RCC)を示す。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、試料が膀胱癌対象に由来するか、またはPCAもしくはRCCを持つ対象に由来するか)の推定を示す。このランダムフォレストからのOOBエラー率は、約17%であり、モデルは、新たな対象群に対して用いられるとき、BCA対象の識別が85%の確率で正確に予測され得ること、およびPCA+RCC対象が82%の確率で予測され得ることを推定した。
17%のOOBエラー率に基づいて、作成されたランダムフォレストモデルは、対象からの試料において測定されたバイオマーカーのレベルに基づいて、約83%の精度で膀胱癌を持つ個人から試料が得られたか否かを予測した。群を区別するための例示的バイオマーカーは、イミダゾール−プロピオン酸塩、3−インドキシル−硫酸塩、フェニルアセチルグリシン、乳酸塩、コリン、メチル−インドール−3−酢酸塩、β-アラニン、パルミトイル−スフィンゴミエリン、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、コハク酸塩、4−アンドロステン−3β−17β−ジオール−二硫酸塩−2,4−ヒドロキシフェニル酢酸塩、グリセロール、ウラシル、グロノ1,4−ラクトン、フェノール硫酸塩、ジメチルアルギニン(ADMA+SDMA)、シクロ−グリ−プロ、スクロース、アデノシン、セリン、アゼライン酸塩(ノナンジオン酸塩)、トレオニン、プレグナンジオール−3−グルクロニド、エタノールアミン、グルコン酸塩、N6−メチルアデノシン、N−メチルプロリン、グリシン、グルコース6−リン酸塩(G6P)である。
ランダムフォレストの結果は、バイオマーカーを用いることにより、BCA対象が、感度85%、特異性82%、PPV75%、およびNPV90%でPCA+RCC対象から区別されたことを実証する。
C.BCA対血尿
C.BCA対血尿
表1のバイオマーカーを用いて、対象をBCAまたは血尿を有するとして分類するための統計モデルを作成した。ランダムフォレスト分析を用いて、バイオマーカーを数理モデルにおいて使用して、対象をBCAまたは血尿を有するとして分類した。66人のBCA患者および58人の血尿患者からの尿試料を分析に用いた。
ランダムフォレストの結果は、試料が74%の予測精度で分類されたことを示す。表4に示される混同行列は、各分類に対して予測される試料数および各群における実際の数(BCAまたは血尿)を示す。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、試料が膀胱癌対象に由来するか、または血尿のある対象に由来するか)の推定を示す。このランダムフォレストからのOOBエラー率は、約26%であり、モデルは、新たな対象群に対して用いられるとき、BCA対象の識別が70%の確率で正確に予測され得ること、および血尿対象が79%の確率で予測され得ることを推定した。
26%のOOBエラー率に基づいて、作成されたランダムフォレストモデルは、対象からの試料中で測定されたバイオマーカーのレベルに基づいて、約74%の精度で膀胱癌を持つ個人から試料が得られたか否かを予測した。群を区別するための例示的バイオマーカーは、イソバレリルグリシン、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、4−ヒドロキシ馬尿酸塩、グルコン酸塩、グロノ1,4−ラクトン、3−ヒドロキシ馬尿酸塩、酒石酸塩、2−オキシンドール−3−酢酸塩、イソブチリルグリシン、カテコール−硫酸塩、フェニルアセチルグルタミン、コハク酸塩、3−ヒドロキシ酪酸塩(BHBA)、シンナモイルグリシン、イソブチリルカルニチン、3−ヒドロキシフェニル酢酸塩、3−インドキシル−硫酸塩、ソルボース、2−5−フランジカルボン酸、メチル−4−ヒドロキシ安息香酸塩、2−イソプロピルリンゴ酸塩、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、2−メチルブチリルグリシン、パルミトイル−スフィンゴミエリン、フェニルプロピオニルグリシン、β−ヒドロキシピルビン酸塩、チラミン、3−メチルクロトニルグリシン、カルノシン、フルクトースである。
ランダムフォレストの結果は、バイオマーカーを用いることにより、BCA対象が、感度70%、特異性79%、PPV79%、およびNPV70%で血尿対象から区別されたことを実証する。
膀胱癌を病期分類するためのバイオマーカー
膀胱癌の病期分類は、膀胱腫瘍の広がりの程度の指標を提供する。腫瘍病期を用いて、治療オプションを選択し、患者の予後を推定する。膀胱腫瘍の病期分類は、T0(原発腫瘍の証拠がない、一番進行していない状態)〜T4(腫瘍が膀胱を取り囲む脂肪組織を越えて隣接する器官の中に広がっている、最も進行した状態)に及ぶ。膀胱癌の初期段階は、上皮内(CIS)癌として特徴付けることもでき、細胞が異常に増殖しているが、依然として膀胱内に含まれることを意味する。
膀胱癌の病期分類は、膀胱腫瘍の広がりの程度の指標を提供する。腫瘍病期を用いて、治療オプションを選択し、患者の予後を推定する。膀胱腫瘍の病期分類は、T0(原発腫瘍の証拠がない、一番進行していない状態)〜T4(腫瘍が膀胱を取り囲む脂肪組織を越えて隣接する器官の中に広がっている、最も進行した状態)に及ぶ。膀胱癌の初期段階は、上皮内(CIS)癌として特徴付けることもでき、細胞が異常に増殖しているが、依然として膀胱内に含まれることを意味する。
疾患の病期分類および/または進行のバイオマーカーを識別するために、低病期BCA(CIS、T0、T1)の対象21人、高病期BCA(T2〜T4)の対象42人、および正常な対象89人からの尿試料に対してメタボロミクス分析を行った。代謝産物のレベルを決定した後、一元配置分散分析対比を用いてデータを分析し、1)正常対象と比較した低病期膀胱癌、2)正常対象と比較した高病期膀胱癌、および/または3)高病期膀胱癌と比較した低病期膀胱癌との間で異なるバイオマーカーを識別した。識別されたバイオマーカーは、表5に列挙される。
表5は、各バイオマーカーについて、バイオマーカーの生化学名、1)正常対象と比較した低病期BCA、2)正常対象と比較した高病期BCA、3)高病期BCAと比較した低病期BCA、および4)膀胱癌の病歴を持つ対象と比較した膀胱癌(実施例4)におけるバイオマーカーの倍率変化、およびバイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値を含む。表5の列10は、認証基準の組織内化学ライブラリにおけるそのバイオマーカー化合物の内部識別子(CompID)を列挙する。太字の値は、0.1以下のp値を持つ倍率変化を示す。
膀胱癌を監視するためのバイオマーカー
膀胱癌を監視するためのバイオマーカーを識別するために、膀胱癌の病歴があるが、尿採取の時点で膀胱癌の兆候がない対象(HX)119人、および膀胱癌対象66人から尿試料を採取した。メタボロミクス分析を行った。代謝産物のレベルを決定した後、一元配置分散分析対比を用いてデータを分析し、膀胱癌の病歴を持つ患者と正常対象との間で異なるバイオマーカーを識別した。バイオマーカーは、表5、列1、8、9に列挙される。
膀胱癌を監視するためのバイオマーカーを識別するために、膀胱癌の病歴があるが、尿採取の時点で膀胱癌の兆候がない対象(HX)119人、および膀胱癌対象66人から尿試料を採取した。メタボロミクス分析を行った。代謝産物のレベルを決定した後、一元配置分散分析対比を用いてデータを分析し、膀胱癌の病歴を持つ患者と正常対象との間で異なるバイオマーカーを識別した。バイオマーカーは、表5、列1、8、9に列挙される。
表5のバイオマーカーを用いて、対象をBCAまたはHX群に分類するための統計モデルを作成した。ランダムフォレスト分析を用いて、対象を膀胱癌を有するか、または膀胱癌の病歴があるとして分類した。
ランダムフォレストの結果は、試料が83%の予測精度で分類されたことを示した。表6に示される混同行列は、各分類に対して予測される試料数および各群における実際の数(BCAまたはHX)を示す。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、試料が膀胱癌対象に由来するか、または膀胱癌の病歴を持つ対象に由来するか)の推定を示す。このランダムフォレストからのOOBエラー率は、約17%であり、モデルは、新たな対象群に対して用いられるとき、膀胱癌対象の識別が76%の確率で正確に予測され得ること、および膀胱癌の病歴を持つ対象が87%の確率で予測され得ることを推定した。
17%のOOBエラー率に基づいて、作成されたランダムフォレストモデルは、対象からの試料において測定されたバイオマーカーのレベルに基づいて、約83%の精度で膀胱癌を持つ個人から試料が得られたか否かを予測した。群を区別するための例示的バイオマーカーは、3−ヒドロキシフェニル酢酸塩、3−ヒドロキシ馬尿酸塩、3−ヒドロキシ酪酸塩(BHBA)、イソバレリルグリシン、フェニルアセチルグルタミン、ピリドキシン酸塩、2,5−フランジカルボン酸、アラントイン、ピメル酸塩(ヘプタン二酸塩)、乳酸塩、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、カテコール−硫酸塩、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、イソブチリルグリシン、2−ヒドロキシ馬尿酸塩(サリチル尿酸塩)、グルコン酸塩、イミダゾール−プロピオン酸塩、コハク酸塩、α−CEHC−グルクロニド(α−CEHC−glucoronide)、3−インドキシル−硫酸塩、4−ヒドロキシフェニル酢酸塩、アセチルカルニチン、キサンチン、p−クレゾール−硫酸塩、酒石酸塩、4−ヒドロキシ馬尿酸塩、2−イソプロピルリンゴ酸塩、パルミトイル−スフィンゴミエリン、アジピン酸塩、およびN(2)−フロイル−グリシンである。
ランダムフォレストの結果は、バイオマーカーを用いることにより、BCA対象が、感度76%、特異性87%、PPV77%、およびNPV87%でHX対象から区別されたことを実証する。
膀胱癌の組織バイオマーカー
バイオマーカーは、(1)異なるヒト対象群からの組織試料を分析して、試料中の代謝産物のレベルを決定し、次に(2)その結果を統計的に分析して、それらの群に差異的に存在する代謝産物を決定することにより発見された。
バイオマーカーは、(1)異なるヒト対象群からの組織試料を分析して、試料中の代謝産物のレベルを決定し、次に(2)その結果を統計的に分析して、それらの群に差異的に存在する代謝産物を決定することにより発見された。
分析に用いられた試料は、31の対照(良性)試料および98の膀胱癌(腫瘍)であった。
代謝産物のレベルが決定された後、ウェルチの2試料t検定を用いてデータを分析した。膀胱癌のバイオマーカーを識別するために、良性試料を膀胱癌試料と比較した。以下の表7に列挙されるように、名前が挙げられた化合物の分析は、膀胱癌と対照組織との間に差異的に存在するバイオマーカーを識別した。
表7は、各バイオマーカーについて、バイオマーカーの生化学名、非膀胱癌平均レベルと比較した膀胱癌試料中のバイオマーカーの平均レベルの比である、対照試料と比較した膀胱癌のバイオマーカーの倍率変化(BCA/対照)、およびバイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値を含む。表7の列4〜6は、以下を列挙する:認証基準の組織内化学ライブラリにおけるそのバイオマーカー化合物の内部識別子(CompID)、入手可能であれば、京都遺伝子ゲノム百科事典(KEGG)におけるそのバイオマーカー化合物の識別子、および入手可能であれば、ヒトメタボロームデータベース(HMDB)におけるそのバイオマーカー化合物の識別子。
バイオマーカーを用いて、対象を分類するための統計モデルを作成した。ランダムフォレスト分析を用いてバイオマーカーを評価し、試料を膀胱癌または対照として分類した。ランダムフォレストの結果は、試料が84%の予測精度で分類されたことを示す。表8に示される混同行列は、各分類に対して予測される試料数および各群における実際の数(BCAまたは対照)を示す。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、試料がBCA試料であるか、または対照試料であるか)の推定を示す。このランダムフォレストからのOOBエラー率は、約15%であり、モデルは、新たな対象群に対して用いられるとき、表8に示されるように、膀胱癌対象の識別が87%の確率で予測され得ること、および対照対象が77%の確率で正確に予測され得ることを推定した。
16%のOOBエラー率に基づいて、作成されたランダムフォレストモデルは、対象からの試料中のバイオマーカーのレベルを測定することにより、約85%の精度で癌を持つ個人から試料が得られたか否かを予測した。群を区別するための例示的バイオマーカーは、グルコン酸塩、6−ホスホグルコン酸塩、ステアロイルスフィンゴミエリン、myo−イノシトール、グルコース、3−(4−ヒドロキシフェニル)乳酸塩(HPLA)、1−リノレオイルグリセロール(1−モノリノレイン)、pro−ヒドロキシ−pro、γ−グルタミルグルタミン酸塩、クレアチン、5,6−ジヒドロウラシル、ドコサジエン酸塩(22:2n6)、フェニル乳酸塩(PLA)、プロピオニルカルニチン、イソロイシルプロリン、N2−メチルグアノシン、エイコサペンタエン酸塩(EPA20:5n3)、5−メチルチオアデノシン(MTA)、α−グルタミルリシン、3−ホスホグリセリン酸塩、6−ケトプロスタグランジンF1α、ドコサトリエン酸塩(22:3n3)、2−パルミトレオイルグリセロホスホコリン、1−ステアロイルグリセロホスホイノシトール、1−パルミトイルグリセロホスホイノシトール、scyllo−イノシトール、ジホモ−リノレン酸塩(20:2n6)、3−ホスホセリン、ドコサペンタエン酸塩(n6 DPA22:5n6)、および1−パルミトイルグリセロール(1−モノパルミチン)である。
ランダムフォレストの結果は、バイオマーカーを用いることにより、膀胱癌試料が、感度87%、特異性77%、PPV92%、およびNPV65%で対照試料から区別されたことを実証する。
膀胱癌を病期分類するための組織バイオマーカー
膀胱癌の病期分類は、膀胱腫瘍がどこまで広がっているかの指標を提供する。腫瘍病期を用いて、治療オプションを選択し、患者の予後を推定する。膀胱腫瘍の病期分類は、T0(原発腫瘍の証拠がない、一番進行していない状態)〜T4(腫瘍が膀胱を取り囲む脂肪組織を越えて隣接する器官の中に広がっている、最も進行した状態)に及ぶ。
膀胱癌の病期分類は、膀胱腫瘍がどこまで広がっているかの指標を提供する。腫瘍病期を用いて、治療オプションを選択し、患者の予後を推定する。膀胱腫瘍の病期分類は、T0(原発腫瘍の証拠がない、一番進行していない状態)〜T4(腫瘍が膀胱を取り囲む脂肪組織を越えて隣接する器官の中に広がっている、最も進行した状態)に及ぶ。
疾患の病期分類および/または進行のバイオマーカーを識別するために、17人の低病期BCA(T0a、T1)対象、31人の高病期BCA(T2〜T4)対象からの組織試料、および44の良性(対照)組織試料に対してメタボロミクス分析を行った。代謝産物のレベルを決定した後、ウェルチの2試料t検定を用いてデータを分析し、1)高病期膀胱癌と比較した低病期膀胱癌、2)対照と比較した低病期膀胱癌、および3)対照と比較した高病期膀胱癌との間で異なるバイオマーカーを識別した。バイオマーカーは、表9に列挙される。
表9は、各バイオマーカーについて、バイオマーカーの生化学名、1)低病期膀胱癌と比較した高病期膀胱癌(T2〜T4/T0a〜T1)、2)良性と比較した低病期膀胱癌(T0a〜T1/良性)、3)良性と比較した高病期膀胱癌(T2〜T4/良性)におけるバイオマーカーの倍率変化(FC)、およびバイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値を含む。表9の列8〜10は、以下を列挙する:認証基準の組織内化学ライブラリにおけるそのバイオマーカー化合物の内部識別子(CompID)、入手可能であれば、京都遺伝子ゲノム百科事典(KEGG)におけるそのバイオマーカー化合物の識別子、および入手可能であれば、ヒトメタボロームデータベース(HMDB)におけるそのバイオマーカー化合物の識別子。太字の値は、0.1以下のp値を持つ倍率変化を示す。
バイオマーカーを用いて、対象を分類するための統計モデルを作成した。ランダムフォレスト分析を用いて表9のバイオマーカーを評価し、試料を低病期膀胱癌または高病期膀胱癌として分類した。ランダムフォレストの結果は、試料が83%の予測精度で分類されたことを示す。表10に示される混同行列は、各分類に対して予測される試料数および各群における実際の数(BCA高またはBCA低)を示す。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、試料が低病期膀胱癌を持つ対象に由来するか、または高病期膀胱癌を持つ対象に由来するか)の推定を示す。このランダムフォレストからのOOBエラー率は、約17%であり、モデルは、新たな対象群に対して用いられるとき、表10に示されるように、高病期膀胱癌対象の識別が84%の確率で予測され得ること、および低病期膀胱癌対象が82%の確率で正確に予測され得ることを推定した。
17%のOOBエラー率に基づいて、作成されたランダムフォレストモデルは、対象からの試料中のバイオマーカーのレベルを測定することにより、約83%の精度でRCCを持つ個人から試料が得られたか否かを予測した。群を区別するための例示的バイオマーカーは、パルミトイルエタノールアミド、パルミトイルスフィンゴミエリン、トロンボキサンB2、ビリルビン(Z,Z)、アドレナート(22:4n6)、C−グリコシルトリプトファン、メチル−α−グルコピラノシド、メチルリン酸塩、3−ヒドロキシデカン酸塩、3−ヒドロキシオクタン酸塩、4−ヒドロキシフェニルピルビン酸塩、N−アセチルトレオニン、1−アラキドノイルグリセロホスホイノシトール(20:4)、5,6−ジヒドロチミン、2−ヒドロキシパルミチン酸塩、補酵素A、N−アセチルセリン、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)、ドコサトリエン酸塩(22:3n3)、グルタチオン還元(GSH)、プロスタグランジンA2、グルタミン、グルタミン酸γ−メチルエステル、ドコサペンタエン酸塩(n6 DPA 22:5n6)、グリコケノデオキシコール酸塩、ヘキサノイルカルニチン、アラキドン酸塩(20:4n6)、pro−ヒドロキシ−pro、ドコサヘキサエン酸塩(DHA 22:6n3)、およびラウリルカルニチンである。
ランダムフォレスト分析は、バイオマーカーを用いることにより、RCC対象が、感度84%、特異性82%、PPV90%、およびNPV74%で正常対象から区別されたことを実証する。
膀胱癌を識別するためのバイオマーカーパネルおよび数理モデル
別の実施例では、5つの例示的バイオマーカーの一団を選択して、膀胱癌を識別し、この一団は、表1および/または5で識別されたバイオマーカーから選択された。識別されたバイオマーカーは、BCAと比較個人群のそれぞれとの間で異なるレベルで存在した(すなわち、BCAを正常、HX、血尿、RCC、およびPCAと比較)。例えば、乳酸塩、パルミトイルスフィンゴミエリン、コリンリン酸塩、コハク酸塩、およびアデノシンは、膀胱癌を持つ対象を、正常、HX、血尿、RCC、およびPCA対象から区別するための有意なバイオマーカーであった。これらの分析に用いられたバイオマーカー化合物のすべては、統計的に有意であった(p<0.05)。表11は、列挙される各バイオマーカーについて、バイオマーカーの生化学名、1)正常対象と比較した膀胱癌対象(BCA/NORM)、2)膀胱癌の病歴を持つ対象と比較した膀胱癌対象(BCA/HX)、3)血尿のある対象と比較した膀胱癌対象(BCA/HEM)、4)腎癌対象と比較した膀胱癌対象(BCA/RCC)、5)前立腺癌対象と比較した膀胱癌対象(BCA/PCA)におけるバイオマーカーの倍率変化、および正常対象と比較したBCAについて、バイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値を含む。
別の実施例では、5つの例示的バイオマーカーの一団を選択して、膀胱癌を識別し、この一団は、表1および/または5で識別されたバイオマーカーから選択された。識別されたバイオマーカーは、BCAと比較個人群のそれぞれとの間で異なるレベルで存在した(すなわち、BCAを正常、HX、血尿、RCC、およびPCAと比較)。例えば、乳酸塩、パルミトイルスフィンゴミエリン、コリンリン酸塩、コハク酸塩、およびアデノシンは、膀胱癌を持つ対象を、正常、HX、血尿、RCC、およびPCA対象から区別するための有意なバイオマーカーであった。これらの分析に用いられたバイオマーカー化合物のすべては、統計的に有意であった(p<0.05)。表11は、列挙される各バイオマーカーについて、バイオマーカーの生化学名、1)正常対象と比較した膀胱癌対象(BCA/NORM)、2)膀胱癌の病歴を持つ対象と比較した膀胱癌対象(BCA/HX)、3)血尿のある対象と比較した膀胱癌対象(BCA/HEM)、4)腎癌対象と比較した膀胱癌対象(BCA/RCC)、5)前立腺癌対象と比較した膀胱癌対象(BCA/PCA)におけるバイオマーカーの倍率変化、および正常対象と比較したBCAについて、バイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値を含む。
次に、表11のバイオマーカーを、リッジロジスティック回帰分析に基づいて、数理モデルで用いた。リッジ回帰法は、疾患と関連付けられるバイオマーカー化合物を評価するため、および個人を、例えば、BCAを有するか、またはBCAを有しない、BCAを有するか、または正常である(癌を有しない)、BCAを有するか、または血尿を有する、BCAを有するか、またはBCAの病歴を有するとして分類するために有用なバイオマーカー化合物を評価するために有用な統計モデルを構築する。表11で識別される5つのバイオマーカーの予測性能(例えば、試料を癌または非癌として正確に分類するための数理モデルの能力)を、リッジロジスティック回帰分析を用いて決定した。表12は、順序変更されたAUC(すなわち、帰無仮説のAUC)と比較して、膀胱癌の5つのバイオマーカーのAUCを示す。順序変更されたAUCの平均は、偶然によってのみ得られるAUCの期待値を表す。すべての比較について、表11に列挙される5つのバイオマーカーは、その比較に対して真の関連を有しない5つの代謝産物(すなわち、ランダムに選択された5つのバイオマーカー)により達成されるよりも高い精度で膀胱癌を予測した。得られる受信者動作特性(ROC)曲線のグラフ図を図4に示す。
別の実施例では、7つの例示的バイオマーカーの一団を選択して、膀胱癌を識別し、この一団は、表1および/または5で識別されたバイオマーカーから選択された。識別されたバイオマーカーは、表13に示されるように、BCAと比較個人群のそれぞれとの間で異なるレベルで存在した(すなわち、BCAを正常、HX、血尿と比較)。例えば、1,2プロパンジオール、アジピン酸塩、アンセリン、3−ヒドロキシ酪酸塩(BHBA)、ピリドキシン酸塩、アセチルカルニチン、および2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)は、膀胱癌を持つ対象を、正常、HX、および血尿対象から区別するための有意な(p<0.05)バイオマーカーであった。これらの分析に用いられたバイオマーカー化合物のすべては、統計的に有意であった(p<0.05)。表13は、列挙される各バイオマーカーについて、バイオマーカーの生化学名、1)正常対象と比較した膀胱癌対象(BCA/正常)、2)膀胱癌の病歴を持つ対象と比較した膀胱癌対象(BCA/HX)、および3)血尿のある対象と比較した膀胱癌対象(BCA/HEM)におけるバイオマーカーの倍率変化を含む。
次に、表13のバイオマーカーを、リッジロジスティック回帰分析に基づいて、数理モデルで用いた。リッジ回帰法は、疾患と関連付けられるバイオマーカー化合物を評価するため、および個人を、例えば、BCAを有するか、または正常である(癌を有しない)、BCAを有するか、または血尿を有する、BCAを有するか、またはBCAの病歴を有するとして分類するために有用なバイオマーカー化合物を評価するために有用な統計モデルを構築する。表13で識別される7つのバイオマーカーの予測性能(例えば、試料を癌または非癌として正確に分類するための数理モデルの能力)を、リッジロジスティック回帰分析を用いて決定した。膀胱癌の7つのバイオマーカーのAUCは、0.849[95%CI,0.794〜0.905]。ROC曲線のグラフ図を図5に示す。すべての比較について、表13に列挙される7つのバイオマーカーは、その比較に対して真の関連を有しない5つの代謝産物により達成されるよりも高い精度で膀胱癌を予測した。
別の実施例では、例示的バイオマーカーの一団を選択して、表11に列挙される5つのバイオマーカーのサブセット、および表13に列挙される7つのバイオマーカーを、表1および/または5で識別される1つ以上の例示的バイオマーカーと組み合わせて用いて、膀胱癌対象および非膀胱癌対象を識別した。この実施例では、キヌレニンを表1および/または5からの1つの例示的バイオマーカーとして選択した(キヌレニンは表1および5の両方にある)。したがって、得られるマーカーの一団は、13の列挙される代謝産物:乳酸塩、パルミトイルスフィンゴミエリン、コリンリン酸塩、コハク酸塩、アデノシン、1,2プロパンジオール、アジピン酸塩、アンセリン、3−ヒドロキシ酪酸塩、ピリドキシン酸塩、アセチルカルニチン、AHB、およびキヌレニンを含んでいた。
次に、13のバイオマーカーを、リッジロジスティック回帰分析に基づいて、数理モデルで用いた。リッジ回帰法を用いて、疾患と関連付けられるバイオマーカー化合物を評価するため、および個人を、例えば、BCAを有するか、または癌を有しない(すなわち、正常、血尿、またはBCAの病歴)として分類するために有用なバイオマーカー化合物を評価するために有用な統計モデルを構築した。乳酸塩、パルミトイルスフィンゴミエリン、コリンリン酸塩、コハク酸塩、アデノシン、1,2プロパンジオール、アジピン酸塩、アンセリン、3−ヒドロキシ酪酸塩、ピリドキシン酸塩、アセチルカルニチン、AHB、またはキヌレニンからなる群から選択される2つ以上のバイオマーカーからなる13個のバイオマーカーの様々な組み合わせの予測性能を、リッジロジスティック回帰分析を用いて決定した。膀胱癌のバイオマーカーの複数団のAUCは、2つのバイオマーカーモデルの場合の0.85から10〜12個のバイオマーカーからなるモデルの場合の0.9の範囲であった。リッジモデルを用いてパネルについて得られたAUCのグラフ図を図6に示す。
別の実施例では、11個の例示的バイオマーカーの一団を選択して、対象における膀胱癌または血尿を識別した。この実施例では、バイオマーカー団は、チラミン、パルミトイルスフィンゴミエリン、コリンリン酸塩、アデノシン、1,2プロパンジオール、アジピン酸塩、BHBA、アセチルカルニチン、AHB、キサンツレン酸塩、およびコハク酸塩からなる。11個のバイオマーカーの予測性能(すなわち、試料を癌または血尿として正確に分類するための数理モデルの能力)を、リッジロジスティック回帰分析を用いて決定した。11個のバイオマーカーのAUCは、0.886であった[95%CI,0.831〜0.941]。ROC曲線のグラフ図を図7に示す。すべての比較について、11個のバイオマーカーは、その比較に対して真の関連を有しない代謝産物により達成されるよりも高い精度で膀胱癌を予測した。
次に、11個のバイオマーカーを、リッジロジスティック回帰分析に基づいて、数理モデルで用いた。リッジ回帰法は、疾患と関連付けられるバイオマーカー化合物を評価するため、および個人を、例えば、BCAを有するか、または血尿を有するとして分類するために有用なバイオマーカー化合物を評価するために有用な統計モデルを構築する。チラミン、パルミトイルスフィンゴミエリン、コリンリン酸塩、アデノシン、1,2プロパンジオール、アジピン酸塩、BHBA、アセチルカルニチン、AHB、キサンツレン酸塩、およびコハク酸塩からなる群から選択される2つ以上のバイオマーカーからなる11個のバイオマーカーの様々な組み合わせの予測性能(すなわち、試料を癌または血尿として正確に分類するための数理モデルの能力)を、リッジロジスティック回帰分析を用いて決定した。膀胱癌のバイオマーカーのパネルのAUCは、2つのバイオマーカーモデルの場合の0.82から8〜12個のバイオマーカーからなるモデルの場合の0.886の範囲であった。リッジモデルを用いてパネルについて得られたAUCのグラフ図を図8に示す。
膀胱癌の進行/退縮を監視するためのアルゴリズム
膀胱癌のバイオマーカーを用いて、対象における膀胱癌の進行/退縮を監視するためのアルゴリズムを開発することができる。このアルゴリズムは、表1、5、7、9、11、および/または13からの代謝産物バイオマーカーの一団に基づいて、新たな患者群に対して用いられるとき、患者の膀胱癌の進行/退縮を評価および監視する。このバイオマーカーアルゴリズムの結果を用いて、腫瘍内科医は、手術(例えば、経尿道的切除術、根治的膀胱切除術、または膀胱区域切除術)、薬物治療、または慎重な経過観察手法のリスクと利益を評価することができる。
膀胱癌のバイオマーカーを用いて、対象における膀胱癌の進行/退縮を監視するためのアルゴリズムを開発することができる。このアルゴリズムは、表1、5、7、9、11、および/または13からの代謝産物バイオマーカーの一団に基づいて、新たな患者群に対して用いられるとき、患者の膀胱癌の進行/退縮を評価および監視する。このバイオマーカーアルゴリズムの結果を用いて、腫瘍内科医は、手術(例えば、経尿道的切除術、根治的膀胱切除術、または膀胱区域切除術)、薬物治療、または慎重な経過観察手法のリスクと利益を評価することができる。
このバイオマーカーアルゴリズムを用いて、表1、5、7、9、11、および/または13で識別された膀胱癌のバイオマーカーの一団のレベルを監視することができる。
薬物標的の識別および該標的を用いる薬物スクリーニング
膀胱癌の薬物標的を識別するために、膀胱癌を有しない対象から採取した10個の対照尿試料、および膀胱癌(尿路上皮移行細胞癌)を有する対象からの10個の尿試料を分析して、試料中の代謝産物のレベルを決定し、次にその結果を、一変量T検定(すなわち、ウェルチの検定)を用いて統計的に分析して、2つの群において差異的に存在する代謝産物を決定した後、差異的に存在する代謝産物の代謝経路を生物学的文脈において分析して、関連付けられた代謝産物、酵素、および/またはタンパク質を識別した。
膀胱癌の薬物標的を識別するために、膀胱癌を有しない対象から採取した10個の対照尿試料、および膀胱癌(尿路上皮移行細胞癌)を有する対象からの10個の尿試料を分析して、試料中の代謝産物のレベルを決定し、次にその結果を、一変量T検定(すなわち、ウェルチの検定)を用いて統計的に分析して、2つの群において差異的に存在する代謝産物を決定した後、差異的に存在する代謝産物の代謝経路を生物学的文脈において分析して、関連付けられた代謝産物、酵素、および/またはタンパク質を識別した。
差異的に存在する代謝産物と関連付けられた代謝産物、酵素、および/またはタンパク質は、膀胱癌の薬物標的を表す。対照(非BCA)対照に対して膀胱癌対象において異常な(より高いまたは低い)代謝産物のレベルを調節してそれらを正常範囲内にすることができ、それは治療的であり得る。関連付けられた代謝経路に関与するこのような代謝産物または酵素、ならびに細胞内および細胞間の輸送に関与するタンパク質は、治療剤の標的を提供することができる。
例えば、膀胱癌は、トリカルボン酸回路(TCA)における生化学的中間体、ならびに主要なATP生成経路のすべてと関連付けられる生化学物質の変化したレベルと関連付けられる。この実施例では、膀胱癌のある対象は、変化したTCA回路中間体を有し、イソクエン酸塩およびその中間下流代謝産物に対する顕著な効果を伴うことが見出された。イソクエン酸のレベルは、膀胱癌対象の尿中で統計的に有意に高いことが見出された。したがって、尿中のイソクエン酸塩のレベルを調節することができる薬剤が、治療剤であり得る。例えば、該薬剤は、イソクエン酸塩の生合成を減少させることにより、尿中のイソクエン酸塩レベルを調節してもよい。膀胱癌は、クエン酸塩とスクシニル−coA、特にイソクエン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、および2つのTCAα−ケトグルタル酸塩由来の代謝産物2−ヒドロキシグルタル酸塩およびグルタミン酸塩の間のTCA回路中間体に対しても顕著な効果を有した。これらの結果は、図9において図表で描かれ、TCA回路を示す。対照個人および膀胱癌患者から採取された尿中で測定された生化学物質のレベルは、ボックスプロットで示される。
TCA回路に加えて、膀胱癌症例からの尿代謝産物プロファイルは、すべての主要ATP生成経路が膀胱癌において変化したことを示唆した。増加した乳酸塩/ピルビン酸塩比は、膀胱癌患者においてグルコースのワールブルク様利用があることを示唆した。増加したケトン体生成は、これらの患者において脂肪酸β酸化が増加することを示唆した。最後に、分岐鎖アシルカルニチンおよびアシルグリシンの存在度の減少は、この経路が、膀胱癌患者において差異的に関与することを示す。解糖、分岐鎖アミノ酸異化、および脂肪酸酸化の活性を伝える代謝産物は、対照集団と比較して、膀胱癌症例においてすべて変化した。分岐鎖アシルカルニチンは、分岐鎖アシルCoA化合物のための代用として示された。これらの変化は、図10に示されるボックスプロットにより説明される。
膀胱癌のバイオマーカーの識別は、治療化合物をスクリーニングするために有用であり得る。例えば、表1、5、7、9、11、および13で識別される膀胱癌を有する対象において異常なイソクエン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、または任意のバイオマーカー(複数可)は、多様な薬物スクリーニング技術において用いることができる。
薬物スクリーニングの1つの例示的方法は、膀胱癌細胞などの原核または真核宿主細胞を利用する。この予言的な実施例では、細胞を96ウェルプレートに載せる。NIH Clinical Collection Library(BioFocus DPIから入手可能)からの試験化合物の存在下、50μMの最終濃度で試験ウェルを培養する。負の対照ウェルは、添加を受けないか、または媒体化合物(例えば、DMSO)を用いて、試験化合物溶液の一部に存在する濃度と等しい濃度で培養する。24時間の培養後、試験化合物溶液を除去し、代謝産物を細胞から抽出して、一般的な方法の項で説明さたようにイソクエン酸塩レベルを測定する。細胞中のイソクエン酸レベルを低下させる薬剤は、治療的であると考慮する。
本発明は、詳細にその特定の実施形態を参照して説明されたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を行うことができることが当業者に明らかとなるであろう。
Claims (36)
- 対象が膀胱癌を有するか否かを決定する、または決定を補助する方法であって、
対象からの生体試料を分析して、前記試料中の、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記対象が膀胱癌を有するか否かを決定するために、前記試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陽性および/または膀胱癌陰性基準レベルと比較することと、を含む、方法。 - 前記試料が、質量分析法、ELISA、および抗体結合からなる群から選択される1つ以上の技法を用いて分析される、請求項1に記載の方法。
- 前記方法が、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される1つ以上のバイオマーカーまたは測定値を含む数理モデルを用いて、前記対象および前記対象からの生体試料を分析することを含む、請求項2に記載の方法。
- 前記1つ以上のバイオマーカーが、アンセリン、ピリドキシン酸塩、アジピン酸塩、キサンツレン酸塩、1,2−プロパンジオール、コリンリン酸塩、アセチルカルニチン、3−ヒドロキシ酪酸塩(BHBA)、パルミトイルスフィンゴミエリン、チラミン、乳酸塩、コハク酸塩、アデノシン、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、キヌレニン、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、3−ヒドロキシフェニル酢酸塩、2−ヒドロキシ馬尿酸塩(サリチル尿酸塩)、3−インドキシル−硫酸塩、フェニルアセチルグルタミン、p−クレゾール−硫酸塩、3−ヒドロキシ馬尿酸塩、イタコン酸メチレンコハク酸塩、コルチゾール、イソブチリルグリシン、グルコン酸塩、キサンツレン酸塩、グロノ1,4−ラクトン、シンナモイルグリシン、2−オキシンドール−3−酢酸塩、α−CEHC−グルクロニド、カテコール−硫酸塩、γ−グルタミルフェニルアラニン、2−イソプロピルリンゴ酸塩、4−ヒドロキシフェニル酢酸塩、イソバレリルグリシン、カルニチン、酒石酸塩、6−ホスホグルコン酸塩、ステアロイルスフィンゴミエリン、myo−イノシトール、グルコース、3−(4−ヒドロキシフェニル)乳酸塩、1−リノレオイルグリセロール(1−モノリノレイン)、pro−ヒドロキシ−pro、γ−グルタミルグルタミン酸塩、クレアチン、5,6−ジヒドロウラシル、ドコサジエン酸塩(22:2n6)、フェニル乳酸塩(PLA)、プロピオニルカルニチン、イソロイシルプロリン、N2−メチルグアノシン、エイコサペンタエン酸塩(eicosapentanenoate)(EPA20:5n3)、5−メチルチオアデノシン(MTA)、α−グルタミルリシン、3−ホスホグリセリン酸塩、6−ケトプロスタグランジンF1α、ドコサトリエン酸塩(22:3n3)、2−パルミトレオイルグリセロホスホコリン、1−ステアロイルグリセロホスホイノシトール、1−パルミトイルグリセロホスホイノシトール、scyllo−イノシトール、ジホモ−リノール酸塩(20:2n6)、3−ホスホセリン、ドコサペンタエン酸塩(n6 DPA 22:5n6)、1−パルミトイルグリセロール、および(1−モノパルミチン)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記対象が、血尿を有し、前記1つ以上のバイオマーカーが、表1、7、11、および/または13から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記1つ以上のバイオマーカーが、アンセリン、ピリドキシン酸塩、アジピン酸塩、キサンツレン酸塩、1,2−プロパンジオール、コリンリン酸塩、アセチルカルニチン、3−ヒドロキシ酪酸塩(BHBA)、パルミトイルスフィンゴミエリン、チラミン、乳酸塩、イソバレリルグリシン、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、4−ヒドロキシ馬尿酸塩、グルコン酸塩、グロノ1,4−ラクトン、3−ヒドロキシ馬尿酸塩、酒石酸塩、2−オキシンドール−3−酢酸塩、イソブチリルグリシン、カテコール硫酸塩、フェニルアセチルグルタミン、コハク酸塩、シンナモイルグリシン、イソブチリルカルニチン、3−ヒドロキシフェニル酢酸塩、3−インドキシル硫酸塩、ソルボース、2,5−フランジカルボン酸、メチル−4−ヒドロキシ安息香酸塩、2−イソプロピルリンゴ酸塩、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、2−メチルブチリルグリシン、フェニルプロピオニルグリシン、β−ヒドロキシピルビン酸塩、3−メチルクロトニルグリシン、カルノシン、フルクトース、アデノシン、およびキヌレニンからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
- 前記対象が、膀胱癌の病歴を有し、前記1つ以上のバイオマーカーが、表1、7、11、および/または13から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記1つ以上のバイオマーカーが、アンセリン、ピリドキシン酸塩、アジピン酸塩、キサンツレン酸塩、1,2−プロパンジオール、コリンリン酸、アセチルカルニチン、3−ヒドロキシ酪酸塩(BHBA)、パルミトイルスフィンゴミエリン、チラミン、乳酸塩、3−ヒドロキシフェニル酢酸塩、3−ヒドロキシ馬尿酸塩、イソバレリルグリシン、フェニルアセチルグルタミン、2,5−フランジカルボン酸、アラントイン、ピメル酸塩(ヘプタンジオン酸塩)、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、カテコール−硫酸塩、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、イソブチリルグリシン、2−ヒドロキシ馬尿酸塩(サリチル尿酸塩)、グルコン酸塩、イミダゾール−プロピオン酸塩、コハク酸塩、α−CEHC−グルクロニド、3−インドキシル−硫酸塩、4−ヒドロキシフェニル酢酸塩、キサンチン、p−クレゾール−硫酸塩、酒石酸塩、4−ヒドロキシ馬尿酸塩、2−イソプロピルリンゴ酸塩、N(2)−フロイル−グリシン、アデノシン、およびキヌレニンからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
- 前記対象が、泌尿器科癌の病歴を有し、前記バイオマーカーが、表1、7、11、および/または13から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記1つ以上のバイオマーカーが、アンセリン、ピリドキシン酸塩、アジピン酸塩、キサンツレン酸塩、1,2−プロパンジオール、コリンリン酸塩、アセチルカルニチン、3−ヒドロキシ酪酸塩(BHBA)、パルミトイルスフィンゴミエリン、チラミン、乳酸塩、イミダゾール−プロピオン酸塩、3−インドキシル−硫酸塩、フェニルアセチルグリシン、コリン、メチル−インドール−3−酢酸塩、β−アラニン、2−ヒドロキシイソブチル酸塩、コハク酸塩、4−アンドロステン−3β,17β−ジオール二硫酸塩2,4−ヒドロキシフェニル酢酸塩、グリセロール、ウラシル、グロノ1,4−ラクトン、フェノール硫酸塩、ジメチルアルギニン(ADMA+SDMA)、シクロ−グリ−プロ、スクロース、アデノシン、セリン、アゼライン酸塩(ノナンジオン酸塩)、トレオニン、プレグナンジオール−3−グルクロニド、エタノールアミン、グルコン酸塩、N6−メチルアデノシン、N−メチル−プロリン、グリシン、およびグルコース6−リン酸塩(G6P)、2−ヒドロキシ酪酸塩およびキヌレニンからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
- 前記方法が、表1、7、11、および/または13から選択される1つ以上のバイオマーカーまたは測定値を含む数理モデルを用いて、前記対象および前記対象からの生体試料を分析することを含む、請求項5、7、および9のいずれかに記載の方法。
- 膀胱癌を有する対象の膀胱癌の病期を決定する方法であって、
対象からの生体試料を分析して、前記試料中の、表5および/または9から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記膀胱癌の前記病期を決定するために、前記試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの高病期膀胱癌および/または低病期膀胱癌基準レベルと比較することと、を含む、方法。 - 前記1つ以上のバイオマーカーが、アンセリン、ピリドキシン酸塩、アジピン酸塩、キサンツレン酸塩、1,2−プロパンジオール、コリンリン酸塩、アセチルカルニチン、3−ヒドロキシ酪酸塩(BHBA)、パルミトイルスフィンゴミエリン、チラミン、乳酸塩、パルミトイルエタノールアミド、トロンボキサンB2、ビリルビン(Z,Z)、アドレナート(22:4n6)、C−グリコシルトリプトファン、メチル−α−グルコピラノシド、メチルリン酸塩、3−ヒドロキシデカン酸塩、3−ヒドロキシオクタン酸塩、4−ヒドロキシフェニルピルビン酸塩、N−アセチルトレオニン、1−アラキドノイルグリセロホスホイノシトール、5,6−ジヒドロチミン、2−ヒドロキシパルミチン酸塩、補酵素A、N−アセチルセリオン、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)、ドコサトリエン酸塩(22:3n3)、グルタチオン還元(GSH)、プロスタグランジンA2、グルタミン、グルタミン酸γ−メチルエステル、ドコサペンタエン酸塩(n6 DPA 22:5n6)、グリコケノデオキシコール酸塩、ヘキサノイルカルニチン、アラキドン酸塩(20:4n6)、pro−ヒドロキシ−pro、ドコサヘキサエン酸塩(DHA 22:6n3)、ラウリルカルニチン、コハク酸塩、アデノシン、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、およびキヌレニンからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
- 数理モデルを用いて、膀胱癌を有する対象の膀胱癌の病期を決定する、請求項12に記載の方法。
- 泌尿器科癌と診断された対象において、膀胱癌を前立腺癌から区別することを補助する方法であって、
対象からの生体試料を分析して、前記試料中の、表1および/または11から選択される膀胱癌対前立腺癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記対象における膀胱癌と前立腺癌とを区別するために、前記試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌対前立腺癌基準レベルと比較することと、を含む、方法。 - 数理モデルを用いて、泌尿器科癌と診断された対象において、膀胱癌を前立腺癌から区別することを補助する、請求項15に記載の方法。
- 泌尿器科癌と診断された対象において、膀胱癌を腎癌から区別することを補助する方法であって、
対象からの生体試料を分析して、前記試料中の、表1および/または11から選択される膀胱癌対腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記対象における膀胱癌と腎癌とを区別するために、前記試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌対腎癌基準レベルと比較することと、を含む、方法。 - 数理モデルを用いて、泌尿器科癌と診断された対象において、膀胱癌を腎癌から区別することを補助する、請求項17に記載の方法。
- 対象が膀胱癌を発症する性質にあるか否かを決定する、または決定を補助する方法であって、
対象からの生体試料を分析して、前記試料中の、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記対象が膀胱癌を発症する性質にあるか否かを決定するために、前記試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陽性および/または膀胱癌陰性基準レベルと比較することと、を含む、方法。 - 対象における膀胱癌の進行/退縮を監視する方法であって、
対象からの第1の生体試料であって、前記対象から第1の時点で得られる、第1の試料を分析して、前記試料中の、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
対象からの第2の生体試料であって、前記対象から第2の時点で得られる、第2の試料を分析して、前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記対象における膀胱癌の前記進行/退縮を監視するために、前記第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記第2の試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)と比較することと、を含む、方法。 - 前記方法が、前記第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)、前記第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)、ならびに/または前記第1および第2の試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)の前記比較の結果を、前記1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陽性および/または膀胱癌陰性基準レベルと比較することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
- 前記方法が、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される1つ以上のバイオマーカーまたは測定値を含む数理モデルを用いて、前記対象および前記対象からの生体試料を分析することを含む、請求項21に記載の方法。
- BCAスコアを決定することが、その方法を補助する、請求項1〜22のうちのいずれかに記載の方法。
- 膀胱癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法であって、
膀胱癌を有する、および前記組成物で現在または以前に治療されている対象からの生体試料を分析して、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、(a)前記対象から以前に採取された生体試料であって、前記組成物で治療される前に前記対象から得られた生体試料中の前記1つ以上のバイオマーカーのレベル、(b)前記1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陽性基準レベル、および/または(c)前記1つ以上のバイオマーカーの膀胱癌陰性基準レベルと比較することを含む、方法。 - 前記方法が、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される1つ以上のバイオマーカーまたは測定値を含む数理モデルを用いて、前記対象および前記対象からの生体試料を分析することを含む、請求項24に記載の方法。
- 膀胱癌を治療することにおける組成物の有効性を評価する方法であって、
対象からの第1の生体試料であって、前記対象から第1の時点で得られる前記第1の試料を分析して、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記組成物を前記対象に投与することと、
前記対象からの第2の生体試料であって、前記組成物の投与後の第2の時点で前記対象から得られる前記第2の試料を分析して、前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
膀胱癌を治療するための前記組成物の前記有効性を評価するために、前記第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記第2の試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)と比較することと、を含む、方法。 - 前記方法が、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される1つ以上のバイオマーカーまたは測定値を含む数理モデルを用いて、前記対象および前記対象からの生体試料を分析することを含む、請求項26に記載の方法。
- 膀胱癌を治療するための2つ以上の組成物の相対的有効性を評価する方法であって、
膀胱癌を有する、および第1の組成物で現在または以前に治療されている第1の対象からの第1の生体試料を分析して、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
膀胱癌を有する、および第2の組成物で現在または以前に治療されている第2の対象からの第2の生体試料を分析して、前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
膀胱癌を治療するための前記第1および第2の組成物の前記相対的有効性を評価するために、前記第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記第2の試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)と比較することと、を含む、方法。 - 前記方法が、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される1つ以上のバイオマーカーまたは測定値を含む数理モデルを用いて、前記対象および前記対象からの生体試料を分析することを含む、請求項28に記載の方法。
- 膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーを調節することにおける活性のための組成物をスクリーニングするための方法であって、
1つ以上の細胞を組成物と接触させることと、
前記1つ以上の細胞または前記細胞と関連付けられた生体試料の少なくとも一部分を分析して、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を決定することと、
前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記バイオマーカーの所定の標準レベルと比較して、前記組成物が、前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を調節したか否かを決定することと、を含む、方法。 - 前記バイオマーカーの前記所定の標準レベルが、前記組成物の非存在下で、前記1つ以上の細胞中の前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)である、請求項30に記載の方法。
- 前記バイオマーカーの前記所定の標準レベルが、前記組成物と接触していない1つ以上の対照細胞中の前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)である、請求項30に記載の方法。
- 前記方法が、インビボで行われる、請求項30に記載の方法。
- 前記方法が、インビトロで行われる、請求項30に記載の方法。
- 膀胱癌の潜在的な薬物標的を識別するための方法であって、
表1、5、7、9、11、および/または13から選択される膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーと関連付けられた1つ以上の生化学的経路を識別することと、
前記1つ以上の識別された生化学的経路のうちの少なくとも1つに作用するタンパク質であって、膀胱癌の潜在的な薬物標的であるタンパク質を識別することと、を含む、方法。 - 膀胱癌を有する対象において減少する、表1、5、7、9、11、および/または13から選択される有効な量の1つ以上のバイオマーカーを前記対象に投与することを含む、膀胱癌を有する対象を治療するための方法。
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