[0003]多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、脂肪酸メチル末端から最初の二重結合の位置に基づいて分類され;ω−3(n−3)脂肪酸は3番目の炭素において最初の二重結合を含有する一方、ω−6(n−6)脂肪酸は6番目の炭素において最初の二重結合を含有する。例えば、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)は、22個の炭素からなる鎖長および6個の二重結合を有するω−3長鎖多価不飽和脂肪酸(LC−PUFA)であり、「22:6n−3」と呼ばれることが多い。他のω−3LC−PUFAには、「20:5n−3」と呼ばれるエイコサペンタエン酸(「EPA」)および「22:5n−3」と呼ばれるω−3ドコサペンタエン酸(「DPAn−3」)が含まれる。DHAおよびEPAは「必須」脂肪酸と呼ばれている。ω−6LC−PUFAには、「20:4n−6」と呼ばれるアラキドン酸(「ARA」)および「22:5n−6」と呼ばれるω−6ドコサペンタエン酸(「DPAn−6」)が含まれる。
[0004]ω−3脂肪酸は、細胞膜中での存在に起因して細胞生理機能に影響を及ぼし、生物学的に活性な化合物の生成および遺伝子発現を調節し、生合成基質として役立つ生物学的に重要な分子である。Roche,H.M.,Proc.Nutr.Soc.58:397−401(1999)。例えば、DHAはヒト大脳皮質中の脂質の約15%〜20%、網膜中の脂質の30%〜60%を占め、精巣および精子中で濃縮され、母乳の重要な構成成分である。Berge,J.P.,and Barnathan,G..Adv.Biochem.Eng.Biotechnol.96:49−125(2005)。DHAは脳中のω−3脂肪酸の最大97%を占め、網膜中のω−3脂肪酸の最大93%を占める。さらに、DHAは、胎児および乳児の発達ならびに成人における認知機能の維持に必須である。同上。ω−3脂肪酸はヒト体内でデノボ合成されないため、これらの脂肪酸は栄養源から得なければならない。
[0005]アマニ油および魚油は、良好な食事性ω−3脂肪酸源と考えられている。アマニ油はEPA、DHA、DPA、ARAを含有しないが、身体がEPAを製造するのを可能にするビルディングブロックであるリノレン酸(C18:3n−3)を含有する。しかしながら、特に、非健常者間では代謝変換速度は緩慢および変動し得る証拠が存在する。魚油は、特定の種およびそれらの飼料に応じて脂肪酸組成物のタイプおよびレベルの点で大きく変動する。例えば、水産養殖魚は天然魚よりも低レベルのω−3脂肪酸を有する傾向がある。さらに、魚油は環境汚染物質を含有するリスクを有し、安定性の問題および魚臭または魚味を伴い得る。
[0006]ヤブレツボカビは、ヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)の微生物である。ヤブレツボカビには、シゾキトリウム属(Schizochytrium)およびヤブレツボカビ属(Thraustochytrium)のメンバーが含まれ、DHAおよびEPAを含むω−3脂肪酸の代替源として認識されてきた。米国特許第5,130,242号明細書参照。これらの海洋従属栄養微生物から生成された油は、対応する魚油または微細藻類油よりも単純な多価不飽和脂肪酸プロファイルを有することが多い。Lewis,T.E.,Mar.Biotechnol.1:580−587(1999)。ヤブレツボカビ種の株は、その生物により生成される高い割合の総脂肪酸としてω−3脂肪酸を生成すると報告されている。米国特許第5,130,242号明細書;Huang,J.et al.,J.Am.Oil.Chem.Soc.78:605−610(2001);Huang,J.et al.,Mar.Biotechnol.5:450−457(2003)。しかしながら、単離されたヤブレツボカビは、上記株の中には不所望なレベルのω−6脂肪酸を有し得るものもあり、および/または培養において低い生産性を示すものもあるように、生成されるLC−PUFAの同一性および量の点で変動する。したがって、高い生産性および所望のLC−PUFAプロファイルを示す微生物の単離が引き続き必要とされている。
[0008]本明細書において、脂肪酸およびある濃度のEPAを有する微生物のバイオマスを作製する方法であって、微生物を、ガスを含む発酵容器中で発酵させてバイオマスを生成するステップであって、微生物は、脂肪酸の総重量の少なくとも3%のEPAを有するバイオマスを生成するヤブレツボカビを含むステップと、ガスにCO2を補給するステップとを含む方法がさらに提供される。補給は、容器にCO2を細胞の発酵により生成される量または周囲条件における量に加えた量で添加することまたは入れることを意味する。一実施形態において、CO2は、バイオマス中の所望のEPAおよび/またはDHA量を保持するように容器に補給する。
[0009]本明細書において、脂肪酸およびある濃度のEPAを有する微生物のバイオマスを作製する方法であって、微生物を発酵容器中で発酵させてバイオマスを生成するステップであって、微生物は、脂肪酸の総重量の少なくとも3%のEPAを有するバイオマスを生成するヤブレツボカビを含むステップと、容器中の前記バイオマスの量を調整するステップとを含む方法も提供される。本発明の実施形態において、バイオマスは、バイオマス中の所望のEPAまたはDHAレベルを保持するように調整する。
[0010]脂肪酸およびある濃度のEPAを有する微生物を作製する方法であって、前記微生物を発酵容器中で発酵させてバイオマスを生成するステップであって、微生物は、脂肪酸の総重量の少なくとも3%のEPAを有するバイオマスを生成するヤブレツボカビを含むステップと、前記バイオマスに対する圧力を調整するステップ、例えば、限定されるものではないが、前記容器の背圧を制御するステップとを含む方法。一実施形態において、圧力は、バイオマス中の所望のEPAまたはDHAレベルを保持するように調整する。
[0011]本明細書で提供される別の実施形態において、脂肪酸およびある濃度のEPAを有する微生物を作製する方法であって、微生物を発酵容器中で発酵させて発酵ブロスおよびバイオマスを生成するステップであって、微生物は、脂肪酸の総重量の少なくとも3%のEPAを有するバイオマスを生成するヤブレツボカビを含むステップと、前記ブロス中の温度を調整するステップとを含む方法が提供される。一実施形態において、温度は、バイオマス中の所望のEPAおよび/またはDHAレベルを保持するように調整する。
[0016]一部の実施形態において、本発明は、増加濃度のEPAを有する微生物のバイオマスを作製する方法であって、微生物を、0.1mg/L未満のビタミンB12を含む培養培地中で増殖させてバイオマスを生成するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態において、培養培地は、0.01mg/L未満のビタミンB12を含む。一部の実施形態において、培養培地は、0.001mg/L未満のビタミンB12を含む。さらなる実施形態において、培養培地は、0.0001mg/L未満のビタミンB12を含む。一部の実施形態において、培養培地は、ビタミンB12を含有しない。
[0017]一部の実施形態において、培養培地は、脂質不含バイオマス50g当たり1g未満の酵母エキスをさらに含む。一部の実施形態において、培養培地は、脂質不含バイオマス50g当たり0.5g未満の酵母エキスをさらに含む。さらなる実施形態において、培養培地は、脂質不含バイオマス50g当たり0.1g未満の酵母エキスをさらに含む。
[0018]一部の実施形態において、EPA濃度を、0.1mg/L超のビタミンB12を含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度と比較して少なくとも400%だけ増加させる。一部の実施形態において、EPA濃度を、0.01mg/L超のビタミンB12を含む培養培地中で増殖させた微生物からのバイオマス中のEPA濃度と比較して少なくとも300%だけ増加させる。さらなる実施形態において、EPA濃度を、0.001mg/L超のビタミンB12を含む培養培地中で増殖させた微生物からのバイオマス中のEPA濃度と比較して少なくとも200%だけ増加させる。一部の実施形態において、EPA濃度を、0.0001mg/L超のビタミンB12を含む培養培地中で増殖させた微生物からのバイオマス中のEPA濃度と比較して少なくとも100%だけ増加させる。
[0019]一部の実施形態において、本発明は、増加濃度のEPAを有する微生物のバイオマスを作製する方法であって、微生物を、0.1mg/L未満のコバルトを含む培養培地中で増殖させてバイオマスを生成するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態において、培養培地は、0.01mg/L未満のコバルトを含む。一部の実施形態において、培養培地は、0.001mg/L未満のコバルトを含む。さらなる実施形態において、培養培地は、0.0001mg/L未満のコバルトを含む。一部の実施形態において、培養培地は、コバルトを含有しない。
図1は、チアミン勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図2は、ビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図3は、ビオチン勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図4は、パントテン酸Ca勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図5は、TSFM標準液中のPTA−9695の性能を示す。
図6〜19は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図6〜19は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図6〜19は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図6〜19は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図6〜19は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図6〜19は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図6〜19は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図6〜19は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図6〜19は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図6〜19は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図6〜19は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図6〜19は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図6〜19は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図6〜19は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−9695の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
図20〜49は、10%のCO2におけるビタミンB12勾配中のPTA−10208の性能を示す。
[発明を実施するための形態]
[0031]本明細書において提供される方法および組成物は、生成する脂肪酸の総重量の少なくとも3%のEPAを有するバイオマスを生成するヤブレツボカビに特に適用可能である。本明細書において提供される少なくとも3%のEPAを有するバイオマスを生成する特定のヤブレツボカビは、ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された種の単離された微生物である。ATCCアクセッション番号PTA−10212に関連する単離された微生物は、ブダペスト条約の下、2009年7月14日に、アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection),Patent Depository,10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209に寄託された。
[0032]少なくとも3%のEPAを有するバイオマスを生成する特定のヤブレツボカビは、ATCCアクセッション番号PTA−10212、PTA−10213、PTA−10214、PTA−10215、PTA−10208、PTA−10209、PTA−10210、またはPTA−10211で寄託された、単離された微生物から選択される。
[0033]本明細書において提供される特定の実施形態は、配列番号1のポリヌクレオチド配列または配列番号1と少なくとも94%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む18srRNAを含む単離された微生物を対象とする。
[0034]本明細書において提供される特定の実施形態は、ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された微生物の18srRNAポリヌクレオチド配列と少なくとも94%の同一性を有する18srRNAポリヌクレオチド配列を含む単離された微生物を対象とする。
[0035]本明細書において提供される少なくとも3%のEPAを有するバイオマスを生成する特定のヤブレツボカビは、ATCCアクセッション番号PTA−10208で寄託された種の単離された微生物を対象とする。
[0036]本明細書において提供される特定の実施形態は、微生物により生成される総脂肪酸が10重量%超のエイコサペンタエン酸を含む、ATCCアクセッション番号PTA−10208で寄託された種の単離された微生物を対象とする。
[0037]本発明の少なくとも3%のEPAを有するバイオマスを生成する特定のヤブレツボカビは、微生物により生成される総脂肪酸が約10重量%超のエイコサペンタエン酸を含む、ATCCアクセッション番号PTA−10208で寄託された種の特徴を有する単離された微生物を対象とする。本明細書において提供される少なくとも3%のEPAを有するバイオマスを生成する特定のヤブレツボカビは、ATCCアクセッション番号PTA−10209、PTA−10210、またはPTA−10211で寄託された突然変異株から選択される単離された微生物から選択される。ATCCアクセッション番号PTA−10209、PTA−10210、およびPTA−10211に関連する微生物は、ブダペスト条約の下、2009年9月25日に、アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection),Patent Depository,10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209に寄託された。
[0038]明細書において提供される実施形態は、上記微生物、それらの突然変異株および参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/729,013号明細書に同定される微生物を対象とする。
[0039]本明細書において提供される実施形態は、トリアシルグリセロール画分のエイコサペンタエン酸含有率が少なくとも約12重量%である、トリアシルグリセロール画分を生成する単離された微生物を対象とする。
[0040]本明細書において提供される実施形態は、バイオマスの乾燥細胞重量の少なくとも約20重量%が脂肪酸であり、脂肪酸の約10重量%超がエイコサペンタエン酸であり、脂肪酸が約5重量%未満のアラキドン酸およびドコサペンタエン酸n−6のそれぞれを含む単離されたバイオマスを対象とする。一部の実施形態において、脂肪酸の少なくとも約25重量%は、ドコサヘキサエン酸である。
[0041]一部の実施形態において、本発明は、トリアシルグリセロールの少なくとも約12重量%がエイコサペンタエン酸である、トリアシルグリセロールを含む単離されたバイオマスを対象とする。
[0042]一部の実施形態において、本発明は、脂肪酸が約5重量%未満のオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、およびエルカ酸のそれぞれをさらに含む、本発明の単離されたバイオマスのいずれかを対象とする。
[0043]本発明は、微生物またはそれに由来する株により生成される総脂肪酸が約10重量%以下のエイコサペンタエン酸を含む、ATCCアクセッション番号PTA−9695で寄託されたヤブレツボカビ種の単離されたヤブレツボカビ微生物またはそれに由来する株を対象とする。本明細書において提供される実施形態は、上記微生物またはそれからの株を対象とし、他の関連微生物は参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010/0239533号明細書に記載する。
[0044]本明細書において、脂肪酸およびある濃度のEPAを有する微生物のバイオマス中のEPAの濃度を増加させる方法であって、微生物を、ガスを含む発酵容器中で発酵させてバイオマスを生成するステップであって、微生物は、脂肪酸の総重量の少なくとも3%のEPAを有するバイオマスを生成するヤブレツボカビを含むステップと、ガスにCO2を、バイオマス中のEPAの濃度を増加させるために十分な量で補給するステップとを含む方法も提供される。EPAの濃度の増加は、例えば、CO2を補給しない同様に発酵させた微生物のEPAの濃度と比較することができ、または周囲条件において同様に発酵させた微生物と比較した場合である。
[0045]別の実施形態において、EPAの濃度を増加させるために十分なCO2の量は、容器中の総ガスの2%以上である。別の実施形態において、容器中のCO2の量は、容器中の総ガスの約5%以上から最大約20%である。別の実施形態において、容器中のCO2の量は、容器中の総ガスの約5%以上から最大約15%である。
[0046]さらなる実施形態において、補給されるCO2の量は、バイオマス中のEPAの濃度を脂肪酸の総重量の約4重量%超、より特定すると、脂肪酸の総重量の約4重量%超から最大約45重量%、より特定すると、脂肪酸の総重量の約4%超から最大約40%に増加させるために容器中の総ガスの2%以上である。
[0047]さらなる実施形態において、補給されるCO2の量は、EPAレベルを脂肪酸の総重量の約4重量%から、約6から30重量%の範囲に増加させるために十分なものである。別の実施形態において、提供されるCO2の量は、EPAの濃度を脂肪酸の総重量の約15重量%から最大約40重量%に増加させるために十分なものである。別の実施形態において、提供されるCO2の量は、EPAの濃度を脂肪酸の総重量の20重量%超に増加させるために十分なものである。別の実施形態において、CO2は、EPAの濃度を約20%から最大約25%に増加させるために十分な量で提供する。
[0048]別の実施形態において、本明細書において、脂肪酸およびある濃度のEPAを有する微生物のバイオマス中のEPAの濃度を増加させる方法であって、微生物を発酵容器中で発酵させてバイオマスを生成するステップと;バイオマス中のEPAの濃度を増加させるために十分なバイオマスに対する圧力を提供するステップとを含む方法が提供される。EPAの濃度の増加は、例えば、圧力を提供しない同様に発酵させた微生物のEPAの濃度に比較することができ、または周囲条件において同様に発酵させた微生物と比較した場合である。さらなる実施形態において、バイオマスに対して提供される圧力は、大気圧よりも約0.5psi高い。別の実施形態において、容器は、約0.4psi以上、より特定すると、約0.4psiから最大約30psi、さらにより特定すると、約1から最大約30psiの頭部圧力(または背圧)を有する。別の実施形態において、容器は、約1から最大約20psiの頭部圧力を有する。別の実施形態において、提供される圧力は、バイオマス中のEPAの量を調整するために十分な時間、特に最大120時間の時間提供される。
[0049]本明細書において提供される別の実施形態において、脂肪酸およびある濃度のEPAを生成する微生物のバイオマスを作製する方法であって、微生物を発酵容器中で発酵させてバイオマスを生成するステップを含み、微生物は、バイオマス中のEPAの濃度を増加させるために十分な温度において脂肪酸の総重量の少なくとも3%のEPAを有するバイオマスを生成するヤブレツボカビを含む方法が提供される。一部の実施形態において、EPAレベルを増加させるために十分な温度は、約30℃未満であり、より特定すると、約22℃以下であり、より特定すると、温度は、約21℃以下である。EPAの濃度の増加は、例えば、温度を調整せずに同様に発酵させた微生物中のEPAの濃度と比較することができ、または周囲条件において同様に発酵させた微生物と比較した場合である。
[0050]さらなる実施形態において、本明細書において提供される方法は、バイオマスおよび抽出油を生成するために発酵の間に生成されるEPAの量を変動させ、提供されるEPAの量は、脂肪酸の総重量の4重量%超、特に約4重量%超から最大約45重量%、より特定すると、約4重量%超から最大約40重量%である。さらなる実施形態において、本明細書において提供される方法により生成されるEPAの量は、脂肪酸の総重量の約6重量%から最大約30重量%の量である。さらなる実施形態において、本明細書において提供される方法により生成されるEPAの量は、脂肪酸の総重量の約15重量%から最大約40重量%の量である。さらなる実施形態において、本明細書において提供される方法により生成されるEPAの量は、脂肪酸の総重量の約20重量%超、より特定すると、約20重量%から最大約25重量%の量である。
[0051]さらなる実施形態において、提供される所望のEPAレベルは、脂肪酸の総重量の4重量%超、特に約4重量超から最大約45重量%、より特定すると、約4重量%超から最大約40重量%である。別の実施形態において、本明細書において提供される方法により生成される所望のEPAレベルは、脂肪酸の総重量の約6重量%から最大約30重量%の量である。さらなる実施形態において、本明細書において提供される方法により生成される所望のEPAレベルは、脂肪酸の総重量の約15重量%から最大約40重量%の量である。さらなる実施形態において、本明細書において提供される方法により生成される所望のEPAレベルは、脂肪酸の総重量の約20重量%超、より特定すると、約20重量%から最大約25重量%の量である。
[0052]脂肪酸およびある濃度のEPAを有する微生物のバイオマス中のEPAの濃度を増加させる方法であって、微生物を発酵容器中でバイオマスを生成するステップであって、微生物は、脂肪酸の総重量の少なくとも3%のEPAを有するバイオマスを生成するヤブレツボカビを含むステップと、バイオマスをバイオマス中のEPAの濃度を増加させるために十分な量で増加させるステップとを含む方法。一部の実施形態において、EPAの濃度を増加させるために十分なバイオマスの量は、10g/l以上の密度を有する。一部の実施形態において、EPAの濃度を増加させるために十分なバイオマスの量は、約10g/lから最大約250g/lの密度を有する。EPAの濃度の増加は、例えば、バイオマスを増加させずに同様に発酵させた微生物中のEPAの濃度と比較することができる。
[0053]一部の実施形態において、より高いCO2レベル(例えば、容器中の総ガスの2%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、5%から20%、または5から15%の量のCO2を含む容器中)を含む培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、より低いCO2レベル(例えば、それぞれ、容器中の総ガスの2%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、0%から4%、または1%から3%の量のCO2を含む容器中)を含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、少なくとも10%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも250%、少なくとも500%、少なくとも750%、少なくとも1000%、少なくとも1100%、少なくとも1200%、少なくとも1300%、少なくとも1400%、少なくとも1500%、少なくとも1600%、少なくとも1700%、少なくとも1800%、少なくとも1900%、または少なくとも2000%高い。例えば、より高いCO2レベル(例えば、容器中の総ガスの2%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、5%から20%、または5%から15%の量のCO2を含む容器中)を含む培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、周囲CO2レベルにおける容器中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、少なくとも10%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも250%、少なくとも500%、少なくとも750%、少なくとも1000%、少なくとも1100%、少なくとも1200%、少なくとも1300%、少なくとも1400%、少なくとも1500%、少なくとも1600%、少なくとも1700%、少なくとも1800%、少なくとも1900%、または少なくとも2000%高い。
[培養培地中のビタミンB12]
[0054]本明細書において使用される用語「ビタミンB12」は、天然および合成形態の両方における化学的に関連する化合物のクラス、例として、限定されるものではないが、ビタミンB12、コバラミン、シアノコバラミン、およびヒドロキソコバラミンを指す。一部の実施形態において、本発明は、微生物を、低レベルのビタミンB12を有する培養培地中でまたはビタミンB12を有さない培養培地中で増殖させることによりEPAを生成する微生物のバイオマス中のEPA濃度を増加させる方法を提供する。一部の実施形態において、本発明は、増加濃度のEPAを有する微生物のバイオマスを作製する方法であって、微生物を、0.1mg/L未満のビタミンB12を含む培養培地中で増殖させてバイオマス生成するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態において、培養培地は、0.05mg/L未満、0.01mg/L未満、0.005mg/L未満、0.001mg/L未満、0.0005mg/L未満、0.0001mg/L未満のビタミンB12を含み、またはビタミンB12を含まない。
[0055]一部の実施形態において、培養培地は、脂質不含バイオマス50g当たり1g未満のビタミンB12の源(例えば、酵母エキス、コーンスティープ固体、ダイズ粉、および他の複合窒素源)を含む。一部の実施形態において、培養培地は、脂質不含バイオマス50g当たり0.8g未満、0.5g未満、0.3g未満、0.1g未満、0.05g未満、または0.01g未満のビタミンB12のそのような源を含む。一部の実施形態において、培養培地は、脂質不含バイオマス50g当たり1g未満の酵母エキス、脂質不含バイオマス50g当たり0.8g未満の酵母エキス、脂質不含バイオマス50g当たり0.5g未満の酵母エキス、脂質不含バイオマス50g当たり0.3g未満の酵母エキス、脂質不含バイオマス50g当たり0.1g未満の酵母エキス、脂質不含バイオマス50g当たり0.05g未満の酵母エキス、または脂質不含バイオマス50g当たり0.01g未満の酵母エキスをさらに含む。本明細書において使用される用語「脂質不含バイオマス」は、培養後の微生物の標的脂肪不含乾燥細胞重量を指す。
[0056]一部の実施形態において、より低いビタミンB12レベル(例えば、0.1mg/L未満、0.05mg/L未満、0.01mg/L未満、0.005mg/L未満、0.001mg/L未満、0.0005mg/L未満、0.0001mg/L未満のビタミンB12を含み、またはビタミンB12を含まない培養培地中)を含む培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、より高いビタミンB12(例えば、少なくとも0.1mg/L、少なくとも0.05mg/L、少なくとも0.01mg/L、少なくとも0.005mg/L、少なくとも0.001mg/L、少なくとも0.0005mg/L、少なくとも0.0001mg/L、または少なくとも0.00005mg/LのビタミンB12をそれぞれ含む培養培地中)を含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、少なくとも500%、少なくとも550%、少なくとも600%、少なくとも650%、または少なくとも700%高い。例えば、ビタミンB12を含有しない培養培地中で増殖させたバイオマス中のEPA濃度は、ビタミンB12(例えば、少なくとも0.0001mg/LのビタミンB12)を含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、少なくとも500%、少なくとも550%、少なくとも600%、少なくとも650%、または少なくとも700%高い。
[0057]一部の実施形態において、周囲CO2レベル下でより低いビタミンB12レベル(例えば、0.1mg/L未満、0.05mg/L未満、0.01mg/L未満、0.005mg/L未満、0.001mg/L未満、0.0005mg/L未満、0.0001mg/L未満のビタミンB12を含み、またはビタミンB12を含まない培養培地中)を含む培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、周囲CO2レベル下でより高いビタミンB12レベル(例えば、少なくとも0.1mg/L、少なくとも0.05mg/L、少なくとも0.01mg/L、少なくとも0.005mg/L、少なくとも0.001mg/L、少なくとも0.0005mg/L、少なくとも0.0001mg/L、または少なくとも0.00005mg/LのビタミンB12をそれぞれ含む培養培地中)を含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%高い。一部の実施形態において、周囲CO2レベル下でより低いビタミンB12レベルを含む培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、周囲CO2レベル下でより高いビタミンB12レベルを含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、100%から700%、150%から650%、200%から600%、250%から550%、または300%から500%高い。一部の実施形態において、高CO2レベル(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%の溶解CO2レベル)下でより低いビタミンB12レベルを含む培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、高CO2レベル下でより高いビタミンB12レベルを含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%高い。一部の実施形態において、高CO2レベル(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%の溶解CO2レベル)下でより低いビタミンB12レベルを含む培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、高CO2レベル下でより高いビタミンB12レベルを含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、5%から200%、10%から175%、15%から150%、20%から125%、または25%から100%高い。例えば、周囲CO2レベル下でビタミンB12を含まない培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、周囲CO2レベル下でビタミンB12(例えば、少なくとも0.0001mg/LのビタミンB12)を含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%高い。別の例において、少なくとも10%の溶解CO2レベル下でビタミンB12を含まない培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、少なくとも10%の溶解CO2レベル下でビタミンB12(例えば、少なくとも0.0001mg/LのビタミンB12)を含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%高い。
[0058]一部の実施形態において、EPA濃度は、0.1mg/L超のビタミンB12を有する培養培地中で増殖させた同一微生物と比較して、0.1mg/L未満のビタミンB12を有する培養培地中で増殖させた微生物のバイオマス中で少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%だけ増加させる。一部の実施形態において、EPA濃度は、0.01mg/L超のビタミンB12を有する培養培地中で増殖させた同一微生物と比較して、0.01mg/L未満のビタミンB12を有する培養培地中で増殖させた微生物のバイオマス中で少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%だけ増加させる。一部の実施形態において、EPA濃度は、0.001mg/L超のビタミンB12を有する培養培地中で増殖させた同一微生物と比較して、0.001mg/L未満のビタミンB12を有する培養培地中で増殖させた微生物のバイオマス中で少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%だけ増加させる。さらなる実施形態において、EPA濃度は、0.0001mg/L超のビタミンB12を有する培養培地中で増殖させた同一微生物と比較して、0.0001mg/L未満のビタミンB12を有する培養培地中で増殖させた微生物のバイオマス中で少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%だけ増加させる。一部の実施形態において、EPA濃度は、ある量のビタミンB12を含有する培養培地中で増殖させた同一微生物と比較して、ビタミンB12を有さない培養培地中で増殖させた微生物のバイオマス中で少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%だけ増加させる。バイオマス中のEPA濃度の増加の測定は、より多量のビタミンB12を有する培養培地中で微生物を増殖させること、より少量のビタミンB12を有する培養培地中で同一微生物を増殖させること、およびそれぞれの培養物から得られたバイオマス中のEPA濃度を比較することにより行うことができる。この測定において、より少量またはより多量のビタミンB12を有する培養培地の含有物は、それらのビタミンB12のレベルを除き同一である。
[0059]一部の実施形態において、少なくとも0.1mg/L、少なくとも0.05mg/L、少なくとも0.01mg/L、少なくとも0.005mg/L、少なくとも0.001mg/L、少なくとも0.0005mg/L、または少なくとも0.0001mg/LのビタミンB12を含む培養培地中で増殖させた微生物のバイオマスのEPA濃度は、総脂肪酸の少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、または少なくとも5重量%のEPAである。一部の実施形態において、少なくとも0.1mg/L、少なくとも0.05mg/L、少なくとも0.01mg/L、少なくとも0.005mg/L、少なくとも0.001mg/L、少なくとも0.0005mg/L、または少なくとも0.0001mg/LのビタミンB12を含む培養培地中で増殖させた微生物のバイオマスのEPA濃度は、総脂肪酸の1重量%から50重量%、1重量%から40重量%、1重量%から30重量%、1重量%から20重量%、2重量%から50重量%、2重量%から40重量%、2重量%から30重量%、または2重量%から20重量%のEPAである。
[培養培地中のコバルト]
[0060]一部の実施形態において、本発明は、増加濃度のEPAを有する微生物のバイオマスを作製する方法であって、微生物を、0.1mg/L未満のコバルトを含む培養培地中で増殖させてバイオマスを生成するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態において、培養培地は、0.05mg/L未満、0.01mg/L未満、0.005mg/L未満、0.001mg/L未満、0.0005mg/L未満、0.0001mg/L未満のコバルトを含み、またはコバルトを含まない。
[0061]一部の実施形態において、培養培地は、脂質不含バイオマス50g当たり1g未満の酵母エキス、脂質不含バイオマス50g当たり0.8g未満の酵母エキス、脂質不含バイオマス50g当たり0.5g未満の酵母エキス、脂質不含バイオマス50g当たり0.3g未満の酵母エキス、脂質不含バイオマス50g当たり0.1g未満の酵母エキス、脂質不含バイオマス50g当たり0.05g未満の酵母エキス、または脂質不含バイオマス50g当たり0.01g未満の酵母エキスをさらに含む。
[0062]一部の実施形態において、より低いコバルトレベル(例えば、0.1mg/L未満、0.05mg/L未満、0.01mg/L未満、0.005mg/L未満、0.001mg/L未満、0.0005mg/L未満、0.0001mg/L未満のコバルトを含み、またはコバルトを含まない培養培地中)を含む培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、より高いコバルトレベル(例えば、少なくとも0.1mg/L、少なくとも0.05mg/L、少なくとも0.01mg/L、少なくとも0.005mg/L、少なくとも0.001mg/L、少なくとも0.0005mg/L、少なくとも0.0001mg/L、または少なくとも0.00005mg/Lのコバルトをそれぞれ含む培養培地中)を含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、少なくとも500%、少なくとも550%、少なくとも600%、少なくとも650%、または少なくとも700%高い。例えば、コバルトを含有しない培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、コバルト(例えば、少なくとも0.0001mg/Lのコバルト)を含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、少なくとも500%、少なくとも550%、少なくとも600%、少なくとも650%、または少なくとも700%高い。
[0063]一部の実施形態において、周囲CO2レベル下でより低いコバルトレベル(例えば、0.1mg/L未満、0.05mg/L未満、0.01mg/L未満、0.005mg/L未満、0.001mg/L未満、0.0005mg/L未満、0.0001mg/L未満のコバルトを含み、またはコバルトを含まない培養培地中)を含む培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、周囲CO2レベル下でより高いコバルトレベル(例えば、少なくとも0.1mg/L、少なくとも0.05mg/L、少なくとも0.01mg/L、少なくとも0.005mg/L、少なくとも0.001mg/L、少なくとも0.0005mg/L、少なくとも0.0001mg/L、または少なくとも0.00005mg/Lのコバルトをそれぞれ含む培養培地中)を含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%高い。一部の実施形態において、周囲CO2レベル下でより低いコバルトレベルを含む培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、周囲CO2レベル下でより高いコバルトレベルを含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、100%から700%、150%から650%、200%から600%、250%から550%、または300%から500%高い。一部の実施形態において、高CO2レベル下でより低いコバルトレベル(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%の溶解CO2レベル)を含む培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、高CO2レベル下でより高いコバルトレベルを含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%高い。一部の実施形態において、高CO2レベル(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%の溶解CO2レベル)下でより低いコバルトレベルを含む培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、高CO2レベル下でより高いコバルトレベルを含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、5%から200%、10%から175%、15%から150%、20%から125%、または25%から100%高い。例えば、周囲CO2レベル下でコバルトを含まない培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、周囲CO2レベル下でコバルト(例えば、少なくとも0.0001mg/Lのコバルト)を含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%高い。別の例として、少なくとも10%の溶解CO2レベル下でコバルトを含まない培養培地中で増殖させたバイオマスのEPA濃度は、少なくとも10%の溶解CO2レベル下でコバルト(例えば、少なくとも0.0001mg/Lのコバルト)を含む培養培地中で増殖させた微生物から得られるバイオマス中のEPA濃度よりも、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%高い。
[0064]一部の実施形態において、EPA濃度は、0.1mg/L超のコバルトを有する培養培地中で増殖させた同一微生物と比較して0.1mg/L未満のコバルトを有する培養培地中で増殖させた微生物のバイオマス中で少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%だけ増加させる。一部の実施形態において、EPA濃度は、0.01mg/L超のコバルトを有する培養培地中で増殖させた同一微生物と比較して0.01mg/L未満のコバルトを有する培養培地中で増殖させた微生物のバイオマス中で少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%だけ増加させる。一部の実施形態において、EPA濃度は、0.001mg/L超のコバルトを有する培養培地中で増殖させた同一微生物と比較して0.001mg/L未満のコバルトを有する培養培地中で増殖させた微生物のバイオマス中で少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%だけ増加させる。さらなる実施形態において、EPA濃度は、0.0001mg/L超のコバルトを有する培養培地中で増殖させた同一微生物と比較して0.0001mg/L未満のコバルトを有する培養培地中で増殖させた微生物のバイオマス中で少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%だけ増加させる。一部の実施形態において、EPA濃度は、ある量のコバルトを含有する培養培地中で増殖させた同一微生物と比較してコバルトを有さない培養培地中で増殖させた微生物のバイオマス中で少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%だけ増加させる。バイオマス中のEPA濃度の増加の測定は、より多量のコバルトを有する培養培地中で微生物を増殖させること、より少量のコバルトを有する培養培地中で同一微生物を増殖させること、およびそれぞれの培養物から得られたバイオマス中のEPA濃度を比較することにより行うことができる。この測定において、より少量またはより多量のコバルトを有する培養培地の含有物は、それらのコバルトのレベルを除き同一である。
[0065]一部の実施形態において、少なくとも0.1mg/L、少なくとも0.05mg/L、少なくとも0.01mg/L、少なくとも0.005mg/L、少なくとも0.001mg/L、少なくとも0.0005mg/L、または少なくとも0.0001mg/Lのコバルトを含む培養培地中で増殖させた微生物のバイオマスのEPA濃度は、総脂肪酸の少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、または少なくとも5重量%のEPAである。一部の実施形態において、少なくとも0.1mg/L、少なくとも0.05mg/L、少なくとも0.01mg/L、少なくとも0.005mg/L、少なくとも0.001mg/L、少なくとも0.0005mg/L、または少なくとも0.0001mg/Lのコバルトを含む培養培地中で増殖させた微生物のバイオマスのEPA濃度は、総脂肪酸の1重量%から50重量%、1重量%から40重量%、1重量%から30重量%、1重量%から20重量%、2重量%から50重量%、2重量%から40重量%、2重量%から30重量%、または2重量%から20重量%のEPAである。
[0066]少量のビタミンB12、酵母エキス、および/またはコバルトを含有する培養培地は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%の溶解CO2レベルをさらに含み得る。本発明は、本明細書において開示される方法の単離されたバイオマス、および本方法のバイオマスから抽出された微生物油を対象とする。
[0067]本発明は、本発明の微生物のいずれかまたはそれらの混合物を含む単離された培養物を対象とする。
[0068]本発明は、本発明の微生物もしくはバイオマスのいずれかまたはそれらの混合物を含む、非ヒト動物またはヒト用の食品、化粧品、または医薬組成物を対象とする。
[0069]本発明は、少なくとも約20重量%のエイコサペンタエン酸および約5重量%未満のアラキドン酸、ドコサペンタエン酸n−6、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エルカ酸、およびステアリドン酸のそれぞれを含む微生物油を対象とする。一部の実施形態において、微生物油は、少なくとも約25重量%のドコサヘキサエン酸をさらに含む。
[0070]本発明は、トリアシルグリセロール画分中の脂肪酸の少なくとも約12重量%がエイコサペンタエン酸であり、トリアシルグリセロール画分中の脂肪酸の少なくとも約25重量%未満がドコサヘキサエン酸であり、トリアシルグリセロール画分中の脂肪酸の約5重量%がアラキドン酸である、少なくとも約10重量%のトリアシルグリセロール画分を含む微生物油を対象とする。
[0071]本発明は、本発明の微生物油のいずれかを含む、非ヒト動物またはヒト用の食品、化粧品、または医薬組成物である。一部の実施形態において、食品は、調製粉乳である。一部の実施形態において、調製粉乳は未熟児に好適である。一部の実施形態において、食品は、乳、飲料、治療用飲料、栄養飲料、またはそれらの組合せである。一部の実施形態において、食品は、非ヒト動物用食物またはヒト用食物のための添加物である。一部の実施形態において、食品は栄養サプリメントである。一部の実施形態において、食品は動物用飼料である。一部の実施形態において、動物用飼料は水産養殖飼料である。一部の実施形態において、動物用飼料は、家畜用飼料、動物園動物用飼料、使役動物用飼料、畜類用飼料、またはそれらの組合せである。
[0072]本発明は、ω−3脂肪酸を含む微生物油を生成する方法であって、本発明の単離された微生物のいずれかまたはそれらの混合物を培養物中で増殖させてω−3脂肪酸を含む油を生成するステップを含む方法を対象とする。一部の実施形態において、本方法は、油を抽出することをさらに含む。
[0073]本発明は、ω−3脂肪酸を含む微生物油を生成する方法であって、本発明のバイオマスのいずれかから、ω−3脂肪酸を含む油を抽出するステップを含む方法を対象とする。一部の実施形態において、微生物油は、有機溶媒抽出プロセス、例えばヘキサン抽出を使用して抽出する。一部の実施形態において、微生物油は、無溶媒抽出プロセスを使用して抽出する。
[0074]本発明は、本発明の方法により生成された微生物油を対象とする。
[0075]本発明は、本発明のバイオマスを生成する方法であって、本発明の単離された微生物のいずれかまたはそれらの混合物を培養物中で増殖させてバイオマスを生成するステップを含む方法を対象とする。
[0076]本発明は、本発明の方法により生成されたバイオマスを対象とする。
[0077]本発明は、本発明の突然変異株を生成する方法であって、本発明の微生物のいずれかを突然変異誘発させるステップと、突然変異株を単離するステップとを含む方法を対象とする。
[0078]本発明は、炎症または炎症に関連する病態の治療用の医薬品の製造のための、本発明の単離された微生物、バイオマス、もしくは微生物油のいずれか、またはそれらの混合物の使用を対象とする。
[0079]本発明は、炎症または炎症に関連する病態の治療のための、本発明の単離された微生物、バイオマス、もしくは微生物油のいずれか、またはそれらの混合物の使用を対象とする。
[0080]本発明は、炎症または炎症に関連する病態の治療において使用される、本発明の単離された微生物、バイオマス、もしくは微生物油のいずれか、またはそれらの混合物を対象とする。
[0081]本発明は、炎症または炎症に関連する病態の治療を必要とする対象において炎症または炎症に関連する病態を治療する方法であって、本発明の単離された微生物、バイオマス、もしくは微生物油のいずれか、またはそれらの混合物、および薬学的に許容可能な担体を対象に投与するステップを含む方法を対象とする。
[0082]本発明は、本発明の微生物から微生物油、およびバイオマスを生成する方法、ならびに微生物、バイオマス、および微生物油を使用する方法を対象とする。
[微生物]
[0083]一部の実施形態において、本発明で使用される微生物細胞は、ラビリンチュラ菌門(Labyrinthulomycota)の微生物である。一部の実施形態において、ラビリンチュラ菌門(Labyrinthulomycota)の微生物細胞は、ヤブレツボカビ、例えば、シゾキトリウム属(Schizochytrium)またはトラウストキトリウム属(Thraustochytrium)である。本発明によれば、用語「ヤブレツボカビ」は、ヤブレツボカビ科(Thraustochytriaceae)を含むヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)の任意のメンバーを指し、用語「ラビリンチュラ」は、ラビリンチュラ科(Labyrinthulaceae)を含むラビリンチュラ目(Labyrinthulales)の任意のメンバーを指す。
[0084]ラビリンチュラ科(Labyrinthulaceae)のメンバーは、以前はヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)のメンバーであると考えられていたが、近年、このような生物の分類学上の分類が見直され、現在は、ラビリンチュラ科(Labyrinthulaceae)はラビリンチュラ目(Labyrinthulales)のメンバーであると考えられている。ラビリンチュラ目(Labyrinthulales)およびヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)の双方とも、ラビリンチュラ菌門(Labyrinthulomycota)のメンバーであると考えられている。分類学の理論家は、現在、概してこれらの微生物群の双方をストラメノパイル(Stramenopile)系統の藻類または藻類様原生生物とともに位置付けている。ヤブレツボカビおよびラビリンチュラの現行の分類学上の位置付けは以下のとおり要約することができる:
界:ストラメノパイラ(Stramenopila)(クロミスタ(Chromista))
門:ラビリンチュラ菌門(Labyrinthulomycota)(不等毛藻類(Heterokonta))
綱:ラビリンチュラ綱(Labyrinthulomycetes)(ラビリンチュラ類(Labyrinthulae))
目:ラビリンチュラ目(Labyrinthulales)
科:ラビリンチュラ科(Labyrinthulaceae)
目:ヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)
科:ヤブレツボカビ科(Thraustochytriaceae)
[0085]本発明の目的上、ヤブレツボカビとして記載される微生物細胞株には、以下の生物が含まれる:目:ヤブレツボカビ目(Thraustochytriales);科:ヤブレツボカビ科(Thraustochytriaceae);属:トラウストキトリウム属(Thraustochytrium)(種:エスピー(sp.)、アルジメンタレ(arudimentale)、アウレウム(aureum)、ベンチコラ(benthicola)、グロボスム(globosum)、キンネイ(kinnei)、モチブム(motivum)、ムルチルジメンタレ(multirudimentale)、パキデルマム(pachydermum)、プロリフェルム(proliferum)、ロセウム(roseum)、およびストリアツム(striatum))、ウルケニア(Ulkenia)属(種:エスピー(sp.)、アモエボイデア(amoeboidea)、ケルグエレンシス(kerguelensis)、ミヌタ(minuta)、プロフンダ(profunda)、ラジアタ(radiata)、サイレンス(sailens)、サルカリアナ(sarkariana)、シゾキトロプス(schizochytrops)、ウィスルゲンシス(visurgensis)、ヨルケンシス(yorkensis)、およびエスピー(sp.)BP−5601)、シゾキトリウム属(Schizochytrium)(種:エスピー(sp.)、アグレガツム(aggregatum)、リムナセウム(limnaceum)、マングロベイ(mangrovei)、ミヌツム(minutum)、およびオクトスポルム(octosporum))、ヤポノキトリウム(Japonochytrium)属(種:エスピー(sp.)、マリヌム(marinum))、アプラノキトリウム属(Aplanochytrium)(種:エスピー(sp.)、ハリオチジス(haliotidis)、ケルグエレンシス(kerguelensis)、プロフンダ(profunda)、およびストッキノイ(stocchinoi))、アルトルニア(Althornia)属(種:エスピー(sp.)、クロウチイ(crouchii))、またはエリナ(Elina)属(種:エスピー(sp.)、マリサルバ(marisalba)、およびシノリフィカ(sinorifica))。本発明の目的上、ウルケニア(Ulkenia)属の範囲内に記載される種は、トラウストキトリウム属(Thraustochytrium)のメンバーであると考えられ得る。アウランチアコキトリウム属(Aurantiacochytrium)およびオブロゴスポラ属(Oblogospora)は、本発明においてラビリンチュラ菌門(Labyrinthulomycota)により包含される2つの追加の属である。一部の実施形態において、微生物細胞はトラウストキトリウム属(Thraustochystrium)、シゾキトリウム属(Schizochytrium)、およびそれらの混合物である。
[0086]本発明は、単離された微生物およびそれに由来する株を対象とする。本発明の単離された微生物に「由来する」株は天然または人工誘導体、例えば、変異株、変種株、または組換え株などであり得る。本明細書において使用される「単離された」という用語は、必ずしも、単離物が精製されている程度を反映するとは限らず、天然形態または天然環境からの単離または分離を示す。単離物には、限定されるものではないが、単離された微生物、単離されたバイオマス、単離された培養物、単離された微生物油、および単離された配列(例えば、本明細書に開示の単離されたポリヌクレオチド配列)が含まれ得る。本明細書において使用される「微生物」という用語には、限定されるものではないが、「微細藻類」、「ヤブレツボカビ」という用語および本明細書に記載の寄託された微生物のいずれかに関連する分類学上の分類が含まれる。本明細書に記載の寄託された微生物を含む本発明の微生物のいずれかに関連して使用される「ヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)」、「ヤブレツボカビ」、「シゾキトリウム属(Schizochytrium)」、および「ヤブレツボカビ属(Thraustochytrium)」という用語は、利用可能な系統情報を含む現在の分類学上の分類に基づいており、本願の出願日の後に、万一この分類学上の分類が改訂された場合には限定的であることが意図されない。
[0087]一部の実施形態において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された種の単離された微生物を対象とする。ATCCアクセッション番号PTA−10212に関連する単離された微生物は、本明細書において、ヤブレツボカビ属エスピー(Thraustochytrium sp.)ATCC PTA−10212としても公知である。ATCCアクセッション番号PTA−10212に関連する単離された微生物は、ブダペスト条約の下、2009年7月14日に、アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection),Patent Depository,10801 University Boulevard,Manassas,VA20110−2209に寄託された。一部の実施形態において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された単離された株を対象とする。一部の実施形態において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA−10212、PTA−10213、PTA−10214、PTA−10215、PTA−10208、PTA−10209、PTA−10210、またはPTA−10211で寄託された単離された微生物を対象とする。
[0088]一部の実施形態において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された種の特徴を有する単離された微生物またはそれに由来する株を対象とする。ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された種の特徴には、その増殖特性および表現型特性(表現型特性の例には、形態特性および生殖特性が含まれる)、その物理的特性および化学的特性(例えば、乾燥重量および脂質プロファイル)、その遺伝子配列、ならびにそれらの組合せが含まれ得、これらの特徴により、前記の種と、以前に特定された種が区別される。一部の実施形態において、本発明は、配列番号1のポリヌクレオチド配列、または配列番号1と少なくとも94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む18srRNA、ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された種の形態特性および生殖特性、ならびにATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された種の脂肪酸プロファイルを含む、ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された種の特徴を有する単離された微生物を対象とする。一部の実施形態において、本発明の単離された微生物は、ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された微生物の表現型特性と実質的に同一の表現型特性を有する。一部の実施形態において、本発明の単離された微生物は、ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された微生物の増殖特性と実質的に同一の増殖特性を有する。一部の実施形態において、本発明は、配列番号1のポリヌクレオチド配列または配列番号1と少なくとも94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む18srRNAを含む、単離された微生物を対象とする。一部の実施形態において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された微生物の18srRNAポリヌクレオチド配列と少なくとも94%の同一性を有する18srRNAポリヌクレオチド配列を含む、単離された微生物を対象とする。
[0089]一部の実施形態において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された微生物の突然変異株を対象とする。さらなる実施形態において、突然変異株は、ATCCアクセッション番号PTA−10213、PTA−10214、またはPTA−10215で寄託された株である。ATCCアクセッション番号PTA−10213、PTA−10214、およびPTA−10215に関連する微生物は、ブダペスト条約の下、2009年7月14日に、アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection),Patent Depository,10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209に寄託された。
[0090]一部の実施形態において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA−10208で寄託された種の単離された微生物を対象とする。ATCCアクセッション番号PTA−10208に関連する単離された微生物はまた、本明細書において、シゾキトリウム属エスピー(Schizochytrium sp.)ATCC PTA−10208とも知られる。ATCCアクセッション番号PTA−10208に関連する微生物は、ブダペスト条約の下、2009年7月14日に、アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection),Patent Depository,10801 University Boulevard,Manassas,VA20110−2209に寄託された。一部の実施形態において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA−10208で寄託された単離された株を対象とする。
[0091]一部の実施形態において、本発明は、微生物より生成される総脂肪酸が約10重量%超、約11重量%超、約12重量%超、約13重量%超、約14重量%超、約15重量%超、約16重量%超、約17重量%超、約18重量%超、約19重量%超、または約20重量%超のEPAを含む、ATCCアクセッション番号PTA−10208で寄託された種の単離された微生物に関する。一部の実施形態において、本発明は、微生物により生成される総脂肪酸が約10重量%から約55重量%、約10重量%から約50重量%、約10重量%から約45重量%、約10重量%から約40重量%、約10重量%から約35重量%、約10重量%から約30重量%、約15重量%から約55重量%、約15重量%から約50重量%、約15重量%から約45重量%、約15重量%から約40重量%、約15重量%から約35重量%、約15重量%から約30重量%、約20重量%から約55重量%、約20重量%から約50重量%、約20重量%から約45重量%、約20重量%から約40重量%、約20重量%から約35重量%、または約20重量%から約30重量%のEPAを含む、ATCCアクセッション番号PTA−10208で寄託された種の単離された微生物を対象とする。
[0092]一部の実施形態において、本発明は、微生物により生成される総脂肪酸が約10重量%超のエイコサペンタエン酸を含む、ATCCアクセッション番号PTA−10208で寄託された種の特徴を有する単離された微生物を対象とする。ATCCアクセッション番号PTA−10208で寄託された微生物の特徴には、その増殖特性および表現型特性(表現型特性の例には、形態特性および生殖特性が含まれる)、その物理的特性および化学的特性(例えば、乾燥重量および脂質プロファイル)、その遺伝子配列、ならびにそれらの組合せが含まれ、これらの特徴により、前記の種と、以前に特定された種が区別される。一部の実施形態において、本発明は、特徴が配列番号2のポリヌクレオチド配列を含む18srRNA、ATCCアクセッション番号PTA−10208で寄託された種の形態特性および生殖特性、ならびにATCCアクセッション番号PTA−10208で寄託された種の脂肪酸プロファイルを含む、ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された種の特徴を有する単離された微生物を対象とする。一部の実施形態において、本発明の単離された微生物は、ATCCアクセッション番号PTA−10208で寄託された微生物の物理的特性および化学的特性と実質的に同一の物理的特性および化学的特性を有する。
[0093]一部の実施形態において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA−10208で寄託された微生物の突然変異株を対象とする。さらなる実施形態において、突然変異株は、ATCCアクセッション番号PTA−10209、PTA−10210、またはPTA−10211で寄託された株である。ATCCアクセッション番号PTA−10209、PTA−10210、およびPTA−10211に関連する微生物は、ブダペスト条約の下、2009年9月25日に、アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection), Patent Depository,10801 University Boulevard,Manassas,VA20110−2209に寄託された。
[0094]一部の実施形態において、本発明は、トリアシルグリセロール画分のEPA含有率が少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、または少なくとも約20重量%であるトリアシルグリセロール画分を生成する、本発明の単離された微生物を対象とする。一部の実施形態において、本発明は、トリアシルグリセロール画分のEPA含有率が約12重量%から約55重量%、約12重量%から約50重量%、約12重量%から約45重量%、約12重量%から約40重量%、約12重量%から約35重量%、約12重量%から約30重量%、約15重量%から約45重量%、約15重量%から約40重量%、約15重量%から約35重量%、約15重量%から約30重量%、または約20重量%から約30重量%であるトリアシルグリセロール画分を生成する、単離された微生物を対象とする。
[0095]一部の実施形態において、本発明は、トリアシルグリセロール画分のEPA含有率が少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、または少なくとも約20重量%であるトリアシルグリセロール画分を生成する、本発明の単離された微生物の突然変異体、変種、または組換え体を対象とする。一部の実施形態において、本発明は、トリアシルグリセロール画分のEPA含有率が約12重量%から約55重量%、約12重量%から約50重量%、約12重量%から約45重量%、約12重量%から約40重量%、約12重量%から約35重量%、約12重量%から約30重量%、約15重量%から約55重量%、約15重量%から約50重量%、約15重量%から約45重量%、約15重量%から約40重量%、約15重量%から約35重量%、約15重量%から約30重量%、約20重量%から約55重量%、約20重量%から約50重量%、約20重量%から約45重量%、約20重量%から約40重量%、約20重量%から約35重量%、または約20重量%から約30重量%であるトリアシルグリセロール画分を生成する、本発明の単離された微生物の突然変異体、変種、または組換え体に関する。突然変異株は、周知の手順により生成することができる。一般的な手順には、放射線照射、高温処理、および突然変異原による処理が含まれる。変種株は、本明細書に記載の種の他の天然の単離物および/または下位単離物(sub−isolate)であり得る。組換え株は、外因性遺伝子を発現させるための、または内因性遺伝子の機能もしくは発現を変えるための分子生物学における任意の周知の方法により生成することができる。一部の実施形態において、突然変異株、変種株、または組換え株は、野生型株よりも多量のω−3脂肪酸、特にEPAを生成する。一部の実施形態において、突然変異株、変種株、または組換え株は、より少ない量の1つ以上の脂肪酸、例えば、より少ない量のDHA、ARA、DPAn−6、またはそれらの組合せを生成する。一部の実施形態において、突然変異株、変種株、または組換え株は、培養物1リットル当たり、野生型株よりも多い乾燥細胞重量を生成する。このような突然変異株、変種株、または組換え株は、本発明の単離された微生物に由来する株の例である。
[0096]本発明はまた、微生物またはそれに由来する株により生成される総脂肪酸が約10重量%以下のエイコサペンタエン酸を含む、ATCCアクセッション番号PTA−9695で寄託されたヤブレツボカビ種の特徴を有する単離されたヤブレツボカビ微生物を対象とする。
[0097]本発明はまた、トリグリセリド画分のドコサヘキサエン酸含有率が少なくとも約40重量%であり、トリグリセリド画分のドコサペンタエン酸n−6含有率が少なくとも約0.5重量%から約6重量%であり、微生物またはそれに由来する株により生成される総脂肪酸が約10重量%以下のエイコサペンタエン酸を含むトリグリセリド画分を含む、単離されたヤブレツボカビ微生物、またはそれに由来する株を対象とする。
[0098]本発明はまた、微生物またはそれに由来する株により生成される総脂肪酸が約10重量%以下のエイコサペンタエン酸を含む、ATCCアクセッション番号PTA−9695で寄託されたヤブレツボカビと同一種の単離されたヤブレツボカビ微生物、またはそれに由来する株を対象とする。
[0099]一部の実施形態において、本発明の単離されたヤブレツボカビ微生物に由来する株は、突然変異株である。
[0100]本発明はまた、ATCCアクセッション番号PTA−9695、PTA−9696、PTA−9697、またはPTA−9698で寄託された、単離された微生物を対象とする。
[0101]本発明はまた、本発明のヤブレツボカビ微生物のいずれか1つまたはそれらの混合物を含むヤブレツボカビバイオマスを対象とする。
[0102]本発明はまた、バイオマスの乾燥細胞重量の少なくとも約50重量%が脂肪酸であり、脂肪酸の少なくとも約50重量%がω−3脂肪酸である、単離されたヤブレツボカビバイオマスを対象とする。一部の実施形態において、脂肪酸の少なくとも約50重量%は、ドコサヘキサエン酸である。本発明はまた、バイオマスの乾燥細胞重量の少なくとも約25重量%がドコサヘキサエン酸である、単離されたヤブレツボカビバイオマスを対象とする。
[0103]一部の実施形態において、本発明はまた、脂肪酸の約10重量%以下がエイコサペンタエン酸であり、ドコサヘキサエン酸とエイコサペンタエン酸との重量比が少なくとも約5:1である、単離されたヤブレツボカビバイオマスを対象とする。
[0104]一部の実施形態において、本発明はまた、脂肪酸の約1.5重量%以下がアラキドン酸であり、ドコサヘキサエン酸とアラキドン酸との重量比が少なくとも約20:1である、単離されたヤブレツボカビバイオマスを対象とする。
[0105]一部の実施形態において、本発明はまた、ドコサヘキサエン酸およびドコサペンタエン酸n−6を少なくとも約10:1の重量比で含む、単離されたヤブレツボカビバイオマスを対象とする。一部の実施形態において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA−9695で寄託された種のヤブレツボカビを対象とする。単離されたヤブレツボカビは、本明細書においてシゾキトリウム属エスピー(Schizochytrium sp.)ATCC PTA−9695としても公知である。ATCCアクセッション番号PTA−9695に関連するヤブレツボカビは、ブダペスト条約の下、2009年1月7日に、アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection), Patent Depository,10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209に寄託された。
[0106]一部の実施形態において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA−9695で寄託された、単離されたヤブレツボカビ株を対象とする。一部の実施形態において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA−9695で寄託されたヤブレツボカビと同一種の単離されたヤブレツボカビ微生物を対象とする。
[0107]一部の実施形態において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA−9695寄託された種の特徴を有する単離されたヤブレツボカビまたはそれに由来する株を対象とする。ATCCアクセッション番号PTA−9695で寄託されたヤブレツボカビ種の特徴には、その増殖特性および表現型特性(表現型特性の例には、形態特性および生殖特性が含まれる)、その物理的特性および化学的特性(例えば、乾燥重量および脂質プロファイル)、ならびにその遺伝子配列が含まれる。一部の実施形態において、本発明の単離されたヤブレツボカビは、ATCCアクセッション番号PTA−9695で寄託されたヤブレツボカビの実質的に同一の表現型特性を有する。一部の実施形態において、本発明の単離されたヤブレツボカビは、ATCCアクセッション番号PTA−9695で寄託されたヤブレツボカビの実質的に同一の増殖特性を有する。
[0108]一部の実施形態において、本発明は、突然変異体、変種、または組換え体により生成される総脂肪酸が約10重量%以下のエイコサペンタエン酸を含む、本発明の単離されたヤブレツボカビの突然変異体、変種、または組換え体を対象とする。突然変異株は、周知の手順により生成することができる。一般的な手順には、放射線照射;高温処理;および突然変異原による処理が含まれる。変種株は、本明細書に記載の種の他の天然の単離物および/または下位単離物であり得る。組換え株は、外因性遺伝子を発現させるための、または内因性遺伝子の機能もしくは発現を変えるための分子生物学における任意の周知の方法により生成することができる。一部の実施形態において、突然変異株、変種株、または組換え株は、野生型株よりも多量のω−3脂肪酸、例としてDHAおよび/またはEPAを生成する。一部の実施形態において、突然変異株、変種株、または組換え株は、より少量の1つ以上の脂肪酸、例えば、より少量のDHA、ARA、DPAn−6、またはそれらの組合せを生成する。一部の実施形態において、突然変異株、変種株、または組換え株は、培養物1リットル当たり、野生型株よりも多い乾燥細胞重量を生成する。このような突然変異株、変種株、または組換え株は、本発明の単離されたヤブレツボカビに由来する株の例である。
[0109]一部の実施形態において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA−9695で寄託されたヤブレツボカビの突然変異株を対象とする。さらなる実施形態において、突然変異株は、ATCCアクセッション番号PTA−9696、PTA−9697、またはPTA−9698で寄託された株である。ATCCアクセッション番号PTA−9696、PTA−9697、およびPTA−9698に関連するヤブレツボカビ株は、ブダペスト条約の下、2009年1月7日に、アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection),Patent Depository,10801 University Boulevard,Manassas,VA20110−2209に寄託された。これらの寄託された突然変異株は、ATCCアクセッション番号PTA−9695で寄託されたヤブレツボカビの誘導体である。
[0110]一部の実施形態において、本発明の単離されたヤブレツボカビは、その突然変異体、変種、または組換え体を含め、ヤブレツボカビから単離された1つ以上の画分中に脂肪酸プロファイルを含む。ヤブレツボカビから単離された1つ以上の画分には、総脂肪酸画分、ステロールエステル画分、トリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、極性画分(リン脂質画分を含む)、およびそれらの組合せが含まれる。
[0111]本発明はまた、本発明のヤブレツボカビ微生物のいずれか1つまたはそれらの混合物を含む、単離されたヤブレツボカビ培養物を対象とする。一部の実施形態において、培養物は、少なくとも約5%の溶解酸素を含む。
[0112]本発明はまた、本発明のヤブレツボカビ微生物もしくはバイオマスのいずれか1つまたはそれらの混合物を含む、動物またはヒト用の食品、化粧品、または医薬組成物を対象とする。
[0113]本発明はまた、少なくとも約70重量%のトリグリセリド画分を含み、トリグリセリド画分のドコサヘキサエン酸含有率が少なくとも約50重量%であり、トリグリセリド画分のドコサペンタエン酸n−6含有率が約0.5重量%から約6重量%である微生物油を対象とする。一部の実施形態において、微生物油は、約1.5重量%以下のトリグリセリド画分のアラキドン酸含有率をさらに含む。
[0114]本発明はまた、少なくとも約70重量%のトリグリセリド画分を含み、トリグリセリド画分のドコサヘキサエン酸含有率が少なくとも約40重量%であり、トリグリセリド画分のドコサペンタエン酸n−6含有率が少なくとも約0.5重量%から約6重量%であり、ドコサヘキサエン酸とドコサペンタエン酸n−6との比が約6:1超である微生物油を対象とする。
[0115]本発明はまた、少なくとも約70重量%のトリグリセリド画分を含み、トリグリセリド画分のドコサヘキサエン酸含有率が少なくとも約60重量%である微生物油を対象とする。
[0116]一部の実施形態において、微生物油のトリグリセリド画分中のトリグリセリドの少なくとも約20%は、sn−1、sn−2、およびsn−3位のいずれか2つから選択されるトリグリセリド中の2つの位置においてドコサヘキサエン酸を含有する。一部の実施形態において、微生物油のトリグリセリド画分中のトリグリセリドの少なくとも約5%は、トリグリセリド中のsn−1、sn−2、およびsn−3位の3つ全てにおいてドコサヘキサエン酸を含有する。
[0117]一部の実施形態において、本発明の単離された微生物は、その突然変異体、変種、および組換え体を含め、微生物から単離された1つ以上の画分中に脂肪酸プロファイルを含む。微生物から単離された1つ以上の画分は、総脂肪酸画分、ステロールエステル画分、トリアシルグリセロール画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジアシルグリセロール画分、極性画分(リン脂質画分を含む)、およびそれらの組合せが含まれる。特定の画分の脂肪酸プロファイルは、本明細書に開示の特定の画分に関連する脂肪酸プロファイルのいずれかを含み得る。
[0118]本発明は、突然変異体を生成する方法であって、本発明の微生物のいずれかを突然変異誘発させるステップと、突然変異株を単離するステップとを含む方法を対象とする。
[培養物および単離されたバイオマス]
[0119]本発明は、本発明の1つ以上の単離された微生物を含む培養物を対象とする。ミクロフロラ、例えば、微細藻類およびヤブレツボカビを接種、増殖、および回収するための種々の発酵パラメータが当分野において公知である。例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第5,130,242号明細書参照。液体培地または固体培地は、天然海水または人工海水を含有し得る。従属栄養増殖のための炭素源には、限定されるものではないが、グルコース、フルクトース、キシロース、サッカロース、マルトース、可溶性デンプン、糖蜜、フコース、グルコサミン、デキストラン、脂肪、油、グリセロール、酢酸ナトリウム、およびマンニトールが含まれる。窒素源には、限定されるものではないが、ペプトン、酵母エキス、ポリペプトン、麦芽エキス、肉エキス、カザミノ酸、コーンスティープリカー、有機窒素源、グルタミン酸ナトリウム、尿素、無機窒素源、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、および硝酸アンモニウムが含まれる。
[0120]ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された微生物を増殖させるための典型的な培地を表1に示す。
[0121]一部の実施形態において、ATCCアクセッション番号PTA−10212で寄託された微生物、またはその突然変異体、変種、もしくは組換え体は、炭素源としてのグリセロール上で従属栄養的に増殖するが、炭素源としてのグルコース上では増殖しない。
[0122]ATCCアクセッション番号PTA−10208で寄託された微生物を増殖させるための典型的な培地を表2に示す。
[0123]一部の実施形態において、発酵体積(培養物の体積)は、少なくとも約2リットル、少なくとも約10リットル、少なくとも約50リットル、少なくとも約100リットル、少なくとも約200リットル、少なくとも約500リットル、少なくとも約1000リットル、少なくとも約10,000リットル、少なくとも約20,000リットル、少なくとも約50,000リットル、少なくとも約100,000リットル、少なくとも約150,000リットル、少なくとも約200,000リットル、または少なくとも約250,000リットルである。一部の実施形態において、発酵体積は、約2リットルから約300,000リットル、約2リットル、約10リットル、約50リットル、約100リットル、約200リットル、約500リットル、約1000リットル、約10,000リットル、約20,000リットル、約50,000リットル、約100,000リットル、約150,000リットル、約200,000リットル、約250,000リットル、または約300,000リットルである。
[0124]一部の実施形態において、本発明は、本発明の脂肪酸プロファイルを含む単離されたバイオマスを対象とする。一部の実施形態において、バイオマスの乾燥細胞重量の少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%は脂肪酸である。一部の実施形態において、バイオマスの乾燥細胞重量の約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約45%超、約50%超、約55%超、または約60%超は脂肪酸である。一部の実施形態において、バイオマスの乾燥細胞重量の約20重量%から約55重量%、約20重量%から約60重量%、約20重量%から約70重量%、約20重量%から約80重量%、約30重量%から約55重量%、約30重量%から約70重量%、約30重量%から約80重量%、約40重量%から約60重量%、約40重量%から約70重量%、約40重量%から約80重量%、約50重量%から約60重量%、約50重量%から約70重量%、約50重量%から約80重量%、約55重量%から約70重量%、約55重量%から約80重量%、約60重量%から約70重量%、または約60重量%から約80重量%は脂肪酸である。一部の実施形態において、バイオマスは、EPAとして、約10重量%超、少なくとも約12重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、または少なくとも約45重量%の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、EPAとして、約10重量%から約55重量%、約12重量%から約55重量%、約15重量%から約55重量%、約20重量%から約55重量%、約20重量%から約40重量%、または約20重量%から約30重量%の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、トリアシルグリセロール画分の少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、または少なくとも約20重量%がEPAであるトリアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、トリアシルグリセロール画分のEPA含有率が少なくとも約12重量%から約55重量%、約12重量%から約50重量%、約12重量%から約45重量%、少なくとも約12重量%から約40重量%、少なくとも約12重量%から約35重量%、または少なくとも約12重量%から約30重量%、約15重量%から約55重量%、約15重量%から約50重量%、約15重量%から約45重量%、約15重量%から約40重量%、約15重量%から約35重量%、約15重量%から約30重量%、約20重量%から約55重量%、約20重量%から約50重量%、約20重量%から約45重量%、少なくとも約20重量%から約40重量%、少なくとも約20重量%から約35重量%、または約20重量%から約30重量%であるトリアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態において、バイオマスの乾燥細胞重量の少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%がDHAである。一部の実施形態において、バイオマスの乾燥細胞重量の約20重量%から約60重量%、約25重量%から約60重量%、約25重量%から約50重量%、約25重量%から約45重量%、約30重量%から約50重量%、または約35重量%から約50重量%はDHAである。一部の実施形態において、バイオマスは、DHAとして、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、DHAとして、約1重量%から約10重量%、約1重量%から約5重量%、約2重量%から約5重量%、約3重量%から約5重量%、または約3重量%から約10重量%の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、DHAを実質的に含まない。一部の実施形態において、バイオマスは、ARAとして、約0.1重量%から約5重量%未満、約0.1重量%から約4重量%、約0.1重量%から約3重量%、約0.1重量%から約2重量%、約0.2重量%から約5重量%未満、約0.2重量%から約4重量%、約0.2重量%から約3重量%、約0.2重量%から約2重量%、約0.3重量%から約2重量%、約0.1重量%から約0.5重量%、約0.2重量%から約0.5重量%、約0.1重量%から約0.4重量%、約0.2重量%から約0.4重量%、約0.5重量%から約2重量%、約1重量%から約2重量%、約0.5重量%から約1.5重量%、または約1重量%から約1.5重量%の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、ARAとして、約5重量%未満、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、または約0.1重量%以下の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、ARAを実質的に含まない。一部の実施形態において、バイオマスは、DPAn−6として、約0.4重量%から約2重量%、約0.4重量%から約3重量%、約0.4重量%から約4重量%、約0.4重量%から約5重量%、約0.4重量%から約5重量%未満、約0.5重量%から約1重量%、約0.5重量%から約2重量%、約0.5重量%から約3重量%、約0.5重量%から約4重量%、約0.5重量%から約5重量%、約0.5重量%から約5重量%未満、約1重量%から約2重量%、約1重量%から約3重量%、約1重量%から約4重量%、約1重量%から約5重量%、または約1重量%から約5重量%未満の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、DPAn−6として、約5重量%以下、約5重量%未満、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.75重量%以下、約0.6重量%以下、または約0.5重量%以下の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、DPAn−6を実質的に含まない。一部の実施形態において、バイオマスは、約5重量%以下、約5重量%未満、約4重量%以下、約3重量%以下、または約2重量%以下のオレイン酸(18:1n−9)、リノール酸(18:2n−6)、リノレン酸(18:3n−3)、エイコセン酸(20:1n−9)、エルカ酸(22:1n−9)、またはそれらの組合せを有する脂肪酸を含む。
[0125]本発明の単離されたバイオマスの特徴は、外因的に導入された材料ではなく、単離されたバイオマスの内因的なまたは固有の特性に関連する。一部の実施形態において、単離されたバイオマスはポリビニルピロリドンを含有せず、ポリビニルピロリドンを含有する培養物から単離されない。
[0126]本発明は、バイオマスを生成する方法を対象とする。一部の実施形態において、本発明のバイオマスを生成する方法は、本発明の単離された微生物のいずれかまたはそれらの混合物を培養物中で増殖させてバイオマスを生成することを含む。本発明は、本方法により生成されたバイオマスを対象とする。
[0127]一部の実施形態において、バイオマスは脂肪酸を含み、脂肪酸は、ω−3多価不飽和脂肪酸をさらに含み、ω−3多価脂肪酸は、DHAおよびEPAを、ω−3多価不飽和脂肪酸の総量の約≧90重量%の量で含み、EPAの量は、EPAおよびDHAの総量の約6重量%から最大約65重量%である。特に、EPAの量がEPAおよびDHAの総量の約6重量%から最大約28重量%であるバイオマスが提供される。さらに、本明細書において、EPAの量がEPAおよびDHAの総量の約36重量%から最大約65重量であるバイオマスが提供される。より特定すると、EPAの量がEPAおよびDHAの総量の約28重量%から約36重量%であるバイオマスが提供される。
[0128]本明細書において提供される一部の実施形態は、脂肪酸を含み、脂肪酸がDHAおよびEPAをさらに含み、EPAの量がEPAおよびDHAの総量の約15から最大約60重量%であるバイオマスを含む。
[0129]本発明の一部の実施形態は、ATCCアクセッション番号PTA−9695で寄託されたヤブレツボカビ、または突然変異株を含む培養物をさらに対象とする。ミクロフロラを接種、増殖、および回収するための種々の発酵パラメータが当分野において公知であり、例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第5,130,242号明細書に記載されている。ヤブレツボカビの増殖のための任意の慣用培地を使用することができる。液体培地または固体培地は、天然海水または人工海水を含有し得る。炭素源には、限定されるものではないが、グルコース、フルクトース、キシロース、サッカロース、マルトース、可溶性デンプン、糖蜜、フコース、グルコサミン、デキストラン、脂肪、油、グリセロール、酢酸ナトリウム、およびマンニトールが含まれる。窒素源には、限定されるものではないが、ペプトン、酵母エキス、ポリペプトン、麦芽エキス、肉エキス、カザミノ酸、コーンスティープリカー、有機窒素源、グルタミン酸ナトリウム、尿素、無機窒素源、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、および硫酸ナトリウムが含まれる。典型な培地を表3に示す。
[0130]一部の実施形態において、培養培地は、飽和レベルの割合として、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の溶解酸素を含む。一部の実施形態において、培養培地は、飽和レベルの割合として、約5%から約20%、約5%から約50%、約5%から約100%、約10%から約20%、約10%から約50%、約10%から約100%、約20%から約50%、または約20%から約100%の溶解酸素を含む。
[0131]本発明は、本発明のヤブレツボカビの単離されたバイオマスをさらに対象とする。本発明の単離されたヤブレツボカビバイオマスは、ヤブレツボカビバイオマスを単離する任意の慣用法、例えば、米国特許第5,130,242号明細書および米国特許出願公開第2002/0001833号明細書に記載の慣用法により得られた、回収された細胞バイオマスである。
[0132]一部の実施形態において、炭素源、窒素源、および栄養源、ならびに約950ppmから約8500ppmの塩化物イオンを含む、約pH6.5から約8.5の培養培地中で約7日間、約17℃から約30℃において増殖させた後、培養物1リットルから単離されるバイオマスの乾燥細胞重量は、少なくとも約50g、少なくとも約60g、少なくとも約70g、少なくとも約80g、少なくとも約100g、少なくとも約120g、少なくとも約140g、少なくとも約160g、少なくとも約180g、または少なくとも約200gである。一部の実施形態において、炭素源、窒素源、および栄養源、ならびに約950ppmから約8500ppmの塩化物イオンを含む、約pH6.5、約pH7、約pH7.5、約pH8.0、または約pH8.5の培養培地中で、約7日間、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、または約30℃において増殖させた後、培養物1リットルから単離されるバイオマスの乾燥細胞重量は、少なくとも約50g、少なくとも約60g、少なくとも約70g、少なくとも約80g、少なくとも約100g、少なくとも約120g、少なくとも約140g、少なくとも約160g、少なくとも約180g、または少なくとも約200gである。一部の実施形態において、炭素源、窒素源、および栄養源、ならびに約950ppmから約8500ppmの塩化物イオンを含む、約pH6.5から約pH8.5の培養培地中で、約7日間、約17℃から約30℃において増殖させた後、培養物1リットルから単離されるバイオマスの乾燥細胞重量は約50gから約200gである。一部の実施形態において、炭素源、窒素源、および栄養源、ならびに約950ppmから約8500ppmの塩化物イオンを含む、約pH6.5、約pH7、約pH7.5、約pH8.0、または約pH8.5の培養培地中で、約7日間、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、または約30℃において増殖させた後、培養物1リットルから単離されるバイオマスの乾燥細胞重量は、約50gから約200gである。
[0133]一部の実施形態において、炭素源、窒素源、および栄養源、ならびに約950ppm〜約8500ppmの塩化物イオンを含む、約pH6.5〜約pH8.5の培地中で、約7日間、約17℃〜約30℃で増殖させた後、単離されたヤブレツボカビ培養物は、少なくとも約2g/L/日、少なくとも約4g/L/日、または少なくとも約8g/L/日のω−3脂肪酸生産性を有する。一部の実施形態において、炭素源、窒素源、および栄養源、ならびに約950ppmから約8500ppmの塩化物イオンを含む、約pH6.5から約pH8.5の培養培地中で、約7日間、約17℃から約30℃において増殖させた後、単離されたヤブレツボカビ培養物は、約1g/L/日から約20g/L/日、約2g/L/日から約15g/L/日、約2g/L/日から約10g/L/日、約3g/L/日から約10g/L/日、または約4g/L/日から約9g/L/日のω−3脂肪酸生産性を有する。
[0134]一部の実施形態において、発酵体積(培養物の体積)は、少なくとも約2リットル、少なくとも約10リットル、少なくとも約50リットル、少なくとも約100リットル、少なくとも約200リットル、少なくとも約500リットル、少なくとも約1000リットル、少なくとも約10,000リットル、少なくとも約20,000リットル、少なくとも約50,000リットル、少なくとも約100,000リットル、少なくとも約150,000リットル、少なくとも約200,000リットル、または少なくとも約250,000リットルである。一部の実施形態において、発酵体積は、約2リットルから約300,000リットル、約2リットル、約10リットル、約50リットル、約100リットル、約200リットル、約500リットル、約1000リットル、約10,000リットル、約20,000リットル、約50,000リットル、約100,000リットル、約150,000リットル、約200,000リットル、約250,000リットル、または約300,000リットルである。
[0135]一部の実施形態において、本発明は、本発明の脂肪酸プロファイルを含む単離されたヤブレツボカビバイオマスを対象とする。一部の実施形態において、バイオマスの乾燥細胞重量の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は脂肪酸である。一部の実施形態において、バイオマスの乾燥細胞重量の約50%超、約55%超、または約60%超は脂肪酸である。一部の実施形態において、バイオマスの乾燥細胞重量の約50重量%から約60重量%、約50重量%から約70重量%、約50重量%から約80重量%、約55重量%から約70重量%、約55重量%から約80重量%、約60重量%から約70重量%、または約60重量%から80重量%は脂肪酸である。一部の実施形態において、バイオマスは、ω−3脂肪酸として、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、ω−3脂肪酸として、約50重量%から約60重量%、約50重量%から約70重量%、約50重量%から約80重量%の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、DHAとして、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、または少なくとも約80重量%の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、DHAとして、約50重量%から約60重量%、約50重量%から約70重量%、または約50重量%から約80重量%の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスの乾燥細胞重量の少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%は、ドコサヘキサエン酸である。一部の実施形態において、バイオマスの乾燥細胞重量の約25重量%から約65重量%、約25重量%から約50重量%、約30重量%から約40重量%、または約25重量%から約35重量%は、ドコサヘキサエン酸である。一部の実施形態において、バイオマスは、EPAとして、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、EPAとして、約1重量%から約10重量%、約1重量%から約5重量%、約2重量%から約5重量%、約3重量%から約5重量%、または約3重量%から約10重量%の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、EPAを実質的に含まない。一部の実施形態において、バイオマスは、少なくとも約5:1、少なくとも約7:1、少なくとも約10:1、少なくとも約11:1、少なくとも約14:1、少なくとも約15:1、少なくとも約17:1、少なくとも約20:1、少なくとも約25:1、少なくとも約50:1、または少なくとも約100:1のDHAとEPAとの重量比を含み、バイオマスは、EPAとして、約10重量%以下の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、ARAとして、約0.1重量%から0.2重量%、約0.1重量%から約0.3重量%、約0.1重量%から約0.4重量%、約0.1重量%から約0.5重量%、または約0.1重量%から約1.5重量%の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、ARAとして、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、または約0.1重量%以下の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、ARAを実質的に含まない。一部の実施形態において、バイオマスは、少なくとも約20:1、少なくとも約40:1、少なくとも約60:1、少なくとも約80:1、少なくとも約100:1、少なくとも約150:1、少なくとも約200:1、少なくとも約250:1、または少なくとも約300:1のDHAとARAとの重量比を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、DPAn−6として、約0.5重量%から約1重量%、約0.5重量%から約2重量%、約0.5重量%から約5重量%、約0.5重量%から約6重量%、約1重量%から約5重量%、約1重量%から約6重量%、約2重量%から約5重量%、または約2重量%から約6重量%の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、DPAn−6として、約6重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、または約0.5重量%以下の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、DPAn−6を実質的に含まない。一部の実施形態において、バイオマスは、約6:1超、少なくとも約8:1、少なくとも約10:1、少なくとも約15:1、少なくとも約20:1、少なくとも約25:1、少なくとも約50:1、または少なくとも約100:1のDHAとDPAn−6との重量比を含む。一部の実施形態において、バイオマスは、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、または約2重量%以下のリノール酸(18:2n−6)、リノレン酸(18:3n−3)、エイコセン酸(20:1n−9)、およびエルカ酸(22:1n−9)のそれぞれ、またはそれらの組合せを有する脂肪酸を含む。
[0136]別の実施形態において、本明細書において、脂肪酸がω−3多価不飽和脂肪酸をさらに含み、ω−3多価不飽和脂肪酸が、DHAおよびEPAをω−3多価不飽和脂肪酸の総量の約58〜68重量%以上、特に約60重量%の量で含み、EPAの量が、EPAおよびDHAの総重量の総量の約5重量%から最大約60重量%である、脂肪酸を含むバイオマスが提供される。
[0137]本発明の単離されたバイオマスの特徴は、外因的に導入された材料ではなく、単離されたバイオマスの内因的なまたは固有の特性に関連する。
[微生物油]
[0138]本明細書において、上記方法により作製された油、特に微生物油が提供される。
[0139]一部の実施形態において、微生物油は脂肪酸を含み、脂肪酸は、ω−3多価不飽和脂肪酸をさらに含み、ω−3多価不飽和脂肪酸は、DHAおよびEPAをω−3多価不飽和脂肪酸の総量の約≧90重量%の量で含み、EPAの量は、EPAおよびDHAの総量の約6重量%から最大約65重量%である。特に、EPAの量がEPAおよびDHAの総量の約6重量%から最大約28重量%である微生物油が提供される。本明細書において、EPAの量がEPAおよびDHAの総量の約36重量%から最大約65重量である微生物油がさらに提供される。より特定すると、EPAの量がEPAおよびDHAの総量の約28重量%から約36重量%である微生物油が提供される。
[0140]本明細書におけるさらなる実施形態において、脂肪酸がDHAおよびEPAをさらに含み、EPAの量がEPAおよびDHAの総重量の約15から最大約60重量%である、脂肪酸を含む微生物油が提供される。
[0141]本明細書で提供される別の実施形態において、脂肪酸がω−3多価不飽和脂肪酸をさらに含み、ω−3多価不飽和脂肪酸がDHAおよびEPAをω−3多価不飽和脂肪酸の総量のおおよそ約58〜68重量%以上、特に約60重量%の量で含み、EPAの量がEPAおよびDHAの総重量の総量の約5重量%から最大約60重量%である、脂肪酸を含む微生物油が提供される。
[0142]本発明は、本発明の脂肪酸プロファイルを含む微生物油を対象とする。本発明の微生物油は、少なくとも約35重量%のトリアシルグリセロール画分を含む「粗製油」または「精製油」である。「粗製油」は、微生物のバイオマスから抽出され、さらに加工されない油である。「精製油」は、粗製油を標準的な精製、脱色、および/または脱臭の加工により処理することにより得られる油である。例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第5,130,242号明細書参照。微生物油は、植物油により希釈された精製油である本明細書に記載の「最終油」も含む。一部の実施形態において、最終油は、高オレイン酸のヒマワリ油により希釈された精製油である。本明細書において使用される「微生物の」という用語には、限定されるものではないが、「微細藻類の」、「ヤブレツボカビ」という用語、および本明細書に記載の寄託された微生物のいずれかに関連する分類学上の分類が含まれる。本明細書に記載の寄託された微生物の微生物油のいずれかに関して使用される「ヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)」、「ヤブレツボカビ」、「シゾキトリウム属(Schizochytrium)」、および「ヤブレツボカビ属(Thraustochytrium)」という用語は、利用可能な系統情報を含む現在の分類学上の分類に基づいており、本願の出願日の後に、万一、この分類学上の分類が改訂された場合には限定的であることが意図されない。
[0143]一部の実施形態において、本明細書に記載の脂肪酸は脂肪酸エステルであり得る。一部の実施形態において、脂肪酸エステルには、ω−3脂肪酸エステル、ω−6脂肪酸エステル、およびそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態において、脂肪酸エステルは、DHAエステル、EPAエステル、またはそれらの組合せである。一部の実施形態において、本明細書に記載の油またはその画分をエステル化して脂肪酸エステルを含む油またはその画分を生成する。「エステル」という用語は、脂肪酸分子のカルボン酸基の中の水素と別の置換基との置換を指す。典型的なエステルは当業者に公知であり、この議論は、Higuchi,T.and V.Stella in Pro−drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14,A.C.S.Symposium Series,Bioreversible Carriers in Drug Design,Ed.Edward B.Roche,アメリカ薬剤協会(American Pharmaceutical Association),Pergamon Press,1987、およびProtective Groups in Organic Chemistry,McOmie ed.,Plenum Press,New York,1973により提供されている。エステルの例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、t−ブチル、ベンジル、ニトロベンジル、メトキシベンジル、ベンズヒドリル、およびトリクロロエチルが含まれる。一部の実施形態において、エステルは、カルボン酸保護エステル基、アラルキル(例えば、ベンジル、フェネチル)を有するエステル、低級アルケニル(例えば、アリル、2−ブテニル)を有するエステル、低級アルコキシ−低級アルキル(例えば、メトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル)を有するエステル、低級アルカノイルオキシ−低級アルキル(例えば、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、1−ピバロイルオキシエチル)を有するエステル、低級アルコキシカルボニル−低級アルキル(例えば、メトキシカルボニルメチル、イソプロポキシカルボニルメチル)を有するエステル、カルボキシ−低級アルキル(例えば、カルボキシメチル)を有するエステル、低級アルコキシカルボニルオキシ−低級アルキル(例えば、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル)を有するエステル、カルバモイルオキシ−低級アルキル(例えば、カルバモイルオキシメチル)を有するエステルなどである。一部の実施形態において、付加される置換基は、直鎖または環式炭化水素基、例えば、C1〜C6アルキル、C1〜C6シクロアルキル、C1〜C6アルケニル、またはC1〜C6アリールエステルである。一部の実施形態において、エステルは、アルキルエステル、例えば、メチルエステル、エチルエステル、またはプロピルエステルである。一部の実施形態において、脂肪酸が精製状態または半精製状態である場合、エステル置換基は遊離脂肪酸分子に付加される。あるいは、トリアシルグリセロールがエステルに変換されると、脂肪酸エステルは形成される。
[0144]本発明は、微生物油を生成する方法を対象とする。一部の実施形態において、本方法は、本発明の単離された微生物のいずれかまたはそれらの混合物を培養物中で増殖させてω−3脂肪酸を含む微生物油を生成することを含む。一部の実施形態において、本方法は、微生物油を抽出することをさらに含む。一部の実施形態において、本方法は、本発明のバイオマスのいずれかまたはそれらの混合物から、ω−3脂肪酸を含む微生物油を抽出することを含む。一部の実施形態において、本方法は、単離された微生物を従属栄養的に増殖させることを含み、培養物は、本明細書に記載の炭素源を含む。微生物油は、新たに回収されたバイオマスから抽出することができ、または腐敗を防ぐ条件下で保管されていた以前に回収されたバイオマスから抽出することができる。本発明の微生物を培養するため、培養物からバイオマスを単離するため、バイオマスから微生物油を抽出するため、およびバイオマスから抽出された油の脂肪酸プロファイルを分析するため、公知の方法を使用することができる。例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第5,130,242号明細書参照。本発明は、本発明の方法のいずれかにより生成された微生物油を対象とする。
[0145]一部の実施形態において、微生物油は酵素抽出法により抽出される。一部の実施形態において、微生物油は機械的抽出法により抽出される。一部の実施形態において、機械的抽出法は、(1)殺菌した発酵ブロスをホモジナイザーに通して加工して細胞溶解および細胞からの油の放出を支援すること;(2)ホモジナイゼーション後に、イソプロピルアルコールを発酵ブロスに添加して油および水エマルションを破壊すること;(3)混合物を遠心分離して油相を回収すること;ならびに(4)酸化防止剤を添加して真空下で乾燥させることの1つ以上を含む。一部の実施形態において、粗製油は精製される。一部の実施形態において、粗製油の精製は、(1)粗製油を精製タンク中にポンプ導入し、油を加熱し、次いで酸溶液を混合しながら添加すること;(2)酸処理後に、苛性アルカリ溶液を油に添加する工程;(3)粗製油を再加熱し、次いで遠心分離して精製油から重相を分離すること;(4)例えば、酸、TriSyl(登録商標)、クレー、および/または濾過を使用することにより残留極性化合物、微量金属、および酸化生成物を精製油から除去する工程;(5)脱色油を冷却濾過して油から高融点構成成分をさらに除去して所望レベルの透明性を達成すること;(6)油を加熱し、この後に次いで油を冷却し、ある一定の期間保持し、高融点トリグリセリドおよびろうの結晶化をもたらすこと;(7)濾過助剤を冷却された油に添加し、次いで濾過により結晶化固体を除去すること;(8)高温および真空下で操作された冷却濾過の後に脱臭剤を使用し、例えば、汚臭および香りを惹起し得る過酸化物および任意の残留低分子量化合物を除去すること;(9)油を脱臭剤供給タンクに移し、脱気し、脱臭する、例えば、充填カラム脱臭剤の中で脱臭すること;ならびに(10)脱臭サイクルの終了時に冷却し、例えば、窒素ブランケット下で冷却し、好適な酸化防止剤を脱臭油に添加して酸化安定性を提供することの1つ以上を含む。
[0146]一部の実施形態において、微生物油は、約0重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約2重量%、または少なくとも約5重量%のステロールエステル画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約0重量%から約1.5重量%、約0重量%から約2重量%、約0重量%から約5重量%、約1重量%から約1.5重量%、約0.2重量%から約1.5重量%、約0.2重量%から約2重量%、または約0.2重量%から約5重量%のステロールエステル画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、または約0.2重量%以下のステロールエステル画分を含む。
[0147]一部の実施形態において、微生物油は、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、または少なくとも約90重量%のトリアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約35重量%から約98重量%、約35重量%から約90重量%、約35重量%から約80重量%、約35重量%から約70重量%、約35重量%から約70重量%、約35重量%から約65重量%、約40重量%から約70重量%、約40重量%から約65重量%、約40重量%から約55重量%、約40重量%から約50重量%、約65重量%から約95重量%、約75重量%から約95重量%、約75重量%から約98重量%、約80重量%から約95重量%、約80重量%から約98重量%、約90重量%から約96重量%、約90重量%から約97重量%、約90重量%から約98重量%、約90重量%、約95重量%、約97重量%、または約98重量%のトリアシルグリセロール画分を含む。
[0148]一部の実施形態において、微生物油は、少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、または少なくとも約20重量%のジアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約10重量%から約45重量%、約10重量%から約40重量%、約10重量%から約35重量%、約10重量%から約30重量%、約15重量%から約40重量%、約15重量%から約35重量%、または約15重量%から約30重量%のジアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.4重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、または少なくとも約20重量%の1,2−ジアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約0.2重量%から約45重量%、約0.2重量%から約30重量%、約0.2重量%から約20重量%、約0.2重量%から約10重量%、約0.2重量%から約5重量%、約0.2重量%から約1重量%、約0.2重量%から約0.8重量%、約0.4重量%から約45重量%、約0.4重量%から約30重量%、約0.4重量%から約20重量%、約0.4重量%から約10重量%、約0.4重量%から約5重量%、約0.4重量%から約1重量%、約0.4重量%から約0.8重量%、約0.5重量%から約1重量%、約0.5重量%から約0.8重量%、約10重量%から約45重量%、約10重量%から約40重量%、約10重量%から約35重量%、約10重量%から約30重量%、約15重量%から約40重量%、約15重量%から約35重量%、約15重量%から約30重量%、または約15重量%から約25重量%のジアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約2.5重量%、または少なくとも約3重量%の1,3−ジアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.4重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約2重量%、または少なくとも約5重量%のステロール画分を含む。
[0149]一部の実施形態において、微生物油は、約0.3重量%から約5重量%、約0.3%から約2重量%、約0.3重量%から約1.5重量%、約0.5重量%から約1.5重量%、約1重量%から約1.5重量%、約0.5重量%から約2重量%、約0.5重量%から約5重量%、約1重量%から約2重量%、または約1重量%から約5重量%のステロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、または約1重量%以下のステロール画分を含む。
[0150]一部の実施形態において、微生物油は、少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、または少なくとも約8重量%のリン脂質画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約2重量%から約25重量%、約2重量%から約20重量%、約2重量%から約15重量%、約2重量%から約10重量%、約5重量%から約25重量%、約5重量%から約20重量%、約5重量%から約20重量%、約5重量%から約10重量%、または約7重量%から約9重量%のリン脂質画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、または約8重量%未満のリン脂質画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、リン脂質を実質的に含まない。一部の実施形態において、微生物油は、油の約2重量%未満、約1.5重量%未満、約1重量%未満、または約0.5重量%未満の不鹸化物を含む。微生物油中に存在する脂質クラス、例えば、トリアシルグリセロール画分は、フラッシュクロマトグラフィーにより分離することができ、薄層クロマトグラフィー(TLC)により分析することができ、または当分野において公知の他の方法により分離および分析することができる。
[0151]一部の実施形態において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジアシルグリセロール画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、約10重量%超、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、または少なくとも約45重量%のEPAを含む。一部の実施形態において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジアシルグリセロール画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約5重量%から約55重量%、約5重量%から約50重量%、約5重量%から約45重量%、約5重量%から約40重量%、約5重量%から約35重量%、約5重量%から約30重量%、約10重量%から約55重量%、約10重量%から約50重量%、約10重量%から約45重量%、約10重量%から約40重量%、約10重量%から約35重量%、約10重量%から約30重量%、少なくとも約12重量%から約55重量%、少なくとも約12重量%から約50重量%、少なくとも約12重量%から約45重量%、少なくとも約12重量%から約40重量%、少なくとも約12重量%から約35重量%、または少なくとも約12重量%から約30重量%、約15重量%から約55重量%、約15重量%から約50重量%、約15重量%から約45重量%、約15重量%から約40重量%、約15重量%から約35重量%、約15重量%から約30重量%、約15重量%から約25重量%、約15重量%から約20重量%、約20重量%から約55重量%、約20重量%から約50重量%、約20重量%から約45重量%、約20重量%から約40重量%、または約20重量%から約30重量%のEPAを含む。一部の実施形態において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%のDHAを含む。一部の実施形態において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびそれらの組合せから選択される1つ以上の画分は、約5重量%から約60重量%、約5重量%から約55重量%、約5重量%から約50重量%、約5重量%から約40重量%、約10重量%から約60重量%、約10重量%から約50重量%、約10重量%から約40重量%、約20重量%から約60重量%、約25重量%から約60重量%、約25重量%から約50重量%、約25重量%から約45重量%、約30重量%から約50重量%、約35重量%から約50重量%、または約30重量%から約40重量%のDHAを含む。一部の実施形態において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下のDHAを含む。一部の実施形態において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、DHAとして、約1重量%から約10重量%、約1重量%から約5重量%、約2重量%から約5重量%、約3重量%から約5重量%、または約3重量%から約10重量%の脂肪酸を含む。一部の実施形態において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分はDHAを実質的に含まない。一部の実施形態において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約0.1重量%から約5重量%、約0.1重量%から約5重量%未満、約0.1重量%から約4重量%、約0.1重量%から約3重量%、約0.1重量%から約2重量%、約0.2重量%から約5重量%、約0.2重量%から約5重量%未満、約0.2重量%から約4重量%、約0.2重量%から約3重量%、約0.2重量%から約2重量%、約0.3重量%から約2重量%、約0.1重量%から約0.5重量%、約0.2重量%から約0.5重量%、約0.1重量%から約0.4重量%、約0.2重量%から約0.4重量%、約0.5重量%から約2重量%、約1重量%から約2重量%、約0.5重量%から約1.5重量%、または約1重量%から約1.5重量%のARAを含む。一部の実施形態において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約5重量%以下、約5重量%未満、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、または約0.1重量%以下のARAを含む。一部の実施形態において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分はARAを実質的に含まない。一部の実施形態において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約0.4重量%から約2重量%、約0.4重量%から約3重量%、約0.4重量%から約4重量%、約0.4重量%から約5重量%、約0.4重量%から約5重量%未満、約0.5重量%から約1重量%、約0.5重量%から約2重量%、約0.5重量%から約3重量%、約0.5重量%から約4重量%、約0.5重量%から約5重量%、約0.5重量%から約5重量%未満、約1重量%から約2重量%、約1重量%から約3重量%、約1重量%から約4重量%、約1重量%から約5重量%、または約1重量%から約5重量%未満のDPAn−6を含む。一部の実施形態において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約5重量%、約5重量%未満、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.75重量%以下、約0.6重量%以下、または約0.5重量%以下のDPAn−6を含む。一部の実施形態において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分はDPAn−6を実質的に含まない。一部の実施形態において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約5重量%以下、約5重量%未満、約4重量%以下、約3重量%以下、または約2重量%以下のオレイン酸(18:1n−9)、リノール酸(18:2n−6)、リノレン酸(18:3n−3)、エイコセン酸(20:1n−9)、エルカ酸(22:1n−9)、ステアリドン酸(18:4n−3)、またはそれらの組合せを有する脂肪酸を含む。
[0152]トリアシルグリセロール分子は、異なる位置異性体の形成を可能にする、3つの中心炭素原子(C(sn−1)H2R1−(sn−2)H2R2−C(sn−3)H2R3)を含有する。一部の実施形態において、微生物油は、トリアシルグリセロール画分中の少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%のトリアシルグリセロールが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn−1、sn−2、およびsn−3位のいずれか2つから選択されるトリアシルグリセロール中の2つの位置にDHAを含有する(二置換DHA)、トリアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、トリアシルグリセロール画分中の約2%から約55%、約2%から約50%、約2%から約45%、約2%から約40%、約2%から約35%、約2%から約30%、約2%から約25%、約5%から約55%、約5%から約50%、約5%から約45%、約5%から約40%、約5%から約35%、約5%から約30%、約5%から約25%、約10%から約55%、約10%から約50%、約10%から約45%、約10%から約40%、約10%から約35%、約10%から約30%、約10%から約25%、約10%から約20%、約20%から約40%、約20%から約35%、または約20%から約25%のトリアシルグリセロールが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn−1、sn−2、およびsn−3位のいずれか2つから選択されるトリアシルグリセロール中の2つの位置にEPAを含有する、トリアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、トリアシルグリセロール画分中の少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、または少なくとも約2%のトリアシルグリセロールが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn−1、sn−2、およびsn−3位の全てにDHAを含有する(三置換DHA)、トリアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、トリアシルグリセロール画分中の約0.5%から約5%、約0.5%から約3%、約0.5%から約2.5%、約0.5%から約2%、約1%から約5%、約1%から約3%、または約1%から約2%のトリアシルグリセロールが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn−1、sn−2、およびsn−3位の全てにDHAを含有する、トリアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、トリアシルグリセロール画分中の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%のトリアシルグリセロールが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn−1、sn−2、およびsn−3位のいずれか1つから選択されるトリアシルグリセロール中の1つの位置にDHAを有する、トリアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、トリアシルグリセロール画分中の約10%から約80%、約10%から約70%、約10%から約60%、約15%から約80%、約15%から約75%、約15%から約70%、約15%から約65%、約15%から約60%、約35%から約80%、約35%から約75%、約35%から約65%、約35%から約60%、約40%から約80%、約40%から約75%、約40%から約70%、約40%から約65%、約40%から約60%、または約40%から約55%のトリアシルグリセロールが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn−1、sn−2、およびsn−3位のいずれか1つから選択されるトリアシルグリセロール中の1つの位置にDHAを含む、トリアシルグリセロール画分を含む。
[0153]本発明はさらに、微生物油を生成する方法を対象とする。一部の実施形態において、本方法は、本発明のヤブレツボカビを培養物中で増殖させてバイオマスを生成し、バイオマスからω−3脂肪酸を含む油を抽出することを含む。油は、新たに回収されたバイオマスから抽出することができ、または腐敗を防ぐ条件下で保管されていた以前に回収されたバイオマスから抽出することができる。本発明のヤブレツボカビを培養するため、培養物からバイオマスを単離するため、バイオマスから微生物油を抽出するため、およびバイオマスから抽出された油の脂肪酸プロファイルを分析するため、公知の方法を使用することができる。例えば、米国特許第5,130,242号明細書参照。
[0154]本発明はさらに、本発明の脂肪酸プロファイルを含む微生物油を対象とする。本発明の微生物油は、微生物に由来する任意の油であり得、例として、例えば:微生物のバイオマスから抽出され、さらに加工されない粗製油;粗製微生物油をさらなる加工工程、例えば、精製、脱色、および/または脱臭により処理することにより得られる精製油;粗製または精製微生物油を希釈することにより得られる希釈微生物油;または例えば、粗製もしくは精製微生物油を、油中の脂肪酸(例えば、DHA)の濃度を増加させるために精製するさらなる方法により処理することにより得られる濃縮油であり得る。
[0155]一部の実施形態において、微生物油は、約0重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約2重量%、または少なくとも約5重量%のステロールエステル画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約0重量%から約1.5重量%、約0重量%から約2重量%、約0重量%から約5重量%、約1重量%から約1.5重量%、約0.2重量%から約1.5重量%、約0.2重量%から約2重量%、または約0.2重量%から約5重量%のステロールエステル画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、または約2重量%未満のステロールエステル画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、または少なくとも約90重量%のトリグリセリド画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約65重量%から約95重量%、約75重量%から約95重量%、または約80重量%から約95重量%、または約97重量%、または約98重量%のトリグリセリド画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約2.5重量%、または少なくとも約5重量%の遊離脂肪酸画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約0.5重量%から約5重量%、約0.5重量%から約2.5重量%、約0.5重量%から約2重量%、約0.5重量%から約1.5重量%、約0.5重量%から約1重量%、約1重量%から約2.5重量%、約1重量%から約5重量%、約1.5重量%から約2.5重量%、約2重量%から約2.5重量%、または約2重量%から約5重量%の遊離脂肪酸画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、または約1重量%未満の遊離脂肪酸画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約2重量%、または少なくとも約5重量%のステロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約0.5重量%から約1.5重量%、約1重量%から約1.5重量%、約0.5重量%から約2重量%、約0.5重量%から約5重量%、約1重量%から約2重量%、または約1重量%から約5重量%のステロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約5重量%未満、約4重量%、約3重量%未満、約2重量%未満、または約1重量%未満のステロール画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約2.5重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約3.5重量%、または少なくとも約5重量%のジグリセリド画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、約1.5重量%から約3重量%、約2重量%から約3重量%、約1.5重量%から約3.5重量%、約1.5重量%から約5重量%、約2.5重量%から約3重量%、約2.5重量%から約3.5重量%、または約2.5重量%から約5重量%のジグリセリド画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、油の約2重量%未満、約1.5重量%未満、約1重量%未満、または約0.5重量%未満の不鹸化物を含む。微生物油中に存在する脂質クラス、例えば、トリグリセリド画分は、フラッシュクロマトグラフィーにより分離することができ、薄層クロマトグラフィー(TLC)により分析することができ、または当分野において公知の他の方法により分離および分析することができる。
[0156]一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはトリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、または少なくとも約80重量%のDHAを含む。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはトリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約40重量%から約45重量%、約40重量%から約50重量%、約40重量%から約60重量%、約50重量%から約60重量%、約55重量%から約60重量%、約40重量%から約65重量%、約50重量%から約65重量%、約55重量%から約65重量%、約40重量%から約70重量%、約40重量%から約80重量%、約50重量%から約80重量%、約55重量%から約80重量%、約60重量%から約80重量%、または約70重量%から約80重量%のDHAを含む。一部の実施形態において、微生物油は、約45重量%以下、約40重量%以下、約35重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、または約13重量%以下のDHAを含むステロールエステル画分を含む。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはトリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下のEPAを含む。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはトリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約2重量%から約3重量%、約2重量%から約3.5重量%、約2.5重量%から約3.5重量%、約2重量%から約6重量%、約2.5重量%から約6重量%、約3.0重量%から約6重量%、約3.5重量%から約6重量%、約5重量%から約6重量%、または約2重量%から約10重量%のEPAを含む。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはステロールエステル画分、トリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、極性画分(リン脂質画分を含む)、およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、EPAを実質的に含まない。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはステロールエステル画分、トリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、極性画分(リン脂質画分を含む)およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、少なくとも約5:1、少なくとも約7:1、少なくとも約9:1、少なくとも約10:1、少なくとも約15:1、少なくとも約20:1、少なくとも約25:1、少なくとも約30:1、または少なくとも約50:1のDHAとEPAとの重量比を含み、微生物油および/またはその1つ以上の画分は、10重量%以下のEPAを含む。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはステロールエステル画分、トリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、極性画分(リン脂質画分を含む)およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、少なくとも約5:1であるが、約20:1未満のDHAとEPAとの重量比を含む。一部の実施形態において、DHAとEPAとの重量比は、約5:1から約18:1、約7:1から約16:1、または約10:1から約15:1である。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはステロールエステル画分、トリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、極性画分(リン脂質画分を含む)およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約0.1重量%から約0.25重量%、約0.2重量%から約0.25重量%、約0.1重量%から約0.5重量%、または約0.1重量%から約1.5重量%のARAを含む。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはステロールエステル画分、トリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、極性画分(リン脂質画分を含む)およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.2重量%以下、または約0.1重量%以下のARAを含む。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはステロールエステル画分、トリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、極性画分(リン脂質画分を含む)およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、ARAを実質的に含まない。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはステロールエステル画分、トリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ジグリセリド画分、極性画分(リン脂質画分を含む)およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、少なくとも約20:1、少なくとも約30:1、少なくとも約35:1、少なくとも約40:1、少なくとも約60:1、少なくとも約80:1、少なくとも約100:1、少なくとも約150:1、少なくとも約200:1、少なくとも約250:1、または少なくとも約300:1のDHAとARAとの重量比を含む。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはステロールエステル画分、トリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、極性画分(リン脂質画分を含む)およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約0.5重量%から約1重量%、約0.5重量%から約2重量%、約0.5重量%から約2.5重量%、約0.5重量%から約3重量%、約0.5重量%から約3.5重量%、約0.5重量%から約5重量%、約0.5重量%から約6重量%、約1重量%から約2重量%、約2重量%から約3重量%、約2重量%から約3.5重量%、約1重量%から約2.5重量%、約1重量%から約3重量%、約1重量%から約3.5重量%、約1重量%から約5重量%、または約1重量%から約6重量%のDPAn−6を含む。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはステロールエステル画分、トリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、極性画分(リン脂質画分を含む)およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約6重量%以下、約5重量%以下、約3重量%以下、約2.5重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、または約0.5重量%以下のDPAn−6を含む。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはステロールエステル画分、トリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、極性画分(リン脂質画分を含む)およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、DPAn−6を実質的に含まない。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはステロールエステル画分、トリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、極性画分(リン脂質画分を含む)およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約6:1超、少なくとも約8:1、少なくとも約10:1、少なくとも約15:1、少なくとも約20:1、少なくとも約25:1、少なくとも約50:1、または少なくとも約100:1のDHAとDPAn−6との重量比を含む。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはステロールエステル画分、トリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、極性画分(リン脂質画分を含む)およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、または約0.5重量%以下のリノール酸(18:2n−6)、リノレン酸(18:3n−3)、エイコセン酸(20:1n−9)、およびエルカ酸(22:1n−9)のそれぞれを含む。一部の実施形態において、微生物油ならびに/またはステロールエステル画分、トリグリセリド画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジグリセリド画分、極性画分(リン脂質画分を含む)およびそれらの組合せから選択されるその1つ以上の画分は、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、または約1重量%以下のヘプタデカン酸(17:0)を含む。一部の実施形態において、微生物油および/またはその1つ以上の画分は、約0.01重量%から約5重量%、約0.05重量%から約3重量%、または約0.1重量%から約1重量%のヘプタデカン酸を含む。
[0157]トリグリセリド分子は、異なる位置異性体の形成を可能にする、3つの中心炭素原子(Csn−1H2R1−Csn−2H2R2−Csn−3H2R3)を含有する。一部の実施形態において、微生物油は、トリグリセリド画分中の少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%のトリグリセリドが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn−1、sn−2、およびsn−3位のいずれか2つから選択されるトリグリセリドの2つの位置にDHAを含有する(二置換DHA)、トリグリセリド画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、トリグリセリド画分中の約20%から約40%、約20%から約35%、約30%から約40%、または約30%から約35%のトリグリセリドが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn−1、sn−2、およびsn−3位のいずれか2つから選択されるトリグリセリド中の2つの位置にDHAを含有する、トリグリセリド画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、トリグリセリド画分中の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、または少なくとも約20%のトリグリセリドが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn−1、sn−2、およびsn−3位の全てにDHAを含有する(三置換DHA)、トリグリセリド画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、トリグリセリド画分中の約5%から約20%、約5%から約15%、約10%から約20%;または約10%から約15%のトリグリセリドが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn−1、sn−2、およびsn−3位の全てにDHAを含有する、トリグリセリド画分を含む。対照的に、米国特許第6,582,941号明細書に報告されているTAG種は、3つ全ての位置にDHAを含有しない。一部の実施形態において、微生物油は、トリグリセリド画分中の少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、または少なくとも約75%のトリグリセリドが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn−1、sn−2、およびsn−3位のいずれか1つから選択されるトリグリセリド中の1つの位置にDHAを含有する、トリグリセリド画分を含む。一部の実施形態において、微生物油は、トリグリセリド画分中の約50%から約75%、約50%から約70%、約50%から約65%、約60%から約75%、約60%から約70%、または約60%から約65%のトリグリセリドが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn−1、sn−2、およびsn−3位のいずれか1つから選択されるトリグリセリド中の1つの位置にDHAを含有する、トリグリセリド画分を含む。
[組成物]
[0158]本発明は、本発明の微生物を含む組成物、本発明の単離されたバイオマス、本発明の微生物油、またはそれらの組合せを対象とする。
[0159]本発明の微生物、バイオマス、または微生物油は、組成物の要件に基づいて、任意の公知の技術により化学的または物理的にさらに改変または加工することができる。
[0160]微生物細胞またはバイオマスは、組成物中での使用前に、限定されるものではないが、フリーズドライ、風乾、噴霧乾燥、トンネル乾燥、真空乾燥(凍結乾燥)、および類似のプロセスを含む方法により乾燥させることができる。あるいは、回収および洗浄されたバイオマスを、乾燥なしで組成物中で直接使用することができる。例えば、それぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第5,130,242号明細書および米国特許第6,812,009号明細書参照。
[0161]本発明の微生物油は、脂肪酸、例えば、EPAに富む生成物をより効率的に生成するための出発材料として使用することができる。例えば、本発明の微生物油は、より高いEPAまたは別の脂肪酸の濃度を有するより強力な生成物を生成するために当分野において公知の種々の精製技術、例えば、蒸留または尿素アダクト法に供することができる。本発明の微生物油は、油中の脂肪酸に由来する化合物、例えば、EPAまたは別の脂肪酸のエステルおよび塩を生成する化学反応において使用することもできる。
[0162]本発明の組成物は1つ以上の賦形剤を含み得る。本明細書において使用される「賦形剤」は、食物ならびに医薬組成物、化粧組成物、および工業組成物を含む組成物に所望の特徴を与えるために本発明の組成物において使用される構成成分または構成成分の混合物を指す。本発明の賦形剤は、医薬組成物に添加される場合、「薬学的に許容可能な」賦形剤と記載することができ、「薬学的に許容可能な」は、この賦形剤が、合理的なベネフィット/リスク比に対応する所望の接触期間にわたり過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題のある合併症なくヒトおよび非ヒト動物の組織との接触に好適な、妥当な医学的判断の範囲内の化合物、材料、組成物、塩、および/または剤形であることを意味する。一部の実施形態において、「薬学的に許容可能な」という用語は、連邦政府または州政府の規制当局により承認されているかまたは米国薬局方、もしくは動物、より特定すると、ヒトにおける使用のための一般に認められている他の国際薬局方に列挙されていることを意味する。種々の賦形剤を使用することができる。一部の実施形態において、賦形剤は、限定されるものではないが、アルカリ剤、安定剤、酸化防止剤、接着剤、分離剤、コーティング剤、外相構成成分、徐放構成成分、溶媒、界面活性剤、保湿剤、緩衝剤、増量剤、エモリネント剤、またはそれらの組合せであり得る。本明細書において議論される賦形剤に加えて、賦形剤には、限定されるものではないが、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st ed.(2005)に列挙される賦形剤が含まれ得る。本明細書の特定の分類における賦形剤(例えば、「溶媒」)の包含は、賦形剤の役割を限定するのではなく説明することを目的とする。特定の賦形剤は、複数の分類内に存在し得る。
[0163]本発明の組成物には、限定されるものではないが、食品、医薬組成物、化粧品、および工業組成物が含まれる。
[0164]一部の実施形態において、組成物は食品である。食品は、非ヒト動物またはヒト消費のための任意の食物であり、固体組成物および液体組成物の両方を含む。食品は、動物またはヒトの食物への添加物であり得る。食物には、限定されるものではないが、一般食物;乳、飲料、治療用飲料、および栄養飲料を含む液体製品;機能性食品;サプリメント;栄養補助食品;未熟児用調製粉乳を含む調製粉乳;妊婦または授乳婦のための食物;成人用食物;高齢者用食物;ならびに動物用食物が含まれる。
[0165]一部の実施形態において、本発明の微生物、バイオマス、または微生物油は、油、ショートニング、スプレッド、他の脂肪成分、飲料、ソース、乳ベースの食物またはダイズベースの食物(例えば、乳、ヨーグルト、チーズ、およびアイスクリーム)、焼成食物、栄養製品、例えば、(カプセルまたは錠剤の形態の)栄養サプリメントとしての栄養製品、ビタミンサプリメント、食事サプリメント、粉末飲料、ならびに完成品または半完成品の粉末食品の1つ以上として直接使用することができ、またはその中で添加物として含めることができる。一部の実施形態において、栄養サプリメントは、動物源からのいかなる成分からも形成されず、そのいかなる成分も含有しないベジタリアンカプセルの形態である。
[0166]本発明の微生物油を含み得る食物組成物の部分的なリストには、限定されるものではないが、ダイズベースの製品(乳、アイスクリーム、ヨーグルト、飲料、クリーム、スプレッド、増白剤);スープおよびスープミックス;ドー、衣用生地、ならびに、焼成食品、例として、例えば、ファインベーカリー製品、朝食用シリアル、ケーキ、チーズケーキ、パイ、カップケーキ、クッキー、バー、パン、ロールケーキ、ビスケット、マフィン、ペストリー、スコーン、クルトン、クラッカー、甘味品、スナックケーキ、パイ、グラノーラ/スナックバー、およびトースターペストリー;キャンディー;堅菓子;チョコレートおよび他の菓子;チューインガム;液体食品、例えば、乳、エネルギー飲料、調製粉乳、炭酸飲料、茶、流動食、果物ジュース、果物ベースの飲料、野菜ベースの飲料;マルチビタミンシロップ、食事代用品、メディカルフード、およびシロップ;粉末飲料ミックス;パスタ;加工魚製品;加工肉製品;加工鳥肉製品;グレイビーおよびソース;調味料(ケチャップ、マヨネーズなど);植物油ベースのスプレッド;乳製品;ヨーグルト;バター;冷凍乳製品;アイスクリーム;フローズンデザート;フローズンヨーグルト;半固体食品、例えば、ベビーフード;プディングおよびゼラチンデザート;加工および未加工チーズ;パンケーキミックス;フードバー、例として、エネルギーバー;ワッフルミックス;サラダドレッシング;代用卵液(replacement egg mix);ナッツおよびナッツベースのスプレッド;塩味スナック、例えば、ポテトチップおよび他のチップまたはクリスプ、コーンチップ、トルティーヤチップ、膨化状スナック、ポップコーン、プレッツェル、ポテトクリスプ、ならびにナッツ;ならびに特殊スナック、例えば、ディップ、ドライフルーツスナック、ミートスナック、ポークラインズ、ヘルスフードバー、およびライス/コーンケーキが含まれる。
[0167]一部の実施形態において、本発明の微生物油は調製粉乳に補給するために使用することができる。調製粉乳に、本発明の微生物油を単独で、または本発明の微生物油を、アラキドン酸(ARA)生成微生物に由来する物理的に精製された油との組合せで補給することができる。ARA生成微生物は、例えば、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)またはモルティエレラ属シュムケリ節(Mortierella sect.schmuckeri)である。あるいは、調製粉乳に、本発明の微生物油をARAが豊富にある油、例として、ARASCO(登録商標)(Martek Biosciences,Columbia,MD)との組合せで補給することができる。
[0168]一部の実施形態において、組成物は動物用飼料である。「動物」には、動物界に属する非ヒト生物が含まれ、限定されるものではないが、水生動物および陸生動物が含まれる。「動物用飼料」または「動物の食物」という用語は、魚;商用魚;観賞魚;稚魚;二枚貝;軟体動物;甲殻類;貝;エビ;エビの幼生;アルテミア;ワムシ;ブラインシュリンプ;フィルターフィーダー;両生類;爬虫類;哺乳動物;家畜;農場の動物;動物園の動物;競技用動物;繁殖用動物;競走用動物;展覧用動物;在来動物(heirloom animal);希少動物もしくは絶滅危惧動物;伴侶動物;愛玩動物、例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、またはウマ;霊長類、例えば、サル(例えば、オマキザル、アカゲザル、アフリカミドリザル、パタスモンキー、カニクイザル、およびオナガザル)、類人猿、オランウータン、ヒヒ、テナガザル、およびチンパンジー;イヌ科、例えば、イヌおよびオオカミ;ネコ科、例えば、ネコ、ライオン、およびトラ;ウマ科、例えば、ウマ、ロバ、およびシマウマ;食用動物、例えば、乳牛、ウシ、ブタ、およびヒツジ;有蹄類、例えば、シカおよびキリン;またはげっ歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、およびモルモットにかかわらず非ヒト動物用の任意の食物を指す。動物用飼料には、限定されるものではないが、水産養殖飼料、家畜用飼料、例として、愛玩動物用飼料、動物園動物用飼料、使役動物用飼料、畜類用飼料を含む、およびそれらの組合せが含まれる。
[0169]一部の実施形態において、組成物は、食肉または製品がヒトにより消費される任意の動物、例えば、ヒト消費のための食肉、卵、または乳が由来する任意の動物のための飼料または飼料サプリメントである。栄養分、例えば、LC−PUFAは、このような動物に供給される場合、このような動物の肉、乳、卵、または他の製品中に取り込まれてこれらの栄養分の含有率が増加され得る。
[0170]一部の実施形態において、組成物は、粉々に崩れて動物プランクトン、アルテミア、ワムシ、およびフィルターフィーダーによる消費に適切なサイズの粒子を形成することができる噴霧乾燥された材料である。一部の実施形態において、組成物を供給された動物プランクトン、アルテミア、またはワムシは、次に、稚魚、魚、貝、二枚貝、または甲殻類に供給される。
[0171]一部の実施形態において、組成物は医薬組成物である。好適な医薬組成物には、限定されるものではないが、抗炎症性組成物、冠状動脈性心疾患を治療するための薬物、動脈硬化症を治療するための薬物、化学療法剤、活性賦形剤、骨粗鬆症薬、抗うつ薬、抗痙攣薬、抗ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)薬、神経変性疾患を治療するための薬物、変性性肝臓疾患を治療するための薬物、抗生物質、コレステロール低下組成物、およびトリアシルグリセロール低下組成物が含まれる。一部の実施形態において、組成物はメディカルフードである。メディカルフードには、医師の監督下で外部から消費または投与される組成物の中にあり、認められた科学原理に基づく独特の栄養所要量が医学的評価により確立されている病態の特定の食事による管理を目的とする食物が含まれる。
[0172]一部の実施形態において、微生物油は剤形に配合することができる。剤形には、限定されるものではないが、有効量の微生物油を含む、錠剤、カプセル、カシェ剤、ペレット、丸剤、散剤および顆粒剤、ならびに非経口剤形、例として、限定されるものではないが、液剤、懸濁液、エマルション、および乾燥粉末が含まれ得る。このような配合物は、薬学的に許容可能な希釈剤、増量剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、保湿剤、湿潤剤、可溶化剤、保存剤なども含有し得ることも当分野において公知である。投与形態には、限定されるものではないが、微生物油および1つ以上の好適な薬学的に許容可能な担体を含有する、錠剤、糖衣錠、カプセル、カプレット、および丸剤が含まれ得る。
[0173]経口投与のために、微生物油は、当分野において周知の薬学的に許容可能な担体と組み合わせることができる。このような担体により、治療すべき対象による経口摂取の錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして本発明の微生物油を配合することが可能になる。一部の実施形態において、剤形は、錠剤、丸剤、またはカプレットである。経口使用のための医薬調製物は、固体賦形剤を添加することにより、場合により、好適な補助剤を添加した後、得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を加工して所望により錠剤または糖衣錠コアを得ることにより得ることができる。好適な賦形剤には、限定されるものではないが、増量剤、例えば、糖、例として、限定されるものではないが、ラクトース、スクロース、マンニトール、およびソルビトール;セルロース調製物、例えば、限定されるものではないが、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびポリビニルピロリドン(PVP)が含まれる。所望により、崩壊剤、例えば、限定されるものではないが、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムを添加することができる。経口使用することができる薬学的調製物には、限定されるものではないが、ゼラチン製のプッシュフィット(push−fit)カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトール製の軟密封カプセルが含まれる。一部の実施形態において、剤形は、動物源からのいかなる成分からも形成されず、そのいかなる成分も含有しないベジタリアン用の剤形である。一部の実施形態において、ベジタリアン用の剤形はベジタリアンカプセルである。
[0174]一部の実施形態において、組成物は化粧品である。化粧品には、限定されるものではないが、エマルション、クリーム、ローション、マスク、石鹸、シャンプー、洗浄液、フェイシャルクリーム、コンディショナー、メーキャップ、入浴剤、およびディスパージョン液が含まれる。化粧剤は薬用でも非薬用でもよい。
[0175]一部の実施形態において、組成物は工業組成物である。一部の実施形態において、組成物は、1つ以上の製品のための出発材料である。製品には、限定されるものではないが、ポリマー;写真感光材;界面活性剤;工業油;または工業界面活性剤が含まれる。例えば、米国特許第7,259,006号明細書は、ベヘン酸を生成するための、およびベヘン酸を使用して写真感光材を生成するためのDHA含有脂肪および油の使用を記載している。
[組成物を使用する方法]
[0176]一部の実施形態において、組成物は、ヒトまたは非ヒト動物における病態の治療において使用することができる。一部の実施形態において、組成物は、ヒトまたは非ヒト動物における栄養摂取に使用することができる。
[0177]「治療する」または「治療」という用語は、療法的治療および予防的措置もしくは防止的措置の両方を指し、その目的は、不所望な生理学的病態、疾患、もしくは障害を阻止し、もしくは遅延させる(弱める)こと、または有益なもしくは所望の臨床結果を得ることである。本発明の目的上、有益なもしくは所望の臨床結果には、限定されるものではないが、病態、疾患、もしくは障害に伴う症状もしくは徴候の軽減もしくは排除;病態、疾患、もしくは障害の程度の縮小;病態、疾患、もしくは障害の安定化(すなわち、病態、疾患、もしくは障害が悪化していない);病態、疾患、もしくは障害の発症もしくは進行の遅延;病態、疾患、もしくは障害の回復;病態、疾患、もしくは障害の寛解(部分的か完全かは問わず、検出可能か検出不能かも問わない);または病態、疾患、もしくは障害の向上もしくは改善が含まれる。治療は、過度の副作用なく、臨床的に有意な応答を誘発することを含む。治療は、治療を受けない場合に予測される生存期間と比較して生存期間を延長することも含む。
[0178]一部の実施形態において、組成物は、病態、疾患、または障害、例えば、ざ瘡、急性炎症、加齢性黄斑変性症、アレルギー、アルツハイマー、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、自己免疫疾患、血中脂質障害、乳房嚢胞、悪液質、癌、心臓再狭窄、心血管疾患、慢性炎症、冠状動脈性心疾患、嚢胞性線維症、肝臓の変性障害、糖尿病、湿疹、胃腸障害、心臓病、高トリアシルグリセロールレベル、高血圧、過敏症、免疫疾患、腫瘍増殖の阻害、炎症病態、腸障害、腎機能不全、白血病、大うつ病、多発性硬化症、神経変性障害、変形性関節症、骨粗鬆症、ペルオキシソーム病、子癇前症、早産、乾癬、肺障害、関節リウマチ、心臓病リスク、または血栓症を治療するために使用される。
[0179]一部の実施形態において、組成物は、第三期の胎児の妊娠期間の長さを増加させるために使用される。
[0180]一部の実施形態において、組成物は血圧を管理するために使用される。
[0181]一部の実施形態において、組成物は認知機能を改善または維持するために使用される。
[0182]一部の実施形態において、組成物は記憶を改善または維持するために使用される。
[0183]組成物または剤形は、組成物または剤形と適合する任意の経路により対象の体内に投与することができる。物質は、対象により対象の体内に導入される場合、または別の者、機械、もしくは装置が物質を対象の体内に導入する場合、「投与された」とみなされる。したがって、「投与する」には、例えば、自己投与、他者による投与、および間接的な投与が含まれる。「投与」に関して本明細書において使用される「継続的」または「連続的」という用語は、投与頻度が少なくとも1日1回であることを意味する。しかしながら、投与頻度は1日1回よりも多くてよく、本明細書において特定される投与量レベルを超過しない限り、例えば、1日2回、さらには3回でも依然として「継続的」または「連続的」であることに留意のこと。投与のための手段および方法は当分野において公知であり、当業者は指針のために種々の薬理学参考文献を参照することができる。例えば、“Modern Pharmaceutics”,Banker & Rhodes,Informa Healthcare,USA,4th ed.(2002);および“Goodman & Gilman’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics”,McGraw−Hill Companies,Inc.,New York,10th ed.(2001)を閲覧することができる。
[0184]「対象」、「個体」、または「患者」は、診断、予後診断、治療、または組成物もしくは剤形の投与が望まれるヒトまたは非ヒトの任意の対象を意味する。哺乳動物対象には、限定されるものではないが、ヒト;家畜;農場の動物;動物園の動物;競技用動物;愛玩動物、例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、もしくはウマ;霊長類、例えば、サル(例えば、オマキザル、アカゲザル、アフリカミドリザル、パタスモンキー、カニクイザル、およびオナガザル)、類人猿、オランウータン、ヒヒ、テナガザル、ならびにチンパンジー;イヌ科、例えば、イヌおよびオオカミ;ネコ科、例えば、ネコ、ライオン、およびトラ;ウマ科、例えば、ウマ、ロバ、およびシマウマ;食用動物、例えば、乳牛、ウシ、ブタ、およびヒツジ;有蹄類、例えば、シカおよびキリン;げっ歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、およびモルモットなどが含まれる。対象という用語は、モデル動物、例えば、疾患モデル動物も包含する。一部の実施形態において、対象という用語には、経済的にまたは他の点で有用な動物、例えば、経済的に重要な繁殖用動物、競走用動物、展覧用動物、在来動物、希少動物もしくは絶滅危惧動物、または伴侶動物が含まれる。ある実施形態において、対象はヒト対象である。ある実施形態において、対象は非ヒト対象である。
[0185]組成物は、「栄養量」、「治療有効量」、「予防有効量」、「治療用量」、または「予防用量」として投与することができる。「栄養量」は、必要な投与量および期間において所望の栄養結果を達成するために有効な量を指す。栄養結果は、例えば、対象における所望の脂肪酸構成成分レベル増加であり得る。「治療有効量」または「治療用量」は、必要な投与量および期間において所望の治療結果を達成するために有効な量を指す。治療結果は、例えば、症状の減弱、生存期間の延長、モビリティーの改善などであり得る。治療結果は「治癒」である必要はない。「予防有効量」または「予防用量」は、必要な投与量および期間において所望の予防結果を達成するために有効な量を指す。典型的には、疾患の前または疾患の初期段階の対象において予防用量が使用されるため、予防有効量は、進行期の疾患を治療するための治療有効量よりも少ない。
[0186]対象に投与すべき微生物、バイオマス、または微生物油のEPAまたは他の脂肪酸構成成分の量に基づき、種々の投与量の組成物、剤形、または医薬組成物を対象に投与することができる。「1日投与量(daily dosage)」、「1日投与量レベル」、および「1日投与量(daily dosage amount)」という用語は、本明細書において、1日当たり(24時間の期間当たり)投与されるEPAまたは他の脂肪酸成分の総量を指す。したがって、例えば、2mgの1日投与量のEPAを対象に投与することは、対象が1日基準で合計2mgのEPAを受容することを意味し、EPAは、2mgのEPAを含む単一剤形として投与されても、それぞれ0.5mgのEPAを含む4つの剤形(合計2mgのEPA)として投与されてもよい。一部の実施形態において、1日量のEPAは単一剤形で投与されるか、または2つの剤形で投与される。本発明の剤形は単回適用または複数回適用で服用することができる。例えば、毎日、4つの錠剤が服用され、それぞれの錠剤が0.5mgのEPAを含む場合、4つ全ての錠剤を1日1回服用することができ、または2つの錠剤を1日2回服用することができ、または1つの錠剤を6時間毎に服用することができる。一部の実施形態において、1日投与量は、約100mgから約15gのEPAである。一部の実施形態において、1日投与量は、約0.5mgから約250mg、約100mgから約250mg、約100mgから約500mg、約100mgから約1g、約1gから約2.5g、約1gから約5g、約1gから約10g、約1gから約15g、約5gから約10g、約5gから約15g、約10gから約15g、約100mgから約10g、約100mgから約5g、または約100mgから約2.5gのEPA、DHA、またはそれらの組合せである。一部の実施形態において、組成物は、剤形1つ当たり約0.5mgから約250mg、100mgから約250mg、約0.5mgから約500mg、約100mgから約500mg、約0.5mgから約1g、または約100mgから約1gのEPA、DHA、またはそれらの組合せを含む剤形である。
[0187]本発明の組成物または剤形の投与は、種々のレジメンを使用して達成することができる。例えば、一部の実施形態において、投与は、連日、毎日行われるか、または隔日(1日おきに)行われる。投与は1日以上で行うことができる。
[0188]組成物および剤形の投与は、病態を治療するために使用される他のレジメンと組み合わせることができる。例えば、本発明の方法は、食事レジメン(例えば、低炭水化物食、高タンパク質食、高繊維食など)、運動レジメン、減量レジメン、禁煙レジメン、またはそれらの組合せと組み合わせることができる。本発明の方法は、病態の治療において他の医薬製品との組合せで使用することもできる。本発明の組成物または剤形は、他のレジメンまたは医薬製品の前またはその後に投与することができる。
[組成物を含むキット]
[0189]本発明は、本発明の組成物の1つ以上の単位を含有するキットまたは包装容器を対象とする。キットまたは包装容器は、本発明の微生物、バイオマス、もしくは微生物油、またはそれらの組合せを含む食品、医薬組成物、化粧品、または工業組成物の単位を含み得る。キットまたは包装容器は、食物、化粧品、医薬組成物、または工業用組成物を調製するための、本発明の微生物、バイオマス、もしくは微生物油、またはそれらの組合せを含む添加物も含み得る。
[0190]一部の実施形態において、キットまたは包装容器は、本発明の方法により投与すべき医薬組成物の1つ以上の単位を含有する。キットまたは包装容器は1つの投与量単位、または2つ以上の投与量単位(すなわち、複数の投与量単位)を含有し得る。キットまたは包装容器中に複数の投与量単位が存在する場合、複数の投与量単位は、場合により、連続投与するように並べることができる。
[0191]本発明のキットは、場合により、キットの単位または剤形に関連する説明書を含有し得る。このような説明書は、医薬製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関により定められた形態であり得、その通知は製品の機関による承認、病態または障害を治療するためのヒト投与のための使用または販売を反映する。説明書は、本発明の方法により、キット中の単位または剤形の使用に関する情報を伝達する任意の形態であり得る。例えば、説明書は印刷物の形態であり得、または事前記録媒体装置の形態であり得る。
[0192]患者の試験過程において、医療従事者は、本発明の方法の1つの実施が患者に適切であることを決定することができ、または、医師は、本発明の方法の1つの実施により患者の病態を改善することができることを決定することができる。いずれかのレジメンを処方する前、医師は、例えば、レジメンに関連する種々のリスクおよびベネフィットについて患者に助言することができる。患者には、レジメンに関連する全ての公知のおよび疑われるリスクの完全な開示を提供することができる。このような助言は口頭ならびに書面で提供することができる。一部の実施形態において、医師は、患者に、レジメンに関する資料、例えば、製品情報、教材を提供することができる。
[0193]本発明は、治療方法について消費者を教育する方法であって、販売時点において消費者情報とともに剤形を配布するステップを含む方法を対象とする。一部の実施形態において、配布は、販売時点において薬剤師または医療提供者が関与して行われる。
[0194]「消費者情報」という用語には、限定されるものではないが、英語の文章、非英語の文章、画像、チャート、電話録音、ウェブサイト、およびライブ顧客サービス担当者へのアクセスが含まれ得る。一部の実施形態において、消費者情報は、本発明の方法による剤形の使用、適切な年齢での使用、適応症、禁忌症、適切な投薬、警告、電話番号またはウェブサイトアドレスについての説明を提供する。一部の実施形態において、本方法は、本発明の方法による開示されたレジメンの使用に関する消費者の質問に答える地位にある関係者に専門情報を提供することをさらに含む。「専門情報」という用語には、限定されるものではないが、医療従事者が消費者の質問に答えることができるように設計された、本発明の方法により投与された時のレジメンに関係する情報が含まれる。「医療従事者」には、例えば、医師、医師助手、看護師、ナースプラクティショナー、薬剤師、および顧客サービス担当者が含まれる。
[0195]本発明を一般に記載したが、本明細書において提供される実施例を参照することにより、さらなる理解を得ることができる。これらの実施例は例示の目的にすぎず、限定することは意図されない。
[実施例1]
[0196]本実施例において、シゾキトリウム属エスピー(Schizochytrium sp.)を、50mlの培養培地を含有する250mlのエルレンマイヤー(Erlenmeyer)振とうフラスコ中で培養した。接種材料を、約900mlの蒸留水中で溶解させた0.625gのNaCl、1.0gのKCl、5gのMgSO4・7H2O、0.1gの(NH4)2SO4、0.29gのCaCl2・2H2O、1.0gのグルタミン酸一ナトリウム一水和物、1.0gの酵母エキス、および23.8gのHEPES緩衝液からなる同一培地中で調製した。NaOHを使用して培地をpH7にした。培地の最終体積を896mlにし、培地をオートクレーブ処理により滅菌した。オートクレーブ処理後、以下の構成成分を培地に無菌的に添加した:0.89mlの56.5g/lのKH2PO4、100mlの500g/lのグルコース、2mlの微量金属原液、および1mlのビタミン原液。微量金属原液は、以下のものを含有した:1リットルの蒸留水中で溶解させた90gのクエン酸、5.15gのFeSO4・7H2O、1.55gのMnCl2・4H2O、0.965gのZnSO4・7H2O、0.02gのCoCl2・6H2O、0.02gのNa2MoO4・2H2O、1.035gのCuSO4・5H2O、1.035gのNiSO4・6H2O、pHをHClにより2.5にした。ビタミン原液は、以下のものを含有した:1リットルの蒸留水中で溶解させた0.16gのビタミンB12、9.75gのチアミン、および3.33gのパントテン酸カルシウム。振とうフラスコに1mlの接種材料を接種した。トリプリケートフラスコを、空気中5、10、または15%のCO2のいずれかの雰囲気を維持するように設定したCO2インキュベーター中に置いた。別の組のトリプリケートフラスコは、周囲CO2レベルにおけるインキュベーター中に置いた。全ての組のフラスコを200rpmにおいて振とうし、全てのインキュベーターを22.5Cに設定した。7日間の増殖後、バイオマスを振とうフラスコから遠心分離により回収し、バイオマスをフリーズドライし、標準メチルエステル化手順を使用してバイオマスの脂肪酸プロファイルを決定した。CO2レベルの上昇は、バイオマス、%脂肪および脂肪酸プロファイルの顕著な変化を生成した。CO2条件および周囲条件間の%EPAおよび%DHA値で生成された変化が顕著であった。さらに、これらの脂肪酸の変化は、CO2レベルの増加につれてより顕著になった。結果を表4に示す。
[実施例2]
[0197]本実施例において、シゾキトリウム属エスピー(Schizochytrium sp.)を、50mlの培養培地を含有する250mlのエルレンマイヤー振とうフラスコ中で培養した。接種材料を、約900mlの蒸留水中で溶解させた0.625gのNaCl、1.0gのKCl、5gのMgSO4.7H2O、0.1gの(NH4)2SO4、0.29gのCaCl2.2H2O、1.0gのグルタミン酸一ナトリウム一水和物、1.0gの酵母エキス、および23.8gのHEPES緩衝液からなる同一培地中で調製した。NaOHを使用して培地をpH7にした。培地の最終体積を896mlにし、培地をオートクレーブ処理により滅菌した。オートクレーブ処理後、以下の構成成分を培地に無菌的に添加した:0.89mlの56.5g/lのKH2PO4、100mlの500g/lのグルコース、2mlの微量金属原液、および1mlのビタミン原液。微量金属原液は、以下のものを含有した:1リットルの蒸留水中で溶解させた90gのクエン酸、5.15gのFeSO4.7H2O、1.55gのMnCl2.4H2O、0.965gのZnSO4.7H2O、0.02gのCoCl2.6H2O、0.02gのNa2MoO4.2H2O、1.035gのCuSO4.5H2O、1.035gのNiSO4.6H2O、pHをHClにより2.5にした。ビタミン原液は、以下のものを含有した:1リットルの蒸留水中で溶解させた0.16gのビタミンB12、9.75gのチアミン、および3.33gのパントテン酸カルシウム。振とうフラスコに1mlの接種材料を接種した。デュプリケートフラスコを、空気中5、10、または15%のCO2のいずれかの雰囲気を維持するように設定したCO2インキュベーター中に置いた。別の組のデュプリケートフラスコは、周囲CO2レベルにおけるインキュベーター中に置いた。全ての組のフラスコを200rpmにおいて振とうし、全てのインキュベーターを22.5Cに設定した。7日間の増殖後、バイオマスを振とうフラスコから遠心分離により回収し、バイオマスをフリーズドライし、標準メチルエステル化手順を使用してバイオマスの脂肪酸プロファイルを決定した。CO2レベルの上昇は、バイオマス、%脂肪および脂肪酸プロファイルの顕著な変化を生成した。CO2条件および周囲条件間の%EPAおよび%DHA値で生成された変化が顕著であった。さらに、これらの脂肪酸の変化は、CO2レベルの増加につれてより顕著になった。結果を以下の表5に示す。
[実施例3]
[0198]本実施例において、ヤブレツボカビ属エスピー(Thrasutochytrium sp.)を、50mlの培養培地を含有する250mlのエルレンマイヤー振とうフラスコ中で培養した。接種材料を、約900mlの蒸留水中で溶解させた42gのNa2SO4、0.625gのNaCl、1.0gのKCl、5gのMgSO4・7H2O、0.1g(NH4)2SO4、0.29gのCaCl2・2H2O、1.0gのグルタミン酸一ナトリウム一水和物、1.0gの酵母エキス、および23.8gのHEPES緩衝液からなる同一培地中で調製した。NaOHを使用して培地をpH7にした。培地の最終体積を961mlにし、培地をオートクレーブ処理により滅菌した。オートクレーブ処理後、以下の構成成分を培地に無菌的に添加した:0.89mlの56.5g/lのKH2PO4、35mlの500g/lのグリセロール、2mlの微量金属原液、および1mlのビタミン原液。微量金属原液は、以下のものを含有した:1リットルの蒸留水中で溶解させた9gのクエン酸、5.15gのFeSO4・7H2O、1.55gのMnCl2・4H2O、0.965gのZnSO4・7H2O、0.02gのCoCl2・6H2O、0.02gのNa2MoO4・2H2O、1.035gのCuSO4・5H2O、1.035gのNiSO4・6H2O、pHをHClにより2.5にした。ビタミン原液は、以下のものを含有した:1リットルの蒸留水中で溶解させた0.16gのビタミンB12、9.75gのチアミン、および3.33gのパントテン酸カルシウム。振とうフラスコに1mlの接種材料を接種した。トリプリケートフラスコを、空気中15%のCO2の雰囲気を維持するように設定したCO2インキュベーター中に置いた。別の組のトリプリケートフラスコは、周囲CO2レベルにおけるインキュベーター中に置いた。両方の組のフラスコを200rpmにおいて振とうし、両方のインキュベーターを22.5Cに設定した。7日間の増殖後、バイオマスを振とうフラスコから遠心分離により回収し、バイオマスをフリーズドライし、標準メチルエステル化手順を使用してバイオマスの脂肪酸プロファイルを決定した。空気中15%のCO2の雰囲気は、ヤブレツボカビ属(Thraustochytrium)培養物の多大な変化を生成した。高いCO2において、バイオマスおよび%脂肪は、周囲条件下よりも低かった。%16:0および%DHAは周囲条件下よりも低く、%EPAは周囲条件下よりも顕著に高かった。結果を以下の表6に示す。
[実施例4]
[0199]本実施例[NBx0614et10]において、シゾキトリウム属(Schizochytrium)種(ATCC PTA−10208)を、4つの100リットルのNew Brunswick Scientific BioFlo 6000発酵槽中で、80リットルの標的最終(レシピ)体積において炭素(グルコース)および窒素(水酸化アンモニウム)フェドバッチプロセスにより種々の過圧条件において培養して溶解二酸化炭素の増加に対する培養物の感受性を評価した。発酵物に8リットルの培養物をそれぞれ接種した。接種材料繁殖のため、80リットルのNew Brunswick Scientific BioFlo 5000発酵槽を利用した。接種材料培地は、6つの別個の群で調製された65リットルの培地からなるものであった。第1群は、585gのMSG*1H2O、65gのKCl、325gのMgSO4*7H2O、24.05g(NH4)2SO4、40.625gのNaCl、390gのT154(酵母エキス)、および13mLのDow1520US(消泡剤)からなるものであった。第1群を、約60リットルの体積において接種材料発酵槽中で121度においてバッチ滅菌した。第2群は、18.85gのCaCl2*2H2Oからなるものであった。第3群は、33.8gのH2P04からなるものであった。第2および第3群をそれぞれ、別個の溶液中で約45〜60分間オートクレーブ処理し、滅菌後に第1群に無菌的に添加した。第4群は、201.5mgのMnCl2*4H2O、201.5mgのZnSO4*7H2O、2.6mgのCoCl2*6H2O、2.6mgのNa2MoO4*2H2O、134.6mgのCuSO4*5H2O、134.6mgのNiSO4*6H2O、669.4mgのFeSO4*7H2Oおよび1.522gのクエン酸からなるものであった。第4群を、第2および第3群と同一の様式でオートクレーブ処理した。第5群は、633.75mgのチアミン−HCl、10.4mgのビタミンB12、および216.5mgのパントテン酸ヘミカルシウム塩からなるものであった。第5群をRO水中で溶解させ、次いでフィルター滅菌した。第6群は、3000mLのRO水の体積中で溶解させた3250gのグルコースからなるものであった。接種材料発酵槽を摂氏22.5度に冷却した後、第2、第3、第4、第5および第6群を発酵槽に添加した。水酸化ナトリウムおよび硫酸を使用して、発酵槽のpHを7に調整し、接種前に溶解酸素を100%に拡張した。接種材料発酵槽に1300mLのより小さい発酵培養物(より小さい発酵培養物は、65リットルの接種材料培養物と同一の様式で調製および培養した)を接種し、摂氏22.5度、pH7、180rpmの撹拌、および32.5lpmの空気において37時間の時間培養し、この時点において8リットルの接種材料ブロスをそれぞれの100リットルの発酵槽に植継ぎした。それぞれの100リットルの発酵槽は、80リットルの発酵培地を含有した。発酵培地は、接種材料発酵槽と同様の様式で調製した。それぞれの100リットルの発酵槽について、発酵培地は6つのバッチ培地群からなるものであった。容器NB5、NB6、およびNB7のため、第1群は、704gのNa2SO4、50gのNaCl、80gのKCl、400gのMgSO4*7H2O、33.6gの(NH4)2SO4、80gのT154酵母エキス、および8mLのDow1520−US消泡剤を含有した。第1群を約35リットルの体積において100リットルの発酵槽中で摂氏122度において60分間蒸気滅菌した。第2群は、約300mLの体積中で23.2gのCaCl2*2H2Oを含有した。第3群は、RO水中で溶解させた141.2gのKH2PO4を含有した。第4群は、全てRO水中に溶解させた248mgのMnCl2*4H2O、744mgのZnSO4*7H2O、3.2mgのNa2MoO4*2H2O、165.6mgのCuSO4*5H2O、および165.6mgのNiSO4*6H2O、824mgのFeSO4*7H2Oおよび80gのクエン酸を含有した。第5群は、全てRO水中で溶解させ、フィルター滅菌した780mgのチアミン−HCl、266.4mgのパントテン酸ヘミカルシウム塩、および286.4ugのビオチンを含有した。第6群は、約3リットルのRO水中で2400gのグルコースを含有した。第2、第3、第4、第5、および第6群を合わせ、発酵槽が摂氏22.5度の運転温度に達した後に発酵槽に添加した。容器NB8については、全ての群がクエン酸を除き他の3つの条件と同一であった。NB8において、第4群は約3.75gのクエン酸のみを含有した。接種前のそれぞれの発酵槽体積は、約52〜53リットルであった。それぞれの発酵槽に、上記の接種材料発酵物からの8リットルのブロスを接種した。4N水酸化アンモニウムの7.3リットル溶液を利用して発酵物を7のpHにおいて窒素排出までpH制御し、その時点において4N水酸化ナトリウムおよび4N硫酸をpH制御に利用した。180から480rpmの撹拌および40LPMから80LPMの空気流を使用して溶解酸素を発酵物全体にわたり20%の標的に維持するように制御した。これらの容器のそれぞれを異なる頭部圧力(B5=2、NB6=15、NB7=20PSI)において制御して溶解二酸化炭素の増加に対する生物の感受性を評価した。発酵物全体にわたり、95%デキストローズ(コーンシロップ)の850g/L溶液を、50g/L未満のグルコース濃度を維持するように供給した。8日後、それぞれの80リットルの発酵槽の乾燥細胞重量およびω−3力価は同様であり、NB5は、110.1g/LのDCWおよび44.37g/Lのω−3におけるものであり;NB6は、117.7g/LのDCWおよび45.78g/Lのω−3におけるものであり;NB7は、114.1g/LのDCWおよび48.43g/Lのω−3におけるものであり;NB8は、119.5g/LのDCWおよび43.55g/Lのω−3におけるものであった。圧力を増加させるにつれ、%DHA/FAMEは減少し、%EPA/FAMEは増加し、DHAとEPAとの比は減少した。2PSIから20PSIの最終脂肪酸含有率を比較した場合、%DHA/FAMEは50.48%から41.26%に減少し、%EPA/FAMEは18.95%から23.28%に増加した。結果を表7に示す。
[実施例5]
[0200]本実施例[Nx0719et10]において、シゾキトリウム属(Schizochytrium)種(ATCC PTA−10208)を、4つの14リットルのNew Brunswick Scientific BioFlo 310発酵槽中で、10リットルの標的最終(レシピ)体積において、炭素(グルコース)および窒素(水酸化アンモニウム)フェドバッチプロセスにより培養した。4つの発酵槽のうち3つに二酸化炭素を発酵の間の異なる時点において補給して溶解二酸化炭素の増加に対する培養物の感受性を評価した。NBS1、NBS2、およびNBS3に、二酸化炭素を12、24、および48時間の対数において開始してそれぞれ補給した。発酵物にそれぞれ1リットルの培養物をそれぞれ接種した。接種材料繁殖のため、14リットルのVirtis発酵槽を利用した。接種材料培地は、4つの別個の群で調製された10リットルの培地からなるものであった。第1群は、90gのMSG*1H2O、10gのKCl、50gのMgSO4*7H2O、3.3gの(NH4)2SO4、6.25gのNaCl、60gのT154(酵母エキス)、4.97gのKH2PO4、2.9gのCaCl2*2H2O、および2mLのDow1520US(消泡剤)からなるものであった。第1群を約9.8リットルの体積において121度において120分間オートクレーブ処理した。第2群は、800mLの体積のRO水中で溶解させた500gのグルコースからなるものであった。第3群は、31mgのMnCl2*4H2O、31mgのZnSO4*7H2O、0.4mgのCoCl2*6H2O、0.4mgのNa2MoO4*2H2O、20.7mgのCuSO4*5H2O、20.7mgのNiSO4*6H2O、103mgのFeSO4*7H2Oおよび234.1mgのクエン酸からなるものであった。第2および第3群をそれぞれ、60分間オートクレーブ処理した。第4群は、97.5mgのチアミン−HCl、1.6mgのビタミンB12、および33.3mgのパントテン酸ヘミカルシウム塩からなるものであった。第4群をRO水中で溶解させ、次いでフィルター滅菌した。発酵槽を摂氏22.5度に冷却した後、第2、第3、第4、および第5群を発酵槽に添加した。水酸化ナトリウムおよび硫酸を使用して、発酵槽のpHを7に調整し、接種前に溶解酸素を100%に拡張した。接種材料発酵槽に150mLのより小さい発酵培養物(より小さい発酵培養物は、10リットルの接種材料培養物と同一の様式で調製および培養した)を接種し、摂氏22.5度、pH7、433rpmの撹拌、および5lpmの空気において44.5時間の時間培養し、この時点において1リットルの接種材料ブロスをそれぞれの14リットルの発酵槽に植継ぎした。それぞれの14リットルの発酵槽は、10リットルの発酵培地を含有した。発酵培地は、接種材料発酵槽と同様の様式で調製した。それぞれの14リットルの発酵槽について、発酵培地は6つのバッチ培地群からなるものであった。全ての容器について、第1群は、60gのNa2SO4、6.25gのNaCl、10gのKCl、50gのMgSO4*7H2O、0.43g(NH4)2SO4、10gのT154酵母エキス、および1mLのDow1520−US消泡剤を含有した。第1群を約6.5リットルの体積において14リットルの発酵槽中で摂氏121度において120分間オートクレーブ処理した。第2群は、約20mLの体積のRO水中で2.9gのCaCl2*2H2Oを含有した。第3群は、100mLのRO水中で溶解させた17.61gのKH2PO4を含有した。第4群は、全て50mLのRO水中で溶解させた31mgのMnCl2*4H2O、93mgのZnSO4*7H2O、0.4mgのNa2MoO4*2H2O、20.7mgのCuSO4*5H2O、20.7mgのNiSO4*6H2O、103mgのFeSO4*7H2Oおよび10gのクエン酸を含有した。第5群は、全て10mLのRO水中で溶解させ、フィルター滅菌した97.5mgのチアミン−HCl、33.3mgのパントテン酸ヘミカルシウム塩、および36.3ugのビオチンを含有した。第6群は、約0.5リットルのRO水中で300gのグルコースを含有した。第2、第3、第4、第5、および第6群を合わせ、発酵槽が摂氏22.5度の運転温度に達した後に発酵槽に添加した。接種前のそれぞれの発酵槽体積は、約6.5リットルであった。それぞれの発酵槽に、上記の接種材料発酵物からの1リットルのブロスを接種した。4N水酸化アンモニウムの0.85リットル溶液を利用して発酵物を7のpHにおいて窒素排出までpH制御し、その時点において4N水酸化ナトリウムおよび3N硫酸を7.5の設定点におけるpH制御に利用した。357から833rpmの撹拌および7LPMから7LPMの空気流を使用して溶解酸素を発酵物全体にわたり20%の標的に維持するように制御した。容器NBS1、NBS2、NBS3に、二酸化炭素を異なる時間枠でそれぞれ補給して溶解二酸化炭素の増加に対する生物の感受性を評価した。発酵物全体にわたり、95%のデキストローズ(コーンシロップ)の850g/L溶液を、50g/L未満のグルコース濃度を維持するように供給した。8日後、それぞれの10リットルの発酵槽の乾燥細胞重量およびω−3力価は二酸化炭素補給条件に応じて変動した。183時間において、NBS1は、109.1g/LのDCWおよび45.87g/Lのω−3におけるものであり;NBS1は、108.9g/LのDCWおよび45.41g/Lのω−3におけるものであり;NBS3は、116.4g/LのDCWおよび50.6g/Lのω−3におけるものであり;NBS4は、95.7g/LのDCWおよび40.36g/Lのω−3におけるものであった。二酸化炭素補給を開始した直後、%DHA/FAMEは減少し、%EPA/FAMEは増加し、DHAとEPAとの比は減少した。二酸化炭素補給条件および周囲条件の最大%EPA/FAME含有率を比較した場合、CO2補給条件下での最大EPA含有率が65%増加した。結果を表8に示す。
[実施例6]
[0201]本実施例[Nx0106et10]において、シゾキトリウム属(Schizochytrium)種(ATCC PTA−10208)を、4つの14リットルのNew Brunswick Scientific BioFlo 310発酵槽中で、10リットルの標的最終(レシピ)体積において、炭素(グルコース)および窒素(水酸化アンモニウム)フェドバッチプロセスにより培養した。温度を、NBSl、NBS2、NBS3、およびNBS4についてそれぞれ21.0℃、22.5℃、24.0℃、および25.5℃の標的を維持するように発酵の実行全体にわたり制御した。発酵物に、それぞれ1リットルの培養物をそれぞれ接種した。接種材料繁殖のため、14リットルのVirtis発酵槽を利用した。接種材料培地は、4つの別個の群で調製された10リットルの培地からなるものであった。第1群は、90gのMSG*1H2O、10gのKCl、50gのMgSO4*7H2O、3.7gの(NH4)2SO4、6.25gのNaCl、60gのT154(酵母エキス)、5.2gのKH2PO4、2.9gのCaCl2*2H2O、および2mLのDow1520US(消泡剤)からなるものであった。第1群を約9.8リットルの体積において121度において120分間オートクレーブ処理した。第2群は、800mLの体積のRO水中で溶解させた500gのグルコースからなるものであった。第3群は、31mgのMnCl2*4H2O、31mgのZnSO4*7H2O、0.4mgのCoCl2*6H2O、0.4mgのNa2MoO4*2H2O、20.7mgのCuSO4*5H2O、20.7mgのNiSO4*6H2O、103mgのFeSO4*7H2Oおよび234.1mgのクエン酸からなるものであった。第2および第3群をそれぞれ、60分間オートクレーブ処理した。第4群は、97.5mgのチアミン−HCl、1.6mgのビタミンB12、および33.3mgのパントテン酸ヘミカルシウム塩からなるものであった。第4群をRO水中に溶解させ、次いでフィルター滅菌した。発酵槽を摂氏22.5度に冷却した後、第2、第3、第4、および第5群を発酵槽に添加した。水酸化ナトリウムおよび硫酸を使用して、発酵槽のpHを7に調整し、接種前に溶解酸素を100%に拡張した。接種材料発酵槽に200mLのより小さい発酵培養物(より小さい発酵培養物は、10リットルの接種材料培養物と同一の様式で調製および培養した)を接種し、摂氏22.5度、pH7、433rpmの撹拌、および5lpmの空気において42時間の時間培養し、この時点において1リットルの接種材料ブロスをそれぞれの14リットルの発酵槽に植継ぎした。それぞれの14リットルの発酵槽は、10リットルの発酵培地を含有した。発酵培地を接種材料発酵槽と同様の様式で調製した。それぞれの14リットルの発酵槽について、発酵培地は4つのバッチ培地群からなるものであった。全ての容器について、第1群は、88gのNa2SO4、6.25gのNaCl、10gのKCl、50gのMgSO4*7H2O、4.2g(NH4)2SO4、2.9gのCaCl2*2H2O、17.65gのKH2PO4、10gのT154酵母エキス、および1mLのDow1520−US消泡剤を含有した。第1群を約7.0リットルの体積において14リットルの発酵槽中で摂氏121度において120分間オートクレーブ処理した。第2群は、50mLのRO水中で溶解させた31mgのMnCl2*4H2O、93mgのZnSO4*7H2O、0.4mgのNa2MoO4*2H2O、20.7mgのCuSO4*5H2O、20.7mgのNiSO4*6H2O、103mgのFeSO4*7H2Oおよび468mgのクエン酸を含有した。第2群を60分間オートクレーブ処理した。第3群は、全て10mLのRO水中で溶解させ、フィルター滅菌した97.5mgのチアミン−HCl、33.3mgのパントテン酸ヘミカルシウム塩、および35.8ugのビオチンを含有した。第4群は、約0.5リットルのRO水中で300gのグルコースを含有し、60分間オートクレーブ処理した。第2、第3、および第4群を合わせ、発酵槽が摂氏22.5度の運転温度に達した後に発酵槽に添加した。接種前のそれぞれの発酵槽体積は、約6.5リットルであった。それぞれの発酵槽に、上記の接種材料発酵物からの1リットルのブロスを接種した。4N水酸化アンモニウムの0.85リットル溶液を利用して発酵物全体にわたり発酵物を7.0のpHにおいて窒素排出までpH制御し、その時点において4N水酸化ナトリウムおよび3N硫酸を設定点におけるpH制御に利用した。窒素排出まで20%の標的を維持するように溶解酸素を制御した。窒素排出後、357から714rpmの撹拌および8LPMの空気流を使用して溶解酸素を発酵終了時まで10%の標的を維持するように制御した。発酵物全体にわたり、95%のデキストローズ(コーンシロップ)の850g/L溶液を、50g/L未満のグルコース濃度を維持するように供給した。8日後、乾燥細胞重量またはω−3力価は、評価した異なる温度でわずかに変動し;しかしながら、より低い発酵温度は、より高い%EPA/FAMEをもたらした。184時間において、NBS1は、85.2g/LのDCWおよび29.9g/Lのω−3におけるものであり;NBS2は、92.0g/LのDCWおよび35.0g/Lのω−3におけるものであり;NBS3は、86.8g/LのDCWおよび31.7g/Lのω−3におけるものであり;NBS4は、84.2g/LのDCWおよび29.4g/Lのω−3におけるものであった。
[0202]NBS1について、%EPA/FAMEは発酵実行の開始から終了まで12.36%から19.02%の範囲であり、最大21.57%であった。NBS2について、%EPA/FAMEは発酵実行の開始から終了まで11.72%から18.11%の範囲であり、最大20.21%であった。NBS3について、%EPA/FAMEは、発酵実行の開始から終了まで11.49%から15.43%の範囲であり、最大18.09%であった。NBS4について、%EPA/FAMEは、発酵実行の開始から終了まで11.65%から13.65%の範囲であり、最大15.70%であった。最大%EPA/FAMEを比較した場合、最低発酵温度は、評価した最大発酵温度と比べて最大EPA含有率の37%の増加をもたらした。結果を以下の表9に提供する。
[実施例7]
[0203]本実施例[Nx0614et10]において、シゾキトリウム属(Schizochytrium)種(ATCC PTA−10208)を、2つの14リットルのNew Brunswick Scientific BioFlo 310発酵槽中で、10リットルの標的最終(レシピ)体積において、炭素(グルコース)および窒素(水酸化アンモニウム)フェドバッチプロセスにより培養した。一方の発酵槽(NBS15)を、発酵実行の開始から終了まで15%の二酸化炭素を補給した空気によりスパージし、他方の発酵槽(NBS17)を空気のみによりスパージして溶解二酸化炭素の増加に対する培養物の感受性を評価した。発酵物に、それぞれ1リットルの培養物をそれぞれ接種した。接種材料繁殖のため、14リットルのVirtis発酵槽を利用した。接種材料培地は、4つの別個の群で調製された10リットルの培地からなるものであった。第1群は、90gのMSG*1H2O、10gのKCl、50gのMgSO4*7H2O、3.3g(NH4)2SO4、6.25gのNaCl、60gのT154(酵母エキス)、4.97gのKH2PO4、2.9gのCaCl2*2H2O、および2mLのDow1520US(消泡剤)からなるものであった。第1群を約9.8リットルの体積において121度において120分間オートクレーブ処理した。第2群は、800mLの体積のRO水中で溶解させた500gのグルコースからなるものであった。第3群は、31mgのMnCl2*4H2O、31mgのZnSO4*7H2O、0.4mgのCoCl2*6H2O、0.4mgのNa2MoO4*2H2O、20.7mgのCuSO4*5H2O、20.7mgのNiSO4*6H2O、103mgのFeSO4*7H2Oおよび234.1mgのクエン酸からなるものであった。第2および第3群をそれぞれ、60分間オートクレーブ処理した。第4群は、97.5mgのチアミン−HCl、1.6mgのビタミンB12、および33.3mgのパントテン酸ヘミカルシウム塩からなるものであった。第4群をRO水中に溶解させ、次いでフィルター滅菌した。発酵槽を摂氏22.5度に冷却した後、第2、第3、第4、および第5群を発酵槽に添加した。水酸化ナトリウムおよび硫酸を使用して、発酵槽のpHを7に調整し、接種前に溶解酸素を100%に拡張した。接種材料発酵槽に200mLのより小さい発酵培養物(より小さい発酵培養物は、10リットルの接種材料培養物と同一の様式で調製および培養した)を接種し、摂氏22.5度、pH7、433rpmの撹拌、および5lpmの空気において40時間の時間培養し、この時点において1リットルの接種材料ブロスをそれぞれの14リットルの発酵槽に植継ぎした。それぞれの14リットルの発酵槽は、10リットルの発酵培地を含有した。発酵培地を接種材料発酵槽と同様の様式で調製した。それぞれの14リットルの発酵槽について、発酵培地は6つのバッチ培地群からなるものであった。全ての容器について、第1群は、88gのNa2SO4、6.25gのNaCl、10gのKCl、50gのMgSO4*7H2O、4.2gの(NH4)2SO4、10gのT154酵母エキス、および1mLのDow1520−US消泡剤からなるものであった。第1群を約6.5リットルの体積において14リットルの発酵槽中で摂氏121度において120分間オートクレーブ処理した。第2群は、約20mLの体積のRO水中で2.9gのCaCl2*2H2Oを含有した。第3群は、100mLのRO水中で溶解させた17.65gのKH2PO4を含有した。第4群は、50mLのRO水中で溶解させた31mgのMnCl2*4H2O、93mgのZnSO4*7H2O、0.4mgのNa2MoO4*2H2O、20.7mgのCuSO4*5H2O、20.7mgのNiSO4*6H2O、103mgのFeSO4*7H2Oおよび468mgのクエン酸を含有した。第2、第3、および第4群をそれぞれ、60分間オートクレーブ処理した。第5群は、全て10mLのRO水中で溶解させ、フィルター滅菌した97.5mgのチアミン−HCl、33.3mgのパントテン酸ヘミカルシウム塩、および36.3ugのビオチンを含有した。第6群は、約0.5リットルのRO水中で300gのグルコースを含有し、60分間オートクレーブ処理した。第2、第3、第4、第5、および第6群を合わせ、発酵槽が摂氏22.5度の運転温度に達した後に発酵槽に添加した。接種前のそれぞれの発酵槽体積は、約6.5リットルであった。それぞれの発酵槽に、上記の接種材料発酵物からの1リットルのブロスを接種した。4N水酸化アンモニウムの0.85リットル溶液を利用して発酵物全体にわたり発酵物を7.0のpHにおいて窒素排出までpH制御し、その時点において4N水酸化ナトリウムおよび3N硫酸を設定点におけるpH制御に利用した。窒素排出まで20%の標的を維持するように溶解酸素を制御した。窒素排出後、357から833rpmの撹拌および8LPMの空気流を使用して溶解酸素を発酵終了時まで10%の標的を維持するように制御した。発酵物全体にわたり、95%のデキストローズ(コーンシロップ)の850g/L溶液を、50g/L未満のグルコース濃度を維持するように供給した。8日後、それぞれの10リットル発酵槽の乾燥細胞重量およびω−3力価は、二酸化炭素補給条件に応じて変動した。188時間において、NBS15は、54.5g/LのDCWおよび13.7g/Lのω−3におけるものであり;NBS17は、96.1g/LのDCWおよび37.5g/Lのω−3におけるものであった。NBS15(実行全体にわたるCO2補給条件)における%EPA/FAMEは、NBS17(CO2未補給)よりも高かった。NBS15について、%EPA/FAMEは発酵実行の開始から終了まで25.50%から35.48%の範囲であり、最大38.34%であった。NBS17について、%EPA/FAMEは発酵実行の開始から終了まで12.31%から19.80%の範囲であり、最大22.29%であった。二酸化炭素補給条件および周囲条件の最大%EPA/FAME含有率を比較した場合、CO2補給条件下での最大EPA含有率が73%増加する。
[0204]%DHA/FAMEは、発酵実行全体にわたりCO2補給条件のものについて、周囲条についてのものよりも低かった。結果を以下の表10に提供する。
[実施例8]
[0205]本実施例[K019]において、シゾキトリウム属(Schizochytrium)種(ATCC PTA−10208)を、157,000リットルの撹拌発酵槽中で、100,000kgの標的最終(レシピ)重量において、炭素(グルコース)および窒素(無水アンモニアガス)フェドバッチプロセスにより培養した。発酵物に4500kgの培養物を接種した。接種材料繁殖のため、7500リットルの撹拌シード発酵槽を利用した。接種材料培地は、4つの別個の群で調製された4500kgの培地からなるものであった。第1群は、2300kgの総重量を有するプロセス水中で溶解させた40.5kgのMSG*1H2O、4.5kgのKCl、22.5kgのMgSO4*7H2O、1.7kgの(NH4)2SO4、2.81kgのNaCl、27kgのT154(酵母エキス)、2kgのKH2PO4、985gのCaCl2、および0.9kgのDow1520US(消泡剤)からなるものであった。第2群は、1500kgの総重量を有するプロセス水中で溶解させた247.5kgのグルコース.1H2Oからなるものであった。摂氏122〜123度における30分間の定置蒸気滅菌により第1群をシード発酵槽中で滅菌し、第2群を別個の容器中で滅菌した。第3群は、5Lの蒸留水中で溶解させた14gのMnCl2*4H2O、14gのZnSO4*7H2O、180mgのCoCl2*6H2O、180mgのNa2MoO4*2H2O、9.3gのCuSO4*5H2O、9.3gのNiSO4*6H2O、46.4gのFeSO4*7H2Oおよび105.3gのクエン酸からなるものであった。第3群を摂氏121度において60分間オートクレーブ処理した。第4群は、5Lの蒸留水中で溶解させ、次いでフィルター滅菌した43.9gのチアミン−HCl、720mgのビタミンB12、および15gのパントテン酸ヘミカルシウム塩からなるものであり、次いでフィルター滅菌した。シード発酵槽を摂氏22.5度に冷却した後、第2、第3、第4群を発酵槽に添加した。水酸化ナトリウムおよび硫酸を使用して、発酵槽のpHを7に調整し、接種前に溶解酸素を100%に拡張した。シード発酵槽に12Lのより小さい発酵培養物(より小さい発酵培養物は、シード培養物と同一の様式で調製および培養した)を接種し、摂氏22.5度、pH7、90rpmの撹拌、および130〜170Nm3/hrの空気において4〜5日間の時間培養して約15g/Lの乾燥細胞重量を得た。発酵培地を接種材料発酵槽と同様の様式で調製した。発酵培地は5つの群からなるものであった。第1群は、9,000kgの溶液中で177kgのKH2PO4、880kgのNa2SO4、500kgのMgSO4*7H2O、42kgの(NH4)2SO4、100kgのT154酵母エキス、および10kgのDow1520−US消泡剤を含有した。第2群は、9,000kgの溶液中で21.9kgのCaCl2、62.5kgのNaCl、100kgのKClを含有した。第1および第2群を発酵槽中に熱交換器を介してポンプ導入し、次いで水をポンプ導入して発酵槽の67,000kgの重量を得た。第3群は、1500kgのプロセス水中で溶解させた310gのMnCl2*4H2O、930gのZnSO4*7H2O、4gのNa2MoO4*2H2O、207gのCuSO4*5H2O、207gのNiSO4*6H2O、1.03kgのFeSO4*7H2Oおよび4.68kgのクエン酸を含有した。第4群は、4300kgのコーンシロップ(DE−95、70.5%)を含有した。摂氏122〜123度における30分間の定置蒸気滅菌により第3および第4群を異なる容器中で滅菌した。第5群は、5Lの蒸留水中で溶解させ、フィルター滅菌した975gのチアミン−HCl、333gのパントテン酸ヘミカルシウム塩、および358mgのビオチンを含有した。発酵槽を摂氏22.5度に冷却した後、第3、第4、および第5群を発酵槽に添加した。接種前の発酵槽体積の重量は、約73,500kgであった。開始発酵条件を設定した後(温度:22.5℃、圧力:0.34bar、空気流:3000Nm3/hr、撹拌、40rpm)、発酵物pHを7に調整し、溶解酸素を100%に拡張した。接種後の重量は約78,000kgであった。開始時、無水アンモニアを利用して550kgのアンモニアを添加するまでpHを7に制御し、次いで30%の水酸化ナトリウム溶液を7.5の設定点におけるpH制御に利用した。溶解酸素を、40から100rpmの撹拌および2000から8000Nm3/hrの空気流を使用してアンモニア供給の間20%およびその後の10%の標的を維持するように制御した。発酵物全体にわたり、65%のDE−95コーンシロップ溶液を、約35g/Lのグルコース濃度を維持するように供給した。別の実施例[K020]において、実施例K019から3つの変化を施した:1)圧力を0.15barに低減させ、2)接種後の重量を68,000kgに低減させ、3)空気流を接種60時間後において5000Nm3/hr超に増加させ、溶解酸素濃度にかかわらず実行全体にわたり高く維持した。上記3つの変化により、ブロス中の溶解二酸化炭素濃度が低減した。結果は、CO2の低減により、%DHA/FAMEが38.38%から43.8%に増加し、%EPA/FAMEが24.42%から20.68%に低減したことを示した。DHA:EPA比は、1.57から2.12に増加した。結果を以下の表11に示す。
[実施例9]
[0206]以下の表中、最大溶解CO2は、ヘンリー定数を使用して実施例のいくつかについて計算する。第1の条件「0PSIの背圧および45.5mmol/L/時間のCERにおける10L(NBS4 0719etl0)」は、45.5mmol/L/時間の二酸化炭素発生速度、10リットルの発酵体積、0.8vvmの通気速度、および0PSIの背圧において表8中のNBS4について計算された溶解CO2である。第2の条件「インレットガス中6%のCO2での0PSIの背圧および50mmol/L/時間のCERにおける10L(NBS2 0719etl0)」は、50mmol/L/時間の二酸化炭素発生速度、10リットルの発酵体積、0.8vvmの通気速度、0PSiの背圧において、Thermo Prima dB質量分析計を使用する質量分析により計測される総ガスの6%におけるインレット流で補給されるCO2を用いてNBS2について表8中で計算された溶解CO2である。第3の条件「2PSIの背圧および55mmol/L/時間のCERにおける80リットル(NB5 0614etl0)」は、55mmol/L/時間の二酸化炭素発生速度、80リットルの発酵体積、1.0wmの通気速度、および2PSIの背圧において、表7中のNB5について計算された溶解CO2である。第4の条件「15PSIの背圧および50mmol/L/時間のCERにおける80リットル(NB6 0614etl0)」は、50mmol/L/時間の二酸化炭素発生速度、80リットルの発酵体積、1.0vvmの通気速度、および15PSIの背圧において、表7中のNB6について計算された溶解CO2である。第5の条件「20PSIの背圧および50mmol/L/時間のCERにおける80リットル(NB7&NB8 0614et10)」は、50mmol/L/時間の二酸化炭素発生速度、80リットルの発酵体積、1.0vvmの通気速度および20PSIの背圧において、表7中のNB7及びNB8について計算された溶解CO2である。全てのCER値を、Thermo Prima dB質量分析計により回収されたオフガスCO2データを使用して計算した。計算の結果を以下の表13および表14に提供する。
[実施例10]
[0207]実験を、周囲CO2レベル下でヤブレツボカビ属(Thraustochytrium)振とうフラスコ培地(Shake Flask Medium)(TSFM)中のATCCアクセッション番号PTA−9695を使用して性能(バイオマスの乾燥細胞重量(DW)、%DHA、%脂肪、および%EPA)に対するビタミン勾配の効果を決定するために実施した。
[0208]材料および方法:4つのビタミン(チアミン.HCl、B12、ビオチン、およびパントテン酸Ca)を、0.25g/Lのtastoneおよび0.625g/LのNaClを有するTSFM培地中で使用した(表16参照)。追加のMSGおよびKH2PO4を、それらの総窒素およびリン含有率を維持するように培地に添加した。培地中の全ビタミン濃度は、試験されるビタミンに応じて標準量の0、0.5x、1x、5x、10x、20x、または30xであった(表17参照)。勾配試験を、それぞれのビタミンに対して別個に実施した。しかしながら、ビオチンおよびパントテン酸Caの場合、標準量のチアミン.HClおよびB12も培地中に取り込んだ。それというのも、後者2つの濃度は、標準TSFM中で極めて低かったためである。3つのTSFM対照も、比較のために実験に含めた。これらの対照は、2g/Lのtastone(表15参照)、1xチアミン.HClおよび1xB12(CI)を有する標準TSFM;いかなるビタミンも有さないtastone不含TSFM(A);ならびに1xチアミン.HClおよび1xB12を有するtastone不含TSFM(B)であった。全ての対照は、0.625g/LのNaClを含有した。PTA−9695の3日間培養物を使用して0.1gのDW/Lにおいてデュプリケート250ml振とうフラスコに接種した。全てのフラスコ(平底、合計50mlの培地)を、ロータリーシェーカー(200RPM)上で22.5+/−1Cにおいて好気的にインキュベートした。全ての培養物を7日後に回収し、FAME分析を最終フリーズドライバイオマス試料に対して実施した。
[0209]結果:チアミン勾配についての最大DWおよび%脂肪(それぞれ、6.7g/Lおよび38.5%)は、培地へのこのビタミンの添加量が標準レベルの5倍である場合に達成された(図1)。このレベルのチアミンにおける%DHAは44.1%であった。5x未満および5x超のチアミンにおいて、DWおよび%脂肪は両方とも降下し始めた。5x未満のチアミンを有する培地中で%DHAも降下し、それは5x超のチアミンにおいてわずかに変動し、顕著な改善はなかった。チアミン勾配培養物中の%EPAは、8.6から11.5の範囲であった。tastoneもビタミンも培地に添加しなかった場合(図5、培地A)、%DHAを除き全てが顕著に降下した。しかしながら、%DHAの増加は人為的であると思われた。それというのも、この条件についてDWおよび%脂肪が両方とも極端に低かったためである。B12の1x濃度は、DW、%DHA、%脂肪、および%EPAに最適であると思われた(図2)。このレベルのビタミンB12において、以下のことが達成された:7.1g/LのDW、50.6%のDHA、42.7%の脂肪,および2.1%のEPA。B12を培地に添加しなかった場合、最大%EPA(11.5)が得られた。ビタミンを添加しなかったtastone不含培地は、生物の性能をさらに改善せず、上記のとおり最大DHA%は人為的であると思われた(図5、培地A)。
[0210]同様に、ビオチンの1x濃度は、DW、%DHA、および%脂肪に最適であった(図3)。これらのパラメータについての対応する値は:それぞれ6.8g/L、47.7%、および37.9%であった。この点におけるEPAパーセントは1.9であった。1xチアミンおよび1xB12を有するtastone不含培地(図5、培地B)は、PTA−9695の全性能を顕著に減弱させた。
[0211]パントテン酸Caは、このビタミンを標準量の10xにおいて培地に添加した場合、最大のDW、%DHA、および%脂肪を生成した(図4)。これらのパラメータの最適濃度は、それに応じて7.0g/L、47.3%、および39.1%であった。パントテン酸Ca勾配実験全体のEPA含有率は2%未満であった。PTA−9695の全性能の顕著な低減は、1xチアミンおよび1xB12のみを有するtastone不含培地(図5、培地B)中で生物を増殖させた場合に顕著であった。
[0212]結果を以下のデータ表にも示す。
[実施例11]
[0213]実験を、10%のCO2における最大性能を達成するためのビタミンB12についてのATCCアクセッション番号PTA−9695の最小所要量、例として、10%のCO2条件下での最大乾燥重量およびDHA収率を生成するためにPTA−9695培養物に要求されるビタミンB12の最小量を決定するために実施した。
[0214]温度:22.5+/−1C(10%のCO2における)
[0215]シェーカー速度:200rpm
[0216]基礎培地:既知組成スケールダウン発酵槽培地(Defined Scaled−Down Fermentor Medium)(DSDFM−B)(表20)。
[0217]接種材料:異なる濃度のビタミンB12を有するDSDFM−B中で増殖させたPTA−9695の3日間培養物。
[0218]PTA−9695の新たなクライオバイアルをSDFM−B(表19)中で最初に解凍し、続いて増殖させ、10%のCO2下で既知組成SDFM−B中で数回植継ぎした。DSDFM−B中のPTA−9695の3日間培養物を(4%において)使用し、種々の濃度のビタミンB12(すなわち、処理AからIについて、それに応じて7.68mg/Lから0mg/LのB12;表18参照)を有するDSDFM−Bを含有する初期接種材料フラスコを調製した。それぞれの濃度のビタミンB12についての接種材料フラスコを、10%のCO2下で、培養物をそれらのそれぞれの新たな培地中に7日間ごと植継ぎすることにより維持した。このビタミンについての最小所要量をより正確に決定することができるように、培養物の毎週の植継ぎが細胞内部に蓄積され得るあらゆる過剰なビタミンB12のウォッシュアウトに不可欠であった。デュプリケート振とうフラスコに、600nmにおける光学密度を使用してそれらのそれぞれの3日間接種材料を0.1g/Lの理論DWにおいて接種した。培養物を10%CO2下で9日間増殖させてから回収し、FAMEアッセイによりさらに分析した。
[0219]結果:
[0220]注:本試験において第3週目についてのデータ点を無視する。それというのも、実験室修復の間の6時間、インキュベーターへのCO2の補給を中断し、フラスコをインキュベーターから取り出さなければならなかったためである。
[0221]高濃度のビタミンB12(3.84mg/L超)へのPTA−9695の曝露延長(最大4週間)は、乾燥重量、%脂肪、およびDHA収率に悪影響を与え得る一方、1.5から768ug/LのビタミンB12の濃度はPTA−9695のDW、%脂肪、%EPA、およびDHA収率に対する顕著な効果を有さない。
[0222]単一細胞の数の増加(3〜4に対して最大15)は、768mg/LのビタミンB12(処理A)の存在下で増殖させた培養物中で見られた。
[0223]培地レシピからビタミンB12の排除は、%EPAを約10%だけ顕著に増加させた一方、%DHAおよび%16:0を両方ともわずかに減少させた。以下の図6〜19および表21は、実験の結果を示す。
[0224]結論:
[0225]最小の約1.5ug/LのビタミンB12(SDFM−B中の標準濃度の500分の1)は、最大DW、%DHA、%脂肪、およびDHA収率を得るために不可欠である。極めて高濃度のビタミンB12(3.84mg/L超)がDW、%脂肪、およびDHA収率を顕著に低減させ得る一方、このビタミンからのPTA−9695の完全な喪失は、その%EPAを顕著に(約10%)増加させ得る。極めて高レベルのビタミンB12も、「塊状」培養物の「単一細胞」への形質転換の促進の役割を担う。
[実施例12]
[10%のCO2におけるATCCアクセッション番号PTA−10208ビタミンB12勾配]
[0226]最適なPTA−10208増殖およびEPA生産性を提供するビタミンB12の濃度を決定するための実験を実施した。
[0227]温度:23℃
[0228]シェーカー速度:200rpm
[0229]基礎培地:既知組成(Defined)SDFM−O(DSDFM−O)
[0230]接種材料:PTA−10208のバイアルを周囲条件においてSDFM−O中に解凍した。2mLの培養物を48mLのDSDFM−O中に10%のCO2において植継ぎした。培養物を新たなDSDFM−O(10%のCO2)中に植継ぎした(表22参照)。培養物を新たなDSDFM−O(10%のCO2)中に植継ぎした。培養物を使用してビタミンB12勾配実験第1週(2mL/フラスコ)(10%のCO2)に接種した。
[0231]実験設定:
[0232]全ての培養物を50mLの振とうフラスコ中で増殖させ、デュプリケートフラスコをそれぞれの条件について増殖させた。PTA−10208を、DSDFM−O(tastoneなし)中の9日間ビタミンB12勾配中に7日間ごとに接種した。それぞれの濃度のビタミンB12についての接種材料を実験の過程全体にわたり維持した。PTA−10208を低減濃度のビタミンB12中で植継ぎし続けることにより、過剰のビタミンB12を細胞から効率的にウォッシュアウトした。それぞれの濃度のビタミンB12についての接種材料を7日間ごとに移した。4日間接種材料を使用してそれぞれの9日間ビタミンB12勾配を開始した。それぞれの9日間勾配を、実験設定A、B、C、D、E、F、G、H、I、JおよびKとして、以下の表23中で連続的に標識する。それぞれの勾配接種前、光学密度をそれぞれの濃度のビタミンB12について計測してほぼ同一量の細胞を植継ぎした。9日間の増殖後、全ての培養物を回収してpH、乾燥重量、および脂肪酸プロファイルを計測した。それぞれの濃度のビタミンB12の濃度における乾燥重量が少なくとも3つの連続した9日間勾配について安定化したことが見出されたら実験を終了させた。
[0233]7つの連続する5xから1/500xのビタミンB12勾配を実施した。最後の実験の終了時、1/500x(0.0015mg/L)および0x(0mg/LのビタミンB12)におけるPTA−10208増殖およびEPA生成を比較する新たな実験を開始した。4つの連続する1/500x対0xのビタミンB12実験を実施した。
[0234]結果:
[0235](5x−−>1/500xビタミンB12について):7つの連続する9日間実験について、PAT−10208の乾燥重量、%EPA、%DHA、%脂肪、およびEPA収率は、5x(3.84mg/L)から1/500x(0.0015mg/L)の範囲のビタミンB12濃度において変化しなかった。
[0236](1/500xおよび0xビタミンB12について):4つの連続する9日間実験の過程にわたる結果は、0mg/LのビタミンB12を含有するDSDFM−O中で増殖させたPTA−10208が単に1/500x(0.0015mg/L)のビタミンB12を用いて増殖させた場合よりもかなり高いEPA%を有することを示す。%EPAが1/500x(0.0015mg/L)ビタミンB12を用いて約18%からいかなるビタミンB12もなしで約27%に増加する一方、%DHAは1/500x(0.0015mg/L)ビタミンB12を用いて約45%からいかなるビタミンB12もなしで約36%に減少する。PTA−10208の乾燥重量および%脂肪は、ビタミンB12をDSDFM−Oから完全に除去した場合にわずかに増加する。%EPAの増加ならびに乾燥重量および%脂肪のわずかな増加の結果として、PTA−10208のEPA収率は、ビタミンB12をDSDFM−Oから除去した場合に約60%だけ増加する。
[0237]結果を図20〜49および以下の表にも示す。
[0238]結論:PTA−10208増殖およびEPA生産性は、10%のCO2におけるDSDFM−O中の5x(3.84mg/L)および1/500x(0.0015mg/L)の範囲のビタミンB12濃度においては変化しなかった。しかしながら、ビタミンB12をDSDFM−Oから完全に除去した場合、%EPAは約50%だけ増加する一方、乾燥重量および%脂肪もわずかに増加し、EPA生産性の60%の増加をもたらす。
[0239]本明細書に記載の種々の態様、実施形態、および任意選択の全ては、任意のおよび全てのバリエーションで組み合わせることができる。
[0240]本明細書において挙げられる全ての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許、および特許出願が参照により組み込まれるように個別具体的に示されるのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。