JP2014241345A - 炭化珪素半導体装置の製造方法 - Google Patents

炭化珪素半導体装置の製造方法 Download PDF

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Kenji Kambara
健司 神原
和田 圭司
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【課題】電流経路を減少させることなく、ショットキー界面における電界集中を抑制可能な炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することである。【解決手段】炭化珪素半導体装置の製造方法は、以下の工程を有している。第1の主面10aを有し、第1の主面10aと連接する側部2aと、側部2aと連接する底部2bとにより形成された凹部2を有するn型炭化珪素層14が準備される。第1の主面10aと、側部2aと、底部2bとに接するp型炭化珪素領域3がエピタキシャル成長により形成される。側部2aおよび底部2bに接するp型炭化珪素領域3の第1の部分3aを残しつつ、第1の主面10aと接するp型炭化珪素領域3の第2の部分3bが除去される。p型炭化珪素領域3の第1の部分3aおよび第1の主面10aに接するショットキー電極50が形成される。【選択図】図1

Description

本発明は、炭化珪素半導体装置の製造方法に関するものであり、より特定的には、炭化珪素層をエピタキシャル成長により形成する工程を備えた炭化珪素半導体装置の製造方法に関するものである。
近年、ショットキーバリアダイオードなどの半導体装置の高耐圧化、低損失化、高温環境下での使用などを可能とするため、半導体装置を構成する材料として炭化珪素の採用が進められつつある。炭化珪素は、従来から半導体装置を構成する材料として広く使用されている珪素に比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体である。そのため、半導体装置を構成する材料として炭化珪素を採用することにより、半導体装置の高耐圧化、オン抵抗の低減などを達成することができる。また、炭化珪素を材料として採用した半導体装置は、珪素を材料として採用した半導体装置に比べて、高温環境下で使用された場合の特性の低下が小さいという利点も有している。
たとえば、K.Okumuraら外4名,"Ultra Low On-Resistance SiC Trench Devices", Power Electronic Europe, Issue 4, 2012(非特許文献1)には、n型SiC層の表面に複数のトレンチp型領域が形成され、当該トレンチp型領域内にショットキー金属が形成されたトレンチ型ショットキーダイオードが記載されている。当該トレンチ型ショットキーダイオードによれば、トレンチp型領域によってショットキー界面における電界集中を抑制可能であるとされている。
K.Okumuraら外4名,"Ultra Low On-Resistance SIiC Trench Devices", Power Electronic Europe, Issue 4, 2012
上記文献に記載のトレンチ型ショットキーダイオードにおいて、トレンチの角部にイオン注入することにより、トレンチp型領域が形成されていると考えられる。しかしながら、トレンチの角部にイオン注入する場合、トレンチの内部のみならず、トレンチの外部の表面においてもp型領域が形成される。トレンチの外部の表面にp型領域が形成されると、ショットキー電極がn型領域と接触する面積が小さくなるため電流経路が減少してしまう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電流経路を減少させることなく、ショットキー界面における電界集中を抑制可能な炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明に係る炭化珪素半導体装置の製造方法は、以下の工程を有している。第1の主面と、第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、第1の主面に開口し、第1の主面と連接する側部と、側部と連接する底部とにより形成された凹部を有し、かつn型の導電型を有するn型炭化珪素層が準備される。第1の主面と、側部と、底部とに接し、かつp型の導電型を有するp型炭化珪素領域がエピタキシャル成長により形成される。側部および底部に接するp型炭化珪素領域の第1の部分を残しつつ、第1の主面と接するp型炭化珪素領域の第2の部分が除去される。p型炭化珪素領域の第1の部分および第1の主面に接するショットキー電極が形成される。
本発明によれば、電流経路を減少させることなく、ショットキー界面における電界集中を抑制可能な炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の構造を概略的に示す断面模式図である。 図1における領域IIの拡大図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を概略的に示すフロー図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法の第1の工程を概略的に示す断面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法の第2の工程を概略的に示す断面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法の第3の工程を概略的に示す断面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法の第4の工程を概略的に示す断面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法の第5の工程を概略的に示す断面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法の第6の工程を概略的に示す断面模式図である。 本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法の第7の工程を概略的に示す断面模式図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
はじめに、本発明の実施の形態の概要について説明する。
(1)実施の形態に係る炭化珪素半導体装置1の製造方法は、以下の工程を有している。第1の主面10aと、第1の主面10aと反対側の第2の主面14bとを有し、第1の主面10aに開口し、第1の主面10aと連接する側部2aと、側部2aと連接する底部2bとにより形成された凹部2を有し、かつn型の導電型を有するn型炭化珪素層14が準備される。第1の主面10aと、側部2aと、底部2bとに接し、かつp型の導電型を有するp型炭化珪素領域3がエピタキシャル成長により形成される。側部2aおよび底部2bに接するp型炭化珪素領域3の第1の部分3aを残しつつ、第1の主面10aと接するp型炭化珪素領域3の第2の部分3bが除去される。p型炭化珪素領域3の第1の部分3aおよび第1の主面10aに接するショットキー電極50が形成される。
実施の形態に係る炭化珪素半導体装置1の製造方法によれば、側部2aおよび底部2bに接するp型炭化珪素領域3の第1の部分3aを残しつつ、第1の主面10aと接するp型炭化珪素領域3の第2の部分3bが除去される。第1の主面10aと接するp型炭化珪素領域3の第2の部分3bが除去されることにより、ショットキー電極50がn型炭化珪素層14と接触する面積が確保されるので、電流経路が減少することを抑制することができる。また凹部2の側部2aおよび底部2bに接するp型炭化珪素領域3の第1の部分3aが残るので、ショットキー界面である第1の主面10aに形成された凹部2の角部4における電界集中を緩和することができる。
(2)上記実施の形態に係る炭化珪素半導体装置1の製造方法において好ましくは、p型炭化珪素領域3の第2の部分3bを除去する工程は、化学的機械研磨により行われる。これにより、第1の主面10aの表面粗さの面内分布を低減することができる。
(3)上記実施の形態に係る炭化珪素半導体装置1の製造方法において好ましくは、p型炭化珪素領域3の第2の部分3bを除去する工程において、残されたp型炭化珪素領域3の第1の部分3aの底部2bの中央の位置Oにおける第1の主面10aに垂直な方向の寸法aは、0.2μm以上1.0μm以下である。当該寸法aが0.2μm以上であれば、p型炭化珪素領域3の第1の部分3aの厚みが空乏層の広がりよりも大きくなるので、パンチスルーによる電界破壊を抑制することができる。また当該寸法aが1.0μm以下であれば、凹部2が完全に埋まってしまうことを抑制することができる。
(4)上記実施の形態に係る炭化珪素半導体装置1の製造方法において好ましくは、p型炭化珪素領域3の第2の部分3bを除去する工程において、残されたp型炭化珪素領域3の第1の部分3aの第1の主面10aおよび側部2aが接する位置における第1の主面10aに沿った方向の寸法bは、0.2μm以上1.0μm以下である。当該寸法bが0.2μm以上であれば、p型炭化珪素領域3の第1の部分3aの厚みが空乏層の広がりよりも大きくなるので、パンチスルーによる電界破壊を抑制することができる。また当該寸法bが1.0μm以下であれば、凹部が完全に埋まってしまうことを抑制することができる。
(5)上記実施の形態に係る炭化珪素半導体装置1の製造方法において好ましくは、ショットキー電極50を形成する工程は、ショットキー電極50が凹部2内のp型炭化珪素領域3の第1の部分3aに接するように形成される。これにより、ショットキー電極50とp型炭化珪素領域3の第2の部分3bとの接触面積を大きくすることができる。
次に、本発明の実施の形態についてより詳細に説明する。
まず、本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体装置であるジャンクションバリアショットキーダイオード(以下、JBSと称す)の構造について、図1および図2を参照して説明する。
図1に示すように本実施の形態のJBS1は、炭化珪素層10と、ショットキー電極50と、カソード電極30と、上部配線60と、パッド電極40と、保護膜70とを主に有している。炭化珪素層10は、たとえばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素からなり、かつn型の導電型を有している。
炭化珪素層10は、第1のp型領域3aと、第2のp型領域16bと、第3のp型領域16aと、第1のn型領域14と、第2のn型領域17と、n+基板11とを含んでいる。第1のn型領域14は、第1の主面10aと、第1の主面10aとは反対側の第2の主面14bとを有している。第1のn型領域14、第1の主面10aに開口し、第1の主面10aと連接する側部2aと、側部2aと連接する底部2bとにより形成された凹部2を有している。
第1のp型領域3a、第2のp型領域16bおよび第3のp型領域16aの各々は、たとえばアルミニウム(Al)やホウ素(B)などの不純物がイオン注入されたp型の導電型を有する炭化珪素領域である。第1のp型領域3aにおけるアルミニウムなどの不純物濃度は、たとえば1×1019cm-3程度である。第2のp型領域16bおよび第3のp型領域16aの各々は、たとえばガードリング領域である。第2のp型領域16bおよび第3のp型領域16aの各々におけるアルミニウムなどの不純物濃度は、たとえば1×1017cm-3以上3×1017cm-3以下程度である。第1のp型領域3a、第2のp型領域16bおよび第3のp型領域16aの各々は、第1の主面10aに接している。第2のp型領域16bは、平面視(第1の主面10aに垂直な方向から見た視野)において、第3のp型領域16aの外側に配置され、第1のp型領域3aを取り囲んでいる。
n+基板11は、単結晶炭化珪素からなり、たとえば窒素(N)などの不純物を含んでいる。n+基板に含まれるたとえば窒素などの不純物の濃度は、たとえば5×1018cm-3程度である。第1のn型領域14は、炭化珪素エピタキシャル層であり、たとえば窒素(N)などの不純物を含んでいる。n+基板11と第1のn型領域14との間に電界停止層が設けられていてもよい。電界停止層に含まれる窒素などの不純物濃度はたとえば5×1017cm-3程度以上1×1018cm-3程度以下である。第1のn型領域14に含まれる窒素などの不純物濃度はたとえば7×1015cm-3である。第1のn型領域14は、第1の主面10aに接している。第1のn型領域14は、凹部2を形成する側部2aおよび底部2bに接しており、側部2aおよび底部2bにおいて第1のp型領域3aと接している。第2のp型領域16bは、炭化珪素層10内において、第1のn型領域14において第1の主面10aから第2の主面14bに向かって伸長するように形成されている。
第2のn型領域17は、平面視において、第2のp型領域16bを取り囲み、断面視において第1の主面10aに接している。第2のn型領域17は、たとえばリン(P)などがイオン注入されたn型の導電型を有するフィールドストップ領域である。第2のn型領域17における不純物濃度は、第1のn型領域14における不純物濃度よりも高い。
図2を参照して、n型炭化珪素層14の第1の主面10aに形成された凹部2の底部2bの第1の主面10aに沿った方向の寸法Wはたとえば1μm以上2μm以下程度であり、凹部2の側部2aの第1の主面10aに垂直な方向の寸法Dはたとえば0.3μm程度であり、好ましくは0.1μm以上2μm以下程度である。好ましくは、凹部2の底部2bの中央の位置Oにおける第1の主面10aに垂直な方向の第1のp型領域3aの寸法aは、0.2μm以上1.0μm以下である。また好ましくは、第1の主面10aに沿った方向における第1のp型領域3aの寸法bは、0.2μm以上1.0μm以下である。
ショットキー電極50は、第1の主面10aにおいて第1のn型領域14に接している。ショットキー電極50は、第1のn型領域14とショットキー接合している。ショットキー電極50は、第1のp型領域3aおよび第3のp型領域16aに接している。第3のp型領域16aは第1の主面10aにおいてショットキー電極50の外周端部50aと接している。ショットキー電極50は、たとえばチタン(Ti)からなる。ショットキー電極50として、チタン以外にもたとえばニッケル(Ni)、窒化チタン(TiN)、金(Au)、モリブデン(Mo)およびタングステン(W)など、炭化珪素層10とショットキー接合可能な金属であればよい。
図1を参照して、ショットキー電極50に接して上部配線60が形成されている。上部配線60はたとえばアルミニウムからなり、上部配線60の厚みはたとえば5μm程度である。上部配線60、ショットキー電極50および第1の主面10aに接して保護膜70が形成されている。保護膜70は、第1の主面10aにおいて第2のp型領域16bおよび第2のn型領域17と接している。また、n+基板11の第3の主面10bと接してカソード電極30が配置されている。カソード電極30はたとえばニッケルからなる。さらに、カソード電極30に接してたとえばチタン、ニッケル、銀やそれらからなる合金からなるパッド電極40が配置されている。
次に、本発明の一実施の形態に係る炭化珪素半導体装置であるJBS1の製造方法について、図3〜図10を参照して説明する。
図4を参照して、まず、エピタキシャル基板準備工程(S10:図3)が実施される。具体的には、たとえばポリタイプが4Hである六方晶炭化珪素からなるインゴット(図示しない)をスライスすることにより、n型の導電型を有するn+基板11が準備される。n+基板には、たとえば窒素(N)などの不純物が含まれている。n+基板に含まれる不純物濃度は、たとえば5×1018cm-3程度である。
次に、n型の導電型を有するn型炭化珪素層14がエピタキシャル成長によって形成される。n型炭化珪素層14に含まれる窒素などの不純物濃度はたとえば7×1015cm-3程度である。n型炭化珪素層14の厚みはたとえば15μm程度である。n型炭化珪素層14を形成する前に、n+基板11上にn型炭化珪素層14よりも高い不純物濃度を有する電界停止層を形成し、その後、電界停止層上にn型炭化珪素層14が形成されてもよい。
次に、凹部形成工程(S20:図3)が実施される。具体的には、図5を参照して、たとえばフォトリソグラフィー法を用いて、第1の主面10aに開口し、第1の主面10aと連接する側部2aと、側部2aと連接する底部2bとにより形成された凹部2がn型炭化珪素層14の第1の主面10aに形成される。凹部2の底部2bの第1の主面10aに沿った方向の寸法Wはたとえば1μm以上2μm以下程度であり、凹部2の側部2aの第1の主面10aに垂直な方向の寸法Dはたとえば0.3μm程度である。当該寸法Dは当該寸法Wより小さくてもよい。好ましくは、凹部2は第1の主面10aと平行な方向に沿って間隔を隔てて複数形成される。隣り合う2つの凹部2の間隔Pは、たとえば1μm以上1.5μm以下程度である。以上により、第1の主面10aと、第1の主面10aと反対側の第2の主面14bとを有し、第1の主面10aに開口し、第1の主面10aと連接する側部2aと、側部2aと連接する底部2bとにより形成された凹部2を有し、かつn型の導電型を有するn型炭化珪素層14が準備される。
次に、イオン注入工程が実施される。具体的には、図6を参照して、たとえばAl(アルミニウム)イオンが、第1の主面10aからn型炭化珪素層14内に注入されることにより、第2のp型領域16bと、第3のp型領域16aとが、n型炭化珪素層14内において第1の主面10aに接するように形成される。第2のp型領域16bおよび第3のp型領域16aの各々は、平面視において、複数の凹部2全体を取り囲むように形成されてもよい。第2のp型領域16bおよび第3のp型領域16aの各々の不純物濃度は、たとえば1×1017cm-3以上3×1017cm-3以下程度である。同様に、たとえばP(リン)などが、n型炭化珪素層14内に注入されることにより、導電型がn型である第2のn型領域17が形成される。第2のn型領域17は、平面視において、第2のp型領域16bおよび第3のp型領域16aの各々を取り囲むように形成されてもよい。
次に、活性化アニール工程が実施される。具体的には、たとえばアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中、1800℃程度の温度で炭化珪素層10が加熱されることにより、上記イオン注入工程にて導入された不純物が活性化される。これにより、不純物が導入された領域において所望のキャリアが生成する。以上により、第2のp型領域16bと、第3のp型領域16aと、第1のn型領域14と、第2のn型領域17と、n+基板11とを有し、第1の主面10aにおいて複数の凹部2が形成された炭化珪素基板10が準備される。
次に、p型炭化珪素領域形成工程(S30:図3)が実施される。具体的には、図7を参照して、第1のn型領域14の第1の主面10aと、凹部2の側部2aと、凹部2の底部2bとに接し、かつp型の導電型を有するp型炭化珪素領域3がエピタキシャル成長により形成される。p型炭化珪素領域3の厚みは、たとえば0.2μm以上1.0μm以下程度である。
次に、p型炭化珪素領域の第2の部分除去工程(S35:図3)が実施される。具体的には、図8を参照して、たとえば化学的機械研磨により、第1のn型領域14の第1の主面10aに接しているp型炭化珪素領域3の第2の部分3bを研磨することにより、p型炭化珪素領域3の第2の部分3bが除去されて、第1のn型領域14の第1の主面10aがp型炭化珪素領域3から露出する。第2のp型領域16bと、第3のp型領域16aと、第2のn型領域17とがp型炭化珪素領域3から露出してもよい。以上により、凹部2の側部2aおよび底部2bに接するp型炭化珪素領域3の第1の部分3aを残しつつ、第1のn型領域14の第1の主面10aと接するp型炭化珪素領域3の第2の部分3bが除去される。
好ましくは、p型炭化珪素領域の第2の部分を除去する工程において、残されたp型炭化珪素領域3の第1の部分3aの底部2bの中央の位置Oにおける第1の主面10aに垂直な方向の寸法a(図2参照)は、0.2μm以上1.0μm以下程度であり、より好ましくは0.3μm以上0.7μm以下程度である。また好ましくは、p型炭化珪素領域の第2の部分を除去する工程において、残されたp型炭化珪素領域3の第1の部分3aの第1の主面10aに沿った方向の寸法b(図2参照)は、0.2μm以上1.0μm以下であり、より好ましくは0.3μm以上0.7μm以下程度である。
次に、ショットキー電極形成工程(S40:図3)が実施される。具体的には、図9を参照して、たとえばチタン(Ti)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)などを含むショットキー電極50が、第1のn型領域14の第1の主面10aと接し、かつp型炭化珪素領域3の第1の部分3aに接するように形成される。ショットキー電極50の外周端部50aが第1のp型領域3aの外周側に配置されている第3のp型領域16aと接するように、ショットキー電極50が形成されてもよい。好ましくは、ショットキー電極50が凹部2内に入り込み、凹部2内のp型炭化珪素領域3の第1の部分3aに接するように形成される。
次に、アニール工程(S50:図3)が実施される。図9を参照して、第1のn型領域14、第1のp型領域3aおよび第3のp型領域16aの各々に接するショットキー電極50が形成された炭化珪素層10が、たとえば500℃程度の温度でアニールされる。アニール温度は、好ましくは、400℃以上700℃以下程度であり、より好ましくは、350℃以上500℃以下程度である。これにより、ショットキー電極50は、炭化珪素層10の第1のn型領域14とショットキー接合するように形成される。
次に、上部配線形成工程(S60:図3)が実施される。図10を参照して、たとえば、ショットキー電極50上にアルミニウムからなる上部配線60が形成される。その後、たとえば化学的気相成長法により、上部配線60、ショットキー電極50および第1の主面10aに接する保護膜70が形成される。保護膜70は、たとえば二酸化珪素、窒化珪素またはそれらの積層膜からなる。
次に、裏面研削工程が実施されてもよい。たとえば炭化珪素層10の第3の主面10bを研削することにより、炭化珪素層10の厚みが低減される。研削後の炭化珪素層10の厚みはたとえば100μm以上150μm以下程度である。
次に、カソード電極形成工程(S70:図3)が実施される。具体的には、炭化珪素層10の第3の主面10bと接触するように、たとえばニッケルからなるカソード電極30が形成される。次に、たとえば、第3の主面10b上に形成されたカソード電極30に対してレーザー光が照射される。レーザーとして、たとえば波長が355nmのYAGレーザーが用いられる。カソード電極30に対してレーザー光が照射されることにより、カソード電極30が1000℃程度に加熱される。これにより、炭化珪素層10とオーミック接合するカソード電極30が形成される。次に、カソード電極30に接して、たとえばチタン、白金、金またはそれらからなる合金からなるパッド電極40が形成される。これにより、図1に示す炭化珪素半導体装置としてのJBS1が完成する。
なお、上記実施の形態において、イオン注入工程および活性化アニール工程が、p型炭化珪素領域形成工程の前に行われる場合について記載したが、本発明は上記実施の形態に限定されない。イオン注入工程および活性化アニール工程は、p型炭化珪素領域形成工程の後に行われてもよい。
また、上記実施の形態において、凹部形成工程が、イオン注入工程の前に行われる場合について記載したが、凹部形成工程は、イオン注入工程の後に行われてもよい。
次に、本実施の形態に係るJBS1の製造方法の作用効果について説明する。
本実施の形態に係るJBS1によれば、凹部2の側部2aおよび底部2bに接するp型炭化珪素領域3の第1の部分3aを残しつつ、第1の主面10aと接するp型炭化珪素領域3の第2の部分3bが除去される。第1の主面10aと接するp型炭化珪素領域3の第2の部分3bが除去されることにより、ショットキー電極50がn型炭化珪素層14と接触する面積が十分確保されるので、電流経路が減少することを抑制することができる。また凹部2の側部2aおよび底部2bに接するp型炭化珪素領域3の第1の部分3aが残るので、ショットキー界面である第1の主面10aに形成された凹部2の角部4における電界集中を緩和することができる。
また本実施の形態に係るJBS1によれば、p型炭化珪素領域3の第2の部分3bを除去する工程は、化学的機械研磨により行われる。これにより、第1の主面10aの表面粗さの面内分布を低減することができる。
さらに本実施の形態に係るJBS1によれば、p型炭化珪素領域3の第2の部分3bを除去する工程において、残されたp型炭化珪素領域3の第1の部分3aの底部2bの中央の位置における第1の主面10aに垂直な方向の寸法aは、0.2μm以上1.0μm以下である。当該寸法aが0.2μm以上であれば、p型炭化珪素領域3の第1の部分3aの厚みが空乏層の広がりよりも大きくなるので、パンチスルーによる電界破壊を抑制することができる。また当該寸法aが1.0μm以下であれば、凹部2が完全に埋まってしまうことを抑制することができる。
さらに本実施の形態に係るJBS1によれば、p型炭化珪素領域3の第2の部分3bを除去する工程において、残されたp型炭化珪素領域3の第1の部分3aの第1の主面10aおよび側部2aが接する位置における第1の主面10aに沿った方向の寸法bは、0.2μm以上1.0μm以下である。当該寸法bが0.2μm以上であれば、p型炭化珪素領域3の第1の部分3aの厚みが空乏層の広がりよりも大きくなるので、パンチスルーによる電界破壊を抑制することができる。また当該寸法bが1.0μm以下であれば、凹部が完全に埋まってしまうことを抑制することができる。
さらに本実施の形態に係るJBS1によれば、ショットキー電極50を形成する工程は、ショットキー電極50が凹部2内のp型炭化珪素領域3の第1の部分3aに接するように形成される。これにより、ショットキー電極50とp型炭化珪素領域3の第2の部分3bとの接触面積を大きくすることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 炭化珪素半導体装置(JBS)、2 凹部、2a 側部、2b 底部、3 p型炭化珪素領域、3a 第1のp型領域(第1の部分)、3b 第2の部分
4 角部、10 炭化珪素層、10a 第1の主面、10b 第3の主面、11 基板、14 第1のn型領域(n型炭化珪素層)、14b 第2の主面、16a 第3のp型領域、16b 第2のp型領域、17 第2のn型領域、30 カソード電極、40 パッド電極、50 ショットキー電極、50a 外周端部、60 上部配線、70 保護膜、D,W,a,b 寸法。

Claims (5)

  1. 第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、前記第1の主面に開口し、前記第1の主面と連接する側部と、前記側部と連接する底部とにより形成された凹部を有し、かつn型の導電型を有するn型炭化珪素層を準備する工程と、
    前記第1の主面と、前記側部と、前記底部とに接し、かつp型の導電型を有するp型炭化珪素領域をエピタキシャル成長により形成する工程と、
    前記側部および前記底部に接する前記p型炭化珪素領域の第1の部分を残しつつ、前記第1の主面と接する前記p型炭化珪素領域の第2の部分を除去する工程と、
    前記p型炭化珪素領域の前記第1の部分および前記第1の主面に接するショットキー電極を形成する工程とを備えた、炭化珪素半導体装置の製造方法。
  2. 前記p型炭化珪素領域の前記第2の部分を除去する工程は、化学的機械研磨により行われる、請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  3. 前記p型炭化珪素領域の前記第2の部分を除去する工程において、残された前記p型炭化珪素領域の前記第1の部分の前記底部の中央の位置における前記第1の主面に垂直な方向の寸法は、0.2μm以上1.0μm以下である、請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  4. 前記p型炭化珪素領域の前記第2の部分を除去する工程において、残された前記p型炭化珪素領域の前記第1の部分の前記第1の主面および前記側部が接する位置における前記第1の主面に沿った方向の寸法は、0.2μm以上1.0μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  5. 前記ショットキー電極を形成する工程は、前記ショットキー電極が前記凹部内の前記p型炭化珪素領域の前記第1の部分に接するように形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
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