JP2004210746A - アミノ酸アルカリ塩−n、n−ジアセトニトリル類の製造方法 - Google Patents

アミノ酸アルカリ塩−n、n−ジアセトニトリル類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高収率でアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類を製造する方法を提供する。
【解決手段】アスパラギン酸またはグルタミン酸から選ばれたアミノ酸類をカリウムまたはリチウムのいずれかを含むアルカリ性化合物でアルカリ塩とした後に、ホルマリンとシアン化水素を作用して一般式
Figure 2004210746

(式中、RとRは、水素原子、カリウム原子またはリチウム原子のいずれかを表し、nは1から2の正数を表す。ただし、RとRは同時に水素原子である事はない。)で示されるアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類を製造する際に、アミノ酸類1molに対するシアン化水素及びホルマリンの使用量が各々2.08〜2.6molであることを特徴とするアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類の製造方法に関する。アミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類のうち、ソーダ塩誘導体は生分解性キレート剤として知られているアミノ酸−N、N−ニ酢酸ソーダ塩製造における重要中間体である。一方、カリウム塩誘導体は分子内に窒素原子とカリウム原子が存在する為、生分解性土壌改質剤や生分解性肥料等の用途に用いられるアミノ酸−N、N−ニ酢酸カリウム塩製造における中間体として近年注目されている。
【0002】
【従来の技術】
アミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類の製造方法としては、(1)グルタミン酸またはアスパラギン酸等のアミノ酸類及びそのアルカリ塩類にグリコロニトリルをシアノメチル化剤として作用させて製造する方法が特開平08−268986号公報、特許第2992428号公報等で知られている。また、(2)グルタミン酸またはアスパラギン酸等のアミノ酸類及びそのアルカリ塩類にシアン化水素とホルマリンを作用させて製造する方法が特開平11−246497号公報、特開平10−59912号公報、特開平08−268986号公報、特開平11−43690号公報、特許第2992428号公報、特許第3217277号公報等で知られている。
【0003】
前記各公報にはいずれもアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類の取得収率についての記載はないが、第二工程でアルカリ金属水酸化物を作用する加水分解反応を行う事でアミノ酸−N、N−ニ酢酸及びそのアルカリ塩類を取得収率76〜99%で取得している為、第一工程のアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類の取得収率も同様に、比較的高収率であるものと考えられる。前記(1)の方法はいずれもシアノメチル化剤としてグリコロニトリルを使用している為、シアン化水素とホルマリンから先ずグリコロニトリルを製造する工程が必要であり、次いでアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類を製造するため、煩雑な二段反応となり工業的製造法としては適していなかった。前記(2)の方法はいずれも安価な工業原料であるシアン化水素とホルマリンを直接にシアノメチル化剤に使用しており、一段反応でアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類を高収率で製造できる工業的に優れた方法である。しかし、本発明者らが追試検討した結果、前記方法(1)及び(2)の各方法とも、当該文献の実施例等に具体的に記載されているナトリウム塩に関しては、高収率を上げ得るものの、同じ手法を具体的実施例の無いカリウム塩やリチウム塩に適用すると副生物の生成が多く、更に反応終了液中のアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリルの安定性が低下する為に収率が低下するというナトリウム塩製造時には見られなかった欠点を有することが判明した。すなわち、従来から知られているアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリルの製造方法は、ナトリウム塩の製造法としては適しているものの、カリウム塩、リチウム塩の製造法としては未だ不充分であることが明らかになった。近年のカリウム塩、リチウム塩の工業的需要の増大に伴い、より副生物が少なく、高収率なアミノ酸−N、N−ジアセトニトリルのカリウム塩及びリチウム塩の工業的製造方法が求められている。
【特許文献1】
特開平08−268986号公報
【特許文献2】
特許第2992428号公報
【特許文献3】
特開平11−246497号公報
【特許文献4】
特開平10−59912号公報
【特許文献5】
特開平11−43690号公報
【特許文献6】
特許第3217277号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、アミノ酸類にホルマリンとシアン化水素を作用する事により簡便な工程でアミノ酸アルカリ塩−N−モノアセトニトリルの副生を殆ど伴う事なく、高収率でアミノ酸−N、N−ジアセトニトリル類のカリウム塩またはリチウム塩を製造する方法を提供する事にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、アミノ酸−N、N−ジアセトニトリルのカリウム塩またはリチウム塩の製造では、反応条件、特にアミノ酸類に対するシアン化水素とホルマリンの使用量の反応成績に及ぼす影響が、従来公知のナトリウム塩の場合と全く異なり、カリウム塩、リチウム塩の場合であってもホルマリン、シアン化水素の使用量と反応条件について特定の適切な条件を選べば反応中に副生するアミノ酸アルカリ塩−N−モノアセトニトリル量を低減し、更に反応終了後のアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリルの安定性を向上する事により収率低下を殆ど伴わずにアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類を効率よく、高収率で製造できることを見出し本発明に至った。
【0006】
即ち、本発明の第1は、「アスパラギン酸またはグルタミン酸から選ばれたアミノ酸類をカリウムまたはリチウムのいずれかを含むアルカリ性化合物でアルカリ塩とした後に、ホルマリンとシアン化水素を作用して下記一般式(1)
【化3】
Figure 2004210746
(式中、RとRは、水素原子、カリウム原子またはリチウム原子のいずれかを表し、nは1から2の正数を表す。ただし、RとRは同時に水素原子である事はない。)で示されるアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類を製造する際に、アミノ酸類1molに対するシアン化水素及びホルマリンの使用量が各々2.08〜2.6molであることを特徴とするアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類の製造方法。」を要旨とし、本発明の第2は「アスパラギン酸またはグルタミン酸のモノカリウム塩またはモノリチウム塩から選ばれたアミノ酸塩類に、ホルマリンとシアン化水素を作用して下記一般式(1)
【化4】
Figure 2004210746
(式中、RとRは、水素原子、カリウム原子またはリチウム原子のいずれかを表し、nは1から2の正数を表す。ただし、RとRは同時に水素原子である事はない。)で示されるアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類を製造する際に、アミノ酸塩類1molに対するシアン化水素及びホルマリンの使用量が各々2.08〜2.6molであることを特徴とするアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類の製造方法。」を要旨とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
【0008】
本発明で使用するアミノ酸類としては、具体的には、R−アスパラギン酸、S−アスパラギン酸、RS−アスパラギン酸、R−グルタミン酸、S−グルタミン酸、RS−グルタミン酸等が挙げられるがこれ等に限定されるものではない。
【0009】
本発明で使用されるアミノ酸塩類としては、R−アスパラギン酸モノカリウム塩、S−アスパラギン酸モノカリウム塩、RS−アスパラギン酸モノカリウム塩、R−グルタミン酸モノカリウム塩、S−グルタミン酸モノカリウム塩、RS−グルタミン酸モノカリウム塩、R−アスパラギン酸モノリチウム塩、S−アスパラギン酸モノリチウム塩、RS−アスパラギン酸モノリチウム塩、R−グルタミン酸モノリチウム塩、S−グルタミン酸モノリチウム塩、RS−グルタミン酸モノリチウム塩等が挙げられるがこれ等に限定されるものではない。
【0010】
本発明で使用するアルカリ性化合物としては、具体的には、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム等が挙げられる。
【0011】
本発明のシアン化水素及びホルマリンの使用量は、アミノ酸類またはアミノ酸塩類1molに対して各々2.08〜2.6molであり、好ましくは2.2〜2.4molである。シアン化水素及びホルマリンの使用量が少なすぎるとアミノ酸アルカリ塩−N−モノアセトニトリルの副生量の増大と反応終了後のアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリルの保存安定性を低下する事で、収率低下を引き起こすので好ましくない。また、シアン化水素及びホルマリンの使用量が多すぎるとシアン化水素やホルマリンの縮合物を含むアミノ酸アルカリ塩−N−モノアセトニトリル以外の不純物の副生量が増大するので好ましくない。
【0012】
アルカリ性化合物の使用量は特に限定されないが通常、アミノ酸類1molに対して各々0.5〜1.5molであることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.15molである。反応温度としては、0〜60℃の範囲で適用されるが、10〜30℃が好ましい。反応時間は、反応温度によって変動するが、通常は6時間以内、0.2〜24時間の範囲で適用される。
【0013】
本発明の製造方法によれば、出発物質のアミノ酸類をビスシアノメチル化してアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類に導く場合にS体、R体及びRS体の何れの原料アミノ酸類を用いても各反応における目的物への選択性、反応時間及び取得収率に大差は認められず、対応する絶対配置のアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類が取得される。
【0014】
【実施例】
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0015】
実施例1
S−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル
反応容器に、99%S−アスパラギン酸134.4gと24.2%水酸化カリウム水溶液243.9gを投入し分散した。次に、37%ホルマリン水溶液178.5gを添加し、次いでシアン化水素59.6gを反応温度20〜26℃にコントロールしながら35分かけて滴下した。滴下終了後、21〜25℃で更に4時間撹拌する事で反応終了液611.0gを取得した。得られた反応終了液について液体クロマトグラフィー分析「溶離液;0.2%ジn−ブチルアミン水溶液、40ppm硫酸銅(pH3.0リン酸酸性)、カラム;Inartsil ODS−2(4.6*250mm)、流速;1.0ml/min、検出波長;210nm、サンプル希釈液;0.2%ジn−ブチルアミン水溶液、0.2%硫酸銅(pH3.0リン酸酸性)」を行ったところ、S−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル39.2%とS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N−モノアセトニトリル0.04%を含有していた。更に反応終了液について「並木博、詳解 工場排水試験方法 第一印刷所p213−216<1982>.硝酸銀滴定法」記載の方法でシアン滴定分析を行ったところ、遊離シアン濃度は痕跡程度であった。上記結果より、S−アスパラギン酸からS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル迄の純分換算取得収率は96.1%であった。更に、上記分析後の反応終了液を25℃にて24時間静置保存した後に液体クロマトグラフィー分析を行ったところ、S−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル39.2%とS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N−モノアセトニトリル0.06%を含有していた。保存液組成に顕著な変化が見られない事から反応終了液の経時的な安定性を確認できた。
【0016】
実施例2
R−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル
99%S−アスパラギン酸134.4gの代わりに98%R−アスパラギン酸135.8gを用いて実施例1と同様の操作を行う事で反応終了液615.3gを取得した。得られた反応終了液について実施例1と同様の分析を行ったところ、R−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル38.7%、R−アスパラギン酸モノカリウム塩−N−モノアセトニトリル0.04%、遊離シアン濃度0.07%を含有していた。上記結果より、R−アスパラギン酸からR−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル迄の純分換算取得収率は95.5%であった。更に、上記分析後の反応終了液を25℃にて24時間静置保存した後に液体クロマトグラフィー分析を行ったところ、R−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル38.7%とR−アスパラギン酸モノカリウム塩−N−モノアセトニトリル0.05%を含有していた。保存液組成に顕著な変化が見られない事から反応終了液の経時的な安定性を確認できた。
【0017】
実施例3
RS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル
99%S−アスパラギン酸134.4gの代わりに98%RS−アスパラギン酸135.8gを用いて実施例1と同様の操作を行う事で反応終了液616.5gを取得した。得られた反応終了液について実施例1と同様の分析を行ったところ、RS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル38.9%、RS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N−モノアセトニトリル0.03%、遊離シアン濃度0.01%を含有していた。上記結果より、RS−アスパラギン酸からRS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル迄の純分換算取得収率は96.2%であった。更に、上記分析後の反応終了液を25℃にて24時間静置保存した後に液体クロマトグラフィー分析を行ったところ、RS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル38.8%とRS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N−モノアセトニトリル0.05%を含有していた。保存液組成に顕著な変化が見られない事から反応終了液の経時的な安定性を確認できた。
【0018】
実施例4
S−グルタミン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル
99%S−アスパラギン酸134.4gの代わりに99%S−グルタミン酸148.6gを用いて実施例1と同様の操作を行う事で反応終了液625.2gを取得した。得られた反応終了液について実施例1と同様の分析を行ったところ、S−グルタミン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル40.0%、S−グルタミン酸モノカリウム塩−N−モノアセトニトリル0.03%、遊離シアン濃度0.08%を含有していた。上記結果より、S−グルタミン酸からS−グルタミン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル迄の純分換算取得収率は95.0%であった。更に、上記分析後の反応終了液を25℃にて24時間静置保存した後に液体クロマトグラフィー分析を行ったところ、S−グルタミン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル39.9%とS−グルタミン酸モノカリウム塩−N−モノアセトニトリル0.06%を含有していた。保存液組成に顕著な変化が見られない事から反応終了液の経時的な安定性を確認できた。
【0019】
実施例5
S−アスパラギン酸モノリチウム塩−N、N−ジアセトニトリル
24.2%水酸化カリウム水溶液243.9gの代わりに10.3%水酸化リチウム水溶液244.6gを用いて実施例1と同様の操作を行う事で反応終了液611.7gを取得した。得られた反応終了液について実施例1と同様の分析を行ったところ、S−アスパラギン酸モノリチウム塩−N、N−ジアセトニトリル34.4%とS−アスパラギン酸モノリチウム塩−N−モノアセトニトリル0.03%を含有していた。また、遊離シアン濃度は痕跡程度であった。上記結果より、S−アスパラギン酸からS−アスパラギン酸モノリチウム塩−N、N−ジアセトニトリル迄の純分換算取得収率は97.0%であった。更に、上記分析後の反応終了液を25℃にて24時間静置保存した後に液体クロマトグラフィー分析を行ったところ、S−アスパラギン酸モノリチウム塩−N、N−ジアセトニトリル34.4%とS−アスパラギン酸モノリチウム塩−N−モノアセトニトリル0.04%を含有していた。保存液組成に顕著な変化が見られない事から反応終了液の経時的な安定性を確認できた。
【0020】
比較例1
S−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル
特開平11−246497号公報記載の方法に準じてホルマリンとシアン化水素の使用量をアスパラギン酸類1molに対して各々2.05molまで下げて、アルカリ性化合物として水酸化カリウムを使用してS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリルの合成反応を行った。
反応容器に、99%S−アスパラギン酸134.4gと28.0%水酸化カリウム水溶液200.3gを投入し分散した。次に、37%ホルマリン水溶液166.0gを添加し、次いでシアン化水素55.4gを反応温度20〜26℃にコントロールしながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、22〜28℃で更に2時間撹拌する事で反応終了液552.1gを取得した。得られた反応終了液について実施例1と同様の分析を行ったところ、S−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル37.2%とS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N−モノアセトニトリル5.33%を含有していた。また、遊離シアン濃度は痕跡程度であった。上記結果より、S−アスパラギン酸からS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル迄の純分換算取得収率は82.4%であり、純分換算取得収率14.0%分のS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N−モノアセトニトリルを副生していた。更に、上記分析後の反応終了液を25℃にて24時間静置保存しながら経時的に液体クロマトグラフィー分析を行った。保存開始6時間後の時点でS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル34.0%とS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N−モノアセトニトリル8.03%を含有していた。保存開始24時間後はS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル28.0%とS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N−モノアセトニトリル13.0%を含有していた。上記分析結果から、反応終了液のS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N、N−ジアセトニトリル含有量が経時的に減少してS−アスパラギン酸モノカリウム塩−N−モノアセトニトリル副生量が経時的に増大する事で、収率低下を引き起こしている事を確認した。
【0021】
比較例2
S−アスパラギン酸モノソーダ塩−N、N−ジアセトニトリル
特開平11−246497号公報記載の方法に準じてホルマリンとシアン化水素の使用量をアスパラギン酸類1molに対して各々2.05molまで下げて、アルカリ性化合物として水酸化ナトリウムを使用してS−アスパラギン酸モノソーダ塩−N、N−ジアセトニトリルの合成反応を行った。
反応容器に、99%S−アスパラギン酸134.4gと16.8%水酸化ナトリウム水溶液238.0gを投入し分散した。次に、37%ホルマリン水溶液166.0gを添加し、次いでシアン化水素55.4gを反応温度20〜24℃にコントロールしながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、22〜25℃で更に2時間撹拌する事で反応終了液592.4gを取得した。得られた反応終了液について実施例1と同様の分析を行ったところ、S−アスパラギン酸モノソーダ塩−N、N−ジアセトニトリル39.0%とS−アスパラギン酸モノソーダ塩−N−モノアセトニトリル0.31%を含有していた。また、遊離シアン濃度は痕跡程度であった。上記結果より、S−アスパラギン酸からS−アスパラギン酸モノソーダ塩−N、N−ジアセトニトリル迄の純分換算取得収率は99.1%であり、純分換算取得収率0.9%分のS−アスパラギン酸モノソーダ塩−N−モノアセトニトリルを副生していた。更に、上記分析後の反応終了液を25℃にて24時間静置保存した後に液体クロマトグラフィー分析を行ったところ、S−アスパラギン酸モノソーダ塩−N、N−ジアセトニトリル38.9%とS−アスパラギン酸モノソーダ塩−N−モノアセトニトリル0.34%を含有していた。保存液組成に顕著な変化が見られない事から反応終了液の経時的な安定性を確認した。
【0022】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、アスパラギン酸またはグルタミン酸から選ばれたアミノ酸類或いはそのリチウム塩またはカリウム塩にホルマリンとシアン化水素を特定の反応条件で作用させる事でアミノ酸アルカリ塩−N−モノアセトニトリル類の副生を殆ど伴う事なく、更に反応終了後のアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリルの保存安定性を向上する事で収率低下を殆ど伴わずに、高収率でアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類を製造することができる。

Claims (3)

  1. アスパラギン酸またはグルタミン酸から選ばれたアミノ酸類をカリウムまたはリチウムのいずれかを含むアルカリ性化合物でアルカリ塩とした後に、ホルマリンとシアン化水素を作用して下記一般式(1)
    Figure 2004210746
    (式中、RとRは、水素原子、カリウム原子またはリチウム原子のいずれかを表し、nは1から2の正数を表す。ただし、RとRは同時に水素原子である事はない。)で示されるアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類を製造する際に、アミノ酸類1molに対するシアン化水素及びホルマリンの使用量が各々2.08〜2.6molであることを特徴とするアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類の製造方法。
  2. アスパラギン酸またはグルタミン酸のモノカリウム塩またはモノリチウム塩から選ばれたアミノ酸塩類に、ホルマリンとシアン化水素を作用して下記一般式(1)
    Figure 2004210746
    (式中、RとRは、水素原子、カリウム原子またはリチウム原子のいずれかを表し、nは1から2の正数を表す。ただし、RとRは同時に水素原子である事はない。)で示されるアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類を製造する際に、アミノ酸塩類1molに対するシアン化水素及びホルマリンの使用量が各々2.08〜2.6molであることを特徴とするアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類の製造方法。
  3. アスパラギン酸またはグルタミン酸あるいはそれらのモノカリウム塩またはモノリチウム塩および一般式(1)の化合物が光学活性体であることを特徴とする請求項1または2記載のアミノ酸アルカリ塩−N、N−ジアセトニトリル類の製造方法。
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