JP2014233969A - 繊維質成形体 - Google Patents

繊維質成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2014233969A
JP2014233969A JP2013119270A JP2013119270A JP2014233969A JP 2014233969 A JP2014233969 A JP 2014233969A JP 2013119270 A JP2013119270 A JP 2013119270A JP 2013119270 A JP2013119270 A JP 2013119270A JP 2014233969 A JP2014233969 A JP 2014233969A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
binder
resin
fiber
skin layer
base material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013119270A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6083324B2 (ja
Inventor
秀樹 川尻
Hideki Kawajiri
秀樹 川尻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Boshoku Corp
Original Assignee
Toyota Boshoku Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Boshoku Corp filed Critical Toyota Boshoku Corp
Priority to JP2013119270A priority Critical patent/JP6083324B2/ja
Publication of JP2014233969A publication Critical patent/JP2014233969A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6083324B2 publication Critical patent/JP6083324B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

【課題】植物性材料を含んだ繊維質の基材層と、樹脂繊維を含んだ繊維質の表皮層とを、揮発性成分を含んだ接着剤を用いることなく接着した繊維質成形体を提供する。【解決手段】基材層3とその一面に接着された表皮層5と、を備えた繊維質成形体1であって、基材層3は、植物性繊維7と、植物性繊維7を結着している第1のバインダ9と、を含み、表皮層5は、樹脂繊維11と、樹脂繊維11を結着している第2のバインダ13と、を含み、第2のバインダ13は、変性熱可塑性樹脂を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維質成形体に関する。更に詳しくは、植物性材料を含んだ繊維質の基材層と、樹脂繊維を含んだ繊維質の表皮層とが接着された繊維質成形体に関する。
近年、揮発性成分が含まれた接着剤や揮発性成分が含まれた接着シートを用いることなく、2つの層を接着できる方法が求められている。これは接着剤等に含まれる揮発性成分が、揮発性有機化合物(VOC)の原因となったり、窓ガラスの表面に付着してガラスを曇らせたりすることが危惧されるからである。このため、揮発性成分を用いることなく2つの層を接着できることが要求されている。特に、複数の繊維が集積された繊維質の構造では、内部に多くの空隙を有するために接着しづらく、繊維質の構造の層を接着できる技術が求められている。
揮発性成分が含まれない材料を用いて2つの層を接着できる技術としては、下記特許文献1及び下記特許文献2が知られている。
特開平11−227112号公報 特開2002−254461号公報
上記特許文献1には、木質ボードの表面に紙を張り付けるのに際して、木質ボードと紙との間に、熱可塑性樹脂からなる接着シートを介挿し、この接着シートを溶融させて両者を接着した木質ボード等が開示されている。しかしながら、この方法では、繊維質の層同士を接着することが困難である。
一方、特許文献2には、基材層と表皮層とを接着するに際して、基材層に含まれた熱可塑性樹脂を用いて両者を接着したボード成形体が開示されている。この方法は、基材層内に含まれた熱可塑性樹脂を用いて表皮層を接着しており、繊維質の層同士を接着できる点で優れている。しかしながら、更に強固な接着性が求められている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、植物性材料を含んだ繊維質の基材層と、樹脂繊維を含んだ繊維質の表皮層とを、揮発性成分を含んだ接着剤を用いることなく接着した繊維質成形体を提供することを目的とする。
上記問題を解決するために、請求項1に記載の繊維質成形体は、基材層とその一面に接着された表皮層と、を備えた繊維質成形体であって、
前記基材層は、植物性繊維と、前記植物性繊維を結着している第1のバインダと、を含み、
前記表皮層は、樹脂繊維と、前記樹脂繊維を結着している第2のバインダと、を含み、
前記第2のバインダは、変性熱可塑性樹脂を含むことを要旨とする。
請求項2に記載の繊維質成形体は、請求項1の繊維質成形体において、前記第1のバインダは、非変性オレフィン樹脂であり、
前記第2のバインダは、非変性オレフィン樹脂を含み、
前記変性熱可塑性樹脂が変性オレフィン樹脂であることを要旨とする。
請求項3に記載の繊維質成形体は、請求項1又は2に記載の繊維質成形体において、前記表皮層に含まれる前記樹脂繊維が、ポリエステル繊維であることを要旨とする。
請求項1に記載の繊維質成形体は、基材層とその一面に接着された表皮層と、を備える。このうち、基材層は、植物性繊維と、この植物性繊維を結着している第1のバインダと、を含む。一方、表皮層は、樹脂繊維と、この樹脂繊維を結着している第2のバインダと、を含む。そして、表皮層に含まれる第2のバインダは変性熱可塑性樹脂を含む。
このように構成することで、植物性材料を含んだ繊維質の基材層と、樹脂繊維を含んだ繊維質の表皮層とを、揮発性成分を含んだ接着剤を用いることなく接着できる。即ち、表皮層の樹脂繊維を結着する第2のバインダを利用して、基材層と表皮層とを接着できる。
請求項2に記載の繊維質成形体は、第1のバインダが、非変性オレフィン樹脂である。更に、第2のバインダが、非変性オレフィン樹脂と変性熱可塑性樹脂とを含む。そして、第2のバインダの変性熱可塑性樹脂が変性オレフィン樹脂である。
このように構成することで、表皮層を構成する非変性オレフィン樹脂は、基材層を構成する非変性オレフィン樹脂に対して親和性を発揮できる。更に、表皮層を構成する変性オレフィン樹脂は、基材層を構成する植物性繊維に対して親和性を発揮できる。そして、表皮層を構成する材料が、基材層を構成する材料に対して親和性を有することで、両者をより強固に接着できる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
本繊維質成形体の一例を説明する説明図である。 本繊維質成形体における基材層及び基材層用部材を説明する説明図である。 本繊維質成形体における基材層及び基材層用部材を説明する説明図である。 本繊維質成形体における表皮層及び表皮層用部材を説明する説明図である。 本繊維質成形体における表皮層及び表皮層用部材を説明する説明図である。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本発明について以下詳細に説明する。
本発明の繊維質成形体(1)は、基材層(3)とその一面に接着された表皮層(5)と、を備える(図1参照)。
このうち、基材層(3)は、通常、表皮層(5)に対して相対的に厚く形成され、表皮層(5)を支持する層である。また、基材層(3)は、植物性繊維(7)と、この植物性繊維(7)を結着している第1のバインダ(9)と、を含んでいる。
基材層(3)を構成する植物性繊維(7)は、植物に由来する繊維であり、植物から取り出した繊維や、これを加工した繊維が含まれる。植物性繊維(7)の元となる植物としては、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ、ヒノキ等)、広葉樹、綿花等の各種植物が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。なかでも、靭皮植物、即ち、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)が好ましい。靭皮植物は、一般に、成長が早く、優れた二酸化炭素吸収性を有する。このため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献できるからである。更に、靭皮植物のなかでもケナフが好ましく、更には、ケナフの靭皮から採取されるケナフ繊維が最も好ましい。
植物性繊維(7)の繊維長は特に限定されないが、通常、平均繊維長が10mm以上であり、10〜150mmが好ましく、20〜100mmがより好ましく、30〜80mmが更に好ましい。この平均繊維長は、JIS L1015に準拠して、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、伸張させずにまっすぐに伸ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した値の平均値である。以下、平均繊維長については同様である。
基材層(3)を構成する第1のバインダ(9)は、基材層(3)内で植物性繊維(7)を結着しているバインダである。
第1のバインダ(9)としては、通常、熱可塑性樹脂が選択される。このような熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、ポリオレフィン樹脂(非変性ポリオレフィン樹脂)が好ましい。ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
即ち、ポリオレフィン樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体等のポリエチレン樹脂が挙げられる。これらのポリエチレン樹脂は、全構成単位数のうちの50%以上がエチレンに由来する単位の樹脂である。更に、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体等のポリプロピレン樹脂が挙げられる。これらのポリプロピレン樹脂は、全構成単位数のうちの50%以上がプロピレンに由来する単位の樹脂である。
基材層(3)における植物性繊維(7)と第1のバインダ(9)との含有割合は特に限定されないが、植物性繊維(7)と第1のバインダ(9)との合計を100質量%とした場合に、植物性繊維(7)が30〜95質量%であることが好ましい。この割合は、32〜80質量%がより好ましく、33〜70質量%が更に好ましく、35〜65質量%が特に好ましい。
基材層(3)は、植物性繊維(7)及び第1のバインダ(9)以外にも、他の材料を含むことができる。他の材料としては、熱膨張性カプセルが挙げられる。熱膨張性カプセルは、熱可塑性樹脂からなる殻壁(カプセル)と、殻壁内に収容された発泡剤とを有し、加熱により体積膨張するカプセルである。即ち、熱膨張性カプセルは、加熱されると、発泡剤が発泡(膨張)されて、その発泡によって、軟化された殻壁が押し広げられて、体積膨張するカプセルである。
本発明の繊維質成形体(1)は、基材層(3)の一面に接着された表皮層(5)を備える。表皮層(5)は、基材層(3)の表面に接着されて、基材層(3)の少なくとも一部(全部であってもよい)を覆う層である(図1参照)。
この表皮層(5)は、樹脂繊維(11)と、この樹脂繊維(11)を結着している第2のバインダ(13)と、を含む。
表皮層(5)を構成する樹脂繊維(11)は、通常、熱可塑性樹脂を紡糸して得られた樹脂繊維である。樹脂繊維(11)を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル繊維用樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このうち、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。また、ポリアミド樹脂としては、各種ナイロン樹脂等が挙げられる。更に、アクリル繊維用樹脂としては、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリルと他の単量体との共重合体が挙げられる。他の単量体としては、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等が挙げられる。また、ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等が挙げられる。これらのポリオレフィン樹脂は、全構成単位数のうちの50%以上がオレフィンに由来する単位の樹脂である。
これらのなかでも、樹脂繊維(11)に用いる熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂及びポリアミド樹脂が好ましく、更には、ポリエステル樹脂がより好ましい。ポリエステル樹脂は、一般に、ポリオレフィン樹脂よりも高い融点を有するため、第2のバインダとして、汎用性の高いポリオレフィン樹脂を選択できる。即ち、樹脂繊維(11)同士を結着する際に、第2のバインダを溶融しても、樹脂繊維(11)自体は溶融されず、樹脂繊維(11)は繊維の形態を維持できる。これにより、繊維質な表皮層(5)を得ることができる。
樹脂繊維(11)の繊度は特に限定されないが、0.1〜50dtexであることが好ましく、0.5〜25dtexであることがより好ましく、1〜10dtexであることが特に好ましい。また、その繊維長も特に限定されないが、通常、平均繊維長は10mm以上である。この平均繊維長は10〜150mmが好ましく、20〜100mmがより好ましく、30〜80mmが更に好ましい。
表皮層(5)には、上述した樹脂繊維(11)以外に、他の繊維を配合できる。他の繊維としては、レーヨン、綿、麻、フェノール樹脂繊維、芳香族ポリアミド繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維が挙げられる。これらの他の繊維は、熱不溶融性の繊維であるため、第2のバインダを溶融して、樹脂繊維(11)を結着する際に、溶融させることなく、繊維の形態を維持できる。
表皮層(5)を構成する第2のバインダ(13)は、表皮層(5)内で樹脂繊維(11)を結着しているバインダである。上述のように樹脂繊維(11)以外の他の繊維を含む場合には、第2のバインダ(13)はそれら他の繊維も結着できる。
この第2のバインダ(13)は、変性熱可塑性樹脂を含む。変性熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂を変性した樹脂であり、通常、変性によって未変性熱可塑性樹脂に極性基が導入されている。
変性される極性基としては、無水カルボン酸基(−CO−O−OC−)、カルボン酸基(−COOH)、カルボニル基(−CO−)、ヒドロキシル基(−OH)、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、ニトリル基(−CN)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、無水カルボン酸基、カルボン酸基、カルボニル基のうちの少なくとも1種が好ましく、無水カルボン酸基又はカルボン酸基が特に好ましい。
これらの基はどのような化合物を用いて導入してもよいが、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等を用いて導入できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、無水マレイン酸及び無水イタコン酸が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
一方、変性する熱可塑性樹脂(未変性熱可塑性樹脂)としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
即ち、変性熱可塑性樹脂としては、変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。更に、変性ポリオレフィン樹脂のなかでも、無水カルボン酸基、カルボン酸基、及び、カルボニル基のうちの少なくとも1種が導入された酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。更に、そのなかでも、無水カルボン酸基又はカルボン酸基が導入された酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましく、特に無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。
本発明の繊維質成形体(1)では、表皮層(5)の第2のバインダ(13)に含まれた変性熱可塑性樹脂に、基材層(3)と表皮層(5)とを接着する機能を発揮させることができる。即ち、表皮層(5)の第2のバインダ(13)に含まれる変性熱可塑性樹脂を、溶融して基材層(3)の表面から浸透させて固化することができる。基材層(3)に浸透させて固化することで、内部に空隙を有した繊維質の構造であっても接着することができる。即ち、基材層(3)と表皮層(5)とを接着できる。
更に、第2のバインダ(13)に含まれた変性熱可塑性樹脂は、基材層(3)に対して高い接着力を発揮できる。即ち、変性熱可塑性樹脂の変性によって導入された基に植物性繊維(7)に対する親和性を発揮させ、変性熱可塑性樹脂の主鎖に第1のバインダ(9)に対する親和性を発揮させることができる。
例えば、後述するように、第1のバインダ(9)としてポリプロピレン樹脂を選択し、第2のバインダ(13)の変性熱可塑性樹脂として酸変性ポリプロピレン樹脂を選択したとする。この場合、酸変性ポリプロピレン樹脂の変性基は、基材層(3)の植物性繊維(7)に高い親和性を発揮できる。加えて、酸変性ポリプロピレン樹脂の主鎖は、基材層(3)の第1のバインダ(9)に対して高い親和性を発揮できる。このように、表皮層(5)中の第2のバインダ(13)に含まれた変性熱可塑性樹脂が、基材層(3)の各構成材料に対して高い親和性を発揮できることで、基材層(3)と表皮層(5)とを更に強固に接着できる。
上述したように、本発明の繊維質成形体(1)では、基材層(3)を構成する材料と、表皮層(5)を構成する材料のみによって、両者を強固に接着することができる。このため、揮発性成分が含まれた接着剤を利用する必要がなく、VOCの問題やフォギングの問題を生じない。また、この構成の繊維質成形体(1)は、製造時に接着剤を塗布したり、接着剤シートを介挿したりするための工程も必要がなく、工程数も削減できる。
本発明の繊維質成形体(1)では、上述のように、第2のバインダ(13)に含まれた変性熱可塑性樹脂によって、基材層(3)と表皮層(5)とを接着できる。そして、各々の層を構成する各材料の相関がより接着に適した組合せであれば、より強固な接着を得ることができる。具体的には、第1のバインダ(9)が非変性ポリオレフィン樹脂であり、樹脂繊維(11)がポリエステル樹脂繊維であり、第2のバインダ(13)の変性熱可塑性樹脂が酸変性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
上記の組合せでは、表皮層(5)の酸変性ポリオレフィン樹脂が、溶融されて基材層(3)の表面から浸透して固化されることで、基材層(3)と表皮層(5)とを接着する機能を発揮できる。また、酸変性ポリオレフィンは、その酸変性基によって、基材層(3)の植物性繊維(7)に対して高い接着力を発揮できる。更に、酸変性ポリオレフィンの主鎖は−(CH−CH)−の繰り返し構造であるため、基材層(3)に含まれた第1のバインダ(9)である非変性ポリオレフィン樹脂に対して高い接着力を発揮できる。加えて、表皮層(5)に含まれたポリエステル樹脂繊維(11)は、第1のバインダ(9)である非変性ポリオレフィン樹脂や、第2のバインダ(13)に含まれた変性ポリオレフィン樹脂よりも融点が高い。このため、ポリエステル樹脂繊維(11)は、これらのバインダが溶融されても繊維の形態を維持できる。従って、基材層(3)と表皮層(5)とを接着した後でも、表皮層(5)を繊維質に保つことができる。
表皮層(5)を構成する第2のバインダ(13)は、上述した変性熱可塑性樹脂以外に、他の熱可塑性樹脂を含むことができる。即ち、変性されてない熱可塑性樹脂(非変性熱可塑性樹脂)を含むことができる。非変性熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、ポリオレフィン樹脂(非変性ポリオレフィン樹脂)が好ましい。
第2のバインダ(13)が非変性熱可塑性樹脂と変性熱可塑性樹脂とを含み、変性熱可塑性樹脂が酸変性熱可塑性樹脂である場合、この酸変性熱可塑性樹脂の酸価は15以上(通常、80以下)であることが好ましい。この範囲では、第2のバインダ(13)中の酸変性熱可塑性樹脂の含有量を抑えつつ、植物性繊維(7)に対して十分な結着性能を発揮させることができる。酸価は15〜70がより好ましく、20〜60が更に好ましく、23〜30が特に好ましい。この酸価はJIS K0070により測定される。
また、変性熱可塑性樹脂が、酸変性熱可塑性樹脂である場合、その分子量は重量平均分子量で10000〜200000が好ましい。この範囲では、第2のバインダ(13)中の酸変性熱可塑性樹脂の含有量を抑えつつ、植物性繊維(7)に対して十分な結着性能を発揮させることができる。この重量平均分子量は15000〜150000がより好ましく、25000〜100000が更に好ましく、35000〜60000が特に好ましい。この重量平均分子量はGPC法により測定される。
第2のバインダ(13)が、非変性熱可塑性樹脂及び変性熱可塑性樹脂を含む場合、第2のバインダ(13)に含まれる非変性熱可塑性樹脂及び変性熱可塑性樹脂の合計量を100質量%とした場合に、変性熱可塑性樹脂は1〜12質量%であることが好ましい。この割合は、2〜9質量%がより好ましく、3〜7質量%が更に好ましく、4〜6質量%が特に好ましい。
また、表皮層(5)に含まれる樹脂繊維(11)の割合は、樹脂繊維(11)と第2のバインダ(13)との合計を100質量%とした場合に、70〜99質量%であることが好ましい。この割合は、72〜95質量%がより好ましく、73〜90質量%が更に好ましく、75〜85質量%が特に好ましい。
尚、前述のように、本発明の繊維質成形体(1)では、第2のバインダ(13)が、基材層(3)と表皮層(5)とを接着している。本発明の繊維質成形体(1)では、それ以外の熱可塑性樹脂がこれらの接着に寄与してもよい。例えば、第1のバインダ(9)として含まれる熱可塑性樹脂が、溶融されて表皮層(5)の表面から浸透して固化されていてもよい。
また、基材層(3)は、植物性繊維(7)及び第1のバインダ(9)以外にも、他の材料を含むことができる。他の材料としては、変性熱可塑性樹脂が挙げられる。変性熱可塑性樹脂としては、第2のバインダ(13)に含まれる変性熱可塑性樹脂を用いることができる。より具体的には、第1のバインダ(9)として、ポリオレフィン樹脂を用いる場合、基材層(3)には、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂が含まれてもよい。
本発明の繊維質成形体(1)は、どのようして製造してもよいが、例えば、以下の方法により製造できる。
即ち、基材層(3)となる基材層用部材(23)と、表皮層(5)となる表皮層用部材(25)と、を用意する。
このうち、基材層用部材(23)には、植物性繊維(7)が第1のバインダ(9)によって結着されて板状とされたボードを用いることができる。このようなボードは、植物性繊維(7)と、溶融されて第1のバインダとなるバインダ繊維(9A)と、が含まれたウェブやマット(図3の符号57)を加熱・圧縮して、バインダ繊維(9A)を溶融した後、固化させることで得ることができる(図2及び図3参照)。また、上記ウェブは必要に応じて複層枚を積層して用いることができる。更に、複数枚のウェブを積層して用いる場合には、複数枚のウェブを重ねた状態でニードルパンチにより一体化したマット(交絡物)として用いることができる。
一方、表皮層用部材(25)としては、樹脂繊維(11)と、溶融されて第2のバインダとなるバインダ繊維(13A)と、を含むウェブを用いることができる(図4参照)。この溶融されて第2のバインダとなるバインダ繊維(13A)には、前述のように、変性熱可塑性樹脂が含まれている。更に、非変性熱可塑性樹脂を含むことができる。非変性熱可塑性樹脂を含む場合には、通常、非変性熱可塑性樹脂と変性熱可塑性樹脂とは混合樹脂とされた上で紡糸される。このようなウェブは必要に応じて複層枚を積層して用いることができる。更に、複数枚のウェブを積層して用いる場合には、複数枚のウェブを重ねた状態でニードルパンチにより一体化したマット(交絡物)として用いることができる。
そして、上述のような基材層用部材(23)及び表皮層用部材(25)のうち、基材層用部材(23)を、表皮層用部材(25)に含まれる第2のバインダの融点以上の温度に加熱して、基材層用部材(23)と表皮層用部材(25)とを圧着することで、本発明の繊維質成形体(1)を得ることができる(図5参照)。即ち、第2のバインダの融点以上の温度に加熱された基材層用部材(23)と、表皮層用部材(25)とが圧着されることによって、表皮層用部材(25)内のバインダ繊維(13A)が溶融されて、その一部が、基材層用部材(23)の表面に浸透される。また、溶融されたバインダ繊維(13A)の他部は、表皮層用部材(25)内において、樹脂繊維(11)同士を結着する。その後、基材層用部材(23)と表皮層用部材(25)との積層物の温度が、第2のバインダの融点を下回る温度になると、第2バインダ(13)は固化される。このようにして、第2のバインダ(13)は、表皮層用部材(25)内で樹脂繊維(11)同士を結着するとともに、基材層(3)の表面に浸透されて、基材層(3)と表皮層(5)とを接着することができる。そして、前述のように、第2のバインダ(13)には、変性熱可塑性樹脂が含まれていることよって、基材層(3)に対する高い接着性が発揮されることとなる。
また、表皮層用部材(25)には、樹脂繊維(11)とバインダ繊維(13A)とが含まれる。このうち、バインダ繊維(13A)には、樹脂繊維(11)よりもクリンプが多い繊維を用いることができる。このようなバインダ繊維(13A)を含む積層体をニードルパンチすると、クリンプが多いバインダ繊維(13A)が一面側に引き出されて、バインダ繊維(13A)の勾配を形成できる。即ち、積層体の他面側に、樹脂繊維(11)同士を結着するのに十分な量のバインダ繊維(13A)を維持しつつ、一面側のバインダ繊維(13A)量を多くできる。そして、バインダ繊維(13A)の割合が多い側の表面を基材層用部材(23)と接するように圧着すると、両者の接合性を更に向上させることができる。即ち、基材層(3)と表皮層(5)とをより強固に接着できる。
尚、バインダ繊維(9A)及びバインダ繊維(13A)の繊度は特に限定されないが、より細い方が好ましい。具体的には、0.1〜50dtexであることが好ましく、0.5〜25dtexであることがより好ましく、1〜10dtexであることが特に好ましい。また、その繊維長も特に限定されないが、通常、平均繊維長は10mm以上である。この平均繊維長は10〜150mmが好ましく、20〜100mmがより好ましく、30〜80mmが更に好ましい。
本発明の繊維質成形体の形状、大きさ、厚さ等は特に限定されない。また、その用途も特に限定されない。この繊維質成形体は、例えば、自動車、鉄道車両、船舶、飛行機等の内装材及び外装材等として用いられる。このうち自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等が挙げられる。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレスト、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー、カウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物、家具等の内装材及び外装材等が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材、パーティション部材等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]繊維質成形体1の製造
〈1〉実施例1
(1)基材層用部材23の調製
植物性繊維7としてケナフ繊維(平均繊維長70mm)を用いた。
バインダ繊維9A(第1のバインダとなる)としてポリプロピレン樹脂繊維(6dtex、平均繊維長51mm)を用いた。
これらの植物性繊維7とバインダ繊維9Aとを、質量比40:60となるように混繊して混合繊維50とした。その後、図2に示すように、混合繊維50をマット製造装置51に供給した。マット製造装置51では、2機のエアレイ装置53A及び53Bを用いて、混合繊維50を第1ウェブ55A及び第2ウェブ55Bに成形した後、これらのウェブを積層・交絡してマット57を製造した。具体的には、第1繊維供給部59A及び第2繊維供給部59Bから、第1エアレイ装置53A及び第2エアレイ装置53Bに、混合繊維50を各々連続的に供給した。その後、所定の速度で回動するコンベア上に繊維を堆積させて第1ウェブ55Aと第2ウェブ55Bとを形成した。次いで、これらのウェブを積層して積層ウェブ61を形成した後、交絡手段(ニードルパンチ装置)63を用いて、積層ウェブ61を交絡した。こうして、目付1.2kg/mの連続マットを得た。その後、連続マットをカッター65により裁断してマット57を得た。
得られたマット57は、図3に示すように、マット57内に含まれたバインダ繊維9Aが溶融する温度にまで加熱装置67で加熱したのち、プレス装置69で冷却圧縮して、平板形状の基材層用部材23(板厚5mm)を得た。この基材層用部材23は、表皮層用部材25と接着されて、繊維質成形体1のうちの基材層3となる部材である。
(2)表皮層用部材25の調製
樹脂繊維11としてポリエチレンテレフタレート樹脂繊維(3dtex、平均繊維長51mm)を用いた。
バインダ繊維13A(第2のバインダとなる)として、ポリプロピレン樹脂と酸変性ポリプロピレン樹脂(三菱化学株式会社)とが、質量比95:5で混合された変性熱可塑性樹脂を含んだ混合樹脂繊維(3dtex、平均繊維長51mm)を用いた。
これらの樹脂繊維11とバインダ繊維13Aとを、質量比80:20となるように混繊して混合繊維70とした。その後、図4に示すように、混合繊維70を、表皮層用部材を製造する装置71の繊維供給部73に投入した。混合繊維70は繊維供給部73からカード機75へ連続的に供給されてウェブ77にされた。その後、このウェブ77は交絡手段(ニードルパンチ装置)79で交絡され、次いで、カッター81により裁断されて、目付110g/mの表皮層用部材25が得られた。
(3)基材層用部材23と表皮層用部材25との接着
図5に示すように、上記(2)で得られた表皮層用部材25をプレス金型83の上型にセットした。そして、上記(1)で得られた基材層用部材23を、加熱装置67を用いて内部温度が210℃となるように加熱した。その後、加熱した基材層用部材23を、表皮層用部材25がセットされたプレス金型83の下型にセットして、両者をプレス機内において冷却圧締して、平板形状の繊維質成形体1(板厚4mm)を得た。
〈2〉実施例2−6及び比較例1−3
(1)基材層用部材23の調製
植物性繊維7であるケナフ繊維と、バインダ繊維9A(第1のバインダとなる)であるポリプロピレン樹脂繊維との配合量を下記の通りに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2−6及び比較例1−3で用いる基材層用部材23を得た。
実施例2は、植物性繊維7とバインダ繊維9Aとの質量比が50:50
実施例3は、植物性繊維7とバインダ繊維9Aとの質量比が60:40
実施例4は、植物性繊維7とバインダ繊維9Aとの質量比が40:60
実施例5は、植物性繊維7とバインダ繊維9Aとの質量比が50:50
実施例6は、植物性繊維7とバインダ繊維9Aとの質量比が60:40
比較例1は、植物性繊維7とバインダ繊維9Aとの質量比が40:60
比較例2は、植物性繊維7とバインダ繊維9Aとの質量比が50:50
比較例3は、植物性繊維7とバインダ繊維9Aとの質量比が60:40
(2)表皮層用部材25の調製
樹脂繊維11であるポリエチレンテレフタレート樹脂繊維と、バインダ繊維13A(第2のバインダとなる)である変性熱可塑性樹脂を含んだ混合樹脂繊維との配合量を下記の通りに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2−6及び比較例1−3で用いる表皮層用部材25を得た。
尚、比較例1−3では、バインダ繊維13Aを用いず、カード装置に樹脂繊維11のみを供給して得られたウェブを積層した積層体をニードルパンチによって交絡して表皮層用部材25とした。
実施例2は、樹脂繊維11とバインダ繊維13Aとの質量比が80:20
実施例3は、樹脂繊維11とバインダ繊維13Aとの質量比が80:20
実施例4は、樹脂繊維11とバインダ繊維13Aとの質量比が80:20
実施例5は、樹脂繊維11とバインダ繊維13Aとの質量比が90:10
実施例6は、樹脂繊維11とバインダ繊維13Aとの質量比が90:10
比較例1は、樹脂繊維11とバインダ繊維13Aとの質量比が90:10
比較例2は、樹脂繊維11とバインダ繊維13Aとの質量比が100:0
比較例3は、樹脂繊維11とバインダ繊維13Aとの質量比が100:0
(3)基材層用部材23と表皮層用部材25との接着
上記(1)で得られた実施例2−6及び比較例1−3の基材層用部材23と、上記(2)で得られた実施例2−6及び比較例1−3の表皮層用部材25と、実施例1と同様に圧着して、実施例2−6及び比較例1−3の繊維質成形体1を得た。
[2]繊維質成形体1の評価
(1)常態時の接着力測定
製造後、室温(23±2℃)且つ相対湿度50%RHの環境下しか経ていない実施例1−6及び比較例1−3の繊維質成形体から各々150mm×25mmの試験片を切り出した。得られた各試験片をインストロン型の引張試験機(株式会社島津製作所製、型式「AG−X10KN」)に取り付けた。そして、引張速さ200mm/分で表皮層5を剥がす際の剥離強さ(単位N/25mm)を接着力として測定した。その結果を表1に示した。
(2)熱老化後の接着力測定
製造後、室温(23±2℃)及び相対湿度50%RHの環境下しか経ていない実施例1−6及び比較例1−3の繊維質成形体から各々150mm×25mmの試験片を切り出した。得られた各試験片を80±2℃の恒温槽中に400時間放置して、熱老化させた後、室温(23±2℃)且つ相対湿度50%RHの環境下で24時間放置した。この熱老化させた各試験片の一端の表皮層5を基材層3から剥がし、表皮層5を引張試験機のつかみに取り付けた。そして、引張速さ200mm/分で表皮層5を剥がす際の剥離強さ(単位N/25mm)を接着力として測定した。その結果を表1に示した。
(3)湿老化後の接着力測定
製造後、室温(23±2℃)及び相対湿度50%RHの環境下しか経ていない実施例1−6及び比較例1−3の繊維質成形体から各々150mm×25mmの試験片を切り出した。得られた各試験片を50℃且つ相対湿度95±5%RHの恒温槽中に400時間放置して、湿老化させた後、室温(23±2℃)且つ相対湿度50%RHの環境下で24時間放置した。この熱老化させた各試験片の一端の表皮層5を基材層3から剥がし、表皮層5を引張試験機のつかみに取り付けた。そして、引張速さ200mm/分で表皮層5を剥がす際の剥離強さ(単位N/25mm)を接着力として測定した。その結果を表1に示した。
Figure 2014233969
[3]実施例の効果
表1の結果より、比較例1−3の常態時の接着力が8.20〜19.8N/25mmであるのに対して、実施例4−6の常態時の接着力は25.4〜35.2N/25mmであり、その接着力は1.8〜3.1倍に飛躍的に向上されていることが分かる。即ち、表皮層に変性熱可塑性樹脂を含んだ第2のバインダを配合することにより、両者の接着力を飛躍的に向上させられることが分かる。この傾向は、熱老化後及び湿老化後にも維持されており、熱及び湿度に対する耐久性が高いことが分かる。
また、実施例4−6の常態時の接着力が25.4〜35.2N/25mmであるのに対して、実施例1−3の常態時の接着力は39.5〜42.5N/25mmであり、その接着力は1.2〜1.6倍へと更に向上されていることが分かる。即ち、表皮層に配合された第2のバインダの量が多いと、両者の接着力は更に向上させられることが分かる。この傾向は、熱老化後及び湿老化後にも維持されており、熱及び湿度に対する耐久性が高いことが分かる。
更に、実施例1−3のグループ及び実施例4−5のグループで各々常態時の接着力を比較した場合に、基材層に含まれる第1のバインダの割合が多い程、接着力が高い傾向が認められる。そして、この傾向は、熱老化後及び湿老化後にも維持されていることが分かる。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここに掲げる開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
1;繊維質成形体、3;基材層、5;表皮層、7;植物性繊維、9;第1のバインダ、9A;バインダ繊維(第1のバインダとなるバインダ繊維)、11;樹脂繊維、13;第2のバインダ、13A;バインダ繊維(第2のバインダとなるバインダ繊維)、23;基材層用部材、25;表皮層用部材、50;混合繊維、51;マット製造装置、53A;第1エアレイ装置、53B;第2エアレイ装置、55A;第1ウェブ、55B;第2ウェブ、57;マット、59A;第1繊維供給部、59B;第2繊維供給部、61;積層ウェブ、65;カッター、67;加熱装置、69;プレス装置、70;混合繊維、71;表皮層用部材を製造する装置、73;繊維供給部、75;カード機、77;ウェブ、79;交絡手段、81;カッター、83;プレス金型。

Claims (3)

  1. 基材層とその一面に接着された表皮層と、を備えた繊維質成形体であって、
    前記基材層は、植物性繊維と、前記植物性繊維を結着している第1のバインダと、を含み、
    前記表皮層は、樹脂繊維と、前記樹脂繊維を結着している第2のバインダと、を含み、
    前記第2のバインダは、変性熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする繊維質成形体。
  2. 前記第1のバインダは、非変性オレフィン樹脂であり、
    前記第2のバインダは、非変性オレフィン樹脂を含み、
    前記変性熱可塑性樹脂が変性オレフィン樹脂である請求項1に記載の繊維質成形体。
  3. 前記表皮層に含まれる前記樹脂繊維が、ポリエステル繊維である請求項1又は2に記載の繊維質成形体。
JP2013119270A 2013-06-05 2013-06-05 繊維質成形体 Expired - Fee Related JP6083324B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013119270A JP6083324B2 (ja) 2013-06-05 2013-06-05 繊維質成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013119270A JP6083324B2 (ja) 2013-06-05 2013-06-05 繊維質成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014233969A true JP2014233969A (ja) 2014-12-15
JP6083324B2 JP6083324B2 (ja) 2017-02-22

Family

ID=52137017

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013119270A Expired - Fee Related JP6083324B2 (ja) 2013-06-05 2013-06-05 繊維質成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6083324B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3521010A1 (en) * 2018-02-01 2019-08-07 Takehiro Co., Ltd. Vehicle interior material and manufacturing method of the same

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10244647A (ja) * 1997-03-06 1998-09-14 Kotobukiya Furonte Kk 自動車用成形天井
WO2001057316A1 (fr) * 2000-02-03 2001-08-09 Mitsui Chemicals, Inc. Papier de thermo-scellage presentant une permeabilite a l'air
JP2001329432A (ja) * 2000-05-22 2001-11-27 Chisso Corp 熱接着性複合繊維、繊維集合体およびそれを用いた不織布
JP2003061886A (ja) * 1996-07-16 2003-03-04 Inogami Kk 拭き布又は濾過布
JP2009046199A (ja) * 2002-07-11 2009-03-05 Papierfabrik Schoeller & Hoesch Gmbh & Co Kg ヒートシール可能なフィルター材料

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003061886A (ja) * 1996-07-16 2003-03-04 Inogami Kk 拭き布又は濾過布
JPH10244647A (ja) * 1997-03-06 1998-09-14 Kotobukiya Furonte Kk 自動車用成形天井
WO2001057316A1 (fr) * 2000-02-03 2001-08-09 Mitsui Chemicals, Inc. Papier de thermo-scellage presentant une permeabilite a l'air
JP2001329432A (ja) * 2000-05-22 2001-11-27 Chisso Corp 熱接着性複合繊維、繊維集合体およびそれを用いた不織布
JP2009046199A (ja) * 2002-07-11 2009-03-05 Papierfabrik Schoeller & Hoesch Gmbh & Co Kg ヒートシール可能なフィルター材料

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3521010A1 (en) * 2018-02-01 2019-08-07 Takehiro Co., Ltd. Vehicle interior material and manufacturing method of the same
JP2019130901A (ja) * 2018-02-01 2019-08-08 株式会社タケヒロ 車両用内装材及びその製造方法
CN110103795A (zh) * 2018-02-01 2019-08-09 株式会社竹广 车辆内部材料及其制造方法
TWI694926B (zh) * 2018-02-01 2020-06-01 日商竹廣股份有限公司 用於車輛內部之飾件材料及其之製造方法
CN110103795B (zh) * 2018-02-01 2021-10-26 株式会社竹广 车辆内部材料及其制造方法
US11318704B2 (en) 2018-02-01 2022-05-03 Takehiro Co., Ltd. Vehicle interior material and manufacturing method of the same
JP7254280B2 (ja) 2018-02-01 2023-04-10 株式会社タケヒロ 車両用内装材及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6083324B2 (ja) 2017-02-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5194938B2 (ja) 植物性繊維複合材の製造方法
JP2020044842A (ja) 深絞り複合材およびこれらの使用方法
KR20180034300A (ko) 타이 층을 갖는 필름을 포함하는 복합 물품
JP7022302B2 (ja) 繊維複合材及び繊維複合材の製造方法
KR101233813B1 (ko) 열가소성 유기 섬유, 그 제조 방법, 이를 이용한 섬유 복합 보드 및 그 제조 방법
JP4983622B2 (ja) 繊維複合体及びその製造方法
US20190111654A1 (en) Vegetable fiber-containing board and method for producing the same
JP2014237235A (ja) 繊維質成形体の製造方法
JP6597067B2 (ja) 繊維基材
JP6083324B2 (ja) 繊維質成形体
JP5246048B2 (ja) 繊維ボードの製造方法
TWI694926B (zh) 用於車輛內部之飾件材料及其之製造方法
JP5246047B2 (ja) 繊維ボードの製造方法
JP2015016589A (ja) 繊維ボード及び繊維成形体
JP2010006030A (ja) 植物性繊維複合材の製造方法
JP7070274B2 (ja) 繊維含有樹脂成形体
JP7067101B2 (ja) 繊維含有樹脂成形体
JP2019155797A (ja) 表皮材付き繊維含有樹脂成形体、及びその製造方法
JP2019166709A (ja) 多層型繊維含有樹脂成形体
JP7200828B2 (ja) 繊維含有樹脂成形体の製造方法
JP2021142698A (ja) 成形体の製造方法
JP2021098297A (ja) 繊維ボードの製造方法及び車両内装材のフォギング低減方法
JP6996288B2 (ja) 複合成形体
JP2019142067A (ja) 熱融着性フィルム及び内装材
JP2019136985A (ja) 繊維含有樹脂成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160914

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160920

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161104

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170109

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6083324

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees