JP2019064254A - 液体供給装置、液体吐出装置、液体吐出モジュール、および液体供給方法 - Google Patents

液体供給装置、液体吐出装置、液体吐出モジュール、および液体供給方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液体吐出ヘッドにおける液体の循環機能を維持しつつ、液体吐出ヘッドに対する液体のリフィル性を向上させて、液体吐出ヘッドにおける液体の吐出状態を安定化させること。【解決手段】記録ヘッド1の共通供給流路12の圧力と、記録ヘッド1の共通回収流路13の圧力と、の間に所定以上の差圧が生じたときに、圧力補償機構37および共通回収流路13を通して、記録ヘッド1にインクを供給する。【選択図】図2

Description

本発明は、インク等の液体を吐出可能な液体吐出ヘッドに液体を供給する液体供給装置および液体供給方法、並びに、インク等の液体を吐出する液体吐出装置および液体吐出モジュールに関するものである。
特許文献1には、吐出口からインク(液体)を吐出可能な記録ヘッド(液体吐出ヘッド)を用いる記録装置(液体吐出装置)において、記録ヘッド内のインクを循環させる構成が記載されている。具体的には、減圧型レギュレータ機構によって、記録ヘッドにインクを供給する供給流路の圧力が一定の供給圧に制御され、背圧型レギュレータ機構によって、記録ヘッドからインクを回収する回収流路の圧力が供給圧よりも低い一定の回収圧に制御される。これらの供給圧と回収圧との間の差圧によって、供給流路と回収流路を通して記録ヘッド内のインクを循環させることにより、記録ヘッド内における気泡などの異物を除去して、インクの吐出信頼性を向上させることができる。
特許5731657号
特許文献1の記録装置においては、記録ヘッドに対するインクのリフィルは供給流路を通して行われる。また、回収流路に備わる背圧型レギュレータ機構は、回収流路から記録ヘッドに対するインクの逆流(インクのリフィル)を阻止するように構成されている。そのため、例えば、単位記録領域に対して短時間に多量のインクを吐出する高デューティ記録時には、供給流路からだけではインクのリフィルが不充分となり、記録ヘッド内の圧力が部分的に大きく変動するおそれがある。具体的には、記録ヘッドにおける複数の吐出口のうち、インクを吐出動作を繰り返す吐出口は、その吐出口よりもインクの循環方向の下流側の負圧が上昇する。その負圧により、インクの非吐出状態にある他の吐出口の付近を通るリフィルインクの流量が増大して、記録ヘッド内の負圧が部分的に変動する。このような記録ヘッド内の圧力変動によりインクの吐出状態が不安定となり、記録画像の品質の低下を招くおそれがある。このような記録画像の品質の低下は、記録ヘッドにおける吐出口の数が多いほど、また高デューティ記録時における非吐出状態の吐出口の数が多いほど顕著となる。
本発明の目的は、液体吐出ヘッドにおける液体の循環機能を維持しつつ、液体吐出ヘッドに対する液体のリフィル性を向上させて、液体吐出ヘッドにおける液体の吐出状態を安定化させることにある。
本発明の液体供給装置は、圧力室内の液体を吐出口から吐出可能な液体吐出ヘッドに液体を供給する液体供給装置であって、前記圧力室に連通する液体の供給流路と、前記圧力室に連通する液体の回収流路と、前記供給流路から前記圧力室内に液体を供給し、かつ前記回収流路から前記圧力室内の液体を回収するように、前記供給流路内と前記回収流路内との間に圧力差を生じさせる圧力制御手段と、前記回収流路内の圧力が所定圧以下のときに、前記回収流路から前記圧力室に液体を供給して前記回収流路内の圧力の低下を補償する圧力補償手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、液体供給流路と液体回収流路を通して液体吐出ヘッド内の液体を循環せると共に、液体吐出ヘッドの状態に応じて液体回収流路からも液体を供給する。これにより、液体吐出ヘッドに対する液体のリフィル性を向上させて、液体吐出ヘッドにおける吐出状態を安定化させることができる。
本発明の第1の実施形態における記録装置の全体の概略構成図である。 図1の記録装置におけるインク流路の異なる状態の説明図である。 図1の記録装置におけるインク流路の異なる状態の説明図である。 図1の記録ヘッドを含むユニットの斜視図である。 図1の記録ヘッドを含むユニットの分解斜視図である。 図5のインク吐出ユニットを構成する流路部材の説明図である。 図6におけるVII部分の拡大図である。 図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。 図5における吐出モジュールの斜視図である。 図9における素子基板の説明図である。 図10のXI−XI線に沿う断面図である。 図10における素子基板の隣接部の拡大図である。 図1における負圧制御ユニットの説明図である。 図13の負圧制御ユニットにおける流抵抗と弁開度との関係の説明図である。 本発明の第2の実施形態の記録装置におけるインク流路の異なる状態の説明図である。 本発明の第3の実施形態の記録装置におけるインク流路の異なる状態の説明図である。 本発明の第4の実施形態の記録装置におけるインク流路の異なる状態の説明図である。 本発明の第5の実施形態の記録装置におけるインク流路の異なる状態の説明図である。 本発明の第6の実施形態の記録装置におけるインク流路の異なる状態の説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、液体吐出ヘッドとしてのインクジェット記録ヘッドから、液体としてのインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置(液体吐出装置)としての適用例である。
(第1の実施形態)
1.記録装置の概略構成
図1(a)は、本実施形態におけるインクジェット記録装置(液体吐出装置)1100の概略斜視図である。記録装置1100は、記録媒体Pを矢印X方向に搬送する搬送部1004と、インクジェット記録ヘッド(液体吐出ヘッド)1を含むインク吐出ユニット(液体吐出ユニット)300と、インク循環ユニット(液体循環ユニット)400と、を備える。搬送部1004の構成は、本例のように搬送ベルトを用いる方式の他、例えば、搬送ローラを用いる方式等任意である。インク吐出ユニット300は、記録媒体Pの搬送方向(矢印X方向)と交差(本例の場合は、直交)する方向に延在するライン型のインクジェット記録ヘッド(液体吐出ヘッド)1を含む。記録ヘッド1には複数の吐出口が形成されており、それらの吐出口は、記録媒体Pの搬送方向と交差(本例の場合は、直交)する方向に延在する吐出口列を形成するように配列されている。記録ヘッド1は、吐出口からインクを吐出するために、電気熱変換素子(ヒータ)またはピエゾ素子などの吐出エネルギー発生素子を備える。電気熱変換素子を備える場合には、その発熱によりインクを発泡させ、その発泡エネルギーを利用して、吐出口からインクを吐出することができる。
本例の記録装置1100は、いわゆるフルライン方式の記録装置であり、搬送部1004によって、複数の記録媒体Pを連続的に搬送しつつ、記録ヘッド1の吐出口からインクを吐出することによって、記録媒体Pに画像を連続的に記録することができる。記録装置1100は、記録媒体Pの搬送方向と交差する方向における記録ヘッド1の往復移動と、搬送部1004による記録媒体Pの間欠的な搬送動作と、を伴って画像を記録する、いわゆるシリアルスキャン方式の記録装置であってもよい。記録媒体Pはカット紙に限らず、連続したロール紙であってもよい。記録ヘッド1は、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)のインクを吐出することによって、フルカラーの画像の記録が可能である。記録ヘッド1には、後述するように、インクが供給および循環される。また、記録ヘッド1には、電力およびインクの吐出制御信号を伝送するための電気制御部が電気的に接続されている。
図1(b)は、記録装置1100の制御系のブロック図である。CPU(制御部)500は、インク吐出ユニット300、インク循環ユニット400、および搬送部1004を含む記録装置1100全体の動作の制御処理およびデータ処理等を実行する。ROM501には、それらの処理手順等のプログラムが格納され、RAM502は、それらの処理を実行するためのワークエリアなどとして用いられる。CPU500は、外部のホスト装置503などから入力した画像データに基づいて、インク吐出ユニット300の記録ヘッド1からインクを吐出することにより、記録媒体Pに画像を記録することができる。
2.インク流路
図2(a)は、記録装置1100における1色分のインクに対応するインク流路の説明図であり、同図における記録装置1100は、記録動作の待機状態(非記録状態)にある。
交換可能なタンク20は外気連通孔26を有し、その内部に収容されたインクは、加圧ポンプ1003およびフィルタ1001を通して供給される。また、タンク20は、インクを回収するように吸引ポンプ1000に接続されている。
タンク20から供給されるインクは、加圧ポンプ1003によって一旦加圧されてから、フィルタ1001を通過し、負圧制御ユニット(圧力制御ユニット)3の第1圧力制御機構(第1圧力制御部)31によって所定の負圧に調圧される。その後、そのインクは、供給弁6を通過してから、記録ヘッド1に形成された共通供給流路12に供給される。その後、そのインクは、記録素子基板10内に形成された後述する流路を経由して、共通回収流路13から負圧制御ユニット3の第2圧力調整機構(第2圧力制御部)32に入ってから、吸引ポンプ1000により吸引されてタンク20へ戻される。記録動作の待機状態において、受動弁33、開閉弁34、およびバイパス弁35は閉じられており、これらの機能については後述する。
負圧制御ユニット3の第1圧力制御機構(H)31および第2圧力制御機構(L)32は、それぞれ、いわゆる減圧型レギュレータ機構および背圧型レギュレータ機構である。これらの制御機構31,32は、後述するように、それぞれの内部における弁およびバネ部材などの働きによって、インクの通過流量が変動した場合にも、制御機構31の下流側および制御機構32の上流側のインク圧を一定範囲内に安定させることができる。第2圧力制御機構32の制御圧は、第1圧力制御機構31の制御圧よりも低く設定されている。これにより、記録ヘッド1内においては、共通供給流路12から記録素子基板(以下、「素子基板」ともいう)10内を通過して共通回収流路13に向かうインクの流れ(図2(a)の白抜き矢印方向の流れ)が発生する。このインクの流れによって、非記録状態において各素子基板10内にインク流れを生じさせて、泡および増粘インクなどの異物をタンク20に排出することができる。したがって、それらの異物を記録ヘッド1の吐出口から排出するために、画像の記録に寄与しないインクを吐出口から吐出(予備吐出)する動作を必要とすることなく、記録ヘッド1の吐出動作の信頼性を高めることができる。
素子基板10内を通過するインクの流量は、このような異物の排出が達成できる範囲内に設定することができる。一方、一般的な記録ヘッドにおいては、吐出口近傍の流路の幅が数十μm以下の極めて微細なマイクロチャンネルであるため、素子基板10内を通過するインクの圧力損失が極めて大きい。そのため、素子基板10内におけるインクの流量が多過ぎた場合には、吐出口近傍における負圧が大きくなり過ぎて、インクの吐出動作に適するインクのメニスカスが保持できなくなるおそれがある。吐出口間隔が600dpi以上となるように、吐出口が高密度に配置された素子基板10の場合、インク流量は、インクの全吐出時(全ての吐出口から同時にインクを吐出したとき)のインクの吐出量よりも小さく設定することが好ましい。
3.負圧変動の補償機能
図2(b)は、単位録領域に対して短時間に多量のインクを吐出する高デューティ記録状態であって、かつ全ての素子基板10の吐出口からのインクの吐出量が多い状態におけるインクの流れの説明図である。
前述したように、吐出口近傍における過剰な負圧発生を防止の観点からは、非記録動作に素子基板10を通過するインクの流量は、インクの全吐時の吐出量よりも小さく設定することが好ましい。しかし、このように設定した場合、高デューティ記録時には、図2(b)の白抜き矢印のように、吐出口に対して、共通供給流路12からのインクのリフィル流だけでなく、共通回収流路13側からもインクのリフィル流が発生する。
後述するように、第2圧力制御機構(背圧型レギュレータ)32は、このような場合にもインクの逆流が生じないように構成されている。また、吸引ポンプ1000においてもインクの逆流が生じないように構成されている。そのため、全ての記録素子基板によって高デューティ記録を続けた場合には、タンク20と共通回収流路13との間の回収流路内の圧力が次第に低下して、やがて吐出口に対するインクのリフィル不足が生じるおそれがある。この場合には、吐出口から吐出するインク滴の体積が設計時の初期値よりも小さくなって、画像の記録濃度の低下、および画像のかすれが生じる。また、素子基板10の一部が非記録状態にあるとき、または単位録領域に対して短時間に少量のインクを吐出する低デューティ記録状態にある場合には、その一部の素子基板10の吐出口近傍におけるインクの通過流量が増大するおそれがある。この場合には、その一部の素子基板10における吐出口近傍の負圧の上昇、および温度の異常低下が生じて、やはり記録画像の画質の低下が生じる。
そのため本発明においては、インクの供給方向における第1圧力制御機構31の下流側と、インクの回収方向における第2圧力制御機構32の上流側と、の間に負圧補償機構(圧力補償部)37が接続されている。負圧補償機構は、第1圧力制御機構31と共通供給流路12との間の供給流路と、第2圧力制御機構32と共通回収流路13との間の回収流路と、を連通される連通路に、受動弁33と開閉弁34を備えている。受動弁33は、共通回収流路13の圧力が所定圧以下のときに、供給流路内のインクを回収流路内に導入するように開く。本例の受動弁33は、第1圧力制御機構31によって制御されている供給流路内の所定圧と、回収流路内の圧力と、の差圧によって動作する。より具体的には、それらの供給流路と回収流路との間に、第1圧力制御機構31の制御圧(高圧)と第2圧力制御機構32に制御圧(低圧)との差圧以上の差圧が生じたときに、受動弁33が開くように設計されている。記録動作中に開閉制御可能な開閉弁34を開いておくことにより、共通回収流路13の圧力が第2圧力制御機構32の制御圧を下回った場合に、受動弁33が開いて、供給流路と回収流路との間の連通路が形成されて、吐出口近傍における負圧の過剰上昇が抑制される。したがって、高デューティ記録時においても、各素子基板10における吐出口から安定的にインクを吐出することができる。
図3(a)は、大部分の素子基板10が高デューティ記録状態にあり、少数の素子基板10が記録動作の待機状態にあるときのインクの流れの説明図である。高デューティ記録状態の素子基板10に対しては、共通回収流路13から、インクのリフィル流れ(図3(a)中上向きの白抜き矢印方向の流れ)が生じる。一方、待機状態の素子基板10内を通過したインクは、この様なインクのリフィル流れに充当される。しかし、後者の待機状態の素子基板10を通過するインクの流量に対して、前者のインクのリフィル流れの流量が多い場合には、共通回収流路13内の負圧が上昇する。この場合には、図2(b)の場合と同様に、受動弁33が開いて共通回収流路13内の圧力低下を抑制しながら、受動弁33と開閉弁34を通して不足分のインクを供給することができる。
このように本発明においては、記録状態(記録デューティ)の如何に拘わらず、それぞれの素子基板10の吐出口から安定的にインクを吐出することができる。
仮に、負圧補償機構37が備わっていない場合には、インクのリフィル流れの不足分を補うために、待機状態の素子基板10を通過するインク流量が増大する。そのため、待機状態の記録素子基板における吐出口近傍を通過するインクの流量は、他の記録素子基板の記録状態(記録デューティ)に応じて変化してしまう。図3(a)のように、待機状態にある素子基板10が少数である場合には、待機状態にある素子基板10の吐出口近傍に、負圧の上昇および温度の異常低下が生じる。この結果、吐出口から吐出するインク滴の体積が設計時の所期値から変化し、記録画像に濃度ムラが生じてしまう。
4.強回復モード
図3(b)は、第2圧力制御機構32の上流側と下流側との間を連結するバイパス流路、および、そのバイパス流路に備わる開閉制御可能なバイパス弁35の機能の説明図である。
強回復モードにおいて、バイパス弁35を開制御することにより、第2圧力制御機構32の動作の如何に拘わらず、吸引ポンプ1000の回転数に応じて、記録ヘッド1を通過するインクの流量を通常よりも多くすることができる。したがって、このような強回復モードにおいては、通常のインクの流量では排出しきれなかった吐出口近傍および共通回収流路13中の異物(泡および増粘インクなど)を排出することができる。強回復モードにおけるインクの流量は、吐出口におけるインクのメニスカスが保持可能な範囲において、異物を排出する回復性を考慮して選択することができる。この強回復モードは非記録動作状態において実行するため、インクの流量は、吐出口近傍の負圧がインクの吐出特性を確保するために必要な適正負圧以上となるような流量であってもよい。
このような強回復モードは、インク中の異物を吐出口から排出するための回復動作(吸引回復および加圧回復)とは異なり、廃インクを大幅に低減しつつ、吐出口および共通回収流路13内の異物を排出することができる。このように、廃インクの削減および回復処理のための機構(回復機構)の簡素化を実現することができる。また、このような強回復モードを実行する場合には、開閉弁34を閉じるように制御する必要がある。何故ならば、強回復モードにおいては、共通供給流路12と共通回収流路13との間に通常よりも大きな差圧を生じさせるため、開閉弁34によって負圧補償機構37の機能を止めなければ、受動弁33の働きによって差圧が大きくできなくなるからである。開閉弁34の機能は、受動弁33自体に持たせるようにしてもしてもよい。また、開閉弁34は、記録装置の電源オフ時にも閉じることが好ましい。
5.記録ヘッドの構成
図4(a),(b)は、本実施形態における記録ヘッド1の斜視図である。
本例の記録ヘッド1には、15個の素子基板10が直線状に配列(インライン配置)されるライン型の記録ヘッドである。素子基板10のそれぞれには、C,M,Y,Kの4色のインクを吐出可能な吐出口が配列されている。素子基板10は、フレキシブル配線基板40および電気配線基板90を介して、信号入力端子91および電力供給端子92と電気的に接続される。信号入力端子91および電力供給端子92は、記録装置1100の制御部と電気的に接続され、それぞれを介して、吐出駆動信号およびインクの吐出に必要な電力が素子基板10に供給される。電気配線基板90内に電気回路の配線を集約することにより、信号入力端子91および電力供給端子92の数を素子基板10の数に比べて減少させることができる。これにより、記録装置1100に対する記録ヘッド1を組み付ける時、または記録ヘッド1の交換時に、取り外しが必要な電気接続部の数が少なくすることができる。
図4(b)のように、記録ヘッド1の両端部に位置する接続部114は、タンク20、加圧ポンプ1003、および吸引ポンプ1000を含む記録装置1100のインク供給系に接続される。これにより、前述したように、記録装置1100のインク供給系からC,M,Y,Kの4色のインクが記録ヘッド1に供給され、また記録ヘッド1内を通ったインクが記録装置1100のインク供給系に回収される。このように、各色のインクは、記録装置1100のインク流路と記録ヘッド1のインク流路を介して循環可能させる。
図5は、記録ヘッド1を含むインク吐出ユニット300、インク供給ユニット220、およびインク循環ユニット400の分解斜視図である。
インク吐出ユニット300、インク供給ユニット220、および電気配線基板90は、筐体80に取り付けられている。インク供給ユニット220には、接続部114(図4参照)が設けられている。インク供給ユニット220の内部には、供給されるインク中の異物を取り除くために、接続部114の開口と連通するインク色毎のフィルタ1001(図2参照)が備えられている。2つのインク供給ユニット220は、それぞれにインクの2色分ずつのフィルタ1001が備えられている。フィルタ1001を通過したインクは、それぞれのインク色に対応するインク供給ユニット220上に配置された負圧制御ユニット3に供給される。負圧制御ユニット3は、それぞれのインク色に対応するように計4つ配備されている。それぞれの負圧制御ユニット3内には、図2のように、第1圧力制御機構(H)31と第2圧力制御機構(L)32が構成されている。これらの制御機構31,32は、後述するように、それぞれの内部に設けられる弁およびバネ部材などの働きによって、インクの流量の変動に伴って生じる記録装置1100のインク供給系内の圧損の変化を大幅に減衰させる。これにより、インク吐出ユニット300の流路内の負圧変化を一定範囲内で安定化させることができる。
筐体80は、支持部81によってインク吐出ユニット300を支持し、かつ支持部82によって電気配線基板90を支持すると共に、記録ヘッド1全体の剛性を確保する。電気配線基板90を支持する支持部82は、インク吐出ユニット300を支持する支持部81にネジによって固定される。支持部81は、インク吐出ユニット300の反りおよび変形を矯正して、複数の素子基板10の相対位置精度を確保することにより、記録画像におけるスジ状の欠陥および濃度ムラの発生を抑制する。そのため、支持部81は充分な剛性を有することが好ましく、その材質としては、例えば、SUSまたはアルミなどの金属材料、もしくはアルミナなどのセラミックが好適である。支持部81には、ジョイントゴム100を挿入するための開口83,84が設けられている。インク供給ユニット220から供給されるインクは、ジョイントゴム100内の穴を通して、インク吐出ユニット300を構成する第3流路部材70に導かれる。
インク吐出ユニット300は、複数の吐出モジュール200および流路部材210を含み、インク吐出ユニット300における記録媒体側の面には、カバー部材130が取り付けられる。カバー部材130は、長尺の開口131が設けられた額縁状の部材であり、開口131からは、吐出モジュール200に含まれる素子基板10および封止材110(図9(a)参照)が露出する。カバー部材130における開口131の周囲の枠部は、記録待機時に記録ヘッド1をキャッピングするキャップ部材が当接する当接面として機能する。開口131の周囲に沿って接着剤、封止材、または充填材等を塗布して、インク吐出ユニット300において吐出口が形成される面上の凹凸および隙間を埋めることが好ましい。これにより、キャップ部材によるキャッピング時に、キャップ部材の内部に閉空間を形成することができる。
流路部材210は、第1流路部材50、第2流路部材60、および第3流路部材70を積層したものである。流路部材210によって、インク供給ユニット220から供給されるインクが吐出モジュール200へ分配され、また吐出モジュール200からのインクがインク供給ユニット220へ戻される。流路部材210は筐体80の支持部81にネジによって固定され、これにより、流路部材210の反りおよび変形が抑制される。
図6(a)および(b)は、第1流路部材50の表面図および裏面図、図6(c)および(d)は、第2流路部材60の表面図および裏面図、図6(e)および(f)は、第3流路部材70の表面図および裏面図である。図6(a)は、吐出モジュール200が搭載される第1流路部材50の面を示し、図6(f)は、筐体80の支持部81と当接する第3流路部材70の面を示す。第1流路部材50と第2流路部材60は、図6(b)の面と図6(c)の面とが対向するように接合され、第2流路部材と第3流路部材は、図6(d)の面と図6(e)の面とが対向するように接合される。
第2流路部材60と第3流路部材70とが接合されることにより、それらの接合面における共通流路溝62,71によって、流路部材60,70の長手方向に延在する計8つの共通流路が形成される。これにより、流路部材210の内部に、共通供給流路12と共通回収流路13がインクの1色毎に1つずつ形成される。第3流路部材70の連通口72は、それに対応するジョイントゴム100の穴を通して、インク供給ユニット220と流体的に流通している。第2流路部材60において、共通流路溝62の底面には連通口61が複数形成されており、それらの連通口61は、第1流路部材50に形成された個別流路溝52の一端部に連通する。個別流路溝52の他端部には連通口51が形成されており、この連通口51を通して、個別流路溝52が複数の吐出モジュール200と流体的に連通する。この個別流路溝52により、流路部材50,60,70の中央側の位置に流路を集約的に形成することができる。
第1,第2,第3流路部材50,60,70は、インクに対して耐腐食性を有すると共に、線膨張率の低い材料によって成ることが好ましい。その材料としては、アルミナ、LCP(液晶ポリマー)、PPS(ポリフェニルサルファイド)、PSF(ポリサルフォン)を母材として、シリカまたはアルミナの無機フィラー(微粒子・ファイバーなど)を添加した複合材料(樹脂材料)を用いることができる。流路部材210の形成方法としては、3つの流路部材50,60,70を積層して互いに接着してもよく、それらの部材の材質として樹脂複合樹脂材料を選択した場合には、溶着による接合方法を用いてもよい。
図7は、図6(a)における第1流路部材50の面から、第1,第2,第3流路部材50,60,70の接合により形成される流路部材210内の流路を透視した図であり、図6(a)のVIIa部分の拡大図に対応する。
流路部材210には、インク色毎に記録ヘッド1の長手方向に延在する共通供給流路12(12a,12b,12c,12d)および共通回収流路13(13a,13b,13c,13d)が形成される。共通供給流路12(12a,12b,12c,12d)には、個別流路溝52によって形成される複数の第1個別流路(213a,213b,213c、213d)が連通口61を介して接続される。共通回収流路13(13a,13b,13c,13d)には、個別流路溝52によって形成される複数の第2個別流路(214a,214b,214c,214d)が連通口61を介して接続される。このような流路構成により、共通供給流路12および第1個別流路213を通して、流路部材210の中央部に位置する素子基板10に対してインクを集約的に供給することができる。また、第2個別流路214を通して、素子基板10から共通回収流路13にインクを回収することができる。
図8は、図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。
図8おいて、第2個別流路214a,214cは、連通口51を通して吐出モジュール200に連通する。他の第2個別流路214b,214dも同様である。また、図7のように、第1個別流路213も連通口51を通して吐出モジュール200に連通する。吐出モジュール200に含まれる支持部材30および素子基板10には、第1流路部材50からのインクを素子基板10の圧力室123(図11参照)に供給するための供給流路が形成されている。さらに、支持部材30および素子基板10には、圧力室内のインクの1部または全部を第1流路部材50に回収(環流)するための回収流路が形成されている。
インク色毎の共通供給流路12は、インク供給ユニット220を介して、対応する負圧制御ユニット3における高圧側の第1圧力制御機構(H)31に接続される。また、インク色毎の共通回収流路13は、インク供給ユニット220を介して、対応する負圧制御ユニット3における低圧側の第2圧力制御機構(L)32に接続される。この負圧制御ユニット3は、前述したように、共通供給流路12と共通回収流路13との間に差圧(圧力差)を生じさせる。これにより、記録ヘッド1内においては、共通供給流路12から、第1個別流路213、素子基板10、第2個別流路214、および共通回収流路13へと流れるインクの流れが発生する。
6.吐出モジュール
図9(a)は、1つの吐出モジュール200の斜視図、図9(b)は、その吐出モジュール200の分解図である。
吐出モジュール200の製造に際しては、まず、予め連通口31が設けられた支持部材30上に、素子基板10およびフレキシブル配線基板40を接着する。その後、素子基板10上の端子16と、フレキシブル配線基板40上の端子41と、をワイヤーボンディングによって電気接続し、その後、ワイヤーボンディング部(電気接続部)を封止材110により覆って封止する。フレキシブル配線基板40において、素子基板10との接続部と反対側の位置には端子42が設けられており、その端子42は、電気配線基板90の接続端子93(図5参照)と電気的に接続される。支持部材30は、素子基板10を支持する支持体であると共に、素子基板10と流路部材210とを流体的に連通させる流路部材でもある。そのため、支持部材30は、平面度が高く、また充分に高い信頼性をもって素子基板10と接合できるものであることが好ましく、その材質としては、例えば、アルミナまたは樹脂材料が好ましい。
7.記録素子基板(素子基板)
図10(a)は、素子基板10を吐出口113の形成面側から見た平面図、図10(b)は、図10(a)のXb円部の拡大図、図10(c)は、素子基板10を図10(a)とは反対側から平面図である。図10(a)のように、素子基板10の吐出口形成部材112には複数の吐出口113が形成され、これらの吐出口113は、インク色毎に対応する計4列の吐出口列Lを形成するように配列される。以下、吐出口列Lが延在する方向を「吐出口列方向」ともいう。
図10(b)に示すように、吐出口113と対応する位置には、インクの吐出エネルギー発生素子として電気熱変換素子(ヒータ)115が配備されている。ヒータ115が配備される圧力室123は、隔壁122によって区画されている。ヒータ115は、素子基板10に形成される不図示の電気配線によって、図10(a)の端子16と電気的に接続される。ヒータ115は、電気配線基板90(図5参照)およびフレキシブル配線基板40(図9参照)を介して記録装置1100の制御回路から入力されるパルス信号に基づいて、発熱される。その発熱によって圧力室123内のインクが発泡し、その発泡エネルギーを利用して吐出口113からインクが吐出される。吐出口列Lの一方側には、吐出口列Lに沿って延在する供給路18が形成され、吐出口列Lの他方側には、吐出口列Lに沿って延在する回収路19が形成される。供給路18および回収路19は、それぞれ、供給口17aおよび回収口17bを通して圧力室123に連通する。
図10(c)のように、素子基板10において、吐出口113が形成される面と反対側の面にはシート状の蓋部材120が積層され、その蓋部材120には、供給路18および回収路19に連通する開口21が複数形成されている。本例においては、1つの供給路18に対して3つの開口21が形成され、1つの回収路19に対して2つの開口21が形成されている。それらの開口21は、図7のように、図6(a)における第1流路部材50の連通口51と連通する。蓋部材120は、図11のように、基板111に形成される供給路18および回収路19の壁の一部を形成する蓋として機能する。蓋部材120は、インクに対して充分な耐食性を有していることが好ましく、また、インクの混色防止の観点から、開口21の開口形状および開口位置には高い精度が求められる。蓋部材120は、その開口21によってインクの流路のピッチを変換するため、圧力損失の観点から薄く構成することが好ましい。蓋部材120としては、例えば、感光性樹脂材料またはシリコン薄板を用いることが好ましく、また、フォトリソプロセスによって開口21を形成することが好ましい。
図11は、図10(a)の素子基板10をXI−XIに沿って断面した斜視図である。
素子基板10においては、Siにより形成される基板111と、感光性の樹脂により形成される吐出口形成部材112と、が積層され、さらに、基板111の裏面に蓋部材120が接合されている。基板111の表面側(図11中の上方側)にはヒータ115が形成されており、その基板111の裏面側(図11中の下方側)には、吐出口列Lに沿って延在する供給路18および回収路19を形成する溝が設けられている。基板111と蓋部材120によって形成される供給路18および回収路19は、それぞれ、流路部材210内の共通供給流路12および共通回収流路13に接続されており、供給路18と回収路19との間に差圧が生じる。記録ヘッド1の複数の吐出口113からインクを吐出して画像を記録する際、インクを吐出していない吐出口(吐出休止中の吐出口)113においては、供給路18と回収路19との間の差圧によってインクの流れが生じる。すなわち、基板111内の供給路18内のインクは、図11中の矢印Cのように、供給口17a、圧力室123、および回収口17bを経由して、回収路19へ流れる。吐出休止中の吐出口113、および、それに対応する圧力室123において、インクの吐出休止中の吐出口113からのインク成分の蒸発によって生じる増粘インクおよび泡などの異物は、このインクの流れによって、回収路19を通して回収することができる。また、吐出口113および圧力室123におけるインクの増粘を抑制することができる。
回収路19に回収されたインクは、蓋部材120の開口21、支持部材30の連通口31、流路部材210の連通口51、個別回収流路214、および共通回収流路13を通過し、最終的に、タンク20に回収される。
つまり、記録装置本体から記録ヘッド1に対して、次のように、インクが供給および回収される。
まず、記録装置本体から供給されるインクは、インク供給ユニット220の接続部114から記録ヘッド1の内部に流入し、そして、負圧制御ユニット3内の第1圧力制御機構31を通過することによって、比較的低い負圧に調整される。その圧力調整されインクは、インク供給ユニット220、ジョイントゴム100、第3流路部材70の連通口72および共通流路溝71、第2流路部材60の共通流路溝62および連通口61、第1流路部材50の個別流路溝52および連通口51の順に流れる。その後、連通口51内のインクは、支持部材30の連通口31、蓋部材120の開口21、基板111の供給路18および供給口17aを通して、圧力室123内に供給される。その圧力室123に供給されたインクのうち、吐出口113から吐出されなかったインクは、基板111の回収口17bおよび回収路19、蓋部材120の開口21、支持部材30の連通口31を通して流れる。その後、そのインクは、第1流路部材50の連通口51および個別流路溝52、第2流路部材60の連通口61および共通流路溝62、第3流路部材70の共通流路溝71および連通口72、ジョイントゴム100、インク供給ユニット220を通過する。その後、そのインクは、負圧制御ユニット3内の第2圧力制御機構32から、再びインク供給ユニット220に流入した後、接続部114を通して記録ヘッド1の外部のタンク20に回収される。
8.記録素子基板(素子基板)間の位置関係
図12は、互いに隣接する2つの吐出モジュール200における素子基板10の隣接部の拡大平面図である。本例においては、図10(a)のように、平面が略平行四辺形の素子基板10を用いる。図12のように、素子基板10における吐出口113が配列される吐出口列L(L1,L2,L3,L4)は、記録媒体Pの搬送方向(矢印X方向)に対して一定角度で傾くように形成されている。これにより、素子基板10同士の隣接部における吐出口列Lは、少なくとも1つの吐出口113が記録媒体Pの搬送方向においてオーバーラップする。図12の例においては、矢印X方向に沿うD線上の2つの吐出口113が互いにオーバーラップしている。
このような位置関係において、互いにオーバーラップする吐出口113に対応するヒータ115を関連的に駆動制御することにより、素子基板10の配備位置が所定位置から多少ずれた場合でも記録画像における黒スジや白抜けを目立たなくすることができる。図12のような構成は、複数の素子基板10を千鳥状に配置した場合だけではなく、直線上(インライン)に配置した場合においても有効である。すなわち、複数の素子基板10を直線上に配置した場合においても、記録媒体Pの搬送方向における記録ヘッド1の長さを小さく抑えつつ、素子基板10同士のつなぎ部(隣接部)に対応する記録画像における黒スジおよび白抜けの発生を抑制することができる。また、素子基板10の形状は、本例のような平面が平行四辺形の形状のみに限定されない。例えば、平面が長方形、台形、その他形状の素子基板10を用いた場合でも、本発明の構成を好ましく適用することができる。
9.第1および第2圧力調整機構
図13は、第1圧力制御機構31と第2圧力制御機構32を含む負圧制御ユニット3の説明図である。図13(a)は負圧制御ユニット3の斜視図、図13(b)は、図13(a)のXIIIb−XIIIb線に沿う断面図、図13(c)の図13(a)のXIIIc−XIIIc線に沿う断面図である。
減圧型レギュレータ機構としての第1圧力制御機構31、および背圧型レギュレータ機構としての第2圧力制御機構32は、共通のボディ310内に構成されており、それらを一体的に取り付けおよび交換することができる。図13(c)のように、2つの圧力制御機構31,32を互いに対象的に配備することにより、負圧制御ユニット3の省スペース化を図ることができる。
9−1.第1圧力制御機構
減圧型レギュレータ機構としての第1圧力制御機構31は、図13(b)のように、ボディ310の一方側(同図中の下方側)に位置する第1圧力室305と、ボディ310の他方側(同図中の上方側)に位置する第2圧力室306と、を含む。第1圧力室305は可撓性フィルム303Aによってシールされ、第2圧力室306は、受圧板302と可撓性フィルム303Bによってシールされている。第1圧力室305と第2圧力室306との間には、オリフィス308が形成されている。第1圧力室305内には、シャフト304によって受圧板302に連結された弁307が位置し、記録ヘッド1の駆動時に、シャフト304、弁307、および受圧板302は一体的に動く。受圧板302は、付勢部材(バネ)301Bによって、弁307がオリフィス308を閉じる方向に付勢されている。また、第1圧力室305に備わる付勢部材(バネ)301Aによって、弁307がオリフィス308を閉じる方向に付勢され、かつ可撓性フィルム303Aが負圧調整部材311に押し付けられる方向に付勢される。
弁307の主たる機能は、オリフィス308との間のギャップを変化させて、インクの流抵抗を調整することにある。弁307は、インクの循環停止時にオリフィス308との間のギャップを閉塞することが好ましい。インクの循環停止時(記録動作の停止時)に、弁307とオリフィス308との間を流体的にシールすることにより、吐出口113におけるインクに負圧を作用させ続けて、吐出口113からのインクの漏れを防ぐことができる。弁307の材質としては、インクに対して充分な耐食性を有するゴムまたはエラストマーなどの弾性材料が好ましい。
本例において、付勢部材301A,301Bとしてのバネは、2つの連成バネとなっている。しかし、それらの合成バネ力によってインクの所望の負圧を得ることができればよいため、例えば、1つのバネだけを用いる構成、あるいは3つ以上のバネを用いる構成も採用することができる。図13(b)の例においては、付勢部材301A,301B(2つの連成バネ)の内、1つの付勢部材301Bを第2圧力室306内に分けて設けることにより、受圧板302とシャフト304とが分離できるように構成されている。受圧板302とシャフト304とが分離された状態においても、第2圧力室306内の付勢部材301Bの付勢力が受圧板302に作用する。したがって、弁307がオリフィス308を閉塞した状態でも、第2圧力室306内の付勢部材301Bの付勢力によって、受圧板302をシャフト304から分離して、第2圧力室306内の容積を更に増やす方向に移動可能である。この結果、記録ヘッド1が長期間駆動されず、記録ヘッド1内に気泡が取り込まれた状態となったときに、第2圧力室306が気泡の容積増分を吸収するバッファとして機能して、記録ヘッド1内のインクが正圧となることを抑制することができる。
第1圧力室305および第2圧力室306は、それぞれ、インクの流入口312Aおよび流出口312B(図13(a)参照)に連通される。弁307は、オリフィス308よりもインクの流れ方向の上流側に位置しており、受圧板302が図13(b)中の上方へと移動することによって、弁307とオリフィス308とのギャップが縮小する。流入口312Aから第1圧力室305に入ったインクは、弁307とオリフィス308との間のギャップを通って第2圧力室306内へと流入し、そのインクの圧力が受圧板302に伝えられる。その第2圧力室306内のインクは、流出口312Bからインク吐出ユニット300に供給される。
第2圧力室306内の圧力P2は、各部に加わる力の釣り合いを示す下記の関係式(1)から決定される。
P2=P0−(P1・Sv+k1・x)/Sd ・・・ (1)
Sdは、受圧板302の受圧面積、Svは、弁307の受圧面積、P0は大気圧、P1は、第1圧力室305内の圧力、P2は、第2圧力室306内の圧力である。k1は、付勢部材301(301A,301B)のバネ定数、xは、付勢部材301(301A,301B)の変位(バネ変位)である。
上式(1)の右辺における第2項は常に正の値となるため、P2<P0となり、P2は負圧となる。付勢部材301(301A,301B)の付勢力を変更することにより、第2圧力室306内の圧力P2を所望の制御圧力に設定することができる。付勢部材301の付勢力は、バネ定数Kおよび動作時のバネ長さに応じて変更することができる。
弁307とオリフィス308との間のギャップにおけるインクの流抵抗Rと、オリフィス308を通過するインクの流量Qと、の間には、次式(2)の関係が成立する。
P2=P1−QR ・・・ (2)
弁307とオリフィス308との間のギャップ(以下、「弁開度」ともいう)、および流抵抗Rは、例えば図13のような関係、つまり弁開度の増大に伴って流抵抗Rは低下する関係に設定する。式(1)と式(2)が同時に成立するように弁開度が調整されて、P2が決定される。
インクの流量Qが増加した場合、タンク20(図2参照)内の圧力は一定であるため、流量Qの増加によって、タンク20から第1圧力制御機構31までの間の流抵抗が増加する。したがって、その流抵抗の増加分だけ、第1圧力室305内の圧力P1が減少する。そのため、弁307を閉塞する力(P1・Sv)が減少し、式(1)から明らかなように、第2圧力室306内の圧力P2が瞬時的に上昇する。
また、式(2)からR=(P1−P2)/Qの式が導き出される。流量Qと圧力P2が増加し、圧力P1が低下することにより、流抵抗Rは低下する。流抵抗Rが低下することにより、図14の関係から、弁開度が増加する。弁開度の増加に伴って付勢部材301の長さが小さくなるため、その自由長からの変位xは増加する。そのため、付勢部材301の作用力(k1・x)が大きくなって、式(1)から明らかなように、第2圧力室306内の圧力P2が瞬時的に減少する。
一方、第1圧力制御機構31に流入するインクの流量Qが減少した場合、第1圧力制御機構31は、流量Qが増加した場合とは逆に作用する。すなわち、第1圧力室305内の圧力P1の上昇により第2圧力室306内の圧力P2が瞬時的に減少し、その圧力P2の減少により流抵抗Rが低下して、結果的に、第2圧力室306内の圧力P2が瞬時的に増加する。
このように、圧力P2の瞬時的な増加および減少が繰り返され、流量Qに応じて弁開度が変化して、式(1),(2)が両立する結果、第2圧力室306内の圧力P2が一定に制御される。したがって、第1圧力制御機構31の下流側(共通供給流路12側)の圧力が自律的に一定に制御されることになる。
また、ボディ310に固定される負圧調整部材311は、第1圧力室305内の付勢部材301Aの収納長および付勢力を変更するためのものである。第1圧力室305と対向する負圧調整部材311の位置には、突起が設けられている。この突起の高さが異なる負圧調整部材311を選択的にボディ310に固定することにより、付勢部材301Aの付勢力を変更して、第1圧力制御機構31の制御圧力を変更または調整することができる。そのため、負圧制御ユニット3と、記録ヘッド1の吐出口の形成面と、の間の水頭差が異なる場合においても、負圧調整部材311を突起の高さが異なるものと交換することにより、同一の第1圧力制御機構31によって対応することができる。
9−2.第2圧力制御機構
背圧型レギュレータ機構としての第2圧力制御機構32は、下記のような相違点を除き、前述した第1圧力制御機構31と同様に構成されているため、第1圧力制御機構31と同様の部分には同一符号を付して説明を省略する。
それらの相違点の1つは、第2圧力制御機構32の弁307が第2圧力室306内に配置されていることである。他の相違点は、第2圧力制御機構32の受圧板302が付勢部材301Bの付勢方向(図13(b)の下方向)に移動したときに、弁307とオリフィス308との間のギャップ(弁開度)が拡大することである。さらに他の相違点は、第2圧力制御機構32の第2圧力室306がインクの流入口313A(図13(a)参照)に連通し、第2圧力制御機構32の第1圧力室305がインクの流出口313B(図13(a)参照)に連通することである。したがって、第2圧力制御機構32においては、第1圧力制御機構31とは逆に、第2圧力室306から第1圧力室305に向かってインクが流れる。さらに他の相違点は、第2圧力制御機構32の弁307は、シャフト304を介して、受圧板302と一体化されていることである。さらに、第2圧力制御機構32のシャフト304は、オリフィス308を貫通してシャフトホルダー309に当接している。弁307および受圧板302は、シャフト304を介して一体化されているため、第1圧力室305内の付勢部材301Aの付勢力だけではなく、第2圧力室306内の付勢部材301Bの付勢力をも受ける。
第2圧力制御機構32における圧力調整のメカニズムは、上述した第1圧力制御機構31と同様であり、上流側の第2圧力室306内の圧力P1は、各部に加わる力の釣り合いを示す下記の関係式(3)によって決定される。
P1=P0−(P2・Sv+k1・x)/Sd ・・・ (3)
Sdは、受圧板302の受圧面積、Svは、弁307の受圧面積、P0は大気圧、P1は、上流側の第2圧力室306内の圧力、P2は、下流側の第1圧力室305内の圧力である。k1は、付勢部材301(301A,301B)のバネ定数、xは、付勢部材301(301A,301B)の変位(バネ変位)である。式(3)の右辺における第2項は常に正の値となるため、P1<P0となり、P1は負圧となる。また、弁307とオリフィス308との間のギャップにおけるインクの流抵抗Rと、オリフィス308を通過するインクの流量Qと、の間には、次式(4)の関係が成立する。
P1=P2−QR ・・・ (4)
弁307とオリフィス308との間のギャップ(弁開度」)、および流抵抗Rは、図13のような関係、つまり弁開度の増大に伴って流抵抗Rは低下する関係に設定される。式(3)と式(4)が同時に成立するように弁開度が調整されることにより、上流側の第2圧力室306内の圧力P1が決定される。
インクの流量Qが増加した場合、負圧制御ユニット3の下流側に接続される吸引ポンプ1000(図3参照)の圧力は一定であるため、流量Qの増加によって、第2圧力制御機構32から吸引ポンプ1000までの間の流抵抗が増加する。したがって、その流抵抗の増加分だけ、第1圧力室305内の圧力P2が上昇する。そのため、弁307を閉塞する力(P2・Sv)が増大し、式(3)から明らかなように、上流側の第2圧力室306内の圧力P1が瞬時的に減少する。
また、式(4)からR=(P1−P2)/Qの式が導き出される。流量Qと圧力P2が増加し、圧力P1が低下することにより、流抵抗Rは低下する。流抵抗Rが低下することにより、図14の関係から、弁開度が増加する。弁開度の増加に伴って付勢部材301の長さが大きくなるため、その自由長からの変位xは減少する。そのため、付勢部材301の作用力(k1・x)が小さくなって、式(3)から明らかなように、上流側の第2圧力室306内の圧力P1が瞬時的に増加する。
一方、インクの流量Qが減少した場合、第2圧力制御機構32は、流量Qが増加した場合とは逆に作用する。すなわち、下流側の第1圧力室305内の圧力P2の下降により、上流側の第2圧力室306内の圧力P1が瞬時的に増加し、その圧力P1の増加により流抵抗Rが増大して、結果的に、下流側の第2圧力室306内の圧力P1が瞬時的に減少する。
このように、上流側の第2圧力室306内の圧力P1の瞬時的な増加および減少が繰り返され、流量Qに応じて弁開度が変化して、式(3),(4)が両立する結果、上流側の第2圧力室306内の圧力P1が一定に制御される。したがって、第2圧力制御機構32の上流側(共通回収流路13側)の圧力が自律的に一定に制御されることになる。
また、第1圧力室306内の付勢部材301Aの収納長および付勢力は、第1圧力制御機構31における負圧調整部材311と同様に、第2圧力制御機構32の負圧調整部材311によって変更することができる。したがって、使用条件などが異なる種々の記録装置に対して、同一の負圧制御ユニット3を流用してコストダウンを図ることができる。
(第2の実施形態)
図15は、本発明の第2の実施形態の説明図であり、前述した第1の実施形態と同様の部分については、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態においては、第1実施形態と同様のインク供給ユニット220および負圧制御ユニット3に対して、切替え機構4を通して、インクを収容可能な第1タンク321および第2タンク322が接続されている。第1タンク321は、フィルタ1005を通してメインタンク1002に接続され、メインタンク1002からインクの補充が可能である。切替え機構4は、4つの開閉弁44(44A,44B,44C,44D)を備えており、負圧制御ユニット3内の第1および第2圧力制御機構31,32と、第1および第2タンク321,322と、との接続関係を切替える。第1タンク321に対して開閉弁44A,44Bが接続され、第2タンク322に対して開閉弁44C,44Dが接続される。以下、第1圧力制御機構31の上流側に接続される開閉弁44A,44Cを第1切替え部ともいい、第2圧力制御機構32の下流側に接続される開閉弁44B,44Dを第2切替え部ともいう。
図15(a)は、開閉弁44A,44Dが開とされ、開閉弁44B,44Cが閉とされた状態を示し、第1圧力制御機構31よりも上流側の部位が第2タンク322側に接続され、第2圧力制御機構32は第1タンク321側に接続される。図15(b)は、逆に、開閉弁44A,44Dが閉とされ、開閉弁44B,44Cが開とされた状態を示し、第1圧力制御機構31は第1タンク321側に接続され、第2圧力制御機構32は第2タンク322側に接続される。このように、第1切替え部(開閉弁44A,44C)および第2切替え部(開閉弁44B,44D)によって、第1および第2圧力制御機構31,32と、第1および第2タンク321,322と、の接続関係を相互に切替えることができる。これにより、第1および第2タンク321,322に対するインクの流れ方向を切替えることができる。例えば、固形成分を多く含む顔料インクなどを使用する場合には、インクの流れ方向を切替えることにより、タンク内部における顔料成分の沈降を抑制して、安定的な記録動作を実施することができる。
切替え機構4の切替え制御は、第1および第2タンク321,322内のインク残量を検知する検知機構(不図示)からの信号に基づいて、記録装置本体側の制御部によって行う。切替え機構4は、上述したように接続状態を切替える機能があればよい。そのため切替え機構4は、本例のように4つの開閉弁を単純に組み合わせた形態のみに限定されず、例えば、3方弁、スライド弁、ロータリー弁などを使用して第1および第2切替え部を構成する形態であってもよい。
また、本実施形態においても負圧補償機構37が備えられている。したがって、前述した第1の実施形態と同様に、素子基板10の吐出口113からインクが短時間に大量に吐出された場合においても、共通回収流路13の負圧の下がり過ぎを抑制して、安定的な記録動作を実施することができる。また、バイパス弁35が配備されているため、強回復モード(強循環回復)の実施可能である。
(第3の実施形態)
図16は、本発明の第3の実施形態の説明図であり、前述した第2の実施形態と同様の部分については、同一符号を付して説明を省略する。第2の実施形態との主な相違点は、第2の実施形態における第2圧力調整機構を用いず、加圧ポンプ1003と吸引ポンプ1000を用いてインク流れを生じさせることである。
図16(a)は、開閉弁44A,44Dが開とされ、開閉弁44B,44Cが閉とされた状態を示す。この状態において、加圧ポンプ1003によって第2タンク322内のインクが汲み出され、吸引ポンプ1000によって第1タンク321側にインクが送られる。図16(b)は、逆に、開閉弁44A,44Dが閉とされ、開閉弁44B,44Cが開とされた状態を示す。この状態においては、加圧ポンプ1003によって第1タンク321内のインクが汲み出され、吸引ポンプ1000によって第2タンク322側にインクが送られる。したがって、第2実施例と同様にインクの流れ方向を切替えて、例えば、固形成分を多く含む顔料インクなどを使用する場合に、タンク内部における顔料成分の沈降を抑制して、安定的な記録動作を実施することができる。負圧補償機構37およびバイパス弁35による効果は、第1および第2の実施形態と同様である。
(第4の実施形態)
図17は、本発明の第4の実施形態の説明図であり、前述した第1および第2の実施形態と同様の部分については、同一符号を付して説明を省略する。本実施形態においては、第1の実施形態におけるインク供給ユニット220とインク吐出ユニット300との間に、第2の実施形態における切替え機構4が備えられている。切替え機構4において、開閉弁44A,44Bは、第1圧力制御機構31の下流に接続され、開閉弁44C,44Dは、第2圧力制御機構32の上流側に接続される。
図17(a)は、開閉弁44A,44Dが開とされ、開閉弁44B,44Cが閉とされた状態を示し、第1圧力制御機構31は共通供給流路12に接続され、第2圧力制御機構32は共通回収流路13に接続される。図17(b)は、逆に、開閉弁44A,44Dが閉とされ、開閉弁44B,44Cが開とされた状態を示し、第1圧力制御機構31は共通回収流路13に接続され、第2圧力制御機構32は共通供給流路12に接続される。このように開閉弁44(44A,44B,44C,44D)の開閉によって、第1および第2圧力制御機構31,32と、共通供給流路12および共通回収流路13と、の接続関係を切替えることができる。これにより、素子基板10を含むインク吐出ユニット300内におるインク流れ方向を切替えることができる。
このように、インク吐出ユニット300内においてインク流れ方向を逆転させることができるため、上述した強回復モードにおいて、共通供給流路12側における泡などの異物をも排出することができる。一般に、吐出口113近傍の流路は、記録ヘッド1内において最も微細な流路である。そのため、吐出口113の上流側に溜まった泡などの異物などは、インクの流量を多くしたとしても、吐出口を超えて吐出口113の下流側から排出することは難しい。前述した第1から第3の実施形態においては、記録ヘッド1内におけるインク流れ方向が1方向に限定されているため、共通供給流路12側の泡などの異物を共通回収流路13側に排出させることは難しい。そのような異物を除去するためには、吐出口からインクを吸引する吸引回復処理などの回復方法が必要となり、そのような回復方法によっては画像の記録に用いられない廃インクが生じる。
本実施形態においては、強回復モードを所定時間実行した後に、切替え機構4によって記録ヘッド1内におけるインク流れ方向を反転させてから、再度、強回復モードを実行することにより、記録ヘッド1内の泡などの異物をタンク20に排出することができる。この結果、廃インク量を大幅に少なくししつつ、より信頼性の高い記録動作を実施することができる。また、第1の実施形態と同様に負圧補償機構37が備えられているため、素子基板10の吐出口113から短時間に多量のインクが吐出された場合においても、共通回収流路13の負圧の下がり過ぎを抑制して、安定的な記録動作を実施することができる。
(第5の実施形態)
図18は、本発明の第5の実施形態の説明図であり、前述した第1の実施形態と同様の部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図18(a)および(b)は、本実施形態の記録装置におけるインク流路(単色分)の模式図である。第1の実施形態との大きな相違点は、第2圧力制御機構(L)32がない点、および、ポンプ1000の下流側がメインタンク20ではなく、第1圧力制御機構(H)31の下流側に接続されている点である。さらに、第1圧力制御機構31とインク吐出ユニット300との間には3方弁45が配備され、インク吐出ユニット300とポンプ1000との間には3方弁46が配備されている。3方弁45は、第1圧力制御機構31の下流側の接続先を共通供給流路12または共通回収流路13のいずれかに切替えるように構成されている。3方弁46は、ポンプ1000の上流側の接続先を共通供給流路12または共通回収流路13のいずれかに切替えるように構成されている。
図18(a)は、記録素子基板10内のインクが共通供給流路12から共通回収流路13に向かって流れるように循環している状態を示す。3方弁45および46内の流路状態は、それらを表す同図中○印の中の線で示すように切りえられている。ポンプ1000を駆動することにより、インクは、3方弁45から共通供給流路12、記録素子基板10、共通回収流路13、および3方弁46へと流れてから、再びポンプ1000に入って循環する。記録動作により、記録素子基板10のノズルからインクが吐出され、その減少分のインクは、メインタンク20から加圧ポンプ1003、フィルタ1001、および第1圧力制御機構31を通して補充される。インク吐出ユニット300の上流側におけるインク圧力は、第1圧力制御機構31によって、インクの吐出動作に適正な負圧に制御される。ここで、モノクロモードなどにより特定色のインクのみが記録に用いられて、図18(a)のインク流中のインクの吐出動作が行なわれなれかった場合を想定する。この場合、ポンプ1000によるインクの循環のみが行われているときにも、ポンプ1000の下流側の圧力は第1圧力制御機構31によって所定の圧力に維持される。
また、第1の実施形態と同様に負圧補償が可能な受動弁33が備えられている。そのため、記録素子基板10の吐出口113から、短時間に多量のインクが吐出された場合においても、共通回収流路13の負圧の下がり過ぎを抑制して、安定的な記録動作を実施することができる。
図18(b)は、3方弁45および46を切替えることにより、記録素子基板10内のインクが共通供給流路12から共通回収流路13に向かって流れるように、インクを循環させる状態を示す。3方弁45および46内の流路状態は、それらを表す同図中○印の中の線で示すように切りえられる。
このように、インク吐出ユニット300内においてインク流れ方向を逆転させることができるため、共通供給流路12側における泡および異物を排出することができる。また、本実施形態では、メインタンク20からのインク供給経路がインク1色について1つのみでよく、また第2圧力制御機構もないため、記録装置の構成の簡略化および小型化を図ることができる。
(第6の実施形態)
図19は、本発明の第6の実施形態の説明図であり、前述した第5の実施形態と同様の部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図19(a)および(b)は、本実施形態の記録装置におけるインク流路(単色分)の模式図である。第5の実施形態との相違点は、負圧補償機能を提供する受動弁33の下流側に3方弁47が追加されている点である。その3方弁47は、その下流側の接続先を共通供給流路12の上流側または共通回収流路13の上流端に切替えるように構成されている。
図19(a)は、記録素子基板10内のインクが共通供給流路12から共通回収流路13に向かって流れるように循環している状態を示す。その際、3方弁47内の流路状態は、それらの表す同図中○印の中の線で示すように切替えられて、その下流側が共通回収流路13の上流端側に接続されている。この状態において、高デューティの記録を実施した場合、共通回収流路13側からも記録素子基板10内にインクが供給される。その際には、受動弁33が開いて、共通回収流路13の上流側からインクが供給されることにより、共通回収流路13内の負圧が過度に上昇しないよう抑えられる。前述した第5の実施形態の図18(a)においても同様に、高デューティ記録時に受動弁33により負圧補償機能が働くものの、共通回収流路13の下流側からのインク供給となる。そのため、急激な記録デューティの変化時にインク流れが反転することによって発生する慣性影響により、過渡的な圧力変動が生じるおそれがある。特に、インク流量が大きい長尺なラインヘッドでは、その影響が大きくなる。これに対して、第6の実施形態においては、常に、共通回収流路13の上流側からのインク供給となるため、どのような記録動作時にも安定した圧力を確保することができる。
図19(b)は、3方弁45および46を切替えることにより、記録素子基板10内のインクが共通供給流路12から共通回収流路13に向かって流れるように、インクを循環させて、共通供給流路12側における泡および異物を排出している状態を示す。その際、3方弁47は、その下流側が共通供給流路12の上流側に接続するよう切替えられる。3方弁47内の流路状態は、それを表す同図中○印の中の線で示すように切替えられる。このような状態において、高デューティの記録を実施した場合、受動弁33が開くことにより、共通供給流路12の上流側からインクが供給されるため、図19(a)の場合と同様に、安定した圧力を確保することができる。
(他の実施形態)
記録ヘッド1は、ヒータ115などの吐出エネルギー発生素子を用いて、圧力室123内のインクを吐出口113から吐出させることができればよい。したがって、記録ヘッド1は、図2のようにインク吐出ユニット300、インク供給ユニット220、およびインク循環ユニット400を含む構成のみに限定されない。例えば、記録ヘッド1は、インク吐出ユニット300、インク供給ユニット220、およびインク循環ユニット400の少なくとも一部を備えるインク吐出モジュール(液体吐出モジュール)を構成するものであってもよい。また、記録装置の方式は、前述した実施形態のようなフルライン方式に限定されず、記録ヘッドの主走査方向の移動と、記録媒体の副走査方向の搬送と、を繰り返して画像を記録する、いわゆるシリアルスキャン方式であってもよい。
本発明は、種々の液体を供給する液体供給装置、および種々の液体を吐出可能な液体吐出装置に対して広く適用することができる。また本発明は、液体を吐出可能なインクジェットヘッドを用いて、種々の媒体(シート)に対して、種々の処理(記録、加工、塗布、照射、読取、検査など)を施すインクジェット装置に対しても適用可能である。その媒体(記録媒体を含む)は、紙、プラスチック、フィルム、織物、金属、フレキシブル基板等、材質は問わず、インクを含む液体が付与される種々の媒体を含む。
1 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
3 負圧制御ユニット(圧力制御ユニット)
12 共通供給流路
13 共通回収流路
33 受動弁
34 開閉弁
37 負圧補償機構(圧力補償部)
113 吐出口
123 圧力室

Claims (17)

  1. 圧力室内の液体を吐出口から吐出可能な液体吐出ヘッドに液体を供給する液体供給装置であって、
    前記圧力室に連通する液体の供給流路と、
    前記圧力室に連通する液体の回収流路と、
    前記供給流路から前記圧力室内に液体を供給し、かつ前記回収流路から前記圧力室内の液体を回収するように、前記供給流路内と前記回収流路内との間に圧力差を生じさせる圧力制御手段と、
    前記回収流路内の圧力が所定圧以下のときに、前記回収流路から前記圧力室に液体を供給して前記回収流路内の圧力の低下を補償する圧力補償手段と、
    を備えることを特徴とする液体供給装置。
  2. 前記液体吐出ヘッドは、複数の前記圧力室と、前記複数の圧力室に対応する複数の前記吐出口と、を含み、
    前記供給流路および前記回収流路は前記複数の圧力室のそれぞれに連通することを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
  3. 前記圧力補償手段は、前記回収流路内の圧力が所定圧以下のときに、前記供給流路と前記回収流路とを連通させる連通路を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の液体供給装置。
  4. 前記供給流路内の圧力と前記回収流路内の圧力との差圧に応じて前記連通路を開閉する受動弁を含むことを特徴とする請求項3に記載の液体供給装置。
  5. 前記連通路に開閉制御可能な開閉弁を備えることを特徴とする請求項3または4に記載の液体供給装置。
  6. 前記圧力制御手段は、前記供給流路内の圧力を第1圧力に制御する第1圧力制御部と、前記回収流路内の圧力を第1圧力よりも低い第2圧力に制御する第2圧力制御部と、を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液体供給装置。
  7. 前記第2圧力制御部よりも、前記回収流路による液体の回収方向の下流側の位置に吸引ポンプを備えることを特徴とする請求項6に記載の液体供給装置。
  8. 前記回収流路の前記第2圧力制御部よりも液体の回収方向の上流側の位置と、前記回収流路の前記第2圧力制御部よりも前記回収方向の下流側の位置と、の間にバイパス流路を備えることを特徴とする請求項6または7に記載の液体供給装置。
  9. 前記バイパス流路に開閉制御可能なバイパス弁を備えることを特徴とする請求項8に記載の液体供給装置。
  10. 液体を収容可能な第1タンクおよび第2タンクと、
    前記供給流路の前記第1圧力制御部よりも液体の供給方向の上流側の第1位置を前記第1タンクに接続し、かつ前記回収流路の前記第2圧力制御部よりも液体の回収方向の下流側の第2位置を前記第2タンクに接続する第1形態と、前記第1位置を前記第2タンクに接続し、かつ前記第2位置を前記第1タンクに接続する第2形態と、の切替えが可能な切替え手段と、
    を備えることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の液体供給装置。
  11. 前記供給流路の前記第1圧力制御部よりも液体の供給方向の下流側の第3位置を前記圧力室の一方側に接続し、かつ前記回収流路の前記第2圧力制御部よりも液体の回収方向の上流側の第4位置を前記圧力室の他方側に接続する第1形態と、前記第3位置を前記圧力室の他方側に接続し、かつ前記第4位置を前記圧力室の一方側に接続する第2形態と、の切替えが可能な切替え手段を備えることを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載の液体供給装置。
  12. 前記圧力制御手段は、前記供給流路による液体の供給方向の上流側に備えられて前記供給流路内の圧力を制御する第1圧力制御部と、入口が前記回収流路による液体の回収方向の下流側に接続され、かつ出口が前記圧力制御手段よりも前記供給流路による液体の供給方向の下流側に接続されるポンプと、を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液体供給装置。
  13. 前記圧力制御手段により生じる圧力差の高圧側を前記供給流路に接続し、かつ低圧側を前記回収流路に接続する第1形態と、前記高圧側を前記回収流路に接続し、かつ前記低圧側を前記供給流路に接続する第2形態と、の切替えが可能な切替え手段を備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の液体供給装置。
  14. 前記圧力補償手段は、前記第1形態においては、前記圧力制御手段により生じる圧力差の高圧側と前記回収流路とを受動弁を介して接続し、前記第2形態においては、前記高圧側と前記供給流路とを前記受動弁を介して接続するように連通路を切替える切替え手段を備え、
    前記受動弁は、前記第1形態においては前記回収流路内の圧力が所定圧以下のときに開き、前記第2形態においては前記供給流路内の圧力が前記所定圧以下のときに開くことを特徴とする請求項13に記載の液体供給装置。
  15. 圧力室、前記圧力室に連通する吐出口、および前記圧力室内の液体を前記吐出口から吐出させるための吐出エネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子を備える液体吐出ヘッドと、
    請求項1から14のいずれか1項に記載の液体供給装置と、
    を備えることを特徴とする液体吐出装置。
  16. 圧力室、前記圧力室に連通する吐出口、および前記圧力室内の液体を前記吐出口から吐出させるための吐出エネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子を含む液体吐出ヘッドと、
    前記圧力室に連通する液体の供給流路および回収流路を通して液体を循環可能な液体循環ユニットと、
    を備える液体吐出モジュールであって、
    前記液体循環ユニットは、
    前記供給流路から前記圧力室内に液体を供給し、かつ前記回収流路から前記圧力室内の液体を回収するように、前記供給流路内と前記回収流路内との間に圧力差を生じさせる圧力制御手段と、
    前記回収流路内の圧力が所定圧以下のときに、前記回収流路を通して前記圧力室に液体を供給することにより前記回収流路内の圧力の低下を補償する圧力補償手段と、
    を備えることを特徴とする液体吐出モジュール。
  17. 圧力室内の液体を吐出口から吐出可能な液体吐出ヘッドに液体を供給する液体供給方法であって、
    前記圧力室に連通する供給流路から前記圧力室内に液体を供給し、かつ前記圧力室に連通する回収流路から前記圧力室内の液体を回収するように、前記供給流路内と前記回収流路内との間に圧力差を生じさせる圧力制御工程と、
    前記回収流路内の圧力が所定圧以下のときに、前記回収流路から前記圧力室に液体を供給して前記回収流路内の圧力の低下を補償する圧力補償工程と、
    を含むことを特徴とする液体供給方法。
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