JP6435530B2 - ハイブリッド車両 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、電動機用最終減速ギヤの潤滑性を向上できるハイブリッド車両を提供することにある。
[全体構成]
図1は、実施例1のハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図である。図1のハイブリッド車両は、エンジン1および電動モータ(電動機)2を動力源として搭載され、エンジン1は、スタータモータ3により始動する。エンジン1は、Vベルト式の無段変速機(変速機)4を介して駆動輪5に適宜切り離し可能に駆動結合する。
インバータ13は、バッテリ12の直流電力を交流電力に変換して電動モータ2へ供給すると共に、電動モータ2への供給電力を加減することにより、電動モータ2を駆動力制御および回転方向制御する。
なお電動モータ2は、上記のモータ駆動のほかに発電機としても機能し、回生制動の用にも供する。この回生制動時はインバータ13が、電動モータ2に回生制動力分の発電負荷をかけることにより、電動モータ2を発電機として作用させ、電動モータ2の発電電力をバッテリ12に蓄電する。
図2(a)は、実施例1のハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図であり、図2(b)は、実施例1のハイブリッド車両の駆動系における無段変速機4に内蔵された副変速機31内におけるクラッチCL(具体的には、H/C, R/B, L/B)の締結論理図である。図2(a)に示すように、副変速機31は、複合サンギヤ31s-1および31s-2と、インナピニオン31pinと、アウタピニオン31poutと、リングギヤ31rと、ピニオン31pin, 31poutを回転自在に支持したキャリア31cとからなるラビニョオ型プラネタリギヤセットで構成する。
サンギヤ31s-1にインナピニオン31pinを噛合させ、このインナピニオン31pinおよびサンギヤ31s-2をそれぞれアウタピニオン31poutに噛合させる。
アウタピニオン31poutはリングギヤ31rの内周に噛合させ、キャリア31cを出力回転メンバとして作用するよう変速機用最終減速ギヤ9に結合する。
キャリア31cとリングギヤ31rとをクラッチCLであるハイクラッチH/Cにより適宜結合可能となし、リングギヤ31rをクラッチCLであるリバースブレーキR/Bにより適宜固定可能となし、サンギヤ31s-2をクラッチCLであるローブレーキL/Bにより適宜固定可能となす。
図2(a)の無段変速機4は、全てのクラッチCL(H/C, R/B, L/B)を解放して副変速機31を中立状態にすることで、バリエータCVT(セカンダリプーリ7)と駆動輪5との間を切り離すことができる。
ロックアップソレノイド36は、変速機コントローラ24からのロックアップ指令に応動し、ライン圧PLを適宜トルクコンバータT/Cに向かわせることで、トルクコンバータT/Cを所要に応じて入出力要素間が直結されたロックアップ状態にする。
セカンダリプーリ圧ソレノイド37-2は、変速機コントローラ24からのクランプ力指令に応じてライン圧PLをセカンダリプーリ圧に調圧し、これをセカンダリプーリ7に供給することにより、セカンダリプーリ7がVベルト8をスリップしないよう挟圧する。
ハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧ソレノイド39は、変速機コントローラ24が副変速機31の第2速選択指令または後退選択指令を発しているとき、ライン圧PLをハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧としてスイッチバルブ41に供給する。
第2速選択指令時はスイッチバルブ41が、リバースブレーキ圧ソレノイド39からのライン圧PLをハイクラッチ圧としてハイクラッチH/Cに向かわせ、これを締結することで副変速機31の第2速選択指令を実現する。
後退選択指令時はスイッチバルブ41が、リバースブレーキ圧ソレノイド39からのライン圧PLをリバースブレーキ圧としてリバースブレーキR/Bに向かわせ、これを締結することで副変速機31の後退選択指令を実現する。
図3は、実施例1の変速機ケース50の下部を車両側方(車両後方から向かって右側)から見た模式図である。図3では、各ギヤの噛み合いピッチ円を図示している。
無段変速機4の外周を覆う変速機ケース50の下部には、デファレンシャル51と電動モータ2の減速機構11と副変速機31(図2参照)と変速機用最終減速ギヤ9とが収容されている。
デファレンシャル51は、変速機ケース50の最下部に配置されている。デファレンシャル51は、リングギヤ52と、リングギヤ52の軸方向一方側にリングギヤ52と一体に設けられたデフケース53と、デフケース53の内部に設けられ、ピニオンシャフト、ピニオンギヤおよび左右サイドギヤで形成される差動機構部(不図示)とを有する。左右サイドギヤは、左右のドライブシャフト54と結合されている。変速機ケース50内の最下部に貯留されるCVTフルード(以下、潤滑油)Lの油面OLは、リングギヤ52の回転中心O1と同じ高さに設定されている。すなわち、油面OLは、リングギヤ52およびデフケース53の下側半分が浸かる高さに設定されている。
なお、図3において、各ギヤの外側に記載された矢印は、車両前進時の回転方向を示すものである。すなわち、車両前進時には、リングギヤ52と第2ギヤ56bは図3の右回り(時計回り)に回転し、電動機用最終減速ギヤ55とピニオン2bと変速機用最終減速ギヤ9は左回り(反時計回り)に回転する。
[電動機用最終減速ギヤの潤滑性向上作用]
従来、無段変速機とクラッチを介して結合された最終減速ギヤをデファレンシャルのリングギヤと噛み合わせると共に、最終減速ギヤに電動機を結合することで、最終減速ギヤに変速機用の最終減速ギヤ機能と電動機用の最終減速ギヤ機能とを持たせたハイブリッド車両が知られている。
ところが、上記従来技術は、実際の車両適用まで十分に考慮したものではないため、実際に車両適用する場合には、最終減速ギヤの設け方について検討の余地を残している。すなわち、実際に車両適用する際、レイアウト性、組み立て性または製造コスト等の様々な要求から、最終減速ギヤを変速機と電動機とで共通化するのではなく、それぞれ専用の最終減速ギヤを個別に設けることが必要となる場合がある。例えば、最終減速ギヤを個別に設けることで、既存のエンジン車の構造に対して電動機側の構成のみの追加で済むため、製造コストの観点から有利となる場合がある。
一方、電動機用ギヤ列56に散布された後、こぼれた(下方へ落下した)潤滑油の一部は、噛み合い点Aに巻き込まれ、噛み合い接線方向へと噴出して変速機用最終減速ギヤ9に供給される。すなわち、電動機用ギヤ列56からこぼれた潤滑油を変速機用最終減速ギヤ9に供給して変速機用最終減速ギヤ9の潤滑に再利用できるため、リングギヤ52によって掻き上げられた潤滑油の利用効率をさらに向上できる。
(1) エンジン1と、エンジン1の出力軸に結合された無段変速機4と、無段変速機4の出力軸に結合されたクラッチCLと、クラッチCLの出力軸に結合された変速機用最終減速ギヤ9と、電動モータ2と、電動モータ2のモータ出力軸2aに結合された電動機用最終減速ギヤ55と、変速機用最終減速ギヤ9と電動機用最終減速ギヤ55との両方に噛み合うリングギヤ52を有するデファレンシャル51と、デファレンシャル51と結合された駆動輪5と、を備え、車両前進時のリングギヤ52の回転方向において、デファレンシャル51が収容された変速機ケース50内に貯留されている潤滑油内を通過したリングギヤ52の歯が変速機用最終減速ギヤ9の歯よりも先に電動機用最終減速ギヤ55の歯と噛み合うように、リングギヤ52に対し、変速機用最終減速ギヤ9と電動機用最終減速ギヤ55とを配置した。
よって、リングギヤ52によって上方に掻き上げられた潤滑油が直接電動機用最終減速ギヤ55に飛散し、軸心潤滑油路を持たない電動機用最終減速ギヤ55および電動機用ギヤ列56に多くの潤滑油を供給できるため、電動機用最終減速ギヤ55の潤滑性を向上できる。
よって、噛み合い点Aを油面OL(z=0)に近づけることで、リングギヤ52が掻き上げた潤滑油を電動機用最終減速ギヤ55により多く散布することができる。
よって、リングギヤ52によって掻き上げられた潤滑油の利用効率および変速機用最終減速ギヤ9の潤滑性を共に向上できる。
以上、本願発明を実施例に基づいて説明したが、上記構成に限られず、他の構成であっても本願発明に含まれる。
例えば、変速機のケース内に貯留される潤滑油の油面は、少なくともリングギヤの一部が浸かる高さであれば良い。
2 電動モータ(電動機)
2a モータ出力軸
4 無段変速機
5 駆動輪
9 変速機用最終減速ギヤ
11 減速機構
50 変速機ケース(ケース)
51 デファレンシャル
52 リングギヤ
55 電動機用最終減速ギヤ
56 電動機用ギヤ列
58 軸心潤滑油路
CL クラッチ
L CVTフルード(潤滑油)
OL 油面
Claims (3)
- エンジンと、
前記エンジンの出力軸に結合された変速機と、
前記変速機の出力軸に結合されたクラッチと、
前記クラッチの出力軸に結合された変速機用最終減速ギヤと、
電動機と、
前記電動機の出力軸に結合された電動機用最終減速ギヤと、
前記変速機用最終減速ギヤと前記電動機用最終減速ギヤとの両方に噛み合うリングギヤを有するデファレンシャルと、
前記デファレンシャルと結合された駆動輪と、
を備え、
車両前進時の前記リングギヤの回転方向において、前記デファレンシャルが収容されたケース内に貯留されている潤滑油内を通過した前記リングギヤの歯が前記変速機用最終減速ギヤの歯よりも先に前記電動機用最終減速ギヤの歯と噛み合うように、前記リングギヤに対し、前記変速機用最終減速ギヤと前記電動機用最終減速ギヤとを配置し、
前記電動機用最終減速ギヤは、その回転軸の内部に潤滑油路を持たず、
前記変速機用最終減速ギヤは、その回転軸の内部に潤滑油路を持ち、前記変速機用最終減速ギヤには、前記潤滑油路を介して潤滑油が供給されることを特徴とするハイブリッド車両。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両において、
前記デファレンシャルの回転中心を原点とし、車両の前後方向と上下方向を座標軸とする平面座標を規定したとき、
前記リングギヤと前記電動機用最終減速ギヤとの噛み合い点を、前後方向が負となり、上下方向が正となる第2象限内に配置したことを特徴とするハイブリッド車両。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド車両において、
前記変速機用最終減速ギヤを、前記電動機用最終減速ギヤと前記リングギヤとの噛み合い接線の延長線上に配置したことを特徴とするハイブリッド車両。
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