JP2014180965A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】EVモードによる走行中に潤滑を確保可能なハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】エンジンに駆動され潤滑油を供給する機械式オイルポンプと、電動モータに駆動され潤滑油を供給する電動式オイルポンプとを備え、エンジンを停止して駆動用モータの駆動力により走行する電気走行モードにより走行しているときは、電動式オイルポンプを作動させる。
【選択図】図10

Description

本発明は、エンジンおよび電動モータを動力源として搭載し、電動モータのみにより走行する電気走行モード(EVモード)と、電動モータおよびエンジンにより走行するハイブリッド走行モード(HEVモード)とを選択可能なハイブリッド車両の制御装置に関する。
このようなハイブリッド車両として、例えば特許文献1に記載のようなものが知られている。このハイブリッド車両は、エンジンが無段変速機およびクラッチを順次介して駆動輪に切り離し可能に結合され、電動モータが駆動輪に常時結合されている。また、エンジンに駆動される機械式オイルポンプを備え、無段変速機やクラッチへ油を供給している。
このハイブリッド車両は、エンジンを停止すると共に上記のクラッチを解放することで電動モータのみによるEVモードでの電気走行(EV走行)が可能であり、エンジンを始動させると共に当該クラッチを締結することにより電動モータおよびエンジンによるHEVモードでのハイブリッド走行(HEV走行)が可能である。
なお、EV走行中にクラッチを解放することで、停止状態のエンジンや無段変速機が駆動輪から切り離されるため、EV走行中におけるエンジンや無段変速機のフリクションを低減することができ、その分のエネルギー損失を回避することでエネルギー効率を高めることができる。
特開2000−199442号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、EVモードによる走行中、クラッチを含むパワートレーン下流側の回転要素が回転しているにも関わらず、機械式オイルポンプが停止してしまうため、回転している回転要素への潤滑が不十分となるおそれがあった。
本発明は上記課題に着目し、EVモードによる走行中に潤滑を確保可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
この目的のため、本発明によるハイブリッド車両の制御装置は、エンジンに駆動され潤滑油を供給する機械式オイルポンプと、電動モータに駆動され潤滑油を供給する電動式オイルポンプとを備え、エンジンを停止して駆動用モータの駆動力により走行する電気走行モードにより走行しているときは、電動式オイルポンプを作動させることとした。
よって、電気走行モードで走行しているときに機械式オイルポンプが停止したとしても、電動式オイルポンプを作動させることで、電気走行モードで走行中に回転する回転要素に対して潤滑油を供給することが可能となり、十分な潤滑を確保できる。
実施例1のハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図である。 実施例1のハイブリッド車両において、 (a)は、当該ハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図であり、 (b)は、当該ハイブリッド車両の駆動系におけるVベルト式無段変速機に内蔵された副変速機内におけるクラッチの締結論理図である。 実施例1における無段変速機の拡大概略図である。 実施例1の変速機コントローラに格納される変速マップの一例である。 実施例1のハイブリッド車両の走行モードが設定されたモードマップである。 実施例1のバリエータにおける力の作用反作用を表す概略図である。 図6のバリエータにおける力の作用反作用の関係と、変速比維持に必要な油圧の関係とを表す特性図である。 実施例1のEVモードにおける変速比維持制御処理を表すフローチャートである。 比較例のハイブリッド車両においてEVモード時に油圧が発生しない場合におけるタイムチャートである。 実施例1のハイブリッド車両においてEVモード時に電動式オイルポンプEO/Pを作動させて油圧を発生させる場合におけるタイムチャートである。 実施例2のハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図である。 実施例3のハイブリッド車両の駆動系及びその全体制御システムを示す概略系統図である。 実施例4のハイブリッド車両の駆動系及びその全体制御システムを示す概略系統図である。
〔実施例1〕
図1は、実施例1のハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図である。図1のハイブリッド車両は、エンジン1および電動モータ2を動力源として搭載し、エンジン1は、スタータモータ3により始動する。エンジン1は、Vベルト式の無段変速機4を介して駆動輪5に適宜切り離し可能に駆動結合する。
無段変速機4のバリエータCVTは、プライマリプーリ6と、セカンダリプーリ7と、これらプーリ6,7間に掛け渡したVベルト8(無端可撓部材)とからなるVベルト式無段変速機構である。尚、Vベルト8は複数のエレメントを無端ベルトによって束ねる構成を採用したが、チェーン方式等であってもよく特に限定しない。プライマリプーリ6はトルクコンバータT/Cを介してエンジン1のクランクシャフトに結合し、セカンダリプーリ7はクラッチCLおよびファイナルギヤ組9を順次介して駆動輪5に結合する。尚、本実施例にあっては、動力伝達経路を断接する要素(クラッチやブレーキ等)を総称してクラッチと記載する。図1は、動力伝達経路を概念的に示すものであり、後述する副変速機31内に設けられたハイクラッチH/C,リバースブレーキR/B及びローブレーキL/Bを、総称してクラッチCLと記載している。クラッチCLが締結状態のとき、エンジン1からの動力はトルクコンバータT/Cを経てプライマリプーリ6へ入力され、その後Vベルト8、セカンダリプーリ7、クラッチCLおよびファイナルギヤ組9を順次経て駆動輪5に達し、ハイブリッド車両の走行に供される。
エンジン動力伝達中、プライマリプーリ6のプーリV溝幅を小さくしつつ、セカンダリプーリ7のプーリV溝幅を大きくすることで、Vベルト8とプライマリプーリ6との巻き掛け円弧径を大きくすると同時にセカンダリプーリ7との巻き掛け円弧径を小さくする。これにより、バリエータCVTはHigh側プーリ比(High側変速比)へのアップシフトを行う。High側変速比へのアップシフトを限界まで行った場合、変速比は最高変速比に設定される。
逆にプライマリプーリ6のプーリV溝幅を大きくしつつ、セカンダリプーリ7のプーリV溝幅を小さくすることで、Vベルト8とプライマリプーリ6との巻き掛け円弧径を小さくすると同時にセカンダリプーリ7との巻き掛け円弧径を大きくする。これにより、バリエータCVTはLow側プーリ比(Low側変速比)へのダウンシフトを行う。Low側変速比へのダウンシフトを限界まで行った場合、変速は最低変速比に設定される。
バリエータCVTは、プライマリプーリ6の回転数を検出するプライマリ回転数センサ6aと、セカンダリプーリ7の回転数を検出するセカンダリ回転数センサ7aとを有し、これら両回転数センサにより検出された回転数に基づいて実変速比を算出し、この実変速比が目標変速比となるように各プーリの油圧制御等が行われる。
電動モータ2はファイナルギヤ組11を介して駆動輪5に常時結合し、この電動モータ2は、バッテリ12の電力によりインバータ13を介して駆動される。
インバータ13は、バッテリ12の直流電力を交流電力に変換して電動モータ2へ供給すると共に、電動モータ2への供給電力を加減することにより、電動モータ2を駆動力制御および回転方向制御する。
なお電動モータ2は、上記のモータ駆動のほかに発電機としても機能し、後で詳述する回生制動の用にも供する。この回生制動時はインバータ13が、電動モータ2に回生制動力分の発電負荷をかけることにより、電動モータ2を発電機として作用させ、電動モータ2の発電電力をバッテリ12に蓄電する。
実施例1のハイブリッド車両は、クラッチCLを解放すると共にエンジン1を停止させた状態で電動モータ2を駆動することで、電動モータ2の動力のみがファイナルギヤ組11を経て駆動輪5に達し、電動モータ2のみによる電気走行モード(EVモード)で走行を行う。この間、クラッチCLを解放することで、停止状態のエンジン1及びバリエータCVTのフリクションを低減し、EV走行中の無駄な電力消費を抑制する。
上記のEV走行状態においてエンジン1をスタータモータ3により始動させると共にクラッチCLを締結させると、エンジン1からの動力がトルクコンバータT/C、プライマリプーリ6、Vベルト8、セカンダリプーリ7、クラッチCLおよびファイナルギヤ組9を順次経て駆動輪5に達するようになり、ハイブリッド車両はエンジン1および電動モータ2によるハイブリッド走行モード(HEVモード)で走行する。
ハイブリッド車両を上記の走行状態から停車させる、もしくは、この停車状態に保つに際しては、駆動輪5と共に回転するブレーキディスク14をキャリパ15により挟圧して制動することで目的を達する。キャリパ15は、運転者が踏み込むブレーキペダル16の踏力に応動する負圧式ブレーキブースタ17による倍力下で、ブレーキペダル踏力対応のブレーキ液圧を出力するマスタシリンダ18に接続されている。マスタシリンダ18により発生したブレーキ液圧によりキャリパ15を作動させてブレーキディスク14の制動を行う。ハイブリッド車両はEVモードおよびHEVモードのいずれにおいても、運転者がアクセルペダル19を踏み込んで指令する駆動力指令に応じたトルクで車輪5を駆動し、運転者の要求に応じた駆動力をもって走行する。
ハイブリッドコントローラ21は、ハイブリッド車両の走行モード選択と、エンジン1の出力制御と、電動モータ2の回転方向制御および出力制御と、バリエータCVTの変速制御と、副変速機31の変速制御及びクラッチCLの締結、解放制御と、バッテリ12の充放電制御とを実行する。このとき、ハイブリッドコントローラ21は、対応するエンジンコントローラ22、モータコントローラ23、変速機コントローラ24、およびバッテリコントローラ25を介してこれら制御を行う。
ハイブリッドコントローラ21には、ブレーキペダル16を踏み込む制動時にOFFからONに切り替わる常開スイッチであるブレーキスイッチ26からの信号と、アクセルペダル踏み込み量(アクセルペダル開度)APOを検出するアクセルペダル開度センサ27からの信号とが入力される。ハイブリッドコントローラ21は更に、エンジンコントローラ22、モータコントローラ23、変速機コントローラ24、およびバッテリコントローラ25との間で、内部情報のやり取りを行う。
エンジンコントローラ22は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答して、エンジン1を出力制御し、モータコントローラ23は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答してインバータ13を介し電動モータ2の回転方向制御および出力制御を行う。変速機コントローラ24は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答し、エンジン駆動される機械式オイルポンプO/P(もしくはポンプ用モータに駆動される電動式オイルポンプEO/P)からのオイルを媒体として、バリエータCVT(Vベルト式無段変速機構CVT)の変速制御および副変速機31の変速制御及びクラッチCLの締結、解放制御を行う。バッテリコントローラ25は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答し、バッテリ12の充放電制御を行う。
図2(a)は、実施例1のハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図であり、図2(b)は、実施例1のハイブリッド車両の駆動系における無段変速機4に内蔵された副変速機31内におけるクラッチCL(具体的には、H/C, R/B, L/B)の締結論理図である。図2(a)に示すように、副変速機31は、複合サンギヤ31s-1および31s-2と、インナピニオン31pinと、アウタピニオン31poutと、リングギヤ31rと、ピニオン31pin, 31poutを回転自在に支持したキャリア31cとからなるラビニョオ型プラネタリギヤセットで構成する。
複合サンギヤ31s-1および31s-2のうち、サンギヤ31s-1は入力回転メンバとして作用するようセカンダリプーリ7に結合し、サンギヤ31s-2はセカンダリプーリ7に対し同軸に配置するが自由に回転し得るようにする。
サンギヤ31s-1にインナピニオン31pinを噛合させ、このインナピニオン31pinおよびサンギヤ31s-2をそれぞれアウタピニオン31poutに噛合させる。
アウタピニオン31poutはリングギヤ31rの内周に噛合させ、キャリア31cを出力回転メンバとして作用するようファイナルギヤ組9に結合する。
キャリア31cとリングギヤ31rとをクラッチCLであるハイクラッチH/Cにより適宜結合可能となし、リングギヤ31rをクラッチCLであるリバースブレーキR/Bにより適宜固定可能となし、サンギヤ31s-2をクラッチCLであるローブレーキL/Bにより適宜固定可能となす。
副変速機31は、ハイクラッチH/C、リバースブレーキR/BおよびローブレーキL/Bを、図2(b)に○印により示す組み合わせで締結させ、それ以外を図2(b)に×印で示すように解放させることにより前進第1速、第2速、後退の変速段を選択することができる。ハイクラッチH/C、リバースブレーキR/BおよびローブレーキL/Bを全て解放すると、副変速機31は動力伝達を行わない中立状態であり、この状態でローブレーキL/Bを締結すると、副変速機31は前進第1速選択(減速)状態となり、ハイクラッチH/Cを締結すると、副変速機31は前進第2速選択(直結)状態となり、リバースブレーキR/Bを締結すると、副変速機31は後退選択(逆転)状態となる。
図2(a)の無段変速機4は、全てのクラッチCL(H/C, R/B, L/B)を解放して副変速機31を中立状態にすることで、バリエータCVT(セカンダリプーリ7)と駆動輪5との間を切り離すことができる。
図2(a)の無段変速機4は、エンジン駆動される機械式オイルポンプO/Pもしくはポンプ用モータに駆動される電動式オイルポンプEO/Pからのオイルを作動媒体として制御されるもので、変速機コントローラ24がライン圧ソレノイド35、ロックアップソレノイド36、セカンダリプーリ圧ソレノイド37-1,プライマリプーリ圧ソレノイド37-2、ローブレーキ圧ソレノイド38、ハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧ソレノイド39およびスイッチバルブ41を介し、バリエータCVTの当該制御を以下のように制御する。尚、変速機コントローラ24には、図1につき前述した信号に加えて、車速VSPを検出する車速センサ32からの信号、および車両加減速度Gを検出する加速度センサ33からの信号を入力する。
ライン圧ソレノイド35は、変速機コントローラ24からの指令に応動し、機械式オイルポンプO/Pからのオイルを車両要求駆動力対応のライン圧PLに調圧する。また、機械式オイルポンプO/Pとライン圧ソレノイド35との間には電動式オイルポンプEO/Pが接続されており、変速機コントローラ24からの指令に応動してポンプ吐出圧を供給する。
ロックアップソレノイド36は、変速機コントローラ24からのロックアップ指令に応動し、ライン圧PLを適宜トルクコンバータT/Cに向かわせることで、トルクコンバータT/Cを所要に応じて入出力要素間が直結されたロックアップ状態にする。
セカンダリプーリ圧ソレノイド37-1は、変速機コントローラ24からのクランプ力指令に応じてライン圧PLをセカンダリプーリ圧に調圧し、これをセカンダリプーリ7に供給することにより、セカンダリプーリ7がVベルト8をスリップしないよう挟圧する。
プライマリプーリ圧ソレノイド37-2は、変速機コントローラ24からのCVT変速比指令に応動してライン圧PLをプライマリプーリ圧に調圧し、これをプライマリプーリ6へ供給することにより、プライマリプーリ6のV溝幅と、セカンダリプーリ7のV溝幅とを、CVT変速比が変速機コントローラ24からの指令に一致するよう制御して変速機コントローラ24からのCVT変速比指令を実現する。
ローブレーキ圧ソレノイド38は、変速機コントローラ24が副変速機31の第1速選択指令を発しているとき、ライン圧PLをローブレーキ圧としてローブレーキL/Bに供給することによりこれを締結させ、第1速選択指令を実現する。
ハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧ソレノイド39は、変速機コントローラ24が副変速機31の第2速選択指令または後退選択指令を発しているとき、ライン圧PLをハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧としてスイッチバルブ41に供給する。
実施例1の電動式オイルポンプEO/Pの最大吐出能力は、機械式オイルポンプO/Pに比べて小さく設定されており、バリエータCVTを変速させる程度の吐出能力は有しておらず、変速比を維持する程度の吐出能力、もしくは潤滑油を供給する程度の吐出能力を確保することで、電動式オイルポンプEO/Pのモータ及びポンプの小型化を図っている。
第2速選択指令時はスイッチバルブ41が、ソレノイド39からのライン圧PLをハイクラッチ圧としてハイクラッチH/Cに向かわせ、これを締結することで副変速機31の第2速選択指令を実現する。
後退選択指令時はスイッチバルブ41が、ソレノイド39からのライン圧PLをリバースブレーキ圧としてリバースブレーキR/Bに向かわせ、これを締結することで副変速機31の後退選択指令を実現する。
〔EVモードにおける潤滑油供給について〕
ここで、EVモードにより電動モータ2が駆動力を出力する場合、もしくは回生制動力を発生する場合、副変速機31の全てのクラッチCLを解放し、エンジン1が停止されることから、機械式オイルポンプO/Pによる油圧が確保できず、電動モータ2により回転している回転要素が潤滑油不足となるおそれがある。そこで、EVモードにより走行する際には、電動式オイルポンプEO/Pを作動させ、電動モータ2による走行に伴って回転する副変速機31等の回転要素に対して潤滑油を供給する。言い換えると、パワートレーンにおいて、クラッチCLを含む駆動輪側の回転要素(被潤滑部に相当)に対して潤滑油を供給することで潤滑不足を解消する。
図3は実施例1における無段変速機の拡大概略図である。EVモードにより走行しているときには、電動式オイルポンプEO/Pを作動させ、潤滑油供給油路40に潤滑油を供給する。これにより、副変速機31に設けられた軸心潤滑油路40aを通って、径方向油路40bから遠心力により各クラッチCLや各ギヤに潤滑油を供給する。
実施例1の場合、複数のクラッチCLは湿式の多板プレート方式が採用されており、また、副変速機31はラビニョウ型プラネタリギヤセットと一体にパッキングされたクラッチパックとしてバリエータCVTの駆動輪側に組み付けられている。よって、単に変速機ケース内に貯留された油を掻き揚げて潤滑する構成では、遠心力によって掻き揚げられた潤滑油がはじかれてしまい、クラッチパック内部に対して潤滑油を供給することができない。そこで、上述したように軸心潤滑油路40aに潤滑油を供給し、軸心潤滑によってクラッチの相対回転部分やラビニョオ型プラネタリギヤセットのギヤやシャフト類を潤滑する。
〔変速制御処理について〕
次に変速制御処理について説明する。図4は実施例1の変速機コントローラ24に格納される変速マップの一例である。変速機コントローラ24は、この変速マップを参照しながら、車両の運転状態(実施例1では車速VSP、プライマリ回転速度Npri、アクセルペダル開度APO)に応じて、無段変速機4を制御する。この変速マップでは、無段変速機4の動作点が車速VSPとプライマリ回転速度Npriとにより定義される。無段変速機4の動作点と変速マップ左下隅の零点を結ぶ線の傾きが無段変速機4の変速比(バリエータCVTの変速比に副変速機31の変速比を掛けて得られる全体の変速比、以下、「スルー変速比」という。)に対応する。
この変速マップには、従来のベルト式無段変速機の変速マップと同様に、アクセルペダル開度APO毎に変速線が設定されており、無段変速機4の変速はアクセルペダル開度APOに応じて選択される変速線に従って行われる。なお、図4には簡単のため、全負荷線(アクセルペダル開度APO=8/8のときの変速線)、パーシャル線(アクセルペダル開度APO=4/8のときの変速線)、コースト線(アクセルペダル開度APO=0/8のときの変速線)のみが示されている。
無段変速機4が低速モードのときは、無段変速機4はバリエータCVTの変速比を最Low変速比にして得られる低速モード最Low線とバリエータCVTの変速比を最High変速比にして得られる低速モード最High線の間で変速することができる。このとき、無段変速機4の動作点はA領域とB領域内を移動する。一方、無段変速機4が高速モードのときは、無段変速機4はバリエータCVTの変速比を最Low変速比にして得られる高速モード最Low線とバリエータCVTの変速比を最High変速比にして得られる高速モード最High線の間で変速することができる。このとき、無段変速機4の動作点はB領域とC領域内を移動する。
副変速機31の各変速段の変速比は、低速モード最High線に対応する変速比(低速モード最High変速比)が高速モード最Low線に対応する変速比(高速モード最Low変速比)よりも小さくなるように設定される。これにより、低速モードでとりうる無段変速機4のスルー変速比の範囲(図中、「低速モードレシオ範囲」)と高速モードでとりうる無段変速機4のスルー変速比の範囲(図中、「高速モードレシオ範囲」)とが部分的に重複し、無段変速機4の動作点が高速モード最Low線と低速モード最High線で挟まれるB領域にあるときは、無段変速機4は低速モード、高速モードのいずれのモードも選択可能になっている。
また、この変速マップ上には副変速機31の変速を行うモード切換変速線が低速モード最High線上に重なるように設定されている。モード切換変速線に対応するスルー変速比(以下、「モード切換変速比mRatio」という。)は低速モード最High変速比と等しい値に設定される。モード切換変速線をこのように設定するのは、バリエータCVTの変速比が小さいほど副変速機31への入力トルクが小さくなり、副変速機31を変速させる際の変速ショックを抑えられるからである。
そして、無段変速機4の動作点がモード切換変速線を横切った場合、すなわち、スルー変速比の実際値がモード切換変速比mRatioを跨いで変化した場合は、変速機コントローラ24はバリエータCVTと副変速機31の両方で協調変速を行い、高速モード−低速モード間の切換えを行う。
〔モード切り替え制御について〕
図5は実施例1のハイブリッド車両の走行モードが設定されたモードマップである。図5のモードマップでは、縦軸の0より上はアクセルペダル開度に応じて設定され、0より下についてはブレーキスイッチ26のオン・オフ状態に応じて設定されている。アクセルペダル19が踏み込まれたEV力行領域にあっては、力行車速VSPXまでEVモードによる力行領域が設定されている。尚、この力行車速VSPXの詳細については後述する。また、アクセルペダル19がほとんど踏み込まれていない状態(例えば、1/8よりも十分に小さなアクセルペダル開度)を表す領域には、力行車速VSPXよりも更に高車速の所定車速VSP1までEVモードによる力行領域が設定されている。この所定車速VSP1以下の領域はアクセルペダル19が踏み込まれた状態ではほとんど選択されることはない。
一方、HEVモードによる走行中にアクセルペダル19を解放してコースティング(惰性)走行へ移行した場合や、HEVモードによる力行状態からブレーキペダル16を踏み込んで車両を制動する場合、電動モータ2による回生制動によって車両の運動エネルギーを電力に変換し、これをバッテリ12に蓄電しておくことでエネルギー効率の向上を図る(HEV回生状態)。
ところでHEV走行のままの回生制動(HEV回生)は、クラッチCLが締結状態であるため、エンジン1の逆駆動力(エンジンブレーキ)分および無段変速機4のフリクション分だけ回生制動エネルギーの低下を招くこととなり、エネルギー回生効率が悪い。
そのため、HEVモードによる走行中に回生制動が開始され、所定車速VSP1を下回ると、クラッチCLの解放によりエンジン1およびバリエータCVTを駆動輪5から切り離してEVモードによる走行へと移行する。これによりEV回生状態とし、エンジン1および無段変速機4によるフリクションを低減し、その分だけエネルギー回生量を稼げるようにする。
また、EVモードにより走行する際には、燃費の観点からコースティング走行中に実行されていたエンジン1への燃料噴射の中止(フューエルカット)がクラッチCLの解放時も継続されるよう、エンジン1への燃料噴射の再開(フューエルリカバー)を禁止することでエンジン1を停止させる。
〔EVモードにおける変速比維持について〕
次に、EVモードにおける変速比維持について説明する。例えば図5のモードマップ内に記載された矢印(a)に示すように、HEV回生領域からブレーキ操作によって減速し、EV回生領域に入ることでEV回生状態となると、クラッチCLを解放し、エンジン1を停止させる。その後、図5の矢印(b)に示すように、アクセルペダル19を踏み込むことで要求駆動力が所定以上となると、HEV力行領域に移行する。同様に、例えば図5の矢印(c)に示すように、アクセルペダル19が踏みこまれたHEV力行領域からブレーキ操作によってEV回生領域に入ることでEV回生状態となると、クラッチCLを解放し、エンジン1を停止させる。その後、図5の矢印(d)に示すように、アクセルペダル19を踏み込むことで要求駆動力が所定以上となると、HEV力行領域に移行する。このときは、エンジン1をスタータモータ3により再始動させると共に、クラッチCLを締結してEVモードからHEVモードへ切り替える。
このように、アクセルペダル19を頻繁に解放したり、再踏み込みする癖のある運転者が運転している場合や、主としてそのような運転を余儀なくされる走行環境下で車両を使用する場合、もしくはブレーキペダル16を踏み込んで減速している状態であって車両停止前にブレーキを放し、アクセルペダル19を踏み込むといった場合(以下、チェンジマインドと記載する。)には、必然的にEVモードからHEVモードへの切り替えが行われる。
ここで、EVモードによる走行時にバリエータCVTに油圧を供給しない場合の変速比の変化について説明する。図6は実施例1のバリエータにおける力の作用反作用を表す概略図である。実施例1のバリエータCVTは、セカンダリプーリ7のプーリ室内にセカンダリプーリ溝幅が狭くなる方向に押圧するセカンダリスプリングSEC_SPRが収装されている。
よって、プライマリプーリ6内の油圧やセカンダリプーリ7内の油圧が抜け落ちると、セカンダリスプリングSEC_SPRによってセカンダリ推力Fsecが発生し、セカンダリプーリ溝幅を狭くする力が作用する。これに伴ってVベルト8に張力fsが発生し(以下、セカンダリ張力と記載する。)、Vベルト8がセカンダリプーリ7側に引っ張られることでプライマリプーリ6の溝幅が広くなる力が作用する。
基本的に、クラッチCLは解放指令が出力されているものの、実際には油等の引き摺りが発生することで、各プーリに微小回転が生じており、この状態で図6に示すような力が作用すると、バリエータCVTの変速比はLow側に勝手に変速(以下、Low戻りと記載する。)してしまう。例え、各プーリが回転していない場合であっても、Vベルト8がプーリ溝内を径方向に移動する縦滑りによって、やはりバリエータCVTの変速比はLow側に変速する。
すなわち、EVモードで走行する際、バリエータCVTに何ら油圧を供給しない場合には、経過時間や油圧の抜け具合によって変速比が徐々にLow側に変速し、最終的には最Low変速比まで変速するLow戻りが生じる。このとき、エンジン1が停止し、かつ、クラッチCLが解放された状態では、バリエータCVTの回転も停止、もしくは極めて低い回転数であるため、プライマリ回転数やセカンダリ回転数を検知することができず、EVモードで走行中に実際の変速比を検出することはできない。
そうすると、チェンジマインドに伴ってEVモードからHEVモードへのモード切り替え要求が出力された場合、まず、エンジン1を始動してバリエータCVTを回転させ、変速比を検知し、変速制御を行ってからクラッチCLの締結を行う必要があり、モード切り替えに時間がかかるという問題がある。
また、例えば、HEVモードからEVモードに切り替える際に、事前に最Low変速比に変速させておくことで、予め変速比を認識しておき、検知過程を排除することも考えられる。しかしながら、この場合はEVモードに切り替える前にLow側に変速させる必要があり、素早くEVモードに切り替えることができず、燃費の向上を図りにくい。
また、最Low変速比に変速させ、かつ、チェンジマインドにより比較的高車速側でEVモードからHEVモードに切り替える場合、エンジン回転数を極めて高く上昇させなければ駆動輪側の回転数と同期を図ることができず、車速によってはエンジン回転数がオーバーレブ(機械的な回転数上限値)となり、クラッチCLにおける入力側回転数(セカンダリ回転数)が出力側回転数(駆動輪回転数)よりも低い状態しか得ることができない。この状態でクラッチCLを一気に締結すると、加速要求を出力しているにも関わらず引きショックを発生してしまい、運転者に違和感となる。この違和感を回避するには、エンジン1及び無段変速機4の両方を使って駆動輪側との回転同期を図った後でクラッチCLを締結する必要が有り、HEVモードへの切り替えに時間がかかってしまうため、運転者の加速要求に対して応答性が悪化するおそれがある。
仮に、EVモードの状態であっても、常時バリエータCVTの変速比を変速マップに応じて変速させておけば、どのタイミングでEVモードからHEVモードへの切り替えが起こったとしても、クラッチCLに相対回転が生じていないため、素早くモードを切り替えられる。しかし、非回転状態のバリエータCVTを強制的に変速させるには電動式オイルポンプEO/Pの出力として非常に大きな出力を要求することとなり、エネルギー消費量の増大に加えて大型化に伴う車両搭載性の悪化を招くおそれがある。また、ある程度バリエータCVTを回転させて変速比を維持する場合には、クラッチCLを締結(スリップ締結を含む)する必要があり、フリクション増大に伴う燃費の悪化を招く。
そこで、実施例1ではHEVモードによる減速中にEVモード(EV回生状態)に切り替える要求がなされたときは、その時点における無段変速機4の変速比を維持すると共に、EVモード中に回転する回転要素への潤滑を継続すべく電動式オイルポンプEO/Pを作動させることとした。
〔変速比維持方法について〕
ここで、HEVモードからEVモードへの切り替え時に変速比を維持する方法について説明する。図7は図6のバリエータにおける力の作用反作用の関係と、変速比維持に必要な油圧の関係とを表す特性図である。セカンダリスプリングSEC_SPRによってセカンダリ推力Fsecが発生すると、変速比に応じたセカンダリ張力fsが発生する。このとき、プライマリプーリ6に着目すると、プーリとVベルト8との摺動抵抗(以下、変速抵抗Frと記載する。)がVベルト8の移動を妨げる方向に常時作用する。
セカンダリスプリングSEC_SPRのセット荷重は、全ての変速比領域において摺動抵抗Frに打ち勝つ大きさに設定されている。このとき、プライマリプーリ6に所定の油圧を発生させて張力fpを発生させる。この張力fpの大きさは、プーリ間張力差(|fs-fp|)が変速抵抗Frよりも小さくなる値となるように所定の油圧を供給する。例えば、図7の太い実線に示すように、どの変速比領域においてもセカンダリスプリングSEC_SPRの取り得る張力範囲内となるような値を設定すると、プーリ間張力差は変速抵抗Frより小さく設定できるため、比較的低い所定油圧を供給するだけで変速比を維持することができる。
〔変速比維持制御処理〕
図8は実施例1のEVモードにおける変速比維持制御処理を表すフローチャートである。
ステップS1では、EVモード中で、かつ、電動式オイルポンプEO/Pが作動中か否かを判断し、EVモードではない(HEVモードである)、もしくは電動式オイルポンプEO/Pが非作動状態と判断した場合はステップS10に進み、それ以外の場合はステップS2に進む。
ステップS2では、EVモードを継続的に選択する要求が有るか否かを判断し、継続的にEVモードを選択する場合はステップS3に進み、それ以外の場合はステップS15に進む。
ステップS3では、電動式オイルポンプEO/Pの作動時間が、予め設定された連続作動許容時間(例えば3分)以上か否かを判断し、連続作動許容時間未満であればステップS31に進み、電動式オイルポンプEO/Pの作動時間が連続作動許容時間以上の場合はステップS15に進んで電動式オイルポンプEO/Pを非作動とする(電動式オイルポンプEO/Pが高温になっていると判断して電動式オイルポンプEO/Pの作動を禁止する)と共に、EVモードに代えてHEVモードを選択する。この場合、電動式オイルポンプEO/Pの代わりに機械式オイルポンプO/Pが作動することになる。そして、ステップS16に進み、変速マップに設定された変速線通りに変速比制御される。
ステップS31では、車両停車中か否かを判断し、車両停車中であれば、回転要素が回転することもなく、また再発進時のことを考えると、最Low変速比に設定されても何ら問題ないことからステップS13に進んでEVモードとしつつも電動式オイルポンプEO/Pを非作動とする。この場合、ステップS14において、変速比が非制御状態とされるため、セカンダリスプリングSEC_SPRによる推力やプライマリプーリ内油圧、セカンダリプーリ内油圧の関係によって定まるできなりの変速比(時間経過に応じてLow側に変化していく変速比)となる。一方、車両停車中ではなく、走行中であると判断した場合はステップS4に進んでEVモードを選択し、電動式オイルポンプEO/Pの作動を継続し、ステップS5において変速比を維持する。
ステップS10では、EVモードへの遷移要求があるか否かを判断し、HEVモードからEVモードへの遷移要求がある場合はステップS11に進み、それ以外の場合はステップS15に進んでHEVモードを選択する。この場合、機械式オイルポンプO/Pが作動しているため、電動式オイルポンプEO/Pは非作動とされる。そして、ステップS16に進み、変速マップに設定された変速線通りに変速比制御される。
ステップS11では、電動式オイルポンプEO/Pが過去に連続作動許容時間以上、連続作動した結果、停止しているのではなく、単にHEVモードによって停止している状態か否かを判断し、HEVモードによって停止している状態と判断した場合にはステップS4に進み、EVモードを選択して電動式オイルポンプEO/Pの作動を継続する。これに併せて、セカンダリプーリ圧ソレノイド37-1を閉じると共にプライマリプーリ圧ソレノイド37-2の開度を制御して、電動式オイルポンプEO/Pからの油圧がセカンダリプーリ7内に供給されることなくプライマリプーリ6内にのみ供給されるようにし、EVモード中の変速比をHEVモードからEVモードに切り替えるときの変速比に維持すると共に、潤滑油が潤滑油供給油路40内に供給され、クラッチパック内部や各回転要素の軸受け類の潤滑を行う(ステップS5)。
ステップS12では、電動式オイルポンプEO/Pが連続作動許容時間以上作動したことによって停止した後、電動式オイルポンプEO/Pの冷却に必要な所定時間(例えば1分)が経過したか否かを判断し、経過していると判断した場合には電動式オイルポンプEO/Pの作動が可能なことから、ステップS4に進んでEVモードを選択し、電動式オイルポンプEO/Pを作動する。一方、必要な所定時間が経過していないと判断した場合には、電動オイルポンプEO/Pの作動ができないことから、ステップS15へ進み、EVモードへの遷移要求があったとしてもHEVモードを選択しつつ電動式オイルポンプEO/Pを非作動状態とし、ステップS16において、通常通り変速比が制御状態とされる。これにより、EVモードからHEVモードに切り替えられることがなくなり、機械式オイルポンプO/Pによって常に油圧は確保されるため、引きショック等を発生することがない。
〔変速比維持制御処理による作用〕
上記フローチャートに基づく作用について説明する。
(比較例に基づく作用)
比較例として電動式オイルポンプEO/Pを常時非作動の場合、もしくは電動式オイルポンプEO/Pを備えていないユニットの場合に、HEVモードからEVモードに遷移した後、チェンジマインドによりHEVモードに遷移した場合の問題について説明する。図9は比較例のハイブリッド車両においてEVモード時に油圧が発生しない場合におけるタイムチャートである。最初の走行状態は、アクセルペダル19を解放し、ブレーキペダル16を踏み込んだHEVモードにおける減速状態である。
時刻t1において、車速VSPがモードマップにおいてEV回生領域が設定された車速まで低下するため、HEV回生状態からEV回生状態に切り替えられる。これにより、クラッチCLは解放され、エンジン1は停止し、それに伴って機械式オイルポンプO/Pの油圧も0となる。よって、バリエータCVTの変速比は、セカンダリスプリングSEC_SPRのクランプ力によって最Low変速比に向けて徐々に変化していく(Low戻り)。このとき、機械式オイルポンプO/Pが作動しないため、潤滑油不足となるおそれがあるため、好ましい状態とは言えない。
時刻t2において、運転者がチェンジマインドにより減速状態からアクセルペダル19の踏み込みを開始し、加速要求を行う。そして、時刻t3において、アクセルペダル開度APOがモードマップにおいてHEV力行が設定された領域まで大きくなると、EVモード(EV回生状態)からHEVモード(HEV力行状態)に切り替えられる。
このとき、クラッチCLの出力側回転数(車速に応じた値)が比較的高い状態にある一方で、バリエータCVTの変速比は最Low変速比まで変化している。よって、エンジン始動後であって、かつ、クラッチCLを締結する直前において、プライマリ回転数がバリエータCVTにより減速され、セカンダリ回転数がプライマリ回転数に対して低い回転数になるため、セカンダリ回転数が出力側回転数よりも低い回転数となってしまう。この状態でクラッチCLを締結すると、セカンダリ回転数が出力側回転数に連れまわって上昇し、これに伴ってプライマリ回転数(エンジン回転数)がオーバーレブ状態となり、運転者に違和感を与えるおそれがある。また、セカンダリ回転数がクラッチCLの出力側回転数より低い状態から完全締結状態に移行するため、駆動輪には引きショックが発生する。すなわち、運転者はアクセルペダル19を踏み込んで加速要求をしているのに、エンジン回転数が過剰に吹け上がり、更に引きショックが生じるため、非常に大きな違和感となる。
(実施例1に基づく作用)
次に、実施例1について説明する。図10は実施例1のハイブリッド車両においてEVモード時に電動式オイルポンプEO/Pを作動させて油圧を発生させる場合におけるタイムチャートである。最初の走行状態は、アクセルペダル19を解放し、ブレーキペダル16を踏み込んだHEVモードにおける減速状態である。
時刻t11において、車速VSPがモードマップにおいてEV回生が設定された領域まで低下するため、HEV回生状態からEV回生状態に切り替えられる。これにより、クラッチCLは解放され、エンジン1は停止し、それに伴って機械式オイルポンプO/Pの油圧も0となる。このとき、電動式オイルポンプEO/Pを作動させるため、ある程度の油圧が確保され、プライマリプーリ6に所定の油圧を発生させて、バリエータCVTの変速比をHEVモードからEVモードに切り替えたときの変速比に維持する。このとき、電動式オイルポンプEO/Pが作動するため、潤滑油供給油路40に潤滑油の供給が継続され、クラッチパックや回転要素の軸受け等に潤滑油が十分に供給される。
時刻t21において、運転者がチェンジマインドにより減速状態からアクセルペダル19の踏み込みを開始し、加速要求を行う。そして、時刻t31において、アクセルペダル開度APOがモードマップにおいてHEV力行が設定された領域まで大きくなると、EV回生状態からHEV力行状態に切り替えられる。
このとき、クラッチCLの出力側回転数(車速に応じた値)が比較的高い状態にある一方で、バリエータCVTの変速比はHEVモードからEVモードに切り替えたときの変速比に維持されている。HEVモードからEVモードに切り替えたときの変速比は、基本的にコースト走行状態で切り替わっているため、図4に示す変速マップに示すように、コースト線に沿った変速比が設定されている。よって、図5の矢印(a)における車速においてHEVモードからEVモードに切り替えられる場合は、バリエータCVTの変速比が最High変速比か1よりもHigh側の変速比の状態で切り替えられる。
また、図5の矢印(c)における車速においてHEVモードからEVモードに切り替えられる場合、HEVモードによる走行中にアクセルペダル19を踏みこんでいると、モード切り替え直前の変速比が最Low変速比付近にある場合を想定し得る。ここで、EVモードへの切り替えに伴ってクラッチCLを解放するに当たり、「ブレーキペダル16踏み込み時間が所定時間以上(例えば2秒以上)経過していること」を解放条件としている。よって、アクセルペダル19が解放されることで図4の高速モード最High線が選択され、変速比を最Low変速比付近から最High変速比に向けてアップシフトする際、クラッチ解放条件によって変速時間が確保されることになり、変速比は最High変速比もしくは最High変速比付近(少なくとも1よりHigh側の変速比)に変速され、この変速比が維持される。
よって、エンジン再始動時において、エンジン完爆に伴ってエンジン回転数が一旦吹け上がると、この回転数がバリエータCVTにより増速され、セカンダリ回転数を上昇させるため、セカンダリ回転数は出力側回転数より高い状態となる。この状態から完全締結状態に移行するため、駆動輪5に引きショックが発生することがない。すなわち、運転者はアクセルペダル19を踏み込んで加速要求をすると、エンジン回転数が過剰に吹け上がることなく引きショックを回避し、HEVモードに切り替えられる。
また、図4に示すように、極低車速になると、最High変速比のままではエンジン1がアイドリング回転数を下回ってしまいエンジンストールを招くため、コースト線は、車速低下に伴って最Low変速比に向けてダウンシフトするように設定されている。このように極低車速領域において、一旦大きくアクセルペダル19を踏み込んだHEVモードから、車速が上昇する前に突然ブレーキペダル16を踏み込んでEVモードへの切り替えが行われる場面では、維持される変速比はバリエータCVTの変速比が1よりもLow側となるおそれがある。しかしながら、このような特殊な場合には、次回にクラッチCLを完全締結する前に、一旦バリエータCVTをHigh側にアップシフトすることで引きショックを抑制すればよく、特に問題はない。
尚、図4の変速マップに示すように、アクセルペダル19を解放した状態で設定される目標変速比は、基本的に高速モード最High線に沿った最High変速比である。しかし、上述したように、仮にHEVモード時に最Low変速比が設定されていたとすると、EVモードへの切り替え時にクラッチ解放条件に設定された所定時間(例えば2秒)だけ最High変速比に向けて変速を行ったとしても、最High変速比まで変速できない場合がある。このときに最低限達成される変速比を、所定変速比と定義する。
今、HEVモードからEVモードに切り替えられ、バリエータCVTが所定変速比に維持されている状態を想定する。この状態で、運転者がアクセルペダル19を緩やかに踏み込み、EVモードのEV力行状態のまま車速が上昇し、図5のモードマップに示す力行車速VSPXに到達すると、EVモードからHEVモードへのモード切り替え要求が出力される。このとき、エンジン再始動によりエンジン完爆に伴ってエンジン回転数が一旦吹け上がると、この回転数は、所定変速比によりセカンダリ回転数を上昇させる。このとき、力行車速VSPXは、上昇したセカンダリ回転数がクラッチCLの出力側回転数以上の回転数となる車速域に設定されている。つまり、EV力行領域が設定された力行車速VSPXは、バリエータCVTが維持し得るいずれの変速比であっても、HEVモードに切り替える際、エンジン回転数が過剰に吹け上がることなく引きショックを回避してHEVモードに切り替えることができる車速に設定されている。
以上説明したように、実施例1にあっては下記に列挙する作用効果が得られる。
(1−1)エンジン1と、エンジン1の出力軸に結合されたクラッチCLと、クラッチCLの出力軸に結合された駆動輪5と、駆動輪5に結合された電動モータ2(駆動用モータ)と、エンジン1に駆動され被潤滑部に潤滑油を供給する機械式オイルポンプO/Pと、ポンプ用モータ(電動モータ)に駆動され被潤滑部に潤滑油を供給する電動式オイルポンプEO/Pと、運転状態に応じて、エンジン1及び電動モータ2の出力状態と、クラッチCLの締結・解放と、電動式オイルポンプEO/Pの作動状態とを制御するハイブリッドコントローラ24(制御手段:以下、コントローラと記載する。)と、を備え、コントローラは、エンジン1を停止して電動モータ2の駆動力により走行するEVモード(電気走行モード)により走行しているときは、電動式オイルポンプEO/Pを作動させることとした。
よって、EVモード中に機械式オイルポンプO/Pが停止したとしても、電動式オイルポンプEO/Pによって潤滑油の供給を行うことができ、EVモードによる走行中に回転する回転要素の潤滑が不足するといった事態を解消できる。また、電動式オイルポンプEO/Pはポンプ用モータにより駆動されるため、油圧を要求した場合のみ吐出できる。すなわち、HEVモードによって機械式オイルポンプO/Pによる油圧が確保されているときには、非作動とすることで、負荷となることがなく、燃費の悪化を回避できる。
(2−2)電動式オイルポンプEO/Pは、クラッチCLよりも駆動輪側の回転要素に潤滑油を供給する。
よって、EVモードにおいてエンジン1やバリエータCVTの回転が停止しても、電動モータ2の駆動により継続して回転する回転要素に対して十分な潤滑油を供給できる。
(3−3)電動式オイルポンプEO/Pは、クラッチCLを収装するクラッチパックの軸心部に設けられた軸心潤滑油路40aに潤滑油を供給する。
よって、掻き揚げ潤滑では遠心力ではじかれてしまい、潤滑できないクラッチパック内部の回転要素に対しても、軸心潤滑を行うことで遠心力により確実に潤滑油を供給できる。
(4−4)クラッチCLは、ラビニョウ型プラネタリギヤセット(遊星歯車)と複数のハイクラッチH/C,リバースブレーキR/B,ローブレーキL/Bとを有する副変速機31内のクラッチCLである。
よって、各クラッチCLやギヤ等に対して十分な潤滑油を供給できる。
(5−7)コントローラは、EVモードで停車しているときは、電動式オイルポンプEO/Pを停止させる。
すなわち、車両停車中であれば、回転要素が回転することもなく、また再発進時のことを考えると、最Low変速比に設定されても何ら問題ない。よって、EVモードとしつつも電動式オイルポンプEO/Pを非作動とし、できなりの変速比(時間経過に応じてLow側に変化していく変速比)とすることで、電動式オイルポンプEO/Pの作動時間を抑制することによる耐久性の向上を図りつつ、無駄なエネルギー消費を抑制できる。
(6−8)エンジン1と変速用摩擦要素との間に、二つのプーリと該プーリに架け渡されたベルトにより変速比を無段階に変更可能なバリエータCVT(無段変速機)を有し、コントローラは、EVモードにより走行しているときは、変速用摩擦要素を解放し、電動式オイルポンプEO/Pによりプライマリプーリ6に油圧を供給することで、エンジン1と電動モータ2とを併用して走行するHEVモード(ハイブリッド走行モード)からEVモードに切り替えたときのバリエータCVTの変速比を維持する。
よって、HEVモードからEVモードに素早く切り替えることができ、燃費の改善を図ることができる。また、EVモードからHEVモードに切り替える際にも、変速比が最Low側に変速していないため、過度のエンジン回転数上昇を招くことがなく、運転者に与える違和感を抑制できる。また、クラッチCLの入力側回転数が出力側回転数よりも高い状態を維持できるため、クラッチCLの締結による引きショック等を回避しつつ素早いモード切り替えを達成できる。また、必要な油圧を最小限に抑えることができ、安価で小型な電動式オイルポンプEO/Pを採用できる。尚、「HEVモードからEVモードに切り替えたとき」とは、HEVモードからEVモードへの切り替え指令タイミングとクラッチCLの解放タイミングとが同じ場合は切り替え指令タイミングでよい。切り替え指令タイミングより後にクラッチCLが解放される場合には、どちらかのタイミングの変速比を維持することとすればよい。例えば、切り替え指令タイミングからある程度変速比をHigh側に変速したい場合には、クラッチ解放タイミングにおける変速比を維持することが好ましい場合がある。
〔実施例2〕
次に、実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図11は実施例2のハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図である。実施例1では、バリエータCVTと駆動輪との間に副変速機31を有し、EVモードでは、副変速機31内のクラッチCLを解放することとした。
これに対し、実施例2では、トルクコンバータT/CとバリエータCVTとの間に、前進クラッチ及びリバースクラッチといった二つのクラッチCLを備えた前後進切り替え機構310を備えたものである。前進クラッチ及びリバースクラッチには必要な締結圧がそれぞれ供給可能に構成され、また、これらクラッチパック内部の軸心潤滑を行う軸心潤滑油路40aを備え、EVモードのときには電動式オイルポンプEO/Pを駆動することで潤滑油を常時供給可能としている。
更に、実施例2の場合、EVモードで走行する際にクラッチCLを解放したとしても、電動モータ2によってバリエータCVTが駆動輪5と共に回転するため、両プーリ6,7とVベルト8との間に摩擦が生じる。よって、プーリ6,7とVベルト8との間に潤滑油を噴射可能なスプレーバー401を設け、EVモードのときには電動式オイルポンプEO/Pを駆動することで潤滑油を常時供給可能としている。
尚、実施例2では実施例1と同様、電動式オイルポンプEO/Pの吐出能力として、EVモード時に必要な潤滑油を供給可能な程度の能力を有する小型オイルポンプを設けたが、EVモードにあってもバリエータCVTの変速比を変更可能な吐出能力を有する大型のオイルポンプを備えてもよい。この場合、実施例2では、EVモードにあってもバリエータCVTが常時回転していることから、走行状態に応じて変速マップにより設定された目標変速比となるようにバリエータCVTの変速比制御を継続することができる。よって、EVモードからHEVモードに切り替わる際にも、常にクラッチCLにおける同期が図られることとなり、安定した素早いモード切り替えを達成できる。
以上説明したように、実施例2にあっては下記の作用効果が得られる。
(7−5)前進クラッチもしくはリバースクラッチといったクラッチCLと駆動輪5との間に、二つのプーリと該プーリに架け渡されたベルトにより変速比を無段階に変更可能なバリエータCVT(無段変速機)を有し、電動式オイルポンプEO/Pは、湿式多板プレートを収装するクラッチパックの軸心部に設けられた軸心潤滑油路40aと、バリエータCVTのベルト内側に設けられたスプレーバー401(潤滑油噴射部)とに潤滑油を供給する。
よって、EVモード中に機械式オイルポンプO/Pが停止したとしても、電動式オイルポンプEO/Pによって潤滑油の供給を行うことができ、EVモードによる走行中に回転する回転要素の潤滑が不足するといった事態を解消できる。
〔実施例3〕
次に、実施例3について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図12は実施例3のハイブリッド車両の駆動系及びその全体制御システムを示す概略系統図である。
実施例1では、トルクコンバータT/C,バリエータCVT及び副変速機31を備えていた。これに対し、実施例3では、トルクコンバータT/Cに代えて乾式の発進クラッチ500を備え、発進クラッチ500と駆動輪5との間に、平行な2軸上に配置された複数の常時噛み合歯車組を有し、この常時噛み合い歯車組の中からシフトアクチュエータにより所望の変速段に対応する歯車組を選択することで変速する自動マニュアルトランスミッション600を有する。発進クラッチ500及びシフトフォークはそれぞれ油圧作動するアクチュエータであり、また、自動マニュアルトランスミッション600の歯車組には、変速機潤滑機構402が設けられている。変速機潤滑機構402は、駆動輪5の回転に伴って回転する歯車組の噛み合いや軸受け部分に潤滑油を供給する。
EVモードにおいて、電動式オイルポンプEO/Pが作動されると、発進クラッチ500よりも駆動輪側の回転要素である自動マニュアルトランスミッション600に対して変速機潤滑機構402から潤滑油が供給される。
以上説明したように、実施例3にあては下記の作用効果が得られる。
(8−6)発進クラッチ500と駆動輪5との間に、平行な2軸上に配置された複数の常時噛み合歯車組の中からシフトアクチュエータにより所望の変速段に対応する歯車組を選択することで変速する自動マニュアルトランスミッション600を有し、電動式オイルポンプEO/Pは、発進クラッチ500よりも駆動輪側の回転要素と、自動マニュアルトランスミッション600とに潤滑油を供給する。
よって、EVモード中に機械式オイルポンプO/Pが停止したとしても、電動式オイルポンプEO/Pによって潤滑油の供給を行うことができ、EVモードによる走行中に回転する回転要素の潤滑が不足するといった事態を解消できる。尚、実施例3では発進クラッチとして乾式クラッチを採用した例を示したが、湿式多板クラッチを採用してもよい。この場合には、湿式多板クラッチに対して確実に潤滑できるよう、軸心潤滑を行うことが望ましい。
〔実施例4〕
次に、実施例4について説明する。基本的な構成は実施例3と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図13は実施例4のハイブリッド車両の駆動系及びその全体制御システムを示す概略系統図である。実施例3では、1つの発進クラッチ500と1つの自動マニュアルトランスミッション600によって構成された駆動系を示した。これに対し、実施例4では、偶数段クラッチ501及び奇数段クラッチ502からなる二つの発進クラッチCLと、偶数変速段を担う自動マニュアルトランスミッション601及び奇数変速段を担う自動マニュアルトランスミッション602とを備えたものである。そして、二つの自動マニュアルトランスミッション601,602に対して潤滑油を供給可能な変速機潤滑機構403を備えたものである。作用効果は実施例3と同じであるため説明は省略する。尚、実施例3でも説明したように、偶数段クラッチ501,奇数段502として乾式クラッチを採用したが、湿式多板クラッチを採用してもよい。この場合には、湿式多板クラッチに対して確実に潤滑できるよう、軸心潤滑を行うことが望ましい。
〔実施例5〕
次に、実施例5について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。実施例1では、EVモードに切り替えられた時は、バリエータCVTの変速比を維持すると共に、潤滑油の供給を行うものであるため、比較的吐出能力の小さな電動式オイルポンプEO/Pを搭載した。これに対し、実施例5では、バリエータCVTの変速が可能な吐出能力を有する大型の電動式オイルポンプEO/Pを搭載した点が異なる。
この場合、HEVモードからEVモードに切り替えられると、クラッチCLを完全解放せず、ある程度の締結容量を確保してバリエータCVTの回転状態を確保する。そして、図4に示す変速マップに基づいて走行状態に応じた目標変速比を算出し、バリエータCVTの変速比を目標変速比となるように制御する。すなわち、EVモードにあっても、HEVモードと同じようにバリエータCVTを変速比制御することで、クラッチCLを常に同期させることが可能となり、EVモードからHEVモードに切り替える際、締結ショックを招くことなく即座にクラッチCLを締結できる。
以上説明したように、実施例5にあっては下記の作用効果が得られる。
(9−9)エンジン1とクラッチCLとの間に、二つのプーリと該プーリに架け渡されたベルトにより変速比を無段階に変更可能なバリエータCVTを有し、コントローラは、EVモードにより走行しているときは、クラッチCLをスリップ締結させて、電動式オイルポンプEO/Pによりプーリに油圧を供給することでバリエータCVTの変速比を運転状態に応じて制御する。
よって、EVモードからHEVモードへの切り替えにあたり、エンジン再始動直後に、クラッチCLをスリップ締結状態から完全締結状態に切り替える際、クラッチCLの相対回転を小さくすることができ、締結完了までの時間を短縮できる。
また、クラッチCLの入出力回転を同期させることで、締結ショックを抑制することができ、良好な運転性を実現できる。
(他の実施例)
以上、本願発明を各実施例に基づいて説明したが、上記構成に限られず、他の構成であっても本願発明に含まれる。
実施例ではスタータモータ3によりエンジン再始動を行う構成を示したが、他の構成であっても構わない。具体的には、近年、アイドリングストップ機能付き車両であって、オルタネータをモータ・ジェネレータに置き換え、このモータ・ジェネレータにオルタネータ機能を加えてエンジン始動機能を付加することにより、アイドリングストップからのエンジン再始動時に、スタータモータではなく、このモータ・ジェネレータによりエンジン再始動を行う技術が実用化されている。本願発明も上記のようなモータ・ジェネレータによりエンジン再始動を行う構成としてもよい。
また、実施例では、モードマップ内での判断に関し、縦軸の負の領域についてブレーキスイッチ26のONもしくはOFFに基づいて判断したが、これに限定されるものではなく、ブレーキペダル16のストロークセンサの出力値に基づいて判断する、もしくはマスタシリンダ圧等を検出するブレーキ液圧センサの出力値に基づいて判断するようにしてもよい。
更にまた、実施例では、セカンダリ圧ソレノイド37-1を設けた例を示したが、このセカンダリ圧ソレノイド37-1を設けず、ライン圧ソレノイド35によって調圧されたライン圧PLをセカンダリプーリ7へ直接供給するようにしてもよい。
この場合、図8のステップS5にて変速比を維持する際、プライマリプーリ6内に油圧を供給することに伴いセカンダリプーリ7内にも油圧が供給されることになるが、一般的にセカンダリプーリの受圧面積<プライマリプーリの受圧面積として設定されるため、電動式オイルポンプEO/Pの吐出圧が極端に大きくない限り、図7に示した張力の関係は成立し(張力の大小関係が変わることはない)、プライマリプーリ6内にのみ油圧を供給する場合と同様に変速比を維持することができる。
1 エンジン(動力源)
2 電動モータ(動力源)
3 スタータモータ
4 Vベルト式無段変速機
5 駆動輪
6 プライマリプーリ
7 セカンダリプーリ
8 Vベルト
CVT バリエータ(無段変速機構)
T/C トルクコンバータ
CL 締結要素
9,11 ファイナルギヤ組
12 バッテリ
13 インバータ
14 ブレーキディスク
15 キャリパ
16 ブレーキペダル
17 負圧式ブレーキブースタ
18 マスタシリンダ
19 アクセルペダル
21 ハイブリッドコントローラ
22 エンジンコントローラ
23 モータコントローラ
24 変速機コントローラ
25 バッテリコントローラ
26 ブレーキスイッチ
27 アクセル開度センサ
O/P オイルポンプ
31 副変速機
H/C ハイクラッチ
R/B リバースブレーキ
L/B ローブレーキ
32 車速センサ

Claims (9)

  1. エンジンと、
    前記エンジンの出力軸に結合されたクラッチと、
    前記クラッチの出力軸に結合された駆動輪と、
    前記駆動輪に結合された駆動用モータと、
    前記エンジンに駆動され被潤滑部に潤滑油を供給する機械式オイルポンプと、
    電動モータに駆動され被潤滑部に潤滑油を供給する電動式オイルポンプと、
    運転状態に応じて、前記エンジン及び前記駆動用モータの出力状態と、前記クラッチの締結・解放と、前記電動式オイルポンプの作動状態とを制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記エンジンを停止して前記駆動用モータの駆動力により走行する電気走行モードにより走行しているときは、前記電動式オイルポンプを作動させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記電動式オイルポンプは、前記クラッチよりも駆動輪側の回転要素に潤滑油を供給することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  3. 請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記電動式オイルポンプは、前記クラッチの湿式の多板プレートを収装するクラッチパックの軸心部に設けられた軸心潤滑油路に潤滑油を供給することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  4. 請求項3に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記クラッチは、遊星歯車と複数のクラッチとを有する副変速機内のクラッチであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  5. 請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記クラッチと前記駆動輪との間に、二つのプーリと該プーリに架け渡されたベルトにより変速比を無段階に変更可能な無段変速機を有し、
    前記電動式オイルポンプは、前記クラッチを収装するクラッチパックの軸心部に設けられた軸心潤滑油路と、前記無段変速機のベルト内側に設けられた潤滑油噴射部とに潤滑油を供給することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  6. 請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記クラッチと前記駆動輪との間に、平行な2軸上に配置された複数の常時噛み合歯車組の中からシフトアクチュエータにより所望の変速段に対応する歯車組を選択することで変速する自動マニュアルトランスミッションを有し、
    前記電動式オイルポンプは、前記クラッチよりも駆動輪側の回転要素と、前記自動マニュアルトランスミッションとに潤滑油を供給することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  7. 請求項1ないし6いずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記制御手段は、前記電気走行モードで停車しているときは、前記電動式オイルポンプを停止させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  8. 請求項1ないし7いずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記エンジンと前記クラッチとの間に、二つのプーリと該プーリに架け渡されたベルトにより変速比を無段階に変更可能な無段変速機を有し、
    前記制御手段は、前記電気自動車モードにより走行しているときは、前記クラッチを解放し、前記電動式オイルポンプにより前記プーリに油圧を供給することで、前記エンジンと前記駆動用モータとを併用して走行するハイブリッド走行モードから前記電気走行モードに切り替えたときの前記無段変速機の変速比を維持することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  9. 請求項1ないし7いずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記エンジンと前記クラッチとの間に、二つのプーリと該プーリに架け渡されたベルトにより変速比を無段階に変更可能な無段変速機を有し、
    前記制御手段は、前記電気走行モードにより走行しているときは、前記クラッチをスリップ締結させて、前記電動式オイルポンプにより前記プーリに油圧を供給することで前記無段変速機の変速比を運転状態に応じて制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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