JP2015116936A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明によるハイブリッド車両の制御装置は、運転状態に応じてエンジン及びモータの出力と、クラッチの締結及び解放と、無段変速機の変速比とを制御する制御手段を備えたハイブリッド車両の制御装置において、クラッチを解放し、エンジンを停止してモータの駆動力により走行しているときに車両が停車直前と判断されたときは、エンジンを停止したままクラッチを締結して無段変速機をダウンシフトすることとした。
【選択図】図5
Description
図1は、実施例1のハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図である。図1のハイブリッド車両は、エンジン1および電動モータ2を動力源として搭載され、エンジン1は、スタータモータ3により始動する。エンジン1は、Vベルト式の無段変速機4を介して駆動輪5に適宜切り離し可能に駆動結合する。
インバータ13は、バッテリ12の直流電力を交流電力に変換して電動モータ2へ供給すると共に、電動モータ2への供給電力を加減することにより、電動モータ2を駆動力制御および回転方向制御する。
なお電動モータ2は、上記のモータ駆動のほかに発電機としても機能し、回生制動の用にも供する。この回生制動時はインバータ13が、電動モータ2に回生制動力分の発電負荷をかけることにより、電動モータ2を発電機として作用させ、電動モータ2の発電電力をバッテリ12に蓄電する。
アウタピニオン31poutはリングギヤ31rの内周に噛合させ、キャリア31cを出力回転メンバとして作用するようファイナルギヤ組9に結合する。
キャリア31cとリングギヤ31rとをクラッチCLであるハイクラッチH/Cにより適宜結合可能となし、リングギヤ31rをクラッチCLであるリバースブレーキR/Bにより適宜固定可能となし、サンギヤ31s-2をクラッチCLであるローブレーキL/Bにより適宜固定可能となす。
セカンダリプーリ圧ソレノイド37-2は、変速機コントローラ24からのクランプ力指令に応じてライン圧PLをセカンダリプーリ圧に調圧し、これをセカンダリプーリ7に供給することにより、セカンダリプーリ7がVベルト8をスリップしないよう挟圧する。
ローブレーキ圧ソレノイド38は、変速機コントローラ24が副変速機31の第1速選択指令を発しているとき、ライン圧PLをローブレーキ圧としてローブレーキL/Bに供給することによりこれを締結させ、第1速選択指令を実現する。
ハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧ソレノイド39は、変速機コントローラ24が副変速機31の第2速選択指令または後退選択指令を発しているとき、ライン圧PLをハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧としてスイッチバルブ41に供給する。
後退選択指令時はスイッチバルブ41が、ソレノイド39からのライン圧PLをリバースブレーキ圧としてリバースブレーキR/Bに向かわせ、これを締結することで副変速機31の後退選択指令を実現する。
次に変速制御処理について説明する。変速機コントローラ24は、予め設定された変速マップを参照しながら、車両の運転状態(実施例1では車速VSP、プライマリ回転速度Npri、アクセルペダル開度APO)に応じて、無段変速機4を制御する。この変速マップでは、従来のベルト式無段変速機の変速マップと同様に、アクセルペダル開度APO毎に変速線が設定されており、無段変速機4の変速はアクセルペダル開度APOに応じて選択される変速線に従って行われる。この変速マップ上には副変速機31の変速を行うモード切換変速線が設定される。そして、無段変速機4の動作点がモード切換変速線を横切った場合、変速機コントローラ24はバリエータCVTと副変速機31の両方で協調変速を行い、高速モード−低速モード間の切換えを行う。
図3は実施例1のハイブリッド車両の走行モードが設定されたモードマップである。図3のモードマップでは、縦軸の0より上はアクセルペダル開度に応じて設定され、0より下についてはブレーキスイッチ26のオン・オフ状態に応じて設定されている。アクセルペダル19が踏み込まれたEV力行領域にあっては、力行車速VSPXまでEVモードによる力行領域が設定されている。また、アクセルペダル19がほとんど踏み込まれていない状態(例えば、1/8よりも十分に小さなアクセルペダル開度)を表す領域には、力行車速VSPXよりも更に高車速の所定車速VSP1までEVモードによる力行領域が設定されている。この所定車速VSP1以下の領域はアクセルペダル19が踏み込まれた状態ではほとんど選択されることはない。
一方、HEVモードによる走行中にアクセルペダル19を解放してコースティング(惰性)走行へ移行した場合や、HEVモードによる力行状態からブレーキペダル16を踏み込んで車両を制動する場合、電動モータ2による回生制動によって車両の運動エネルギーを電力に変換し、これをバッテリ12に蓄電しておくことでエネルギー効率の向上を図る(HEV回生状態)。また、制動トルクが所定値b1より大きな制動トルクとなったときには、電動モータ2のみによる回生制動では制動力が不足すると判断してHEV回生制動状態とする。これにより、摩擦ブレーキも併用し、制動トルクを確保する。また、制動トルクが所定値b1未満であっても、車速が所定車速Vc以下のときには、EV回生状態から摩擦ブレーキによる制動に切り替える。電動モータ2が低回転状態で高い回生トルクを発生させることは望ましくないからである。
次に、HEVモードからEVモードに遷移したときの変速制御に伴う課題について説明する。図4はHEVモードからEVモードに遷移し、再度HEVモードに遷移した場合に、変速比がHigh側の場合とLow側の場合を表すタイムチャートである。従来は、EVモード中に無段変速機の変速比制御を一切行っていないため、EVモード中の変速比は、EVモードへ切り替わる直前のHEVモード時の変速比となる。よって、EVモードへ切り替わる直前のHEVモード中の変速比がHigh側の変速比であった場合、EVモード中の変速比もHigh側となるため、この状態で車両停止すると、停車中の変速比もHigh側の変速比となっている。このとき、再発進要求に基づいてHEVモードによる発進を行うと、変速比がHigh側にあるため、エンジントルクが変速機により減少して駆動輪に伝達されるため、運転者の要求駆動力を満たすことができないという問題がある。
そこで、実施例1では、EVモードにより走行しているときに車両が停車直前と判断されたときは、エンジン1を停止したままクラッチを締結して無段変速機4をダウンシフトすることとした。言い換えると、車両が停車直前ではないと判断されたときは、ダウンシフトを行わないこととした。
図5は実施例1のEVモード時における変速制御処理を表すフローチャートである。
ステップS1では、EVモードでコースト走行中であり、ブレーキペダルが踏まれており、電動式オイルポンプEO/Pが作動しており、プライマリプーリ油圧が作用しており、セカンダリプーリ油圧が作用している、というすべての条件が満たされているか否かを判断し、条件を満たしているときはステップS2に進み、それ以外の場合は本ステップを繰り返す。
ステップS2では、急減速が発生しているか否かを判断し、急減速のときはステップS12に進み、それ以外のときはステップS3へ進む。急減速とは、車両に発生している減速度が所定値b1以上のときを表し、この場合は回生トルクのみの制動トルクではなく、HEVモードによる回生制動によって摩擦ブレーキによる制動トルクを発生させる。
ステップS3では、APOが0か否かを判断し、0のときはステップS4に進み、それ以外のときは本制御フローを終了する。
ステップS4では、バリエータCVTの変速比VAL_Ratioが最Lowか否かを判断し、最Low変速比の場合は本制御フローを終了し、それ以外の変速比の場合はステップS5に進む。
ステップS8では、急減速が発生しているか否かを判断し、急減速のときはステップS9に進み、それ以外のときはステップS12へ進む。急減速時はHEVモードで対応すべきだからである。
ステップS9では、バリエータCVTの変速比VAL_Ratioが最Lowか否かを判断し、最Low変速比の場合はステップS11に進み、それ以外の場合はステップS10に進む。
ステップS10では、車両停止か否かを判断し、車両が停止しているときにはステップS11に進み、それ以外の場合はステップS7に戻って変速を継続する。
ステップS11では、プライマリ油圧をOFF、セカンダリ油圧をOFF、クラッチ油圧をOFFとし、電動式オイルポンプEO/PもOFFとし、Low側の変速を終了する。
ステップS13では、電動式オイルポンプEO/Pを停止し、Low側への変速を開始する。
ステップS14では、バリエータCVTの変速比VAL_Ratioが最Lowか否かを判断し、最Low変速比の場合はステップS20に進み、それ以外の場合はステップS15に進む。
ステップS15では、APOが0か否かを判断し、0のときはステップS8に進み、それ以外のときはステップS20へ進んで本制御フローを終了する。言い換えると、コースト走行が継続している間はステップS13によるダウンシフトを継続する。
ステップS16では、車両停止か否かを判断し、車両が停止しているときにはステップS17に進み、それ以外の場合はステップS15に戻ってダウンシフトを継続する。
ステップS17では、クラッチをOFFとし、エンジン1のアイドル回転数を所定回転数だけ上昇し、車両停止状態でのダウンシフトを継続する。アイドル回転数を上昇させてダウンシフトを行うことで変速速度を速めることができる。
ステップS18では、APOが0か否かを判断し、0のときはステップS19に進み、それ以外のときはステップS20へ進んで本制御フローを終了する。言い換えると、車両停止状態が継続している間はステップS17によるダウンシフトを継続する。
ステップS19では、バリエータCVTの変速比VAL_Ratioが最Lowか否かを判断し、最Low変速比の場合はステップS20に進み、それ以外の場合はステップS18に進んでダウンシフトを継続する。
ステップS20では、ダウンシフトが完了したとしてアイドル回転数を所定回転数アップした状態から通常の回転数に戻し、本制御フローを終了する。
次に、上記EVモード及びHEVモード時における変速制御処理に基づく作用について説明する。図7は実施例1のEV回生状態から摩擦ブレーキに切り替わったときのダウンシフト作用を表すタイムチャートである。尚、前提条件として電動式オイルポンプEO/Pは作動状態であり、バリエータCVTの各プーリに油圧が供給されている。尚、CL_Targetは締結圧指令値であり、CL_OPは実締結圧である。また、VAL_REVはプライマリ回転数(エンジン回転数に相当)であり、PRI_TargetやSEC_Targetは油圧指令値であり、PRI_OPやSEC_OPは実油圧であり、VAL_RatioはバリエータCVTの実変速比である。
時刻t13において、車両が停止すると、クラッチが解放され、セカンダリ油圧も0に設定される。尚、この時点で最Low側変速比までダウンシフトが完了した例を示したが、仮にダウンシフトが完了していない場合であっても、ダウンシフトによって再発進時における発進性能を向上できる。
時刻t22において、車速が所定車速Vcを下回ると、クラッチに対して最大締結指令が出力されると共に、プライマリ油圧がゼロとされ、セカンダリ油圧が最大圧に設定される。これによりバリエータCVTがダウンシフトされる。
時刻t23において車両が停止すると、クラッチがOFFとされ、セカンダリ油圧も0に設定される。そして、時刻t24において、運転者がアクセルペダルを踏み込むと、クラッチがONとされ、最Low側変速比のまま車両が発進する。
(1)エンジン1と、エンジン1の出力軸に結合されたバリエータCVT(無段変速機4)と、バリエータCVTの出力軸に結合されたクラッチと、クラッチの出力軸に結合された駆動輪5と、駆動輪5に結合された電動モータ2と、運転状態に応じてエンジン1及び電動モータ2の出力と、クラッチの締結及び解放と、無段変速機4の変速比とを制御するハイブリッドコントローラ21(制御手段)と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、車両が停車直前か否かを判断するステップS5(停車判断手段)を備え、ハイブリッドコントローラ21は、クラッチを解放し、エンジン1を停止して、電動モータ2の駆動力により走行しているときに、車両が停車直前と判断されたときは、エンジン1を停止したままクラッチを締結してバリエータCVTをダウンシフトすることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
すなわち、電動モータ2の駆動力により走行しているときは、車両が停車直前でない場合はダウンシフトせず、車両が停車直前となったときにダウンシフトするため、停車状態からの発進性能と停車前の減速状態からの再加速性能とを両立させることができる。
停車直前の判定手段に車速を用いることで、既存の車速センサで判別することができ、追加のデバイスが不要となりコストアップを招くことなく機能を追加することができる。
よって、EVモードによる回生領域に影響を与えることが無く、回生効率の低下を招くことなくダウンシフトを実行できる。
よって、運転者がチェンジマインドによりアクセルペダルを踏み込んでHEVモードに遷移した場合であっても、走行状況にみあった変速比であるため、引きショックを招くことが無い。また、エンジン始動後に変速比をLow側に戻すといった動作手順が不要となり、良好な応答性を確保できる。
具体的には、クラッチに最大締結圧指令を出力することでバリエータCVTの回転速度を高めることで変速速度を速めると共に、プライマリ油圧をOFFとし、セカンダリ油圧をONすなわち最大圧に設定することで最大差推力を確保し、更に変速速度を上昇できる。
すなわち、停車時に変速比が最Lowに戻っていない場合において、再発進時になんらかの原因でモータ駆動力が出力できないとき、通常のエンジン車両と同様にエンジンの駆動力を無段変速機4によって増幅して発進する必要がある。しかし、変速比が最Lowとなっていない場合、通常のエンジン車両よりも駆動力が劣ってしまい、坂道などの必要駆動力が大きい状態では発進性が悪化し、また、発進に時間がかかってしまう。これに対し、エンジン1が作動していれば、クラッチを切り離すことでバリエータCVTの回転数を確保できるため、車両停止後もダウンシフトをさせることで、最Low側の変速比を達成することができ、発進性能を確保できる。
よって、エンジン回転数を上昇させることでバリエータCVTの回転数を上昇させることができ、変速速度を早くすることができる。また、オイルポンプO/Pの供給油量が増大するため、バリエータCVTへの圧力供給を増加させることができ、短時間で最Low側へ変速することができる。
副変速機などの変速段を選択可能な機構をプーリの出力側に持つ無段変速機4では、駆動輪側から回転を入力する際、ローブレーキL/Bを選択することでバリエータCVTへの入力回転が増速される。よって、ダウンシフトを素早く行うことができ、ダウンシフトを短時間で完了することができる。
以上、本願発明を各実施例に基づいて説明したが、上記構成に限られず、他の構成であっても本願発明に含まれる。実施例ではスタータモータ3によりエンジン再始動を行う構成を示したが、他の構成であっても構わない。具体的には、近年、アイドリングストップ機能付き車両であって、オルタネータをモータ・ジェネレータに置き換え、このモータ・ジェネレータにオルタネータ機能を加えてエンジン始動機能を付加することにより、アイドリングストップからのエンジン再始動時に、スタータモータではなく、このモータ・ジェネレータによりエンジン再始動を行う技術が実用化されている。本願発明も上記のようなモータ・ジェネレータによりエンジン再始動を行う構成としてもよい。
2 電動モータ(動力源)
3 スタータモータ
4 Vベルト式無段変速機
5 駆動輪
6 プライマリプーリ
7 セカンダリプーリ
8 Vベルト
CVT バリエータ(無段変速機構)
T/C トルクコンバータ
9,11 ファイナルギヤ組
12 バッテリ
13 インバータ
14 ブレーキディスク
15 キャリパ
16 ブレーキペダル
19 アクセルペダル
21 ハイブリッドコントローラ
22 エンジンコントローラ
23 モータコントローラ
24 変速機コントローラ
25 バッテリコントローラ
26 ブレーキスイッチ
27 アクセルペダル開度センサ
O/P オイルポンプ
31 副変速機
CL クラッチ
H/C ハイクラッチ
R/B リバースブレーキ
L/B ローブレーキ
32 車速センサ
Claims (8)
- エンジンと、
前記エンジンの出力軸に結合された無段変速機と、
前記無段変速機の出力軸に結合されたクラッチと、
前記クラッチの出力軸に結合された駆動輪と、
前記駆動輪に結合されたモータと、
運転状態に応じて前記エンジン及び前記モータの出力と、前記クラッチの締結及び解放と、前記無段変速機の変速比とを制御する制御手段と、
を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
車両が停車直前か否かを判断する停車判断手段を備え、
前記制御手段は、前記クラッチを解放し、前記エンジンを停止して、前記モータの駆動力により走行しているときに、車両が停車直前と判断されたときは、前記エンジンを停止したまま前記クラッチを締結して前記無段変速機をダウンシフトすることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記停車判断手段は、車速が所定車速以下となったときに車両が停車直前であると判断することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記所定車速は、前記モータによる回生制動から液圧ブレーキによる摩擦制動に切り替える車速であることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記所定車速は、アクセルペダルが最小のときに変速比が最Lowとなる車速の最高車速であることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1ないし4いずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記制御手段は、前記無段変速機の変速速度が最大となるように前記クラッチ及び前記無段変速機に制御指令を出力することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1ないし5いずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記制御手段は、所定の条件の成立により前記エンジンが作動しているときは、前記無段変速機の変速比が最Lowとなるまでダウンシフトさせ、停車時点でダウンシフトが最Lowまで到達していないときは、前記クラッチを解放してダウンシフトを継続することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項5に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記制御手段は、前記クラッチを解放してダウンシフトを継続するときは、前記エンジン回転数をアイドル回転数よりも高くすることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1ないし7いずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記クラッチは、遊星歯車と複数のクラッチとを有する副変速機のクラッチであり、
前記制御手段は、前記ダウンシフトのときに締結するクラッチとして、前記複数のクラッチのうち最低変速段のクラッチを選択することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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