JP2006306077A - 液体吐出装置及び吐出異常検出方法 - Google Patents

液体吐出装置及び吐出異常検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】圧力センサが持つばらつきが考慮された好ましい圧力検出を実現する液体吐出装置及び吐出異常検出方法を提供する。
【解決手段】本発明による液体吐出装置は、非印字動作時においてスイッチ130を閾値基準値132側、スイッチ134をA/Dコンバータ120側に切り換え、圧力室52から気泡を含んでいない圧力波形を発生させ、この圧力を各圧力室52に取り付けられた圧力センサ59でセンシングする。圧力センサ59の静電容量に応じた微小信号をチャージアンプ108により増幅し、ピーク検出回路110でピーク値が検出されると、このピーク値から圧力センサ59の静電容量のばらつきによる誤差が抽出され、抽出された誤差に基づいて圧力室52の圧力異常を判断するための閾値が設定され、メモリ122に記憶される。
【選択図】 図7

Description

本発明は液体吐出装置及び吐出異常検出方法に係り、圧力検出素子を用いて圧力室内の圧力を検出し、検出結果に基づいて圧力異常を判断する圧力異常検出技術に関する。
一般に、インクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)では、ホストコンピュータから入力された印刷用の画像データを展開してなるドットパターンデータ(「ドットデータ」或いは「印字データ」ともいう。)に基づいて、ヘッドのノズルからそれぞれ所定のタイミングでインク滴を吐出させ、これらの各インク滴が記録紙等の印刷記録媒体に着弾し付着することにより印刷が行われる。
インクジェット記録装置には、印刷記録媒体の幅方向に対応する長さを有するラインヘッドを印刷記録媒体に対して1回だけ走査させることで、印刷記録媒体の全面に所望の画像が記録されるシングルパス方式や、印刷記録媒体の幅方向の長さよりも短いヘッドを印刷記録媒体の幅方向に走査させながら印刷記録媒体の幅方向と直交する方向に印刷記録媒体を移動させて印刷記録媒体の全面に所望の画像が記録されるシリアル方式がある。
ラインヘッドを用いたシングルパス方式では、特定のノズルに吐出異常が発生すると、記録された画像にすじ状のむらが発生し、画像の品質を著しく低下させてしまう。吐出異常の原因には、ノズル近傍のインクの増粘、圧力室内部やノズル内部の気泡発生 (圧力室の圧力異常)、ノズルへの異物(ほこり、紙粉等)付着などがある。
ノズルの吐出異常を検出する方法として、フォトインタラプタなどの光学検出素子を用いてノズルから吐出されたインクを光学的に検出する方法や(特許文献1)、圧力検出素子から得られる圧力検出信号に基づいて圧力異常を判断し、この圧力異常から吐出異常を検出する方法(特許文献2、3)などが提案されている。
特許文献1に記載されたインクジェット記録装置及び該記録装置におけるインク検出方法では、発光素子と受光素子とを有するフォトインタラプタを用いてインクジェットヘッドから吐出されたインク滴を検出し、インク滴によって受光素子に到達する光量の減少分に相当する検出信号の変化量からインク滴量を判定するように構成されている。
特許文献2に記載された液滴吐出装置では、液滴を吐出させない程度にアクチュエータを駆動してキャビティ内の圧力変化を検出し、得られた電気信号から振動板の振動に伴う静電容量の時経的変動に基づいて液体吐出ヘッドの吐出異常を検出するように構成されている。
特許文献3に記載されたインクジェット型プリンタでは、プリントヘッドの振動板と加圧機構との間に圧力センサを設け、この圧力センサの検出出力に応じて加圧機構が振動板に与える圧力が一定となるように加圧機構を制御する制御部が設けられている。
特開平9−94959号公報 特開2004−284190号公報 特開平5−185590号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたインクジェット記録装置及び該記録装置におけるインク検出方法では、画像の高解像度化を達成するためにインク滴量 (ドットサイズ)が小さくなると、これに対応して光学検出素子の発光素子や受光素子を高解像度にしなければならないが、発光素子及び受光素子の高解像度化には限界がある、また、吐出異常の原因を判断することが困難であり、適切な回復処理を選択(実行)することができない。
特許文献2に記載された液滴吐出装置では、振動板の振動に伴う静電容量は振動板の個体差によるばらつきが発生したり、温度変化等の影響を受けてドリフトが発生したりする。このような静電容量のばらつきやドリフトを補償するために検出回路には補償回路を備えなければならない。この補償回路は、静電容量を周波数に変換する回路や、周波数を電圧に変換する回路、更に、波形整形回路などを含んだ構成となり、回路構成が複雑化してしまう。
特許文献3に記載されたインクジェット型プリンタでは、圧力センサが持つ静電容量のばらつきが考慮されておらず、この圧力センサの静電容量のばらつきが影響して振動板の変動を正確に検出できないことがあり得る。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、圧力センサが持つばらつきが考慮された好ましい圧力検出を実現する液体吐出装置及び吐出異常検出方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明の液体吐出装置は、液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに対応して設けられた圧力室と、前記圧力室に対応して設けられ該圧力室の圧力を検出する圧力検出手段と、を有する液体吐出ヘッドと、前記圧力室内の気泡を除去する気泡除去手段と、前記気泡除去手段によって気泡が除去された前記圧力室の前記圧力検出手段の静電容量の誤差を抽出する誤差抽出手段と、前記誤差抽出手段によって抽出された前記圧力検出手段の静電容量の誤差が補正された前記圧力室の圧力異常の判断に用いる補正閾値を設定する閾値設定手段と、前記閾値設定手段によって設定された前記補正閾値を記憶する記憶手段と、前記圧力検出手段から得られた検出結果と前記記憶手段から読み出された前記補正閾値との比較結果に基づいて前記圧力室の圧力異常を判断する圧力異常判断手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、気泡排除処理が実行された直後に、圧力検出手段を用いて圧力室の圧力検出が行われ、この圧力検出によって得られた検出結果(圧力検出信号)から圧力検出手段の静電容量の誤差が抽出され、この誤差に基づいて当該圧力室の補正閾値が設定される。この補正閾値は記憶手段に記憶され、圧力検出手段から得られた圧力検出信号と記憶手段から読み出された補正閾値との比較結果に基づいて当該圧力室の圧力異常が判断される。したがって、圧力検出手段の静電容量のばらつきによる誤差が考慮された閾値に基づく好ましい圧力異常検出が可能になる。
例えば、圧力室内に気泡が発生するとノズルから液体を吐出させる際に圧力損失が生じ、所定の吐出力を与えてもノズルから液体が正常に吐出されない(吐出される液体量が過小になる)吐出異常やノズルから液体が吐出されない不吐出が発生する。圧力室の圧力異常を検出することで吐出状態の正常/異常の判断することができる。
圧力検出手段による圧力検出は気泡排除処理が実行された直後に行われることが好ましい。気泡排除処理が実行された直後には、気泡排除処理終了時から所定の吐出データに基づく吐出動作が実行されるまでの期間を含んでいてもよい。
請求項2に係る発明の液体吐出装置は、前記圧力検出手段は圧電素子を含むことを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、圧力検出手段には圧力室の変位(体積変化)に応じて歪み(応力)を発生し、その歪みに応じた電圧を有する信号を得ることができる圧電素子が好適に用いられる。圧電素子の歪みに応じて発生する電圧には圧電素子の静電容量にらつきによって誤差が生じるので、圧力室の圧力検出の精度を向上させるには、この静電容量のばらつきを補償する必要がある。
圧電素子は、2つの電極の間に圧電体が形成される構造を有し、一方の電極は検出信号取出電極となる個別電極として機能し、他方の電極は基準電位に接続される共通電極として機能する。また、記録液体が収容される液室(圧力室)の体積を変化させる圧力発生手段を備える態様では、該圧力発生手段にも圧電素子が好適に用いられる。これらの圧電素子には、1層の圧電体層と該圧電体層をはさむように形成される2つの電極を有する単層圧電素子や、複数の圧電体層から成る積層構造を有する積層圧電素子を用いてもよい。
請求項3に係る発明の液体吐出装置は、前記液体吐出ヘッドは、複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力室と、前記複数の圧力室に対応して設けられた複数の圧力検出手段を有し、前記複数の圧力検出手段のうち何れの検出信号を取得するかを選択的に切り換える選択手段を備えたことを特徴とする。
複数の圧力室に対応する複数の圧力検出手段のうち何れの検出信号を取得するかを選択的に切り換えて各圧力検出手段の静電容量の誤差を抽出することができる。
本発明における複数のノズル (圧力室、圧力検出手段)を有する液体吐出ヘッドの構成例として、記録媒体の全幅に対応する長さにわたってインク吐出用の複数のノズルを配列させたノズル列を有するフルライン型のインクジェットヘッドを用いることができる。
この場合、記録媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する比較的短尺の吐出ヘッドブロックを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで長尺化し、全体として記録媒体の全幅に対応するノズル列を構成する態様がある。
フルライン型のインクジェットヘッドは、通常、記録媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってインクジェットヘッドを配置する態様もあり得る。
請求項4に係る発明の液体吐出装置は、前記閾値設定手段は、前記複数の圧力検出手段のそれぞれに対して圧力異常の判断に用いる閾値を設定し、前記記憶手段は、前記複数の圧力検出手段ごとに設定された前記補正閾値を記憶することを特徴とする。
請求項4に係る発明によれば、それぞれの圧力検出手段に対応した補正閾値が求められ、この補正閾値が記憶手段に記憶されるので、複数の圧力検出手段を備える場合にも、各圧力検出手段の持つ静電容量の誤差(ばらつき)によらず全ての圧力検出手段において好ましい圧力異常の判断を行うことが可能になる。
請求項5に係る発明の液体吐出装置は、前記閾値設定手段は、基準値が入力される基準値入力部と、前記誤差抽出部によって抽出された前記圧力検出手段の静電容量の誤差が入力される誤差入力部と、前記基準値入力部に入力された基準値及び前記誤差入力部に入力された誤差を演算して求められた補正閾値を出力する出力部と、を有し、前記基準値入力部へ入力される前記基準値を切り換える入力切換手段と、前記出力部から出力される前記補正閾値の送出先を切り換える出力切換手段と、所定の吐出データに応じて前記ノズルから液体を吐出させる吐出動作時には、前記基準値入力部に前記記憶手段から読み出された前記補正閾値が入力されるように前記入力切換手段を制御すると共に、前記基準値入力部に入力された前記補正閾値及び前記誤差抽出部によって抽出された吐出動作時における前記圧力検出手段の静電容量の誤差を演算して求められ前記出力部から出力される吐出動作時閾値が前記圧力異常判断部に入力されるように前記出力切換手段を制御する切換制御手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項5に係る発明によれば、所定の吐出データに応じて液体を吐出させる吐出動作時には、基準値入力部には閾値記憶部に記憶されている当該圧力室に対応する補正閾値が読み出されると共に、出力部からはこの基準値と誤差入力部に入力された誤差とを演算(減算、加算)して求められた吐出動作時閾値が出力されるので、吐出動作時に圧力検出手段の静電容量が変化する場合にも、この圧力検出手段の静電容量の変化分を補正するように吐出動作時閾値が設定され、吐出動作時における圧力検出手段の静電容量の変化に対応した好ましい圧力検出を行うことができる。
ここでいう吐出動作時とは、所定の吐出データに基づいて各ノズルのオンオフが制御される状態を示し、吐出データによっては吐出動作中に液体を吐出させないノズルが含まれていてもよい。
吐出動作時の圧力検出手段の静電容量を変化させる要因の一例には、圧力検出手段の温度変化が考えられる。特に圧力検出手段を圧力発生手段と兼用する態様では、吐出デューティによって温度変化量が異なるので吐出デューティに応じて圧力検出手段の静電容量のばらつきを補正する必要がある。また、複数の圧力検出手段を備える態様では、温度変化に対して静電容量のドリフトが異なると温度変化量が一定であっても圧力検出手段ごとに静電容量が異なることがある。
また、本発明は前記目的を達成するための方法発明を提供する。即ち、請求項6に係る発明の吐出異常検出方法は、液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに対応して設けられた圧力室と、前記圧力室に対応して設けられ該圧力室の圧力を圧力検出信号に変換する圧力検出手段と、を有する液体吐出ヘッドの吐出異常検出方法であって、前記圧力室内の気泡を除去する気泡除去工程と、前記気泡除去工程によって気泡が除去された前記圧力室に設けられた前記圧力検出手段の静電容量の誤差を抽出する誤差抽出工程と、前記誤差抽出工程によって抽出された前記圧力検出手段の静電容量の誤差に基づいて前記圧力室の圧力異常の判断に用いる補正閾値を設定する閾値設定工程と、前記閾値設定工程によって設定された前記補正閾値を記憶する記憶工程と、前記圧力検出工程の検出結果と前記閾値記憶工程で記憶された前記補正閾値との比較結果に基づいて前記圧力室の圧力異常を判断する圧力異常判断工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、圧力室に気泡排除処理が施された直後に、圧力室の圧力を検出して該圧力室に備えられた圧力検出手段の静電容量の誤差(ばらつき)を抽出し、抽出された圧力検出手段に基づいて当該圧力検出手段(圧力室)の補正閾値が設定され、圧力検出手段に静電容量のばらつきが補正された閾値に基づいて当該圧力室の圧力異常が判断される。したがって、圧力検出手段の静電容量にばらつきが生じても精度よく圧力室の圧力異常の有無を判断することでき、この圧力異常の判断結果に基づいて好ましい吐出異常検出が可能になる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェットヘッド(以下、ヘッドという。)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録媒体たる記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインク供給タンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによって記録紙16がベルト33上に吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図6中符号88)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12の各ヘッド12K,12C,12M,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録紙16の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
ヘッド12K,12C,12M,12Yは、記録紙16の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド12K,12C,12M,12Yが記録紙16の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
吸着ベルト搬送部22により記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12K,12C,12M,12Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
印字部12の後段には後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
図3(a) は印字ヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図3(b) はその一部の拡大図である。また、図3(c) は印字ヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図3(a),(b) 中の4−4線に沿う断面図である。記録紙16上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例の印字ヘッド50は、図3(a),(b) に示したように、インク滴の吐出孔であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録紙16の送り方向と略直交する方向に記録紙16の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図3(a) の構成に代えて、図3(c) に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドブロック50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインク供給タンク(図4中不図示、図5中符号60として記載)と連通しており、該インク供給タンクから供給されるインクは図4の共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の天面を構成し共通電極と兼用される加圧板56には個別電極57を備えた圧電アクチュエータ58が接合されており、個別電極57に駆動電圧を印加することによって圧電アクチュエータ58が変形してノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
一方、インクの吐出やリフィルなどによって加圧板56が圧力を受けると、圧力室52の圧電アクチュエータ58と反対側に設けられた圧力センサ59(圧力検出手段)には、この圧力に応じた歪み(応力)が生じ、この歪み(圧力変動)に応じた電圧を圧力センサ59から得ることができる。なお、圧力センサ59の圧力室52と反対側には、圧力センサ59の変位を妨げないように、空洞部1が設けられている。
本インクジェット記録装置10では、圧力センサ59から得られる電圧を検出信号として圧力室52の圧力(圧力波)異常を検出し、該圧力異常に基づいて圧力室52が有するノズル51の吐出異常の有無が判定される。
図4に示す圧電アクチュエータ58及び圧力センサ59には、PZT(Pb(Zr・Ti)O3 、チタン酸ジルコン酸鉛) やPVDF(Polyvinylidene fluoride 、ポリフッ化ビニリデン)などの圧電素子が好適に用いられる。
一般に、吐出力付与には等価圧電定数(d定数、電気機械変換定数、圧電歪定数)の絶対値が大きく駆動特性に優れた圧電素子が好ましく、圧力検出には圧電出力係数(g定数、機械電気変換定数、圧電応力定数)が大きく検出特性に優れた圧電素子が好ましい。即ち、駆動特性に優れた圧電素子にはセラミック系材料が好適であり、一方、検出特性に優れた圧電素子にはPVDF(Polyvinylidene fluoride 、ポリフッ化ビニリデン)やPVDF−TrFE(ポリフッ化ビニリデン3フッ化エチレン共重合体)などのフッ化樹脂系材料が好適である。セラミック系材料にはチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr・Ti)O3)があり、強誘電体のチタン酸鉛(PbTiO3 )と反強誘電体のジルコン酸鉛(PbZrO3 )を基本組成とし、この2成分の混合比を変えることによって圧電、誘電、弾性などの諸特性をコントロールできる。
なお、圧力室52内のインクに吐出力を与える圧電アクチュエータ58及び圧力室52の圧力を検出する圧力センサ59との配置は図4に示す配置に限定されず、それぞれを圧力室52の同一壁面に備えてもよいし、異なる壁面に備えてもよい。上述した圧力室52の圧力(圧力変動)から吐出異常を判断する吐出異常検出制御の詳細は後述する。
かかる構造を有するインク室ユニット53を図3(b) に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
〔インク供給系の構成〕
図5はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インク供給タンク60は印字ヘッド50にインクを供給する基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インク供給タンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。なお、図5のインク供給タンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
図5に示したように、インク供給タンク60と印字ヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。図5には示さないが、印字ヘッド50の近傍又は印字ヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、ノズル面の清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50に密着させることにより、ノズル面をキャップ64で覆う。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構により印字ヘッド50のインク吐出面(ノズル板表面)に摺動可能である。ノズル板にインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル板に摺動させることでノズル板表面を拭き取り、ノズル板表面を清浄する。
印字中又は待機中において、特定のノズルの使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップ64に向かって予備吐出が行われる。
また、印字ヘッド50内のインク(圧力室52内)に気泡が混入した場合、印字ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。この吸引動作は、初期のインクの印字ヘッド50への装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時、圧電アクチュエータ58の静電容量のばらつきによる誤差抽出時にも粘度上昇(固化)した劣化インクや気泡が混入した劣化インクの吸い出しが行われる。
印字ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用の圧電アクチュエータ58が動作してもノズル51からインクが吐出しなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(圧電アクチュエータ58の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かって圧電アクチュエータ58を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面の清掃手段として設けられているクリーニングブレード66等のワイパーによってノズル板表面の汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
また、ノズル51や圧力室52に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、以下に述べる吸引動作を行う。
即ち、ノズル51や圧力室52のインク内に気泡が混入した場合、或いはノズル51内のインク粘度があるレベル以上に上昇した場合には、圧電アクチュエータ58を動作させてもノズル51からインクを吐出できなくなる。このような場合、印字ヘッド50のノズル面に、圧力室52内のインクをポンプ等で吸い込む吸引手段を当接させて、気泡が混入したインク又は増粘インクを吸引する動作が行われる。
但し、上記の吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きい。したがって、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。
〔制御系の説明〕
図6はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファ82、ヘッドドライバ84、信号処理部85、圧力異常判断部90、閾値算出部92、閾値記憶部94等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。
画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
画像メモリ74には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、画像メモリ74は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42等のヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介して印字ヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各色のヘッド12K,12C,12M,12Yの圧電アクチュエータ58を駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、画像メモリ74に蓄えられる。この段階では、RGBの画像データが画像メモリ74に記憶される。
画像メモリ74に蓄えられた画像データは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80においてインク色ごとのドットデータに変換される。即ち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをKCMYの4色のドットデータに変換する処理を行う。プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
ヘッドドライバ84は、画像バッファメモリ82に記憶されたドットデータに基づき、印字ヘッド50の駆動制御信号を生成する。ヘッドドライバ84で生成された駆動制御信号が印字ヘッド50に加えられることによって、印字ヘッド50からインクが吐出される。記録紙16の搬送速度に同期して印字ヘッド50からのインク吐出を制御することにより、記録紙16上に画像が形成される。
信号処理部85は、図4に示した圧力室52の圧力変動に応じて、図4に示す圧力センサ59から得られる検出信号にノイズ除去や増幅などの所定の信号処理を施す信号処理部である。信号処理部85によって信号処理を施された検出信号は圧力異常判断部90に送出され、圧力異常判断部90では、閾値算出部92で求められ閾値記憶部94に記憶されている各圧力センサ59の静電容量のばらつきが補正された閾値(補正閾値、吐出動作時閾値)と検出信号とを比較して、この比較結果に基づいて当該圧力室52内の気泡発生による吐出異常の有無が判定される。
プログラム格納部96には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ72の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部96はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記録媒体のうち、複数の記録媒体を備えてもよい。
なお、プログラム格納部96は動作パラメータ等の記録手段(不図示)と兼用してもよい。
〔吐出異常検出の説明〕
次に、本発明に係る吐出異常検出について説明する。一般に、圧力室52内に気泡が発生すると圧力室52において圧力損失が生じ、結果として圧力室52の圧力変動が小さくなる。したがって、吐出動作時における圧力室52の圧力変動を検出し、この圧力変動が正常吐出時の圧力変動に比べて小さくなる圧力異常(過小)状態は、圧力室52内の気泡発生による吐出異常が発生していると判断することができる。
本例の吐出異常検出(圧力異常検出)では、圧力室52の圧力変動によって生じる歪みに応じて圧力センサ59から発生した検出信号に所定の信号処理(増幅、ノイズ成分の除去などの処理)が施され、この検出信号と予め決められた閾値とを比較して、該検出信号が該閾値を超える場合には圧力室52に所定の圧力変動が発生したので正常に吐出が行われたと判断される。一方、該検出信号が該閾値以下の場合には圧力室52に所定の圧力変動が発生していないので吐出異常であると判断される。
圧力センサ59の歪みに応じて発生する電圧は、圧力センサ59の静電容量に依存しており、この静電容量にばらつきが生じると圧力センサ59から得られる検出信号の電圧、周波数にもばらつきが生じてしまい、正確に圧力室52の圧力変動を検出すること (圧力異常の有無を判断すること)が困難になる。
一般に、圧力センサ59の静電容量のばらつきには、製造ばらつきや温度変化によるドリフト(温度変化によるばらつき)などが考えられる。本例では、製造ばらつきによる個々の圧力センサ59の静電容量の誤差をオフラインで(所定の画像データに基づくインク吐出動作が行われない非印字動作時に)抽出し、抽出された誤差に応じて圧力センサ59ごとに圧力異常判定に用いる閾値が求められる。このようにして求められた各圧力センサ59の閾値は図6に示す閾値記憶部94に記憶され、必要に応じて随時読み出される。なお、本例では、吸引動作によって各圧力室52には気泡排出処理が施された直後に製造ばらつきによる個々の圧力センサ59の静電容量の誤差の抽出が行われる。このように誤差抽出を行い予め決められた閾値を補正する処理は装置の立ち上げ時 (組立/出荷検査時等)に行われる。また、静電容量の経時的変化が発生するような圧力センサを用いる場合には、所定の期間経過によって上述した閾値補正が適宜実行される。
一方、温度変化による各圧力センサ59の静電容量のドリフトはオンラインで(所定の画像データに基づくインク吐出動作が実行される吐出動作時に)リアルタイムに抽出され、抽出された静電容量のドリフト分(温度変化によるばらつき)に応じて吐出異常検出に用いられる閾値を可変させる。したがって、製造ばらつきや温度変化による圧力センサ59の静電容量のばらつきを考慮した好ましい圧力異常検出を実現することができる。
図7は、吐出異常検出部100の概略構成を示す。図7の吐出異常検出部100は、図6に示す信号処理部85と、圧力異常判断部90と、閾値算出部92と、閾値記憶部94と、を含んで構成されている。
図7に示すように、図6に示す信号処理部85は、マルチプレクサ回路102によって何れの圧力センサ59から検出信号を取得するかを選択的に切り換える複数のスイッチ素子104を有するスイッチアレイ106(選択手段)と、各圧力センサ59から得られた微小電圧を有する検出信号を増幅するチャージアンプ108と、チャージアンプ108で増幅された検出信号のピーク値を検出するピーク検出(ピークホールド)回路110と、を有し、図6に示す閾値算出部92は、ピーク検出回路110で検出されたピーク値と設計センター値111(圧力センサ59の静電容量の規格値に対応する電圧値、即ち誤差を含まない静電容量の理論値に対応する電圧)との誤差を抽出する差動アンプ112 (誤差抽出手段)と、差動アンプ112で抽出された誤差を所定の閾値に加算 (減算)する差動アンプ114と、を有して構成されている。
また、図6に示す閾値記憶部94は、差動アンプ114から出力されるアナログ信号をデジタル信号(デジタルデータ)に変換するA/Dコンバータ120と、A/Dコンバータ120によってデジタルデータ化された該閾値を記憶するメモリ122と、該メモリ122のデータの書き込み及び読み出しを制御するメモリコントローラとして機能するCPU124と、CPU124を介してメモリ122から読み出された閾値のデジタルデータをアナログ信号に変換するD/Aコンバータ126と、を有し、図6に示す圧力異常判断部90は、差動アンプ114から出力される圧力センサ59の静電容量の誤差が加算された閾値とピーク検出回路110の出力電圧を比較して吐出異常を判断する判定部116(圧力異常判断手段)を有して構成されている。なお、CPU124は図6に示すシステムコントローラ72やプリント制御部80に含まれるプロセッサと兼用してもよい。
製造ばらつきによる各圧力センサ59の静電容量の変化量を測定する場合(即ち、非印字動作時では)、閾値基準値132と差動アンプ114の入力部114A(基準入力部)とを接続するようにスイッチ130(入力切換手段)が切り換えられ、また、差動アンプ114の出力部114B(出力部)とA/Dコンバータ120の入力部120Aとを接続するようにスイッチ134(出力切換手段)が切り換えられる。
一方、温度変化による静電容量の変化量を測定する場合(即ち、印字動作時では)、D/Aコンバータ126の出力126Aと差動アンプ114の入力部114Aとを接続するようにスイッチ130が切り換えられ、また、差動アンプ114の出力部114Bと判定部116の入力部116Aとを接続するようにスイッチ134が切り換えられる。
次に、製造ばらつきによる圧力センサ59の静電容量の誤差の抽出と、その静電容量の誤差に基づいて求められる閾値 (補正閾値)の算出方法を詳細に説明する。上述したように、先ず、スイッチ130は閾値基準値132と差動アンプ114の入力部114Aとを接続するように切り換えられ、また、スイッチ134は差動アンプ114の出力部114BとA/Dコンバータ120の入力部120Aとを接続するように切り換えられる。
その後、印字ヘッド50の吐出面に図5に示すキャップ64を当接させ、吸引ポンプ67を動作させてノズル51及び圧力室52内のインクを吸引して、ノズル51及び圧力室52内の気泡除去及び劣化インクの除去が実行される。
このようにして、ノズル51及び圧力室52内の気泡除去及び劣化インクの除去が実行されると、圧力室52に新しいインクが充填され、圧電アクチュエータ58を動作させて圧力室52に正常状態における(気泡を含んでいない)圧力波を発生させ、各圧力室52に備えられた圧力センサ59によって各圧力室52の圧力波がセンシングされる。
即ち、マルチプレクサ回路102に入力されるサンプリングクロック(スイッチ素子104の切り換えタイミングを制御する制御信号)140に同期するように、各圧電アクチュエータ58を動作させて、各圧力センサ59により、当該圧力室52の圧力が時分割でセンシングされる。
この検出信号 (検出波形)200(図8(a) 参照)は微小信号(非常に微小なピーク電圧Vを持つ信号)であり、チャージアンプ108によって所定の増幅度で増幅され(図8(b) 参照)、ピーク検出回路110に送られる。ピーク検出回路110では、各圧力センサから得られる検出信号200が増幅された検出信号202のピーク電圧(電圧最大値)が検出される(図8(c) 参照)。なお、検出信号200を増幅するチャージアンプ108の前段には、ノイズフィルタ回路を備える態様が好ましい。このノイズフィルタ回路にはローパスフィルタやバンドパスフィルタなどを適宜組み合わせるとよい。
検出信号202には、製造ばらつきによって生じる各圧力センサ59の静電容量の誤差ΔCが含まれている。この誤差ΔCを含んだ検出信号202(図8(b)参照)と、誤差ΔCを含んでいない設計センター値111(図7参照、図8(b)の電圧(Cf ×V)/C)と、に基づいて差動アンプ112によって誤差ΔCを抽出する。
即ち、製造ばらつきによる圧力センサの静電容量の誤差をΔC(単位F)、チャージアンプ108の増幅度を決める回路定数をCf 、誤差ΔCがない理想的な静電容量を持つ圧力センサの静電容量をC(単位F)とすると、検出信号202のピーク電圧(単位V)は(Cf ×V)/(C+ΔC)で表される。なお、誤差ΔCがない理想的な静電容量を持つ圧力センサから得られる検出信号202’ (破線で図示)のピーク電圧は、(Cf ×V)/Cで表される。即ち、この誤差ΔCがない理想的な静電容量を持つ圧力センサから得られる検出信号202’のピーク電圧が設計センター値111として用いられ、差動アンプ112では、設計センター値111と各センサから得られた検出信号202のピーク電圧(Cf ×V)/(C+ΔC)との誤差電圧(Cf ×V)/ΔCが抽出される。
更に、差動アンプ112の次段の差動アンプ114では、差動アンプ112で抽出された誤差電圧(Cf ×V)/ΔCと、判定の基準となる閾値基準値132(Ref)と、の差分を算出することで、誤差ΔCが考慮された各圧力センサ59の製造ばらつきによる誤差が補正された補正閾値が求められる。この補正閾値は、Ref−{(Cf ×V)/ΔC}で表される(図8(d) 参照)。
このようにして求められた補正閾値は、A/Dコンバータ120でデジタル信号(デジタルデータ)に変換され、メモリ122に記憶される。メモリ122では、各圧力センサとその補正閾値との関係はデータテーブル化されて記憶されている。なお、補正閾値データの書き込みタイミングと図7に示すマルチプレクサ回路102との同期を取るために、CPU124にはサンプリングクロック140が印加される。
このようにして求められた補正閾値を用いて、各圧力室52の発生圧力から吐出異常検出が行われるので、各圧力センサ59の静電容量のばらつきが補正された好ましい吐出異常検出が実行される。
一方、印字動作時(通常吐出時)には、スイッチ134は差動アンプ114の出力部114Bと判定部116の入力部116Aとを接続するように切り換えられ、各圧力室52に備えられた圧力センサ59によって各圧力室52の圧力波が時分割でセンシングされる。
印字動作時において、インクのリフィルタイミング等で圧力室52の温度が変化すると、圧力室52の直下に位置する圧力センサ59は(図4参照)温度変化の影響を受けて静電容量が変化して誤差ΔC’が生じるので、検出信号200(図8(a) 参照)には温度変化によって生じる圧力センサ59の静電容量の誤差ΔC’が含まれる。なお、印字動作時の説明には図8(a)〜(e)を参照することにし、図8(b)〜(e)においてΔCをΔC’ (単位F)に置き換えることにする。
検出信号200は、チャージアンプ108で増幅され(図8(b) 参照)、ピーク検出回路110で増幅された検出信号のピーク電圧が検出される(図8(c) 参照)。チャージアンプ108の増幅度を決める回路定数をCf、誤差ΔC’がない理想的な静電容量を持つ圧力センサ59の静電容量をCとすると、検出信号202のピーク電圧は(Cf ×V)/(C+ΔC’)で表される。
このピーク電圧は、判定部116の入力部116B(図7参照)に入力されると共に、差動アンプ112に入力される。
差動アンプ112では、このピーク電圧と設計センター値111との誤差が求められ、差動アンプ114では、この誤差分の電圧をメモリ122から読み出された各圧力センサ59の補正閾値(図8ではrefに相当)から減算することで、差動アンプ114の出力部114Bから判定部116の入力部116Aへ温度ドリフトによる静電容量のばらつきが補正された温度補償閾値(吐出時閾値)が送られる。
判定部116では、ピーク検出回路110から送られた温度ばらつきによる誤差分を含んだ検出電圧(ピーク電圧)が温度補償閾値と比較される。即ち、検出電圧が温度補償閾値を超える場合には、正常吐出が行われていると判定され、一方、検出電圧が温度補償閾値以下の場合には、吐出異常が発生していると判定される。
図8(a)〜(e)には、各圧力センサの静電容量が規格値Cよりも大きくなる場合を示したが、図9(a)〜(e)には各圧力センサの静電容量が規格値Cよりも小さくなる場合を示す。なお、図9中、図8と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。また、図9(b)〜(e)において圧力センサ59の製造ばらつきによる静電容量の誤差ΔCと、圧力センサ59の温度変化等による静電容量の誤差ΔC’と、を適宜読み替えることにする。
各圧力センサ59の静電容量が規格値よりも小さい場合には、図9(b),(c) に示すように、誤差ΔCを含んでいない場合に比べて大きなピーク電圧(Cf ×V)/(C−ΔC)が検出され、差動アンプ112で抽出される誤差電圧は、図9(d) に示すように(Cf ×V)/(−ΔC)となる。
また、差動アンプ114から出力される補正閾値(或いは、温度補償閾値)は、Ref−{(Cf ×V)/(−ΔC)}となる(図9(d) 参照)。オンラインで吐出異常を検出する場合には、図9(e) に示すピーク検出回路110から判定部116へ入力される検出電圧(Cf ×V)/(C−ΔC)は温度補償閾値と比較され、該検出電圧が温度補償閾値を超える場合には、正常吐出が行われていると判定され、一方、該検出電圧が温度補償閾値以下の場合には、吐出異常が発生していると判定される。
図10及び図11は、上述した吐出異常検出の制御の流れを示すフローチャートである。図10は、気泡が発生していない状態における各圧力センサ59の静電容量のばらつきを検出し、圧力センサ59ごとに吐出異常判定に用いる閾値を設定する制御のフローチャートである。なお、ここでいう圧力センサ59の静電容量のばらつきは主として製造上のばらつきである。
図10に示すように、先ず、吸引によって印字ヘッド50内の圧力室52の気泡除去が実行される(ステップS10)。この気泡除去工程には、図6に示すキャップ64を印字ヘッド50のノズル面に当接させて、吸引ポンプ67により負圧を発生させて圧力室52内のインクを吸引する。気泡除去工程における吸引が完了すると、圧力室52にはインク供給系から新しい(気泡が混入していない)インクが充填される。
インク充填が完了して気泡除去工程が終了すると、気泡除去工程の直後に、圧電アクチュエータ58を駆動して吐出動作を実行し(ステップS12)、ステップS12に示す吐出工程における圧力室52の圧力検出が実行される (ステップS14)。ステップS14に示す圧力検出が実行される気泡除去工程の直後とは、数分程度以内を示している。気泡除去工程後、時間の経過とともに印字ヘッド50の周囲環境に温度変化が生じ、圧力室52内のインクの溶存酸素量(溶存気体量)の限界値を超えると該インクに気泡が発生してしまう。また、メニスカス面から圧力室52内に気泡が混入することがある。
ステップS14に示す圧力検出の後に、当該圧力センサの静電容量の誤差が抽出され(ステップS16)、この誤差抽出工程によって抽出された圧力センサの静電容量の誤差に基づいて、デフォルトの閾値が補正され、この補正閾値は所定の記憶媒体に記憶される(ステップS18)。なお、ここでいうデフォルトの閾値とは、例えば、図7の設計センター値111を示し、各圧力センサの静電容量の理論値(誤差を持たない理想的な静電容量値)に基づいて予め決められている。
このようにして決められた補正閾値に基づいて、吐出動作(通常吐出)実行(ステップS20)後に、圧力異常判断工程において吐出異常(圧力異常)が判断される(ステップS22)。
また、通常吐出動作時には温度変化による各圧力センサの静電容量のばらつきの補正(温度補償)が実行される。この補正制御のフローチャートを図11に示す。図11に示すように、先ず、正常吐出時における圧力波形が入力され(ステップS100)、ステップS100に示す圧力検出工程の後に、正常吐出時における各圧力センサの静電容量の製造ばらつきが抽出される(ステップS102)。ステップS102に示す誤差抽出工程の後、ステップS102で抽出された(求められた)製造ばらつきが考慮された閾値電圧(補正閾値)が図7のメモリ122に記憶される(図11のステップS104)。ここでいう正常吐出時とは気泡が発生していない圧力室(即ち、吸引後にインクが充填された状態の圧力室)52を示している。このようにして、図11のステップS100〜ステップS104によって非印字動作時に補正閾値が求められる。
また、印字動作時には、印字動作時における圧力センサの静電容量の温度変化分が抽出され(ステップS110)、図10のステップS18において、図7のメモリ122に記憶されている補正閾値を基準にして、図11のステップS110に示す温度誤差抽出工程で抽出された静電容量の温度変化分から温度補償閾値が求められる(ステップS112)。このようにしてステップS112に示す温度補償閾値算出工程において求められた温度補償閾値に基づき、吐出異常判定工程において不吐出を含む吐出異常が判定される(ステップS114)。
なお、ここでいう通常吐出時とは、所望の画像を記録紙16上に形成するためのタスクが実行されている状態(インク吐出が行われている状態や画像間のインターバルなど非吐出期間を含む)を示し、この状態では圧力室52を内に気泡が発生している可能性があり、圧力室52内に気泡が発生している場合には吐出異常が発生し得る。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置10では、各圧力室52に設けられた圧力センサ59に対して、それぞれの製造ばらつきに起因する静電容量の誤差が補正された閾値が求められ、それぞれの圧力センサに対応する閾値に基づいて各圧力室の圧力異常(吐出異常)が検出される。即ち、固定された閾値ではなく各圧力センサによって可変する補正閾値に基づいて吐出異常検出が行われるので、各素子(圧力センサ59)が有する誤差(ばらつき)が考慮された好ましい吐出異常検出が行われる。
また、オンラインにおいて温度ドリフトによる静電容量の変化量に対して、この変化量に応じて吐出異常判定に用いる閾値を可変させるので、常に変化する温度の影響を受ける静電容量のばらつきが考慮された好ましい吐出異常検出が行われる。
なお、圧力室52や圧力センサ59の温度変化によって検出信号にも誤差(ドリフト)が生じるので、検出回路(例えば、図7のチャージアンプ108やピーク検出回路110)には温度補償回路を付加することが好ましい。
上記実施形態では、多色のインクを用いるカラー印刷用のインクジェット記録装置を述べたが、本発明は単色(モノクロ)印刷用のインクジェット記録装置についても適用可能である。
また、上述の説明では、画像形成装置の一例としてインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、印画紙に非接触で現像液を塗布する写真画像形成装置等についても本発明の液体吐出ヘッドの駆動装置、液体吐出装置を適用できる。また、本発明に係る液体吐出ヘッドの駆動装置、液体吐出装置の適用範囲は画像形成装置に限定されず、液体吐出ヘッドを用いて処理液その他各種の液体を被吐出媒体に向けて噴射する各種の装置(塗装装置、塗布装置、配線描画装置など)について本発明を適用することができる。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図 図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図 ヘッドの構造例を示す平面透視図 図3(a),(b) 中の4−4線に沿う断面図 本例のインクジェット記録装置におけるインク供給系の構成を示した概要図 本例のインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 本例のインクジェット記録装置の吐出異常検出部の構成を示すブロック図 検出信号を説明する図 静電容量の誤差が負になる場合の検出信号を説明する図 本実施形態の吐出異常検出における圧力センサの製造ばらつき補正制御の流れを示すフローチャート 本実施形態の吐出異常検出制御における圧力センサの温度補償制御の流れを示すフローチャート
符号の説明
10…インクジェット記録装置、12…印字部、12K,12C,12M,12Y…ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、58…圧電素子、59…圧力センサ、72…システムコントローラ、75…ROM、80…プリント制御部、85…信号処理部、90…圧力異常判断部、92…閾値設定部、94…閾値記憶部、100…吐出異常検出部、102…マルチプレクサ回路、104…スイッチ素子、108…チャージアンプ、110…ピーク検出回路、112,114…差動アンプ、116…判定部、122…メモリ

Claims (6)

  1. 液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに対応して設けられた圧力室と、前記圧力室に対応して設けられ該圧力室の圧力を検出する圧力検出手段と、を有する液体吐出ヘッドと、
    前記圧力室内の気泡を除去する気泡除去手段と、
    前記気泡除去手段によって気泡が除去された前記圧力室の前記圧力検出手段の静電容量の誤差を抽出する誤差抽出手段と、
    前記誤差抽出手段によって抽出された前記圧力検出手段の静電容量の誤差が補正された前記圧力室の圧力異常の判断に用いる補正閾値を設定する閾値設定手段と、
    前記閾値設定手段によって設定された前記補正閾値を記憶する記憶手段と、
    前記圧力検出手段から得られた検出結果と前記記憶手段から読み出された前記補正閾値との比較結果に基づいて前記圧力室の圧力異常を判断する圧力異常判断手段と、
    を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記圧力検出手段は圧電素子を含むことを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
  3. 前記液体吐出ヘッドは、複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力室と、前記複数の圧力室に対応して設けられた複数の圧力検出手段を有し、
    前記複数の圧力検出手段のうち何れの検出信号を取得するかを選択的に切り換える選択手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の液体吐出装置。
  4. 前記閾値設定手段は、前記複数の圧力検出手段のそれぞれに対して圧力異常の判断に用いる閾値を設定し、前記記憶手段は、前記複数の圧力検出手段ごとに設定された前記補正閾値を記憶することを特徴とする請求項3記載の液体吐出装置。
  5. 前記閾値設定手段は、基準値が入力される基準値入力部と、前記誤差抽出部によって抽出された前記圧力検出手段の静電容量の誤差が入力される誤差入力部と、前記基準値入力部に入力された基準値及び前記誤差入力部に入力された誤差を演算して求められた補正閾値を出力する出力部と、
    を有し、
    前記基準値入力部へ入力される前記基準値を切り換える入力切換手段と、
    前記出力部から出力される前記補正閾値の送出先を切り換える出力切換手段と、
    所定の吐出データに応じて前記ノズルから液体を吐出させる吐出動作時には、前記基準値入力部に前記記憶手段から読み出された前記補正閾値が入力されるように前記入力切換手段を制御すると共に、前記基準値入力部に入力された前記補正閾値及び前記誤差抽出部によって抽出された吐出動作時における前記圧力検出手段の静電容量の誤差を演算して求められ前記出力部から出力される吐出動作時閾値が前記圧力異常判断部に入力されるように前記出力切換手段を制御する切換制御手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
  6. 液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに対応して設けられた圧力室と、前記圧力室に対応して設けられ該圧力室の圧力を圧力検出信号に変換する圧力検出手段と、を有する液体吐出ヘッドの吐出異常検出方法であって、
    前記圧力室内の気泡を除去する気泡除去工程と、
    前記気泡除去工程によって気泡が除去された前記圧力室に設けられた前記圧力検出手段の静電容量の誤差を抽出する誤差抽出工程と、
    前記誤差抽出工程によって抽出された前記圧力検出手段の静電容量の誤差に基づいて前記圧力室の圧力異常の判断に用いる補正閾値を設定する閾値設定工程と、
    前記閾値設定工程によって設定された前記補正閾値を記憶する記憶工程と、
    前記圧力検出工程の検出結果と前記閾値記憶工程で記憶された前記補正閾値との比較結果に基づいて前記圧力室の圧力異常を判断する圧力異常判断工程と、
    を含むことを特徴とする吐出異常検出方法。
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