JP2014516352A - メチルグリシン−n,n−二酢酸三アルカリ金属塩の水溶液の製造方法 - Google Patents

メチルグリシン−n,n−二酢酸三アルカリ金属塩の水溶液の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ストレッカー合成により、α−アラニンの水溶液から出発して、水溶液中でホルムアルデヒドと青酸との反応により1反応ユニットでα−アラニン−N,N−ジアセトニトリルを与え、これの塩基による加水分解で相当するメチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩を与えてメチルグリシン−N,N−二酢酸(MGDA)三アルカリ金属塩水溶液を高収率高純度で製造する方法に関する。そして本発明の特徴は、上記α−アラニンが部分的に中和されており、α−アラニン−N,N−ジアセトニトリルへの変換のためのホルムアルデヒドと青酸の添加が制御されて、液体反応混合物中の遊離の青酸の濃度がいずれの時点でも制限されて、二次反応、特にホルムアルデヒドシアノヒドリンを与える反応(ホルムアルデヒドシアノヒドリンの逐次反応も含む)と青酸の重合が、メチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩の規格要求事項、特にニトリロ三酢酸含量と色に関する規格要求事項が満足されている場合においてのみ起こるようになっていることにある。

Description

本発明は、メチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩の水溶液の製造方法に関する。
洗浄剤中で錯化剤としてよく使用される物質、例えばアミノポリホスホン酸塩、ポリカルボン酸塩またはアミノポリカルボン酸塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA))は、生分解性に劣るか、ニトリロ三酢酸(NTA)の場合のように毒性を有している。NTAは、腎臓での発ガン性が疑われている。
この代わりとなる安価な物質は、α−アラニン−N,N−二酢酸(メチルグリシン−N,N−二酢酸、以下、短縮してMGDAと称す)であり、これは無毒性であり、容易に生分解される。
MGDAとその塩の錯化剤としての利用とその合成は、いろいろなBASF社の出願特許に記載されてあり、例えばDE−A4319935またはEP−A0745582に記載されている。
経済的でありまた環境保護に有効なMGDA製造のための合成ルートは、ストレッカー合成である。MGDAのストレッカー合成は、例えばWO−A1994/29421に記載されている。
DE−A2027972には、ホルムアルデヒドと青酸を用いる「酸性型」のグリシン(もっとも単純な無置換α−アミノカルボン酸)のストレッカー反応が記載されている。この反応では、グリシンからN,N−ビス(シアノメチル)グリシンが生成し、これは高純度で単離可能である。このプロセスの一つの欠点は、pHを低下させるためにさらに酸を使用することが必要となることと、比較的高価な純グリシンを使用することである。反応で生成するグリシン−N,N−ジアセトニトリルは、架橋剤として使用されると記載されている。これのニトリロ三酢酸への加水分解は、DE−A2027972の対象外である。
ストレッカー反応によりアラニンからMGDAを得る反応が、最初にWO−A1994/29421に記載されているが、ここではMGDAが、加水分解により高収率高純度で得られている。
「アルカリ型」のストレッカー反応の例が、例えばUS−A3733355に一般的な形で記載されている。しかしながら、ここに開示の実施例では、多量の副生成物が、主として望まざるニトリロ三酢酸(NTA)が常に生成することが示されている。またこの反応は、変換率が多くても約89%でしか進行しない。
EP−A0745582には、pHが0〜11の水性媒体中でのストレッカー合成とこれに続く加水分解により、経済的な出発原料から出発してMGDAなどのグリシン−N,N−二酢酸を得る単純かつ経済的で、できれば中間に精製工程がない合成ルート(できる限り高い全体収率と、同時に高い製品純度、低いNTA含量(可能なら2質量%未満)が望ましい)であって、使用する出発原料が、グリシン誘導体またはその前駆体あるいはイミノジアセトニトリルまたはイミノジ酢酸の工業合成に由来する原料であり、またこの原料が精製されていないものである、即ち一般的には、固体として単離されていない、あるいは例えば晶析により第二成分あるいは合成中に製造される母液が除かれていないものである合成ルートが記載されている。
DE−A4319935 EP−A0745582 WO−A1994/29421 DE−A2027972 WO−A1994/29421 US−A3733355 EP−A0745582
したがって、本発明の目的は、より改善されたストレッカー合成によるMGDA三アルカリ金属塩の製造方法であって、空時収率がより高く、また有毒な副次成分の含量がさらに低く、特にNTA含量が低く、40質量%強度のMGDA三アルカリ金属塩水溶液に対してNTAが0.1質量%であることを特徴とする方法を提供することである。
本目的は、ストレッカー合成により、α−アラニンの水溶液から出発して、水溶液中でホルムアルデヒドと青酸との反応によりα−アラニン−N,N−ジアセトニトリルを与え、これの塩基による加水分解で相当するメチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩を与えてMGDA三アルカリ金属塩水溶液を高収率高純度で製造する方法であって、
−上記α−アラニンが部分的に中和されており、
−α−アラニン−N,N−ジアセトニトリルへの変換のためのホルムアルデヒドと青酸の添加が制御されて、液体反応混合物中の遊離の青酸の濃度がいずれの時点でも制限されて、二次反応、特にホルムアルデヒドシアノヒドリンを与える反応(ホルムアルデヒドシアノヒドリンの逐次反応も含む)と青酸の重合が、メチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩の規格要求事項、特にニトリロ三酢酸含量と色に関する規格要求事項が満足されている場合においてのみ起こるようになっている方法で達成される。
他の実施様態においては、本目的が、ストレッカー合成により、一つの反応部でアラニンの水溶液から出発し、ホルムアルデヒドと青酸との反応でα−アラニン−N,N−ジアセトニトリルを与え、塩基によるその加水分解で相当するメチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩の水溶液を与える、メチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩の水溶液の製造方法であって、
−上記α−アラニンが部分的に中和され、
−α−アラニン−N,N−ジアセトニトリルへの変換のためのホルムアルデヒドと青酸の添加が制御されて、液体反応混合物中の遊離の青酸の濃度がいずれの時点でも制限されて、二次反応、特にホルムアルデヒドシアノヒドリンを与える反応(ホルムアルデヒドシアノヒドリンの逐次反応も含む)と青酸の重合が、メチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩水溶液中の、メチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩の濃度が40質量%の時のニトリロ三酢酸三アルカリ金属塩含量が、メチルグリシン−N,N−二酢酸トリアルカリ金属水溶液の総質量に対して0.1質量%未満である場合においてのみ起こるようになっている方法で達成される。
本発明者等は、このアミノ酸α−アラニンを部分中和により、ストレッカー合成にかける水溶液中のこの供給物質の濃度を大幅に増加させ、これから出発して空時収率を大幅に増加させることができることを見出した。この遊離のアミノ酸α−アラニンの室温での溶解度は、溶液の総質量に対して約18質量%であるが、部分中和を行うことで、部分中和α−アラニンの水中濃度を、水溶液の総質量に対して最大40質量%のα−アラニンにまで、あるいは最大50質量%のα−アラニンにまで増加させることができ、同時に空時収率を上げることができる。
しかしながら、部分中和α−アラニンから出発すること以外は既知の方法でストレッカー合成を行うと、高pHのため、二次反応、特に有毒なNTAの形成に導く二次反応と望ましくない青酸の重合の速度が増加し、製品に望ましくない着色をもたらすこととなる。
しかしながら、驚くべきことに、α−アラニン−N,N−ジアセトニトリルへの変換のためのホルムアルデヒドと青酸の添加を制御して、液体反応混合物中の遊離青酸の濃度を適当な方法で制限することにより、これらの望まざる二次反応を抑えることができる、即ちMGDA三アルカリ金属塩の、特にNTA含量と色に関する規格要求事項を満足させることができることが明らかとなった。
MGDA三アルカリ金属塩のNTA含量と色に関する規格要求事項は公知である。
このため、約40質量%強度のMGDA−Na塩水溶液中の疑発癌性のNTA(発癌性の疑い)の量は、0.1質量%未満である必要がある(例えば、「技術資料−トリロンRM液体キレート剤」、BASF、2009を参照)。
色に関するトリロンRMリキッドの製品規格も公知であり、DIN−EN1557によるハーゼン色数は、最大でも350である(「トリロンRMグレードの技術情報」、BASF編、2011年4月、4頁参照)。
青酸の液体反応混合物への投入は、液体反応混合物中の遊離青酸の濃度が常に添加青酸量の10モル%とならないように、好ましくは添加青酸量の5モル%とならないように行うことが好ましい。
液体反応混合物中の遊離青酸の最大許容濃度は、添加の部分中和α−アラニンの量の20モル%未満である必要があり、好ましくは添加の部分中和α−アラニンの10モル%未満である。
ストレッカー合成による部分中和α−アラニンと青酸およびホルムアルデヒドとの反応には、1molのα−アラニンと、それぞれ2molの青酸と2molのホルムアルデヒドの化学量論的モル比が必要である。実際には、α−アラニン:青酸のモル比とα−アラニン:ホルムアルデヒドのモル比はいずれも1.95〜2.4であり、好ましくは2.0〜2.2が通常用いられる。
本方法の一つの好ましい実施様態では、α−アラニン−N,N−ジアセトニトリルへの変換のためホルムアルデヒドの添加と青酸の添加を制御して、液体反応混合物中の遊離青酸の濃度をいずれの時点でも制限し、二次反応、特にホルムアルデヒドシアノヒドリンを与える反応(ホルムアルデヒドシアノヒドリンの逐次反応も含む)と青酸の重合が、メチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩の水溶液のハーゼン色数が800未満である、好ましくは600未満、特に好ましくは500未満である場合にのみ起こるようにする。
他の好ましい実施様態においては、メチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩の水溶液が、他の加工工程で後脱色にかけられ、ハーゼン色数が350未満、好ましくは300未満のメチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩の水溶液を与える。
この後脱色(最終処理)は、化学的及び/又は物理的に行うことができる。この化学操作の場合、酸化的に、例えば過酸化水素または空気を用いて酸化的に行ってもよいし、還元的に、例えば亜ジチオン酸ナトリウムまたは水素化ナトリウムを用いて還元的に行ってもよい。この後脱色は、物理的に着色成分の例えば活性炭での吸着により行うことができる。
この後脱色は、過酸化水素水を用いて行うことが特に好ましい。
MGDA三アルカリ金属塩水溶液の過酸化水素での後脱色は、回分的に行っても、連続的に行ってもよい。
したがって例えば、撹拌反応器中あるいは生成物循環系中にあるMGDA三アルカリ金属塩溶液の初期投入物に、過酸化水素水をよく撹拌しながら投入することができる。量と温度と滞留時間は、下記が好ましい。
原則として、非常に少量の過酸化水素が、特に1000リットルの40%強度MGDA三アルカリ金属塩溶液(対応するto約1300kg)当たり特に1〜5kg、好ましくは1〜3kgの過酸化水素(100%のHとして計算)が使用される。
好ましくは、10〜50%強度の過酸化水素水が使用され、特に好ましくは30%強度の過酸化水素水、いわゆるペルヒドロールが使用される。
20〜80℃の温度が好ましく、30〜70℃がさらに好ましく、40〜65℃が特に好ましい。好ましい滞留時間は10〜180分間であり、特に好ましくは15〜120分間である。
他の実施様態では、結晶性のα−アラニンが供給材料として使用され、これが水中に溶解または懸濁され、次いで上述の方法で部分的に中和されて、MGDA三アルカリ金属塩に変換される。
α−アラニンの部分中和は、特に水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合物を用いて実施できる。特にα−アラニンの中和は、中和度が40〜90%まで実施でき、好ましくは50〜85%まで、特に好ましくは60〜80%まで実施できる。これにより、水溶液の総質量に対して好ましくは20〜50質量%のα−アラニンを含む濃厚水溶液、さらに好ましくは25〜40質量%のα−アラニンを含む濃厚水溶液が得られる。
第一の方法の例では、部分中和されたα−アラニンが、水溶液中でホルムアルデヒドと青酸と反応させられ、α−アラニン−N,N−ジアセトニトリルの水溶液を与える。
なおその際に青酸は、他の二つの反応物(部分中和α−アラニンとホルムアルデヒド)と比べてより遅い段階で液体反応混合物に投入される。
その際、特に回分的(半バッチ的)に運転しても、連続的に運転してもよい。
半バッチ法での第一の好ましい方法の例では、部分中和α−アラニンの水溶液を先ず反応器に投入し、ここにホルムアルデヒドと青酸を平行して投入するが、ホルムアルデヒドと比べて青酸は時間的にゆっくりと投入される。
第二の方法の例では、部分中和されたα−アラニンを先ず、反応に必要なホルムアルデヒドの全量またはその一部と反応させ、次いで得られた反応混合物に、反応に必要な青酸を、あるいは青酸と残りの量のホルムアルデヒドを投入する。
さらに好ましい方法の例では、このストレッカー合成が連続的に行われ、好ましくは直列に配置された2つ以上の反応ゾーン中で行われる。
この直列に配置された2つ以上の反応ゾーンは、単一反応器中の異なる反応ゾーンであっても、複数の反応器中の異なる反応ゾーンであってもよい。
好ましくは第一の反応ゾーンに、部分中和α−アラニンが、反応に必要なホルムアルデヒドの全量とは別に、あるいはこれと前混合した後に投入され、あるいはさらに反応に必要な青酸の一部とともに平行して投入される。続く反応ゾーンに、最初の反応ゾーンで得られた反応混合物が、反応に必要な青酸の全量または青酸の残りの量とともに平行して投入される。
ストレッカー合成で得られるα−アラニン−N,N−ジアセトニトリル水溶液の加水分解は、先ず水酸化ナトリウム溶液または水酸化カリウム溶液を用いて20〜80℃の範囲の温度で、好ましくは30〜70℃の範囲の温度で加水分解を行い、次いで≧90℃の温度で加水分解してMGDA三アルカリ金属塩水溶液とすることが好ましい。この方法では、≧90℃の温度での加水分解の際に、同時にアンモニアがこの反応液から除かれる。
同様に、この加水分解を回分的(半バッチ的)に行っても連続的に行ってもよい。
ある好ましい方法の実施例では、α−アラニンのL−エナンチオマーが出発原料として用いられる。
α−アラニンのL−エナンチオマーは低コストで入手可能であり、ストレッカー合成により水溶液中で青酸とホルムアルデヒドと反応してL−α−アラニン−N,N−ジアセトニトリルを与え、これの塩基による加水分解により、MGDA三アルカリ金属塩のD,L−ラセミ体より飽和濃度が高いL−エナンチオマーを含み、晶析で結晶性個体をより容易に製造することのできる水溶液が得られる。
L−MGDA三アルカリ金属塩がラセミ体と比べてより高い溶解度を持つことの利点は、より濃厚な液の合成、貯蔵、販売、運搬が可能となり、このため、例えば改善された空時収率や、小容量の合成装置と保管容器、輸送やエネルギーのコストの削減が可能となることである。
以下、実施例を参考に本発明をより詳細に説明する。
比較例1
(半バッチ法;中和度:0、アラニン濃度:約18%;いずれの場合もHCHOとHCNの0.03当量の過剰)
1時間かけて、203gの30%強度のホルムアルデヒド(2.03mol)と54.8g(2.03mol)の青酸を、30℃で冷却しながら、89g(1.0mol)のα−アラニンを405gの水に溶かした溶液(約18%強度)に添加した。次いでこの混合物をさらに1時間、30℃で撹拌した。
全シアン、即ち未反応の遊離HCNとホルムアルデヒドシアノヒドリン中に結合しているシアン化物の合計:0.32%(分析法=電位差滴定)、電位差滴定による遊離HCNからのHCN変換率:96%、pH:1.7。
撹拌フラスコ中に245gの50%強度水酸化ナトリウム溶液(3.06mol)を初期供給物として投入し、上記α−アラニン−N,N−ジアセトニトリル(ADAN)溶液を1時間かけて27〜36℃で冷却しながら投入した。次いでこの混合物をさらに60分間、約30℃で撹拌した。次いでこの混合物を95〜102℃に加熱し、約3時間以内に加水分解を完了させた。
この結果、635gの39.8%強度(HPLC測定による)のMGDA三ナトリウム塩の溶液で、NTA−Na含量が0.20%でありハーゼン色数が850であり規格要求事項を満足させないものが、収率が93.2%で得た。
比較例2
(半バッチ法;比較例1と同じ、ただし、アラニン中和度:100% 、アラニン濃度:約40%)
89g(1.0mol)のα−アラニンを55gの水中に投入した。冷却しながら、この混合物を80gの50%強度水酸化ナトリウム溶液(1.0mol)(約40%強度アラニン)で完全に中和させた。初期pHは13.7であった。
約30℃で、冷却しながら1時間かけて、203gの30%強度のホルムアルデヒド(2.03mol)と54.8g(2.03mol)の青酸を投入した。次いでこの混合物をさらに1時間、30℃で撹拌した。
得られたADAN溶液の分析値:全シアン:2.86%、HCN変換率:60.5%、最終pH:8.0。
165gの50%強度水酸化ナトリウム溶液(2.06mol)を投入した。ここに30〜35℃で上記ADAN溶液を1時間かけて冷却しながら添加した。次いでこの混合物を60分間、約30℃で撹拌した。次いでこの混合物を95〜102℃に加熱し、約4時間かけて加水分解を完了させた。この結果、482gの38.6%強度(HPLC測定による)のMGDA三ナトリウム塩溶液で、NTA−Na含量が5.1%(規格外)であるものが得られた。MGDA−Naの収率:68.6%、ハーゼン色:数1000よりかなり大きい。
比較例3
(半バッチ法;比較例2と同じ、ただし、アラニン中和度:85%、アラニン濃度:約42%)
89g(1.0mol)のα−アラニンを55gの水に投入した。冷却しながらこの混合物を、68gの50%強度水酸化ナトリウム溶液(0.85mol)で部分的に中和させた。初期pH:11.5。約30℃で、203gの30%強度のホルムアルデヒド(2.03mol)と54.8g(2.03mol)の青酸を、冷却しながら1時間かけて投入した。次いでこの混合物をさらに1時間、30℃で撹拌した。
得られたADAN溶液の分析値:全シアン:0.24%、HCN変換率:98%、最終pH:4.5。
加水分解は、比較例2と同様に、176.8gの50%強度水酸化ナトリウム溶液(2.21mol)を用いて行った。
この結果、657gの40.3%強度のMGDA−Na溶液で、NTA−Na含量が0.12%であるものが得られた。
MGDA−Naの収率:アラニンに対して97.7%、ハーゼン色数:>1000
比較例4
(半バッチ法;比較例1と同じ、ただし、アラニン中和度:65%、アラニン濃度:約30%)
133.5g(1.5mol)のアラニンを230gの水に投入した。この混合物を、冷却しながら78gの50%強度水酸化ナトリウム溶液(0.975mol)で部分的に中和させた。40℃で平行して、82.3g(3.05mol)のHCNと305gの30%強度ホルムアルデヒド(3.05mol)を1時間かけて投入し、この混合物をさらに1時間40℃で撹拌した。
分析値:全シアン:0.23%、HCN変換率:98%、最終pH:3.9。
加水分解は比較例2と同様に、288.8gの50%強度水酸化ナトリウム溶液(3.61mol)を用いて行った。
この結果、903gの43.2%強度のMGDA−Na溶液で、NTA−Na含量が0.15%であるものを得た。
MGDA−Naの収率:96%、ハーゼン色数:900
比較例5
(半連続法:全三成分を18%強度のアラニンと平行に投入、中和度:0)
一般法:最初に少量の水を撹拌反応器に投入した。次いで平行して三反応物を60分間かけて40℃で投入した。
1時間の反応終了後、同様に、加水分解のために先ず少量のNaOH(約10%)を投入し、残りの多量のNaOHとADAN溶液とを平行して約30〜35℃で1時間かけて投入した。半バッチ的な条件下で後反応と最終加水分解を実施した。
MGDA−Naの収率:アラニンに対して92.1%、40.1%強度MGDA−Na溶液のNTA−Na含量:0.24%、ハーゼン色数:950
比較例6
(半連続法;比較例5と同じ、ただしアラニン濃度:30%、中和度:約70%)
MGDA−Na収率:アラニンに対して92.7%、39.9%強度のMGDA−Na溶液のNTA−Na含量:0.17%、ハーゼン色数:>1000
比較例7
(連続法/連結撹拌反応器、青酸の分割なし)
3基の撹拌反応器からなる装置中で、ニトリル段階(R1、R2、R3)を40℃とし、加水分解段階(R4、R5、R6)を40℃として、約40%強度のMGDA−Na溶液を連続的に製造した。次いで、加水分解と最終のアンモニア除去を、撹拌反応器R7中で105〜110℃で行った。HCNとホルムアルデヒドとアラニン溶液(水酸化ナトリウム溶液で65%部分中和したもの、アラニンとして30%含量)をR1に投入し、水酸化物溶液をR4に投入した。供給材料のモル比は、比較例4と同じに選択した。R1−R2−R3中での滞留時間が55〜80分間、R3−R6中での滞留時間が200〜280分間、R7での滞留時間が150〜200分間となるように投入した。通常、生成物のNTA−Na含量は0.25〜0.40%であり、ハーゼン色数は>1000であった。
MGDA−Na収率:アラニンに対して92〜93%。
実施例1
(半バッチ法;比較例4と同じ、ただし、HCNと比べてホルムアルデヒドをより速く投入)
比較例4とは対照的に、ホルムアルデヒドを30分間で投入し、HCNを60分間で投入した。
MGDA−Na収率:アラニンに対して98.1%、40.4%強度のMGDA−Na溶液中のNTA−Na含量:0.06%、ハーゼン色数:320。
実施例2
(後脱色あり)
激しく撹拌しながら、10gの30%強度の過酸化水素水を、実施例1で得られた溶液に、約60℃で15分かけて投入した。次いでこの混合物をさらに約30分間、60℃で撹拌した。得られた溶液のハーゼン色数は180であった。
実施例3
(半バッチ法;アラニン濃度:30%、中和度:約70%)
89g(1.0mol)のαアラニンを150gの水に投入した。
冷却しながらこの混合物を、56gの50%強度水酸化ナトリウム溶液(0.7mol)で部分的に中和させた。
40℃で、203gの30%強度ホルムアルデヒド(2.03mol)を60分かけて投入し、また平行して約40℃で、54.8g(2.03mol)の青酸を90分かけて投入した。
次いでこの混合物を40℃でさらに30分間撹拌した。
得られたADAN溶液の分析値:全シアン:0.29%、HCN変換率:99%;最終pH:4.1
189gの50%強度の水酸化ナトリウム溶液(2.36mol)を投入した。ここに上記のADAN溶液を45〜50℃で1時間かけて投入した。次いでこの混合物をさらに60分間50℃で撹拌した。
次いで加水分解を95〜102℃で完了させ、アンモニアを約3時間かけて蒸発させた。
この結果、665gのa約39.5%強度のMGDA−Na溶液を得た。
収率:97.0%、 NTA−Na含量:0.08%、ハーゼン色数:340。
実施例4
(半連続法;比較例4と同じ、ただし、アラニンとホルムアルデヒドを30分間と高速で添加、青酸は60分間で添加)
最善の結果: MGDA−Na収率:97.6%、40.3%強度ADA−Na溶液のNTA−Na含量:0.03%、ハーゼン色数:330。
実施例5
施例4で得られた溶液を実施例2の条件で脱色させた。この結果、ハーゼン色数は150となった。
実施例6
(半連続法;比較例4と同じ、ただし青酸の分割30%)
中和度が70%の約30%強度アラニンとホルムアルデヒド、総量の70%の青酸を平行して、40℃で60分間かけて投入した。次いで、得られた反応混合物を後反応なしに放出し、直ちに残りの30%青酸とともに60分かけて40℃で投入した。この混合物をさらに30分間、40℃で撹拌した。
加水分解は比較例5と同様に実施した。
MGDA−Na収率:96.6%、NTA−Na含量:0.07%、ハーゼン色数:370
実施例7
(半連続反応法;実施例6と同じ、30%強度のアラニン濃度、中和度:約70%、青酸の分割50%)
MGDA−Na収率:97.3%、39.9%強度MGDA−Na溶液のNTA−Na含量:0.05%、ハーゼン色数:320
実施例8
(連続法/連結撹拌反応器、青酸の分割あり)
比較例7と同様に約40%強度のMGDA−Na溶液を連続的に製造した。しかしながら、HCNの投入はR2に行い、HCNの添加量は、R1とR2の間で4:1の比率で行った。通常、この生成物のNTA−Na含量は<0.1%であり、ハーゼン色数は450−650であった。
MGDA−Na収率:アラニンに対して97〜98.5%
実施例9
(後脱色あり)
次いで、40〜50℃で滞留時間部に30%強度の過酸化水素を投入しながら(約5リットル/1mの溶液)、滞留時間容器中で反応を完結させて、実施例8で得られた溶液を脱色した。ハーゼン色数は通常<300となった。
実施例10:
約50質量%強度のL−MGDA−Na溶液の製造
(実施例8と同じ、ただしL−α−アラニンをアラニン源として使用)
最後の95〜102℃での加水分解の段階で、生成するアンモニアと十分な量の水を蒸発させて除き、最終的に約50質量%強度のL−MGDA−Na塩溶液を得た。
L−MGDA−Naの収率:L−アラニンに対して97.0%、NTA−Na含量:0.08%、ハーゼン色数:270
このようにして、NTAの残留量が非常に小さな、淡色の高濃縮(50質量%強度)錯化剤溶液が得られた。

Claims (14)

  1. ストレッカー合成により、α−アラニンの水溶液から出発して、水溶液中でホルムアルデヒドと青酸との反応により1反応ユニットでα−アラニン−N,N−ジアセトニトリルを与え、これの塩基による加水分解で相当するメチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩を与えてメチルグリシン−N,N−二酢酸(MGDA)三アルカリ金属塩水溶液を高収率高純度で製造する方法であって、
    −上記α−アラニンが部分的に中和されており、
    −α−アラニン−N,N−ジアセトニトリルへの変換のためのホルムアルデヒドと青酸の添加が制御されて、液体反応混合物中の遊離の青酸の濃度がいずれの時点でも制限されて、二次反応、特にホルムアルデヒドシアノヒドリンを与える反応(ホルムアルデヒドシアノヒドリンの逐次反応も含む)と青酸の重合が、メチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩の規格要求事項、特にニトリロ三酢酸含量と色に関する規格要求事項が満足されている場合においてのみ起こるようになっている方法。
  2. ストレッカー合成により、α−アラニンの水溶液から出発して、ホルムアルデヒドと青酸との反応によりα−アラニン−N,N−ジアセトニトリルを1反応ユニットで与え、これの塩基による加水分解で相当するメチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩を与えてメチルグリシン−N,N−二酢酸(MGDA)三アルカリ金属塩水溶液を製造する方法であって、
    −上記α−アラニンが部分的に中和されており、及び
    −α−アラニン−N,N−ジアセトニトリルへの変換のためのホルムアルデヒドと青酸の添加が制御されて、液体反応混合物中の遊離の青酸の濃度がいずれの時点でも制限されて、二次反応、特にホルムアルデヒドシアノヒドリンを与える反応(ホルムアルデヒドシアノヒドリンの逐次反応も含む)と青酸の重合が、メチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩の濃度が40質量%の時のニトリロ三酢酸三アルカリ金属塩含量が、メチルグリシン−N,N−二酢酸トリアルカリ金属水溶液の総質量に対して0.1質量%未満である場合においてのみ起こるようになっている方法。
  3. α−アラニン−N,N−ジアセトニトリルへの変換のためのホルムアルデヒドの添加と青酸の添加が制御されて、いずれの時点でも水性の反応混合物中の遊離の青酸の濃度が制限されて、二次反応、特にホルムアルデヒドシアノヒドリンを与える反応(ホルムアルデヒドシアノヒドリンの逐次反応も含む)と青酸の重合が、メチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩の水溶液のハーゼン色数が800未満、好ましくは600未満、特に好ましくは500未満の場合にのみ起こるようになっている請求項1または2に記載の方法。
  4. メチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩の水溶液が、他の加工工程で後脱色にかけられ、ハーゼン色数が350未満、好ましくは300未満のメチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩水溶液を与える請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 上記のαアラニン水溶液が、結晶性α−アラニンを供給材料として用い、これを水中に溶解または懸濁させ、これを塩基で部分的に中和させて得られる請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 上記のα−アラニンの部分中和が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム溶液と水酸化カリウム溶液の混合物を用いて、中和度が40〜90%まで、好ましくは50〜85%、特に好ましくは60〜80%まで行われ、水溶液の総質量に対して20〜50質量%のアラニン、好ましくは25〜40質量%のアラニンを含む濃厚水溶液を与える請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 青酸が、上記部分中和α−アラニンとホルムアルデヒドと比べてより遅い操作で反応器に投入される請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 本方法が、半回分的な方法として、部分中和されたα−アラニンの水溶液を反応部に初期投入物として投入し、ホルムアルデヒドと青酸を平行して投入して行われ、その際に青酸がホルムアルデヒドと比べて時間的によりゆっくりと投入される請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 上記部分中和α−アラニンのホルムアルデヒドと青酸との反応が直列に配置2つ以上の反応ゾーン中で連続的に行われる請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 上記の直列に配置2つ以上の反応ゾーンが、それぞれ独自の反応器である請求項9に記載の方法。
  11. 上記の直列に配置2つ以上の反応ゾーンが、それぞれ単一反応器内の異なるゾーンである請求項9に記載の方法。
  12. 部分中和されたα−アラニンを、反応に必要なホルムアルデヒドの全量と、またはさらに反応に必要な青酸の一部とともに、個別にまたは前混合して、平行して第一の反応ゾーンに投入し、続く反応ゾーンで、反応に必要な青酸の全量または残りの青酸を、平行してまたは前混合して、最初の反応ゾーンで得られる反応混合物中に投入する請求項10に記載の方法。
  13. 上記のストレッカー合成で得られたα−アラニン−N,N−ジアセトニトリル水溶液の加水分解が、先ず、反応が、水酸化ナトリウム溶液または水酸化カリウム溶液または水酸化ナトリウム溶液と水酸化カリウム溶液の混合物を用いて、20〜80℃、好ましくは30〜70℃で行われ、次いで≧90℃の温度で行われてアンモニアを放出し、メチルグリシン−N,N−二酢酸三アルカリ金属塩の水溶液を与えるように行われる請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 上記α−アラニンの水溶液が、L−α−アラニンの水溶液である請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
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