JP2014234133A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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陽子 吉岡
亮 高野
Ryo Takano
亮 高野
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Hideyuki Matsushima
秀行 松島
兒玉 仁寿
Kimihisa Kodama
仁寿 兒玉
拓朗 平野
Takuro Hirano
拓朗 平野
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Abstract

【課題】HEV走行からの回生制動に際し、クラッチの解放によるEV回生への移行を、如何なる走行抵抗下でも回生効率と再加速時駆動力とを両立させる。
【解決手段】CL=ONによるHEV走行中のt1に、APO=0およびブレーキONが発せられ、t3にブレーキONの消失およびAPO>0による再加速要求があった場合、VSPs(θ=3%)の固定値故に、走行抵抗の増大でVSPs=VSPs(θ=6%)に低下しても、t2にHEV走行からEV回生に切り替わり、再加速要求t3に呼応してt5にエンジン始動が、t6にCL=ONが発生し、EV→HEV切り替えが起きるが、走行抵抗増大時にVSPsをVSPs(θ=6%)へ低下させれば、破線で示すごとくHEV走行のまま回生が遂行され、VSPおよびGをt4以降、破線のごとく速やかに増大させて、★を実現できる。
【選択図】図10

Description

本発明は、エンジンおよび電動モータを動力源として搭載され、電動モータのみによる電気走行モード(EVモード)と、電動モータおよびエンジンによるハイブリッド走行モード(HEVモード)とを選択可能なハイブリッド車両の制御装置に関するものである。
このようなハイブリッド車両としては従来、例えば特許文献1に記載のようなものが知られている。
このハイブリッド車両は、一方の動力源であるエンジンをクラッチにより切り離し可能にして車輪に駆動結合し、他方の動力源である電動モータを当該車輪に常時結合した型式のものである。
かかるハイブリッド車両は、エンジンを停止すると共に上記クラッチを解放することで電動モータのみによるEVモードでの電気走行(EV走行)が可能であり、エンジンを始動させると共に当該クラッチを締結することで電動モータおよびエンジンによるHEVモードでのハイブリッド走行(HEV走行)が可能である。
なお、EV走行中にクラッチを上記のごとく解放することで、エンジンが(変速機が存在している場合は変速機も)車輪から切り離されていることとなり、当該エンジン(変速機)をEV走行中に連れ回す(引き摺る)ことがなく、その分のエネルギー損失を回避し得てエネルギー効率を高めることができる。
特開2000−199442号公報
上記ハイブリッド車両にあっては更に、HEV走行中にアクセルペダルを釈放してコースティング(惰性)走行へ移行した場合や、その後ブレーキペダルを踏み込んで車両を制動する場合、電動モータによる回生制動によって車両の運動エネルギーを電力に変換し、これをバッテリに蓄電しておくことでもエネルギー効率の向上を図る。
ところで上記の回生制動時(HEV回生時)に、常時クラッチの解放によりエンジン(変速機)を車輪から切り離してEV回生状態となし、これによりエンジン(変速機)の連れ回しをなくすことで、その分だけエネルギー回生量を稼げるようにするのがエネルギー回生効率を高めるために肝要である。
一方で、上記クラッチの解放時は燃費の観点からエンジンを、無用な運転が行われないよう停止させておくべきであり、そのため、上記コースティング走行中に実行されていたエンジンへの燃料噴射の中止(フューエルカット)がクラッチ解放時も継続されるよう、エンジンへの燃料噴射の再開(フューエルリカバー)を禁止して、クラッチ解放時にエンジンを運転停止させるのが常套である。
しかし、かようにエンジンを運転停止させた場合は、アクセルペダルを踏み込む再加速時に駆動力不足とならないよう、エンジンをスタータモータにより再始動させると共に、クラッチを締結させてEVモードからHEVモードへ切り替える必要が生ずる。
ところで、エンジンの再始動完了までに応答遅れがあるのに加えて、クラッチが、この再始動後にエンジン駆動されるオイルポンプからのオイルを作動媒体として締結されることから、当該クラッチの締結によりエンジン動力が駆動車輪へ伝達されるようになるまでに大きな応答遅れが発生するのを避けられず、当該クラッチの締結によるEVモードからHEVモードへの切り替えが大きな応答遅れを持ったものとなる。
このEV→HEVモード切り替え(クラッチ締結)の応答遅れ中はエンジン動力が得られず、アクセルペダルの踏み込みによる再加速要求(要求加速度)の大きさによっては、これを実現することができないため、運転者はアクセルペダルの踏み込み当初に駆動力不足による違和感を覚える。
従って、前記したごとくエネルギー回生量を稼いでエネルギー回生効率を高めるため、回生制動時に常時クラッチの解放によりエンジン(変速機)を車輪から切り離してEV回生に切り替え、回生制動を常時EV回生状態となすのでは、再加速時において上記のごとくEV→HEVモード切り替え(クラッチ締結)の応答遅れに起因した駆動力不足による違和感を与えるという問題を生ずる。
特許文献1所載のハイブリッド車両は、HEV回生→EV回生切り替えのための(回生制動時の)クラッチ解放の許可条件について何らの技術提案も行っていない。
してみれば、特許文献1所載のハイブリッド車両は回生制動に際し、エネルギー回生効率を高めることを主眼とした常套手段を用い、回生制動時に常時クラッチを解放し、回生制動中は当該クラッチの解放によりエンジンを車輪から切り離したEV回生状態にするものであると考えるのが妥当である。
しかし従来のごとく、エネルギー回生効率を最優先に、回生制動中は常にクラッチを解放してエンジンを車輪から切り離すと共にエンジンを停止させるというのでは、
再加速時などにおいてエンジン動力が必要な場合に上記したごとく、EV→HEVモード切り替え(クラッチ締結)の応答遅れに起因した駆動力不足によって、運転者に違和感を与えるという問題がある。
かといって、当該違和感の回避を優先させ、クラッチを締結させた状態(HEV走行モード)での回生制動を継続するのでは、エンジン(変速機)を連れ回すエネルギー分だけエネルギー回生効率が悪化するという問題を生ずる。
本発明は、上記したエネルギー回生効率の向上要求と、再加速時のクラッチ締結応答遅れ(駆動力不足)による違和感の解消要求とがトレードオフの関係にあるものの、後者の再加速時クラッチ締結応答遅れ(駆動力不足)に係わる違和感の問題は、低車速域だと低回転故に電動モータの定格トルクが大きくて再加速要求を実現可能であることから、もともと発生しないとの事実認識に基づき、
かかる低車速域と、それ以外の高車速域を切り分け、低車速域をクラッチ解放の許可条件とすることで、上記トレードオフの関係にある二つの要求を両立させ得るようにしたハイブリッド車両の制御装置を提案することを目的とする。
つまり本発明によるハイブリッド車両の制御装置は、上記の事実認識に基づき、
前者の低車速域ではエネルギー回生効率の向上を優先させて、回生制動中に常時クラッチを解放してエンジンを車輪から切り離しておくように成し、
後者の高車速域では再加速時クラッチ締結応答遅れ(駆動力不足)の違和感を解消することを優先させて、回生制動中にクラッチの解放を行わないように成し、
かかる回生制動時クラッチ解放許可条件の設定により、上記トレードオフの関係にある二要求の両立を実現可能にすることを主旨とする。
この目的のため、本発明によるハイブリッド車両の制御装置は、これを以下のごとくに構成する。
先ず本発明の前提となるハイブリッド車両を説明するに、これは、
動力源として、スタータモータにより始動されるエンジンのほかに電動モータを具え、上記エンジンがクラッチを介して切り離し可能に車輪に駆動結合され、該クラッチを解放することで上記電動モータのみによる電気走行が可能であるほか、上記クラッチを締結することで上記電動モータおよびエンジンによるハイブリッド走行が可能な車両である。
本発明は、かかるハイブリッド車両に対し以下のようなクラッチ解放許可手段および設定車速決定手段を設けた構成に特徴づけられる。
クラッチ解放許可手段は、前記ハイブリッド走行状態から前記電動モータによる回生制動を行う際、設定車速未満の低車速であることを条件に前記クラッチの解放を許可するものである。
そして設定車速決定手段は、前記回生制動状態からの再加速要求を前記電動モータのみによって実現可能な、車両走行抵抗ごとの上限車速を前記設定車速とするものである。
本発明によるハイブリッド車両の制御装置においては、ハイブリッド走行状態から回生制動を行う際、
車速が上記設定車速未満の低車速域であれば上記クラッチの解放を許可するため、当該クラッチの解放許可により、エンジンを切り離した電気走行状態で回生制動が行われることとなり、
車速が上記設定車速以上の高車速域であれば上記クラッチの解放を許可しないため、当該クラッチは解放されることがなく、ハイブリッド走行状態での回生制動を継続させることとなる。
このため、上記回生制動状態からの再加速要求を上記電動モータのみによって実現可能な低車速域では、クラッチを解放してエンジンを車輪から切り離した状態で回生制動を行うことにより、エネルギー回生効率の向上を効果的に実現することができる。
また、上記回生制動状態からの再加速要求を上記電動モータのみによって実現することができない高車速域では、クラッチを解放せずにエンジンを車輪に結合した状態で回生制動を行うことにより、回生制動中エンジンを停止させないこととし、これにより再加速時クラッチ締結応答遅れ(駆動力不足)の違和感を解消することができる。
よって、トレードオフの関係にあるエネルギー回生効率の向上要求と、再加速時のクラッチ締結応答遅れ(駆動力不足)による違和感の解消要求とを両立させることができ、いずれかが犠牲になるという問題を解消し得る。
加えて本発明では、上記設定車速の決定に際し、上記回生制動状態からの再加速要求を電動モータのみによって実現可能な、車両走行抵抗ごとの上限車速を当該設定車速と定めるため、
車両重量や路面勾配などに応じて変化する車両走行抵抗が如何なるものである場合においても、クラッチの解放を許可すべき上記の低車速域を確実に、上記再加速要求を電動モータのみによって実現可能な車速域に符合させることができ、上記の効果を如何なる車両走行抵抗のもとでも確実に達成し得る。
本発明の一実施例になる制御装置を具えたハイブリッド車両の駆動系に係わる全体制御システムを示す概略系統図である。 本発明の制御装置を適用可能な他の型式のハイブリッド車両を示し、 (a)は、当該ハイブリッド車両の駆動系に係わる全体制御システムを示す概略システム図、 (b)は、当該ハイブリッド車両の駆動系におけるVベルト式無段変速機に内蔵された副変速機の変速摩擦要素の締結論理図である。 図1におけるハイブリッドコントローラが実行する回生制動制御プログラムを示すフローチャートである。 図3の回生制動制御で用いる設定車速の求め方を説明するための、電動モータに関した車速に対する定格トルク変化特性、および再加速時の要求加速度実現トルク(再加速要求実現トルク)に関した車速に対するトルク変化特性をそれぞれ示す、トルク変化特性線図である。 図4の再加速要求実現トルクのうち、或る路面勾配(走行抵抗)に対応した再加速要求実現トルク特性を、図4における電動モータ定格トルク変化特性と共に示す特性線図である。 図4の路面勾配に対応した再加速要求実現トルク特性および電動モータ定格トルク変化特性から得られた、路面勾配に対する設定車速の変化特性を示す特性線図である。 図3の回生制動制御で用いる設定車速の決定要領を示す演算プロセス説明図である。 図3に示した回生制動制御プログラムの動作タイムチャートである。 図3の回生制動制御を行った場合のEVモード領域、HEVモード領域、EV回生領域、HEV回生領域、および摩擦ブレーキダ動領域を示す領域線図である。 図3に示した回生制動制御プログラムの動作を、設定車速が固定値である場合と、走行抵抗に応じて変化する場合の動作タイムチャートである。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
<実施例の構成>
図1は、本発明の一実施例になる制御装置を具えたハイブリッド車両の駆動系に係わる全体制御システムを示す概略系統図である。
ハイブリッド車両は、エンジン1および電動モータ2を動力源として搭載され、エンジン1は、スタータモータ3により始動する。
エンジン1は、Vベルト式無段変速機4を介して駆動車輪5に適宜切り離し可能に駆動結合し、Vベルト式無段変速機4は、概略を以下に説明するようなものとする。
このVベルト式無段変速機4は、プライマリプーリ6と、セカンダリプーリ7と、これらプーリ6,7間に掛け渡したVベルト8とからなる無段変速機構CVTを主たる構成要素とする。
プライマリプーリ6はトルクコンバータT/Cを介してエンジン1のクランクシャフトに結合し、セカンダリプーリ7はクラッチCLおよびファイナルギヤ組9を順次介して駆動車輪5に結合する。
かくしてクラッチCLの締結状態で、エンジン1からの動力はトルクコンバータT/Cを経てプライマリプーリ6へ入力され、その後Vベルト8、クラッチCLおよびファイナルギヤ組9を順次経て駆動車輪5に達して、ハイブリッド車両の走行に供される。
かかるエンジン動力伝達中、プライマリプーリ6のプーリV溝幅を小さくしつつ、セカンダリプーリ7のプーリV溝幅を大きくすることで、Vベルト8がプライマリプーリ6との巻き掛け円弧径を大きくされると同時にセカンダリプーリ7との巻き掛け円弧径を小さくされ、Vベルト式無段変速機4はハイ側プーリ比へのアップシフトを行う。
逆にプライマリプーリ6のプーリV溝幅を大きくしつつ、セカンダリプーリ7のプーリV溝幅を小さくすることで、Vベルト8がプライマリプーリ6との巻き掛け円弧径を小さくされると同時にセカンダリプーリ7との巻き掛け円弧径を大きくされ、Vベルト式無段変速機4はロー側プーリ比へのダウンシフトを行う。
電動モータ2はファイナルギヤ組11を介して駆動車輪5に常時結合し、この電動モータ2は、バッテリ12の電力によりインバータ13を介して駆動する。
インバータ13は、バッテリ12の直流電力を交流電力に変換して電動モータ2へ供給すると共に電動モータ2への供給電力を加減して、電動モータ2を駆動力制御および回転方向制御する。
なお電動モータ2は、上記のモータ駆動のほかに発電機としても機能し、後で詳述する回生制動の用にも供する。
この回生制動時はインバータ13が、電動モータ2に回生制動力分の発電負荷をかけてこれを発電機として作用させ、電動モータ2の発電電力をバッテリ12に蓄電する。
図1につき上記した駆動系を具えるハイブリッド車両は、クラッチCLを解放してエンジン1を停止させた状態で、電動モータ2を駆動すると、電動モータ2の動力のみがファイナルギヤ組11を経て駆動車輪5に達し、ハイブリッド車両は電動モータ2のみによる電気走行(EV走行)を行うことができる。
この間、クラッチCLを解放していることで、停止状態のエンジン1と無段変速機構CVTとを連れ回すことがなく、EV走行中の電力消費を抑制することができる。
上記のEV走行状態においてエンジン1をスタータモータ3により始動させると共にクラッチCLを締結させると、エンジン1からの動力がトルクコンバータT/C、プライマリプーリ6、Vベルト8、セカンダリプーリ7、クラッチCLおよびファイナルギヤ組9を順次経て駆動車輪5に達するようになり、ハイブリッド車両はエンジン1および電動モータ2によるハイブリッド走行(HEV走行)を行うことができる。
ハイブリッド車両を上記の走行状態から停車させたり、この停車状態に保つに際しては、駆動車輪5と共に回転するブレーキディスク14をキャリパ15により挟圧して制動することで目的を達する。
キャリパ15は、運転者が踏み込むブレーキペダル16の踏力に応動して負圧式ブレーキブースタ17による倍力下でブレーキペダル踏力対応のブレーキ液圧を出力するマスターシリンダ18に接続し、このブレーキ液圧でキャリパ15を作動させてブレーキディスク14の制動を行う。
なお上記のブレーキ液圧は、アンチスキッド制御時や、後述する回生制動時に、制動力が過大にならないよう、適宜に減圧される。
ハイブリッド車両はEVモードおよびHEVモードのいずれにおいても、運転者がをブレーキペダル16を踏み込んで指令する制動力指令またはアクセルペダル19を踏み込んで指令する駆動力指令に応じた制駆動トルクで車輪5を制駆動され、運転者の要求に応じた制駆動力をもって走行される。
ハイブリッド車両の走行モード選択と、エンジン1の出力制御と、電動モータ2の回転方向制御および出力制御と、無段変速機4の変速制御およびクラッチCLの締結、解放制御と、バッテリ12の充放電制御はそれぞれ、ハイブリッドコントローラ21が、対応するエンジンコントローラ22、モータコントローラ23、変速機コントローラ24、およびバッテリコントローラ25を介して当該制御を遂行する。
そのためハイブリッドコントローラ21には、ブレーキペダル16を踏み込む制動時にその踏力Fbrを検出するブレーキペダル踏力センサ26からの信号と、アクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)APOを検出するアクセル開度センサ27からの信号とを入力する。
ハイブリッドコントローラ21は更に、エンジンコントローラ22、モータコントローラ23、変速機コントローラ24、およびバッテリコントローラ25との間で、内部情報のやり取りを行う。
エンジンコントローラ22は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答して、エンジン1を出力制御し、
モータコントローラ23は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答してインバータ13を介し電動モータ2の回転方向制御および出力制御を行う。
変速機コントローラ24は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答し、エンジン駆動されるオイルポンプO/Pからのオイルを媒体として、無段変速機4(Vベルト式無段変速機構CVT)の変速制御およびクラッチCLの締結、解放制御を行う。
バッテリコントローラ25は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答し、バッテリ12の充放電制御を行う。
なお図1では、Vベルト式無段変速機構CVT(セカンダリプーリ7)と駆動車輪5との間を切り離し可能に結合するため、無段変速機4に専用のクラッチCLを設けたが、
図2(a)に例示するごとく無段変速機4が、Vベルト式無段変速機構CVT(セカンダリプーリ7)と駆動車輪5との間に副変速機31を内蔵している場合は、副変速機31の変速を司る摩擦要素(クラッチや、ブレーキなど)を流用して、Vベルト式無段変速機構CVT(セカンダリプーリ7)と駆動車輪5との間を切り離し可能に結合することができる。
この場合、Vベルト式無段変速機構CVT(セカンダリプーリ7)と駆動車輪5との間を切り離し可能に結合する専用のクラッチを追設する必要がなくてコスト上有利である。
図2(a)の副変速機31は、複合サンギヤ31s-1および31s-2と、インナピニオン31pinと、アウタピニオン31poutと、リングギヤ31rと、ピニオン31pin, 31poutを回転自在に支持したキャリア31cとからなるラビニョオ型プラネタリギヤセットで構成する。
複合サンギヤ31s-1および31s-2のうち、サンギヤ31s-1は入力回転メンバとして作用するようセカンダリプーリ7に結合し、サンギヤ31s-2はセカンダリプーリ7に対し同軸に配置するが自由に回転し得るようにする。
サンギヤ31s-1にインナピニオン31pinを噛合させ、このインナピニオン31pinおよびサンギヤ31s-2をそれぞれアウタピニオン31poutに噛合させる。
アウタピニオン31poutはリングギヤ31rの内周に噛合させ、キャリア31cを出力回転メンバとして作用するようファイナルギヤ組9に結合する。
キャリア31cとリングギヤ31rとをハイクラッチH/Cにより適宜結合可能となし、リングギヤ31rをリバースブレーキR/Bにより適宜固定可能となし、サンギヤ31s-2をローブレーキL/Bにより適宜固定可能となす。
副変速機31は、変速摩擦要素であるハイクラッチH/C、リバースブレーキR/BおよびローブレーキL/Bを、図2(b)に○印により示す組み合わせで締結させ、それ以外を図2(b)に×印で示すように解放させることにより前進第1速、第2速、後退の変速段を選択することができる。
ハイクラッチH/C、リバースブレーキR/BおよびローブレーキL/Bを全て解放すると、副変速機31は動力伝達を行わない中立状態であり、
この状態でローブレーキL/Bを締結すると、副変速機31は前進第1速選択(減速)状態となり、
ハイクラッチH/Cを締結すると、副変速機31は前進第2速選択(直結)状態となり、
リバースブレーキR/Bを締結すると、副変速機31は後退変速段選択(逆転)状態となる。
図2の無段変速機4は、全ての変速摩擦要素H/C, R/B, L/Bを解放して副変速機31を中立状態にすることで、Vベルト式無段変速機構CVT(セカンダリプーリ7)と駆動車輪5との間を切り離すことができる。
従って図2の無段変速機4は、副変速機31の変速摩擦要素H/C, R/B, L/Bが図1におけるクラッチCLに相当し、図1におけるようにクラッチCLを追設することなく、Vベルト式無段変速機構CVT(セカンダリプーリ7)と駆動車輪5との間を切り離し可能に結合している。
図2の無段変速機4は、エンジン駆動されるオイルポンプO/Pからのオイルを作動媒体とし、変速機コントローラ24がライン圧ソレノイド35、ロックアップソレノイド36、プライマリプーリ圧ソレノイド37、ローブレーキ圧ソレノイド38、ハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧ソレノイド39およびスイッチバルブ41を介して、以下のように制御する。
なお変速機コントローラ24には、図1につき前述した信号に加えて、車速VSPを検出する車速センサ32からの信号、および車両加減速度Gを検出する加速度センサ33からの信号を入力する。
ライン圧ソレノイド35は、変速機コントローラ24からの指令に応動し、オイルポンプO/Pからのオイルを車両要求駆動力対応のライン圧PLに調圧し、このライン圧PLを常時セカンダリプーリ7へセカンダリプーリ圧として供給することにより、セカンダリプーリ7がライン圧PLに応じた推力でVベルト8を挟圧するようになす。
ロックアップソレノイド36は、変速機コントローラ24からのロックアップ指令に応動し、ライン圧PLを適宜トルクコンバータT/Cに向かわせることで、トルクコンバータT/Cを適宜入出力要素間が直結されたロックアップ状態にする。
プライマリプーリ圧ソレノイド37は、変速機コントローラ24からのCVT変速比指令に応動してライン圧PLをプライマリプーリ圧に調圧し、これをプライマリプーリ6へ供給することにより、プライマリプーリ6のV溝幅と、ライン圧PLを供給されているセカンダリプーリ7のV溝幅とを、CVT変速比が変速機コントローラ24からの指令に一致するよう制御して変速機コントローラ24からのCVT変速比指令を実現する。
ローブレーキ圧ソレノイド38は、変速機コントローラ24が副変速機31の第1速選択指令を発しているとき、ライン圧PLをローブレーキ圧としてローブレーキL/Bに供給することによりこれを締結させ、第1速選択指令を実現する。
ハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧ソレノイド39は、変速機コントローラ24が副変速機31の第2速選択指令または後退選択指令を発しているとき、ライン圧PLをハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧としてスイッチバルブ41に供給する。
第2速選択指令時はスイッチバルブ41が、ソレノイド39からのライン圧PLをハイクラッチ圧としてハイクラッチH/Cに向かわせ、これを締結することで副変速機31の第2速選択指令を実現する。
後退選択指令時はスイッチバルブ41が、ソレノイド39からのライン圧PLをリバースブレーキ圧としてリバースブレーキR/Bに向かわせ、これを締結することで副変速機31の後退選択指令を実現する。
<回生制動制御>
上記ハイブリッド車両の回生制動制御を、車両駆動系が図1に示すようなものである場合につき以下に説明する。
HEV走行中にアクセルペダル19を釈放してコースティング(惰性)走行へ移行した場合や、その後ブレーキペダル16を踏み込んで車両を制動する場合、電動モータ2による回生制動によって車両の運動エネルギーを電力に変換し、これをバッテリ12に蓄電しておくことでエネルギー効率の向上を図る。
ところでHEV走行のままの回生制動(HEV回生)は、クラッチCLが締結状態であるため、エンジン1の逆駆動力(エンジンブレーキ)分および無段変速機4のフリクション分だけ回生制動エネルギーの低下を招くこととなり、エネルギー回生効率が悪い。
そのため、HEV走行中に回生制動が開始されたら、当該HEV回生の開始時にクラッチCLの解放によりエンジン1および無段変速機4を駆動車輪5から切り離してEV走行へと移行することでEV回生状態となし、これによりエンジン1および無段変速機4の連れ回しをなくすことで、その分だけエネルギー回生量を稼げるようにするのが、エネルギー回生効率を高めるために肝要である。
一方、上記のようにクラッチCLを解放している時は燃費の観点からエンジン1を無用な運転が行われないよう停止させておくため、上記のコースティング走行中に実行されていたエンジン1への燃料噴射の中止(フューエルカット)がクラッチCLの上記解放時も継続されるよう、エンジン1への燃料噴射の再開(フューエルリカバー)を禁止して、クラッチCL解放時にエンジン1を停止させる。
しかし、かようにエンジン1を運転停止させた場合は、アクセルペダル19を踏み込む再加速時に駆動力不足とならないよう、エンジンをスタータモータ3により再始動させると共に、クラッチCLを締結させてEVモードからHEVモードへ切り替える必要が生ずる。
ところで、エンジン1の再始動完了までに応答遅れがあるのに加えて、クラッチCLが、この再始動後にエンジン駆動されるオイルポンプO/Pからのオイルを作動媒体として締結されることから、当該クラッチCLの締結によりエンジン動力が駆動車輪5へ伝達されるようになるまでに大きな応答遅れが発生するのを禁じ得ず、当該クラッチCLの締結によるEVモードからHEVモードへの切り替えが大きな応答遅れを持ったものとなる。
かかるEV→HEVモード切り替え(クラッチ締結)の応答遅れ中はエンジン動力が得られず、アクセルペダル19の踏み込みによる再加速要求(要求加速度)の大きさによっては、これを実現することができないため、運転者はアクセルペダルの踏み込み当初に駆動力不足による違和感を覚える。
かといって、当該違和感の回避を優先させ、クラッチCLを締結させた状態(HEV走行モード)での回生制動(HEV回生)を継続するのでは、エンジン1(変速機4)を連れ回すエネルギー分だけエネルギー回生効率が悪化するという問題を生ずる。
そこで本実施例においては、上記したごとくトレードオフの関係にある、エネルギー回生効率の向上要求と、再加速時クラッチ締結応答遅れ(駆動力不足)による違和感の解消要求とを両立させることができるよう、図1に示す駆動系を持ったハイブリッド車両の回生制動制御を以下のごとくに行う。
このために図1のハイブリッドコントローラ21は、HEV走行中に図3の回生制動制御プログラムを開始する。
なお図3の制御プログラムは、電動モータ2による回生制動の許可条件が満足されるとき、例えば電動モータ2の温度が発電を行っても大丈夫な温度域であり、且つ、バッテリ12の温度が充電可能な温度域であり、且つ、バッテリ12が充電余力を残している蓄電状態であるときに実行するのは言うまでもない。
これらの許可条件は、回生(発電→充電)が可能かどうかを判断するものであり、回生制動の前提条件である。
ステップS11においては、アクセル開度APOからアクセルペダル19が釈放されているコースティング走行か否かをチェックし、ステップS12においては、ブレーキペダル踏力FbrがFbr>0(ブレーキペダル16が踏み込まれている制動状態)か否かをチェックする。
本実施例は、アクセルペダル19を釈放し、且つブレーキペダル16を踏み込んだときに回生制動を行うものを前提としており、従って、
ステップS11でアクセルペダル19が釈放状態でないと判定したり、ステップS12でブレーキペダル踏力FbrがFbr>0(制動状態)でない非制動状態と判定する時は、制御をそのまま終了して図3の制御プログラムから抜ける。
なお、アクセルペダル19が釈放されているコースティング走行中はエンジン1への燃料供給を中断(フューエルカット)して、燃費の向上を図るのは通常通りである。
ステップS11でアクセルペダル19が釈放状態であると判定し、且つステップS12でブレーキペダル踏力FbrがFbr>0(制動状態)と判定する時、回生制動条件が揃ったことで制御をステップS13に進め、現在のHEV走行のもと運転状態に応じた所定減速度が得られるよう回生制動(HEV回生)を行う。
ここで、ステップS11およびステップS12の判断は、回生制動の許可条件のうちの一種であり、運転者による減速意図の有無判断に基づく許可条件である。
ステップS11およびステップS12で共に「Yes」と判定されるとき、運転者による減速意図が有ると判断して運転者の減速意図に関する許可条件が成立したと判断し、回生制動を許可する。
次のステップS14においては、車速VSPが設定車速VSPs未満の低車速域にあるのか、設定車速VSPs以上の高車速域にあるのかをチェックする。
ステップS14での判定結果が高車速域(VSP≧VSPs)であれば、制御をステップS13に戻して現在のHEV走行のまま運転状態に応じた所定減速度が得られるようHEV回生を継続し、
ステップS14での判定結果が低車速域(VSP<VSPs)であれば、制御をステップS15に進めてクラッチCLの解放を許可する。
従ってステップS14とステップS15とが、本発明におけるクラッチ解放許可手段に相当する。
ステップS14とステップS15とは、回生制動時におけるクラッチ解放の許可条件であり、再加速時の要求トルクを実現できるか否かを車速VSPに基づき判断するものである。
ここで上記の設定車速VSPsについて説明する。
図4は、電動モータ2(図1参照)の車速VSP(モータ回転数)に対する定格トルク(車軸上のトルク換算値)Tmoの変化特性と、車両の走行抵抗に大きく関与する路面勾配θごとの車速VSPに対する再加速要求実現トルク(車軸上のトルク換算値)Taccの変化特性とを併記したトルク変化特性図である。
電動モータ2の車速VSP(モータ回転数)に対する定格トルクTmoは、車速VSP(モータ回転数)が低いほど大きな値となり、車速VSP(モータ回転数)の上昇につれて低下することが知られており、その車軸上のトルク換算値は図4に一例を示すごときものである。
一方で「再加速要求実現トルク」の文言中における「再加速要求」は、極一般的な再加速操作を行った場合における車両の再加速性能に関した味付けとして予め任意に設定可能な「再加速要求加速度」のことを意味し、車両ごとに、「きびきびした運転感覚」を要求されるスポーティー車両では「再加速要求加速度」を大きく設定し、「燃費性能を優先させた運転」を要求されるノーマル車両では「再加速要求加速度」を小さく設定する。
このように設定した再加速要求(再加速要求加速度)を実現するのに必要な「再加速要求実現トルク」の車軸上のトルク換算値Taccは図4に示すごとく、路面勾配θが大きいほど車両走行抵抗の一つである勾配抵抗の増大によって大きくなり、また車速VSPが高いほど車両走行抵抗の一つである空気抵抗の増大によって大きくなる。
判りやすくするため、図4における路面勾配θごとの再加速要求実現トルクTaccのうち、或る路面勾配θ(或る走行抵抗R)の再加速要求実現トルクTaccを電動モータ定格トルクTmoとともに図5に移記し、この図5をもとに更に説明をすると、
両者のトルク変化特性が交差する交点車速VSPsを境に、この交点車速VSPs未満の低車速域では、電動モータ2の定格トルク(車軸上のトルク換算値)Tmoが再加速要求実現トルク(車軸上のトルク換算値)Taccよりも大きく、両者間の差である再加速時余裕トルクによって、つまりエンジン1からの動力を要することなく電動モータ2のみによって再加速要求を実現可能である。
しかし交点車速VSPs以上の高車速域では、電動モータ2の定格トルク(車軸上のトルク換算値)Tmoが再加速要求実現トルク(車軸上のトルク換算値)Taccよりも小さく、両者間の差である再加速時不足トルク分だけエンジン1からの動力を必要とし、電動モータ2のみでは再加速要求を実現することができない。
従って交点車速VSPsは、上記の再加速要求(再加速要求加速度)をエンジンからの動力に頼ることなく電動モータ2のみによって実現可能な上限車速であり、この上限車速は図4にVSPs(θ=12%)・・・VSPs(θ=3%),VSPs(θ=2%)として示すごとく路面勾配θごとに存在し、これら路面勾配θごとの上限車速を設定車速VSPsと定める。
よって設定車速VSPsは、路面勾配θに対し図6に示すごときものとなる。
設定車速VSPsの演算プロセスを、本発明における設定車速決定手段を成す図7に基づき順次説明する。
ステップS21で車速VSP=0と判定している停車中に、ステップS22で平坦路か否かを判定する。
ステップS21で、ステップS22による平坦路判定が不能な走行中(車速VSP>0)と判定する場合は、ステップS23で設定車速VSPsを初回なら初期値となし、初回でなければ前回値となす。
ステップS21で車速VSP=0の停車中と判定していても、ステップS22で平坦路でない(坂道)と判定する場合は、設定車速VSPsの演算を精度が低いことから行わず、制御をステップS23に進めて設定車速VSPsを初期値または前回値となす。
ステップS22で平坦路と判定する時に選択されるステップS24においては、車両が当該平坦路での走行状態になった後に、エンジントルクTe=0、且つクラッチCL=OFF(解放)のEV走行か、そうではないHEV走行かを判定する。
エンジントルクTeは、エンジン気筒内圧、またはエンジン吸気量およびエンジン回転数Ne、或いはアクセル開度APOおよび車速VSPから推定することができる。
ステップS24において、平坦路であっても、電動モータ2だけでなくエンジン動力をも用いたHEV走行と判定する場合は、設定車速VSPsの演算を精度が低いことから行わず、制御をステップS23に進めて設定車速VSPsを初期値または前回値となす。
ステップS24において平坦路EV走行と判定する場合は、設定車速VSPsの演算精度が高いことから、制御をステップS25以降に進めて以下のごとくに設定車速VSPsを求める。
ステップS25は車両加速度演算部であり、車両加速度α={車速VSP(今回値)−車速VSP(前回値)}/VSP演算周期を算出する。
ステップS26は車両重量演算部であり、以下のようにして車両重量Mを求める。
この演算に際しては、車両走行抵抗Rを表す式R=M×αを変形して得られる次式
M=R/α ・・・(1)
を用いる。
この式における走行抵抗Rは、今EV走行故に電動モータ2の車軸上トルク換算値Tm(車輪に向かうトルク)を車輪半径で除算した値であり、車両重量Mは、電動モータ2への駆動電流およびモータ回転数から高精度に、しかも簡単に求まるモータトルク車軸上換算値Tmと、ステップS25で求めた車両加速度αとを用いた次式の演算により求めることができる。
M={Tm/車輪半径}/α ・・・(2)
ステップS27は車両重量平均値演算部であり、上記のようにして今回求めた車両重量M(今回値)を含む直近における車両重量のうち急変したものを排除しつつ、該車両重量の直近における複数データ{本実施例では3個のデータ}の平均値Mavを
Mav={車両重量M(前々回値)+車両重量M(前回値)+車両重量M(今回値)}/3
により算出し、これを車両重量Mとして後記のごとく設定車速VSPsの決定に資する。
ステップS28ではモータトルク車軸換算値Tmおよびエンジントルク車軸換算値Teの和値、つまり車輪へ向かうトルクが0以上か負値かに応じて、車両が加速中か減速中かをチェックする。
加速中なら加速時路面勾配演算部を成すステップS29において、また減速中なら減速時路面勾配演算部を成すステップS30において、以下の演算により加減速時路面勾配θを求める。
これらステップS29およびステップS30で用いる演算式は同じであるため、まとめて以下に説明する。
車両の走行抵抗Rは、転がり抵抗(路面摩擦係数μ×車両重量M×重力加速度g)と、空気抵抗(0.5×空気密度ρ×空気抵抗係数Cd×車両の走行風受風面積A×VSP2)と、路面勾配θによる勾配抵抗(M×g×sinθ)との和値であり、またモータトルク車軸換算値Tmおよびエンジントルク車軸換算値Teの和値(車輪へ向かうトルク)を車輪半径で除算した値に等価であることから、
R=(μ×M×g)+(0.5×ρ×Cd×A×VSP2)+(M×g×sinθ)
=(Tm+Te)/車輪半径 ・・・(3)
によって表される。
この式を、路面勾配θに係わるsinθの関係式に変換すると、
sinθ=[{(Tm+Te)/車輪半径}-{(μ×M×g)+(0.5×ρ×Cd×A×VSP2)}]/(M×g)
・・・(4)
上記(4)式の演算により算出されたsinθから路面勾配θを求めることができる。
なおステップS29およびステップS30では上記の同じ演算式を用いるが、加速時路面勾配演算部を成すステップS29において、EV走行中ならエンジントルク車軸換算値Teを0として上記路面勾配θの演算を行い、減速時路面勾配演算部を成すステップS30において、エンジンフューエルカット中ならエンジントルク車軸換算値Teをエンジンフリクショントルク(負値)とし、モータトルク車軸換算値Tmを回生トルク(負値)として上記路面勾配θの演算を行うのは言うまでもない。
ステップS31は勾配平均値演算部であり、上記のようにして今回求めた路面勾配θ(今回値)を含む直近における路面勾配のうち急変したものを排除しつつ、該路面勾配の直近における複数データ{本実施例では3個のデータ}の平均値θavを
θav={路面勾配θ(前々回値)+路面勾配θ(前回値)+路面勾配θ(今回値)}/3
により算出し、これを路面勾配θとして以下のごとく設定車速VSPsの決定に資する。
ステップS32においては、ブレーキペダル踏力Fbr>0か否かで、ブレーキON(制動中)か否かをチェックし、制動中にステップS33において、車両重量M(ステップS27)および路面勾配θ(ステップS31)の組み合わせに対応する設定車速VSPsを学習制御により更新する。
設定車速VSPsは路面勾配θに応じた車速VSPs(θ)で、この設定車速VSPs(θ)は平坦路(θ=0%)上にいる時を基準に、登坂路では平坦路上にいる時よりも低い車速になり、降坂路では平坦路上にいる時よりも高い車速になる。
例えば、平坦路(θ=0%)上にいる時の設定車速VSPs(0)はVSPs(0)=50km/hと定め、最大路面勾配θ(MAX)での登坂時設定車速VSPs[θ(MAX)]はVSPs[θ(MAX)] =0km/hに設定され、また最小路面勾配θ(MIN)での降坂時設定車速VSPs[θ(MIN)]はVSPs[θ(MIN)] =100km/hに設定される。
以上のように学習制御した設定車速VSPsのマップを基に図3のステップS14では、車両重量M(ステップS27)および路面勾配θ(ステップS31)の組み合わせから設定車速VSPsを読み出し、車速VSPが設定車速VSPs未満の低車速域にあるのか、設定車速VSPs以上の高車速域にあるのかをチェックする。
ステップS14での判定結果が高車速域(VSP≧VSPs)であれば、前記の通り電動モータ2のみで再加速要求を実現することができず、図5に示す再加速時不足トルク分のエンジン動力が必要であることから、エンジン1の始動およびクラッチCLの締結が不可欠であって前記した再加速時クラッチ締結応答遅れ(駆動力不足)による違和感の問題を生ずる。
この問題を回避するために、ステップS14から制御をステップS13に戻して現在のHEV走行のまま運転状態に応じた所定減速度が得られるようHEV回生を継続する。
ステップS14での判定結果が低車速域(VSP<VSPs)であれば、前記の通り図5に示す再加速時余裕トルク分の余裕を残して電動モータ2のみにより再加速要求を実現することができ、エンジン動力が不要であることから、エンジン1の始動およびクラッチCLの締結が必要でなくて前記した再加速時クラッチ締結応答遅れ(駆動力不足)による違和感の問題を生じない。
よって、この問題を気にすることなく回生制動効率の向上を狙って、ステップS14から制御をステップS15に進めてクラッチCLの解放を許可する。
つまり、高車速域(VSP≧VSPs)の場合、HEV回生の開始時に無条件にクラッチCLの解放によって回生制動をEV回生状態で行わせることによりエネルギー回生効率の向上を狙うよりか、むしろ再加速時クラッチ締結応答遅れ(駆動力不足)による違和感の回避を優先させてクラッチCLの締結状態(エンジン1の運転)を保つことによりHEV回生を継続し、
低車速(VSP<VSPs)の場合は逆に、電動モータ2のみで再加速要求を実現することができて再加速時クラッチ締結応答遅れ(駆動力不足)による違和感を生じないことから、HEV回生の開始時に条件を付することなくクラッチCLを解放して回生制動をEV回生状態で行わせることによりエネルギー回生効率の向上を図ることとする。
これにより、前者の再加速時クラッチ締結応答遅れ(駆動力不足)による違和感の防止と、後者のエネルギー回生効率の向上とを両立させることができる。
次のステップS16においては、前記したごとくフューエルカットされているエンジン1への燃料供給再開(フューエルリカバー)を禁止してフューエルカットを継続させる。
ステップS17においては、締結状態のクラッチCLを介したエンジン1および無段変速機4の引き摺り減速度Gdを、CVTプーリ比、エンジン回転数Neおよび車速VSPから演算する。
そしてステップS18で、HEV→EVモード切り替え要件が成立していることを条件にクラッチCLを解放し、これにより、ステップS16でのフューエルリカバー禁止(フューエルカット継続)と相まってエンジン1を停止させることでEV走行へ移行し、HEV回生からEV回生へと切り替える。
ところで、当該EV回生への切り替え後もステップS13の回生制動を継続したのでは、ここでの回生制動が、締結状態のクラッチCLを介しエンジン1および無段変速機4を引き摺るHEV走行を前提とした回生制動であるため、エンジン1および無段変速機4の引き摺り減速度分だけ車両減速度が要求に対して不足する。
そのためステップS19において、ステップS17で求めたエンジン1および無段変速機4の引き摺り減速度分Gdを回生制動力に上乗せし、当該上乗せした回生制動力が得られるようなEV回生を行って、EV回生への切り替え後も、現在のEV走行のもと運転状態に応じた所定減速度が得られるようにする。
図3の回生制動を、図8のタイムチャートに基づき以下に詳述する。
クラッチCLを締結したHEV走行中、図8の瞬時t1にアクセルペダル19を釈放してアクセル開度APO=0のコースティング走行に移行すると(ステップS11)、エンジン1への燃料供給を中断(フューエルカット)して燃料噴射量を図8に示すごとく0にする。
瞬時t2に、ブレーキ=ONにより示すごとくブレーキペダル16を踏み込んで制動を行うと(ステップS12)、本実施例における回生制動条件が揃ったことでHEV回生が開始される(ステップS13)。
このHEV回生により電動モータ2は、HEV走行中の運転状態に応じた所定減速度が得られるよう回生制動を行うことで、図8の瞬時t2以降における発電電力から明らかなように発電を行うようになり、車速VSPを徐々に低下させると同時にバッテリ蓄電状態SOCを上昇させる。
車速VSPが設定車速VSPs以上の高車速域の値である瞬時t3(ステップS14)までの間は、上記のHEV回生を継続する。
車速VSPが設定車速VSPs未満の低車速域の値となる瞬時t3で回生制動時のクラッチCLの解放が許可され(ステップS14およびステップS15)、瞬時t3より瞬時t4に至る間に、いままで締結状態だったクラッチCLを解放する(ステップS18)と共に、継続されているフューエルカット(燃料噴射量=0)でエンジン1を、エンジン回転数Ne=0により示すごとく停止させる(ステップS16)。
これによりHEV走行からEV走行へと切り替わり、瞬時t4からEV回生が行われることとなる。
このEV回生では、ステップS17で求めたHEV回生中におけるエンジン1および無段変速機4の引き摺り減速度Gd分だけ回生制動力を上乗せする。
その結果、EV回生による発電電力は図8の瞬時t4以降に見られるごとく、引き摺り減速度Gd分だけ増大される。
かようにEV回生で回生制動力を、エンジン1および無段変速機4の引き摺り減速度Gd分だけ上乗せすることにより、EV回生への切り替え後もHEV回生中と同様、現在のEV走行のもと運転状態に応じた所定減速度が得られる回生制動となし得る。
<実施例の効果>
上記した本実施例の回生制動制御によれば、ハイブリッド走行状態(クラッチCLの締結状態)から回生制動を行う際、車速VSPが設定車速VSPs未満の低車速域である場合(ステップS14)、クラッチCLの解放を許可してエンジン1および無段変速機4を切り離した電気走行での回生制動(EV回生)に切り替えるため(ステップS15)、走行モードマップが図9に示すようなものとなる。
図9の走行モードマップは、横軸に車速VSPを、また縦軸に運転者が要求要求する車両の制駆動力を表すブレーキペダル踏力Fbr(負側)およびアクセル開度APO(正側)をそれぞれ目盛った二次元座標上に走行モード領域を表示したものである。
アクセル開度APO>0の駆動力要求領域には、通常通り駆動用のEVモード領域およびHEVモード領域が設定され、アクセル開度APO=0およびブレーキペダル踏力Fbr>0の制動力要求領域には本実施例の場合、VSP<VSPsの低車速域に制動用のEV回生モード領域が、またVSP≧VSPsの高車速域に制動用のHEV回生モード領域がそれぞれ設定されることになる。
なお、大制動力要求域でEV回生モード領域が存在しなくなってHEV回生モード領域となっているのは、電動モータ2による回生だけでは要求制動力を発生させることができず、キャリパ15の液圧作動による摩擦ブレーキ力が必要であって、そのためにエンジン1の運転が要求されるためである。
また摩擦ブレーキ領域は、回生制動の活用が不能な極く低車速域で、且つエンジンブレーキの活用が不能なほどに要求制動力が小さいため、制動をキャリパ15の液圧作動による摩擦ブレーキ力のみに頼らなければならない領域である。
従来はアクセル開度APO=0およびブレーキペダル踏力Fbr>0の制動力要求領域に、EV回生モード領域およびHEV回生モード領域の双方を設定する考え方が存在せず、前記の問題を生じていた。
つまり図9の制動力要求領域に、回生領域としてHEV回生モード領域が存在せず、EV回生モード領域のみが設定されている場合、VSP<VSPsの低車速域で運転点をY1からY2へと変更したことで行われるHEV走行からの回生制動時も、またVSP≧VSPsの高車速域で運転点をZ1からZ2へと変更したことで行われるHEV走行からの回生制動時も、クラッチCLが解放されると共にエンジン1が停止されて、これら回生制動が常にEV走行状態(EV回生状態)で行われることとなる。
しかしこの場合、クラッチCLの解放で停止状態のエンジン1および無段変速機4を車輪5から切り離しているため、エネルギー回生効率の向上を実現可能であるものの、VSP≧VSPsの高車速域で運転点をZ1からZ2へと変更したことで行われるHEV走行からEV回生への切り替え後に、運転点をZ2からZ3へ変更するなどの再加速操作が行われた時、前記したEV→HEVモード切り替え(クラッチCLの締結)の応答遅れに起因する駆動力不足によって、運転者に違和感を与えるという問題が発生する。
他方で図9の制動力要求領域に、回生領域としてEV回生モード領域が存在せず、HEV回生モード領域のみが設定されている場合、VSP<VSPsの低車速域で運転点をY1からY2へと変更したことで行われるHEV走行からの回生制動時も、またVSP≧VSPsの高車速域で運転点をZ1からZ2へと変更したことで行われるHEV走行からの回生制動時も、クラッチCLの締結およびエンジン1の運転が継続され、これら回生制動がHEV走行状態のまま行われることとなる(HEV回生)。
しかしこの場合、HEV走行が継続されていることから、EV→HEVモード切り替え(クラッチCLの締結)が行われることがなくて、その応答遅れに起因した駆動力不足による上記違和感の問題を生じないものの、VSP<VSPsの低車速域で、前記した通り低回転故に電動モータ2の定格トルクが大きく再加速要求を電動モータ2のみにより実現可能であるにもかかわらずHEV走行を継続させていることとなる。
このため、締結状態のクラッチCLを介したエンジン1および無段変速機4の引き摺りトルク分だけ回生制動力が低下してエネルギー回生効率が悪化するという問題を生ずる。
これに対し本実施例の回生制動制御においては、図9に示すごとくアクセル開度APO=0およびブレーキペダル踏力Fbr>0となす制動力要求領域の低車速域(VSP<VSPs)にEV回生モード領域を、また高車速域(VSP≧VSPs)にHEV回生モード領域をそれぞれ設定することになるため、上記した通りトレードオフの関係にあるエネルギー回生効率の向上要求と、再加速時のクラッチ締結応答遅れ(駆動力不足)による違和感の解消要求とを両立させることができ、いずれかが犠牲になるという問題を以下のように解消することができる。
つまりVSP<VSPsの低車速域であれば(ステップS14)、運転点を例えば図9のY1からY2へと変更したことで行われるHEV走行から回生制動の開始時にクラッチCLの解放を許可してエンジン1および無段変速機4を切り離したEV回生に切り替わり(ステップS15)、回生制動がEV回生により行われることとなる。
他方、VSP≧VSPsの高車速域であれば(ステップS14)、運転点を例えば図9のZ1からZ2へと変更したことで行われるHEV走行から回生制動の開始時に、クラッチCLの解放を許可しないことでHEV走行を継続させて、回生制動をHEV回生状態で行わせることとなる(ステップS13)。
このため、電動モータ2のみによって再加速要求を実現可能でエンジン動力が不要な低車速域(VSP<VSPs)では、運転点を例えば図9のY1からY2へと変更したことで行われるHEV走行からの回生制動の開始時にクラッチCLを解放してエンジン1および無段変速機4を車輪5から切り離すことにより、当該回生制動をEV回生により行って、エネルギー回生効率の向上を実現することができる。
また、電動モータ2のみによっては再加速要求を実現することができず、エンジン1の動力が必要な高車速域(VSP≧VSPs)では、運転点を例えば図9のZ1からZ2へと変更したことで行われるHEV走行から回生制動の開始時に、クラッチCLの解放を行わないようにしてエンジン1を停止させないこととし、HEV走行を継続させて当該回生制動をHEV回生により行わせる。
このため、その後に運転点を図9のZ2からZ3へ変更するなどの再加速操作が行われた時、EV→HEVモード切り替え(クラッチCLの締結)動作が発生することがなく、前記したEV→HEVモード切り替え(クラッチCLの締結)の応答遅れに起因した駆動力不足による違和感の問題を生じなくすることができる。
以上により本実施例では結果として、トレードオフの関係にあるエネルギー回生効率の向上要求と、再加速時クラッチ締結応答遅れ(駆動力不足)による違和感の防止要求とを両立させることができ、いずれかが大きく犠牲になるという問題を解消し得る。
加えて本実施例では、上記の作用効果を得るために定めた設定車速VSPsを図7につき前述したように、回生制動状態からの再加速要求を電動モータ2のみによって実現可能な、図4にVSPs(θ=12%)・・・VSPs(θ=6%),VSPs(θ=3%),VSPs(θ=2%)として示すごとき、車両走行抵抗Rごとの上限車速を設定車速VSPsと定めるため、
車両重量Mや路面勾配θや車速VSPなどに応じて変化する車両走行抵抗が如何なるものであっても、クラッチCLの解放を許可すべき前記の低車速域(VSP<VSPs)を確実に、再加速要求を電動モータ2のみによって実現可能な車速域に符合させることができ、上記の作用効果を如何なる車両走行抵抗のもとでも確実に達成することができる。
この効果を図10の動作タイムチャートに基づき付言するに、図10は、クラッチCLをON(締結)させ、エンジン1をエンジン回転数Ne>0により示すごとく運転させているHEV走行中の瞬時t1に、アクセルペダル19を釈放してアクセル開度APO=0にするのと引き替えにブレーキペダル16の踏み込みによりブレーキON(制動)要求が発せられ、その後の瞬時t3に、ブレーキペダル16の釈放によりブレーキON(制動)要求が消失するのと引き替えにアクセルペダル19の踏み込み(アクセル開度APO>0)により再加速要求が発せられ、これにより車速VSPが瞬時t3の直後t4までの間、図示のごとくに経時変化する場合のタイムチャートである。
設定車速VSPsが車両走行抵抗Rに関係なく固定値、例えばVSPs(θ=3%)である場合、設定車速VSPsが例えばVSPs(θ=6%)に低下するような車両走行抵抗Rの増大状態のもとで図10に実線で示すごとき動作を行う。
瞬時t1でのブレーキON(制動)要求に呼応した減速によりVSP<VSPs(θ=3%)となる瞬時t2にクラッチCLがOFF(解放)されると共にエンジン1がエンジン回転数Ne=0により示すごとく停止され、HEV走行からEV回生状態に切り替わる。
ブレーキON(制動)要求時t1以降、電動モータ2は負値のモータトルクTmによって示すごとく回生制動を行い、この間、車両の減速によって車両加速度Gは実線図示のような負値となる。
瞬時t3での再加速要求に呼応して車速VSPが上昇するなどによりEV→HEVモード切り替え条件が成立する瞬時t5に、エンジン1がエンジン回転数Ne>0により示すごとく始動されて自立運転するようになり、エンジン始動完了瞬時t6にクラッチCLがON(締結)される。
これによりEV回生からHEV走行に切り替わり、電動モータ2は瞬時t3から正値のモータトルクTmによって示すごとく力行による駆動を行い、この間、車両加速度Gは実線図示のごとくエンジン始動瞬時t5より負値から正値となり、車両が徐々に加速されることを示す。
しかし、設定車速VSPsが固定値のVSPs(θ=3%)である場合、設定車速VSPsがVSPs(θ=6%)となる大きな車両走行抵抗R(路面勾配θや車両重量Mや車速VSP)のもとでも、VSP<VSPs(θ=3%)となる同じ瞬時t2にクラッチCLのOFF(解放)およびエンジン1の停止(Ne=0)により、HEV走行からEV回生状態に切り替わる。
そのため、瞬時t3での再加速要求に呼応して瞬時t5にエンジン1の始動が発生し、瞬時t6にクラッチCLのON(締結)が発生し、EV→HEVモード切り替えが生起されることとなる。
しかるに車速VSPが、現在の走行抵抗Rに対応した設定車速VSPs=VSPs(θ=6%)以上である瞬時t3に再加速要求が発生すると、運転点を図9のZ2からZ3へ変更した場合の再加速要求時につき前述した通り、上記のEV→HEVモード切り替え(クラッチCLの締結)の応答遅れに起因する駆動力不足によって、車速VSPおよび車両加速度Gをそれぞれ、図10の瞬時t4以降に実線で示すごとく緩やかにしか増大させ得ない。
このため、図10に★印により示す要求加速度を実現させることができず、運転者に違和感を与える。
ところで本実施例では、設定車速VSPsを固定値せず、走行抵抗Rが大きいほど図4にVSPs(θ=2%)・・・VSPs(θ=3%),VSPs(θ=6%),VSPs(θ=12%)として示す通り小さくなる可変値としたから、設定車速VSPsがVSPs(θ=6%)に低下するような車両走行抵抗Rの増大状態のもとでは、図10に破線で示すごとき動作が生起されることとなる。
つまり、VSP<VSPs(θ=3%)となる瞬時t2に、クラッチCLのOFF(解放)およびエンジン1の停止(HEV→EVモード切り替え)が行われることはなく、HEV走行のままで回生制動(HEV回生)が遂行される。
そして図10では、車速VSPが、現在の走行抵抗Rに対応した設定車速VSPs=VSPs(θ=6%)未満になることがないため、当該HEV回生が継続される。
このため瞬時t3での再加速要求に呼応した加速が、EV→HEVモード切り替え(クラッチCLの締結)を伴うことなく、HEVモードのまま開始されることとなり、EV→HEVモード切り替え(クラッチCLの締結)の応答遅れに起因した駆動力不足の問題なしに、車速VSPおよび車両加速度Gをそれぞれ、図10の瞬時t4以降に破線で示すごとく速やかに増大させることができる。
従って、図10に★印により示す要求加速度を実現することができ、運転者に上記駆動力不足の違和感を与えることがない。
<その他の実施例>
なお上記実施例においては、エンジン始動に際しエンジン1をスタータモータ3によりクランキングさせる場合につき説明したが、これに代えて以下のようにエンジン1をクランキングさせるようにした場合も、本発明の前記着想を適用して同様な作用、効果を得ることができる。
つまり、昨今のハイブリッド車両やアイドルストップ車両にあっては、エンジンクランクシャフトに駆動結合して実装される通常のオルタネータ(発電機)を、力行も可能となるようモータ/ジェネレータに置き換え、アイドルストップ後にエンジンを再始動するときや、エンジン運転中に必要に応じて該エンジンをトルクアシストするとき、モータ/ジェネレータを力行させて目的を達するよう構成することがある。
このようなハイブリッド車両の場合、エンジン始動に際しスタータモータ3の代わりに上記モータ/ジェネレータをスタータモーととして用い、その力行によりエンジン1をクランキングさせるようにしてもよい。
本発明の前記着想は、このような車両にも適用可能であり、この場合も前記したと同様な作用、効果が奏し得られる。
また、図3のステップS12において制動中を判定するに際し、ブレーキペダル踏力Fbr>0をもって当該判定を行うこととしたが、制動中の判定はこれに限られるものではなく、ブレーキ操作に応じて変化する物理量である例えばブレーキペダルストローク量や、ブレーキ液圧のセンサ検出値が制動判定値に達した時をもって制動中であると判定したり、ブレーキペダル16の踏み込みに応動するブレーキスイッチのONにより制動中の判定を行ってもよい。
更に前記した実施例では、図3のステップS11でアクセルペダル19が釈放状態であると判定し、且つステップS12でブレーキペダル踏力FbrがFbr>0(制動状態)と判定する時をもって、回生制動条件が揃ったこととしたが、この代わりに、アクセルペダル19の釈放(ステップS11)のみを回生制動条件としてもよいのは言うまでもない。
1 エンジン(動力源)
2 電動モータ(動力源)
3 スタータモータ
4 Vベルト式無段変速機
5 駆動車輪
6 プライマリプーリ
7 セカンダリプーリ
8 Vベルト
CVT 無段変速機構
T/C トルクコンバータ
CL クラッチ
9,11 ファイナルギヤ組
12 バッテリ
13 インバータ
14 ブレーキディスク
15 キャリパ
16 ブレーキペダル
17 負圧式ブレーキブースタ
18 マスターシリンダ
19 アクセルペダル
21 ハイブリッドコントローラ
22 エンジンコントローラ
23 モータコントローラ
24 変速機コントローラ
25 バッテリコントローラ
26 ブレーキペダル踏力センサ
27 アクセル開度センサ
O/P オイルポンプ
31 副変速機
H/C ハイクラッチ
R/B リバースブレーキ
L/B ローブレーキ
32 車速センサ
33 車両加速度センサ
35 ライン圧ソレノイド
36 ロックアップソレノイド
37 プライマリプーリ圧ソレノイド
38 ローブレーキ圧ソレノイド
39 ハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧ソレノイド
41 スイッチバルブ

Claims (9)

  1. 動力源として、スタータモータにより始動されるエンジンのほかに電動モータを具え、前記エンジンがクラッチを介して切り離し可能に車輪に駆動結合され、該クラッチを解放することで前記電動モータのみにより前記車輪を駆動する電気走行が可能であるほか、前記クラッチを締結することで前記電動モータおよびエンジンにより前記車輪を駆動するハイブリッド走行が可能なハイブリッド車両において、
    前記ハイブリッド走行状態から前記電動モータによる回生制動を行う際、設定車速未満の低車速であることを条件に前記クラッチの解放を許可するクラッチ解放許可手段と、
    前記回生制動状態からの再加速要求を前記電動モータのみによって実現可能な、車両走行抵抗ごとの上限車速を前記設定車速とする設定車速決定手段とを設けて成ることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載された、ハイブリッド車両の制御装置において、
    前記設定車速決定手段は、車両重量が重いほど前記車両走行抵抗が大きくなることに呼応して前記設定車速を低下させるものであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  3. 請求項2に記載された、ハイブリッド車両の制御装置において、
    前記設定車速決定手段は、前記車両重量を、前記電気走行中における前記電動モータの出力トルクから求めて前記設定車速の決定に資するものであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  4. 請求項3に記載された、ハイブリッド車両の制御装置において、
    前記設定車速決定手段は、前記モータ出力トルクから求めた車両重量のうち急変したものを排除しつつ、該車両重量の直近における複数データの平均値を前記車両重量として前記設定車速の決定に資するものであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  5. 請求項1に記載された、ハイブリッド車両の制御装置において、
    前記設定車速決定手段は、車両走行路面の勾配が急なほど前記車両走行抵抗が大きくなることに呼応して前記設定車速を低下させるものであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  6. 請求項5に記載された、ハイブリッド車両の制御装置において、
    前記設定車速決定手段は、前記路面勾配を、車両走行中における前記電動モータの出力トルクおよび前記エンジンの出力トルクの和値から求めて前記設定車速の決定に資するものであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  7. 請求項5に記載された、ハイブリッド車両の制御装置において、
    前記設定車速決定手段は、車両走行中における前記電動モータの出力トルクを、該電動モータの回転数および駆動電流から推定し、前記エンジンの出力トルクを、エンジン気筒内圧、またはエンジン吸気量およびエンジン回転数、或いはアクセル開度および車速から推定するものであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  8. 請求項6または7に記載された、ハイブリッド車両の制御装置において、
    前記設定車速決定手段は、車両走行中における前記電動モータの出力トルクおよび前記エンジンの出力トルクの和値から求めた前記路面勾配のうち急変したものを排除しつつ、該路面勾配の直近における複数データの平均値を前記路面勾配として前記設定車速の決定に資するものであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載された、ハイブリッド車両の制御装置において、
    前記設定車速決定手段は、制動要求の解除時に前記設定車速を所定車速にするものであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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