上述の一般的概要および以下の詳細な説明は、例示的かつ説明的なものにすぎず、主張される主題を制限するものではないことが理解されるべきである。
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成的目的のためにすぎず、記載される主題を限定するものとして構成されるものではない。
A.用語の定義
別段の断わりのない限り、本明細書に使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同様な意味を有する。本明細書の開示全体を通して言及される、全ての特許、特許出願、出願公開および刊行物、ウェブサイトならびに既刊資料は、別途記載されない限り、いずれかの目的で、その全体が参照として組み込まれるものとする。
本出願において、別段の断わりのない限り、単数の使用は複数を包含する。
本出願において、別段の断わりのない限り、「または」の使用は、「および/または」を意味する。本明細書で使用する場合、用語「含む(including)」ならびに「含む(includes)」および「含まれる(included)」などの他の形の使用は、限定的ではない。
本明細書で使用する場合、範囲および量は、「約」の特定の数値または範囲として表現され得る。「約」はまた、正確な量を包含することが意図される。したがって、「約5%」とは、「約5%」かつ「5%」も意味する。「約」は、意図される適用または目的に関する典型的実験的誤差の範囲内であることを意味する。
本明細書で使用する場合、「改善された耐摩擦性」とは、印刷後の特定時間において印刷されたインクの耐摩擦性、すなわち、同一の時間における匹敵する対照の印刷されたインクで達成される耐摩擦性よりも良好な耐摩擦性を達成することを指す。例として、改善された耐摩擦性を呈するインクは、その中で印刷された基材が、印刷されたインクに対して有害な影響なく更なる処理加工を受けさせることができる、改善された加工性を呈する。いくつかの例では、改善された耐摩擦性を示すインクは、標準インクにおいて1時間後に達成される耐摩擦性に等しい15分以下での耐摩擦性を有する。
本明細書で使用する場合、「凝固」とは、インク皮膜形成およびインクの明らかな乾燥を指す。このインクが化学的に乾燥され得なくとも、このインクは、凝固されかつ耐摩擦性を呈する。
本明細書で使用する場合、「NAD」とは、アクリルコア/シェルポリマーを含有する実質的に非水性の分散物を指し、これは、実質的に非水性の溶媒において、粒子の形態であり得る。分散物の連続相が、非水性有機溶媒などの非水性溶媒であると同時に、この分散物は、組成物の重量に基づいて0.001重量%〜1重量%の水などの1重量%までの水を含有することができる。
本明細書で使用する場合、「実質的に非水性」とは、最小量の水を含有する組成物から水を含有しない組成物までを指す。いくつかの例では、実質的に非水性の組成物は、組成物の重量に基づいて1.0重量%までの水を含有することができる。
本明細書で使用する場合、「レオロジー調整成分」とは、分散物に添加される場合、分散物のレオロジーを修正する化合物もしくは2つまたはそれ以上の化合物の混合物を指す。レオロジーに対する修正により、分散物の粘度が増加する。
本明細書で使用する場合、「コア対シェル比」または「コア/シェル比」とは、コア/シェルポリマー粒子におけるアクリルコアポリマーの量をコア/シェルポリマー粒子におけるアクリルシェルポリマーの量で割った場合に得られる数値を指す。
B.改善された平版印刷用インク
シートフィード、ヒートセットおよびコールドセット平版印刷用インクを含む平版印刷用インクなどの大部分の印刷用インクの耐摩擦性によって測定されるような凝固および乾燥速度が、本明細書に記載されるようなNADの封入によって有利に増強され得ることが、ここで見出された。平版印刷用インクにNADを添加することにより、NADを含有しない従来の平版印刷用インクよりも劇的に速く凝固しかつ乾燥する平版印刷用インクが得られる。
シートフィード平版印刷用インクは、シートフィード印刷機上で運転するよう設計され、シートフィード平版印刷プロセスを使用して印刷される適切な基材上に印刷するよう配合される。本明細書で提供されるNAD(複数)は、従来の水無しタイプ印刷シートフィード平版印刷用インクで使用され得る。従来のシートフィード平版印刷用インクは、典型的には、150または約150dPa・s〜250または約250dPa・sの間の粘度(Larayの落下棒式粘度計を使用して測定された)と、130または約130〜220または約220の粘着性(200rpmでTack−o−Scope装置(例えば、Testprint,Inc.,Cherry Hill.NJから入手)を使用して測定された)とを有する。水無しタイプ印刷シートフィード平版印刷用インクは、典型的には、220または約220dPa・s〜400または約400dPa・sの間の粘度(Larayの落下棒式粘度計を使用して測定された)と、120または約120〜180または約180の粘着性(200rpmでTack−o−Scope装置を使用して測定された)とを有する。
ヒートセット平版印刷用インクは、ヒートセット印刷機上で運転するよう設計され、ヒートセット平版印刷プロセスを使用して印刷される適切な基材上に印刷するよう配合される。本明細書で提供されるNAD(複数)は、ヒートセット平版印刷用インクにおいて使用され得る。ヒートセット平版印刷用インクは、典型的には、70dPa・sまたは70または約70dPa・s〜150または約150dPa・sの間の粘度(Larayの落下棒式粘度計を使用して測定された)と、100または約100〜200または約200の粘着性(300rpmでTack−o−Scope装置を使用して測定された)とを有する。
コールドセット平版印刷用インクは、コールドセット印刷機上で運転するよう設計され、コールドセット平版印刷プロセスを使用して印刷される適切な基材上に印刷するよう配合される。本明細書で提供されるNAD(複数)は、コールドセット平版印刷用インクにおいて使用され得る。コールドセット平版印刷用インクは、典型的には、40dPa・sまたは約40dPa・s〜100dPa・sまたは約100dPa・sの間の粘度(Larayの落下棒式粘度計を使用して測定された)と、80または約80〜130または約130の粘着性(300rpmでTack−o−Scope装置を使用して測定された)とを有する。
C.アクリルコア/シェルポリマーの実質的に非水性の分散物(NADs)
ポリマーの分散物は既知である(例えば、米国特許第6,638,995号および同第5,331,025号、米国特許出願公開第2005/0244736号、ならびに国際公開第2009/155201号および同第2011/014826号を参照)。米国特許第6,638,995号は、分岐状ビニル樹脂ビヒクル相内に分散されたまたは乳化されたポリオール相を含む平版印刷用インクを記載する。この特許は、このインクが改善されたミスティングおよびスリング特性を有し、新しいインクで使用される場合、改善された摩擦落ち特性を有することを述べている。このビニル樹脂は、アクリルまたはメタクリルモノマーなどのビニルモノマーを使用する、炭素−炭素二重結合を介しての連鎖反応重合、または付加重合によって調製される。このインクはまた、他の樹脂と、水および脂肪族炭化水素(平版印刷用インク)もしくは大豆または他の植物油(グラビアおよびフレキソ印刷用インク)を含む1つ以上の溶媒を含有することができる。このインクは、分岐状のビニルビヒクルを含有する油を基剤とした連続相と、液体ポリオールを含有するポリオール不連続(分散)相とを有するよう配合されることが可能であるとされている。
米国特許第5,331,025号は、より柔らかい不溶性の第1ステージと硬い第2ステージとを有する複合ポリマー粒子含有する印刷物の乾燥時間を低減するための方法を記載する。この複合ポリマー粒子は、コア/シェルポリマーとして存在し得る、少なくとも2つの互いに不相溶性ポリマーステージから作成される。
米国特許出願公開第2005/0244735号は、電子写真画像形成装置、例えば、コピー機、レーザープリンター、およびファックス機などのための液体トナーを記載する。この特許出願は、有機ゾルと、光反応性触媒の存在下で光重合する不飽和二重結合を有する分散補助剤とを含有するようなトナーを記載する。この有機ゾルは、担体液(脂肪族炭化水素)に不溶である熱可塑性コポリマーコアの粒子と、熱可塑性コポリマーコアに共有結合されるコポリマーグラフト安定化剤を含有するシェルとを含むとされる。この特許出願は、長期間にわたってトナーの分散安定性を維持するものとしての有機ゾルの機能を記載する。
国際公開第09155201号において、シートフィードオフセット印刷インクの乾燥速度を増加させるための非水性分散物(NAD)ポリマーの使用が記載される。この明細書は、シートフィードオフセット印刷インク中に存在するNADの量が、少なくとも約1%〜約15%、より好ましくは約5%、最も好ましくは約10%であることを記載している。しかしながら、実施例は、インクの重量に基づいて10重量%のNADの量に限定されており、これは、インクを重合するために金属乾燥剤または金属触媒の使用を必要とする。
コア/シェルポリマー技術は、ポリマー分野において周知である。例えば、米国特許第3,985,703号、同第4,264,678号、同第4,375,532号、同第4,419,471号、同第4,888,395号、同第4,916,171号、同第4,994,524号、同第5,006,592号、同第5,087,663号、同第5,186,993号、同第5,324,780号、同第6,203,973号、同第6,309,739号、同第6,605,404号および同第7,939,103号、ならびにKazemiら,Small 4(10):1756〜1762(2008)を参照されたい。インク成分と相溶性がある当該技術分野で既知のコア/シェルポリマーのいずれも、本発明において使用され得る。
コア/シェルポリマーは、本体を制御するため、色素を封入するため、および水無し環境においてエマルジョン様分散物を得るために塗料で成功裏に用いられてきた。平版印刷用インクに好ましいNAD(複数)は、実質的に非水性の有機媒質中に分散された不溶性アクリルポリマー粒子を含有する。これら分散物は、その制御された粒径のために、平版印刷用インクに有効な添加剤である。
本発明の平版印刷用インクで使用される好ましいNADは、アクリルコアポリマーが溶媒に不溶であるがシェルポリマー中で可溶性であると同時に、シェルポリマーが連続相溶媒中で可溶性であるようなアクリルコア−シェルポリマーを生成することによって形成され得る。この構造は、シェルポリマーが先ず形成され、次いでアクリルコアポリマーが「充填され」、分散物を生成するような2工程の重合を通して得ることができる。このプロセスは、国際公開第09155201A号に記載され、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
NADの調製において、アクリルシェルポリマーおよび/またはアクリルコアポリマーを作成するために使用されるアクリルモノマーは、カルボキシル基、ヒドロキシル基およびビニル基の中から選択される官能基を含有し得る。
NADのアクリルコアポリマーおよび/またはアクリルシェルポリマーは、カルボキシル官能基を有するモノマーを含んでもよい。カルボキシル官能基を有する例示的モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびマレイン酸が挙げられる。
NADのアクリルコアポリマーおよび/またはアクリルシェルポリマーは、ヒドロキシル官能基を有するモノマーを含んでもよい。ヒドロキシル官能基を有する例示的モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートおよび2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが挙げられる。
NADのアクリルコアポリマーおよび/またはアクリルシェルポリマーは、ビニル官能基を有するモノマーを含んでもよい。ヒドロキシル基官能基を有する例示的モノマーとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートおよびジメチルアミノメタクリレートが挙げられる。
NADは、連続相の実質的に非水性の溶媒中に可溶性である予備形成されたアクリルシェルポリマーを選択し、次いで、実質的に非水性の溶媒中に不溶性であるが、シェルポリマー中では可能性である、アクリルコアポリマーを形成するよう選択されたモノマーからアクリルコアポリマーを生成することによって調製され得る。予備形成されたアクリルシェルポリマーを、実質的に非水性の溶媒中で、85℃〜140℃の間などの上昇した温度で、アクリルコアポリマーと反応させることで、アクリルコアポリマーはアクリルシャルポリマーと優先的に相互作用し、コア/シェルポリマー、具体的にはコア/シェルポリマー粒子を形成し、連続相の実質的に非水性の溶媒中のコア/シェルポリマーの分散物を生成する。
このNADはまた、連続相で実質的に非水性の溶媒中で可溶性である予備形成されたアクリルシェルポリマーを選択し、かつ実質的に非水性の溶媒に不溶であるが、シェルポリマー中では可溶性である予備形成されたアクリルコアポリマーを選択することによって調製されることもできる。予備形成されたアクリルシェルポリマーを実質的に非水性の溶媒中で、85℃〜140℃などの上昇した温度で予備形成されたアクリルコアポリマーと反応させることで、アクリルコアポリマーがアクリルシェルポリマーと優先的に相互作用し、コア/シェルポリマー、具体的にはコア/シェルポリマー粒子を形成し、連続相の実質的に非水性の溶媒中のコア/シェルポリマーの分散物を生成する。
D.アクリルコア/シェルポリマーNADの構成
NAD合成
本明細書で提供される非水性分散物は、シェルポリマーが実質的に非水性の有機溶媒の連続相中で可溶性であり、一方アクリルコアポリマーが溶媒に不溶であるがシェルポリマー中で可溶性であるようなアクリルコア/シェルポリマーを生成することによって形成され得る。このアクリルコア/シェルポリマーは、シェルポリマーが先ず初めに形成され、次いでアクリルコアポリマーが「充填され」て、分散物を生成する2工程の重合プロセスにおいて形成され得る。
1.アクリルシェルポリマー
シェルポリマーは、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して形成さえ得る。例えば、アクリルコア/シェルポリマーのアクリルシェルポリマーは、先ず初めに、反応容器内で、窒素気体などの不活性気体の存在下、連続相の実質的に非水性の溶媒を120℃にまたは約120℃に加熱することによって形成され得る。この連続相の実質的に非水性の溶媒は、植物油または炭化水素溶媒、例えば炭化水素油などの有機媒質であり得る。この油は、45℃または約45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃または90℃などの45℃または約45℃〜90℃、または約50℃〜80℃の間のアニリン点で、良好な溶解度を有する。植物油の例としては、アーモンド油、カカオ油、ククイ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ココナッツ油、綿実油、ブドウ種子油、麻実油、アマニ油、オリーブ油、パーム核油、ピーナッツ油、ナタネ油、米ぬか油、ベニバナ油、ヒマワリ油、ゴマ油、ダイズ油、トール油、桐油およびクルミ油(これらの組み合わせおよびこれらの脂肪酸アルキルエステルなどの脂肪酸エステルを含める)が挙げられる。例示的植物油としては、例えば、エチルヘキシルパルミテートが挙げられる。好適な炭化水素溶媒としては、白色鉱油(CAS No.8042−47−5)、例えばMagie N−40油などのパラフィン系油;水素処理済み軽質ナフテン系蒸留物(CAS No.64742−53−6)、例えば,Nytex 51310、ならびに水素処理済み重質ナフテン系蒸留物(CAS No.64742−52−5)、例えば,Nytex 510およびNytex 810などのナフテン系油および蒸留物;ならびに芳香族油が挙げられる。炭化水素溶媒は、必要に応じて、Nyprint 863などの歴青を含有するプロセス油(CAS No.64742−93−4)であることができる。
植物油または炭化水素溶媒は、1000ppm以下でのイオウ含量を有する。概して、植物油または炭化水素溶媒は、750ppm以下でのイオウ含量を有し、より好ましくは500ppm以下である。例えば、イオウ含量は、1ppmまたは約1ppm、10ppm、25ppm、50ppm、75ppm、100ppm、125ppm、150ppm、175ppm、200ppm、225ppm、250ppm、275ppm、300ppm、325ppm、350ppm、375ppm、400ppm、425ppm、450ppmまたは475ppmであるが、500ppm未満のイオウである。本明細書に提供されるシェルポリマーを合成するよう使用され得る例示的連続相溶媒は、水素処理済み軽質ナフテン系蒸留物、例えば、Nytex5130および白色鉱油、例えばMagie−N−40油である。
本明細書で提供されるシェルポリマーの合成において使用される連続相の実質的に非水性の溶媒は、全反応混合物の重量でのパーセンテージ(%)(重量%)として、例えば、全反応混合物の重量に基づいて、1重量%〜10重量%、1重量%〜15重量%、1重量%〜25重量%、1重量%〜30重量%、1重量%〜40重量%、1重量%〜50重量%、5重量%〜10重量%、5重量%〜15重量%、5重量%〜25重量%、5重量%〜30重量%、5重量%〜40重量%、5重量%〜50重量%、10重量%〜20重量%、10重量%〜30重量%、10重量%〜40重量%、10重量%〜50重量%、15重量%〜25重量%、15重量%〜30重量%、15重量%〜35重量%、15重量%〜40重量%、15重量%〜45重量%、15重量%〜50重量%、20重量%〜30重量%、20重量%〜40重量%、20重量%〜50重量%、25重量%〜30重量%、25重量%〜35重量%、25重量%〜40重量%、25重量%〜45重量%、25重量%〜50重量%、25重量%〜60重量%、30重量%〜40重量%、30重量%〜50重量%、30重量%〜60重量%、40重量%〜50重量%、40重量%〜55重量%、40重量%〜60重量%、45重量%〜50重量%、45重量%〜55重量%、45重量%〜60重量%、50重量%〜60重量%、50重量%〜55重量%、および55重量%〜60重量%などの1重量%または約1重量%〜60重量%の間であることができる。概して、全反応混合物は、60重量%未満の溶媒を含有する。例えば、本明細書で提供される反応混合物は、全反応混合物の重量に基づいて、少なくとも1重量%または約1重量%、3重量%、5重量%、7重量%、10重量%、12重量%、15重量%、17重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、40重量%、42重量%、45重量%、48重量%、50重量%、55重量%、しかしながら60重量%未満である全溶媒を含有することができる。
ある時間にわたって、アクリルモノマーの混合物と触媒または触媒の混合物とが、連続相の実質的に非水性の溶媒を含有する反応容器に添加され得る。このある時間とは、例えば、4時間または約4時間などの1〜5時間、または1、2、3、4または5時間であり得る。第1の反応容器の温度は、85℃〜140℃の間、または90℃〜130℃の間であり得、例えば、120℃または約120℃などの、85℃または約85℃、90℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃または140℃であることができる。モノマーの混合物と触媒の混合物は、別個の反応容器から第1の反応容器に同時に添加され得る。
モノマーの混合物は、別個の反応容器内で予備混合され得、連続相溶媒中で可溶性であるモノマーを含む。このようなモノマーは、炭化水素鎖を含有することができる。モノマー上のこの炭化水素鎖は、得られるポリマーを連続相溶媒中で容易に可溶性にさせることができる。このモノマーは、カルボキシル基などの1つ以上の官能基を含有することができる。カルボキシル基を含有し得る例示的モノマーは、アクリル酸および置換アクリル酸(例えば、n−ブチルアクリレート)、メタクリル酸および置換メタクリル酸(例えば、イソブチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、メチルメタクリレートおよびn−ブチルメタクリレート)、イタコン酸および置換イタコン酸、ならびにマレイン酸および置換マレイン酸である。このモノマーは、ヒドロキシル基を含有することができる。ヒドロキシル基を含有し得る例示的モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートおよび2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが挙げられる。このモノマーは、ビニル官能基を含有することができる。例示的ビニル官能基としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートおよびジメチルアミノメタクリレートが挙げられる。グリシジルアクリレートなどのエポキシ官能基を含有するモノマーは、アクリルシェルとアクリルコアポリマーとの間の吸引力を増加させるために、モノマー混合物に添加され得る。このモノマーは、カルボキシル、ヒドロキシルおよびビニルなどの1つ以上の官能基または官能基の組み合わせを含有することができる。
本明細書で提供されたシェルポリマーにおいて、モノマー混合物は、2つまたはそれ以上のモノマーを含有することができる。例えば、このモノマーの混合物は、置換メタクリル酸の混合物であり得る。このメタクリル酸は、C1〜C12アルキルメタクリレートであり得る。本明細書で提供されるシェルポリマーにおいて使用され得る例示的C1〜C12アルキルメタクリレートは、イソブチルメタクリレートおよびドデシルメタクリレートである。ドデシルメタクリレートに対するイソブチルメタクリレートの比は、10または約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1.5:1、1.3:1、1.1:1もしくは1:1またはそれ未満であることができる。
効率的ポリマー形成を補助するために、重合促進剤がモノマー混合物に添加され得る。この重合促進剤は、アクリルコア/シェルポリマーのアクリレートモノマーと(存在する場合、他のコモノマーと)共重合される。この促進剤は、重合または架橋を促進することができ、および/またはペンダント基、例えば架橋性ペンダントカルボキシル基、架橋性ペンダントヒドロキシル基および/または架橋性ペンダントアミド基をコポリマー主鎖中に導入することができる。例示的重合促進剤としては、アクリル酸またはC1〜C6−置換のアクリル酸、例えばメタクリル酸(架橋性ペンダントカルボキシル基をコポリマー主鎖中に導入するため)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートおよび3−ヒドロキシ−プロピルメタクリレートなどのアクリル酸のヒドロキシアルキルエステルまたはC1〜C6−アルキル置換のアクリル酸(架橋性ペンダントヒドロキシル基をコポリマー主鎖中に導入するため)、およびヒドロキシメチレンジアセトンアクリルアミドなどのアクリル酸アミドまたはC1〜C6−アルキル置換のアクリル酸アミド(架橋性ペンダントアミド基をコポリマー主鎖中に導入するため)が挙げられる。好ましい重合促進剤は、アクリル酸を含有する。例示的重合促進剤は、アクリル酸である。使用され得る重合促進剤の量は、反応混合物の重量に基づいて、0.5重量%〜5重量%であることができる。例示的モノマー混合物において、反応混合物の重量に基づいて、1重量%または約1重量%のアクリル酸が存在し得る。
本明細書で提供されるアクリルシェルポリマーでは、反応混合物の重量パーセンテージ(%)(重量%)としてのモノマーまたはモノマー混合物の総重量は、例えば、反応混合物の重量で、1重量%〜10重量%、1重量%〜15重量%、1重量%〜25重量%、1重量%〜30重量%、1重量%〜40重量%、1重量%〜50重量%、5重量%〜10重量%、5重量%〜15重量%、5重量%〜25重量%、5重量%〜30重量%、5重量%〜40重量%、5重量%〜50重量%、10重量%〜20重量%、10重量%〜30重量%、10重量%〜40重量%、10重量%〜50重量%、15重量%〜25重量%、15重量%〜30重量%、15重量%〜35重量%、15重量%〜40重量%、15重量%〜45重量%、15重量%〜50重量%、20重量%〜30重量%、20重量%〜40重量%、20重量%〜50重量%、25重量%〜30重量%、25重量%〜35重量%、25重量%〜40重量%、25重量%〜45重量%、25重量%〜50重量%、25重量%〜60重量%、30重量%〜40重量%、30重量%〜50重量%、30重量%〜60重量%、40重量%〜50重量%、40重量%〜55重量%、40重量%〜60重量%、45重量%〜50重量%、45重量%〜55重量%、45重量%〜60重量%、50重量%〜60重量%、50重量%〜55重量%、および55重量%〜60重量%などの1重量%または約1重量%〜60重量%の間であることができ、この反応混合物は、実質的に非水性の溶媒、アクリルモノマーまたはアクリルモノマーの混合物ならびに他の反応体を含有する。概して、この反応混合物は、一般的に60重量%未満のアクリルモノマーまたはアクリルモノマー混合物を含有する。例えば、本明細書に提供される反応混合物は、反応混合物の総重量に基づいて、少なくともまたはおよそ少なくとも1重量%、3重量%、5重量%、7重量%、10重量%、12重量%、15重量%、17重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、35重量%、40重量%、42重量%、45重量%、48重量%、50重量%、55重量%または60重量%の全モノマー混合物を含有することができる。
触媒または触媒の混合物は、反応混合物を含有する反応容器に添加する前に、別個の容器内で予備混合され得る。触媒予備混合物は、1つ以上の重合開始剤を含んでもよい。重合開始剤は、例えば、有機過酸化物触媒であり得る。例示的有機過酸化物触媒としては、ジアルキルペルオキシド、ジ−t−アルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシジカルバメート、t−アルキルペルオキシエステルおよびジ−t−アルキルペルオキシケタールが挙げられる。好適な重合開始剤は、t−ブチルペルオクトエートおよびt−ブチルペルオキシベンゾエートなどのジアルキルペルオキシドである。重合開始剤は、フリーラジカル開始剤であり得る。例示的フリーラジカル開始剤としては、アゾ開始剤が挙げられる。好ましいアゾ開始剤は、例えば、Vazo(登録商標)67(DuPont,Wilmington,DE)である。触媒混合物は、2つまたはそれ以上の重合開始剤を含有することができる。例えば、触媒の混合物は、有機過酸化物触媒の混合物であり得る。本明細書で提供されるシェルポリマー中で使用され得る例示的有機過酸化物触媒は、t−ブチルペルオクトエートおよびt−ブチルペルオキシベンゾエートである。t−ブチルペルオキシベンゾエートに対するt−ブチルペルオクトエートの比は、10または約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1.5:1、1.3:1、1.1:1または1:1もしくはそれ未満である。
触媒は、連続相溶媒、例えば、反応容器内に存在する同一の連続相溶媒(例えば、Nytex 5130またはMagie N−40油)中で予備混合され得る。
モノマーの混合物および触媒の混合物が反応容器に添加された後に、ならびに85℃〜140℃、または90℃〜130℃の間の温度、例えば、120℃または約120℃などの85℃または約85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃または140℃で、ある時間にわたって、例えば4時間または約4時間などの1〜5時間、もしくは1、2、3、4または5時間にわたって混合の後に、不活性気体が、空気に変化され得る。グリシジルメタクリレート、トリフェニル−ホスフィンおよびp−メトキシフェノールの混合物が、反応容器内で反応混合物に添加されることができる。例えば、反応混合物の重量で、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%または1重量%などの1重量%または約1重量%までの、または0.05重量%〜0.5重量%のグリシジルメタクリレートである。反応混合物に添加され得るトリフェニル−ホスフィンの量は、反応混合物の重量に基づいて、0.001重量%、0.002重量%、0.003重量%、0.004重量%、0.005重量%、0.006重量%、0.007重量%、0.008重量%、0.009重量%、0.010重量%、0.011重量%、0.012重量%、0.013重量%、0.014重量%、0.015重量%、0.016重量%、0.017重量%、0.018重量%、0.019重量%、0.020重量%、0.021重量%、0.022重量%、0.023重量%、0.024重量%、0.025重量%、0.026重量%、0.027重量%、0.028重量%、0.029重量%、0.030重量%、0.040重量%、0.050重量%、0.060重量%または約0.070重量%、0.080重量%、0.090重量%または0.1重量%などのトリフェニルホスフィンなどの0.001重量%または約0.001重量%〜0.1重量%、または0.005重量%〜0.05重量%の範囲であることができる。反応混合物に添加され得るp−メトキシフェノールの量は、反応混合物の重量に基づいて、0.001重量%、0.002重量%、0.003重量%、0.004重量%、0.005重量%、0.006重量%、0.007重量%、0.008重量%、0.009重量%、0.010重量%のp−メトキシフェノールなどの、0.0005重量%または約0.0005重量%〜0.01重量%、または0.001重量%〜0.009重量%の範囲であることができる。例示的反応において、反応混合物は、反応混合物の重量に基づいて、0.33重量%のグリシジルメタクリレート、0.02重量%のトリフェニルホスフィン、および0.003重量%のp−メトキシフェノールを含有する。
グリシジルメタクリレート、トリフェニルホスフィンおよびp−メトキシフェノールの混合物の添加後に、反応容器は同一の温度で、例えば85℃〜140℃、または90℃〜130℃で、例えば120℃または約120℃などの85℃または約85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃または140℃で、ある時間にわたって、例えば4時間または約4時間などの1〜5時間、もしくは1、2、3、4または5時間にわたって保持され得る。次いで反応容器内の空気が、反応混合物容器を真空に30分間または約30分間曝すことによるなどで除去される。次いで反応容器を冷却し、得られたシェルポリマーを放出させる。反応容器は、100℃または約100℃もしくはそれ未満の温度に冷却され得る。
モノマーの混合物と触媒の混合物が反応容器に添加され、かつ85℃〜140℃、または90℃〜130℃で、例えば120℃または約120℃などの85℃または約85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃または140℃で、ある時間にわたって、例えば4時間または約4時間などの1〜5時間、もしくは1、2、3、4または5時間にわたって混合された後に、不活性気体が空気に変化され得る。追加的重合開始剤、例えば触媒混合物(例えば、t−ブチルペルオクトエート)において使用された同一の重合開始剤が反応容器に添加され得る。例えば、追加的重合開始剤は、反応混合物の重量に基づいて、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%または1重量%などの1重量%または約1重量%までの量で添加されることができる。次いで、反応容器が、同一の温度で、例えば120℃または約120℃で、1、1.5、2、2.5、3、3.5または4時間などの1〜4時間、例えば、2時間または約2時間の時間にわたって保持されることができる。
組成物の粘度は、例えば、水、アルコール、アルカリ化合物、アミンまたはこれらの組み合わせなどのレオロジー調整成分を反応容器にゆっくりと添加することによって修正され得る。レオロジー調整成分の添加は、インクの重量に基づいて15重量%〜60重量%などの比較的大量のNADのインクへの添加が、インクの所望の粘度範囲に悪影響を及ぼすことがないように、得られるNADの粘度を増加させる。
レオロジー調整成分としてまたはその中で使用され得るアルコールは、例えば、イソプロパノール(イソプロピルアルコール)、ブタノール、エタノールおよびメタノールなどのC1〜C6アルコールであることができる。レオロジー調整成分としてまたはその中で使用され得る好適なアルカリ化合物としては、金属水酸化物が挙げられる。例示的金属水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カルシウムが挙げられる。レオロジー調整成分としてまたはその中で使用され得る例示的アミンは、一級アミン(例えば、エチルアミン)、二級アミン(例えば、ジエチルアミン)または三級アミン(例えば、トリエチルアミン)であることができる。例えば、レオロジー調整成分は、水、アルコール、アルカリ化合物およびアミンの混合物を含有することができる。例示的レオロジー調整成分は、水、85重量%の水酸化カリウムなどの水酸化カリウム、イソプロパノールおよびジエチルアミンを含有する。
本明細書で提供されるアクリルシェルポリマーにおいて、反応混合物の重量でのパーセンテージ(%)(重量%)としてのレオロジー調整成分の総量は、例えば、反応混合物の重量に基づいて、0.01重量%〜0.1重量%、0.01重量%〜0.2重量%、0.01重量%〜0.3重量%、0.01重量%〜0.4重量%、0.01重量%〜0.5重量%、0.01重量%〜0.6重量%、0.01重量%〜0.7重量%、0.01重量%〜0.8重量%、0.01重量%〜0.9重量%、0.01重量%〜1.0重量%、0.01重量%〜1.1重量%、0.01重量%〜1.2重量%、0.01重量%〜1.3重量%、0.01重量%〜1.4重量%、0.01重量%〜1.5重量%、0.01重量%〜1.6重量%、0.01重量%〜1.7重量%、0.01重量%〜1.8重量%、0.01重量%〜1.9重量%、0.1重量%〜0.2重量%、0.1重量%〜0.3重量%、0.1重量%〜0.4重量%、0.1重量%〜0.5重量%、0.1重量%〜1.0重量%、0.1重量%〜1.5重量%、0.1重量%〜2.0重量%、0.5重量%〜1.0重量%、0.5重量%〜1.1重量%、0.5重量%〜1.2重量%、0.5重量%〜1.3重量%、0.5重量%〜1.4重量%、0.5重量%〜1.5重量%、0.5重量%〜1.6重量%、0.5重量%〜1.7重量%、0.5重量%〜1.8重量%、0.5重量%〜1.9重量%、0.5重量%〜2.0重量%、1.0重量%〜1.1重量%、1.0重量%〜1.2重量%、1.0重量%〜1.3重量%、1.0重量%〜1.4重量%、1.0重量%〜1.5重量%、1.0重量%〜1.6重量%、1.0重量%〜1.7重量%、1.0重量%〜1.8重量%、1.0重量%〜1.9重量%、1.0重量%〜2.0重量%、1.2重量%〜1.3重量%、1.2重量%〜1.4重量%、1.2重量%〜1.5重量%、1.2重量%〜1.6重量%、1.2重量%〜1.7重量%、1.2重量%〜1.8重量%、1.2重量%〜1.9重量%、1.2重量%〜2.0重量%、1.5重量%〜1.6重量%、1.5重量%〜1.7重量%、1.5重量%〜1.8重量%、1.5重量%〜1.9重量%、1.5重量%〜2.0重量%、1.7重量%〜1.8重量%、1.7重量%〜1.9重量%、1.7重量%〜2.0重量%、1.8重量%〜2.0重量%、および1.9重量%〜2.0重量%などの0.01重量%または約0.01重量%〜2重量%の間であることができる。
一般的に、反応混合物は、2.0重量%未満の水を含有する。例えば、本明細書で提供される反応混合物は、反応混合物の重量に基づいて、0.001重量%、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.25重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.75重量%、0.8重量%、0.重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.25重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.75重量%、1.8重量%、1.9重量%または2.0重量%までの量で水を含有することができる。水を含むレオロジー調整成分は、120℃または約120℃などの高温で反応容器に添加され得るために、レオロジー調整成分の大部分は留去され得るので、シェルポリマーおよび/またはNAD中に存在する水の総量は減少する。
レオロジー調整成分の構成成分は、別個の容器内で予備混合され得、発生する可能性があるいずれの泡立ちも制御するために、反応容器にゆっくりと添加され得る。レオロジー調整成分の添加後に、反応容器は、同一の温度で、例えば120℃でまたは約120℃で、1時間または約1時間にわたって保持されることができる。次いで反応容器が冷却され、得られたアクリルシェルポリマーを放出させることができる。反応容器は、90℃または約90℃の温度まで冷却され得る。反応容器は、85℃以下または約85℃以下の温度に冷却され得る。
2.アクリルコアポリマー
本明細書に記載されるNADのアクリルコア/シェルポリマーのアクリルコアポリマーは、反応容器内で、連続相の実質的に非水性の溶媒と本明細書で提供される(および上記記載の)アクリルシェルポリマーとを85℃または約85℃、90℃、95℃、100℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃または140℃などの85℃〜140℃に加熱することによって形成され得る。反応容器は、窒素ガスなどの不活性気体下で加熱され得る。反応混合物の重量でのパーセンテージ(%)(重量%)としての、反応混合物に添加されるアクリルシェルポリマーの総量は、例えば、反応混合物の重量に基づいて、1重量%〜10重量%、1重量%〜15重量%、1重量%〜25重量%、1重量%〜30重量%、1重量%〜40重量%、1重量%〜50重量%、5重量%〜10重量%、5重量%〜15重量%、5重量%〜25重量%、5重量%〜30重量%、5重量%〜40重量%、5重量%〜50重量%、10重量%〜20重量%、10重量%〜30重量%、10重量%〜40重量%、10重量%〜50重量%、15重量%〜25重量%、15重量%〜30重量%、15重量%〜35重量%、15重量%〜40重量%、15重量%〜45重量%、15重量%〜50重量%、20重量%〜30重量%、20重量%〜40重量%、20重量%〜50重量%、25重量%〜30重量%、25重量%〜35重量%、25重量%〜40重量%、25重量%〜45重量%、25重量%〜50重量%、25重量%〜60重量%、30重量%〜40重量%、30重量%〜50重量%、30重量%〜60重量%、40重量%〜50重量%、40重量%〜55重量%、40重量%〜60重量%、45重量%〜50重量%、45重量%〜55重量%、45重量%〜60重量%、50重量%〜60重量%、50重量%〜55重量%、および55重量%〜60重量%などの1重量%または約1重量%〜60重量%の間であることができる。一般的に、反応混合物は、60重量%未満のアクリルシェルポリマーを含有する。例えば、この反応混合物は、反応混合物の重量に基づいて、少なくともまたはおよそ少なくとも1重量%、3重量%、5重量%、7重量%、10重量%、12重量%、15重量%、17重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、40重量%、42重量%、45重量%、48重量%、50重量%、55重量%の量であるが、60重量%未満の量でアクリルシェルポリマーを含有する。
この連続相の実質的に非水性の溶媒は、植物油または炭化水素溶媒(例えば炭化水素油)などの有機媒質であり得る。植物油または炭化水素溶媒は、良好な溶解度を有するべきであり、好ましくは、45℃または約45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃または90℃などの45℃または約45℃〜90℃、もしくは50℃〜80℃の間のアニリン点を伴うべきである。好適な植物油としては、例えばヘキシルパルミテートが挙げられる。好適な炭化水素溶媒としては、白色鉱油などのパラフィン系油(例えば、Magie N−40などのCAS番号64742−47−8);水素処理済み形質ナフテン系蒸留物(例えば、Nytex 5130などのCAS No.64742−53−6のプロセス油)および水素処理済み重質ナフテン系蒸留物(例えば、Nytex 510およびNytex 810などのCAS No.64742−52−5のプロセス油)などのナフテン系油および蒸留物;ならびに芳香族油が挙げられる。炭化水素溶媒は、必要に応じて、Nyprint 863などの歴青(CAS No.64742−93−4)を含有することができる。
炭化水素溶媒は、1000ppmまたはそれ以下でのイオウ含量を有する。概して、炭化水素溶媒は、500ppmまたはそれ以下でのイオウ含量を有する。例えば、イオウ含量は、1ppmまたは約1ppm、10ppm、25ppm、50ppm、75ppm、100ppm、125ppm、150ppm、175ppm、200ppm、225ppm、250ppm、275ppm、300ppm、325ppm、350ppm、375ppm、400ppm、425ppm、450ppmまたは475ppmであるが、500ppm未満のイオウである。本明細書に提供されるアクリルコアポリマーを合成するよう使用され得る例示的連続相溶媒は、水素処理済み軽質ナフテン系蒸留物、具体的にはNytex5130、および白色鉱油、具体的にはMagie−N−40油である。
本明細書で提供されるアクリルコアポリマーの合成において使用される連続相の実質的に非水性の溶媒は、全反応混合物の重量でのパーセンテージ(%)(重量%)として、例えば、全反応混合物の重量に基づいて、1重量%〜10重量%、1重量%〜15重量%、1重量%〜25重量%、1重量%〜30重量%、1重量%〜40重量%、1重量%〜50重量%、5重量%〜10重量%、5重量%〜15重量%、5重量%〜25重量%、5重量%〜30重量%、5重量%〜40重量%、5重量%〜50重量%、10重量%〜20重量%、10重量%〜30重量%、10重量%〜40重量%、10重量%〜50重量%、15重量%〜25重量%、15重量%〜30重量%、15重量%〜35重量%、15重量%〜40重量%、15重量%〜45重量%、15重量%〜50重量%、20重量%〜30重量%、20重量%〜40重量%、20重量%〜50重量%、25重量%〜30重量%、25重量%〜35重量%、25重量%〜40重量%、25重量%〜45重量%、25重量%〜50重量%、25重量%〜60重量%、30重量%〜40重量%、30重量%〜50重量%、30重量%〜60重量%、40重量%〜50重量%、40重量%〜55重量%、40重量%〜60重量%、45重量%〜50重量%、45重量%〜55重量%、45重量%〜60重量%、50重量%〜60重量%、50重量%〜55重量%、および55重量%〜60重量%などの1重量%または約1重量%〜60重量%の間であることができる。概して、全反応混合物は、60重量%未満の溶媒を含有する。例えば、本明細書で提供される反応混合物は、全反応混合物の重量に基づいて、少なくとも1重量%または約1重量%、3重量%、5重量%、7重量%、10重量%、12重量%、15重量%、17重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、35重量%、40重量%、42重量%、45重量%、48重量%、50重量%、55重量%または60重量%である量で溶媒を含有することができる。
ある時間にわたって、アクリルモノマーの混合物と触媒または触媒の混合物とが、連続相の実質的に非水性の溶媒を含有する反応容器に添加され得る。このある時間とは、1〜5時間の間、例えば、1、2、3、4または5時間、例えば、3時間または約3時間、もしくは4時間または約4時間であり得る。反応容器の温度は、85℃または約85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃または140℃などの85℃〜140℃であることができる。アクリルモノマーの混合物と触媒の混合物は、別個の供給容器から反応容器に同時に添加され得る。次いで、反応容器が85℃または約85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃または140℃などの85℃〜140℃で保持されることができる。反応容器は、1〜5時間の間の時間(例えば、1、2、3、4または5時間)、例えば3時間または約3時間、もしくは4時間または約4時間保持され得る。
アクリルモノマーの混合物は、別個の混合容器内で予備混合され得、連続相溶媒中で可溶性であるモノマーを含んでもよい。このようなモノマーは、炭化水素鎖を含有し得る。モノマー上のこの炭化水素鎖は、得られるポリマーを連続相溶媒中で容易に可溶性にさせることができる。このモノマーは、カルボキシル基などの1つ以上の官能基を含有することができる。カルボキシル基を含有し得る例示的モノマーは、アクリル酸および置換アクリル酸(例えば、n−ブチルアクリレート)、メタクリル酸および置換メタクリル酸(例えば、イソブチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、メチルメタクリレートおよびn−ブチルメタクリレート)、イタコン酸および置換イタコン酸、ならびにマレイン酸および置換マレイン酸である。このモノマーは、ヒドロキシル基を含有することができる。ヒドロキシル基を含有し得る例示的モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートおよび2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが挙げられる。このモノマーは、ビニル官能基を含有することができる。例示的ビニル官能基としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートおよびジメチルアミノメタクリレートが挙げられる。グリシジルアクリレートなどのエポキシ官能基を含有するモノマーは、アクリルシェルとアクリルコアポリマーとの間の吸引力を増加させるために、モノマー混合物に添加され得る。このモノマーは、カルボキシル、ヒドロキシルおよびビニルなどの1つまたはそれ以上の官能基または官能基の組み合わせを含有することができる。
本明細書で提供されたコアポリマーにおいて、反応容器に添加されたモノマー混合物は、2つまたはそれ以上のモノマーを含有することができる。例えば、このモノマーの混合物は、置換アクリル酸と置換メタクリル酸の混合物であり得る。このアクリル酸とメタクリル酸は、C1〜C12アルキルアクリレートおよびメタクリレートであり得る。本明細書で提供されるアクリルコアポリマーにおいて使用され得る例示的C1〜C12アルキルアクリル酸およびメタクリル酸は、n−ブチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびn−ブチルメタクリレートである。ンーブチルメタクリレートに対するメチルメタクリレートの比は、10または約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1.5:1、1.3:1、1.1:1または1:1もしくはそれ未満であることができる。n−ブチルアクリレートに対するメチルメタクリレートの比は、10または約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1.5:1、1.3:1、1.1:1または1:1もしくはそれ未満であることができる。n−ブチルメタクリレートに対するn−ブチルアクリレートの比は、10または約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1.7:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1または1:1もしくはそれ未満であることができる。
本明細書で提供されるアクリルコアポリマーでは、反応混合物の重量パーセンテージ(%)(重量%)としてのモノマー混合物の総量は、例えば、反応混合物の重量に基づいて、1重量%〜10重量%、1重量%〜15重量%、1重量%〜25重量%、1重量%〜30重量%、1重量%〜40重量%、1重量%〜50重量%、5重量%〜10重量%、5重量%〜15重量%、5重量%〜25重量%、5重量%〜30重量%、5重量%〜40重量%、5重量%〜50重量%、10重量%〜20重量%、10重量%〜30重量%、10重量%〜40重量%、10重量%〜50重量%、15重量%〜25重量%、15重量%〜30重量%、15重量%〜35重量%、15重量%〜40重量%、15重量%〜45重量%、15重量%〜50重量%、20重量%〜30重量%、20重量%〜40重量%、20重量%〜50重量%、25重量%〜30重量%、25重量%〜35重量%、25重量%〜40重量%、25重量%〜45重量%、25重量%〜50重量%、25重量%〜60重量%、30重量%〜40重量%、30重量%〜50重量%、30重量%〜60重量%、40重量%〜50重量%、40重量%〜55重量%、40重量%〜60重量%、45重量%〜50重量%、45重量%〜55重量%、45重量%〜60重量%、50重量%〜60重量%、50重量%〜55重量%、および55重量%〜60重量%などの1重量%または約1重量%〜60重量%の間であることができる。概して、この反応混合物は、60質量%未満のモノマー混合物を含有する。例えば、本明細書に提供される反応混合物は、反応混合物の重量に基づいて、少なくともまたはおよそ少なくとも1重量%、3重量%、5重量%、7重量%、10重量%、12重量%、15重量%、17重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、40重量%、42重量%、45重量%、48重量%、50重量%、55重量%または60重量%であるモノマー混合物の量を含有することができる。
触媒の混合物は、反応混合物を含有する反応容器に添加する前に、別個の容器内で予備混合され得、この触媒混合物は、1つ以上の重合開始剤を含んでもよい。重合開始剤は、例えば、有機過酸化物触媒であり得る。例示的有機過酸化物触媒としては、ジアルキルペルオキシド、ジ−t−アルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシジカルバメート、t−アルキルペルオキシエステルおよびジ−t−アルキルペルオキシケタールが挙げられる。好適な重合開始剤は、t−ブチルペルオクトエートおよびt−ブチルペルオキシベンゾエートなどのジアルキルペルオキシドである。重合開始剤は、フリーラジカル開始剤であり得る。例示的フリーラジカル開始剤は、アゾ開始剤を含む。好ましいアゾ開始剤は、例えば、Vazo(登録商標)67(DuPont,Wilmington,DE)である。触媒混合物は、1つまたは1つ以上の重合開始剤を含有することができる。例えば、触媒の混合物は、有機過酸化物触媒の混合物であり得る。本明細書で提供されるアクリルコアポリマーの合成で使用され得る例示的有機過酸化物触媒は、t−ブチルペルオクトエートおよびt−ブチルペルオキシベンゾエートである。t−ブチルペルオキシベンゾエートに対するt−ブチルペルオクトエートの比は、10または約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1.5:1、1.3:1、1.1:1または1:1もしくはそれ未満である。この有機過酸化物触媒は、単独でまたは組み合わされて使用されることができる。単独で使用され得る例示的有機過酸化物触媒は、t−ブチルペルオクトエートである。
触媒の混合物は、連続相の実質的に非水性の溶媒中で、例えば、上記で説明された、アクリルコアポリマーの合成において使用される反応容器中に存在する同一の連続相の実質的に非水性の溶媒中で予備混合され得る。一般的に、炭化水素溶媒は、500ppmまたはそれ以下のイオウ含量を有する。本明細書で提供されるアクリルコアポリマーを合成するよう使用され得る例示的連続相溶媒としては、水素処理済み形質ナフテン系蒸留物、具体的にはNytex 5130、および白色鉱油、具体的にはMagic n−40油が挙げられる。
アクリルモノマーの混合物および触媒の混合物が反応容器に添加された後に、ならびに85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃または140℃などの85℃〜140℃で、ある時間にわたって、例えば2時間または約2時間もしくは3時間または約3時間などの1〜5時間、例えば1、2、3、4または5時間にわたって混合の後に、追加的モノマーが、反応容器に添加され得る。この追加的モノマーは、アクリルモノマー混合物中に存在するモノマーの1つであり得る。例えば、追加的モノマーは、メチルメタクリレートであることができる。追加的モノマーの任意の所望の量が追加されることが可能である。例えば、反応混合物の重量に基づいて、0.1重量%、0.5重量%、0.7重量%、0.5重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、4重量%、4.5重量%または5重量%などの5重量%または約5重量%までであるモノマーの追加的量が添加され得る。追加的モノマーは、同一の温度で、例えば85℃または約85℃などの85℃〜140℃で、反応容器に添加されることができる。
いくつかの例において、モノマーの混合物と触媒の混合物が反応容器に添加された後に、不活性気体が空気に変化され得、反応容器が、120℃または約120℃で、1時間または約1時間の時間にわたって保持されることができる。
次いで触媒の第2のまたは補足的混合物が、反応容器に添加されることができる。触媒の第2の混合物は、別個の混合容器内で予備混合されることができ、追加的重合開始剤を含有することができる。例えば、追加的重合開始剤は、第1の触媒混合物において使用された同一の重合開始剤であり得る。この追加的重合開始剤は、t−ブチルペルオクトエートなどの触媒の単一であることができる。この追加的重合開始剤は、t−ブチルペルオクトエートとt−ブチルペルオキシベンゾエートなどの触媒の混合物であることも可能である。触媒は、連続相の実質的に非水性の溶媒、例えば、触媒の第1の混合物中に存在する同一の連続相の溶媒(例えば、Nytex 5130またはMagie N−40油)と混合されることができる。例えば、触媒の第2の混合物は、反応混合物の重量に基づいて、0.1重量%、0.25重量%、0.5重量%、0.75重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、4重量%、4.5重量%または5重量%などの、5重量%または約5重量%までの量で添加されることが可能である。
添加される場合、触媒の補足的混合物は、ゆっくりと添加されることができ、例えば、この混合物は、反応容器に滴加され得る。次いで、反応容器は、ある時間にわたって同一の時間、例えば、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃または140℃などの85〜140℃で保持されることができる。第1の反応容器が保持され得る時間期間は、1、2、3または4時間など、1〜4時間の間で変化することが可能である。例えば、この反応は、3時間または約3時間にわたって進行させることが可能である。
触媒の捕捉的混合物が、第1の反応容器に添加されかつ3時間などの所定の時間で保持された後に、反応容器内の組成物の粘度が調整され得る。例えば、粘度は、例えば、水、アルコール、アルカリ化合物、アミンまたはこれらの組み合わせなどのレオロジー調整成分を反応容器にゆっくりと添加することによって増加され得る。レオロジー調整成分の添加は、インクの重量に基づいて15重量%〜60重量%などの比較的大量のNADのインクへの添加が、インクの所望の粘度範囲に悪影響を及ぼすことがないように、得られるNADの粘度を増加させる
レオロジー調整成分としてまたはその中で使用され得るアルコールは、例えば、イソプロパノール(イソプロピルアルコール)、ブタノール、エタノールおよびメタノールなどのC1〜C6アルコールであることができる。レオロジー調整成分としてまたはその中で使用され得る好適なアルカリ化合物としては、金属水酸化物が挙げられる。例示的金属水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カルシウムが挙げられる。レオロジー調整成分としてまたはその中で使用され得る例示的アミンは、一級アミン(例えば、エチルアミン)、二級アミン(例えば、ジエチルアミン)または三級アミン(例えば、トリエチルアミン)であることができる。例えば、レオロジー調整成分は、水、アルコール、アルカリ化合物およびアミンの混合物を含有することができる。例示的レオロジー調整成分は、水、85重量%の水酸化カリウムなどの水酸化カリウム、イソプロパノールおよびジエチルアミンを含有する。
レオロジー調整成分は、一般的に水を含有する。しかしながら、このレオロジー調整成分は、比較的高温で添加され得るために、レオロジー調整成分の大部分は留去され得て、結果として実質的に非水性の生成物が得られる。得られるNAD生成物は、NAD組成物の重量に基づいて、通常、2.0重量%以下の水分を含有することが可能であり、一般的には1.0重量%以下であるが、0.5重量%以下の水分も含有することも可能である。得られるNAD生成物は、この組成物の重量に基づいて、0.001重量%〜1重量%、0.005重量%〜0.5重量%、または0.025重量%〜0.25重量%、もしくは0.01重量%〜0.1重量%の間である水分量を含有することができる。
本明細書で提供されるアクリルシェルポリマーおよびNAD中で使用され得るレオロジー調整成分における構成成分の好ましい混合物は、水、水酸化カリウム(85重量%の水酸化カリウムなど)、イソプロパノールおよびジエチルアミンを含有する。
本明細書で提供されるアクリルコアポリマーの合成において、反応混合物の重量でのパーセンテージ(%)(重量%)としてのレオロジー調整成分の総量は、例えば、反応混合物の重量に基づいて、0.01重量%〜0.1重量%、0.01重量%〜0.2重量%、0.01重量%〜0.3重量%、0.01重量%〜0.4重量%、0.01重量%〜0.5重量%、0.01重量%〜0.6重量%、0.01重量%〜0.7重量%、0.01重量%〜0.8重量%、0.01重量%〜0.9重量%、0.01重量%〜1.0重量%、0.01重量%〜1.1重量%、0.01重量%〜1.2重量%、0.01重量%〜1.3重量%、0.01重量%〜1.4重量%、0.01重量%〜1.5重量%、0.01重量%〜1.6重量%、0.01重量%〜1.7重量%、0.01重量%〜1.8重量%、0.01重量%〜1.9重量%、0.1重量%〜0.2重量%、0.1重量%〜0.3重量%、0.1重量%〜0.4重量%、0.1重量%〜0.5重量%、0.1重量%〜1.0重量%、0.1重量%〜1.5重量%、0.1重量%〜2.0重量%、0.5重量%〜1.0重量%、0.5重量%〜1.1重量%、0.5重量%〜1.2重量%、0.5重量%〜1.3重量%、0.5重量%〜1.4重量%、0.5重量%〜1.5重量%、0.5重量%〜1.6重量%、0.5重量%〜1.7重量%、0.5重量%〜1.8重量%、0.5重量%〜1.9重量%、0.5重量%〜2.0重量%、1.0重量%〜1.1重量%、1.0重量%〜1.2重量%、1.0重量%〜1.3重量%、1.0重量%〜1.4重量%、1.0重量%〜1.5重量%、1.0重量%〜1.6重量%、1.0重量%〜1.7重量%、1.0重量%〜1.8重量%、1.0重量%〜1.9重量%、1.0重量%〜2.0重量%、1.2重量%〜1.3重量%、1.2重量%〜1.4重量%、1.2重量%〜1.5重量%、1.2重量%〜1.6重量%、1.2重量%〜1.7重量%、1.2重量%〜1.8重量%、1.2重量%〜1.9重量%、1.2重量%〜2.0重量%、1.5重量%〜1.6重量%、1.5重量%〜1.7重量%、1.5重量%〜1.8重量%、1.5重量%〜1.9重量%、1.5重量%〜2.0重量%、1.7重量%〜1.8重量%、1.7重量%〜1.9重量%、1.7重量%〜2.0重量%、1.8重量%〜2.0重量%、および1.9重量%〜2.0重量%などの0.001重量%または約0.001重量%〜2重量%の間であることができる。一般的に、反応混合物は、2.0重量%未満のレオロジー調整成分を含有する。例えば、本明細書で提供される反応混合物は、反応混合物の重量に基づいて、0.01重量%または約0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.25重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.75重量%、0.8重量%、0.重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.25重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.75重量%、1.8重量%、1.9重量%または2.0重量%である量でレオロジー調整成分を含有することができる。一般的に水を含むレオロジー調整成分は、120℃または約120℃などの高温で反応容器に添加され得るために、反応中にレオロジー調整成分からの水は留去され得るので、アクリルポリマーおよび/または反応混合物中に存在する水の総残留量は減少する。
レオロジー調整成分の構成成分は、別個の容器内で予備混合され得、発生する可能性があるいずれの泡立ちも制御するために、反応容器にゆっくりと添加され得る。レオロジー調整成分の添加後に、反応容器は、同一の温度(例えば、100℃〜140℃)で、例えば120℃でまたは約120℃で、1〜4時間にわたって、(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5または4時間)、1時間または約1時間などにわたって保持されることができる。
レオロジー調整成分の添加により、レオロジー調整成分を添加せずに調製されたNADと比較する場合、増加した粘度を有するNADが得られる。本明細書で記載されるレオロジー調整成分の添加なしに調製されたNADは、相当低い粘度を有する。例えば、本明細書で記載されるレオロジー調整成分の添加なしに調製されると、得られるNADの粘度は、50秒−1の剪断速度で10Pa・s未満(TA Instruments AR 100回転式粘度計で測定されたような)であり得る。本明細書に記載されるレオロジー調整成分の添加により、50秒−1の剪断速度で10Pa・sまたは約10Pa・s〜150Pa・sまたは約150Pa・sの粘度を有するNADが得られる。NADの粘度は、50秒−1の剪断速度で、10Pa・s、15Pa・s、20Pa・s、25Pa・s、30Pa・s、35Pa・s、40Pa・s、45Pa・s、50Pa・s、55Pa・s、60Pa・s、65Pa・s、70Pa・s、75Pa・s、80Pa・s、85Pa・s、90Pa・s、95Pa・s、100Pa・s、110Pa・s、120Pa・s、130Pa・s、140Pa・sまたは150Pa・sを超えることができる。NADの粘度は、50秒−1の剪断速度で、10Pa・s〜40Pa・s、または20Pa・s〜50Pa・s、または30Pa・s〜60Pa・s、または40Pa・s〜80Pa・s、または50Pa・s〜90Pa・s、または60Pa・s〜100Pa・s、または70Pa・s〜120Pa・s、または80Pa・s〜130Pa・s、もしくは100Pa・s〜150Pa・sの範囲であることが可能である。
反応混合物は、残留するアクリルモノマーまたは他のコモノマーの存在に関して監視されることが可能である。反応混合物は、当業者に既知の任意の方法によって監視され得る。使用され得るクロマトグラフィーの例示的方法は、ガスクロマトグラフィーである。残留モノマーの所望のレベルが達成されるまで、反応が進行される。このレベルは、存在するモノマーの初期値の5重量%未満、または1重量%未満、または0.5重量%未満、もしくは0.1重量%未満であることができる。
残留モノマーの所望のレベルに到達した後に、反応容器が冷却され、得られたアクリルコア/シェルポリマーを放出させる。例えば、反応容器は、30℃〜90℃の間の温度に冷却され得る。反応容器は、室温にまたはほぼ室温まで冷却され得る。例えば、反応は、20℃〜25℃に冷却されることができる。
アクリルコア/シェルポリマー粒子の粒径は、NADが平版印刷用インクに添加される場合、最終的印刷用インク特性に影響を及ぼす可能性がある。大き過ぎるアクリルコア/シェルポリマー粒子は、平版印刷用インクの低い光沢レベルに導く可能性があり、一方小さ過ぎるアクリルコア/シェルポリマー粒子は、平版印刷用インクの即時耐摩擦性および高速変換特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
反応条件および反応体は、アクリルコア/シェルポリマー粒子の初期粒径に影響を及ぼし得る。例えば、コア/シェルポリマー形成中の反応温度は、コア/シェルポリマー粒径に測定可能な影響を有する。上昇する反応温度と、減少する得られたコア/シェルポリマー粒径との相関性が存在することが観察されている。反応温度が上昇するにつれて、得られるアクリルコア/シェルポリマーの粒径が減少する。85℃または約85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃または140℃などの85℃〜140℃の間の反応温度、3または4時間などの1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5または5時間などの1〜5時間の間の時間期間は、典型的にはアクリルコア/シェルポリマーの90%が3ミクロン未満であるようなアクリルコア/シェルポリマーを一般的にもたらす。特に、120℃または約120℃またはそれ以上の反応温度では、アクリルコア/シェルポリマーの粒子の約50%またはそれ以上が、1.5ミクロン未満である。
アクリルコアポリマーおよび/またはアクリルシェルポリマー内に存在するアルキルメタクリレートモノマーの量と粒径との間には直接相関が存在する。アクリルコアポリマーおよび/またはアクリルシェルポリマー中のアルキルメタクリレートモノマー、特にメチルメタクリレートの量が増加するにつれて、コア/シェルポリマー粒子の平均粒径が増加するので、より高いメチルメタアクリレートのレベルは、より大きな粒子のために有効である。
粒径および粒径分布が、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して分析され得る。例えば、体積平均粒径は、Coulter Counter(商標)粒径分析器(Beckman Coulter Inc.により製造)を使用して測定されることができる。中央値粒径もまた、従来のレーザー回折技術を使用して測定されることができる。例示的レーザー回折技術は、Mastersizer 2000粒径分析器(Malvern Instruments LTD.,Malvern,rcestershire、United Kingdom)を使用し、特にHydro S小容量汎用自動化サンプル分散ユニットを使用する。粒子計測の全ての機能は、標準操作手順指示を介する全自動操作で、または画面上の操作ダイアログを介する手動操作のいずれかで、システムソフトウェアによって制御され得る。例示的方法では、評価されるNADサンプルがシクロヘキサンで希釈され、粒子を分散させて、1.55の屈折率が使用される。サンプルの希釈後に、サンプルが3500rpmまで撹拌され、適切なレーザーオブスキュレーションを達成し、粒径がレーザー回折を使用して測定され、粒径分布曲線ならびに体積中央径に対するデータ、D(v、0.5)(これは分布の50%が以上であり、分布の50%が以下であるような直径、D(v,0.9)値(これは体積分布の90%がこの値以下である)、およびD(v、0.1)(体積分布の10%がこの値以下である)を作成する。粒径のスパンも、この10%、50%および90%分位点に基づく分布の幅に基づいて決定されることができる。
動的光散乱(DLS)法を利用するZetasizer Nano ZS装置)(Malvern InstrumentaLTD.,Malvern,rcestershire,United Kingdom)を使用して、平均粒径もまた測定されることが可能である。このDLS法は、Stokes−Einsteinの関係を使用して、粒子からのレーザー光の散乱を観測すること、このレーザー光の散乱から拡散速度を決定しならびにサイズを誘導することから実質的になる。
NAD中のアクリルコア/シェルポリマーの粒径の分析は、典型的には、NAD中のアクリルコア/シェルポリマーの粒子の90%が、3マイクロメートル未満であることを示す。特に、NAD中のアクリルコア/シェルポリマーの粒子の50%が、1マイクロメートル未満または1マイクロメートル未満である。いくつかの例では、NAD中のアクリルコア/シェルポリマーの粒子の50%を超えるものが、1マイクロメートル未満である。NAD中のアクリルコア/シェルポリマー粒子の平均粒径は、300nmまたは約300nm〜1300nmまたは約1300nmの範囲であることができる。特に、NAD中のアクリルコア/シェルポリマー粒子の平均粒径は、300nmまたは約300nm〜600nmまたは約600nm、もしくは400nmまたは約400nm〜800nmまたは約800nm、もしくは500nmまたは約500nm〜900nmまたは約900nm、もしくは600nmまたは約600nm〜1200nmまたは約1200nmの範囲であることが可能である。
アクリルコア/シェルポリマーにおけるアクリルコアポリマーおよびアクリルシェルポリマーの量が決定された。アクリルコアポリマーおよびアクリルシェルポリマーの量を決定するよう使用され得る当該技術分野で既知の任意の方法が、使用されることができる。分光分析法が、当該技術分野において通常使用される。例えば、Wangら著、(eXPRESS Polymer Letters 4(11):670〜680(2010))は、フーリエ変換赤外(IR)測定を使用する、コア/シェルポリマーを特性化する方法を記載している。Feiら著(Chalcogenide Letters8(8):499〜504(2011))は、IR分光光度計分析を使用するコア/シェルポリマーのスペクトル特性化を記載している。Auguiarら著(Macromolecules 32(20):6767〜6711(1999)は、透過式電子顕微鏡、動的機械熱分析光散乱、IR分光光度計および示差走査熱量計を使用するコア/シェルポリマーの特性化を記載している。分光光度計分析については、Golden Gateダイヤモンド結晶ミクロ減衰全反射(ATR)装置または浸漬透過反射プローブを備えるThermo Nicolet Magna 550が使用され得る。近赤外分光分析法(NIR)については、Foss XDS NIR分光光度計が、存在するアクリルコアポリマーおよびアクリルシェルポリマーの量を決定するためにポリマー粒子を分析するよう使用され得る。分析はまた、FOSS XDS Interactance OptiProbe(登録商標)Analyzerなどの自動化または反応のモニタリングのためのソフトウェアを含んでもよい。当該技術分野で既知のソフトウェアが、分光光度計データを評価するよう使用され得る。例示的ソフトウェアとしては、TQ Analyst(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)、Unscrambler(登録商標)X(CAMO Software AS,odbridge,NJ)およびirAnalyzeソフトウェア(LabCognition,Ft.Myers,FL)が挙げられる。
NAD中のアクリルコア/シェルポリマー粒子は、アクリルコア/シェルポリマー粒子の重量に基づいて、15または約15重量%〜75または約75重量%、もしくは20または約20重量%〜60または約60重量%のアクリルコアポリマーを含有することが可能である。NAD中のアクリルコア/シェルポリマー粒子は、アクリルコア/シェルポリマーの重量に基づいて、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%または75重量%のアクリルコアポリマーを含有することができる。
NAD中のアクリルコア/シェルポリマー粒子は、アクリルコア/シェルポリマー粒子の重量に基づいて、15または約15重量%〜75または約75重量%、もしくは20または約20重量%〜60または約60重量%のアクリルシェルポリマーを含有することが可能である。NAD中のアクリルコア/シェルポリマー粒子は、アクリルコア/シェルポリマーの重量に基づいて、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%または75重量%のアクリルシェルポリマーを含有することができる。
このアクリルコア/シェルポリマー粒子は、0.6または約0.6〜2.0または約2.0の平均コア対シェル比を有することができる。例えば、62.2%のアクリルコアポリマーと37.8%のアクリルシェルポリマーを含有するアクリルコア/シェルポリマー粒子は、約1.65のコア/シェル比を有する。40%のアクリルコアポリマーと60%のアクリルシャエルポリマーを含有するアクリルコア/シェルポリマー粒子は、約0.67のコア/シェル比を有する。アクリルコア/シェルポリマー粒子は、0.60または約0.6〜1.65または約1.65、もしくは0.97または約0.97〜1.24または約1.24、もしくは1.00または約1.00〜1.70または約1.70、もしくは1.50または約1.50〜1.90または約1.90の平均コア対シェル比を有することができる。好ましいコア/シェル比としては、1.20と1.80の間、または1.30と1.70の間、または1.40と1.65の間、もしくは1.55と1.75の間の比が挙げられる。NADのアクリルコア/シェルポリマー粒子は、1.0、1.025、1.05、1.075、1.1、1.125、1.15、1.175、1.2、1.225、1.25、1.275、1.3、1.325、1.35、1.375、1.4、1.425、1.45、1.475、1.5、1.525、1.55、1.575、1.6、1.625、1.65、1.675または1.7の平均コア対シェル比を有することができる。
NAD組成物は、NADの重量に基づいて15または約15〜35または約35重量%のアクリルコアポリマーと、NADの重量に基づいて15または約15重量%〜35または約35重量%のアクリルシェルポリマーを含有する実質的に非水性の有機溶媒を含有することができる。アクリルコアポリマーとアクリルシェルポリマーは、NAD中に分散されるアクリルコア/シェルポリマー粒子を構成することが可能である。NADは、NADの重量に基づいて、30または約30重量%〜70または約70重量%のアクリルコア/シェルポリマー粒子を含有し得る。このNADは、NADの重量に基づいて、30または約30重量%〜70または約70重量%のアクリルコア/シェルポリマー粒子を含有し得る。このNADは、NADの重量に基づいて、30または約30重量%〜70または約70重量%の実質的に非水性の有機溶媒を含有し得る。
このNAD組成物は、レオロジー調整成分を含んでもよい。例示的レオロジー調整成分は、一般的に、水、アルコール、アルカリ化合物、アミンまたはこれらの混合物を含有する。好ましいレオロジー調整成分は、水、水酸化カリウム、イソプロパノールおよびジエチルアミンの混合物を含有する。アミンに対するアルカリ化合物の比は、0.66〜1.5の間であるかまたは0.75〜1.25の間であり得る。アミンに対する水の比は、2〜16の間であるか、または3〜9の間であり得る。アルコールに対する水の比は、3〜15の間であるかまたは4〜12.5の間であり得る。
レオロジー調整成分は、NAD組成物の重量に基づいて、0.001または約0.001重量%〜5重量%の量でNAD中に存在することが可能である。NAD組成物は、NAD組成物の重量に基づいて、0.001重量%、0.005重量%、0.01重量%、0.025重量%、0.05重量%、0.075重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、3.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%または5.0重量%のレオロジー調整成分を含有することができる。
予備形成されたポリマー
NADは、連続相の実質的に非水性の溶媒中に可能性である予備形成されたアクリルシェルポリマーを選択することによって、次いで実質的に非水性の溶媒中に不溶性であるが、シェルポリマー中に可溶性であるアクリルコアポリマーを形成するよう選択されるモノマーからアクリルコアポリマーを生じさせることによって調製され得る。85℃〜140℃の間などの上昇した温度で、実質的に非水性の溶媒中で、予備形成されたアクリルシェルポリマーをアクリルコアポリマーに反応させることによって、アクリルコアポリマーは、アクリルシェルポリマーと好ましく相互作用してコア/シェルポリマー、特にコア/シェルポリマー粒子を形成し、連続相の実質的に非水性の溶媒中でコア/シェルポリマーの分散物を生じさせる。
予備形成されたアクリルシェルポリマーの選択において、炭化水素鎖と、カルボキシル基、ヒドロキシル基またはビニル基などの1つ以上の官能基を含有する1つ以上のモノマーまたはコモノマー単位を含有する1つ以上のモノマーまたはコモノマー単位を含むポリマーが好ましい。予備形成されたアクリルシェルポリマー中に存在し得るカルボキシル基を含有する例示的モノマー単位は、アクリル酸および置換アクリル酸(例えば、n−ブチルアクリレート)、メタクリル酸および置換メタクリル酸(例えば、イソブチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、メチルメタクリレート、およびn−ブチルメタクリレート)、イタコン酸および置換イタコン酸、ならびにマレイン酸および置換マレイン酸である。このモノマー単位は、ヒドロキシル基を含有することができる。予備形成されたアクリルシェルポリマー中に存在し得るヒドロキシル基を含有する例示的モノマー単位としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートおよび2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが挙げられる。好ましくは、予備形成されたアクリルシェルポリマーは、モノマー単位として、1つ以上のC1〜C12アルキルメタクリレートを含むよう選択される。シェルポリマー中に存在し得る例示的C1〜C12アルキルメタクリレートは、イソブチルメタクリレートおよびドデシルメタクリレートである。
選択され予備形成されたアクリルシェルポリマーは、85または約85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、120℃、125℃、130℃、135℃または140℃などの85℃〜140℃に加熱された反応容器内の連続相の実質的に非水性の溶媒に添加され得、反応容器に、上記のアクリルモノマーの混合物と触媒の混合物とを添加することによって、ある時間にわたって、インサイチューで合成され得、この合成されたアクリルコアポリマーは、連続相の実質的に非水性の溶媒中に不溶性であり、連続相からアクリルシェルポリマーへと移動し、「それを中に充填し」、コア/シェルポリマー粒子の分散物を生成する。
この組成物の粘度は、反応混合物に、例えば水、アルコール、アルカリ化合物、アミンまたはこれらの組み合わせなどのレオロジー調整成分をゆっくりと添加することによって修正され得る。レオロジー調整成分の添加は、インクの重量に基づいて15重量%〜60重量%などの比較的大量のNADの添加が、インクの所望の粘度に悪影響を及ぼすことがないように、得られるNADの粘度を増加させる。
レオロジー調整成分として、またはレオロジー調整成分中で使用され得るアルコールは、例えば、イソプロパノール(イソプロピルアルコール)、ブタノール、エタノールおよびメタノールなどのC1〜C6アルコールであることができる。レオロジー調整成分として、またはレオロジー調整成分中で使用され得る好適なアルカリ化合物としては、金属水酸化物が挙げられる。例示的金属水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カルシウムが挙げられる。レオロジー調整成分として、またはレオロジー調整成分中で使用され得る例示的アミンは、一級アミン(例えば、エチルアミン)、二級アミン(例えば、ジエチルアミン)または三級アミン(例えば、トリエチルアミン)であることが可能である。例えば、レオロジー調整成分は、水、アルコール、アルカリ化合物およびアミンの混合物を含有することができる。例示的レオロジー調整成分は、水、85重量%の水酸化カリウムなどの水酸化カリウム、イソプロパノールおよびジエチルアミンを含有する。
このNADはまた、連続相の実質的に非水性の溶媒中に可溶性である予備形成されたアクリルシェルポリマーを選択し、ならびに連続相の実質的に非水性の溶媒中に不溶性である予備形成されたアクリルコアポリマーを選択することによっても調製されることが可能である。連続相の実質的に非水性の溶媒中で、85℃〜140℃の間などの上昇した温度で、予備形成されたアクリルシェルポリマーを、予備形成されたアクリルコアポリマーに反応させることによって、アクリルコアポリマーは、アクリルシェルポリマーと好ましく相互作用し、連続相の実質的に非水性の溶媒からアクリルシェルポリマーへと移動し、コア/シェルポリマー、特にコア/シェルポリマー粒子を形成し、連続相の実質的に非水性の溶媒中においてコア/シェルポリマーの分散物を生成する。
この調製法に関する予備形成されたアクリルシェルポリマーの選択において、炭化水素鎖と、カルボキシル基、ヒドロキシル基またはビニル基などの1つ以上の官能基を含有する1つ以上のモノマーまたはコモノマー単位を含有する1つ以上のモノマーまたはコモノマー単位を含むアクリルポリマーが好ましい。予備形成されたアクリルシェルポリマー中に存在し得るカルボキシル基を含有する例示的モノマー単位は、アクリル酸および置換アクリル酸(例えば、n−ブチルアクリレート)、メタクリル酸および置換メタクリル酸(例えば、イソブチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、メチルメタクリレート、およびn−ブチルメタクリレート)、イタコン酸および置換イタコン酸、ならびにマレイン酸および置換マレイン酸である。このモノマー単位は、ヒドロキシル基を含有することができる。予備形成されたアクリルシェルポリマー中に存在し得るヒドロキシル基を含有する例示的モノマー単位としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートおよび2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが挙げられる。好ましくは、予備形成されたアクリルシェルポリマーは、モノマー単位として、1つ以上のC1〜C12アルキルメタクリレートを含むよう選択される。シェルポリマー中に存在し得る例示的C1〜C12アルキルメタクリレートは、イソブチルメタクリレートおよびドデシルメタクリレートである。
この調製法に関する予備形成されたアクリルコアポリマーの選択において、C1〜C6アルキルメタクリレートおよび/またはC1〜C6アルキルアクリレートなどの炭化水素鎖を含有する1つ以上のモノマーまたは子モノマーを含むアクリルポリマーが好ましい。予備形成されたアクリルコアポリマーは、これが連続相の実質的に非水性の溶媒中に不溶性であるが、上記選択されたアクリルシェルポリマー中で可能性であるよう選択され、これは連続相の実質的に非水性の溶媒中で可溶性であり、連続相の実質的に非水性の溶媒中でアクリルコア/シェルポリマーの粒子を形成する。C1〜C6アルキルメタクリレートを含有する例示的モノマー単位としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレートおよびn−ブチルメタクリレートが挙げられる。C1〜C6アルキルアクリレートを含有する例示的モノマー単位としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレートおよびn−ブチルアクリレートが挙げられる。
選択され予備形成されたアクリルシェルポリマーは、85または約85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、120℃、125℃、130℃、135℃または140℃などの85℃〜140℃に加熱された反応容器内の連続相の実質的に非水性の溶媒に添加され得、ならびに選択され予備形成されたアクリルコアポリマーは、反応混合物の温度を85℃〜140℃の間に維持または戻しながら、反応混合物に添加され得る。選択され予備形成されたアクリルコアポリマーは、連続相の実質的に非水性の溶媒中に不溶性であるが、アクリルシェルポリマーに可溶性であるために、アクリルコアポリマーが連続相の実質的に非水性の溶媒からアクリルシェルポリマーへと移動し、「それを中に充填し」、コア/シェルポリマー粒子の分散物を生成する。
NAD組成物の粘度は、反応混合物に、例えば水、アルコール、アルカリ化合物、アミンまたはこれらの組み合わせなどのレオロジー調整成分を添加することによって増加され得る。レオロジー調整成分として、またはレオロジー調整成分中で使用され得るアルコールは、例えば、イソプロパノール(イソプロピルアルコール)、ブタノール、エタノールおよびメタノールなどのC1〜C6アルコールであることができる。レオロジー調整成分として、またはレオロジー調整成分中で使用され得る好適なアルカリ化合物としては、金属水酸化物が挙げられる。例示的金属水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カルシウムが挙げられる。レオロジー調整成分として、またはレオロジー調整成分中で使用され得る例示的アミンは、一級アミン(例えば、エチルアミン)、二級アミン(例えば、ジエチルアミン)または三級アミン(例えば、トリエチルアミン)であることが可能である。例えば、レオロジー調整成分は、水、アルコール、アルカリ化合物およびアミンの混合物を含有することができる。例示的レオロジー調整成分は、水、水酸化カリウム、イソプロパノールおよびジエチルアミンを含有する。
上述のNADおよびその合成ならびに調製は、本発明の印刷インク配合物における好ましい実施形態を表わしているが、他のNAD、NADを調製する他の方法、および従来の方法で調製されたNADが、良好な印刷、凝固および乾燥特性を有する印刷用インク組成物を生成するために、単独で使用され得るかまたは上述のNADと組み合わせて使用され得ると考えられることに留意すべきである。
E.平版印刷用インク
このNADは、平版印刷用インクに組み込まれることが可能である。本発明の1つ以上のNADを含有する平版印刷用インクは、通常、少なくとも1つの色素を含み、その性質は本発明には重要ではなく、当業者に周知のこれら色素のいずれかから選択され得る。一般論としていえば、平版印刷用インクは、低表面張力を有し、撥水性であり、ならびにフォント溶液で乳化することが可能でなければならない。オフセット平版印刷用の印刷インクの配合物は周知であり、当該技術分野でかなり詳細に説明されている。例えば、The Printing Ink Manual(第5版、Leachら編集)(2009)、ならびに米国特許第5,382,282号、同第5,725,646号および第6,489,375号を参照されたい。
1.シートフィード印刷用インク
NADを含むよう配合され得る平版印刷用インクの1つの部類は、シートフィード印刷用インクである。NADは、従来のシートフィード印刷用インクおよび水無しタイプ印刷シートフィード印刷用インクに組み込まれ得る。シートフィード平版印刷プロセスを使用して、基材を印刷する場合、所望の印刷光沢および印刷解像度が達成されるために、シートフィード印刷用インクを基材中および基材上に沈降させると同時に、新たに印刷されたシートをできるだけ迅速に更に処理することが可能であることが望ましい。
フィードシート印刷用途に配合された平版印刷用インクは、従来および水無しタイプ印刷シートフィード印刷インクの双方で、一般的に、空気と反応して乾燥する1つ以上の成分を含む。従来のオフセットシートフィード印刷用インクは、通常、空気中の酸素と反応し、シートフィード印刷用インクが基材上に印刷され、最終的に印刷されたインクを経時的に硬化させる場合に、最初にインク皮膜の表面上に皮膜を形成する樹脂および/または乾性油を含有する。
シートフィード印刷用インクは、酸化物−重合プロセスの結果として、通常、凝固および乾燥する。インク皮膜を包囲する酸素は、インク系中に存在する遊離C=C二重結合と反応し、これが高分子量ポリマーの形成を可能にする。この化学的乾燥プロセスは、金属触媒(金属乾燥剤)の添加によって補助され得る。金属触媒の不在下では、このプロセスは、非常にゆっくりであり、インク配合物に応じて、どこでも数日から数週間続く可能性がある。乾燥がゆっくりの場合、シートフィード印刷用インクは、印刷された基材上で適切に凝固しない。シートフィード平版印刷プロセスにおいて、印刷された紙は、互いに積層されるので、シートフィード印刷用インクが適切に凝固されない場合、1枚のシートからの印刷用インクが、次の紙の裏側表面に移る可能性がある。
金属触媒(金属乾燥剤)の導入は、凝固および乾燥プロセスを著しく増加させ、印刷用インク皮膜を、どこであっても数時間から1日または2日までで凝固かつ乾燥させる。しかしながら、金属触媒を含有するシートフィード印刷用インクは、2つの主な欠点を有する。第1に、シートフィード印刷用インクは、時間の浪費でありかつコスト高となる頻繁な印刷機の洗浄を必要とする可能性がある、印刷機上で早期重合する傾向があり、または印刷用インクの消耗および汚染の可能性に導く、通常表皮形成の形態での貯蔵容器内の早期重合の傾向があることである。第2に、金属触媒は、関連する毒性問題のために、一般的に使用者に優しくないことである。印刷工程後に電子ビーム切断またはUV照射が使用されれば、加速された乾燥が可能であり得るが、両適用共に特別な印刷用インクおよび特別な装置を必要とし、これがシートフィード印刷プロセスにおける更なるコストおよび問題を生じる可能性がある。
本明細書において、改善された耐摩擦性によって証明されるような、シートフィード平版印刷プロセスを使用するシートフィード適用および印刷のために配合されたNADを含有する、従来のシートフィード印刷用インク組成物および水無しタイプ印刷シートフィード印刷用インク組成物の凝固および乾燥を改善するための組成物および方法が提供される。NAD、特に本明細書で提供されるNADの重量に基づいて、11または約11重量%〜60重量%、もしくは12または約12重量%〜50重量%、好ましくは25または約25重量%〜35または約35重量%であるNADの量の包含は、金属触媒が排除され得る印刷されたインク皮膜の十分な凝固乾燥および機械的耐性を付与する。凝固および乾燥ならびに耐摩擦性特性を改良するために、NADを金属触媒を含有するシートフィード印刷用インク組成物に組み込むことも可能であるが、好ましい実施形態は、それが金属触媒の必要がなく許容可能な時間で凝固かつ乾燥するシートフィード印刷用インク組成物中に十分なNADを導入するためのものである。別の実施形態において、シートフィード印刷用インク組成物中に含まれるNADの量は、インク組成物の重量に基づいて、15重量%を超えるまたは20重量%を超えるなどの11重量%を超えるレベルで、もしくは25重量%〜60重量%の間のレベルで維持されることが可能であるか、または乾燥剤を完全に排除するよりはむしろ金属乾燥剤の低減されたレベルまたは低減された量が使用され得る。実施例で立証されるように、15重量%〜60重量%のNADを含有し、かつ金属乾燥剤または酸化防止剤を含有しないシートフィード印刷用インクは、乾燥剤および酸化防止剤を含有する匹敵する標準シートフィード印刷用インクに等しいまたはこれよりも良好な、15分などの印刷直後、ならびに1時間、2時間、および24時間後の耐摩擦性値を呈する。乾燥剤を含まないシートフィード印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に基づいて、15重量%〜60重量%の間のNADを含有するよう配合され得、このようなシートフィード印刷用インク組成物は、具体的には測定された耐摩擦性としての良好な凝固および乾燥特性を呈する。
本明細書で更に、許容可能な耐摩擦性によって表現されるような、適切に凝固および乾燥させるための金属触媒またはその等価物を必要としない、NADを含有する従来のシートフィード印刷用インク組成物および水無しタイプ印刷シートフィード印刷用インク組成物が提供される。このシートフィード印刷用インク組成物は、50s−1の剪断速度で20Pa・s〜150Pa・sの粘度、または50s−1の剪断速度で40Pa・s〜100Pa・sの粘度を有することによって特性化され得る。この粘度は、AR 1000回転式粘度計(TA Instruments,New Castle,Delaware,米国)を使用して測定され得る。このインク組成物はまた、24時間後の2未満の範囲の耐摩擦性、および/または2時間後の2未満の範囲の耐摩擦性、および/または15分後の2未満の耐摩擦性を呈することによって特性化され得る。
国際公開第2009/155201号および同第2011/014826号において、コア/シェルポリマー粒子の非水性分散物の使用が記載されている。国際公開第09155201号は、金属乾燥剤を併せてのNADの添加が、シートフィードオフセット印刷インクの乾燥速度を増加させることが可能であることを述べている。しかしながら、インクの重量に基づいて15重量%までのNADの量に実施例は限定されていて、インクを重合するために金属触媒を使用する。国際公開第2011/014826号は、非水性分散物の臭気を軽減することを述べていて、更にコア/シェルポリマーのその非水性分散物が、10重量%のレベルで標準シートフィード印刷用インクに組み込まれ得ることを記載している。国際公開第2011/014826号は、このようなシートフィード印刷用インクの例およびそれらの使用を提供していない。
NADは、相当低い粘度(例えば、TA Instrumenta AR 1000回転式粘度計で測定されるような、50s−1の剪断速度で約10Pa・s)を頻繁に呈する。この低い粘度を有するNADをシートフィード印刷用インクに増加したレベルで導入することは、平版印刷シートフィード印刷プロセスで使用される場合、得られる印刷用インクが良好な性能のために十分に粘性ではあり得ないために、非実際的である得る。好ましい実施形態では、本出願のシートフィード印刷用インクで使用されるNADは、より高い粘度を有するよう(例えば、50s−1の剪断速度で20または約20Pa・s〜150または約150Pa・s)修正される。より粘性のNADを使用することによって、より多量のNADを、シートフィード印刷用インク組成物の最終粘度を著しく低下させることなくシートフィード印刷用インク組成物中に包含させることができる。このことが、配合者が完成したシートフィード印刷用インク内の総NAD含量を、インク組成物の重量に基づいて、16または約16重量%〜60重量%、より好ましくは25または約25重量%〜35重量%などの、インク組成物の重量に基づいて、11重量%を超える、または15重量%のレベルまで増加させることを可能にすることで、得られる印刷用インクが、良好なシートフィード平版印刷プロセス性能のための粘度伝導性を有し、これが急速に凝固し、金属乾燥剤の必要なく増加した耐摩擦性によって証明されるような明確な乾燥が得られる。
上述したように、NADの粘度を増加させる1つの方法は、水、水酸化アルカリ、アルキルアミンおよびアルコールなどの水、アルコール、アルカリ化合物またはアミンもしくはこれらの混合物などのレオロジー調整成分を、アクリルコア/シェルポリマー粒子の重合または形成中に導入することである。当該技術分野で既知である、ポリマー粒子の非水性分散物の粘度を増加させるための任意の他の方法もまた、使用され得る。
NADを組み込む従来のシートフィード印刷用インク組成物および水無しタイプ印刷シートフィード印刷用インク組成物は、当該技術分野で既知の任意の方法によって調製され得る。例えば、色素、アルキド樹脂、およびワニスが、ミキサーまたは振動シェーカー装置を使用して予備混合され得る。次いで、この混合物が粉砕されかつ分散される。任意の市販された装置が、成分を混合しかつ分散するよう使用されることができる。このような器具および装置の例としては、攪拌ミル、アトリッター摩砕ミル、ボールミル、Cobol(商標)ミル、コロイドミル、Dyno(登録商標)ミル、フロージェットミル、高速分散機、ホモゲナイザー、Microfluidizer(登録商標)、パールミル、砂破砕機、サンドミル、ウルトラファインミル、三本ロール練り機、二本ロール練り機、および超音波ホメゲナイザーが挙げられ、これらは、単独で使用されることも、2つまたはそれ以上の組み合わせで使用されることも可能である。好ましくは、二本または三本ロール練り機が使用される。
粉砕加工は、所望の粒径が達成されるまで何度も繰り返し行われることが可能である。例えば、印刷用インク濃縮物を形成するために、10μm以下の粉砕物を得るよう摩砕されることができる。この粉砕加工は、約90%の粒子が10μm未満のサイズになるまで、または約90%の粒子が5μm未満のサイズになるまで、もしくは少なくとも50%の粒子が2.5μm以下のサイズになるまで実行され得る。
ワックスペースト、抗凝固(抗裏づき)ペースト、水格闘剤、乳化剤および酸化防止剤などのシートフィード印刷用インクに添加される任意の添加剤ならびにNADが、この印刷用インク濃縮物に次いで添加され得、この混合物が混合され、均質な印刷用インク組成物を産生することができる。この混合は、任意の標準混合法もしくはパドルミキサーまたは塗料用シェーカー装置などの器具を使用して実行され得る。
一般的に言えば、シートフィード平版印刷用インクは、低い表面張力を有し、撥水性であり、フォント溶液で乳化することが可能であり、ならびに従来のシートフィードオフセット平版印刷については、通常、放射なしで乾燥することが可能であるべきである。これらの非常に特殊な要求は、様々な成分の注意深い配合および選択によって満たすことができ、これは印刷用インク工業において周知である。
NADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、通常、色素を含む。含まれる色素のタイプは、配合されるインクの種類に依存する。平版印刷用インクは、典型的には、マゼンタ、イエロー、ブラック、およびシアンの4色で使用され、これらは配合され、金属的外観およびパール様外観を示す。通常の無機および有機色素のいずれかが、本発明のシートフィード印刷用インク組成物で使用され得る。本発明における使用で好適な色素としては、AAA、AAOAおよびAAOTタイプのイエロー、フタロ−シアニドBlue GS、グリーンシェードβタイプ、パーマネントレッド2Bカルシウム、リソールルビン(4B)、ローダミン YS、カーボンブラック金属修正加熱炉タイプ(アルカリブルートナーで)クロムイエロー、アイロンブルー、酸化鉄、二酸化チタン、アルミナ水和物、沈降硫酸バリウム、炭酸カルシウム、レーキ顔料、PMTAカラー、蛍光色素、金属色素、粘土、ナフトール、および他の有機色素が挙げられるが、これらに限定されない。ブラック色素が使用される場合、ブルートナーが含まれることができ、これが一般的にビヒクルの一部を置き換える。色素は、乾燥粉末、フラッシュ、プレスケーキとしてまたは分散物としてのいずれかで平版印刷シートフィード印刷用インクに添加され得る。色素フラッシュを使用する場合は、ビヒクルの一部が先ずフラッシュ分散物を調製するよう使用され得る。色素は、配合物によって分散可能な量で使用され得る。一般的には、インク内でできるだけ多量の色素を運ぶことが望ましいものであり得る。使用される典型的色素の量の典型的範囲は、印刷用インクの重量に基づいて、約10重量%〜50重量%である。
シートフィード印刷用インクは、一般的には、樹脂の酸化的重合によって、ならびに印刷のプロセス中に紙に移ることが可能な乾性油、例えばアマニ油またはヒマシ油もしくはこれらの誘導体を組み込むことによって乾燥される。シートフィードオフセット印刷用インクの乾性油の比率は、印刷用インクの重量に基づいて、約0重量%〜50重量%、または約0.5重量%〜30重量%であることができる。通常、乾燥反応は、典型的には、コバルトおよびマンガンなどの重金属の有機カルボン酸の塩、例えばコバルト/マンガンリノレート、ヘキサデコネートまたはオクトエートなどの脂肪酸塩である乾燥触媒(金属乾燥剤)の添加によって更に加速される(例えば、米国特許第5,156,674号;同第6,899,756号;同第7,811,367号を参照)。本明細書に提供されるNAD組成物の添加は、耐摩擦性によって表されるような、シートフィードインク組成物の凝固および乾燥を改善するためのシートフィード平版印刷用インク配合物中の金属乾燥剤の必要性を著しく低減または排除することが見出されている。本明細書で提供されるNADによって全体的に置き換えられなければ、金属乾燥剤は、シートフィード印刷用インク組成物中に含まれる可能性がある。この乾燥剤は、コバルトまたはマンガンもしくはコバルト/マンガンの組み合わせに基づくものなどの任意の市販の金属乾燥剤であることができる。コバルト/マンガンリノレート、ヘキサデコネートまたはオクトエートとして、多くのコバルト/マンガン乾燥剤が市販されている。概して、市販のシートフィード印刷用インクは、印刷用インクの重量に基づいて、3重量%まで、または約3重量%未満、もしくは約2.5重量%未満の量で金属乾燥剤を含有し、好ましくは約1.5重量%未満の量で含有する。シートフィード印刷用インク組成物へのNADの添加は、シートフィード印刷用インク中の金属乾燥剤を顕著に低減または排除することができる。
特定の用途にインク特性を修正するために、添加剤がシートフィード印刷用インクに導入される。これら添加剤としては、例えば、PEワックスおよび/またはPTFEワックスなどのワックス化合物、流動点降下剤、界面活性剤、乳化剤、乾燥剤(例えば、植物油を含有する配合物用)、消泡剤、抗凝固剤、平版印刷用添加剤、分散剤、溶媒、流動性向上剤、増粘剤、ミスティング防止剤、滑沢剤、抗硬化剤、加湿剤、水格闘剤、光沢増強剤、UV吸収剤、色素充填剤および/または酸化防止剤を挙げることができる。これら添加剤は、当業者には周知である。含まれる場合、添加剤は、典型的には、それらの性質に応じて、インクの少なくとも0.001重量%の量で含まれ得る。多くのシートフィード印刷用インクが、植物油を鉱油と組み合わせて、または鉱油の代わりに使用するよう配合される。鉱油が存在する場合、これらは、一般的に、260℃または260℃〜310℃または約310℃の間の範囲の沸点を有するよう選択される。平版印刷シートフィード印刷用インクの基本的特性に関する更なる詳細は、例えば、その開示が、参照により本明細書に組み込まれる、「The Printing Ink Manual」(第5版.,Leachら編集。(2009)、387〜431頁)で見ることができる。
本発明の平版印刷シートフィード印刷用インクで使用可能な樹脂としては、例えば、ロジン、ロジンエステル、マレイン酸改質樹脂、ロジン改質フマル酸樹脂、二量体化および重合ロジン、フェノール樹脂、ロジン改質フェノール樹脂、テルペン、ポリアミド、環化ゴム、アクリル樹脂、炭化水素および改質炭化水素などの天然または加工樹脂が挙げられる。利用可能な樹脂の中に更に含まれるものは、前記の「The Printing Ink Manual」で同定されている。
シートフィード印刷用インクの成分と不適切に反応しない任意の通常の酸化防止剤が使用され得る。例示的酸化防止剤としては、アスコルビン酸、アスタキサンチン、カロテン、クロマン(3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン)、ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナメート)、オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナメート、ビタミンEおよびビタミンE同類体、モノ−t−ブチルヒドロキノン(MTBHQ)およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)が挙げられる。好ましい酸化防止剤は、MTBHQおよびBHTである。一般的に、シートフィード印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に基づいて、約5重量%未満の酸化防止剤を含有することが可能であり、好ましくはインク組成物の重量に基づいて、約2.5重量%または約1.5重量%の酸化防止剤を含有し得る。
シートフィード印刷用インク組成物は、0.85〜0.91の間の密度を有する鉱油などの重質油を含有することができる。例示的重質油は、Haltermann(Channelview,TX)からのPrintosol 30/40 AP85である。概して、この組成物は、インク組成物の重量に基づいて、約10重量%未満である、好ましくは約5重量%未満または約2.5重量%未満である量で、重質油を含有することができる。
シートフィード印刷用インクは樹脂を含む。例示的樹脂としては、ロジン、コーパル、シェラック、硬化ロジンおよびロジンエステルなどの天然または改質樹脂;フェノール樹脂、ロジン改質フェノール樹脂、100%フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、アルキド樹脂、エポキシ改質アルキド樹脂、ダイズ油/アマニ油アルキド樹脂、石油樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキド樹脂、ポリウレタン樹脂およびアミノプラスチック樹脂などの合成樹脂;ニトロセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース誘導体が挙げられる。好ましい樹脂としては、ロジン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ改質アルキド樹脂およびダイズ油/アマニ油アルキド樹脂が挙げられる。
シートフィード印刷用インク組成物の量およびシートフィード印刷用インク中の色素に対する樹脂の比率は、分散性、粘着性および粘度などのシートフィード印刷プロセスに重要であるパラメータを調整するために、ルーチン的に選択され得る。所与のシートフィード印刷用インクについては、粘度および粘着性は、通常相互に依存するが、特定の印刷用インク配合物を介する制御された方法で個々に修正されることも可能である。高過ぎる粘着性度を有するシートフィード印刷用インクは、紙むけまたは紙の引き裂かれた部分を引き起こす可能性がある。低いまたは不適切な粘着性を有するシートフィード印刷用インクは、平版印刷プロセスの過程において適切な方法で搬送されない。印刷用インクの粘度が低過ぎれば、これが容易に紙を貫通し、紙の反対側で見えてしまう可能性がある。シートフィード印刷用インクの低過ぎる粘度はまた、再生画像におけるスミアリング、シミ発生または鮮明度の喪失を生じ得る。これとは対照的に、過剰に粘稠性のシートフィード印刷用インクは、充填源からローラまで適切に流れない。提供されたNADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、シートフィード平版印刷プロセスを使用する印刷に必要とされる粘度に配合されている。一般的に、NADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に基づいて、5または約5重量%〜50または約50重量%である樹脂の総量を含有することができる。NADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に基づいて、10または約10重量%〜40または約40重量%である樹脂の総量を含有することができる。NADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に基づいて、約40重量%未満または約35重量%未満である量で樹脂を含有することができる。
このNADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、1つ以上のワックスを含むことが可能なワックスペーストを含有し得る。このワックスは、一般的に、ロジン樹脂またはアルキド樹脂などの樹脂をベースにしたビヒクル中に分散され、ワックスペーストを形成する。このワックス化合物、またはワックス化合物の組み合わせは、滑り止めまたは耐摩擦性をもたらし得る。当該技術分野で既知の任意のワックスが、シートフィード印刷用インク中に含まれ得る。例示的ワックスとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、微細化PE、フィッシャー−トロプシュ(FT)、カルナウバ、および微結晶蜜蝋ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。ポリエチレンワックスは、Iovite XP107またはLawter 697などの、アルキド樹脂中で、低密度で、中間の結晶化度であり、ならびに分散物の形態であり、シートフィードインクに好適である。例示的PTFEワックスとしては、Polyfluo(登録商標)535およびPolyfluo(登録商標)540が挙げられる。例示的微細化PEワックスは、MicroMatte(登録商標)1011 UVWである。Lawter Chemical CompanyのTexolonなどの、一般的に脂肪族炭化水素溶媒中で使用可能であるフィッシャー−トロプシュ(FT)ワックスもまた、使用され得る。好ましいワックスとしては、PTFE、PEまたは微細化PEもしくはこれらの組み合わせが挙げられる。概して、ワックス化合物が、印刷用インクの粘度および光沢を低減することができるために、NADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に基づいて、約10重量%未満、好ましくは約8重量%未満であるワックスの量を含む。
シートフィード印刷用インクは、抗凝固剤を含んでもよい。抗凝固剤としては、シリカまたはデンプンもしくはこれらの組み合わせが挙げられる。抗凝固剤は、一般的に、ロジン樹脂またはアルキド樹脂などの樹脂をベースとしたビヒクル中に分散される。概して、NADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に基づいて、約10重量%未満、好ましくは約5重量%未満である量で抗凝固剤を含む。
NADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、水格闘剤を含んでもよい。水格闘剤としては、以下の1つ以上が挙げられる:褐色アマニ油、褐色ナタネ油、褐色ダイズ油および酸化ヒマシ油(CAS No.68187−84−8)などの褐色ヒマシ油を含む褐色油;Primalene AKC4918(Akzo Nobel)であるようなイソトリデシルアルコール;LithoTrol(登録商標)インク/水バランス添加剤およびポリグリコール中に存在するようなポリアルキレンオキシドおよび疎水性ポリオキシアルカン化合物である。概して、NADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に基づいて、約1.0重量%未満、好ましくは0.1重量%〜0.75重量%の間である量で水格闘剤を含む。NADを含有するシートフィード印刷用インク組成物中に含まれる水格闘剤の量は、インク組成物の重量に基づいて、0.2重量%〜0.6重量%の間、または0.3重量%〜0.5重量%の間、もしくは0.5または約0.5重量%であることができる。
NADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、乳化剤を含んでもよい。シートフィード印刷用インク組成物の成分に適合性があるインクおよびインク関連用途のために当該技術分野でルーチン的に使用される任意の乳化剤を挙げることができる。一般的に、乳化剤は、2または約2〜1.5または約1.5の間のHLB(親水性親油性バランス)値を有するように選択され得る。この乳化剤としては、両性界面活性剤、双性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびこれらの混合物を挙げることができる。この乳化剤としては、ペルフルオロアルキル界面活性剤、アルキルフェニル界面活性剤、ポリシロキサン界面活性剤およびこれらの組み合わせを挙げることができる。この乳化剤としては、アルコキシレート、エトキシレート、エチレンオキシドのブロックコポリマー、エチレンオキシドのコポリマー、プロピレンオキシドのコポリマー、ブチレンオキシドのコポリマー、アルキルフェノールエトキシレート、アルキルフェノールプロポキシレート、アリールアリールアルコキシレート、アミンアルコキシレート、アミンエトキシレート;脂肪酸アルコキシレート、脂肪アルコールアルコキシレート、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、硫酸化脂肪アルコール、硫酸化脂肪アルコール、硫酸化脂肪アミン、硫酸化脂肪酸アミド、イセチオン酸ナトリウムの酸エステル、スルホコハク酸ナトリウムのエステル、硫酸化脂肪酸エステル、スルホン酸化脂肪酸エステル、石油スルホン酸塩、N−アシルサルコシネート、アルキルポリグリコシド、アルキルエトキシアミン、アルキルアセチレンジオール、ピロリドン系界面活性剤、2−エチルヘキシルスルフェート、イソデシルアルコールエトキシレート、エチレンジアミンアルコキシレート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、ジフェニルエーテル双性型界面活性剤、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、アミンエトキシレート、アルキルグリコシド、およびオキソ−トリデシルアルコールならびにこれらの組み合わせを挙げることができる。乳化剤としては、レシチン、ノニルフェノキシポリエトキシル化アルコール、アクリレート改質ポリジメチル−シロキサン、ポリエーテル−改質ポリジメチルシロキサン、ポリオキシアルキル化エーテル、アニオン性フルオロチオアルキル、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキッルアミン四級塩、ポリソルベート、アルキルエーテル、アリールエーテル、ポロキサマー、脂肪アルカノールアミン、アセチレングリコール、エトキシル化グリコール、エトキシル化アセチレンジオール、ソルビタンエステル、およびこれらの混合物を挙げることができる。一般的に、シートフィード印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に基づいて、約5重量%未満、好ましくは約2.5重量%未満の量で乳化剤を含有することが可能である。乳化剤は、NADを含有するシートフィード印刷用インク組成物中に、インク組成物の重量に基づいて、0.25または約0.25重量%〜2.5または約2.5重量%の範囲での重量で存在することができる。乳化剤は、シートフィード印刷用インク組成物の重量に基づいて、0.25重量%、0.5重量%、0.75重量%、1重量%、1.25重量%、1.5重量%、1.75重量%、2重量%、2.25重量%または2.5重量%である量で存在し得る。
NADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、ワニスを含有する。このワニスは、樹脂および溶媒を含有し得る。このワニスは、樹脂、乾性油、濃厚乾性油、植物油、ナフテン系油、パラフィン系油脂肪酸および多官能価不飽和ポリエステルを含有し得る。当該技術分野で既知の任意の樹脂が、ワニス中に含まれることができる。例示的樹脂としては、ロジン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ改質樹脂およびダイズ/アマニ油アルキド樹脂が挙げられる。ワニスは、軽質鉱油または重質鉱油もしくはこれらの組み合わせなどの鉱油もまた含有し得る。このワニスはまた、アマニ油、ヒマシ油、綿実油、ダイズ油またはこれらの組み合わせなどの植物油も含有し得る。例示的ワニスは、ワニスの重量に基づいて、
30重量%〜40重量%のロジン樹脂、30重量%〜40重量%の鉱油、15重量%〜25重量%のアマニ油、および10重量%〜20重量%のアルキドを含有する。別の例示的ワニスは、ワニスの重量に基づいて、40重量%〜50重量%のロジン樹脂、40重量%〜50重量%の鉱油、5重量%〜15重量%のアマニ油、および1重量%〜5重量%のダイズ油を含有する。ワニスは、シートフィード印刷用インク組成物の重量に基づいて、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%または50重量%などの、5または約5重量%〜60または約60重量%、もしくは10重量%〜50または約50重量%の間である量で存在することができる。
例示的な従来のシートフィード印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に基づいて、1重量%〜10重量%の樹脂、10重量%〜45重量%のワニス、15重量%〜45重量%の色素、15重量%〜60重量%のNAD、1重量%〜10重量%のワックス、0.5重量%〜5重量%の重質油、0.5重量%〜5重量%の乳化剤、1重量%〜5重量%の抗凝固剤、0.25重量%〜2.5重量%の酸化防止剤、0.1重量%〜1重量%の水格闘剤、ならびに存在する場合は、0.25重量%〜2重量%の金属乾燥剤を含有する。
NADを含有する、特にインク組成物の重量に基づいて、11重量%〜60重量%、または15重量%〜60重量%のNADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、オーブン乾燥なく印刷後1分で増加した耐摩擦性によって表されるような、より速い凝固および乾燥を呈することが見出された。実施例で立証されるように、NADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、急速に凝固し、乾燥剤または酸化防止剤を含有しないシートフィード印刷用インクと比較した場合、改善された短時間の耐摩擦性を有する。シートフィード印刷用インク組成物中でNADの量を増加させることにより、凝固時間および耐摩擦性での改善が得られる。結果的に、本明細書において、シートフィード印刷用インク組成物において金属乾燥剤を含む必要なく、耐摩擦性を提供する量でNADを含有させることによる、シートフィード印刷用インク組成物の耐摩擦性を改善するための方法である。実施例で示されるように、金属乾燥剤を含まないシートフィード印刷用インク組成物においてNADを含有させることは、24時間で達成される耐摩擦値と同等であるまたはそれよりも良好である15分での耐摩擦値を呈する印刷されたインクを産出する。
更に、NADを含有するシートフィード印刷用インク配合物、ならびにシートフィード印刷用インク中の金属乾燥剤および酸化防止剤の必要性を除去するシートフィード平版印刷の方法が提供される。この方法は、インク組成物の重量に基づいて、15重量%〜55重量%のNAD、好ましくは20重量%〜35重量%の間NADなどの11重量%〜60重量%のNADを含有し、かつ金属乾燥剤を含有しない、シートフィード印刷用インク組成物の調製を含む。実施例で立証されるように、インク組成物の重量に基づいて、15重量%〜60重量%のNADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、金属乾燥剤または酸化防止剤の必要なく、適切に凝固かつ乾燥し、良好な耐摩擦性を呈するであろう。このようなシートフィード印刷インク組成物は、金属乾燥剤を含有するインク組成物と同等のまたはそれよりも良好な印刷後2時間および24時間の耐摩擦性値を有する印刷されたインクを産出する。
更に、シートフィード印刷用インクで印刷されたシートフィード平版印刷された基材が提供され、このシートフィード印刷用インクは、インク組成物の重量に基づいて、15重量%〜55重量%のNAD、好ましくは20重量%〜35重量%の間NADなどの11重量%〜60重量%のNADを含有し、このシートフィード印刷用インク組成物は、金属乾燥剤を含有しない。
更に、シートフィード平版印刷プロセスを使用する平版印刷の方法が提供され、この方法は、インク組成物の重量に基づいて、15重量%〜55重量%のNAD、好ましくは20重量%〜35重量%の間NADなどの11重量%〜60重量%のNADを含有するシートフィード印刷用インクで基材を印刷することを含み、このシートフィード印刷用インク組成物は、金属乾燥剤を含有しない。
2.ヒートセット印刷用インク組成物
NADを含有させて配合できる平版印刷用インクの別のクラスは、ヒートセット印刷用インクである。標準的なヒートセット印刷用インクは、主として雑誌の印刷に使用され、通常、印刷された基材がオーブンまたはIRもしくはUV乾燥機などの加熱装置を通り抜ける間に、溶媒が蒸発することにより凝固および乾燥する。印刷されたインクフィルムが乾燥するためには、通常、印刷された基材の温度は、加熱プロセス終了時に100℃から130℃の間である必要がある。ここ数年以内で、加熱プロセス後の製品を改良するための進展がみられたが、ヒートセット印刷プロセスは、ヒートセット印刷用インクフィルムの乾燥に要するエネルギーのために、比較的環境に負荷をかけるものに留まっている。ヒートセット印刷用インクがエネルギー消費を削減できれば、それによってヒートセット印刷プロセスは、より環境に優しいものになる。エネルギー消費の削減は、ヒートセット印刷用インクを乾燥するのに必要な温度を下げることにより達成できる。エネルギー消費の大幅な削減は、ヒートセット印刷用インクを乾燥するのに、ヒートセット印刷用インクをまとめて加熱する必要をなくすことにより達成できる。このようなヒートセット印刷用インクは、ヒートセット印刷プロセスをより環境に優しいものとし、また、印刷所にとってより経済的にする。
本発明は、非水性分散物(NAD)を含有するヒートセット印刷用インク組成物を提供する。ヒートセット印刷用インクにNADを含有することにより、印刷されたヒートセット印刷用インクをオーブン内またはIRもしくはUV加熱機を介するなどして熱エネルギーに当てる必要なしに、凝固および乾燥に優れ、迅速な耐摩擦性を呈するヒートセット印刷用インク組成物を提供する。NADを含有するヒートセット印刷用インク組成物は、例えばオーブンなどの外部エネルギー源の温度を低減しながら、または、従来のヒートセット印刷で用いられるオーブンを止めた状態で、従来のヒートセット平版プロセスを用いて印刷できる。従来のヒートセット印刷用インクを用いるヒートセット平版印刷プロセスにおいて、オーブンを回避または除外することはできない。なぜなら、そうしてしまうと、最終段階の折り畳み部および裁断部において直ちに深刻な摩擦落ち問題を引き起こし、印刷ジョブの外観が非常に悪くなる。
ヒートセット印刷用インクの中に含み得るNADの量は、インク組成物の重量に対して5重量%〜50重量%の間で変化できる。NADは、インク組成物の重量に対して、約10重量%〜約45重量%、または、約15重量%〜約40重量%、または、約20重量%〜約35重量%の範囲でヒートセット印刷用インク組成物に組み込むことができる。NADは、インク組成物の重量に対して、約5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、または50重量%の量でヒートセット印刷用インク組成物中に存在できる。
ヒートセットオフセット印刷用インクは、改質ロジンエステルおよび改質アルキド樹脂およびそれらの組み合わせを含む、炭化水素樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系改質ロジン系樹脂、アルキド樹脂、酸化型のアルキド樹脂またはロジン系樹脂などの樹脂または改質樹脂と、1つまたは2つ以上の顔料と、無機溶媒または石油派生物などの溶媒であって、概して沸点の高い溶媒と、ワックスおよびレオロジー制御剤などの添加剤とを含んでもよい。米国特許第6,489,375号および第6,451,873号は、オフセット輪転ヒートセット印刷用インクのための樹脂ベースのレオロジー添加剤を記述している。
ヒートセット印刷用インク内に含有してもよい例示的な樹脂は、ロジン、ロジンエステル、フェノール系改質ロジン、マレイン系改質樹脂、ロジン改質フマル系樹脂、二量体化および重合化ロジン、フェノール、ロジン改質フェノール、テルペン、ポリアミド、環化ゴム、アクリル、炭化水素および改質炭化水素、およびそれらの組み合わせを含む。好ましい樹脂は、アルキド樹脂、フェノール系改質ロジン系樹脂および炭化水素樹脂およびそれらの組み合わせであり、特に、炭化水素樹脂と組み合わされたフェノール系改質ロジン系樹脂である。本明細書で提供されるNADを含有するヒートセット印刷用インク組成物では、インク組成物の樹脂の全含有量は、インク組成物の重量に対して、約1重量%〜約40重量%、または、約1重量%〜約10重量%、または、約5重量%〜約15重量%、または、約10重量%〜約30重量%の範囲であり得る。ヒートセット印刷用インクは、粘土ベース、ワニス、ワックス単体または複数のワックスの組み合わせ、乳化剤、および酸化防止剤を含んでもよい。ヒートセット印刷用インクの基本特性に関するさらなる詳細は、例えば、The Printing Ink Manual(第5版、Leachほか編、2009年、ページ360−387)に見られ、その開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
ヒートセット印刷用インク組成物は、通常は顔料を含むが、その性質は本発明に重要ではなく、当業者によく知られたあらゆる顔料から選択され得る。ヒートセット印刷用インクは、一般にマゼンタ、イエロー、ブラック、およびシアンの4色で用意される。任意の通常の無機および有機顔料を本発明のインク組成物に使用することができる。顔料は、乾燥紛体、フラッシュ、プレスケーキとして、または分散物としてのいずれかとして、ヒートセット印刷用インク組成物に加えることができる。顔料フラッシュを用いる際に、まずビヒクルの一部分をフラッシュ分散物の用意に使用できる。顔料は、調合物により分散可能な量で使用できる。一般に、ヒートセット印刷用インクにはできるだけ多くの顔料を含むことが望ましい。例示的な顔料の使用量の範囲は、ヒートセット印刷用インクの重量に対し、約10重量%〜50重量%である。
例示的なヒートセット印刷用インク組成物は、例えば、熱などの外部エネルギーの適用の影響下で蒸発する鉱油などの油を含むと特徴づけられることができ、それによって印刷されたインクが基材上で乾燥できる。従来のヒートセット印刷用インクでは、鉱油は、一般に220℃〜320℃の沸点範囲を有し、典型的な従来のヒートセット印刷用インクは、240℃と270℃との間に沸点範囲を有する鉱油を含む。従来のヒートセット印刷用インクのための油の沸点範囲は、オーブン内などで、熱エネルギー源に曝された場合、またはIRまたはUV乾燥機に曝された場合に良好に蒸発するように一般的に選択される。本明細書において提供されるNADを含有するヒートセット印刷用インクは、適切に凝固および乾燥するために、オーブンまたはIRもしくはまたはUV乾燥機などの外部エネルギー源を必要としないため、210℃と250℃との間の沸点範囲、または160℃と220℃との間の沸点範囲などのより低い沸点範囲を有する鉱油および植物油の両方、またはいずれか一方を使用できる。ヒートセット印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して、約15重量%〜約60重量%の量の油を含有してもよい。ヒートセット印刷用インク組成物中の油は、ヒートセットインク組成物の重量に対して、約20重量%〜約50重量%、または、約25重量%〜約45重量%、または、約30重量%〜約40重量%の量で存在し得る。
ヒートセット印刷用インク組成物は、粘土および有機粘土の両方、またはいずれか一方を含んでもよい。粘土および有機粘土は、粘度調整剤として広く使われ、さらに、ミスティング防止剤として機能できる。商標「Bentone(登録商標)」で販売されている有機粘土を、本明細書に記載されるNADを含有するインク組成物中に含んでもよい。粘土は、しばしば粘土ベースとして含まれるが、これは、樹脂溶液ビヒクル中に粘土を含んでもよい。一部の例では、粘土ベース中の粘土の量は、インク組成物の重量に対して、60重量%にもなり得る。本明細書で提供される、例示的なNADを含有するヒートセット印刷用インク組成物では、粘土または有機粘土は、存在する場合、その量がインク組成物の重量に対して、約0.25重量%〜約5重量%の範囲、または、約0.5重量%〜約3重量%の範囲の量でヒートセット印刷用インク中に存在し得る。粘土/有機粘土は、インク組成物の重量に対して、約0.25重量%、0.5重量%、0.75重量%、1重量%、1.25重量%、1.5重量%、1.75重量%、2重量%、2.25重量%、2.5重量%または2.75重量%の量で存在し得る。
NADを含有するヒートセット印刷用インクは、ワニスを含有する。ワニスは、樹脂および溶媒を含有してもよい。選択された樹脂を溶解または溶媒和できるあらゆる樹脂およびあらゆる溶媒が使用できる。例示的な樹脂は、ロジン系樹脂、改質ロジン系樹脂、アルキド樹脂、エポキシ改質アルキド樹脂および大豆/亜麻仁油アルキド樹脂などの改質アルキド樹脂を含む。ワニスは、溶媒として、軽質鉱油もしくは重質鉱油などの鉱油、ナフテン油、パラフィン油、植物油またはそれらの組み合わせを含んでもよい。ワニスは、ゲル化剤を含んでもよい。例示的なゲル化剤は、アルミニウムキレートなどのキレート、およびアルミニウムアルコキシドなどのアルコキシドを含有する。例示的なアルミニウムキレートは、オキシアルミニウムオクトアートである。本明細書で提供されるNADを含有するヒートセット印刷用インク組成物では、ワニスは、インク組成物の重量に対して、約5重量%〜約55重量%、または、約10重量%〜約50重量%、または、約15重量%〜約45重量%の範囲の量で存在し得る。例示的なワニスは、ワニスの重量に対して、40重量%〜50重量%の鉱油と、40重量%〜60重量%のロジン系樹脂または改質ロジン系樹脂などの樹脂と、1重量%〜10重量%の亜麻仁油などの植物油と、0.1重量%〜1.5重量%のオキシアルミニウムオクトアートなどのゲル化剤とを含有する。
NADを含有するヒートセット印刷用インク組成物は、ワックスを含有することもでき、これは、ワックスペーストとして印刷用インク組成物に組み込むことができる。ワックスペーストは、ロジン系樹脂またはアルキド樹脂などの樹脂ベースのビヒクル内に分散させたワックスを含んでもよい。当技術分野で公知のあらゆるワックスを、NADを含有するヒートセット印刷用インク組成物中に含んでもよい。典型的なワックスは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、微粉化PE、フィッシャー・トロプシュ(FT)、カルナウバ、および微結晶蜜蝋、およびにそれらの組み合わせを含む。好ましいワックスは、PTFE、PEまたは微結晶PEまたはそれらの組み合わせを含む。一般に、NADを含有するヒートセット印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して、約10重量%未満、好ましくは、約5重量%未満の量のワックスを含んでもよい。
NADを含有するヒートセット印刷用インクは、乳化剤を含んでもよい。インクおよびインク関連用途のための技術分野で通常使用されるあらゆる乳化剤で、ヒートセット印刷用インク組成物の成分に適合する乳化剤を含んでもよい。乳化剤は、両性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびそれらの混合物を含んでもよい。乳化剤は、ペルフルオロアルキル界面活性剤、アルキルフェニル界面活性剤、ポリシロキサン界面活性剤、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。乳化剤は、アルコキシレート、エトキシレート、エチレンオキシドのブロックコポリマー、エチレンオキシドのコポリマー、プロピレンオキシドのコポリマー、ブチレンオキシドのコポリマー、アルキルフェノールエトキシレート、アルキルフェノールプロポキシレート、アリールアリールアルコキシレート、アルコキシレート、アミンエトキシレート、脂肪酸アルコキシレート、脂肪アルコールアルコキシレート、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、硫酸化脂肪アルコール、硫酸化脂肪アルコール、硫酸化脂肪アミン、硫酸化脂肪酸アミド、イセチオン酸ナトリウムの酸エステル、スルホコハク酸ナトリウムのエステル、硫酸化脂肪酸エステル、スルホン化脂肪酸エステル、石油スルホネート、N−アシルサルコシネート、アルキルポリグリコシド、アルキルエトキシル化アミン、アルキルアセチレンジオール、ピロリドン系界面活性剤、硫酸2−エチルヘキシル、イソデシルアルコールエトキシレート、エチレンジアミンアルコキシレート、酸化エチレン/酸化プロピレンコポリマー、ジフェニルエーテル双性界面活性剤、酸化エチレン/酸化プロピレンコポリマー、アミンエトキシレート、アルキルポリポリグリコシド、およびオキソトリデシルアルコールエトキシレート、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。乳化剤は、レシチン、ノニルフェノキシポリエトキシル化アルコール、アクリレート改質ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル改質ポリジメチルシロキサン、ポリオキシアルキル化エーテル、陰イオンフルオロチアルキル、アルキルアリールスルホネート、アルキルアミン第四級塩、ポリソルベート、アルキルエーテル、アリールエーテル、ポロキサマー、脂肪アルカノールアミド、アセチレングリコール、エトキシル化グリコール、エトキシル化アセチレンジオール、ソルビタンエステル、およびそれらの混合物を含んでもよい。一般に、ヒートセット印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して、約7.5重量%未満、好ましくは、約5重量%または2.5重量%未満の量の乳化剤を含んでもよい。乳化剤は、インク組成物の重量に対して、約0.25重量%〜約5重量%の量でヒートセット印刷用インク中に存在し得る。
NADを含有するヒートセット印刷用インクは、酸化防止剤を含んでもよい。酸化防止添加剤は、当技術分野において公知であり、市販されている。ヒートセット印刷用インクのその他の成分に対して不利に反応することがないあらゆる従来の酸化防止剤を使用できる。例示的な酸化防止剤は、アスコルビン酸、アスタキサンチン、カロテン、クロマン(3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン)、ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、ビタミンEおよびビタミンE類似体、モノ−tert−ブチルヒドロキノン(MTBHQ)、ならびにブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。好ましい酸化防止剤は、MTBHQおよびBHTである。一般に、NADを含有するヒートセット印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して、約5重量%未満、好ましくは、約2.5重量%または約1.5重量%未満または約1重量%未満の量の酸化防止剤を含んでもよい。
例示的なヒートセット印刷用インク組成物は、例示的な成分の範囲を含有することができ、これは例えば、10重量%〜50重量%の顔料、10重量%〜55%のロジン系樹脂ワニス(これは、ワニスの重量に対して、30重量%〜50重量%のロジン系樹脂、30重量%〜50重量%の鉱油、5重量%〜35重量%の亜麻仁油、0重量%〜5重量%の大豆油、および0重量%〜20重量%のアルキド樹脂を含む)、1重量%〜15重量%の鉱油または無機溶媒、0.1重量%〜2重量%の酸化防止剤、1重量%〜5重量%のワックスペースト、10重量%〜50重量%のNAD、0重量%〜10重量%の粘土または有機粘土、0重量%〜5重量%のアルキド樹脂、および0重量%〜5重量%の乳化剤を含む。
ヒートセット印刷用インクは凝固および乾燥するのに基材に吸収される必要がないため、より小さい孔を有する基材表面へヒートセット印刷用インク組成物を用いて印刷することができる。さらに、コート紙へヒートセット印刷用インク組成物を用いて印刷することができる。基材は、例えば、15g/m2など、一般に10g/m2より大きいコーティング重量を有するコーティングの厚い紙を含んでもよい。基材は、例えば、50g/m2よりも大きい、55−120g/m2の範囲内の基紙重量などの基紙重量を有するなど、40g/m2よりも大きい基紙重量範囲を有する紙であってもよい。基材は、スーパー仕上げ紙を含んでもよい。
従来のヒートセット平版印刷操作では、基材上の印刷されたヒートセット印刷用インクは、オーブン、熱風、UV乾燥機またはIR乾燥機などの乾燥機を用いて乾燥される。凝固および乾燥プロセスの間、ヒートセット印刷用インク中の油が蒸発し、ヒートセット印刷用インク中の樹脂が不溶性になって析出して、インクを凝固させる。一部のプロセスでは、基材が乾燥機内で加熱された後、基材は、印刷された基材を冷却機中に通過させることにより冷却される。このように、従来のヒートセット印刷プロセスは、エネルギーを大量に消費する。
例で示されるように、NADを含有するヒートセット印刷用インク組成物を用いて作られた印刷物の耐摩擦性は改良され、一般的な傾向では、ヒートセット印刷用インク組成物中にNADをより多量に(重量%)含有するほど耐摩擦性は連続的に改良される。NADを含有するヒートセット印刷用インク組成物により、熱処理などの外部エネルギー処理なしで1分の時点において、外部エネルギー処理なしで24時間の時点でのその耐摩擦性と同じまたはより優れる耐摩擦性を有する印刷されたインクが得られる。試験された調合物では、インク組成物の重量に対して5重量%〜50重量%のNADまたはそれ以上を含有するヒートセット印刷用インク組成物は、オーブンを止めると速やかに凝固し、印刷後1分で最善の耐摩擦性を提供する。同様のNADを含有するヒートセット印刷用インクが、オーブン内で加熱するなどして熱エネルギーなどの外部エネルギー源に曝されると、乾燥したNADを含有するヒートセット印刷用インクは、一般に同様の耐摩擦性を呈する。ヒートセット印刷用インク組成物中にNADを含有することにより、基材に印刷された場合、NADを含有しない従来のヒートセット印刷用インクに比べて非常に迅速に凝固し、改良された耐摩擦性を呈するヒートセット印刷用インクが得られる。このように、NADを含有するヒートセット印刷用インク組成物は、シートがオーブン内で加熱するなどして熱エネルギーなどの外部エネルギー源に曝されるかどうかによらず、迅速な凝固時間および著しく改良された耐摩擦性を呈する。例示的な組成物では、NADを含有するヒートセット印刷用インク組成物は、オーブンを通過することなしでの1分後の耐摩擦性であって、従来のインクがオーブンを通過した後におけるNADを含有しない従来のインクの耐摩擦性に等しい耐摩擦性を呈する。これに対して、NADを含有しない従来のヒートセット印刷用インク組成物の耐摩擦性は、外部エネルギーを与えずに印刷した直後では非常に悪く、インク中の溶媒がゆっくりと蒸発すると、時間とともにゆっくりと改善する。このように、ヒートセット印刷用インクで印刷された基材を熱エネルギーなどの外部エネルギーに曝す必要をなくすことができるNADを含有するヒートセット印刷用インク組成物が提供できる。耐摩擦性を提供する量のNADをインク組成物中に含有することにより、オーブン、IR乾燥機またはUV乾燥機などのエネルギー源へ曝す必要なしに、基材に適用後、迅速にまたは直ちに、ヒートセット印刷用インク組成物の耐摩擦性を高める方法もまた提供される。
ヒートセット印刷用インク組成物に5重量%〜60重量%のNAD、または15重量%〜55重量%のNADを加えること、例えば、例示的な組成物では30重量%以下のレベルで加えることにより、インク印刷操作者は、例えば、印刷されたインクを凝固および乾燥するために使用されるオーブンの温度を下げることにより、インク調合物を凝固および乾燥するエネルギーを削減できる。このようなエネルギーの削減により、より製造コストの低い印刷物が得られる。さらに、ヒートセット印刷用インク組成物中にNADを含有することにより、印刷してから1分後に測定した場合などに、改良された凝固性および迅速な耐摩擦性を示すインクが得られる。
ヒートセット印刷された基材の凝固および乾燥の間におけるエネルギー消費を低減する、ヒートセット印刷方法が提供される。本方法は、インク組成物の重量に対して、5重量%〜60重量%のNAD、または10重量%〜50重量%のNAD、または15重量%〜40重量%のNADを含有するヒートセット印刷用インク組成物を調整するステップと、基材上にインクを印刷するステップとを含む。NADを含有するインク外部は、凝固および適切に乾燥するのに、ほとんどまたは全く外部エネルギーへ曝す必要がないため、このようなインクで印刷するのに必要なエネルギー量を低減できる。例で示されるように、インク組成物の重量に対して15重量%〜60重量%のNADを含有するヒートセット印刷用インク組成物は、オーブン内またはIRもしくはUV乾燥機で加熱するなどの外部エネルギーへの曝露の必要なしに、速やかに凝固し、適切に乾燥し、良好な耐摩擦性を呈する。
例えば、インク組成物の重量に対して、範囲が5重量%〜60%のNAD、または10重量%〜50重量%のNAD、または15重量%〜40重量%のNADなど、インク調合物中にNADを耐摩擦性が提供される量で含有することにより、オーブン、IR乾燥機またはUV乾燥機などのエネルギー源への曝露が、従来用いられたものよりも少ない曝露で、ヒートセット印刷用インクの耐摩擦性を提供するために必要なエネルギーの量の削減方法もまた提供される。
基材上のヒートセット印刷用インクが、加熱することなく凝固および乾燥するために必要な時間を減らす方法もまた提供され、本方法は、インク組成物の重量に対して、5重量%〜60重量%のNAD、または10重量%〜50重量%のNAD、または15重量%〜40重量%のNADまたは30重量%〜60重量%のNADを含有するヒートセット印刷用インク組成物を調整するステップと、基材上にインクを印刷するステップとを含む。このようなヒートセット印刷用インク組成物により、加熱なしでの1分後の耐摩擦性の値が、加熱なしでの24時間後のNADを含有しないヒートセット印刷用インク組成物と同じまたはより優れる耐摩擦性を有する印刷されたインクが得られる。
基材上のヒートセット印刷用インクの耐摩擦性を一般に改良する方法もまた提供され、本方法は、インク組成物の重量に対して、5重量%〜60重量%のNAD、または10重量%〜50重量%のNAD、または15重量%〜40重量%のNADまたは30重量%〜60重量%のNADを含有するヒートセット印刷用インク組成物を調整するステップと、基材上にインクを印刷するステップとを含む。このようなヒートセット印刷用インク組成物は、ヒートセット印刷用インク組成物に加えるNADの量を増やすことにより、耐摩擦性の値、特にプリューフバウ製試験機による摩耗痕の値が改善し続ける印刷されたインクが得られる。
その少なくとも1つの表面上にインクを含有するヒートセット印刷された基材もまた提供され、ヒートセット印刷用インクは、インク組成物の重量に対して、5重量%〜60重量%のNAD、好ましくは、15重量%〜35重量%のNAD、または30重量%〜60重量%のNADを含み、基材はヒートセット平版印刷プロセスを用いて印刷される。
インク組成物の重量に対して、5重量%〜60重量%のNAD、好ましくは、15重量%〜35重量%のNAD、または30重量%〜60重量%のNADを含有するヒートセット印刷用インクを基材上に凝固させるステップを備える、ヒートセット平版印刷プロセスを用いて基材を印刷する方法もまた提供され、インクはヒートセット平版印刷プロセスを用いて基材上に凝固される。
ヒートセット印刷用インク組成物はまた、NADを含有しない同等のインク組成物と比較した場合、耐摩擦性評価において、少なくとも10%〜50%、または10%〜100%、例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%など、増加を呈することにより特徴づけられ得る。例えば、例で示されるように、インク組成物の重量に対して40重量%のNADを含有する、加熱処理なしの例示的なヒートセット印刷用インク組成物は、平均耐摩擦性基準値4を呈し、他方、加熱処理なしのNADを含有しない同等のインクは、平均インク基準値8を有し、NADを含有するインクの平均耐摩擦性基準値が100%改良されたことを示す。その他の例示的なNADを含有するインク組成物は、例えば、33%、50%および66%などと耐摩擦性の評価が高まった。
3.コールドセット印刷インク組成物
NADを含ませて配合できる平版印刷用インクの別のクラスは、コールドセット印刷用インク組成物である。コールドセット印刷用インクは、多孔性紙、特に新聞紙に印刷するために主に使用される。コールドセット印刷用インク組成物は、鉱油/植物中に分散された顔料と、バインダーとを基本的に含み、またしばしば樹脂を含む。コールドセット印刷用インクは、一般に、インク組成物中の溶媒が、紙の繊維内へ浸透することにより乾燥して、インク組成物中の樹脂を凝固させ、それにより、インクに摩擦堅牢度が亜が得られる。しかしながら、コールドセットインクの耐摩擦性は非常に悪く、新聞紙を取り扱う人や読む人の指に容易に付いてしまう。コールドセット印刷プロセスでみまわれるその他の問題には、1つのページのインクが隣接するページに跡をつけてしまうという、ページ間の裏移りが含まれる。
さらに、従来のコールドセット印刷用インクは、一般に、新聞紙に使用されるコーティングしていない用紙の印刷に使用される。これは、乾燥には、インク中の溶媒がそれを通り抜けて吸収され、インクフィルムから移送される開放孔を必要とするためである。基材は、一般にコーティングなしであるが、微塗工紙は使用され得る。コールドセット平版印刷用途のため、紙は、基紙重量の範囲が一般に50g/m2未満、特に40g/m2未満で構成される。この制限のために、コート紙またはスーパー仕上げ紙などのその他のタイプの紙は、一般に、従来のコールドセット平版印刷プロセスを用いて印刷できない。さらに、ほとんどの新聞紙は夜間に印刷されるため、一部の印刷所は、日中、かれらの印刷機を運転できない。その他の紙の種類および品質に対してコールドセット印刷用インクで印刷できるようにするコールドセット印刷用インクを提供することにより、コールドセット平版印刷の生産性および基材の多様性を著しく増加させることができる。
本明細書において、アクリルコア/シェルポリマー(NAD)を含有する非水性分散物を含有するコールドセット印刷用インクが提供される。このポリマー分散物のコールドセット印刷用インク中への導入は、例えば、コーティングしていない紙、スーパー仕上げ紙、または軽量コート紙、またはこれらの組み合わせなど異なるタイプおよび品質の紙を含有する異なる基材上で、改良され、迅速に長期間の耐摩擦性を示すコールドセット印刷用インクを提供する。
上述のように、コールドセット印刷用インク組成物は、鉱油/植物中に分散された顔料と、バインダーとを基本的に含み、またしばしば樹脂を含む。費用の制限のため、一般に、多くのコールドセット印刷用インク中に添加剤は含まれない。いかなる改質されたコールドセット印刷用インクも、現行の印刷プロセス中への挿入が容易であるべきであり、コスト過剰とするべきではなく、また、全体の印刷プロセスを過度に遅くするべきではない。一部の従来のコールドセット印刷用インクは、バインダーを含有する。バインダーは、一般に、増量剤、例えば有機粘土、スメクチック粘土およびカオリン粘土などの粘土、ならびに炭酸塩など、インクの基材中への吸収特性を改質する成分を含有する。一部の例では、コールドセット印刷用インクは、界面活性剤、ワックス、ゲル化剤および無機充填剤を含んでもよい。分散剤、湿潤剤、ワックスおよびその他の作用剤などの追加の添加剤をコールドセット印刷用インク組成物中に含んでもよいことは、当業者であれば容易に認識されよう。しかしながら、費用制約条件のために、多くのインク組成物は、追加の添加剤がたとえあったとしてもごく少ない。コールドセット印刷用インクの基本特性に関するさらなる詳細は、例えば、The Printing Ink Manual(第5版、Leachほか編、2009年、ページ353−360)に見られ、その開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
コールドセット印刷用インクは、一般に顔料を含有する。コールドセット印刷用インクは、一般に、新聞紙を印刷するための黒インクであるが、マゼンタ、イエロー、およびシアンなどのその他の色のインクも配合され得る。任意の通常の無機および有機顔料を本発明のインク組成物に使用することができる。黒インクの場合、カーボンブラック(Cabot Corp.製Elftexカーボンブラックなど)を使用できる。本明細書において提供されるNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物では、顔料を、インク組成物の重量に対して、約10重量%〜約40重量%の量で存在させることができる。
組成物中に使用される油は、炭化水素油または植物油またはそれらの組み合わせであってよい。好適な炭化水素油は、例えば、マギーN−40オイルなど、白色鉱油(CAS番号8042−47−5)などのパラフィン油と、例えば、Nytex5130など、水素化軽質ナフテン留分(CAS番号64742−53−6)、および、例えば、Nytex510など、水素化重質ナフテン留分(CAS番号64742−55−5)などのナフテン油および留分とを含有する。植物油は、乾性油、半乾性油および不乾性油であり得る。例として、アーモンド油、カカオ脂、ククイ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、コーン油、綿実油、ブドウ種子油、麻実油、亜麻仁油、オリーブ油、パーム核油、ピーナッツ油、菜種油、ぬか油、サフラワー油、ひまわり油、ごま油、大豆油、トール油、キリ油およびくるみ油を含み、その組み合わせおよび脂肪酸アルキルエステルなど、その脂肪酸エステルを含有する。エポキシ改質またはシリコーン改質などの改質された植物油、またはエポキシ化大豆油もしくは亜麻仁油などのエポキシ化油もまた、使用できる。コールドセット印刷用インク組成物は、一般に揮発度のより低い油を含む。例えば、一部の組成物では、300℃〜400℃の沸点範囲を有する油を選択できる。本明細書において提供されるNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物では、油を、インク組成物の重量に対して、約2重量%〜約30重量%の量で存在させることができる。
存在すれば、当技術分野で公知のあらゆる樹脂が使用できる。例示的な樹脂は、例えば、ロジン、ロジンエステル、マレイン系改質樹脂、ロジン改質フマル系樹脂、二量体化および重合化ロジン、フェノール、ロジン改質フェノール、アルキド樹脂、改質アルキド樹脂、テルペン、ポリアミド、環化ゴム、アクリル、炭化水素および改質炭化水素などの天然樹脂または加工された樹脂を含む。本明細書において提供されるNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物では、樹脂は、存在すれば、インク組成物の重量に対して、約0.5重量%〜約30重量%の量であり得る。
NADを含有するコールドセット印刷用インク組成物は、粘度調整剤および無機充填剤の両方、またはいずれか一方を含んでもよい。添加剤は、当技術分野において公知であり、市販されている。有機粘土を粘度調整剤および無機充填剤として使用できる。有機粘土は、一般に、ベントナイト、ヘクトライト、またはアタパルジット粘土、またはそれらの組み合わせを含む。商標「Bentone(登録商標)」で販売されている有機粘土を、本明細書に記載されるNADを含有するコールドセットインク組成物中に含んでもよい。本明細書において提供されるNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物では、有機粘土などの粘度調整剤は、存在すれば、インク組成物の重量に対して、約0.5重量%〜約5重量%の量であり得る。
NADを含有するコールドセット印刷用インクは、増量剤ペーストを含んでもよい。増量剤ペーストは、印刷用インクの固形分を増やし、印刷された基材上のコールドセット印刷用インクの固形状態を改善するために使用できる。増量剤ペーストは、カオリン、カオリン誘導体、アルミナ白、沈降硫酸バリウム(CAS番号7727−43−7)、炭酸カルシウム(被覆または被覆なし)または亜鉛白などの体質顔料を含んでもよい。増量剤ペーストは、樹脂および溶媒を含んでもよい。例示的な樹脂は、植物油ハイブリッド樹脂である。溶媒は、白色鉱油(CAS番号8042−47−5)または水素化軽質ナフテン留分(CAS番号64742−53−6)などの炭化水素溶媒であってもよい。例示的な増量剤ペーストは、増量剤ペーストの重量に対して、60重量%の被覆炭酸カルシウム、4.5重量%の植物油ハイブリッド樹脂、および35.5重量%の鉱油を含む。本明細書において提供されるNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物では、増量剤ペーストを、存在すれば、インク組成物の重量に対して、約1重量%〜約25重量%の量で含有してもよい。
NADを含有するコールドセット印刷用インク組成物は、ワニスを含有する。ワニスは、樹脂および溶媒を含有してもよい。選択された樹脂を溶解または溶媒和できるあらゆる樹脂およびあらゆる溶媒が使用できる。例示的な樹脂は、ロジン系樹脂、改質ロジン系樹脂、アルキド樹脂、ならびにエポキシ改質アルキド樹脂および大豆/亜麻仁油アルキド樹脂などの改質アルキド樹脂を含む。ワニスは、溶媒として、軽質鉱油もしくは重質鉱油などの鉱油、ナフテン油、パラフィン油、植物油、C12−C14もしくはC11−C14もしくはC12−C16もしくはC14−C18n−アルカン、イソアルカン、環式もしくは芳香族などの炭化水素、またはこれらの溶媒の組み合わせを含んでもよい。例示的な炭化水素溶媒は、白色鉱油(CAS番号8042−47−5)、および、Exx−Print T82AおよびT84DなどのExx−Print溶媒(テキサス州ヒューストンのExxonMobile Chemical製)を含有する。例示的な植物油は、大豆油、綿実油および亜麻仁油を含む。
本明細書で提供されるNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物では、ワニスは、インク組成物の重量に対して、約5重量%〜約55重量%、または、約10重量%〜約50重量%、または、約15重量%〜約45重量%の範囲の量で存在し得る。例示的なウェッティングワニスは、ウェッティングワニスの重量に対して、15重量%〜30重量%の大豆油などの植物油と、25重量%〜40重量%の鉱油と、30重量%〜60重量%のロジン系樹脂または改質ロジン系樹脂などの樹脂と、0.001重量%〜0.5重量%のBHTなどの酸化防止剤とを含んでもよい。例示的なレットダウンワニスは、レットダウンワニスの重量に対して、10重量%〜30重量%の大豆油などの植物油と、30重量%〜60重量%の鉱油またはExx−Print T82Aなどの炭化水素溶媒と、30重量%〜60重量%のロジン系樹脂または改質ロジン系樹脂などの樹脂と、0.001重量%〜0.5重量%のBHTなどの酸化防止剤とを含んでもよい。
NADを含有するコールドセット印刷用インク組成物は、酸化防止剤を含んでもよい。コールドセット印刷用インク組成物中の成分に対して適合するあらゆる従来の酸化防止剤を使用できる。例示的な酸化防止剤は、アスコルビン酸、クロマン(3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン)、ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、ビタミンEおよびビタミンE類似体、モノ−tert−ブチルヒドロキノン(MTBHQ)、ならびにブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。好ましい酸化防止剤は、MTBHQおよびBHTである。一般に、NADを含有するコールドセット印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して、約5重量%未満、好ましくは、約2.5重量%または1.5重量%未満の量の酸化防止剤を含んでもよい。
コールドセット印刷用インク組成物の中に導入されるNADの量は、約5重量%〜約60重量%の間で変化できる。コールドセット印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して、5重量%と25重量%との間または10重量%と50重量%との間または15重量%と40重量%との間または20重量%と35重量%との間の量のNADを含有してもよい。本明細書において提供されるNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物では、NADは、インク組成物の重量に対して、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%または60重量%の量で存在できる。
NADをコールドセット印刷用インクに加えることにより、特に、インク組成物の重量に対して、10%と60%との間などの5重量%以上の量で加えると、印刷された製品の凝固および耐摩擦性が改良される。インク組成物の重量に対してNADを10重量%しか含まない例示的なコールドセット印刷用調合物は、コーティングしていない紙の上に印刷されると、摩擦試験におけるΔE CMCの値が著しく減少し、これは、より良い耐摩擦性と直接的に相関があり得る。ΔE CMCの値が4とは、一般に、良好な耐摩擦性を呈するインクとして認められる。
コールドセット印刷用インク組成物中にNADを含有することにより、紙基材上での許容可能な耐摩擦性が得られる動特性を改善できる。耐摩擦性の改善は、NADを含有するインクで印刷されたサンプルにおいて、印刷直後に観察できる。例えば、コーティングしていない紙の上へ印刷してから15分後、インク組成物の重量に対して10重量%のNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物で印刷された例示的なサンプルは、NADを含有しない対照インクの半分の耐摩擦性値を呈し、NADが含まれる場合のコールドセットインクの耐摩擦性の著しい改善を示した。コールドセット印刷用インク組成物中のNADの量を増加すると、短期的な耐摩擦性の値が同時改良される。このように、インク組成物の重量に対して5重量%〜60重量%のNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物は、また特に例示的に、インク組成物の重量に対して10重量%〜50重量%のNADを含有する組成物中では、インクの凝固および乾燥特性に改善がみられる。これは、標準的な試験方法により得られる耐摩擦性の値が改善したとして示される。NADを含有するコールドセット印刷用インク組成物が呈する15分の時点での耐摩擦性の値もまた、24時間の時点での耐摩擦性の値と同等である。
NADをコールドセット印刷用インク組成物に加えることにより、NADコールドセット印刷用インクがコーティングしていない新聞印刷用紙以外の多様な基材上でも使用できるようになる。NADを含有するコールドセット印刷用インク組成物は、一般にNADを含有しない従来のコールドセット印刷用インクでは印刷できない紙基材である、スーパー仕上げ紙およびコート紙上に印刷できる。インク組成物の重量に対して10重量%のNADを含有する例示的なコールドセット印刷用インクは、スーパー仕上げ紙上で、NADを含有しない従来のコールドセット印刷用インクと比較して耐摩擦性の改善がみられた。コールドセット印刷用インク組成物中のNADの量が増加すると、結果として得られるコールドセット印刷用インク組成物の耐摩擦性が高まる。例えば、インク組成物の重量に対して25重量%のNADを含有する例示的なコールドセット印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して10重量%のNADを含有する例示的なコールドセット印刷用インク組成物よりも良好な耐摩擦性を呈し、また、NADを含有しない従来のコールドセット印刷用インクと比較して耐摩擦性の著しい改善がみられた。スーパー仕上げ紙上に印刷されたNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物により、ΔE CMCで測定され、臨界値である4よりも小さい耐摩擦性試験値を有する印刷された基材が得られた。したがって、NADを含有するコールドセット印刷用インク組成物、特に、インク組成物の重量に対して5重量%〜60重量%のNADを含有する組成物は、コールドセット平版プロセスを用いてスーパー仕上げ紙上に印刷できる。
軽量コート紙上に印刷した場合のNADを含有するコールドセット印刷用インクについても同様の結果が得られた。軽量コート紙上に印刷した場合のNADを含有しない比較対照コールドセット印刷用インクサンプルは、印刷してから15分後の耐摩擦性が非常に悪いものであった。インク組成物の重量に対して5重量%〜60重量%のNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物は、軽量コート紙上に印刷した場合、NADを含有しない比較用コールドセット印刷用インクと比較して耐摩擦性の改善がみられた。インク組成物中のNADの量を増加すると、耐摩擦性でみられる改善が増加した。インク組成物の重量に対して5重量%を越えるNADを含有する例示的な組成物は、軽量コート紙上の耐摩擦性が高まる。したがって、例えば、インク組成物の重量に対して5重量%〜60重量%のNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物は、軽量コート紙上の耐摩擦性が高まり、このように、コールドセット平版プロセスを用いて軽量コート紙上への印刷に使用できる。
コールドセット平版プロセスを用いて印刷された基材の耐摩擦性を改善する方法が提供される。本方法は、インク組成物の重量に対して、5重量%〜60重量%のNAD、または10重量%〜50重量%のNAD、または15重量%〜40重量%のNAD、または25重量%〜50重量%のNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物を調整するステップと、コールドセット平版プロセスを用いて基材上にインクを印刷するステップとを含む。例で示されるように、インク組成物の重量に対して5重量%〜60重量%の範囲のNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物は、NADを含有しないコールドセットインク組成物と比較すると、速やかに凝固し、改善された耐摩擦性を呈する。一部の方法では、NADを含有するコールドセット印刷用インク組成物を用いて、印刷後15分以内に4未満の耐摩擦性の値を得ることができる。
例えば、インク組成物の重量に対して、範囲が5重量%〜60%のNAD、または10重量%〜50重量%のNAD、または15重量%〜40重量%のNADなど、スーパー仕上げ紙上で耐摩擦性を提供する量でNADを含有するコールドセット印刷用調合物を用いることにより、コールドセット平版印刷プロセスを用いるスーパー仕上げ紙上への印刷方法もまた提供される。
例えば、インク組成物の重量に対して、範囲が5重量%〜60%のNAD、または10重量%〜50重量%のNAD、または15重量%〜40重量%のNADなど、軽量コート紙上で耐摩擦性を提供する量でNADを含有するコールドセット印刷用調合物を用いることにより、コールドセット平版印刷プロセスを用いる軽量コート紙上への印刷方法もまた提供される。
基材上のコールドセット印刷用インクが、凝固および乾燥するために必要な時間を減らす方法もまた提供され、本方法は、インク組成物の重量に対して、5重量%〜60重量%のNAD、または10重量%〜50重量%のNAD、または15重量%〜40重量%のNADまたは30重量%〜60%のNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物を調整するステップと、基材上にコールドセット印刷用インクを印刷するステップとを含む。このようなコールドセット印刷用インク組成物により、15分後の耐摩擦性の値が、24時間後のNADを含有しないインク組成物と同じまたはより優れる耐摩擦性を有する印刷されたインクが得られる。
その少なくとも1つの表面上にコールドセット印刷用インクフィルムを含むコールドセット平版プロセスを用いて印刷された基材もまた提供され、フィルムを形成したコールドセット印刷用インクは、インク組成物の重量に対して、5重量%〜60重量%のNAD、好ましくは、10重量%〜40重量%のNAD、または15重量%〜35重量%のNAD、または30重量%〜60重量%のNADを含有する。
インク組成物の重量に対して、5重量%〜60重量%のNAD、好ましくは、10重量%〜40重量%のNAD、または15重量%〜35重量%のNAD、または30重量%〜60重量%のNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物を基材上に凝固させるステップを備える、コールドセット平版印刷プロセスを用いて基材に印刷する方法もまた提供される。
以下の例は、本発明の特定の様態を説明するものであり、いかなる点においてもその範囲を限定するものでは〜、そのように解釈されるべきではない。
実施例1
例示的なアクリルコア/シェルポリマーの非水性分散物(NAD)を用意した。アクリルシェルポリマーを、表1における成分を含んで合成した。
シェルポリマーの合成には以下の手順を使用した。
成分Aを反応器に投入し、120℃まで加熱し、窒素ガス中に保持した。成分B、CおよびDを、前もって混合して、モノマーのプレ混合物(MP)を形成した。成分E、FおよびGを、前もって混合して、触媒プレ混合物(CP)を形成した。その後、プレ混合物MPおよびCPを、4時間にわたって別々の供給部から同時に反応器に加え、そして120℃で4時間保持した。次いで、窒素ガスを空気に変え、成分H、IおよびJを反応器に投入し、温度を120℃で4時間保持した。次いで、空気を30分間減圧し、温度を100℃まで冷やし、次いで結果として生じる生成物(シェルポリマー)を放出した。
アクリルコアポリマーおよびNADの形成を表2に記載された材料を用いて行った。
アクリルコアポリマーの合成のための成分は、モノマープレ混合物(MP)と、触媒プレ混合物1(CP1)と、触媒プレ混合物3(CP3)と、追加のモノマー(成分H)と、追加の触媒(成分I)とを含有する。アクリルコアポリマーは、実質的に非水性の有機溶媒(成分Aのマギー#N−40インクオイル)を含有する連続相中で、アクリルシェルポリマー(表1の成分B)の存在下で形成される。アクリルコアポリマーは、実質的に非水性の溶媒の連続相に不溶であるが、アクリルシェルポリマー中で溶性であり、アクリルシェルポリマーは、実質的に非水性の溶媒連続相中で溶性であり、実質的に非水性の溶媒の連続相中でアクリルコア/シェルポリマー粒子を形成する。NADは、実質的に非水性の溶媒および残留レオロジー調整成分の連続相中でアクリルコア/シェルポリマー粒子の分散物を含有する。
アクリルコアポリマーおよび最終的なNADの形成を以下の手順により行った。成分AおよびBを、反応器に投入し、85℃まで加熱し、窒素ガス中に保持した。成分CおよびDおよびEを、前もって混合して、モノマーのプレ混合物(MP)を形成した。成分FおよびGを、前もって混合して、触媒プレ混合物1(CP1)を形成した。成分JおよびKを、前もって混合して、触媒プレ混合物3(CP3)を形成した。その後、プレ混合物MPおよびCP1を、4時間にわたって別々の供給部から同時に反応器に加え、85℃で3時間保持した。次いで、成分I、続いてプレ混合物CP3を滴下して投入し、混合物を3時間保持した。残留するモノマーの存在をガスクロマトグラフィーで検査し、結果として生じる生成物(NAD)を室温まで至らせて、放出した。
この例では、使用された実質的に非水性の溶媒の連続相は、普通の炭化水素溶媒、マギーN−40オイルである。シェルポリマーを、約3:1の比率で、イソブチルメタクリラートおよびドデシルメタクリラートのコポリマーで作り上げた。これらのモノマー上の長い炭化水素鎖は、結果として生じるポリマーをたやすく鉱油に溶けるようにする。反応混合物の重量に対して約1重量%のアクリル酸を、効果的なポリマーの形成に役立つように加えた。小量のグリシジルメタクリラートを加えた。これは、このモノマー中のエポキシ基がアクリルシェルポリマーとアクリルコアポリマーとの間の引力を増やすためである。
実施例2
例示的なアクリルコア/シェルポリマーの非水性分散物(NAD)を用意した。シェルポリマーを、表3における成分を含んで合成した。
シェルポリマーを、以下の手順で合成した。成分Aを反応器に投入し、120℃まで加熱し、窒素ガス中に保持した。成分B、CおよびDを、前もって混合して、モノマーのプレ混合物(MP)を形成した。成分E、FおよびGを、前もって混合して、触媒プレ混合物(CP)を形成した。その後、プレ混合物MPおよびCPを、4時間にわたって別々の供給部から同時に反応器に加え、120℃で4時間保持した。次いで、窒素ガスを空気に変え、120℃で1時間反応させ続けた。次いで、成分Hを反応容器に投入し、温度を120℃でさらに2時間保持した。成分I、J、KおよびLを別々の追加の容器であらかじめ混合し、次いで、還流条件下でゆっくりと反応混合物に加えた。追加速度を調整することにより、発生した発泡を制御した。容器への成分の追加が完了した後、反応容器を120℃で1時間保持し、次いで、90℃まで冷却して、結果として生じる生成物(シェルポリマー)を放出できるようにした。
アクリルコアポリマーおよび最終的なNADの形成を表4に記載された材料を用いて行った。
アクリルコアポリマーの合成のための成分は、モノマープレ混合物(MP)と、触媒プレ混合物1(CP1)と、触媒プレ混合物2(CP2)とを含有する。アクリルコアポリマーは、実質的に非水性の有機溶媒(成分AのNytex5130)を含有する連続相中で、アクリルシェルポリマー(表3の成分B)の存在下で形成される。アクリルコアポリマーは、実質的に非水性の溶媒の連続相に不溶であるが、アクリルシェルポリマー中で溶性であり、アクリルシェルポリマーは、実質的に非水性の溶媒連続相中で溶性であり、実質的に非水性の溶媒の連続相中でアクリルコア/シェルポリマー粒子を形成する。レオロジー調整成分は、水、KOH、イソプロピルアルコールおよびジエチルアミン(成分K〜成分N)を含み、これは、例えば、みかけ粘度などの分散物のレオロジーを改質するために加えられる。NADは、実質的に非水性の溶媒および残留レオロジー調整成分の連続相中でアクリルコア/シェルポリマー粒子の分散物を含有する。
アクリルコアポリマーおよびNADの形成を以下の手順で行った。
成分AおよびBを、反応器に投入し、120℃まで加熱し、窒素ガス中に保持した。成分CおよびDおよびEを、前もって混合して、モノマーのプレ混合物(MP)を形成した。成分FおよびGを、前もって混合して、触媒プレ混合物1(CP1)を形成した。成分IおよびJを、前もって混合して、触媒プレ混合物2(CP2)を形成した。その後、プレ混合物MPおよびCP1を、3時間にわたって別々の供給部から同時に反応器に加え、120℃で3時間保持した。次いで、窒素ガスを空気に変え、120℃で1時間反応させ続けた。次いで、プレ混合物CP2を滴下して投入し、混合物を3時間保持した。最後に、成分K、L、MおよびNをあらかじめ混合し、還流条件下でゆっくりと反応混合物に加えた。追加速度を調整することにより、発生した発泡を制御した。反応容器を120℃で1時間保持し、次いで、90℃まで冷却して、結果として生じる生成物(NAD)を放出できるようにした。
この例で使用された実質的に非水性の溶媒の連続相は、普通の炭化水素溶媒Nytex5130である。シェルポリマーは、約3:1の比率で、イソブチルメタクリラートおよびドデシルメタクリラートのコポリマーで作り上げられる。これらのモノマー上の長い炭化水素鎖は、結果として生じるポリマーをたやすく鉱油に溶けるようにする。反応混合物の重量に対して約1%のアクリル酸を、効果的なポリマーの形成に役立つように加えた。組成物の粘度を、水、イソプロピルアルコール、KOHおよびジエチルアミン(表4の項目K〜項目N)の混合物を添加することにより変更した。
実施例3
一般的に市販されているシートフィード印刷用インクは、適切に重合して、インクを乾燥するために、乾燥剤および酸化防止剤を必要とする。NADを含有しない市販のシートフィード印刷用インクは、乾燥剤および酸化防止剤を含まない限り、重合しないことを試刷により示した。酸化防止剤と、コバルト/マンガン乾燥剤の組み合わせとを、インク組成物の重量に対して1重量%〜4重量%の量で含有する、市販のシートフィード印刷用インク、Sunlit Exact(米国ニュージャージー州パーサイパニーのSun Chemical Corporation製)を使用して、同じ市販のシートフィード印刷用インク、Sunlit Exactの乾燥剤および酸化防止剤を除去したものと比較した。
シートフィード印刷用インクを、プリューフバウ製印刷機を使用して、インクフィルム重量約1.5g/m2で印刷した。これらの印刷物の耐摩擦性をプリューフバウ製Quartant摩擦試験装置で評価した(100ストローク、P=0.05bar)。摩擦試験結果を視覚的に評価し、試験中に摩耗したインクの量に基づき、0〜5の数字を割り当てた。0の評点は、視覚的に摩耗が認められなかったことを示し、5の評点は摩耗が激しいことを示す。最終使用用途および顧客の要望に応じて、摩擦評点が2またはそれ以下は、適格な結果とみなされる。しかしながら、2よりも大きい摩擦評点が許容される用途があってもよい。ΔE CMCの値は、より定量的な値のために使用できる。
シートフィード印刷用インクSunlit Exactの乾燥剤および酸化防止剤を含むものと含まないものについて、印刷してから30分後、2時間後および24時間後に耐摩擦性試験を行った。結果を表5に示す。
データから、乾燥剤および酸化防止剤を含まないSunlit Exactインクは、24時間後も十分に重合されず、結果として耐摩擦性が悪く、他方、乾燥剤および酸化防止剤を含む標準的なSunlit Exactインクは、2時間および24時間の時点で漸進的な重合を呈し、結果として耐摩擦性が改善されたことが理解できる。しかしながら、乾燥させて24時間後であっても、乾燥剤および酸化防止剤を含まない従来のシートフィード印刷用インクは耐摩擦性の値が2よりも大きい。
実施例4〜実施例15
実施例4〜実施例15は、いくつかのシートフィード印刷用インク組成物の配合および調整を説明する。実施例4〜実施例8のシートフィード印刷用インクの配合を表6に示す。Hauschild製のSpeedmixerTM DAC 150 FVZを使用して、成分A、B、C、DおよびEを一緒にして、2分間、3000rpmで混合することにより、インク組成物を調製した。次いで、得られたミルベース(MB)を、NPIRI粒ゲージ上で測定した粒径が20μm未満(好ましくは10μm未満)となるまで、3つのローラーミルにわたって通過させた。成分F、G、H、J、K、LおよびM(存在する場合、まとめて、レットダウン成分)ならびにNAD(項目I)をミルベースに加えた。次いで、すべての成分を一緒にして、SpeedmixerTMで2分間、3000rpmで再度混合することにより、各インクを均質にした。
実施例4のシートフィード印刷用インクは、比較用インクであり、NADを含有しないが、乾燥剤および酸化防止剤を含む。このように、実施例4の比較用インクは、通常、乾燥剤および酸化防止剤を含む、市販のシートフィード印刷用インクと同様である。実施例5のシートフィード印刷用インクもまた比較用インクであり、NADを含まず、また乾燥剤も酸化防止剤も含まない。このように、実施例5の比較用インクは、乾燥剤および酸化防止剤を含まない点で、市販のシートフィード印刷用インクと異なる。これらのシートフィード印刷用インク中では、シアン顔料、アルキド樹脂、重油(テキサス州チャネルヴューのHaltermann Products製Printosol 30/40 AP85)、ワックスペースト(ワックスペースト組成物の重量に対して、55重量%の微結晶PEワックス、5重量%のPTFEワックス、38重量%の鉱油および2重量%の湿潤添加剤)、裏移り防止剤および耐水剤(吹込み亜麻仁油)の量を一定に維持した。実施例6のシートフィード印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して、10重量%のNAD、1.1重量%の酸化防止剤および1.1重量%の乾燥剤を含んだ。実施例7のシートフィード印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して、30重量%のNAD、1.1重量%の酸化防止剤および1.1重量%の乾燥剤を含んだ。実施例8のシートフィード印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して、30重量%のNADを含み、酸化防止剤および乾燥剤は含まなかった。NADの追加ならびに酸化防止剤および乾燥剤の除去の両方、またはいずれか一方を説明するために、実施例4〜実施例8のシートフィード印刷用インク組成物中において、無機ワニス1および無機ワニス2の量を変化させた。
実施例4〜実施例8のシートフィード印刷用インク組成物について、AR1000回転式粘度計(米国デラウェア州ニューキャッスルのTA Instruments製)を使用して、粘度を測定した。すべてのサンプルがほぼ同様の高剪断粘度(50s−1、23℃Pa・sで測定した場合、±10cP)を有するように調整して、サンプル上で観察される差は、高剪断粘度の差に起因するものでは有り得ないようにした。
Tack−o−scope(ニュージャージー州チェリーヒルのTestprint Inc.製)で粘着性を評価した。表5に示すように、実施例1〜実施例3のインクは、200rpmにおいて同様の粘着性を呈した。
a無機ワニス1は、ワニスの重量に対して、30−40重量%のロジン系樹脂、30−40重量%の鉱油、15−25重量%の亜麻仁油および10−20重量%のアルキド樹脂を含む。
b無機ワニス2は、ワニスの重量に対して、40−50重量%のロジン系樹脂、40−50重量%の鉱油、5−15重量%の亜麻仁油および1−5重量%の大豆油を含む。
c重油:Printosol 30/40 AP85(Haltermann製)。
表6に示す実施例4〜実施例8のシートフィード印刷用インク組成物を、プリューフバウ製印刷機を使用して、インクフィルム重量約1.5g/m2で印刷した。これらの印刷物の耐摩擦性をプリューフバウ製Quartant摩擦試験装置で評価した(100ストローク、P=0.05bar)。表5に記載のインクの摩擦試験結果を表7に示す。摩擦試験結果を視覚的に評価し、試験中に摩耗したインクの量に基づき、0〜5の数字を割り当てた。0の評点は、視覚的に摩耗が認められなかったことを示し、5の評点は摩耗が激しいことを示す。ΔE CMCの値もまた、より定量的な値のために使用できる。
実施例6のシートフィード印刷用インク組成物は、国際公開第09155201A号に記述されたシートフィード印刷用インク組成物と同様のものであり、金属の乾燥剤および酸化防止剤とともに、インクの重量に対して10重量%のNADを含有する。実施例7のシートフィード印刷用インクは、より多量のNADを含有するが、さらに乾燥剤および酸化防止剤を含む。実施例7のシートフィード印刷用インク組成物中のNADの量が増加すると、実施例6のシートフィード印刷用インク組成物の耐摩擦性と比較して、耐摩擦性が改善される。
実施例8のシートフィード印刷用インク組成物は、実施例7のシートフィード印刷用インク組成物とは、乾燥剤または酸化防止剤を含まない点で異なる。実施例5の比較用インク調合物、ならびに、NADを含有する実施例7および実施例8のインクのシートフィード印刷用インク組成物の摩擦試験結果を表8に示す。表8から理解されるように、実施例8(乾燥剤または酸化防止剤を含まない)のシートフィード印刷用インク組成物の2時間後および24時間後の耐摩擦性は、乾燥剤を含む実施例7のシートフィード印刷用インク組成物に等しいまたはわずかに優れる。この試行は、インク組成物の重量に対して15重量%〜60重量%のNAD、好ましくは25重量%〜35重量%のNADを含有するシートフィード印刷用インク組成物は、乾燥剤および酸化防止剤を必要とすることなく、適切に凝固および乾燥し、良好な耐摩擦性を呈することを示している。
これらの結果を確認するために、2つの異なるシートフィード印刷用インク組成物の組を上述の手順を用いて調合した。2つのシートフィード印刷用インク組成物の異なる点は、実施例9〜実施例12のシートフィード印刷用インク組成物は、乾燥剤/酸化防止剤およびインク組成物の重量に対して約10重量%のNADを含有するのに対し、実施例13〜実施例16のシートフィード印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して約25重量%〜30重量%のNADを含有するが、乾燥剤も酸化防止剤も含まない、という点である。実施例9〜実施例12のシートフィード印刷用インク組成物の配合を表9に示し、実施例13〜実施例16のシートフィード印刷用インク組成物の配合を表10に示す。
a無機ワニス1は、ワニスの重量に対して、30−40重量%のロジン系樹脂、30−40重量%の鉱油、15−25重量%の亜麻仁油、および10−20重量%のアルキド樹脂を含む。
b無機ワニス2は、ワニスの重量に対して、40−50重量%のロジン系樹脂、40−50重量%の鉱油、5−15重量%の亜麻仁油、および1−5重量%の大豆油を含む。
a無機ワニス1は、ワニスの重量に対して、30−40重量%のロジン系樹脂、30−40重量%の鉱油、15−25重量%の亜麻仁油、および10−20重量%のアルキド樹脂を含む。
b無機ワニス2は、ワニスの重量に対して、40−50重量%のロジン系樹脂、5−15重量%の亜麻仁油、および1−5重量%の大豆油を含む。
シートフィード平版印刷機試験
実施例9〜実施例12および実施例13〜実施例16のシートフィード印刷用インク組成物を用いて、シートフィード平版印刷プロセスを用いた印刷を行った。シートフィード平版印刷機試験では、表9の実施例9〜実施例12および表10の実施例13〜実施例16のシートフィード印刷用インク組成物を、次の光学濃度(Y=1.3、M=1.45、C=1.5およびK=1.9)においてHeidelberg製MOプレス機上でシートフィード平版印刷プロセスを用いて印刷した。印刷物を2つの紙基材上、Magnostar115g/m2(Sappi製)およびMaxigloss200g/m2(IGEPA製)に用意した。
印刷された基材の耐摩擦性をプリューフバウ製Quartant摩擦試験装置およびサザーランド製ink rub testerで評価した。耐摩擦性試験を印刷後、15分、1時間、2時間および24時間で行った。耐摩擦性試験結果を表11に示す。
本明細書において提供される好適な量のNADを含み、乾燥剤または酸化防止剤は含まないシートフィード印刷用インク組成物(実施例13〜実施例16のシートフィード印刷用インク)は、印刷後わずかな時間(15分後)で、また、1、2および24時間後も同様に、乾燥剤または酸化防止剤を含む比較用インク(実施例9〜実施例12のシートフィード印刷用インク)と等しいまたはより良い耐摩擦性の値を呈することを示している。
実施例13〜実施例16のシートフィード印刷用インク(インク組成物の重量に対して25重量%〜30重量%のNADを含有するが、乾燥剤も酸化防止剤も含まない)は、シートフィード平版印刷プロセスを用いて印刷してから15分後およびそれに続く時間間隔において良好な耐摩擦性を呈するため、調合物中に十分なNADが組み込まれるという条件で、迅速に良好な乾燥特性を呈したままで、シートフィード印刷用インクを乾燥剤なしで配合できることは明らかである。例示的なシートフィード印刷用インク組成物では、インク組成物の重量に対して25重量%〜約30重量%のNADを含有するシートフィード印刷用インクは、迅速に非常に良好な乾燥特性を呈する乾燥剤なしで調合できる。
実施例17〜実施例24
ヒートセット印刷用インクの調整
実施例17〜実施例24は、いくつかのヒートセット印刷用インク組成物の配合および調整を説明する。実施例17〜実施例22のヒートセット印刷用インクの配合を表12に示す。実施例17は、比較用インクであり、NADを含有しない。すべての原材料を一緒に計量し、Hauschild製のSpeedmixer
TM DAC 150 FVZにより3000rpmで2分間混合することによって、ヒートセット印刷用インク組成物を調整した。均質な混合物が得られた。
aロジン系樹脂ワニスは、ワニスの重量に対して51.1%のロジン系樹脂、45.6%の鉱油、5%の亜麻仁油、0.9%のアルミニウムキレートを含有する。
bBHT。
実施例17〜実施例22のヒートセット印刷用インク組成物は、フラッシュ顔料を使用したが、乾式粉砕の顔料もまた使用できる。インク組成物の重量に対して50重量%のNADを導入するために、全ての異なるヒートセット印刷用インクが同程度の高剪断粘度となるように、ロジン系樹脂ワニスおよび鉱油の量を、両方とも並行して低減した。すべてのヒートセット印刷用インク組成物を同様の高剪断粘度に調整して、ヒートセット印刷用インク組成物間で観察される差は、いかなる高剪断粘度の差にも起因するものでは有り得ないようにした。
ヒートセット平版印刷機試験
ヒートセット平版印刷プロセスにおいて用いる乾燥をシミュレートする小型のヒートセット用オーブンを備えるプリューフバウ製の装置を用いて、校正刷を実験室で印刷した。紙などの印刷された基材の温度は、紙の温度を測定した赤外線放射温度計を使用することによりオーブンの終端部で調整および制御し得た。ヒートセット印刷用インクを、1.3g/m2で、Papier Union製軽量コート用紙Bavaria70g/m2上に印刷した。
印刷物の耐摩擦性試験を2つの異なる装置、サザーランド製ink rub testerおよびプリューフバウ製Quartant摩擦試験装置で行った。サザーランド製でのインク耐摩擦性試験では、白紙のIGEPA製Maxigloss200g/m2は静止面に固定したが、印刷されたシートを移動する装置に固定した。910gの重りを用いて、50ストローク行った。プリューフバウ製Quartant試験では、白紙のScheufelen製APCO IIは移動する装置に固定したが、印刷されたシートを静止面に固定した。30ストローク行った。
両方の装置での試験を室温で行い、結果を0〜10段階で視覚的に評価した。0は摩耗なしを表し、5は中程度の摩耗を表し、10は非常に激しい摩耗を表す。
耐摩擦性試験を印刷後1分の時点で行って、即時的な耐摩耗性をシミュレートし、印刷後24時間の時点で行って、印刷物の最終的な耐摩耗性を評価した。これらの試験では、印刷された紙は、オーブンで乾燥されていない。耐摩擦性の結果を表13に示す。平均的な耐摩擦性の値である4は、多くの印刷関連の顧客により支障がないとみなされている。
NADを含有しないヒートセット印刷用インクである、実施例17の比較用ヒートセット印刷用インクと、インク組成物の重量に対して10重量%のNADを含有する、実施例18のヒートセット印刷用インク組成物とにおける、オーブン乾燥なしでの印刷後1分の耐摩擦性の値の比較は、印刷されたヒートセット印刷用インクがオーブンを通過することにより乾燥されるのではない場合に、NADが、インク組成物の重量に対して10重量%のレベルで、短期的な耐摩擦性を改善することを示した。
ヒートセット印刷用インク組成物中のNADの量が増加することによる、印刷されたインクの耐摩擦性への影響を表14に示す。表13でみられた、10重量%のNADを含有するヒートセット印刷用インク組成物の耐摩擦性の改善は、いくぶんNADを含有しないインクと比較して限られていたが、表14のデータは、印刷された基材がオーブンを通過しない場合に、ヒートセット印刷用インク組成物中のNADの量を増加すると、1分後の耐摩擦性の値の改善が増加することを示している。
NADの量が、実施例18のヒートセット印刷用インク組成物中のインク組成物の重量に対して10重量%から、実施例22のヒートセット印刷用インク組成物中のインク組成物の重量に対して50重量%まで増加すると、ヒートセット印刷用インクを用いて作られた印刷された基材の耐摩擦性は、連続的に改善される。ヒートセット印刷用インク組成物については、インク組成物の重量に対して40重量%のNADを含有する、実施例21のヒートセット印刷用インク組成物と、インク組成物の重量に対して50重量%のNADを含有する、実施例22のインクとの間で、耐摩擦性における改善がほとんどみられなかった。これらの結果から、試験したヒートセット印刷用インク組成物に関し、印刷された基材が、オーブンを通過する(または停止したオーブンを通過する)などの外部エネルギーの影響を受けない場合、インク組成物の重量に対して40重量%のNADは、印刷後1分の耐摩擦性を最適にするということが結論づけられる。
実施例17および実施例18のヒートセット印刷用インク組成物で印刷されたサンプルは、印刷された基材を標準的な条件下(オーブンの出口における紙の温度=100℃)でオーブンを通過させることにより熱処理を行った。結果を表15に示す。
表15のデータは、インク組成物の重量に対して10重量%のNADを含有する実施例18のヒートセット印刷用インクは、印刷されたサンプルがオーブン中で従来の処理条件を用いて加熱処理された場合、実施例14の比較用のNADを含有しないヒートセット印刷用インクと同様の耐摩擦性を有することを示している。
増量するNADを含有するヒートセット印刷用インク組成物に対する加熱処理の効果もまた試験した。実施例17〜実施例22のヒートセット印刷用インク組成物で印刷された基材は、印刷された基材を標準的な条件下(オーブンの出口における紙の温度=100℃)でオーブンを通過させることにより熱処理を行った。結果を表16に示す。
表16のデータは、NADを含有するヒートセット印刷用インクをオーブンにより乾燥する場合、インク組成物の重量に対して30重量%未満のNADを含有するヒートセット印刷用インクは、よく似た耐摩擦性を呈することを示している。例えば、NADがインク組成物の重量に対して30重量%よりも大きい量で、ヒートセット印刷用インク中のNADの量が増加すると、実施例17のNADを含有しない比較用ヒートセット印刷用インクと比較して、印刷された基材上のヒートセット印刷用インク組成物の1分後の耐摩擦性の改善がみられた。
説明のために、従来のヒートセット印刷用インク組成物を外部エネルギーへ曝して、インクを凝固および乾燥することの重要性を示した。NADを含有しないヒートセット印刷用インク組成物で印刷した印刷された基材(実施例17の比較用ヒートセット印刷用インク)と、NADを含有するヒートセット印刷用インク組成物で印刷した基材(インク組成物の重量に対して40重量%のNADを含有する、実施例21のヒートセット印刷用インク)とを、印刷された基材を外部エネルギーに曝す前(例えば、オーブンを通過する)と、印刷された基材を外部エネルギーに曝した後とで比較した。結果を表17に示す。
表17のデータは、耐摩擦性により呈される、従来のヒートセット印刷用インクにおける、凝固および乾燥するためのオーブン内での加熱などのエネルギーへの曝露に対する依存性を説明する。実施例17の比較用のヒートセット印刷用インクでは、NADを含有しないが、1分後の耐摩擦性は、印刷されたシートをオーブン内での加熱により熱エネルギーに曝すと、著しく改善される。しかしながら、NADを含有するヒートセット印刷用インク(実施例21のヒートセット印刷用インク)で印刷されたシートは、印刷された基材がオーブンを通過することにより熱エネルギーに曝されるか否かにかかわらず、同様の耐摩擦性を呈する。試験したヒートセット印刷用インク組成物では、エネルギーへの曝露なしで(オーブン処理なし)、実施例21の(NADを含有する)ヒートセット印刷用インク組成物で印刷された基材の1分後の耐摩擦性の平均値は、エネルギーへの曝露を伴う(オーブン処理を伴う)従来のヒートセット印刷用インクの耐摩擦性に等しい。
実施例17〜実施例22のヒートセット印刷用インク組成物で印刷された基材について得られた1分の時点の耐摩擦性の値を表18に示す。実施例17〜実施例22のヒートセット印刷用インクで印刷した基材で得られた耐摩擦性の値を表18に示す。試験したNADを含有するヒートセット印刷用インク組成物では、オーブンを介して乾燥した際に実施例17の比較用のヒートセット印刷用インクで得られたものと同程度の即時的な耐摩耗性を、インク組成物の重量に対して30重量%〜50重量%のNADを含有することにより加熱処理なしで達成できる。このように、インク組成物の重量に対して少なくとも30重量%のNADを含有する例示的なヒートセット印刷用インク組成物を調合して、インクを凝固および乾燥するために外部エネルギーを適用する必要をなくし、ひいてはオーブンまたはIRもしくはUV乾燥機を省くことができる。
実施例18〜実施例20のヒートセット印刷用インク組成物では、耐摩擦性の改善は、完全にオーブンを止めるには十分ではない。凝固およびみかけの乾燥度における改善(改善された耐摩擦性)を考慮して、実施例18〜実施例20のヒートセット印刷用インク組成物を乾燥するのに必要な外部エネルギーの量が低減されることが期待され、ひいては、インク組成物の重量に対して10重量%〜30重量%のNADを含有するヒートセット印刷用インク組成物により、プリンターがそのオーブン温度を低減させることができ、そのことにより、印刷された基材の凝固および乾燥に必要なエネルギー消費を削減できる。
NADを含有する、特に、インク組成物の重量に対して少なくとも40重量%のNADなど、30重量%よりも大きい量のNADを含有するヒートセット印刷用インク組成物は、標準的な条件下で基材上に印刷した際(オーブンを用いて乾燥した際)に、NADを含有しない対照ヒートセット印刷用インク組成物と比較して、即自的な耐摩擦性の改善を示した。これらの結果を表19に示す。
表19のデータは、NADを含有する実施例21のヒートセット印刷用インク組成物の印刷されたインクは、迅速に非常に良好な耐摩擦性を呈することを示している。示す通り、印刷後1分において、実施例21のヒートセット印刷用インク組成物は、外部エネルギーの適用(例えば、オーブン内での乾燥)なしに、1分で、24時間後に呈されるものとほぼ同じ耐摩擦性の値を既に達成している。オーブン処理なしでは、NADを含有しない比較用インク(実施例17)の耐摩擦性は、最初(1分)は非常に悪く、溶媒が蒸発し、基材に吸収されるにつれて次第に改善する。24時間後、NADを含有しない比較用インク(実施例17)は、ようやく良好な耐摩擦性を呈する。
耐摩擦性の値が改善したとして示される、凝固および乾燥の改善はマゼンタ以外の顔料を含有するヒートセット印刷用インクについても有効であることを示すために、シアン顔料を含有するヒートセット印刷用調合物を用いて、追加の試験を行った。実施例23の比較用ヒートセット印刷用インク組成物は、NADを含まず、実施例24のヒートセット印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して約30重量%のNADを含有する。シアンヒートセット印刷用インク組成物の配合を表20に示す。
aロジン系樹脂ワニスは、ワニスの重量に対して51.1重量%のロジン系樹脂、45.6重量%の鉱油、5重量%の亜麻仁油、0.9重量%のアルミニウムキレートを含有する。
b鉱油。
比較用の実施例23と、NADを含有する実施例24とのヒートセット印刷用インク組成物を、マゼンタをシアンと置き換えて、上述と同様のプロセスにより調整した。30重量%のNADを実施例24のヒートセット印刷用インク組成物中に含ませるために、インクが同程度の高剪断粘度となるように、ロジン系樹脂ワニスおよび鉱油の量を低減した。
ヒートセット平版印刷プロセスにおいて使用する乾燥をシミュレートする小型のヒートセット用オーブンを備えるプリューフバウ製の装置を用いて、校正刷を実験室で印刷した。ヒートセット印刷用インクを、1.3g/m
2で、Papier Union製軽量コート用紙Bavaria70g/m
2上に印刷した。印刷物の耐摩擦性試験を、上述のとおり、印刷後1分および24時間で行った。実施例23〜実施例24のヒートセット印刷用インク組成物で印刷された基材について得られた1分の時点の耐摩擦性の値を表21に示す。
表21に示された結果は、マゼンタ顔料を含有するヒートセット印刷用インクを用いて作成された印刷物においてみられる結果と同様である。インク組成物の重量に対して30重量%のNADを含有する実施例24のインクは、マゼンタ顔料を含有する同様のインクでみられたように、実施例23の(NADを含有しない)比較用のヒートセット印刷用インクと比較して、同様の耐摩擦性の改善を呈している。シアンインクおよびマゼンタインクでは耐摩擦性の値が同様であることから、ヒートセット印刷用インク組成物にNADが加えられる場合、選択された顔料の色は、観察された改善にはマイナスの影響を与えないということが結論づけられる。マゼンタ顔料を含有するインク組成物で行ったようにヒートセット印刷用インク組成物中のNADの量を増加すると、実施例24のヒートセット印刷用インク組成物を用いて印刷された基材がオーブンを介して乾燥した際に呈したものと同様の耐摩擦性をさらに示すことも予想される。オーブンを介して乾燥すると、両方のヒートセット印刷用インクは同様の耐摩擦性を呈した。シアン顔料を含有する調合物の結果は、マゼンタ顔料を含有する調合物ととてもよく似ていたため、ヒートセット印刷用インクにNADを添加することは迅速な凝固および乾燥を促進するという観察された結果からその他の色の顔料を推定できることが予想される。
実施例25〜実施例27
コールドセット平版印刷用インクの調整
実施例25〜実施例27は、いくつかのコールドセット印刷用インク組成物の配合および調整を説明する。実施例25の比較用のコールドセット印刷用インクは、NADを含有しない。実施例26のコールドセット印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して約10重量%のNADを含有する。実施例27のコールドセット印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して約25重量%のNADを含有する。実施例25〜実施例27のコールドセット印刷用インクの配合を表22に示す。
aワニスは、ワニスの重量に対して、47.5重量%のロジン系樹脂、31.5重量%の鉱油、20.8重量%の大豆油および0.2重量%のAO溶液(BHT)を含有する。
bワニスは、ワニスの重量に対して、39.5重量%のロジン系樹脂、46.5重量%のExx−Print T82A、13.8重量%の大豆油および0.2重量%のAO溶液(BHT)を含有する。
c増量剤ペーストは、量剤ペーストの重量に対して、60重量%の被覆炭酸カルシウム、4.5重量%の植物油ハイブリッド樹脂および35.5重量%の鉱油を含む。
Hauschild製のSpeedmixerTM DAC 150 FVZを使用して、成分A、B、C、DおよびEを一緒にして、2分間、3000rpmで混合することにより、コールドセット印刷用インク組成物を調製した。次いで、得られたミルベース(MB)を、NPIRI粒ゲージ上で測定した粒径が20μm未満、もっとも好ましくは、10μm未満となる、3つのローラーミルにわたって通過させた。最後に、レットダウン成分(LD)F、G、H、I、Jおよび任意でLをミルベースに加えた。結果として得られた混合物を、すべての成分を一緒にして、SpeedmixerTMで2分間、3000rpmで混合することにより均質にした。すべてのインクを同様の高剪断粘度に調整するために鉱油を任意で追加して、以下の実施例で観察される差は、異なる高剪断粘度に起因するものでは有り得ないようにできる。
コールドセット平版印刷機試験
プリューフバウ製の装置を用いて、校正刷を実験室で印刷した。コールドセット印刷用インクを異なる2種類の用紙、コーティングしていない紙(Stora Enso製Newsprint45g/m2)、および、軽量コート用紙(Papier Union製Bavaria70g/m2)の上に印刷した。用紙は両方とも、Datacolor/Sphere分光計で測定し、同様の光学濃度である1+/−0.05で印刷した。
校正刷の耐摩擦性試験を、プリューフバウ製Quartant摩擦試験装置で、印刷後15分および24時間で行った。同様の普通紙は移動する装置に固定したが、印刷された紙を静止面に固定した。異なるインクの耐摩擦性を評価するため、100ストローク行い、普通紙において100ストロークの前と後とのΔE CMCを測定することにより評価した。観察されたΔE CMCの値および耐摩擦性には相関がある。ΔE CMCの値が低いほど、印刷されたインクの耐摩擦性はより良くなる。ΔE CMCの値が4であるコールドセット印刷用インクは、一般に、多くの顧客により耐摩擦性に関して支障がないとみなされているため、ΔE CMCの値が4未満であれば、許容可能とみなされる。
コールドセット印刷用インク組成物をコーティングしていない紙上に印刷後15分の時点の耐摩擦性試験の結果を表23に示す。
インク組成物の重量に対して10重量%のNADを含有する、実施例26のコールドセット印刷用インク組成物と、インク組成物の重量に対して30重量%のNADを含有する、実施例27のコールドセット印刷用インク組成物とは、ΔE CMCが著しく減少し、これは、より良い耐摩擦性と直接的に相関があり得る。実施例26および実施例27のコールドセット印刷用インク組成物で印刷された基材は、耐摩擦性の値が4未満であり、コールドセット印刷用インク組成物が大半の印刷関連の顧客にとって許容可能と期待されることを示す。NADを含有しない、実施例25の比較用のコールドセット印刷用インクは、耐摩擦性の値が4よりも大きく、NADを含有しないコールドセット印刷用インク組成物が大半の印刷関連の顧客にとって耐摩擦性が悪いとして不合格と判定されると予想されることを示す。実施例26および実施例27のコールドセット印刷用インク組成物は、コールドセット平版印刷プロセスを用いて印刷した後すぐに非常によく似た許容可能な耐摩擦性の値を呈し、コーティングしていない紙でNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物を用いて、迅速な凝固および耐摩擦性が得られることを示している。
24時間後、実施例25の比較用コールドセットインクおよび実施例26および実施例27のNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物のコーティングしていない紙上に印刷された印刷サンプルの耐摩擦性試験を行った。データを表24に示す。
24時間後、NADを含有しない、実施例25の比較用コールドセット印刷用インクの耐摩擦性の値は、印刷後15分の時点で行った摩擦試験(表23参照)と比較して、著しく改善した。実施例26のコールドセット印刷用インク組成物は、印刷後15分の時点の耐摩擦性の値と比べて、24時間の時点で耐摩擦性がわずかに劣るが、ΔE CMCは4未満に留まっており、したがって、まだ顧客に許容されるはずである。実施例27のコールドセット印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して30重量%のNADを含有するが、コーティングしていない紙上での24時間後の耐摩擦性が最も良く、耐摩擦性の値2.39を得ている。
コールドセット印刷用インクを用いて、耐摩擦性インクフィルムの形成における動特性を測定した。実施例25の比較用コールドセット印刷用インク(NADを含有しない)の耐摩擦性および実施例27のコールドセット印刷用インク組成物(インク組成物の重量に対して25重量%のNADを含有する)の耐摩擦性を時間とともに比較した。印刷されたコーティングしていない紙基材上に耐摩擦性インクフィルムが生成される速さは、コールドセット印刷用インク中へのNADの導入により、著しく増加することが観察された。例示的なデータを表25に示す。
表25のデータは、NADを含有するコールドセット印刷用インク組成物(実施例27)で印刷された基材は、印刷後15分の時点での耐摩擦性が、24時間後の比較用インク(NADを含有しない)を用いて得られた耐摩擦性と同様であることを示している。このように、コールドセット印刷用インクにNADを添加することにより、印刷されたインクが凝固し耐摩擦性に到達する速さを著しく増加できる。
紙の種類
コールドセット印刷用インクは、コールドセット印刷用インクは溶媒の紙基材中への吸収により乾燥するため、一般に、印刷できるのは多孔性紙の上だけである。従来のコールドセット印刷用インクは、一般に、スーパー仕上げ紙またはコート紙の上には印刷できない。これは、孔の寸法またはコーティングが溶媒の基材への適切な吸収を最小限に抑えるか妨げてしまうためである。NADを含有するコールドセット印刷用インク組成物は、コールドセット平版印刷プロセスを用いて、様々な種類の紙の上に印刷できることを示すために、コールドセット印刷用インクをスーパー仕上げ紙および軽量コート紙の上に印刷した。
スーパー仕上げ紙
実施例25〜実施例27のコールドセット印刷用インク組成物をスーパー仕上げ紙およびコート紙の上に印刷して、NADを添加することによる、異なる紙基材上のコールドセット印刷用インク組成物の印刷適性への効果を測定した。スーパー仕上げ紙の上に印刷されたコールドセット印刷用調合物の耐摩擦性試験の結果を表26および表27に示す。スーパー仕上げ紙(Stora Enso製Publipress64g/m
2)の上にインク組成物を印刷後15分の時点で行った耐摩擦性試験の結果を表26に示す。
データは、コールドセット印刷用インク組成物中にNADを添加することにより、一般に標準的なコールドセット印刷用インクでは印刷できないスーパー仕上げ紙上の短期的な耐摩擦性が高まることを示している。印刷後15分の時点で得られた耐摩擦性の値は、NADを含有しない比較用のコールドセット印刷用インクのΔE CMCの値は4よりもかなり大きく、したがって、おそらく耐摩擦性が悪いことにより顧客により不合格と判定されることを示している。印刷後15分の時点で得られた耐摩擦性の値は、NADを含有するコールドセット印刷用インクのΔE CMCの値は4未満であり、したがって、顧客により許容されることを示している。このように、インク組成物の重量に対して少なくとも10重量%のNADを含有するコールドセット印刷用インク組成物は、印刷されたインクが示した短期的な耐摩擦性からも明らかなように、スーパー仕上げ紙上に印刷できる。
インク組成物の重量に対して25重量%のNADを含有する実施例27のコールドセット印刷用インクは、インク組成物の重量に対してNADを10重量%しか含まない実施例26のインク組成物と比較して、耐摩擦性の改善が増加した。データの傾向は、コールドセット印刷用インク組成物中のNADの量を増加すると、この基材上の耐摩擦性における改善が増加することを示唆している。したがって、NADを含有するコールドセット印刷用インク組成物は、スーパー仕上げ紙上の耐摩擦性であって、この基材上に印刷してから15分以内の耐摩擦性を示している。
スーパー仕上げ紙(Stora Enso製Publipress64g/m
2)の上にインク組成物を印刷後24時間の時点で行った耐摩擦性試験の結果を表27に示す。
データは、NADを含有しない実施例25の比較用のコールドセット印刷用インクが、24時間後、スーパー仕上げ紙の上で非常に悪い耐摩擦性を呈することを示している。実施例26のコールドセット印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して10重量%のNADを含有するが、NADを含有しない比較用のコールドセット印刷用インク(実施例25)と比較して、耐摩擦性に改善がみられる。実施例27のコールドセット印刷用インク組成物は、インク組成物の重量に対して25重量%のNADを含有するが、従来のコールドセット印刷用インク(実施例25)と比較して、耐摩擦性に著しい改善がみられる。実施例27のコールドセット印刷用インクで印刷されたサンプルでは、ΔE CMCが臨界値である4未満であった。したがって、データは、コールドセット平版印刷プロセスを用いて、スーパー仕上げ紙上にこのようなインクを印刷できるはずであることを示している。インク組成物の重量に対して25重量%のNADを含有する実施例27のコールドセット印刷用インクで印刷したサンプルは、インク組成物の重量に対してNADを10重量%しか含まない実施例26のコールドセット印刷用インク組成物で印刷したサンプルと比較して、耐摩擦性の改善が増加した。したがって、データの傾向は、例示的なコールドセット印刷用インク組成物中のNADの量を増加すると、この基材上のこの調合物の耐摩擦性における改善が増加することを示唆している。したがって、NADを含有するコールドセット印刷用インク組成物は、コールドセット平版印刷プロセスを用いてスーパー仕上げ紙上に印刷するために使用できることが期待される。
軽量コート紙
実施例25〜実施例27のコールドセット印刷用インク組成物を軽量コート紙の上に印刷して、NADを添加することによる、この紙基材上の印刷適性への効果を測定した。軽量コート紙の上に印刷されたコールドセット印刷用調合物の耐摩擦性の結果を表28に示す。軽量コート紙(Papier Union製Bavaria70g/m
2)の上にインク組成物を印刷後15分の時点で行った耐摩擦性試験の結果を表28に示す。
耐摩擦性データは、NADを含有しない実施例25の比較用のコールドセット印刷用インクで印刷した基材が、15分後、軽量コート紙の上で非常に悪い耐摩擦性を呈することを示している。実施例26の、インク組成物の重量に対して10重量%のNADを含有する、例示的なコールドセット印刷用インク組成物で印刷した基材は、NADを含有しない比較用のコールドセット印刷用インク(実施例25)の耐摩擦性と比較すると、耐摩擦性に改善がみられる。実施例27の、インク組成物の重量に対して25重量%のNADを含有する、コールドセット印刷用インク組成物で印刷した基材は、NADを含有しない比較用のコールドセット印刷用インク(実施例25)と比較すると、耐摩擦性に著しく改善がみられる。実施例27のコールドセット印刷用インクで印刷された例示的なサンプルでは、ΔE CMCが臨界値である4に近づいた。
インク組成物の重量に対して25重量%のNADを含有する実施例27のコールドセット印刷用インクは、インク組成物の重量に対してNADを10重量%しか含まない実施例26のインク組成物と比較して、短期的な耐摩擦性の改善が増加した。データの傾向は、コールドセット印刷用インク組成物中のNADの量を増加すると、軽量コート紙上の耐摩擦性における改善が増加することを示唆している。
本発明を、その好ましい実施形態を含め、詳細に説明したが、当業者によって理解されるように、本発明はより広く適用可能である。当然、当業者は、本開示を検討することにより、本発明の範囲と趣旨に含まれる本発明の改変および改良の両方、またはいずれか一方を実施し得る。改変は、当業者には明らかであるため、本発明は以下の請求項の範囲にのみ限定されることを意図している。