JP6364630B2 - ハイブリッド車両の変速制御装置 - Google Patents
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Description
このハイブリッド車両は、一方の動力源であるエンジンが無段変速機およびクラッチを順次介して車輪に切り離し可能に駆動結合され、他方の動力源である電動モータが当該車輪に常時結合された型式のものである。
ところで、EVモードからHEVモードへのEV→HEVモード切り替えは運転状態の変化や、車両状態の変化や、走行環境の変化によって生起されるものであり、当該EV→HEVモード切り替え時には、これらの状況変化に呼応してエンジン駆動系における変速機も変速比を変化させる変速制御が必要である。
動力源としてエンジンのほかに電動モータを具え、
前記エンジンにより駆動される機動ポンプからの作動媒体で断接制御される低速段選択用締結要素および高速段選択用締結要素の選択的締結により低速段選択状態または高速段選択状態となる変速機を介して前記エンジンおよび変速機より成るエンジン駆動系が車輪に切り離し可能に駆動結合され、
該駆動結合を解いてエンジン駆動系および車輪間を切り離すと共に前記エンジンを停止させることで前記電動モータのみにより前記車輪を駆動する電気走行モードの選択が可能であるほか、前記エンジンを始動させると共に前記エンジン駆動系および車輪間を駆動結合することで前記電動モータおよびエンジンにより前記車輪を駆動するハイブリッド走行モードが選択可能な車両である。
前記エンジンを停止させている電気走行モードで電力駆動される電動ポンプを設け、
電気走行モードで該電動ポンプからの作動媒体を前記高速段選択用締結要素の締結作動室内に充満させるプリチャージにより該高速段選択用締結要素を作動媒体予充填状態となすよう構成し、
前記電気走行モードで前記低速段選択用締結要素の締結による低速段の選択が指令される低速段選択指令時に、前記プリチャージにより作動媒体予充填状態にされていた前記高速段選択用締結要素の締結作動室内を圧力低下させるよう構成したことを特徴とするものである。
電気走行モードで電力駆動される電動ポンプを設け、この電気走行モードで当該電動ポンプからの作動媒体を高速段選択用締結要素の締結作動室内に充満させるプリチャージにより該高速段選択用締結要素を作動媒体予充填状態となすよう構成すると共に、前記電気走行モードで前記低速段選択用締結要素の締結による低速段の選択が指令される低速段選択指令時に、前記プリチャージにより作動媒体予充填状態にされていた前記高速段選択用締結要素の締結作動室内を圧力低下させるよう構成したため、
電気走行モードからハイブリッド走行モードへの切り替え時に、エンジン駆動系の変速機を、機動ポンプからの作動媒体による高速段選択用締結要素の締結で高速段選択状態となす場合も、また機動ポンプからの作動媒体による低速段選択用締結要素の締結で低速段選択状態となす場合も、これら高速段選択用締結要素および低速段選択用締結要素のロスストロークが小さくて、これら締結要素の締結作動を速やかに完遂させることができるとともに、高速段選択用締結要素がプリチャージ状態のまま、低速段選択用締結要素の締結進行が行われることがない。
<第1実施例の構成>
図1は、本発明の第1実施例になる変速制御装置を具えたハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図である。
エンジン1は、Vベルト式無段変速機4を介して駆動車輪5に適宜切り離し可能に駆動結合し、Vベルト式無段変速機4は、概略を以下に説明するようなものとする。
プライマリプーリ6はトルクコンバータT/Cを介してエンジン1のクランクシャフトに結合し、セカンダリプーリ7は副変速機31およびファイナルギヤ組9を順次介して駆動車輪5に結合する。
逆にプライマリプーリ6のプーリV溝幅を大きくしつつ、セカンダリプーリ7のプーリV溝幅を小さくすることで、Vベルト8がプライマリプーリ6との巻き掛け円弧径を小さくされると同時にセカンダリプーリ7との巻き掛け円弧径を大きくされ、Vベルト式無段変速機4はロー側プーリ比へのダウンシフトを行う。
インバータ13は、バッテリ12の直流電力を交流電力に変換して電動モータ2へ供給すると共に電動モータ2への供給電力を加減して、電動モータ2を駆動力制御および回転方向制御する。
この回生制動時はインバータ13が、電動モータ2に回生制動力分の発電負荷をかけてこれを発電機として作用させ、電動モータ2の発電電力をバッテリ12に蓄電する。
この間、副変速機31を中立状態にしていることで、停止状態のエンジン1と無段変速機構CVTとを連れ回すことがなく、EV走行中の電力消費を抑制することができる。
キャリパ15は、運転者が踏み込むブレーキペダル16の踏力に応動して負圧式ブレーキブースタ17による倍力下でブレーキペダル踏力対応のブレーキ液圧を出力するマスターシリンダ18に接続し、このブレーキ液圧でキャリパ15を作動させてブレーキディスク14の制動を行う。
なお上記のブレーキ液圧は、アンチスキッド制御時に、制動力が過大にならないよう、適宜に減圧される。
ハイブリッドコントローラ21は更に、エンジンコントローラ22、モータコントローラ23、変速機コントローラ24、およびバッテリコントローラ25との間で、内部情報のやり取りを行って、本発明が狙いとする後述の変速制御に資する。
モータコントローラ23は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答してインバータ13を介し電動モータ2の出力制御を行う。
バッテリコントローラ25は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答し、バッテリ12の充放電制御を行う。
副変速機31は図2(a)に示すように、複合サンギヤ31s-1および31s-2と、インナピニオン31pinと、アウタピニオン31poutと、リングギヤ31rと、ピニオン31pin, 31poutを回転自在に支持したキャリア31cとからなるラビニョオ型プラネタリギヤセットで構成する。
複合サンギヤ31s-1および31s-2のうち、サンギヤ31s-1は入力回転メンバとして作用するようセカンダリプーリ7に結合し、サンギヤ31s-2はセカンダリプーリ7に対し同軸に配置するが自由に回転し得るように配置する。
アウタピニオン31poutはリングギヤ31rの内周に噛合させ、キャリア31cを出力回転メンバとして作用するようファイナルギヤ組9に結合する。
この状態でローブレーキL/Bを締結すると、副変速機31は前進第1速(低速段)選択状態となり、
ハイクラッチH/Cを締結すると、副変速機31は前進第2速(高速段)選択状態となり、
リバースブレーキR/Bを締結すると、副変速機31は後退変速段選択(減速逆回転出力)状態となる。
つまり、変速摩擦要素H/C, R/B, L/Bのいずれか1つを選択的に締結することにより、Vベルト式無段変速機構CVT(セカンダリプーリ7)と駆動車輪5との間を切り離し可能に結合することができる。
第2速選択指令時はスイッチバルブ41が、ソレノイド39からのライン圧PLをハイクラッチ圧としてハイクラッチH/Cに向かわせ、これを締結することで副変速機31の第2速選択指令を実現する。
後退選択指令時はスイッチバルブ41が、ソレノイド39からのライン圧PLをリバースブレーキ圧としてリバースブレーキR/Bに向かわせ、これを締結することで副変速機31の後退選択指令を実現する。
上記ハイブリッド車両において、EV→HEVモード切り替え時に発生するエンジン駆動系の副変速機31に係る変速制御を以下に説明する。
HEVモードでの走行中であれば副変速機31の変速制御は、エンジン1が運転状態であってオイルポンプ(機動ポンプ)O/Pから作動油が吐出されているため、この作動油を用いて当該副変速機31の変速制御を行うことができる。
ところで、EVモードからHEVモードへのEV→HEVモード切り替えは運転状態の変化や、車両状態の変化や、走行環境の変化によって生起されるものであり、当該EV→HEVモード切り替え時には、これらの状況変化に呼応してエンジン駆動系の副変速機31も変速比を変化させる変速制御が必要である。
そして、副変速機31の変速制御が実際に開始されるのはエンジン始動後であるため、その間は副変速機31の大きな変速応答遅れを生じて、この変速応答遅れにより駆動力不足の問題や、エンジン1の空吹けに関した問題を生ずる。
更に、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室に係るシール構造を、該ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室からの作動油漏洩量が最少となるよう構成する。
図4の制御プログラムは、エンジン1が停止されているEVモード選択状態で実行されるもので、先ずステップS11において、エンジン始動要求(つまりEV→HEVモード切り替え要求)が有るか否かを判定する。
ステップS13で副変速機31の目標変速段が第1速(低速段)であると判定する場合、制御をステップS14に進めて、第1速(低速段)の選択時に解放すべきハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結作動室内を、ステップS12によるプリチャージ状態から圧力低下させる。
次のステップS15においては、第1速(低速段)の選択時に締結すべきローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室内を、当初は電動ポンプE/Pからの作動油により、エンジン始動後はオイルポンプ(機動ポンプ)O/Pからの作動油により圧力上昇させて、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bを締結制御する。
一方で、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/BはEVモードで作動油圧Pbを0にされているが、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室に係るシール構造を、該ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室からの作動油漏洩量が最少となるよう構成しているため、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室は略作動油充満状態に保たれている。
その後の瞬時t2にスタータモータ3によるエンジン1のクランキングでエンジン始動を開始すると共に、第1速(低速段)で締結すべきローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室内を、当初は電動ポンプE/Pからの作動油により圧力上昇させて、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bをロスストローク後に締結進行させ、エンジン始動完了瞬時t4以降はオイルポンプ(機動ポンプ)O/Pからの作動油によりローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室内を、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bを締結容量制御下に更に圧力上昇させる。(ステップS15)
この更なる圧力上昇により、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bが締結を完了する瞬時t4に(ステップS17)、電動ポンプE/Pを停止させる。
一方で、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/BはEVモードで作動油圧Pbを0にされているが、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室に係るシール構造を、該ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室からの作動油漏洩量が最少となるよう構成しているため、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室は略作動油充満状態に保たれている。
その後の瞬時t2にスタータモータ3によるエンジン1のクランキングでエンジン始動を開始すると共に、第1速(低速段)で締結すべきローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室内を、当初は電動ポンプE/Pからの作動油により圧力上昇させて、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bをロスストローク後に締結進行させ、エンジン始動完了瞬時t4以降はオイルポンプ(機動ポンプ)O/Pからの作動油によりローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室内を、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bを締結容量制御下に更に圧力上昇させる。(ステップS15)
この更なる圧力上昇により、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bが締結を完了する瞬時t4に(ステップS17)、電動ポンプE/Pを停止させる。
一方で、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/BはEVモードで作動油圧Pbを0にされているが、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室に係るシール構造を、該ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室からの作動油漏洩量が最少となるよう構成しているため、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室は略作動油充満状態に保たれている。
この更なる圧力上昇により、ハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cが締結を完了する瞬時t4に(ステップS17)、電動ポンプE/Pを停止させる。
以上により、EV→HEVモード切り替え時における副変速機31の変速が完了し、副変速機31はEV→HEVモード切り替え時の運転状態や、車両状態や、走行環境に応じた目標変速段である第1速(低速段)または第2速(高速段)に投入された状態となる。
本実施例によれば、EVモード選択状態である間に(ステップS11)、電動ポンプE/Pからの作動油をハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結作動室内に充満させるプリチャージにより該ハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cを作動油予充填状態となすため(ステップS12)、
ステップS16によるハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結進行が作動油予充填状態から開始されることとなり、当該ステップS16によるハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結進行を遅滞なく開始させ得る。
よって、副変速機31の第2速(高速段)への変速応答遅れを確実に緩和、または解消することができ、この変速応答遅れに起因したエンジン1の空吹けに関した問題を緩和、または解消することができる。
ステップS15によるローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結進行が開始されたとき、該ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室内に作動油が十分に残存していることとなり、ステップS15によるローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結進行を遅滞なく開始させ得る。
よって、副変速機31の第1速(低速段)への変速応答遅れを確実に緩和、または解消することができ、この変速応答遅れに起因した駆動力不足の問題を緩和、または解消することができる。
ハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cがプリチャージ状態のまま、ステップS15によるローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結進行が行われることがなく、これらハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cおよびローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの同時締結で副変速機31がインターロック状態になる弊害を回避することができる。
電動ポンプE/Pの作動停止が、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bまたはハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結完了後に実行されるのを保証することができる。
よって、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bまたはハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの該締結完了の前に電動ポンプE/Pが作動を停止されるのを防止することができ、当該電動ポンプE/Pの作動停止から、EV→HEVモード切り替え用エンジン始動(オイルポンプO/Pの作動)までの間において、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bまたはハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cが、作動油量不足により締結遅れを生じて、変速応答遅れが発生するという問題を回避することができる。
図8は、本発明の第2実施例になる変速制御装置の変速制御プログラムを示す。
本実施例においてもハイブリッド車両の駆動系は、図1,2につき前述した第1実施例におけると同様なものとし、これらの図におけるハイブリッドコントローラ21が、図4に示した変速制御プログラムに代え、図8の変速制御プログラムを実行して、EV→HEVモード切り替え時に発生するエンジン駆動系の副変速機31に係る変速制御を以下のごとくに遂行するものとする。
つまり本実施例では、ステップS19において、EV→HEVモード切り替えに際して必要なエンジン始動が完了したか否か、つまりエンジン1が完爆したか否かを判定し、かかるエンジン1の完爆判定時にステップS18において電動ポンプE/Pの作動停止を実行させる。
上記した本発明の第2実施例になる変速制御装置にあっても、前記した第1実施例の効果をそのまま奏し得るのに加えて、以下の効果をも奏することができる。
つまり、EVモード選択状態で作動していた電動ポンプE/Pを停止させるに際し、エンジン1の完爆判定時(エンジン始動完了時)に電動ポンプE/Pを停止させることとしたため、当該エンジン完爆判定瞬時t3'からローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bまたはハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの該締結完了時t4までの時間だけ、電動ポンプE/Pの停止を第1実施例の場合よりも早めることができ、電動ポンプE/Pの消費電力を節約することができる。
図12は、本発明の第3実施例になる変速制御装置のHEV→EVモード切り替え制御プログラムを示す。
本実施例においてもハイブリッド車両の駆動系は、図1,2につき前述した第1実施例におけると同様なものとし、これらの図におけるハイブリッドコントローラ21が、図4の制御プログラムを実行してEV→HEVモード切り替え時における副変速機31の変速制御を前述した通りに遂行し、また図12の制御プログラムを実行して、エンジン停止およびエンジン駆動系の切り離しを伴うHEV→EVモード切り替え制御を以下のごとくに遂行すると共に、このHEV→EVモード切り替え中に、図4のステップS12で説明した通りEVモードで駆動されている電動ポンプE/Pの駆動を以下のタイミングで開始させるものとする。
当該要求が発生したら(HEV→EVモード切り替え要求が発生したら)、ステップS22において、EVモードで作動させておくべき電動ポンプE/Pの駆動を開始する。
副変速機31が中立状態となってエンジン駆動系を車輪5から切り離したとき、ステップS25においてエンジン1の停止(フューエルカットF/C)およびトルクコンバータT/Cのロックアップ解除を指令し、これによりステップS26でエンジン停止およびロックアップ解除を完了する。
図13は、副変速機31を2速選択状態にしたロックアップ状態でのDレンジ走行中において瞬時t1に図3の矢A3で示すような運転状態の変化(アクセルペダル19からブレーキペダル16への踏み替え)により運転領域がHEVドライブ領域からEVコースト領域に移行し、この状態が所定時間ΔTだけ継続したことにより、瞬時t2にエンジン停止およびエンジン駆動系の切り離しを伴うHEV→EVモード切り替え要求が発生した(ステップS21)場合の動作タイムチャートを示す。
上記した本発明の第3実施例になる変速制御装置にあっても、前記した第1実施例の効果をそのまま奏し得るのに加えて、以下の効果をも奏することができる。
つまり、EVモード選択状態で作動させておく電動ポンプE/Pの駆動を、HEV→EVモード切り替え中における副変速機31の中立状態への移行(エンジン駆動系および車輪間の切り離し)が指令された時に開始させるため、
副変速機31の中立状態への移行(エンジン駆動系および車輪間の切り離し)と、エンジン停止までの間において電動ポンプE/Pが作動油を変速機に供給することができ、油量不足になるのを防止することができる。
図14は、本発明の第4実施例になる変速制御装置のHEV→EVモード切り替え制御プログラムを示す。
本実施例においてもハイブリッド車両の駆動系は、図1,2につき前述した第1実施例におけると同様なものとし、これらの図におけるハイブリッドコントローラ21が、図4の制御プログラムを実行してEV→HEVモード切り替え時における副変速機31の変速制御を前述した通りに遂行し、また図14の制御プログラムを実行して、エンジン停止およびエンジン駆動系の切り離しを伴うHEV→EVモード切り替え制御を以下のごとくに遂行すると共に、このHEV→EVモード切り替え中に、図4のステップS12で説明した通りEVモードで駆動されている電動ポンプE/Pの駆動を以下のタイミングで開始させるものとする。
そのため、図14において、図12と同様なステップには同一符号を付し、重複説明を避けた。
ステップS31はステップS21およびステップS22間に介在させ、このステップS31では車速VSPが発生しているか否かにより、車両が走行中か停車中かを判定する。
このステップS31で車両走行中と判定する場合のみステップS22を選択して、EVモードで作動させておくべき電動ポンプE/Pの駆動を開始するが、ステップS31で停車中と判定する場合はステップS22をスキップして制御をステップS23へ進めることにより、ステップS22を実行しないことで、電動ポンプE/Pを駆動させることなく停止状態に保つ。
上記した本発明の第4実施例になる変速制御装置にあっても、前記した第1実施例および第3実施例の効果をそのまま奏し得るのに加えて、以下の効果をも奏することができる。
つまり第4実施例では、EVモード選択状態で作動させておく電動ポンプE/Pの駆動を、HEV→EVモード切り替え中における副変速機31の中立状態への移行(エンジン駆動系および車輪間の切り離し)が指令された時に開始させるが、電動ポンプE/Pの駆動開始条件としてステップS31による走行判定が加わったことで、電動ポンプE/Pが停車中なのに無駄に駆動されるのを防止することができ、電動ポンプE/Pの消費電力を節約することができる。
図15は、本発明の第5実施例になる変速制御装置のHEV→EVモード切り替え制御プログラムを示す。
本実施例においてもハイブリッド車両の駆動系は、図1,2につき前述した第1実施例におけると同様なものとし、これらの図におけるハイブリッドコントローラ21が、図4の制御プログラムを実行してEV→HEVモード切り替え時における副変速機31の変速制御を前述した通りに遂行し、また図15の制御プログラムを実行して、エンジン停止およびエンジン駆動系の切り離しを伴うHEV→EVモード切り替え制御を以下のごとくに遂行すると共に、このHEV→EVモード切り替え中に、図4のステップS12で説明した通りEVモードで駆動されている電動ポンプE/Pの駆動を以下のタイミングで開始させるものとする。
当該要求が発生したら(HEV→EVモード切り替え要求が発生したら)、ステップS23において、副変速機31のローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bおよびハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの解放を指令し、これらローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bおよびハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cを解放させることにより副変速機31を中立状態となし、エンジン1および無段変速機構CVTから成るエンジン駆動系を車輪5から切り離す。
副変速機31が中立状態となってエンジン駆動系を車輪5から切り離したとき、ステップS22において、EVモードで作動させておくべき電動ポンプE/Pの駆動を開始する。
かかる電動ポンプE/Pの駆動開始に応答してステップS25で、エンジン1の停止(フューエルカットF/C)およびトルクコンバータT/Cのロックアップ解除を指令し、これによりステップS26でエンジン停止およびロックアップ解除を完了する。
図16は、副変速機31を2速選択状態にしたロックアップ状態でのDレンジ走行中において瞬時t1に図3の矢A3で示すような運転状態の変化(アクセルペダル19からブレーキペダル16への踏み替え)により運転領域がHEVドライブ領域からEVコースト領域に移行し、この状態が所定時間ΔTだけ継続したことにより、瞬時t2にエンジン停止およびエンジン駆動系の切り離しを伴うHEV→EVモード切り替え要求が発生した(ステップS21)場合の動作タイムチャートを示す。
上記した本発明の第5実施例になる変速制御装置にあっても、前記した第1実施例の効果をそのまま奏し得るのに加えて、以下の効果をも奏することができる。
つまり、EVモード選択状態で作動させておく電動ポンプE/Pの駆動を、HEV→EVモード切り替え中における副変速機31の中立状態への移行(エンジン駆動系および車輪間の切り離し)が完了した時に開始させるため、
電動ポンプE/Pの駆動開始を、図13の俊時t2よりも遅い図16の瞬時t3へと遅らせることができ、電動ポンプE/Pの消費電力を更に節約することができる。
図17は、本発明の第6実施例になる変速制御装置のHEV→EVモード切り替え制御プログラムを示す。
本実施例においてもハイブリッド車両の駆動系は、図1,2につき前述した第1実施例におけると同様なものとし、これらの図におけるハイブリッドコントローラ21が、図4の制御プログラムを実行してEV→HEVモード切り替え時における副変速機31の変速制御を前述した通りに遂行し、また図17の制御プログラムを実行して、エンジン停止およびエンジン駆動系の切り離しを伴うHEV→EVモード切り替え制御を以下のごとくに遂行すると共に、このHEV→EVモード切り替え中に、図4のステップS12で説明した通りEVモードで駆動されている電動ポンプE/Pの駆動を以下のタイミングで開始させるものとする。
そのため、図17において、図15と同様なステップには同一符号を付し、重複説明を避けた。
ステップS31はステップS24およびステップS22間に介在させ、このステップS31では車速VSPが発生しているか否かにより、車両が走行中か停車中かを判定する。
このステップS31で車両走行中と判定する場合のみステップS22を選択して、EVモードで作動させておくべき電動ポンプE/Pの駆動を開始するが、ステップS31で停車中と判定する場合はステップS22をスキップして制御をステップS25へ進めることにより、ステップS22を実行しないことで、電動ポンプE/Pを駆動させることなく停止状態に保つ。
上記した本発明の第6実施例になる変速制御装置にあっても、前記した第1実施例および第5実施例の効果をそのまま奏し得るのに加えて、以下の効果をも奏することができる。
つまり第6実施例では、EVモード選択状態で作動させておく電動ポンプE/Pの駆動を、HEV→EVモード切り替え中における副変速機31の中立状態への移行(エンジン駆動系および車輪間の切り離し)が完了した時に開始させるが、電動ポンプE/Pの駆動開始条件としてステップS31による走行判定が加わったことで、電動ポンプE/Pが停車中なのに無駄に駆動されるのを防止することができ、電動ポンプE/Pの消費電力を節約することができる。
図18は、本発明の第7実施例になる変速制御装置の電動ポンプ駆動制御プログラムを示す。
本実施例においてもハイブリッド車両の駆動系は、図1,2につき前述した第1実施例におけると同様なものとし、これらの図におけるハイブリッドコントローラ21が、図4の制御プログラムを実行してEV→HEVモード切り替え時における副変速機31の変速制御を前述した通りに遂行し、また図18の制御プログラムを実行して、図4のステップS12で説明した通りEVモードで駆動すべき電動ポンプE/Pを以下のように駆動制御するものとする。
エンジン停止状態(EVモード)である婆、ステップS42において車速VSP=0化否かにより車両が停車中か走行中かをチェックする。
停車中ならステップS43で電動ポンプE/Pを停止させるが、走行中ならステップS44で電動ポンプE/Pを駆動させ続ける。
図19は、EV回生走行中、図3の矢A4で示すような運転状態の変化(ブレーキペダル踏み込み状態での車速低下)により、運転領域がEVコースト領域から瞬時t1にEVモード停車状態へ移行した(ステップS41およびステップS42)場合の動作タイムチャートを示す。
上記した本発明の第7実施例になる変速制御装置にあっても、前記した第1実施例の効果をそのまま奏し得るのに加えて、以下の効果をも奏することができる。
つまり、EVモードで駆動させるべき電動ポンプE/Pを車両走行中のみとし、停車中は図19の瞬時t1以降に示すように電動ポンプE/Pを、EVモード継続中であっても駆動停止させるため、
電動ポンプE/Pが停車中なのに無駄に駆動されるのを防止することができ、電動ポンプE/Pの消費電力を節約することができる。
2 電動モータ(動力源)
3 スタータモータ
4 Vベルト式無段変速機
5 駆動車輪
6 プライマリプーリ
7 セカンダリプーリ
8 Vベルト
CVT 無段変速機構
T/C トルクコンバータ
9,11 ファイナルギヤ組
12 バッテリ
13 インバータ
14 ブレーキディスク
15 キャリパ
16 ブレーキペダル
17 負圧式ブレーキブースタ
18 マスターシリンダ
19 アクセルペダル
21 ハイブリッドコントローラ
22 エンジンコントローラ
23 モータコントローラ
24 変速機コントローラ
25 バッテリコントローラ
26 ブレーキスイッチ
27 アクセル開度センサ
O/P オイルポンプ(機動ポンプ)
E/P 電動ポンプ
31 副変速機
H/C ハイクラッチ(高速段選択用締結要素)
R/B リバースブレーキ
L/B ローブレーキ(低速段選択用締結要素)
32 車速センサ
33 車両加速度センサ
35 ライン圧ソレノイド
36 ロックアップソレノイド
37 プライマリプーリ圧ソレノイド
38 ローブレーキ圧ソレノイド
39 ハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧ソレノイド
41 スイッチバルブ
Claims (6)
- 動力源としてエンジンのほかに電動モータを具え、
前記エンジンにより駆動される機動ポンプからの作動媒体で断接制御される低速段選択用締結要素および高速段選択用締結要素の選択的締結により低速段選択状態または高速段選択状態となる変速機を介して前記エンジンおよび変速機より成るエンジン駆動系が車輪に切り離し可能に駆動結合され、
該駆動結合を解いてエンジン駆動系および車輪間を切り離すと共に前記エンジンを停止させることで前記電動モータのみにより前記車輪を駆動する電気走行モードの選択が可能であるほか、前記エンジンを始動させると共に前記エンジン駆動系および車輪間を駆動結合することで前記電動モータおよびエンジンにより前記車輪を駆動するハイブリッド走行モードが選択可能なハイブリッド車両の変速制御装置において、
前記エンジンを停止させている電気走行モードで電力駆動される電動ポンプを設け、
電気走行モードで該電動ポンプからの作動媒体を前記高速段選択用締結要素の締結作動室内に充満させるプリチャージにより該高速段選択用締結要素を作動媒体予充填状態となすよう構成し、
前記電気走行モードで前記低速段選択用締結要素の締結による低速段の選択が指令される低速段選択指令時に、前記プリチャージにより作動媒体予充填状態にされていた前記高速段選択用締結要素の締結作動室内を圧力低下させるよう構成した、
ことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。 - 請求項1に記載された、ハイブリッド車両の変速制御装置において、
前記低速段選択用締結要素の締結による低速段の選択が完了したとき、または前記高速段選択用締結要素の締結による高速段の選択が完了したとき、前記電動ポンプを駆動停止させるよう構成した、
ことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。 - 請求項1に記載された、ハイブリッド車両の変速制御装置において、
前記ハイブリッド走行モードから電気走行モードへの切り替え用に前記エンジン駆動系および車輪間の切り離しが指令されたとき、前記電動ポンプを駆動させるよう構成した、
ことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。 - 請求項1に記載された、ハイブリッド車両の変速制御装置において、
前記電気走行モードからハイブリッド走行モードへの切り替え用のエンジン始動が完了して該エンジンが完爆したとき、前記電動ポンプを駆動停止させるよう構成した、
ことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。 - 請求項1に記載された、ハイブリッド車両の変速制御装置において、
前記ハイブリッド走行モードから電気走行モードへの切り替え用に前記エンジン駆動系および車輪間の切り離しが完了したとき、前記電動ポンプを駆動させるよう構成した、
ことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。 - 請求項1乃至5いずれか1項に記載された、ハイブリッド車両の変速制御装置において、
前記電動ポンプの駆動は、車両が走行中である間に限って行わせるよう構成した、
ことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
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