JP2014236720A - 減塩梅干しの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アルコールやお酢そして糖類などの添加剤を多量に添加しないで、微量添加で効果のある消石灰を使用して、梅干し本来の効能および味と香りを持った減塩梅干しの製造方法を提供する。【手段】 生梅を漬ける前の生梅洗浄工程の中で、消石灰(水酸化カルシウム)による殺菌を行うことにより、複雑な製造工程を踏まず、従来の梅干し製造方法とほとんど同じ作業工程で減塩梅漬けが可能となる。

Description

本発明は、減塩梅干し製造方法に関するものである。
従来、梅漬けは高濃度の塩分により腐敗菌の活動を抑制して長期保存が可能な梅干し(梅漬け時の塩分15%〜13%)を製造していたが、高血圧予防などの一つとして塩分低減(12%以下)の対策が要望されてからは、市場より低濃度の梅干しの要望が出て、減塩梅干しが作られるようになった。現在の減塩梅干し(梅漬け時の塩分12%〜6%)は、梅漬け時にアルコールやお酢やその他糖類により腐敗を減少させることにより塩分を低減させて、減塩梅干しを製造している。
特開09−275894号公報 特開2000−139395号公報 特開2001−120176号公報
従来の減塩梅漬けは、次のような欠点があった。
(イ)、梅漬け時の腐敗を防止する為に多量のアルコールやお酢を添加し、保存の為に水あめや蜂蜜等の糖類その他クエン酸などの薬剤を数%添加する方法で減塩梅干しを製造するために添加物が残存して、梅干し本来の効能や味が損なわれ、更に添加物の薬害懸念がでている。
(ロ)、梅漬けの前処理として、生梅を洗浄した後にアルコールなどの殺菌効果を高めるために、生梅に付着した水分を天日などで乾燥したり布やペーパーで水分をふき取ったりする作業が発生し、作業が複雑化するとともに添加する費用が1kg当たり100円〜200円と割高となる。
本発明は、これらの問題を解決するために発明されたものである。
本発明者は、減塩梅干し(12%〜6%)の製法を開発するために種々研究を重ねた結果、消石灰(水酸化カルシウム)の強アルカリ懸濁液(pH値12以上)に生梅を浸して処理することにより、生梅に付着している腐敗菌を殺菌もしくは減菌し、腐敗菌の減少により塩分濃度が下られる減塩梅干し製造方法を達成することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。又、使用する消石灰は食品衛生の観点から食品添加物消石灰を使用し、消石灰懸濁液の濃度は2g/L以上で50g/L以下そしてpH値は12以上で、好ましくは3〜5g/LでpH値12.4の低濃度懸濁液にて処理する。消石灰に浸した後、梅に付着しうる量はおおよそ0.02%以下と微量であるが、梅干しとなる間には梅酢に溶け更に低い付着量となる。
本発明を使用し、消石灰の強アルカリ懸濁液で生梅を浸して処理することで、生梅に付着している腐敗菌を殺菌もしくは減菌し腐敗を減少させることにより、梅漬け時の塩分を低減(梅漬け時の添加量12%〜6%)することが可能となった。消石灰の添加量は現在の減塩梅干しの殺菌アルコールやお酢や糖類に対してして1/100以下と大変少ない添加量で効果があり、梅1kgを殺菌する費用は約1円〜2円と非常に少ない費用で処理が可能である。梅干しに対する付着しうる量も0.02%以下と微量であるので、消石灰の苦味などの影響は皆無であり梅干し本来の効能や味が維持できる。又、作業の中の生梅洗浄工程で消石灰殺菌が行えるため、従来の梅漬け作業とほとんど変わらない作業で減塩梅干しが製造できる。
腐敗菌の説明
腐敗菌は多くの種類があるが、梅漬けで発生する主な腐敗菌は青カビが主体で梅漬けの塩分濃度が低い場合に良く発生する。青カビの防止策として、対象は異なるが東京都しょ農林水産センターのサンダーソニア球根の青カビによる根腐れ対策(平成21年度主要成果集)において、消石灰を添加したクン炭を、貯蔵の際に添加すると青カビによる腐敗が軽減できるとの報告がでている。又、梅干しを腐敗する菌とは異なるが、日本石協会石灰による病原菌性鳥インフルエンザの予防と抑制武田修平(季刊肥料2009年通関114号)において、消石灰懸濁液にウイルス菌を10分浸すと、菌の細胞膜を消石灰懸濁液の強アルカリが溶かすことにより死滅に至るとの報告されている。その他、消石灰無機イオンによる殺菌効果が平成20年11月の無機マテリアル学会講演の講演要旨集に記載されており、消石灰懸濁液の菌類に対する殺菌効果を示している。
本発明は、食塩を用いて製造されている梅干しすべてに適用可能であり、紫蘇葉を用いる場合にも、紫蘇葉に付着している腐敗菌について殺菌もしくは減菌し腐敗を減少させることが可能である。
(8%減塩梅干し)
梅干しに適した状態に熟した生梅を5kg準備して熟し加減に見合った時間水につけてアク抜き表面の汚れを取り除く。2つの10Lのポリバケツに水道水各5L仕込み、入交石灰工業(株)社製造の食品添加物用消石灰20g(懸濁液濃度4g/L)を2点量りとり各ポリバケツの水道水に加えて懸濁液とする。一方のポリバケツには梅漬け用具の落蓋と5kgの重石を10分間浸し用具に付いた腐敗菌等を除菌する。もう一方の消石灰懸濁液が入った容器に、アク抜き洗浄した生梅を浸し5分ごとに撹拌して15分間除菌処理をする。用具を除菌したバケツを空にして除菌した生梅の懸濁水を切りながら10Lのポリ袋に移す。ポリ袋に10%分の食塩400gを加えてよく混ぜる。除菌したポリバケツにポリ袋ごと入れてポリ袋を閉じる。落蓋と重石を載せて生梅から水分が出てくるまで数日間置く。生梅の水分が出てきたらポリ袋の空気を抜き出して閉じ、落蓋と重石を載せて梅が漬かるまで置く。1ヵ月〜2ヶ月で梅が十分に漬かり干す段階となったものを、容器より出して所定の水分になるまで数日間天日乾燥し、10%梅漬けの減塩梅干しが完成する。
生梅に対する消石灰の付着量を調べた結果、消石灰懸濁液処理後に量った生梅の重量は5.25kgとなり懸濁水が0.25kg付着していた。懸濁液消石灰量濃度4g/Lより付着量を計算すると0.25kg×4g/L(kg)で消石灰量は1gとなり、梅に付着しうる消石灰濃度は0.02%となる。但し消石灰は梅漬けで発生する梅酢にほとんど溶けてしまうので、付着量は0.02%より更に低い付着量となる。
(6%低塩梅干し)
梅干しに適した状態に熟した生梅を10kg準備して熟し加減に見合った時間水につけてアク抜き表面の汚れを取り除く。2つの15Lのポリバケツに水道水各10L仕込み、入交石灰工業(株)社製造の食品添加物用消石灰50g(懸濁液濃度5g/L)2点量りとりポリバケツの水道水に加えて懸濁液とする。一方のポリバケツには梅漬け用具の落蓋と10kgの重石を15分間浸し用具に付いた腐敗菌等を除菌する。もう一方の容器に、アク抜き洗浄した生梅を浸し5分ごとに撹拌して20分間除菌処理をする。用具を除菌したバケツを空にして除菌した生梅の懸濁水を切りながら15Lのポリ袋に移す。ポリ袋に8%分の食塩600gを加えてよく混ぜる。除菌したポリバケツにポリ袋ごと入れてポリ袋を閉じる。落蓋と重石を載せて生梅から水分が出てくるまで数日間置く。生梅の水分が出てきたらポリ袋の空気を抜き出して閉じ、落蓋と重石を載せて梅が漬かるまで置く(再び空気が出てくるようであれば再度空気を抜く)。1ヵ月〜2ヶ月で梅が十分に漬かり干す段階となったものを、容器より出して所定の水分になるまで天日乾燥し、8%梅漬けの減塩梅干しが完成する。
(10%紫蘇入り減塩梅干し)
梅干しに適した状態に熟した生梅を5kg準備して熟し加減に見合った時間水につけて灰汁抜き表面の汚れを取り除く。2つの10Lのポリバケツに水道水各5L仕込み、入交石灰工業(株)社製造の食品添加物用消石灰20g(懸濁液濃度4g/L)2点量りポリバケツの水道水に加えて懸濁液とする。一方のポリバケツには梅漬け用具の落蓋と5kgの重石を10分間浸し用具に付いた腐敗菌等を除菌する。もう一方の容器に、アク抜き洗浄した生梅を浸し5分ごとに撹拌して15分間除菌処理をする。用具を除菌したバケツを空にして除菌した生梅の懸濁水を切りながら10Lのポリ袋に移す。ポリ袋に10%分の食塩500gを加えてよく混ぜる。除菌したポリバケツにポリ袋ごと入れてポリ袋を閉じる。落蓋と重石を載せて生梅から水分が出てくるまで数日間置く。生梅の水分が出てきたらポリ袋の空気を抜き出して閉じ、落蓋と重石を載せて梅が漬かるまで置く。梅汁が十分に出てから紫蘇の葉2束500g前後を用意する。紫蘇の葉を水道水で十分に洗う。10Lのポリバケツに水道水を10L仕込み、食品添加物用消石灰を50g量りとりポリバケツの水道水に懸濁させる。紫蘇の葉を浸し軽く揉んだ後15分間浸し続け紫蘇の葉についている腐敗菌を除菌する。15分後懸濁水を良く切り食塩を100g良くまぶして汁が出なくなるまで良く絞る。漬け梅を一度出して絞った紫蘇の葉をまぶして再びポリ袋・ポリバケツに戻す。1ヵ月〜2ヶ月で梅が十分に漬かり干す段階となったものを、容器より出して所定の水分になるまで天日乾燥し10%紫蘇梅漬けの減塩梅干しが完成する。

Claims (3)

  1. 減塩梅干しを作るための生梅を浸す消石灰の懸濁液濃度は、消石灰の溶解度約2g/L以上で50g/L以下そしてpH値は12以上、好ましくは3〜5g/LでpH12.4に生梅を浸したまま又は撹拌を繰り返すことにより腐敗菌を死滅又は減少させると、梅漬時の塩分濃度12%〜6%が調整可能となる。又、この方法の減塩梅干しとしては10%〜6%の塩分が好ましい。
  2. 生梅を消石灰懸濁液に浸す時間は10分以上で梅がふやけない範囲、好ましくは15分〜30分が良好で、5分置きに撹拌することが更に良好である。又、消石灰の懸濁水を作る用水は、井戸水でも殺菌された水道水のどちらでも可能で、水温は常温の温度5℃〜30℃の範囲で良い。
  3. 生梅を殺菌処理する消石灰は一般に販売されている1号消石灰・特号消石灰・肥料用消石灰・粒状消石灰などの消石灰と、生石灰を消化した消石灰懸濁液でも効果は同じであるが、梅干しという食品を作るに当たり、食品衛生において食品添加物消石灰を使用することが好ましい。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016140349A (ja) * 2015-01-29 2016-08-08 後藤 昇 無塩梅干しの製造方法

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