JP2014237924A - 施錠装置および蓋体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フックの先端係止部が受枠部材の被係止部に噛込んでしまう状態を抑制し得、蓋体を回動させて開蓋できる施錠装置および蓋体装置の提供。【解決手段】 マンホール用蓋体の裏側に配置される施錠装置であって、先端係止部を備えた一つのフックと、フックに連結された被案内杆をマンホール用蓋体の中心側へ向けて直線上に案内可能な案内部と、フックの先端係止部が受枠部材の内周部に設けられた被係止部の下側に位置する施錠状態となる方向にフックを付勢する弾性体とを備え、フックの先端係止部は、マンホール用蓋体が受枠部材に嵌合している閉蓋状態からマンホール用蓋体を略水平面内で回動させると、受枠部材の内周面の一部と当接しつつ押圧されて先端係止部を被係止部の下側から外すよう被案内杆をマンホール用蓋体の径方向中心側へ向けて案内部を介して移動させ得る当接面を備え、フックは、施錠状態において被係止部に対して先端係止部を上下方向で離間させて保持する位置決め用凸起を備えている。【選択図】 図1

Description

本発明は、受枠部材の開口部に嵌合するマンホール用蓋体を受枠部材に開閉自在に施錠するための施錠装置、およびその施錠装置を備えた蓋体装置に関する。
この種の蓋体装置として、下記特許文献1に記載の技術が提案されている。この蓋体装置は、受枠部材の中心に形成された開口部に嵌合する蓋体(マンホール用蓋体)を備えている。蓋体は、受枠部材と協働して蓋体を受枠部材に開閉自在に施錠する施錠装置を備えている。
施錠装置は、蓋体に形成された小口部を開閉自在に塞ぐ小蓋、および施錠部を備えている。施錠部は、受枠部材の内周部に形成された被係止部に先端係止部が係止可能なフックと、フックを蓋体の径方向内外方向に直線上に案内可能な案内部と、フックの先端係止部が被係止部に係止可能な方向にフック付勢するとともに、小口部を塞ぐ方向に小蓋を弾性付勢するばねとを備えている。この蓋体装置では、小口部が小蓋で塞がれることで、小口部から雨水等の水の侵入が抑制される。
蓋体が受枠部材の開口部に嵌合している閉蓋状態では、フックの先端係止部は被係止部の下側にある施錠状態となっている。蓋体を受枠部材から外すには、バール等の工具を用い、ばねの弾性に抗して小蓋を押し下げる。そうすると、小蓋の移動とともにフックが案内部によって蓋体の中心側(径方向内方)へ移動してフックの先端係止部が被係止部から離れるから、蓋体を引き上げることで開蓋できる。
特開2008−180049号公報
ところで、上記蓋体装置のように、容易にフックを操作できる構成であると、セキュリティ面での問題が指摘される。そこで、工具を挿し込む操作用穴部を蓋体に形成し、操作用案部の下側に壁を配置して、この壁により工具でフックを操作できないようにしたものがある。このような構成では、蓋体を引き上げることで開蓋できないから、操作用穴部に工具を差し込んだ状態で蓋体を略水平面内で回動させて開けるよう構成する必要がある。このために、蓋体の回動動作に伴ってフック(少なくともその先端係止部)を案内する案内部(例えば傾斜面)を設けることが考えられる。
しかしながら、蓋体を開けるために蓋体を回動させようとした場合に、蓋体が受枠部材の開口部に嵌合している閉蓋状態におけるフックの施錠状態おいて、施錠装置に働く負荷等によりフックの先端係止部が受枠部材の被係止部に上下方向で噛込んでしまっていると、蓋体を回動させられず、その噛込みによって蓋体が開けられない。
そこで本発明は、フックの先端係止部が受枠部材の被係止部に噛込んでしまう状態を抑制し得、蓋体を回動させて開蓋できる施錠装置および蓋体装置の提供を目的とする。
本発明は、工具を挿し込む操作用穴部が形成され受枠部材に形成された開口部に嵌合するマンホール用蓋体の、該マンホール用蓋体の裏側に配置される施錠装置であって、先端係止部を備えた一つのフックと、フックに連結された被案内杆をマンホール用蓋体の中心側へ向けて直線上に案内可能な案内部と、フックの先端係止部が受枠部材の内周部に設けられた被係止部の下側に位置する施錠状態となる方向にフックを付勢する弾性体とを備え、フックの先端係止部は、マンホール用蓋体が受枠部材に嵌合している閉蓋状態からマンホール用蓋体を略水平面内で回動させると、受枠部材の内周面の一部と当接しつつ押圧されて先端係止部を被係止部の下側から外すよう被案内杆をマンホール用蓋体の径方向中心側へ向けて案内部を介して移動させ得る当接面を備え、フックは、施錠状態において被係止部に対して先端係止部を上下方向で離間させて保持する位置決め用凸起を備えたことを特徴としている。
上記構成の施錠装置では、マンホール用蓋体が受枠部材に嵌合している閉蓋状態において、位置決め用凸起によってフックの先端係止部の位置が、被係止部に上下方向で係止しないよう被係止部から離間して保持されており、工具を操作用穴部に挿し込んでマンホール用蓋体を略水平面内で回動させると、フックの先端係止部の当接面が、受枠部材の内周面の一部と当接しつつマンホール用蓋体とともに回動して、先端係止部が被係止部の下側から外れるよう、フックおよびフックに連結された被案内杆が、弾性体の弾性に抗して案内部を介してマンホール用蓋体の中心側へ向けて直線上に移動し、フックの先端係止部が被係止部の下側から外れる。
本発明の施錠装置では、フックの基端部が横軸に揺動自在に支持され、フックの先端係止部は閉蓋状態において受枠部材側に形成された収容凹部に収容され、当接面は先端係止部の側面であり、当接面は、閉蓋状態からマンホール用蓋体を略水平面内で回動させることで収容凹部の角部に当接しつつマンホール用蓋体とともに回動して、フックの先端係止部を被係止部の下側から外すようフックを横軸回りに上方へ移動させる構成を採用できる。
上記構成において、閉蓋状態からマンホール用蓋体を略水平面内で回動させると、収容凹部にある先端係止部においてその側面に形成された当接面が受枠部材の内周面の一部と当接しつつマンホール用蓋体とともに回動して、先端係止部が被係止部の下側から外れるよう、フックおよびフックに連結された被案内杆が、弾性体の弾性に抗して案内部を介してマンホール用蓋体の中心側へ向けて直線上に移動するとともに、フックが基端部を中心にして横軸回りに揺動し、フックの先端係止部は受枠部材側に形成された収容凹部から外れるとともに、フックの先端係止部が被係止部の下側から外れる。
本発明の蓋体装置は、上記何れかに記載の施錠装置をマンホール用蓋体の裏側に備えたことを特徴としている。
本発明の施錠装置では、フックの先端係止部がマンホール用蓋体の内周部に設けられた被係止部の下側に位置する施錠状態において、被係止部に対して先端係止部が上下方向で係止しないよう保持する位置決め用凸起を備えていることで、先端係止部が受枠部材の被係止部に噛込んでしまう状態を抑制し得、マンホール用蓋体を回動させて開蓋できる。
本発明の一実施形態に係る蓋体装置の閉蓋状態の縦断面図である。 同蓋体装置の開蓋状態の縦断面図である。 同第一施錠部の施錠状態を示し、(a)は縦断面図、(b)は平面図である。 同第一施錠部における施錠解除状態を示し、(a)は縦断面図、(b)は平面図である。 同第一施錠部と第二施錠部の位置関係を示す平面図である。 同操作用穴部と外側ガイドとの関係を示す正面図である。 同第一フックの構成を示し、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は正面図である。 同(a)〜(d)は、蓋体を閉蓋状態とするとともに第一施錠部を施錠状態とする途中の縦断面図である。 同(a)〜(c)は、蓋体を閉蓋状態とする途中の案内部材および被案内部材の関係を示す正面図である。 同他の実施形態を示す第一フックであり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
以下、図1ないし図9を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るマンホール用蓋体(以下単に「蓋体」と称する)1の施錠装置2、および施錠装置2を備えた蓋体装置3を説明する。蓋体装置3は、受枠部材4に着脱自在に嵌合するものであることから、便宜上はじめに、受枠部材4を説明する。なお、受枠部材4、蓋体1および施錠装置2を構成する部材は鋳物である。
図1および図2に示すように、受枠部材4は、台部5と支持壁体6とを備えている。台部5は円環状の板状に形成され、支持壁体6は円筒状に形成されている。支持壁体6は台部5の径方向途中部分に一体的に立設されている。支持壁体6はその下部に比べて上部の方が小径に形成されている。支持壁体6の上部は、後述する蓋体1を内嵌支持する嵌合支持部7(開口部に相当する)とされている。嵌合支持部7の内周面は、その径方向中心側ほど下方が小径となるよう傾斜して円錐台側面形状に形成されている。なお、図示しないが、受枠部材4の内周面には蓋体1を嵌合位置に保持する蓋掛りが形成されている。
嵌合支持部7は、第一施錠部(後述する)8における第一フック9の先端係止部10が係止可能な第一被係止部11を備えている。第一被係止部11は、嵌合支持部7の下端部略全周にその内周面の傾斜に沿うよう下方に突出して形成されている。第一被係止部11の内周面は、嵌合支持部7の内周面と面一である。図1に示すように、蓋体1が嵌合支持部7に嵌合している閉蓋状態において、第一フック9の先端係止部10が係止可能な一部領域に相当する第一被係止部11の径方向外側に、第一フック9の先端係止部10を収容する収容凹部12が形成されている。具体的に収容凹部12は、前記一部領域の径方向外側にあって、支持壁体6の下部を抉るようにして形成されている。図3(b)、図4(b)に示すように、収容凹部12は径方向内側を開口としている。収容凹部12は直方体形状の空間であり、平面視して略矩形に形成されている。収容凹部12の開口側隅部12aは、第一フック9の先端係止部10と当接可能であり、先端係止部10を案内可能な隅部である。
図1に戻って、嵌合支持部7は、第二施錠部(後述する)13において、第二フック14を支持する挿通部15を備えている。挿通部15は、第二フック14の長手方向途中部分にある係止片17が係止可能な第二被係止部18を備えている。挿通部15には上下方向の挿通穴16が形成されており、第二被係止部18は、挿通穴16の外周部における径方向外側部分である。挿通部15には、挿通穴16には、第二フック14の長手方向途中部が挿通される。挿通部15は、嵌合支持部7において、第一被係止部11に対して蓋体1の径方向上で対向する部位に形成されている。換言すれば、図5に示すように、第一被係止部11(第一フック9の先端係止部10が係止する前記一部領域)と第二被係止部18とは嵌合支持部7において、周方向に180°離間して配置されている。
図1に戻って、蓋体1は、受枠部材4の開口部である嵌合支持部7に着脱自在に嵌合するものである。蓋体1は、本体20と、補強リブ21と、工具(例えば「バール」)を挿し込む操作用穴部22と、前記第一施錠部8と、前記第二施錠部13とを備える。本体20は、円盤状の蓋板23と、蓋板23の外周部略全域に亘って一体に形成された環状の蓋枠24とを備える。蓋枠24は、蓋板23の縁から下方に向けて延長されている。補強リブ21は、蓋板23の裏面に、縦横に一体的に形成され、中心側の高さが高く設定されている。
操作用穴部22は、蓋板23の外周一部に形成されている。具体的に、操作用穴部22は、蓋板23の外周一部隅部から蓋枠24の高さ方向途中部に亘って形成されている。図6に示すように、操作用穴部22の周方向幅は、工具を挿し込んで開蓋操作をするのに充分な幅に設定されている。操作用穴部22の下側には、壁部に相当する邪魔壁部25が配置されている。邪魔壁部25は、蓋枠24の下端から径方向内側に向けて蓋板23に略並行に延長される横壁26と、横壁26の径方向内側端部から上方に向けて立上がる縦壁27とを備える。横壁26および縦壁27の周方向幅は、操作用穴部22の周方向幅よりも大きく設定されている。
図1、図2に戻って、蓋体1は、その裏面側に前記施錠装置2を備え、施錠装置2は、前記第一施錠部8および第二施錠部13を備える。第一施錠部8は、前記第一フック9、被案内杆28、案内部30、およびばね(弾性体の一例)31を備える。
図7(a)(b)(c)に示すように、第一フック9は、その先端部に前記先端係止部10を備える。本実施形態では、第一フック9は一個だけ設けられている。第一フック9の形状を側面視して詳述すると、蓋体1への取付け状態において、先端係止部10から下方に向けて湾曲しつつ蓋体1の径方向内側(蓋体1の中心側)へ向けて延びた湾曲部32と、湾曲部32の径方向中心側端部から上方(蓋体1の蓋板23側)へ延びた基部33とを備え、これらが一体的に形成されている。
第一フック9の先端係止部10は、所定の周方向幅に形成されている。所定の周方向幅とは、収容凹部12の周方向幅に比べて小さい幅である。第一フック9の湾曲部32は、先端係止部10の周方向幅に比べて幅広に形成されている。さらに基部33は湾曲部32に比べて幅広に形成されている。湾曲部32の径方向外面32aは、極めて緩やかに径方向外側に凸とされた湾曲面である。径方向外面32aにおいて、その先端側面32bが、蓋体1の開蓋時および閉蓋時に、嵌合支持部7の内周面に接触する面となる。なお、先端係止部10は、基部33に対して一方側に位置ずれして配置されている。
基部33の上端(基端部)には、第一フック9の揺動中心となる横軸34が両側方に突出するよう形成されている。基部33の上下方向途中部分には、蓋体1の径方向内側へ向けて突出する被揺動操作片36が形成されている。被揺動操作片36には、横方向に穿たれた連結用孔37が形成されている。この場合、横方向とは、第一フック9の周方向中心と第二フック14の周方向中心を結ぶ径方向に水平面内で直交する方向である。
図3(b)、図4(b)に示すように、先端係止部10の一方の側面(当接面)38は、平面視して円弧状に形成されている。他方の側面39は、第一フック9の周方向中心と第二フック14の周方向中心を結ぶ径方向に平行な平面に形成されている。一方の側面38は、第一フック9を受枠部材4の径方向外側から正面視した場合、右側の側面である。これは、本実施形態の蓋体1が右側へ移動させるように回動することで開蓋される構成に基づく。側面38は平面視して、基部側が湾曲面であり、湾曲面に連続した径方向外側部が先窄まりとなる直線状の傾斜面である。また、側面38は先端側ほど上方に傾斜している(図7(c)参照)。
第一フック9は、先端係止部10と湾曲部32との間の上面40に、上方に突出する位置決め用凸起41を一体的に備える。位置決め用凸起41は、第一施錠部8の施錠状態(後述する)において、第一被係止部11に対して先端係止部10が上下方向で係止しないよう保持する機能、すなわち第一被係止部11に対して先端係止部10を上下方向で離間させた位置に保持する機能を備えている。位置決め用凸起41は、上面40の周方向幅の略中心に配置されている。位置決め用凸起41は略四角錐形状に形成され、第一フック9側の基部の横方向断面の大きさに比べて上部の横方向断面の大きさが小さく設定されている。換言すれば、位置決め用凸起41は、尖端形状に形成され、先端面は小さな平面に形成されている。位置決め用凸起41および被揺動操作片36は、第一フック9の同一断面上に配置されている。
本実施形態において、図7(a)に示すように、位置決め用凸起41の上端の位置は、先端係止部10の最先端と横軸34の中心を結ぶ仮想線上か、あるいは該仮想線よりもわずかに上方に位置するよう設定されている。位置決め用凸起41は、その上端が、邪魔壁部25の横壁26の裏面(下面)に離着座自在とされるよう高さが設定されている。位置決め用凸起41は、第一施錠部8の施錠状態において、邪魔壁部25の横壁26に裏面に当接(着座)するよう設定されている。また、位置決め用凸起41は、第一施錠部8の施錠状態において、長手方向軸線が略垂直になる姿勢か、あるいは上部ほどわずかに蓋体1の径方向外側に傾斜する姿勢かに設定されている。
図1および図2に示すように、被案内杆28は、第一フック9に連結されている。被案内杆28の一端部が、第一フック9の被揺動操作片36の連結用孔37に、横方向の被操作軸43を介して揺動自在に連結されている。被操作軸43にアームリスト部材35が回動自在に取付けられている。
図3(a)および図4(a)に示すように、案内部30は、第一フック9、被案内杆28を蓋体1の径方向(径方向内外方向)に沿うよう直線上に案内可能とするよう構成されている。案内部30は、外側ガイド44、内側ガイド45、および中間ガイド46を備える。外側ガイド44は、第一フック9を傾斜直線上に案内可能とするガイドである。内側ガイド45は、被案内杆28を傾斜直線上に案内可能なガイドである。中間ガイド46は、外側ガイド44と内側ガイド45の中間位置に配置されており、被揺動操作片36を案内可能に構成されている。
図6に示すように、外側ガイド44は、蓋体1の裏面に一対で且つ平行に形成されており、それぞれ蓋体1の縁寄りに配置されている。外側ガイド44は、蓋体1の裏面から下方に向けて突出する壁状に形成されている。外側ガイド44どうしの対向面には、第一フック9に設けられた一対の横軸34を遊嵌支持する溝47が形成されている。溝47は、蓋体1の径方向内側ほど下方に傾斜して形成されている。
図3(a)および図4(a)に示すように、内側ガイド45は蓋体1の裏面に形成され、外側ガイド44に対して蓋体1の径方向内側に配置されている。内側ガイド45には被案内杆28を蓋体1の径方向に沿うよう支持すべく、横軸34どうしを結ぶ仮想線と直交する横方向のガイド孔48が形成されている。ガイド孔48は同一径ではなく、径方向外側(第一フック9側)が、径方向内側に比べて順次大径になるよう設定されている。
中間ガイド46は蓋体1の裏面に形成され、被揺動操作片36が当接可能に構成されている。中間ガイド46は、蓋体1の径方向(第一フック9の周方向中心と第二フック14の周方向中心を結ぶ径方向)に沿う断面が台形形状に形成されている。すなわち、径方向外側の面が裏面から略垂直に垂下する垂下面50とされ、径方向内側の面が下方ほど径方向外側に傾斜する傾斜面51とされ、底面が蓋板23と略平行な水平面52とされている。被揺動操作片36は、水平面52あるいは傾斜面51に当接可能である。
ばね31は、第一フック9の先端係止部10が第一被係止部11の下側に位置するよう付勢するためのものである。すなわち、ばね31は、第一施錠部8を施錠状態とするものである。図8(a)〜(d)に示すように、ばね31は、アームリスト部材35の一端部に一体的に形成された環状の鍔部53と、被案内杆28の軸方向途中に摺動自在に外嵌された環状のワッシャ54をばね座として被案内杆28に外嵌されるとともに、鍔部53とワッシャ54との間に伸縮自在に設けられている。
蓋体1の開蓋状態(図2参照)において、位置決め用凸起41が横壁26に当接している状態では、ばね31の弾性付勢により横軸34は溝47の径方向外側端に保持されており、被操作軸43が中間ガイド46の下方に位置し、被案内杆28は、その径方向外側端が下傾斜した状態にある(被案内杆28は最大に傾斜している)。この状態は、閉蓋状態においても同様である。
ここで、閉蓋状態とは、前述のように、蓋体1が嵌合支持部7に嵌合している状態である(図1参照)。開蓋状態とは、蓋体1の嵌合支持部7からの嵌合が外された状態である(図2参照)。施錠状態とは、第一施錠部8において、第一フック9の先端係止部10が受枠部材4の第一被係止部11の下側に位置した状態である(図1参照)。施錠解除状態とは、第一フック9の先端係止部10が受枠部材4の第一被係止部11の下側から蓋体1の径方向内側に外れて施錠が解除された状態である(図2、図8参照)。
第二施錠部13は、前記第二フック14、第二フック支持部55、前記挿通部15を備える。挿通部15の構成については前述の通りである。第二フック14は、揺動中心軸56、アーム部57、垂下部58、下傾斜部59、前記係止片17、および抜止片60を一体的に備える。
揺動中心軸56は、横方向の軸である。アーム部57は揺動中心軸56から径方向内側に向かって延長されている。垂下部58は、アーム部57の径方向内側端から下方に向かって延長されている。下傾斜部59は、垂下部58の下端から径方向内側に向かって下傾斜されている。抜止片60は、下傾斜部59の下端部に横方向に突出するよう形成された凸起である。係止片17は、垂下部58と下傾斜部59との略境界部分にあって径方向外側に向けて突出するよう形成されている。
第二施錠部13の施錠状態において、係止片17は、挿通部15の第二被係止部18の下側に位置する。第二フック支持部55は、蓋体1の裏面から下方へ向けて膨出する形成されている。第二フック支持部55は揺動中心軸56を収納支持可能に構成されている。
なお、図9(a)(b)(c)に示すように、受枠部材4の所定位置と、蓋体1の所定位置には、開蓋状態にある蓋体1を閉蓋状態とする際に、蓋体1を前記回転方向とは逆方向に案内して嵌合支持部7へ案内するための案内部材65、被案内部材66がそれぞれ形成されている。案内部材65は受枠部材4に形成され、被案内部材66は蓋体1に形成されている。案内部材65は傾斜した案内平面65aを備えている。被案内部材66は、湾曲した被案内湾曲面66aを備えている。蓋体1を開蓋状態から閉蓋状態に装着する際、被案内部材66の被案内湾曲面66aが、案内部材65の案内平面65aをスライドする(滑り落ちる)よう構成されている。
上記構成の蓋体装置3において、受枠部材4は路面(図示せず)に埋設され、蓋体1は、受枠部材4の開口部である嵌合支持部7に嵌合した閉蓋状態として用いられる。図1は蓋体1の閉蓋状態であり、第一施錠部8および第二施錠部13の施錠状態である。閉蓋状態では、位置決め用凸起41が横壁26に当接しており、ばね31の弾性付勢により横軸34は溝47の径方向外側端に保持されており、被操作軸43が中間ガイド46の下方に位置し、被案内杆28は、その径方向外側端が下傾斜した状態にある。また、アームリスト部材35は、中間ガイド46から下方に離間している。
そして、蓋体1に内圧や水圧が働いて、蓋体1が持ち上げられた際に、第一フック9の先端係止部10が上方へ移動しても、先端係止部10が第一被係止部11に係止し、第二フック14の係止片17が第二被係止部18に係止する。このため、蓋体1が受枠部材4(嵌合支持部7)から離脱せず、しかも蓋体1と受枠部材4との間に隙間ができるから、内圧、水(水圧)を外部へ解放することができ、しかも蓋体1は嵌合支持部7を開放することもないから、人等が受枠部材4の嵌合支持部7(開口部)へ落下するのを防止できる。
図1、図3(a)の第一施錠部8の施錠状態から、施錠解除状態とすることで開蓋状態とするには、次のようにして行う。まず、作業者が工具の先端部を操作用穴部22に挿入して蓋体1を上方へ引き上げることで、受枠部材4と蓋体1の繋がり(完全な嵌合)の一部を解除する。蓋体1を上方へ引き上げただけでは、第一フック9の先端係止部10が上方へ移動するのみで、先端係止部10と第一被係止部11とは係止可能な状態にあるから、蓋体1を受枠部材4から完全に外すことはできない。
そこで、工具の先端部を操作用穴部22に挿入したまま、蓋体1を略水平方向に回動(旋回)させる。この場合、蓋体1の回動方向は、作業者の立ち位置(工具の位置)に対して右側へ回動させる。すなわち、蓋体1は反時計方向へ回動させる。そうすると、蓋体1が回動される力によって、図3(b)に示すように、第一フック9の側面38のうち基部側の湾曲面が収容凹部12の開口側隅部12aに当接した状態から、図4(b)に示すように、第一フック9の側面38のうち基部側の湾曲面が収容凹部12の開口側隅部12aに当接しつつ案内され、第一フック9が蓋体1の回動に伴って蓋体1の回動方向へ移動するとともに、第一フック9は、収容凹部12の開口側隅部12aによって径方向内側へ押圧されて横軸34回りに回動する。
第一フック9が押圧されて横軸34回りに回動することは、すなわち、第一フック9の先端係止部10が径方向内側に移動することであり、そうなると、先端係止部10が、第一被係止部11から径方向内側に向けて移動する。そして、第一フック9の回動当初は、側面38の湾曲面が開口側隅部12aに当接しつつ案内されることで、第一フック9は緩やかに径方向内側へ移動し、側面38が湾曲面から傾斜面に至った後は、その分だけ第一フック9は急速に径方向内側へ円滑に移動する。
このように、蓋体1を略水平方向に回動させることにより、第一フック9の先端係止部10が径方向内側に移動し、先端係止部10が、第一被係止部11から径方向内側に向けて移動し、先端係止部10が第一被係止部11から径方向内側に向けて移動して第一被係止部11から離れる、あるいは先端係止部10と第一被係止部11とが径方向内外方向で接触する状態となり、さらに蓋体1を回動させることにより、蓋体1の底面が受枠部材4の上面に載置されるように開蓋される。
そして、第一フック9は、位置決め用凸起41を備えていて、位置決め用凸起41は、第一施錠部8の施錠状態において、横壁26に下方から当接していて、第一フック9の先端係止部10の位置が、第一被係止部11に内外方向で係止しないよう保持されている。このため、第一施錠部8は、第一フック9の先端係止部10が第一被係止部11の下側に位置した施錠状態である。したがって、工具を操作用穴部22に挿し込んで蓋体1を略水平面内で回動させると、第一フック9の先端係止部10の側面38が、受枠部材4の内周面の一部である開口側隅部12aと当接しつつ蓋体1の回動方向へ移動する。そして、先端係止部10が第一被係止部11の下側から外れる方向に、第一フック9がばね31の弾性に抗して横軸34回りに回動すると、第一フック9に連結された被案内杆28が内側ガイド45(ガイド孔48)によって、径方向内側(蓋体1の中心側)へ向けて、斜め上方へ直線上に案内される。そして、第一フック9が径方向内側へ向けて移動して、先端係止部10が第一被係止部11の下側から外れることで、開蓋できる。
ところで、受枠部材4は路面に埋設され、蓋体1は、受枠部材4の開口部である嵌合支持部7に嵌合した閉蓋状態として用いられる。このため、蓋体1の上面は車両によって大きな力を受ける。ここで、蓋体1が、例えば車両等により下方へ向けた力を受けたり、蓋体1を開口部から位置ずれするような力が働いたりする。このよう諸条件に基づいて、開蓋するべく蓋体1を回転させた際に、第一フック9の先端係止部10が第一被係止部11に係止してしまうような状態が想定される。
しかしながら、第一フック9は、第一施錠部8の施錠状態において、横壁26に下方から当接する位置決め用凸起41によって先端係止部10が位置決めされている。したがって、蓋体1を回転させた際に、仮に第一フック9の先端係止部10が第一被係止部11に係止してしまったとしても、位置決め用凸起41の存在によって、蓋体1をまったく回転させられない状態を効果的に回避することができる。しかも、第一フック9には、被案内杆28が連結されていて、第一フック9はその横軸34を外側ガイド44の溝47によって径方向内側へ案内可能に構成されており、被案内杆28は、内側ガイド45によって直線上に案内される構成となっている。このため、蓋体1を回転させることにより、第一フック9の先端係止部10を第一被係止部11から外すことができ、開蓋できる。
なお、第二施錠部13の施錠状態において、係止片17は、挿通部15の第二被係止部18の下側に位置しているが、蓋体1が開蓋されても(開蓋状態であっても)、第二施錠部13の係止片17は、挿通部15の第二被係止部18の下側に位置している。第二施錠部13では、蓋体1の閉蓋状態から開蓋状態に至る間には、第二フック14は、概ね揺動中心軸56回りにわずかに揺動するのみである。なお、開蓋状態とした後、蓋体1を作業者側に引くことで、第二フック14は係止片17から外れるから、蓋体1を大きく回動(旋回)させることで、受枠部材4の嵌合支持部7(開口部)が大きく開放され、人が嵌合支持部7に入ることができる。
次に、図2、図9(a)(b)(c)、および図8(a)(b)(c)(d)を参照しつつ、開蓋状態から閉蓋状態とする動作を説明する。図2の開蓋状態では、位置決め用凸起41の上端部は横壁26に当接している。この状態から蓋体1を、ばね31の弾性に抗して第二フック14の揺動中心軸56回りに押し下げる。そうすると、図9(a)〜(c)に示すように、蓋体1の被案内部材66の被案内湾曲面66aが、受枠部材4の案内部材65の案内平面65aに案内されて、蓋体1が下方へ開蓋時とは逆方向へ回転しつつ下方へ移動する。
開蓋状態において、位置決め用凸起41が横壁26に当接している状態では、ばね31の弾性付勢により横軸34は溝47の径方向外側端に保持されており、被操作軸43が中間ガイド46の下方に位置し、被案内杆28は、その径方向外側端が下傾斜した状態にある構成と、第一フック9は位置決め用凸起41により横軸34回りの回動(図2において時計方向)が規制されている構成に基づいて、蓋体1に比べて第一フック9が先行して横軸34回りに回動(図8(a)において半時計方向)を開始する。
そうすると、第一フック9の径方向外面32aが、嵌合支持部7の内周面に案内されるようにして第一フック9が横軸34回りにさらに回動する(図8(b)(c)(d))。さらに蓋体1を下方に押し下げると、ばね31の弾性に抗して横軸34が溝47に径方向内側へ向けて案内され、横軸34、被操作軸43、被案内杆28の上下方向の位置関係を維持したまま、第二施錠部13が施錠状態になるとともに、蓋体1が閉蓋され、第一施錠部8において第一フック9の先端係止部10が第一被係止部11の下方に位置する施錠状態となる(図1)。
開蓋状態から閉蓋状態とする途中において、第一フック9が横軸34回りに回転することで、被操作軸43は上方へ移動するが、アームリスト部材35を介して被操作軸43が中間ガイド46の水平面52に当接することで、それ以上は上方へ移動しない。これによって、横軸34と被操作軸43との上下方向の位置関係が確保され、第一フック9が必要以上に横軸34回りに回動してしまわず、第一フック9の先端係止部10(先端側面32b)が閉蓋状態に至るまで、嵌合支持部7の内周面に当接した状態を経て、第一施錠部8が施錠状態となる。
本発明は上記実施形態に限定されず、その作用効果も上記実施形態に限定されない。例えば、図10に示す別の実施形態では、位置決め用凸起41を第一フック9の基部33の上面40に配置している。また、位置決め用凸起41の上端は尖端形状ではなく、平面形状に形成されている。さらに、位置決め用凸起41の上端の位置は、先端係止部10の最先端と横軸34の中心を結ぶ仮想線よりも下方に位置するよう設定されている。何れにしても、第一施錠部8の施錠状態において、位置決め用凸起41の上端は、横壁26に当接し、これによって、蓋体1の閉蓋状態において、第一施錠部8は施錠状態に保持される。
1…蓋体、2…施錠装置、3…蓋体装置、4…受枠部材、7…嵌合支持部、8…第一施錠部、9…第一フック、10…先端係止部、11…第一被係止部、12…収容凹部、12a…開口側隅部、13…第二施錠部、14…第二フック、22…操作用穴部、25…邪魔壁部、26…横壁、28…被案内杆、30…案内部、31…ばね、32…湾曲部、32a…径方向外面、32b…先端側面、34…横軸、36…被揺動操作片、38…側面、41…位置決め用凸起、43…被操作軸、44…外側ガイド、45…内側ガイド、46…中間ガイド、47…溝

Claims (3)

  1. 工具を挿し込む操作用穴部が形成され受枠部材に形成された開口部に嵌合するマンホール用蓋体の、該マンホール用蓋体の裏側に配置される施錠装置であって、
    先端係止部を備えた一つのフックと、フックに連結された被案内杆をマンホール用蓋体の中心側へ向けて直線上に案内可能な案内部と、フックの先端係止部が受枠部材の内周部に設けられた被係止部の下側に位置する施錠状態となる方向にフックを付勢する弾性体とを備え、
    フックの先端係止部は、マンホール用蓋体が受枠部材に嵌合している閉蓋状態からマンホール用蓋体を略水平面内で回動させると、受枠部材の内周面の一部と当接しつつ押圧されて先端係止部を被係止部の下側から外すよう被案内杆をマンホール用蓋体の径方向中心側へ向けて案内部を介して移動させ得る当接面を備え、
    フックは、施錠状態において被係止部に対して先端係止部を上下方向で離間させて保持する位置決め用凸起を備えたことを特徴とする施錠装置。
  2. フックの基端部が横軸に揺動自在に支持され、フックの先端係止部は閉蓋状態において受枠部材側に形成された収容凹部に収容され、当接面は先端係止部の側面であり、当接面は、閉蓋状態からマンホール用蓋体を略水平面内で回動させることで収容凹部の角部に当接しつつマンホール用蓋体とともに回動して、フックの先端係止部を被係止部の下側から外すようフックを横軸回りに上方へ移動させる請求項1記載の施錠装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の施錠装置をマンホール用蓋体の裏側に備えたことを特徴とする蓋体装置。
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