JP2010173493A - 車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents

車両用動力伝達装置の制御装置 Download PDF

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淳 田端
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亨 松原
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Abstract

【課題】変速部と電動機とを備える車両用動力伝達装置において、変速ショックの低減と燃費向上とを両立させつつドライバビリティの低下を抑制する。
【解決手段】コースト走行中の第2電動機M2による回生時に自動変速部20のダウンシフトを実行する際は単一変速又は飛び変速により実行されるので、例えば第2電動機M2による回生中には燃費が向上させられる。特に、飛び変速時には単一変速時に比べて燃費が一層向上させられる。また、変速ショックが増大する可能性の高い低作動油温時には、単一変速時に比べて元々変速ショックが生じ易い飛び変速が禁止されるので、変速ショックが増大してしまうことが回避される。
【選択図】図6

Description

本発明は、変速部と、その変速部の入力側回転部材に動力伝達可能に連結された電動機とを備える車両用動力伝達装置の制御装置に係り、特に、電動機による回生中における変速部の変速制御に関するものである。
変速部と、その変速部の入力側回転部材に動力伝達可能に連結された電動機とを備える車両用動力伝達装置が良く知られている。例えば、特許文献1に記載された車両用駆動装置がそれである。この車両用駆動装置は、エンジンに連結された差動機構とその差動機構に連結された第1電動機とを有し第1電動機の運転状態が制御されることにより差動機構の差動状態が制御される電気式差動部と、電気式差動部の出力側の動力伝達経路の一部を構成する自動変速部と、自動変速部の入力側に動力伝達可能に連結された第2電動機とを備えている。このように構成された特許文献1の車両用駆動装置の制御装置では、車両減速時に第2電動機による回生制御を実行する場合、自動変速部の変速比を大きくするダウンシフト制御を実行することで、第2電動機の回転速度を上昇させて回生効率を向上させている。
また、特許文献2には、回生制動中に積極的に飛び変速を行うことで、回生量を多く採ることが開示されている。また、特許文献3には、車両減速時に電動機を発電させることによって制動エネルギーを回収する回生制動制御の際、変速機を現変速段と現変速段よりも大きいギヤ比の変速段との中で回収可能なエネルギーの量が最大となる変速段に変速することで、より効率よくエネルギーを回収できることが開示されている。また、これによって4速→2速や4速→1速というような飛び変速が可能となり、変速回数を減らすことができてエネルギーの回収効率が向上することが開示されている。このように、減速回生時には、ダウンシフトを実施することで回生効率を向上させることができる。
特開2007−50866号公報 特開2008−94253号公報 特開平9−9407号公報
しかしながら、回生制御中に変速が為されると、例えば減速度が変動することによる変速ショックが生じる可能性がある。このような変速ショックは、例えば変速部の温度例えば変速部の作動油の温度が低いために作動油の粘性が変化して変速部内の摩擦材の動摩擦係数μが安定しないような状態では、より発生し易くなる可能性がある。特に、回生効率を一層向上させる為に飛び変速にて変速部のダウンシフトを行うと、単一のダウンシフトに比べ燃費向上効果が得られやすいものの、その反面、飛び変速は単一のダウンシフトに比べて制御し難く元々変速ショックが生じやすいことと相俟って、低作動油温時には一層変速ショックが発生し易くなる可能性がある。このように、飛びダウンシフトを行うことで回生効率が向上するが、場合によっては変速ショックが増大してしまい、ドライバビリティ(例えば快適性)が低下する可能性がある。尚、これらの課題は未公知であり、回生制御中に飛び変速にてダウンシフトを行うことと、変速ショックを低減することとを関連付けて制御することについては未だ提案されていない。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、変速部と電動機とを備える車両用動力伝達装置において、変速ショックの低減と燃費向上とを両立させつつドライバビリティの低下を抑制することができる制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 動力伝達経路の一部を構成する変速部と、その変速部の入力側回転部材に動力伝達可能に連結された電動機とを備える車両用動力伝達装置の制御装置であって、(b) コースト走行中の前記電動機による回生時に前記変速部の変速を実行する際は、単一変速又は飛び変速によりその変速を実行するものであり、(c) 前記変速部の作動油温が所定油温以下である場合は前記飛び変速を禁止することにある。
このようにすれば、コースト走行中の前記電動機による回生時に前記変速部の変速を実行する際は単一変速又は飛び変速によりその変速が実行されるので、例えば電動機による回生中には燃費が向上させられる。特に、飛び変速時には単一変速時に比べて燃費が一層向上させられる。また、変速ショックが増大する可能性の高い低作動油温時には、単一変速時に比べて元々変速ショックが生じ易い飛び変速が禁止されるので、変速ショックが増大してしまうことが回避される。よって、変速ショックの低減と燃費向上とを両立させつつドライバビリティの低下を抑制することができる制御装置が提供される。
ここで、好適には、車輪にブレーキトルクを付与する制動装置を備え、前記回生時に前記ブレーキトルクが未付与であるときは前記飛び変速を禁止する。このようにすれば、前記回生時に前記ブレーキトルクが未付与であるときは例えば制動ショックに紛らして変速ショックを目立ち難くすることができない非制動時は、変速ショックが目立ってしまうことが回避されてドライバビリティが向上する。
また、好適には、前記回生時に前記ブレーキトルクが付与されているときは前記飛び変速を実行するか或いは許容する。このようにすれば、前記回生時に前記ブレーキトルクが付与されているときは例えば制動ショックに紛らして変速ショックを目立ち難くすることができる制動時は、例えば回生効率を優先した飛び変速が実行されて燃費が向上させられる。
また、好適には、前記変速部の単一変速を実行する際は変速ショックを抑制する為の変速時協調制御を行う。このようにすれば、例えば電動機による回生中の飛び変速でない単一の変速時には変速ショックが低減される。
また、好適には、前記変速部の飛び変速を実行する際は前記変速時協調制御を禁止する。このようにすれば、例えば飛び変速時に協調制御が実行し難くなることで却って変速ショックが増大してしまうことが回避される。
また、好適には、前記変速時協調制御とは、前記変速部の変速中におけるイナーシャ相にて前記回生時に前記電動機により付与されている回生トルクを低減する回生協調制御である。このようにすれば、コースト走行中において電動機による回生トルクが付与されているときの変速部の変速の際、イナーシャ相にて車両を減速させる方向に発生するイナーシャによるトルク分が回生トルクの低減により相殺されるので、回生制御中の変速ショックが適切に低減される。
また、好適には、車輪にブレーキトルクを付与する制動装置を備え、前記変速時協調制御とは、前記回生時に前記電動機により付与されている回生トルク分を少なくとも前記変速部の変速期間内は前記ブレーキトルクに置き換えて車両に制動力を付与する制動力協調制御である。このようにすれば、コースト走行中において電動機による回生トルクが付与されているときの変速部の変速の際、変速部を介して駆動輪へ伝達される回生トルクが発生しておらず、車輪に直接的に付与されるブレーキトルクにより車両の制動トルク(制動力)が発生させられているので、変速ショックが適切に抑制される。
また、好適には、前記制動力協調制御は、前記変速部の変速開始前或いは変速開始時に前記回生トルク分を前記ブレーキトルクに置き換えると共に、前記変速部の変速中に前記ブレーキトルクにより車両に制動力を付与しながら、前記変速部内の動力伝達経路を解放状態として前記電動機により前記変速部の入力側回転部材を変速後の回転速度に同期させる変速時同期制御を行う。このようにすれば、制動力協調制御により精度良く回生トルクがブレーキトルクに置き換えられると共に、速やかに変速部の変速が進行させられる。
また、好適には、前記変速部の変速は、ダウンシフトである。このようにすれば、電動機による回生中の変速(ダウンシフト)によって電動機の回転速度が上昇させられ、高回転・低トルク域での運転が効率良いとされている電動機の回生効率が向上して燃費が向上させられる。
また、好適には、エンジンに動力伝達可能に連結された差動部を更に備え、前記変速部は、前記エンジンから駆動輪への動力伝達経路の一部を構成する。このようにすれば、エンジン、差動部、変速部、電動機を備えた実用的な車両用動力伝達装置において、変速ショックの低減と燃費向上とを両立させつつドライバビリティの低下を抑制することができる制御装置が提供される。
また、好適には、前記差動部は、前記エンジンに動力伝達可能に連結された差動機構とその差動機構に動力伝達可能に連結された差動用電動機とを有し、その差動用電動機の運転状態が制御されてその差動機構の差動状態が制御されることにより電気的な無段変速機として作動する。このようにすれば、電気的な無段変速機として機能する差動部を備えた実用的な車両用動力伝達装置において、変速ショックの低減と燃費向上とを両立させつつドライバビリティの低下を抑制することができる制御装置が提供される。また、差動部から出力される駆動トルクを滑らかに変化させることが可能である。尚、差動部は、その変速比を連続的に変化させて電気的な無段変速機として作動させる他に変速比を段階的に変化させて有段変速機として作動させることも可能である。
また、好適には、前記変速部は、機械的に変速比が設定される有段変速機である。このようにすれば、複数の変速段が段階的に成立させられる有段変速機(変速部)を備えた実用的な車両用動力伝達装置において、変速ショックの低減と燃費向上とを両立させつつドライバビリティの低下を抑制することができる制御装置が提供される。
また、好適には、前記自動変速機は、複数組の遊星歯車装置の回転要素が摩擦係合装置によって選択的に連結されることにより複数のギヤ段(変速段)が択一的に達成される例えば前進4段、前進5段、前進6段、更にはそれ以上の変速段を有する等の種々の遊星歯車式多段変速機により構成される。この遊星歯車式多段変速機における摩擦係合装置としては、油圧アクチュエータによって係合させられる多板式、単板式のクラッチやブレーキ、或いはベルト式のブレーキ等の油圧式摩擦係合装置が広く用いられる。この油圧式摩擦係合装置を係合させるための作動油を供給するオイルポンプは、例えば走行用駆動力源により駆動されて作動油を吐出するものでも良いが、走行用駆動力源とは別に配設された専用の電動モータなどで駆動されるものでも良い。また、クラッチ或いはブレーキは、油圧式摩擦係合装置以外に電磁式係合装置例えば電磁クラッチや磁粉式クラッチ等であってもよい。
また、好適には、上記油圧式摩擦係合装置を含む油圧制御回路は、例えばリニアソレノイドバルブの出力油圧を直接油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)にそれぞれ供給することが応答性の点で望ましいが、そのリニアソレノイドバルブの出力油圧をパイロット油圧として用いることによりシフトコントロールバルブを制御して、そのコントロールバルブから油圧アクチュエータに作動油を供給するように構成することもできる。
また、好適には、上記リニアソレノイドバルブは、例えば複数の油圧式摩擦係合装置の各々に対応して1つずつ設けられるが、同時に係合したり係合、解放制御したりすることがない複数の油圧式摩擦係合装置が存在する場合には、それ等に共通のリニアソレノイドバルブを設けることもできるなど、種々の態様が可能である。また、必ずしも全ての油圧式摩擦係合装置の油圧制御をリニアソレノイドバルブで行う必要はなく、一部乃至全ての油圧制御をON−OFFソレノイドバルブのデューティ制御など、リニアソレノイドバルブ以外の調圧手段で行っても良い。尚、この明細書で「油圧を供給する」という場合は、「油圧を作用させ」或いは「その油圧に制御された作動油を供給する」ことを意味する。
また、好適には、前記差動機構は、前記エンジンに連結された第1回転要素と前記差動用電動機に連結された第2回転要素と前記走行用電動機に連結された第3回転要素との3つの回転要素を有する装置である。このようにすれば、前記差動機構が簡単に構成される。
また、好適には、前記差動機構はシングルピニオン型の遊星歯車装置であり、前記第1回転要素はその遊星歯車装置のキャリヤであり、前記第2回転要素はその遊星歯車装置のサンギヤであり、前記第3回転要素はその遊星歯車装置のリングギヤである。このようにすれば、前記差動機構の軸心方向寸法が小さくなる。また、差動機構が1つのシングルピニオン型遊星歯車装置によって簡単に構成される。
本発明の制御装置が適用される車両用動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。 図1の車両用動力伝達装置に備えられた自動変速部の変速作動とそれに用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせとの関係を説明する作動図表である。 図1の車両用動力伝達装置における各ギヤ段の相対回転速度を説明する共線図である。 図1の車両用動力伝達装置に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。 シフトレバーを備えた複数種類のシフトポジションを選択するために操作されるシフト操作装置の一例である。 図4の電子制御装置による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図1の車両用動力伝達装置において、自動変速部の変速判断の基となる予め記憶された変速線図の一例と、動力伝達装置の変速状態の切換判断の基となる予め記憶された切換線図の一例と、エンジン走行とモータ走行とを切り換える為の予め記憶された駆動力源切換線図の一例とを示す図であって、それぞれの関係を示す図でもある。 第2電動機の等効率線の一例を示す図である。 図1のエンジンの最適燃費率曲線の一例を示す図である。 電子制御装置の制御作動の要部すなわち変速ショックの低減と燃費向上とを両立させつつドライバビリティの低下を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートである。 図10の制御作動に対応するタイムチャートであり、制動力協調制御が実行される場合の一例である。 図10の制御作動に対応するタイムチャートであり、回生協調制御が実行される場合の一例である。 電子制御装置の制御作動の要部すなわち変速ショックの低減と燃費向上とを両立させつつドライバビリティの低下を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであり、図10のフローチャートに相当する別の実施例である。 本発明の他の実施例における動力伝達装置の構成を説明する骨子図であって、図1に相当する図である。 図14の動力伝達装置の変速作動に用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせを説明する作動図表であって、図2に相当する図である。 図14の動力伝達装置における各ギヤ段の相対的回転速度を説明する共線図であって、図3に相当する図である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の制御装置が適用される車両用動力伝達装置10(以下、動力伝達装置10と表す)を説明する骨子図であり、この動力伝達装置10はハイブリッド車両に好適に用いられる。図1において、動力伝達装置10は車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース12(以下、ケース12と表す)内において共通の軸心上に配設された入力回転部材としての入力軸14と、この入力軸14に直接に或いは図示しない脈動吸収ダンパー(振動減衰装置)などを介して間接に連結された無段変速部としての差動部11と、その差動部11と駆動輪34(図6参照)との間の動力伝達経路で伝達部材(伝動軸)18を介して直列に連結されている変速部としての自動変速部20と、この自動変速部20に連結されている出力回転部材としての出力軸22とを直列に備えている。この動力伝達装置10は、例えば車両において縦置きされるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両に好適に用いられるものであり、入力軸14に直接に或いは図示しない脈動吸収ダンパーを介して直接的に連結された走行用の第1駆動力源として例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジン8と一対の駆動輪34との間に設けられて、エンジン8からの動力を動力伝達経路の一部を構成する差動歯車装置(終減速機)32(図6参照)及び一対の車軸等を順次介して一対の駆動輪34へ伝達する。
このように、本実施例の動力伝達装置10においてはエンジン8と差動部11とは直結されている。この直結にはトルクコンバータやフルードカップリング等の流体式伝動装置を介することなく連結されているということであり、例えば上記脈動吸収ダンパーなどを介する連結はこの直結に含まれる。なお、動力伝達装置10はその軸心に対して対称的に構成されているため、図1の骨子図においてはその下側が省略されている。以下の各実施例についても同様である。
本発明の電気式差動部に対応する差動部11は、動力分配機構16と、動力分配機構16に動力伝達可能に連結されて動力分配機構16の差動状態を制御するための差動用電動機として機能する第1電動機M1と、自動変速部20の入力側回転部材としても機能する伝達部材18と一体的に回転するようにその伝達部材18に動力伝達可能に連結されている第2電動機M2とを備えている。
本実施例の第1電動機M1及び第2電動機M2は、何れも電力授受可能に構成されたものである。すなわち、電気エネルギから機械的な駆動力を発生させる発動機としての機能及び機械的な駆動力から電気エネルギを発生させる発電機としての機能を有する所謂モータジェネレータである。換言すれば、動力伝達装置10において、電動機Mは何れも主動力源であるエンジン8の代替として、或いはそのエンジン8と共に走行用の駆動力を発生させる動力源(副動力源)として機能し得る。また、他の動力源により発生させられた駆動力から回生により電気エネルギを発生させ、インバータ54(図6参照)を介して他の電動機Mに供給したり、その電気エネルギを蓄電装置56(図6参照)に蓄積する等の作動を行う。
第1電動機M1は反力を発生させるためのジェネレータ(発電)機能を少なくとも備え、第2電動機M2は走行用の第2駆動力源として駆動力を出力する走行用電動機として機能するためモータ(電動機)機能を少なくとも備える。また、好適には、第1電動機M1及び第2電動機M2は、何れもその発電機としての発電量を連続的に変更可能に構成されたものである。また、第1電動機M1及び第2電動機M2は、動力伝達装置10の筐体であるケース12内に備えられ、動力伝達装置10の作動流体である自動変速部20の作動油により冷却される。
動力分配機構16は、エンジン8に動力伝達可能に連結された差動機構であって、例えば「0.418」程度の所定のギヤ比ρ0を有するシングルピニオン型の差動部遊星歯車装置24と、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0とを主体として構成されており、入力軸14に入力されたエンジン8の出力を機械的に分配する機械的機構である。この差動部遊星歯車装置24は、差動部サンギヤS0、差動部遊星歯車P0、その差動部遊星歯車P0を自転及び公転可能に支持する差動部キャリヤCA0、差動部遊星歯車P0を介して差動部サンギヤS0と噛み合う差動部リングギヤR0を回転要素(要素)として備えている。差動部サンギヤS0の歯数をZS0、差動部リングギヤR0の歯数をZR0とすると、上記ギヤ比ρ0はZS0/ZR0である。
この動力分配機構16においては、差動部キャリヤCA0は入力軸14すなわちエンジン8に連結され、差動部サンギヤS0は第1電動機M1に連結され、差動部リングギヤR0は伝達部材18に連結されている。また、切換ブレーキB0は差動部サンギヤS0とケース12との間に設けられ、切換クラッチC0は差動部サンギヤS0と差動部キャリヤCA0との間に設けられている。このように構成された動力分配機構16は、それら切換クラッチC0及び切換ブレーキB0が解放されると、差動部遊星歯車装置24の3要素である差動部サンギヤS0、差動部キャリヤCA0、差動部リングギヤR0がそれぞれ相互に相対回転可能とされて差動作用が作動可能なすなわち差動作用が働く差動可能状態(差動状態)とされることから、エンジン8の出力が第1電動機M1と伝達部材18とに分配されると共に、分配されたエンジン8の出力の一部で第1電動機M1から発生させられた電気エネルギで蓄電されたり第2電動機M2が回転駆動されるので、差動部11(動力分配機構16)は電気的な差動装置として機能させられて例えば差動部11は所謂無段変速状態(電気的CVT状態)とされて、エンジン8の所定回転に拘わらず伝達部材18の回転が連続的に変化させられる。すなわち、動力分配機構16が差動状態とされると差動部11も差動状態とされ、差動部11はその変速比γ0(入力軸14の回転速度NIN/伝達部材18の回転速度N18)が最小値γ0min から最大値γ0max まで連続的に変化させられる電気的な無段変速機として機能する無段変速状態とされる。このように動力分配機構16が差動状態とされると、動力分配機構16(差動部11)に動力伝達可能に連結された第1電動機M1及び第2電動機M2の一方又は両方の運転状態(動作点)が制御されることにより、動力分配機構16の差動状態、すなわち入力軸14の回転速度と伝達部材18の回転速度の差動状態が制御される。
この状態で、切換クラッチC0或いは切換ブレーキB0が係合させられると動力分配機構16は前記差動作用をしないすなわち差動作用が不能な非差動状態(差動制限状態)とされる。具体的には、切換クラッチC0が係合させられて差動部サンギヤS0と差動部キャリヤCA0とが一体的に係合させられると、動力分配機構16は差動部遊星歯車装置24の3要素である差動部サンギヤS0、差動部キャリヤCA0、差動部リングギヤR0が共に回転すなわち一体回転させられるロック状態とされて前記差動作用が不能な非差動状態とされることから、差動部11も非差動状態とされる。また、エンジン8の回転と伝達部材18の回転速度とが一致する状態となるので、差動部11(動力分配機構16)は変速比γ0が「1」に固定された変速機として機能する定変速状態すなわち有段変速状態とされる。次いで、切換クラッチC0に替えて切換ブレーキB0が係合させられて差動部サンギヤS0がケース12に連結させられると、動力分配機構16は差動部サンギヤS0が非回転状態とさせられるロック状態とされて前記差動作用が不能な非差動状態とされることから、差動部11も非差動状態とされる。また、差動部リングギヤR0は差動部キャリヤCA0よりも増速回転されるので、動力分配機構16は増速機構として機能するものであり、差動部11(動力分配機構16)は変速比γ0が「1」より小さい値例えば0.7程度に固定された増速変速機として機能する定変速状態すなわち有段変速状態とされる。尚、動力分配機構16は切換クラッチC0または切換ブレーキB0が滑らされるスリップ係合状態とされることもあり、切換クラッチC0または切換ブレーキB0が係合させられた動力分配機構16の非差動状態も上記スリップ係合状態も、差動部11(動力分配機構16)の予め定められた差動状態つまり差動部遊星歯車装置24の3要素S0,CA0,R0が自由に相対回転可能な差動状態が得られない差動制限状態であると言える。また本実施例では、動力分配機構16の差動可能状態は切換クラッチC0及び切換ブレーキB0が解放され差動部遊星歯車装置24の3要素が自由に相対回転可能な差動状態であるとして説明しているので、上記差動可能状態には差動制限状態は含まれない。
このように、本実施例では、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0は、差動部11(動力分配機構16)の変速状態を差動状態すなわち非ロック状態と非差動状態すなわちロック状態とに、すなわち差動部11(動力分配機構16)を電気的な差動装置として作動可能な差動状態例えば変速比が連続的変化可能な無段変速機として作動する電気的な無段変速作動可能な無段変速状態と、電気的な無段変速作動しない変速状態例えば無段変速機として作動させず無段変速作動を非作動として変速比変化を一定にロックするロック状態すなわち1または2種類以上の変速比の単段または複数段の変速機として作動する電気的な無段変速作動をしないすなわち電気的な無段変速作動不能な定変速状態(非差動状態)、換言すれば変速比が一定の1段または複数段の変速機として作動する定変速状態とに選択的に切換える差動状態切換装置として機能している。言い換えれば、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0は差動部11(動力分配機構16)を非差動状態やスリップ係合状態を含む差動制限状態にすることができる差動制限装置として機能している。
自動変速部20は、差動部11から駆動輪34への動力伝達経路の一部を構成しており、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置26、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置28、及びシングルピニオン型の第3遊星歯車装置30を備え、有段式の自動変速機として機能する遊星歯車式の多段変速機である。第1遊星歯車装置26は、第1サンギヤS1、第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を備えており、例えば「0.562」程度の所定のギヤ比ρ1を有している。第2遊星歯車装置28は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、例えば「0.425」程度の所定のギヤ比ρ2を有している。第3遊星歯車装置30は、第3サンギヤS3、第3遊星歯車P3、その第3遊星歯車P3を自転及び公転可能に支持する第3キャリヤCA3、第3遊星歯車P3を介して第3サンギヤS3と噛み合う第3リングギヤR3を備えており、例えば「0.421」程度の所定のギヤ比ρ3を有している。第1サンギヤS1の歯数をZS1、第1リングギヤR1の歯数をZR1、第2サンギヤS2の歯数をZS2、第2リングギヤR2の歯数をZR2、第3サンギヤS3の歯数をZS3、第3リングギヤR3の歯数をZR3とすると、上記ギヤ比ρ1はZS1/ZR1、上記ギヤ比ρ2はZS2/ZR2、上記ギヤ比ρ3はZS3/ZR3である。
自動変速部20では、第1サンギヤS1と第2サンギヤS2とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されると共に第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第1キャリヤCA1は第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第3リングギヤR3は第3ブレーキB3を介してケース12に選択的に連結され、第1リングギヤR1と第2キャリヤCA2と第3キャリヤCA3とが一体的に連結されて出力軸22に連結され、第2リングギヤR2と第3サンギヤS3とが一体的に連結されて第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。
このように、自動変速部20内と差動部11(伝達部材18)とは自動変速部20の変速段を成立させるために用いられる第1クラッチC1又は第2クラッチC2を介して選択的に連結されている。言い換えれば、第1クラッチC1及び第2クラッチC2は、動力分配機構16(差動部11)と駆動輪34との間の動力伝達経路の一部に設けられた動力伝達を選択的に遮断可能な係合装置であり、すなわち、その動力伝達経路の動力伝達を可能とする動力伝達可能状態と、その動力伝達経路の動力伝達を遮断する動力伝達遮断状態とに選択的に切り換える係合装置として機能している。つまり、第1クラッチC1及び第2クラッチC2の少なくとの一方が係合されることで上記動力伝達経路が動力伝達可能状態とされ、或いは第1クラッチC1及び第2クラッチC2が解放されることで上記動力伝達経路が動力伝達遮断状態とされる。
前記切換クラッチC0、第1クラッチC1、第2クラッチC2、切換ブレーキB0、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、及び第3ブレーキB3(以下、特に区別しない場合はクラッチC、ブレーキBと表す)は、従来の車両用有段式自動変速機においてよく用いられている係合装置すなわち油圧式摩擦係合装置であって、互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型や、回転するドラムの外周面に巻き付けられた1本又は2本のバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成され、それが介挿されている両側の部材を選択的に連結するためのものである。
以上のように構成された動力伝達装置10では、例えば、図2の係合作動表に示されるように、前記切換クラッチC0、第1クラッチC1、第2クラッチC2、切換ブレーキB0、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、及び第3ブレーキB3が選択的に係合作動させられることにより、第1速ギヤ段(第1変速段)乃至第5速ギヤ段(第5変速段)の何れか或いは後進ギヤ段(後進変速段)或いはニュートラルが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。特に、本実施例では動力分配機構16に切換クラッチC0及び切換ブレーキB0が備えられており、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0の何れかが係合作動させられることによって、差動部11は前述した無段変速機として作動する無段変速状態に加え、変速比が一定の変速機として作動する定変速状態を構成することが可能とされている。従って、動力伝達装置10では、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0の何れかを係合作動させることで定変速状態とされた差動部11と自動変速部20とで有段変速機として作動する有段変速状態が構成され、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0の何れも係合作動させないことで無段変速状態とされた差動部11と自動変速部20とで電気的な無段変速機として作動する無段変速状態が構成される。言い換えれば、動力伝達装置10は、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0の何れかを係合作動させることで有段変速状態に切り換えられ、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0の何れも係合作動させないことで無段変速状態に切り換えられる。また、差動部11も有段変速状態と無段変速状態とに切り換え可能な変速機であると言える。
例えば、動力伝達装置10が有段変速機として機能する場合には、図2に示すように、切換クラッチC0、第1クラッチC1、及び第3ブレーキB3の係合により、変速比γ1が最大値例えば「3.357」程度である第1速ギヤ段が成立させられ、切換クラッチC0、第1クラッチC1、及び第2ブレーキB2の係合により、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値例えば「2.180」程度である第2速ギヤ段が成立させられ、切換クラッチC0、第1クラッチC1、及び第1ブレーキB1の係合により、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.424」程度である第3速ギヤ段が成立させられ、切換クラッチC0、第1クラッチC1、及び第2クラッチC2の係合により、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.000」程度である第4速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1、第2クラッチC2、及び切換ブレーキB0の係合により、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値例えば「0.705」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。また、第2クラッチC2及び第3ブレーキB3の係合により、変速比γRが第1速ギヤ段と第2速ギヤ段との間の値例えば「3.209」程度である後進ギヤ段が成立させられる。尚、ニュートラル「N」状態とする場合には、例えば全てのクラッチ及びブレーキC0,C1,C2,B0,B1,B2,B3が解放される。
一方、動力伝達装置10が無段変速機として機能する場合には、図2に示される係合表の切換クラッチC0及び切換ブレーキB0が共に解放される。これにより、差動部11が無段変速機として機能し、それに直列の自動変速部20が有段変速機として機能することにより、自動変速部20の第1速、第2速、第3速、第4速の各ギヤ段に対しその自動変速部20に入力される回転速度すなわち伝達部材18の回転速度が無段的に変化させられて各ギヤ段は無段的な変速比幅が得られる。従って、その各ギヤ段の間が無段的に連続変化可能な変速比となって動力伝達装置10全体としてのトータル変速比(総合変速比)γT(=エンジン回転速度N/出力軸22の回転速度NOUT)が無段階に得られるようになる。
図3は、無段変速部或いは第1変速部として機能する差動部11と有段変速部或いは第2変速部として機能する自動変速部20とから構成される動力伝達装置10において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図3の共線図は、各遊星歯車装置24、26、28、30のギヤ比ρの関係を示す横軸と、相対的回転速度を示す縦軸とから成る二次元座標であり、3本の横線のうちの下側の横線X1が回転速度零を示し、上側の横線X2が回転速度「1.0」すなわち入力軸14に連結されたエンジン8の回転速度Nを示し、横線XGが伝達部材18の回転速度を示している。
また、差動部11を構成する動力分配機構16の3つの要素に対応する3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素(第2要素)RE2に対応する差動部サンギヤS0、第1回転要素(第1要素)RE1に対応する差動部キャリヤCA0、第3回転要素(第3要素)RE3に対応する差動部リングギヤR0の相対回転速度を示すものであり、それらの間隔は差動部遊星歯車装置24のギヤ比ρ0に応じて定められている。さらに、自動変速部20の5本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7、Y8は、左から順に、第4回転要素(第4要素)RE4に対応し且つ相互に連結された第1サンギヤS1及び第2サンギヤS2を、第5回転要素(第5要素)RE5に対応する第1キャリヤCA1を、第6回転要素(第6要素)RE6に対応する第3リングギヤR3を、第7回転要素(第7要素)RE7に対応し且つ相互に連結された第1リングギヤR1、第2キャリヤCA2、第3キャリヤCA3を、第8回転要素(第8要素)RE8に対応し且つ相互に連結された第2リングギヤR2、第3サンギヤS3をそれぞれ表し、それらの間隔は第1、第2、第3遊星歯車装置26、28、30のギヤ比ρ1、ρ2、ρ3に応じてそれぞれ定められている。共線図の縦軸間の関係においてサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔とされるとキャリヤとリングギヤとの間が遊星歯車装置のギヤ比ρに対応する間隔とされる。すなわち、差動部11では縦線Y1とY2との縦線間が「1」に対応する間隔に設定され、縦線Y2とY3との間隔はギヤ比ρ0に対応する間隔に設定される。また、自動変速部20では各第1、第2、第3遊星歯車装置26、28、30毎にそのサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔に設定され、キャリヤとリングギヤとの間がρに対応する間隔に設定される。
上記図3の共線図を用いて表現すれば、本実施例の動力伝達装置10は、動力分配機構16(差動部11)において、差動部遊星歯車装置24の第1回転要素RE1(差動部キャリヤCA0)が入力軸14すなわちエンジン8に連結されると共に切換クラッチC0を介して第2回転要素(差動部サンギヤS0)RE2と選択的に連結され、第2回転要素RE2が第1電動機M1に連結されると共に切換ブレーキB0を介してケース12に選択的に連結され、第3回転要素(差動部リングギヤR0)RE3が伝達部材18及び第2電動機M2に連結されて、入力軸14の回転を伝達部材18を介して自動変速部20へ伝達する(入力させる)ように構成されている。このとき、Y2とX2の交点を通る斜めの直線L0により差動部サンギヤS0の回転速度と差動部リングギヤR0の回転速度との関係が示される。
例えば、差動部11において上記切換クラッチC0及び切換ブレーキB0の解放により無段変速状態(差動可能状態)に切換えられたときは、第1回転要素RE1乃至第3回転要素RE3が相互に相対回転可能とされる差動状態とされるので、第1電動機M1の回転速度を制御することによって直線L0と縦線Y1との交点で示される差動部サンギヤS0の回転が上昇或いは下降させられると、直線L0と縦線Y3との交点で示される差動部リングギヤR0の回転速度が車速Vに拘束されて略一定である場合には、直線L0と縦線Y2との交点で示される差動部キャリヤCA0の回転速度が上昇或いは下降させられる。また、切換クラッチC0の係合により差動部サンギヤS0と差動部キャリヤCA0とが連結されると、動力分配機構16は上記3回転要素が一体回転する非差動状態とされるので、直線L0は横線X2と一致させられ、エンジン回転速度Nと同じ回転で伝達部材18が回転させられる。或いは、切換ブレーキB0の係合によって差動部サンギヤS0の回転が停止させられると動力分配機構16は増速機構として機能する非差動状態とされるので、直線L0は図3に示す状態となり、その直線L0と縦線Y3との交点で示される差動部リングギヤR0すなわち伝達部材18の回転速度は、エンジン回転速度Nよりも増速された回転で自動変速部20へ入力される。
また、自動変速部20において第4回転要素RE4は第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されると共に第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第5回転要素RE5は第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第6回転要素RE6は第3ブレーキB3を介してケース12に選択的に連結され、第7回転要素RE7は出力軸22に連結され、第8回転要素RE8は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。
自動変速部20では、図3に示すように、第1クラッチC1と第3ブレーキB3とが係合させられることにより、第8回転要素RE8の回転速度を示す縦線Y8と横線XGとの交点と第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6と横線X1との交点とを通る斜めの直線L1と、出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第1速(1st)の出力軸22の回転速度が示される。同様に、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合させられることにより決まる斜めの直線L2と出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第2速(2nd)の出力軸22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L3と出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第3速(3rd)の出力軸22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合させられることにより決まる水平な直線L4と出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第4速(4th)の出力軸22の回転速度が示される。上記第1速乃至第4速では、切換クラッチC0が係合させられている結果、エンジン回転速度Nと同じ回転速度で第8回転要素RE8に差動部11すなわち動力分配機構16からの動力が入力される。一方、切換クラッチC0に替えて切換ブレーキB0が係合させられると、差動部11からの動力がエンジン回転速度Nよりも高い回転速度で入力されることから、第1クラッチC1、第2クラッチC2、及び切換ブレーキB0が係合させられることにより決まる水平な直線L5と出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第5速(5th)の出力軸22の回転速度が示される。
図4は、本実施例の動力伝達装置10を制御するための制御装置である電子制御装置80に入力される信号及びその電子制御装置80から出力される信号を例示している。この電子制御装置80は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりエンジン8や各電動機Mに関するハイブリッド駆動制御、自動変速部20の変速制御等の各種制御を実行するものである。
電子制御装置80には、図4に示すような各センサやスイッチなどから、エンジン8の冷却流体の温度であるエンジン水温THを表す信号、シフトレバー52(図5参照)のシフトポジションPSHや「M」ポジションにおける操作回数等を表す信号、エンジン8の回転速度であるエンジン回転速度Nを表す信号、Mモード(手動変速走行モード)を指令する信号、エアコンの作動を表す信号、出力軸22の回転速度NOUTに対応する車速V及び車両の進行方向を表す信号、自動変速部20の作動油温THOILを表す信号、運転席近傍に設けられて搭乗者によって操作され走行モードを選択するための走行モード切換スイッチ40からの自動変速部20の変速パターンを指示する信号、サイドブレーキ操作を表す信号、フットブレーキスイッチ42により検出された車輪(駆動輪34、不図示の従動輪)にブレーキトルク(制動力)を付与する制動装置としての良く知られたフットブレーキ装置(ホイールブレーキ装置)72の作動中(すなわちフットブレーキ操作中)を示すブレーキペダル44(図6参照)の操作(オン)BONを表すブレーキ操作信号、触媒温度を表す信号、運転者の出力要求量に対応するアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Accを表すアクセル開度信号、カム角を表す信号、スノーモード設定を表す信号、車両の前後加速度Gを表す信号、オートクルーズ走行を表す信号、車両の重量(車重)を表す信号、各車輪の車輪速を表す信号、第1電動機M1の回転速度NM1(以下、「第1電動機回転速度NM1」と表す)及びその回転方向を表す信号、第2電動機M2の回転速度NM2(以下、「第2電動機回転速度NM2」と表す)及びその回転方向を表す信号、各電動機M1,M2との間でインバータ54を介して充放電を行う(すなわち電気エネルギを授受可能な)蓄電装置56(図6参照)の充電容量(充電状態)SOCを表す信号、蓄電装置(バッテリ)56のバッテリ温度THBATを表す信号などが、それぞれ供給される。
また、上記電子制御装置80からは、エンジン8の出力P(単位は例えば「kW」。以下、「エンジン出力P」と表す。)を制御するエンジン出力制御装置58(図6参照)への制御信号例えばエンジン8の吸気管60に備えられた電子スロットル弁62のスロットル弁開度θTHを操作するスロットルアクチュエータ64への駆動信号や燃料噴射装置66による吸気管60或いはエンジン8の筒内への燃料供給量を制御する燃料供給量信号や点火装置68によるエンジン8の点火時期を指令する点火信号、過給圧を調整するための過給圧調整信号、電動エアコンを作動させるための電動エアコン駆動信号、電動機M1、M2の作動を指令する指令信号、シフトインジケータを作動させるためのシフトポジション(操作位置)表示信号、ギヤ比を表示させるためのギヤ比表示信号、スノーモードであることを表示させるためのスノーモード表示信号、ホイールブレーキ装置72を作動させるためのホイールブレーキ作動信号、Mモードが選択されていることを表示させるMモード表示信号、差動部11や自動変速部20の油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを制御するために油圧制御回路70(図6参照)に含まれる電磁弁(ソレノイドバルブ)等を作動させるバルブ指令信号、この油圧制御回路70に設けられたレギュレータバルブ(調圧弁)によりライン油圧Pを調圧するための信号、そのライン油圧Pが調圧されるための元圧の油圧源である電動油圧ポンプを作動させるための駆動指令信号、電動ヒータを駆動するための信号、クルーズコントロール制御用コンピュータへの信号等が、それぞれ出力される。
ホイールブレーキ装置72は、ブレーキペダル44の操作などに関連して、車輪ブレーキに設けられたホイールシリンダへ制動油圧を供給する。このホイールブレーキ装置72では、通常は、マスタシリンダにおいて発生させられるブレーキペダル44の踏力に対応した大きさの制動油圧がホイールシリンダへ直接供給されるが、例えば制動力協調制御、ABS制御、トラクション制御、VSC制御、或いはヒルホールド制御時には、減速走行(コースト走行)時の回生トルクに置き換えられるホイールブレーキトルク(以下、ブレーキトルクという)の発生、低μ路での車両の制動、発進、旋回走行や、或いは坂路途中の車両停止の保持或いは維持の為に上記踏力に対応しない制動液圧がホイールシリンダへ供給されるようになっている。
図5は、複数種類のシフトポジションPSHを人為的操作により切り換える切換装置としてのシフト操作装置50の一例を示す図である。このシフト操作装置50は、例えば運転席の横に配設され、複数種類のシフトポジションPSHを選択するために操作されるシフトレバー52を備えている。
そのシフトレバー52は、動力伝達装置10内つまり自動変速部20内の動力伝達経路が遮断されたニュートラル状態すなわち中立状態とし且つ自動変速部20の出力軸22をロックするための駐車ポジション「P(パーキング)」、後進走行のための後進走行ポジション「R(リバース)」、動力伝達装置10内の動力伝達経路が遮断された中立状態とするための中立ポジション「N(ニュートラル)」、動力伝達装置10の変速可能なトータル変速比γTの変化範囲内で自動変速制御を実行させる前進自動変速走行ポジション「D(ドライブ)」、又は手動変速走行モード(手動モード)を成立させて上記自動変速制御における高速側の変速段を制限する所謂変速レンジを設定するための前進手動変速走行ポジション「M(マニュアル)」へ手動操作されるように設けられている。
上記シフトレバー52の各シフトポジションPSHへの手動操作に連動して図2の係合作動表に示す後進ギヤ段「R」、ニュートラル「N」、前進ギヤ段「D」における各変速段等が成立するように、例えば油圧制御回路70が電気的に切り換えられる。
上記「P」乃至「M」ポジションに示す各シフトポジションPSHにおいて、「P」ポジション及び「N」ポジションは、車両を走行させないときに選択される非走行ポジションであって、例えば図2の係合作動表に示されるように第1クラッチC1及び第2クラッチC2の何れもが解放されるような自動変速部20内の動力伝達経路が遮断された車両を駆動不能とする第1クラッチC1及び第2クラッチC2による動力伝達経路の動力伝達遮断状態へ切換えを選択するための非駆動ポジションである。また、「R」ポジション、「D」ポジション及び「M」ポジションは、車両を走行させるときに選択される走行ポジションであって、例えば図2の係合作動表に示されるように第1クラッチC1及び第2クラッチC2の少なくとも一方が係合されるような自動変速部20内の動力伝達経路が連結された車両を駆動可能とする第1クラッチC1及び/又は第2クラッチC2による動力伝達経路の動力伝達可能状態への切換えを選択するための駆動ポジションでもある。
具体的には、シフトレバー52が「P」ポジション或いは「N」ポジションから「R」ポジションへ手動操作されることで、第2クラッチC2が係合されて自動変速部20内の動力伝達経路が動力伝達遮断状態から動力伝達可能状態とされ、シフトレバー52が「N」ポジションから「D」ポジションへ手動操作されることで、少なくとも第1クラッチC1が係合されて自動変速部20内の動力伝達経路が動力伝達遮断状態から動力伝達可能状態とされる。また、シフトレバー52が「R」ポジションから「P」ポジション或いは「N」ポジションへ手動操作されることで、第2クラッチC2が解放されて自動変速部20内の動力伝達経路が動力伝達可能状態から動力伝達遮断状態とされ、シフトレバー52が「D」ポジションから「N」ポジションへ手動操作されることで、第1クラッチC1及び第2クラッチC2が解放されて自動変速部20内の動力伝達経路が動力伝達可能状態から動力伝達遮断状態とされる。
図6は、電子制御装置80による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図6において、有段変速制御部すなわち有段変速制御手段82は、自動変速部20の変速を行う変速制御手段として機能するものである。例えば、有段変速制御手段82は、図7に示すような車速Vと自動変速部20の出力トルクTOUT(或いはアクセル開度Acc等)とを変数として記憶部すなわち記憶手段84に予め記憶されたアップシフト線(実線)及びダウンシフト線(一点鎖線)を有する関係(変速線図、変速マップ)から実際の車速V及びアクセル開度Acc等に対応する自動変速部20の要求出力トルクTOUTで示される車両状態に基づいて、自動変速部20の変速を実行すべきか否かを判断し、すなわち自動変速部20の変速すべき変速段を判断し、その判断した変速段が得られるように自動変速部20の自動変速制御を実行する。
このとき、有段変速制御手段82は、例えば図2に示す係合表に従って変速段が達成されるように、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0を除いた自動変速部20の変速に関与する油圧式摩擦係合装置を係合及び/又は解放させる指令(変速出力指令、油圧指令)を、すなわち自動変速部20の変速に関与する解放側係合装置を解放すると共に係合側係合装置を係合することによりクラッチツウクラッチ変速を実行させる指令を油圧制御回路70へ出力する。油圧制御回路70は、その指令に従って、例えば解放側係合装置を解放すると共に係合側係合装置を係合して自動変速部20の変速が実行されるように、油圧制御回路70内のリニアソレノイドバルブを作動させてその変速に関与する油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを作動させる。
尚、本実施例では、自動変速部20の変速パターンとして複数の変速パターンが予め定められている。例えば、車両の燃費が向上することを優先する走行モードすなわち燃費向上を重視する走行モードであるエコノミーモード(燃費優先走行モード)、快適性を重視する走行モードであるコンフォートモード、及びそのエコノミーモードとコンフォートモードとの中間的な走行モードであるノーマルモードの各走行モードに対応する自動変速部20の変速パターンが予め設定されている。そして、有段変速制御手段82は、走行モード切換スイッチ40により選択された走行モードが上記エコノミーモードである場合には自動変速部20の変速パターンとしてそのエコノミーモードに対応するエコノミー用変速パターンを選択し、上記走行モードが上記ノーマルモードである場合には上記変速パターンとしてそのノーマルモードに対応するノーマル用変速パターンを選択し、上記走行モードがコンフォートモードである場合には上記変速パターンとしてそのコンフォートモードに対応するコンフォート用変速パターンを選択する。
上記エコノミー用変速パターンは、例えばモータ走行時用の変速線(変速点)がエンジン走行時用の変速線(例えばエンジン効率が可及的に向上されるように設定された変速線)よりも高車速側に設定されている。これは、第2電動機M2は、第2電動機回転速度NM2と第2電動機トルクTM2とを変数とする二次元座標内において予め実験的に定められた例えば図8に示す第2電動機M2の等効率線(マップ、関係)において第2電動機M2の動作点が斜線(破線)部分に近くなる程効率が良くなることを示していることからも明らかなように、力行時、回生時共に低出力トルク、高回転速度域にて効率が良くなるからである。つまり、燃費を重視すれば、モータ走行時はエンジン走行時と比較して、高回転速度で作動されるように自動変速部20の変速比γATが低速側(ロー側)に設定されることが望ましい。また、上記コンフォート用変速パターンは、例えばモータ走行時用とエンジン走行時用とで同車速の変速線(変速点)が設定されている。これは、例えば自動変速部20の変速と駆動力源の切換え(すなわちエンジン走行とモータ走行との切換え)が同時に発生してショックが増大することを回避して快適性を向上するためである。また、上記ノーマル用変速パターンは、例えばエコノミー用変速パターンとコンフォート用変速パターンとの中間の変速線が設定される。例えばアップシフト線は上記エコノミー用変速パターンと同様に設定され、ダウンシフト線は上記コンフォート用変速パターンと同様に設定される。
ハイブリッド制御部すなわちハイブリッド制御手段86は、エンジン出力制御装置58を介してエンジン8の駆動を制御するエンジン駆動制御手段としての機能と、インバータ54を介して第1電動機M1及び第2電動機M2による駆動力源又は発電機としての作動を制御する電動機作動制御部すなわち電動機作動制御手段としての機能を含んでおり、それら制御機能によりエンジン8、第1電動機M1、及び第2電動機M2によるハイブリッド駆動制御等を実行する。
また、ハイブリッド制御手段86は、動力伝達装置10の無段変速状態すなわち差動部11の差動状態においてエンジン8を効率のよい作動域で作動させる一方で、エンジン8と第2電動機M2との駆動力の配分や第1電動機M1の発電による反力を最適になるように変化させて差動部11の電気的な無段変速機としての変速比γ0を制御する。例えば、そのときの走行車速Vにおいて、運転者の出力要求量としてのアクセル開度Accや車速Vから車両の目標(要求)出力を算出し、その車両の目標出力と充電要求値から必要なトータル目標出力を算出し、そのトータル目標出力が得られるように伝達損失、補機負荷、第2電動機M2のアシストトルク等を考慮して目標エンジン出力(要求エンジン出力)PERを算出し、その目標エンジン出力PERが得られるエンジン回転速度Nとエンジン8の出力トルク(エンジントルク)Tとなるようにエンジン8を制御すると共に各電動機Mの出力乃至発電を制御する。
以上のように、動力伝達装置10全体としての変速比である総合変速比γTは、有段変速制御手段82によって制御される自動変速部20の変速比γATと、ハイブリッド制御手段86によって制御される差動部11の変速比γ0とによって決定される。すなわち、ハイブリッド制御手段86及び有段変速制御手段82は、シフトポジションPSHに対応するシフトレンジの範囲内において、油圧制御回路70、エンジン出力制御装置58、第1電動機M1、及び第2電動機M2等を介して動力伝達装置10全体としての変速比である総合変速比γTを制御する変速制御手段として機能する。
例えば、ハイブリッド制御手段86は、動力性能や燃費向上などのために自動変速部20の変速段を考慮してエンジン8及び各電動機Mの制御を実行する。このようなハイブリッド制御では、エンジン8を効率のよい作動域で作動させるために定まるエンジン回転速度Nと車速V及び自動変速部20の変速段で定まる伝達部材18の回転速度とを整合させるために、差動部11が電気的な無段変速機として機能させられる。すなわち、ハイブリッド制御手段86は、例えばエンジン回転速度NとエンジントルクTとで構成される二次元座標内において無段変速走行の時に運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められた例えば図9の破線に示すようなエンジン8の動作曲線の一種である最適燃費率曲線LEF(燃費マップ、関係)を予め記憶しており、その最適燃費率曲線LEFにエンジン8の動作点(以下、「エンジン動作点」と表す)PEGが沿わされつつエンジン8が作動させられるように、例えば目標出力(トータル目標出力、要求駆動力)を充足するために必要なエンジン出力Pを発生するためのエンジントルクTとエンジン回転速度Nとなるように、動力伝達装置10のトータル変速比γTの目標値を定め、その目標値が得られるように自動変速部20の変速段を考慮して差動部11の変速比γ0を制御し、トータル変速比γTをその変速可能な変化範囲内で制御する。ここで、上記エンジン動作点PEGとは、エンジン回転速度N及びエンジントルクTなどで例示されるエンジン8の動作状態を示す状態量を座標軸とした二次元座標においてエンジン8の動作状態を示す動作点である。尚、本実施例では、燃費とは例えば単位燃料消費量当たりの走行距離であったり、車両全体としての燃料消費率(=燃料消費量/駆動輪出力)等である。また、燃費の向上とはその単位燃料消費量当たりの走行距離が大きくなることであり、或いは、その燃料消費率が小さくなることである。
このとき、ハイブリッド制御手段86は、例えば第1電動機M1により発電された電気エネルギをインバータ54を通して蓄電装置56や第2電動機M2へ供給するので、エンジン8の動力の主要部は機械的に伝達部材18へ伝達されるが、エンジン8の動力の一部は電動機Mの発電のために消費されてそこで電気エネルギに変換され、インバータ54を通してその電気エネルギが他の電動機Mへ供給され、電気エネルギによりその電動機Mから出力される駆動力が伝達部材18へ伝達される。この発電に係る電動機Mによる電気エネルギの発生から駆動に係る電動機Mで消費されるまでに関連する機器により、エンジン8の動力の一部が電気エネルギに変換され、その電気エネルギが機械的エネルギに変換されるまでの電気パスが構成される。
ここで、有段変速制御手段82により自動変速部20の変速制御が実行される場合には、その自動変速部20の変速比が段階的に変化させられることに伴ってその変速前後で動力伝達装置10のトータル変速比γTが段階的に変化させられる。このような制御では、トータル変速比γTを段階的に変化させることにより、すなわち変速比が連続的ではなく飛び飛びの値をとることにより、連続的なトータル変速比γTの変化に比較して速やかに駆動トルクを変化させることが可能となる。その反面、変速ショックが発生したり、最適燃費率曲線に沿うようにエンジン回転速度Nを制御できず燃費が悪化する可能性がある。そこで、ハイブリッド制御手段86は、そのトータル変速比γTの段階的変化が抑制されるように、自動変速部20の変速に同期してその自動変速部20の変速比の変化方向とは反対方向の変速比の変化となるように差動部11の変速を実行する。換言すれば、自動変速部20の変速前後で動力伝達装置10のトータル変速比γTが連続的に変化するように自動変速部20の変速制御に同期して差動部11の変速制御を実行する。例えば、自動変速部20の変速前後で過渡的に動力伝達装置10のトータル変速比γTが変化しないような所定のトータル変速比γTを形成するために自動変速部20の変速制御に同期して、その自動変速部20の変速比の段階的な変化に相当する変化分だけその変化方向とは反対方向に変速比を段階的に変化させるように差動部11の変速制御を実行する。
また、ハイブリッド制御手段86は、車両の停止中又は走行中に拘わらず、差動部11の電気的CVT機能によって第1電動機回転速度NM1及び/又は第2電動機回転速度NM2を制御してエンジン回転速度Nを略一定に維持したり任意の回転速度に回転制御する。言い換えれば、ハイブリッド制御手段86は、エンジン回転速度Nを略一定に維持したり任意の回転速度に制御しつつ第1電動機回転速度NM1及び/又は第2電動機回転速度NM2を任意の回転速度に回転制御することができる。
例えば、図3の共線図からもわかるようにハイブリッド制御手段86は車両走行中にエンジン回転速度Nを引き上げる場合には、車速V(駆動輪34)に拘束される第2電動機回転速度NM2を略一定に維持しつつ第1電動機回転速度NM1の引き上げを実行する。また、ハイブリッド制御手段86は自動変速部20の変速中にエンジン回転速度Nを略一定に維持する場合には、エンジン回転速度Nを略一定に維持しつつ自動変速部20の変速に伴う第2電動機回転速度NM2の変化とは反対方向に第1電動機回転速度NM1を変化させる。
また、ハイブリッド制御手段86は、スロットル制御のためにスロットルアクチュエータ64により電子スロットル弁62を開閉制御させる他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置66による燃料噴射量や噴射時期を制御させ、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置68による点火時期を制御させる指令を単独で或いは組み合わせてエンジン出力制御装置58に出力して、必要なエンジン出力Pを発生するようにエンジン8の出力制御を実行する。すなわち、エンジン8の駆動を制御するエンジン駆動制御部すなわちエンジン駆動制御手段として機能する。
例えば、ハイブリッド制御手段86は、基本的には図示しない予め記憶された関係からアクセル開度Accに基づいてスロットルアクチュエータ64を駆動し、アクセル開度Accが増加するほどスロットル弁開度θTHを増加させるようにスロットル制御を実行する。また、エンジン出力制御装置58は、ハイブリッド制御手段86による指令に従って、スロットル制御のためにスロットルアクチュエータ64により電子スロットル弁62を開閉制御する他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置66による燃料噴射を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置68による点火時期を制御するなどしてエンジントルク制御を実行する。
また、ハイブリッド制御手段86は、エンジン8の停止又はアイドル状態に拘わらず、差動部11の電気的CVT機能(差動作用)によって、例えばエンジン8を用いず第2電動機M2を走行用の駆動力源とするモータ走行(EVモード走行)をさせることができる。例えば、前記図7の実線Aは、車両の発進/走行用(以下、走行用という)の駆動力源をエンジン8と電動機例えば第2電動機M2とで切り換えるための、言い換えればエンジン8を走行用の駆動力源として車両を発進/走行(以下、走行という)させる所謂エンジン走行と第2電動機M2を走行用の駆動力源として車両を走行させる所謂モータ走行とを切り換えるための、エンジン走行領域とモータ走行領域との境界線である。この図7に示すエンジン走行とモータ走行とを切り換えるための境界線(実線A)を有する予め記憶された関係は、車速Vと自動変速部20の出力トルクTOUTとを変数とする二次元座標で構成された駆動力源切換線図(駆動力源マップ)の一例である。この駆動力源切換線図は、例えば同じ図7中の実線及び一点鎖線に示す変速線図(変速マップ)と共に記憶手段84に予め記憶されている。
そして、ハイブリッド制御手段86は、例えば図7の駆動力源切換線図から実際の車速V及び自動変速部20の要求出力トルクTOUTで示される車両状態に基づいて、モータ走行領域とエンジン走行領域との何れであるかを判断してモータ走行或いはエンジン走行を実行する。このように、ハイブリッド制御手段86によるモータ走行は、図7から明らかなように一般的にエンジン効率が高トルク域に比較して悪いとされる比較的低出力トルクTOUT(比較的低アクセル開度Acc)域すなわち低エンジントルクT域、或いは車速Vの比較的低車速時すなわち低負荷域で実行される。
また、ハイブリッド制御手段86は、このモータ走行時には、停止しているエンジン8の引き摺りを抑制して燃費を向上させるために、第1電動機回転速度NM1を負の回転速度で制御して例えば第1電動機M1を無負荷状態とすることにより空転させて、差動部11の電気的CVT機能(差動作用)により必要に応じてエンジン回転速度Nを零乃至略零に維持する。
また、ハイブリッド制御手段86は、エンジン8を走行用の駆動力源とするエンジン走行を行うエンジン走行領域であっても、前述した電気パスによる第1電動機M1からの電気エネルギ及び/又は蓄電装置56からの電気エネルギを第2電動機M2へ供給し、その第2電動機M2を駆動して駆動輪34にトルクを付与することにより、エンジン8の動力を補助するための所謂トルクアシストが可能である。よって、本実施例のエンジン走行にはエンジン8を走行用の駆動力源とする場合と、エンジン8及び第2電動機M2の両方を走行用の駆動力源とする場合とがある。そして、本実施例のモータ走行とはエンジン8を停止して第2電動機M2を走行用の駆動力源とする走行である。
ハイブリッド制御手段86は、エンジン走行とモータ走行とを切り換えるために、エンジン8の作動状態を運転状態と停止状態との間で切り換える、すなわちエンジン8の始動および停止を行うエンジン始動停止制御部すなわちエンジン始動停止制御手段92を備えている。このエンジン始動停止制御手段92は、ハイブリッド制御手段86により例えば図7の駆動力源マップから車両状態に基づいてモータ走行とエンジン走行と切換えが判断された場合に、エンジン8の始動または停止を実行する。このように、ハイブリッド制御手段86は、エンジン走行とモータ走行とを切り換える、すなわちエンジン8と第2電動機M2とで走行用駆動力源を切り換える。
例えば、エンジン始動停止制御手段92は、図7の実線Bの点a→点bに示すようにアクセルペダルが踏込操作されて要求出力トルクTOUTが大きくなり、ハイブリッド制御手段86により車両状態がモータ走行領域からエンジン走行領域へ変化したと判断されてモータ走行からエンジン走行への切り換えが判断された場合にはすなわちハイブリッド制御手段86によりエンジン始動が判断された場合には、第1電動機M1に通電して第1電動機回転速度NM1を引き上げることで、すなわち第1電動機M1をスタータとして機能させることで、エンジン回転速度Nを完爆可能な所定回転速度N’例えばアイドル回転速度以上の自律回転可能な所定の自律回転速度NEIDL以上に引き上げるエンジン回転駆動制御を行うと共に、所定回転速度N’以上にて燃料噴射装置66により燃料を供給(噴射)し点火装置68により点火してエンジントルクTを発生させるエンジントルク発生制御を行うことによってエンジン8を始動し、モーター走行からエンジン走行へ切り換える。また、エンジン始動停止制御手段92は、図7の実線Bの点b→点aに示すように、アクセルペダルが戻されて要求出力トルクTOUTが小さくなり車両状態がエンジン走行領域からモータ走行領域へ変化した場合には、燃料噴射装置66により燃料供給を停止させるように、すなわちフューエルカットによりエンジン8の停止を行って、ハイブリッド制御手段86によるエンジン走行からモータ走行へ切り換える。
また、ハイブリッド制御手段86は、第1電動機M1を無負荷状態として自由回転すなわち空転させることにより、差動部11がトルクの伝達を不能な状態すなわち差動部11内の動力伝達経路が遮断された状態と同等の状態であって、且つ差動部11からの出力が発生されない状態とすることが可能である。すなわち、ハイブリッド制御手段86は、第1電動機M1を無負荷状態とすることにより差動部11をその動力伝達経路が電気的に遮断される中立状態(ニュートラル状態)とすることが可能である。
また、ハイブリッド制御手段86は、アクセルオフの惰性走行時(コースト走行時)やブレーキペダル44の操作によるホイールブレーキ作動時(すなわちフットブレーキによる制動時)などには、燃費を向上(燃料消費率を低減)させるためにエンジン8を非駆動状態にして、駆動輪34から伝達される車両の運動エネルギを差動部11で電気エネルギに変換する回生制御を実行する。具体的には、駆動輪34からエンジン8側へ伝達される逆駆動力により第2電動機M2を回転駆動させて発電機として作動させ、その電気エネルギすなわち第2電動機発電電流をインバータ54を介して蓄電装置56へ充電する回生制御を実行する。すなわち、ハイブリッド制御手段86は上記回生制御を実行する回生制御手段として機能する。
増速側ギヤ段判定部すなわち増速側ギヤ段判定手段88は、動力伝達装置10を有段変速状態とする際に切換クラッチC0及び切換ブレーキB0の何れを係合させるかを判定するために、例えば車両状態に基づいて記憶手段84に予め記憶された前記図7に示す変速線図に従って動力伝達装置10の変速されるべき変速段が増速側ギヤ段例えば第5速ギヤ段であるか否かを判定する。
切換制御部すなわち切換制御手段90は、車両状態に基づいて前記差動状態切換装置(切換クラッチC0、切換ブレーキB0)の係合/解放を切り換えることにより、前記無段変速状態と前記有段変速状態とを、すなわち前記差動状態と前記ロック状態とを選択的に切り換える。例えば、切換制御手段90は、記憶手段84に予め記憶された前記図7の破線及び二点鎖線に示す関係(切換線図、切換マップ)から車速V及び要求出力トルクTOUTで示される車両状態に基づいて、動力伝達装置10(差動部11)の変速状態を切り換えるべきか否かを判断して、すなわち動力伝達装置10を無段変速状態とする無段制御領域内であるか或いは動力伝達装置10を有段変速状態とする有段制御領域内であるかを判定することにより動力伝達装置10の切り換えるべき変速状態を判断して、動力伝達装置10を前記無段変速状態と前記有段変速状態とのいずれかに選択的に切り換える変速状態の切換えを実行する。
具体的には、切換制御手段90は、有段変速制御領域内であると判定した場合は、ハイブリッド制御手段86に対してハイブリッド制御或いは無段変速制御を不許可すなわち禁止とする信号を出力すると共に、有段変速制御手段82に対しては、予め設定された有段変速時の変速を許可する。このときの有段変速制御手段82は、記憶手段84に予め記憶された例えば図7に示す変速線図に従って自動変速部20の自動変速を実行する。例えば記憶手段84に予め記憶された図2は、このときの変速において選択される油圧式摩擦係合装置すなわちC0、C1、C2、B0、B1、B2、B3の作動の組み合わせを示している。すなわち、動力伝達装置10全体すなわち差動部11及び自動変速部20が所謂有段式自動変速機として機能し、図2に示す係合表に従って変速段が達成される。
例えば、増速側ギヤ段判定手段88により第5速ギヤ段が判定される場合には、動力伝達装置10全体として変速比が1.0より小さな増速側ギヤ段所謂オーバードライブギヤ段が得られるために切換制御手段90は差動部11が固定の変速比γ0例えば変速比γ0が0.7の副変速機として機能させられるように切換クラッチC0を解放させ且つ切換ブレーキB0を係合させる指令を油圧制御回路70へ出力する。また、増速側ギヤ段判定手段88により第5速ギヤ段でないと判定される場合には、動力伝達装置10全体として変速比が1.0以上の減速側ギヤ段が得られるために切換制御手段90は差動部11が固定の変速比γ0例えば変速比γ0が1の副変速機として機能させられるように切換クラッチC0を係合させ且つ切換ブレーキB0を解放させる指令を油圧制御回路70へ出力する。このように、切換制御手段90によって動力伝達装置10が有段変速状態に切り換えられると共に、その有段変速状態における2種類の変速段のいずれかとなるように選択的に切り換えられて、差動部11が副変速機として機能させられ、それに直列の自動変速部20が有段変速機として機能することにより、動力伝達装置10全体が所謂有段式自動変速機として機能させられる。
一方、切換制御手段90は、動力伝達装置10を無段変速状態に切り換える無段変速制御領域内であると判定した場合は、動力伝達装置10全体として無段変速状態が得られるために差動部11を無段変速状態として無段変速可能とするように切換クラッチC0及び切換ブレーキB0を解放させる指令を油圧制御回路70へ出力する。同時に、ハイブリッド制御手段86に対してハイブリッド制御を許可する信号を出力すると共に、有段変速制御手段82には、予め設定された無段変速時の変速段に固定する信号を出力するか、或いは記憶手段84に予め記憶された例えば図7に示す変速線図に従って自動変速部20を自動変速することを許可する信号を出力する。この場合、有段変速制御手段82により、図2の係合表内において切換クラッチC0及び切換ブレーキB0の係合を除いた作動により自動変速が行われる。このように、切換制御手段90により無段変速状態に切り換えられた差動部11が無段変速機として機能し、それに直列の自動変速部20が有段変速機として機能することにより、適切な大きさの駆動力が得られると同時に、自動変速部20の第1速、第2速、第3速、第4速の各ギヤ段に対しその自動変速部20に入力される回転速度すなわち伝達部材18の回転速度が無段的に変化させられて各ギヤ段は無段的な変速比幅が得られる。従って、その各ギヤ段の間が無段的に連続変化可能な変速比となって動力伝達装置10全体として無段変速状態となりトータル変速比γTが無段階に得られるようになる。
ここで前記図7について詳述すると、図7は自動変速部20の変速判断の基となる記憶手段84に予め記憶された関係(変速線図、変速マップ)であり、車速Vと駆動力関連値である要求出力トルクTOUTとを変数とする二次元座標で構成された変速線図の一例である。図7の実線はアップシフトが判断されるための変速線(アップシフト線)であり、一点鎖線はダウンシフトが判断されるための変速線(ダウンシフト線)である。この図7の変速線図における変速線は、例えば自動変速部20の要求出力トルクTOUTを示す横線上において実際の車速Vが線を横切ったか否か、また例えば車速Vを示す縦線上において自動変速部20の要求出力トルクTOUTが線を横切ったか否か、すなわち変速線上の変速を実行すべき値(変速点)を横切ったか否かを判断するためのものであり、この変速点の連なりとして予め記憶されている。
また、図7の破線は切換制御手段90による有段制御領域と無段制御領域との判定のための判定車速V1及び判定出力トルクT1を示している。つまり、図7の破線はハイブリッド車両の高速走行を判定するための予め設定された高速走行判定値である判定車速V1の連なりである高車速判定線と、ハイブリッド車両の駆動力に関連する駆動力関連値例えば自動変速部20の出力トルクTOUTが高出力となる高出力走行を判定するための予め設定された高出力走行判定値である判定出力トルクT1の連なりである高出力走行判定線とを示している。さらに、図7の破線に対して二点鎖線に示すように有段制御領域と無段制御領域との判定にヒステリシスが設けられている。
つまり、この図7は切換制御手段90により有段制御領域と無段制御領域との何れであるかを領域判定する基となる記憶手段84に予め記憶された高車速判定線及び高出力走行判定線を有する関係(切換線図、切換マップ)であり、車速Vと駆動力関連値である要求出力トルクTOUTとを変数とする二次元座標で構成された切換線図の一例である。見方を換えれば、高車速判定線及び高出力走行判定線は、差動部11を差動状態と差動制限状態との間で切り換える為の切換線であり、例えば自動変速部20の要求出力トルクTOUTを示す横線上において実際の車速Vが線を横切ったか否か、また例えば車速Vを示す縦線上において自動変速部20の要求出力トルクTOUTが線を横切ったか否か、すなわち切換線上の切換を実行すべき値(切換点、判定車速V1或いは判定出力トルクT1)を横切ったか否かを判断するためのものであり、この切換点の連なりとして予め記憶されている。尚、この切換線図を含めて変速マップとして記憶手段84に予め記憶されてもよい。また、この切換線図は判定車速V1及び判定出力トルクT1の少なくとも1つを含むものであってもよいし、車速V及び出力トルクTOUTの何れかを変数とする予め記憶された切換線であってもよい。
また、判定車速V1は、例えば高速走行において動力伝達装置10が無段変速状態とされるとかえって燃費が悪化するのを抑制するように、その高速走行において動力伝達装置10が有段変速状態とされるように設定されている。また、判定トルクT1は、車両の高出力走行において第1電動機M1の反力トルクをエンジンの高出力域まで対応させないで第1電動機M1を小型化するために、例えば第1電動機M1からの電気エネルギの最大出力を小さくして配設可能とされた第1電動機M1の特性に応じて設定されている。
上記変速線図、切換線図、或いは駆動力源切換線図等は、マップとしてではなく例えば実際の車速Vと判定車速V1とを比較する判定式、出力トルクTOUTと判定出力トルクT1とを比較する判定式等として記憶されてもよい。この場合には、切換制御手段90は、車両状態例えば実際の車速が判定車速V1を越えたときに動力伝達装置10を有段変速状態とする。また、切換制御手段90は、車両状態例えば自動変速部20の出力トルクTOUTが判定出力トルクT1を越えたときに動力伝達装置10を有段変速状態とする。
図7の関係に示されるように、出力トルクTOUTが予め設定された判定出力トルクT1以上の高トルク領域、或いは車速Vが予め設定された判定車速V1以上の高車速領域が有段制御領域として設定されているので、有段変速走行がエンジン8の比較的高トルクとなる高駆動トルク時、或いは車速の比較的高車速時において実行され、無段変速走行がエンジン8の比較的低トルクとなる低駆動トルク時、或いは車速の比較的低車速時すなわちエンジン8の常用出力域において実行されるようになっている。
これによって、例えば、車両の低中速走行及び低中出力走行では、動力伝達装置10が無段変速状態とされて車両の燃費性能が確保されるが、実際の車速Vが前記判定車速V1を越えるような高速走行では動力伝達装置10が有段の変速機として作動する有段変速状態とされ専ら機械的な動力伝達経路でエンジン8の出力が駆動輪34へ伝達されて電気的な無段変速機として作動させる場合に発生する動力と電気エネルギとの間の変換損失が抑制されて燃費が向上する。また、出力トルクTOUTなどの前記駆動力関連値が判定トルクT1を越えるような高出力走行では動力伝達装置10が有段の変速機として作動する有段変速状態とされ専ら機械的な動力伝達経路でエンジン8の出力が駆動輪34へ伝達されて電気的な無段変速機として作動させる領域が車両の低中速走行及び低中出力走行となって、第1電動機M1が発生すべき電気的エネルギ換言すれば第1電動機M1が伝える電気的エネルギの最大値を小さくできて第1電動機M1或いはそれを含む車両の動力伝達装置が一層小型化される。また、他の考え方として、この高出力走行においては燃費に対する要求より運転者の駆動力に対する要求が重視されるので、無段変速状態より有段変速状態(定変速状態)に切り換えられるのである。これによって、ユーザは、例えば有段自動変速走行におけるアップシフトに伴うエンジン回転速度Nの変化すなわち変速に伴うリズミカルなエンジン回転速度Nの変化が楽しめる。
前記駆動力関連値とは、車両の駆動力に1対1に対応するパラメータであって、駆動輪34での駆動トルク或いは駆動力のみならず、例えば自動変速部20の出力トルクTOUT、エンジントルクT、車両加速度や、例えばアクセル開度或いはスロットル弁開度θTH(或いは吸入空気量、空燃比、燃料噴射量)とエンジン回転速度Nとに基づいて算出されるエンジントルクTなどの実際値や、運転者のアクセルペダル操作量或いはスロットル弁開度θTH等に基づいて算出される要求(目標)エンジントルクT、自動変速部20の要求(目標)出力トルクTOUT、要求駆動力等の推定値であってもよい。また、上記駆動トルクは出力トルクTOUT等からデフ比、駆動輪34の半径等を考慮して算出されてもよいし、例えばトルクセンサ等によって直接検出されてもよい。上記他の各トルク等も同様である。
このように、本実施例の差動部11(動力伝達装置10)は無段変速状態と有段変速状態(定変速状態)とに選択的に切換え可能であって、切換制御手段90により車両状態に基づいて差動部11の切り換えるべき変速状態が判断され、差動部11が無段変速状態と有段変速状態とのいずれかに選択的に切り換えられる。また、本実施例では、ハイブリッド制御手段86により車両状態に基づいてモータ走行或いはエンジン走行が実行される。
尚、差動部11を電気的な無段変速機として作動させるための電動機等の電気系の制御機器の故障や機能低下時、例えば第1電動機M1における電気エネルギの発生からその電気エネルギが機械的エネルギに変換されるまでの電気パスに関連する機器の機能低下すなわち第1電動機M1、第2電動機M2、インバータ54、蓄電装置56、それらを接続する伝送路などの故障(フェイル)や、故障とか低温による機能低下が発生したような車両状態となる場合には、無段制御領域であっても車両走行を確保するために切換制御手段90は動力伝達装置10を優先的に有段変速状態としてもよい。
ここで、車両のコースト走行時には目標減速度Gが設定され、その目標減速度Gが達成されるように制動トルク(制動力)が発生させられる。この制動トルクは、例えば回生やエンジンブレーキやホイールブレーキ等により得られるが、エネルギー効率を考えて回生による制動が最優先される。例えば、アクセルオフの減速走行時に目標減速度Gを回生にて達成するときには、ハイブリッド制御手段86によりフューエルカットにてエンジン8の作動が停止され且つ第1電動機M1が空転され、差動部11の差動作用によって車速Vに拘束されることなくすなわち自動変速部20の出力軸22の回転速度NOUTと変速比γATとに基づいて一意的に定められる伝達部材回転速度N18に拘わらずエンジン回転速度Nが零乃至略零に維持される。よって、エンジン8の引き摺り(回転抵抗)によるポンピングロスの発生が抑制され、その分制動力(減速度)が抑制されて回生量が増加される。
具体的には、図6に戻り、車両状態判定部すなわち車両状態判定手段94は、アクセルオフの車両減速走行中すなわち惰性走行(コースト走行)中にハイブリッド制御手段86による第2電動機M2を用いた回生制御が実行されているか否かを判定する。また、車両状態判定手段94は、シフトポジションPSHに基づいて前進走行レンジである「D」レンジで走行中であるか否かを判定する。また、車両状態判定手段94は、有段変速制御手段82により自動変速部20のダウンシフトが判断されたか否かを判定する。
目標減速度制御部すなわち目標減速度制御手段96は、車両状態判定手段94により車両が減速走行中であると判定された場合には、減速走行中の目標減速度Gを算出すると共に、その目標減速度Gが達成されるように車両の制動トルクを発生させる。目標減速度制御手段96は、例えば車速Vが高い程目標減速度Gが大きくなるように予め実験的に求められて記憶手段84に記憶された車速Vと目標減速度Gとの関係から実際の車速Vに基づいて減速走行中の目標減速度Gを算出する。そして、目標減速度制御手段96は、例えばエネルギー効率を考えて回生トルクにてその目標減速度Gを達成する為の制動力を得ることを最優先するという観点から、目標減速度Gを達成する為の制動力が回生トルクで得られるようにハイブリッド制御手段86に指令を出力する。ハイブリッド制御手段86は、その指令に従って目標減速度Gを達成する為の制動力が得られるように予め定められた回生トルクとなる回生量にて第2電動機M2による回生を行う。このとき、ハイブリッド制御手段86は、同時に、例えば燃料噴射装置66によるエンジン8への燃料供給を停止させ、第1電動機M1を無負荷状態とすることにより空転させてエンジン回転速度Nを零乃至略零に維持する。
ところで、車両のコースト走行中にハイブリッド制御手段86により回生制御が実施されているときに車速Vの減少に伴ってダウンシフト線(すなわちダウン変速点車速)に到達し、自動変速部20のダウンシフト(以下、コーストダウンシフトという)が判断されてそのコーストダウンシフトが実行される場合が考えられる。自動変速部20がダウンシフトされると、そのダウンシフト中のイナーシャ相では車両を減速させる方向への良く知られたイナーシャによるトルクが発生する。このようなイナーシャによるトルクの発生は、車両減速度を変化させるので、所謂変速ショックという形でドライバビリティを低下させる要因となる。そこで、回生協調制御部すなわち回生協調制御手段(回生協調変速制御手段)98は、回生協調制御(回生協調コーストダウン制御)として、コースト走行において目標減速度Gを達成する為の第2電動機M2による回生トルクが付与されているときに有段変速制御手段82により自動変速部20のコーストダウンシフトが判断された場合は、上記イナーシャによるトルク分を相殺して変速中にその目標減速度Gを達成する為の略一定の制動力が得られるように、変速中におけるイナーシャ相にて第2電動機M2により付与されている回生トルクを上記イナーシャによるトルク分だけ低減する指令をハイブリッド制御手段86に出力する。また、自動変速部20のダウンシフトにおけるクラッチツウクラッチ変速によってはトルク相中のイナーシャ相開始直前の所定期間にて車両を減速させる方向への良く知られたタイアップによるトルクが発生する可能性もある。このようなタイアップによるトルクの発生も、車両減速度を変化させるので、上記イナーシャによるトルクと同様にドライバビリティを低下させる要因となる。そのため、回生協調制御手段98は、更に、上記イナーシャによるトルク分の相殺と同様に、変速中にその目標減速度Gを達成する為の略一定の制動力が得られるように、変速中におけるトルク相にて第2電動機M2により付与されている回生トルクを上記タイアップによるトルク分だけ低減する指令をハイブリッド制御手段86に出力する。また、回生協調制御手段98は、このときのコーストダウンシフトをクラッチツウクラッチにより実行する指令を有段変速制御手段82に出力する。尚、上記イナーシャによるトルクや上記タイアップによるトルクは、例えば4→3ダウンシフト、3→2ダウンシフト等の変速の種類毎に、各々の大きさや発生期間が予め実験的に求められて記憶されている。
一方で、制動力協調制御部すなわち制動力協調制御手段(制動力協調変速制御手段)100は、コースト走行において目標減速度Gを達成する為の制動力が得られるように第2電動機M2による回生トルクが付与されているときに自動変速部20のコーストダウンシフトが判断された場合は、その第2電動機M2による回生トルク分を少なくとも自動変速部20の変速期間内はホイールブレーキ装置72によるブレーキトルクに置き換えて目標減速度Gを達成する為の制動力を車両に付与する制動力協調制御(制動力協調コーストダウン制御)を行う。例えば、制動力協調制御手段100は、自動変速部20のコーストダウンシフト開始前の所定の乗せ替え期間にて(或いは自動変速部20のコーストダウンシフト開始時点にて)、第2電動機M2による回生トルクを零に向かって漸減(低下)する指令をハイブリッド制御手段86に出力すると共に、漸減(低下)された回生トルク分を漸増(増加)するようにブレーキトルクを発生させる指令をホイールブレーキ装置72に出力して、自動変速部20のコーストダウンシフト開始前に回生トルク分をブレーキトルクに置き換える。また、制動力協調制御手段100は、自動変速部20のコーストダウンシフト中にホイールブレーキ装置72によるブレーキトルクにより車両に制動力を付与しながら、自動変速部20内の動力伝達経路を解放状態として第2電動機M2により自動変速部20の入力側回転部材としての伝達部材18をコーストダウンシフト後の回転速度に同期させる変速時同期制御を行う。例えば、制動力協調制御手段100は、このときのコーストダウンシフトをクラッチフリーにより実行する指令すなわち解放側係合装置の解放油圧指令値を変速開始後速やかに零にし且つ変速期間中は係合側係合装置の係合油圧指令値を低圧待機圧とする指令を有段変速制御手段82に出力する。更に、制動力協調制御手段100は、このコーストダウンシフト中において、目標減速度Gを達成する為の制動力をブレーキトルクで得る為の指令を引き続きホイールブレーキ装置72に出力すると共に、第2電動機M2により伝達部材18をコーストダウンシフト後の同期回転速度に向かって上昇させる指令をハイブリッド制御手段86に出力する。
上述したように、コースト走行において回生トルクが付与されているときの自動変速部20のコーストダウンシフトの際の態様としては、回生協調制御と制動力協調制御とがある。制動力協調制御は、変速ショック抑制という観点から見れば、回生協調制御に比べて有利である。反面、制動力協調制御で用いられるホイールブレーキ装置72は耐久性の観点から見ればその作動回数や作動時間は少ない方が望ましく、制動力協調制御の実行を制限することが望ましいと考えられる。つまり、本実施例の自動変速部20では4th→3rd、3rd→2nd、2nd→1stの複数種類のコーストダウンシフトが発生することから、例えばこれら複数種類のコーストダウンシフトに制動力協調制御を適用すると、ホイールブレーキ装置72の作動回数が増えて耐久性が低下する可能性がある。また、一連のコースト走行中に複数種類のコーストダウンシフトが連続的に発生するときにその都度制動力協調制御を実行する場合には、ブレーキトルク分を逆に回生トルクに置き換える必要が生じ、またブレーキトルクと回生トルクとの置き換えが何度も生じ、制御が複雑になるという別の問題も生じる可能性がある。このようなことから本実施例では、一連のコースト走行中において制動力協調制御の実行を制限する。
例えば、複数種類のコーストダウンシフトの中で最初のコーストダウンシフトのみ制動力協調制御を行うことが考えられる。また、例えば、燃費向上の観点から自動変速部20の何れの変速比(変速段)γATにおいても第2電動機M2による回生制御を行うと共に、変速ショックを抑制するという観点から最も変速ショックが生じやすいと考えられる最もギヤステップの大きな最低速側(2nd→1st)のコーストダウンシフト時のみ制動力協調制御を行い、その他のコーストダウンシフト時には回生協調制御を行うことが考えられる。また、例えば、車両の走行車速領域(車速範囲)を判断(予測)し、例えば過去の走行状態やナビゲーションシステムからの情報に基づいて所定時間内に走行する車速帯の上限から下限までの範囲を予測し、その走行車速領域における最低速側変速比を成立させるときのコーストダウンシフト時にのみ制動力協調制御を行うことが考えられる。
協調制御実施判定部すなわち協調制御実施判定手段102は、例えばコースト走行中に有段変速制御手段82によりコーストダウンシフトが判断された場合に、回生協調制御と制動力協調制御との何れの協調コーストダウン制御を実行すべきかを判断する。例えば、協調制御実施判定手段102は、一連のコースト走行中における最初のコーストダウンシフトである場合、或いは最低速側のコーストダウンシフトである場合、或いは走行車速領域を予測し、その走行車速領域における最低速側のコーストダウンシフトである場合などには、制動力協調制御を実行すべきであると判断して制動力協調制御を実行する指令を出力する。また、協調制御実施判定手段102は、制動力協調制御を実行すべきであると判断しない場合には、回生協調制御を実行する指令を出力する。
ところで、コースト走行における第2電動機M2による回生制御の際には、例えば燃費向上の観点から、回生効率を向上させることが望まれる。回生効率を向上させるには第2電動機M2を効率の良い動作点で運転すれば良い。図8を参照して上述したように、第2電動機M2はその動作点が低出力トルク、高回転速度域にて効率が良くなるので、第2電動機M2を効率の良い動作点で運転するには、許容される最も変速比の大きな変速段へ自動変速部20を積極的にダウンシフトすることが考えられる。
上記許容される最も変速比の大きな変速段は、ドライバビリティ上許容される変速段であり、例えば蓄電装置56の充電容量SOCに基づく充電余裕、目標減速度G、燃費向上、第2電動機M2の高回転抑制、騒音抑制などの総合的なバランスが取れるように車速等に基づいて予め実験的に求められて設定されている。例えば、充電余裕が大きい程、目標減速度Gが大きい程、燃費向上が求められる程大きな変速段とされる。従って、許容される最も変速比の大きな変速段へのダウンシフトが、直近の変速段へ変速する単一の変速ではなく、4→2、4→1、3→1等の飛び変速(飛びダウンシフト)となる場合がある。
しかしながら、上述したように、回生制御中に自動変速部20のダウンシフトが為されると変速ショックが生じる可能性がある。このような変速ショックは、例えば自動変速部20の温度例えば自動変速部20の作動油温THOILが低いために作動油の粘性が変化して自動変速部20内の係合装置等の摩擦材の動摩擦係数μが安定しないような状態では、より発生し易くなる可能性がある。特に、回生効率を一層向上させる為に飛び変速にて自動変速部20のダウンシフトを行うと、単一のダウンシフトに比べ燃費向上効果が得られやすいものの、その反面、単一のダウンシフトに比べて飛びダウンシフトはそれ自体の制御が難しく元々変速ショックが生じやすいことと相俟って、低作動油温時には一層変速ショックが発生し易くなる可能性がある。このように、飛びダウンシフトを行うことで回生効率が向上するが、場合によっては変速ショックが増大してしまい、ドライバビリティ(例えば快適性)が低下する可能性がある。そこで、本実施例では、このような課題を回避する為に、作動油温THOILが所定油温TH1以下である場合は回生中の飛び変速を禁止する。見方を換えれば、作動油温THOILが所定油温TH1を超えており、低作動油温に起因する飛びダウンシフトによる変速ショックの増大が抑制される場合は、回生中の飛び変速を実行する。この所定油温TH1は、例えば一層変速ショックが発生し易くなる低作動油温であることを判断する為の予め実験的に求められて記憶された判定値である。
具体的には、車両状態判定手段94は、更に、予め定められた所定条件として作動油温THOILが所定油温TH1を超えているか否かを判定する。回生時変速制御部すなわち回生時変速制御手段104は、回生中に車両状態判定手段94により作動油温THOILが所定油温TH1以下であると判定されたときには、自動変速部20の飛び変速を禁止する指令を有段変速制御手段82へ出力する。見方を換えれば、回生時変速制御手段104は、回生中に車両状態判定手段94により作動油温THOILが所定油温TH1を超えていると判定されたときには、上記許容される最も変速比の大きな変速段への自動変速部20の飛び変速を実行する指令を有段変速制御手段82へ出力する。
また、変速ショック抑制に係る別の観点では、例えば回生時にホイールブレーキ装置72によるブレーキトルクが車両に付与されているときはすなわち回生中のホイールブレーキ装置72による制動時は、自動変速部20のダウンシフトに起因した変速ショックがホイールブレーキ装置72による制動に起因した制動ショックに紛れて目立ち難いと考えられるので、回生効率を優先した飛びダウンシフトを実行するようにしても良い。見方を換えれば、回生時にホイールブレーキ装置72によるブレーキトルクが未付与であるときはすなわち回生中の非制動時は、ホイールブレーキ装置72による制動に起因した制動ショックに紛らせて自動変速部20のダウンシフトに起因した変速ショックを目立ち難くすることができないので、変速ショックの発生し易い飛び変速を禁止する。
具体的には、車両状態判定手段94は、更に、予め定められた所定条件としてブレーキペダル44の操作(オン)BONを表すブレーキ操作信号に基づいてホイールブレーキ装置72が作動中(すなわちフットブレーキ操作中)であるか否かを判断する。回生時変速制御手段104は、更に、回生中に車両状態判定手段94によりフットブレーキ操作中(ブレーキオン状態)であると判定されたときには、上記許容される最も変速比の大きな変速段への自動変速部20の飛び変速を実行する指令を有段変速制御手段82へ出力する。見方を換えれば、回生時変速制御手段104は、回生中に車両状態判定手段94によりフットブレーキ操作中でないと判定されたときには、自動変速部20の飛び変速を禁止する指令を有段変速制御手段82へ出力する。
また、上記飛びダウンシフトはトルク段差(例えばトルク相での落込み)や入力側の回転速度段差が大きくなるので、上記制動力協調制御や上記回生協調制御の変速時協調制御が実行し難くなる可能性がある。例えば、飛びダウンシフトでは制動力協調制御の時間が長くなることから、例えばホイールブレーキ装置72の作動が長くなってホイールブレーキ装置72の耐久性能が低下する可能性がある。また、飛びダウンシフトでは制御すべきトルクの調整幅が大きくなることから、例えば第2電動機回転速度NM2が高回転となって第2電動機M2の回生トルク制御では対応し難くなる可能性がある。このように、飛びダウンシフト自体の制御が難しいことに加え、ホイールブレーキ装置72や第2電動機M2の耐久性能の低下を含めて変速時協調制御性能が低下する可能性がある。従って、回生中の飛びダウンシフト時に変速時協調制御を実行することで却って変速ショックが増大してしまい、ドライバビリティ(例えば快適性)が低下する可能性がある。そこで、本実施例では、このような課題を回避する為に、回生中の飛び変速時は変速時協調制御を禁止する。
具体的には、協調制御実施判定手段102は、更に、有段変速制御手段82による自動変速部20のダウンシフトが飛び変速である場合には前記変速時協調制御を禁止する。例えば、協調制御実施判定手段102は、有段変速制御手段82の変速出力に基づいて飛びダウンシフトであるか否かを判断し、飛びダウンシフトである場合には前記変速時協調制御を禁止する指令を出力する。
図10は、電子制御装置80の制御作動の要部すなわち変速ショックの低減と燃費向上とを両立させつつドライバビリティの低下を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。図11は、図10の制御作動に対応するタイムチャートであり、制動力協調制御が実行される場合の一例である。また、図12は、図10の制御作動に対応するタイムチャートであり、回生協調制御が実行される場合の一例である。尚、図12中の破線は回生協調制御が実行されない場合の一例である。
図10において、先ず、車両状態判定手段94に対応するステップ(以下、ステップを省略する)SA10において、第2電動機M2による回生中であるか否かが判定される。例えば、コースト走行中にハイブリッド制御手段86による第2電動機M2を用いた回生制御が実行されているか否かが判定される。一般的に、電動機Mは低トルク高回転速度で使用した方が効率が良いため、自動変速部20の変速比γATは積極的にダウンシフトして使用した方が燃費上有利である。上記SA10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合は同じく車両状態判定手段94に対応するSA20において、作動油温THOILが所定油温TH1よりも高く且つブレーキペダル44の操作(オン)BONを表すブレーキ操作信号に基づいてホイールブレーキ装置72が作動中であるか否かが判断される。つまり、制動要求があったかを見ている。また、変速ショックが発生し難い高作動油温であるかを見ている。また、作動油温THOILが所定油温TH1よりも高いときに低作動油温に比べて変速ショックが発生し難いと見做す。上記SA20の判断が否定される場合は同じく車両状態判定手段94に対応するSA30において、車速Vが低下して自動変速部20のダウンシフトが発生したか否かが、例えば有段変速制御手段82により自動変速部20のダウンシフトが判断されたか否かが判定される。
上記SA30の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合は有段変速制御手段82及び協調制御実施判定手段102(制動力協調制御手段100)に対応するSA40において、例えば回生協調制御を実行する指令が回生協調制御手段98へ出力され、単一のダウンシフトで回生協調制御が実行される。例えば図12に示すように、コースト走行において目標減速度G(目標出力トルクTOUT )を達成する為の制動力が得られるように第2電動機M2による回生トルクが付与されているときに自動変速部20のコーストダウンシフト指令が出力されると(t1時点)、t1時点乃至t3時点におけるコーストダウンシフトがクラッチツウクラッチにより実行されてクラッチ係合油圧で伝達部材18がコーストダウンシフト後の同期回転速度に向かって上昇させられる。このコーストダウンシフト中には、目標減速度Gを達成する為の略一定の制動力が得られるように、トルク相にて第2電動機M2により付与されている回生トルクがタイアップによるトルク分だけ低減され(t1’時点乃至t2時点)、イナーシャ相にて第2電動機M2により付与されている回生トルクがイナーシャによるトルク分だけ低減される(t2時点乃至t3時点)。これにより、変速ショックの発生が抑制される。
また、上記SA40では別実施例として、例えば2→1ダウンシフトのような最低速側へのコーストダウンシフトである場合には、制動力協調制御を実行すべきであると判断されて制動力協調制御を実行する指令が制動力協調制御手段100へ出力され、単一のダウンシフトで制動力協調制御が実行されても良い。例えば図11に示すように、コースト走行において目標減速度Gを達成する為の制動力が得られるように第2電動機M2による回生トルクが付与されているときに自動変速部20のコーストダウンシフト指令が出力されると(t1時点)、コーストダウンシフトが開始されたt1時点から第2電動機M2による回生トルクが零に向かって低下されると共に低下された回生トルク分が増加されるようにホイールブレーキ装置40によるブレーキトルクが発生させられて回生トルク分がブレーキトルクに置き換えられる。また、t1時点乃至t3時点におけるコーストダウンシフトがクラッチフリーにより実行され、このコーストダウンシフト中には、ホイールブレーキ装置40によるブレーキトルクにより車両に制動力が付与され、更に第2電動機M2により伝達部材18がコーストダウンシフト後の同期回転速度に向かって上昇させられる。変速ショックの発生を抑制する上では制動力協調制御の方が回生協調制御よりも有利であるので、変速ショックを取り難い最低速側へのコーストダウンシフト時の変速時協調制御をこの制動力協調制御にて行う。これにより、例えば4→3、3→2、2→1の3回のダウンシフト中の1回(2→1ダウンシフト)を制動力協調制御にて分担することでホイールブレーキ装置72の使用回数が減り、ホイールブレーキ装置72の耐久性能の低下が抑制される。
一方で、上記SA20の判断が肯定される場合は回生時変速制御手段104及び協調制御実施判定手段102に対応するSA50において、上記許容される最も変速比の大きな変速段への自動変速部20のダウンシフトが実行される。例えば、4→1ダウンシフト等の飛び変速を実行する指令が有段変速制御手段82へ出力される。また、有段変速制御手段82による自動変速部20のダウンシフトが飛び変速である場合には前記変速時協調制御を禁止する指令が回生協調制御手段98及び制動力協調制御手段100へ出力される。図12の破線は、4→3の単一のダウンシフトで回生協調制御を実行しない場合の一例であるが、飛びダウンシフトにおいて変速時協調制御を実行しない場合にも同様の傾向でダウンシフト中には出力トルクTOUTが変化する。このようにホイールブレーキ装置72による制動によって変速ショックが目立ち難く且つ作動油温THOILが所定油温TH1よりも高いことによって変速ショックが増大し難いときには、回生効率の向上を優先した飛び変速が実行されて燃費が一層向上させられる。また、反対に、例えば非制動時や作動油温THOILが所定油温TH1以下であるときには、飛び変速自体が禁止される。この飛び変速が禁止されるときは、自動変速部20のダウンシフトが1段ずつの変速(単一変速)とされて変速ショックが目立たないようにされる。また、回生中の飛びダウンシフト時に変速時協調制御を実行することで却って変速ショックが増大してドライバビリティが低下することを回避することができる。
上述のように、本実施例によれば、コースト走行中の第2電動機M2による回生時に自動変速部20のダウンシフトを実行する際は単一変速又は飛び変速により実行されるので、例えば第2電動機M2による回生中には燃費が向上させられる。特に、飛び変速時には単一変速時に比べて燃費が一層向上させられる。また、変速ショックが増大する可能性の高い低作動油温時には、単一変速時に比べて元々変速ショックが生じ易い飛び変速が禁止されるので、変速ショックが増大してしまうことが回避される。よって、変速ショックの低減と燃費向上とを両立させつつドライバビリティの低下を抑制することができる。
また、本実施例によれば、回生時にホイールブレーキ装置72によるブレーキトルクが未付与であるときは自動変速部20の飛び変速が禁止されるので、回生時にブレーキトルクが未付与であるときは例えば制動ショックに紛らして変速ショックを目立ち難くすることができない非制動時は、変速ショックが目立ってしまうことが回避されてドライバビリティが向上する。
また、本実施例によれば、回生時にホイールブレーキ装置72によるブレーキトルクが付与されているときは自動変速部20の飛び変速が実行されるので、回生時にブレーキトルクが付与されているときは例えば制動ショックに紛らして変速ショックを目立ち難くすることができる制動時は、例えば回生効率を優先した飛び変速が実行されて燃費が一層向上させられる。
また、本実施例によれば、コースト走行中の第2電動機M2による回生時に自動変速部20の単一変速を実行する際は変速ショックを抑制する為の変速時協調制御が行われるので、例えば第2電動機M2による回生中の飛び変速でない単一の変速時には変速ショックが低減される。
また、本実施例によれば、自動変速部20の飛び変速を実行する際は変速時協調制御が禁止されるので、例えば飛び変速時に変速時協調制御が実行し難くなることで却って変速ショックが増大してしまうことが回避される。
また、本実施例によれば、前記変速時協調制御とは、自動変速部20の変速中におけるイナーシャ相にて回生時に第2電動機M2により付与されている回生トルクを低減する回生協調制御であるので、コースト走行中において第2電動機M2による回生トルクが付与されているときの自動変速部20のダウンシフトの際、イナーシャ相にて車両を減速させる方向に発生するイナーシャによるトルク分が回生トルクの低減により相殺されて回生制御中の変速ショックが適切に低減される。
また、本実施例によれば、前記変速時協調制御とは、回生時に第2電動機M2により付与されている回生トルク分を少なくとも自動変速部20の変速期間内はホイールブレーキ装置72によるブレーキトルクに置き換えて車両に制動力を付与する制動力協調制御であるので、コースト走行中において第2電動機M2による回生トルクが付与されているときの自動変速部20のダウンシフトの際、自動変速部20を介して駆動輪34へ伝達される回生トルクが発生しておらず、車輪に直接的に付与されるブレーキトルクにより車両の制動トルク(制動力)が発生させられて変速ショックが適切に抑制される。
また、本実施例によれば、前記制動力協調制御は、自動変速部20の変速開始前或いは変速開始時に回生トルク分をブレーキトルクに置き換えると共に、自動変速部20の変速中にブレーキトルクにより車両に制動力を付与しながら、自動変速部内の動力伝達経路を解放状態として第2電動機M2により自動変速部20の入力側回転部材(伝達部材18)を変速後の回転速度に同期させる変速時同期制御を行うので、制動力協調制御により精度良く回生トルクがブレーキトルクに置き換えられると共に、速やかに自動変速部20の変速が進行させられる。
また、本実施例によれば、回生中の自動変速部20の変速はダウンシフトであるので、第2電動機M2による回生中の変速(ダウンシフト)によって第2電動機回転速度NM2が上昇させられ、高回転・低トルク域での運転が効率良いとされている第2電動機M2の回生効率が向上して燃費が向上させられる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
前述の実施例では、回生中に作動油温THOILが所定油温TH1よりも高く且つホイールブレーキ装置72が作動中である場合に自動変速部20の飛びダウンシフトを実行することで回生効率を向上するものであったが、折角無理して敢えて制御の難しい飛びダウンシフトを実行しても蓄電装置56に充電できなければ意味がない。そこで、蓄電装置56の充電容量SOCが高い場合はすなわち蓄電装置56に充電余裕がない場合は自動変速部20の飛びダウンシフトを禁止しても良い。見方を換えれば、蓄電装置56の充電容量SOCが低い場合はすなわち蓄電装置56に充電余裕がある場合は自動変速部20の飛びダウンシフトを実行しても良い。また、蓄電装置56の充電容量SOCが低く要求充電量が大きいような速やかに充電する必要がある場合にも、自動変速部20の飛びダウンシフトを実行しても良い。
具体的には、車両状態判定手段94は、前述の実施例に替えて或いは加えて、予め定められた所定条件として蓄電装置56の充電容量SOCが所定容量S1よりも小さいか否かを判断する。回生時変速制御手段104は、回生中に車両状態判定手段94により蓄電装置56の充電容量SOCが所定容量S1以上であると判定されたときには、自動変速部20の飛び変速を禁止する指令を有段変速制御手段82へ出力する。見方を換えれば、回生時変速制御手段104は、回生中に車両状態判定手段94により蓄電装置56の充電容量SOCが所定容量S1よりも小さいと判定されたときには、上記許容される最も変速比の大きな変速段への自動変速部20の飛び変速を実行する指令を有段変速制御手段82へ出力する。この所定容量S1は、例えば蓄電装置56への急速な充電が必要となるような要求充電量が高い状態であることを判断する為の予め実験的に求められて記憶された判定値である。また、この所定容量S1は、例えば蓄電装置56の充電余裕があることを判断する為の予め実験的に求められて記憶された判定値でもある。
図13は、電子制御装置80の制御作動の要部すなわち変速ショックの低減と燃費向上とを両立させつつドライバビリティの低下を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。
図13において、先ず、車両状態判定手段94に対応するSB10において、第2電動機M2による回生中であるか否かが判定される。上記SB10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合は同じく車両状態判定手段94に対応するSB20において、蓄電装置56の充電容量SOCが所定容量S1よりも小さく且つブレーキペダル44の操作(オン)BONを表すブレーキ操作信号に基づいてホイールブレーキ装置72が作動中であるか否かが判断される。つまり、制動要求があったかを見ている。また、蓄電装置56を急速に充電する必要があるかを見ている。また、蓄電装置56を充電する必要があり、充電できる余裕があるかを見ているとも言える。また、充電容量SOCが所定容量S1よりも小さいときに蓄電装置56に充電余裕があると見做す。上記SB20の判断が否定される場合は同じく車両状態判定手段94に対応するSB30において、車速Vが低下して自動変速部20のダウンシフトが発生したか否かが判断される。
上記SB30の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合は有段変速制御手段82及び協調制御実施判定手段102(制動力協調制御手段100)に対応するSB40において、例えば回生協調制御を実行する指令が回生協調制御手段98へ出力され、単一のダウンシフトで回生協調制御が実行される。また、このSB40では別実施例として、例えば2→1ダウンシフトのような最低速側へのコーストダウンシフトである場合には、制動力協調制御を実行すべきであると判断されて制動力協調制御を実行する指令が制動力協調制御手段100へ出力され、単一のダウンシフトで制動力協調制御が実行されても良い。
一方で、上記SB20の判断が肯定される場合は回生時変速制御手段104及び協調制御実施判定手段102に対応するSB50において、上記許容される最も変速比の大きな変速段への自動変速部20のダウンシフトが実行される。例えば、4→1ダウンシフト等の飛び変速を実行する指令が有段変速制御手段82へ出力される。また、有段変速制御手段82による自動変速部20のダウンシフトが飛び変速である場合には前記変速時協調制御を禁止する指令が回生協調制御手段98及び制動力協調制御手段100へ出力される。このようにホイールブレーキ装置72による制動によって変速ショックが目立ち難く且つ蓄電装置56に充電余裕があるときには、回生効率の向上を優先した飛び変速が実行されて燃費が一層向上させられる。また、反対に、例えば非制動時や蓄電装置56の充電容量SOCが所定容量S1以上であるときには、飛び変速自体が禁止される。この飛び変速が禁止されるときは、自動変速部20のダウンシフトが1段ずつの変速(単一変速)とされて変速ショックが目立たないようにされる。また、回生中の飛びダウンシフト時に変速時協調制御を実行することで却って変速ショックが増大してドライバビリティが低下することを回避することができる。
上述のように、本実施例によれば、前述の実施例での効果に替えて、或いは加えて、蓄電装置56の充電容量SOCが高いときは、単一変速時に比べて元々変速ショックが生じ易い飛び変速が禁止されるので、蓄電装置56の充電容量SOCが高いときには(見方を換えれば蓄電装置56に充電余裕がないときには)あえて制御の難しい飛び変速が実行されず、単一の変速が実行されて変速ショックが増大してしまうことが回避される。また、蓄電装置56の充電容量SOCが低く蓄電装置56への要求充電量が高いときには回生効率の向上を優先した自動変速部20の飛び変速が実行されるので、回生効率が向上して速やかに蓄電装置56が充電される。また、蓄電装置56の充電容量SOCが低いときには(見方を換えれば蓄電装置56に充電余裕があるときには)回生効率の向上を優先した自動変速部20の飛び変速が実行されるので、回生効率が向上して速やかに蓄電装置56が充電されて充電容量SOCを高くしておくことができる。よって、変速ショックの低減と燃費向上とを両立させつつドライバビリティの低下を抑制することができる。
図14は本発明の他の実施例における動力伝達装置110の構成を説明する骨子図、図15はその動力伝達装置110の変速作動に用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせを示す係合表、図16はその動力伝達装置110の変速作動を説明する共線図である。
動力伝達装置110は、前述の実施例と同様に第1電動機M1、動力分配機構16、及び第2電動機M2を備えている差動部11と、その差動部11と出力軸22との間で伝達部材18を介して直列に連結されている前進3段の自動変速部120とを備えている。動力分配機構16は、例えば「0.418」程度の所定のギヤ比ρ0を有するシングルピニオン型の差動部遊星歯車装置24と切換クラッチC0及び切換ブレーキB0とを有している。自動変速部120は、例えば「0.532」程度の所定のギヤ比ρ1を有するシングルピニオン型の第1遊星歯車装置126と例えば「0.418」程度の所定のギヤ比ρ2を有するシングルピニオン型の第2遊星歯車装置128とを備えている。第1遊星歯車装置126の第1サンギヤS1と第2遊星歯車装置128の第2サンギヤS2とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されると共に第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第1遊星歯車装置126の第1キャリヤCA1と第2遊星歯車装置128の第2リングギヤR2とが一体的に連結されて出力軸22に連結され、第1リングギヤR1は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結され、第2キャリヤCA2は第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結されている。
このように、自動変速部120内と差動部11(伝達部材18)とは自動変速部120の変速段を成立させるために用いられる第1クラッチC1又は第2クラッチC2を介して選択的に連結されている。言い換えれば、第1クラッチC1及び第2クラッチC2は、伝達部材18と自動変速部120との間の動力伝達経路すなわち差動部11(伝達部材18)から駆動輪34への動力伝達経路を、その動力伝達経路の動力伝達を可能とする動力伝達可能状態と、その動力伝達経路の動力伝達を遮断する動力伝達遮断状態とに選択的に切り換える係合装置として機能している。つまり、第1クラッチC1及び第2クラッチC2の少なくとの一方が係合されることで上記動力伝達経路が動力伝達可能状態とされ、或いは第1クラッチC1及び第2クラッチC2が解放されることで上記動力伝達経路が動力伝達遮断状態とされる。
以上のように構成された動力伝達装置110では、例えば、図15の係合作動表に示されるように、前記切換クラッチC0、第1クラッチC1、第2クラッチC2、切換ブレーキB0、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2が選択的に係合作動させられることにより、第1速ギヤ段(第1変速段)乃至第4速ギヤ段(第4変速段)の何れか或いは後進ギヤ段(後進変速段)或いはニュートラルが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。特に、本実施例では動力分配機構16に切換クラッチC0及び切換ブレーキB0が備えられており、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0の何れかが係合作動させられることによって、差動部11は前述した無段変速機として作動する無段変速状態に加え、変速比が一定の変速機として作動する定変速状態を構成することが可能とされている。従って、動力伝達装置110では、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0の何れかを係合作動させることで定変速状態とされた差動部11と自動変速部120とで有段変速機として作動する有段変速状態が構成され、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0の何れも係合作動させないことで無段変速状態とされた差動部11と自動変速部120とで電気的な無段変速機として作動する無段変速状態が構成される。言い換えれば、動力伝達装置110は、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0の何れかを係合作動させることで有段変速状態に切り換えられ、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0の何れも係合作動させないことで無段変速状態に切り換えられる。
例えば、動力伝達装置110が有段変速機として機能する場合には、図15に示すように、切換クラッチC0、第1クラッチC1、及び第2ブレーキB2の係合により、変速比γ1が最大値例えば「2.804」程度である第1速ギヤ段が成立させられ、切換クラッチC0、第1クラッチC1、及び第1ブレーキB1の係合により、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.531」程度である第2速ギヤ段が成立させられ、切換クラッチC0、第1クラッチC1、及び第2クラッチC2の係合により、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.000」程度である第3速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1、第2クラッチC2、及び切換ブレーキB0の係合により、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値例えば「0.705」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。また、第2クラッチC2及び第2ブレーキB2の係合により、変速比γRが第1速ギヤ段と第2速ギヤ段との間の値例えば「2.393」程度である後進ギヤ段が成立させられる。尚、ニュートラル「N」状態とする場合には、例えば全てのクラッチ及びブレーキC0,C1,C2,B0,B1,B2,B3が解放される。
一方、動力伝達装置110が無段変速機として機能する場合には、図15に示される係合表の切換クラッチC0及び切換ブレーキB0が共に解放される。これにより、差動部11が無段変速機として機能し、それに直列の自動変速部120が有段変速機として機能することにより、自動変速部120の第1速、第2速、第3速の各ギヤ段に対しその自動変速部120の入力回転速度NINすなわち伝達部材回転速度N18が無段的に変化させられて各ギヤ段は無段的な変速比幅が得られる。従って、その各ギヤ段の間が無段的に連続変化可能な変速比となって動力伝達装置110全体としてのトータル変速比γTが無段階に得られるようになる。
図16は、無段変速部或いは第1変速部として機能する差動部11と有段変速部或いは第2変速部として機能する自動変速部120とから構成される動力伝達装置110において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。切換クラッチC0及び切換ブレーキB0が解放される場合、及び切換クラッチC0又は切換ブレーキB0が係合させられる場合の動力分配機構16(差動部11)の各要素の回転速度は前述の場合と同様である。
図16における自動変速部120の4本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7は、左から順に、第4回転要素(第4要素)RE4に対応し且つ相互に連結された第1サンギヤS1及び第2サンギヤS2を、第5回転要素(第5要素)RE5に対応する第2キャリヤCA2を、第6回転要素(第6要素)RE6に対応し且つ相互に連結された第1キャリヤCA1及び第2リングギヤR2を、第7回転要素(第7要素)RE7に対応する第1リングギヤR1をそれぞれ表している。また、自動変速部120において第4回転要素RE4は第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されると共に第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第5回転要素RE5は第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第6回転要素RE6は自動変速部120の出力軸22に連結され、第7回転要素RE7は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。
自動変速部120では、図16に示すように、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合させられることにより、第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7と横線X2との交点と第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5と横線X1との交点とを通る斜めの直線L1と、出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で第1速(1st)の出力軸22の回転速度が示される。同様に、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L2と出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で第2速(2nd)の出力軸22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合させられることにより決まる水平な直線L3と出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で第3速(3rd)の出力軸22の回転速度が示される。上記第1速乃至第3速では、切換クラッチC0が係合させられている結果、エンジン回転速度Nと同じ回転速度で第7回転要素RE7に差動部11からの動力が入力される。一方、切換クラッチC0に替えて切換ブレーキB0が係合させられると、差動部11からの動力がエンジン回転速度Nよりも高い回転速度で入力されることから、第1クラッチC1、第2クラッチC2、及び切換ブレーキB0が係合させられることにより決まる水平な直線L4と出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で第4速(4th)の出力軸22の回転速度が示される。
本実施例においても、動力伝達装置110は無段変速部或いは第1変速部として機能する差動部11と、有段変速部或いは第2変速部として機能する自動変速部120とから構成されるので、前述の実施例と同様の効果が得られる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明は実施例相互を組み合わせて実施可能であると共にその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、回生時変速制御手段104(図10、13におけるSA50、SB50)は、回生中に所定条件が成立したときには、上記許容される最も変速比の大きな変速段への自動変速部20の変速例えば飛びダウンシフトを実行するものであったが、飛びダウンシフトを許容するものであっても良い。つまり、回生時変速制御手段104(SA50、SB50)は、所定条件成立時にいきなりダウンシフトを実行するものであったが、コースト走行時の車速Vの低下に伴う単一のダウンシフトの発生を待ち、その単一のダウンシフトの発生時にいきなり上記許容される最も変速比の大きな変速段への自動変速部20の飛びダウンシフトを許容する形で飛びダウンシフトを実行しても良い。このようにしても、前述の実施例と同様の効果が得られる。また、この許容する態様の場合には、例えば単一ダウンシフトの発生判断(図10、13におけるSA30、SB30)を、それぞれSA20、SB20のステップ以前で判断するようにしても良い。
また、前述の実施例においては、走行モードすなわち自動変速部20の変速パターンは走行モード切換スイッチ40の操作に基づいて選択されるが、手動操作である必要はなく、例えば、車速Vやアクセル開度Accなどに基づき自動的に選択されてもよい。
また、前述の実施例の車両用動力伝達装置10、110は、駆動力源としてのエンジン8及び第2電動機M2と、電気式変速機能としての差動部11と、機械式変速機能としての自動変速部20、120とを備えていたが、少なくとも回生制御可能な駆動力源としての電動機と変速部とを備えておれば、本発明は適用され得る。
また、前述の実施例の車両用動力伝達装置10、110は、動力分配機構16が差動状態と非差動状態とに切り換えられることで電気的な無段変速機として機能する無段変速状態と有段変速機として機能する有段変速状態とに切換可能に構成されたが、動力伝達装置10、110が有段変速状態に切換可能に構成されない変速機構すなわち差動部11が切換クラッチC0及び切換ブレーキB0を備えず電気的な無段変速機(電気的な差動装置)としての機能のみを有する電気式差動部(無段変速部)11であっても本実施例は適用され得る。この場合には例えば切換制御手段90や増速側ギヤ段判定手段88は備えられる必要はない。
また、前述の実施例において、動力分配機構16が、差動制限装置として機能する切換クラッチC0及び切換ブレーキB0を備えているが、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0は動力分配機構16とは別個に動力伝達装置10、110に備えられていてもよい。また、切換クラッチC0及び切換ブレーキB0の何れか一方がない構成も考え得る。また、切換クラッチC0は、サンギヤS1とキャリヤCA1とを選択的に連結するものであったが、サンギヤS1とリングギヤR1との間や、キャリヤCA1とリングギヤR1との間を選択的に連結するものであってもよい。要するに、第1遊星歯車装置24の3要素のうちのいずれか2つを相互に連結するものであればよい。
また、前述の実施例では、第1電動機M1の運転状態が制御されることにより、差動部11(動力分配機構16)はその変速比γ0が最小値γ0minから最大値γ0maxまで連続的に変化させられる電気的な無段変速機として機能するものであったが、例えば差動部11の変速比γ0を連続的ではなく差動作用を利用して敢えて段階的に変化させるものであってもよい。
また、前述の実施例の動力伝達装置10、110において、エンジン8と差動部11とは直結されているが、エンジン8が差動部11にクラッチ等の係合要素を介して連結されていてもよい。
また、前述の実施例の動力伝達装置10、110において、第1電動機M1と第2回転要素RE2とは直結されており、第2電動機M2と第3回転要素RE3とは直結されているが、第1電動機M1が第2回転要素RE2にクラッチ等の係合要素を介して連結され、第2電動機M2が第3回転要素RE3にクラッチ等の係合要素を介して連結されていてもよい。
また、前述の実施例では、エンジン8から駆動輪34への動力伝達経路において、差動部11の次に自動変速部20、120が連結されているが、自動変速部20、120の次に差動部11が連結されている順番でもよい。要するに、自動変速部20、120は、エンジン8から駆動輪34への動力伝達経路の一部を構成するように設けられておればよい。
また、前述の実施例の図1、13によれば、差動部11と自動変速部20、120は直列に連結されているが、動力伝達装置10、110全体として電気的に差動状態を変更し得る電気式差動機能とその電気式差動機能による変速とは異なる原理で変速する機能とが備わっていれば、差動部11と自動変速部20、120とが機械的に独立していなくても本発明は適用される。
また、前述の実施例において、動力分配機構16はシングルプラネタリであるが、ダブルプラネタリであってもよい。
また、前述の実施例の差動機構として動力分配機構16は、例えばエンジンによって回転駆動されるピニオンと、そのピニオンに噛み合う一対のかさ歯車が第1電動機M1及び伝達部材18(第2電動機M2)に作動的に連結された差動歯車装置であってもよい。
また、前述の実施例においては、差動部遊星歯車装置24を構成する第1回転要素RE1にはエンジン8が動力伝達可能に連結され、第2回転要素RE2には第1電動機M1が動力伝達可能に連結され、第3回転要素RE3には駆動輪34への動力伝達経路が連結されているが、例えば、2以上の遊星歯車装置がそれを構成する一部の回転要素で相互に連結された構成において、その遊星歯車装置の回転要素にそれぞれエンジン、電動機、駆動輪が動力伝達可能に連結されており、その遊星歯車装置の回転要素に連結されたクラッチ又はブレーキの制御により有段変速と無段変速とに切換可能な構成にも本発明は適用される。
また、前述の実施例では、差動部11すなわち動力分配機構16の出力部材である伝達部材18と駆動輪34との間の動力伝達経路に、自動変速部20、120が介挿されていたが、例えば自動変速機の一種である無段変速機(CVT)、手動変速機としてよく知られた常時噛合式平行2軸型ではあるがセレクトシリンダおよびシフトシリンダによりギヤ段が自動的に切り換えられることが可能な自動変速機、手動操作により変速段が切り換えられる同期噛み合い式の手動変速機等の他の形式の動力伝達装置(変速機)が設けられていてもよい。その無段変速機(CVT)の場合には、動力分配機構16が定変速状態とされることで全体として有段変速状態とされる。有段変速状態とは、電気パスを用いないで専ら機械的伝達経路で動力伝達することである。或いは、上記無段変速機は有段変速機における変速段に対応するように予め複数の固定された変速比が記憶され、その複数の固定された変速比を用いて自動変速部20、120の変速が実行されてもよい。
また、前述の実施例においては、第2電動機M2は伝達部材18に直接連結されているが、第2電動機M2の連結位置はそれに限定されず、エンジン8又は伝達部材18から駆動輪34までの間の動力伝達経路に直接的或いは変速機、遊星歯車装置、係合装置等を介して間接的に連結されていてもよい。
また、前述の実施例の動力分配機構16では、差動部キャリヤCA0がエンジン8に連結され、差動部サンギヤS0が第1電動機M1に連結され、差動部リングギヤR0が伝達部材18に連結されていたが、それらの連結関係は、必ずしもそれに限定されるものではなく、エンジン8、第1電動機M1、伝達部材18は、差動部遊星歯車装置24の3要素CA0、S0、R0のうちの何れと連結されていても差し支えない。
また、前述の実施例において、エンジン8は入力軸14と直結されていたが、例えばギヤ、ベルト等を介して作動的に連結されておればよく、共通の軸心上に配置される必要もない。
また、前述の実施例では、第1電動機M1及び第2電動機M2は、入力軸14に同心に配置されて第1電動機M1は差動部サンギヤS0に連結され、第2電動機M2は伝達部材18に連結されていたが、必ずしもそのように配置される必要はなく、例えばギヤ、ベルト、減速機等を介して作動的に第1電動機M1は差動部サンギヤS0に連結され、第2電動機M2は伝達部材18に連結されていてもよい。
また、前述の実施例において、自動変速部20、120は伝達部材18を介して差動部11と直列に連結されていたが、入力軸14と平行にカウンタ軸が設けられてそのカウンタ軸上に同心に自動変速部20、120が配列されていてもよい。この場合には、差動部11と自動変速部20、120とは、例えば伝達部材18としてカウンタギヤ対、スプロケット及びチェーンで構成される1組の伝達部材などを介して動力伝達可能に連結される。
また、前述の実施例の動力分配機構16は1組の差動部遊星歯車装置24から構成されていたが、2以上の遊星歯車装置から構成されて、非差動状態(定変速状態)では3段以上の変速機として機能するものであってもよい。
また、前述の実施例の第2電動機M2はエンジン8から駆動輪34までの動力伝達経路の一部を構成する伝達部材18に連結されているが、第2電動機M2がその動力伝達経路に連結されていることに加え、クラッチ等の係合要素を介して動力分配機構16にも連結可能とされており、第1電動機M1の代わりに第2電動機M2によって動力分配機構16の差動状態を制御可能とする動力伝達装置10の構成であってもよい。
また、前述の実施例において、差動部11が、第1電動機M1及び第2電動機M2を備えているが、第1電動機M1及び第2電動機M2は差動部11とはそれぞれ別個に動力伝達装置10、110に備えられていてもよい。
また、前述の実施例では、第1クラッチC1や切換クラッチC0や切換ブレーキB0などの油圧式摩擦係合装置は、パウダー(磁紛)クラッチ、電磁クラッチ、噛合型のドグクラッチなどの磁紛式、電磁式、機械式係合装置から構成されていてもよい。例えば電磁クラッチであるような場合には、油圧制御回路70は油路を切り換える弁装置ではなく電磁クラッチへの電気的な指令信号回路を切り換えるスイッチング装置や電磁切換装置等により構成される。
また、前述した複数の実施例はそれぞれ、例えば優先順位を設けるなどして、相互に組み合わせて実施することができる。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10、110:車両用動力伝達装置
18:伝達部材(変速部の入力側回転部材)
20、120:自動変速部(変速部)
56:蓄電装置
72:ホイールブレーキ装置(制動装置)
80:電子制御装置(制御装置)
M2:第2電動機(電動機)

Claims (10)

  1. 動力伝達経路の一部を構成する変速部と、該変速部の入力側回転部材に動力伝達可能に連結された電動機とを備える車両用動力伝達装置の制御装置であって、
    コースト走行中の前記電動機による回生時に前記変速部の変速を実行する際は、単一変速又は飛び変速により該変速を実行するものであり、
    前記変速部の作動油温が所定油温以下である場合は前記飛び変速を禁止することを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
  2. 車輪にブレーキトルクを付与する制動装置を備え、
    前記回生時に前記ブレーキトルクが未付与であるときは前記飛び変速を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
  3. 前記回生時に前記ブレーキトルクが付与されているときは前記飛び変速を実行するか或いは許容することを特徴とする請求項2に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
  4. 前記変速部の単一変速を実行する際は変速ショックを抑制する為の変速時協調制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
  5. 前記変速部の飛び変速を実行する際は前記変速時協調制御を禁止することを特徴とする請求項4に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
  6. 前記変速時協調制御とは、前記変速部の変速中におけるイナーシャ相にて前記回生時に前記電動機により付与されている回生トルクを低減する回生協調制御であることを特徴とする請求項4又は5に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
  7. 車輪にブレーキトルクを付与する制動装置を備え、
    前記変速時協調制御とは、前記回生時に前記電動機により付与されている回生トルク分を少なくとも前記変速部の変速期間内は前記ブレーキトルクに置き換えて車両に制動力を付与する制動力協調制御であることを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
  8. 前記制動力協調制御は、前記変速部の変速開始前或いは変速開始時に前記回生トルク分を前記ブレーキトルクに置き換えると共に、前記変速部の変速中に前記ブレーキトルクにより車両に制動力を付与しながら、前記変速部内の動力伝達経路を解放状態として前記電動機により前記変速部の入力側回転部材を変速後の回転速度に同期させる変速時同期制御を行うことを特徴とする請求項7に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
  9. 前記変速部の変速は、ダウンシフトであることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
  10. 前記変速部は、機械的に変速比が設定される有段変速機であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
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