JP6269073B2 - ハイブリッド車両 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、専用の潤滑手段を別途設けることなく、電動機の減速機構を潤滑できるハイブリッド車両を提供することにある。
[全体構成]
図1は、実施例1のハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図である。図1のハイブリッド車両は、エンジン1および電動モータ(電動機)2を動力源として搭載され、エンジン1は、スタータモータ3により始動する。エンジン1は、Vベルト式の無段変速機(変速機)4を介して駆動輪5に適宜切り離し可能に駆動結合する。
インバータ13は、バッテリ12の直流電力を交流電力に変換して電動モータ2へ供給すると共に、電動モータ2への供給電力を加減することにより、電動モータ2を駆動力制御および回転方向制御する。
なお電動モータ2は、上記のモータ駆動のほかに発電機としても機能し、回生制動の用にも供する。この回生制動時はインバータ13が、電動モータ2に回生制動力分の発電負荷をかけることにより、電動モータ2を発電機として作用させ、電動モータ2の発電電力をバッテリ12に蓄電する。
図2(a)は、実施例1のハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図であり、図2(b)は、実施例1のハイブリッド車両の駆動系における無段変速機4に内蔵された副変速機31内におけるクラッチCL(具体的には、H/C, R/B, L/B)の締結論理図である。図2(a)に示すように、副変速機31は、複合サンギヤ31s-1および31s-2と、インナピニオン31pinと、アウタピニオン31poutと、リングギヤ31rと、ピニオン31pin, 31poutを回転自在に支持したキャリア31cとからなるラビニョオ型プラネタリギヤセットで構成する。
サンギヤ31s-1にインナピニオン31pinを噛合させ、このインナピニオン31pinおよびサンギヤ31s-2をそれぞれアウタピニオン31poutに噛合させる。
アウタピニオン31poutはリングギヤ31rの内周に噛合させ、キャリア31cを出力回転メンバとして作用するよう変速機用ギヤ列9に結合する。
キャリア31cとリングギヤ31rとをクラッチCLであるハイクラッチH/Cにより適宜結合可能となし、リングギヤ31rをクラッチCLであるリバースブレーキR/Bにより適宜固定可能となし、サンギヤ31s-2をクラッチCLであるローブレーキL/Bにより適宜固定可能となす。
図2(a)の無段変速機4は、全てのクラッチCL(H/C, R/B, L/B)を解放して副変速機31を中立状態にすることで、バリエータCVT(セカンダリプーリ7)と駆動輪5との間を切り離すことができる。
ロックアップソレノイド36は、変速機コントローラ24からのロックアップ指令に応動し、ライン圧PLを適宜トルクコンバータT/Cに向かわせることで、トルクコンバータT/Cを所要に応じて入出力要素間が直結されたロックアップ状態にする。
セカンダリプーリ圧ソレノイド37-2は、変速機コントローラ24からのクランプ力指令に応じてライン圧PLをセカンダリプーリ圧に調圧し、これをセカンダリプーリ7に供給することにより、セカンダリプーリ7がVベルト8をスリップしないよう挟圧する。
ハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧ソレノイド39は、変速機コントローラ24が副変速機31の第2速選択指令または後退選択指令を発しているとき、ライン圧PLをハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧としてスイッチバルブ41に供給する。
第2速選択指令時はスイッチバルブ41が、リバースブレーキ圧ソレノイド39からのライン圧PLをハイクラッチ圧としてハイクラッチH/Cに向かわせ、これを締結することで副変速機31の第2速選択指令を実現する。
後退選択指令時はスイッチバルブ41が、リバースブレーキ圧ソレノイド39からのライン圧PLをリバースブレーキ圧としてリバースブレーキR/Bに向かわせ、これを締結することで副変速機31の後退選択指令を実現する。
図3は、実施例1の無段変速機4のケース内下部を車両後方側から見た模式図である。
無段変速機4の外周を覆う変速機ケース(変速機のケース)50の内部には、デファレンシャル51と電動モータ2の減速機構11とが収容されている。
デファレンシャル51は、変速機ケース50の最下端部に配置されている。デファレンシャル51は、リングギヤ52と、リングギヤ52と一体に設けられリングギヤ52と一体回転するデフケース53と、デフケース53の内部に設けられ、ピニオンシャフト、ピニオンギヤおよび左右サイドギヤで形成される差動機構部(不図示)とを有する。左右サイドギヤは、左右ドライブシャフト54a,54bと結合されている。デフケース53には、周囲4カ所に約90度間隔で内外に通じるデフ窓53aが設けられている。変速機ケース50内の最下部に貯留されるCVTフルード(トランスミッションオイル)Lの油面OLは、リングギヤ52およびデフケース53の下側半分が浸かる高さに設定されている。
リングギヤ52の回転中心Oを原点として車両前後方向をx軸(車両前方側が正方向)、車両上下方向をz軸(車両上方側が正方向)とする平面座標を規定する。この平面座標上において、電動機用ギヤ列56を構成する2個のギヤ56a,56bは、いずれも第2象限(x<0,z>0)内、すなわち、デファレンシャル51の回転中心Oよりも後方かつ上方に配置されている。さらに、電動機用ギヤ列56は、図4の平面座標上において、デフケース外周上の最大減速時のCVTフルードLの油面OLとの接点における接線の方向(矢印Bの方向)に配置されている。デフケース53の外周から飛散するCVTフルードLの主飛散方向は、CVTフルードLの油面OLに対して直交する方向となるため、電動機用ギヤ列56は、最大減速時におけるCVTフルードLの主飛散方向、すなわち、最大減速時に最もCVTフルードLが供給される位置に配置されている。なお、車両の最大限速度はタイヤの諸元やブレーキ装置の性能で決まり、最大減速時における油面OLの傾きおよび矢印Bの方向はあらかじめ実験等により確認できるため、電動機用ギヤ列56を矢印Bの方向に配置することは容易である。
[減速機構潤滑作用]
従来のハイブリッド車両では、電動モータの減速機構を変速機ケース外側に配置しているため、減速機構潤滑用の潤滑手段を別途設ける必要があり、部品点数増や重量増が課題であった。これに対し、実施例1では、デファレンシャル51を変速機ケース50内に配置し、電動モータ2の減速機構11を変速機ケース50内でデファレンシャル51の径方向位置に配置した。これにより、デファレンシャル51(リングギヤ52およびデフケース53)から飛散するCVTフルードLによって、電動モータ2の減速機構11を潤滑できる。よって、専用の潤滑手段を別途設けることなく、電動モータ2の減速機構11を潤滑できる。
実施例1では、電動機用ギヤ列56を、デファレンシャル51のリングギヤ52に対してデフケース53側の径方向位置であって、デフケース53のリングギヤ52と反対側の端面53bからリングギヤ52のデフケース側端面52aまでの軸方向範囲H内に設けた。すなわち、デファレンシャル51から飛散するCVTフルードLの軸方向範囲H内に電動機用ギヤ列56を配置することで、デファレンシャル51から飛散するCVTフルードLを効率良く電動機用ギヤ列56に供給することができ、電動機用ギヤ列56の潤滑性能を向上させることができる。
(1) エンジン1と、エンジン1の出力軸に結合された無段変速機4と、無段変速機4の出力軸にデファレンシャル51を介して結合された駆動輪5と、駆動輪5に減速機構11を介して結合された電動モータ2と、を備えたハイブリッド車両において、デファレンシャル51を、変速機ケース50内に配置し、減速機構11を、変速機ケース50内でデファレンシャル51の径方向位置に配置した。
よって、専用の潤滑手段を別途設けることなく、電動モータ2の減速機構11を潤滑できる。
よって、デフケース53から飛散するCVTフルードLを効率良く電動機用ギヤ列56に供給することができ、電動機用ギヤ列56の潤滑性能を向上させることができる。
よって、デフケース53から飛散するCVTフルードLを効率良く電動機用ギヤ列56に供給することができ、電動機用ギヤ列56の潤滑性能をさらに向上させることができる。
よって、電動機用ギヤ列56の潤滑が最も必要となる最大減速時において、電動機用ギヤ列56に対し最大のCVTフルードLを供給できるため、CVTフルードLの飛散による電動機用ギヤ列56の潤滑性能をさらに向上させることができる。
以上、本願発明を実施例に基づいて説明したが、上記構成に限られず、他の構成であっても本願発明に含まれる。
例えば、電動機用ギヤ列はデフケースと軸方向にオーバーラップしていればよい。
また、変速機のケース内に貯留される油の油面は、少なくともデフケースの一部が浸かる高さであればよい。
電動機用ギヤ列を3個以上のギヤから構成してもよい。
減速機構と駆動輪との結合は任意である。
2 電動モータ(電動機)
4 無段変速機(変速機)
5 駆動輪
11 減速機構
50 変速機ケース(変速機のケース)
51 デファレンシャル
52 リングギヤ
52a デフケース側端面
53 デフケース
53a デフ窓
53b リングギヤと反対側の端面
55 電動機用最終減速ギヤ
56 電動機用ギヤ列
56a 第1ギヤ
56b 第2ギヤ
Claims (4)
- エンジンと、
前記エンジンの出力軸に結合された変速機と、
前記変速機の出力軸に、リングギヤを有するデファレンシャルを介して結合された駆動輪と、
前記駆動輪に減速機構を介して結合された電動機と、
を備えたハイブリッド車両において、
前記デファレンシャルを、前記変速機のケース内に配置し、
前記減速機構を、前記ケース内で、前記リングギヤに対してデフケース側の径方向位置であって、前記デフケースのリングギヤと反対側の端面からリングギヤのデフケース側端面までの範囲と軸方向にオーバーラップするように設けた
ことを特徴とするハイブリッド車両。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両において、
前記減速機構は、前記デファレンシャルのリングギヤと噛み合う電動機用最終減速ギヤと、互いに噛み合った複数のギヤを有するギヤ列であり、前記ギヤ列の一端が前記電動機用最終減速ギヤと結合すると共に他端が前記電動機と結合する電動機用ギヤ列と、
を備える、
ことを特徴とするハイブリッド車両。 - 請求項2に記載のハイブリッド車両において、
前記デファレンシャルの回転中心を原点とし、車両の前後方向と上下方向を座標軸とする平面座標を規定したとき、
前記電動機用ギヤ列を、前後方向が負となり、上下方向が正となる第2象限内に配置したことを特徴とするハイブリッド車両。 - 請求項3に記載のハイブリッド車両において、
前記電動機用ギヤ列を、前記平面座標上において、デフケース外周上の最大減速時のトランスミッションオイルの油面との接点における接線の方向に配置したことを特徴とするハイブリッド車両。
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