JP2015229488A - ハイブリッド車両の変速制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車両の変速制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電気走行(EV)モードからハイブリッド走行(HEV)モードへの切り替え時におけるエンジン駆動系の変速を小さな応答遅れで完遂させ得る変速制御装置を提案する。
【解決手段】S11でエンジン始動を伴うEV→HEV切り替え要求がないと判定するEVモード継続中、S12で電動ポンプE/Pからの作動油によりハイクラッチH/Cをプリチャージしておく。EV→HEV切り替え要求発生時は、S13で判定した目標変速段に応じて、低速段要求時はS14でハイクラッチH/Cをプリチャージ状態から圧力低下させると共に、S15でローブレーキL/B(作動室のシール構造を作動油漏洩量が最少となる高シール構造と成す)を締結進行させ、高速段要求時はS16でハイクラッチH/Cをプリチャージ状態からの圧力上昇により締結進行させる。
【選択図】図4

Description

本発明は、エンジンおよび電動モータを動力源として搭載され、電動モータのみによって走行する電気走行モード(EVモード)と、電動モータおよびエンジンによって走行するハイブリッド走行モード(HEVモード)との選択が可能なハイブリッド車両の変速制御装置に関し、特にEVモードからHEVモードへのEV→HEVモード切り替え時において、エンジン駆動系の変速応答遅れによる駆動力不足およびエンジンの空吹けに関した問題を解消する変速制御技術に係わる。
このようなハイブリッド車両としては従来、例えば特許文献1に記載のようなものが知られている。
このハイブリッド車両は、一方の動力源であるエンジンが無段変速機およびクラッチを順次介して車輪に切り離し可能に駆動結合され、他方の動力源である電動モータが当該車輪に常時結合された型式のものである。
かかるハイブリッド車両は、エンジンを運転停止すると共に上記のクラッチを解放することで電動モータのみによるEVモードでの電気走行(EV走行)が可能であり、エンジンを始動させると共に当該クラッチを締結することにより電動モータおよびエンジンによるHEVモードでのハイブリッド走行(HEV走行)が可能である。
なお、上記無段変速機およびクラッチの変速制御および断接制御に当たっては、エンジンにより駆動される機動ポンプからの作動媒体を用いて当該無段変速機の変速制御およびクラッチの断接制御を行う。
特開2000-199442号公報
上記ハイブリッド車両の場合、EVモードではエンジンが停止されているため、エンジン駆動される機動ポンプも停止して、作動媒体を吐出し得ないことから、無段変速機の変速制御およびクラッチの断接制御が不能である。
ところで、EVモードからHEVモードへのEV→HEVモード切り替えは運転状態の変化や、車両状態の変化や、走行環境の変化によって生起されるものであり、当該EV→HEVモード切り替え時には、これらの状況変化に呼応してエンジン駆動系における変速機も変速比を変化させる変速制御が必要である。
しかし、EV→HEVモード切り替えに呼応したエンジン始動が完了するまでは上記の通り、エンジン駆動される機動ポンプから作動媒体が吐出されないことから、エンジン駆動系の変速制御が不能であり、この変速制御が実際に開始されるのはエンジン始動後であって、その間の大きな変速応答遅れにより駆動力不足の問題や、エンジンの空吹けに関した問題を生ずる。
本発明は、かかるEV→HEVモード切り替え時におけるエンジン駆動系の変速応答遅れを解消、若しくは少なくとも緩和して、上記の諸問題を解消し得るよう改良したハイブリッド車両の制御装置を提案することを目的とする。
この目的のため、本発明によるハイブリッド車両の変速制御装置は、これを以下のごとくに構成する。
先ず本発明の前提となるハイブリッド車両を説明するに、これは、
動力源としてエンジンのほかに電動モータを具え、
前記エンジンにより駆動される機動ポンプからの作動媒体で断接制御される低速段選択用締結要素および高速段選択用締結要素の選択的締結により低速段選択状態または高速段選択状態となる変速機を介して前記エンジンおよび変速機より成るエンジン駆動系が車輪に切り離し可能に駆動結合され、
該駆動結合を解いてエンジン駆動系および車輪間を切り離すと共に前記エンジンを停止させることで前記電動モータのみにより前記車輪を駆動する電気走行モードの選択が可能であるほか、前記エンジンを始動させると共に前記エンジン駆動系および車輪間を駆動結合することで前記電動モータおよびエンジンにより前記車輪を駆動するハイブリッド走行モードが選択可能な車両である。
本発明の変速制御装置は、かかるハイブリッド車両に対し、
前記エンジンを停止させている電気走行モードで電力駆動される電動ポンプを設け、
電気走行モードで該電動ポンプからの作動媒体を前記高速段選択用締結要素の締結作動室内に充満させるプリチャージにより該高速段選択用締結要素を作動媒体予充填状態となすよう構成し、
前記低速段選択用締結要素の締結作動室に係るシール構造を、該低速段選択用締結要素の締結作動室からの作動媒体漏洩量が最少となるよう構成したことを特徴とするものである。
本発明によるハイブリッド車両の変速制御装置にあっては、
電気走行モードで電力駆動される電動ポンプを設け、この電気走行モードで当該電動ポンプからの作動媒体を高速段選択用締結要素の締結作動室内に充満させるプリチャージにより該高速段選択用締結要素を作動媒体予充填状態となすよう構成すると共に、低速段選択用締結要素の締結作動室に係るシール構造を、該低速段選択用締結要素の締結作動室からの作動媒体漏洩量が最少となるよう構成したため、
電気走行モードからハイブリッド走行モードへの切り替え時に、エンジン駆動系の変速機を、機動ポンプからの作動媒体による高速段選択用締結要素の締結で高速段選択状態となす場合も、また機動ポンプからの作動媒体による低速段選択用締結要素の締結で低速段選択状態となす場合も、これら高速段選択用締結要素および低速段選択用締結要素のロスストロークが小さくて、これら締結要素の締結作動を速やかに完遂させることができる。
よって本発明によれば、電気走行モードからハイブリッド走行モードへの切り替え時におけるエンジン駆動系の変速応答を高めることができ、当該モード切り替え時の変速応答遅れによる駆動力不足の問題や、エンジンの空吹けに関した問題を解消、若しくは少なくとも緩和することができる。
本発明の第1実施例になる変速制御装置を具えたハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図である。 図1におけるハイブリッド車両の駆動系を成すVベルト式無段変速機を示し、 (a)は、当該Vベルト式無段変速機の構成およびその全体制御システムを示す概略システム図、 (b)は、当該Vベルト式無段変速機に内蔵された副変速機内における変速摩擦要素の締結論理図である。 図1におけるハイブリッド車両の走行モード領域線図である。 図1,2におけるハイブリッドコントローラが実行するハイブリッド車両のEV→HEVモード切り替え時変速制御プログラムを示すフローチャートである。 図4に示すEV→HEVモード切り替え時変速制御の動作例に係る動作タイムチャートである。 図4に示すEV→HEVモード切り替え時変速制御の他の動作例に係る動作タイムチャートである。 図4に示すEV→HEVモード切り替え時変速制御の更に他の動作例に係る動作タイムチャートである。 本発明の第2実施例になる変速制御装置のEV→HEVモード切り替え時変速制御プログラムを示す、図4と同様なフローチャートである。 図8に示すEV→HEVモード切り替え時変速制御の動作例に係る動作タイムチャートである。 図8に示すEV→HEVモード切り替え時変速制御の他の動作例に係る動作タイムチャートである。 図8に示すEV→HEVモード切り替え時変速制御の更に他の動作例に係る動作タイムチャートである。 本発明の第3実施例になる変速制御装置のHEV→EVモード切り替え制御プログラムを示すフローチャートである。 図12に示すHEV→EVモード切り替え制御の動作例に係る動作タイムチャートである。 本発明の第4実施例になる変速制御装置のHEV→EVモード切り替え制御プログラムを示すフローチャートである。 本発明の第5実施例になる変速制御装置のHEV→EVモード切り替え制御プログラムを示すフローチャートである。 図15に示すHEV→EVモード切り替え制御の動作例に係る動作タイムチャートである。 本発明の第6実施例になる変速制御装置のHEV→EVモード切り替え制御プログラムを示すフローチャートである。 本発明の第7実施例になる変速制御装置の電動ポンプ駆動制御プログラムを示すフローチャートである。 図18に示す電動ポンプ駆動制御の動作例に係る動作タイムチャートである。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
<第1実施例の構成>
図1は、本発明の第1実施例になる変速制御装置を具えたハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図である。
図1のハイブリッド車両は、エンジン1および電動モータ2を動力源として搭載され、エンジン1は、スタータモータ3により始動する。
エンジン1は、Vベルト式無段変速機4を介して駆動車輪5に適宜切り離し可能に駆動結合し、Vベルト式無段変速機4は、概略を以下に説明するようなものとする。
Vベルト式無段変速機4は、プライマリプーリ6と、セカンダリプーリ7と、これらプーリ6,7間に掛け渡したVベルト8とからなる無段変速機構CVTを主たる構成要素とする。
プライマリプーリ6はトルクコンバータT/Cを介してエンジン1のクランクシャフトに結合し、セカンダリプーリ7は副変速機31およびファイナルギヤ組9を順次介して駆動車輪5に結合する。
副変速機31は、図2に基づき後述する構成になり、セカンダリプーリ7の回転をファイナルギヤ組9に伝達しない中立状態と、セカンダリプーリ7の回転を回転方向不変のまま減速下にファイナルギヤ組9へ伝達する前進第1速(低速段)選択状態と、セカンダリプーリ7の回転をそのままファイナルギヤ組9へ伝達する前進第2速(高速段)選択状態と、セカンダリプーリ7の回転を回転方向逆転下および減速下にファイナルギヤ組9へ伝達する後退変速段選択(逆転)状態との間で状態切り替えされるものとする。
かくして副変速機31の前進第1速(低速段)選択状態、または前進第2速(高速段)選択状態、或いは後退変速段選択(逆転)状態で、エンジン1からの動力はトルクコンバータT/Cを経てプライマリプーリ6へ入力され、その後Vベルト8、副変速機31およびファイナルギヤ組9を順次経て駆動車輪5に達し、車両の走行に供される。
かかるエンジン動力伝達中、プライマリプーリ6のプーリV溝幅を小さくしつつ、セカンダリプーリ7のプーリV溝幅を大きくすることで、Vベルト8がプライマリプーリ6との巻き掛け円弧径を大きくされると同時にセカンダリプーリ7との巻き掛け円弧径を小さくされ、Vベルト式無段変速機4はハイ側プーリ比へのアップシフトを行う。
逆にプライマリプーリ6のプーリV溝幅を大きくしつつ、セカンダリプーリ7のプーリV溝幅を小さくすることで、Vベルト8がプライマリプーリ6との巻き掛け円弧径を小さくされると同時にセカンダリプーリ7との巻き掛け円弧径を大きくされ、Vベルト式無段変速機4はロー側プーリ比へのダウンシフトを行う。
図1に示すごとく電動モータ2は、ファイナルギヤ組11を介して駆動車輪5に常時結合し、この電動モータ2は、バッテリ12の電力によりインバータ13を介して駆動する。
インバータ13は、バッテリ12の直流電力を交流電力に変換して電動モータ2へ供給すると共に電動モータ2への供給電力を加減して、電動モータ2を駆動力制御および回転方向制御する。
なお電動モータ2は、上記のモータ駆動のほかに発電機としても機能し、回生制動の用にも供する。
この回生制動時はインバータ13が、電動モータ2に回生制動力分の発電負荷をかけてこれを発電機として作用させ、電動モータ2の発電電力をバッテリ12に蓄電する。
ところで本実施例における電動モータ2は、その冷却をコスト低減のため水冷式とせず、電動モータ2自身で駆動するファンからの空気により冷却する空冷式モータとするため、そしてファンが電動モータ2の前進走行用正転駆動時にモータ冷却風を発生する向きの傾斜羽根であることから、電動モータ2は、主として車両前進方向に対応する正転駆動のために用い、車両後退方向に対応する逆転駆動に際しては、上記ファンからのモータ冷却風が不足して短時間のうちにモータ過熱状態に至ることから、規定時間しか継続使用しないものとする。
図1につき上記した駆動系を具えるハイブリッド車両は、副変速機31を動力伝達不能な中立状態とし、エンジン1を停止させた状態で、電動モータ2を駆動すると、電動モータ2の駆動力のみがファイナルギヤ組11を経て駆動車輪5に達し、ハイブリッド車両は電動モータ2のみによる電気走行(EV走行)を行うことができる。
この間、副変速機31を中立状態にしていることで、停止状態のエンジン1と無段変速機構CVTとを連れ回すことがなく、EV走行中の電力消費を抑制することができる。
上記のEV走行状態においてエンジン1をスタータモータ3により始動させると共に、副変速機31を前進第1速(低速段)選択状態または前進第2速(高速段)選択状態、或いは後退変速段選択(逆転)状態にすると、エンジン1からの動力がトルクコンバータT/C、プライマリプーリ6、Vベルト8、セカンダリプーリ7、副変速機31およびファイナルギヤ組9を順次経て駆動車輪5に正回転状態または逆回転状態で達するようになり、ハイブリッド車両はエンジン1および電動モータ2による前進方向または後退走行のハイブリッド走行(HEV走行)を行うことができる。
ハイブリッド車両を上記の走行状態から停車させたり、この停車状態に保つに際しては、駆動車輪5と共に回転するブレーキディスク14をキャリパ15により挟圧して制動することで目的を達する。
キャリパ15は、運転者が踏み込むブレーキペダル16の踏力に応動して負圧式ブレーキブースタ17による倍力下でブレーキペダル踏力対応のブレーキ液圧を出力するマスターシリンダ18に接続し、このブレーキ液圧でキャリパ15を作動させてブレーキディスク14の制動を行う。
なお上記のブレーキ液圧は、アンチスキッド制御時に、制動力が過大にならないよう、適宜に減圧される。
ハイブリッド車両はEVモードおよびHEVモードのいずれにおいても、運転者がブレーキペダル16を踏み込んで指令する制動力指令またはアクセルペダル19を踏み込んで指令する駆動力指令に応じた制駆動トルクで車輪5を制駆動され、運転者の要求に応じた制駆動力をもって走行される。
ハイブリッド車両の走行モード選択と、エンジン1の出力制御と、電動モータ2の出力制御と、無段変速機4の変速制御および副変速機31の状態切り替え制御と、バッテリ12の充放電制御はそれぞれ、ハイブリッドコントローラ21が、対応するエンジンコントローラ22、モータコントローラ23、変速機コントローラ24、およびバッテリコントローラ25を介して当該制御を遂行する。
そのためハイブリッドコントローラ21には、ブレーキペダル16を踏み込む制動時にその踏力Fbrを検出するブレーキペダル踏力センサ26からの信号と、アクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)APOを検出するアクセル開度センサ27からの信号と、無段変速機4のシフトレバー28が駐車(P)レンジ、後退走行(R)レンジ、中立(N)レンジ、前進走行(D)レンジのどの位置に操作されているのかを検出する選択レンジセンサ29からの信号とを入力する。
ハイブリッドコントローラ21は更に、エンジンコントローラ22、モータコントローラ23、変速機コントローラ24、およびバッテリコントローラ25との間で、内部情報のやり取りを行って、本発明が狙いとする後述の変速制御に資する。
ハイブリッドコントローラ21は、図3に例示する予定の走行モード領域マップを基に車速VSP、アクセル開度APOおよびブレーキ踏力Fbrから、EVモードを選択すべきか、HEVモードを選択すべきかを決定し、当該選択した走行モードへの切り替えを行う。
エンジンコントローラ22は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答して、エンジン1を出力制御し、
モータコントローラ23は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答してインバータ13を介し電動モータ2の出力制御を行う。
変速機コントローラ24は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答し、エンジン駆動されるオイルポンプO/P(機動ポンプ)からのオイルを媒体として、無段変速機4(Vベルト式無段変速機構CVT)の変速制御および副変速機31の状態切り替え制御を行う。
バッテリコントローラ25は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答し、バッテリ12の充放電制御を行う。
以下、図1に示すごとくVベルト式無段変速機構CVT(セカンダリプーリ7)と駆動車輪5との間を切り離し可能に結合するため無段変速機4に設けた副変速機31を、図2(a),(b)に基づき詳述する。
副変速機31は図2(a)に示すように、複合サンギヤ31s-1および31s-2と、インナピニオン31pinと、アウタピニオン31poutと、リングギヤ31rと、ピニオン31pin, 31poutを回転自在に支持したキャリア31cとからなるラビニョオ型プラネタリギヤセットで構成する。
複合サンギヤ31s-1および31s-2のうち、サンギヤ31s-1は入力回転メンバとして作用するようセカンダリプーリ7に結合し、サンギヤ31s-2はセカンダリプーリ7に対し同軸に配置するが自由に回転し得るように配置する。
サンギヤ31s-1にインナピニオン31pinを噛合させ、このインナピニオン31pinおよびサンギヤ31s-2をそれぞれアウタピニオン31poutに噛合させる。
アウタピニオン31poutはリングギヤ31rの内周に噛合させ、キャリア31cを出力回転メンバとして作用するようファイナルギヤ組9に結合する。
キャリア31cとリングギヤ31rとをハイクラッチH/C(高速段選択用締結要素)により適宜結合可能となし、リングギヤ31rをリバースブレーキR/Bにより適宜固定可能となし、サンギヤ31s-2をローブレーキL/B(低速段選択用締結要素)により適宜固定可能となす。
副変速機31は、変速要素であるこれらハイクラッチH/C(高速段選択用締結要素)、リバースブレーキR/BおよびローブレーキL/B(低速段選択用締結要素)を、図2(b)に○印により示す組み合わせでオイルポンプ(機動ポンプ)O/Pからの作動油により選択的に油圧作動させて締結し、それ以外を図2(b)に×印で示すように作動停止により解放させることによって、前進第1速選択(低速段選択)状態、前進第2速選択(高速段選択)状態、後退変速段選択(減速逆回転出力)状態にすることができる。
ハイクラッチH/C、リバースブレーキR/BおよびローブレーキL/Bを全て解放すると、副変速機31は動力伝達を行わない中立状態であり、エンジン駆動系を車輪5から切り離すことができる。
この状態でローブレーキL/Bを締結すると、副変速機31は前進第1速(低速段)選択状態となり、
ハイクラッチH/Cを締結すると、副変速機31は前進第2速(高速段)選択状態となり、
リバースブレーキR/Bを締結すると、副変速機31は後退変速段選択(減速逆回転出力)状態となる。
つまり、変速摩擦要素H/C, R/B, L/Bのいずれか1つを選択的に締結することにより、Vベルト式無段変速機構CVT(セカンダリプーリ7)と駆動車輪5との間を切り離し可能に結合することができる。
図2(a)に示すように無段変速機4は、エンジン駆動されるオイルポンプO/P(機動ポンプ)からのオイルを作動媒体とし、変速機コントローラ24がライン圧ソレノイド35、ロックアップソレノイド36、プライマリプーリ圧ソレノイド37、ローブレーキ圧ソレノイド38、ハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧ソレノイド39およびスイッチバルブ41を介して、以下のように制御する。
なお変速機コントローラ24には、図1につき前述した信号に加えて、車速VSPを検出する車速センサ32からの信号、および車両加減速度Gを検出する加速度センサ33からの信号を入力する。
ライン圧ソレノイド35は、変速機コントローラ24からの指令に応動し、オイルポンプO/Pからのオイルを車両要求駆動力対応のライン圧PLに調圧し、このライン圧PLを常時セカンダリプーリ7へセカンダリプーリ圧として供給することにより、セカンダリプーリ7がライン圧PLに応じた推力でVベルト8を挟圧するようになす。
ロックアップソレノイド36は、変速機コントローラ24からのロックアップ指令に応動し、ライン圧PLを適宜トルクコンバータT/Cに向かわせることで、トルクコンバータT/Cを適宜入出力要素間が直結されたロックアップ状態にする。
プライマリプーリ圧ソレノイド37は、変速機コントローラ24からのCVT変速比指令に応動してライン圧PLをプライマリプーリ圧に調圧し、これをプライマリプーリ6へ供給することにより、プライマリプーリ6のV溝幅と、ライン圧PLを供給されているセカンダリプーリ7のV溝幅とを、CVT変速比が変速機コントローラ24からの指令に一致するよう制御して変速機コントローラ24からのCVT変速比指令を実現する。
ローブレーキ圧ソレノイド38は、変速機コントローラ24が副変速機31の第1速選択指令を発しているとき、ライン圧PLをローブレーキ圧としてローブレーキL/Bに供給することによりこれを締結させ、第1速選択指令を実現する。
ハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧ソレノイド39は、変速機コントローラ24が副変速機31の第2速選択指令または後退選択指令を発しているとき、ライン圧PLをハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧としてスイッチバルブ41に供給する。
第2速選択指令時はスイッチバルブ41が、ソレノイド39からのライン圧PLをハイクラッチ圧としてハイクラッチH/Cに向かわせ、これを締結することで副変速機31の第2速選択指令を実現する。
後退選択指令時はスイッチバルブ41が、ソレノイド39からのライン圧PLをリバースブレーキ圧としてリバースブレーキR/Bに向かわせ、これを締結することで副変速機31の後退選択指令を実現する。
<エンジン駆動系の変速制御>
上記ハイブリッド車両において、EV→HEVモード切り替え時に発生するエンジン駆動系の副変速機31に係る変速制御を以下に説明する。
HEVモードでの走行中であれば副変速機31の変速制御は、エンジン1が運転状態であってオイルポンプ(機動ポンプ)O/Pから作動油が吐出されているため、この作動油を用いて当該副変速機31の変速制御を行うことができる。
しかしEVモードでは、エンジン1が停止されているため、オイルポンプO/Pも停止していて、作動油を吐出していないことから、副変速機31の変速制御が不能である。
ところで、EVモードからHEVモードへのEV→HEVモード切り替えは運転状態の変化や、車両状態の変化や、走行環境の変化によって生起されるものであり、当該EV→HEVモード切り替え時には、これらの状況変化に呼応してエンジン駆動系の副変速機31も変速比を変化させる変速制御が必要である。
しかし、EV→HEVモード切り替えに呼応したエンジン1の始動が完了するまでは、エンジン駆動されるオイルポンプO/Pから作動油が吐出され得ないことから、副変速機31の変速制御が不能である。
そして、副変速機31の変速制御が実際に開始されるのはエンジン始動後であるため、その間は副変速機31の大きな変速応答遅れを生じて、この変速応答遅れにより駆動力不足の問題や、エンジン1の空吹けに関した問題を生ずる。
本発明は、かかるEV→HEVモード切り替え時における副変速機31の大きな変速応答遅れを解消、若しくは少なくとも緩和して、上記の諸問題が発生し難くなるようにすることを主旨とする。
そこで本実施例においては、エンジン1が停止されているEVモードで電力駆動される電動ポンプE/Pを、図1,2に示すごとくオイルポンプ(機動ポンプ)O/Pに対し並列接続して設ける。
更に、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室に係るシール構造を、該ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室からの作動油漏洩量が最少となるよう構成する。
そして、ハイブリッドコントローラ21が図4の制御プログラムを実行することにより、EV→HEVモード切り替え時における副変速機31の変速制御を以下のように遂行するものとする。
図4の制御プログラムは、エンジン1が停止されているEVモード選択状態で実行されるもので、先ずステップS11において、エンジン始動要求(つまりEV→HEVモード切り替え要求)が有るか否かを判定する。
このエンジン始動要求(EV→HEVモード切り替え要求)がなければ、つまりEVモード選択状態の継続中であれば、ステップS12において、当該EVモードで電力駆動されている電動ポンプE/Pからの作動油をハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結作動室内に充満させるプリチャージにより該ハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cを作動油予充填状態となす。
ステップS11でエンジン始動要求(EV→HEVモード切り替え要求)が有ると判定した場合、ステップS13において、現在の運転状態や、車両状態や、走行環境などから決まる副変速機31の目標変速段が第1速(低速段)、または第2速(高速段)の何れであるのかをチェックする。
ステップS13で副変速機31の目標変速段が第1速(低速段)であると判定する場合、制御をステップS14に進めて、第1速(低速段)の選択時に解放すべきハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結作動室内を、ステップS12によるプリチャージ状態から圧力低下させる。
次のステップS15においては、第1速(低速段)の選択時に締結すべきローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室内を、当初は電動ポンプE/Pからの作動油により、エンジン始動後はオイルポンプ(機動ポンプ)O/Pからの作動油により圧力上昇させて、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bを締結制御する。
ステップS13で副変速機31の目標変速段が第2速(高速段)であると判定する場合、制御をステップS16に進めて、第2速(高速段)の選択時に締結すべきハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結作動室内を、ステップS12によるプリチャージ状態から、当初は電動ポンプE/Pからの作動油により、エンジン始動後はオイルポンプ(機動ポンプ)O/Pからの作動油により更に圧力上昇させて、このハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cを締結制御する。
ステップS15によるローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結進行、またはステップS16によるハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結進行により、これらローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bまたはハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結が完了したのをステップS17で判定するとき、ステップS18において電動ポンプE/Pの作動を停止させる。
上記した、図4によるEV→HEVモード切り替え時の変速制御を、図5〜7に基づき以下に説明する。
図5は、Dレンジ走行中において瞬時t1に図3の矢A1で示すような運転状態の変化(アクセル開度APOの増大)により運転領域がEVドライブ領域からHEVドライブ領域に移行したことにより、エンジン始動を伴うEV→HEVモード切り替え要求が発生し(ステップS11)、この時の運転状態に応じた副変速機31の目標変速段が第1速(低速段)であり、トルクコンバータT/Cをロックアップ(LU)すべきでない(コンバータCV状態にすべきである)場合の動作タイムチャートを示す。
瞬時t1よりも前におけるEVモードでは、当該EVモードで電力駆動されている電動ポンプE/Pからの作動油をハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結作動室内に充満させるプリチャージにより該ハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cが作動油予充填状態にされている。(ステップS12)
一方で、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/BはEVモードで作動油圧Pbを0にされているが、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室に係るシール構造を、該ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室からの作動油漏洩量が最少となるよう構成しているため、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室は略作動油充満状態に保たれている。
エンジン始動を伴うEV→HEVモード切り替え要求発生瞬時t1に、第1速(低速段)で解放すべきハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結作動室内を、ステップS12によるプリチャージ状態から圧力低下させる。(ステップS14)
その後の瞬時t2にスタータモータ3によるエンジン1のクランキングでエンジン始動を開始すると共に、第1速(低速段)で締結すべきローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室内を、当初は電動ポンプE/Pからの作動油により圧力上昇させて、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bをロスストローク後に締結進行させ、エンジン始動完了瞬時t4以降はオイルポンプ(機動ポンプ)O/Pからの作動油によりローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室内を、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bを締結容量制御下に更に圧力上昇させる。(ステップS15)
この更なる圧力上昇により、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bが締結を完了する瞬時t4に(ステップS17)、電動ポンプE/Pを停止させる。
図6は、Dレンジ走行中において瞬時t1にバッテリ蓄電状態SOCの図示のごとき低下でバッテリ12への充電が必要になったことにより、エンジン始動を伴うEV→HEVモード切り替え要求が発生し(ステップS11)、この時の運転状態に応じた副変速機31の目標変速段が第1速(低速段)であり、トルクコンバータT/Cをロックアップ(LU)すべきでない(コンバータCV状態にすべきである)場合の動作タイムチャートを示す。
瞬時t1よりも前におけるEVモードでは、当該EVモードで電力駆動されている電動ポンプE/Pからの作動油をハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結作動室内に充満させるプリチャージにより該ハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cが作動油予充填状態にされている。(ステップS12)
一方で、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/BはEVモードで作動油圧Pbを0にされているが、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室に係るシール構造を、該ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室からの作動油漏洩量が最少となるよう構成しているため、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室は略作動油充満状態に保たれている。
エンジン始動を伴うEV→HEVモード切り替え要求発生瞬時t1に、第1速(低速段)で解放すべきハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結作動室内を、ステップS12によるプリチャージ状態から圧力低下させる。(ステップS14)
その後の瞬時t2にスタータモータ3によるエンジン1のクランキングでエンジン始動を開始すると共に、第1速(低速段)で締結すべきローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室内を、当初は電動ポンプE/Pからの作動油により圧力上昇させて、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bをロスストローク後に締結進行させ、エンジン始動完了瞬時t4以降はオイルポンプ(機動ポンプ)O/Pからの作動油によりローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室内を、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bを締結容量制御下に更に圧力上昇させる。(ステップS15)
この更なる圧力上昇により、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bが締結を完了する瞬時t4に(ステップS17)、電動ポンプE/Pを停止させる。
図7は、Dレンジ走行中において瞬時t1に図3の矢A2で示すような運転状態の変化(車速VSPの上昇)により運転領域がEVドライブ領域からHEVドライブ領域に移行したことにより、エンジン始動を伴うEV→HEVモード切り替え要求が発生し(ステップS11)、この時の運転状態に応じた副変速機31の目標変速段が第2速(高速段)であり、トルクコンバータT/Cをロックアップ(LU)すべきである場合の動作タイムチャートを示す。
瞬時t1よりも前におけるEVモードでは、当該EVモードで電力駆動されている電動ポンプE/Pからの作動油をハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結作動室内に充満させるプリチャージにより該ハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cが作動油予充填状態にされている。(ステップS12)
一方で、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/BはEVモードで作動油圧Pbを0にされているが、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室に係るシール構造を、該ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室からの作動油漏洩量が最少となるよう構成しているため、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室は略作動油充満状態に保たれている。
エンジン始動を伴うEV→HEVモード切り替え要求発生瞬時t1の後の瞬時t2にスタータモータ3によるエンジン1のクランキングでエンジン始動を開始すると共に、第2速(高速段)で締結すべきハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結作動室内を、上記ステップS12によるプリチャージ状態から当初は電動ポンプE/Pからの作動油により圧力上昇させて、ハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cをロスストローク後に締結進行させ、エンジン始動完了瞬時t4以降はオイルポンプ(機動ポンプ)O/Pからの作動油によりハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結作動室内を、ハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cを締結容量制御下に更に圧力上昇させる。(ステップS16)
この更なる圧力上昇により、ハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cが締結を完了する瞬時t4に(ステップS17)、電動ポンプE/Pを停止させる。
<第1実施例の効果>
以上により、EV→HEVモード切り替え時における副変速機31の変速が完了し、副変速機31はEV→HEVモード切り替え時の運転状態や、車両状態や、走行環境に応じた目標変速段である第1速(低速段)または第2速(高速段)に投入された状態となる。
ここで第2速(高速段)への変速はステップS16によるハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結進行により行われるが、
本実施例によれば、EVモード選択状態である間に(ステップS11)、電動ポンプE/Pからの作動油をハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結作動室内に充満させるプリチャージにより該ハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cを作動油予充填状態となすため(ステップS12)、
ステップS16によるハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結進行が作動油予充填状態から開始されることとなり、当該ステップS16によるハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結進行を遅滞なく開始させ得る。
よって、副変速機31の第2速(高速段)への変速応答遅れを確実に緩和、または解消することができ、この変速応答遅れに起因したエンジン1の空吹けに関した問題を緩和、または解消することができる。
一方で、第1速(低速段)への変速はステップS15によるローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結進行により行われるが、本実施例においては当該ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室に係るシール構造を、該ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室からの作動油漏洩量が最少となるよう構成するため、
ステップS15によるローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結進行が開始されたとき、該ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結作動室内に作動油が十分に残存していることとなり、ステップS15によるローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結進行を遅滞なく開始させ得る。
よって、副変速機31の第1速(低速段)への変速応答遅れを確実に緩和、または解消することができ、この変速応答遅れに起因した駆動力不足の問題を緩和、または解消することができる。
なお、第1速(低速段)への変速に際して行うステップS15によるローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結進行に先立ち、ステップS14においてハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結作動室内を、ステップS12によるプリチャージ状態から圧力低下させるため、
ハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cがプリチャージ状態のまま、ステップS15によるローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの締結進行が行われることがなく、これらハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cおよびローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bの同時締結で副変速機31がインターロック状態になる弊害を回避することができる。
更に、EVモード選択状態で作動していた電動ポンプE/Pを停止させるに際しては、ステップS17でローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bまたはハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結完了を判定するとき、ステップS18において当該電動ポンプE/Pの作動停止を実行することとしたため、
電動ポンプE/Pの作動停止が、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bまたはハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの締結完了後に実行されるのを保証することができる。
よって、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bまたはハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの該締結完了の前に電動ポンプE/Pが作動を停止されるのを防止することができ、当該電動ポンプE/Pの作動停止から、EV→HEVモード切り替え用エンジン始動(オイルポンプO/Pの作動)までの間において、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bまたはハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cが、作動油量不足により締結遅れを生じて、変速応答遅れが発生するという問題を回避することができる。
<第2実施例>
図8は、本発明の第2実施例になる変速制御装置の変速制御プログラムを示す。
本実施例においてもハイブリッド車両の駆動系は、図1,2につき前述した第1実施例におけると同様なものとし、これらの図におけるハイブリッドコントローラ21が、図4に示した変速制御プログラムに代え、図8の変速制御プログラムを実行して、EV→HEVモード切り替え時に発生するエンジン駆動系の副変速機31に係る変速制御を以下のごとくに遂行するものとする。
なお図8は、図4におけるステップS17をステップS19に置換したもので、図8において、図4におけると同様なステップには同一符号を付して示し、図4におけると同様なステップに係る重複説明を避けて、相違点のみを以下に説明する。
つまり本実施例では、ステップS19において、EV→HEVモード切り替えに際して必要なエンジン始動が完了したか否か、つまりエンジン1が完爆したか否かを判定し、かかるエンジン1の完爆判定時にステップS18において電動ポンプE/Pの作動停止を実行させる。
上記した、図8によるEV→HEVモード切り替え時の変速制御を、図9〜11に基づき以下に説明する。
図9は、Dレンジ走行中において瞬時t1に図3の矢A1で示すような運転状態の変化(アクセル開度APOの増大)により運転領域がEVドライブ領域からHEVドライブ領域に移行したことにより、エンジン始動を伴うEV→HEVモード切り替え要求が発生し(ステップS11)、この時の運転状態に応じた副変速機31の目標変速段が第1速(低速段)であり、トルクコンバータT/Cをロックアップ(LU)すべきでない(コンバータCV状態にすべきである)場合(図5)と同条件での動作タイムチャートを示す。
図9の場合、図5と同様の変速制御過程で、エンジン回転数Neがエンジン完爆判定回転数以上になる瞬時t3'にエンジン1が完爆した(エンジン始動完了)と判定し(ステップS19)、電動ポンプE/Pを停止させる(ステップS18)。
図10は、Dレンジ走行中において瞬時t1にバッテリ蓄電状態SOCの図示のごとき低下でバッテリ12への充電が必要になったことにより、エンジン始動を伴うEV→HEVモード切り替え要求が発生し(ステップS11)、この時の運転状態に応じた副変速機31の目標変速段が第1速(低速段)であり、トルクコンバータT/Cをロックアップ(LU)すべきでない(コンバータCV状態にすべきである)場合(図6)と同条件での動作タイムチャートを示す。
図10の場合、図6と同様の変速制御過程で、エンジン回転数Neがエンジン完爆判定回転数以上になる瞬時t3'にエンジン1が完爆した(エンジン始動完了)と判定し(ステップS19)、電動ポンプE/Pを停止させる(ステップS18)。
図11は、Dレンジ走行中において瞬時t1に図3の矢A2で示すような運転状態の変化(車速VSPの上昇)により運転領域がEVドライブ領域からHEVドライブ領域に移行したことにより、エンジン始動を伴うEV→HEVモード切り替え要求が発生し(ステップS11)、この時の運転状態に応じた副変速機31の目標変速段が第2速(高速段)であり、トルクコンバータT/Cをロックアップ(LU)すべきである場合(図7)と同条件での動作タイムチャートを示す。
図11の場合、図7と同様の変速制御過程で、エンジン回転数Neがエンジン完爆判定回転数以上になる瞬時t3'にエンジン1が完爆した(エンジン始動完了)と判定し(ステップS19)、電動ポンプE/Pを停止させる(ステップS18)。
<第2実施例の効果>
上記した本発明の第2実施例になる変速制御装置にあっても、前記した第1実施例の効果をそのまま奏し得るのに加えて、以下の効果をも奏することができる。
つまり、EVモード選択状態で作動していた電動ポンプE/Pを停止させるに際し、エンジン1の完爆判定時(エンジン始動完了時)に電動ポンプE/Pを停止させることとしたため、当該エンジン完爆判定瞬時t3'からローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bまたはハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの該締結完了時t4までの時間だけ、電動ポンプE/Pの停止を第1実施例の場合よりも早めることができ、電動ポンプE/Pの消費電力を節約することができる。
<第3実施例>
図12は、本発明の第3実施例になる変速制御装置のHEV→EVモード切り替え制御プログラムを示す。
本実施例においてもハイブリッド車両の駆動系は、図1,2につき前述した第1実施例におけると同様なものとし、これらの図におけるハイブリッドコントローラ21が、図4の制御プログラムを実行してEV→HEVモード切り替え時における副変速機31の変速制御を前述した通りに遂行し、また図12の制御プログラムを実行して、エンジン停止およびエンジン駆動系の切り離しを伴うHEV→EVモード切り替え制御を以下のごとくに遂行すると共に、このHEV→EVモード切り替え中に、図4のステップS12で説明した通りEVモードで駆動されている電動ポンプE/Pの駆動を以下のタイミングで開始させるものとする。
図12のHEV→EVモード切り替え制御では、先ずステップS21において、HEV→EVモード切り替えに際して必要なエンジン1の停止要求および副変速機31の中立状態によるエンジン駆動系の切り離し要求が有るか否かをチェックする。
当該要求が発生したら(HEV→EVモード切り替え要求が発生したら)、ステップS22において、EVモードで作動させておくべき電動ポンプE/Pの駆動を開始する。
次のステップS23においては、副変速機31のローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bおよびハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの解放を指令し、これらローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bおよびハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cを解放させることにより副変速機31を中立状態となし、エンジン1および無段変速機構CVTから成るエンジン駆動系を車輪5から切り離す。
ステップS24では、上記ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bおよびハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの解放が完了して副変速機31が中立状態になったか否かを、つまり副変速機31がエンジン駆動系を車輪5から切り離したか否かをチェックする。
副変速機31が中立状態となってエンジン駆動系を車輪5から切り離したとき、ステップS25においてエンジン1の停止(フューエルカットF/C)およびトルクコンバータT/Cのロックアップ解除を指令し、これによりステップS26でエンジン停止およびロックアップ解除を完了する。
上記した、図12によるHEV→EVモード切り替え制御を、図13に基づき以下に説明する。
図13は、副変速機31を2速選択状態にしたロックアップ状態でのDレンジ走行中において瞬時t1に図3の矢A3で示すような運転状態の変化(アクセルペダル19からブレーキペダル16への踏み替え)により運転領域がHEVドライブ領域からEVコースト領域に移行し、この状態が所定時間ΔTだけ継続したことにより、瞬時t2にエンジン停止およびエンジン駆動系の切り離しを伴うHEV→EVモード切り替え要求が発生した(ステップS21)場合の動作タイムチャートを示す。
エンジン停止およびエンジン駆動系の切り離しを伴うHEV→EVモード切り替え要求の発生瞬時t2に(ステップS21)、電動ポンプE/Pを駆動する(ステップS22)と共に、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bおよびハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの解放を指令し(ステップS23)、瞬時t3におけるごとくこれらローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bおよびハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの解放により副変速機31が中立状態にされてエンジン駆動系を車輪5から切り離し終えたのを判定(ステップS24)する瞬時t4に、エンジン1の停止(フューエルカットF/C)およびトルクコンバータT/Cのロックアップ解除を指令して遂行する(ステップS25およびステップS26)。
なお瞬時t3以降においては、ステップS22で駆動された電動ポンプE/Pからの作動油をハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの作動油室内に充満させるプリチャージによりハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cを作動油予充填状態となしておく。
<第3実施例の効果>
上記した本発明の第3実施例になる変速制御装置にあっても、前記した第1実施例の効果をそのまま奏し得るのに加えて、以下の効果をも奏することができる。
つまり、EVモード選択状態で作動させておく電動ポンプE/Pの駆動を、HEV→EVモード切り替え中における副変速機31の中立状態への移行(エンジン駆動系および車輪間の切り離し)が指令された時に開始させるため、
副変速機31の中立状態への移行(エンジン駆動系および車輪間の切り離し)と、エンジン停止までの間において電動ポンプE/Pが作動油を変速機に供給することができ、油量不足になるのを防止することができる。
<第4実施例>
図14は、本発明の第4実施例になる変速制御装置のHEV→EVモード切り替え制御プログラムを示す。
本実施例においてもハイブリッド車両の駆動系は、図1,2につき前述した第1実施例におけると同様なものとし、これらの図におけるハイブリッドコントローラ21が、図4の制御プログラムを実行してEV→HEVモード切り替え時における副変速機31の変速制御を前述した通りに遂行し、また図14の制御プログラムを実行して、エンジン停止およびエンジン駆動系の切り離しを伴うHEV→EVモード切り替え制御を以下のごとくに遂行すると共に、このHEV→EVモード切り替え中に、図4のステップS12で説明した通りEVモードで駆動されている電動ポンプE/Pの駆動を以下のタイミングで開始させるものとする。
図14は、図12と基本的に同様なもので、図12にステップS31を追加した点で相違するのみである。
そのため、図14において、図12と同様なステップには同一符号を付し、重複説明を避けた。
ステップS31はステップS21およびステップS22間に介在させ、このステップS31では車速VSPが発生しているか否かにより、車両が走行中か停車中かを判定する。
このステップS31で車両走行中と判定する場合のみステップS22を選択して、EVモードで作動させておくべき電動ポンプE/Pの駆動を開始するが、ステップS31で停車中と判定する場合はステップS22をスキップして制御をステップS23へ進めることにより、ステップS22を実行しないことで、電動ポンプE/Pを駆動させることなく停止状態に保つ。
<第4実施例の効果>
上記した本発明の第4実施例になる変速制御装置にあっても、前記した第1実施例および第3実施例の効果をそのまま奏し得るのに加えて、以下の効果をも奏することができる。
つまり第4実施例では、EVモード選択状態で作動させておく電動ポンプE/Pの駆動を、HEV→EVモード切り替え中における副変速機31の中立状態への移行(エンジン駆動系および車輪間の切り離し)が指令された時に開始させるが、電動ポンプE/Pの駆動開始条件としてステップS31による走行判定が加わったことで、電動ポンプE/Pが停車中なのに無駄に駆動されるのを防止することができ、電動ポンプE/Pの消費電力を節約することができる。
<第5実施例>
図15は、本発明の第5実施例になる変速制御装置のHEV→EVモード切り替え制御プログラムを示す。
本実施例においてもハイブリッド車両の駆動系は、図1,2につき前述した第1実施例におけると同様なものとし、これらの図におけるハイブリッドコントローラ21が、図4の制御プログラムを実行してEV→HEVモード切り替え時における副変速機31の変速制御を前述した通りに遂行し、また図15の制御プログラムを実行して、エンジン停止およびエンジン駆動系の切り離しを伴うHEV→EVモード切り替え制御を以下のごとくに遂行すると共に、このHEV→EVモード切り替え中に、図4のステップS12で説明した通りEVモードで駆動されている電動ポンプE/Pの駆動を以下のタイミングで開始させるものとする。
図15のHEV→EVモード切り替え制御では、先ずステップS21において、HEV→EVモード切り替えに際して必要なエンジン1の停止要求および副変速機31の中立状態によるエンジン駆動系の切り離し要求が有るか否かをチェックする。
当該要求が発生したら(HEV→EVモード切り替え要求が発生したら)、ステップS23において、副変速機31のローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bおよびハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの解放を指令し、これらローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bおよびハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cを解放させることにより副変速機31を中立状態となし、エンジン1および無段変速機構CVTから成るエンジン駆動系を車輪5から切り離す。
ステップS24では、上記ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bおよびハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの解放が完了して副変速機31が中立状態になったか否かを、つまり副変速機31がエンジン駆動系を車輪5から切り離したか否かをチェックする。
副変速機31が中立状態となってエンジン駆動系を車輪5から切り離したとき、ステップS22において、EVモードで作動させておくべき電動ポンプE/Pの駆動を開始する。
かかる電動ポンプE/Pの駆動開始に応答してステップS25で、エンジン1の停止(フューエルカットF/C)およびトルクコンバータT/Cのロックアップ解除を指令し、これによりステップS26でエンジン停止およびロックアップ解除を完了する。
上記した、図15によるHEV→EVモード切り替え制御を、図16に基づき以下に説明する。
図16は、副変速機31を2速選択状態にしたロックアップ状態でのDレンジ走行中において瞬時t1に図3の矢A3で示すような運転状態の変化(アクセルペダル19からブレーキペダル16への踏み替え)により運転領域がHEVドライブ領域からEVコースト領域に移行し、この状態が所定時間ΔTだけ継続したことにより、瞬時t2にエンジン停止およびエンジン駆動系の切り離しを伴うHEV→EVモード切り替え要求が発生した(ステップS21)場合の動作タイムチャートを示す。
エンジン停止およびエンジン駆動系の切り離しを伴うHEV→EVモード切り替え要求の発生瞬時t2に(ステップS21)、ローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bおよびハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの解放を指令し(ステップS23)、これらローブレーキ(低速段選択用締結要素)L/Bおよびハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの解放により副変速機31が中立状態にされてエンジン駆動系を車輪5から切り離し終えた瞬時t3に(ステップS24)、電動ポンプE/Pの駆動を開始させ(ステップS22)、かかる電動ポンプE/Pの駆動開始に応答して瞬時t4にエンジン1の停止(フューエルカットF/C)およびトルクコンバータT/Cのロックアップ解除を指令して遂行する(ステップS25およびステップS26)。
なお瞬時t3以降においては、ステップS22で駆動された電動ポンプE/Pからの作動油をハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cの作動油室内に充満させるプリチャージによりハイクラッチ(高速段選択用締結要素)H/Cを作動油予充填状態となしておく。
<第5実施例の効果>
上記した本発明の第5実施例になる変速制御装置にあっても、前記した第1実施例の効果をそのまま奏し得るのに加えて、以下の効果をも奏することができる。
つまり、EVモード選択状態で作動させておく電動ポンプE/Pの駆動を、HEV→EVモード切り替え中における副変速機31の中立状態への移行(エンジン駆動系および車輪間の切り離し)が完了した時に開始させるため、
電動ポンプE/Pの駆動開始を、図13の俊時t2よりも遅い図16の瞬時t3へと遅らせることができ、電動ポンプE/Pの消費電力を更に節約することができる。
<第6実施例>
図17は、本発明の第6実施例になる変速制御装置のHEV→EVモード切り替え制御プログラムを示す。
本実施例においてもハイブリッド車両の駆動系は、図1,2につき前述した第1実施例におけると同様なものとし、これらの図におけるハイブリッドコントローラ21が、図4の制御プログラムを実行してEV→HEVモード切り替え時における副変速機31の変速制御を前述した通りに遂行し、また図17の制御プログラムを実行して、エンジン停止およびエンジン駆動系の切り離しを伴うHEV→EVモード切り替え制御を以下のごとくに遂行すると共に、このHEV→EVモード切り替え中に、図4のステップS12で説明した通りEVモードで駆動されている電動ポンプE/Pの駆動を以下のタイミングで開始させるものとする。
図17は、図15と基本的に同様なもので、図15にステップS31を追加した点で相違するのみである。
そのため、図17において、図15と同様なステップには同一符号を付し、重複説明を避けた。
ステップS31はステップS24およびステップS22間に介在させ、このステップS31では車速VSPが発生しているか否かにより、車両が走行中か停車中かを判定する。
このステップS31で車両走行中と判定する場合のみステップS22を選択して、EVモードで作動させておくべき電動ポンプE/Pの駆動を開始するが、ステップS31で停車中と判定する場合はステップS22をスキップして制御をステップS25へ進めることにより、ステップS22を実行しないことで、電動ポンプE/Pを駆動させることなく停止状態に保つ。
<第6実施例の効果>
上記した本発明の第6実施例になる変速制御装置にあっても、前記した第1実施例および第5実施例の効果をそのまま奏し得るのに加えて、以下の効果をも奏することができる。
つまり第6実施例では、EVモード選択状態で作動させておく電動ポンプE/Pの駆動を、HEV→EVモード切り替え中における副変速機31の中立状態への移行(エンジン駆動系および車輪間の切り離し)が完了した時に開始させるが、電動ポンプE/Pの駆動開始条件としてステップS31による走行判定が加わったことで、電動ポンプE/Pが停車中なのに無駄に駆動されるのを防止することができ、電動ポンプE/Pの消費電力を節約することができる。
<第7実施例>
図18は、本発明の第7実施例になる変速制御装置の電動ポンプ駆動制御プログラムを示す。
本実施例においてもハイブリッド車両の駆動系は、図1,2につき前述した第1実施例におけると同様なものとし、これらの図におけるハイブリッドコントローラ21が、図4の制御プログラムを実行してEV→HEVモード切り替え時における副変速機31の変速制御を前述した通りに遂行し、また図18の制御プログラムを実行して、図4のステップS12で説明した通りEVモードで駆動すべき電動ポンプE/Pを以下のように駆動制御するものとする。
図18は、先ずステップS41においてエンジン1が停止状態か否かを(EVモードか、HEVモードかを)チェックし、
エンジン停止状態(EVモード)である婆、ステップS42において車速VSP=0化否かにより車両が停車中か走行中かをチェックする。
停車中ならステップS43で電動ポンプE/Pを停止させるが、走行中ならステップS44で電動ポンプE/Pを駆動させ続ける。
上記した、図18による電動ポンプE/Pの駆動制御を、図19に基づき以下に説明する。
図19は、EV回生走行中、図3の矢A4で示すような運転状態の変化(ブレーキペダル踏み込み状態での車速低下)により、運転領域がEVコースト領域から瞬時t1にEVモード停車状態へ移行した(ステップS41およびステップS42)場合の動作タイムチャートを示す。
本実施例によれば、図4のステップS12で説明した通り電動ポンプE/PをEVモードで駆動すると雖も、かかる電動ポンプE/Pの駆動(ステップS44)を、ステップS42で車両走行中と判定する間のみとし、ステップS42で停車中と判定する瞬時t1には、EVモード継続中であっても電動ポンプE/Pを駆動停止させる(ステップS43)。
<第7実施例の効果>
上記した本発明の第7実施例になる変速制御装置にあっても、前記した第1実施例の効果をそのまま奏し得るのに加えて、以下の効果をも奏することができる。
つまり、EVモードで駆動させるべき電動ポンプE/Pを車両走行中のみとし、停車中は図19の瞬時t1以降に示すように電動ポンプE/Pを、EVモード継続中であっても駆動停止させるため、
電動ポンプE/Pが停車中なのに無駄に駆動されるのを防止することができ、電動ポンプE/Pの消費電力を節約することができる。
1 エンジン(動力源)
2 電動モータ(動力源)
3 スタータモータ
4 Vベルト式無段変速機
5 駆動車輪
6 プライマリプーリ
7 セカンダリプーリ
8 Vベルト
CVT 無段変速機構
T/C トルクコンバータ
9,11 ファイナルギヤ組
12 バッテリ
13 インバータ
14 ブレーキディスク
15 キャリパ
16 ブレーキペダル
17 負圧式ブレーキブースタ
18 マスターシリンダ
19 アクセルペダル
21 ハイブリッドコントローラ
22 エンジンコントローラ
23 モータコントローラ
24 変速機コントローラ
25 バッテリコントローラ
26 ブレーキスイッチ
27 アクセル開度センサ
O/P オイルポンプ(機動ポンプ)
E/P 電動ポンプ
31 副変速機
H/C ハイクラッチ(高速段選択用締結要素)
R/B リバースブレーキ
L/B ローブレーキ(低速段選択用締結要素)
32 車速センサ
33 車両加速度センサ
35 ライン圧ソレノイド
36 ロックアップソレノイド
37 プライマリプーリ圧ソレノイド
38 ローブレーキ圧ソレノイド
39 ハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧ソレノイド
41 スイッチバルブ

Claims (7)

  1. 動力源としてエンジンのほかに電動モータを具え、
    前記エンジンにより駆動される機動ポンプからの作動媒体で断接制御される低速段選択用締結要素および高速段選択用締結要素の選択的締結により低速段選択状態または高速段選択状態となる変速機を介して前記エンジンおよび変速機より成るエンジン駆動系が車輪に切り離し可能に駆動結合され、
    該駆動結合を解いてエンジン駆動系および車輪間を切り離すと共に前記エンジンを停止させることで前記電動モータのみにより前記車輪を駆動する電気走行モードの選択が可能であるほか、前記エンジンを始動させると共に前記エンジン駆動系および車輪間を駆動結合することで前記電動モータおよびエンジンにより前記車輪を駆動するハイブリッド走行モードが選択可能なハイブリッド車両の変速制御装置において、
    前記エンジンを停止させている電気走行モードで電力駆動される電動ポンプを設け、
    電気走行モードで該電動ポンプからの作動媒体を前記高速段選択用締結要素の締結作動室内に充満させるプリチャージにより該高速段選択用締結要素を作動媒体予充填状態となすよう構成し、
    前記低速段選択用締結要素の締結作動室に係るシール構造を、該低速段選択用締結要素の締結作動室からの作動媒体漏洩量が最少となるよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
  2. 請求項1に記載された、ハイブリッド車両の変速制御装置において、
    前記電気走行モードで前記低速段選択用締結要素の締結による低速段の選択が指令される低速段選択指令時に、前記プリチャージにより作動媒体予充填状態にされていた前記高速段選択用締結要素の締結作動室内を圧力低下させるよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
  3. 請求項1または2に記載された、ハイブリッド車両の変速制御装置において、
    前記低速段選択用締結要素の締結による低速段の選択が完了したとき、または前記高速段選択用締結要素の締結による高速段の選択が完了したとき、前記電動ポンプを駆動停止させるよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
  4. 請求項1または2に記載された、ハイブリッド車両の変速制御装置において、
    前記ハイブリッド走行モードから電気走行モードへの切り替え用に前記エンジン駆動系および車輪間の切り離しが指令されたとき、前記電動ポンプを駆動させるよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
  5. 請求項1または2に記載された、ハイブリッド車両の変速制御装置において、
    前記電気走行モードからハイブリッド走行モードへの切り替え用のエンジン始動が完了して該エンジンが完爆したとき、前記電動ポンプを駆動停止させるよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
  6. 請求項1または2に記載された、ハイブリッド車両の変速制御装置において、
    前記ハイブリッド走行モードから電気走行モードへの切り替え用に前記エンジン駆動系および車輪間の切り離しが完了したとき、前記電動ポンプを駆動させるよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
  7. 請求項4または5に記載された、ハイブリッド車両の変速制御装置において、
    前記電動ポンプの駆動は、車両が走行中である間に限って行わせるよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
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