JP2014508705A - モノクロロシラン、その製造方法および装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、触媒の存在下にモノシランとジクロロシランとの反応からモノクロロシランを製造するための方法に関する。本発明による方法によれば、モノクロロシランは、モノシランとジクロロシランとの均化により形成される。さらに、本発明は、製造されたモノクロロシランの使用にも、前記方法の実施のための設備にも関する。

Description

本発明は、触媒の存在下にモノシランとジクロロシランとの反応からモノクロロシランを製造する方法に関する。本発明による方法によれば、モノクロロシランは、モノシランとジクロロシランとの均化により形成される。さらに、本発明は、製造されたモノクロロシランの使用にも、前記方法を実施するための設備にも関する。
無機のSi化合物、例えばテトラクロロシラン、トリクロロシラン、ジクロロシランおよびまたモノシランは、高純度のシリコン層の析出のために、例えば半導体産業で、および最近では太陽光産業でも使用される。したがって、前述の化合物の場合、工業的な製造プロセスも公知である。例外はモノクロロシランであり、モノクロロシランの場合、工業的な量および必要な高純度のモノクロロシランを提供するための方法がこれまで公知ではない。したがって、H3SiClはこれまで、シリコンの析出のためにも、例えばシリコンロッド(Silizium−Stangen)(バルクシリコン)またはシリコン層としても使用されていない。
さらに、塩素化されたHシラン、例えばトリクロロシランは、有機基を含んでいるSi化合物、例えば半導体産業に重要な物質のトリメチルシラン[HSi(CH33]を製造するための有益な出発化合物である。モノクロロシランから出発する有機官能性ケイ素化合物を製造するための比較可能のプロセスは、モノクロロシランの獲得しづらさゆえに知られていない。
GB761205は、トリクロロシランを触媒により不均化してジクロロシランを製造する方法を開示している。モノクロロシランは、トリクロロシランからの不均化の副生成物としてきわめて少ない量で生じるにすぎない。
WO2006/029930A1は、モノクロロシランを、トリクロロシランから出発する不均化の連続により形成しうる、介在する中間生成物としてしか記載していない。
DE3711444A1は、気体のジクロロシランを、10℃から、生じた反応混合物の沸点までの間で反応器から取り出して得ることによって、トリクロロシランの不均化によるジクロロシランの製造方法を開示しており、トリクロロシランの含分は、凝縮されて反応器に返送され、液体の反応相は部分的に反応器から取り出され、テトラクロロシランおよび前記反応器に返送されたトリクロロシランが分離される。
前述の通り、モノクロロシランはこれまで、TCSを不均化させる方法では経済的に入手できなかった。
したがって、純粋なモノクロロシランを工業的規模で得られるようにすることが課題であった。特に、モノクロロシランが大規模工業的に、純粋に、および使用される出発材料に対して主要な量で形成される製造方法を提供することが課題であった。1つの特別な課題は、モノクロロシランを工業的に高純度の形態で得られるようにして、モノクロロシランを適切に製造するための大規模工業的なプロセスを発展させることにあった。モノクロロシランを製造するためのプロセスは、さらに経済的であることが求められる。さらなる課題は、前記プロセスを経済的に実施するための設備を提供することにあった。得られたモノクロロシランの特別な利点は、後々に析出してシリコンにする場合の設備もしくは設備部分の塩化物負荷が明らかに比較的低いことである。それに加えて、析出でのエネルギー消費が比較的低いこと、およびより高度に塩素化されたシランと比べてSi割合に対する運搬重量(Tranportgewicht)が明らかに比較的少ないことが利点である。
これらの課題は、独立請求項により解決され、好ましい実施態様は、下位請求項ならびに本記載に詳細に示されている。
モノクロロシランが、触媒による均化プロセスにおいて反応方程式1
Figure 2014508705
により、モノシラン(SiH4)とジクロロシラン(H2SiCl2)とから連続的に得ることができることがここで全く驚くべきことに判明した。
モノクロロシランは、処理過程それぞれにつき、モノシランおよびジクロロシランの両方の出発材料の使用される量(モル)(100モル%)に対して明らかに5モル%超、出発材料の使用される量(モル)に対して好ましくは5〜10モル%で形成されるのが好ましい。本発明によれば、モノシランおよびジクロロシランは、定義されたモル比、特に15:1〜6:1の比で、特に13:1〜8:1の比で前記方法に供給される。特に好ましくは、モノシラン92モル%およびジクロロシラン8モル%を前記方法に使用し、変動幅は100%に対して±5%、好ましくは±2%である。モノシランの収率は、形成されたモノクロロシラン(MCS)が反応後に分離され、残留したモノシランおよびジクロロシランが、定義された組成で新たに前記処理過程に供給される、または後続の処理過程に供給される場合、使用される出発材料に対して12モル%超、特に15モル%に上昇することがある。前記粗生成物から分離されたモノシランおよびジクロロシランを定義された比で循環させることによって、モノクロロシランの最大収率(モル%)を得ることができる。本発明によれば、モノシランおよび/またはジクロロシランは、定義された比で前記方法に供給され(この定義された比は、以下では常にモル:モルを意味する)、特に13:1〜8:1の比である。モノシランおよびジクロロシランを均化してモノクロロシランにする本発明による利点は、副生成物が分離されないことにある。したがって、モノシラン(沸点:−111.9℃)、モノクロロシラン(沸点:−30.4℃)、およびジクロロシラン(沸点:8.3℃)の分離は、低温で、およびきわめて少ないエネルギー消費で行うことができる。
本発明による方法の特に好ましい別の方法によれば、特に、モノシランとジクロロシランとを、定義されたモル比で触媒の存在下に反応させる場合、特に、モノシランおよびシクロロシランが出発材料として定義された比で供給される場合、モノシランとジクロロシランとの反応では、実質的にトリクロロシランおよび/またはテトラクロロシランの形成を抑えることができる。モノシランとジクロロシランとを、主として均化が行われる、定義された比、例えば15:1〜6:1(MS:DCS)の範囲で反応させる場合、さらに好ましい。本発明による方法では、粗生成物全体においてトリクロロシラン(TCS)は30%(GC)未満で、および/またはテトラクロロシラン(TCS)は4.0%未満で、好ましくは、TCSは5%〜0.01%未満で、特に好ましくは4%未満、3%未満、2%未満、更に好ましくは1.5%未満で形成される。
モノクロロシランの製造方法は、モノシランとジクロロシランとの反応のための触媒を含んでいる反応領域を含む設備で実施されるのが好ましい。少なくとも1つの反応領域が、反応器、例えば反応塔または管型反応器に設けられているのが好ましい。前記反応器の反応領域で、モノシランとジクロロシランとの反応から形成された粗生成物は、少なくとも1つの後接続された熱分離法工程に運ばれて、モノクロロシランは、場合により、より高度に塩素化されたシランとの混合物として得られる。モノクロロシランは、後接続された熱分離法工程で前記粗生成物から分離されるのが好ましく、モノシランおよびジクロロシランは、前記反応、特に均化に再び供給されるのが好ましい。前記粗生成物は、複数の熱分離法工程に供されて、モノクロロシランが純粋に単離されるのが好ましい。前記熱分離法工程は、塔、特に好ましくは精留塔で実施されるのが好ましい。
本発明の対象は、モノシランとジクロロシランとを特に出発材料として触媒の存在下に反応させて、モノクロロシランを形成させることによってモノクロロシランを製造する方法である。本発明による方法では、モノシランおよびジクロロシランは、定義されたモル比で前記反応に供給される。この措置により、また同時にモノシランおよびジクロロシランのモル比は、前記反応の間制御される。本発明による方法では、モノシランおよびジクロロシランは、触媒による条件下にモノクロロシランを形成するため、出発材料として前記方法に供給される。特に好ましくは、本発明による方法では、モノシランとジクロロシランとを触媒の存在下に均化し、特にモノシランとジクロロシランとを均化してモノクロロシランにする。前記方法は、回分式に、または好ましくは連続的に実施してよい。本発明によれば、モノクロロシランは、連続的な方法でモノシランとジクロロシランとから形成される。
工業的に純粋なモノシランとは、純度97%超のモノシランと解釈される。
工業的な規模とは、本発明では、好ましくはモノシランとジクロロシランとからのモノクロロシランを1時間あたり少なくとも10g、好ましくは1時間あたり少なくとも100g、特に好ましくは1時間あたり少なくとも1kg連続的に製造することと解釈される。回分式の製造では、1つの回分につき好ましくは5kg、特に好ましくは25kgのモノクロロシランが製造可能であることが求められる。本発明による方法によれば、モノシランおよびジクロロシランは、反応領域または反応器に供給されてよく、特に別個に、混合されて、または向流で供給される。1つの反応領域を含んでいる反応器は、管型反応器または反応塔であってよく、この反応塔は、場合により複数の反応域、例えばシーブトレイ(Verteilerboeden)、バルブキャップトレイ(Glockenboeden)などを含んでいてよい。
本発明の別な方法によれば、均化、特に不均質触媒作用による均化は、モノシランおよびジクロロシランによって、反応器、特に管型反応器で、好ましくは、直列または並列に接続されている複数の、好ましくは2〜10つの管型反応器で実施される。それとは別に、前記方法で前記粗生成物から分離されたモノシランおよびジクロロシランは、循環して前記反応器、特に前記管型反応器に繰り返し返送され、形成されたモノクロロシランは、前記粗生成物から分離される。ここで、前記反応器、特に前記管型反応器のそれぞれの反応領域に、モノシランおよびジクロロシランが定義された比で供給される場合が特に好ましい。モノシランのジクロロシランに対する比は、モノクロロシランへの反応の場合、好ましくは15:1〜1:1、好ましくは約13:1〜5:1、さらに好ましくは約13:1〜8:1であり、場合により変動幅12:1〜6:1を有する約11.5:1〜9:1の比がさらに好ましい。この好ましい範囲において、モノシランおよびジクロロシランは均化してモノクロロシランになる。前記好ましい範囲13:1〜8:1の外では、不均化がいっそう強く行われる。均化は好ましい処理操作である、それというのは、副生成物、例えばTCSおよび/またはSTCが形成されず、分離する必要がないからである。本発明によれば、モノシランおよび/またはジクロロシランは定義された比、特に13:1〜8:1の比で前記方法に供給され、この比では、実質的にトリクロロシランおよび/またはテトラクロロシランは形成しない、つまり、均化の条件下にある。TCSは、前記条件下に、好ましくは1モル%未満で反応後に第三の管型反応器で形成する。トリクロロシランの形成は、均化から不均化への切り替わりの指標として使用することができる。
反応条件は、約40℃および約30bar(絶対圧力)に調整するのが好ましく、温度は−50〜200℃で、0.0001〜200barの自由に選択することができる圧力範囲内であることが当業者に明らかである。圧力は、常に絶対圧(bar(絶対圧力))である。好ましい別な方法によれば、前記方法は少ないエネルギー消費で、わずかに高められた温度、および25〜60℃で0.1〜100barの圧力範囲内で実施され、好ましくは30〜50℃および20〜40barで、特に好ましくは約40℃および約30barで実施される。
本発明の別な方法によれば、均化、特に不均質触媒作用による均化は、モノシランおよびジクロロシランによって、1つもしくは複数の反応領域を有する反応塔として記載される反応器で実施される。
本発明による方法によれば、少なくとも1つの後接続された熱分離法工程での反応の、前記粗生成物の少なくとも一部分、好ましくは前記粗生成物全体が、モノクロロシラン、ならびにモノシラン、ジクロロシランおよび場合によりトリクロロシランならびに場合によりテトラクロロシランといった個々のシランに分離される。粗生成物とは、反応生成物、つまり、場合により触媒の存在下に、および場合によりトリクロロシランおよび/またはテトラクロロシランの存在下に、供給された出発材料のモノシランおよびジクロロシランの反応から形成された混合物と解釈される。特に好ましくは、本発明による方法は、モノシランのジクロロシランに対する定義された比によって実施され、この比では、実質的に副生成物、例えばトリクロロシランおよび/またはテトラクロロシランは生じない、それというのは、この反応が実質的に均化として進行するからである。後接続された少なくとも1つの熱分離法工程は、好ましくは蒸留、特に好ましくは精留であり、その中でモノクロロシランならびにモノシランおよびジクロロシランならびにトリクロロシランへの分離が行われる。好適には、当業者に公知の蒸発器、例えば薄膜蒸発器を用いる蒸発でもよい。モノクロロシラン、トリクロロシランまたはテトラクロロシランといった生成物を所望の純度に調整するため、複数の蒸留工程、特に精留工程を付け加えることがさらに好ましいことがある。モノシランおよびジクロロシランは、本発明による方法によれば再び出発材料として前記方法に供給され、したがって、場合により別の生成物(モノクロロシラン、きわめて少量のTCS)の割合を有する混合物としても返送されてよい、または次の処理過程の後続の反応領域、つまり、第二および/または第三の反応器に供給されてよい。
本発明の特別に好ましい別な方法によれば、モノクロロシランは、精留塔の側方流で取り出される。さらなる好ましい別な方法によれば、モノクロロシランは、塔頂生成物としてモノシランおよびジクロロシランと一緒に取り出されて、後続の塔を介して個々の化合物に分離される。前述の通り、反応後に存在する未反応の、および/または形成されたモノシランおよび/またはジクロロシランは、それぞれ独立して、または混合されて反応領域または反応器に再び供給される、および/または前記方法の後続の反応領域に供給される。特に前記粗生成物から熱分離法工程を用いて分離されたモノシランおよび/またはジクロロシランは、再び出発材料として前記方法に供給される。さらに、モノシランおよび/またはジクロロシランは、モノシランおよび/またはジクロロシランが前記方法で使用される程度でのみ、出発材料として前記方法、特に反応領域または反応器に供給されるのが好ましい。
モノシランとジクロロシランとからのモノクロロシランの製造方法は、均質相または不均質相の触媒の存在下に実施される。好ましくは、均化は不均質の触媒条件下に行われる。触媒として、好ましくは以下に挙げる触媒が使用され、好ましくは含窒素化合物が均化触媒として使用され、好ましくは、担持された、または固体の不溶性の含窒素化合物が使用される。
したがって、本発明の対象は、含窒素化合物の、特に固相としての、出発材料としてモノシランおよびジクロロシランを含む均化のための方法、特に請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法における使用である。本発明の対象は、出発材料としてモノシランおよびジクロロシランを、特にモノクロロシランを製造するために、好適にはまたトリクロロシラン、モノシランおよび/またはテトラクロロシランを製造するために使用することによって、少なくとも1つのハロゲンシランを製造するための方法において均化のための触媒として含窒素化合物を使用することでもある。
好ましい触媒は、担持されているもの、特に担体材料に化学的に結合されているものである。好ましくは担体材料に化学的に結合されて存在しているアミノアルコキシシランを含んでいる触媒が特に好ましく、特に、場合により成形品、例えば球状または棒状;または粒子状の形態の触媒材料は、担体材料に化学的に結合されているアミノアルコキシシラン、および場合によりその加水分解生成物および/または縮合生成物を含んでいる。本発明によれば、前記触媒は、一般式1
Figure 2014508705
[式中、xは独立して1、2、3または4であり;yは独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、zは独立して1、2または3である]のアミノアルコキシシラン、または少なくとも1つのその加水分解生成物および/もしくはその縮合生成物、またはそれに由来する、担体材料に化学的に結合しているモノマーもしくはオリゴマーのアミノシランである。
ここで、一般式1の基−(Cy2y+1)は、独立してn−アルキル、イソアルキルであってもよく、および/またはtert−アルキル基であってもよい。一般式1の特に好ましい化合物、ならびにそれに由来する、特に担体材料に化学的に結合されたアミノシランは、以下の群より選択される:x=1、z=3およびy=1;x=2、z=3、y=1;x=1、z=3、y=2;x=2、z=3、y=2;x=1、z=3およびy=8;x=2、z=3、y=8;x=1、z=3、y=4;x=2、z=3、y=4。
好ましい触媒は、ジイソブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ジ−n−ブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ジ−tert−ブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ジイソブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジ−n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジ−tert−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシランをベースとするものである。
さらなる好ましい別の方法によれば、前記担体材料は、酸化ケイ素を含む成形品を含んでいる。酸化ケイ素を含んでいる成形品とは、特に顆粒、ペレット、球状のSiO2成形品、ラシヒリング、または押出成形品もしくはあらゆる形態の連続鋳造体とも解釈される。特に好ましくは、前記担体材料は、SiO2成形品からなっていて、さらに好ましくは球状からなっている。さらに好ましい担体材料は、無機材料、例えばAl23、有機材料、例えばポリマー、または複合材料、例えば高含有の合成樹脂または熱可塑性物質である。
モノクロロシランを製造するための、また本発明による使用のためのさらなる好ましく装入可能もしくは使用可能な触媒は、アミン、アンモニア塩、アミノシラン、アミノシロキサン、ならびに担持されたアミノシラン、アミノシロキサンであってよい。NHn3-n[式中、nは0、1または2であり、Rは、1〜18個の炭素原子を有する直鎖脂肪族炭化水素もしくは分岐鎖脂肪族炭化水素、または脂環式炭化水素または芳香族炭化水素に相応し、R基は、同一または互いに異なっていてよい]。決定的ではない例は:トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−i−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−i−ブチルアミン、トリ−t−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン、トリ−i−オクチルアミンである。第四級アンモニウム塩[NHm1 4-m+-[式中、m=0、1、2または3であり、R1は、1〜18個の炭素原子を有する直鎖脂肪族炭化水素もしくは分岐鎖脂肪族炭化水素、または脂環式炭化水素または芳香族炭化水素に相応し、R1基は、同一または互いに異なっていてよく、アニオンZは、例えばハロゲン化合物に相応し、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物;または硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩に相応する]。さらに、N−メチル−2−ピロリドン、メチルイミダゾール、テトラメチル尿素、テトラメチルグアニジン、トリメチルシリルイミダゾール、ベンゾチアゾール、N,N−ジメチルアセトアミドを触媒として使用してよい。さらに、前述の触媒の混合物も使用してよい。さらに、触媒としてイオン交換体を使用してよく、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の直接的なアミノメチル化により製造される(DE10057521A1)、第三級アミン基を有する、ジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレン樹脂をベースとする触媒の形態、第三級アミン基または第四級アンモニウム基を有し、ジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレンからの骨格にアミノ基またはアルキレンアミノ基、例えばジメチルアミノ基(DE10061680A1、DE10017168A1)を担持する固体をベースとする触媒、第三級アミン基または第四級アンモニウム基を有する、アニオン交換樹脂をベースとする触媒の形態、例えばRohm and Haas社製のAmberlyst A21またはAmberlyst A26、アミン官能化無機担体(DE3711444A1)、またはDE3925357による有機ポリシロキサン触媒、例えばN[(CH23SiO3/23を使用してよい。さらに、好ましくはDE3711444によれば、特にDE102007059170.7によれば、シラン、シロキサンおよび担持されたシラン、シロキサンも使用してよい。前述の特許文献を完全に引用し、前記触媒に関する内容を本願の内容にする。
モノクロロシランを製造するためのモノシランとジクロロシランとを反応させるための方法は、−50℃〜200℃の温度範囲、および特に0.0001bar(絶対圧力)〜200bar(絶対圧力)の圧力範囲内で実施される。さらなる別の方法によれば、前記方法での反応は、好ましくは例えば50〜200℃および特に1〜150barで、好ましくは75〜180℃および特に1〜40barで、特に好ましくは100〜175℃および特に5〜30barで実施されてよい。この別な方法のために殊に好ましくは、20bar(±5bar)の圧力で140〜160℃(±20℃)の温度範囲であることが明らかになった。
それとは別に、モノシランおよびジクロロシランは、20:1〜1:20、好ましくは1:10〜15:1、特に15:1〜6:1のモル比で、好ましくは12:1〜5:2、特に好ましくは約1:1のモル比で、それぞれ独立して±0.5、好ましくは±0.25で出発材料として前記方法に供給されてよい。さらに、未反応および/または前記方法で形成されたジクロロシランおよびモノシランが、それぞれ独立して回分式に、または好ましくは連続的に前記方法に出発材料として供給されるのが特に好ましい。反応条件、例えば温度および圧力に応じて、モノシランのジクロロシランに対する比13:1〜1:13も、あらゆるその間にある比ならびに約1:1で好ましいことは当業者に明らかである。ここで、モノクロロシランとジクロロシランとの反応は、約13:1〜8:1の範囲内、特に約12:1〜8:1、特に好ましくは約12:1〜9:1の範囲で、モノシランからジクロロシランに作用される場合、前記方法では殊に実質的に均化を用いて行われる。モノシランの混合により、ジクロロシランの不均化が抑制される、つまり、ジクロロシランに対する比におけるモノシランの含有量が少なすぎる場合、不均化の割合が増す一方で、この割合は、好ましくは13:1〜8:1の範囲では強く抑制され、均化が圧倒的に優勢である。したがって、前記両方の競合する反応もしくは反応経路の均化および不均化は、モノシランのジクロロシランに対する比の正確な調整によって制御することができる。
本発明の対象は、モノシランとジクロロシランとを触媒の存在下に主として不均化することによる方法でもある、それというのは、前記好ましい範囲外では、前記方法における反応が主として不均化により行われる、つまり、モノシランのジクロロシランに対するモル比20:1〜1:20で行われるからであり、ここで均化が優勢である範囲約13:1〜8:1、好ましくは12:1〜9:1の範囲は除外されている。
前記特徴の1つに加えて、またはそれとは別に、前記反応、特に均化が、反応器、例えば反応塔、撹拌槽、管型反応器またはループ型反応器の反応領域で、好ましくは複数の反応領域を有する反応塔で実施される場合が好ましい。さらに、前記粗生成物の少なくとも一部を、少なくとも1つの後接続された熱分離法工程においてモノクロロシランならびにモノシラン、ジクロロシラン、および場合によりトリクロロシランおよび/またはテトラクロロシランといった個々のシランに分離することができる。ここで、モノクロロシランが、反応塔、特に精留塔の側方流で取り出される場合がさらに特に好ましい。
したがって、本発明の対象は、少なくとも99.5%〜99.9%(GC%)の含有量(GC)を有する純粋なモノクロロシランでもある。金属不純物に対する純度は、高純度のモノクロロシランとして、99.99〜99.9999%、つまり4n〜6nであり、好ましくは99.999〜99.9999999%、つまり5n〜9nである。純粋なモノクロロシランの含有量は、GCを用いて測定し、純度は当業者に公知の方法、例えばICPMSによって求めることができる。前記モノクロロシランから製造されたシリコン層またはシリコン棒の比抵抗は、20オーム・cm超、好ましくは200オーム・cm超、殊に好ましくは2000オーム・cm超である。析出は、エピタキシャルに行われてよく、測定は抵抗測定(SRP)によって行われてよい。
これほど高い含有量のモノクロロシランを有するモノクロロシランは、これまで製造することはできなかった、それというのは、モノクロロシランを開示された少なくとも1つの熱分離法工程に供するために、および前述の含有量で、好ましくは前述の純度で単離するために、充分な量のモノクロロシランを提供する方法がこれまで公知でなかったからである。
本発明の対象は、モノクロロシラン、特に純粋なモノクロロシラン、特に好ましくは高純度のモノクロロシランの、シリコンの析出のための、高純度のシリコンを製造するための、および/または高純度のシリコン層を製造するためのエピタキシーガスとしての、特にチップ製造での、または有機官能性シランを製造するための使用でもある。本発明による使用の利点は、析出されるシリコン1モルにつき塩化物1モルの遊離に対して、塩化物を含んでいるガスを有する設備部分の負荷が明らかにより少ないことであり、同時に明らかにより低い析出温度を実現することができる。したがって、前記方法はより効率がよくなり、前記設備の寿命は高められる。
本発明の対象は、また、モノシランとジクロロシランとからモノクロロシランを製造するための、特に、好ましくは請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法により連続的に製造するための設備であって、反応器の反応領域に少なくとも1つの出発材料供給部を含み、この反応領域が触媒、好ましくは塩基触媒を含んでいて、前記反応器、場合により塔、好ましくは反応塔が;管型反応器、ループ型反応器または撹拌槽を含んでいて;さらに前記反応器は、複数の反応域を含むことができる少なくとも1つの反応領域を有していて;ならびに前記反応器には、少なくとも1つの塔、好ましくは2つの塔が、モノシランとジクロロシランとの反応から得られた粗生成物を熱分離するために組み込まれている前記設備である。特に好ましい設備は、反応器として、少なくとも1つの反応領域を有する反応塔、および前記反応塔の下端部および上端部でそれぞれ粗生成物が取り出される。前記反応塔の上端部(塔頂生成物)には、塔、好ましくは第一精留塔が組み込まれており、その中間供給流に前記粗生成物が供給される(図2)。別な方法によれば、第一精留塔には、その塔底に前記反応器または前接続された貯蔵タンクへの接続導管(図1)、特にジクロロシランを前記反応領域に返送するための接続導管が組み込まれていてよい。第一精留塔の塔頂では、モノシランが得られる(図1および2)。モノクロロシランは、中沸分として塔の側方流を介して取り出されて、分離される(図1)。
さらなる特に好ましい設備は、少なくとも1つの反応領域を有する1つの管型反応器を含んでいて、この管型反応器には、少なくとも1つの塔、好ましくは2つの塔が、モノシランとジクロロシランとの反応から得られる粗生成物を熱分離するために組み込まれている。特に好ましい実施態様によれば、前記設備は、管型反応器および少なくとも1つの塔、好ましくは2つの塔を含んでいるユニットの連続接続を含んでおり、これらのユニットは1〜10つを前後に接続してもよく、または並行に配置してもよい。さらに好ましくは、このようなユニットは、出発材料の管型反応器への流入時に、モノシランのジクロロシランに対する定義された比、好ましくはDCS8〜10モル%を調整できるように、前記ユニットのすべての管型反応器への出発材料返送および/出発材料供給のための接続導管を含んでいる。前記生成物のモノクロロシランは、それぞれのユニットから熱分離され、集められる。
さらなる別な方法によれば、第一精留塔の塔底生成物(粗生成物 モノクロロシラン)を第二精留塔の中間供給流に供給するため、第一精留塔はその下端部に第二精留塔を組み込んでよい。第一精留塔の上端部には、モノシランを反応領域に、または前接続された貯蔵タンクに返送するための接続導管が配置されている。第二精留塔の塔頂生成物として、純粋なモノクロロシランが取り出される(図2)。第二精留塔の下端部では、ジクロロシランを返送するための接続導管が配置されている。
したがって、前記設備は、好ましくは少なくとも1つの塔、特に少なくとも1つの精留塔を有していて、この精留塔によって前記方法において、存在するジクロロシランおよび/またはモノシランが粗生成物から分離され、好ましくは前記反応塔の上端部にも下端部にもそれぞれ少なくとも1つの精留塔が組み込まれており、上端部に組み込まれた精留塔は、その上端部に、反応器または反応器に前接続された予備タンクに出発材料供給するための接続導管を有しており、この接続導管内で前記反応のジクロロシランおよび/またはモノシランが供給される。場合により、精留塔2aに後接続された第二精留塔2bは、その下端部に前記反応器または貯蔵タンク6a、6bに出発材料返送するための接続導管4bを有している。それとは別に、反応塔1.2の下端部には、出発材料返送のための接続導管4bをその上端部に有している精留塔3aが組み込まれていてよく、任意には、純粋なクロロシランを入れるための空容器(Leergebinde)が取り外し可能に相応の精留塔に組み込まれている。
好ましい別な方法によれば、前記反応塔から、ジクロロシランが場合により反応混合物として出発材料供給部の下側で取り出されて、出発材料供給部の上側で、好ましくはポンプを用いて新たに供給される(図3)。
モノクロロシランを製造するための設備は、好ましくはモノシランとジクロロシランとの反応のための触媒を含んでいる反応器内に、1つの反応領域を含んでいる。前記反応器または反応領域で形成された粗生成物は、少なくとも1つの後接続された熱分離法工程に運ばれて、モノクロロシランは場合により、より高度に塩素化されたシランを有する混合物として得られる。好ましくは、前記粗生成物は、複数の熱分離法工程に供されて、モノクロロシランが純粋に単離される。本発明による設備は、少なくとも1つの、この設備と取り外し可能に接続できる、モノクロロシランを入れるための空容器、ならびに場合により純粋なテトラクロロシラン、トリクロロシランを入れるための相応の空容器も含んでいる。この空容器は、精留塔に組み込まれているのが好ましい。この空容器は、高純度で不活性の材料からなり、したがって高純度モノクロロシランまたは別の高純度シランのための貯蔵タンクおよび運搬タンクとして適している。
相応して、さらなる未反応の出発材料または形成された副生成物も単離される。残存する、前記粗生成物から単離されたモノシランおよびジクロロシランは、好ましくは、モノシラン対ジクロロシランの好ましいモル比15:1〜6:1、特に13:1〜8:1、好ましくは12:1〜8:1、特に好ましくは約12:1〜9:1(それぞれ±0.5)を新たな出発材料(モノシランおよびジクロロシラン)と一緒に調整するために必要な程度で前記反応領域に再び供給される。
触媒を含んでいる少なくとも1つの反応領域は、前記反応器、例えば反応塔の1つの領域であってよく、例えば塔の一部分、例えば好ましくはバルブキャップトレイ、シーブトレイであってよい。平衡移動のため、および収率上昇のために、多数の反応領域、つまり複数のシーブトレイが設けられていてよいことは当業者に明らかである。
反応器とは、好ましくは、1つの完結した構造ユニット、例えば、好ましくは反応塔、管型反応器、回分反応器、ループ型反応器、または反応領域を含んでいる塔の側方反応器と解釈される。好適には、撹拌槽であってもよい。
少なくとも1つの熱分離法工程は、塔、特に蒸留塔、特に好ましくは、金属充填物、特に好ましくは高性能金属充填物を有する精留塔で実施されるのが好ましい。これらの塔は、多数の理論段を使用してよい。前記粗生成物を前記含まれているシランに完全に分離するためには、第一塔で得られる塔頂生成物をさらに分離するためにも、第一塔の塔底で得られた塔底生成物をさらに分離するためにも、1つもしくは複数の塔、特に精留塔を使用してよいことは当業者に公知である。
本発明を以下において図に示した実施例を元に、より詳しく説明する。
モノクロロシランを均化により製造するための、管型反応器を有する設備 モノクロロシランを製造するための、反応塔および2つの後接続された精留塔(2a、2b)を有する設備 モノクロロシランを反応蒸留によって製造するための設備からの抜粋 モノクロロシランを製造するための、反応塔および2〜3つの後続された精留塔(2a、(2b)、3a)を有する設備
一般的な実施態様:
図1による設備Aは、反応領域1.4および触媒1.3を有する管型反応器1.1を含んでおり、この反応器から粗生成物が塔2に運ばれて熱分離され、好ましくは2つの塔が前後に接続され、複数の塔を有する前記反応器は、ユニットと呼ばれることもある。モノクロロシラン2.2は、熱分離されて集められ、モノシラン2.1およびジクロロシラン2.3は、熱分離されて定義された比で管型反応器1.1に返送される、または後続の管型反応器1.1(2〜n)に出発材料流として供給される。好ましくは、MSは管型反応器に計量供給され、その後DCSは定義された比で添加される。このような設備は、循環で運転することができ、前記反応器への出発材料流は、定義された組成に常に調整される、または設備は、少なくとも2つのユニット、特に3〜10つのユニットを含んでいてよい。図1の管型反応器は、図2の二段式塔システム(Doppelkolonnensystem)とも組み合わせることができ、このようなユニットとして循環で運転することができる。それとは別に、これらのユニットの2〜n個も連続して接続することができる。好ましくは、モノクロロシランは、精留塔2の側方流2.2(図1参照)で循環プロセスから取り除かれる。
特に好ましい方法の別形(図3)によれば、モノシランおよびジクロロシランは、塔1.2、特に反応塔1.2の反応領域1.4に計量供給され、ここで、反応領域1.4は、好ましくは主として前記塔の中間領域にある(図2、3)。この供給は、混合されて、別個に、または向流で行われてよい、つまりモノシランは前記塔の中間領域の下側領域で、ジクロロシランは前記塔の中間領域の上側領域で供給される。さらに、塔1.2からジクロロシランまたはジクロロシランを含んでいる混合物を塔底部の上側、および反応領域1.4の上側で取り出すことができ、前記反応領域の上側、または反応領域への前記塔に再び供給することができる(図3)。塔1.2の反応領域1.4は、場合により上側および/または下側で精留領域と連結されていてよい。塔1.2の塔頂生成物2.1は、主として軽沸物、例えばモノクロロシラン、ならびにモノシランおよびジクロロシランといった所望の生成物が濃縮したものである。モノクロロシランは、当業者によく知られている方法によって、熱分離法工程を用いて純粋に単離することができる。したがって、(i)(例えば図1)モノクロロシランは、塔2a、特に精留塔2aの中間流2.2として取り出され、モノシランは、塔頂生成物2.1として、およびジクロロシランは塔底生成物2.3として取り出される、または(ii)(例えば図2)モノシランは塔頂生成物2.1として、ならびにモノクロロシランおよびジクロロシランは精留塔2aの塔底生成物2.3として取り出され、後続の第二の塔2b内で、塔頂生成物として純粋なモノクロロシランに、塔底生成物としてジクロロシランに分離される。
塔2aの塔底生成物2.3(例えば、図1)は、主として難沸分、例えばトリクロロシラン、テトラクロロシランが蓄積されたものであり、場合により、さらにジクロロシランを含んでいて、好ましくは後接続された熱分離法工程において、好ましくは少なくとも1つのさらなる精留塔2bにおいてさらに分離される。したがって、トリクロロシランは、場合によりジクロロシランと一緒に塔頂を介して、テトラクロロシランは塔底を介して2bから排出されてよい。トリクロロシランおよびジクロロシランは、引き続きさらなる塔2cを介して分離されてよい。ジクロロシランが精留塔2bの塔頂で排出されるならば、トリクロロシランおよびテトラクロロシランは塔底で排出され、さらなる塔2cで分離される。それとは別に、トリクロロシランは、精留塔2bの中間流から取り出すことができ、ジクロロシランは塔頂で、テトラクロロシランは塔底で取り出すことができる。
モノクロロシランを製造するための好ましい設備Aは、反応塔1.2として記載される反応器1を含んでおり、この反応器は、触媒1.3を反応領域1.4に含んでいて、かつ少なくとも1つの精留装置2、3と直接接続されている(図2、3)。精留装置2、3は、形成されたモノクロロシランを側方流中(図1)で未反応の出発材料のモノシランおよびジクロロシランから分離する役割がある。モノクロロシランを製造するためのそれとは別な設備Aは、管型反応器1.1として記載される反応器1を含んでおり、この反応器は、触媒1.3を含んでいて、かつ少なくとも1つの精留装置2、3と直接接続している(図1)。さらなる実施態様(図2)では、モノクロロシランは精留塔2bの塔頂で縮合され、液体で前記系から取り除かれる。モノシランは、設備内に残留し、さらに前記反応のために使用可能である。好ましくは、モノシランは、接続導管4aを介して、定義された量で反応領域1.4に返送される。ジクロロシランは、塔2bの塔底として排出され、接続導管4bを用いて反応器に返送される。
例:
一般的な製造例:
触媒:ジイソブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、もしくはその加水分解生成物および/または縮合生成物で変性されたセラミック球体(直径約0.5cm)。その製造は、DE371444A1に記載されており、その開示内容は完全に本願の内容に援用される。製造のためには、アミノシランを、好ましくはシランの分離した加水分解アルコールに相応する含水アルコール、例えばエタノールまたはメタノールの存在下に、球状のSiO2担体材料に固定して、場合により真空で、および高められた温度下に乾燥させる。
方法および設備:
a)前記方法を、図1による設備A内で実施する。反応領域1.4を有する反応器1、例えば管型反応器1.1は、少なくとも1つの出発材料供給部(0a、0b)を有していて、反応領域1.4は、触媒1.3を含んでいる。モノシランおよびジクロロシランを、定義されたモル比で供給し、反応器1の反応領域1.4で反応させる。モノシラン、モノクロロシランおよびジクロロシランといった前記反応器に残された物質は、精留装置2、特に精留塔2に供給され、ここで蒸留により分離される。モノクロロシランは、塔2の側方流2.2として取り除かれ、モノシランは、塔頂2.1を介して抽出され、ジクロロシランおよび場合により形成されたトリクロロシランおよび/またはテトラクロロシランは、塔底2.3を介して取り出される。それとは別に、モノクロロシランが反応塔1.2(図には記載されていない)、特に精留塔2(図1を参照)の側方流にある場合が好ましい。塔底生成物は、少なくとも1つの精留塔3内のさらなる精留に供給され、そこでジクロロシランならびにより高度に塩素化されたシランに分離されてよい。さらなる分離のために、少なくとも1つのさらなる塔3’を利用してよい。モノシランおよび/またはジクロロシランまたはこれらを含んでいる混合物は、接続導管4を用いて再び出発材料として反応器1に供給される。反応器1には、この返送されるシランの他に、化学量論的に形成されて取り出されたモノクロロシランに相応する、化学量論的な比のモノシランおよびジクロロシランを供給し、特に連続的に約20:1〜6:1、特に好ましくは19:1〜8:1の比を調整し、それとは別に13:1〜8:1、好ましくは12:1〜8:1の比も調整する。
b)製造プロセスは、図3による設備Aで実施する。図示された設備では、本発明による方法は連続的に実施してよい。本発明によれば、蒸留塔への運搬は、前記塔への中間供給流を介して行われる。製造プロセスでは、触媒1.3を含んでいる反応領域1.4に、モル比1:1のモノシランおよびジクロロシラン(貯蔵タンク6a、6b)を供給し(出発材料供給部0a、0b)、そこで反応させる。図3による設備では、ジクロロシランは、塔1.2の出発供給部(0a、0b)の下側で取り出され、出発材料供給部0aの上側で、好ましくはポンプ5を用いて、新たに反応塔1.2に供給される。
反応塔1.2として並べられた蒸留塔から、以下の物質、モノシラン、モノクロロシラン、ジクロロシランおよび場合によりトリクロロシラン、四塩化ケイ素が得られる。これらの物質を、少なくとも1つの精留装置(2、3)に供給し、そこで蒸留により個々のシランに分離させる。ここで、モノシランおよびモノクロロシランは、塔頂を介して反応塔1.2から離れ(少なくとも1つの塔2a、2b・・・への運搬)、場合により形成されたトリクロロシランおよび四塩化ケイ素は、塔底を介して排出される(少なくとも1つの塔3a、3b・・・への運搬)。
ジクロロシランを排出するための別な方法:
B.1)塔底を介してジクロロシランを排出する場合、ジクロロシランは、TCSおよびSTCと一緒に後接続された蒸留塔3aに運ばれ、そこで塔頂生成物として得られ、好ましくは再び反応領域(図4)に返送される一方、TCSおよびSTCは、塔底生成物として排出される。TCSおよびSTCは、必要に応じてさらなる塔3b内で単一化合物(Einzelverbindung)に分離されてよい。反応塔1.2の塔頂で得られた、モノシランおよびモノクロロシランを含んでいる混合物は、蒸留塔2aに、好ましくは中間供給流として運ばれる。モノシランは、蒸留塔2aの塔頂で分離され、接続導管4aを介して反応領域1.4に返送される一方、モノクロロシランは、場合により粗生成物として、塔底で抽出される。モノクロロシランのさらなる精製が必要である限り、モノクロロシランは、さらなる蒸留塔2bにおいて、好ましくは中間供給流として運ばれて、純粋なモノクロロシランが塔2bの塔頂生成物として得られる(図4参照)。
B.2)反応塔1.2の塔頂を介してジクロロシランを分離する場合(図3)、モノシラン、モノクロロシランおよびジクロロシランは、蒸留塔2aに、好ましくは中間供給流として運ばれる。モノシランは、塔2aの塔頂で得られ、反応器1または反応領域1.4への接続導管4aを介して反応領域1.4に返送される一方で、モノクロロシランおよびジクロロシランは、塔底留分としてさらなる蒸留塔2bに、好ましくは中間供給流として運ばれる。この塔の塔頂で、純粋なモノクロロシランが分離され、空容器内に集められる。2bの塔底生成物としてジクロロシランが得られ、ジクロロシランは、反応器1または反応領域1.4に、接続導管4bを用いて導通される、もしくは返送される。
運転方式に応じて、未反応のジクロロシランは塔頂を介して、または塔底で一緒に分離される。この塔頂生成物も塔底生成物も、それぞれ少なくとも1つの精留装置(塔頂粗生成物:塔2a、2b、2cなどを下流方向へ;塔底粗生成物:塔3a、3b、3cなどを下流方向へ)によってさらに精製される。
比較例(ジクロロシランから出発する不均化):
ジクロロシランを、圧力30barおよび温度40℃にて、内径20cmで長さ2.8mの管型反応器に1時間あたり10molで計量供給した。触媒として、ジイソブチルアミノプロピルトリエトキシシラン変性されたセラミック球体を使用した(触媒球体の直径約0.5cm、装入量約54kg)。反応器出口では、粗生成物としてモノシラン、モノクロロシランおよびジクロロシラン、およびわずかな含有量の四塩化ケイ素からなる混合物が得られた。
粗生成物の組成(モル%表示):
モノシラン:14.18%
モノクロロシラン: 10.95%
ジクロロシラン: 38.03%
トリクロロシラン: 36.22%
四塩化ケイ素: 0.59%。
ジクロロシランから出発する純粋な不均化では、目的生成物のモノクロロシランの他に、前記プロセスから除去しなければならない大量のトリクロロシランおよびモノシランが副生成物として生じる。モノクロロシランへの選択性は低い。未反応のジクロロシランは、再び前記プロセスに返送することができる。
前記粗生成物の組成を、GCを用いて測定した。
例1:均化
モノシランおよびジクロロシランを、モル比92モル%対8モル%で、圧力30barおよび温度40℃にて、内径20cmで長さ2.8mの管型反応器に1時間あたり10molで計量供給した。触媒として、ジイソブチルアミノプロピルトリエトキシシラン変性されたセラミック球体を使用した(触媒球体の直径約0.5cm、装入量約54kg)。反応器出口で、粗生成物としてモノシラン、モノクロロシランおよびジクロロシランが、わずかな含有量のトリクロロシランと一緒に得られた。
粗生成物の組成(モル%表示):
モノシラン: 85.99%
モノクロロシラン: 8.40%
ジクロロシラン: 5.25%
トリクロロシラン: 0.37%。
前記粗生成物を、二段式塔システムで分離した。ここで、モノクロロシランを分離し、前記方法から取り除いた。モノシランを分離して、前記方法に新たに供給した。引き続き、第二の管型反応器における触媒でのさらなる反応のために、おおよそモノシラン92モル%およびジクロロシラン8モル%の組成を新たに調整するために必要な量で、トリクロロシランが夾雑しているジクロロシランを計量供給した。第二の反応の粗生成物は、以下の組成(モル%表示)を有していた:
モノシラン: 85.62%
モノクロロシラン: 8.33%
ジクロロシラン: 5.32%
トリクロロシラン: 0.73%。
第二の粗生成物を、二段式塔システムで分離した。ここで、モノクロロシランを分離し、前記方法から取り除いた。モノシランを分離し、前記方法に改めて供給した。引き続き、第二の管型反応器における触媒でのさらなる反応のために、おおよそモノシラン約92モル%およびジクロロシラン8モル%の組成を新たに調整するために必要な量で、わずかな量のトリクロロシランが夾雑しているジクロロシランを計量供給した。第三の反応の粗生成物は、以下の組成(モル%表示)を有していた:
モノシラン: 85.19%
モノクロロシラン: 8.35%
ジクロロシラン: 5.46%
トリクロロシラン: 1.00%。
第三の粗生成物を同じく二段式塔システムで分離した。ジクロロシランおよびトリクロロシランを引き続き蒸留により分離した。ジクロロシランは、純粋なジクロロシランとして新たに前記方法に供給することができた。前記粗生成物の組成は、モノシラン、モノクロロシランおよびジクロロシランの場合、GCを用いて測定した。わずかな含有量の副生成物のトリクロロシランは、NMRを用いて測定した。
ジクロロシランおよびモノシランから出発する均化では、正しい混合比を選択する場合に、目的生成物のモノクロロシランの他に、このプロセスから除去されなければならない副生成物(トリクロロシラン)が非常にわずかな含分でのみ生じる。未反応の出発材料は、再び前記プロセスに返送してよい。
例2:
ジクロロシランおよびモノシランを、モル比1:1で、圧力20barにて1時間あたり100gもしくは1時間あたり1.5モルの割合で(モノシラン24.1gおよびジクロロシラン75.9gに相応)、温度18.5℃にて、反応塔(内径10cm、長さ1.5m、理論段数32段、容積1.6リットル)の中間供給流(反応領域)に計量供給した。触媒として、ジイソブチルアミノプロピルトリエトキシシラン変性されたセラミック球体を使用した(触媒球体の直径約0.5cm、装入量:5.5kg)。塔底にて、温度158.6℃(20bar)で連続的に1時間当たり33.4gを抽出した。塔底生成物の組成(GC%)
モノシラン 0.00
モノクロロシラン 0.00
ジクロロシラン 0.10
トリクロロシラン 89.70
四塩化ケイ素 10.20。
塔頂にて、温度6.9℃(20bar)で連続的に1時間あたり66.6gを抽出した。この塔頂生成物の組成(GC%)
モノシラン 31.40
モノクロロシラン 46.27
ジクロロシラン 22.23
トリクロロシラン 0.10
四塩化ケイ素 0.00。
前記塔底流は、この例では完全に排出される。前記塔頂流の精製は、当業者によく知られている蒸留法を用いて分離することができる。二塔システム(Zwei−Kolonnensystem)では:第一の塔では、モノシランが塔頂を介して、MCSおよびDCSが塔底で(図2参照)、第二の塔では、MCS塔頂を介して、DCSが塔底で。
それとは別に、蒸留塔においてモノクロロシランを前記塔の側方流取出部を介して取り除くことができ、モノシランを塔頂を介して抽出し、ならびにジクロロシランは塔底を介して精留塔から離れる(図1)。トリクロロシランは、さらなる副流として生じる。
モノシランおよびジクロロシランは、精留から取り出した後、前記反応領域に再び返送してよい。前記反応塔は、この量の他にさらに、形成された、および取り出されたモノクロロシランの量に化学的量論的に相応する量のモノシランおよびジクロロシランを得る。
例3:
ジクロロシランおよびモノシランを、モル比1:1で、圧力20barにて、1時間あたり100gもしくは1時間あたり1.5モルの割合で(モノシラン24.1gおよびジクロロシラン75.9gに相応)、温度18.5℃にて反応塔(内径10cm、長さ1.5m、理論段数32段、容積1.6リットル)の中間供給流(反応領域)に計量供給した。触媒として、ジイソブチルアミノプロピルトリエトキシシラン変性されたセラミック球体を使用した(触媒球体 内径約0.5cm、装入量:5.5kg)。塔底では、温度140.1℃(20bar)で連続的に1時間あたり61.9gが抽出された(図4)。前記塔底生成物の組成(GC%)
モノシラン 0.00
モノクロロシラン 0.00
ジクロロシラン 30.22
トリクロロシラン 68.90
四塩化ケイ素 0.78。
塔頂では、温度−26.9℃(20bar)で連続的に1時間あたり38.1gを抽出した。この塔頂生成物の組成(GC%)
モノシラン 69.54
モノクロロシラン 30.36
ジクロロシラン 0.10
トリクロロシラン 0.00
四塩化ケイ素 0.00。
この例での塔底流は、塔3aを介して蒸留される。塔頂ではDCS(ジクロロシラン)が取り出されて、前記プロセスに返送される(4b)。塔底のTCS(トリクロロシラン)およびSTC(テトラクロロシラン)は、排出される。塔頂流は、塔2aを介して蒸留され、モノシランが塔頂で、MCS(モノクロロシラン)が塔底で得られる。必要に応じて、MCSは、例えばさらなる塔2bを介してさらに精製されてよい。
高純度のMCSを得るために、さらなる蒸留が塔頂2bを介して行われる。モノシランおよびジクロロシランは、精留から取り出した後、反応領域に再び返送する。前記反応器は、前記量の他にさらに、形成されて取り出されたモノクロロシランの量に化学量論的に相応する量のモノシランおよびジクロロシランを得る。
A 設備、 0a、0b 出発材料供給、 1 反応器、 1.1 管型反応器、 1.2 反応塔、 1.3 触媒、 1.4 反応領域、 2 塔、特に精留塔、 2a、2b・・・ 前記反応塔の上端部で下流向きの複数の塔、 2.1 塔頂、 2.2 側方流、 2.3 塔底、 3(3a、3b、・・・) 前記反応塔の下端部で下流向きの複数の塔、 4(4a、4b・・・) 接続導管、 5 ポンプ、 6a、6 貯蔵タンク
シラン:MS=モノシラン;DSC=ジクロロシラン;MCS=モノクロロシラン;TCS=トリクロロシラン;STC=テトラクロロシラン

Claims (19)

  1. モノシランとジクロロシランとを出発材料として触媒の存在下に反応させて、モノクロロシランを形成させることを特徴とする、モノクロロシランの製造方法。
  2. モノシランとジクロロシランとを触媒の存在下に均化させること、特にモノシランとジクロロシランとを均化させてモノクロロシランにすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記均化を、モノシランのジクロロシランに対する定義されたモル比で行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. モノクロロシランを、連続的な方法でモノシランとジクロロシランとから形成させることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
  5. モノシランおよびジクロロシランが、別個に、混合されて、または向流で反応領域に供給されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記反応、特に前記均化が、反応器(1)、例えば反応塔(1.2)、撹拌槽、管型反応器(1.1)またはループ型反応器の反応領域(1.4)で、好ましくは複数の反応領域を有する反応塔(1.2)で実施されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記粗生成物の少なくとも一部が、少なくとも1つの後接続された熱分離法工程で、モノクロロシランならびにモノシラン、ジクロロシラン、および場合によりトリクロロシランおよび/またはテトラクロロシランといった個々のシランに分離されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
  8. 実質的に、モノシランとジクロロシランとの反応で、トリクロロシランおよび/またはテトラクロロシランの形成が抑えられ、特にモノシランとジクロロシランとの反応が、定義されたモル比で行われることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記反応後および場合により前記熱分離法工程後に存在するモノシランおよび/またはジクロロシランが、それぞれ独立して、または混合されて出発材料として反応領域(1.4)に再び供給されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記触媒が、担持されている、特に担体材料に化学的に結合されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記触媒が、好ましくは担体材料に化学的に結合して存在しているアミノアルコキシシラン、その加水分解生成物および/またはその縮合生成物を含んでいることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記触媒が、一般式1
    Figure 2014508705
    [式中、xは1〜4;yは1〜10;zは1〜3である]のアミノアルコキシシラン、または少なくとも1つのその加水分解生成物および/またはその縮合生成物、またはそれに由来する、担体材料に化学的に結合されたモノマーまたはオリゴマーのアミノシランを含んでいることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記担体材料が、酸化ケイ素を含んでいる成形品であることを特徴とする、請求項10から12までのいずれか1項に記載の方法。
  14. モノシランとジクロロシランとからのモノクロロシランへの反応が、温度範囲−50℃から200℃で実施され、および/または圧力範囲0.0001bar〜200bar(絶対圧力)で実施されることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
  15. モノシランおよびジクロロシランを、13:1〜8:1のモル比で出発材料として前記方法に供給することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
  16. 純粋なモノクロロシランであって、該モノクロロシランから析出により得られたシリコン層またはシリコン棒が、20Ω・cm超、好ましくは200Ω・cm超、特に好ましくは2000Ω・cm超の比抵抗を有していることを特徴とする、前記モノクロロシラン。
  17. モノクロロシランの、シリコンの析出のための、高純度シリコンを製造するための、および/または高純度シリコン層を製造するためのエピタキシーガスとしての、特にチップ製造での、および/または有機官能性シランを製造するための使用。
  18. 含窒素化合物の、出発材料としてモノシランおよびジクロロシランを使用することにより、少なくとも1つのハロゲンシランの製造方法における均化のための触媒としての使用。
  19. 請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法により、モノシランとジクロロシランとからモノクロロシランを連続的に製造するための設備であって、触媒(1.3)を含んでいる反応器(1)の反応領域(1.4)への少なくとも1つの出発材料供給部(0a、0b)を含んでいて、前記反応器が、場合により1つの塔(1.2);例えば反応塔(1.2)または管型反応器(1.1)を含んでおり;および前記反応器(1)に、モノシランとジクロロシランとの反応から得られる粗生成物を熱分離するための少なくとも1つの塔(2、3;2a、2b;3a;3b)が組み込まれている前記設備。
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