JP2014240650A - 船外機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】船外機1は、エンジン11と、エンジン11への燃焼用の空気の供給量を調整するスロットルボディー633と、スロットルボディー633の下流側において燃焼用の空気の吸気圧力を検出する吸気圧力検出器604と、スロットルボディー633とは別に燃焼用の空気の吸気を付加するISCバルブ634とを有し、吸気圧力検出器604により検出された吸気圧力が判別値未満になるとISCバルブ634が燃焼用の空気を供給し、この際に吸気圧力の低下の程度に基づいて判別値を補正する。
【選択図】図6
Description
例えば、特許文献1には、初期フリクションが存在する場合において、アイドリング回転状態まで急減速が行われる際に、初期フリクションに対応して空気量を補正する構成が開示されている。また、特許文献2には、スロットルボディーとは別系統の空気付加手段を有し、この空気付加手段によって、エンジンの回転数を調整する構成が開示されている。
まず、本発明の実施形態にかかる船外機1が適用される船舶7の構成について、図1を参照して説明する。図1に示すように、船外機1は、船尾(たとえば、船舶7のトランサムボード71)に、ブラケット装置140を介して取り付けられて使用される。
船舶7の略中央部には、操舵室72が設けられる。操舵室72には、使用者(操船者)が着座する操舵席721と、使用者が操作する操作パネル722とが設けられる。
操作パネル722には、タコメーターや速度計などの計器類635や、モニターなどの表示装置636や、警告ブザーなどの報知装置637や、操舵ハンドル73などが設けられる。
操舵席721の側方には、船外機1を操作するためのリモコンボックス74が設けられる。リモコンボックス74には、スロットルレバー742と、シフトレバー741と、ストップスイッチ621(エマージェンシースイッチ)とが設けられる。スロットルレバー742は、スロットルボディー633を操作してスロットル開度を調整するための操作部材である。シフトレバー741は、船舶7の前進/後進/中立を切替えるための操作部材である。ストップスイッチ621は、船外機1を緊急停止させるためのスイッチである。
図2に示すように、船外機1は、駆動力源としてのエンジン11(内燃機関)を有する。エンジン11には、たとえばバーティカル型(縦型)の水冷四気筒エンジンが適用される。この場合には、エンジン11は、シリンダヘッド111、シリンダブロック112、クランクケース113などとの組み合わせにより構成される。そして、船舶7に取り付けられた状態で最も前側にクランクケース113が配置され、クランクケース113の後側にシリンダブロック112が配置され、さらにシリンダブロック112の後側にシリンダヘッド111が配置される。
エンジン11は、エンジンホルダ104の上側に配置される。エンジンホルダ104の下側には、オイルパン103が配置される。そして、エンジンホルダ104とエンジン11とオイルパン103とは、エンジンカバー101によって覆われる。
ドライブシャフトハウジング102の内部には、ドライブシャフト120が回転可能に収容される。ドライブシャフト120は、軸線が略鉛直方向に沿うように配置されており、その上端部はエンジン11のクランクシャフト114に連結され、下端部はギアケース121内に達する。
ギアケース121内には、ドライブシャフト120の下端部と、プロペラシャフト123と、シフト装置122(逆転器)とが収容される。シフト装置122は、ドライブシャフト120からプロペラシャフト123への回転動力の断続と回転方向の正逆の切換を行う。プロペラシャフト123の後端部には、推進プロペラ126が設けられる。このように、エンジン11の回転動力は、ドライブシャフト120とシフト装置122とプロペラシャフト123を通じて、推進プロペラ126に伝達される。
なお、シフト装置122は、シフトロッド125によって、エンジンカバー101内に設けられるアクチュエーター124と連結されている。アクチュエーター124は、リモコンボックス74に設けられるシフトレバー741によって遠隔操作される。使用者は、リモコンボックス74のシフトレバー741を操作することにより、船舶7の前進/後進/中立の切替えを行うことができる。
スイベルブラケット141は、上下方向に沿って配置されるパイロットシャフト143を介して、船外機1の本体の前側に水平方向に回転可能(左右方向に揺動可能)に連結される。すなわち、スイベルブラケット141はパイロットシャフト143を回転可能に支持する。パイロットシャフト143の上端と下端は、それぞれ、アッパーマウントブラケット144とロアーマウントブラケット145を介して船外機1の本体の前側に固定される。アッパーマウントブラケット144には、ステアリングブラケット146が設けられる。ステアリングブラケット146は、図略のケーブルなどによって、操舵ハンドル73に連結される。使用者は、操舵ハンドル73の操作によって、船外機1の本体を、パイロットシャフト143を中心としてブラケット装置140に対して左右方向に操舵することができる。
トランサムブラケット142とスイベルブラケット141とは、船舶7の左右方向に沿って配置されるティルト軸147を介して、相対的に上下方向(ピッチング方向)に回転可能(揺動可能)に連結される。具体的には、ティルト軸147は左右方向に延伸するようにスイベルブラケット141に支持される。そして、トランサムブラケット142は、ティルト軸147を回転可能に支持する。
使用者は、ティルト軸147を中心として、船外機1の本体を上下方向にティルト操作およびトリム操作を行うことができる。なお、船外機1のティルトとトリムは、トリムアップ制御装置630とトリムダウン制御装置631とが、使用者の操作にしたがって油圧により行う。
なお、エンジンホルダ104の前部には、左右一対のアッパーマウントユニット149が設けられる。そして、エンジンホルダ104とアッパーマウントブラケット144とは、左右一対のアッパーマウントユニット149を介して結合される。また、ドライブシャフトハウジング102の両側部には、一対のロアーマウントユニット150が設けられる。ドライブシャフトハウジング102とロアーマウントブラケット145とは、一対のロアーマウントユニット150を介して連結される。
船体速度検出器600は、船舶7の航行速度を検出する。カム軸信号検出器601は、エンジン11のカム軸(図略)の角度を検出する。クランク角信号検出器602(回転数検出器)は、エンジン11のクランクシャフト114の角度(回転数)を検出する。スロットル開度検出器603(スロットルポジションセンサー)は、スロットル開度(エンジン11の吸気系4(後述)に含まれるスロットルボディー633の開度)を検出する。吸気圧力検出器604は、吸気系4の吸気圧力(吸気系内の気圧)を検出する。吸気温度検出器605は、吸気温度を検出する。エンジン温度検出器606(冷却水温度検出器)は、エンジン11の温度(冷却水の温度)を検出する。排気温度検出器607は、エンジン11の排気温度を検出する。エンジン傾斜角度検出器608は、エンジン11の傾斜角(トリム角)を検出する。スロットル操作検出器609は、スロットルレバー742の操作量を検出する。マニホールド温度検出器610は、吸気系4のインテークマニホールド44の温度を検出する。シリンダー温度検出器611は、エンジン11のシリンダー壁面の温度を検出する。シフト検出器622は、シフトレバー741のポジション(前進/後進/中立)を検出する。そして、これらの検出器による検出結果は、入力回路53に入力される。
なお、図3においては、船外機1のシステムが通信装置55を有し、船体速度検出器600による航行速度の検出結果はこの通信装置55を介して制御装置5に入力される構成を示す。ただし、他の検出器と同様に、船体速度検出器600による航行速度の検出結果は、入力回路53に入力される構成であってもよい。
スタートスイッチ620は、船外機の始動と停止の操作を行うためのスイッチである。ストップスイッチ621(エマージェンシースイッチ)は、船外機1を緊急停止させるためのスイッチである。
設定スイッチ623は、船外機1の各種設定を行うためのスイッチである。
PTTスイッチ(UP)624は、船外機1をトリムアップさせるためのスイッチである。PTTスイッチ(DOWN)625は、船外機1をトリムダウンさせるためのスイッチである。
これらの各操作部材(スイッチ)が操作されると、操作に応じた制御信号が制御装置5の入力回路53に入力される。
トリムアップ制御装置630は、船外機1のトリムアップを行う。トリムダウン制御装置631は、船外機1のトリムダウンを行う。インジェクター632は、燃焼用の空気に燃料を混合する。スロットルボディー633は、燃焼用の空気の供給量を制御する。ISCバルブ634は、エンジン11のアイドリング回転数を制御する。計器類635、表示装置636、報知装置637は、船外機1や船舶7に関する情報を使用者に提示する。フューエルポンプ638は、燃料タンク(図略)からエンジン11(インジェクター632)に燃料を供給する。イグニッションコイル639は、エンジン11のスパークプラグ45(図4参照)で放電するための高電圧を作り出す。
例えば、演算部51は、燃料の供給量情報に関する制御信号をフューエルポンプ638に出力しフューエルポンプ638の作動を制御する。燃料の噴射情報に関する制御信号をインジェクター632に出力しインジェクター632の作動を制御する。吸気量に関する制御信号をスロットルボディー633に出力しスロットルボディー633のスロットル開度を制御する。トリムアップ量とトリムダウン量に関する制御信号をトリムアップ制御装置630やトリムダウン制御装置631に出力する。また、演算部51は、エンジン11の回転数信号や、各機器の異常を報知する信号を、操作パネル722の計器類635(たとえばタコメーター)や表示装置636(たとえばモニター)や報知装置(たとえばブザー)に出力する。さらに演算部51は、点火装置56(電源回路57が接続される)に点火に関する制御信号を出力し、点火装置56は点火信号をイグニッションコイル639に出力し作動させる。
エンジン11の吸気系4は、エアーインテークサイレンサー41と、空気量調整手段としてのスロットルボディー633と、空気付加手段としてのISCバルブ634(アイドルスピードコントロールバルブ)と、インテークマニホールド44とを有する。そして、これらが、燃焼用の空気の供給経路を構成する。
エアーインテークサイレンサー41は、吸気音を低減する。エアーインテークサイレンサー41の下流側には、吸気温度を検出する吸気温度検出器605が設けられる。吸気温度検出器605により検出された吸気温度は、制御装置5の入力回路53に入力される。
スロットルボディー633は、エンジン11に供給する燃焼用の空気の流量を調整する。スロットルボディー633には、スロットル開度を検出するスロットル開度検出器603(スロットルポジションセンサー)が設けられる。制御装置5は、スロットル操作検出器609によるスロットルレバー742の操作量と、スロットル開度検出器603による開度の検出結果とに応じて、スロットル開度を制御する。
ISCバルブ634は、スロットル開度が全閉時(エンジン11のアイドリング回転時)において、燃焼用の空気を供給することにより、アイドリング回転時のエンジン11の回転数を制御する。また、スロットル開度が急激に全閉になった場合に、エンジン11の回転が停止することを防止または抑制する。
スロットルボディー633の下流側には、吸気圧力検出器604とインテークマニホールド44とが設けられる。吸気圧力検出器604は、スロットルボディー633の下流側において吸気圧力を検出する。インテークマニホールド44は、燃焼用の空気を各シリンダーに分配する。
インテークマニホールド44の下流側には、各シリンダーのインテークポートが接続される。インテークマニホールド44またはインテークポートには、燃焼用の空気に燃料を混合するインジェクター632が設けられる。
このほか、エンジン11には、シリンダーの壁温を検出するシリンダー温度検出器611が設けられる。
制御装置5は、エンジン11が回転している間は、吸気圧力検出器604によって吸気圧力を検出し、検出した吸気圧力が付加判別値未満になったか否かの監視(判定)を継続して行う。スロットルボディー633が急激に全閉になると、図5中の『スロットル全閉』以降に示すように、吸気圧力が急激に低下する。
制御装置5は、吸気圧力が付加判別値未満になった場合には、ISCバルブ634を制御し、吸気圧力と付加判別値との圧力差に応じて燃焼用吸気を供給する。これにより、スロットル開度が急激に全閉になった場合に、エンジン11の回転が停止すること(いわゆるエンスト)を防止または抑制する。
制御装置5は、吸気圧力検出器604により検出される吸気圧力が付加判別値未満になった場合に、吸気圧力が急激な低下を開始してから付加判別値に至るまでの吸気圧力の低下率を算出し、算出した低下率が閾値よりも大きいか否かを判定する。ここで、吸気圧力の低下率とは、単位時間当たりの低下量である。吸気圧力が急激な低下を開始してから付加判別値に至るまでの吸気圧力の低下率は、 (吸気圧力の低下率)=((急激な低下開始時における吸気圧力)−(付加判別値))/(低下開始から判別値に至るまでの時間) で算出される。制御装置5は、吸気圧力の低下率が閾値よりも大きい場合には、スロットル開度が急激に全閉になったと判定する。また、吸気圧力の急激な低下の開始のタイミングには、吸気圧力の低下率が急激に大きくなったタイミングを用いればよい。
そして、制御装置5は、スロットル開度が急激に全閉になったと判定した場合には、ISCバルブ634を制御して空気量を付加する。なお、この吸気圧力の低下率の閾値は、エンジン11の吸気系4の特性などに応じて適宜設定されるものであり、具体的に限定されるものではない。
そして、制御装置5は、吸気圧力がこの下限値以上から付加判別値未満に低下するまでの時間を測定し、測定した時間が閾値未満であるか否かを判定する。制御装置5は、この時間が閾値未満である場合には、スロットル開度が中程度以上から急激に全閉になったと判定し、ISCバルブ634を用いて燃焼用の空気を供給する。なお、この時間の閾値も、前記の吸気圧力の低下率の閾値と同様に適宜設定され、特に限定されるものではない。
ステップS03において検出した吸気圧力が現在設定されている規定値よりも低い場合には、エンジン11は、この規定値よりも低い吸気圧力でアイドリング回転している。すなわち、この場合には、比較的少ない空気量でもエンジン11の回転が維持できるほどエンジン11のメカロス等が少なく、吸気圧力がこの規定値まで急激に低下しても、比較的容易に回転が復帰され、エンジン11の回転が停止するリスクが低いと考えられる。したがってこの場合には、現在の付加判別値よりも低い吸気圧力から燃焼用の空気を付加してもよい。そこでこの場合には、制御装置5は、付加判別値を低くするように補正する。
なお、制御装置5は、付加判別値の補正量を、ステップS06で算出した差圧に応じて変更してもよい。たとえば、差圧が大きくなるにしたがって、補正量を大きくする。ただし、エンジン11の回転が停止しないように、あらかじめ付加判別値の下限を設定しておき、補正後の付加判別値がこの下限を下回らないようにしておいてもよい。
なお、前記同様に、制御装置5は、算出した差圧に応じて付加判別値の補正量を変更してもよい。たとえば、差圧が大きくなるにしたがって、補正量を大きくする。
このような構成によれば、付加空気を付与するかどうかの判定に、実際のアイドリング回転時の吸気圧力に応じて補正された付加判別値を用いることになる。また、エンジン11のメカロスにばらつきがある場合であっても、付加判別値は、エンジン11の実際のメカロスに応じて補正されることになる。このため、スロットル開度が急激に全閉になった際にエンジン11の回転の停止を防止または抑制できる。
Claims (4)
- 内燃機関と、前記内燃機関への燃焼用の空気の供給量を調整する空気量調整手段と、前記空気量調整手段の下流側において燃焼用の空気の吸気圧力を検出する吸気圧力検出手段と、前記空気量調整手段とは別に燃焼用の空気の吸気を付加する空気付加手段と、を有し、前記吸気圧力が判別値未満になった場合に前記空気付加手段が前記燃焼用の空気を供給する船外機において、
前記吸気圧力検出手段により検出された前記吸気圧力の低下の程度に基づいて、前記判別値を補正する補正手段をさらに有することを特徴とする船外機。 - 前記補正手段は、前記内燃機関のアイドリング回転時に前記吸気圧力検出手段により検出された前記吸気圧力に基づいて、前記判別値を補正することを特徴とする請求項1に記載の船外機。
- 前記補正手段は、あらかじめ設定されている前記内燃機関のアイドリング回転時の前記吸気圧力と、前記吸気圧力検出手段により検出された前記吸気圧力との差圧に基づいて、前記判別値の補正量を変更することを特徴とする請求項2に記載の船外機。
- 前記吸気圧力が低下を開始してから前記内燃機関がアイドリング回転状態になるまでの時間に基づいて前記空気量調整手段が急激に全閉になったか否かを判定する判定手段をさらに有し、
前記判定手段により前記空気量調整手段が急激に全閉になったと判定された場合に、前記空気付加手段が前記燃焼用の空気を供給することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の船外機。
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