JP2014521514A - 圧延冶金製品のためのピンチロール装置 - Google Patents

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Abstract

圧延冶金製品のためのピンチロール装置(1)が、
通路間隙(5)が間に形成された第1のピンチロールおよび第2のピンチロール(2、3)において、上記間隙(5)に通して上記圧延冶金製品(10)を引抜き加工するためにそれぞれ第1の回転軸、第2の回転軸(Y1、Y2)の回りに回転可能である第1のピンチロールおよび第2のピンチロール(2、3)と、
上記通路間隙(5)の幅を狭め、または広げるために、上記第1および第2のロール(2、3)を相互に接近および離間させるように上記第1のロール(2)および/または第2のロール(3)に接続された油圧アクチュエータ(21、42、43)を含んだ油圧アクチュエータ(21、41)と、
上記油圧回路(20)における圧力センサ(25)と、
上記アクチュエータ(21)における位置センサ(24)と、
第1のロール(2)および/または第2のロール(3)に接続されているピストン(22)を摺動式に動かすようにアクチュエータ(21、42、43)に接続される、上記油圧回路(20、41)における可逆ポンプ(9)とを備える。

Description

本発明は、圧延冶金製品のためのピンチロール装置に関する。
ワイヤロッドなどの半完成品の冶金製品のためのライン工程の技術分野では、ロール間の距離と、圧延時にロールによって製品に加えられる圧力の両方を監視するためのシステムを備えるピンチロール装置を使用することが知られている。
前述のタイプの装置の中で、例えば、特許文献1に記載されているものが知られている。そこでは、上記ロールは単一の電気比例モータに接続された2つのクランクにそれぞれ接続されている。制御された比例モータの回転により、2つのクランクによって、2つのロールの一定方向への相互接近と、それと反対の方向への離間が制御される。機械加工されている製品がロール間に存在すると、2つのクランクを介した比例モータによって、各ロールのもう一方のロールに対する推力を調節することが可能になり、したがって圧延されている製品上へのロールによって加えられる圧力を調節することも可能になる。
特許文献1に記述されている装置は、その構造的な複雑さと、サーボモータとロールの間にある伝動用チェーンにおける不可避のバックラッシュの存在とによって生じる、一連の欠点を有する。バックラッシュの存在は、サーボモータをロールに接続するために選択された機械式部材のタイプおよび数によって決まる。したがって、待機ステップ(waiting step)時すなわち圧延される製品がロール間に存在しない場合と、作動ステップ(working step)時すなわち圧延される製品がロールと接触している場合の両方で、かかる装置によってロール間の距離を効果的に制御することはできない。作動ステップ中、ロール間の距離が電気機械式の部材を備える機構だけによって調節される特許文献1に記載されているものと同様の装置では、製品とロールとの接触によって引き起こされる動的な応力によって、ロールの振動、およびその結果生じるロールと圧延製品の間の接触の間欠的な喪失が決定付けられる。常に挟持動作を確保することが不可能であるということは装置の不安定性を示唆し、この不安定性は圧延ラインの上流にも伝わる。さらに、ピンチロールの振動により圧延製品の表面に欠陥が生じ、この欠陥は品質を低減し、材料不適格品を増加させる。
特許文献2および特許文献3に記載されているものなど、他のピンチロール装置も知られている。そのピンチロール装置により、ロール間の距離を、サーボ弁によって制御された1つまたは複数の油圧シリンダを備える油圧アクチュエータによって制御することが可能になる。この分野では、サーボ弁を備える油圧回路を使用することにより、複数の欠点がある。主な欠点は以下の通りである。
サーボ弁の動作速度が遅い(40〜50Hz程度)。その結果、油圧回路の応答性が低くなる。
開回路動作である。その結果、外付けの油圧付属部品を設ける必要が生じる。
稼働中および保守のコストが高い。サーボ弁の製品寿命が通常短いためである。
特許文献2および特許文献3に記載されている装置はまた、ロール位置決め精度に関しても改善の余地がある。
米国特許公報第6920772号 米国特許公開公報第2003/034376号 欧州特許公報第0192982号
本発明の目的は、上述の従来技術の欠点を解決することを可能にする、ロールと圧延製品の間の連続的で一様な接触を確保するために、ピンチロールの相互距離と、圧延時のロールによって製品に加えられる圧力の両方を正確に制御することを可能にする、圧延冶金製品のための新規なピンチロール装置を提供することである。
他の目的は、完全に自動であり、ロールの摩耗を補償するためなど、運転員によるいかなる手動介入も必要としない、圧延冶金製品のための新規なピンチロール装置を使用可能にすることである。
他の目的は、ロール間における製品の、最大150m/sという高い通過速度を達成することを可能にすることである。
本発明の他の目的は、油圧ラインの長さおよび作動流体の量の点から、従来技術よりもはるかに小さいサイズを有する油圧回路によって制御されるピンチロール装置を使用可能にすることである。
他の目的は、上述のピンチロール装置のための動作方法を使用可能にすることである。
本発明によると、上記の技術的な問題は、第一の態様のピンチロール装置と、第八の態様の方法によって解決される。
詳細には、第1の態様では、本発明は、
圧延冶金製品用の通路間隙が間に形成された第1のピンチロールおよび第2のピンチロールにおいて、上記間隙に通して上記冶金製品を摩擦により引抜き加工するためにそれぞれ第1、第2の回転軸の回りに回転可能である第1のピンチロールおよび第2のピンチロールと、
上記通路間隙の幅を狭め、または広げるために、上記第1および第2のロールを相互に接近および離間させるように上記第1および第2のロールに作用する油圧回路において、上記第1および第2のロールを相互に接近および離間させるように上記第1のロールおよび/または上記第2のロールに接続された1つの油圧アクチュエータを含んだ油圧回路と、
上記アクチュエータによって上記第1のロールに伝達された力を判定するための、上記油圧回路における圧力センサと、
上記第1のロールの動きを判定するための、上記アクチュエータにおける位置センサと、
上記アクチュエータのピストンを摺動式に動かすように上記アクチュエータに接続される、上記油圧回路における可逆ポンプにおいて、上記ピストンが上記第1のロールおよび/または上記第2のロールに接続されている可逆ポンプとを有する、圧延冶金製品のためのピンチロール装置である。
かかる発明では、圧力および位置センサが存在することにより、圧延時のロール間の距離とロールに対する推力の両方が最適化された形で制御され、したがってその両方により、ロールと圧延製品の間の連続的で一様な接触が確保される、ピンチロール装置を実現することができる。
第2の態様では、本発明は、圧延冶金製品のためのピンチロール装置の動作方法に関し、上記装置は、
圧延冶金製品用の通路間隙が間に形成さたれ第1のピンチロールおよび第2のピンチロールにおいて、上記間隙に通して上記冶金製品を摩擦により引抜き加工するためにそれぞれ第1、第2の回転軸の回りに回転可能である第1のピンチロールおよび第2のピンチロールと、
上記通路間隙の幅を狭め、または広げるために、上記第1のロールと上記第2のロールを相互に接近および離間させるように上記第1のロールに接続された油圧アクチュエータと、
上記アクチュエータのピストンを摺動式に動かすように、上記アクチュエータに接続される、上記油圧回路における可逆ポンプにおいて、上記ピストンが上記第1のロールおよび/または上記第2のロールに接続されている可逆ポンプとを備え、上記方法が、
上記通路間隙での上記冶金製品の有無をチェックするステップと、
上記チェックステップで上記通路間隙に上記冶金製品がないと識別された場合に実行する、上記第1のロールの位置をチェックするステップと、
上記通路間隙に上記冶金製品があると識別された場合に実行する、上記油圧アクチュエータの圧力をチェックするステップにおいて、上記位置基準値をリフレッシュするサブステップを含んだ圧力チェックステップとを含む。
第1の態様に関して上述したのと同様に、本発明により、製品の通過の前にロール間の距離をセットすることを可能にする、位置をチェックするステップと、圧延時にロール推力を調節することを可能にする、圧力をチェックするステップを含んだ最適化された制御で、冶金製品のためのピンチロール装置を動作させる方法を実現することが可能になる。上記2つのステップは、互いに交互に実行され、制御サイクルの最適化を可能にする。したがってこの制御サイクルは高速で実行することができ、したがってロール間における製品の通過速度の上昇に有利である。
本発明の他の利点は、以下の説明で詳細に説明するピンチロール装置によって達成される。
機械式および/または油圧接続によって相互接続された第1のロールおよび第2のロールを含むことによって、通路間隙のサイズを正確かつ効果的に制御するために、2つのロールを横軸に対して対称的な形で相互に接近および離間させることが可能になる。具体的には、油圧アクチュエータは2つのロールのうちの一方だけに直接作用し、もう一方は2つのロールの間にある歯車伝動装置によって制御することで、第1および第2のロールが直接結合していることから、例えば機械式リンク機構伝動装置で作動部材を両ロールに接続する特許文献1のものなどの他の周知の解決策よりも簡単な形で、動きを同期することが可能になる。あるいは、2つのロールにそれぞれ作用し補償回路によって互いに接続された2つの油圧アクチュエータを使用することにより、上記と同じ動作精度および同じ構造的単純さを実現することが可能になる。
油圧制御回路を使用することによってさらに、油圧流体により作用するロールと圧延製品の間の応力の減衰によって、システムの安定化を実現することが可能になる。さらに、油圧回路を閉じ加圧することによって、油圧ユニットを含む典型的な油圧回路に比べて非常に小さなサイズにすることが可能になる。
油圧回路では、位置および圧力センサに接続された制御ユニットによって、順次、電気モータが制御され、その電気モータによって制御された可逆ポンプを使用することによって、水力電気(hydroelectric)タイプの制御システムを実装することが可能になる。このシステムでは、油圧部分を使用してロールの相互接近および離間を制御する一方、電気部分によって位置および圧力のフィードバック制御を効果的に実現することが可能になる。これにより、油圧システムの特徴、特に高い圧力を加える可能性を有利に組み込むことが可能になると同時に、電気システムの特徴、特に制御速度および信頼性を有利に組み込むことが可能になる。
電気モータによって制御された可逆ポンプを使用することによって、油圧回路で通常使用されるサーボ弁を省くことが可能になり、さらに、油圧回路で必要な流体の量およびその全長を低減することが可能になる。
他の本発明の特徴および利点については、添付の図面を参照した以下の好ましい実施形態の詳細な説明でより明らかになるであろう。この実施形態は、非排他的かつ示唆的かつ非限定的な例として提供される。
本発明による、圧延される冶金製品のためのピンチロール装置の概略図である。 図1における装置の構成部品の一部の正面図である。 図2における構成部品の側面図である。 図1における装置の構造的な変形例の概略図である。 本発明による圧延冶金製品のためのピンチロール装置を動作させる方法のブロック図である。
添付の図1〜3には、円形断面の圧延冶金製品のためのピンチロール装置が参照番号1で示されている。
一般に、本発明に従って提供されるピンチロール装置は、平坦な断面の圧延製品など、任意の圧延冶金製品を保持するように適宜構成することができる。
装置1は、第1のピンチロール2およびその第1のピンチロール3と同一の第2のピンチロール3を備え、それらの間に、ワイヤロッド10用のほぼ円形の通路間隙5が形成される。間隙5は、その間隙5と同軸の横軸Xを規定し、ワイヤロッド10は、稼働中通路間隙5を通過する際、その横軸Xと位置合わせされる。
第1および第2のロール2、3は、通路間隙5に通してワイヤロッド10を摩擦により引抜き加工するためにそれぞれ第1の回転軸Y1、第2の回転軸Y2の回りに回転することができる。回転軸Y1、Y2は互いに平行で、横軸Xから均等に離して隔置され、横軸Xに対して対向する両側に配置される。間隙5の形状およびサイズはワイヤロッド10の形状およびサイズに従い、間隙5は、ピンチロール2、3の円筒の周面にそれぞれ設けられた2つの環状の溝5a、5bによって形成される。第1および第2のロール2、3は、各回転軸Y1、Y2の回りに回転するために、それぞれ第1のレバーアーム7、第2のレバーアーム8に拘束されている。この第1、第2のアーム7、8とそれぞれ一体の各軸Y1、Y2の回りのピンチロール2、3の回転は、従来かつ周知のアクチュエータによって実現される。アクチュエータは駆動モータ(図示せず)を備え、駆動モータは伝動装置によって各ロールに接続される。この伝動装置は、反転回転するために互いに噛合する、軸Y1、Y2と同軸の一対の被駆動歯車2a、3aと、一対の駆動歯車2b、3bを備える。被駆動歯車2a、3aはそれぞれ駆動歯車2b、3bと噛合し、被駆動歯車2a、3aは駆動歯車2b、3bから運動を受ける。回転運動は、駆動モータから運動出力シャフト3cによって駆動歯車3bに伝達される。この運動は、駆動歯車3bからもう一方の駆動歯車2bへ、および被駆動歯車3aへ伝達される。この運動は、駆動歯車2bからもう一方の被駆動歯車2aへ伝達される。この説明した結合のために、被駆動歯車2a、3a、したがってそれぞれのロール2、3は対向回転する。
第1および第2のアーム7、8は互いに等しく、横軸Xと一体の固定基準系に対して回転式に、一対のそれぞれのヒンジによって支持される。このヒンジはそれぞれ、第3の回転軸Z1、第4の回転軸Z2を規定する。これらの回転軸は、互いに平行であり、横軸Xから均等に離して隔置され、横軸Xに対して対向する両側に配置される。
第1および第2のアーム7、8は、通路間隙5の幅を狭めあるいは広げるために、第1および第2のロール2、3を相互に接近および離間させるようにそれぞれZ1、Z2の回りに回転することができる。第3のおよび第4の回転軸Z1、Z2は、それぞれ第1のおよび第2の回転軸Y1、Y2からアーム7、8に沿って隔置され、その第1のおよび第2の回転軸Y1、Y2と平行になっている。実際に、4本の軸Y1、Y2、Z1およびZ2は、装置1の全ての動作状態において平行な軸の系を形成する。
レバーアーム7、8の回転を制御し、第1のおよび第2のロール2、3を相互に接近および離間させるために、装置1は、オイルなどの油圧流体が循環する油圧回路20と、第1および第2のロール2、3を相互接続する機械式歯車伝動装置11を備える。
油圧回路20は閉じられて加圧されており、油圧制御ユニットは必要ない。油圧回路20は油圧アクチュエータ21を備え、アクチュエータ21は、第1のロール2を第2のロール3に接近、または離間させるように第1のロール2に接続される。アクチュエータ21は第1のロール2に近接してステム31を備え、ステム31は、自由端31aが第1のレバーアーム7に蝶番式に取り付けられる。ステム31の平行移動によって、それに対応する、第3の回転軸Z1の回りのレバーアーム7の回転が決まる。その回転が、伝動装置11によって第2のアーム8に伝達される。
したがって伝動装置11により、第1のロール2を用いて油圧アクチュエータ21を第2のロール3に接続することが可能になる。伝動装置11は、レバーアーム7、8と、その第1のレバーアーム7と第2のレバーアーム8の間にある歯車12とを備える。歯車12は第1の歯付きセクタ12aおよび第2の歯付きセクタ12bを備え、第1および第2の歯付きセクタ12a、bは、それぞれ第1および第2のアーム7、8と一体になっており、アクチュエータ21によって第1のアーム7に伝達された各回転が第2のアーム8に伝達されるように互いに噛合する。
第1および第2の歯付きセクタ12a、12bは、第1および第2のアーム7、8と一体になっている第3のアーム32および第4のアーム33の端部にそれぞれ設けられ、互いに位置合わせされ、横軸Xと直交している。アーム32、33は、第1および第2の歯付きセクタ12a、bが横軸Xで互いに噛合するように、その横軸Xに対して両側に配置される。歯車12の変速比は、第1のアーム7の各回転が、大きさが等しく向きが逆の第2のアーム8の回転に対応するように、1になっている。歯車12により、第1および第2のレバーアーム7、8とそれに拘束されたロール2、3の同期し整合された動きの実現が可能になる。したがって、第1のアーム7およびそれに拘束された第1のロール2からなる組立体は、全ての動作状態において、第2のアーム8およびそれに拘束された第2のロール3の組立体と等しく、軸Xに対して対称になっている。
本発明の別の構造的な変形例(図示せず)として、第1および第2のロール2、3が歯車を含まず、例えば複数のリンク機構を備える別のタイプの機械接続によって相互接続されるものが挙げられる。
油圧アクチュエータ21は、複動式(double-effect type)のものであり、第1のチャンバ21aおよび第2のチャンバ21bを備え、ピストン22がステム31および副ステム31bに連結されている。副ステム31bは上記チャンバ間で摺動し、さらにステム31に対向し、それと等しい直径を有する。ピストン22の動きを制御するために、油圧回路20は、その油圧回路20の第1の分岐20a、第2の分岐20bによってそれぞれアクチュエータの第1および第2のチャンバ21a、bに接続された可逆ポンプ9を備える。可逆ポンプ9のいずれか一方の方向の回転により、それぞれアクチュエータ21のチャンバ21a、bのいずれか一方に直接オイルを送ることが可能になり、したがってピストン22およびステム31がどちらの方向に動いているかが決まる。
ピストン22の動きを制御するポンプ9は、電気モータ9aによって動作する。したがってシリンダの内部におけるピストン22の位置はポンプ9のモータ9aの角度位置によって決まり、シリンダの動作速度はポンプ9の角速度によって決まる。
油圧回路20が閉じ加圧されている、すなわち油圧制御ユニットが無いことから、その回路を同じ量の流体が常に循環する。ポンプ9のモータ9aにより、油圧回路20における各流体の動きが決まる。したがって、モータ9aでポンプ9を動作させないと、油圧回路20の各ポイントの流体流はほぼゼロになり、ピストン22は動かない。
接続分岐が油圧回路20の第1の分岐20aと第2の分岐20bの間に設けられている。接続分岐には最大圧力弁29が設けられている。最大圧力弁29の較正は、第1のロール2に加わりステム31を介してアクチュエータ2に伝達される過大な負荷(それが脈動するものであっても)、その結果生じる圧力の過負荷から油圧回路を保護するように行われる。第1および第2の分岐20a、20bは、可逆ポンプ9の上流で補給源27と接続され、補給源27により、油圧回路20から流体の漏れがあればそれを補給することが可能になる。第1のチェック弁28aおよび第2のチェック弁28bが、ポンプ9から補給源27への流れを防止しそれと反対の方向の流れを可能にするような向きで、補給源27と可逆ポンプ9の間の、それぞれ第1および第2の分岐20a、20bに設けられる。
循環する流体と補給源27内に存在する流体の合計によって与えられる、油圧回路20の動作に必要な流体の量は、0.5〜2リットルにすることができ、0.7〜1.4リットルであると好ましい。油圧回路20は閉じているので、その大きさをここに記載することも可能である。つまり、流体が循環する油圧ラインの全長は、0.5〜1.5メートルであると有利であり、0.7〜1メートルであると好ましい。
可逆ポンプ9およびアクチュエータ21は制御された形で作動する。フィードバック制御回路30は、コネクタ9bによってポンプ9に接続された電気モータ9aを備える。制御回路30はさらに圧力センサ25を備え、圧力センサ25は、油圧回路20の第1の分岐20aにおけるアクチュエータ21と最大圧力弁29の間に位置し、位置センサ24はアクチュエータ21に位置する。圧力センサ25により、回路内、特にチャンバ21a内の圧力を測定することが可能になり、したがって、アクチュエータ21によってステム31を介して第1のロール2に伝達される力F1を判定することが可能になる。力F1は、第1のロールからワイヤロッド10に伝達される。アーム7と8の間の接続を介して伝動装置11によって実現される装置の均衡を達成するため、第2のロール3からワイヤロッド10へ伝達される、大きさが等しい反対向きの力F2が、力F1に対応する。こういった圧延力および圧力は、油圧回路20内の圧力を制御することによって制御されることができる。位置センサ24により、ピストン22の動きを測定することが可能になり、したがって第1のロール2の動きを判定することが可能になる。ピストン22の位置を制御することによって第1のロール2の位置を制御することができ、その結果伝動装置11によって、第2のロール3の位置も制御することができ、したがって通路間隙5の幅が調節される。制御回路30はさらに制御ユニット26を備え、その制御ユニット26によって電気モータ9aが制御される。制御ユニット26は、フィードバック制御のために位置センサ24および圧力センサ25に接続される。制御ユニット26は、センサ25、24によって測定された圧力および位置データを受け、それらを処理して力F1および通路間隙5の幅の値を判定する。次いで、制御ユニット26は、それらの値をそれぞれの基準値と比較し、その結果、動作方法100に従って力F1および通路間隙5の幅を変更または保つように電気モータ9aを制御する。動作方法100の重要なステップについては後ほど説明する。
図4には、ワイヤロッドのためのピンチロール装置の構造的な変形例が参照番号40で示されている。以下に詳細に説明するように、別の油圧回路41を備える点で装置1とは異なっている。装置40の他の構成部品については、装置1の上述の各構成部品と同一であるため詳細に説明しない。油圧回路41は、複動式油圧アクチュエータ21の代わりに、第1のロール2および第2のロール3にそれぞれ接続された単動式の油圧アクチュエータ42、43の対を備える点が、装置1の油圧回路20と異なる。各油圧アクチュエータ42、43は、それぞれ上側の第1のチャンバ42aと下側のチャンバ42bの間、上側の第1のチャンバ43aと下側のチャンバ43bの間を摺動するピストン22を備える。油圧アクチュエータ42、43の上側チャンバ42a、43aは、それぞれ油圧回路41の第1の分岐20a、第2の分岐20bに接続される。油圧アクチュエータ42、43の下側チャンバ42b、43bは、補償回路44からなる油圧接続によって互いに接続され、この補償回路44により、第1および第2のロール2、3は、第1のロール2が第2のロール3に対して近づいたり離れたりすると、それと同時に第2のロール3が第1のロール2に対して近づいたり離れたりするように、相互接続される。図3における変形例や、図4における変形例と同様に、第1のロール2と第2のロール3はやはり、横軸Xに対して対称的に離間、接近する。可逆ポンプ9が第1の分岐20aを介してアクチュエータ42の上側チャンバ42aに直接オイルを送ると、そのピストン22は、下側チャンバ42bの方に動く一方で、同時に補償回路44を介してオイルをアクチュエータ43の下側チャンバ43bに押し込み、アクチュエータ43のピストン22がその上側チャンバ43aの方に動く。あるいは、可逆ポンプ9が第2の分岐20bを介してアクチュエータ43の上側チャンバ43aに直接オイルを送ると、そのピストン22は、下側チャンバ43bの方に動く一方で、同時に補償回路44を介してオイルをアクチュエータ42の下側チャンバ42bに押し込み、アクチュエータ42のピストン22がその上側チャンバ42aの方に動く。
本発明の他の構造的な変形例(図示せず)によると、本発明によるピンチロール装置は、回路41に類似した油圧回路を備えるが、伝動装置11を含まない。
図5のフローチャートを参照すると、装置1の動作方法100は、制御ユニット26で実行される初期ステップ50を含んでいる。そのステップで上記方法は、ロール2、3が各回転軸Y1、Y2に対して静止しているか回転しているかをチェックする。ロール2、3が静止している場合、方法100は終了し、次の停止ステップ51に進む。ロール2、3が一対の歯車2a、3aによって回転している場合、方法100は次のステップ52を継続し、そのステップで、ポンプ9の制御モータ9aがオフか稼働中かをチェックする。モータ9aがオフの場合、方法100は終了し、停止ステップ51に進む。モータ9aが稼働中の場合、方法100は、基準値をセットする次のステップ53を継続し、そのステップで、ワイヤロッド10などの機械加工されている製品のタイプおよび特徴が識別され、ピストン22の位置の第1の基準値61および回路20内の圧力の第2の基準値71が、識別された製品の関数としてセットされる。
方法100は、ロール2と3の間にある通路間隙5に、ワイヤロッド10などの機械加工される冶金製品があるかないかをチェックする次のステップ54を継続する。チェックステップ54を実行するために、制御ユニット26は、機械加工される冶金製品の有無を識別する外部データを受け取る。このデータは、通路間隙5の上流に配置され、制御ユニット26に接続されたフォトセルなどの1つまたは複数のセンサ(図示せず)によって得られる。
チェックステップ54で、通路間隙5における機械加工される冶金製品がないと識別されたときは、方法100は、ピストン22の、したがって第1のロール2の位置をチェックするステップ110を継続する。あるいは、チェックステップ54で、通路間隙5における機械加工される冶金製品があると識別されたときは、方法100は、アクチュエータ21内部の圧力がチェックされる圧力チェックステップ120を継続する。
位置チェックステップ110の終了時および圧力チェックステップ120の終了時のいずれかに、方法100は、機械加工の終了をチェックするステップ80を含み、そのステップで、スイッチやその他の運転員により作動可能な制御方式などで制御ユニット26から供給された信号によって、機械加工プロセスが進行中か終了したかをチェックする。圧延プロセスが終了した場合は、第1および第2のロール2、3が最大の相互距離まで運ばれる最終ステップ81で方法100は終了する。あるいは、圧延プロセスが終了していない場合、基準値をセットするステップ53を繰り返すことによって方法100は継続する。
位置チェックステップ110は第1のサブステップ60を含み、そのサブステップでは、位置センサ24から供給された実測値を用いてピストン22の現在位置の測定値を判定する。その測定値は、ステム31による連結により、第1のロール2の位置と関連付けることができる。第1のサブステップ60で識別された位置の測定値を基準位置値61と比較するために、第2の位置比較サブステップ62が第1のサブステップに続く。この比較は、測定値を基準値から減算することによって実行される。位置チェックステップ110は第3のチェックサブステップ64を継続し、そのサブステップでは、第2のサブステップ62中に行われた減算の結果がゼロであるか、ゼロ以外かをチェックする。結果がゼロの場合、位置チェックステップ110は終了し、方法100は、機械加工終了チェックステップ80を継続し、結果がゼロ以外の場合、位置チェックステップ110は第4のサブステップ63を継続し、そのサブステップでは、基準値61に対応する位置に達するために、モータ9aおよび可逆ポンプ9によってピストン22が動かされる。ピストン22に課せられる移動は、測定位置値と基準位置値61の差に比例する。第4のサブステップ63の終了時に、位置チェックステップ110は終了し、方法100は、機械加工終了チェックステップ80を継続する。
圧力チェックステップ120は第5の高速接近サブステップ59を含み、そのサブステップでは、ロール2、3が機械加工される冶金製品に接近し、その後、第6のサブステップ70が続く。そのサブステップでは、圧力センサ25から供給された実測値を用いて、可逆ポンプ9の上流にある油圧回路20の第1の分岐20aにおける圧力の測定値を判定する。その圧力値は、圧力センサ25がアクチュエータ21に近接していることにより、アクチュエータ21の第1のチャンバ21aの圧力と関連付けることができる。第6のサブステップに第7の圧力比較サブステップ72が続いて、第6のサブステップ70で識別した測定圧力値を基準位置値71と比較する。この比較は、上記測定値を基準値から減算することによって実行される。圧力チェックステップ120は第8のチェックサブステップ75を継続し、このサブステップでは、第7のサブステップ72で実行された減算の結果がゼロであるか、ゼロ以外かをチェックする。結果がゼロの場合は、圧力チェックステップ120は、基準位置をリフレッシュする第9のサブステップ74に進み、このサブステップでは、ピストン22の位置の第1の基準値61が現在値に更新される。第9のサブステップ74の終了時に、圧力チェックステップ120が実行され、方法100は、機械加工終了チェックステップ80を継続する。第8のチェックサブステップ75で計算された減算の結果がゼロではなくゼロ以外の場合、圧力チェックステップ120は第10のサブステップ73に進み、そのサブステップでは、基準値71に対応する圧力に達するために、モータ9aおよび可逆ポンプ9によってピストン22が動かされる。ピストン22に課せられる移動は、測定圧力値と基準圧力値71の差に比例する。第10のサブステップ73の終了時に、圧力チェックステップ120は終了し、方法100は、機械加工終了チェックステップ80を継続する。
力チェックステップ110と位置チェックステップ120が互いに交互に実行される上述の方法は、典型的には3000Hz程度の周波数で、非常に高速に実行することができる。これにより、機械加工される製品の横軸Xに沿った送り速度が150m/s程度に達する可能性がある。
上述の方法100は、以下を条件として装置1以外のピンチロール装置で使用することもできる。つまり、ピンチロール装置が、
圧延冶金製品用の通路間隙が間に形成された第1のピンチロールおよび第2のピンチロールにおいて、上記通路間隙に通して上記冶金製品を摩擦により引抜き加工するためにそれぞれ第1の回転軸Y1、第2の回転軸Y2の回りに回転可能である第1のピンチロールおよび第2のピンチロールと、
上記通路間隙の幅を狭め、または広げるために、上記ロールを制御された形で接近および離間させるように上記ロールに接続された油圧アクチュエータと、
第1および/または第2のピンチロールに接続されたピストンを摺動式に動かすように、上記油圧アクチュエータに接続された可逆ポンプを備えることである。
上述の技術的な解決策により、上述の従来技術に関して課された課題および目的を完全に解決し、したがって複数の他の利点を実現することが可能になる。こういった利点には以下のものが含まれる。
最小量の流体のみが、すなわち油圧アクチュエータのピストンを動かすのに必要な流体のみが動かされる、高効率の閉じた油圧回路を使用する利点。これにより、高い応答性を特徴とする油圧回路を実現することが可能になる。この応答性はさらに、 サーボ弁によって達成できるものよりもかなり高い動作速度(最大200〜300Hz)に達することを可能にする電気モータによって制御された油圧ポンプの使用によって高められる。
不可避のピンチロールの摩耗から影響を受けない装置を実現する利点。この摩耗は、ロールを支持するレバーアームの回転によって補償することができる。
自己減衰システムを提供する利点。このシステムでは、減衰機能が油圧制御回路内の流体によって実行され、したがってこのシステムは追加の減衰要素の挿入を必要としない。
サーボ弁を含まない、したがって稼働および保守のコストをかなり低減することを可能にする油圧システムを使用する利点。

Claims (11)

  1. 圧延冶金製品(10)用の通路間隙(5)が間に形成された第1のピンチロール(2)および第2のピンチロール(3)であって、前記間隙(5)に通して前記冶金製品(10)を摩擦により引抜き加工するためにそれぞれ第1、第2の回転軸(Y1、Y2)の回りに回転可能である第1のピンチロール(2)および第2のピンチロール(3)と、
    前記通路間隙(5)の幅を狭めるまたは広げるために、前記第1および第2のロール(2、3)を相互に接近および離間させるように前記第1および第2のロール(2、3)に作用する油圧回路(20、41)であって、前記第1および第2のロール(2、3)を相互に接近および離間させるように前記第1のロール(2)および/または前記第2のロール(3)に接続された少なくとも1つの油圧アクチュエータ(21、42、43)を含んだ油圧回路(20)と、
    前記アクチュエータ(21、42)によって前記第1のロール(2)および/または前記第2のロール(3)に伝達された力を判定するための、前記油圧回路(20、41)における圧力センサ(25)と、
    前記第1のロール(2)および/または前記第2のロール(3)の動きを判定するための、前記アクチュエータ(21、42)における位置センサ(24)と、
    前記アクチュエータ(21、42、43)のピストン(22)を摺動式に動かすように前記アクチュエータ(21、42、43)に接続される、前記油圧回路(20、41)における可逆ポンプ(9)であって、前記ピストンが前記第1のロール(2)および/または前記第2のロール(3)に接続されている可逆ポンプ(9)と、を有する圧延冶金製品のためのピンチロール装置(1、40)。
  2. 前記第1および第2のロール(2、3)が、機械式および/または油圧接続部(11、44)によって相互接続されている、請求項1に記載のピンチロール装置(1)。
  3. 前記油圧回路(20、41)が、前記第1のロール(2)に接続された油圧アクチュエータ(21、42)を備え、
    前記接続部(11、44)が、前記第1のロール(2)によって前記油圧アクチュエータ(21、42)を前記第2のロール(3)に接続するための歯車伝動装置(11)を、前記第1のロール(2)と第2のロール(3)の間に備えている、請求項2に記載のピンチロール装置(1)。
  4. 前記第2のロール(3)を前記第1のロール(2)から/まで動かす一方前記第1のロール(2)を前記第2のロール(3)から/まで動かすために、前記油圧回路(41)が、前記第1および第2のロール(2、3)にそれぞれ接続された一対の油圧アクチュエータ(42、43)を備え、前記接続部(11、44)が、前記第1のロール(2)と第2のロール(3)の間に補償回路(44)を備えている、請求項2または3に記載のピンチロール装置(1)。
  5. 前記伝動装置(11)が第1および第2のレバーアーム(7、8)を備え、
    前記第1および第2のロール(2、3)がそれぞれ前記第1および第2のレバーアーム(7、8)に拘束されて各回転軸(Y1、Y2)の回りに回転し、
    前記第1および第2のアーム(7、8)が、それぞれ第3の回転軸、第4の回転軸(Z1、Z2)の回りに回転可能であって、前記第1および第2のロール(2、3)を相互に接近および離間させ、
    前記歯車(12)が、前記第1、第2のアーム(7、8)とそれぞれ一体の少なくとも第1の歯付きセクタ(12a)と第2の歯付きセクタ(12b)を備え、
    前記第1および第2の歯付きセクタ(12a、12b)が互いに噛合して前記第1のレバー(7)と第2のレバー(8)の間で回転を伝達する、請求項3または4に記載のピンチロール装置(1)。
  6. 前記第1、第2、第3および第4の回転軸(Y1、Y2、Z1、Z2)が互いに平行である、請求項5に記載のピンチロール装置(1)。
  7. 前記ポンプ(9)が電気モータ(a)によって制御され、前記電気モータ(a)が、前記位置センサ(24)および前記圧力センサ(25)に接続された制御ユニット(26)によって制御される、請求項1に記載のピンチロール装置(1)。
  8. 圧延冶金製品のためのピンチロール装置(1)を動作させる動作方法(100)であって、前記装置が、
    圧延冶金製品(10)用の通路間隙(5)が間に形成された第1のピンチロール(2)および第2のピンチロール(3)において、前記間隙に通して前記冶金製品(10)を摩擦により引抜き加工するためにそれぞれ第1、第2の回転軸(Y1、Y2)の回りに回転可能である第1のピンチロール(2)および第2のピンチロール(3)と、
    前記通路間隙(5)の幅を狭めるまたは広げるために、前記ロール(2、3)を相互に接近および離間させるように前記第1のロールおよび第2のロール(2、3)に接続された少なくとも1つの油圧アクチュエータ(21、42、43)と、
    前記アクチュエータ(21、42、43)のピストン(22)を摺動式に動かすように前記アクチュエータ(21、42、43)に接続される、前記油圧回路(20、41)における可逆ポンプ(9)であって、前記ピストンが前記第1のロール(2)および/または前記第2のロール(3)に接続されている可逆ポンプ(9)と、を有し、
    前記方法(100)が、
    前記通路間隙(5)での前記冶金製品(10)の有無をチェックするステップ(54)と、
    前記チェックステップ(54)で前記通路間隙(5)に前記冶金製品(10)がないと識別された場合に実行される、前記第1のロール(2)の位置をチェックするステップ(110)と、
    前記通路間隙(5)に前記冶金製品(10)があると識別された場合に実行される、前記油圧アクチュエータ(21)の圧力をチェックするステップ(120)において、前記位置基準値をリフレッシュするサブステップ(74)を含んだ圧力チェックステップ(120)とを含む、動作方法(100)。
  9. 前記第1のロール(2)の位置をチェックする前記ステップ(110)が、前記第1のロール(2)の位置と関連付けることができる測定位置値を基準位置値と比較する位置比較サブステップ(62)を含む、請求項8に記載の動作方法(100)。
  10. 前記油圧アクチュエータ(21)における圧力をチェックする前記ステップ(120)が、前記油圧アクチュエータ(21)と関連付けることができる測定圧力値を基準圧力値と比較する圧力比較サブステップ(72)を含む、請求項8または9に記載の動作方法(100)。
  11. 前記位置基準値をリフレッシュする前記サブステップ(74)が、前記圧力比較サブステップ(72)で前記測定圧力値が前記圧力基準値と等しいと識別されたときに実行される、請求項8に記載の動作方法(100)。
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