JP2014510419A - リソグラフィ装置、プログラマブル・パターニングデバイス、及びリソグラフィ方法 - Google Patents

リソグラフィ装置、プログラマブル・パターニングデバイス、及びリソグラフィ方法 Download PDF

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Abstract

【課題】例えば、プログラマブルパターニングデバイスを含む柔軟で低コストなリソグラフィ装置を提供する。
【解決手段】ある実施の形態においては、開示されるリソグラフィ装置は、基板の露光領域を、所望のパターンに従って変調された複数のビームで露光するよう構成されている変調器と、変調されたビームを基板に投影するよう構成されている投影系と、を含む。変調器は、複数のビームを露光領域に対し変位させる偏向器を含む。
【選択図】図5

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2011年4月8日に出願された米国特許仮出願第61/473,636号、及び2012年2月3日に出願された米国特許仮出願第61/594,875号に関連し、これらの全体が本明細書に援用される。
本発明は、リソグラフィ装置、プログラマブル・パターニングデバイス、及びデバイス製造方法に関する。
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、または基板の部分に与える機械である。リソグラフィ装置は例えば、集積回路(IC)、フラットパネルディスプレイ、微細形状を備えるその他のデバイス又は構造の製造に用いられる。従来のリソグラフィ装置においては、マスクまたはレチクルとも称されるパターニングデバイスが、ICやフラットパネルディスプレイ、その他のデバイスの個々の層に対応する回路パターンを生成するために使用されることがある。このパターンは例えば、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層への結像により、(例えばシリコンウェーハまたはガラスプレート等の)基板(の部分)へと転写される。
パターニングデバイスを使用して、回路パターンではなく例えばカラーフィルタのパターンやドットのマトリックス状配列などの他のパターンを生成する場合もある。従来のマスクに代えて、パターニングデバイスは、回路パターンまたはその他の適用可能なパターンを生成する個別に制御可能な素子の配列を備えるパターニングアレイを備えてもよい。このような「マスクレス」方式では従来のマスクを使用する方式に比べて迅速かつ低コストにパターンを準備したり変更したりできるという利点がある。
故に、マスクレスシステムはプログラマブルパターニングデバイス(例えば、空間光変調器、コントラストデバイスなど)を含む。プログラマブルパターニングデバイスは、個別制御可能素子のアレイを使用して所望のパターンが与えられたビームを形成するよう(例えば電子的に、または光学的に)プログラムされている。プログラマブルパターニングデバイスの種類には、マイクロミラーアレイ、液晶ディスプレイ(LCD)アレイ、グレーティングライトバルブアレイなどがある。
望まれることは、例えば、プログラマブルパターニングデバイスを含む柔軟で低コストなリソグラフィ装置を提供することである。
ある実施の形態においては、所望のパターンに従って変調された複数のビームで基板の露光領域を露光するよう構成されている変調器と、変調されたビームを基板に投影するよう構成されている投影系と、を含むリソグラフィ装置が開示される。変調器はビームを露光領域に対し移動させてもよい。リソグラフィ装置は、複数のビームを受けるレンズアレイを有し、レンズアレイが露光領域に対し移動可能であってもよい。
ある実施の形態においては、リソグラフィ装置には例えば、基板の目標部分にパターンを生成可能である光学コラムが設けられていてもよい。光学コラムには、複数のビームを発するよう構成されている自己放射コントラストデバイスと、複数のビームの少なくとも一部を目標部分に投影するよう構成されている投影系と、が設けられていてもよい。本装置には、ビームを目標部分に対し移動させる偏向器が設けられていてもよい。
付属の図面はここに組み込まれて本明細書の一部をなし、本発明のある実施の形態を図示し、発明の詳細な説明とともに本発明の原理を説明し本発明を当業者が製造し使用可能とするために供される。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略上面図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略上面図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略上面図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るビーム偏向器の概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るビーム偏向器の概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るビーム偏向器の概略側面図である。
図10Bのビーム偏向器の更なる概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るビーム偏向器の一次元アレイの概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るビーム偏向器の一次元アレイの概略上面図である。
本発明のある実施の形態に係るビーム偏向器の二次元アレイの概略上面図である。
本発明のある実施の形態に係るビーム偏向器の概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るビーム偏向器の概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の偏向器についての露光手順の概略上面図及び関連する電圧・時間プロファイルである。
本発明のある実施の形態に係る露光手順の概略上面図である。
本発明のある実施の形態に係る露光手順の概略上面図である。
本発明のある実施の形態に係り図18の露光手順を実施するリソグラフィ装置の概略上面図である。
材料成膜装置及び方法の側面図である。
材料成膜装置及び方法の側面図であり、図20に示す材料成膜装置及び方法の拡大図である。
アルミニウムの温度対熱容量のグラフである。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略上面図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の一部の概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の一部の概略斜視図である。
本発明のある実施の形態に係る複数のビームの投影の概略上面図である。
本発明のある実施の形態に係る個別にアドレス可能な素子についてのパワー/順電流グラフである。
本発明のある実施の形態を用いて基板にパターンを転写するモードを示す図である。
光学エンジンの配列の概略を示す図である。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の一部の概略上面図及び概略側面図である。 本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の一部の概略上面図及び概略側面図である。 本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の一部の概略上面図及び概略側面図である。 本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の一部の概略上面図及び概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係り、XY面で実質的に静止した個別制御可能素子と、それらに対し移動可能な光学素子と、を有するリソグラフィ装置の部分のレイアウトの概略上面図である。
図35のリソグラフィ装置の部分の概略三次元図である。
本発明のある実施の形態に係り、XY面で実質的に静止した個別制御可能素子と、それらに対し移動可能な光学素子と、を有するリソグラフィ装置の部分のレイアウトの概略側面図であり、ある個別制御可能素子に関し光学素子セット250の3箇所の異なる回転位置を示す。
本発明のある実施の形態に係り、XY面で実質的に静止した個別制御可能素子と、それらに対し移動可能な光学素子と、を有するリソグラフィ装置の部分のレイアウトの概略側面図であり、ある個別制御可能素子に関し光学素子セット250の3箇所の異なる回転位置を示す。
本発明のある実施の形態に係り、XY面で実質的に静止した個別制御可能素子と、それらに対し移動可能な光学素子と、を有するリソグラフィ装置の部分のレイアウトの概略側面図であり、ある個別制御可能素子に関し光学素子セット250の5箇所の異なる回転位置を示す。
本発明のある実施の形態に係り、XY面で実質的に静止した個別制御可能素子と、それらに対し移動可能な光学素子と、を有するリソグラフィ装置の部分のレイアウトの概略側面図である。
本発明のある実施の形態に係り、XY面で実質的に静止した個別制御可能素子と、それらに対し移動可能な光学素子と、を有するリソグラフィ装置の部分のレイアウトの概略側面図であり、ある個別制御可能素子に関し光学素子セット250の5箇所の異なる回転位置を示す。
図41の単一の可動光学素子セット250により同時に書かれる8本のラインの構成を概略的に示す図である。
図41の構成において移動ループトップを用いて焦点制御をする概略構成を示す図である。
本発明の1つ又は複数の実施形態が付属の図面を参照して説明される。各図面において同様の参照符号は同一の又は機能的に類似する要素を指し示す。
本明細書に説明されるのは、マスクレスリソグラフィ装置、マスクレスリソグラフィ方法、プログラマブル・パターニングデバイス及びその他の装置、製造物及び方法についての1つ又は複数の実施の形態である。ある実施の形態においては、低コストの、及び/または、柔軟なマスクレスリソグラフィ装置が提供される。マスクレスであるから、例えばICあるいはフラットパネルディスプレイを露光するのに従来のマスクは必要とされない。同様に、パッケージング用途において1つ又は複数のリングは不要である。つまり、プログラマブルパターニングデバイスは、パッケージング用途向けにエッジ投影を避けるために、デジタルのエッジ処理「リング」を提供することができる。マスクレス(デジタルパターニング)は、柔軟な基板に使用することもできる。
ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、極度に非限界の用途が可能である。ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、0.1μm以上の解像度、例えば、0.5μm以上の解像度、または1μm以上の解像度が可能である。ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、20μm以下の解像度、例えば、10μm以下の解像度、または5μm以下の解像度が可能である。ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、およそ0.1μmないし10μmの解像度が可能である。ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、50nm以上のオーバレイ、例えば、100nm以上のオーバレイ、200nm以上のオーバレイ、または300nm以上のオーバレイが可能である。ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、500nm以下のオーバレイ、例えば、400nm以下のオーバレイ、300nm以下のオーバレイ、または200nm以下のオーバレイが可能である。これらのオーバレイ及び解像度の値は、基板の寸法及び材料には無関係であり得る。
ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は高度に柔軟性をもつ。ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、種々の寸法、種類、性質の基板に拡張可能である。ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、仮想的に無制限のフィールドサイズを有する。そのためリソグラフィ装置は、大部分が共通するリソグラフィプラットフォームを用いて1つのリソグラフィ装置で又は多数のリソグラフィ装置によって、多くの用途(例えばIC、フラットパネルディスプレイ、パッケージング等)を可能にすることができる。ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、柔軟な製造を提供するための自動化されたジョブ生成を許容する。ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、三次元集積化を提供する。
ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、低コストである。ある実施の形態においては、ありふれた市販の部品のみが用いられる(例えば、放射発光ダイオードや、単純な移動可能な基板保持部、レンズアレイ)。ある実施の形態においては、ピクセルグリッド結像が使用され、単純な投影光学系が可能となる。ある実施の形態においては、単一のスキャン方向を有する基板保持部が使用され、コスト及び/または複雑さが低減される。
図1は、本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ投影装置100の概略を示す。装置100は、パターニングデバイス104、物体保持部106(例えば物体テーブルであり、例としては基板テーブル)、及び、投影系108を含む。
ある実施の形態においては、パターニングデバイス104は、ビーム110にパターンを付与するよう放射を変調するための複数の個別に制御可能な素子102を備える。ある実施の形態においては、複数の個別制御可能素子102の位置は、投影系108に対し固定されることができる。しかし、ある代替的な構成においては、複数の個別制御可能素子102は、あるいくつかのパラメタに従って当該素子の1つ又は複数を(例えば投影系108に対して)正確に位置決めするための位置決め装置(図示せず)に接続されていてもよい。
ある実施の形態においては、パターニングデバイス104は、自己放射コントラストデバイスである。このようなパターニングデバイス104は放射システムを不要にするので、リソグラフィ装置の例えばコストを減らし、サイズを小さくすることができる。例えば、個別制御可能素子102の各々は、放射発光ダイオード(例えば、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、高分子LED(PLED))、または、レーザダイオード(例えば、固体レーザダイオード)である。ある実施の形態においては、個別制御可能素子102の各々はレーザダイオードである。ある実施の形態においては、個別制御可能素子102の各々は青紫レーザダイオード(例えば、三洋の型式番号DL-3146-151)である。こうしたダイオードは、三洋、日亜、オスラム、ナイトライド等の企業により供給される。ある実施の形態においては、ダイオードは、約365nmまたは約405nmの波長を有する放射を発する。ある実施の形態においては、ダイオードは、0.5mWないし100mWの範囲から選択される出力パワーを提供することができる。ある実施の形態においては、レーザダイオードの(むき出しのダイの)サイズは、250μmないし600μmの範囲から選択される。ある実施の形態においては、レーザダイオードは、1μmないし5μmの範囲から選択される発光領域を有する。ある実施の形態においては、レーザダイオードは、7度ないし44度の範囲から選択される発散角を有する。ある実施の形態においては、ダイオードは、100MHzで変調されてもよい。
ある実施の形態においては、自己放射コントラストデバイスは、「冗長な」個別制御可能素子102を許容するために、必要以上に多くの個別制御可能素子102を備える。冗長な個別制御可能素子102は、他の個別制御可能素子102が動作不能であるか、適正に動作しない場合に、使用される。
ある実施の形態においては、自己放射コントラストデバイスである個別制御可能素子102は、個別制御可能素子102(例えばレーザダイオード)のパワー/順電流曲線の勾配部分で作動される。これは、より効率的であり、低い消費電力/発熱につながり得る。ある実施の形態においては、使用時において、個別制御可能素子あたりの光出力は、少なくとも1mW、例えば、少なくとも10mW、少なくとも25mW、少なくとも50mW、少なくとも100mW、または少なくとも200mWである。ある実施の形態においては、使用時において、個別制御可能素子あたりの光出力は、300mW未満、250mW未満、200mW未満、150mW未満、100mW未満、50mW未満、25mW未満、または10mW未満である。ある実施の形態においては、使用時において、個別制御可能素子を作動させるプログラマブルパターニングデバイスあたりの消費電力は、10kW未満、例えば、5kW未満、1kW未満、または0.5kW未満である。ある実施の形態においては、使用時において、個別制御可能素子を作動させるプログラマブルパターニングデバイスあたりの消費電力は、少なくとも100W、例えば、少なくとも300W、少なくとも500W、または少なくとも1kWである。
リソグラフィ装置100は、物体保持部106を備える。この実施形態においては、物体保持部は、基板114(例えば、レジストで被覆されたシリコンウェーハまたはガラス基板)を保持する物体テーブル106を備える。物体テーブル106は、移動可能であってもよく、あるいくつかのパラメタに従って基板114を正確に位置決めするための位置決め装置116に接続されていてもよい。例えば、位置決め装置116は、投影系108及び/またはパターニングデバイス104に対して基板114を正確に位置決めしてもよい。ある実施の形態においては、物体テーブル106の移動は、図1には明示されていないが、ロングストロークモジュール(粗い位置決め)と、任意選択としてショートストロークモジュール(精密位置決め)と、を備える位置決め装置116により実現されてもよい。ある実施の形態においては、本装置には、物体テーブル106を移動させる少なくともショートストロークモジュールが欠落している。類似のシステムが、例えば、個別制御可能素子102が物体テーブル106の走査方向に実質的に平行な方向に走査するように、個別制御可能素子102を位置決めするために使用されてもよい。ビーム110が代替的に又は追加的に移動可能であり、それとともに、物体テーブル106及び/または個別制御可能素子102が固定された位置を有することで、必要な相対移動が提供されてもよいものと理解されたい。こうした構成は本装置のサイズを制限するのに役立ちうる。ある実施の形態においては(これは例えば、フラットパネルディスプレイの製造に適用可能であり得るが)、物体テーブル106が静止されてもよく、位置決め装置116が物体テーブル106に対して(例えば上方で)基板114を移動させるよう構成されている。例えば、物体テーブル106には、実質的に一定の速度で当該テーブルにわたって基板114を走査するシステムが設けられていてもよい。この場合、物体テーブル106には、平坦な最上面に多数の開口が設けられてもよく、これら開口を通じてガスが送出されることで、基板114を支持可能であるガスクッションが提供されてもよい。これは従来、ガスベアリング構成と呼ばれる。基板114は、ビーム110の経路に対して基板114を正確に位置決めすることのできる1つ又は複数のアクチュエータ(図示せず)を用いて、物体テーブル106の上を移動される。あるいは、基板114は、上記の開口を通るガスの経路を選択的に起動及び停止することにより、物体テーブル106に対して移動されてもよい。ある実施の形態においては、物体保持部106は、基板を巻き取るロールシステムであってもよく、位置決め装置116は、基板を物体テーブル106に供給するようロールシステムを回転させるモータであってもよい。
投影系108(例えば、石英及び/またはCaFのレンズ系、またはそうした材料からなるレンズ素子を備える反射屈折系、またはミラー系)は、個別制御可能素子102により変調されパターンが付与されたビームを基板114の目標部分120(例えば1つ又は複数のダイ)に投影するために使用されることができる。投影系108は、複数の個別制御可能素子102により与えられるパターンの像を、当該パターンが基板114にコヒーレントに形成されるように投影してもよい。あるいは、投影系108は、二次光源の像を投影してもよく、複数の個別制御可能素子102の各々はそれら二次光源のためにシャッタとして作動する。
この点において、投影系は、例えば二次光源を形成し基板114上にスポット状に像形成するために、例えばマイクロレンズアレイ(MLAとして知られる)またはフレネルレンズアレイなどの焦点調節素子または複数の焦点調節素子(本書で一般化して、レンズアレイと呼ぶ)を備えてもよい。ある実施の形態においては、レンズアレイ(例えばMLA)は、少なくとも10個、例えば、少なくとも100個、少なくとも1,000個、少なくとも10,000個、少なくとも100,000個、または少なくとも1,000,000個の焦点調節素子を備えてもよい。ある実施の形態においては、パターニングデバイスにおける個別制御可能素子の数とレンズアレイにおける焦点調節素子の数とは等しいか、あるいは、パターニングデバイスにおける個別制御可能素子の数がレンズアレイにおける焦点調節素子の数よりも多い。ある実施の形態においては、レンズアレイは、個別制御可能素子アレイにおける1つ又は複数の個別制御可能素子に光学的に関連付けられた焦点調節素子を備え、例えば、個別制御可能素子アレイにおける1つの個別制御可能素子のみに関連し、または、個別制御可能素子アレイにおける2つ以上(例えば3つ以上、5つ以上、10以上、20以上、25以上、35以上、または50以上)の個別制御可能素子に関連する。ある実施の形態においては、焦点調節素子は、5000未満、例えば、2500未満、1000未満、500未満、または100未満の個別制御可能素子に光学的に関連付けられている。ある実施の形態においては、レンズアレイは、個別制御可能素子アレイにおける1つ又は複数の個別制御可能素子に光学的に関連付けられた2以上(例えば、多くの場合1000より多く、または、ほぼすべて)の焦点調節素子を備える。
ある実施の形態においては、レンズアレイは、少なくとも基板に近づく方向及び遠ざかる方向に例えば1つ又は複数のアクチュエータを用いて移動可能である。基板に近づく方向及び遠ざかる方向にレンズアレイを移動させることができる場合には、基板の移動を要することなく例えば焦点調整をすることが可能となる。ある実施の形態においては、レンズアレイの個別のレンズ素子は、例えばレンズアレイの個別レンズ素子の各々は、少なくとも基板に近づく方向及び遠ざかる方向に(例えば、非平坦基板での局所焦点調整のために、または、各光学コラムを同一の焦点距離にするために)移動可能である。
ある実施の形態においては、レンズアレイは、例えば放射の波長が約400nm以上(例えば405nm)である場合には、プラスチックの焦点調節素子を備える(例えば射出成形で作成容易であり、値段が手頃であるため)。ある実施の形態においては、放射の波長は400nmないし500nmの範囲から選択される。ある実施の形態においては、レンズアレイは、石英の焦点調節素子を備える。ある実施の形態においては、各々の又は複数の焦点調節素子は、非対称レンズであってもよい。その非対称性は、複数の焦点調節素子で同一であってもよいし、複数の焦点調節素子の1つ又は複数の焦点調節素子において複数の焦点調節素子のそれと異なる1つ又は複数の焦点調節素子とは異なっていてもよい。非対称レンズは、楕円の放射出力を円形の投影スポットに(またはその逆に)変換するのに役立ちうる。
ある実施の形態においては、焦点調節素子は、システムのために低い開口数(NA)を得るよう焦点外で基板に放射を投影するようになっている高い開口数を有する。高NAレンズは、入手可能な低NAレンズよりも、経済的であり、普及しており、及び/または、高品質でありうる。ある実施の形態においては、低NAとは0.3以下であり、ある実施の形態においては、0.18または0.15以下である。したがって、高NAレンズは、システムの設計NAより大きいNAを有し、例えば、0.3より大きく、0.18より大きく、または0.15より大きい。
ある実施の形態においては、投影系108がパターニングデバイス104から分離されているが、これは必須ではない。投影系108は、パターニングデバイス104に統合されていてもよい。例えば、レンズアレイブロックまたはレンズアレイプレートがパターニングデバイス104に取り付けられ(一体化され)ていてもよい。ある実施の形態においては、レンズアレイは、空間的に分離された個別のレンズレットの形式であってもよい。レンズレットの各々は、詳しくは後述するように、パターニングデバイス104の個別アドレス可能素子に取り付けられ(一体化され)る。
任意選択として、リソグラフィ装置は、放射(例えば紫外(UV)放射)を複数の個別制御可能素子102に供給する放射システムを備えてもよい。パターニングデバイス自体が放射源、例えばレーザダイオードアレイまたはLEDアレイである場合には、リソグラフィ装置は、放射源を備えない設計、つまり、パターニングデバイス自体以外の放射源を備えない設計、または、少なくとも単純な放射システムを備える設計とされてもよい。
放射システムは、放射源から放射を受けるよう構成されている照明系(イルミネータ)を含む。照明系は、放射搬送システム(例えば、適切な方向変更用のミラー)、放射調整デバイス(例えば、ビームエキスパンダ)、放射の角強度分布を設定するための調節デバイス(通常、イルミネータの瞳面における照度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径の値(それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。)、インテグレータ、及び/または、コンデンサのうち1つ又は複数の要素を含む。照明系は、個別制御可能素子102へと与えられる放射の断面に所望の均一性及び照度分布をもつように、放射を調整するために用いられてもよい。照明系は、放射を複数のサブビームに分割するように構成されていてもよい。例えば各サブビームが個別制御可能素子アレイにおける1つまたは複数の個別制御可能素子に関連付けられる。例えば二次元の回折格子が、放射をサブビームに分割するのに用いられてもよい。本明細書において「放射のビーム」及び「放射ビーム」という用語は、ビームがこうした複数のサブビームからなるという状況も包含するが、これには限定されない。
また、放射システムは、複数の個別制御可能素子102に供給するために放射を生成し、または、複数の個別制御可能素子102によって放射を生成する放射源(例えばエキシマレーザ)を含んでもよい。例えば放射源がエキシマレーザである場合には、放射源とリソグラフィ装置100とは別体であってもよい。この場合、放射源はリソグラフィ装置100の一部を構成しているとはみなされなく、放射は放射源からイルミネータへと受け渡される。あるいは放射源が水銀ランプである場合には、放射源はリソグラフィ装置100に一体に構成されていてもよい。これら両方の形式が本発明の範囲内にあるものと考慮される。
ある実施の形態においては、放射源は、ある実施の形態では複数の個別制御可能素子102であり得るが、少なくとも5nm、例えば、少なくとも10nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも175nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも275nm、少なくとも300nm、少なくとも325nm、少なくとも350nm、または少なくとも360nmの波長を有する放射を提供することができる。ある実施の形態においては、放射は、長くても450nm、例えば長くても425nm、長くても375nm、長くても360nm、長くても325nm、長くても275nm、長くても250nm、長くても225nm、長くても200nm、または長くても175nmの波長を有する。ある実施の形態においては、放射は、436nm、405nm、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、126nm、及び/または13.5nmを含む波長を有する。ある実施の形態においては、放射は、365nm付近または355nm付近の波長を含む。ある実施の形態においては、放射は、広帯域の波長を含み、例えば365nm、405nm、及び436nmを包含する。355nmのレーザ源が使用可能でありうる。ある実施の形態においては、放射は、約405nmの波長を有する。
ある実施の形態においては、放射は照明系からパターニングデバイス104に、0度から90度の間、例えば5度から85度の間、15度から75度の間、25度から65度の間、または35度から55度の間の角度で向けられる。照明系からの放射は、パターニングデバイス104に直接与えられてもよい。ある代替的な実施の形態においては、放射は照明系からパターニングデバイス104へとビームスプリッタ(図示せず)により向けられてもよい。このビームスプリッタは、放射がまずビームスプリッタにより反射されてパターニングデバイス104に向けられるように構成される。パターニングデバイス104は、ビームを変調し、再度ビームスプリッタに向かって戻るように反射する。ビームスプリッタは変調されたビームを基板114へと透過させる。しかしながら放射をパターニングデバイス104に向け、そのまま更に基板114に入射させるという代替的な構成が使用されてもよい。特に、透過型のパターニングデバイス104(例えばLCDアレイ)が用いられる場合、またはパターニングデバイス104が自己放射型(例えば複数のダイオード)である場合には、照明系の構成は必要とされないこともある。
リソグラフィ装置100の動作において、パターニングデバイス104が放射を発する(例えばLEDを備える)ものではない場合には、放射は、放射システム(照明系及び/または放射源)からパターニングデバイス104(例えば、複数の個別制御可能素子)に入射し、パターニングデバイス104により変調される。複数の個別制御可能素子102によって生成されたパターンが与えられたビーム110は、投影系108を通過する。投影系108は、ビーム110を基板114の目標部分120に集束させる。
位置決め装置116(及び、任意選択として、ベース136上の位置センサ134(例えば、干渉ビーム138を受ける干渉測定デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)により基板114は正確に移動され、そうして例えばビーム110の経路に異なる複数の目標部分120がそれぞれ位置決めされる。用いられている場合には、複数の個別制御可能素子102のための位置決め装置は、例えば走査中にビーム110の経路に対して複数の個別制御可能素子102の位置を正確に補正するよう使われてもよい。
本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置100は基板上のレジストを露光するものとして説明されているが、装置100は、レジストレス・リソグラフィでの使用のためのパターン付きビーム110を投影するために使用されてもよい。
リソグラフィ装置100は反射型(例えば反射型の個別制御可能素子を用いる)であってもよい。代替的に、本装置は、透過型(例えば透過型の個別制御可能素子を用いる)であってもよい。
図示の装置100は例示される1つ又は複数のモードで使用することができる。
1.ステップモードにおいては、放射ビーム110に付与されたパターンの全体が1回の照射で目標部分120に投影される間、個別制御可能素子102及び基板114は実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板114がX方向及び/またはY方向に移動されて、異なる目標部分120がパターン放射ビーム110で露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズが、1回の静的露光で結像される目標部分120の寸法を制限する。
2.スキャンモードにおいては、パターン放射ビーム110が目標部分120に投影される間、個別制御可能素子102及び基板114は同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。個別制御可能素子に対する基板の速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが1回の動的露光での目標部分の(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離が目標部分の(走査方向の)長さを決定する。
3.パルスモードにおいては、個別制御可能素子102は実質的に静止状態とされ、パルス(例えば、パルス化された放射源、または個別制御可能素子のパルス化によって与えられる)により基板114の目標部分120にパターンの全体が投影される。基板114が実質的に一定の速度で移動して、パターンビーム110は基板114上を線状に走査させられる。個別制御可能素子により与えられるパターンはパルス間に必要に応じて更新される。パルス照射のタイミングは、連続する複数の目標部分120が基板114上の要求される場所にて露光されるように調整される。その結果、基板114上の1つの短冊状領域にパターンが完全に露光されるようパターンビーム110が基板114を走査することになる。この短冊状領域の露光を順次繰り返すことにより基板114の全体が露光される。
4.連続スキャンモードは基本的にパルスモードと同様である。異なるのは、変調された放射ビーム110に対して基板114が実質的に等速で走査され、パターンビーム110が基板114を走査し露光するとともに個別制御可能素子アレイ上のパターンが更新されることである。個別制御可能素子アレイのパターンの更新に同期させるようにした、実質的に一定の放射源またはパルス放射源を用いることができる。
上記で記載したモードを組み合わせて動作させてもよいし、モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別のモードで使用してもよい。
図2は、本発明のある実施の形態に係り、ウェーハ(例えば300mmウェーハ)とともに使用されるリソグラフィ装置の概略上面図を示す。図2に示されるように、リソグラフィ装置100は、基板114を保持する基板テーブル106を備える。基板テーブル106に付随して、基板テーブル106を少なくともX方向に移動させる位置決め装置116がある。任意選択として、位置決め装置116は、基板テーブル106をY方向及び/またはZ方向に移動させてもよい。位置決め装置116は、基板テーブル106をX方向まわりに、Y方向まわりに、及び/またはZ方向まわりに回転させてもよい。したがって、位置決め装置116は、最大6自由度の運動を提供してもよい。ある実施の形態においては、基板テーブル106は、X方向の運動のみを提供する。その利点は、コスト及び複雑度が低くなることである。ある実施の形態においては、基板テーブル106はリレー光学系を備える。
リソグラフィ装置100は、フレーム160に配設された複数の個別アドレス可能素子102をさらに備える。フレーム160は、基板テーブル106及びその位置決め装置116から機械的に隔離されていてもよい。機械的隔離は例えば、フレーム160を地面に、または、基板テーブル106及びその位置決め装置116のためのフレームから分離された堅固な基礎に接続することによって、提供されてもよい。加えて、又は代替的に、ダンパがフレーム160とそれに接続される構造(地面、堅固な基礎、または、基板テーブル106及びその位置決め装置116を支持するフレーム)との間に設けられてもよい。
この実施形態においては、個別アドレス可能素子102の各々は、放射発光ダイオードであり、例えば青紫レーザダイオードである。図2に示されるように、個別アドレス可能素子102は、少なくとも3つに区分けされた個別アドレス可能素子102のアレイであり、これらはY方向に沿って配列されていてもよい。ある実施の形態においては、個別アドレス可能素子102のアレイは、隣接する個別アドレス可能素子102のアレイとX方向にずれている。リソグラフィ装置100は、特に個別アドレス可能素子102は、詳しくは後述するピクセルグリッド結像を提供するよう構成されていてもよい。しかし、ある実施の形態においては、リソグラフィ装置100は、ピクセルグリッド結像を提供することは必須ではない。正確に言えば、リソグラフィ装置100は、基板への投影のために個別のピクセルを形成するのではなくむしろ基板への投影のために実質的に連続的な像を形成するように、個別制御可能素子102の放射を基板に投影してもよい。
個別アドレス可能素子102のアレイのそれぞれは、個別の光学エンジンコンポーネントの一部であってもよく、容易に複製されるユニットとして製造されうる。また、フレーム160は、拡張可能に構成されてもよく、任意の個数のこうした光学エンジンコンポーネントにも容易に適合するよう構成可能であってもよい。光学エンジンコンポーネントは、個別アドレス可能素子102のアレイとレンズアレイ170との組み合わせを備えてもよい。例えば、図2においては、3つの光学エンジンコンポーネントが描かれている(個別アドレス可能素子102のアレイのそれぞれに後述のレンズアレイ170が付属する)。したがって、ある実施の形態においては、各光学エンジンが1つのコラムを形成して、多数コラムの光学構成が提供されてもよい。
また、リソグラフィ装置100は、アライメントセンサ150を備える。アライメントセンサは、基板114の露光前及び/または露光中に、基板114と例えば個別アドレス可能素子102とのアライメントを決定するために使用される。アライメントセンサ150の結果は、例えば基板テーブル106を位置決めする位置決め装置116をリソグラフィ装置100のコントローラにより制御してアライメントを改善するために、使用されることができる。加えて、または代替的に、コントローラは、例えば、アライメントを改善するために1つ又は複数の個別アドレス可能素子102を位置決めするよう個別アドレス可能素子102に関連する位置決め装置を制御し、及び/または、アライメントを改善するために1つ又は複数のビームを位置決めするよう個別アドレス可能素子102に関連する偏向器112を制御してもよい。ある実施の形態においては、アライメントセンサ150は、アライメントを実行するためにパターン認識機能/ソフトウェアを含んでもよい。
リソグラフィ装置100は、追加的に又は代替的に、レベルセンサ150を備える。レベルセンサ150は、個別アドレス可能素子102からのパターンの投影に対し基板106が水平であるか否かを決定するために使用される。レベルセンサ150は、基板114の露光前及び/または露光中に高さを決定することができる。レベルセンサ150の結果は、例えば基板テーブル106を位置決めする位置決め装置116をリソグラフィ装置100のコントローラにより制御してレベリングを改善するために、使用されることができる。加えて、または代替的に、コントローラは、レベリングを改善するために、投影系108のある要素(例えばレンズアレイ)を位置決めするよう投影系108(例えばレンズアレイ)に関連する位置決め装置を例えば制御してもよい。ある実施の形態においては、レベルセンサは、基板106に超音波ビームを投影することによって、及び/または、基板106に電磁放射ビームを投影することによって、動作してもよい。
ある実施の形態においては、アライメントセンサ及び/またはレベルセンサからの結果は、個別アドレス可能素子102により与えられるパターンを変更するために使用されてもよい。パターンは、例えば、個別アドレス可能素子102と基板114との間の光学系(もし存在するなら)や、基板114の位置決めの不規則性、基板114の不均一性などによって生じ得る例えばディストーションを補正するよう変更されてもよい。故に、アライメントセンサ及び/またはレベルセンサからの結果は、非線形のディストーションの補正効果を与えるよう投影パターンを変更するために使用されてもよい。非線形ディストーション補正は例えば、一貫性のある線形性又は非線形性のディストーションを有しないかもしれないフレキシブルディスプレイに有用であり得る。
リソグラフィ装置100の動作においては、基板114が例えばロボットハンドラ(図示せず)を用いて基板テーブル106に搬入される。基板114はそれからX方向にフレーム160及び個別アドレス可能素子102の下を移動させられる。基板114はレベルセンサ及び/またはアライメントセンサ150により測定され、その後に個別アドレス可能素子102を用いてパターンが露光される。例えば、基板114は、投影系108の焦点面(像面)を走査される。このとき、サブビームは、すなわち像スポットS(例えば図12参照)は、パターニングデバイス104によって少なくとも部分的にオン、または完全にオン、またはオフに切り換えられる。パターニングデバイス104のパターンに相当するフィーチャが基板114に形成される。個別アドレス可能素子102は例えば、本書に説明するピクセルグリッド結像を提供するよう動作してもよい。
ある実施の形態においては、基板114は、正のX方向に完全に走査されてから、負のX方向に完全に走査されてもよい。このような実施の形態においては、負のX方向の走査のために、追加のレベルセンサ及び/またはアライメントセンサ150が個別アドレス可能素子102の反対側に必要とされてもよい。
図3は、本発明のある実施の形態に係り、例えばフラットパネルディスプレイ(例えばLCDディスプレイ、OLEDディスプレイ等)の製造において基板を露光するためのリソグラフィ装置の概略上面図を示す。図2に示すリソグラフィ装置100と同様に、リソグラフィ装置100は、フラットパネルディスプレイ基板114を保持する基板テーブル106と、最大6自由度で基板テーブル106を移動させる位置決め装置116と、個別アドレス可能素子102と基板114とのアライメントを決定するためのアライメントセンサ150と、個別アドレス可能素子102からのパターンの投影に対して基板114が水平か否かを決定するためのレベルセンサ150と、を備える。
リソグラフィ装置100は、フレーム160に配設された複数の個別アドレス可能素子102をさらに備える。この実施形態においては、個別アドレス可能素子102の各々は、放射発光ダイオードであり、例えば青紫レーザダイオードである。図3に示されるように、個別アドレス可能素子102は、いくつかの(少なくとも8つの)区分けされた個別アドレス可能素子102の静止アレイであり、Y方向に沿って配列されていてもよい。ある実施の形態においては、これらアレイは実質的に静止しており、すなわち、投影中に顕著に移動することはない。また、ある実施の形態においては、個別アドレス可能素子102のいくつかのアレイは、隣接する個別アドレス可能素子102のアレイとX方向に交互にずれている。リソグラフィ装置100は、特に個別アドレス可能素子102は、ピクセルグリッド結像を提供するよう構成されていてもよい。
リソグラフィ装置100の動作においては、パネルディスプレイ基板114が例えばロボットハンドラ(図示せず)を用いて基板テーブル106に搬入される。基板114はそれからX方向にフレーム160及び個別アドレス可能素子102の下を移動させられる。基板114はレベルセンサ及び/またはアライメントセンサ150により測定され、その後に個別アドレス可能素子102を用いてパターンが露光される。個別アドレス可能素子102は例えば、本書に説明するピクセルグリッド結像を提供するよう動作してもよい。
図4は、本発明のある実施の形態に係り、ロールトゥロールのフレキシブルディスプレイ/電子機器に使用されるリソグラフィ装置の概略上面図を示す。図3に示すリソグラフィ装置100と同様に、リソグラフィ装置100は、フレーム160に配設された複数の個別アドレス可能素子102を備える。この実施形態においては、個別アドレス可能素子102の各々は、放射発光ダイオードであり、例えば青紫レーザダイオードである。また、リソグラフィ装置は、個別アドレス可能素子102と基板114とのアライメントを決定するためのアライメントセンサ150と、個別アドレス可能素子102からのパターンの投影に対して基板114が水平か否かを決定するためのレベルセンサ150と、を備える。
また、リソグラフィ装置は、物体テーブル106を有する物体保持部を備えてもよく、基板114はその上を移動させられる。基板114は柔軟であり、位置決め装置116に接続されているロールへと巻かれる。位置決め装置116はこのロールを回転させるモータであってもよい。ある実施の形態においては、基板114は、追加的にまたは代替的に、位置決め装置116に接続されたロールから巻き取られてもよく、位置決め装置116はこのロールを回転させるモータであってもよい。ある実施の形態においては、少なくとも2つのロールがあり、基板が巻かれている一方から他方へと基板が巻かれる。ある実施の形態においては、物体テーブル106は、基板114がロール間で充分に剛である場合には例えば、設けられていなくてもよい。こうした場合であっても、物体保持部(例えば1つ又は複数のロール)が設けられることもあり得る。ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、基板のキャリアレス(例えば、キャリアレスフォイル(CLF))及び/又はロールトゥロール製造を提供することができる。ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、シートトゥシート製造を提供することができる。
リソグラフィ装置100の動作においては、フレキシブル基板114がロールへと、及び/または、ロールから、X方向にフレーム160及び個別アドレス可能素子102の下で巻き取られる。基板114はレベルセンサ及び/またはアライメントセンサ150により測定され、その後パターンが個別アドレス可能素子102を使用して露光される。個別アドレス可能素子102は例えば、本書に説明するピクセルグリッド結像を提供するよう動作してもよい。
図5は、本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略側面図を示す。図5に示されるように、リソグラフィ装置100は、パターニングデバイス104と投影系108とを備える。パターニングデバイス104は、(本書に述べるダイオードのような)個別アドレス可能素子102と偏向器112とを備える。偏向器112は、個別アドレス可能素子102からのビームを受け、X方向及び/またはY方向にビーム110の横方向変位を生じさせる。変位されたビーム110の光線群により図示される通りである。ある実施の形態においては、パターニングデバイス104は、個別アドレス可能素子102から偏向器112への放射ビーム110を結像するレンズを含んでもよい。ある実施の形態においては、個別アドレス可能素子102ごとに1つの偏向器112が関連づけられていてもよい。
偏向器112からの偏向されたビームは、投影系108により受光される。投影系108は2つのレンズ124、170を備える。視野レンズである第1レンズ124は、パターニングデバイス104からの変調された放射ビーム110を受けるよう配設されている。ある実施の形態においては、レンズ124は開口絞り126に配置されている。放射ビーム110は視野レンズ124から発散し、結像レンズである第2レンズ170により受光される。レンズ170はビーム110を基板114に集束する。ある実施の形態においては、第1焦点距離128でのレンズ124の焦点面は、第2焦点距離130でのレンズ170の後焦点面と実質的に光学的に共役である。ある実施の形態においては、レンズ170は、0.15または0.18のNAを提供することができる。ある実施の形態においては、レンズ124及び/またはレンズ170は、アクチュエータを使用して最大6自由度(例えばX−Y−Z方向)で移動させられてもよい。
ある実施の形態においては、個別アドレス可能素子102ごとに1つの偏向器112及びレンズ170が関連づけられている。したがって、図7を参照するに、複数の個別アドレス可能素子102が1つのアレイに配列されている実施の形態においては、偏向器112のアレイ及びレンズ170のアレイがあってもよい。パターニングデバイス104の1つ又は複数の個別アドレス可能素子102に対応する変調放射ビーム110の部分はそれぞれ、対応する偏向器112を通過し、レンズアレイ170の対応するレンズを通る。各レンズが変調放射ビーム110の上記対応部分を基板上の一点へと集束する。このようにして、(例えば、スポットサイズが約1.6μmの)放射スポットの配列が基板114に露光される。パターニングデバイス104の個別アドレス可能素子はあるピッチで配列され、その結果として基板114に結像されるスポットが関連するピッチを有してもよい。偏向器及び/またはレンズのアレイは、数百または数千の偏向器及び/またはレンズを備えてもよい(パターニングデバイス104として使用される個別アドレス可能素子についても同様である)。明らかであるように、複数のレンズ122、124があってもよい。ある実施の形態においては、複数の個別アドレス可能素子102からのビームレット110が単一の偏向器112により偏向される。
ある実施の形態においては、個別アドレス可能素子102及び偏向器112のような各種要素間に数の対応がなくてもよい。例えば、図8を参照するに、複数の偏向器112について1つの個別アドレス可能素子102があってもよい。このような実施の形態においては、複数の偏向器112に複数のレンズ170が関連づけられていてもよい。関連づけられた複数のレンズ122、124があってもよい。個別アドレス可能素子102から複数の偏向器112(及び任意選択として偏向器112の手前の複数のレンズ122)へとビームを結合するためにレンズ140が設けられていてもよい。
図5に示されるように、基板114とレンズ170との間に自由作動距離132が設けられている。この距離により、例えばフォーカス補正を可能とするように、基板114及び/またはレンズ170を移動させられるようになっている。ある実施の形態においては、自由作動距離は1mmから3mmの範囲にあり、例えば約1.4mmである。
ある実施の形態においては、投影系108は、基板114における像スポットの配列間隔がパターニングデバイス104のピクセルの配列間隔と同じである1:1の投影系であってもよい。解像度を改善するために、パターニングデバイス104のピクセルよりも像スポットが相当に小さくてもよい。
図6を参照するに、図5に示されるリソグラフィ装置の側面図が示されており、これは例えば図2から図5のいずれかの構成にて実施される。図示されるように、リソグラフィ装置100は、基板114を保持する基板テーブル106と、基板テーブル106を最大6自由度で移動させる位置決め装置116と、フレーム160に配設されているパターニングデバイス104及び投影系108と、を備える。この実施形態においては、基板114は位置決め装置116によりX方向に走査される。また、矢印で図示されるように、パターニングデバイス104により変調され投影系108により投影されるビーム110は、パターニングデバイス104の偏向器112によりY方向に(任意選択としてX方向にも)横方向に変位される。
上述のように、偏向器112は、個別アドレス可能素子102からの放射ビームのX方向及び/またはY方向における偏向を促進する。いいかえれば、この種の偏向器は、ビーム110を走査し、または、基板114上の特定位置へとビーム110を向ける。ある実施の形態においては、偏向器112は、Y方向にのみ又はX方向にのみ放射を偏向してもよい。ある実施の形態においては、偏向器112は、X方向及びY方向の両方に放射を偏向してもよい。ある実施の形態においては、各々が互いに異なる一方向のみに放射を偏向可能である直列配置の偏向器112が、X方向及びY方向の両方に放射を偏向することができる。例えば、同種の2つの偏向器が互いに垂直に一方が他方の下側に取り付けられ、それによりX方向及びY方向の両方への偏向が得られてもよい。X方向及びY方向の両方に放射を偏向するこうした偏向器112の例は図10(B)及び図10(C)に示される。
ある実施の形態においては、偏向器112は、機械的偏向器(すなわちガルバノメータ型)、電気光学偏向器、及び/または音響光学偏向器であってもよい。機械的偏向器は、解像可能なスポット数を最大としうるが(解像可能なスポットとは、ビームがそれ自身の角度的な広がりと等しい角度だけ偏向されることをいう)、スポット走査速度に関しては最遅でありうる。電気光学偏向器は、スポット走査速度に関しては最速でありうるが解像可能なスポット数は最小でありうる。
ある実施の形態においては、偏向器112は、電気光学偏向器である。電気光学偏向器は、最大数ナノ秒の切換速度を提供しうる。ある実施の形態においては、電気光学偏向器は、±15度の偏向角度を提供しうる。ある実施の形態においては、これにより、0.05度の入射ビーム発散について600個の放射スポットが生み出されうる。ある実施の形態においては、電気光学偏向器を使用することにより、放射偏向のために高速移動する機械部分をもつことを避けられうる。ある実施の形態においては、放射源102と基板114との間に移動光学素子がなくてもよい。
電気光学偏向器は、光学的に透明なピエゾ材料を備えてもよい。よって、ある実施の形態においては、放射ビームは材料に印加される電位差によって進路変更される。例えば、こうした光学的に透明な材料を横断する電位差が印加されると、材料の屈折率が変化し、それによりビーム伝播方向が変わる(すなわち、放射ビームを偏向することができる)。ある実施の形態においては、この材料は、LiNbO、LiTaO、KHPO(KDP)、またはNHPO(ADP)から選択される。LiTaOは、405nmの波長で透明である。
図9を参照するに、ある実施の形態においては、電気光学偏向器112は、電気光学材料のプリズム142を備える。ある実施の形態においては、プリズムはプレートである。図9に示されるように、プリズム142は、ビーム110に対し非垂直に(即ち角度をなして)配置されている。コントローラ144によりプリズム142の異なる表面間に電位差が印加されると、材料の屈折率が変化し、図9の矢印間の変位量により示されるように、ビーム110に横方向シフトが生じる。
電気光学偏向器112がビーム110に対し角度をなして配置されている実施形態においては、斜め入射による反射のために放射に損失が生じうる。よって、図10(A)を参照するに、電気光学偏向器112には、プリズム142の1つ又は複数の側部に適合されたプリズム146が設けられていてもよい。プリズム146はプリズム142と実質的に同一の屈折率を有する。ある実施の形態においては、プリズム142と実質的に同一の屈折率とは、プリズム142の最大屈折率または最小屈折率から1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、または10%以内の屈折率をいう。図10(A)においては、プリズム146はプリズム142の両側に設けられている。よって、この実施形態においては、入射ビーム110はプリズム146内でプリズム142の入射面へと連結され、プリズム142の入射面を通過する。プリズム142において印加電位差によりビームが偏向される。ビーム110はプリズム142の出射面からプリズム146へと出射し、基板114に向けてプリズム146を通過する。プリズム142の入射面に接触するプリズム146、又はプリズム142の出射面に接触するプリズム146が省略されてもよい。このプリズム146の構成は、不要な強度損失を防ぎ、電気光学偏向器112への放射の結合を改善するはずである。
ある実施の形態においては、偏向器112は、X方向及びY方向の両方に放射を偏向してもよい。図10(B)及び図10(C)を参照するに、偏向器112の第1セット220と偏向器112の第2セット222とがあり、各セットが互いに異なる一方向にのみ放射を偏向することができる。例えば、同種の2つの偏向器が互いに垂直に一方が他方の下側に取り付けられ、それによりX方向及びY方向の両方への偏向が得られてもよい。図10(B)及び図10(C)に示す実施形態においては、偏向器112の二次元アレイが設けられている。これは、二次元アレイに配列された偏向器112の第2セット222の上に、二次元アレイに配列された偏向器112の第1セット220を有する。ある実施の形態においては、図10(B)を参照するに、偏向器112の第2セット222は、X軸に関し裏返しとされ90度回転されていることを除いて、偏向器の第1セット220と同じである。図10(B)及び図10(C)はそれぞれ第1セット220及び第2セット222の側面図を示す。この実施形態においては、各偏向器112がプリズム142及びプリズム146(例えば石英のような透明ガラス)の組み合わせを備える。ある実施の形態においては、プリズム146がなくてもよい。また、図10(B)及び図10(C)には4×4の偏向器アレイが示されているが、アレイは異なる寸法を有してもよい。このアレイは例えば、15×20の偏向器アレイであり、例えば120mmの露光幅をカバーしてもよい。
電気光学偏向器112による偏向が制限されてもよい。従って改善が使用されうる。これは図5において、視野レンズ124と結像レンズ170との組み合わせにより図示されている。例えば、約60ミクロンから約400ミクロンの像フィールドについて、横方向シフト(すなわち偏向)がこうしたレンズにより基板にて例えば約10倍に拡大されてもよい。ここで倍率M=f2/f1であり、f2は焦点距離128であり、f1は焦点距離130である。ある実施の形態においては、1本のビームレットにより走査されるフィールドが、約3ミクロンの解像度で約60ミクロン×60ミクロンから約400ミクロン×400ミクロンまでであってもよい。ある実施の形態においては、7500本のビームレットがあってもよい。
偏向角度(従って解像可能点の数)を増やす追加の又は代替の方法は、複数のプリズムを直列に使用し、及び/または、内部全反射効果を利用することである。図11を参照するに、複数の偏向器112が側面図に示されている。各偏向器112は、一列に並ぶ複数のプリズム180、182を備える。交互に配置されるプリズム180、182それぞれが反対の領域を有する。いいかえれば、プリズム180の領域はプリズム182の領域と反対である。つまり、プリズム180での屈折率変化は、プリズム182での屈折率変化と反対の符号を有する。こうした偏向器112に電位差を印加することにより、ビーム110が偏向器112内を進むにつれて実質的に「曲げ」が維持されて、偏向角度が増加する。図11に示される偏向器112の上面図が図12に示されており、電位差を印加するための接続184が示されている。図13は、図12に示す偏向器112の一次元アレイを複数並べた二次元アレイをコントローラ144への関連の接続184とともに示す更なる上面図である。よって、二次元レイアウトをとる複数のビームレットが偏向されてもよい。ある実施の形態においては、それら偏向器112を横切るビームレットにカスタマイズされた偏向を提供するために、偏向器112の各々が別々に制御され(すなわち別々の電位差が印加され)てもよい。
図14を参照するに、偏向角度は、偏向器112を形成する2つの異なる材料186、188の境界に対し斜め入射角度で偏向器112にビームを入射させることにより増加する。
ある実施の形態においては、図15を参照するに、偏向器112は、電位差の印加のもとで屈折率勾配を有する電気光学材料を備える。言い換えると、ある電位差の印加のもとで材料全体にわたって実質的に均一な屈折率変化量を有するのではなく、ある電位差の印加のもとで材料にわたる屈折率変化量が異なる。印加された電位差の方向において屈折率変化量が異なることにより、ビーム110は、材料を通過するときに、異なる屈折率を「経験」し、その結果、ビーム110に曲げが生じる。ある実施の形態においては、この材料は、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1−xNb、KTN)を備える。
ある実施の形態においては、屈折率変化量は一方の電極184(例えば陽極)で最大で、他方の電極184(例えば陰極)で最小である。電位差を反転させることで、偏向の方向も反転する(例えば、+xから−x)。また、原理的に偏向は、異なる二方向に可能である。ただし、それは2つの電位差が印加される場合である(例えば、ビームがZ方向に伝播するとき、X方向及びY方向の偏向)。こうして、コンパクトな二次元偏向器が実現されうる。
例えばKTNを使用することで、より小型の偏向器112が実現され、それによりビーム伝播経路に沿う偏向器112の長さによってビームプロファイルが歪む可能性が低減されうる。例えば、5×5×0.5mmの偏向器112が提供されうる。また、例えば250Vで150mradといった大きな偏向角度が実現されうる。こうした偏向器112は、メガヘルツの周波数で変調され、例えば532nm、〜800nm、及び1064nmで高い透明度を有し、例えば1064nmにて500MW/cmを超える高い損傷しきい値を有してもよい。
再び図5を参照するに、ある実施の形態においては、個別アドレス可能素子102としてのダイオードの二次元アレイが設けられている。また、偏向器112の二次元アレイが設けられている。ある実施の形態においては、ダイオード102ごとに1つの偏向器112が関連づけられている。ある実施の形態においては、ダイオードのアレイは、実質的に同一のクロック周波数及びデューティサイクルで変調されるが、各ダイオードの強度は個別に変調可能である。こうして、ダイオードのアレイはビームレット110のアレイを生成し、それが偏向器112のアレイによって偏向される。回折光学素子124が、ビームレット110に適切な空間分布を与えるために設けられていてもよい。ビームレット110は、レンズ170によってビームレット110の二次元アレイへと集束される。ここで、ビームレット110のスポット間距離は、1つの偏向器112の解像可能なスポット数に露光グリッドを乗じたものに等しい。
例えば図3を参照して述べたように、ダイオード102の複数のアレイが(図3に図示されるように)ジグザグ状に又は互いに隣接して光学コラムとして配列されていてもよい。また、光学コラムごとに偏向器112の1つのアレイ及び投影系108の光学系が関連づけられている。ある実施の形態においては、光学コラムごとの露光領域は、それらがつなぎ合わされるように(すなわち、重なりをもつように)配列されている。この構成においては、ダイオード102の変調のための同一のクロック周波数と偏向器112の駆動のための同一の電圧とを使用することができる。
図16を参照するに、ある実施形態の露光手順が上面図で示されている。図16においては、簡単のために、個別アドレス可能素子102の3×3のアレイが図示されているが、これよりも相当に多数の個別アドレス可能素子102が設けられることもありうる。ある実施の形態においては、アレイは、個別に変調されるダイオード102を備えてもよい。完全露光モードである第1モードにおいては、個別アドレス可能素子102が個別に変調される。すなわち、放射強度がオン及びオフなどというように切り替えられるように変調される。そして、個別アドレス可能素子102からのビームレット110が並行して、偏向器112のアレイの対応する偏向器112によって像フィールド148を横断するようにY方向に偏向される。偏向器112の印加電位差の変調プロファイルの一例が電圧・時間図に示されている。各ビームレット110が光学素子124を通過してレンズ170により集束され、矢印で図示されるように基板114がX方向に走査されるとき当該ビームレット110は自己の縞を露光する。縞は互いに隣接しており適切につなぎ合わされる。ダイオードの各々が、1.1−3.3と番号づけられた矩形の割り当て領域を露光する。
ある実施の形態においては、ダイオード102が基板114に二次元のスポットアレイを投影するという点で、上述とは露光手順が異なる。露光手順は例えば、最初の矩形領域1.1がダイオード102により完全に露光され、次に矩形2.2、矩形3.3が露光され、それから矩形1.2、矩形2.2などとなる。偏向ビーム110の品質を改善するために、ダイオードパルス間においてのみ偏向器112は傾斜を与える。この種の露光手順は「ステッパ型」と呼ぶことができる。
ある実施の形態においては、公称寸法1×1mの基板が、1000個のダイオード102を使用して約10秒間で露光されうる。ここで、掃引時間は約10μ秒、ダイオードパルス持続時間は約10ナノ秒、露光グリッド及びスポットのサイズは1μm、偏向器112の解像可能な点の数は約1000、基板114の走査速度は0.1m/sである。ある実施の形態においては、(図17において両矢印で示される)0.4mmの像フィールドが38m/sのスポット走査速度とともに可能である。ある実施の形態においては、300個のレーザダイオードが基板上の120mmを露光するために設けられる(ここで、ビームレットの数はレンズ170の像フィールドに直接関係する。)。ある実施の形態においては、レーザダイオードあたりの出力パワーは約38mWである。ある実施の形態においては、21ナノ秒(48MHz)のパルス時間が与えられる。ある実施の形態においては、ダイオード102の出力パワーを調整することによりコントラストが生成される。
こうして、ある実施の形態においては、完全露光モードは、個別アドレス可能素子102による変調を含む。言い換えると、個別アドレス可能素子102は、ある制限された時間だけオンとなる。偏向器112は、ビームレット110の強度が変調され基板114がX方向に移動するときパターンの露光が生じるように、ビームレット110を素早く偏向する。ある実施の形態においては、偏向器112は、Y方向の偏向を生じさせるがX方向には偏向を生じさせない。よって、図16に示す矩形領域1.1〜3.3のうち1つを図示する図17を参照するに、矢印で示すように基板114がX方向に移動するときビームレット110は像フィールド148を横切るようY方向に走査する。このように、偏向器112には、図17のY電圧(Vy)対時間のグラフにより示されるようにY方向の偏向を生じさせる電位差変調が与えられる。電位差変調は、個別アドレス可能素子102により提供される変調が与えられるのであれば、ほぼ規則的であってもよい。一方、偏向器112には、図17の空白のX電圧(Vx)対時間により示されるようにX方向の偏向を生じさせる電位差変調は与えられない。
しかし、ある種のデバイスや構造は制限されたパターン密度を有するにすぎず、それは製造中に露光されなければならない領域の例えば15%未満である。例えば、パターン密度は、表面の4%であってもよい(例えば、アクティブマトリックス型フラットパネルディスプレイは80ミクロンのサブピクセル幅について3ミクロンのラインを有してもよい。)。4%のパターン密度では、基板上の各ピクセルがマスクレスシステムによりアドレス指定される(例えば、基板上の全ピクセルがアドレス指定され、ピクセルごとに放射強度がパターンを生成するよう調整される)構成においては最大96%の放射が使用されないかもしれない。言い換えると、放射の能力が過剰である。
そこで、効率的露光モードである第2モードにおいては、露光されなければならない基板上のピクセルのみがアドレス指定され、それにより、無駄になりうる放射の量が低減される。こうして、放射のパワーが低減され、コストも低減されうる。また、こうした露光モードは、データパスの複雑さを低減し、システムの熱負荷を低減しうる。
露光される必要のある基板上のピクセルのみをアドレス指定するために、ビーム又はビームレットを所望の位置に向けるコントラストデバイスが設けられていてもよい。ある実施の形態においては、ビーム又はビームレットは偏向器112により、露光される必要のある基板上のスポットのみに向けられる。ある実施の形態においては、偏向器112は、露光される必要のある基板上のある1つのピクセルにのみスポットを位置づけるようX方向及びY方向の両方にビームレットを偏向するよう構成されている。ビームレットは、必要とされないときにはビームダンプに向けて偏向されてもよい。例えば、ビームダンプは、視野レンズ124に配置されていてもよいし、開口絞り126であってもよい。効率的露光モードにおいては、(レーザダイオードのような)個々の放射源がビームレットごとに設けられていてもよいし、または、単一の放射源が多数のビームレットを形成するために使用されてもよい。
よって、ある実施の形態においては、効率的露光モードは、個別アドレス可能素子102による変調を必ずしも含まない。言い換えると、個別アドレス可能素子102は、「常時オン」であってもよく、つまり、個別アドレス可能素子はその強度を露光中に減少させなくてもよい。偏向器112はパターンの露光(従って変調)を生じさせるようにビームレット110を素早く偏向し、基板114はX方向に移動させられる。ある実施の形態においては、偏向器112は、(基板がX方向に移動している間に)X方向及びY方向に偏向を生じさせる。こうして、図16に示す矩形領域1.1〜3.3のうち1つを示す図18を参照するに、矢印で示されるX方向に基板114が移動するとき、ビームレット110が像フィールド148において適切にX方向及び/またはY方向に偏向される。よって、偏向器112には、図18のX電圧(Vx)対時間のグラフにより示されるようにX方向に偏向を生じさせる電位差変調と、図18のY電圧(Vy)対時間のグラフにより示されるようにY方向に偏向を生じさせる電位差変調とが与えられる。X方向及びY方向の電位差変調は、パターンの性質に依存して、また個別アドレス可能素子102により提供される変調があるか否かに依存して、ほぼ不規則であってもよい。
図19を参照するに、例えば図3に示される装置において実施される効率的露光モードの実施形態が示されている。よって、個別アドレス可能素子102のアレイは、それぞれの像フィールド148においてビームの偏向を提供し、基板114にパターンを形成してもよい。基板114の全幅をカバーするために、個別アドレス可能素子102の複数のアレイが設けられていてもよい。
ある実施の形態においては、効率的露光モードの装置は、多数の放射源を備えてもよい。例えば、6%のパターン密度について、レーザダイオードあたり2.3mWの出力パワーを有する複数のレーザダイオードがあってもよい。ある実施の形態においては、効率的露光モードの装置は、単一の放射源を備えてもよい。例えば、120mmの露光幅にわたって300個のスポットを生成するよう690mWの単一放射源があってもよい。
また、本書はまず基板の放射感応表面を露光することに焦点を当てているが、それに加えて又はそれに代えて、本書に説明される装置、システム、及び方法は、基板上に材料を成膜すること、または、基板の(例えば基板上の又は基板を構成する)材料を除去すること、または、成膜と除去の両方に適用されてもよい。例えば、本書に説明されるビームは、基板上への金属成膜及び/または基板のアブレーションを生じさせるために使用されてもよい。ある実施の形態においては、装置は、放射感応表面を用いるリソグラフィ(本書ではフォトリソグラフィともいう)と本書に説明されるビームを用いる材料成膜との組み合わせを提供してもよい。ある実施の形態においては、装置は、本書に説明されるビームを用いる材料成膜と除去との組み合わせを提供してもよい。ある実施の形態においては、装置は、本書に説明されるビームを用いるフォトリソグラフィ、材料成膜、及び材料除去を提供してもよい。
有利には、本書に説明される装置、システム、及び方法は、あるデバイス又はその他の構造の処理の全体ではないとしても大半を提供する単一のツールを提供してもよい。こうしたツールによると生産がより柔軟になりうる。特定の処理を提供する別々のツールの使用が低減されることにより、金銭的支出が低減されうる(例えば、金属成膜とアブレーションが1つのツールへと組み合わされ、各処理に特化されたツールを有しなくてもよい。)。
また、適切な状況においては、新たな処理が採用されて、1つ又は複数の生産工程が除去され又は1つ又は複数の生産工程が他の1つ又は複数の生産工程に置き換えられ、より迅速及び/またはより効率的な生産処理が得られてもよい。一例として、フラットパネルディスプレイの生産には従来、フォトリソグラフィ、成膜、及びエッチングを用いて多数の層を生成することが含まれる。より具体的な一例においては、フラットパネルディスプレイの背面の生産には、フォトリソグラフィ、成膜、及びエッチングが各々に含まれる5層の形成が含まれうる。このような生産には金属パターンを定める5つの処理工程とたいてい5つのツールが関わりうる。これら工程には、金属層の成膜、フォトレジスト被覆、フォトリソグラフィ及びレジスト現像、現像されたレジストを用いる金属エッチング、及び、エッチング後のレジスト剥離がある。よって、相当量の資本(例えば、ツールの形で)だけでなく、相当量の材料が非効率に使用されている。例えばアクティブマトリックス型フラットパネルディスプレイを定義するには、3m×3mのガラスプレートを被覆するフォトレジストが、これは後で完全に洗い落とされるのであるが、使用されうる。同様に、銅及び/またはその他の金属がガラスプレート全面に成膜され、その最大95%が後で洗い落とされる。さらに、上述の材料をエッチングし又は剥離するために化学物質が使用される。
そこで、こうした生産の技術的障害は、1つ又は複数の減法的な工程を加法的な工程へとまとめることにより乗り越えられるかもしれない。よって、フォトリソグラフィ工程、成膜工程、及びエッチング工程の組み合わせではなく、材料成膜工程が、典型的には材料を除去することにより生成されていたであろう構造を、加法的に生成するために使用されてもよい。直接的な材料成膜によれば、フラットパネルディスプレイ製造に典型的に使用されるいくつかの減法的な処理工程を除去することができるかもしれない。これに加えて又はこれに代えて、例えばレジスト被覆及び現像を要することなく、アブレーションが材料を除去するために使用されてもよい。それ故に、このようなレーザ誘起工程、つまり材料成膜及び/または除去は、ビームエネルギーが材料に作用するよう使用されるから、フォトリソグラフィの自然な延長である。
ある実施の形態においては、例えば、フラットパネルディスプレイの全てではないとしてもほとんどの層の生成に単一の装置が使用されてもよい。例えば、この装置は、ディスプレイパネルを生産するために、(必要であれば)マスクレスフォトリソグラフィ、(例えば、液晶(例えばアクティブマトリックス)ディスプレイの金属パターンの)レーザビーム誘起成膜、及び、(例えば、酸化インジウムスズ(ITO)導電層の)レーザビームアブレーションを実行してもよい。
次に、まず材料成膜を説明し、それから材料除去を説明する。ある実施の形態においては、材料成膜は、基板上への材料(例えば金属)のレーザ誘起前方転写(LIFT)を含む。これは、フォトリソグラフィなしで基板に材料を直接成膜する方法である。ある実施の形態においては、上記材料は、アルミニウム、クロム、モリブデン、銅、またはこれらの任意の組み合わせであってもよい。
こうした成膜用の装置、プロセス、及びシステムは、リソグラフィツール及びプロセスに酷似しており、フォトリソグラフィツール及びプロセスとの主な違いは、ビームが基板に直接適用されるのではなく、ビームが材料供与プレートに適用されることでありうる。
図20及び図21を参照するに、レーザ誘起前方転写の物理メカニズムが示されている。ある実施の形態においては、放射ビーム200が実質的透明材料202(例えばガラス)の中へと材料202がプラズマ化されない低強度で集束される。表面熱吸収が、材料202を覆う供与材料層204(例えば金属フィルム)に生じる。熱吸収によって供与材料204が溶ける。また、加熱により誘起圧力勾配が前進方向に生じ、これにより供与材料層204からの(従って供与構造体(例えばプレート)208からの)供与材料滴206の前方加速がもたらされる。こうして、供与材料滴206が供与材料層204から解放され、基板114に向けて(重力の支援により又は支援なしで)移動させられ基板114に到達する。供与プレート208上の適切な位置にビームを当てることにより、供与材料パターンを基板114に成膜することができる。ある実施の形態においては、供与材料層204にビームが集束されてもよい。
ある実施の形態においては、供与材料の転写を生じさせるために1つ又は複数の短パルスが使用される。ある実施の形態においては、上記パルスは、準一次元の前進加熱及び溶融材料の質量転写を得るための数ピコ秒または数フェムト秒の長さであってもよい。こうした短パルスによれば材料層204における横方向の熱の流れがほとんどないかまったくないので、供与構造体208への熱負荷はほとんどないかまったくない。短パルスは材料の急速な溶融と前方加速を可能とする(例えば、金属のような材料が気化された場合には、前進する指向性を失って、飛散する成膜となるであろう。)。短パルスは、上記加熱温度をわずかに超え気化温度には達しないように材料を加熱することが可能である。例えば、アルミニウムの溶融から気化への相変化を不連続部に示す図22を参照するに、アルミニウムについてはおよそ摂氏900から1000度の温度が望まれる。
ある実施の形態においては、レーザパルスを使用することにより、ある量の材料(例えば金属)が供与構造体208から基板114へと100〜1000nmの滴の形で転写される。ある実施の形態においては、供与材料は、金属を備え、又は実質的に金属から成る。ある実施の形態においては、上記金属はアルミニウムである。ある実施の形態においては、材料層204はフィルムの形式をとる。ある実施の形態においては、上記フィルムは、別の本体または層に付着されている。上述のように、上記本体または層はガラスであってもよい。
材料成膜を提供する装置のある実施の形態が図23に示されている。図23の装置は、図8に示し同図を参照して説明したもの(すなわち、ビームが多数のビームレット110に分離される)とほとんどの点で同様であり、ある実施の形態においては、それに代えて、図7の装置または本書に説明されるその他の任意の装置が使用されてもよい。最も顕著な違いは供与構造体208の存在であり、ある実施の形態においては、供与構造体208は実質的透明材料202及び供与材料層204を有する。図23を参照するに、複数のビームレット110が同時に投影される。複数のビームレット110はスループットを改善するために使用されてもよく、ここで、ビームレット110ごとに独立に供与材料206のパターンを基板114上に生成することができる。ビームレット110は、供与構造体208上の適切な位置へと偏向器112(例えば、二次元に偏向する電気光学偏向器)により偏向されてもよい。したがって、ビームレット110の偏向により、供与材料滴206が基板114上に空間的に配列されてもよい。本書に説明される例えば完全露光モード及び/または効率的露光モードを含む露光手順が使用されてもよい。ある実施の形態においては、供与構造体208と基板114との距離は1〜9マイクロメートルである。ある実施の形態においては、100nmのアルミニウム滴が、本書に説明される効率的露光モードを使用して約60秒間で6%のパターン密度を有するパターンに成膜されてもよい。こうした実施形態は、0.4mmの像フィールドを各々が有する300本のビームレットを使用する露光中に75mm/sで移動する基板の120mmの露光幅を提供する単一の放射源102を使用してもよい。放射源は、15ピコ秒のパルス持続時間をもつコヒーレントで8Wのタリスカーレーザであってもよい。
上述のように、フォトリソグラフィ、材料成膜、及び/または材料除去の組み合わせを提供するよう装置が構成されていてもよい。コントローラ218は、フォトリソグラフィと材料成膜とのモード切替や材料成膜と材料除去とのモード切替などを制御してもよい。例えば、フォトリソグラフィと材料成膜とを切り替えるために、コントローラ218は、フォトリソグラフィと材料成膜とで適切な光学・ビーム設定に変更し(例えば、材料成膜用にパワーを増加し及び/またはパルス長を短くする)、ある状況においては供与構造体208がビーム経路に挿入され及び/またはビーム経路から取り除かれるように、装置を制御してもよい。例えば、材料除去と材料成膜とを切り替えるために、コントローラ218は、材料除去と材料成膜とで適切な光学・ビーム設定に変更し(例えば、ビームパワーを増加し)、ある状況においては供与構造体208がビーム経路に挿入され及び/またはビーム経路から取り除かれるように、装置を制御してもよい。
図24を参照するに、フォトリソグラフィ及び/またはレーザアブレーションと組み合わせて材料成膜を提供する装置のある実施の形態が示されている。図24の左側に示される装置の第1構成においては、本書に説明されるフォトリソグラフィと、これに加えて又はこれに代えて上記ビームを用いるレーザアブレーションとを実行するよう装置が構成されている。図24の右側に示される同装置の第2構成においては、本書に説明される材料成膜を実行するよう装置が構成されている。材料成膜を実行するために、結像レンズ170と基板114との間に供与構造体208が導入されている。これを達するために、基板114が数ミリメートル下方に移動されて供与構造体208が導入されている。これに代えて又はこれとともに、結像レンズ170又は基板114上方の要素の適切な任意の組み合わせが、供与構造体208を導入しやすくするために上昇されてもよい。ある実施の形態においては、供与構造体208を導入するための十分な空間がある場合には、何も移動がなくてもよい。コントローラ218は、材料成膜と材料除去との切替やフォトリソグラフィと材料成膜との切替など種々の構成変更を制御してもよい。
ある実施の形態においては、供与構造体208は基板114と同一の寸法(例えば、直径、幅、長さ、幅及び長さなど)及び任意選択として同一形状を有し、そのため基板ハンドラ(例えばロボット)を使用して導入されてもよい。供与構造体208は、使用されていないとき(例えば、フォトリソグラフィ及び/またはアブレーションのモードで装置が使用されているとき)は、例えばそれ自身の保管部又は基板114の保管部に保管されていてもよい。ある実施の形態においては、供与構造体208は3メートルの幅を有する。
ある実施の形態においては、供与構造体208は、基板114、基板テーブル106、位置決め装置116、又は自身の位置決め装置(例えばアクチュエータ)に支持されていてもよい。例えば、図26を参照するに、基板テーブル106には1つ又は複数の供与構造体支持部226が備えられていてもよい。供与構造体208は、基板及び/または基板テーブルの移動により、及び/または(例えば、支持部226内の又は支持部226の一部である)位置決め装置による駆動により最大6自由度で移動可能であってもよい。ある実施の形態においては、供与構造体208は少なくともX方向に移動可能である。ある実施の形態においては、供与構造体208は露光中に基板114と連動して移動する。
ある実施の形態においては、図25を参照するに、追加的に又は代替的に、供与構造体208は一部又は全体がフレーム210(ある実施の形態においては、フレーム160と同じフレームであってもよいし、フレーム160に接続されていてもよい)に支持されていてもよい。ある実施の形態においては、フレーム210は、供与構造体208を最大6自由度で移動させる位置決め装置(例えばアクチュエータ)224を備えてもよい。ある実施の形態においては、供与構造体208は、少なくともX方向に移動可能である。ある実施の形態においては、供与構造体208は、基板114と連動して移動する。供与構造体208の一部がフレームに支持されている場合には、供与構造体208の他の一部は、基板114、基板テーブル106、位置決め装置116、又は自身の位置決め装置(例えばアクチュエータ)に支持され又は接続されていてもよい。こうした場合、供与構造体208は、基板及び/または基板テーブルの移動により、及び/または位置決め装置による駆動により最大6自由度で移動可能であってもよい。
ある実施の形態においては、供与構造体208はフレーム210により少なくとも部分的に上方から支持されている。供与構造体208の移動しやすくするために、供与構造体208は、ある実施の形態においては、フレーム210の予圧されたガス(例えば空気)ベアリング212により支持されている。このベアリング212においては、負圧214(例えば真空吸引)と過圧216(例えば加圧ガス)との組み合わせが与えられている。ある実施の形態においては、負圧214と過圧216とは対応する入口及び出口の市松模様のパターンに配列されている。負圧214は重力を補償し供与構造体208を定位置に保持するために使用され、過圧216は供与構造体208のフレーム210への接着防止を助け供与構造体208を移動可能とするために使用される。図26を参照するに、供与構造体208(明確のため図示せず)を上方から少なくとも部分的に支持するフレーム160に配設されているガスベアリング212の一構成が示されている。負圧214及び/または過圧216の圧力値及び空間的配置を適切に制御することにより、供与構造体208は水平とされ、さもなければZ方向に、X方向まわりに、及び/またはY方向まわりに移動される。このようにして、基板との所望されない接触を回避しうる。また、供与構造体208の曲げ又はその他のたわみが同様に補償されうる。図26の実施形態は基板テーブル106上の供与構造体支持部226を図示するが、こうした支持部226はある実施の形態においては設ける必要はない。
ある実施の形態においては、供与構造体208は、材料成膜の継続を可能とするために修復される。ある実施の形態においては、あるパターンを基板に生成した後、供与構造体208は修復される。その理由は、供与構造体208から基板114に供与材料が転写されるので基板114に成膜したパターンの反転が供与構造体208にあるからである。よって、供与構造体208から再び同じパターンを転写するのは修復なしでは実現可能でないかもしれない。ある実施の形態においては、装置は、例えば、供与構造体208の未使用領域にビームレットを投影可能とするよう供与構造体208と基板114との相対変位を生じさせることにより、供与構造体208の使用を増加し又は最大化するよう構成されているコントローラを備えてもよい。同様に、コントローラは、修復なしで供与構造体208を更に使用するために、投影されるビームが異なるパターンをとることを可能としてもよい。
ある実施の形態においては、供与構造体208の修復は、露光中に使用された供与構造体208を新しい供与構造体208に交換することを備える。ある実施の形態においては、供与構造体208の修復は、(数%の供与材料層204が基板に転写されるにすぎないので)供与構造体208上の供与材料を再生することを備える。供与構造体208上の供与材料層204の再生は費用の節約となりうる。
ある実施の形態においては、供与構造体208の修復はいくつかの例示的方法で達成されてもよい。ある実施の形態においては、供与構造体208は、未使用のものに置き換えられ、使用済みの供与構造体208には供与材料の新たな層がオフラインで適用されてもよい。例えば、供与構造体208は、新たな基板114の搬出入とともに交換されてもよい。供与構造体208は、基板と同様の寸法及び任意選択として形状を有しうるので、基板の搬出入に使用されるのと同じハンドラにより操作されてもよい。
ある実施の形態においては、供与構造体208は、柔軟な膜の形式であってもよく、これは例えば巻き取り可能である。よって、供与構造体208は、概念としては古いタイプライタのインクテープに類似する柔軟なテープであってもよい。新しい供与構造体208が基板へのパターン形成のために必要とされるたびに、例えばロールから、上記膜の新しい部分が使用される。そのため,ある実施の形態においては、本装置は2本のロールを有してもよい。つまり一方は新しい供与構造体208を有し、他方は使用済みの供与構造体208を有する。使用済みの供与構造体208は、再使用可能となるように、その表面に供与材料を与えるよう修繕されてもよい。例えば、上記膜が使用済みの供与構造体ロールに取り込まれるとき上記膜がその場で再生されてもよい。再生モジュールは、使用済み供与構造体ロールに使用済みの膜が巻き取られる直前で膜を再生するように特定の場所に配置されていてもよい。
ある実施の形態においては、供与構造体208が現場で再生されてもよい。例えば、基板テーブル106が基板ハンドラへと戻る(すなわち、基板114のパターン形成後には基板テーブル106が基板114を取り外すための搬出入位置へと戻る)移動の間に動作するモジュールが基板テーブル106に備えられていてもよい。基板テーブル106のこうした移動又はその他の移動の間、供与構造体208は静止状態とされ、このとき基板テーブル106は、基板テーブル106とともに移動するモジュールを使用して再生能力を提供するよう供与構造体208の下を走査してもよい。こうして供与構造体208の供与材料の穴が現場で修理されてもよい。上記モジュールがこうした穴及び/または基板テーブル106を検出するセンサを有してもよく、どのように露光中に供与材料が除去されたかに関する情報に従って移動中に位置決めが制御されてもよい。上記モジュールが基板テーブル106に配置されることは必須ではない。例えば、別個に設けられて移動可能であってもよい。ある実施の形態においては、上記モジュールが静止しており、供与構造体208がモジュールに対し移動されてもよい。
ある実施の形態においては、供与構造体208の供与材料の再生はいくつかの例示的方法で達成されてもよい。例えば、ある実施の形態においては、供与構造体208の供与材料の再生は、供与構造体208上でペースト又は液体を平滑化することにより達成されてもよい。ペースト又は液体は、供与構造体208の上に機械的に広げられてもよい。ペースト又は液体は、レーザ誘起転写の間に生成されている穴を埋める。
ある実施の形態においては、供与構造体208の供与材料の再生は、供与構造体208を浴槽に入れて供与構造体208の供与材料の層を成膜することにより達成されてもよい。ある実施の形態においては、使用済みの供与構造体208を溶融材料槽に接触させる。表面張力により、有限で自己制限的な供与材料の層が供与構造体208上に成膜されるはずである。
ある実施の形態においては、供与構造体208の供与材料の再生は、穴埋め用の供与材料層204の熱的リフローと、任意選択として、露光中に供与材料層204から転写された材料を補償するための余剰材料の成膜とにより達成されてもよい。供与構造体208及び/または供与材料層204は加熱されると層が平滑化され穴が埋められうる。リフロー後に供与材料層204が十分な厚さをもたないはずであるとしたら、所望の厚さの供与材料層204を生成するために更に供与材料が成膜されてもよい。
ある実施の形態においては、供与構造体208の供与材料の再生は、供与材料層204のリフロー及び任意選択の余剰供与材料成膜に続いて、供与構造体208の一部を選択的に成長させることにより達成されてもよい。この方法を使用しうる状況は例えば、供与材料層204が剥離層又はその他の層(例えば透明材料202)を覆う場合である。よって、供与材料層204の再生に続いて剥離層又はその他の層が再生されてもよい。例えば、剥離層又はその他の層は、当該剥離層又はその他の層の修理をもたらす化学的に特異な成膜材料の上に成膜されていてもよい。供与材料層204は上述のリフローがなされ、任意選択の余剰材料がその上に成膜されてもよい。ある実施の形態においては、供与材料層204は、本書に開示され又はそれ以外のいかなる他の方法を用いて再生されてもよい。
追加的に又は代替的に、上述のように、ビームが基板の材料のアブレーションのために使用されてもよい。とりわけ、ビームが相間移動を導入するために使用されてもよい。コントローラ218は、材料成膜及び/またはフォトリソグラフィに使用されたのと比べて増加されたパワーのビームを提供する放射源を構成するよう構成されていてもよい。
発見されたことは例えば、1つの二次元偏向器がビームを3ミクロンの解像度で400×400ミクロンのフィールドにわたって偏向するというように、1本のビームレットを3ミクロンの解像度で400ミクロンにわたって偏向することは、実現可能ではないかもしれないということである。よって、所望の解像度で基板をカバーするために、より多くの電気光学偏向器及びおそらくはより多くの放射源(例えばダイオード)を導入することにより、ビームレットの数が増やされてもよい。実際上、例えば空間的な制限、加熱の副作用、費用などにより1つのツールにこのすべての余剰のハードウェアを実装するのは実現可能ではないかもしれない。
ある実施の形態においては、電気光学偏向器は、目標(例えば供与構造体208)を横断するよう偏向距離を延長するための可動レンズと組み合わされている。ある実施の形態においては、ビーム(又はビームレット)の偏向範囲は、回転する光学素子を用いてビームを目標に結像することにより、電気光学偏向器の偏向よりも大きくすることができる。この回転光学素子は目標上でビームスポットを移動させるのを支援することができる。ある実施の形態においては、一次元電気光学偏向器が第1方向にビームを偏向し、回転光学素子の動きが第1方向に実質的に垂直な第2方向にビーム偏向を生じさせてもよい。ある実施の形態においては、回転光学素子の動きと電気光学偏向器によるビームの偏向とは、回転光学素子へのビームの入射点において実質的に直交する。したがって、供与構造体や基板等の目標上のどの位置にも、目標の移動、偏向器による偏向、及び回転光学素子による偏向の組み合わせにより到達可能でありうる。
図27は、リソグラフィ装置又は露光装置の部分の概略側断面図である。この実施形態においては、本装置は、本書に説明されるようにXY面で実質的に静止した1つ又は複数個別制御可能素子を有するが、それは必須ではない。本装置100は、基板114を最大6自由度で移動させる位置決め装置116を備える。本装置は、任意選択として、基板テーブル106を含んでもよい。ある実施の形態においては、基板は、ウェーハである。ある実施の形態においては、基板は、多角形(例えば矩形)の基板である。ある実施の形態においては、基板は、ガラスプレートである。ある実施の形態においては、基板は、プラスチック基板である。ある実施の形態においては、基板は、箔である。ある実施の形態においては、本装置は、ロールトゥロール製造に適している。
本装置100は、複数のビーム110を発するよう構成されている1つ又は複数の個別制御可能素子102を更に備える。ある実施の形態においては、1つ又は複数の個別制御可能素子102は、放射発光ダイオード(例えば、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、高分子LED(PLED))、または、レーザダイオード(例えば、固体レーザダイオード)である。ある実施の形態においては、複数の個別制御可能素子102の各々は青紫レーザダイオード(例えば、三洋の型式番号DL-3146-151)である。こうしたダイオードは、三洋、日亜、オスラム、ナイトライド等の企業により供給される。ある実施の形態においては、ダイオードは、約365nmまたは約405nmの波長を有するUV放射を発する。ある実施の形態においては、ダイオードは、0.5mWないし200mWの範囲から選択される出力パワーを提供することができる。ある実施の形態においては、レーザダイオードの(むき出しのダイの)サイズは、100μmないし800μmの範囲から選択される。ある実施の形態においては、レーザダイオードは、0.5μmないし5μmの範囲から選択される発光領域を有する。ある実施の形態においては、レーザダイオードは、5度ないし44度の範囲から選択される発散角を有する。ある実施の形態においては、ダイオードは、合計の明るさを約6.4×10W/(m・sr)以上にするための構成(例えば、発光領域、発散角、出力パワーなど)を有する。ある実施の形態においては、個別制御可能素子102は、複数のビーム110へと例えばマイクロレンズアレイによって分割可能なビームを生成するレーザ、例えばNd−YAGレーザであってもよい。
個別制御可能素子102は、フレーム300に配設されており、Y方向に沿って及び/またはX方向に沿って延在してもよい。1つのフレーム300が図示されているが、本装置は、複数のフレーム300を有してもよい。フレーム300には更に、偏向器112が配設されている。フレーム300は、個別制御可能素子102からの放射を平行化して偏向器112へと出力するレンズ302を備えてもよい。フレームは、偏向器112からレンズ124へと更に放射を向けることができるレンズ122を備えてもよい。フレーム300、従って、個別制御可能素子102、及びレンズ302、122はXY面内で実質的に静止している。フレーム300、個別制御可能素子102、及びレンズ302、122は、アクチュエータ306によってZ方向に移動されてもよい。これに代えて又はこれとともに、レンズ302及び/または122は、この特定のレンズに関係づけられたアクチュエータによってZ方向に移動されてもよい。任意選択として、各レンズ302及び/または122にアクチュエータが設けられていてもよい。
個別制御可能素子102はビームを発するよう構成されていてもよく、投影系122、124、304はそのビームを供与構造体208及び/または基板114の目標に投影するよう構成されていてもよい。個別制御可能素子102及び投影系が光学コラムを形成する。本装置100は、光学コラム又はその一部を目標に対して移動させるためのアクチュエータ(例えばモータ)308を備えてもよい。フレーム310には視野レンズ124及び結像レンズ304が配設されており、フレーム310はアクチュエータを用いて回転可能であってもよい。視野レンズ124と結像レンズ304との結合が可動光学系312を形成する。使用時においては、フレーム310は自身の軸314まわりを回転する。フレーム310は、アクチュエータ(例えばモータ)308を使用して軸314まわりに回転させられる。また、フレーム310はモータ306及び/または308によってZ方向に移動されてもよく、それによって可動光学系312が目標に対し変位させられてもよい。
内側にアパーチャを有するアパーチャ構造316が偏向器112の上方で偏向器112と個別制御可能素子102及び/またはレンズ302との間に配置されてもよい。アパーチャ構造316は、レンズ302、個別制御可能素子102、及び/または、隣接するレンズ302/個別制御可能素子102の回折効果を限定することができる。
図示される装置は、フレーム310を回転させると同時に光学コラム下方の供与構造体208及び/または基板114を移動させることによって、使用されてもよい。個別制御可能素子102からのビームは、レンズ122、124、304が互いに実質的に整列されたときこれらのレンズを横切る。レンズ124、304を移動させることによって、供与構造体208及び/または基板114上の目標をビームの像が走査する。同時に光学コラム下方の目標(及び、任意選択として、目標を有しないこともありうる基板114のような構造物)を移動させることによって、個別制御可能素子102の像にさらされる目標の当該部分は移動する。コントローラを使用して、光学コラム又はその一部の回転を制御し、目標の速度を制御し、偏向器112によりビームの偏向を制御し、任意選択として、個別制御可能素子102のオンオフ(例えば、オフであるとき出力がないか、しきい値を下回る出力を有し、オンであるときしきい値を超える出力を有する)を切り換え、及び/または、個別制御可能素子102の強度を制御することにより、所望のパターンを目標(及び、目標が基板上にない場合には基板)に結像することができる。
また、ある実施の形態においては、本装置100は、ハウジング318を備えてもよい。ハウジング318の中でフレーム310の一部が回転する。フレーム310の当該一部がレンズ124、304を備えてもよい。ハウジング318は、レンズ124、304に向けてハウジング318に入射する放射を許容し、及び/または、基板114に向けてハウジング318から出射する放射を許容する1つ又は複数の窓320を備えてもよい。ある実施の形態においては、ハウジング318は、フレーム300の一部であるか、フレーム300に取り付けられていてもよい。ハウジング318は、その内部がハウジング318の外側の周囲環境から実質的に隔離されるように封止されていてもよい(従って、上記一部を周囲環境から封止してもよい)。
ある実施の形態においては、目標に投影される像のフォーカスを制御するシステムが設けられていてもよい。本書に説明される構成においては光学コラムの一部又は全体により投影される像のフォーカスを調整する構成が設けられていてもよい。
図27を参照するに、右側の偏向器112はビーム110をY方向に偏向するよう図示されている(図27に示される実施の形態において典型的に偏向器112による偏向がX方向である場合もありうるが、そうした偏向は図27の側面図には明示され得ない)。このような偏向は図27に示されるように、レンズ122、124、304を通じて供与構造体208及び/または基板114上の目標に投影される。同時に、回転可能フレーム310はレンズ124、304を移動させ、それによりビームにX方向の偏向が生じる(図27に示す実施形態においては典型的に、レンズ124、304による偏向がY方向であり、偏向器112による偏向がX方向であることもありうるのであるが)。ただしこれは図27に明示されない。したがって、この動きの組み合わせによって、ビームを二次元に走査することができる。
図28は、レンズ124及びレンズ304の高度に概略的な側面図と、それがどのようにビーム110を偏向することができるかを示す。図28に示されるように、ビーム110はレンズ124に向けられる。ここで、レンズ124は白抜きで示される第1位置にある。レンズ124は放射をレンズ304へと向ける。ここで、レンズ304は白抜きで示される第1位置に位置する。ビームはレンズ304により、供与構造体208及び/または基板114上の目標へと向けられる。レンズ124及びレンズ304がそれぞれ第1位置にあるとき、ビームは目標の左側に入射する。その後、レンズ124及びレンズ304が斜線のレンズ124、304で示されるそれぞれの第2位置へと回転されるとき、レンズ124、304の移動によりビーム110は目標の右側に入射するようになる。偏向器112は、レンズ124、304の回転による偏向と実質的に直交する方向にビーム110をさらに偏向させてもよい。そのようにして、ビーム110は、第1方向におけるレンズ124、304の偏向と実質的に垂直な第2の方向における偏向器112による偏向との組み合わせにより、二次元の目標領域を走査してもよい。ある実施の形態においては、偏向器112は、一次元の偏向器から成っていてもよい。これとともに又はこれに代えて、偏向器112は第1方向にビームを偏向することで、第1方向におけるビーム走査を、偏向器112による偏向とレンズ124、304の移動との組み合わせにより実効的に高速化してもよい。偏向器112が第1方向及び第2方向に偏向する実施形態においては、偏向器112は、二次元の偏向器であってもよいし、あるいは、2つの一次元偏向器を連続して備え、一方が第1方向に偏向し、他方が第2方向に偏向してもよい。これとともに又はこれに代えて、レンズ124、304(または光学素子のもう1つのセット)の移動により、第1方向に実質的に垂直な第2方向におけるビームの偏向を生じさせ、または高速化してもよい。
図27は便宜上、1つのビーム110を示すが、2以上のビーム110が1つのレンズ124、304に入射してもよい。すなわち、1つのレンズ124、304がそこに入射する多数のビームを有し、各ビームを偏向してもよい。ある実施の形態においては、10本のビーム、5本のビーム、または4本のビームが1つのレンズ124、304に入射してもよい。図29は、周辺部にレンズ124、304が設けられている回転フレーム310を複数の個別制御可能素子102とともに高度に概略的に示す斜視図である。複数のビーム、本実施例では4本のビーム(異なる数が用いられてもよい)が、フレーム310の複数のレンズ124、304のうち1つへと入射し、供与構造体208及び/または基板114の目標に投影されている。ある実施の形態においては、複数のビームは直線に配列されている。回転可能フレームは、アクチュエータ(図示せず)によって軸314まわりに回転可能である。回転可能フレーム310の回転の結果として、それらビームは、一連のレンズ124、304に入射する。一連のレンズの各々に入射してビームは偏向され、それによりビームは供与構造体208及び/または基板114の目標の表面の一部分に沿って動く。詳しくは図30を参照して後述する。ある実施の形態においては、各ビームが対応する個別制御可能素子102によって、例えば自己放射コントラストデバイス、例えばレーザダイオードによって、生成される。ある実施の形態においては、複数のビームは、1つの個別制御可能素子102からの1つのビームから分割されてもよい。図29に示す構成においては、ビームが偏向器112により偏向され、それらビームはともに、ビームどうしの距離(ピッチ)を小さくするために、セグメント化されたミラー332(または、他のビーム方向変更デバイス、例えば導波路または光ファイバ)によって運ばれる。それによって、本書に説明されるように、より多数のビームを同一のレンズを通じて投影し、要求解像度を実現することができる。ある実施の形態においては、各々のビーム(またはビームレット)は当該ビームをある方向に偏向する電気光学偏向器をそれぞれ有する。本書に述べるように、その方向は、ビームの入射点におけるレンズ124、304の移動方向に実質的に平行及び/または垂直であってもよい。本書に説明するように、偏向器112は、一次元偏向器、二次元偏向器、または、異なる方向に偏向するようそれぞれ配設された一次元偏向器の組み合わせであってもよい。
回転可能フレームが回転すると、ビームが連続する複数のレンズへと入射する。このときあるレンズがビームに照射されるたびに、レンズ表面上でビームが入射する場所が移動する。レンズ上のビーム入射場所に依存してビームが異なって(例えば、異なる偏向をもって)目標に投影されるので、(目標に到達する)ビームは後続のレンズが通過するたびに走査移動をすることになる。この原理について図30を参照して更に説明する。図30は、回転可能フレーム310から供与構造体208及び/または基板114の目標に向かうビーム110の投影を高度に概略的に示す上面図である。第1ビームセットをB1と表記し、第2ビームセットをB2と表記し、第3ビームセットをB3と表記する。ビームセットのそれぞれが、回転可能フレーム310の対応するレンズセット124、304を通じて投影される。回転可能フレーム310が方向324に回転すると、複数ビームB1が供与構造体208及び/または基板114に投影され、走査移動によって領域A14を走査する。同様に、ビームB2は領域A24を走査し、ビームB3は領域A34を走査する。対応するアクチュエータによる回転可能フレーム310の回転と同時に、偏向器112は、ビームB1、B2、B3に関連づけられた矢印で概略示される走査移動に実質的に垂直な方向にビームを偏向する。そうして領域A14、A24、A34が、レンズセット124、304及び偏向器112による結合された偏向によって二次元に走査されてもよい。さらに、回転可能フレーム310の回転と同時に、供与構造体208及び/または基板114が領域A14、A24、A34におけるビームの走査方向に実質的に垂直な方向326(これは図30に示すX軸に沿う方向であってもよい)に移動される。方向326の第2のアクチュエータによる移動(例えば、位置決め装置116による供与構造体208及び/または基板114の移動)の結果、回転可能フレーム310の一連のレンズによって投影されるとき連続する複数回のビーム走査が互いに実質的に隣接するよう投影されて、実質的に隣接する領域A11、A12、A13、A14がビームB1の走査のたびに生じ(図30に示すように、影付きの領域A11、A12、A13は以前に走査され、領域A14は今回走査されている)、ビームB2については領域A21、A22、A23、A24が生じ(図30に示すように、影付きの領域A21、A22、A23は以前に走査され、領域A24は今回走査されている)、ビームB3については領域A31、A32、A33、A34が生じる(図30に示すように、影付きの領域A31、A32、A33は以前に走査され、領域A34は今回走査されている)。このようにして、基板表面の領域A1、A2、A3が、回転可能フレーム310を回転させる間に供与構造体208及び/または基板114を方向326に移動させることにより、覆われてもよい。多数のビームを同一のレンズを通じて投影することにより、(回転可能フレーム310をある同一の回転速度とすると)より短い時間で処理することができる。レンズ通過のたびに各レンズにより目標を複数のビームが走査するので、連続する複数回の走査に際して方向326の変位量を大きくすることができるからである。見方を変えると、多数のビームを同一のレンズを通じて目標に投影するとき、ある所与の処理時間における回転可能フレームの回転速度を小さくしてもよいということである。こうして、回転可能フレームの変形、摩耗、振動、乱流などといった高回転速度による影響を軽減してもよい。ある実施の形態においては、複数のビームは、各ビームが重なるか、又は各ビームが隣接ビームの走査経路に隣接するように配列されている。
多数のビームを一度に同一レンズにより投影する態様の更なる効果は、公差の緩和に見ることができる。レンズの公差(位置決め、光学投影など)があるために、連続する領域A11、A12、A13、A14(及び/または領域A21、A22、A23、A24及び/またはA31、A32、A33、A34)の位置には、互いの位置決めにいくらかの不正確さが現れ得る。したがって、連続する領域A11、A12、A13、A14間にいくらかの重なりが必要とされるかもしれない。1本のビームの例えば10%を重なりとする場合、同一レンズに一度にビームが一つであると、同様に10%の係数で処理速度が遅くなるであろう。一方、同一レンズを通じて一度に5本又はそれより多数のビームが投影される状況においては、(上記1本のビームについて言及したのと同様に)同じ10%の重なりが5本又はそれより多数の投影線ごとにあるとすると、重なりの総計は概ね5(又はそれより多数)分の1である2%(又はそれ未満)へと小さくなるであろう。これは、全体的な処理速度を顕著に小さくする効果をもつ。同様に、少なくとも10本のビームを投影することにより、重なりの総計をおよそ10分の1に小さくしうる。したがって、多数のビームを同時に同一レンズにより投影するという特徴によって、処理時間に生じる公差の影響を小さくしうる。それに加えて又はそれに代えて、より大きな重なり(従って、より大きな公差幅)が許容されてもよい。一度に同一レンズにより多数のビームを投影するのであれば、重なりが処理に与える影響が小さいからである。
多数のビームを同一レンズを通じて同時に投影することに代えて又はそれとともに、インタレース技術を使用することができるかもしれない。しかしながらそのためには、より厳格にレンズどうしを整合させることが必要になるかもしれない。従って、それらレンズのうちある同一レンズを通じて一度に目標に投影される少なくとも2つのビームは相互間隔を有し、本装置は、その間隔の中に後続のビーム投影がなされるように光学コラムに対して供与構造体208及び/または基板114を移動させるよう動作させるように構成されていてもよい。
1つのグループにおいて連続するビームどうしの方向326における距離を小さくするために(それによって、例えば方向326に解像度を高くするために)、それらビームは方向326に対して、互いに斜めに配列されていてもよい。そうした間隔は、各セグメントが複数ビームのうち対応する1つのビームを反射するセグメント化されたミラー332(または、他のビーム方向変更デバイス、例えば、後述のように導波路または光ファイバ)を光路に設けることによって更に縮小されてもよい。それらセグメントは、それらミラーに入射するビームどうしの間隔よりもミラーで反射されたビームどうしの間隔を狭くするよう配設されている。そうした効果は、複数の光ファイバによっても実現しうる。この場合、ビームのそれぞれが複数ファイバのうち対応する1つのファイバに入射し、それらファイバが、光路に沿って光ファイバ上流側でのビームどうしの間隔よりも光ファイバ下流側でのビームどうしの間隔を狭くするよう配設されている。また、そうした効果は、複数ビームのうち対応する1つのビームを各々が受光する複数の入力を有する集積光学導波路回路を使用して実現されてもよい。この集積光学導波路回路は、光路に沿って集積光学導波路回路の上流側でのビームどうしの間隔よりも集積光学導波路回路の下流側でのビームどうしの間隔を狭くするよう構成されている。
ある実施の形態においては、上記偏向は、12ミリメートルの長さ(図30における328を参照)のスポットが1つのレンズセット124、304により投影されることを許容してもよい。ある実施の形態においては、上記偏向は、約6ないし7ミクロン、例えば6.4ミクロンの幅(図30における330を参照)のスポットが1つのレンズセット124、304により投影されることを許容してもよい。ある実施の形態においては、図30を参照するに、偏向器112による偏向は、ビームB1、B2、B3に関連づけられた矢印に沿う約26ミクロンの範囲における任意の場所にビームスポットが配置されることを許容してもよい。ある実施の形態においては、毎秒2.5×10のスポットが送出されてもよい。このようなスポットレートは、3ミクロンの解像度、60秒の基板処理時間(40秒の露光時間を含む)、約10%のパターン被覆率、及び、1MHzの偏向器の更新周波数により、2700本のビームレットで3×3mの基板を露光するために提供されてもよい。
また、ある実施の形態においては、偏向器及び可動レンズセット124、204によるビームと例えば位置決め装置116による目標との移動の種々の組み合わせは、目標へのスポットの投影に冗長性を許容する。例えば、ある実施の形態においては、目標上の各ピクセルが最大40本のビームレットにより印刷されてもよい。したがって、あるビームレットが失敗したとしても(例えば、強度が不十分であったり、まったく投影されなかったり、予定の方向から外れていたり、等)、その失敗したビームレットで露光されていたであろう領域を露光するために他のビームレットが使用されてもよい。
ある実施の形態においては、400個の個別アドレス可能素子102が設けられていてもよい。ある実施の形態においては、600個ないし1200個の動作する個別アドレス可能素子102が、任意選択として、例えば予備の、及び/または、(例えば上述の)補正露光用の追加の個別アドレス可能素子102とともに、設けられていてもよい。動作する個別アドレス可能素子102の数は例えば、レジストに依存しうる。それは、パターニングのために或る放射ドーズ量を要するからである。
個別アドレス可能素子がダイオードである場合には、図31に例示されるように、出力光パワー対順電流曲線の勾配部分で動作させることで(240mA対35mA)、ダイオードあたりの出力パワーを高くする一方(250mW対0.33mW)、複数の個別アドレス可能素子についての電力を小さくすることができる(133W対15kW)。したがって、より効率的にダイオードを使用し、消費電力及び/または発熱を小さくすることができる。よって、ある実施の形態においては、ダイオードはパワー/順電流曲線の勾配部分で動作させられる。パワー/順電流曲線の非勾配部分で動作させることは、放射のインコヒーレンスにつながりうる。ある実施の形態においては、ダイオードは、5mWより大きく20mW以下の、または30mW以下の、または40mW以下の光パワーで動作させられる。ある実施の形態においては、ダイオードは300mWを超える光パワーでは動作されない。ある実施の形態においては、ダイオードは、マルチモードではなくシングルモードで動作させられる。
個別アドレス可能素子102の数を決める要因には、とりわけ(上述の範囲に関して)、それら個別アドレス可能素子102がカバーすることが意図される露光区域の長さ、個別アドレス可能素子102が露光中に移動する速度、偏向器による偏向の速度及び量、スポットサイズ(すなわち、ある個別アドレス可能素子102から基板に投影されたスポットの断面寸法、例えば幅/直径)、各個別アドレス可能素子が与えるべき所望の強度(例えば、基板または基板上のレジストへの損傷を避けるよう複数の個別アドレス可能素子にわたって基板上での或るスポットに意図されるドーズを与えることが望まれるか否か)、所望の基板走査速度、費用面の考察、個別アドレス可能素子がオンオフ切り換えされる周波数、冗長な個別アドレス可能素子102への要求(上述のように、例えば、露光の補正のために、あるいは例えば1つ又は複数の個別アドレス可能素子が故障した場合の予備として)がある。ある実施の形態においては、1つの光学コラムについて、少なくとも100個の個別アドレス可能素子102、例えば少なくとも200個の個別アドレス可能素子、少なくとも400個の個別アドレス可能素子、少なくとも600個の個別アドレス可能素子、少なくとも1000個の個別アドレス可能素子、少なくとも1500個の個別アドレス可能素子、少なくとも2500個の個別アドレス可能素子、または少なくとも5000個の個別アドレス可能素子がある。ある実施の形態においては、1つの光学コラムについて、50000個未満の個別アドレス可能素子102、例えば25000個未満の個別アドレス可能素子、15000個未満の個別アドレス可能素子、10000個未満の個別アドレス可能素子、7500個未満の個別アドレス可能素子、5000個未満の個別アドレス可能素子、2500個未満の個別アドレス可能素子、1200個未満の個別アドレス可能素子、600個未満の個別アドレス可能素子、または300個未満の個別アドレス可能素子がある。
ある実施の形態においては、1つの光学コラムは、露光区域の長さ10cmごとに(すなわち、その光学コラムの個別アドレス可能素子の数を露光区域の長さ10cmに正規化して)、少なくとも100個の個別アドレス可能素子102、例えば少なくとも200個の個別アドレス可能素子、少なくとも400個の個別アドレス可能素子、少なくとも600個の個別アドレス可能素子、少なくとも1000個の個別アドレス可能素子、少なくとも1500個の個別アドレス可能素子、少なくとも2500個の個別アドレス可能素子、または少なくとも5000個の個別アドレス可能素子を備える。ある実施の形態においては、1つの光学コラムは、露光区域の長さ10cmごとに(すなわち、その光学コラムの個別アドレス可能素子の数を露光区域の長さ10cmに正規化して)、50000個未満の個別アドレス可能素子102、例えば25000個未満の個別アドレス可能素子、15000個未満の個別アドレス可能素子、10000個未満の個別アドレス可能素子、7500個未満の個別アドレス可能素子、5000個未満の個別アドレス可能素子、2500個未満の個別アドレス可能素子、1200個未満の個別アドレス可能素子、600個未満の個別アドレス可能素子、または300個未満の個別アドレス可能素子を備える。
ある実施の形態においては、1つの光学コラムは、75%未満の、例えば67%以下の、50%以下の、約33%以下の、25%以下の、20%以下の、10%以下の、または5%以下の、冗長の個別アドレス可能素子102を備える。ある実施の形態においては、1つの光学コラムは、少なくとも5%の、例えば少なくとも10%の、少なくとも25%の、少なくとも33%の、少なくとも50%の、または少なくとも65%の、冗長の個別アドレス可能素子102を備える。ある実施の形態においては、光学コラムは約67%の冗長の個別アドレス可能素子を備える。
ある実施の形態においては、ある個別アドレス可能素子による基板上でのスポットサイズは、10ミクロン以下、5ミクロン以下、例えば3ミクロン以下、2ミクロン以下、1ミクロン以下、0.5ミクロン以下、0.3ミクロン以下、または約0.1ミクロンである。ある実施の形態においては、ある個別アドレス可能素子による基板上でのスポットサイズは、0.1ミクロン以上、0.2ミクロン以上、0.3ミクロン以上、0.5ミクロン以上、0.7ミクロン以上、1ミクロン以上、1.5ミクロン以上、2ミクロン以上、または5ミクロン以上である。ある実施の形態においては、スポットサイズは約0.1ミクロンである。ある実施の形態においては、スポットサイズは約0.5ミクロンである。ある実施の形態においては、スポットサイズは約1ミクロンである。
図32は、基板114上にどのようにパターンが生成されるのかを模式的に示す図である。図中の黒丸は、投影系108のレンズアレイ170によって基板114に投影されるスポットSの配列を示す。基板114は、基板上での露光が進むにつれて投影系108に対してX方向に移動する。図中の白丸は、基板上で既に露光されている露光スポットSEを示す。図示されるように投影系108内部のレンズアレイ170によって基板114に投影された各スポットにより、基板114上に露光スポット列Rが露光される。各スポットSにより露光された露光スポットSEの列Rがすべて合わさって、基板114にパターンが完全に形成される。このような方式はよく「ピクセルグリッド結像」と称される。図32は概略図であるので、実際にはスポットSは重なり合ってもよいものと理解されたい。
放射スポットSの配列が基板走査方向に対して角度αをなして配置されている様子が示されている(基板114の端部はそれぞれX方向及びY方向に平行である)。これは、基板114が走査方向(X方向)に移動するときに、各放射スポットに基板の異なる領域を通過させるためである。これにより、放射スポットSの配列により基板の全領域がカバーされることになる。ある実施の形態においては、角度αは大きくても20°、10°、例えば大きくても5°、大きくても3°、大きくても1°、大きくても0.5°、大きくても0.25°、大きくても0.10°、大きくても0.05°、または大きくても0.01°である。ある実施の形態においては、角度αは少なくとも0.0001°であり、例えば少なくとも0.001°である。傾斜角α及び走査方向のアレイ幅は、基板114の全表面領域が処理されることを保証するように、像スポットサイズ及び走査方向に垂直な方向のアレイ間隔に従って決定される。
図33は、どのようにして基板114の全体が複数の光学エンジンを用いて1回の走査で露光されるのかを模式的に示す図である。各光学エンジンが1つ又は複数の個別アドレス可能素子102を備える。放射スポットS(図示せず)の8つの配列SAが8つの光学エンジンにより形成される。光学エンジンは、いわばチェス盤のように、あるいは、放射スポットSの1つの配列の端部が隣接する放射スポットSの配列の端部に少し重なるようにずらした構成で、2つの列R1、R2に配列されている。ある実施の形態においては、光学エンジンは少なくとも3列、例えば4列または5列に配列される。このようにして、放射の帯が基板Wの幅を横切って延び、1回の走査で基板全体の露光が実現されることとなる。このような「全幅」の一回通過の露光は、2回以上の通過を接続する場合に生じるステッチングの問題を回避するのに役立つとともに、基板通過方向に交差する方向に基板を移動する必要がない点で装置フットプリントを低減することも可能である。任意の適切な数の光学エンジンが使用されてもよいと理解されたい。ある実施の形態においては、光学エンジンの数は少なくとも1個であり、例えば少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、または少なくとも17個である。ある実施の形態においては、光学エンジンの数は40個未満であり、例えば30個未満または20個未満である。各光学エンジンは、パターニングデバイス104を、及び任意選択として投影系108及び/または放射システムを別個に備えてもよい。しかし、2個以上の光学エンジンが、1つ又は複数の放射システム、パターニングデバイス104、及び/または投影系108の少なくとも一部を共有してもよいことも理解されるべきである。
本書に説明される実施の形態においては、個別アドレス可能素子102及び/またはパターニングデバイス104を制御するためのコントローラが設けられている。例えば、個別アドレス可能素子が放射発光デバイスである実施例においては、コントローラは、個別アドレス可能素子がオンまたはオフにいつ切り換えられるかを制御し、個別アドレス可能素子の高周波数変調を可能としてもよい。コントローラは、1つ又は複数の個別アドレス可能素子により発せられる放射のパワーを制御してもよい。コントローラは、1つ又は複数の個別アドレス可能素子により発せられる放射の強度を変調してもよい。コントローラは、個別アドレス可能素子アレイの全体または部分にわたって強度均一性を制御または調整してもよい。コントローラは、結像誤差(例えばエテンデュ、及び光学収差(例えばコマ収差、非点収差など))を補正するよう個別アドレス可能素子の放射出力を調整してもよい。同様の制御がパターニングデバイス104の偏向器112により提供されてもよい。
フォトリソグラフィにおいては、所望のフィーチャが、基板上のレジスト層を放射で選択的に露光することによって、例えばパターンが与えられた放射でレジスト層を露光することによって、基板上に生成され得る。ある最小の放射ドーズ量(ドーズしきい値)を受けるレジスト領域で化学反応が生じる一方、他の領域は変化しないままである。こうしてレジスト層に生成された化学的相違によってレジストの現像が許容される。すなわち、少なくとも上記最小ドーズ量を受けた領域、または最小ドーズ量を受けなかった領域のいずれかを選択的に除去することができる。その結果、基板の一部はなおレジストに保護される一方で、レジストが除去された基板領域は露出されて、例えば更なる処理工程が可能となる。例えば、基板の選択的エッチング、選択的金属成膜などである。このようにして、所望のフィーチャが生成される。放射にパターンを与えることは、基板上の所望のフィーチャ内部のレジスト層領域に伝達される放射の強度が、当該領域にてドーズしきい値を超える放射ドーズ量を露光中に受けるよう実質的に高い一方で、基板上の他の領域はゼロ又は顕著に低い放射強度を与えることによりドーズしきい値を下回る放射ドーズ量を受けるようにパターニングデバイス104を制御することによってもたらされてもよい。
実際には、所望のフィーチャ端部での放射ドーズ量が所与の最大ドーズ量からゼロへと急激に変化するわけではない。たとえフィーチャの境界部分の一方の側への放射強度が最大となり、かつそのフィーチャ境界部分の他方の側への放射強度が最小となるように設定されていたとしても急激には変化しない。回折の影響により、放射ドーズ量の大きさは移行区間を介して低下するからである。所望のフィーチャの境界位置は最終的にレジストの現像により形成される。その境界位置は、照射されたドーズ量が放射ドーズしきい値を下回る位置によって定められる。この移行区間でのドーズ量低下のプロファイル、ひいてはフィーチャ境界の正確な位置は、当該フィーチャ境界上または近傍に位置する基板上の各点に、最大または最小の強度レベルの放射を与えるだけでなく、それら最大または最小の強度レベルの間の強度レベルの放射を与えることにより、より正確に制御できるであろう。これは通常「グレイスケーリング」または「グレイレベリング」と呼ばれる。
グレイスケーリングによれば、ある所与の個別制御可能素子により基板に2値の放射強度(つまり最大値と最小値)だけが与えられるリソグラフィシステムよりも、フィーチャ境界位置の制御性を向上させることができる。ある実施の形態においては、少なくとも3種類の異なる放射強度値、例えば少なくとも4種類の放射強度値、少なくとも8種類の放射強度値、少なくとも16種類の放射強度値、少なくとも32種類の放射強度値、少なくとも64種類の放射強度値、少なくとも100種類の放射強度値、少なくとも128種類の放射強度値、または少なくとも256種類の放射強度値が基板に投影されてもよい。パターニングデバイス自体が放射源(例えば発光ダイオードまたはレーザダイオードのアレイ)である場合には、例えば、送出される放射の強度レベルを制御することで、グレイスケーリングがもたらされてもよい。パターニングデバイスが偏向器112を含む場合には、例えば、偏向器112の傾斜角度を制御することで、グレイスケーリングがもたらされてもよい。また、複数のプログラム可能素子及び/または偏向器をグループ化し、所与の時点でオン又はオフに切り換えられる素子及び/または偏向器の数をグループ内で制御することで、グレイスケーリングがもたらされてもよい。
ある実施例においては、パターニングデバイスは、下記を含む一連の状態を有してもよい。(a)黒の状態。この場合、与えられる放射は、対応するピクセルでの強度分布に最小の寄与を与える(あるいは何ら寄与しない)。(b)最も白い状態。この場合、与えられる放射は、最大の寄与を与える。(c)複数の中間の状態。この場合、与えられる放射は中間の寄与を与える。これらの状態は、通常セット(通常ビームのパターニング/プリンティングに使用される)と補償セット(欠陥素子の影響を補償するために使用される)とに分けられる。通常セットは、黒状態と、複数の中間状態からなる第1群と、を備える。この第1群を灰色状態と呼ぶことにする。これらは、最小の黒の値からある通常最大値まで対応ピクセル強度への寄与を徐々に大きくするよう選択可能である。補償セットは、残りの中間状態からなる第2群と、最白状態とを備える。この中間状態の第2群を白状態と呼ぶことにする。これらは、通常最大値より大きい寄与を与え、最白状態に相当する真の最大値まで徐々に増加する寄与を与えるよう選択可能である。第2群の中間状態を白状態と呼ぶのは単に、通常の露光ステップと補償の露光ステップとを区別しやすくするためにすぎないものと理解されたい。あるいは、複数状態の全体を、黒と白との間でグレイスケール・プリンティングをもたらすよう選択可能である一連の灰色状態とも呼びうるのである。
グレイスケーリングは上述の目的に加えてまたは上述の目的に代えて使用されてもよい。例えば、受けたドーズ量レベルに応じて基板領域で2種以上の潜在的な反応があるように、露光後の基板への処理が調整されていてもよい。例えば、第1しきい値を下回る放射ドーズ量を受けた基板の部位では第1の種類の反応が生じ、第1しきい値を超え第2しきい値を下回る放射ドーズ量を受けた基板の部位では第2の種類の反応が生じ、第2しきい値以上の放射ドーズ量を受けた基板の部位では第3の種類の反応が生じるようにしてもよい。したがって、グレイスケーリングは、2以上の望ましいドーズ量レベルを有する基板上での放射ドーズ量プロファイルを提供するために使用されてもよい。ある実施の形態においては、放射ドーズ量プロファイルは、少なくとも2つの所望のドーズ量レベル、例えば少なくとも3つの所望のドーズ量レベル、少なくとも4つの所望のドーズ量レベル、少なくとも6つの所望のドーズ量レベル、または少なくとも8つの所望のドーズ量レベルを有する。
放射ドーズ量プロファイルの制御は、上述のように基板上の各点が受ける放射強度を単に制御するという方法以外の方法によっても可能である。例えば、基板上の各点が受ける放射ドーズ量は、各点への露光時間を代替的にまたは追加的に制御することによっても制御することができる。他の実施例として、各点は、連続的な複数回の露光により放射を受けてもよい。このような連続的複数露光から一部の露光を選択して照射することにより代替的にまたは追加的に各点が受ける放射ドーズ量を制御することが可能となる。
さらに、グレイスケーリングに関する上述の議論はフォトリソグラフィに焦点を当てているが、本書に説明される材料除去及び材料成膜に同様のコンセプトが適用されてもよい。例えば、アブレーションが、グレイスケーリングをもたらす複数の異なるドーズ量レベルによって制御されてもよい。同様に、材料成膜に関連して、グレイスケーリングをもたらすようドーズ量レベルが制御されてもよい。
パターンを基板に形成するためには、パターニングデバイスを露光プロセス中の各段階で必要状態に設定する必要がある。よって、その必要状態を表す制御信号がパターニングデバイスに伝送されなければならない。望ましくは、リソグラフィ装置は、制御信号を生成するコントローラを含む。基板に形成されるべきパターンは、例えばGDSIIなどのベクトル定義のフォーマットでリソグラフィ装置に供給される。設計情報を制御信号へと変換するために、コントローラは1つ又は複数のデータ処理装置を備えてもよい。データ処理装置は各々が、ある処理ステップを、パターンを表すデータストリームに施すよう構成されている。これらのデータ処理装置は以下では「データパス」と総称されてもよい。
データパスのデータ処理装置は、次に示す機能の1つ又は複数を実行するよう構成されていてもよい。その機能とは、ベクトルベースの設計情報をビットマップのパターンデータに変換すること、ビットマップのパターンデータを必要とされる放射ドーズ量マップ(つまり基板上で必要とされる放射ドーズ量のプロファイル)に変換すること、必要放射ドーズ量マップを各個別制御可能素子用の必要放射強度値に変換すること、及び、各個別制御可能素子用の必要放射強度値を対応する制御信号に変換することである。
ある実施の形態においては、制御信号は、個別制御可能素子102及び/または他の1つ又は複数の装置(例えば偏向器及び/またはセンサ)に、有線又は無線通信で供給されてもよい。また、個別制御可能素子102及び/または他の1つ又は複数の装置(例えば偏向器及び/またはセンサ)からの信号は、コントローラに通信されてもよい。制御信号と同様にして、電力が個別制御可能素子102及び/または他の1つ又は複数の装置(例えば偏向器及び/またはセンサ)に有線または無線の手段で供給されてもよい。例えば、有線の実施形態においては、電力が1本又は複数本の配線により供給されてもよい。これは信号を運ぶものと同一であるか否かを問わない。滑り接触の構成が電力を伝えるために設けられてもよい。無線の実施形態においては、RF結合により電力が搬送されてもよい。
前述の議論は個別制御可能素子102及び/または他の1つ又は複数の装置(例えば偏向器及び/またはセンサ)に供給される制御信号に焦点を当てているが、それらは追加的に又は代替的に、適切な構成により個別制御可能素子102及び/または他の1つ又は複数の装置(例えば偏向器及び/またはセンサ)からコントローラへの信号伝送を網羅するものと理解すべきである。そのため、通信は一方向(例えば、個別制御可能素子102及び/または他の1つ又は複数の装置(例えば偏向器及び/またはセンサ)着又は発のみ)であってもよいし、あるいは双方向(すなわち、個別制御可能素子102及び/または他の1つ又は複数の装置(例えば偏向器及び/またはセンサ)発及び着)であってもよい。
ある実施の形態においては、パターンを与えるための制御信号は、基板上でのパターンの適正な供給及び/または実現に影響しうる要因を考慮に入れて変更されてもよい。例えば、1つ又は複数の個別制御可能素子102やレンズ等の加熱を考慮に入れて制御信号に何らかの補正が適用されてもよい。こうした加熱によって、個別制御可能素子102やレンズ等の指示方向や、放射の均一性などに変化が生じうる。ある実施の形態においては、例えばセンサからの個別制御可能素子102及び/または他の要素に関連する測定温度及び/または膨張/収縮が、さもなければパターン形成のために与えられていたであろう制御信号を変更するために使用されてもよい。例えば、露光中に個別制御可能素子102の温度は変わりうるが、その変動によって、ある1つの一定温度で与えられたであろう投影パターンから変化が生じる。従って、制御信号がこうした変動を考慮に入れて変更されてもよい。同様に、ある実施の形態においては、アライメントセンサ及び/またはレベリングセンサ150からの結果が、個別制御可能素子102により与えられるパターンを変更するために使用されてもよい。パターンは、例えば、個別制御可能素子102と基板114との間の光学系(もし存在するなら)や、基板114の位置決めの不規則性、基板114の不均一性などによって生じ得る例えばディストーションを補正するよう変更されてもよい。
ある実施の形態においては、制御信号の変化量は、測定されたパラメタ(例えば、測定温度、レベルセンサによる測定距離など)から生じる所望のパターンにおける理論的な物理的/光学的結果に基づいて決定されてもよい。ある実施の形態においては、制御信号の変化量は、測定パラメタから生じる所望のパターンにおける物理的/光学的結果の実験的又は経験的モデルに基づいて決定されてもよい。ある実施の形態においては、制御信号の変化量は、フィードフォワード及び/またはフィードバックに適用されてもよい。
ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、1つ又は複数の個別制御可能素子102により基板に向けて伝達される又は伝達されるはずの放射の性質を測定するセンサ118を備えてもよい。こうしたセンサはスポットセンサまたは透過イメージセンサであってもよい。このセンサは、例えば、ある個別制御可能素子102からの放射の強度、ある個別制御可能素子102からの放射の均一性、ある個別制御可能素子102からの放射のスポットの断面のサイズまたは面積、及び/または、ある個別制御可能素子102からの放射のスポットの(XY面での)位置を決定するために使用されてもよい。
図2は、本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の概略上面図であり、センサ118のいくつかの例示的な配置を示す。ある実施の形態においては、1つ又は複数のセンサ118が、基板114を保持する基板テーブル106の内部又は表面に設けられている。例えば、センサ118は、基板テーブル106の前縁及び/または基板テーブル106の後縁に設けられていてもよい。この実施例においては、3個のセンサ118が示されており、個別制御可能素子102のアレイごとに1つのセンサが設けられている。望ましくは、これらは基板114により覆われない場所に配置される。代替的な又は追加的な実施例においては、センサは、基板テーブル106の側縁に、望ましくは基板114により覆われない場所に、設けられていてもよい。基板テーブル106の前縁のセンサ118は、個別制御可能素子102の露光前検出に使用可能である。基板テーブル106の後縁のセンサ118は、個別制御可能素子102の露光後検出に使用可能である。基板テーブル106の側縁のセンサ118は、個別制御可能素子102の露光中の検出(いわゆるオンザフライの検出)に使用可能である。
ある実施の形態においては、センサ118は、フレーム160に設けられており、ある個別制御可能素子102からの放射を、個別制御可能素子102のビーム経路にあるビーム方向変更構造(例えば反射ミラーの配列)を介して受ける。例えば、個別制御可能素子102がXY面内で移動して、個別制御可能素子102がビーム方向変更構造に放射を与えるよう配置されることができる。ある実施の形態においては、センサ118は、フレーム160に設けられており、ある個別制御可能素子102からの放射をその個別制御可能素子102の背面側(すなわち露光放射が与えられるのと反対側)から受ける。同様に、個別制御可能素子102がXY面内で移動して、個別制御可能素子102がセンサ118に放射を与えるよう配置されることができる。ある実施の形態においては、フレーム160にあるセンサ118は固定された場所にあるか、または、例えば関連するアクチュエータによって移動可能であってもよい。フレーム160にあるセンサ118は、露光前及び/または露光後の検知に加えて又はそれに代えて「オンザフライ」の検知を提供するよう使用されてもよい。ある実施の形態においては、センサ118は、基板テーブルが移動するであろう経路の下方(図3に示す)、その経路の側方、または基板テーブル106の上方に配置されている。ある実施の形態においては、センサ118は、仮に基板テーブル106がそこになかったとすれば図3において基板テーブル106のセンサ118を示す場所にアクチュエータによって移動されてもよい。こうした移動はX方向、Y方向、及び/またはZ方向であってもよい。センサ118はフレーム160に取り付けられ、アクチュエータを使用してフレーム160に対し変位可能であってもよい。
1つ又は複数の個別制御可能素子102により基板に向けて伝達される又は伝達されるはずの放射の性質を測定する動作においては、センサ118が、ある個別制御可能素子102からの放射の経路に、センサ118を移動させることによって、及び/または、その個別制御可能素子102の放射ビームを移動させることによって、配置される。そのため、ある実施例として、基板テーブル106は、ある個別制御可能素子102からの放射の経路に位置センサ118を移動させてもよい。この場合、センサ118は、露光区域234にて個別制御可能素子102の経路に位置決めされる。ある実施の形態においては、センサ118は、露光区域234外で個別制御可能素子102の経路に位置決めされてもよい。放射の経路に配置されると、センサ118は、放射を検出し、その放射の性質を測定することができる。検知を促進するために、センサ118が個別制御可能素子102に対し移動されてもよいし、及び/または、個別制御可能素子102(及び/またはビーム)がセンサ118に対し移動されてもよい。
他の実施例として、ある個別制御可能素子102からの放射がビーム方向変更構造に入射する位置へと、その個別制御可能素子102が移動されてもよい。ビーム方向変更構造はフレーム160上のセンサ118へとビームを誘導する。検知を促進するために、センサ118が個別制御可能素子102に対し移動されてもよいし、及び/または、個別制御可能素子102(及び/またはビーム)がセンサ118に対し移動されてもよい。
ある実施の形態においては、センサ118は固定されていてもよいし、移動していてもよい。固定されている場合、個別制御可能素子102及び/またはビームは望ましくは、検知を促進するために、固定されたセンサ118に対し移動可能である。センサ118による検知を促進するために、例えば、個別制御可能素子102がセンサ118(例えば、フレーム160上のセンサ118)に対し移動(例えば回転または平行移動)されてもよい。センサ118が移動可能である場合(例えばセンサ118が基板テーブル106にある場合)、個別制御可能素子102及び/またはビームは検知のために静止されていてもよいし、あるいは、例えば検知の高速化のために移動されてもよい。
センサ118は、偏向器112及び/または1つ又は複数の個別制御可能素子102のようなパターニングデバイス104を校正するために使用されてもよい。例えば、パターニングデバイスからのスポット位置をセンサ118により露光前に検出し、それに従ってシステムを校正することができる。そして、この予定スポット位置に基づいて露光を管理することができる(例えば、基板114の位置が制御されたり、個別制御可能素子102及び/またはビームの位置が制御されたり、個別制御可能素子102のオンオフ切り換えが制御されたりする)。また、複数の校正が順次行われてもよい。例えば、ある校正が露光直後に別の露光の前に、基板テーブル106の後縁にあるセンサ118を例えば使用して行われてもよい。校正は、毎回の露光前や、ある回数の露光後等に行われてもよい。また、スポット位置は、センサ118を使用してオンザフライで検出され、それに従って露光が管理されてもよい。偏向器112及び/または1つ又は複数の個別制御可能素子102のようなパターニングデバイス104はオンザフライ検知に基づいて再校正されてもよい。
ある実施の形態においては、位置センサが、1つ又は複数の個別制御可能素子102や偏向器112、レンズ等の位置を最大6自由度で決定するために設けられていてもよい。ある実施の形態においては、センサは、干渉計を備えてもよい。ある実施の形態においては、センサは、1つ又は複数の一次元エンコーダグレーティング及び/または1つ又は複数の二次元エンコーダグレーティングを検出するために使用され得るエンコーダを備えてもよい。
ある実施の形態においては、センサが、基板に伝達された放射の性質を決定するために設けられていてもよい。この実施形態においては、センサは、基板によって方向を変えられた放射を捕捉する。ある例示的な使用においては、センサにより捕捉された方向変更された放射は、ある個別制御可能素子102からの放射スポットの位置(例えば、ある個別制御可能素子102からの放射スポットの位置ずれ)の決定を促進するために使用されてもよい。特に、センサは、基板のちょうど露光された部分(すなわち潜像)から方向変更された放射を捕捉してもよい。方向変更された放射のこうした尾部の強度の測定結果は、スポットが適正に位置合わせされていたか否かの指標を与え得る。例えば、この尾部の反復測定は反復信号を与え、これはスポットの位置ずれを表すであろう偏差を与え得る(例えば、位相外れ信号が位置ずれを表すことができる)。例えば、3つの検出区域が設けられ、位置ずれの認識を促進するために、検出結果が比較され及び/または組み合わされてもよい。1つの検出区域だけが使用される必要がある。
ある実施の形態においては、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102は移動可能である。例えば、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102は、X方向、Y方向、及び/またはZ方向に移動可能であってもよい。追加的に又は代替的に、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102は、X方向、Y方向、及び/またはZ方向まわりに回転(即ちRx、Ry、及び/またはRz運動)可能であってもよい。
ある実施の形態においては、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102は、ビーム110の全体又は部分を投影するために1つ又は複数の個別アドレス可能素子が使用される露光区域と、その露光区域の外側の、1つ又は複数の個別アドレス可能素子が何らビーム110を投影しない場所と、の間を移動可能である。ある実施の形態においては、その1つ又は複数の個別アドレス可能素子102は、露光区域234(図30(A)−(C)における影付き領域)においてオンに又は少なくとも部分的にオンに切り換え(すなわち、素子が放射を発し)、露光区域234の外側に位置するときオフ(すなわち、素子が放射を発しない)に切り換えられる放射発光デバイスである。
ある実施の形態においては、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102は、露光区域234の内側及び外側でオンに切り換えられ得る放射発光デバイスである。こうした状況においては、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102は、補償露光を提供するために露光区域234の外側でオンに切り換えられてもよい。補償露光は例えば、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102によって露光区域234にて適正に放射が投影されなかった場合になされる。
ある実施の形態においては、露光区域234は細長い線である。ある実施の形態においては、露光区域234は、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102の一次元アレイである。ある実施の形態においては、露光区域234は、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102の二次元アレイである。ある実施の形態においては、露光区域234は、細長い。
ある実施の形態においては、移動可能な個別アドレス可能素子102の各々は、別々に移動可能であり、1つのユニットとして一緒に移動可能である必要はない。
ある実施の形態においては、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102は、少なくともビーム110の投影中においてビーム110の伝播方向に交差する方向に移動可能であり、使用時に移動される。例えば、ある実施の形態においては、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102は、ビーム110の投影中にビーム110の伝播方向に実質的に垂直な方向に移動する放射発光デバイスである。
ある実施の形態においては、個別アドレス可能素子102の1つ又は複数のアレイ230は横方向変位可能プレート及び/または回転可能プレートであり、図34に示されるように、当該プレートに沿って配列された複数の空間的に隔てられた個別アドレス可能素子102を有する。例えば、使用時において、各プレートは方向238に沿って平行移動する。使用時において個別アドレス可能素子102が露光区域234(図30(A)−(C)において影付き領域で示す)に配置されるように運動のタイミングが適切に調整されており、それによってビーム110の全体又は部分が投影される。例えば、ある実施の形態においては、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102は放射発光デバイスであり、個別アドレス可能素子102のオンオフ切り換えは、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102が露光区域234にあるときオンに切り換えられるように、タイミングが調整されている。例えば、図34(A)には、放射発光ダイオードの複数の二次元アレイ230が方向238に移動されている(2つのアレイが正の方向238で、その2つのアレイの中間のアレイが負の方向238である)。放射発光ダイオード102のオンオフ切り換えは、各アレイ230のある放射発光ダイオード102が露光区域234にあるときオンに切り換えられるように、タイミングが調整されている。もちろん、アレイ230は、例えばアレイ230の移動範囲末端に達したとき、反対方向に(つまり、2つのアレイが負の方向238に、それら2つのアレイの中間のアレイが正の方向238に)移動することができる。ある他の実施の形態においては、図34(B)において、複数の交互配置された放射発光ダイオード一次元アレイ230が方向238に移動されている(正の方向238と負の方向238とが交互である)。放射発光ダイオード102のオンオフ切り換えは、各アレイ230のある放射発光ダイオード102が露光区域234にあるときオンに切り換えられるように、タイミングが調整されている。もちろん、アレイ230は反対方向に移動することができる。ある他の実施の形態においては、図34(C)において、単一の放射発光ダイオードアレイ230(一次元で図示するがそれは必須ではない)が方向238に移動されている。放射発光ダイオード102のオンオフ切り換えは、各アレイ230のある放射発光ダイオード102が露光区域234にあるときオンに切り換えられるように、タイミングが調整されている。
ある実施の形態においては、各アレイ230は回転可能プレートであり、当該プレートまわりに配列された複数の空間的に隔てられた個別アドレス可能素子102を有する。使用時において、各プレートが自身の軸236まわりに回転する。アレイ230は、時計回り方向及び反時計回り方向に交互に回転してもよい。あるいは、アレイ230の各々が時計回り方向に回転してもよいし、または反時計回り方向に回転してもよい。ある実施の形態においては、アレイ230は、全周に回転する。ある実施の形態においては、アレイ230は、全周より小さい弧を回転する。ある実施の形態においては、アレイ230は、基板をZ方向に走査する場合には例えば、X方向またはY方向に延びる軸まわりに回転してもよい。
ある実施の形態においては、回転可能プレートは、図34(D)に示す構成を有してもよい。例えば、図34(D)には、回転可能プレートの概略上面図が示される。回転可能プレートは、プレートまわりに配列された個別アドレス可能素子102の1つ又は複数のサブアレイ240を有するアレイ230を有してもよい(図34(D)においては多数のサブアレイ240が示されているが、1つのアレイ230、240だけを有してもよい)。図34(D)においては、サブアレイ240は、ある1つのサブアレイ240のある個別アドレス可能素子102が別のサブアレイ240の2つの個別アドレス可能素子102の間にあるようにして互いにずれている。しかし、サブアレイ240の個別アドレス可能素子102は互いに位置を合わせてあってもよい。個別アドレス可能素子102は、モータ242によって軸236まわりに(本例では、図34(D)におけるZ方向にモータ242を通る軸236まわりに)個別的に又は一緒に回転させられてもよい。モータ242は、回転可能プレートに取り付けられフレーム(例えばフレーム160)に接続されていてもよいし、または、フレーム(例えばフレーム160)に取り付けられ回転可能プレートに接続されていてもよい。ある実施の形態においては、モータ242(または、例えば、他のいずれかの場所に配置された何らかのモータ)は、個別的にであっても一緒にであってもよいが、個別アドレス可能素子102にその他の移動をもたらしてもよい。例えば、モータ242は、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102のX方向、Y方向、及び/またはZ方向の平行移動をもたらしてもよい。追加的に又は代替的に、モータ242は、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102のX方向及び/またはY方向まわりの回転(即ちRx運動及び/またはRy運動)をもたらしてもよい。
使用時において個別アドレス可能素子102が露光区域234に配置されるように運動のタイミングが適切に調整されており、それによってビーム110の全体又は部分が投影される。例えば、ある実施の形態においては、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102は放射発光デバイスであり、個別アドレス可能素子102のオンオフ切り換えは、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102が露光区域234にあるときオンに切り換えられ、区域234外にあるときオフに切り換えられるように、タイミングが調整されている。そのため、ある実施の形態においては、放射発光デバイス102はすべてが運動中にオンに維持され、その後、一部の放射発光デバイス102が露光区域234にてオフに変調されることもあり得る。放射発光デバイス102と基板との間で露光区域234の外側にある適切なシールドが、露光区域234外でオンに切り換えられた放射発光デバイス102から露光区域234を遮蔽するために必要とされるかもしれない。放射発光デバイス102を一貫してオンにすることは、放射発光デバイス102を使用中に実質的に均一の温度にするのに役立つ。ある実施の形態においては、放射発光デバイス102は大半の期間オフに維持されており、1つ又は複数の放射発光デバイス102が露光区域234でオンに切り換えられることもあり得る。
ある実施の形態においては、(例えば回転可能プレート上に)理論的に必要とされるよりも多数の移動可能個別アドレス可能素子を設けてもよい。こうした構成の潜在的利点は、1つ又は複数の可動個別アドレス可能素子が壊れるか動作不能である場合に、他の1つ又は複数の可動個別アドレス可能素子を代わりに使用することができることにある。追加的に又は代替的に、余剰の可動個別アドレス可能素子は、個別アドレス可能素子の熱負荷制御に利点があり得る。可動個別アドレス可能素子の数が多ければ、可動個別アドレス可能素子が露光区域234外で冷却される機会が増えるからである。
ある実施の形態においては、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102は、温度制御構成を備えてもよい。例えば、アレイ230は、アレイを冷却する冷却流体をアレイ230に接触させ、近接させ、又は通過させて輸送するための流体(例えば液体)導管を有してもよい。導管は、導管を通じて流体を循環させるために適切な熱交換器及びポンプに接続されていてもよい。センサがアレイの内部、表面、又は近傍に設けられ、アレイ230のあるパラメタを測定し、測定結果が例えば熱交換器及びポンプにより供給される流体流れの温度を制御するために使用されてもよい。ある実施の形態においては、センサはアレイ230の本体の膨張及び/または収縮を測定し、測定結果が熱交換器及びポンプにより供給される流体流れの温度を制御するために使用されてもよい。こうした膨張及び/または収縮は温度の代用であり得る。ある実施の形態においては、センサは、アレイ230に一体化されていてもよいし、アレイ230から分離されていてもよい。アレイ230から分離されたセンサは光学センサであってもよい。
ある実施の形態においては、アレイ230は、放熱のための表面積を大きくするための1つ又は複数のフィンを有してもよい。フィンは例えば、アレイ230の上面及び/またはアレイ230の側面にあってもよい。任意選択として、1つ又は複数の別のフィンがアレイ230上のフィンと協働して放熱を促進するよう設けられていてもよい。例えば、別のフィンは、アレイ230上のフィンからの熱を吸収可能であり、流体(例えば液体)導管と関連する熱交換器/ポンプとを備えてもよい。
ある実施の形態においては、アレイ230は、流体による放熱を促進するために流体をアレイ230本体に接触状態に維持するよう構成されている流体閉じ込め構造に又はその近傍に配置されていてもよい。ある実施の形態においては、流体は液体、例えば水であってもよい。ある実施の形態においては、流体閉じ込め構造はアレイ230本体との間にシールを提供する。ある実施の形態においては、このシールは、例えば気体流れ又は毛管力によってもたらされる非接触シールであってもよい。ある実施の形態においては、流体は、流体導管に関して説明したのと同様に、放熱を高めるために循環する。流体は流体供給装置により供給されてもよい。ある実施の形態においては、アレイ230は、流体による放熱を促進するために流体をアレイ230本体に向けて投射するよう構成されている流体供給装置に又はその近傍に配置されていてもよい。ある実施の形態においては、流体は気体、例えば清浄乾燥空気、N、不活性ガス等である。
ある実施の形態においては、アレイ230本体は、実質的に固体の構造であり、例えば流体導管のための空洞を有する。ある実施の形態においては、アレイ230本体は、大半が開放された実質的にフレーム型構造であり、種々の構成部品例えば個別アドレス可能素子102や流体導管等が取り付けられる。この開放型構造は気体流れを促進し、及び/または、表面積を増加させる。ある実施の形態においては、アレイ230本体は、気体流れを促進するために、及び/または、表面積を増加させるために、本体内部へと進入し又は本体を貫通する複数の空洞を有する実質的に固体の構造である。
上述の実施の形態においては冷却が提供されるが、それに代えて又はそれとともに、加熱が提供されてもよい。
ある実施の形態においては、アレイ230は望ましくは、露光使用の間、実質的に一定の安定状態の温度に保たれる。そのため、例えば、アレイ230のすべての又は多くの個別アドレス可能素子102は、所望の安定状態温度に又はその近傍に達するよう露光前に電源が入れられ、露光中に安定状態温度を維持するようアレイ230を冷却及び/または加熱するために1つ又は複数の温度制御構成のいずれかが使用されてもよい。ある実施の形態においては、1つ又は複数の温度制御構成のいずれかが、所望の安定状態温度に又はその近傍に達するよう露光前にアレイ230を加熱するために使用されてもよい。そうして、露光中に、1つ又は複数の温度制御構成のいずれかが、安定状態温度を維持するようアレイ230を冷却及び/または加熱するために使用されてもよい。上述のセンサからの測定結果が安定状態温度を維持するようフィードフォワードまたはフィードバックに使用されてもよい。ある実施の形態においては、複数のアレイ230の各々が同一の安定状態温度を有してもよいし、複数のアレイ230のうち1つ又は複数のアレイ230が複数のアレイ230のうち他の1つ又は複数のアレイ230とは異なる安定状態温度を有してもよい。ある実施の形態においては、アレイ230は、所望の安定状態温度よりも高温に加熱されてから、1つ又は複数の温度制御構成のいずれかによる冷却によって、及び/または、所望の安定状態温度よりも高温に保つほどには個別アドレス可能素子102が使用されないことによって、露光中に降温される。
ある実施の形態においては、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102についての前述の移動及び温度制御は、レンズ122、偏向器112、レンズ124、レンズ140、及び/または、レンズ170から選択される1つ又は複数といった他の要素に適用されてもよい。また、これら各種の要素の1つ又は複数は、他種の要素の1つ又は複数に対し移動可能であってもよいし、及び/または、同種の要素の1つ又は複数に対し移動可能であってもよい。例えば、レンズ140及び/またはレンズ170は、1つ又は複数の個別アドレス可能素子102に対し移動可能であってもよく、例えば、1つ又は複数のレンズ140及び/またはレンズ170は、他の1つ又は複数のレンズ140及び/またはレンズ170に対し移動可能であってもよい。
ある実施の形態においては、本書に述べるレンズアレイは、個別アドレス可能素子に関連づけられ又は一体化されている。例えば、レンズアレイ122がアレイ230の各々に取り付けられて、個別アドレス可能素子102とともに移動可能(例えば回転可能)であってもよい。レンズアレイは個別アドレス可能素子102に対し(例えばZ方向に)変位可能であってもよい。ある実施の形態においては、複数のレンズアレイが1つのアレイ230に設けられ、レンズアレイプレートの各々が複数の個別アドレス可能素子102の別々のサブセットに関連付けられていてもよい。
ある実施の形態においては、単一の個別のレンズ122が各個別アドレス可能素子102の前方に取り付けられ、その個別アドレス可能素子102とともに移動可能(例えば回転可能)であってもよい。また、レンズ122は、アクチュエータを使用することによって、個別アドレス可能素子102に対し(例えばZ方向に)変位可能であってもよい。ある実施の形態においては、個別アドレス可能素子102及びレンズ122は、アクチュエータによってアレイ230の本体に対し一緒に変位されてもよい。ある実施の形態においては、アクチュエータは、レンズ122を(即ち、個別アドレス可能素子102に対し、または、個別アドレス可能素子102とともに)Z方向に変位させるだけのために構成されている。ある実施の形態においては、アクチュエータは、最大3自由度(Z方向、X軸まわりの回転、及び/またはY軸まわりの回転)でレンズ122を変位させるよう構成されている。ある実施の形態においては、アクチュエータは、最大6自由度でレンズ122を変位させるよう構成されている。レンズ122が個別アドレス可能素子102に対し移動可能である場合、レンズ122はアクチュエータによって、レンズ122の焦点位置を基板に対して変化させるために移動されてもよい。レンズ122が個別アドレス可能素子102とともに移動可能である場合、レンズ122の焦点位置は実質的に一定であるが基板に対し変位させられる。ある実施の形態においては、レンズ122の移動は、アレイ230の各個別アドレス可能素子102に関連付けられた各レンズ122について個別に制御される。ある実施の形態においては、複数のレンズ122のうちあるサブセットは一緒に、複数の個別アドレス可能素子102のうち関連付けられたサブセットに対して又はそれとともに移動可能である。後者の場合、データのオーバーヘッドを小さくし、及び/または、応答を速くするために、焦点制御の精確さが犠牲となりうる。ある実施の形態においては、ある個別アドレス可能素子102によりもたらされる放射スポットのサイズはデフォーカスによって調整されてもよい。つまり、デフォーカスするにつれてスポットサイズが大きくなる。
ある実施の形態においては、個別アドレス可能素子102は放射発光デバイス例えばレーザダイオードであってもよい。こうした放射発光デバイスは高い空間コヒーレンスを有することがあるため、スペックルが問題となりうる。このようなスペックル問題を回避するために、放射発光デバイスにより発せられる放射は、あるビーム部分の位相を他のビーム部分に対しずらすことによりスクランブルされるべきである。ある実施の形態においては、プレートが、例えばフレーム160に配置されており、個別アドレス可能素子102とプレートとの相対移動があってもよい。プレートによって、個別アドレス可能素子102により基板へと発せられた放射の空間コヒーレンスが乱される。ある実施の形態においては、プレートはレンズ122とそれに関連する個別アドレス可能素子102との間に配置される。ある実施の形態においては、プレートはレンズ122と基板との間に配置されてもよい。
ある実施の形態においては、空間コヒーレンス破壊デバイスが基板と少なくとも個別アドレス可能素子102との間に配置されていてもよい。ある実施の形態においては、空間コヒーレンス破壊デバイスは、個別アドレス可能素子102と基板との間のビーム経路に配置され又は配置可能である。ある実施の形態においては、空間コヒーレンス破壊デバイスは、位相変調器、振動プレート、または回転プレートである。個別アドレス可能素子102が基板へと放射を投影すると、空間コヒーレンス破壊デバイスによって、個別アドレス可能素子102により発せられた放射の空間コヒーレンスが乱される。
ある実施の形態においては、レンズ122アレイは(ユニットとして一緒に、又は個別のレンズとして)、レンズアレイからアレイ230への伝熱を促進し、それにより冷却が有利に提供されるように、望ましくは熱伝導率の高い材料を介してアレイ230に取り付けられている。
ある実施の形態においては、1つ又は複数のフォーカスセンサまたはレベルセンサが設けられていてもよい。例えば、センサは、各個別アドレス可能素子102について、または、複数の個別アドレス可能素子102について、フォーカスを測定するよう構成されていてもよい。従って、焦点外れ状態が検出された場合に、各個別アドレス可能素子102について、または、複数の個別アドレス可能素子102について、フォーカスが補正されてもよい。例えば、レンズ122をZ方向に(及び/またはX軸まわりに、及び/またはY軸まわりに)移動させることによって、フォーカスが補正されてもよい。
ある実施の形態においては、センサは、ある個別アドレス可能素子102に一体化されている(あるいは、複数の個別アドレス可能素子102に一体化されていてもよい)。例えば、フォーカス検出ビームが基板表面で方向変更され(例えば反射され)、レンズ122を通過して、レンズ122と個別アドレス可能素子102の間の半透明ミラーにより検出器へと向けられる。ある実施の形態においては、フォーカス検出ビームは露光のために使用される放射であって、基板にて向きが変えられたものであってもよい。ある実施の形態においては、フォーカス検出ビームは、基板に向けられた専用のビームが基板で向きを変えられて検出ビームとなったものでもよい。ナイフエッジ(アパーチャでもあり得る)がビームの経路においてビームが検出器に入射する手前に設けられていてもよい。この例においては、検出器は、少なくとも2つの放射感応部分(例えば領域または検出器)を備える。基板に焦点が合っているとき、エッジに鮮明な像が形成され、検出器の放射感応部分は等量の放射を受ける。基板が焦点から外れているとき、ビームがシフトしてエッジの前方又は後方に像が形成されるであろう。そのためエッジがビームのある部分を遮断し、検出器の一方の放射感応部分が他方の放射感応部分よりも少量の放射を受ける。検出器の放射感応部分からの出力信号を比較することにより、ビームの向きを変更させた基板面が所望位置からどの程度の量及びどの方向に異なるかを得ることができる。信号は電子的に処理され、例えばレンズ122を調整する制御信号を生成してもよい。ミラー、エッジ、及び検出器は、アレイ230に搭載されていてもよい。ある実施の形態においては、検出器はクワッドセルであってもよい。
ある実施の形態においては、レンズアレイ170以外にはパターニングデバイス104と基板114との間に光学系が存在しない。よってリソグラフィ装置100は、パターニングデバイス104と、投影系108と、を備える。この場合、投影系108は、変調された放射ビーム110を受けるよう配設されたレンズのアレイ170のみを備える。変調された放射ビーム110の各部分はパターニングデバイス104の1つ又は複数の個別制御可能素子に対応しており、ビーム110のある部分はレンズアレイ170のあるレンズを通り、ビーム110の別の部分は別のレンズを通る。各レンズは変調放射ビーム110の対応部分を基板上に位置する一点に集束する。こうして放射スポットSの配列(図32参照)が基板114に露光される。自由作動距離が基板114とレンズアレイ170との間に設けられる。この距離は、基板114及び/またはレンズアレイ170が例えば焦点補正のために移動することを許容する。ある実施の形態においては、レンズアレイ170は0.15のNAを与えることができる。
図35は、本発明のある実施の形態に係り、XY面内で実質的に静止した複数の個別制御可能素子102(例えばレーザダイオード)とそれに対し移動可能である光学素子250(例えばレンズ124及び/またはレンズ170)とを有するリソグラフィ装置の部分のレイアウトの概略上面図を示す。この実施形態においては、複数の個別制御可能素子102がフレームに取り付けられてXY面内で実質的に静止しており、複数の光学素子250がこれら個別制御可能素子102に対し実質的にXY面内で(図35において矢印254で示されるように)移動し、基板が方向252に移動する。ある実施の形態においては、光学素子250は、軸まわりに回転することにより個別制御可能素子102に対し移動する。ある実施の形態においては、光学素子250は、軸まわりに(例えば図35に示す方向に)回転する構造に搭載され、(例えば図35に部分的に示すように)円形に配列されている。
個別制御可能素子102の各々が移動する光学素子250に、例えば偏向器112を通じてビームを与える。ある実施の形態においては、個別制御可能素子102には、プレート250にコリメートビームを与える1つ又は複数のコリメートレンズが関連づけられている。ある実施の形態においては、コリメートレンズはXY面内で実質的に静止しており、個別制御可能素子102が取り付けられているフレームに取り付けられている。
この実施形態においては、コリメートビームの断面幅は、光学素子250の断面幅よりも小さい。そのため、例えば、光学素子250の光学的に透過可能な部位の内側に完全にコリメートビームが収まるようになるや否や、個別制御可能素子102(例えばレーザダイオード)がオンに切り換えられる。そして、光学素子250の光学的に透過可能な部位の外側にビームがくると、個別制御可能素子102(例えばレーザダイオード)がオフに切り換えられる。よって、ある実施の形態においては、ある個別制御可能素子102からのビームはどの任意の一時点においても1つの光学素子250を通過する。個別制御可能素子102からのビームを光学素子250が横断することによって、オンに切り換えられている個別制御可能素子102の各々から対応する結像ライン256が基板上にもたらされる。図35においては3本の結像ライン256が、図35における3つの個別制御可能素子102の各々に対して示されている。図35におけるその他の個別制御可能素子102も対応する結像ライン256を基板上に生成することは明らかである。
図35のレイアウトにおいては、光学素子250のピッチは1.5mmであってもよく、各個別制御可能素子102からのビームの断面幅(例えば直径)は0.5mmより若干小さい。この構成によると、各個別制御可能素子102により長さ約1mmの線を書くことが可能である。よって、ビーム直径が0.5mmで光学素子250の直径が1.5mmであるこの構成においては、デューティサイクルが67%の高さになる。光学素子250に対する個別制御可能素子102の適切な位置決めがなされることで、基板の全幅を完全にカバーすることが可能である。そこで、例えば、標準的な直径5.6mmのレーザダイオードのみが使用される場合に、レーザダイオードの図35に示すような列をいくつか用いて、基板の全幅をカバーするようにすることができる。そこで、この実施形態においては、固定された個別制御可能素子102のアレイを単に使用する場合よりも、又はおそらくは、本書に述べる移動可能な個別制御可能素子102を使用する場合よりも、少ない数の個別制御可能素子102(例えばレーザダイオード)を使用することが可能であり得る。
ある実施の形態においては、光学素子250の各々は同一であるべきである。各個別制御可能素子102がすべての移動光学素子250によって結像されるからである。この実施形態においては、NAが大きい、例えば、0.3より大きい、0.18より大きい、又は0.15より大きいレンズが必要であるが、すべての光学素子250は視野を結像する必要がない。この単一素子の光学系によって、回折が制限された結像が可能である。
基板上でのビームの焦点は光学素子250の光軸に固定されており、ビームが光学素子のどこに入るかにはよらない(例えば図36を参照。これは図35のリソグラフィ装置の一部の概略三次元図である)。この構成の不利な点は、光学素子250から基板に向かうビームがテレセントリックではなく、その結果、焦点誤差がオーバレイ誤差につながりうることである。
この実施形態においては、XY面内で移動していない要素を使用した(例えば個別制御可能素子102における)焦点調整が、口径食を引き起こす可能性がある。従って、所望の焦点調整は、移動光学素子250においてなされるべきである。これにより、移動光学素子250よりも高周波数のアクチュエータが必要となりうる。
図37は、本発明のある実施の形態に係り、XY面で実質的に静止した個別制御可能素子と、それらに対し移動可能な光学素子と、を有するリソグラフィ装置の部分のレイアウトの概略側面図であり、ある個別制御可能素子に関し光学素子セット250の3箇所の異なる回転位置を示す。この実施形態においては、図31及び図32のリソグラフィ装置は、ある個別制御可能素子102からのコリメートビームを受ける光学素子250が2つのレンズ260、262を備えるよう拡張されている。図35と同様に、光学素子250はXY面内で個別制御可能素子102に対し移動する(例えば、光学素子250を少なくとも部分的に輪状に配列した軸まわりに回転する)。この実施形態においては、個別制御可能素子102からのビームは、光学素子250に到達する手前でレンズ264によりコリメートされる。しかし、ある実施の形態においては、こうしたレンズは設けられていなくてもよい。レンズ264はXY面内で実質的に静止している。基板はX方向に移動する。
2つのレンズ260、262は、個別制御可能素子102から基板へのコリメートビームの光路において基板へのビームをテレセントリックにするよう配設されている。個別制御可能素子102とレンズ262との間のレンズ260は、実質的に焦点距離が等しい2つのレンズ260A、260Bを備える。個別制御可能素子102からのコリメートビームは2つのレンズ260A、260B間で集束され、そうしてレンズ260Bはビームを結像レンズ262へとコリメートする。結像レンズ262はビームを基板上に結像する。
この実施形態においては、レンズ260は個別制御可能素子102に対しXY面内である速度で(例えば毎分ある回転数(rpm)で)移動する。よって、この実施形態においては、仮に結像レンズ262がレンズ260と同じ速さで移動したならば、レンズ260から出るコリメートビームはXY面内で移動結像レンズ262の2倍の速さを有するであろう。そこで、この実施形態においては、結像レンズ262は、個別制御可能素子102に対してレンズ260とは異なる速さで移動する。特に、結像レンズ262がXY面内でレンズ260の2倍の速さで(レンズ260の2倍のrpmで)移動することで、ビームが基板上でテレセントリックに集束されるようになる。レンズ260から出るコリメートビームの結像レンズ262へのこうした位置合わせが図37において3箇所の例示的な位置で概略的に示されている。また、基板上への実際の投影は図35の例に比べて2倍の速さで行われるので、個別制御可能素子102のパワーは2倍であるべきである。
この実施形態においては、XY面内で移動していない要素を使用した(例えば個別制御可能素子102における)焦点調整が、テレセントリック性を損なわせ、口径食を引き起こす可能性がある。従って、所望の焦点調整は、移動光学素子250においてなされるべきである。
また、この実施形態においては、すべての光学素子250は視野を結像する必要がない。この単一素子の光学系によって、回折が制限された結像が可能である。約65%のデューティサイクルが可能である。ある実施の形態においては、これらのレンズ264、260A、260B、及び262は、2つの非球面レンズと2つの球面レンズとを備えてもよい。
図38は、本発明のある実施の形態に係り、XY面で実質的に静止した個別制御可能素子と、それらに対し移動可能な光学素子と、を有するリソグラフィ装置の部分のレイアウトの概略側面図であり、ある個別制御可能素子に関し光学素子セット250の3箇所の異なる回転位置を示す。この実施の形態においては、図37に関し説明したように異なる速さでレンズが移動することを避けるために、いわゆる4fテレセントリックイン/テレセントリックアウト結像システムが、図38に示すように移動光学素子250に使用され得る。移動光学素子250は、XY面内で実質的に同じ速さで移動する(例えば、光学素子250を少なくとも部分的に輪状に配列した軸まわりに回転する)2つの結像レンズ266、268を備え、入力としてテレセントリックビームを受け、テレセントリック結像ビームを基板に出力する。この構成で倍率が1である場合、基板上の像は移動光学素子250の2倍の速さで移動する。基板はX方向に移動する。この構成においては、光学系は、比較的大きいNA、例えば0.3より大きいNA、0.18より大きいNA、又は0.15より大きいNAで、視野を結像する必要があるかもしれない。この構成では2つの単一素子の光学系は可能でないかもしれない。非常に正確な位置合わせ公差をもつ6個以上の素子が、回折制限された像を得るのに必要であるかもしれない。約65%のデューティサイクルが可能である。この実施形態においては、移動光学素子250に沿って又はそれと連携しては移動しない素子を用いて局所的に集束することも比較的容易である。
図39は、本発明のある実施の形態に係り、XY面で実質的に静止した個別制御可能素子と、それらに対し移動可能な光学素子と、を有するリソグラフィ装置の部分のレイアウトの概略側面図であり、ある個別制御可能素子に関し光学素子セット250の5箇所の異なる回転位置を示す。この実施の形態においては、図37に関し説明したように異なる速さでレンズが移動することを避け、かつ図38に関し説明したように視野を結像させない光学系を有するために、XY面内で実質的に静止したレンズの組み合わせが移動光学素子250に結合される。図39を参照するに、個別制御可能素子102が設けられており、これはXY面内で実質的に静止している。XY面内で実質的に静止している任意選択のコリメートレンズ264が、個別制御可能素子102からのビームをコリメートし、そのコリメートビーム(0.5mmの断面幅(例えば直径)を例えば有する)をレンズ270に与えるために設けられている。
レンズ270もXY面内で実質的に静止しており、コリメートビームを移動光学素子250の視野レンズ272(1.5mmの断面幅(例えば直径)を例えば有する)に集束する。レンズ272は比較的長い焦点距離を有する(例えば、f=20mm)。
可動光学素子250の視野レンズ272は、個別制御可能素子102に対し移動する(例えば、光学素子250を少なくとも部分的に輪状に配列した軸まわりに回転する)。視野レンズ272は、可動光学素子250の結像レンズ276へとビームを方向付ける。視野レンズ272と同様に、結像レンズ276は、個別制御可能素子102に対し移動する(例えば、光学素子250を少なくとも部分的に輪状に配列した軸まわりに回転する)。この実施形態においては、視野レンズ272は結像レンズ276と実質的に同じ速さで移動する。視野レンズ272と結像レンズ276との一組が互いに位置合わせされている。基板はX方向に移動する。
視野レンズ272と結像レンズ276との間にレンズ274がある。レンズ274はXY面内で実質的に静止しており、視野レンズ272から結像レンズ276へのビームをコリメートする。レンズ274は比較的長い焦点距離を有する(例えば、f=20mm)。
この実施形態においては、視野レンズ272の光軸が対応する結像レンズ274の光軸に一致すべきである。視野レンズ272は、レンズ274によりコリメートされるビームの主光線が結像レンズ276の光軸に一致するようビームが折り曲げられるように設計されている。このようにして基板に向かうビームがテレセントリックとなる。
レンズ270、274は、F値が大きいことにより、単純な球面レンズであってもよい。視野レンズ272は結像品質に影響すべきでなく、これも球面素子であってもよい。この実施形態においては、コリメートレンズ264及び結像レンズ276は、視野を結像する必要がないレンズである。こうした単一素子の光学系を用いて、回折が制限された結像が可能である。約65%のデューティサイクルが可能である。
図40は、本発明のある実施の形態に係り、XY面で実質的に静止した個別制御可能素子と、それらに対し移動可能な光学素子と、を有するリソグラフィ装置の部分のレイアウトの概略側面図である。この実施形態においては、XY面で実質的に静止した個別制御可能素子102を移動光学素子250に接続するために、光デローテータが使用される。
この実施形態においては、個別制御可能素子102は、任意選択のコリメートレンズとともに、リング状に配設されている。2つのパラボラミラー278、280が個別制御可能素子102からのコリメートビームのリングをデローテータ282に許容可能な直径に縮小する。図40においてはペシャンプリズムがデローテータ282として使用されている。デローテータが光学素子250の半分の速さで回転する場合、各個別制御可能素子102は対応する光学素子250に対し実質的に静止しているように見える。2つの更なるパラボラミラー284、286がデローテータ282からのデローテートされたビームのリングを移動光学素子250に許容可能な直径に拡大する。基板はX方向に移動する。
この実施形態においては、各個別制御可能素子102が1つの光学素子250と組になっている。したがって、すべての個別制御可能素子102を同心リングに搭載することは可能でないかもしれず、そのため基板の全幅をカバーすることはできないかもしれない。約33%のデューティサイクルが可能である。この実施形態においては、光学素子250は視野を結像する必要がないレンズである。
図41は、本発明のある実施の形態に係り、XY面で実質的に静止した個別制御可能素子と、それらに対し移動可能な光学素子と、を有するリソグラフィ装置の部分のレイアウトの概略側面図であり、ある個別制御可能素子に関し光学素子セット250の5箇所の異なる回転位置を示す。
図41を参照するに、ある個別制御可能素子102が設けられており、これはXY面内で実質的に静止している。可動光学素子250は複数のレンズセットを備える。各レンズセットは視野レンズ272と結像レンズ276とを備える。基板はX方向に移動する。
可動光学素子250の視野レンズ272(例えば球面レンズ)は、個別制御可能素子102に対して方向288に移動する(例えば、光学素子250を少なくとも部分的に輪状に配列した軸まわりに回転する)。視野レンズ272は、可動光学素子250の結像レンズ276(例えば、両面非球面レンズ等の非球面レンズ)へとビームを方向付ける。視野レンズ272と同様に、結像レンズ276は、個別制御可能素子102に対し移動する(例えば、光学素子250を少なくとも部分的に輪状に配列した軸まわりに回転する)。この実施形態においては、視野レンズ272は結像レンズ276と実質的に同じ速さで移動する。
視野レンズ272の焦点面は位置290にて結像レンズ276の後焦点面に一致し、テレセントリックイン/テレセントリックアウトのシステムが与えられる。図39の構成とは異なり、結像レンズ276はある視野を結像する。視野レンズ272の焦点距離は、結像レンズ276の視野サイズが2度乃至3度の半角より小さいようになっている。この場合でも、単一素子の光学系(例えば単一の両面非球面素子)で回折が制限された結像を得ることが可能である。視野レンズ272は、個々の視野レンズ272が互いに隙間なく搭載されるよう配設されている。この場合、個別制御可能素子102のデューティサイクルは約95%が可能である。
結像レンズ276の焦点距離は、基板にて0.2のNAを有するとき、これらのレンズが視野レンズ272の直径を超えないようになっている。結像レンズ276の焦点距離が視野レンズ272の直径に等しいとき、結像レンズ276の直径は結像レンズ276を搭載するのに十分な空間をもたらす。
視野角のために、視野レンズ272のピッチよりも若干長い線が書かれる。これにより、結像レンズ276の焦点距離にも依存するが、隣接する個別制御可能素子102の基板上で結像される線に重なりが与えられる。したがって、個別制御可能素子102は、例えば1つのリング上にて、光学素子250と同一のピッチで取り付けられていてもよい。
比較的小さい両面非球面結像レンズ276を避け、移動光学素子250の光学系の量を減らし、かつ、個別制御可能素子102として標準的なレーザダイオードを使用するために、この実施形態においては多数の個別制御可能素子102を可動光学素子250の単一のレンズセットで結像する可能性がある。ある個別制御可能素子102が各可動光学素子250の視野レンズ272にテレセントリックに結像される限り、対応する結像レンズ276はその個別制御可能素子102からのビームを基板にテレセントリックに再結像する。例えば8本の線が同時に書かれるとしたら、同じスループットで視野レンズ272の直径及び結像レンズ276の焦点距離は8倍に大きくなるとともに、可動光学素子250の量は8分の1に小さくなる。また、XY面で実質的に静止した光学系についても減らし得る。個別制御可能素子102を視野レンズ272に結像するのに必要とされる光学系の一部が共用されうるからである。1つの可動光学素子セット250によって8本の線が同時に書かれる構成例の概略を図42に示す。光学素子セット250の回転軸292、及び回転軸292から光学素子セット250への半径294も図示する。ピッチが1.5mmから12mmに増えることで(1つの可動光学素子セット250によって8本の線が同時に書かれる場合)、個別制御可能素子102として標準的なレーザダイオードを搭載するための十分な空間が与えられる。ある実施の形態においては、224個の個別制御可能素子102(例えば標準的なレーザダイオード)が使用されてもよい。ある実施の形態においては、120個の光学素子セット250が使用されてもよい。ある実施の形態においては、28個の実質的に静止した光学系が224個の個別制御可能素子102とともに使用されてもよい。
この実施形態においては、可動光学素子250に沿って又はそれと連携しては移動しない素子を用いて局所的に集束することも比較的容易である。視野レンズ272での個別制御可能素子102のテレセントリック像が光軸に沿って移動されテレセントリックを維持する限り、基板上での像のフォーカスのみが変わり、像はテレセントリックのままである。図43は、図41の構成において移動ルーフトップを用いて焦点制御をする概略構成を示す図である。2つの折り曲げミラー296がルーフトップ(例えばプリズム又はミラーのセット)298とともに、視野レンズ272の手前で個別制御可能素子102からのテレセントリックビームに配置されている。ルーフトップ298を方向300に沿って折り曲げミラー296に遠ざけ又は近づけることにより、像が光軸に沿って、従って基板に対してシフトする。軸方向の焦点変化はF値の比の二乗に相当するため光軸に沿って大きな倍率があるので、基板でのF/2.5ビームの25μmのデフォーカスが視野レンズ272でのf/37.5ビームに与える焦点シフトは5.625mm((37.5/2.5))である。つまり、その半分だけルーフトップ298を移動させなければならないということである。
下記の番号付けられた節によっても実施の形態が与えられる。
1.リソグラフィ装置であって、
基板を保持し移動させるよう構成されている基板保持部と、
複数のビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器であって、前記装置の光軸に実質的に垂直に延在する電気光学偏向器アレイを備える変調器と、
変調されたビームを受け、移動可能な前記基板に向けて投影するよう構成されている投影系と、を備えるリソグラフィ装置。
2.使用時に前記変調器と前記基板との間に配置され、前記変調されたビームが使用時に入射する供与構造体をさらに備え、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有する、節1に記載のリソグラフィ装置。
3.前記供与材料は、金属である、節2に記載のリソグラフィ装置。
4.前記変調されたビームは使用時に前記基板に入射して前記基板の材料にアブレーションを生じさせる、節1から3のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
5.複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、電気光学材料のプリズムを備え、前記プリズムは、前記プリズムの入射面への入射ビームに対し非垂直に配置されている、節1から4のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
6.前記電気光学偏向器は、前記ビームを第1方向にのみ偏向する電気光学偏向器の第1セットと、前記ビームを異なる第2方向にのみ偏向する電気光学偏向器の第2セットと、を備える、節1から5のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
7.複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、ビーム経路に沿って直列に配列されている複数のプリズムを備え、交互に配置されるプリズムそれぞれが反対の領域を有する、節1から6のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
8.複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、LiNbO、LiTaO、KHPO(KDP)、またはNHPO(ADP)から選択される少なくとも1つを備える、節1から7のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
9.複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、屈折率勾配材料を有する、節1から8のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
10.リソグラフィ装置であって、
基板を保持するよう構成されている基板保持部と、
ビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器であって、屈折率勾配材料を有する電気光学偏向器を備える変調器と、
変調されたビームを受け、基板に向けて投影するよう構成されている投影系と、を備えるリソグラフィ装置。
11.前記屈折率勾配材料は、タンタル酸ニオブ酸カリウムを備える、節9または10に記載のリソグラフィ装置。
12.前記電気光学偏向器と実質的に同一の屈折率を有し、前記電気光学偏向器の入射面、または出射面、または入射面及び出射面の両方に配置されているプリズムをさらに備える、節1から11のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
13.リソグラフィ装置であって、
基板を保持するよう構成されている基板保持部と、
放射ビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器と、
変調されたビームを受け、前記基板に向けて投影するよう構成されている投影系と、
フォトリソグラフィ、材料成膜、または材料除去のうち少なくとも2つを実行するために前記変調されたビームを使用する前記装置の動作を変更するよう構成されているコントローラと、を備えるリソグラフィ装置。
14.前記コントローラは、材料成膜と材料除去との間で動作を変更するよう構成されている、節13に記載のリソグラフィ装置。
15.前記コントローラは、フォトリソグラフィ、材料成膜、及び材料除去の間で動作を変更するよう構成されている、節14に記載のリソグラフィ装置。
16.前記コントローラは、材料成膜へと動作を変更するよう構成されており、前記リソグラフィ装置は、使用時に前記変調器と前記基板との間に配置される供与構造体を備え、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有する、節13から15のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
17.リソグラフィ装置であって、
基板を保持するよう構成されている基板保持部と、
放射ビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器と、
変調されたビームを受け、前記基板に向けて投影するよう構成されている投影系と、
前記変調器と前記基板との間の場所に供与構造体を移動可能に支持する供与構造体支持部と、を備え、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有し、前記変調されたビームが使用時に前記供与構造体に入射する、リソグラフィ装置。
18.前記供与構造体支持部は、前記投影系に対し移動可能である、節17に記載のリソグラフィ装置。
19.前記供与構造体支持部は、前記基板保持部に配置されている、節18に記載のリソグラフィ装置。
20.前記基板は移動可能であり、前記供与構造体支持部は前記供与構造体を前記基板とともに移動させるよう構成されている、節17から19のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
21.前記供与構造体支持部は、前記基板保持部の上方のフレームに配置されている、節17から20のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
22.前記供与構造体支持部は、該支持部と前記供与構造体との間にガスを供給する入口と、該支持部と前記供与構造体との間からガスを除去する出口と、を備えるガスベアリングを備える、節21に記載のリソグラフィ装置。
23.前記供与材料は、金属である、節16から22のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
24.前記変調器は、電気光学偏向器を備える、節13から23のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
25.前記変調器は、複数のビームを前記所望のパターンに従って変調するよう構成されており、前記変調器は、前記装置の光軸に実質的に垂直に延在する電気光学偏向器アレイを備え、前記投影系は、前記変調されたビームを受け、前記基板に向けて投影するよう構成されている、節10から24のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
26.前記ビームを使用する露光中に前記基板が移動している間に前記変調器がX方向及びY方向における前記ビームの偏向を生じさせる効率的露光モードに従って前記ビームを移動させるよう構成されているコントローラを備える、節1から25のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
27.前記投影系は、前記複数のビームを受けるレンズアレイを備える、節1から26のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
28.各レンズが、前記変調器から前記基板への前記複数のビームの少なくとも1つのビームの経路に沿って配設されている少なくとも2つのレンズを備える、節27に記載のリソグラフィ装置。
29.前記少なくとも2つのレンズの第1レンズは視野レンズを備え、前記少なくとも2つのレンズの第2レンズは結像レンズを備える、節28に記載のリソグラフィ装置。
30.前記視野レンズの焦点面は前記結像レンズの後焦点面に一致する、節29に記載のリソグラフィ装置。
31.単一の前記視野レンズと前記結像レンズとの結合により複数のビームが結像される、節28または29に記載のリソグラフィ装置。
32.前記第1レンズに向かう前記複数のビームの少なくとも1つを集束するレンズをさらに備える、節29から31のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
33.前記レンズアレイは、前記変調器に対し移動可能である、節1から32のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
34.前記変調器は、放射源を備える、節1から33のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
35.前記変調器は、電磁放射を発する複数の個別に制御可能な放射源を備える、節34に記載のリソグラフィ装置。
36.リソグラフィ装置であって、
基板を保持し移動させるよう構成されている基板保持部と、
複数のビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器であって、前記ビームを第1方向に偏向する電気光学偏向器を備える変調器と、
前記電気光学偏向器から前記ビームを受け、前記ビームを第2方向に偏向し、変調されたビームを移動可能な前記基板に向けて投影する可動光学素子と、を備えるリソグラフィ装置。
37.前記第2方向は、前記第1方向に実質的に垂直である、請求項36に記載のリソグラフィ装置。
38.前記可動光学素子は、前記変調されたビームを目標に投影するよう構成されており、前記装置は、前記目標を移動させるよう構成されている、節36または37に記載のリソグラフィ装置。
39.前記目標を実質的に前記第1方向に移動させるよう構成されている、節36から38のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
40.前記目標は、基板または供与構造体にあり、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有する、節39に記載のリソグラフィ装置。
41.前記電気光学偏向器は、一次元偏向器から成る、節36から40のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
42.前記電気光学偏向器は、前記ビームを前記第1方向及び前記第2方向に偏向するよう構成されている、節36から40のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
43.使用時に前記変調器と前記基板との間に配置され、前記変調されたビームが使用時に入射する供与構造体をさらに備え、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有する、節36から42のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
44.前記供与材料は、金属である、節43に記載のリソグラフィ装置。
45.前記変調されたビームは使用時に前記基板に入射して前記基板の材料にアブレーションを生じさせる、節36から42のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
46.屈折率勾配材料を有する電気光学偏向器と、前記偏向器の入射面、または出射面、または入射面及び出射面の両方にて前記偏向器と実質的に同一の屈折率を有するプリズムと、を備えるビーム偏向システム。
47.前記屈折率勾配材料は、タンタル酸ニオブ酸カリウムを備える、節46に記載のビーム偏向システム。
48.基板を保持するよう構成されている基板保持部と、
ビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器であって、前記電気光学偏向器を備える変調器と、
変調されたビームを受け、基板に向けて投影するよう構成されている投影系と、をさらに備える、節46または47に記載のビーム偏向システム。
49.ビーム経路に沿って直列に配列されている複数の個別に制御可能で分離された電気光学偏向器を備えるビーム偏向システム。
50.前記複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、屈折率勾配材料を有する、節49に記載のビーム偏向システム。
51.前記複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、前記偏向器の入射面、または出射面、または入射面及び出射面の両方にて前記偏向器と実質的に同一の屈折率を有するプリズムを有する、節49または50に記載のビーム偏向システム。
52.前記複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、ビーム経路に沿って直列に配列されている複数のプリズムを備え、交互に配置されるプリズムそれぞれが反対の領域を有する、節49から51のいずれかに記載のビーム偏向システム。
53.前記複数の電気光学偏向器のうち前記ビームを第1方向にのみ偏向する第1の電気光学偏向器と、前記複数の電気光学偏向器のうち前記ビームを異なる第2方向にのみ偏向する第2の電気光学偏向器と、を備える、節49から52のいずれかに記載のビーム偏向システム。
54.デバイス製造方法であって、
所望のパターンに従って変調された複数のビームを、該ビームのビーム経路を横切るよう延在する電気光学偏向器アレイを使用して、提供することと、
前記複数のビームを基板に向けて投影することと、
前記ビームを投影している間に前記基板を移動させることと、を備える方法。
55.デバイス製造方法であって、
放射ビームを所望のパターンに従って変調することと、
前記ビームを基板に向けて投影することと、
フォトリソグラフィ、材料成膜、または材料除去のうち少なくとも2つを実行するために、変調されたビームの使い方を変更することと、を備える方法。
56.デバイス製造方法であって、
放射ビームを所望のパターンに従って変調することと、
前記ビームを基板に向けて投影することと、
前記ビームが入射する供与構造体を移動可能に支持することと、を備え、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有する、方法。
57.デバイス製造方法であって、
屈折率勾配材料を有する電気光学偏向器を使用して放射ビームを所望のパターンに従って変調することと、
前記ビームを基板に向けて投影することと、を備える方法。
58.デバイス製造方法であって、
複数の放射ビームを所望のパターンに従って、該ビームを第1方向に偏向する電気光学偏向器を使用して変調することと、
前記電気光学偏向器により偏向されたビームを、可動光学素子を使用して第2方向に偏向することと、
変調されたビームを前記光学素子から基板に向けて投影することと、を備える方法。
59.フラットパネルディスプレイの製造における本発明の1つ又は複数の実施形態の使用。
60.集積回路パッケージングにおける本発明の1つ又は複数の実施形態の使用。
61.本発明のいずれかの実施形態に従って又はそれを使用して製造されたフラットパネルディスプレイ。
62.本発明のいずれかの実施形態に従って又はそれを使用して製造された集積回路デバイス。
本書ではある特定のデバイス又は構造(例えば集積回路又はフラットパネルディスプレイ)の製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、本明細書に説明したリソグラフィ装置及びリソグラフィ方法は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積回路、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCD、OLEDディスプレイ、薄膜磁気ヘッド、微小電気機械デバイス(MEMS)、微小光学電気機械システム(MOEMS)、DNAチップ、パッケージング(例えば、フリップチップ、再配線など)、または、フレキシブルディスプレイ又は電子機器(紙のように巻き取りや曲げが可能であり、変形のない、コンフォーマブルな、凸凹の、薄く、及び/または軽量であるディスプレイ又は電子機器、例えばフレキシブルプラスチックディスプレイ)などの製造に用いることが可能であり、これらに限られない。また、例えばフラットパネルディスプレイの場合には、本発明に係る装置及び方法は、例えば薄膜トランジスタ層及び/またはカラーフィルター層などのさまざまな層の生成に役立つよう用いることができる。当業者であればこれらの他の適用に際して、本明細書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「目標部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。本書に言及された基板は露光前または露光後において、例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにより処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は既に処理されている多数の処理層を含む基板をも意味し得る。
フラットパネルディスプレイ基板は形状が長方形であってもよい。この種の基板を露光するよう設計されているリソグラフィ装置は、長方形基板の幅全体またはその一部(例えば全幅の半分)をカバーする露光区域を有するように設計される。この露光区域の最下部で基板が走査されるとともに、パターニングデバイスがパターン付けられたビームを同期して提供する。このようにして、パターンのすべて又は一部が基板に転写される。露光区域が基板の幅全体をカバーする場合には1回の走査で露光が完了する。露光区域が例えば基板の幅の半分をカバーする場合には、1回目の露光後に横方向に基板を移動させ、通常は基板の残りを露光するための走査がさらに行われる。
本明細書において用語「パターニングデバイス」は、例えば基板(の部分)にパターンを生成する等、放射ビーム断面を変調するのに用い得るいかなるデバイスをも示すよう広く解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンは、パターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャを例えば含む場合には基板の目標部分に所望されるパターンと厳密に一致していなくてもよい。また、基板に最終的に形成されるパターンは、個別制御可能素子アレイ上に形成されるパターンにどの時点においても一致しないようになっていてもよい。このような事態は、基板の各部に形成される最終的なパターンが所定時間または所定回数の露光の重ね合わせにより形成され、かつこの所定の露光中に個別制御可能素子アレイ上に与えられるパターン及び/または基板の相対位置が変化する場合に起こりうる。通常、基板の目標部分に生成されるパターンは、その目標部分に生成されるデバイス例えば集積回路又はフラットパネルディスプレイの特定の機能層に対応する(例えば、フラットパネルディスプレイのカラーフィルタ層、又はフラットパネルディスプレイの薄膜トランジスタ層)。パターニングデバイスの例としては、レチクル、プログラマブルミラーアレイ、レーザダイオードアレイ、発光ダイオードアレイ、グレーティングライトバルブ、及びLCDアレイなどがある。パターニングデバイスにおけるパターンは電子的手段(例えばコンピュータ)を利用してプログラム可能である。例えば、パターニングデバイスは、放射ビームの一部分の強度を各々が変調可能である複数のプログラム可能素子を備えてもよい(例えば前の文で言及したレチクル以外のデバイスはすべて該当する)。例えば、パターニングデバイスは、放射ビームのある一部分の位相をその放射ビームの隣接する部分に対し変調することにより放射ビームにパターンを付与する複数のプログラム可能素子を有する電子的にプログラム可能なパターニングデバイスを含む。以下ではこれらを集合的に「コントラストデバイス」と称する。ある実施の形態においては、パターニングデバイスは、少なくとも10個のプログラム可能素子、例えば、少なくとも100個、少なくとも1,000個、少なくとも10,000個、少なくとも100,000個、少なくとも1,000,000個、または少なくとも10,000,000個、のプログラム可能素子を備える。これらのデバイスのいくつかの実施形態が以下に詳述される。
−プログラマブルミラーアレイ。プログラマブルミラーアレイは、粘弾性制御層と反射表面とを有するマトリックス状のアドレス指定可能な表面を備えてもよい。この装置の基本的な原理は例えば、反射表面のうちアドレス指定されている領域が入射放射を回折放射として反射する一方、アドレス指定されていない領域が入射放射を非回折放射として反射するというものである。適当な空間フィルタを用いることにより、反射ビームから非回折放射を取り除いて回折放射だけを基板に到達させるようにすることができる。このようにして、マトリックス状アドレス指定可能表面のアドレス指定パターンに従ってビームにパターンが付与される。代替例として、回折放射をフィルタにより取り除いて非回折放射を基板に到達させるようにしてもよい。回折光学MEMSデバイスのアレイを同様に用いることもできる。回折光学MEMSデバイスは、入射放射を回折放射として反射する格子を形成するよう1つが他の1つに対して変形する複数の反射性リボン状部位を備えてもよい。プログラマブルミラーアレイの他の実施形態においては、マトリックス状の微小ミラーの配列が用いられる。各微小ミラーは局所的に電界を適宜付与されることによりまたは圧電駆動手段を使用することにより各々が個別に軸周りに傾斜されうる。傾斜の程度が各ミラーの状態を定義する。各ミラーは、当該素子が欠陥でないとき、コントローラからの適切な制御信号によって、制御可能である。非欠陥素子の各々は、投影される放射パターンにおいて対応するピクセルの強度を調整するように、一連の状態のうち任意の1つをとるよう制御可能である。繰り返しになるが、ミラーはマトリックス状にアドレス指定可能であり、アドレス指定されたミラーは入射する放射ビームをアドレス指定されていないミラーとは異なる方向に反射する。このようにしてマトリックス状アドレス指定可能ミラーのアドレス指定パターンに従って反射ビームにパターンが付与されうる。必要とされるマトリックス状アドレス指定は、適宜の電子的手段を使用して実行することができる。本書に言及するミラーアレイについての更なる情報は例えば、米国特許第5,296,891号、米国特許第5,523,193号、国際公開第98/38597号、国際公開第98/33096号から入手可能であり、これらの全体が本明細書に援用される。
−プログラマブルLCDアレイ。こうした構成の例は、米国特許第5,229,872号に与えられており、その全体が本明細書に援用される。
リソグラフィ装置は、1つ又は複数のパターニングデバイス、例えば1つ又は複数のコントラストデバイスを備えてもよい。例えば、リソグラフィ装置は、複数の個別制御可能素子アレイを有し、それぞれのアレイが互いに独立に制御されるものであってもよい。この構成においては、個別制御可能素子アレイのうちのいくつかのアレイまたはすべてのアレイが、少なくとも1つの照明系(または照明系の一部)、当該アレイのための支持構造、及び/または投影系(または投影系の一部)を共有していてもよい。
フィーチャのプリバイアス処理、光近接効果補正フィーチャ、位相変化技術、及び/または、多重露光技術を利用する場合、例えば、個別制御可能素子アレイに「表示される」パターンは、基板の層又は基板上の層に最終的に転写されるパターンと実質的に異なり得る。同様に、基板上に最終的に生成されるパターンは、どの時点においても個別制御可能素子アレイに形成されるパターンに対応しないことがある。このような事態は、基板の各部に形成される最終的なパターンが所定時間または所定回数の露光の重ね合わせにより形成され、かつこの所定の露光中に個別制御可能素子アレイ上のパターン及び/または基板の相対位置が変化する場合に起こりうる。
投影系及び/または照明系は、屈折光学部品、反射光学部品、磁気的光学部品、電磁気的光学部品、静電的光学部品、あるいは他の種類の光学部品などの各種の光学部品、またはこれらの組合せを含み得るものであり、放射ビームの向きや形状、あるいはその他の制御をするためのものである。
リソグラフィ装置は2つ(例えばデュアルステージ)又はそれより多くの基板テーブル(及び/または2つ以上のパターニングデバイステーブル)を備えてもよい。このような多重ステージ型の装置においては、追加されたテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルが露光のために使用されている間に1以上の他のテーブルで準備工程が実行されるようにしてもよい。
リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が「液浸液」で投影系と基板との間の空隙を満たすよう覆われるものであってもよい。この液体は比較的高い屈折率を有する例えば水などの液体である。液浸液は、例えばパターニングデバイスと投影系との間などのリソグラフィ装置の他の空間に適用されるものであってもよい。液浸技術は投影系の開口数を増大させるために使用される。本明細書における用語「液浸」は、基板等の構造体が液体に完全に浸されているということを意味するのではなく、露光中に投影系と基板との間に液体が配置されるということを意味するに過ぎない。
また、本装置には、(例えば、基板に化学物質を付着させるか、又は基板の表面構造を選択的に修正するために、)流体と基板の照射部分との相互作用を可能にする流体処理セルが設けられてもよい。
ある実施の形態においては、基板は、任意選択として周縁部にノッチ及び/または平坦部をもつ実質的に円形の形状を有する、ある実施の形態においては、基板は、例えば長方形などの多角形形状を有する。基板の形状が実質的に円形である実施形態は、基板の直径が、少なくとも25mm、例えば少なくとも50mm、少なくとも75mm、少なくとも100mm、少なくとも125mm、少なくとも150mm、少なくとも175mm、少なくとも200mm、少なくとも250mm、または少なくとも300mmである実施形態を含む。ある実施の形態においては、基板の直径は長くても500mm、長くても400mm、長くても350mm、長くても300mm、長くても250mm、長くても200mm、長くても150mm、長くても100mm、または長くても75mmである。基板が例えば長方形などの多角形である実施形態は、基板の少なくとも1辺の、例えば少なくとも2辺の、又は少なくとも3辺の長さが、少なくとも5cm、例えば少なくとも25cm、少なくとも50cm、少なくとも100cm、少なくとも150cm、少なくとも200cm、または少なくとも250cmである実施形態を含む。ある実施の形態においては、基板の少なくとも1辺の長さは、長くても1000cm、例えば長くても750cm、長くても500cm、長くても350cm、長くても250cm、長くても150cm、または長くても75cmである。ある実施の形態においては、基板は、約250〜350cmの長さと約250〜300cmの幅をもつ長方形基板である。基板の厚さは変わりうるものであり、ある程度は例えば基板材料及び/または基板寸法に依存しうる。ある実施の形態においては、厚さは、少なくとも50μm、例えば少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、または少なくとも600μmである。ある実施の形態においては、基板の厚さは、厚くても5000μm、例えば厚くても3500μm、厚くても2500μm、厚くても1750μm、厚くても1250μm、厚くても1000μm、厚くても800μm、厚くても600μm、厚くても500μm、厚くても400μm、または厚くても300μmである。本書で言及される基板は、露光前または露光後において例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)において処理されてもよい。基板の性質が露光前または露光後において、例えばメトロロジツール及び/またはインスペクションツールにおいて測定されてもよい。
ある実施の形態においては、レジスト層が基板に設けられる。ある実施の形態においては、基板はウェーハであり、例えば半導体ウェーハである。ある実施の形態においては、ウェーハの材料は、Si、SiGe、SiGeC、SiC、Ge、GaAs、InP、InAsから成るグループから選択される。ある実施の形態においては、ウェーハは、III−V族化合物半導体ウェーハである。ある実施の形態においては、ウェーハは、シリコンウェーハである。ある実施の形態においては、基板は、セラミック基板である。ある実施の形態においては、基板は、ガラス基板である。ガラス基板は例えば、フラットパネルディスプレイ及び液晶ディスプレイパネルの製造に有用であり得る。ある実施の形態においては、基板は、プラスチック基板である。ある実施の形態においては、基板は(人の裸眼で見たときに)透明である。ある実施の形態においては、基板は有色である。ある実施の形態においては、基板は無色である。
ある実施の形態においては、基板114の上方にパターニングデバイス104があるものとして説明し及び/又は図示しているが、代替的に又は追加的に、基板114の下にパターニングデバイス104が配置されてもよい。また、ある実施の形態においては、パターニングデバイス104と基板114とが横に並べられてもよく、例えば、パターニングデバイス104及び基板114が垂直に延在し、パターンが水平に投影される。ある実施の形態においては、パターニングデバイス104は、基板114の少なくとも2つの対向する側面が露光されるように設けられている。例えば、少なくとも2つのパターニングデバイス104が、少なくとも基板114の対応する対向側面の各々に、これらの側面を露光するためにあってもよい。ある実施の形態においては、基板114の1つの側面を投影する単一のパターニングデバイス104と、単一のパターニングデバイス104からのパターンを基板114の別の側面に投影する適当な光学系(例えば、ビーム誘導ミラー)とがあってもよい。
本書の説明において、用語「レンズ」は、言及されたレンズと同一の機能を提供する任意の屈折光学素子、反射光学素子、及び/または回折光学素子を包含するものと一般的に理解されるべきである。例えば、結像レンズは、光学倍率を有する従来の屈折レンズの形式、光学倍率を有するシュヴァルツシルト反射系の形式、及び/または、光学倍率を有するゾーンプレートの形式で具体化されてもよい。また、結像レンズは、結果的に得られる効果が収束ビームをもたらす場合には、非結像光学系を備えてもよい。
本発明に係る更なる実施の形態は後記の番号付けされた節に与えられる。
1.リソグラフィ装置であって、
基板を保持し移動させるよう構成されている基板保持部と、
複数のビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器であって、前記装置の光軸に実質的に垂直に延在する電気光学偏向器アレイを備える変調器と、
変調されたビームを受け、移動可能な前記基板に向けて投影するよう構成されている投影系と、を備えるリソグラフィ装置。
2.使用時に前記変調器と前記基板との間に配置され、前記変調されたビームが使用時に入射する供与構造体をさらに備え、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有する、節1に記載のリソグラフィ装置。
3.前記供与材料は、金属である、節2に記載のリソグラフィ装置。
4.前記変調されたビームは使用時に前記基板に入射して前記基板の材料にアブレーションを生じさせる、節1から3のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
5.複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、電気光学材料のプリズムを備え、前記プリズムは、前記プリズムの入射面への入射ビームに対し非垂直に配置されている、節1から4のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
6.前記電気光学偏向器は、前記ビームを第1方向にのみ偏向する電気光学偏向器の第1セットと、前記ビームを異なる第2方向にのみ偏向する電気光学偏向器の第2セットと、を備える、節1から5のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
7.複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、ビーム経路に沿って直列に配列されている複数のプリズムを備え、交互に配置されるプリズムそれぞれが反対の領域を有する、節1から6のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
8.複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、LiNbO、LiTaO、KHPO(KDP)、またはNHPO(ADP)から選択される少なくとも1つを備える、節1から7のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
9.複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、屈折率勾配材料を有する、節1から8のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
10.リソグラフィ装置であって、
基板を保持するよう構成されている基板保持部と、
ビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器であって、屈折率勾配材料を有する電気光学偏向器を備える変調器と、
変調されたビームを受け、基板に向けて投影するよう構成されている投影系と、を備えるリソグラフィ装置。
11.前記屈折率勾配材料は、タンタル酸ニオブ酸カリウムを備える、節9または10に記載のリソグラフィ装置。
12.前記電気光学偏向器と実質的に同一の屈折率を有し、前記電気光学偏向器の入射面、または出射面、または入射面及び出射面の両方に配置されているプリズムをさらに備える、節1から11のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
13.リソグラフィ装置であって、
基板を保持するよう構成されている基板保持部と、
放射ビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器と、
変調されたビームを受け、前記基板に向けて投影するよう構成されている投影系と、
フォトリソグラフィ、材料成膜、または材料除去のうち少なくとも2つを実行するために前記変調されたビームを使用する前記装置の動作を変更するよう構成されているコントローラと、を備えるリソグラフィ装置。
14.前記コントローラは、材料成膜と材料除去との間で動作を変更するよう構成されている、節13に記載のリソグラフィ装置。
15.前記コントローラは、フォトリソグラフィ、材料成膜、及び材料除去の間で動作を変更するよう構成されている、節14に記載のリソグラフィ装置。
16.前記コントローラは、材料成膜へと動作を変更するよう構成されており、前記リソグラフィ装置は、使用時に前記変調器と前記基板との間に配置される供与構造体を備え、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有する、節13から15のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
17.リソグラフィ装置であって、
基板を保持するよう構成されている基板保持部と、
放射ビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器と、
変調されたビームを受け、前記基板に向けて投影するよう構成されている投影系と、
前記変調器と前記基板との間の場所に供与構造体を移動可能に支持する供与構造体支持部と、を備え、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有し、前記変調されたビームが使用時に前記供与構造体に入射する、リソグラフィ装置。
18.前記供与構造体支持部は、前記投影系に対し移動可能である、節17に記載のリソグラフィ装置。
19.前記供与構造体支持部は、前記基板保持部に配置されている、節18に記載のリソグラフィ装置。
20.前記基板は移動可能であり、前記供与構造体支持部は前記供与構造体を前記基板とともに移動させるよう構成されている、節17から19のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
21.前記供与構造体支持部は、前記基板保持部の上方のフレームに配置されている、節17から20のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
22.前記供与構造体支持部は、該支持部と前記供与構造体との間にガスを供給する入口と、該支持部と前記供与構造体との間からガスを除去する出口と、を備えるガスベアリングを備える、節21に記載のリソグラフィ装置。
23.前記供与材料は、金属である、節16から22のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
24.前記変調器は、電気光学偏向器を備える、節13から23のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
25.前記変調器は、複数のビームを前記所望のパターンに従って変調するよう構成されており、前記変調器は、前記装置の光軸に実質的に垂直に延在する電気光学偏向器アレイを備え、前記投影系は、前記変調されたビームを受け、前記基板に向けて投影するよう構成されている、節10から24のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
26.前記ビームを使用する露光中に前記基板が移動している間に前記変調器がX方向及びY方向における前記ビームの偏向を生じさせる効率的露光モードに従って前記ビームを移動させるよう構成されているコントローラを備える、節1から25のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
27.前記投影系は、前記複数のビームを受けるレンズアレイを備える、節1から26のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
28.各レンズが、前記変調器から前記基板への前記複数のビームの少なくとも1つのビームの経路に沿って配設されている少なくとも2つのレンズを備える、節27に記載のリソグラフィ装置。
29.前記少なくとも2つのレンズの第1レンズは視野レンズを備え、前記少なくとも2つのレンズの第2レンズは結像レンズを備える、節28に記載のリソグラフィ装置。
30.前記視野レンズの焦点面は前記結像レンズの後焦点面に一致する、節29に記載のリソグラフィ装置。
31.単一の前記視野レンズと前記結像レンズとの結合により複数のビームが結像される、節28または29に記載のリソグラフィ装置。
32.前記第1レンズに向かう前記複数のビームの少なくとも1つを集束するレンズをさらに備える、節29から31のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
33.前記レンズアレイは、前記変調器に対し移動可能である、節1から32のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
34.前記変調器は、放射源を備える、節1から33のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
35.前記変調器は、電磁放射を発する複数の個別に制御可能な放射源を備える、節34に記載のリソグラフィ装置。
36.リソグラフィ装置であって、
基板を保持し移動させるよう構成されている基板保持部と、
複数のビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器であって、前記ビームを第1方向に偏向する電気光学偏向器を備える変調器と、
前記電気光学偏向器から前記ビームを受け、前記ビームを第2方向に偏向し、変調されたビームを移動可能な前記基板に向けて投影する可動光学素子と、を備えるリソグラフィ装置。
37.前記第2方向は、前記第1方向に実質的に垂直である、請求項36に記載のリソグラフィ装置。
38.前記可動光学素子は、前記変調されたビームを目標に投影するよう構成されており、前記装置は、前記目標を移動させるよう構成されている、節36または37に記載のリソグラフィ装置。
39.前記目標を実質的に前記第1方向に移動させるよう構成されている、節36から38のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
40.前記目標は、基板または供与構造体にあり、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有する、節39に記載のリソグラフィ装置。
41.前記電気光学偏向器は、一次元偏向器から成る、節36から40のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
42.前記電気光学偏向器は、前記ビームを前記第1方向及び前記第2方向に偏向するよう構成されている、節36から40のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
43.使用時に前記変調器と前記基板との間に配置され、前記変調されたビームが使用時に入射する供与構造体をさらに備え、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有する、節36から42のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
44.前記供与材料は、金属である、節43に記載のリソグラフィ装置。
45.前記変調されたビームは使用時に前記基板に入射して前記基板の材料にアブレーションを生じさせる、節36から42のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
46.屈折率勾配材料を有する電気光学偏向器と、前記偏向器の入射面、または出射面、または入射面及び出射面の両方にて前記偏向器と実質的に同一の屈折率を有するプリズムと、を備えるビーム偏向システム。
47.前記屈折率勾配材料は、タンタル酸ニオブ酸カリウムを備える、節46に記載のビーム偏向システム。
48.基板を保持するよう構成されている基板保持部と、
ビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器であって、前記電気光学偏向器を備える変調器と、
変調されたビームを受け、基板に向けて投影するよう構成されている投影系と、をさらに備える、節46または47に記載のビーム偏向システム。
49.ビーム経路に沿って直列に配列されている複数の個別に制御可能で分離された電気光学偏向器を備えるビーム偏向システム。
50.前記複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、屈折率勾配材料を有する、節49に記載のビーム偏向システム。
51.前記複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、前記偏向器の入射面、または出射面、または入射面及び出射面の両方にて前記偏向器と実質的に同一の屈折率を有するプリズムを有する、節49または50に記載のビーム偏向システム。
52.前記複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、ビーム経路に沿って直列に配列されている複数のプリズムを備え、交互に配置されるプリズムそれぞれが反対の領域を有する、節49から51のいずれかに記載のビーム偏向システム。
53.前記複数の電気光学偏向器のうち前記ビームを第1方向にのみ偏向する第1の電気光学偏向器と、前記複数の電気光学偏向器のうち前記ビームを異なる第2方向にのみ偏向する第2の電気光学偏向器と、を備える、節49から52のいずれかに記載のビーム偏向システム。
54.デバイス製造方法であって、
所望のパターンに従って変調された複数のビームを、該ビームのビーム経路を横切るよう延在する電気光学偏向器アレイを使用して、提供することと、
前記複数のビームを基板に向けて投影することと、
前記ビームを投影している間に前記基板を移動させることと、を備える方法。
55.デバイス製造方法であって、
放射ビームを所望のパターンに従って変調することと、
前記ビームを基板に向けて投影することと、
フォトリソグラフィ、材料成膜、または材料除去のうち少なくとも2つを実行するために、変調されたビームの使い方を変更することと、を備える方法。
56.デバイス製造方法であって、
放射ビームを所望のパターンに従って変調することと、
前記ビームを基板に向けて投影することと、
前記ビームが入射する供与構造体を移動可能に支持することと、を備え、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有する、方法。
57.デバイス製造方法であって、
屈折率勾配材料を有する電気光学偏向器を使用して放射ビームを所望のパターンに従って変調することと、
前記ビームを基板に向けて投影することと、を備える方法。
58.デバイス製造方法であって、
複数の放射ビームを所望のパターンに従って、該ビームを第1方向に偏向する電気光学偏向器を使用して変調することと、
前記電気光学偏向器により偏向されたビームを、可動光学素子を使用して第2方向に偏向することと、
変調されたビームを前記光学素子から基板に向けて投影することと、を備える方法。
59.フラットパネルディスプレイの製造における1つ又は複数の本発明の使用。
60.集積回路パッケージングにおける1つ又は複数の本発明の使用。
61.上記節における本発明のいずれかに従って又はそれを使用して製造されたフラットパネルディスプレイ。
62.上記節における本発明のいずれかに従って又はそれを使用して製造された集積回路デバイス。
本発明の特定の実施形態が上述されたが、説明したもの以外の態様で本発明が実施されてもよい。例えば、本発明は、上述の方法を記述する機械で読み取り可能な命令の1つまたは複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、または、そうしたコンピュータプログラムを記録したデータ記録媒体(例えば半導体メモリ、磁気ディスク、または光ディスク)の形式をとってもよい。
さらに、ある種の実施形態及び実施例の文脈において本発明を開示したが、本発明は上記の開示された特定の実施形態を超えて別の代替的な実施形態及び/又は本発明の使用法並びにその自明な改良物及び均等物にも拡張されることは当業者には明らかであろう。加えて、本発明のいくつかの変形例を図示し詳述してきたが、本発明の範囲内にあるその他の改良も、当業者には本開示に基づき明らかである。例えば、各実施形態の具体的な特徴及び態様の様々な組合せ又はサブコンビネーションも可能であり、本発明の範囲内にある。したがって、開示された発明の多様な形態を形成するために、開示された実施形態の様々な特徴及び態様を互いに組み合わせ、又は交換することができる。例えば、ある実施の形態においては、可動式の個別制御可能素子の実施形態を個別制御可能素子の非可動式アレイと組み合わせて、例えば、バックアップシステムを提供するか又は有してもよい。ある実施の形態においては、参照によりその全体が本書に援用される国際公開第10/032224号パンフレット、米国特許出願公開第2011/0188016号明細書、米国特許出願第61/473636号明細書、及び米国特許出願第61/524190号明細書に開示される1つ又は複数の特徴または態様が、本書に開示される1つ又は複数の特徴または態様と組み合わされ又は代用されてもよい。本発明のある実施形態は、例えば上述のものを含む任意の形式のプログラマブルパターニングデバイスとともに使用されてもよい。
したがって、本発明の様々な実施の形態について上述したが、それらは例示に過ぎず、限定的なものではないことを理解されたい。本発明の精神と範囲から逸脱することなく形式及び詳細を種々に変更することができるということは、関連技術の当業者には明らかなことである。したがって、本発明の範囲と精神は上記で述べたいかなる例示的な実施の形態にも限定されるものではなく、請求項とその均等物によってのみ定義されるものである。

Claims (29)

  1. リソグラフィ装置であって、
    基板を保持し移動させるよう構成されている基板保持部と、
    複数のビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器であって、前記装置の光軸に実質的に垂直に延在する電気光学偏向器アレイを備える変調器と、
    変調されたビームを受け、移動可能な前記基板に向けて投影するよう構成されている投影系と、を備えるリソグラフィ装置。
  2. 使用時に前記変調器と前記基板との間に配置され、前記変調されたビームが使用時に入射する供与構造体をさらに備え、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有する、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  3. 前記供与材料は、金属である、請求項2に記載のリソグラフィ装置。
  4. 前記変調されたビームは使用時に前記基板に入射して前記基板の材料にアブレーションを生じさせる、請求項1から3のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
  5. 複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、電気光学材料のプリズムを備え、前記プリズムは、前記プリズムの入射面への入射ビームに対し非垂直に配置されている、請求項1から4のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
  6. 前記電気光学偏向器は、前記ビームを第1方向にのみ偏向する電気光学偏向器の第1セットと、前記ビームを異なる第2方向にのみ偏向する電気光学偏向器の第2セットと、を備える、請求項1から5のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
  7. 複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、ビーム経路に沿って直列に配列されている複数のプリズムを備え、交互に配置されるプリズムそれぞれが反対の領域を有する、請求項1から6のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
  8. 複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、LiNbO、LiTaO、KHPO(KDP)、またはNHPO(ADP)から選択される少なくとも1つを備える、請求項1から7のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
  9. 複数の電気光学偏向器のうちある電気光学偏向器は、屈折率勾配材料を有する、請求項1から8のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
  10. リソグラフィ装置であって、
    基板を保持するよう構成されている基板保持部と、
    ビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器であって、屈折率勾配材料を有する電気光学偏向器を備える変調器と、
    変調されたビームを受け、基板に向けて投影するよう構成されている投影系と、を備えるリソグラフィ装置。
  11. リソグラフィ装置であって、
    基板を保持するよう構成されている基板保持部と、
    放射ビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器と、
    変調されたビームを受け、前記基板に向けて投影するよう構成されている投影系と、
    フォトリソグラフィ、材料成膜、または材料除去のうち少なくとも2つを実行するために前記変調されたビームを使用する前記装置の動作を変更するよう構成されているコントローラと、を備えるリソグラフィ装置。
  12. リソグラフィ装置であって、
    基板を保持するよう構成されている基板保持部と、
    放射ビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器と、
    変調されたビームを受け、前記基板に向けて投影するよう構成されている投影系と、
    前記変調器と前記基板との間の場所に供与構造体を移動可能に支持する供与構造体支持部と、を備え、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有し、前記変調されたビームが使用時に前記供与構造体に入射する、リソグラフィ装置。
  13. リソグラフィ装置であって、
    基板を保持し移動させるよう構成されている基板保持部と、
    複数のビームを所望のパターンに従って変調するよう構成されている変調器であって、前記ビームを第1方向に偏向する電気光学偏向器を備える変調器と、
    前記電気光学偏向器から前記ビームを受け、前記ビームを第2方向に偏向し、変調されたビームを移動可能な前記基板に向けて投影する可動光学素子と、を備えるリソグラフィ装置。
  14. 前記第2方向は、前記第1方向に実質的に垂直である、請求項13に記載のリソグラフィ装置。
  15. 前記可動光学素子は、前記変調されたビームを目標に投影するよう構成されており、前記装置は、前記目標を移動させるよう構成されている、請求項13または14に記載のリソグラフィ装置。
  16. 前記目標を実質的に前記第1方向に移動させるよう構成されている、請求項13から15のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
  17. 前記目標は、基板または供与構造体にあり、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有する、請求項16に記載のリソグラフィ装置。
  18. 前記電気光学偏向器は、一次元偏向器から成る、請求項13から17のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
  19. 前記電気光学偏向器は、前記ビームを前記第1方向及び前記第2方向に偏向するよう構成されている、請求項13から17のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
  20. 使用時に前記変調器と前記基板との間に配置され、前記変調されたビームが使用時に入射する供与構造体をさらに備え、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有する、請求項13から19のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
  21. 前記供与材料は、金属である、請求項20に記載のリソグラフィ装置。
  22. 前記変調されたビームは使用時に前記基板に入射して前記基板の材料にアブレーションを生じさせる、請求項13から19のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
  23. 屈折率勾配材料を有する電気光学偏向器と、前記偏向器の入射面、または出射面、または入射面及び出射面の両方にて前記偏向器と実質的に同一の屈折率を有するプリズムと、を備えるビーム偏向システム。
  24. ビーム経路に沿って直列に配列されている複数の個別に制御可能で分離された電気光学偏向器を備えるビーム偏向システム。
  25. デバイス製造方法であって、
    所望のパターンに従って変調された複数のビームを、該ビームのビーム経路を横切るよう延在する電気光学偏向器アレイを使用して、提供することと、
    前記複数のビームを基板に向けて投影することと、
    前記ビームを投影している間に前記基板を移動させることと、を備える方法。
  26. デバイス製造方法であって、
    放射ビームを所望のパターンに従って変調することと、
    前記ビームを基板に向けて投影することと、
    フォトリソグラフィ、材料成膜、または材料除去のうち少なくとも2つを実行するために、変調されたビームの使い方を変更することと、を備える方法。
  27. デバイス製造方法であって、
    放射ビームを所望のパターンに従って変調することと、
    前記ビームを基板に向けて投影することと、
    前記ビームが入射する供与構造体を移動可能に支持することと、を備え、前記供与構造体は、前記供与構造体から前記基板へと転写可能である供与材料層を有する、方法。
  28. デバイス製造方法であって、
    屈折率勾配材料を有する電気光学偏向器を使用して放射ビームを所望のパターンに従って変調することと、
    前記ビームを基板に向けて投影することと、を備える方法。
  29. デバイス製造方法であって、
    複数の放射ビームを所望のパターンに従って、該ビームを第1方向に偏向する電気光学偏向器を使用して変調することと、
    前記電気光学偏向器により偏向されたビームを、可動光学素子を使用して第2方向に偏向することと、
    変調されたビームを前記光学素子から基板に向けて投影することと、を備える方法。
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