JP2014234566A - 印刷用塗工紙および印刷用塗工紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】原紙に顔料塗工層を設けた印刷用塗工紙であって、塗工紙製造時の操業性が良く生産効率の高い、印刷品質が良好で、かつ印刷作業も効率的に行える印刷用塗工紙、および印刷用塗工紙の製造方法を提供する。
【解決手段】原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を主成分とする塗工層を2層以上有する印刷用塗工紙であって、原紙に接する面の塗工層に含有される顔料と水溶性接着剤の固形分質量比が、顔料:水溶性接着剤として10:90〜60:40であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、印刷用紙のうち、原紙に顔料塗工層を設けた印刷用塗工紙であって、塗工紙製造時の操業性が良く生産効率の高い、印刷品質が良好で、かつ印刷作業も効率的に行える印刷用塗工紙、および印刷用塗工紙の製造方法に関する。
近年、印刷物に求められる品質要求は高まっているとともに、印刷物のコスト低減のため、印刷用紙も低コストで製造することが求められている。そのため、安価な原材料を使用することはもちろん、製造工程における操業性を良好として、効率よく印刷用紙を製造する必要性がますます高まっている。
原紙に顔料塗工層を設けた印刷用塗工紙は、セルロース繊維を主体とした原紙に対し、顔料及び接着剤を主体とする顔料塗工層を設けてなる。また、該顔料塗工層中の顔料を変更するなどして、塗工紙の光沢(以下、単に白紙光沢という)が高いグロス系塗工紙と、白紙光沢が低いマット系塗工紙が作り分けられている。さらに、グロス系・マット系塗工紙ともに、原紙上に顔料塗工層を1層設けた比較的安価で十分な印刷適性を有する塗工紙(A3グレードと呼ばれることがある)と、顔料塗工層を2層以上設けた印刷適性が特に優れる塗工紙(A2、A1グレードなどと呼ばれることがある)がある。
印刷用塗工紙は、工場で生産した塗工紙のまま使用される例は稀であり、何らかの印刷が施されて商品化される。ここで、印刷の方式としては、塗工紙をシート化し、1枚ずつ印刷機に供給するオフセット枚葉印刷方式と、塗工紙を巻取られた巻取のまま印刷機に供するオフセット輪転印刷方式等がある。印刷用塗工紙としては、前記オフセット枚葉印刷・オフセット輪転印刷いずれかを施されるのが大半である。
前記オフセット枚葉印刷・オフセット輪転印刷において塗工紙に求められる品質としては、白紙光沢等の外観上の品質や、印刷品質・画像再現性を良好とするために塗工紙の表面平滑(以下、単に平滑性ということがある)が良好であることを求められることは同じである。しかし、両者の印刷方式の違いにより、それ以外の異なる品質が求められる。
すなわち、オフセット枚葉印刷の場合、塗工紙は1枚ずつ印刷機に供されるため、給紙性が良好であること等も重要であるが、後述するオフセット輪転印刷の場合と比較して用いられるインキのタック値が高く、印刷中にインキのタック力によって塗工紙表面が剥離・脱落しないよう、塗工紙の表面強度が高いことが求められる。
塗工紙の表面強度が低位である場合、インキのタック値を下げるようにコンパウンド等の添加物を添加して印刷条件を調整したり、印刷速度を低下させてインキ−塗工紙表面間のタック力を低下させたりすることで印刷を行うことが可能であるが、印刷作業の効率を低下させることになる。
一方、オフセット輪転印刷においては、巻取として塗工紙が供給され、シートを切断することなく連続して印刷が行われ、印刷後に乾燥ユニットを通過させ、インキを乾燥させることが一般的である。
このオフセット輪転印刷に供する塗工紙としては、オフセット枚葉印刷と比較してタック値の低いインキを使用するため表面強度がオフセット枚葉印刷時ほど必要とされないものの、オフセット輪転印刷の乾燥機内にて印刷後の塗工紙が急速に乾燥されるため、印刷物の表面が数mm〜十数cmにわたり膨れ上がる、いわゆるブリスターと呼ばれる印刷欠陥の発生を防止する必要がある。ブリスターの発生原因は、塗工紙中の水分が乾燥機中で気化することにより塗工紙を層内で破壊してしまうためとされており、塗工紙の層内強度を十分に高める、あるいは、気化した水蒸気が塗工層内を通過させるよう、塗工層の通気性を良好にするといった対策が取られている。
印刷用塗工紙のブリスター適性が低位である場合、乾燥機内の紙面温度を下げるため乾燥条件を弱くすることがあるが、この場合、インキの乾燥効率が低下するため印刷速度を低下させる必要があり、印刷作業の効率を低下させることになる。
また、塗工紙は各種の塗工方式で塗工されて製品化されるが、高品質な塗工紙においては、原紙上に顔料塗工層を設ける方法として、高速生産性に優れ、また、得られる塗工紙の白紙光沢・平滑性に優れるブレードコーター方式が採用されることが多い。しかし、ブレードコーターにおいては、塗工液の計量部であるブレードの先端に異物が詰まるなどして筋上のストリークと呼ばれる塗工欠陥が発生することがある。ストリークは印刷後も解消されることはなく、またブレード塗工方式においてストリークを皆無にすることは事実上困難であり、実生産においては、ストリーク発生部分を除去して製品出荷しているのが現状である。このため、塗工紙除去部分のロス、および、除去に要する時間により生産効率が低下している。
原紙上に顔料塗工層を設ける方法として、塗工液の計量にブレードを使用しないロールコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等を使用する方法もある。ロールコーター等にて塗工層を設けた場合、ブレードコーターに特有の塗工欠陥であるストリークは発生しないが、ブレードコーター対比平滑性が劣り、平滑性を補うためより平滑化処理を進めると塗工紙の紙厚が減少して剛度が低下することで紙のハンドリング性が低下するという問題がある。
従来の課題に対し、これまで種々の提案がなされている。
たとえば、特定のパルプを使用した原紙上に、必要に応じて澱粉誘導体、ポリビニルアルコールあるいはポリアクリルアミド等の接着剤を用いて、通常のサイズプレス処理を行い、下塗り塗工層に平均粒子径が0.5〜2.5μmである重質炭酸カルシウムを全顔料の50質量%以上含有して、かつ該下塗り塗工層がフィルムトランスファーロール塗工方式で塗工されていることを特徴とする印刷用塗工紙が提案されている(特許文献1参照)。しかし、該下塗り塗工層をフィルムトランスファーロール塗工方式で塗工した場合、塗工紙の光沢や平滑発現性が劣るため、光沢や平滑を高めようとすると、平滑化工程におけるカレンダー処理を強くしなければならず、塗工紙の剛度の低下や、不透明度が低下して紙が黒ずんで見える、いわゆるブラッキングが発生しやすいという問題があった。
原紙上にそれぞれ顔料と接着剤を有する下塗り塗工層と上塗り塗工層を有するオフセット印刷用紙において、下塗り塗工層に特定の顔料と特定のポリビニルアルコールを顔料に対し2〜15質量部含有するオフセット枚葉印刷用塗工紙が提案されている(特許文献2参照)。該塗工紙は、印刷時の表面強度には優れるものの、ポリビニルアルコールの使用量が多いため、塗工紙製造工程中の乾燥工程中ドライヤー内部の汚れが発生しやすく、欠陥の発生や清掃のため生産を中断する頻度が高く、生産効率が劣る問題がある。
下塗り原紙上に顔料及び接着剤を主成分とする塗被組成物をブレードコーターで塗工した塗工紙であって、該下塗り塗被組成物中に表面サイズ剤を顔料に対し固形分で0.1〜5重量%添加し、動的濡れ値を特定のものとする方法も提案されている(特許文献3参照)。しかし、当該方法は塗工液の濃度が高く、塗工量も多いものであり、該下塗り塗工層上にブレード塗工にてさらに2層の顔料塗工層を設ける場合にはストリークの発生頻度が上昇する問題があった。
フィルム転写塗工方式で第一層目の塗工層を形成した後に、ブレード塗工方式で第二層、第三層を形成した印刷用塗工紙であって、第三層目の塗工層の顔料として平均粒子径が0.35μm以上0.55μ m 以下の炭酸カルシウムを含有することを特徴とするオフセット印刷用紙も提案されている(特許文献4参照)。該塗工紙では、最外塗工層に特定の小粒径炭酸カルシウムを配合しているため、印刷強度が劣り、またこれを補うために接着剤を増量するとブリスターが悪化するという問題があった。
顔料塗工層を1層以上設ける塗工紙の製造方法であって、抄紙及び塗工速度が1300m/分以上であり、特定の硬度のカバー材を有するアプリケーターロールを備えたロッドメタリングサイズプレス方式の塗工装置を用いて、下塗り顔料塗工液を両面で5.0g/m以上塗工する塗工紙の製造方法も提案されている(特許文献5参照)。しかし、当該方法は、下塗り塗工液に含有される顔料配合が接着剤配合部数対比で高いため、得られる塗工紙の印刷強度が低下するという問題があった。
上記のように、印刷用塗工紙としては、未だ品質向上および生産効率向上の問題が残されていた。
特開2009−270203号公報 特開平11−279991号公報 特許第3118965号公報 特開2004−256958号公報 特開2009−84776号公報
本発明は、原紙に顔料塗工層を設けた印刷用塗工紙であって、塗工紙製造時の操業性が良く生産効率の高い、印刷品質が良好で、かつ印刷作業も効率的に行える印刷用塗工紙、および印刷用塗工紙の製造方法を提供するものである。
本発明は以下の各発明を包含する。
[1]原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を主成分とする塗工層を2層以上有する印刷用塗工紙であって、原紙に接する面の塗工層に含有される顔料と水溶性接着剤の固形分質量比が、顔料:水溶性接着剤として10:90〜60:40であることを特徴とする、印刷用塗工紙。
[2]原紙に接する面の塗工層の塗工量が、片面当り0.5g/m以上2.5g/m未満であることを特徴とする、[1]に記載の印刷用塗工紙。
[3]原紙に接する面の塗工層に含有される顔料が、全顔料100質量部当り重質炭酸カルシウムを80質量部以上含み、かつ全顔料の平均粒子径が0.6〜2.5μmであることを特徴とする、[1]または[2]に記載の印刷用塗工紙。
[4]原紙に接する面の塗工層が、フィルムトランスファー方式の塗工装置によって形成された塗工層であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙。
[5]最表面の塗工層が、ブレード方式の塗工装置によって形成された塗工層であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙。
[6][1]〜[5]のいずれか1項に記載されている印刷用塗工紙を製造する方法。
[7]原紙に接する面に塗工する塗工液の固形分濃度が、5〜20%であることを特徴とする、[6]に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
[8]前記印刷用塗工紙は、ギャップフォーマー形式のフォーマーにより湿紙を形成する工程と、シュープレスを有するプレス装置により湿紙を搾水する工程と、ドライヤーにより湿紙を乾燥する工程と、原紙に接する面に塗工液を塗工・乾燥して塗工層を形成する工程と、更に顔料と接着剤を主成分とする塗工液を塗工・乾燥して塗工層を1層以上形成する工程と、弾性ロールと130〜230℃に加熱された金属ロールから構成される熱カレンダーにより平滑化処理する工程と、を含む工程より得られることを特徴とする、[6]または[7]に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
[9]前記プレス装置は、2基のシュープレスを有し、1基目のシュープレスでのシューロール側に接する湿紙の面と、2基目のシュープレスでのシューロール側に接する湿紙の面とが異なるように配置されていることを特徴とする、[8]に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
[10]前記2基のシュープレスの上流側に、1〜3基のロールニッププレスを有することを特徴とする、[9]に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
[11]原紙に接する面に塗工する塗工液に、表面サイズ剤および/または潤滑剤を原紙に接する面の塗工層両面で固形分として0.001〜0.1g/m含有させて塗工・乾燥して塗工層を形成した後、巻取装置でスプールに巻取り、更にオフマシンコーターにより顔料と接着剤を主成分とする塗工液を塗工・乾燥して塗工層を1層以上形成することを特徴とする、[6]〜[10]のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
本発明により、原紙に顔料塗工層を設けた印刷用塗工紙であって、塗工紙製造時の操業性が良く生産効率の高い、印刷品質が良好で、かつ印刷作業も効率的に行える印刷用塗工紙、および該印刷用塗工紙の製造方法が提供される。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用される原紙の主体となるセルロース繊維としては、代表的には木材を原料としたパルプが使用されるが、ケナフ・バガス・バンブー・コットンなど非木材系パルプも使用できる。木材パルプの原材料は、広葉樹材、針葉樹材のいずれでもよく、原材料からパルプを得るための蒸解法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができる。
蒸解により得られた未漂白パルプは、洗浄、粗選及び精選工程を経て、公知のアルカリ酸素漂白法により脱リグニンされることが好ましい。本発明に使用できるアルカリ酸素漂白法は、公知の中濃度法或いは高濃度法がそのまま適用できるが、現在、汎用的に用いられているパルプ濃度が8〜15%で行われる中濃度法が好ましい。本発明では、アルカリ酸素漂白工程において、上記アルカリ酸素漂白を連続して複数回行い、できる限り脱リグニンを進めるのが好ましい実施態様である。
本発明で使用される漂白パルプを得るための多段漂白工程では、公知の漂白工程を適宜使用できるが、近年の環境問題に対する取り組みの見地から、オゾン漂白段を用いることが好ましい。また、必要であれば、二酸化塩素、他の漂白薬品を併用することも可能である。本発明の多段漂白工程で使用できる漂白段は、好ましく用いられるオゾン漂白段以外として、公知の漂白段を用いることができる。多段漂白後のパルプは、叩解工程、または抄紙工程へ送られる。
また、上記パルプに対して、砕木パルプ、加圧式砕木パルプ、リファイナ砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ等の機械パルプ、脱墨古紙パルプ、損紙なども、本発明の所望の効果を妨げない限り、適宜混合使用することができる。さらには、パルプスラリーを抄紙機で抄き上げ、湿潤状態あるいは乾燥状態でシート化したものを、再度離解してパルプスラリーとしたパルプも使用できる。この中で、機械パルプおよび機械パルプを含有する脱墨古紙パルプは、得られる原紙の表面平滑が低くなりやすく、さらに、オフセット輪転印刷で印刷された場合、印刷後の乾燥工程においてヒートセットラフニングとして知られる一部の機械パルプ繊維が浮き上がった状態が観察されることがあり、機械パルプおよび機械パルプを含有する脱墨古紙パルプは使用しないことが好ましい。
原紙を構成するパルプの叩解度として特に限定はないが、叩解を行わない、あるいは軽度の叩解しか行わないと、パルプ繊維間の結合強度が低下し、塗工紙強度が低下する可能性があり、一方、叩解を進めすぎると、塗工紙強度は上昇するもののフォーマー部あるいはプレス部における搾水効率が大きく低下するため好ましくない。パルプ叩解度としては、JIS P8121−2:2012に準拠して測定されるカナダ標準濾水度試験において、300〜620mlが好ましく、350〜600mlがより好ましく、400〜550mlであることが更に好ましい。
原紙を構成するパルプは叩解工程を経た後、スラリー状のパルプ水分散液である紙料として抄紙機に送られる。この紙料に対して、填料や、内添サイズ剤、アニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤等の抄紙用内添助剤を、必要に応じて添加することができる。原紙の抄紙条件については、酸性抄紙、中性抄紙、弱アルカリ抄紙等のいずれの方式でも良い。
本発明で、紙料中に添加し、原紙の形成に使用する填料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、タルク、クレー、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミネーテッドカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機顔料や、尿素・ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料等が例示でき、古紙や損紙等に含まれる填料も再使用できる。填料は2種類以上の混合使用も可能である。填料の配合量は、一般に紙(原紙)灰分が3〜30質量%の範囲となるように添加される。層間強度や不透明度、さらには塗工紙の表面強度を良好とするために好ましくは灰分が5〜25質量%となるように添加されることが好ましく、灰分が6〜15質量%となるように添加されることがより好ましい。
また、本発明で使用される内添サイズ剤の具体例としては、例えば、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系、ロジン系、強化ロジン系、カチオンポリマー系などのサイズ剤が挙げられる。また、歩留向上剤、濾顔料向上剤、紙力増強剤の具体例としては、例えば、アルミニウム等の多価金属化合物(具体的には硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性アルミニウム化合物等)、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、ポリアミドポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド等が例示できる。また、本発明の効果を妨げない範囲で、パルプ繊維間結合形成の阻害機能を有する嵩高剤、柔軟剤を使用することも可能である。
スラリー状のパルプ水分散液に必要な填料・薬剤を添加した紙料からシート状の原紙を形成する、原紙の抄造(フォーマー)形式として限定はなく、丸網・長網式フォーマー、オントップフォーマー、ギャップフォーマー等を例示することができる。生産効率を向上させるためには、フォーマー形式として、高速での原紙抄造でも安定的に品質が良好な原紙を生産でき、生産効率を高めることができるギャップフォーマー形式の抄紙機を使用することが好ましい。ギャップフォーマー形式の抄紙機としては、吐出された紙料ジェットを両側からワイヤーで拘束した直後の脱水形式により、ブレードフォーミング型、ロールフォーミング型、およびこれらの複合型があるが、いずれも使用できる。
ギャップフォーマー形式の抄紙機は、ヘッドボックスから紙料を吐出する角度基準に大別すると水平型(紙料がほぼ水平に吐出される)と上向き型(紙料が水平方向に対し90度以下50度程度の範囲で吐出される)に区別できる。このうち、上向き型では、ブレードおよび/またはロール搾水時、あるいはその後のプレス工程へ湿紙を送る際、進行方向が略90度変更されるが、高速の抄造速度となった場合、湿紙中の水分がまだ高いことから、遠心力の作用を受けて填料が移動し、その分布が原紙層内で不均一になりやすい傾向がある。このため、ギャップフォーマー形式の抄紙機としては、水平型のギャップフォーマーであることが好ましい。
抄紙される原紙の坪量としては特に限定はない。ただし、原紙の米坪が低すぎる場合、抄紙工程で断紙が発生して生産効率を低下させることがあり、他方、原紙米坪が高すぎる場合、乾燥負荷が大きく抄造速度を上げることが困難となるため、原紙の坪量としては30〜150g/mが好ましく、35〜120g/mがより好ましい。
原紙の抄造速度としても特に限定はないものの、ギャップフォーマーにて抄紙する場合、速度が遅すぎると原紙の地合が悪化する等の不具合があるため、700m/min以上で抄紙することが好ましく、1000m/min以上の高速で抄紙することがより好ましい。生産効率向上のためには、さらに1300m/min以上とすることが好ましいが、速度の上限としては、得られる原紙の地合、原紙の乾燥性、さらに高速化された場合の断紙発生頻度上昇を考慮すると、1800m/min以下が好ましい。
フォーマーにて形成された湿紙は、続いてプレス装置にて搾水される。プレス形式としては、公知のプレス形式であるロールニッププレスを組み合わせたトライニッププレス、トライニッププレス+4P等の構成を採用することが可能であるが、抄紙速度が高速になった場合でも搾水性が良好である、シュープレスを使用することが好ましい。
なかでも、2基のシュープレスを有し、1基目のシュープレスでのシューロール側に接する湿紙の面と、2基目のシュープレスでのシューロール側に接する湿紙の面とが異なるように配置することで、そうでない場合と比較して、得られる原紙の表裏差を低減できるため、好ましい。
また、ギャップフォーマーでは、紙料がヘッドボックスから吐出された直後に、紙料ジェットの両面をワイヤーにて拘束、急速脱水を行うため、紙料中の微細繊維や填料が表裏両面の表層側に集中しやすい特徴を持っている。シュープレスは、前述のとおり抄造速度が高速になった場合でも搾水性が良好であるが、その結果、より微細繊維や填料が表裏両面の表層側に集中しやすくなる。
シュープレスを設置する場合に、シュープレスの上流側に1〜3基のロールニッププレスを設置し、シュープレスと比較して緩やかな搾水を行った後、シュープレスで効率的な搾水を行うことで、微細繊維や填料が基紙の表裏両面の表層側に集中することを緩和できるため、より好ましい態様として例示できる。
プレス部の構成として最も好ましくは、2基のシュープレスを有し、1基目のシュープレスでのシューロール側に接する湿紙の面と、2基目のシュープレスでのシューロール側に接する湿紙の面とが異なるように配置したうえで、シュープレスの上流側に1〜3基のロールニッププレスを設置した態様である。
シュープレスの線圧について、特に限定はないものの、高速抄造時の搾水性、得られる原紙の平滑性を良好とするためには、300〜1400kN/mとすることが好ましく、前記操業性・原紙品質に、さらに用具の耐用性を考慮すると、500〜1100kN/mにて使用されることが好ましい。
プレス部を経た湿紙は、ドライヤーにより乾燥され、所望の水分とした後に、サイズプレス工程に送られる。この際の原紙水分として特に限定はないが、一般的に、3〜8%程度の水分となるよう、ドライヤーにて乾燥される。
本発明においては、原紙に接する面に顔料と接着剤を主成分とする塗工層を形成するが、この原紙に接する面の塗工層に含有される顔料と水溶性接着剤の固形分質量比は、顔料:水溶性接着剤として10:90〜60:40である。一実施態様として、サイズプレス工程にて該塗工層を形成することを以下に例示して説明する。
原紙に接する面に澱粉等の水溶性高分子をサイズプレス工程にて塗工する、いわゆるクリアサイズプレスは公知の技術として知られている。また、同じくサイズプレス工程にて澱粉等の水溶性高分子に顔料を加え原紙に接する面に顔料塗工すること(いわゆるピグメントサイズプレス)も公知であるが、本発明は、原紙に接する面への顔料塗工について詳細に検討し、特定の塗工液にて特定の顔料塗工層を形成することにより、そうでない場合と比較して、透気性や塗工紙表面強度といった塗工紙特性、また、原紙に接する面の塗工層上に形成される顔料塗工層の塗工操業性をも向上できることを見出し、本発明を完成するにいたった。
すなわち、原紙に接する面に、顔料と水溶性接着剤の固形分質量比が顔料:水溶性接着剤として10:90〜60:40となる塗工層を形成することで、本発明所望の効果が得られることを見出した。
原紙に接する面の塗工層に含有される顔料と水溶性接着剤の固形分質量比を前記比率とすることで、水溶性接着剤のみを使用するクリアサイズプレスを行った場合と比較して、原紙に接する面に形成される塗工層にて顔料粒子間で水溶性接着剤の収縮が発生するため、該塗工層に微細な空隙を生じ、該塗工層の透気性を向上させ、オフセット輪転印刷時におけるブリスター発生の抑制に効果的となる。さらに、固形化した水溶性接着剤よりも剛度の高い顔料を含有することで、塗工紙の剛度を高める作用も発揮され、塗工紙の印刷時ハンドリング性をも向上させる効果を有する。
また、原紙の不透明度を向上させる目的で、紙料中に配合する填料を多くする場合、抄紙工程系内の汚れによる湿紙の欠陥発生や紙力低下による断紙の傾向が強くなるが、サイズプレスにて本発明で規定する塗工層を形成することにより、上記問題を回避しつつ、原紙のトータル灰分を増やすことができ、得られる塗工紙の白色度や不透明度などの光学的特性も向上させることができる作用効果を有する。
ここで、顔料と水溶性接着剤の固形分質量比として、水溶性接着剤比率が90を超えると顔料を併用する効果が発現せず、同比率として40に満たない場合、原紙に接する面に形成される塗工層の強度が低下して、該塗工層上に更に顔料塗工層を設けた場合、多層塗工層全体の印刷強度が低下したり、原紙に接する面に形成される塗工層の顔料の一部が脱落することでドライヤー内を汚して操業性が低下したりする。
本発明において、原紙に接する面の塗工層の塗工量(固形分塗工量)については、本発明所望の効果を妨げない限り特に限定されるものではないが、片面当り0.5g/m以上2.5g/m未満であることが好ましい。該塗工量が0.5g/m以上であれば、原紙に接する面に本発明で規定する塗工層を設ける効果が好適に発現し、他方、該塗工量が2.5g/m未満であれば、原紙に接する面の塗工層の透気性が悪化せず、オフセット輪転印刷時にブリスターが発生する可能性が小さくなるとともに、原紙に接する面に形成される塗工層上に更に顔料と接着剤を主成分とする塗工層をブレード方式の塗工装置によって形成する際に、塗工欠陥であるストリークの発生を抑制することができる。原紙に接する面の塗工層を設ける効果、ブリスター・ストリーク抑制効果の観点から、該塗工量としては片面当り0.7g/m以上2.0g/m以下であることがより好ましい。
本発明において、原紙に接する面の塗工層に含有される顔料については、本発明所望の効果を妨げない限り特に限定されるものではなく、例えば、通常のカオリン、焼成カオリン、構造化カオリン、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドカオリン等の各種カオリン、重質炭酸カルシウム(粉砕炭酸カルシウム)などの精製した天然鉱物顔料、軽質炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)、炭酸カルシウムと他の親水性有機化合物との複合合成顔料、サチンホワイト、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、中空もしくは密実である有機顔料のプラスチックピグメント、接着剤ピグメント、プラスチックビーズ、マイクロカプセルなどを適宜混合、使用することができる。
原紙に接する面の塗工層に含有される顔料の好ましい態様としては、原紙に接する面の塗工層の透気性を適正なレベルに維持しつつ、かつ強度面でも問題のない塗工層を得ることができるという点から、全顔料100質量部当り重質炭酸カルシウムを80質量部以上含み、かつ全顔料の平均粒子径が0.6〜2.5μmである。
重質炭酸カルシウムを全顔料100質量部当り80質量部以上含むことで、原紙に接する面の塗工層の透気抵抗を小さくすることができるため、オフセット輪転印刷時のブリスター適性向上効果を押し上げることができる。また、強度発現効果も得ることができる。
塗工液の流動性を良好にできること、および塗工紙製造コスト低減の観点から、原紙に接する面の塗工層に含有される顔料として、重質炭酸カルシウムが100質量部であることが最も好ましい。
重質炭酸カルシウムの配合量を前述の好ましい範囲とした上で、顔料全体の平均粒子径を0.6μm以上とすることで、原紙に接する面の塗工層の強度が向上するため多層塗工層全体の強度が向上する。また、原紙に接する面に形成される塗工層上に更に顔料と接着剤を主成分とする塗工層をブレード方式の塗工装置によって形成する際に、原紙に接する面の塗工層の平滑性が高くなりすぎることなく、塗工欠陥であるストリークの発生を抑制することができる。
他方、重質炭酸カルシウムの配合量を前述の好ましい範囲とした上で、顔料全体の平均粒子径を2.5μm以下とすることで、得られる印刷用塗工紙の平滑性が向上する。また、顔料の脱落を防ぐことができることから、操業中にドライヤー内等の汚れを誘発することがなく、操業性が向上する。
強度・平滑・操業性等のバランスを考慮すると、顔料全体の平均粒子径として、より好ましくは0.65μm以上2.0μm未満であり、さらに好ましくは0.7μm以上1.5μm未満である。
なお、本発明で言う顔料の平均粒子径の測定は、一般的なミキサーによって分散を行った顔料分散液または顔料スラリーをピロリン酸ナトリウム(商品名:ナンカリンS−1、燐化学工業株式会社製)の0.1%液中に添加し、さらに超音波で5分間分散処理した後行った。平均粒子径は、レーザー粒度分布測定装置「SALD−2200」(株式会社島津製作所製)にて粒子径分布を測定し、全粒子の体積に対する累積体積が50%になるときの粒子径を該顔料の平均粒子径とした。
本発明において、原紙に接する面に塗工層を形成する塗工装置としては、本発明所望の効果を妨げない限り特に限定されるものではなく、例えば、ポンド方式である2ロールコーター(インクラインドコーターとも呼ぶ)、フィルムトランスファー方式であるゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーター、ブレードメタリングサイズプレスコーター、ポンド・フィルムトランスファー組合せ方式であるビルブレードコーター、ベルバパコーターを例示できる。
原紙に接する面に塗工層を形成する塗工装置の好ましい態様としては、フィルムトランスファー方式の塗工装置である。フィルムトランスファー方式の塗工装置で原紙に接する面を形成すると、その他の方式で形成した場合と比較して原紙内部まで塗工液が浸透することがないことから、得られる印刷用塗工紙の透気抵抗が小さくなり、オフセット輪転印刷時のブリスター適性向上効果を押し上げることができる。
フィルムトランスファー方式の塗工装置としては、高速塗工時におけるミストの飛散や塗工液のボイリングの発生がなく、また幅方向の塗工プロファイル制御性に優れる、ロッドメタリングサイズプレスコーターを使用することが特に好ましい。
原紙に接する面に塗工層を形成する塗工装置としてロッドメタリングサイズプレスコーターを使用する場合、塗工液を計量するためのロッドとして限定はなく、ロッド表面に溝がないプレーンロッド、ワイヤーを巻きつけた、あるいは、鋳造・彫刻により製造された、表面に溝がある溝付ロッドいずれも使用できる。
このうち、塗工量を本発明所望の範囲とするためには、溝付ロッドの使用が好ましく、溝幅としては0.15〜0.40mmのものが好ましい。溝幅が0.15mm以上であれば、塗工量を容易に所望の範囲とすることができ、また、溝幅が0.40mm以下であれば、塗工液計量後のロール上に形成される塗工液膜の幅方向筋状ムラが発生することがないため、原紙へ塗工する際に幅方向の塗工量ムラが生じない。塗工量制御性ならびに筋状欠陥防止の観点から、溝付ロッドの溝幅としては、0.18〜0.30mmであることがより好ましい。
さらに、ロッドの目詰まり防止の観点からは、ロッド溝の断面形状として、ワイヤーを巻きつけたロッドのような略V字型形状よりも、鋳造・彫刻によりにより作成される、略凹型形状であることが好ましい。
また、前記ロッドのロッド径についても限定はないが、ロッド径が小さすぎると振動による塗工量ムラを生じたり、ロッドをロールに押し付けて塗工液を計量する際の圧力でロッドが破損したりする恐れが高くなる。他方、ロッド径が大きすぎる場合、ロッド交換時のハンドリング性が低下するほか、ロッドの剛性が高くなりすぎ、幅方向プロファイルの制御性が低下することがある。このため、前記ロッドのロッド径としては、直径10〜40mmの範囲であることが好ましく、15〜25mmであることがより好ましい。
本発明において、原紙に接する面に塗工する塗工液の固形分濃度としては、本発明所望の効果を妨げない限り特に限定されるものではないが、好ましくは5〜20%である。前記固形分濃度が5%以上であれば、所望の塗工量を塗工する際に、原紙に過剰な水分を付与することがないから、抄造工程中の断紙を抑制することができるとともに、乾燥時の乾燥エネルギーコストを低減することができる。前記固形分濃度が20%以下であれば、所望の塗工量の制御が容易になるとともに、塗工装置に使用される計量用具のロッド、ブレードや、ロールの損傷発生確率を低下させることができる。断紙抑制という操業性、乾燥エネルギーコスト低減という経済性、塗工装置用具の耐用性を考慮すると、原紙に接する面に塗工する塗工液の固形分濃度としては、6〜15%であることがより好ましい。
さらに、固形分濃度を前述の好ましい範囲とすることで、原紙に接する面に塗工する塗工液の流動性が良好となる。この作用により、原紙に接する面の塗工層を形成する塗工装置としてロッドメタリングサイズプレスコーターを使用した場合、計量部のロッド溝の断面形状として、ワイヤーを巻きつけたロッドのような略V字型形状のものを使用した場合でも、ロッド溝内の塗工液流動性が良好なことから溝内クリーニング効果が発揮され、ロッドの目詰まりが起こりにくくなる効果が得られ、塗工層形成時の操業性を良好にすることができる。
本発明において、原紙に接する面の塗工層に含有される水溶性接着剤については、本発明で規定する顔料との固形分質量比の範囲で使用する限り特に限定されるものではないが、良好な透気性を得ることができ、また乾燥時のドライヤー内汚れの発生を抑制することができることから、水溶性接着剤中の固形分80〜100質量部が、澱粉または澱粉誘導体であることが好ましい。また、水溶性接着剤中の固形分80〜100質量部を澱粉または澱粉誘導体とすることにより、原紙に接する面に塗工する塗工液の固形分濃度を所望の範囲に調製しやすくなるとともに、製造コストを下げることができる。
前記澱粉または澱粉誘導体としては、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉等が例示でき、なかでも、所望の塗工量とするような塗工液粘度に調整しやすい、酸化澱粉もしくは酵素変性澱粉が好ましい。
原紙に接する面に塗工する塗工液には、本発明で規定する条件を満たした上で、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等、天然もしくは合成の水溶性高分子を含有する水溶液あるいはエマルジョン型高分子、サイズ剤、潤滑剤、染料、その他必要な助剤を、本発明所望の効果を損なわない範囲で添加することもできる。
原紙に接する面の塗工層乾燥時のドライヤー内汚れ回避、ならびに工程内損紙を再使用する際の欠点発生抑制の観点からは、原紙に接する面の塗工層を形成する塗工液全固形分中、澱粉またはその誘導体と、顔料の両者合計で80質量%以上となることが好ましく、90質量%となることがより好ましく、98質量%以上となることが更に好ましい。また、加熱時に可塑性を示して粘着性を有するラテックスは、ドライヤー内汚れや欠点を増加させる傾向があり、使用しないことが好ましい。
また、原紙に接する面の塗工層には、表面サイズ剤および/または潤滑剤を該塗工層両面で固形分として0.001〜0.1g/m含有することが好ましい。
該含有量が0.001g/m以上であれば、原紙に接する面の塗工層表面に適度な撥水性を付与することができ、該塗工層上に塗工液を塗工する際に原紙への脱水作用を緩和する効果を得ることができる。また、該効果により、塗工液の一部不動化・凝集を抑制することから、原紙に接する面の塗工層上にブレード方式の塗工装置で塗工液を塗工する場合、ストリークを抑制することができる。
また、該含有量が0.1g/m以下であれば、原紙に接する面の塗工層表面の撥水性を過度に強くすることがないため、該塗工層上に塗工液を塗工する際に、はじきやカスレ等の塗工欠陥の発生を抑制することができる。また、前述したストリーク抑制効果が飽和することのない範囲であるから、塗工紙製造コストの観点で優れる。
本発明では、上記にて形成した原紙に接する面の塗工層上に、更に、顔料と接着剤を主成分とする顔料塗工層を1層以上形成し、顔料塗工層を2層以上有する印刷用塗工紙とする。
本発明において、原紙に接する面の塗工層上に、更に顔料と接着剤を主成分とする顔料塗工層を形成する塗工装置としては、本発明所望の効果を妨げない限り特に限定されるものではなく、例えば、ブレード方式、ロール方式、カーテン方式、スプレー方式、スロットダイ方式、エアーナイフ方式の塗工装置を例示できるが、得られる印刷用塗工紙の白紙光沢・平滑性に優れることから、最表面の塗工層はブレード方式の塗工装置により形成されることが好ましい。
ブレード方式の塗工装置としては、フラデッドニップ型、ジェットファウンテン型、バリドウェルタイム型、ショートドウェルタイム型等、従来公知の塗工装置を好適に使用することができる。
本発明において、原紙に接する面に塗工層を形成した後、更に顔料塗工層を形成するにあたり、オフマシンコーター形式であってもよく、オンマシンコーター形式であってもよい。
本発明者らがさらに検討した結果、原紙に接する面に塗工液を塗工・乾燥して塗工層を形成した後、一旦巻取装置(リールとも呼ぶ)でスプールに巻取紙として巻取り、その後顔料塗工層を形成する塗工工程にて顔料塗工層を形成するオフマシンコーターで塗工紙を製造する場合、原紙に接する面に塗工する塗工液に、表面サイズ剤および/または潤滑剤を原紙に接する面の塗工層両面に固形分として0.001〜0.1g/m含有させることにより、前述したストリーク抑制による操業性改善効果のみならず、別の操業性向上効果をも奏することが判明した。
本発明において、原紙に接する面に塗工液を塗工・乾燥して塗工層を形成した後一旦巻取装置でスプールに巻取った後に塗工工程に送るオフマシンコーターの場合、使用パルプ等の原材料変動、原紙に接する面の塗工層の塗工量・巻取り水分・抄造速度の変化等が生じた際に、巻取装置での巻取作業中に巻取紙がバウンドする傾向が認められることがあった。バウンドの発生は、巻取装置の損傷や、原紙紙流れ方向に規則的なパターンの発生等の問題を生じる可能性があり、酷い場合には断紙につながり生産効率を著しく低下させる可能性があった。
この問題に対して本発明者らが検討した結果、原紙に接する面に塗工する塗工液に、表面サイズ剤および/または潤滑剤を原紙に接する面の塗工層両面中で固形分として0.001〜0.1g/m添加することにより、前記巻取りのバウンド問題を解決できることが分かった。その理由については定かではないが、原紙上に顔料を有する塗工層を設けた後に原紙を巻き取るため、表面に顔料が露出している部分があり、巻取り上下紙間の摩擦が大きくなってしまうところ、サイズ剤および/または潤滑剤を添加することにより、摩擦が適正範囲となり、バウンド問題が解消したと推測される。
原紙に接する面の塗工層を形成する塗工液に添加する表面サイズ剤としては、ロジン、強化ロジン、ロジン誘導体、アルキルケテンダイマー(AKD)系、アルケニル無水コハク酸系(ASA)サイズ剤、ワックス、あるいはスチレン系、アクリル系、スチレン・アクリル系、アクリレート系、オレフィン系、高級脂肪酸系、石油樹脂系、ロジン系などの樹脂系サイズ剤が挙げられる。
上記表面サイズ剤の中でも、ロジン系は現在の主流である中性抄紙時に効果が発現しにくく、ASAは塗工液調整時の操業性がAKD対比劣るため、AKDの使用が最も好ましい。
原紙に接する面の塗工層を形成する塗工液に添加する潤滑剤としては、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸カルシウム、ポリエチレンワックス、ポリエチレンエマルジョン、オレイン酸アンモニウム、シリコン系、金属石鹸系、高級アルコール誘導体系、鉱物油系、植物油系等の潤滑剤が例示できる。なかでも、重質炭酸カルシウムとの親和性が良好で、原紙に接する面の塗工層上に顔料および接着剤を主成分とした顔料塗工層を設ける塗工液を塗工する際に、塗工液のハジキによる塗工欠陥が発生しにくい、脂肪酸カルシウム、特にステアリン酸カルシウムが好ましく使用される。
上記潤滑剤の添加において、潤滑剤の希釈率・添加位置・原紙に接する面の塗工層を形成する塗工液調製時の攪拌状況によっては、潤滑剤の凝集物が発生する可能性がある。凝集物が発生した場合、原紙に接する面の塗工層上に、更に顔料と接着剤を主成分とした塗工液を塗工する際に、塗工液のハジキによる塗工欠陥が発生する可能性がある。このため、原紙に接する面の塗工層を形成する塗工液に添加する表面サイズ剤と潤滑剤を比較すると、表面サイズ剤を使用することがより好ましい。
前記表面サイズ剤および/または潤滑剤の添加量が、原紙に接する面の塗工層両面で固形分として0.001g/m以上であれば、バウンドの発生を好適に抑制することができる。また、0.1g/m以下であれば、バウンド抑制効果が飽和することのない範囲であるから、製造コストの観点で優れる。該添加量としてさらに好ましくは、0.002〜0.05g/mである。
また、更に検討したところ、前記リールでのバウンドの問題は、原紙に接する面の塗工層に用いる顔料の平均粒子径が大きい場合や、原紙に接する塗工層の塗工量が多い場合に発生しやすい傾向にあることも判明した。このため、バウンド発生抑制の観点から、原紙に接する面の塗工層に用いる顔料の平均粒子径として、0.6〜1.5μmとすることがより好ましく、原紙に接する面の塗工層の塗工量としては、片面あたり0.5g/m以上2.5g/m未満であることがより好ましい。さらに、該塗工量としては、0.7g/m以上2.0g/m以下であることが特に好ましい。
なお、本発明において、原紙に接する面に塗工層を形成する工程の前、あるいは原紙に接する面に塗工層を形成する工程後の乾燥が完了した後から顔料塗工層塗工工程前の間において、本発明所望の効果を損なわない範囲で、必要に応じ金属ロール/金属ロールの組み合わせによるマシンカレンダー、あるいは金属ロール/弾性ロールの組み合わせであって金属ロールを加温したソフトカレンダー、金属ロール/弾性ロールの組み合わせであって金属ロールを加温しないスムーザー等によるプレカレンダー処理を施すこともできる。
本発明において、原紙に接する面の塗工層上に形成される顔料塗工層に使用される顔料については、本発明所望の効果を妨げない限り特に限定されるものではなく、例えば、通常のカオリン、焼成カオリン、構造化カオリン、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドカオリン等の各種カオリン、重質炭酸カルシウム(粉砕炭酸カルシウム)などの精製した天然鉱物顔料、軽質炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)、炭酸カルシウムと他の親水性有機化合物との複合合成顔料、サチンホワイト、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、中空もしくは密実である有機顔料のプラスチックピグメント、接着剤ピグメント、プラスチックビーズ、マイクロカプセルなどを本発明の効果を阻害しない範囲で適宜混合、使用することもできる。
原紙に接する面の塗工層上に形成される顔料塗工層に使用される接着剤としては、天然植物から精製した澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉等の各種澱粉、およびカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の澱粉誘導体、デキストリン、マンナン、キトサン、アラビノガラクタン、グリコーゲン、イヌリン、ペクチン、ヒアルロン酸等の天然多糖類およびそのオリゴマー、さらにはその変性体が挙げられる。さらに、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、コラーゲンなどの天然タンパク質およびその変性体、ポリ乳酸、ペプチドなどの合成高分子やオリゴマーが挙げられる。加えてスチレンブタジエン系、アクリル系、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニルなどの各共重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、変成ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ユリアまたはメラミン/ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン/エピクロルヒドリンなどの水溶性合成物などが挙げられる。これらは一種以上で使用することができる。この他、公知の天然、合成有機化合物を使用することは特に限定されない。
接着剤として用いることができるスチレンブタジエン系共重合体ラテックス(以下、SBRラテックスと記す)としては、ラテックス粒子の平均粒子径が50〜120nmである場合、接着剤使用量を削減でき、顔料塗工層の空隙を増加させ、塗工層の透気抵抗を低下させることから、オフセット輪転印刷した際の耐ブリスター性が改善されることや、オフセット枚葉印刷用塗工紙の製造に使用するラテックスの量を低減でき、顔料塗工層乾燥工程におけるドライヤーやロール汚れを低減できるため好ましい。SBRラテックス使用量と塗工紙品質・操業性のバランスの観点からは、SBRラテックス平均粒子径としては、60〜90nmであることがより好ましい。ラテックスの平均粒子径は、ラテックスをオスミウム酸で処理し、これを透過型電子顕微鏡で倍率5万倍で写真撮影し、得られた顕微鏡写真の重合体ラテックス粒子の約200個の粒子径を測定し数平均で求めるか、より簡便な方法として、サブミクロン粒子アナライザーモデルN4(ベックマンコールター社製)による測定でも求めることができる。
また、必要に応じて原紙に接する面の塗工層上に形成される顔料塗工層に使用される増粘剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、キサンタンガム、グアーガム等のガム類、カゼイン、ポリアクリル酸ソーダなどの水溶性高分子、ポリアクリル酸塩、スチレンマレイン酸無水共重合体などの合成重合体、珪酸塩などの無機重合体などが挙げられる。
さらに、必要に応じて、分散剤、濡れ剤、流動性改質剤、消泡剤、耐水化剤、印刷適性向上剤、防腐剤、スライムコントロール剤、着色剤などの通常使用されている各種助剤、およびこれらの各種助剤をカチオン化したものが好適に用いられる。
塗工紙の白色度を調整するために蛍光染料を使用する場合、接着剤としてポリビニルアルコールを併用することで、ポリビニルアルコールが蛍光染料のキャリアーとして作用し、蛍光染料の原紙への過度な移動を抑止して良好な蛍光増白作用を示すために好ましい。顔料塗工層をブレードコーターにて設ける場合、塗工時の塗工量制御性を適正な範囲に保つため、用いるポリビニルアルコールの重合度として100〜1000のポリビニルアルコールが好ましく、300〜600がより好ましい範囲として例示できる。また、ポリビニルアルコールの配合量としては、蛍光増白作用を発揮しつつ塗工時の塗工量制御性を適正な範囲に保つため、顔料塗工層の全顔料100質量部に対し、0.2〜2質量部とすることが好ましい。
ここで、原紙に接する面の塗工層上に形成される顔料塗工層であって、原紙に接する面の塗工層と接する顔料塗工層に用いる顔料として、顔料100質量部中50部以上が炭酸カルシウムであり、かつ、該炭酸カルシウムとして80質量%以上が重質炭酸カルシウムであり、さらに、該顔料塗工層を形成する塗工液の固形分濃度が63〜72%であることで、該顔料塗工層をブレード方式の塗工装置により形成する場合に、より効果的にストリークの発生を防止できる。
炭酸カルシウムは、カオリン等の他の顔料と比較して高濃度でも粘度が低い特徴を有しており、なかでも重質炭酸カルシウムは良好な流動特性を示す。このため、前記顔料組成とすることで、塗料の流動性を良好とすることができる。
また、塗工液の濃度を63〜72%とすることで、塗工液の流動性を良好に保ちつつ、ブレード塗工時の計量性も良好に保持することができるため好ましい。
原紙に接する面の塗工層上に形成される顔料塗工層用いる重質炭酸カルシウムとしては、流動性向上および得られる塗工紙の平滑性低下回避の観点から、平均粒子径が0.5〜4.0μmであることがさらに好ましく、塗料流動性および塗工紙製造コストの面からは、該原紙に接する面の塗工層と接する顔料塗工層に用いる顔料が、全てが重質炭酸カルシウムであることが最も好ましい。
特に、原紙に接する面の塗工層上に顔料塗工層を更に2層以上設ける場合であって、原紙に接する面の塗工層に接する顔料塗工層をブレード方式の塗工装置により設ける場合、原紙に接する面の塗工層に接する顔料塗工層に用いる顔料として顔料100質量部中80質量部以上が炭酸カルシウムであり、かつ、該炭酸カルシウムとして90質量%以上が平均粒子径0.7〜2.5μmの重質炭酸カルシウムとすることで、得られる塗工紙の平滑性を低下させることなく、塗料の流動性が良好となるとともに、原紙に接する面の塗工層に接する顔料塗工層の表面の平滑性が過度に高くなりすぎず、ストリークの発生を抑制できるため好ましい。該平均粒子径としては、塗工紙品質・操業性を加味すると、0.8〜2.0μmであることがより好ましい。
この際、前記平均粒子径を有する単一の顔料を使用することはもちろん、平均粒子径の小さい顔料と大きい顔料を組み合わせることも可能である。顔料の組み合わせとしては、平均粒子径0.5〜1.5μmの小粒径顔料と、平均粒子径1.8〜4.0μmの大粒径顔料を組み合わせ、前述した好ましい平均粒子径となることを前提として、顔料比率を小粒径顔料:大粒径顔料の比を90:10〜50:50とすることで、得られる塗工紙の平滑性を損なわず、ストリーク抑制効果を発揮させることができるため好ましい。最も好ましくは、顔料全体の平均粒子径として0.8〜2.5μmであり、かつ、小粒径顔料:大粒径顔料の比を前記好ましい範囲とした重質炭酸カルシウムを100質量部使用する態様である。
原紙に接する面の塗工層上に設けられる顔料塗工層の塗工量は、該顔料塗工層の層数にかかわらず片面あたり6〜30g/mの範囲で適宜調製される。塗工紙品質と塗工操業性を良好に保つためには、各顔料塗工層の塗工量としては、6〜15g/mであることがより好ましい。
最表面の顔料塗工層を形成するための塗工液の塗工時の塗料固形分濃度についても、特に限定はないが、所望の塗工量とするためには塗料固形分濃度として55〜72質量%の範囲で調節され、より好ましくは62〜67質量%に調節される。
原紙に接する面の塗工層上に顔料塗工層を設けた後、平滑化処理を行うカレンダー工程では、公知の金属ロールと弾性ロールを多段構成としたスーパーカレンダー、グロスカレンダー等の他、加熱された金属ロールと弾性ロールを多段構成として通紙して、あるいは、一対の加熱された金属ロールと弾性ロールにて単段で処理するカレンダー装置を複数通紙して平滑化処理する、熱カレンダーを使用できる。
なかでも、130〜230℃に加熱された金属ロールと弾性ロールで形成されるニップ間を通紙することにより平滑化を行う、熱カレンダーにて平滑化処理がされることが好ましい。これにより、公知のスーパーカレンダーによる平滑化処理を行う場合に比べ、得られる塗工紙の紙厚減少を抑制することができ、紙の剛度低下が抑制できる。その結果、例えばオフセット枚葉印刷機フィーダー部での給紙性が向上するなど、塗工紙および印刷物のハンドリング性を良好にすることができる。
加熱された金属ロールの温度としては、より低い線圧・少ないニップ数で白紙光沢・平滑性を向上させるため150℃以上であることがより好ましいが、他方、過度の加熱を行うと、塗工紙の不透明性の低下(いわゆるブラッキング)が発生したり、高温−低線圧で光沢のみ上昇させたりした場合、スポット状に光沢の高い部分・低い部分が混在する白紙光沢ムラが発生する傾向がある。これら問題防止の観点から、加熱された金属ロールの温度としては、200℃以下であることがより好ましい。該熱カレンダーの線圧、ニップ数は目的とする塗工紙によって変更される。
グロス系塗工紙の場合、線圧100kN/m以上400kN/m以下で4〜8ニップのカレンダー処理とすることが好ましく、塗工紙の白紙光沢・平滑性と剛度のバランスからは、140〜220kN/mで5〜8ニップのカレンダー処理とすることが好ましい。
マット系塗工紙の場合、過度な光沢付与を回避し、剛度の低下を回避するため、線圧は50〜150kN/m、ニップ数1〜4ニップであることが好ましく、線圧は60〜100kN/m、ニップ数1〜2ニップであることがより好ましい。
上述のごとく製造された塗工紙において、層間強度が低位の場合、オフセット枚葉印刷では、紙シート搬送時に紙シート端部から紙の一部が剥離するクルクル剥けとよばれる欠陥が発生したり、オフセット輪転印刷の場合にはブリスターが発生しやすくなる。
塗工紙の層間強度は、原紙に接する面の塗工層を設ける前の基紙抄造時の影響が大きいため、用いるパルプの叩解促進や、基紙中灰分量を減らしたり、カチオン澱粉やバンド等の薬品量を増やしたりすることのほか、紙力剤を添加することでも基紙の層間強度を上昇させることができる。しかし、紙力剤は基紙の地合を低下させる傾向があるため、紙力剤は使用しないことが好ましい。また、原紙に接する面の塗工層の水溶性接着剤と顔料の比率、該塗工層の塗工量によっても層間強度を調整できる
印刷時のトラブル防止の観点から、塗工紙の層間強度の下限として250J/m以上が好ましく、300J/m以上がより好ましい。層間強度の上限は特に制限はないが、基紙中への薬品の過度の添加はコストを上昇させるとともに、抄紙工程での系内の汚れによる欠陥・断紙の増加、原紙地合の低下による塗工紙外観の低下を誘発するため、実質的には1000J/m程度が上限である。ここで、塗工紙の層間強度は、TAPPI T569に準拠して測定された塗工紙の内部結合強度を言う。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが,本発明はそれらの範囲に限定されるものでない。なお、例中の「部」及び「%」は特に断わらない限り、「質量部(固形分)」及び「質量%」を示す。
・実施例、比較例
(基紙Aの調製)
LBKP80部、NBKP20部に、填料として軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパールTP−121、奥多摩工業社製)を10部添加した後、パルプスラリーの全固形分に対して硫酸アルミニウム1.0%、カチオン澱粉(商品名:エースK100、王子コーンスターチ社製)0.5%、内添サイズ剤(商品名:サイズパインK−287、荒川化学社製)0.3%を順次添加し、紙料を調製した。この紙料を、オントップフォーマーにて900m/minで抄紙し、トライニッププレス+4Pの構成を有するプレス工程でプレスした後乾燥し、米坪44.0g/mの基紙Aを得た。
(基紙B〜Dの調製)
上記にて調製した紙料を用い、水平型ギャップフォーマーにて1100m/minで抄紙し、湿紙の上面および下面に各1回ずつシューロール面が接触するように配置したシュープレス2基にて線圧900kN/mで2回プレスを行った後乾燥し、米坪44.0g/mの基紙Bおよび米坪64.7g/mの基紙Cを得た。
また、上記にて、ギャップフォーマーでの抄紙後、シュープレスでのプレス前にロールプレス2基にて線圧90kN/mにて2回を行った以外は基紙Cと同様に基紙を作成し、米坪64.7g/mの基紙Dを得た。さらに、抄紙速度を1100m/minから1250m/minに変更した以外は、基紙Bと同様にして抄紙した基紙B1を得た。
(サイズプレス塗工層形成用塗工液の調整)
原紙に接する面の塗工層として、サイズプレスにより塗工層を形成した。サイズプレスとしてピグメントサイズプレスを行った場合、下記に記載した顔料(G1〜G5、K1)と、水溶性接着剤を、固形分で顔料:水溶性接着剤を表1の組成比なるように混合し、表1濃度の欄に記載した固形分濃度となるよう調製してピグメントサイズプレス塗工層形成用塗工液を得た。
また、実施例10、11においては、サイズプレス塗工層形成用塗工液に用いる顔料として、重質炭酸カルシウムG2およびG5を併用し、実施例10ではG2:G5=40:60、実施例11では該比率を20:80とした。
実施例48〜50においては、ピグメントサイズプレス層を設ける塗工液中の顔料として、顔料G1とK1を併用し、それぞれ全顔料100質量部中の重質炭カルシウムG1の部数を80部、70部、50部とした。
G1: 重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、白石カルシウム株式会社製、平均粒子径 1.2μm)
G2: 重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、白石カルシウム株式会社製、平均粒子径 0.7μm)
G3: 重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ60、白石カルシウム株式会社製、平均粒子径 1.8μm)
G4:軽質炭酸カルシウム(商品名:ブリリアントS−15、白石カルシウム株式会社製、平均粒子径 0.4μm)
G5:重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン1500、三共製粉株式会社製、平均粒子径:3.5μm)
K1:カオリン(商品名:アマゾンプラス、CADAM製、平均粒子径0.3μm)
(サイズプレス塗工層の形成)
サイズプレス塗工層形成用塗工液を、表1記載の塗工装置にて、前述の各基紙上に固形分として片面あたり表1の塗工量の欄に記載した塗工量(g/m)となるように塗工、乾燥し、サイズプレス塗工層を形成した原紙を得た。なお、表1には、用いた顔料の記号を顔料の欄に、顔料全体の平均粒子径(μm)を平均粒径の欄に記載した。
また、水溶性接着剤としては酸化澱粉(商品名:エースB、王子コーンスターチ株式会社製)・ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、株式会社クラレ製)のみを使用し、酸化澱粉:ポリビニルアルコール固形分比率を表1接着剤比の欄に記載した。
さらに、サイズプレス塗工層形成用塗工液中のサイズ剤、潤滑剤として、表1サイズ剤等の欄に、サイズ剤・潤滑剤の添加量(サイズプレス塗工層両面での固形分(g/m))を記載した。
(顔料塗工層用塗工液aの調整)
カオリン(商品名:ミラグロスJ、BASFジャパン社製)に分散剤(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)0.1部を添加し、濃度72%のスラリーを調整した。このカオリンスラリーを固形分として40部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、前出)30部、異なる重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、前出)30部を混合・攪拌後、さらにラテックス(商品名:OJ−3000H、JSR株式会社製)6部、酸化澱粉(商品名:エースB、王子コーンスターチ株式会社製)3部を加え、消泡剤・潤滑剤・染料・防腐剤等の助剤を添加し、固形分濃度64%の塗工液aを得た。
(顔料塗工層用塗工液bの調製)
塗工液aのカオリン部数を10部、重質炭酸カルシウムの部数を50部(商品名:ハイドロカーブ90、前出)および40部(商品名:セタカーブHG、前出)に変更した以外は、塗工液aと同様に調製を行い、塗工液bを得た。
(顔料塗工層用塗工液c1の調製)
重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ60、前出)100部、酸化澱粉(商品名:エースB、前出)4部、ラテックス5部(商品名:OJ−3000H、前出)を使用し、助剤を添加して固形分濃度65%の塗工液c1を得た。
(顔料塗工層用塗工液c2の調製)
塗工液c1の重質炭酸カルシウムを異なる重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、前出)に変更した以外は、塗工液c1と同様にして塗工液c2を得た。
(顔料塗工層用塗工液c3の調製)
塗工液c1の重質炭酸カルシウムを異なる重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、前出)に変更した以外は、塗工液c1と同様にして塗工液c3を得た。
(顔料塗工層用塗工液c4の調製)
塗工液c1の重質炭酸カルシウムを、異なる重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、前出)80部、および他の重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン1500、前出)20部に変更した以外は、塗工液c1と同様にして塗工液c4を得た。
(顔料塗工層用塗工液c5の調製)
塗工液c1の重質炭酸カルシウムを、異なる重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン1500、前出)に変更した以外は、塗工液c1と同様にして塗工液c5を得た。
(顔料塗工層用塗工液dの調製)
カオリン(商品名:ハイドラグロス90、KaMin社製)に分散剤(商品名:アロンT−50、前出)0.1部を添加し、濃度72%のスラリーを調整した。このカオリンスラリーを固形分として40部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、前出)20部、異なる重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、前出)40部を混合・攪拌後、さらにラテックス(商品名:OJ−3000H、前出)9部、酸化澱粉(商品名:エースB、前出)3部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA105、前出)0.5部、蛍光染料(商品名:Kayaphor TAC Liquid、日本化薬株式会社製)0.3部を加え、消泡剤・潤滑剤・染料・防腐剤等の助剤を添加し、固形分濃度63%の塗工液dを得た。
(顔料塗工層用塗工液eの調製)
塗工液dのラテックス部数を9部から7部、および澱粉部数を3部から2部に変更した以外は、塗工液dと同様に塗工液を調製し、塗工液eを得た。
(塗工紙の製造)
サイズプレス塗工層を設けた各原紙を、一度リールにてスプールに巻き取った後、塗工工程に供し、表1記載の塗工液を用い、顔料塗工層を形成した。顔料塗工層の形成は、表1中の塗工方式欄に記載の塗工装置を用い、1100m/minにて行った。顔料塗工層形成後、表1記載の金属ロール温度・線圧・ニップ数にて、速度1100m/minで熱カレンダーで平滑化処理を行い、印刷用塗工紙を得た。
表1には、実施例・比較例の(1)サイズプレス塗工層形成条件、(2)顔料塗工層形成条件、(3)カレンダー処理条件について記載した。各欄の内容は、以下のとおりである。
(1)サイズプレス塗工層形成条件
・基紙: サイズプレス塗工に供した基紙の種類
・種類: 実施したサイズプレス塗工の種類
ピグメント : ピグメントサイズプレス塗工を行ったことを示す。
クリア : クリアサイズプレス塗工を行ったことを示す。
なし : サイズプレス塗工を行わなかったことを示す。
・接着剤比: 水溶性接着剤中の固形分としての酸化澱粉:ポリビニルアルコールの質量比
・組成比: 固形分としての顔料:水溶性接着剤の質量比
・顔料種類: サイズプレス塗工液に用いた顔料の種類
・全顔料平均粒子径: サイズプレス塗工液に用いた全顔料の平均粒子径(μm)
・サイズ剤等 : サイズ剤、潤滑剤の使用有無、使用した場合にはその種類とサイズプレス塗工層両面中塗工量(g/m
AKD:サイズ剤(商品名:SKS−293F、荒川化学工業株式会社製)
LB:潤滑剤(商品名:エルビーコートLB2200S、ステアリン酸カルシウム、東邦化学工業株式会社製)
・塗工方式:サイズプレス塗工層を以下の塗工方式で設けたことを表す。
RM:ロッドメタリング方式(溝付ロッド使用)
GR:ゲートロール方式
2R:2ロールインクラインド方式
BL:ブレード塗工方式
・濃度: サイズプレス塗工液濃度(%)
・塗工量: サイズプレス塗工層の片面当り塗工量(g/m
(2)顔料塗工層形成条件
・層数: サイズプレス塗工層上に設けられた顔料塗工層の層数
・塗工方式: サイズプレス塗工層上に顔料塗工層を設ける際の塗工方式
(BL)ブレードコーターにて顔料塗工層を1層設けたことを表す。
(R)ロールコーターにて顔料塗工層を1層設けたことを表す。
(BL+BL)ブレードコーターにて顔料塗工層を2層設けたことを表す。
(R+BL)ロールコーターで顔料塗工層を設けた後、ブレードコーターで顔料塗工層を設け、計2層の顔料塗工層を設けたことを表す。
・塗工液種類: 顔料塗工層を設ける際に使用した、前述の塗工液の種類。なお、サイズプレス塗工層上に顔料塗工層を2層設けた場合は、例えば(c1+d)と記載し、塗工液c1により塗工層を設けた後、塗工液dにより塗工層を設けたことを表す。
・塗工量: 顔料塗工層の片面当り塗工量(g/m
(3)カレンダー処理条件
・温度: 顔料塗工層を設けた後のカレンダー処理時金属ロール温度(℃)
・線圧: カレンダー処理時のニップ線圧(kN/m)
・ニップ数: 金属ロール/弾性ロール間のニップを通過した回数(回)
実施例、比較例で得られた印刷用塗工紙について、製造時の操業性、白紙外観ならびに印刷作業性に関する塗工紙品質を評価した。塗工紙の評価結果は、表2に(4)操業性、(5)塗工紙品質を、それぞれ後述の基準で評価して記載した。
(4)操業性
・汚れ: 塗工紙製造時の汚れ発生状況。
・バウンド: サイズプレス塗工層を形成した後、リールで巻き取った際の巻取りのバウンド状況。
・ストリーク: 顔料塗工層形成時のストリーク発生状況。
(5)塗工紙品質
塗工紙品質および印刷作業性の評価として、塗工ムラ・白紙光沢・平滑性・白色度・不透明度・剛度・塗工紙表面強度・ブリスター特性について、評価した。
・塗工紙製造時の汚れ発生状況
サイズプレス塗工液を塗工し、乾燥させる際におけるドライヤー内での汚れ(シリンダードライヤー表面の汚れ、ドクターブレードでの汚れの蓄積、紙粉の発生)を以下の基準で評価し、汚れの欄に記載した。
◎:汚れの発生がない。
○:汚れの発生が極軽度であり操業上問題ない。
×:汚れの発生が酷く、操業上問題がある。
・リールバウンド状況
サイズプレス塗工層を形成後、顔料塗工層形成工程に供する前に一旦原紙を巻き取る際、リールでの巻取りバウンド状況を比較し、バウンドの欄に記載した。
◎ :巻取りのバウンドが全く発生しない。
〇 :巻取りのバウンドが僅かに発生することがあるが、操業上許容できる範囲である。
〇’:巻取りのバウンドが一時的に発生することがあるが、操業効率に与える影響は軽微であり実用上問題ない。
× :巻取りのバウンドが発生し、操業上問題がある。
・ストリーク発生状況
塗工紙製造時の、最表面塗工層を塗工した際の、ストリーク発生頻度について、以下の基準に従い評価し、ストリークの欄に記載した。
◎ :ストリークの発生がほとんどない。
〇 :ストリークの発生が僅かにあるが、軽度のストリークのみで問題ない。
〇’:ストリークの発生がやや認められるが、操業効率に与える影響は軽微であり実用上問題ない。
× :重度のストリークが発生し、生産効率を低下させるため、実用的でない。
・塗工ムラ
塗工紙の外観検査を目視で行い、塗工ムラ(塗工量ムラに起因する光沢・平滑等の外観均一性不良)について以下の基準で評価した。
◎ :塗工ムラが認められない。
○ :極軽度塗工ムラが認められるが、実用上問題ない範囲である。
× :塗工ムラが認められ、実用上問題となる。
・白紙光沢評価
ISO 8254−1(1999)に準じて、入射・受光角75度の光沢値を光沢度計(型式:GM−26D、村上色彩技術研究所社製)を使用して測定し、光沢値を白紙光沢の欄に記載した。
・平滑性
JIS P8155:2010に準拠した、王研式平滑度計(商品名:デジタル型王研式透気度・平滑度試験機 TYPE EYBO、旭精工株式会社製)にて塗工紙の平滑度(秒)を測定し、平滑性の欄に記載した。測定値が大きいほど、塗工紙の平滑性が高く、品質が良好であることを表す。
・白色度
ISO 2470−1:2009に準じ、分光白色度測色計(商品名:SC−10WT、スガ試験機株式会社製)を用いて塗工紙の白色度を測定した。
・不透明度
ISO 2471:2008に準じ、分光白色度測色計(商品名:SC−10WT、スガ試験機株式会社製)を用いて塗工紙の不透明度を測定した。
・ハンドリング性(剛度)
JIS P8143:2009に準拠した、クラーク剛度計(商品名:デジタルクラーク柔軟度試験機、東洋精機製作所製)を用い、試験幅30mmにて、塗工紙のMD、CD方向のクラーク剛度(cm /100)をMD、CD方向の平均値として求め、剛度の欄に記載した。剛度が高いほど紙腰があり、ハンドリング性が良好で、印刷作業性に優れることを示す。
・塗工紙表面強度
印刷作業性の評価として、RI印刷試験機(石川島産業機械株式会社製)で、印刷インキ(商品名:紙試験用インキ紅T=16、東洋インキ株式会社製)を0.6ml計量して印刷用ロール上に展開し、塗工紙に複数回印刷を行い、印刷面のピッキング発生程度を目視評価し、5点を最高として点数化した。点数が大きいほど表面強度が強いことを表し、表面強度が強いほど、オフセット枚葉印刷時に塗工紙表面の一部が脱落し、インキが転移しなくなる白抜け等の印刷障害を起こしにくくなるため、印刷適性に優れる。
・ブリスター特性
印刷作業性の評価として、塗工紙を23℃、相対湿度50%の環境で24時間以上調湿し、調湿後の塗工紙を8×8cmのサイズに切り取り、所定の温度に加熱したシリコンオイル中に入れ、ブリスターの発生状況を評価した。ブリスターは、直径2mm以上5mm以下の火ぶくれ状欠陥が試験片上に3個以上、あるいは直径5mmを超える該欠陥が発生した温度をブリスター発生温度とし、ブリスター発生温度をブリスターの欄に記載した。ブリスター発生温度が高いほど、オフセット輪転印刷時におけるブリスターの発生頻度が少なくなり、印刷作業性に優れる。
Figure 2014234566
Figure 2014234566
表2から明らかなように、本発明の印刷用塗工紙は、塗工紙製造時の操業性が良く生産効率の高い、印刷品質が良好で、かつ印刷作業も効率的に行える印刷用塗工紙である。

Claims (11)

  1. 原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を主成分とする塗工層を2層以上有する印刷用塗工紙であって、原紙に接する面の塗工層に含有される顔料と水溶性接着剤の固形分質量比が、顔料:水溶性接着剤として10:90〜60:40であることを特徴とする、印刷用塗工紙。
  2. 原紙に接する面の塗工層の塗工量が、片面当り0.5g/m以上2.5g/m未満であることを特徴とする、請求項1に記載の印刷用塗工紙。
  3. 原紙に接する面の塗工層に含有される顔料が、全顔料100質量部当り重質炭酸カルシウムを80質量部以上含み、かつ全顔料の平均粒子径が0.6〜2.5μmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の印刷用塗工紙。
  4. 原紙に接する面の塗工層が、フィルムトランスファー方式の塗工装置によって形成された塗工層であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙。
  5. 最表面の塗工層が、ブレード方式の塗工装置によって形成された塗工層であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載されている印刷用塗工紙を製造する方法。
  7. 原紙に接する面に塗工する塗工液の固形分濃度が、5〜20%であることを特徴とする、請求項6に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  8. 前記印刷用塗工紙は、ギャップフォーマー形式のフォーマーにより湿紙を形成する工程と、シュープレスを有するプレス装置により湿紙を搾水する工程と、ドライヤーにより湿紙を乾燥する工程と、原紙に接する面に塗工液を塗工・乾燥して塗工層を形成する工程と、更に顔料と接着剤を主成分とする塗工液を塗工・乾燥して塗工層を1層以上形成する工程と、弾性ロールと130〜230℃に加熱された金属ロールから構成される熱カレンダーにより平滑化処理する工程と、を含む工程より得られることを特徴とする、請求項6または7に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  9. 前記プレス装置は、2基のシュープレスを有し、1基目のシュープレスでのシューロール側に接する湿紙の面と、2基目のシュープレスでのシューロール側に接する湿紙の面とが異なるように配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  10. 前記2基のシュープレスの上流側に、1〜3基のロールニッププレスを有することを特徴とする、請求項9に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  11. 原紙に接する面に塗工する塗工液に、表面サイズ剤および/または潤滑剤を原紙に接する面の塗工層両面で固形分として0.001〜0.1g/m含有させて塗工・乾燥して塗工層を形成した後、巻取装置でスプールに巻取り、更にオフマシンコーターにより顔料と接着剤を主成分とする塗工液を塗工・乾燥して塗工層を1層以上形成することを特徴とする、請求項6〜10のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
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