JP2014233937A - 圧力センサの異常検知方法及び液体吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体吐出装置の流路内に設置されている圧力センサの異常(故障)を検知する。【解決手段】液体貯留部(22)に貯留されている液体を液体吐出ヘッド(12)に導く供給経路(30)と、液体吐出ヘッド(12)から液体を回収する回収経路(60)との間に循環差圧を設定して供給ポンプ(32)及び回収ポンプ(62)の駆動制御を行い、それぞれのポンプ速度を取得する。設定された循環差圧に対して予想されるポンプ速度の許容想定範囲に対し、取得されたポンプ速度が許容想定範囲に収まっているか否かの判定に基づき、供給側圧力センサ(38)及び回収側圧力センサ(68)のうち少なくとも一方の圧力センサの異常の有無を判定する。【選択図】図1

Description

本発明はインクジェット装置に代表される液体吐出装置の圧力制御に用いられる圧力センサの異常の有無を検知する技術に関する。
インクジェット機器において、プリントヘッドのノズルからのインク吐出を正常に行うためには、適切な背圧制御を行うことが必須である。特に、適切な背圧制御を行う場合、その制御システムが有する圧力センサが正しい圧力値を出力していることが不可欠である。
しかし、インク流路に設置される圧力センサがインクによる化学的な摩耗などで故障が生じて、本来の圧力値と異なる値を示してしまう場合がある。このような場合、正常な背圧制御を保証できず、吐出環境に異常をもたらし、ひいては印字画像の品質劣化(画像異常)を引き起こすことになる。
圧力センサの異常を検知するための簡単な方法の一つとして、別途較正用のセンサ(例えば、追加の1セット分の圧力センサ)を設けるといった方法がある。しかし、このような方法は、装置機器のコストアップになるため、できるだけ圧力センサ単体でその異常を検知できる構成が望ましい。
特許文献1〜3では、インク流路内の異常検知又はインク循環制御方式について言及がされている。特許文献1では、ポンプの速度から取得したインク循環量が正常な値か否かを判定し、流路内の異常を検知している。特許文献2では、インク圧力の適正値と、ポンプを駆動するモータの回転数との関係を予め把握しておき、モータの回転数が一定の許容範囲内に収まるか否かで、インク流路の異常検知を行っている。特許文献3ではポンプ速度を検出して、適正な循環量を確保するために差圧調整手段を持たせている。
特開2012−183806号公報 特開2000−229422号公報 特開2012−16904号公報
しかしながら、特許文献1〜3に示されている技術は、いずれも流路内の異常検知や制御精度向上に関するものであり、圧力センサそのものが故障した場合については、何も言及がなされていない。特許文献1〜3に示された技術では、圧力センサ自体が故障しているか否かを適切に判断することは困難である。このような課題は、インクジェット印刷機に限らず、様々な用途の液体吐出装置に共通の課題である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、液体吐出装置の流路内に設置されている圧力センサが故障した場合、それを検知することができる圧力センサの異常検知方法を提供することを目的とし、併せて、その異常検知方法が適用される液体吐出装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、次の発明態様を提供する。
(第1態様):第1態様に係る圧力センサの異常検知方法は、液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留しておく液体貯留部と、液体貯留部に貯留されている液体を液体吐出ヘッドに導く供給経路と、液体貯留部から供給経路を通じて液体吐出ヘッドに液体を給送する供給ポンプと、供給経路に設置される供給側圧力センサと、液体吐出ヘッドから液体を回収する回収経路と、回収経路に設置される回収ポンプと、回収経路に設置される回収側圧力センサと、を備える液体吐出装置の供給側圧力センサ及び回収側圧力センサのうち少なくとも一方の圧力センサの異常を検知する方法であって、供給経路と回収経路との間に循環差圧を設定するステップと、設定された循環差圧を制御目標にして供給ポンプ及び回収ポンプの駆動制御を行うステップと、駆動制御による供給ポンプ及び回収ポンプのそれぞれのポンプ速度を取得するステップと、設定された循環差圧に対して予想されるポンプ速度の許容想定範囲に対し、取得されたポンプ速度が許容想定範囲に収まっているか否かの判定に基づき、供給側圧力センサ及び回収側圧力センサのうち少なくとも一方の圧力センサの異常の有無を判定するステップと、を有する圧力センサの異常検知方法である。
第1態様によれば、設定された循環差圧に対して予想されるポンプ速度の許容想定範囲が特定される。設定された循環差圧となるようにポンプの駆動制御を行ったときのポンプ速度を取得し、取得されたポンプ速度が許容想定範囲を超えていれば、圧力センサが異常であると判断される。この態様によれば、簡単な動作制御で圧力センサの異常を検知することが可能である。なお、ポンプ速度と流量には相関があるため、両者の対応関係を利用して、ポンプ速度を示す情報を流量の情報に変換することができ、また、流量の情報をポンプ速度の情報に変換することができる。
(第2態様):第1態様に記載の圧力センサの異常検知方法において、設定される循環差圧が0[Pa]である構成とすることができる。
循環差圧は任意の値に設定することが可能であるが、循環差圧を0[Pa]に設定する態様が最も簡単であり、判定時間を短縮できる。
(第3態様):第1態様又は第2態様のいずれか1項に記載の圧力センサの異常検知方法において、循環差圧に対応して、予め想定される誤差から許容できる誤差の範囲を定めておき、予想されるポンプ速度に対して許容できる誤差の範囲を考慮して許容想定範囲が定められる構成とすることができる。
液体吐出装置の流路構造、使用される圧力センサやポンプの形態、設置箇所など、装置構成の具体的形態に基づいて、各種の誤差成分を想定することができる。各種の誤差要因を考慮して許容できる誤差の範囲を定め、予想されるポンプ速度に対して許容できる誤差の範囲を含んだ範囲を「許容想定範囲」としておくことが好ましい。
(第4態様):第1態様から第3態様のいずれか1項に記載の圧力センサの異常検知方法において、液体吐出装置には、供給経路に設置され、第1可撓膜を介して区画される第1液体室と第1空気室とを有する供給側ダンパと、回収経路に設置され、第2可撓膜を介して区画される第2液体室と第2空気室とを有する回収側ダンパと、が設けられている構成とすることができる。
かかる態様によれば、ポンプの脈動を抑えて、安定的な圧力調整が可能である。
(第5態様):第1態様から第4態様のいずれか1項に記載の圧力センサの異常検知方法において、液体吐出装置は、液体吐出ヘッドとしての複数のヘッドモジュールを備え、供給経路は、複数のヘッドモジュールと接続される供給側マニホールドを含み、回収経路は、複数のヘッドモジュールと接続される回収側マニホールドを含む構成とすることができる。
(第6態様):第5態様に記載の圧力センサの異常検知方法において、供給側圧力センサ及び回収側圧力センサによって把握される圧力の誤差合計を△P_total、、供給側マニホールドと回収側マニホールドの間の流路抵抗をR_bar±△R_bar、設定される循環差圧をP_circ、予想されるポンプ速度による流量のばらつきをΔQとするとき、ΔQ= {(△P_total/R_bar) + (P_circ × △R_bar / R_bar)}0.5 を考慮して異常判定の閾値が定められる構成とすることができる。
設定された循環差圧のもとでポンプの駆動を制御した場合に想定される流量のばらつきΔQは、圧力の誤差合計ΔP_totalと、供給側マニホールド及び回収側マニホールド間の流路抵抗の誤差成分△R_barを考慮すると、次式
Figure 2014233937
と表すことができる。
この流量のばらつきΔQに対応したポンプ速度のばらつき(許容誤差)を考慮して圧力センサの異常有無を判定することができる。
(第7態様):第4態様の構成を採用するときの第6態様に記載の圧力センサの異常検知方法において、供給側圧力センサ及び回収側圧力センサの各圧力センサのサイズに起因する水頭誤差を△P_sys_sensor、供給側ダンパ及び回収側ダンパの各ダンパのサイズに起因する水頭誤差を△P_sys_damper、供給側圧力センサ及び回収側圧力センサの各圧力センサの測定誤差を△P_measured、とするとき、圧力の誤差合計△P_totalを、△P_total ={(△P_sys_sensor) +(△P_sys_damper) +(△P_measured)1/2 [Pa] とする構成とすることができる。
(第8態様):第8態様に係る液体吐出装置は、液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留しておく液体貯留部と、液体貯留部に貯留されている液体を液体吐出ヘッドに導く供給経路と、液体貯留部から供給経路を通じて液体吐出ヘッドに液体を給送する供給ポンプと、供給経路に設置される供給側圧力センサと、液体吐出ヘッドから液体を回収する回収経路と、回収経路に設置される回収ポンプと、回収経路に設置される回収側圧力センサと、供給経路と回収経路との間に循環差圧を設定する差圧設定部と、設定された循環差圧を制御目標にして供給ポンプ及び回収ポンプの駆動制御を行うポンプ制御部と、駆動制御による供給ポンプ及び回収ポンプのそれぞれのポンプ速度を取得するポンプ速度検出部と、設定された循環差圧に対して予想されるポンプ速度の許容想定範囲に対し、取得されたポンプ速度が許容想定範囲に収まっているか否かの判定に基づき、供給側圧力センサ及び回収側圧力センサのうち少なくとも一方の圧力センサの異常の有無を判定する異常判定部と、を備える液体吐出装置である。
この態様によれば、簡単な動作制御で圧力センサの異常を検知することが可能である。
第8態様の液体吐出装置について、第2態様から第7態様に記載した構成を適宜組み合わせることが可能である。
(第9態様):第8態様に記載の液体吐出装置において、差圧設定部により設定される循環差圧が0[Pa]である構成とすることができる。
(第10態様):第8態様又は第9態様に記載の液体吐出装置において、供給経路に設置され、第1可撓膜を介して区画される第1液体室と第1空気室とを有する供給側ダンパと、回収経路に設置され、第2可撓膜を介して区画される第2液体室と第2空気室とを有する回収側ダンパと、を備える構成とすることができる。
(第11態様):第8態様から第10態様に記載の液体吐出装置において、液体吐出ヘッドとしての複数のヘッドモジュールを備え、供給経路は、複数のヘッドモジュールと接続される供給側マニホールドを含み、回収経路は、複数のヘッドモジュールと接続される回収側マニホールドを含む構成とすることができる。
本発明によれば、別途較正用のセンサなどを追加することなく、簡単な制御で圧力センサの異常検知を行うことができる。
本発明の実施形態に係る液体吐出装置におけるインク供給システムの模式図 本実施形態に係る液体吐出装置の制御系の構成を示すブロック図 圧力センサの異常の有無を検知する処理の手順を示すフローチャート ポンプ用のダンパ内に配置された可撓膜の圧力応答を示すグラフ 可撓膜を不感帯域(非弾性変形領域)の膜位置に設定した様子を示した模式図 可撓膜を不感帯外の領域(弾性変形領域)の膜位置に設定した様子を示した模式図 膜位置の初期化処理の手順を示したフローチャート ダンパの内壁に可撓膜を張り付かせた様子を示す模式図 本実施形態に係る液体吐出装置の動作制御の一例を示すフローチャート インクジェット装置の全体構成を示した構成図 インクジェットヘッドの斜視図 インクジェットヘッドをノズル面側から見た部分拡大図 ヘッドモジュールの平面透視図 図13Aに示したヘッドモジュールの一部を拡大した拡大図 ヘッドモジュールの内部構造を示す縦断面図 インクジェット装置の制御系の概略構成を示すブロック図
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る液体吐出装置の構成を模式的に示した図である。この液体吐出装置10は、インクジェット方式の液体吐出ヘッドモジュール(以下、ヘッドモジュールという。)12を複数個並べて長尺のラインヘッドとして構成されたヘッドバー14と、ヘッドモジュール12に供給する液体(ここでは、インク20を例示)を貯留しておくインクタンク22(「液体貯留部」に相当)と、インクタンク22からヘッドモジュール12にインク20を送る供給側流路部30(「供給経路」に相当)と、ヘッドモジュール12からインクタンク22にインク20を戻す回収側流路部60(「回収経路」に相当)と、を備える。また、液体吐出装置10は、制御部として機能するコントローラ170と、表示部172と、を備える。
図1では4個(n=4)のヘッドモジュール12を示しているが、ヘッドバー14に使用されるヘッドモジュールの個数nは特に制限はなく、1つ以上任意の個数で設計することが可能である(nは1以上の整数)。1つのヘッドモジュールの又は複数個のヘッドモジュールの組み合わせが「液体吐出ヘッド」に相当する。
インクタンク22にはインク20が貯留され、インク供給源として機能する。また、インクタンク22は回収側流路部60を通じて回収されたインク20を溜める回収タンクとして機能する。インクタンク22はメインタンク(主タンク)であってもよし、メインタンクからインクが供給されてインクを貯留しておくサブタンク(補助タンク)であってもよい。インクタンク22はインクカートリッジやインクパックのように容器ごと交換可能な形態であってもよいし、容器にインクを補充する形態であってもよい。
供給側流路部30には、供給ポンプ32と、供給ポンプ32の脈動による圧力変動を緩和するためのポンプ用のダンパ34(以下、符号36を「供給側ダンパ」という。)と、供給側マニホールド36と、供給側圧力センサ38とが設けられている。同様に、回収側流路部60には、回収ポンプ62と、回収ポンプ62の脈動による圧力変動を緩和するためのポンプ用のダンパ64(以下、符号64を「回収側ダンパ」という。)と、回収側マニホールド66と、回収側圧力センサ68とが設けられている。
供給ポンプ32は、インクタンク22と供給側ダンパ34とを繋ぐ第1流路90の途中に設けられている。供給ポンプ32は加圧(送液)方向の駆動と減圧(吸い込み)方向の駆動との両方の駆動を切り替えることができる構成のものを用いることが望ましい。本例では、供給ポンプ32にチューブポンプが用いられている。インクタンク22から供給側ダンパ34にインクを送る方向に供給ポンプ32を駆動する場合を「加圧方向」といい、この加圧方向の駆動を供給ポンプ32の正回転方向とする。逆に、供給側ダンパ34からインクを引き出し、供給側ダンパ34からインクタンク22に向けてインクを戻す方向に供給ポンプ32を駆動する場合を「減圧方向」とい、この減圧方向の駆動を供給ポンプ32の逆回転方向とする。
供給ポンプ32を加圧方向に駆動することにより、インクタンク22から供給側流路部30を通じてヘッドモジュール12にインクを給送することができる。
また、供給側流路部30における第1流路90の途中に(供給ポンプ32と供給側ダンパ34との間に)はフィルタ92とインク温調器94が設けられている。インクタンク22に貯留されているインク20を供給ポンプ32の駆動力で供給側ダンパ34へ供給する途中のフィルタ92でインク内から気泡やゴミを取り除き、インク温調器94によりインクの温度を管理している。
インク温調器94は熱交換器とチラーとを含んで構成されており、チラーに接続された熱交換器に流す水の温度を調節することにより、インク流路内を流れるインクの加熱と冷却の両方の温度調整が可能である。インク温調器94は、コントローラ170によって制御される。
供給側ダンパ34は、密閉構造の第1容器40内に第1可撓膜42が配設されており、第1可撓膜42によって第1容器40内が第1液体室44と第1空気室46とに区画される構造を有する。第1空気室46には第1大気連通路48が設けられ、第1大気連通路48はバルブ50によって開閉可能である。以下、符号50を「第1大気開放バルブ」と呼ぶ。第1大気開放バルブ50は、コントローラ170からの制御信号によって開閉の制御が可能な開閉弁(例えば、電磁弁)で構成される。
回収側ダンパ64も供給側ダンパ34と同様の構造を有している。すなわち、回収側ダンパ64は、密閉構造の第2容器70内に第2可撓膜72が配設されており、第2可撓膜72によって第2容器70内が第2液体室74と第2空気室76とに区画される構造を有する。第2空気室76には第2大気連通路78が設けられ、第2大気連通路78は第2大気開放バルブ80によって開閉可能である。第2大気開放バルブ80は、コントローラ170からの制御信号によって開閉の制御が可能な開閉弁(例えば、電磁弁)で構成される。
供給側ダンパ34の第1可撓膜42と回収側ダンパ64の第2可撓膜72は、それぞれ弾性変形可能な弾性膜で構成されており、膜の変位量に対して膜弾性力が殆ど無視できる程度に小さい動作範囲(不感帯)と、膜の変位によって膜が弾性変形して相応の膜弾性力が現れる動作範囲(不感帯外)とを有する。なお、供給側ダンパ34、回収側ダンパ64は、各ヘッドモジュール12に所要の負圧を与えるため背圧タンクと呼ばれる場合がある。
供給側ダンパ34の第1液体室44は第2流路96を介して供給側マニホールド36に接続されている。供給側マニホールド36は、各ヘッドモジュール12に対してインクを分配する共通の流路部であり、供給側マニホールド36から分岐した供給管路102を通じてヘッドモジュール12にインクが供給される。
各ヘッドモジュール12に対応した供給管路102のそれぞれには供給バルブ104とヘッド用のダンパ106(以下、符号106を「供給側ヘッド用ダンパ」という。)が設けられている。すなわち、各ヘッドモジュール12のインク供給口は、供給バルブ104と供給側ヘッド用ダンパ106とが介在する供給管路102を介して供給側マニホールド36に接続されている。
また、各ヘッドモジュール12のインク回収口は、回収バルブ144と回収側ヘッド用ダンパ146とが介在する回収管路142を介して共通の回収側マニホールド66に接続されている。
供給バルブ104や回収バルブ144は、コントローラ170からの制御信号によって開閉の制御が可能な開閉弁(例えば、電磁弁)で構成される。ヘッドモジュール12を交換する場合や、ヘッドモジュール12の単位で加圧パージの制御を行う場合には該当するヘッドモジュール12に対応したバルブ(104、144)の開閉を個別に制御する。なお、ヘッドモジュール12の交換やモジュール単位の加圧パージなどを実施しない装置形態においてはバルブ(104、144)を省略することが可能である。
供給側ヘッド用ダンパ106と回収側ヘッド用ダンパ146は、ヘッドモジュール12の液滴吐出動作に起因する脈動(脈流)を減衰させる役割を果たす。
回収ポンプ62は、インクタンク22と回収側ダンパ64(ポンプ用のダンパ)とを繋ぐ第3流路150の途中に設けられている。回収ポンプ62は供給ポンプ32と同様に、加圧方向と減圧方向の駆動を切り替えることができる構成のものが用いられる。本例では回収ポンプ62としてチューブポンプが用いられている。回収側ダンパ64の第2液体室74は第4流路156を介して回収側マニホールド66に接続されている。
なお、図には示されていないが、供給側マニホールド36と回収側マニホールド66とを繋ぐバイパス流路を1つ又は複数備える構成としてもよい。バイパス流路を開閉できる弁(バイパスバルブ)を制御することにより、インクの循環量を調整することができる。
上述した本実施形態における循環式のインク流路構造によれば、インクタンク22内のインク20は、供給ポンプ32の駆動により、第1流路90、供給側ダンパ34の第1液体室44、第2流路96、供給側マニホールド36、供給管路102を介して各ヘッドモジュール12に供給される。ヘッドモジュール12に供給されたインクの一部はヘッドモジュール12の液体吐出口(図1において図示しないノズル)から液滴13として吐出される。
ヘッドモジュール12に供給されたインクのうちノズルからの吐出に使用されなかったインクはヘッドモジュール12内の内部流路を通り、回収管路142、回収側マニホールド66、第4流路156、回収側ダンパ64の第2液体室74、第3流路150を介してインクタンク22に戻される。本例ではインクタンク22を回収タンクとして兼用しているが、インク供給用のタンクと、インク回収用のタンクとが別々に設けられていてもよい。
図1の液体吐出装置において、インクタンク22から各ヘッドモジュール12にインクを導くインク流路系が供給側(「IN側」と表記する場合がある)の経路である。供給側の経路には、第1流路90、供給ポンプ32、フィルタ92、インク温調器94、供給側ダンパ34、第2流路96、供給側マニホールド36、供給管路102が含まれる。
また、ヘッドモジュール12からインクタンク22にインクを回収するためのインク流路系が回収側(「OUT側」と表記する場合がある)の経路である。回収側の経路には、第3流路150、回収側ダンパ64、第4流路156、回収側マニホールド66、回収管路142が含まれる。
供給ポンプ32と回収ポンプ62の駆動を制御することにより、供給側及び回収側のそれぞれの圧力を調整することができ、差圧に応じたインク循環が実現される。供給側圧力センサ38と回収側圧力センサ68によって、圧力をモニタリングしながら、供給ポンプ32及び回収ポンプ62の駆動が制御される。
例えば、ヘッドバー14を使用して画像の記録(印刷)を行う場合など、通常のインク供給(循環供給)の際における供給ポンプ32及び回収ポンプ62による圧力は、供給側マニホールド36の圧力Pin>回収側マニホールド66の圧力Poutであるが、それぞれ負圧とされている。すなわち、供給ポンプ32の供給圧力は負圧であるが、回収ポンプ62の回収圧力がさらに低圧の負圧であるため、インクは、供給側マニホールド36から回収側マニホールド66へ流れ、かつ、ヘッドモジュール12のノズルの背圧Pnzlが負圧に維持されるようになっている。したがって、ヘッドモジュール12のノズル部ではインクのメニスカスが保持されつつ、各ヘッドモジュール12のノズルに対してインクが循環するようになっている。
なお、ノズル部においてインクをメニスカス保持できる背圧Pnzlの圧力範囲は、ヘッドモジュール12の仕様やインク種によって異なる。本実施の形態のものでは、約−3000Pa(G)である(「(G)」はゲージ圧(大気圧基準圧、相対圧力)を意味する)。
図1に示した液体吐出装置10では、供給側(IN側)の圧力を検知する手段としての供給側圧力センサ38が供給側マニホールド36の端部に設置されている。また、回収側(OUT側)の圧力を検知する手段としての回収側圧力センサ68が回収側マニホールド66の端部に設置されている。ただし、発明の実施に際して、各圧力センサの設置場所はこの例に限らない。供給側及び回収側についてそれぞれの圧力情報を取得できればよく、その目的の範囲で圧力センサの設置場所は様々な態様がありうる。
例えば、供給側圧力センサ38を供給側マニホールド36内に設置する態様の他、供給側ダンパ34の第1液体室44と供給側マニホールド36とを繋ぐ第2流路96の途中に供給側圧力センサ38を設置することも可能である。供給側圧力センサ38は、供給側ダンパ34の下流側に設置されることが好ましい。また、回収側圧力センサ68についても、同センサを回収側マニホールド66内に設置する態様の他、回収側ダンパ64の第2液体室74と回収側マニホールド66とを繋ぐ第4流路156の途中に回収側圧力センサ68を設置することが可能である。
なお、図1では、図示を簡略化するために、供給側ダンパ34と供給側圧力センサ38を同等の高さに図示しているが、実際の装置では、両者の設置高さは異なってよい(供給側ダンパ34と供給側圧力センサ38とが高低差を有してよい)。同様に、図1では、回収側ダンパ64と回収側圧力センサ68を同等の高さに図示しているが、実際の装置では、両者の設置高さは異なってよい。
コントローラ170は、所定のプログラムにしたがって液体吐出装置10の動作を制御する。コントローラ170は供給ポンプ32、回収ポンプ62を制御するポンプ制御部として機能する。供給側圧力センサ38及び回収側圧力センサ68の信号はコントローラ170に送られる。コントローラ170は、供給側圧力センサ38及び回収側圧力センサ68から得られる情報(検出信号)を基に、供給ポンプ32、回収ポンプ62の駆動を制御する。
供給側及び回収側について、それぞれ制御目標とする圧力(目標圧力)を設定することができ、コントローラ170は、制御目標に設定されている目標圧力となるように供給ポンプ32、回収ポンプ62を駆動させる。コントローラ170は供給側圧力センサ38から得られる信号(供給側圧力検出信号)が示す圧力値を基に、目標圧力となるように供給ポンプ32の回転数(「ポンプ速度」に相当)を制御する。
同様に、コントローラ170は回収側圧力センサ68から得られる信号(回収側圧力検出信号)が示す圧力値を基に、目標圧力となるように回収ポンプ62の回転数を制御する。
コントローラ170は、供給ポンプ32及び回収ポンプ62のそれぞれの駆動速度(現在の回転数)を把握することができる。例えば、チューブポンプの回転速度を検出する公知の手段(エンコーダや電流検出回路など)を用い、ポンプの駆動速度を把握することができる。実際に作動しているポンプの速度を検出する態様に代えて、又はこれと組み合わせて、コントローラ170は、ポンプ(32,62)に対する駆動指令信号(ポンプの駆動を制御する制御信号)からポンプの速度(指令値)を把握することができる。チューブポンプは、ポンプの回転数と流量が概ね比例関係にあり、両者の対応関係を規定する簡単な変換演算又はルックアップテーブルを利用することでポンプ速度(回転数)から流量の値を把握できる。また、逆に、当該変換関係を利用して、流量の値に対応するポンプ速度の値も把握することができる。
コントローラ170は、供給側圧力センサ38及び回収側圧力センサ68からそれぞれ得られる信号(検出信号)と、各ポンプ(32,62)の駆動速度の情報を基に、圧力センサ(38,68)の異常の有無を判断する異常検知処理部(異常判断部)として機能する。異常判定の方法について詳細は後述する。
また、コントローラ170は、各種バルブ(50,80,104,144)を制御するバルブ制御部として機能するとともに、インク温調器94の制御部として機能する。
表示部172は、コントローラ170に接続されており、供給側圧力センサ38及び回収側圧力センサ68のうち少なくとも一方の圧力センサの異常が検知されると、表示部172に警告メッセージが提示される。表示部172はユーザ(オペレータ)に対して異常の有無を知らせる報知手段として機能する。コントローラ170は表示部172に出力する表示制御信号を生成する表示制御部として機能する。なお、異常を知らせる手段として、表示部172に警告を表示する構成に代えて、又はこれと組み合わせて、音声出力手段を採用してもよい。
(制御系の構成)
図2は、本実施形態に係る液体吐出装置10におけるインク循環供給システムの制御系の構成を示すブロック図である。図2中、図1で説明した要素と同一の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
コントローラ170は、パラメータ記憶部181、プログラム格納部182、システム制御部184、目標値設定部185、圧力センサ異常判定部186、供給側ポンプ制御部187、回収側ポンプ制御部188、バルブ制御部189を含む。これらの各部(181〜189)は、中央演算処理装置(CPU)やその周辺回路、集積回路などのハードウエア、又はソフトウェア、若しくはこれらの組み合わせによって実現できる。
パラメータ記憶部181には、本システムの制御に用いられる各種パラメータや、制御の際に参照されるデータテーブルが格納されている。例えば、ポンプ(32,62)の回転数(「ポンプ速度」に相当)と流量の関係を示すテーブルや、循環差圧の値に対応した異常判定用の閾値に関するデータ、圧力値とポンプ駆動制御指令値の関係を示すテーブルなどが格納されている。
プログラム格納部182には、本システムの制御に使用されるプログラムが格納されている。システム制御部184は、プログラム格納部182に格納されている各種制御プログラムを読み出して実行し、パラメータ記憶部181に格納されている各種パラメータやテーブルデータを参照して、システム全体を統括制御する。
目標値設定部185は、供給側及び回収側のそれぞれの圧力制御における目標値(「目標圧力」又は「設定圧力」とも言う。)を設定する処理部である。供給側の目標圧力と回収側の目標圧力とがそれぞれ設定されることにより、循環差圧が設定される。この目標値設定部185が「差圧設定部」に相当する。所定のプログラムにしたがい、或いは、図示せぬユーザインターフェースから入力される指令に従い、制御目標とする圧力値(目標値)がセットされる。
供給側ポンプ制御部187は、システム制御部184から送られる制御信号並びに目標値設定部185によって設定された供給側の目標圧力(供給側目標値)Pin_targetに基づいて、供給ポンプ32の駆動を制御する。速度検出部192(「ポンプ速度検出部」に相当)によって供給ポンプ32の駆動速度(ここでは、チューブポンプの回転速度)が検出される。供給側ポンプ制御部187は、速度検出部192を介して供給ポンプ32のポンプ速度の情報を取得する。
また、この取得された供給ポンプ32のポンプ速度の情報は、システム制御部184のメモリ(不図示の記憶手段)に記憶され、圧力センサ異常判定部186の判定処理に利用される。
回収側ポンプ制御部188は、システム制御部184から送られる制御信号並びに目標値設定部185によって設定された回収側の目標圧力(供給側目標値)Pout_targetに基づいて、回収ポンプ62の駆動を制御する。速度検出部194(「ポンプ速度検出部」に相当)によって回収ポンプ62の駆動速度(ここでは、チューブポンプの回転速度)が検出される。回収側ポンプ制御部188は、速度検出部194を介して回収ポンプ62のポンプ速度の情報を取得する。
また、この取得された回収ポンプ62のポンプ速度の情報は、システム制御部184のメモリ(不図示の記憶手段)に記憶され、圧力センサ異常判定部186の判定処理に利用される。
バルブ制御部189は、システム制御部184からの制御信号に基づき、各種バルブ196の開閉を制御する。図2のバルブ196には、図1で説明した供給バルブ104、回収バルブ144、第1大気開放バルブ50、第2大気開放バルブ80、バイパスバルブなどが含まれる。
システム制御部184は、供給側圧力センサ38、回収側圧力センサ68から得られる圧力情報に基づいて、供給側及び回収側の圧力がそれぞれ目標圧力に調整されるように供給ポンプ32及び回収ポンプ62の駆動を制御する。
ヘッドバー14に(図1参照)にインクを供給する際には、供給側マニホールド36の内部圧力が回収側マニホールド66の内部圧力よりも相対的に高くなるように、供給側と回収側との間に所定の圧力差が設定され、且つ、各ヘッドモジュール12のノズル内部のインクに所定の背圧(負圧)が付与されるように、システム制御部184によって供給ポンプ32及び回収ポンプ62の駆動が制御される。
また、供給側圧力センサ38、回収側圧力センサ68の異常の有無を判定するシーケンスの際には、所定の循環差圧を設定して供給ポンプ32と回収ポンプ62の駆動を行い、両ポンプ(32,62)のポンプ速度の情報を得る。
圧力センサ異常判定部186は、実際のポンプ速度が、予め想定されるポンプ速度の許容誤差の範囲内であるか否かを判定し、圧力センサ(38,68)の異常の有無を判断する。判定方法について詳細は後述する(図3)。
表示部172は、システムに異常が発生した場合にその旨を報知するなどの各種の情報を提示する手段として機能する。
また、コントローラ170は、不図示のタイマーを具備し、ポンプ(32,62)の駆動継続時間や、圧力制御の切換タイミングからの経過時間、バルブの開閉からの経過時間などを計測することができ、当該計測結果は不図示のメモリに逐次書き込まれる。
なお、図2では、供給側と回収側とでそれぞれ個別に、ポンプ制御部(187,188)を設ける構成を示したが、供給側と回収側とでポンプ制御部が共通化されていてもよい。
<圧力センサの異常を検知する方法>
次に、本実施形態において圧力センサ(38,68)の異常の有無を検知する方法を説明する。図3は圧力センサの異常の有無を検知する処理の手順を示すフローチャートである。
(手順1):まず、供給側マニホールド36の供給側圧力センサ38と、回収側マニホールド66の回収側圧力センサ68の目標値に、両者の差圧が所定の値P_circとなるように、目標圧力を設定する(ステップS12)。例えば、差圧が0[Pa]となるように、IN側とOUT側の圧力制御の目標値(設定圧力)を設定する。
(手順2):次に、設定した制御目標値に従い、供給ポンプ32と回収ポンプ62の駆動を制御する(ステップS14)。
(手順3):その後、IN側及びOUT側の各ポンプ(32,62)の速度を取得する(ステップS16)。
(手順4):そして、得られた各ポンプ(32,62)の速度が、想定される誤差の範囲内で予想されるポンプ速度になっているか否かを判定する(ステップS18)。すなわち、ステップS16で取得された実際のポンプ速度と、設定差圧から予想されるポンプ速度との差異が想定される誤差(許容誤差)の範囲に収まっているか否かを判定する。
(手順5):ステップS18の判定結果に基づき、圧力センサが正常であるか異常であるかを判断する(ステップS20)。すなわち、想定される所定の誤差の範囲内にポンプ速度が収まっていると判定された場合、圧力センサ(38,68)は正常の状態である判断される。その一方、ステップS16で取得されたポンプ速度が、想定される所定の誤差の範囲を超える値となっている場合は、供給側圧力センサ38、回収側圧力センサ68の少なくとも一方が異常である(故障している)と判断される。
例えば、差圧0[Pa]に設定された場合、圧力センサ(38,68)が正常であれば、供給ポンプ32と回収ポンプ62は回転しないはずであるから、両ポンプが回転していないか否かを判定する。判定に際しては、想定されるポンプ速度の検出誤差を考慮して閾値が定められる。すなわち、閾値は、供給側及び回収側のダンパ(34,64)や圧力センサ(38,68)のサイズが持つ系統誤差、並びに圧力センサ(38,68)のセンサ出力値の誤差(測定誤差)、流路抵抗の誤差など考慮して、許容される誤差量の観点から定められる。想定される所定の誤差の範囲内にポンプ速度(回転数)が収まっていれば、圧力センサ(38,68)は正常な状態と判断される。
想定されるポンプ速度の誤差(閾値)の目安としては、以下のとおりである。
[1]圧力の誤差合計ΔP_totalは、圧力センサの測定誤差ΔP_measured[Pa]と、圧力センサの水頭誤差ΔP_sys_sensor[Pa]と、ポンプ用のダンパ(34,64)の水頭誤差ΔP_sys_damper[Pa]とを考慮して、次式で表される。
△P_total ={(△P_sys_sensor) +(△P_sys_damper)+(△P_measured)1/2 [Pa]
例えば、圧力センサ(38,68)の半径をr_sensorとすると、圧力センサは△P_sys_sensor = ρ×g×r_sensor [Pa]の系統誤差を有する。ρは液体の密度、gは重力加速度である。一例として、圧力センサの半径が1cmあるとすると、100Pa程度の系統誤差を有する。
ポンプ用のダンパ(34,64)のサイズが持つ系統誤差についても、圧力センサの系統誤差と同様であり、ダンパ(34,64)のサイズに応じた系統誤差を有する。ダンパ(34,64)の系統誤差を△P_sys_damper[Pa]とする。
さらに、圧力センサ(38,68)の測定値には、△P_measuredの系統誤差がある。
上記の各誤差成分の合計△P_totalを考えると、
△P_total ={(△P_sys_sensor) +(△P_sys_damper)+(△P_measured)1/2 [Pa]となる。
[2]IN-OUTマニホールド間の流路抵抗(供給側マニホールド36と回収側マニホールド66の間の流路抵抗)は、誤差△R_barを考慮して、R_bar±△R_bar[Pa/m]で表される。
[3]なお、設置箇所や設置高度次第で、重力加速度がばらつき場合は、それを誤差要因の一つとして、上記の誤差計算に含めてもよい。
よって、ポンプの流量のばらつきΔQ[m/s]は、ΔP_totalとΔR_barを考慮すると、次式
ΔQ = {(△P_total/R_bar) + (P_circ × △R_bar / R_bar) }0.5 となる。
上記の式から定まる流量のばらつき△Q [m3/s] に対応したポンプ速度ばらつきを考慮して、圧力センサの異常有無を判定する。
本実施形態では、供給側のポンプ(供給ポンプ32)と回収側のポンプ(回収ポンプ62)は、基本的には独立の制御になっているため、供給側と回収側とでそれぞれ個別にΔP_totalを計算してポンプ流量のばらつきΔQを求める。
例えば、循環差圧が所定の値P_circの場合、想定される流量はQ = P_circ / R_bar となり、ばらつきとしては上記のΔQが想定される。したがって、実際のポンプ速度から把握される流量が、Q±△Qの範囲外となったとき、圧力センサが異常であると判断される。
この場合、Q±△Qの範囲が「許容想定範囲」に相当している。
なお、循環差圧を0[Pa]に設定した場合は、P_circ =0のため、想定される流量はQ=0となる。制御目標の循環差圧として設定する値(P_circ)は0以上の任意の値を設定することが可能である。
圧力センサの異常有無を判断する具体的な判定演算としては、以下に述べる演算例1〜3の他、様々な演算方法があり得る。
[演算例1]異常有無の判定に際しては、許容想定範囲の上限値Q+△Qを表す上限閾値と、下限値Q−△Qを表す下限閾値とを定めておき、これらの閾値と実際のポンプ速度から把握される流量とを比較することで、異常の有無を判定できる。
[演算例2]実際のポンプ速度から把握される流量Qcと、循環差圧P_circに対して想定される設計上の流量Q = P_circ / R_barとの差|Qc−Q|を計算し、その差が、想定される流量のばらつきΔQの範囲に収まっているか否かという観点から、異常の有無を判定できる。この場合は、ΔQの値が判定用の閾値に相当する。
[演算例3]演算例1,2と同様の手法で、流量とポンプ速度の関係から、循環差圧P_circの設定のもとでのポンプ速度の閾値を定めておき、ポンプ速度の値を用いて異常の有無を判定することができる。すなわち、ポンプ速度を流量に変換して流量の指標で閾値と比較してもよいし、許容誤差の流量に対応するポンプ速度の閾値を定めておき、ポンプ速度の指標で閾値と比較してもよい。
なお、上述した「Q±△Q」を許容想定範囲とする方法の場合、ΔQは1σのばらつきなので(σは標準偏差)、許容誤差の範囲として、例えば3σの値としても良い。この場合、実際のポンプ速度から把握される流量が、Q±3△Qの範囲外となったとき、異常であると判断される。許容誤差の範囲は、判定精度との関係で適宜定めることができる。
また、供給ポンプ32と回収ポンプ62のそれぞれについて異なる閾値を設定することが可能である。供給側と回収側とで異なる性能のポンプを使用する構成の場合、回転速度の精度もそれぞれポンプの性能ごとに異なることが想定されるため、供給側のポンプと回収側のポンプについて異なる閾値を設ける場合があり得る。
本実施形態による圧力センサの異常検知方式によれば、異常検知のための制御動作が簡単であるため、実装が容易である。また、異常検知の判定に要する実施時間が比較的短いため、時間短縮になる。
<ポンプ用のダンパ(34,64)における可撓膜の位置調整について>
供給側ダンパ34と回収側ダンパ64は同様の構造であるため、ここでは供給側ダンパ34を例に説明する。
図4は、供給側ダンパ34の第1液体室44に出し入れする液量と、供給側ダンパ34内に配置された第1可撓膜42(以下、単に「膜」と表記する場合がある。)の圧力の関係(静的圧力応答)を示すグラフである。図4の横軸は液量(体積)を表し、縦軸は圧力を表す。なお、図4の横軸の値は、ある基準の膜位置に対応した液量からの液の増減を示す相対的な値として意味があるため「0」の位置には任意性がある。図4における横軸の「0」に対応する膜位置は、例えば第1容器40の全容積量に対して液体が半分供給されている状態である。図4に示した静的応答は、図1に示した第1空気室46の第1大気開放バルブ50を閉じた状態で第1液体室44に液体を供給又は液体室44から液体を排出して測定されたものである。
図1に示した構成において、供給ポンプ32の駆動量を調整することで第1液体室44に供給する液体の量(液体体積)を変化させることができる。第1液体室44と第1空気室46とを仕切る第1可撓膜42は、第1液体室44内の液体量に応じて変形する。
図4中の(1)で示すように、第1液体室44内の液体量の変化(すなわち膜の変位量)に対して圧力の変化が殆ど見られない領域は、膜の弾性力を無視できる領域(例えば、膜に張力が殆どかからず、膜が弛んでいる状態となる領域、「非弾性変形領域」に相当、「不感帯域」ともいう。)である。図5は第1可撓膜42を不感帯域(非弾性変形領域)の膜位置に設定した様子を示した模式図である。膜の位置を不感帯域に設定した状態で、圧力センサによる測定値を読み取ることにより、膜の外力の影響を排除した値を取得することができる。また、膜の位置を不感帯域に設定した状態で、第1空気室46の弾性力を用いて供給側ダンパ34を動作させた場合、弾性力の小さい箇所で使用することができるため、供給ポンプ32の脈動を効率的に抑えることができる。
本明細書では、第1可撓膜42の弾性力を無視できる動作領域を「不感帯」と呼ぶ。不感帯は、第1可撓膜42の変位に対する膜弾性力が無視できる程度に小さい領域である。別の観点から定義すると、不感帯は、膜の変位量に対する膜弾性力が比例(線形)の関係とならない領域である。
図4の例では、横軸の値が概ね「−12mL(ミリリットル)」から「12(mL)」の範囲で液体の体積変化に対して膜の弾性力が殆ど寄与しない領域となっており、この範囲が「不感帯」に相当する。
その一方、図4の(2)で示すように、第1液体室44内の液体量の変化(すなわち膜の変位量)に対して圧力の変化が概ね比例して変化する領域は、膜の弾性力が支配的に効いてくる領域(膜に張力がかかり、膜が伸びて張られている状態となる領域、「弾性変形領域」に相当、「不感帯外の領域」ともいう)である。
図6は第1可撓膜42を不感帯外の領域(弾性変形領域)の膜位置に設定した様子を示した模式図である。膜の位置を弾性変形領域に設定した状態で動作させた場合、図6に示すように、第1可撓膜42が弾性変形しており膜弾性力が大きい。
本実施形態においては、膜の不感帯域で動作を実施するように、インク循環の制御に先立ち、供給側ダンパ34の第1可撓膜42を不感帯域の位置に調整する処理(膜位置の初期化)を行う。膜位置の初期化のプロセスは以下のとおりである。
図7は膜位置の初期化処理の手順を示したフローチャートである。
まず、供給側ダンパ34の第1大気開放バルブ50を開いた状態で、供給ポンプ32を加圧方向に回転させて、供給側ダンパ34内の圧力を上げて、供給側ダンパ34内の内壁に第1可撓膜42を接触させる(ステップS22)。図8は、供給側ダンパ34の内壁に第1可撓膜42を張り付かせた様子を示す模式図である。第1可撓膜42が供給側ダンパ16の内壁に張り付くと、図4の(3)で示したように、圧力が急激に上昇する。図4のグラフの場合、液体量が25mL付近の点で第1可撓膜42が供給側ダンパ34の内壁に張り付いたことが把握される。
次に、供給側ダンパ34の内壁への第1可撓膜42の張り付きを検知した後、供給ポンプ32を停止させる(図7のステップS24)。
その後、指定量だけ供給ポンプ32を減圧方向に回転させて、第1可撓膜42を不感帯域の位置に移動させる(図7のステップS26)。このとき供給側ダンパ34の第1容器40から排出する液の量によって第1可撓膜42の膜位置が決まる。このとき設定される膜位置は第1可撓膜42の弾性力が生じない状態である。
回収側ダンパ64についても同様の手順により、第2可撓膜72の膜位置を不感帯域の初期位置に調整する処理が行われる。
こうして、供給側ダンパ34と回収側ダンパ64のそれぞれの可撓膜(42,72)の膜位置を調整した後に、図3で説明した圧力センサの異常検知処理が行われる。
<具体的な制御手順の例>
図9は本実施形態に係る液体吐出装置10の動作制御の一例を示すフローチャートである。図示のように、膜位置の初期化処理を行う(ステップS32)。初期化処理の内容は図7及び図8で説明したとおりである。
その後、圧力センサの異常検知処理を行う(図9のステップS34)。異常検知処理の手順については、図3で説明したとおりである。
異常検知処理の結果、圧力センサ(38,68)が異常であると判断した場合には(図9のステップS36で「異常」と判定時)、表示部172(図1、図2参照)に警告表示を行い、異常(故障)である旨をユーザに知らせる(図9のステップS38)。
一方、異常検知処理の結果、圧力センサ(38,68)が正常であると判断した場合には(図9のステップS36で「正常」と判定時)、ステップS38を省略して処理を終了する。
図9で例示したような異常検知の処理フローは、例えば、液体吐出装置10の立ち上げ前やメンテナンス実施時など、適宜のタイミングで行うことができる。
本実施形態によれば、圧力センサ(38,68)が正常に作動していることを確認してから圧力制御を行うことができるため、正確な背圧制御を実現することができる。
〔インクジェット装置の全体構成例〕
次に、液体吐出装置10の具体例としてのインクジェット装置の全体構成の例について説明する。図10は、本発明の実施形態に係るインクジェット装置の全体構成を示した構成図である。図示のように、本実施の形態のインクジェット装置310は、主として、給紙部312、処理液付与部314、描画部316、乾燥部318、定着部320、及び排出部322を備えて構成される。
〈給紙部〉
給紙部312は、記録媒体としての用紙324を処理液付与部314に供給する機構である。給紙部312には、枚葉紙である用紙324が積層されている。給紙部312には、給紙トレイ350が設けられ、この給紙トレイ350から用紙324が一枚ずつ処理液付与部314に給紙される。
本例では、枚葉紙(カット紙)を用いるが、ロール紙から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
〈処理液付与部〉
処理液付与部314は、用紙324の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部316で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
処理液付与部314は、給紙ドラム352、処理液ドラム354、及び、処理液塗布装置356を備えている。処理液ドラム354は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)355を備え、この保持手段355の爪と処理液ドラム354の周面の間に用紙324を挟み込むことによって用紙324の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム354は、その外周面に吸着穴を設けるとともに、吸着穴から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより用紙324を処理液ドラム354の周面に密着保持することができる。
処理液ドラム354の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置356が設けられる。処理液塗布装置356は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム354上の用紙324に圧接されて計量後の処理液を用紙324に転移するゴムローラとで構成される。処理液付与部314で処理液が付与された用紙324は、処理液ドラム354から中間搬送部326を介して描画部316の描画ドラム370へ受け渡される。
〈描画部〉
描画部316は、描画ドラム370、用紙抑えローラ374、及び、インクジェットヘッド372M,372K,372C,372Yを備えている。描画ドラム370は、処理液ドラム354と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)371を備え、用紙を吸着保持することができる。描画ドラム370に固定された用紙324は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド372M,372K,372C,372Yからインクが付与される。
インクジェットヘッド372M,372K,372C,372Yは、それぞれ用紙324の幅に対応する長さを有するラインヘッドで構成される。インク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド372M,372K,372C,372Yは、用紙324の搬送方向(描画ドラム370の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
描画ドラム370上に密着保持された用紙324の記録面に向かって各インクジェットヘッド372M,372K,372C,372Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部314であらかじめ記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、用紙324上での色材流れなどが防止され、用紙324の記録面に画像が形成される。
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。たとえば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色インクジェットヘッドの配置順序も特に限定はない。
描画部316で画像が形成された用紙324は、描画ドラム370から中間搬送部328を介して乾燥部318の乾燥ドラム376へ受け渡される。
〈乾燥部〉
乾燥部318は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、乾燥ドラム376、及び溶媒乾燥装置378を備えている。
乾燥ドラム376は、処理液ドラム354と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)377を備え、この保持手段377によって用紙324の先端を保持できるようになっている。
溶媒乾燥装置378は、複数のIRヒータ(Infrared Radiation ヒータ:赤外線ヒータ)382と、各IRヒータ382の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル380とで構成される。乾燥ドラム376の外周面に、用紙324の記録面が外側を向くように(すなわち、用紙324の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥することにより、用紙324のシワや浮きの発生を防止でき、これらに起因する乾燥ムラを確実に防止することができる。
乾燥部318で乾燥処理が行われた用紙324は、乾燥ドラム376から中間搬送部330を介して定着部320の定着ドラム384へ受け渡される。
〈定着部〉
定着部320は、定着ドラム384、ハロゲンヒータ386、定着ローラ388、及びインラインセンサ390で構成される。定着ドラム384は、処理液ドラム354と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)385を備え、この保持手段385によって用紙324の先端を保持できるようになっている。
定着ドラム384の回転により、用紙324は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ386による予備加熱と、定着ローラ388による定着処理と、インラインセンサ390による検査が行われる。
なお、紫外線(UV)硬化型のインクを用いる場合には、加熱定着の定着ローラ388に代えて、又はこれと組み合わせて、UVランプや紫外線LD(レーザダイオード)アレイなど、紫外線(活性光線)を照射する手段が設けられる。乾燥部318で水分を充分に揮発させた後に、紫外線照射手段を備えた定着部で、画像に紫外線を照射することにより、インク中のUV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
一方、インラインセンサ390は、用紙324に記録された画像(テストチャートを含む)について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
〈排出部〉
定着部320に続いて排出部322が設けられている。排出部322は、排出トレイ392を備えており、この排出トレイ392と定着部320の定着ドラム384との間に、これらに対接するように渡し胴394、搬送ベルト396、張架ローラ398が設けられている。用紙324は、渡し胴394により搬送ベルト396に送られ、排出トレイ392に排出される。
〈その他の構成〉
本例のインクジェット装置310には、上記構成の他、各インクジェットヘッド372M,372K,372C,372Yにインクを供給するインク供給部、各インクジェットヘッド372M,372K,372C,372Yのクリーニングを行うメンテナンス処理部などが備えられている。
各ヘッドのインク供給系として、図1乃至図9で説明した第1実施形態や第2実施形態のインク供給システムが適用される。ここでは第2実施形態(図9)で説明した循環型のインク供給システムが適用される例を述べる。
〈インクジェットヘッドの構成〉
次に、インクジェットヘッド372M,372K,372C,372Yの構成について説明する。各インクジェットヘッド372M,372K,372C,372Yの構成は同じなので、ここではインクジェットヘッド372として、その構成について説明する。また、特に区別する場合を除いて、インクジェットヘッド372M,372K,372C,372Yはインクジェットヘッド372として説明する。
図11は本実施形態に用いられるインクジェットヘッド372の斜視図である。図11では、ヘッドの下方(斜め下方向)からノズル面(液滴吐出面)を見上げた様子が図示されている。また、図12は、インクジェットヘッド372をノズル面側から見た部分拡大図である。図示のように、インクジェットヘッド372は、複数個のヘッドモジュール372−i(i=1,2…,n)を長手方向(用紙324の搬送方向と直交する用紙幅方向)に沿って繋ぎ合わせて長尺化したフルライン型のラインヘッドバー(シングルパス印字方式のページワイドヘッド)として構成されている。「i」はヘッドモジュールの配置順に対応したモジュール番号を表している。ヘッドモジュール372−iは、図1で説明した符号12と同等のものである。
図11では17個(n=17)のヘッドモジュール372−iを繋ぎ合わせた例を示しているが、ラインヘッドバーを構成するヘッドモジュールの個数及び配列形態、並びに各ヘッドモジュールの構造については、図示の例に限定されない。
図11中の符号373は、複数のヘッドモジュール372−iを固定するための枠体となるベースフレーム(バー状のラインヘッドを構成するためのハウジング)、符号375は、各ヘッドモジュール372−iに接続されたフレキシブル基板である。
各ヘッドモジュール372−iは、ベースフレーム373に取り付けられて一体化され、1つのインクジェットヘッド372を構成する。各ヘッドモジュール372−iは、インクジェットヘッド372の短手方向の両側からヘッドモジュール支持部材372Bによって支持されて、ベースフレーム373に着脱自在に取り付けられる。各ヘッドモジュール372−iは、個別に交換することができる。各ヘッドモジュール372−i(i=1,2…,n)がそれぞれ液体吐出ヘッドとして機能しうる。
図12に示すように、各ヘッドモジュール372−i(n番目のヘッドモジュール372−n)のノズル面372Aには、複数のノズルがマトリクス状に配列されている。図12において符号451Aを付して図示した斜めの実線は、複数のノズルが一列に並べられたノズル列を表している。
図13Aはヘッドモジュールの平面透視図である。また、図13Bはその一部を拡大した拡大図である。本例のヘッドモジュール372−iは、図13A、図13Bに示すように、インク吐出口であるノズル451をマトリクス状に(二次元的に)配置させた構造を有し、これにより、インクジェットヘッド長手方向(用紙324の搬送方向と直交する方向;主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズルの間隔(投影ノズルピッチ)を狭めてノズルの高密度化を達成している。
図13A、図13Bの例では、主走査方向に対して角度θの方向に沿ってノズル451を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影された(正射影された)ノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル451が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
なお、ノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に一列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
このようなヘッドモジュール372−iを用紙幅方向(主走査方向)に複数個繋ぎ合わせることにより、用紙幅について全描画範囲をカバーするノズル列が形成され、1回の描画走査(シングルパス印字方式)で所定の記録解像度(例えば、1200dpi)による画像記録が可能なフルライン型のヘッドが構成される。
図14は、ヘッドモジュールの内部構造を示す縦断面図である。同図に示すように、圧力室452は、直方体形状の空間として形成されており、その底面の一角にノズル流路454が連通されている。ノズル流路454は、圧力室452から鉛直下向きに延びてノズル451に連通されている。
圧力室452の天井壁面は、振動板455で構成されており、上下方向に撓み変形可能に形成されている。この振動板455の上には圧電素子(ピエゾ素子)456が取り付けられており、振動板455は、この圧電素子456によって上下方向に変形する。そして、この振動板455が上下方向に変形することにより、圧力室452の容積が膨縮(拡縮)し、ノズル451からインクが吐出される。
なお、圧電素子456は、電極間に圧電体が介在する積層構造を有し、その上部に設けられた図示しない個別電極と、共通電極として作用する振動板455との間に所定の駆動電圧を印加することにより駆動され、これにより、振動板455が上下方向に変形する。
圧力室452の天井壁面の一角には、圧力室452にインクを供給するための個別供給流路457Aが連通されている。この個別供給流路457Aは、共通供給流路458Aに連通されている。
共通供給流路458Aは、用紙324の搬送方向に対して所定の傾きをもって並ぶノズル451の列単位で設けられている。各列に属するノズル451の圧力室452には、この共通供給流路458Aから個別供給流路457Aを介してインクが供給される。
各列の共通供給流路458Aは、図示しないインク供給流路(供給経路)に連通されており、インク供給流路は、図示しないインク供給口に連通されている。図9で説明したように、インクタンク12からのインクは、このインク供給口に供給される。そして、このインク供給口に供給されたインクが、インク供給流路を介して各列の共通供給流路458Aに供給され、さらに個別供給流路457Aを介して各圧力室452に供給される。
ノズル流路454には、個別回収流路457Bの一端が連通されている。個別回収流路457Bは、ノズル451の近傍位置でノズル流路454に連通されている。個別回収流路457Bの他端は、共通回収流路458Bに連通されている。
共通回収流路458Bは、共通供給流路458Aと同様に用紙324の搬送方向に対して所定の傾きをもって並ぶノズル451の列単位で設けられている。各列の共通回収流路458Bは、図示しないインク回収流路(回収経路)に連通されている。インク回収流路は、図示しないインク回収口に連通されている。
各ノズル流路454を流れるインクは、一部が個別回収流路457Bに流れ、共通回収流路458Bに回収される。そして、各共通回収流路458Bからインク回収流路、インク回収口を介してインクタンク12に回収される(図1参照)。すなわち、本実施の形態のインクジェットヘッドでは、各ヘッドモジュール372−iにインクが循環して供給される。
インクの循環供給系については図1で説明したとおりである。インクジェットヘッド372からインクを吐出して描画を行う際には、供給側マニホールド36(図1参照)に供給されるインクをあらかじめ定められた圧力Pin、かつ、あらかじめ定められた流量でそれぞれのヘッドモジュール372−iへ供給し、さらには、ヘッドモジュール372−iへ供給されたインクをあらかじめ定められた圧力Pout、かつ、あらかじめ定められた流量でそれぞれヘッドモジュール372−iから回収側マニホールド66へ回収する構造となっている。
供給側マニホールド36の圧力Pinと回収側マニホールド66の圧力Poutにより、ヘッドモジュール372−i部で差圧ΔPを発生させ、この結果、ヘッドモジュール372−i内にインクの流れが生じ、この流れにより常にフレッシュなインクがヘッドモジュール372−iに供給されることになる。インクの吐出口(噴射口)であるノズルには、当該供給側マニホールド36の圧力Pinと回収側マニホールド66の圧力Poutに依存する背圧Pnzlが付与されている。
<インクジェット装置の制御系について>
次に、インクジェット装置310の全体的な制御系の構成について説明する。図15はインクジェット装置310の制御系の概略構成を示すブロック図である。インクジェット装置310は、通信インターフェース540、システム制御部542、搬送制御部544、画像処理部546、インクジェットヘッド駆動部548を備えるとともに、画像メモリ550、ROM(Read Only Memory)552を備えている。
通信インターフェース540は、ホストコンピュータ554から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース540は、USB(Universal Serial Bus)などのシリアルインターフェースを適用してもよいし、セントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用してもよい。通信インターフェース540は、通信を高速化するためバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
システム制御部542は、中央演算処理装置(CPU(Central Processing Unit))及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット装置310の全体を制御する制御手段として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。また、画像メモリ550及びROM552のメモリコントローラとして機能する。すなわち、システム制御部542は、通信インターフェース540、搬送制御部544等の各部を制御し、ホストコンピュータ554との間の通信制御、画像メモリ550及びROM552の読み書き制御等を行うとともに、上記の各部を制御する制御信号を生成する。
図15のシステム制御部542は、図2で説明したシステム制御部184に相当するものである。
ホストコンピュータ554から送り出された画像データは通信インターフェース540を介してインクジェット装置310に取り込まれ、画像処理部546によって所定の画像処理が施される。
画像処理部546は、画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号(画像)処理機能を有し、生成した印字データをインクジェットヘッド駆動部548に供給する。画像処理部546において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、インクジェットヘッド駆動部548を介してインクジェットヘッド372の吐出液滴量(打滴量)や、吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
なお、インクジェットヘッド駆動部548には、インクジェットヘッド372の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
インクジェットヘッド駆動部548は、駆動波形を生成する駆動波形生成部と、該駆動波形を増幅して駆動電圧を生成する増幅部と、所定の駆動波形を有する駆動電圧をインクジェットヘッドへ供給する駆動電圧供給部と、を含んで構成されている。システム制御部から送られる画像データ(デジタルデータ)に基づいて駆動波形が生成され(又は、あらかじめ記憶されている駆動波形の中から対応する駆動波形が選択され)、当該駆動波形を有する駆動電圧が生成される。
搬送制御部544は、画像処理部546により生成された印字制御用の信号に基づいて用紙324の搬送タイミング及び搬送速度を制御する。搬送駆動部556は、各部の搬送ドラムを回転させるモータや中間搬送体を回転させるモータなどが含まれ、搬送制御部544は上記のモータのドライバーとして機能している。
画像メモリ550は、通信インターフェース540を介して入力された画像データを一旦格納する一次記憶手段としての機能や、ROM552に記憶されている各種プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域(例えば、画像処理部546の作業領域)としての機能を有している。画像メモリ550には、逐次読み書きが可能な揮発性メモリ(RAM)が用いられる。
ROM552は、システム制御部542のCPUが実行するプログラムや、装置各部の制御に必要な各種データ、制御パラメータなどが格納されており、システム制御部542を通じてデータの読み書きが行われる。ROM552は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。また、外部インターフェースを備え、着脱可能な記憶媒体を用いてもよい。
さらに、このインクジェット装置310は、処理液付与制御部560、乾燥処理制御部562、定着処理制御部564、メンテナンス制御部586、インク供給制御部590等を備えており、システム制御部542からの指示に従って、それぞれ処理液付与部314、乾燥部318、定着部320、メンテナンス処理部588、インク供給部610の各部の動作を制御する。
処理液付与制御部560は、画像処理部546から得られた印字データに基づいて、処理液付与部314による処理液付与のタイミングの制御を制御するとともに、処理液の付与量を制御する。
乾燥処理制御部562は、乾燥部318に含まれる溶媒乾燥装置378を制御し、処理温度、送風量等を制御する。
定着処理制御部564は、定着部320に含まれるハロゲンヒータ386の温度を制御するとともに、定着ローラ388の押圧を制御する。
本例に示すインクジェット装置310は、ユーザインターフェース570を具備する。ユーザインターフェース570は、オペレータ(ユーザ)が各種入力を行うための入力装置572と、表示部(ディスプレイ)574を含んで構成される。入力装置572には、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタンなど各種形態を採用し得る。オペレータは、入力装置572を操作することにより、印刷条件の入力、画質モードの選択、付属情報の入力・編集、情報の検索などを行うことができ、入力内容や検索結果など等の各種情報は表示部574の表示を通じて確認することができる。この表示部574はエラーメッセージなどの警告を表示する手段としても機能する。表示部574は図1及び図2における表示部172に相当している。
パラメータ記憶部580は、インクジェット装置310の動作に必要な各種制御パラメータが記憶されている。システム制御部542は、制御に必要なパラメータを適宜読み出すとともに、必要に応じて各種パラメータの更新(書換)を実行する。
プログラム格納部582は、インクジェット装置310を動作させるための制御プログラムが格納されている記憶手段である。システム制御部542は、装置各部の制御を実行する際にプログラム格納部582から必要な制御プログラムを読み出すとともに、該制御プログラムを適宜実行する。
なお、パラメータ記憶部580、プログラム格納部582は、パラメータ記憶部580、プログラム格納部582と兼用することができる。
図15のパラメータ記憶部580、プログラム格納部582はそれぞれ図2で説明したパラメータ記憶部181、プログラム格納部182に相当するものである。
メンテナンス制御部586は、システム制御部542から送られてくる指令信号に基づき、メンテナンス処理部588の動作を制御する制御ブロックである。インクジェット装置310の制御がメンテナンスモードに移行すると、インクジェットヘッド372を描画ドラム370の真上の印刷位置からメンテナンス位置に移動させるとともに、インクジェットヘッド372の移動に対応して、メンテナンス処理部588の各部を動作させる。
インク供給制御部590は、システム制御部542から送られてくる指令信号に基づき、インク供給部610の動作を制御する。図15のインク供給制御部590は、図2で説明した目標値設定部185、圧力センサ異常判定部186、供給側ポンプ制御部187、回収側ポンプ制御部188、バルブ制御部189を含むものである。また、図15のインク供給部610は、図1及び図2で説明した供給ポンプ32、回収ポンプ62、各種のバルブ196を含んだブロックである。
インク供給制御部590の機能はシステム制御部542に統合することも可能である。インク供給制御部590、又はシステム制御部542、若しくはこれらの組み合わせが図1及び図2で説明したコントローラ170に対応している。
<変形例1>
複数個のヘッドモジュールから構成される長尺のインクジェットヘッドの形態は図11、図12で例示した形態に限らない。例えば、複数個のヘッドモジュールが千鳥状に配置された構造を持つインクジェットヘッドについても本発明を適用することができる。
<変形例2>
上記実施形態では、用紙に直接インク滴を打滴して画像を形成する方式(直接記録方式)のインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、一旦、中間転写体上に画像(一次画像)を形成し、その画像を転写部において記録紙に対して転写することで最終的な画像形成を行う中間転写型のインクジェット記録装置についても本発明を適用することができる。
<吐出方式について>
インクジェットヘッドにおける各ノズルから液滴を吐出させるための吐出用の圧力(吐出エネルギー)を発生させる手段は、ピエゾアクチュエータ(圧電素子)に限らず、サーマル方式(ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させる方式)におけるヒータ(加熱素子)や他の方式による各種アクチュエータなど様々な圧力発生素子(吐出エネルギー発生素子)を適用し得る。ヘッドの吐出方式に応じて、相応のエネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
<他の応用例について>
上記の実施形態では、液体吐出装置の一形態として、グラフィック印刷用のインクジェット装置への適用を例に説明したが、本発明の適用範囲はこの例に限定されない。例えば、電子回路の配線パターンを描画する配線描画装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルター製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを描画する液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置に広く適用できる。
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。
10…液体吐出装置、12…ヘッドモジュール、14…ヘッドバー、20…インク、22…インクタンク、30…供給流路部、32…供給ポンプ、34…供給側ダンパ、36…供給側マニホールド、38…供給側圧力センサ、40…第1容器、42…第1可動膜、44…第1液体室、46…第1気体室、50…第1大気開放バルブ、60…回収流路部、62…回収ポンプ、64…回収側ダンパ、66…回収側マニホールド、68…回収側圧力センサ、70…第2容器、72…第2可動膜、74…第2液体室、76…第2気体室、80…第2大気開放バルブ、170…コントローラ、172…表示部、184…システム制御部、185…目標値設定部、186…圧力センサ異常判定部、187…供給側ポンプ制御部、188…回収側ポンプ制御部、192…速度検出部、194…速度検出部、310…インクジェット装置、372(372M,372K,372C,372Y)…インクジェットヘッド、372−i…ヘッドモジュール、451…ノズル、542…システム制御部

Claims (11)

  1. 液体吐出ヘッドと、
    前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留しておく液体貯留部と、
    前記液体貯留部に貯留されている液体を前記液体吐出ヘッドに導く供給経路と、
    前記液体貯留部から前記供給経路を通じて前記液体吐出ヘッドに前記液体を給送する供給ポンプと、
    前記供給経路に設置される供給側圧力センサと、
    前記液体吐出ヘッドから液体を回収する回収経路と、
    前記回収経路に設置される回収ポンプと、
    前記回収経路に設置される回収側圧力センサと、
    を備える液体吐出装置の前記供給側圧力センサ及び前記回収側圧力センサのうち少なくとも一方の圧力センサの異常を検知する方法であって、
    前記供給経路と前記回収経路との間に循環差圧を設定するステップと、
    前記設定された循環差圧を制御目標にして前記供給ポンプ及び前記回収ポンプの駆動制御を行うステップと、
    前記駆動制御による前記供給ポンプ及び前記回収ポンプのそれぞれのポンプ速度を取得するステップと、
    前記設定された循環差圧に対して予想されるポンプ速度の許容想定範囲に対し、前記取得されたポンプ速度が前記許容想定範囲に収まっているか否かの判定に基づき、前記供給側圧力センサ及び前記回収側圧力センサのうち少なくとも一方の圧力センサの異常の有無を判定するステップと、
    を有する圧力センサの異常検知方法。
  2. 前記設定される循環差圧が0[Pa]である請求項1に記載の圧力センサの異常検知方法。
  3. 前記循環差圧に対応して、予め想定される誤差から許容できる誤差の範囲を定めておき、
    前記予想されるポンプ速度に対して前記許容できる誤差の範囲を考慮して前記許容想定範囲が定められる請求項1又は2のいずれか1項に記載の圧力センサの異常検知方法。
  4. 前記液体吐出装置には、
    前記供給経路に設置され、第1可撓膜を介して区画される第1液体室と第1空気室とを有する供給側ダンパと、
    前記回収経路に設置され、第2可撓膜を介して区画される第2液体室と第2空気室とを有する回収側ダンパと、
    が設けられている請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力センサの異常検知方法。
  5. 前記液体吐出装置は、前記液体吐出ヘッドとしての複数のヘッドモジュールを備え、
    前記供給経路は、前記複数のヘッドモジュールと接続される供給側マニホールドを含み、
    前記回収経路は、前記複数のヘッドモジュールと接続される回収側マニホールドを含む請求項1から4のいずれか1項に記載の圧力センサの異常検知方法。
  6. 前記供給側圧力センサ及び前記回収側圧力センサによって把握される圧力の誤差合計を△P_total、
    前記供給側マニホールドと前記回収側マニホールドの間の流路抵抗をR_bar±△R_bar、
    前記設定される循環差圧をP_circ、
    前記予想されるポンプ速度による流量のばらつきをΔQとするとき、
    ΔQ= {(△P_total/R_bar) + (P_circ × △R_bar / R_bar) }0.5
    を考慮して異常判定の閾値が定められる請求項5に記載の圧力センサの異常検知方法。
  7. 前記供給側圧力センサ及び前記回収側圧力センサの各圧力センサのサイズに起因する水頭誤差を△P_sys_sensor、
    前記供給側ダンパ及び前記回収側ダンパの各ダンパのサイズに起因する水頭誤差を△P_sys_damper、
    前記供給側圧力センサ及び前記回収側圧力センサの各圧力センサの測定誤差を△P_measured、とするとき、
    前記圧力の誤差合計△P_totalを、
    △P_total ={(△P_sys_sensor) +(△P_sys_damper)+(△P_measured)1/2 [Pa]
    とする請求項4を引用するときの請求項6に記載の圧力センサの異常検知方法。
  8. 液体吐出ヘッドと、
    前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留しておく液体貯留部と、
    前記液体貯留部に貯留されている液体を前記液体吐出ヘッドに導く供給経路と、
    前記液体貯留部から前記供給経路を通じて前記液体吐出ヘッドに前記液体を給送する供給ポンプと、
    前記供給経路に設置される供給側圧力センサと、
    前記液体吐出ヘッドから液体を回収する回収経路と、
    前記回収経路に設置される回収ポンプと、
    前記回収経路に設置される回収側圧力センサと、
    前記供給経路と前記回収経路との間に循環差圧を設定する差圧設定部と、
    前記設定された循環差圧を制御目標にして前記供給ポンプ及び前記回収ポンプの駆動制御を行うポンプ制御部と、
    前記駆動制御による前記供給ポンプ及び前記回収ポンプのそれぞれのポンプ速度を取得するポンプ速度検出部と、
    前記設定された循環差圧に対して予想されるポンプ速度の許容想定範囲に対し、前記取得されたポンプ速度が前記許容想定範囲に収まっているか否かの判定に基づき、前記供給側圧力センサ及び前記回収側圧力センサのうち少なくとも一方の圧力センサの異常の有無を判定する異常判定部と、
    を備える液体吐出装置。
  9. 前記差圧設定部により設定される循環差圧が0[Pa]である請求項8に記載の液体吐出装置。
  10. 前記供給経路に設置され、第1可撓膜を介して区画される第1液体室と第1空気室とを有する供給側ダンパと、
    前記回収経路に設置され、第2可撓膜を介して区画される第2液体室と第2空気室とを有する回収側ダンパと、
    を備える請求項8又は9に記載の液体吐出装置。
  11. 前記液体吐出ヘッドとしての複数のヘッドモジュールを備え、
    前記供給経路は、前記複数のヘッドモジュールと接続される供給側マニホールドを含み、
    前記回収経路は、前記複数のヘッドモジュールと接続される回収側マニホールドを含む請求項8から10のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
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