主題の発明は、白内障手術又は前眼部における他の外科的処置の最中又は後の、前眼房内への抗生物質セフロキシムの注射、又は後眼部における外科的処置の最中又は後での後房内への抗生物質セフロキシムの注射を容易にするためのセフロキシム安全送達システムに関する。
全般的に、本発明のセフロキシム安全送達システムは、(1)計量したセフロキシムを滅菌充填した、貫通可能な滅菌バイアル、(2)貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり、0.1mlの滅菌等張塩溶液を入れた容器、及び等張塩溶液を貫通可能なバイアルに移送し、等張塩溶液中に溶解したセフロキシムのアリコートを貫通可能なバイアルから送達シリンジ中に移動する手段、並びに(3)雄ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数の滅菌した送達シリンジであって、各送達シリンジが少なくとも0.1mlの放出可能な液体を入れることができ、放出可能な液体の充填体積0.1mlを示す印を含有するシリンジを含む。従って、0.1mlの印まで充填された送達シリンジは、プランジャーが一番前の位置まで押し込まれると、先端から体積0.1mlを放出することになる。患者の眼内に注射する前にセフロキシム溶液から微粒子を除去するために、孔径0.2μmの滅菌フィルターを、送達シリンジと注射針との間に介在させることができる。かかるフィルターが使用されようとする場合、フィルター中に失われる液体の体積がいずれも補填されるように、送達シリンジの0.1mlの印の再配置を必要とする場合がある。入口側に雌ルアーフィッティング及び出口側に雄ルアーフィッティングを含有する好適な滅菌フィルターは、いくつかの供給源から得ることができる。フィルターの例は、Whatman,GE Healthcare製のPuradisc4である。貫通可能なバイアル及びシリンジを含む本発明の送達システムのある構成要素は、脱着可能な保護用被覆材を標準的に含むことに留意されたい。
特定の実施形態において、本セフロキシム安全送達システムの発明は、(1)計量したセフロキシムを滅菌充填した、貫通可能な滅菌バイアル、(2)貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり、0.1mlの滅菌等張塩溶液を入れる、滅菌充填した、雄ルアーフィッティングを備えた再構成用シリンジ、及び雌ルアーフィッティングを備えたバイアルアダプター又は雌ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数のシールド保護された針、並びに(3)雄ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数の滅菌した送達シリンジであって、各送達シリンジが少なくとも0.1mlの放出可能な液体を入れることができ、放出可能な液体の充填体積0.1mlを示す印を含有するシリンジを含む。バイアルアダプターは、好ましくは、複数用量のセフロキシムの抜き出し用に設計されたシステムにおけるふき取り可能な複数用量のアダプター、又は単一用量システムにおけるベント付きバイアルアダプターである。
別の特定の実施形態において、本セフロキシム安全送達システムの発明は、(1)計量したセフロキシムを滅菌充填した、貫通可能な滅菌バイアル、(2)貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり、0.1mlの滅菌等張塩溶液を入れる、滅菌充填した、雄ルアーフィッティングを備えた再構成用シリンジ、及び流量調節装置、並びに(3)少なくとも0.1mlの放出可能な液体を入れることができ、放出可能な液体の充填体積0.1mlを示す印を含有する、雄ルアーフィッティングを備えた、滅菌した送達シリンジを含む。
主題の発明は、前房内注射用の1mg用量のセフロキシムを調製するための、上記の特定のセフロキシム安全送達システムの使用にも関する。この用量の調製は、(1)再構成用プレフィルドシリンジの全内容物を、セフロキシムを含む貫通可能なバイアル中に移送するステップ、(2)前記バイアルを手作業で振盪して、密閉したバイアルの内容物の均質な溶液を得るステップ、及び(3)0.1mlの放出可能な溶液を、前記バイアルから送達シリンジ中に抜き出すステップを含む。
別の特定の実施形態は、(1)計量したセフロキシムを滅菌充填した、第1の貫通可能な滅菌バイアル、(2)第1の貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり、0.1mlの滅菌等張塩溶液を滅菌充填した第2の貫通可能なバイアル、雄ルアーフィッティング及び第2の貫通可能なバイアルに含有された等張塩溶液を入れるのに十分大きい充填体積を備えた、空の再構成用シリンジ、並びに雌ルアーフィッティングを備えた2つのバイアルアダプター又は雌ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数のシールド保護された針、及び(3)雄ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数の滅菌した送達シリンジであって、各送達シリンジが少なくとも0.1mlの放出可能な液体を入れることができ、放出可能な液体の充填体積0.1mlを示す印を含有するシリンジを含む、セフロキシム安全送達システムに関する。複数用量のセフロキシムの抜き出し用に設計されたシステムでは、バイアルアダプターは、好ましくはふき取り可能な、複数用量のバイアルアダプターである。又は、第1の貫通可能なバイアルに接合するバイアルアダプターはふき取り可能な複数用量のバイアルアダプターとすることができ、第2の貫通可能なバイアルに接合するバイアルアダプターはベント付きバイアルアダプターとすることができる。単一用量のセフロキシムの抜き出し用に設計されたシステムでは、ベント付きバイアルアダプターが好ましくは使用される。
更に別の特定の実施形態は、(1)計量したセフロキシムを滅菌充填した、第1の貫通可能な滅菌バイアル、(2)第1の貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり、0.1mlの滅菌等張塩溶液を滅菌充填した第2の貫通可能なバイアル、バイアルからバイアルへの移送アダプター、及び雌ルアーフィッティングを備えたバイアルアダプター又は雌ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数のシールド保護された針、並びに(3)雄ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数の滅菌した送達シリンジであって、各送達シリンジが少なくとも0.1mlの放出可能な液体を入れることができ、放出可能な液体の充填体積0.1mlを示す印を含有するシリンジを含む、セフロキシム安全送達システムに関する。複数用量のセフロキシムの抜き出し用に設計されたシステムでは、バイアルアダプターは、好ましくはふき取り可能な、複数用量のバイアルアダプターである。
更なる特定の実施形態は、(1)計量したセフロキシムを滅菌充填した、第1の貫通可能な滅菌バイアル、(2)第1の貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり、0.1mlの滅菌等張塩溶液を滅菌充填した第2の貫通可能なバイアル、及び無針の移送装置、並びに(3)少なくとも0.1mlの放出可能な液体を入れることができ、放出可能な液体の充填体積0.1mlを示す印を含有する、雄ルアーフィッティングを備えた、滅菌した送達シリンジを含む、セフロキシム安全送達システムに関する。
主題の発明は、前房内注射用の1mg用量のセフロキシムを調製するためのこれら3つの特定のセフロキシム安全送達システムの使用にも関する。この用量の調製は、(1)第2の貫通可能なバイアルの全内容物を第1の貫通可能なバイアル中に移送するステップ、(2)第1の貫通可能なバイアルを手作業で振盪して、その内容物の均質な溶液を得るステップ、及び(3)0.1mlの放出可能な溶液を、第1の貫通可能なバイアルから送達シリンジ中に抜き出すステップを含む。
本発明は、再構成用シリンジ(容量1ml以下)が送達シリンジを兼務する、簡易型セフロキシム安全送達システムにも関する。全般的に、この送達システムは、(1)計量したセフロキシムを滅菌充填した貫通可能な滅菌バイアル、並びに(2)貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり、0.1mlの滅菌等張塩溶液を入れた容器、及び等張塩溶液を貫通可能なバイアルに移送し、体積0.1mlの注射用の等張塩溶液中に溶解したセフロキシムのアリコートを貫通可能なバイアルから患者の眼内に移動する手段を含む。
特定の実施形態において、このタイプの送達システムは、(1)計量したセフロキシムを滅菌充填した貫通可能な滅菌バイアル、並びに(2)雄ルアーフィッティングを備え、放出可能な液体の充填体積0.1mlを示す印を含有する、滅菌充填した再構成用シリンジであって、貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり、0.1mlの滅菌等張塩溶液を入れたシリンジ、及び雌ルアーフィッティングを備えたバイアルアダプター(好ましくはベント付き)又は雌ルアーフィッティングを備えたシールド保護された針を含む。
別の特定の実施形態において、このタイプの送達システムは、(1)計量したセフロキシムを滅菌充填した貫通可能な滅菌バイアル、並びに(2)雄ルアーフィッティングを備え、放出可能な液体の充填体積0.1mlを示す印を含有する、滅菌充填した再構成用シリンジであって、貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり、0.1mlの滅菌等張塩溶液を入れたシリンジ、及び流量調節装置を含む。
主題の発明は、前房内注射用の1mg用量のセフロキシムを調製するための、上記の特定の簡易型セフロキシム安全送達システムの使用にも関する。この用量の調製は、(1)再構成用プレフィルドシリンジの全内容物を、セフロキシムを含む貫通可能なバイアル中に移送するステップ、(2)前記バイアルを手作業で振盪して、密閉したバイアルの内容物の均質な溶液を得るステップ、及び(3)0.1mlの放出可能な溶液を、前記バイアルから空の再構成用シリンジ中に抜き出すステップを含む。
更に別の特定の実施形態は、(1)計量したセフロキシムを滅菌充填した第1の貫通可能な滅菌バイアル、並びに(2)第1の貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり、0.1mlの滅菌等張塩溶液を滅菌充填した第2の貫通可能なバイアル、雄ルアーフィッティング、第2の貫通可能なバイアルに含有された等張塩溶液を入れるのに十分大きい充填体積、及び放出可能な液体の充填体積0.1mlを示す印を備えた、空の再構成用シリンジ、並びに雌ルアーフィッティングを備えた2つのバイアルアダプター(好ましくはベント付き)又は雌ルアーフィッティングを備えたシールド保護された針を含む。セフロキシム溶液が、バイアルアダプターではなく針を通して抜き出されているシステムでは、雌ルアーフィッティングを備えた追加のシールド保護された針を含めることができる。
主題の発明は、前房内注射用の1mg用量のセフロキシムを調製するための、直前に述べたセフロキシム安全送達システムの使用にも関し、調製は、(1)第2の貫通可能なバイアルの全内容物を、空の再構成用シリンジを使用して第1の貫通可能なバイアル中に移送するステップ、(2)第1の貫通可能なバイアルを手作業で振盪して、その内容物の均質な溶液を得るステップ、及び(3)0.1mlの放出可能な溶液を、第1の貫通可能なバイアルから空の再構成用シリンジ中に抜き出すステップを含む。
上記の送達システムのいずれにおいても、貫通可能なバイアル又は第1の貫通可能なバイアルに、滅菌条件でセフロキシムを粉末充填しているか、又はセフロキシムの滅菌水溶液を滅菌充填し、この溶液に凍結乾燥を施した。
更なる送達システムは、雄ルアーフィッティングを備えた、滅菌した2チャンバーシリンジであって、第1のチャンバー中に1mgのセフロキシム粉末を含み、第2のチャンバー中に0.1mlの水又は水性溶液剤を含み、当該シリンジが、第1のチャンバーと第2のチャンバーの間を連通可能にして滅菌セフロキシム溶液の再構成を可能にし、溶液を放出する機構を含む、2チャンバーシリンジを含む。
別のセフロキシム安全送達システムは、(1)雄ルアーフィッティングを備えた、滅菌した2チャンバーシリンジであって、第1のチャンバー中に計量したセフロキシム粉末を含み、第2のチャンバー中に、第1のチャンバー中のセフロキシム1mg当たり0.1mlの等張塩溶液を含み、当該シリンジが、第1のチャンバーと第2のチャンバーの間を連通可能にして滅菌セフロキシム溶液の再構成を可能にし、溶液を放出する機構を含む2チャンバーシリンジ、(2)再構成されたセフロキシム溶液を2チャンバーシリンジから入れることができる、滅菌した貫通可能な空のバイアル、及び雌ルアーフィッティングを備えたバイアルアダプター(好ましくはベント付きバイアルアダプター、又は複数用量のセフロキシムの抜き出しが意図される場合、ふき取り可能な複数用量のバイアルアダプター)又は雌ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数のシールド付き滅菌針、並びに(3)雄ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数の滅菌した送達シリンジであって、各送達シリンジが少なくとも0.1mlの放出可能な液体を入れることができ、放出可能な液体の充填体積0.1mlを示す印を含有するシリンジを含む。
更なるセフロキシム安全送達システムは、(1)1つの端部で貫通可能に密閉された滅菌カートリッジであって、当該カートリッジが2つの分離したチャンバーを含み、その一方は計量したセフロキシム粉末を含有し、他方はセフロキシム1mg当たり0.1mlの滅菌等張塩溶液を含有し、チャンバーが仕切り壁で分離され、当該カートリッジが、仕切り壁を外してチャンバー間の連通及びセフロキシム溶液の再構成を可能にする機構を組み入れているカートリッジ、(2)雄ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数の滅菌した送達シリンジであって、各送達シリンジが少なくとも0.1mlの放出可能な液体を入れることができ、放出可能な液体の充填体積0.1mlを示す印を含有するシリンジ、及び(3)バイアルアダプター(好ましくはベント付きバイアルアダプター、又は複数用量のセフロキシムの抜き出しが意図される場合、ふき取り可能な複数用量のバイアルアダプター)又は雌ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数のシールド付き針を含む。
本発明のセフロキシム安全送達システムは密封容器に包装することができ、それによって、送達システムの個別の又はグループ化した構成要素が個々に滅菌包装される。言うまでもなく、本発明の送達システムのすべての構成要素が滅菌状態でユーザーに提供される。
本発明のセフロキシム安全送達システムのいずれもが、ユーザー情報を更に含むことができる。
上記のとおり、白内障手術において、セフロキシムには確立した医療用途がある。眼科開業医は少なくとも約10年間この抗生物質を使用してきた。白内障手術中にこの抗生物質を前房内投与することの医学的有益性は、大規模臨床研究によって確立された。この期間ずっと、眼科で使用するためのこの抗生物質の剤形が多くの刊行物で要求されてきたという事実にもかかわらず、かかる剤形は開発されず、開業医にとって利用可能になっていない。背景技術の項で挙げた参照文献に加えて、眼用のセフロキシム製剤(主に白内障手術での使用するための)の産業的な開発が、例えば次の刊行物において勧説された。Cimberle著Ocular Surgery News,Europe/Asia−Pacific Edition,January 1,2008;Daly著Eye World,August 2008;Chang著Cataract and Refractive Surgery Today,May 2006;Cimberle著Ocular Surgery News,U.S.Edition,February 1,2007;Dalton著Eye World,March 2009;Speaker著Cataract and Refractive Surgery Today,May 2009;J of Cataract and Refractive Surgery 35:770−773で2009年に発表された調査結果;Chang et al 2007 J of Cataract and Refractive Surgery 33:1801−05;Young著Eye World,April 2007,September 2009 & March 2010;Barry著Eye World,May 2007;O’hEineachain著Eurotime,November 2006;Barry著Cataract and Refractive Surgery Today,March 2007 & September 2008;Roach著Eyenet,June 2006;Samaniego著2009 EyeWorld Asia−Pacific,vol.5,number 2。
汚染に加えて、安全でない又は不適切な用量のセフロキシムを不注意に使用するという固有の危険がある。このような潜在的な危険は、長期にわたって認識され、例えばGarcia−Saenz執筆の論説(Arch Soc Esp Ofthalmol 2006;81:569−70)で建議された。Ursellらによる白内障手術についての特集記事では、「業務用包装済み用量のセフロキシム」が要請された(Cataract and Refractive Surgery Today Europe,Jan/Feb 2007)(上記の追加の参照文献を参照)。
0.1mlの水性溶液剤中1mgのセフロキシムの前房内投与の安全性は確立されている(Montan et al 2002 J Cataract Refract Surg 28:982−7)。しかし、薬物動態学的分析では、投与直後、セフロキシムの前房内平均濃度は2.742mg/mlであることが示されている(Montan et al 2002)。この平均濃度は1時間後に0.756mg/mlまで低下し、その後はより緩慢に減少すると予想されている。1mgセフロキシムの安全域は比較的狭いこと、即ち著しい過量投与は危険である恐れがあることが、ヒト角膜の内皮細胞に関する研究によって示唆されており、この研究は、2.75mg/mlを超える濃度でセフロキシムに24時間曝露すると、細胞生存率が著しく減少することを示している(Yoeruek et al 2008 J Cataract Refract Surg 34:2139−45)。
本発明者らは、次の要件に基づいて最適化した、眼科で使用するためのセフロキシム安全送達システムを開発した。(1)安全送達システムは、滅菌が保証されうるように、「閉鎖システム」である必要がある。(2)安全送達システムは、前房内注射用の正確な用量のセフロキシムを、ユーザーが簡便にかつ確実に調製できることが必要である。(3)ユーザーによる過失の可能性を最小限に低減するように、使用は簡単でなければならず、必要なステップ数を最小限のみにしなければならない。送達システムの使用によって、病院の薬局又は開業医による適切なセフロキシム用量の調製に固有の定誤差も低減されるべきである。(4)送達システムの使用によって、セフロキシム用量の調製時間が現在の慣行と比較して短縮されるべきであり、結果として、白内障手術の全所要時間が短縮されるべきである。(5)送達システムは、比較的安価にし、開業医に使用に関して前向きにさせるべきであり、それによってセフロキシム予防治療の安全性を高めるべきである。安価な送達システムが利用可能になると、これまで前房内セフロキシムを使用したことのない開業医が説得されて、眼内炎の発生率を更に低減するという期待される有益性を伴う抗生物質を、白内障の処置又は他の眼科処置に含めるようになることが期待されてもいる。
本発明の好ましい送達システムは、標準的には密封容器中に、(1)計量して滅菌充填したセフロキシムを含有する貫通可能な滅菌バイアル、(2)貫通可能な滅菌バイアル中のセフロキシムを溶解するための、貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり通常0.1mlの等張塩溶液を滅菌充填した、雄ルアーフィッティングを有するシリンジ(再構成用シリンジ)、(3)雌ルアーフィッティングを備えたバイアルアダプター、及び(4)適切な用量のセフロキシムを前房内投与するための、雄ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数のシリンジ(送達シリンジ)を含む。通常、投与されることになるセフロキシムの適切な用量は1mgである。送達システムは、1つ又は複数のシールド付き注射針を更に含むことができる。あるいは、これは本発明の他の送達システムに準用するものであるが、貫通可能な滅菌バイアルは、計量したセフロキシムを、再構成時に等張液を生成するための適切な量の塩と組み合わせて含むことができ(通常セフロキシム濃度10mg/mlに対し、NaCl濃度9mg/ml)、再構成用シリンジには水(注射用の水)をプレフィルしておくことができる。バイアルアダプターは2つの側面を有するという特徴があり、一方は雌ルアーフィッティング(又はルアーロック)を含むポートを含有し、他方は貫通可能なバイアルを覆い嵌合し、貫通可能なバイアルの隔壁を貫通し、それによって通路を設けて、上記のポートに連結されたシリンジ中に含有されたある体積の液体を貫通可能なバイアルに添加する、又は貫通可能なバイアル中に含有されたある体積をかかるシリンジ中に抜き出すことができる。この種類のバイアルアダプターは、ベント付きであっても複数回使用に設計されていてもよく、例えば以下から業務用として入手可能である。West Pharmaceutical Services,Inc.,Lionville,PA、Bioject Medical Technologies Inc.,Tualatin,OR、Baxa Corp,Englewood,CO。複数回用送達シリンジを用意する場合、即ち、複数のアリコート又は複数用量のセフロキシム溶液を抜き出そうとする場合、弁で閉じられた複数回使用バイアルアダプターが好ましくは使用される(例えば、West製ふき取り可能なバイアルアダプター)。プレフィルドシリンジは、以下を含む種々の供給源から得ることができる。Vetter Pharma International GmbH,Ravensburg,Germany、Gerresheimer Buende,Buende,Germany、Beckton Dickinson,Franklin Lakes,NJ(例えばBD Hypak PRTC及びSCFシステム)、Baxter Healthcare Corp.,Round Lake,IL、及びSewa Medicals Ltd.,Mumbai,India。好適な送達シリンジは、例えば以下を含む種々の製造業者から得ることができる。Zhejiang Sol−Millennium Plastic,Zhejiang,PR製「Sol−Ject Auto−Disable」0.1又は0.5mlシリンジ、Gerresheimer Buende,Buende,Germany(「ClearJect」)。本発明の送達システムの構成要素として既に提供されてはいない場合、開業医は自身の好みの注射針を選択することができる。注射針の例は、例えばRumex International Co.St.Petersburg,FLによって販売されているRycroft製のAnterior Chamber Cannulasを含む。プレフィルドシリンジの例は、米国特許第5,833,653号明細書、同第7,041,087号明細書、同第7,331,941号明細書及び同第7,645,267号明細書に記載された。バイアルアダプターの例は、米国特許第7,326,194号明細書)に記載されている。ルアーフィッティングが主題の出願において記述される場合は常に、このフィッティングは、ルアースリップフィティングのルアーロックとすることができる。具体的な量が示されていない限り、本発明の任意の送達システムの貫通可能なバイアル(又は第1の貫通可能なバイアル)中の乾燥セフロキシムの量は、1mg〜約100mgの任意の量とすることができる。この好ましい送達システムのユーザーは、まずセフロキシムを含有するバイアルにバイアルアダプターを装着し、再構成用プレフィルドシリンジをバイアルアダプターのポートに接合することになろう。再構成用シリンジのプランジャーを前進させることによって、ユーザーは、シリンジの全内容物をこのバイアル中に注入することになろう。ユーザーは、次いで、再構成用シリンジを取り外し、アダプターを含有するバイアルを穏やかに攪拌することによってセフロキシムを完全に溶解することになろう。ユーザーは、次いで、送達シリンジをバイアルアダプターのポートに装着することになろう。バイアルを上下逆にして、ユーザーが送達シリンジのプランジャーを後退させてシリンジ中に適切な体積(通常>0.1ml)の再構成されたセフロキシム溶液を抜き出すことになろう。ユーザーは、その後、送達シリンジをアダプターから取り外し、選択した注射針をシリンジに取り付け、通常、0.1mlのセフロキシム溶液を患者の眼内に注射することになろう。
上記の好ましい送達システム(以下、最初に記載した好ましい送達システムという)の別の実施形態では、再構成用プレフィルドシリンジは、等張塩溶液を滅菌充填した第2の貫通可能な滅菌バイアル、第2のバイアルアダプター及び未充填の再構成用シリンジ、例えばPT Oneject Indonesia,Bogor,Indonesia製Oneject自動不能化型シリンジ(0.5ml〜5mlの間の容量に利用可能)に置換される。2つのバイアルアダプターは、好ましくはベント付きバイアルアダプターである。システムが複数用量のセフロキシムを用意するように意図される場合、少なくともセフロキシムを含有する第1の貫通可能なバイアルに装着されることになるアダプターは、好ましくはふき取り可能な複数回使用バイアルアダプターとすることになろう。操作を容易にするために、両方のアダプターをふき取り可能な複数回使用バイアルアダプターとすることができる。この送達システムの操作は、等張塩溶液を含有するバイアルから再構成用シリンジを充填する追加のステップを除けば、上記の好ましい送達システムの操作にきわめて類似している。
最初に記載した好ましい送達システムの更に別の実施形態では、再構成用プレフィルドシリンジは、等張塩溶液を滅菌充填した第2の貫通可能な滅菌バイアル及びバイアルからバイアルへの移送アダプターに置換される。好適なバイアルからバイアルへの移送アダプターは、Westによって名称Mix2Vialで販売されている。米国特許第6,558,365号明細書及び同第6,699,229号明細書。この送達システムのユーザーは、第1及び第2の貫通可能なバイアルを、バイアルからバイアルへの移送アダプターを用いて接合し、第2の貫通可能なバイアル中の塩溶液を、セフロキシムを含有する第1の貫通可能なバイアル中に移送することになろう。アセンブリーを手作業で攪拌してセフロキシムの均質な溶液を得ることになろう。その後、セフロキシム溶液を含有するバイアルを取り外すことになろう。次いで、バイアルアダプターをこのバイアルに装着し、送達シリンジをアダプターに接合することになろう。次いで、前例と同様に、適切な体積のセフロキシム溶液を送達シリンジ中に抜き出すことになろう。
更なる実施形態では、最初に記載した好ましい送達システムの再構成用プレフィルドシリンジ及びバイアルアダプター(構成要素2及び3)の両方が、等張塩溶液を滅菌充填した第2の貫通可能な滅菌バイアル及び無針の移送装置に置換される。かかる装置はWestによって販売されており、米国特許第6,379,340号明細書の主題である。この送達システムのユーザーは、第1及び第2の貫通可能なバイアルを無針の移送装置に接合して、第2の貫通可能なバイアルの塩溶液を、セフロキシムを含有する第1の貫通可能なバイアルに移送することになろう。アセンブリーを穏やかに攪拌した後、送達シリンジを無針の移送装置の単一の針ポート(雌ルアーフィッティング)に合体させ、患者の眼内への注射用に適切な体積のセフロキシム溶液を、送達シリンジ中に抜き出すことになろう。
本発明の送達システムの別の実施形態は、標準的には密封容器中に、(1)計量して滅菌充填したセフロキシムを含有する貫通可能な滅菌バイアル、(2)貫通可能な滅菌バイアル中のセフロキシムを溶解するための、貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり通常0.1mlの等張塩溶液を滅菌充填した、雄ルアーフィッティングを含むシリンジ(再構成用シリンジ)、(3)流量調節装置、及び(4)適切な用量のセフロキシムを前房内投与するための、雄ルアーフィッティングを備えたシリンジ(送達シリンジ)を含む。送達システムには、流量調節装置に既に装着されているか、又は別個に用意される、シールド付き注射針を更に含めることができる。流量調節装置は、例えば、米国特許第6,379,340号明細書及び同第6,238,372号明細書に記載されている。これらの特許に開示されているタイプの流量調節装置は、West Pharmaceutical Service Inc.によって商標名MixJectで商品化されている。米国特許第7,326,194号明細書。これらの流量調節装置は、3つのポート、即ちプレフィルドシリンジ用の第1のポート(雌ルアーフィッティングを備えた)、注射針用の第2のポート(雄ルアーフィッティングを備えた)、及びバイアルの頂部を覆って嵌合するようになされ、バイアルの隔壁又はストッパーを貫通し、解放通路を作ることができる第3のポートを有する。この送達システムのユーザーは、再構成用プレフィルドシリンジを流量調節装置の第1のポートに連結し、セフロキシムを含有するバイアルを第3のポートに装着することになろう。再構成用シリンジのプランジャーを前進させることによって、ユーザーは、シリンジの全内容物をこのバイアル中に注入することになろう。次いで、アセンブリーを穏やかに攪拌することによって、セフロキシム溶液を再構成する。次いで、ユーザーは、再構成用シリンジを送達シリンジに置換する。バイアルを上下逆にして、プランジャーを後退させて適切な体積のセフロキシム溶液をシリンジ本体中に抜き出す(放出可能な体積0.1mlを確保するために通常>0.1ml)。バイアルを取り外し、注射針を(まだ装着していない場合)装着してから、送達シリンジのプランジャーを前方に移動させると、セフロキシム溶液が針を通って放出されることになろう。
容量が1ml以下の再構成用シリンジを使用する場合、好ましい送達システムは更に簡易化することができる。本発明の好ましい簡易型送達システムは、標準的には密封容器中に、(1)計量して滅菌充填したセフロキシムを含有する貫通可能な滅菌バイアル、(2)貫通可能な滅菌バイアル中のセフロキシムを溶解するための、貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり通常0.1mlの等張塩溶液を滅菌充填した、雄ルアーフィッティング及び充填体積0.1mlを示す印を有するシリンジ(再構成用シリンジ)、及び(3)雌ルアーフィッティングを有するバイアルアダプターを含む。送達システムには、再構成用シリンジに装着されることになる、眼内に注射するためのシールド付き針を更に含めることができる。この送達システムのユーザーは、まずセフロキシムを含有するバイアルにバイアルアダプターを装着し、再構成用シリンジをバイアルアダプターのポートに合体させることになろう。再構成用シリンジのプランジャーを前進させることによって、ユーザーはシリンジの全内容物をこのバイアル中に注入することになろう。ユーザーは、次いで、アセンブリー全体を穏やかに攪拌することによって、セフロキシム溶液を再構成することになろう。バイアルを上下逆にして、ユーザーが再構成用シリンジのプランジャーを後退させて、シリンジ中に適切な体積(>0.1ml)の再構成されたセフロキシム溶液を抜き出すことになろう。ユーザーは、その後、シリンジをアダプターから取り外し、注射針を取り付け、1mgのセフロキシム(通常0.1ml)を含む体積のセフロキシム溶液を患者の眼内に注射することになろう。
本発明の別の好ましい簡易型送達システムは、標準的には密封容器中に、(1)計量して滅菌充填したセフロキシムを含有する貫通可能な滅菌バイアル、(2)貫通可能な滅菌バイアル中のセフロキシムを溶解するための、貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり通常0.1mlの等張塩溶液を滅菌充填した、雄ルアーフィッティング及び充填体積0.1mlを示す印を有するシリンジ(再構成用シリンジ)、及び(3)流量調節装置、好ましくはWest製MixJect装置を含む。送達システムには、眼内注射用のシールド付き針を更に含めることができる。MixJect装置を組み入れたこの種の送達システムのユーザーは、セフロキシムを含有するバイアルを流量調節装置の第3のポート内に導入し、再構成用プレフィルドシリンジを第1のポートに連結することになろう。再構成用シリンジのプランジャーを前進させることによって、ユーザーはシリンジの全内容物をこのバイアル中に注入することになろう。アセンビー(assemby)全体を穏やかに攪拌することによって、セフロキシム溶液を再構成することになろう。バイアルを上下逆にして、シリンジのプランジャーを後退させて、適切な体積のセフロキシム溶液をシリンジ本体中に抜き出すことになろう(>0.1ml)。バイアルを取り外し、注射針を装着してから、シリンジのプランジャーを前方に移動させると、セフロキシム溶液が針を通って放出されることになろう。
別の実施形態では、本発明の送達システムは、標準的には密封容器中に、(1)計量して滅菌充填したセフロキシムを含有する貫通可能な滅菌バイアル、(2)貫通可能な滅菌バイアル中のセフロキシムを溶解するための、貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり通常0.1mlの等張塩溶液を滅菌充填した、雄ルアーフィッティングを有するシリンジ(再構成用シリンジ)、及び再構成用シリンジに既に装着されている、又は別個に用意される、雌ルアーフィッティングを備えたシールド付き針、並びに(3)雄ルアーフィッティングを含み、適切な用量のセフロキシムを前房内投与するための充填体積0.1mlを示す印を標準的に含有する、1つ又は複数のシリンジ(送達シリンジ)を含む。送達システムには、1つ又は複数の送達シリンジに装着されている、又は別個に用意される、雌ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数の追加の針を含めることができる。容量が1ml以下の再構成用シリンジが使用される場合、送達システムは更に簡易化することができる。かかる簡易型送達システムは、標準的には密封容器中に、(1)計量して滅菌充填したセフロキシムを含有する貫通可能な滅菌バイアル、並びに(2)貫通可能な滅菌バイアル中のセフロキシムを溶解するための、貫通可能なバイアル中のセフロキシム1mg当たり通常0.1mlの等張塩溶液を滅菌充填した、雄ルアーフィッティング及び充填体積0.1mlを示す印を含むシリンジ(再構成用シリンジ)、及び再構成用シリンジに既に装着されている、又は別個に用意される、雌ルアーフィッティングを備えたシールド付き針を含む。この針は通常まっすぐであり、多くの開業医に好まれる前房注射針又はカニューレの形状ではない。従って、送達システムには、セフロキシム溶液を患者の眼内に注射するための再構成用シリンジに装着することになるシールド付きの専用の注射針を更に含めることができる。この簡易型送達システムのユーザーは、再構成用シリンジ(針が嵌合した)にプレフィルされた内容物をセフロキシムバイアル中に注入し、バイアルを攪拌してセフロキシムを十分に溶解し、適切な体積のセフロキシム溶液を再構成用シリンジ中に抜き出すことになろう。その後、再構成用シリンジに付いている針を注射針に置換することができ、正確な用量のセフロキシム(通常0.1ml)が患者の眼内に注射される。
計量したセフロキシム(C16H16N4O8S、CAS番号55268−75−2、GlaxoSmithKline Ltd.から入手可能)及び塩を含有する貫通可能な滅菌バイアルの標準的な調製プロセスは、次のとおりである。例えば蒸留又は逆浸透法で精製した水(注射用の水)中に10mg/mlセフロキシム及び0.9%塩化ナトリウムを含有する、120リットルのバルク溶液を調製する。この溶液を、通常孔径が約0.2マイクロメートルの1つ又は複数の滅菌フィルターに通過させ、適切な大きさの滅菌バイアルに0.5mlの濾過したセフロキシム溶液(バイアル200,000本分のバッチサイズ)を滅菌充填する。バイアル中のセフロキシム溶液を滅菌条件で終夜凍結乾燥する。最後に、バイアル又はアンプル(交換可能に使用される用語)に蓋をする。種々のタイプの貫通可能なアンプルを利用することができる。通常使用されるものは、隔壁を含有するクリンプトップシールを用いて密閉されるクリンプトップバイアルである。セフロキシム粉末の表面の変色を回避するため、有色の(例えば琥珀色)もしくは暗く表面被覆したバイアル又はアンプルの方が、透明なガラスのバイアル又はアンプルより好ましい。再構成用シリンジ中の液体が等張塩溶液である場合、バイアルにセフロキシムの水溶液を滅菌充填することに留意されたい。充填溶液中のセフロキシムの濃度は10mg/mlである必要はないことに更に留意されたい。利用可能な滅菌充填の用具によって、20%w/vまでの任意の濃度の水溶液を使用することができる。本発明は、計量した乾燥セフロキシムを含有するバイアル又はアンプルの、いかなる特定の調製方法によっても限定されるものではない。セフロキシムを含有する水溶液を送達してから凍結乾燥する代わりに、送達される粉末の量を調節することができるマイクロジェットを使用して(例えばHarro Hoefliger,Allmersbach im Tal,Germanyの「Omnidose」マイクロドージングシステム)、バイアルを粉末充填することができる。セフロキシムの滅菌粉末充填に特に好適であるのは、I.M.A.(Industria Macchine Automatiche)S.p.A,Bologna,Italy製のMICROFILL高速マイクロドージング機、特にMICROFILL SERIES 400機である。更なる手法として可能なものには、バイアルにセフロキシムのジメチルスルホキシド溶液(10%w/vまで)を滅菌充填することが含まれるであろう。
患者の眼内注射用のセフロキシム溶液を調製するために、再構成用シリンジ(又は第2の貫通可能なバイアル)中に含有された全体積の液体を、セフロキシムを含有する(貫通可能な又は第1の貫通可能な)バイアルに移送し、バイアルを手作業で攪拌してセフロキシムの均質な溶液を得る。好ましくは、この抗生物質は10mg/mlの濃度でバイアル中に存在することになろう。好ましい実施例において、(第1の)貫通可能なバイアルは50〜100mgのセフロキシムを含有し、再構成用シリンジ又は第2の貫通可能なバイアルは5〜10mlの等張塩溶液を含有し、塩溶液の体積は、10mg/mlのセフロキシムを含有する溶液が得られるように、セフロキシムの量に合わせて調整される。次いで、セフロキシム溶液のアリコートは、バイアルからアリコートを受け入れるのに適切な寸法の送達シリンジ中に抜き出される。好ましいのは0.1mlの放出可能な体積を備えた送達シリンジである。送達シリンジ中に含有される全体積のセフロキシム溶液が、白内障処置又は他の眼科手術の最後に前房内に注射される。送達シリンジは、シリンジが利用できるのは単回の注射処置のみであることを確実にするために、自動不能化機構を組み入れていることが好ましく、これによって、シリンジの反復使用に固有の汚染のリスクが低減されることに留意されたい。送達シリンジは、ピストンストッパーを特徴とすることもできる。自動不能化の特徴は再構成用シリンジに必須ではないと思われるが、本発明の送達システムの実施形態は自動不能化型再構成用シリンジを含むこともできる。充填体積0.1mlを示す印を含有することを条件に、放出可能な体積がより大きい送達シリンジを使用することができる(約1mlまで)ことに留意されたい。本発明の送達システムの簡易型バージョンでは、再構成用シリンジは送達シリンジも兼務することに更に留意されたい。自明の理由により、かかる送達システム中の再構成用シリンジは、自動不能化機構を含むことにはならない。
送達システムの構成要素は、通常熱化塑性材料で作製された適切な密封容器中に存在する。送達システムの構成要素のかかる容器中への包装は、当該技術分野において周知の方法及び手順を使用して、滅菌又は清浄条件で行うことができる。取扱説明書を、外装に取付け、外装の内側に添付、送達システムを含有する密封容器に印刷、又は容器の内側に添付する。取扱説明書は2回以上提示してもよい。送達システムのある実施形態は複数回用送達シリンジを含有する。送達システム1つにつき、1つの(好ましくは自動不能化型)送達シリンジが、汚染のリスクを最小限に維持するために好ましい。
本発明の送達システムの上記の実施形態では、貫通可能なバイアル中のセフロキシムを10mg/mlの濃度に溶解し、体積0.1mlを眼内に注射して、所望の量である1mgのセフロキシムを眼内に堆積させる。当業者には明らかであろうが、同等又はほぼ同等の送達システムを製造することができ、その送達システムにおいて、貫通可能なバイアル中のセフロキシムが異なる濃度に溶解されるが、1mgの薬物が堆積されるように、眼内に注射する体積に必要な補填がなされることを条件とする。例えば、1mlの等張塩溶液を含有する再構成用シリンジを使用して5mgの量のセフロキシムを溶解した場合、体積0.2mlのセフロキシム溶液を眼に送達することができる送達シリンジを関連づけることになろう。かかる同等の送達システムは、本発明の範囲内であると考えられる。この考えは、以下に記載する同等又は代替の送達システムにも適用される。
安全送達システムは、使用時まで滅菌を確実にするために「閉鎖」システムである。送達システムの(滅菌した)構成要素はアセンブルされ、密封容器に包装される。必須ではないが、このアセンブリー及び包装は滅菌条件で行うことができる。かかる滅菌のアセンブリーによって、種々の任意選択の構成要素の滅菌包装ができる。アセンブリー及び密封容器への包装が滅菌条件で行われない場合、送達システム構成要素は、例えばブリスターパックに個々に滅菌包装される。
安全送達システムによって、ユーザーは、前房内注射に適切な用量のセフロキシムを簡便にかつ確実に調製することができる。適切な用量は、上記の大規模臨床研究で使用されたとおり、1mgのセフロキシムである。保護包装、カバー及び針シールド並びに構成要素のアセンブリーを取り外すことの他に、本発明の送達システムを使用する適切な用量のセフロキシムの調製は、3つの簡易なステップを必要とする。最初のステップは、再構成用プレフィルドシリンジ又は第2の貫通可能なバイアルに含有される全体積の等張塩溶液を、セフロキシムを含有する第1の貫通可能なバイアルの隔壁又はストッパーを通過させて導入するものである。ステップ2は、この第1のバイアルを手作業で規定の回数振盪し、セフロキシムの均質な溶液を得るというものである。最後のステップは、送達シリンジ(場合により、空にした再構成用シリンジ)に規定の体積のセフロキシム溶液を、セフロキシムを含有するバイアルから充填するものである。
安全送達システムを使用すると、ユーザーによる重大な誤差の可能性が大幅に低減される。再構成用シリンジ(又は第2の貫通可能なバイアル)中に含有される液体の体積は、薬物を含有するバイアル中に10mg/mlのセフロキシム溶液を調製するために必要な体積である。従って、ユーザーは、再構成用シリンジ又は第2の貫通可能なバイアルの中味を、セフロキシムを含有するバイアル中に移すだけでよい。ごくわずかな量の液体を移送しようとするだけなら、目盛を読む際に発生しうる誤差は回避される。送達シリンジ(又は簡易型送達システム中の再構成用シリンジ)は、目盛の読み誤りによる重大な偶発的過剰充填が発生してはならないように、印がついている。理想的には、送達シリンジの寸法は、実質的に送達シリンジの全内容物を眼内注射しなければならないような寸法である(1mgのセフロキシムを堆積させるため)。いずれにしても、せいぜい送達シリンジ(又は簡易型送達システム中の再構成用シリンジ)の単一の目盛を、患者の眼内への正確な薬物用量の注射を準備する開業医が確認する必要があるだけである。
送達システムによって、病院の薬局又は開業医による適切なセフロキシム用量の調製における固有の誤差が大幅に低減される。上記のとおり、適切なセフロキシム用量を調製するためにESCRSの研究で使用されたプロトコールは16の異なるステップを包含していた。これらのうち8ステップに、偶発的な誤差(調製者の過失)及び定誤差(不可避の不正確さによる小さな誤差)が発生する可能性がある。薬物を含有するバイアル中のセフロキシムの量及び再構成用プレフィルドシリンジ(又は希釈剤を含有するバイアル)中の液体の体積が正確である(製造者による品質管理の結果として)と仮定すると、セフロキシム用量を調製するために送達システムを使用する際に偶発的な誤差が発生しうるのは、2ステップのみでありうる。定誤差が発生しうるのは1ステップのみである。従って、送達システムを使用すると、眼に送達されるセフロキシム用量に影響する偶発的誤差及び定誤差が劇的に低減されるはずであり、従って、予防レジメンの安全性が高まることが期待される。
送達システムの取扱いは、開業医もしくはその製剤室又は薬局が適切なセフロキシム用量を調製するのと比較して簡易である。上記のとおり、ESCRSの研究によって規定された16ステップは、送達システムでは、保護包装、カバー及び針シールド並びに構成要素のアセンブリーを取り外すこと、及び3つの簡単な操作に置き換わる。操作の複雑さがこのように実質的に低減されると、開業医の作業負荷が低減され、かつ/又は連係して働く薬局の活動の必要性が排除されるであろう。市場においてセフロキシムの安全送達システムが利用可能になると、適切な用量を個別調製する不便さのためであれ、かかるセフロキシム用量の個別調製の間に発生しうる可能性のある過失に対する懸念のためであれ、これまでセフロキシムを使用したことのない開業医が、眼内炎の発生を低減することが証明されているこの予防レジメンを利用するようにもなるであろう。
セフロキシム安全送達システムは、安価に製造されるべきである。送達システムの価格が低いほど、開業医は、上記のセフロキシム予防法、即ち誤差のリスク並びに汚染及び患者への過量投与(細胞障害効果の危険)又は過小量投与(有効性の欠如、細菌耐性の発生を亢進する危険)が起こるかもしれないという危険を伴いながらセフロキシム用量を自分で調製する代わりに、送達システムを利用する見込みが大きくなるであろう。上記の好ましい送達システムのうちいくつかは、有効な解決策に加えて低コストを提供する。なぜなら、その構成要素は、製造が比較的簡単で、供給業者から容易に入手可能であるからである。
最適なセフロキシム安全送達システムをアセンブルするという課題に対する他の解決策は、下に挙げられる。しかし、これらの解決策はより複雑でそれゆえ一般的にはより高価な技術を組み入れているのが主な理由で、これらの送達システムは、上記の送達システムよりコスト効率がよくない場合がある。例えば、2チャンバー又は混合用シリンジを使用することができる。かかるシリンジは、乾燥セフロキシム又はセフロキシムを一方のチャンバー中に、希釈剤即ち等張塩溶液を他方のチャンバー中に入れることができ、2つのチャンバーの内容物の混合が引き起こされて所望のセフロキシム溶液を生成することができる。2チャンバーシリンジの例は、米国特許第3,327,710号明細書、同第3,380,451号明細書、同第4,581,016号明細書、同第4,874,381号明細書、同第5,779,668号明細書、同第6,419,656号明細書、同第6,770,052号明細書及び同第6,817,987号明細書、米国再審査済み特許第35986号明細書、欧州特許出願公開第112574号明細書に記載された。雄ルアーフィッティングを備えた2チャンバーシリンジは、Vetter Pharma(Lyo−Ject(登録商標))を含むいくつかの供給源から得ることができる。特に、所望の用量のセフロキシム(1mg)を患者の眼に投与するための安全送達システムには、1mgのセフロキシムを滅菌充填し、第2のチャンバー中に0.1mlの等張塩溶液を含有する2チャンバーシリンジを含めることができる(死容積はシリンジをわずかに過剰充填することによって補填することができる)。シリンジは、好ましい安全送達システムのために上記のとおり清浄な又は滅菌の方法で、容器に包装することができる。取扱説明書も送達システムと一緒に提供することができる。上記の送達システムと同様に、この送達システムにも雌ルアーフィッティングを備えたシールド付きの注射針を含めることができる。
類似の安全送達システムは、雄ルアーフィッティングを備えた2チャンバーシリンジ、少なくとも2チャンバーシリンジと同じ量の液体を入れることができる、貫通可能な空の滅菌バイアル又はアンプル、及び雄ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数の0.1mlの送達シリンジを含む。雌ルアーフィッティングを備えた、バイアルアダプター又はシールド付き滅菌針も、滅菌バイアルに、及び滅菌バイアルから液体を移送するために用意される。2チャンバーシリンジは、例えば、5mgの乾燥セフロキシムを一方のチャンバー中に含有し、0.5mlの放出可能な等張塩溶液を他方のチャンバー中に含有する。シリンジ機構を起動すると、2つのチャンバーの内容物が混合され、得られるセフロキシム等張溶液を空の滅菌バイアルに移送することができる。1つ又は複数の送達シリンジに、このバイアルから0.1mlの放出可能なセフロキシム溶液を充填することができる。送達システムは、好ましい安全送達システムのために上記のとおり清浄な又は滅菌の方法で、容器に包装することができる。取扱説明書も送達システムと一緒に提供することができる。特に、複数用量のセフロキシムを用意することが意図される場合、送達システムは複数回使用のバイアルアダプターを含有する。バイアルアダプターを利用しないシステムには、雌ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数の追加のシールド付き針を含めることができる(セフロキシム溶液をバイアルから抜き出すため)。
別の実施形態では、安全送達システムは、2チャンバーの貫通可能なバイアルを含む。チャンバーの一方には、セフロキシム粉末(例えば5mg)を滅菌充填し、他方のチャンバーには適切な体積の等張塩溶液(例えば、0.5ml)を入れる。バイアル中に組み入れられているのは、作動すると乾燥セフロキシムを含有するチャンバー中に塩溶液を放出して再構成する機構である。手作業で攪拌して均質なセフロキシム溶液を得た後、送達シリンジ(複数可)は前房内注射用の単一用量である0.1mlのセフロキシム溶液を抜き出すために使用されることになる。バイアルアダプター(好ましくは弁付き)又はシールド付き針(複数可)は、この、セフロキシム溶液の送達シリンジ(複数可)中への抜き出しに必要となろう。好適な2チャンバーのバイアル又はカートリッジシステムは、業務用として入手可能であり、例えばPfizer CentreSource(Kalamazoo,MI)製Act−0−Vial及び台湾のDegill International Corp.製「EZ Fusion two−in−one」がある。構成要素を挙げると、送達システムは、セフロキシム及び等張塩溶液を含有する2チャンバーのバイアル又はカートリッジ、雄ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数の0.1mlの滅菌した送達シリンジ、及び液体をバイアルから送達シリンジ(複数可)中に抜き出すためのバイアルアダプター又は雌ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数の針を含む。送達システムは、好ましい安全送達システムのために上記のとおりアセンブルされ、容器に包装され、ユーザー情報を含有することになろう。送達システムは、雌ルアーフィッティングを備えた1つ又は複数のシールド付き注射針を含むこともできる。
本明細書における値の範囲の記載は、他に示されていない限り、単にその範囲内に属する個別の値を1つずつ記載する代わりの簡略法として役に立つことを意図するものであり、個別の値は、本明細書に1つずつ記載されたものであるかのように、本明細書に組み込まれる。
本明細書において要素又は複数の要素への言及などの用語を使用して本発明の任意の態様又は実施形態を記載することは、他に断りもなく、文脈上明確に否定もされない限り、その特定の要素又は複数の要素「からなる」、「から実質的になる」又は「を実質的に含む」、類似の本発明の態様又は実施形態を支持することを意図するものである。(例えば、特定の要素を含むものとして本明細書に記載された組成物は、他に断りもなく、文脈上明確に否定もされない限り、その要素からなる組成物も記載しているものとして理解されるべきである)。「手段」への言及は、任意選択的に1つ又は複数の機構として特徴づけることができる。
本発明は、準拠法によって認められる最大限の範囲において、本明細書中の態様又は本明細書に添付の特許請求の範囲に記載された主題のすべての変形及び均等物を含む。