JP6794239B2 - 液体吐出装置および液体吐出ヘッド - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方式に代表される、記録媒体に液体を吐出することで記録を行う液体吐出装置に関する。より詳細には、複数の記録素子基板がページ幅に渡って配置された、ページワイド型液体吐出ヘッドおよび当該ページワイド型液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出装置に関する。
複数の記録素子基板がページ幅に渡って配置された、ページワイド型液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出装置が知られている。このような液体吐出装置には、商業印刷向けに開発された、長尺の液体吐出ヘッドを搭載するものがある。また、このような液体吐出装置には、インクタンクと液体吐出ヘッドとの間でインクを循環させるものがある。
上記のような液体吐出装置において、各吐出口近傍のインクに印加される圧力に、圧力差が発生する場合がある。例えば、長尺の液体吐出ヘッドには多量のインクが供給されているため、印刷Dutyに応じて各吐出口近傍に圧力差が発生しやすくなる。また例えば、循環型の液体吐出装置では、循環ポンプが脈動することにより発生する圧力変動が、各吐出口近傍の圧力差に影響を及ぼすことがある。
各吐出口近傍に圧力差が発生している状態で印刷を行うと、各吐出口から吐出されるインク滴体積が不均一となり、印刷画像に濃度ムラが発生するなど、画質が劣化してしまう。これを回避するため、インクタンクと液体吐出ヘッドとを連通するインク供給経路に圧力調整機構を設け、各吐出口近傍のインクに印加される圧力を調整する液体吐出装置が提案されている(特許文献1,2)。
米国特許第7922312号明細書 特許第03606282号明細書
ところで、一般的な液体吐出装置は、インクタンクから液体吐出ヘッドへのインク供給経路の上流側に、異物を取り除くフィルタを設け、液体吐出ヘッドへの異物の混入を防いでいる。
しかしながら、特許文献1,2の液体吐出装置は、液体吐出ヘッドの上流側に圧力調整機構が設けられ、圧力調整機構の上流側にフィルタが設けられている。そのため、圧力調整機構を構成するバルブ(弁)などの開閉動作により発生する異物により、液体吐出ヘッドに異物が混入してしまい、一部の吐出口が不吐になる場合があった。一部の吐出口が不吐状態のまま印刷を行うと、印刷画像にスジが入るなど画質が劣化してしまう。このように、従来技術の液体吐出装置は、高画質な画像を印刷することができないおそれがあった。
本発明の液体吐出装置は、液体を収容する液体収容容器と、液体を吐出する吐出口と、液体を吐出するためのエネルギを発生する記録素子を内部に備える圧力室と、を備える複数の記録素子基板と、前記複数の記録素子基板に液体を供給する共通供給流路と、前記液体収容容器と前記共通供給流路との間の経路中に設けられる、異物を取り除くための供給側フィルタと、前記共通供給流路より下流側の経路中に設けられる、前記共通供給流路の圧力を調整するための供給側圧力調整機構と、前記複数の記録素子基板から液体を回収する共通回収流路と、前記液体収容容器と前記共通回収流路との間の経路中に設けられる、異物を取り除くための回収側フィルタと、前記共通回収流路より下流側の経路中に設けられる、前記共通回収流路の圧力を調整するための回収側圧力調整機構と、を備えることを特徴とする。
本発明の液体吐出装置は、ページワイド型液体吐出ヘッドを用いて、高画質な画像を印刷することができる。
実施形態1における液体吐出装置の概略構成図である。 比較例としての循環形態を示す模式図である。 実施形態1における第1循環形態を示す模式図である。 実施形態1における液体吐出ヘッドへのインクの流入量の違いを示す概略図である。 実施形態1における液体吐出ヘッドを示す斜視図である。 実施形態1における液体吐出ヘッドの分解斜視図である。 実施形態1における流路部材を示す図である。 図7におけるα部の拡大透視図である。 図8におけるIX−IXの断面を示す図である。 実施形態1における吐出モジュールを示す図である。 実施形態1における記録素子基板を示す図である。 図11(a)におけるXII−XIIの断面を示す斜視図である。 実施形態1における記録素子基板の部分拡大図である。 実施形態1における流抵抗Rと弁開度との関係を示す図である。 実施形態1における第1循環形態の圧力調整機構を示す図である。 実施形態1におけるインク充填時の圧力調整機構の断面図である。 実施形態2における液体吐出装置の概略構成図である。 実施形態2における液体吐出ヘッドを示す斜視図である。 実施形態2における液体吐出ヘッドの分解斜視図である。 実施形態2における流路部材を示す図である。 実施形態2における記録素子基板近傍の拡大透視図である。 図21におけるXXII−XXIIの断面を示す図である。 実施形態2における吐出モジュールを示す図である。 実施形態2における記録素子基板を示す図である。 実施形態3における循環形態を示す模式図である。 実施形態3における液体吐出ヘッドの構造を示す図である。 実施形態3における液体吐出ヘッドの内部構造を示す図である。 実施形態3における記録素子基板を示す図である。 図28におけるXXIX−XXIXの断面を示す図である。 実施形態3の循環経路において、印刷Dutyを変化させた圧力分布の変化を示す図である。 従来技術の循環形態を示す模式図である。 実施形態3における共通流路内の圧力分布を示す図である。 比較例における共通流路内の圧力分布を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態1について説明する。尚、インク等の液体を吐出する本発明の液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出装置は、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置に適用可能である。さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に適用可能である。例えば、バイオチップ作製や電子回路印刷や半導体基板作製などの用途としても用いることができる。また、以下に述べる各実施形態は、本発明の適切な具体例であるから、技術的に好ましい様々の限定が付けられている。しかし、本発明の思想に沿うものであれば、本実施形態は、本明細書の各実施形態およびその他の具体的方法に限定されるものではない。
(実施形態1)
(液体吐出装置の説明)
図1は、本発明の記録液体(以下「液体」とも記す)を吐出する液体吐出装置、特にはインクを吐出して記録を行う液体吐出装置(以下、記録装置とも称す)1000の概略構成を示した図である。液体吐出装置1000は、記録媒体2を搬送する搬送部1と、記録媒体2の搬送方向と略直交して配置されるページワイド型の液体吐出ヘッド3とを備え、複数の記録媒体2を連続もしくは間欠に搬送しながら1パスで連続記録を行うページワイド型記録装置である。液体吐出ヘッド3は、循環経路内の圧力(負圧および正圧)を制御する圧力制御ユニット230と、液体供給ユニット220と、液体供給ユニット220へのインクの供給および排出口となる液体接続部111と、筺体80とを備えている。記録媒体2は、カット紙に限らず、連続したロール媒体であってもよい。液体吐出ヘッド3は、シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックKのインクによるフルカラー記録が可能であり、液体を液体吐出ヘッド3へ供給する供給路である液体供給手段、メインタンクおよびバッファタンク(後述する図3参照)が流体的に接続される。また、液体吐出ヘッド3には、液体吐出ヘッド3へ電力および吐出制御信号を伝送する電気制御部が電気的に接続される。液体吐出ヘッド3内における液体経路および電気信号経路については後述する。
液体吐出装置1000は、インク等の液体を後述するタンクと液体吐出ヘッド3との間で循環させる形態の液体吐出装置である。その循環の形態は、液体吐出ヘッド3の下流側で2つの循環ポンプ(高圧用、低圧用)を稼動することで循環させる、比較例としての循環形態と、液体吐出ヘッド3の上流側で2つの循環ポンプ(高圧用、低圧用)を稼動することで循環させる本発明の循環形態(第一循環形態)とがある。以下、それぞれの循環形態について説明する。
(従来形態の説明)
図2は、液体吐出装置1000に適用される循環経路の比較例としての循環形態を示す模式図である。液体吐出ヘッド3は、第1循環ポンプ(高圧側)1001、第1循環ポンプ(低圧側)1002およびバッファタンク1003等に流体接続されている。なお図2では、説明を簡略化するため、シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックKのインクの内の1色のインクが流動する経路のみを示しているが、実際には4色分の循環経路が、液体吐出ヘッド3および記録装置本体に設けられる。
この循環形態では、メインタンク1006に収容されるインクは、補充ポンプ1005によってバッファタンク1003に供給され、その後、第2循環ポンプ1004によって液体接続部111を介して液体吐出ヘッド3の液体供給ユニット220に供給される。なお、本実施形態において、メインタンク1006およびバッファタンク1003は、記録液体を収容する液体収容容器に相当する。その後、液体供給ユニット220に接続された圧力制御ユニット230で異なる2つの圧力(高圧、低圧)に調整されたインクは、高圧側と低圧側の2つの流路に分かれて循環する。なお、本実施形態において、圧力制御ユニット230は、異なる2つの負圧を制御する態様について説明するが、後述の変形例においては、圧力制御ユニット230が、正圧および負圧を制御する態様について説明する。液体吐出ヘッド3内のインクは、液体吐出ヘッド3の下流にある第1循環ポンプ(高圧側)1001および第1循環ポンプ(低圧側)1002の作用で液体吐出ヘッド内を循環し、液体吐出ヘッド3から排出されてバッファタンク1003に戻る。
サブタンクであるバッファタンク1003は、メインタンク1006と接続され、タンク内部と外部とを連通する不図示の大気連通口を有し、インク中の気泡を外部に排出することが可能である。バッファタンク1003とメインタンク1006との間には、補充ポンプ1005が設けられている。補充ポンプ1005は、インクを吐出しての記録や吸引回復等、液体吐出ヘッド3の吐出口からインクを吐出(排出)することによって消費されたインクをメインタンク1006からバッファタンク1003へ移送する。
2つの第1循環ポンプ1001、1002は、液体吐出ヘッド3の液体接続部111から液体を引き出してバッファタンク1003へ流す。第1循環ポンプとしては、定量的な送液能力を有する容積型ポンプが好ましい。具体的にはチューブポンプ、ギアポンプ、ダイヤフラムポンプ、シリンジポンプ等が挙げられるが、例えば一般的な定流量弁やリリーフ弁をポンプ出口に配して一定流量を確保する形態であってもよい。液体吐出ヘッド3の駆動時には、第1循環ポンプ(高圧側)1001および第1循環ポンプ(低圧側)1002を稼働することによって、それぞれ共通供給流路211、共通回収流路212内を所定流量のインクが流れる。このようにインクを流すことで、記録時の液体吐出ヘッド3の温度を最適の温度に維持している。液体吐出ヘッド3駆動時の所定流量は、液体吐出ヘッド3内の各記録素子基板10間の温度差が記録画質に影響しない程度に維持可能である流量以上に設定することが好ましい。もっとも、あまりに大きな流量に設定すると、液体吐出ユニット300内の流路の圧損の影響により、各記録素子基板10で負圧差が大きくなり画像の濃度ムラが生じてしまう。そのため、各記録素子基板10間の温度差と負圧差を考慮しながら流量を設定することが好ましい。
圧力制御ユニット230は、第2循環ポンプ1004と液体吐出ユニット300との間の経路に設けられている。この圧力制御ユニット230は、単位面積あたりの吐出量の差等によって循環系におけるインクの流量が変動した場合でも、圧力制御ユニット230よりも下流側(即ち液体吐出ユニット300側)の圧力を予め設定した一定圧力に維持するように動作する。圧力制御ユニット230を構成する2つの圧力調整機構としては、圧力制御ユニット230よりも下流の圧力を、所望の制御圧を中心とした一定の範囲以下の変動で制御できるものであれば、どのような圧力調整機構を用いてもよい。一例としては所謂「減圧弁・減圧レギュレータ」と呼ばれる減圧型圧力調整弁機構を採用することができる。本実施形態における循環流路では、第2循環ポンプ1004によって、液体供給ユニット220を介して圧力制御ユニット230の上流側を加圧している。このようにすると、バッファタンク1003の液体吐出ヘッド3に対する水頭圧の影響を抑制できるので、液体吐出装置1000におけるバッファタンク1003のレイアウトの自由度を広げることができる。
第2循環ポンプ1004としては、液体吐出ヘッド3の駆動時に使用するインク循環流量の範囲において、一定圧以上の揚程圧を有するものであればよく、ターボ型ポンプや容積型ポンプなどを使用できる。具体的には、ダイヤフラムポンプ等が適用可能である。また第2循環ポンプ1004の代わりに、例えば圧力制御ユニット230に対してある一定の水頭差をもって配置された水頭タンクでも適用可能である。図2に示したように圧力制御ユニット230は、それぞれが互いに異なる制御圧が設定された2つの圧力調整機構を備えている。2つの圧力調整機構の内、相対的に高圧設定側(図2でHと記載)、相対的に低圧設定側(図2でLと記載)は、それぞれ、液体供給ユニット220内を経由して、液体吐出ユニット300内の共通供給流路211、共通回収流路212に接続されている。液体吐出ユニット300には、共通供給流路211、共通回収流路212、各記録素子基板と連通する個別流路215(個別供給流路213、個別回収流路214)が設けられている。共通供給流路211には、圧力調整機構Hが、共通回収流路212には圧力調整機構Lが接続されており、2つの共通流路間に差圧が生じている。個別流路215は、一対の共通流路のうち一方の共通供給流路211と他方の共通回収流路212とを接続し、記録素子基板10の吐出口13と連通している。かかる構成により、液体の一部が、共通供給流路211から記録素子基板10の内部流路を通過して共通回収流路212へと流れる流れ(図2の矢印)が発生する。
このようにして、液体吐出ユニット300では、共通供給流路211および共通回収流路212内をそれぞれ通過するように液体を流しつつ、一部の液体が各記録素子基板10内を通過するような流れが発生する。このため、各記録素子基板10で発生する熱を共通供給流路211および共通回収流路212を流れるインクによって記録素子基板10の外部へ排出することができる。またこのような構成により、液体吐出ヘッド3による記録を行っている際に、吐出を行っていない吐出口や圧力室においてもインクの流れを生じさせることができる。これによって、吐出口内で増粘したインクの粘度を低下させることで、インクの増粘を抑制することができる。また、増粘したインクやインク中の異物を共通回収流路212へと排出することができる。このため、本実施形態の液体吐出ヘッド3は、高速で高画質な記録が可能となる。
(第1循環形態の説明)
図3は、本実施形態の記録装置に適用される循環経路のうち、上述した循環形態とは異なる循環形態である第1循環経路を示す模式図である。前述の循環形態との主な相違点は、圧力制御ユニット230を構成する2つの圧力調整機構が共に、圧力制御ユニット230よりも上流側の圧力を、所望の設定圧を中心として一定範囲内の変動で制御する点である。また、図2の循環形態との相違点として、第2循環ポンプ1004が圧力制御ユニット230の下流側を減圧する負圧源として作用する点がある。更に、第1循環ポンプ(高圧側)1001および第1循環ポンプ(低圧側)1002が液体吐出ヘッド3の上流側に配置され、圧力制御ユニット230が液体吐出ヘッド3の下流側に配置されている点も相違する点である。
第1循環形態では、メインタンク1006内のインクは、補充ポンプ1005によってバッファタンク1003に供給される。その後インクは2つの流路に分けられ、液体吐出ヘッド3に設けられた圧力制御ユニット230の作用で高圧側と低圧側の2つの流路で循環する。高圧側と低圧側の2つの流路に分けられたインクは、第1循環ポンプ(高圧側)1001および第1循環ポンプ(低圧側)1002の作用で液体接続部111を介して液体吐出ヘッド3に供給される。その後、第1循環ポンプ(高圧側)1001および第1循環ポンプ(低圧側)1002の作用で液体吐出ヘッド内を循環したインクは、圧力制御ユニット230を経て、液体接続部111を介して液体吐出ヘッド3から排出される。排出されたインクは、第2循環ポンプ1004によってバッファタンク1003に戻される。
第1循環形態で圧力制御ユニット230は、単位面積あたりの吐出量の変化によって生じる流量の変動があっても、圧力制御ユニット230の上流側(即ち液体吐出ユニット300側)の圧力変動を予め設定された圧力を中心として一定範囲内に安定させる。圧力制御ユニット230を構成する2つの圧力調整機構としては、圧力制御ユニット230よりも上流側の圧力を、所望の制御圧を中心とした一定範囲以下の変動で制御できるものであれば、どのような圧力調整機構を用いてもよい。一例としては所謂「背圧弁・背圧レギュレータ」と呼ばれる背圧型圧力調整弁機構を採用することができる。本実施形態の循環流路では、第2循環ポンプ1004によって、液体供給ユニット220を介して圧力制御ユニット230の下流側を加圧している。このようにすると液体吐出ヘッド3に対するバッファタンク1003の水頭圧の影響を抑制できるので、液体吐出装置1000におけるバッファタンク1003のレイアウトの選択幅を広げることができる。第2循環ポンプ1004の代わりに、例えば圧力制御ユニット230に対して所定の水頭差をもって配置された水頭タンクであっても適用可能である。第1循環形態は図2の循環形態と同様に、圧力制御ユニット230は、それぞれが互いに異なる制御圧が設定された2つの圧力調整機構を備えている。2つの圧力調整機構の内、高圧設定側(図3で230Hと記載)、低圧設定側(図3で230Lと記載)はそれぞれ、液体供給ユニット220内を経由して、液体吐出ユニット300内の共通供給流路211および共通回収流路212に接続されている。2つの圧力調整機構により、共通供給流路211の圧力を共通回収流路212の圧力より相対的に高くすることで、共通供給流路211から個別流路215および各記録素子基板10の内部流路を介して共通回収流路212へと流れるインク流れが発生する。
このような第1循環形態では、液体吐出ユニット300内には図2の循環形態と同様のインク流れ状態が得られるが、図2の循環形態の場合とは異なる2つの利点がある。1つ目の利点は、圧力制御ユニット230に混入するゴミや異物が液体吐出ヘッド3へ流入することを防ぐことである。すなわち、第1循環形態では圧力制御ユニット230が液体吐出ヘッド3の下流側に配置され、後述のフィルタ221が液体吐出ヘッド3の上流側に配置されている。そのため、第1循環ポンプ1001、1002および第2循環ポンプ1004の稼動により、循環経路にインクを循環させる際に、圧力制御ユニット230に混入する異物を液体から取り除き、液体吐出ヘッド3に異物が流入することを防ぐことができる。第1循環形態では、圧力調整機構3230は液体吐出ヘッド3の下流側に配置されている。従って、圧力調整機構を構成する弁(バルブ)が開閉することなどにより、万一異物が循環経路に混入したとしても、液体吐出ヘッド3に到達する前に、混入した異物はフィルタ221によって取り除かれる。2つ目の利点は、第1循環形態では、バッファタンク1003から液体吐出ヘッド3へ供給する必要流量の最大値が、図2の循環形態の場合よりも少なくて済むことである。その理由は次の通りである。
記録待機時に循環している場合の、共通供給流路211、共通回収流路212、および個別流路215内の流量の合計を流量Aとする。流量Aの値は、記録待機中に液体吐出ヘッド3の温度調整にあたり、液体吐出ユニット300内の温度差を所望の範囲内にするために必要な最小限の流量として定義される。また液体吐出ユニット300の全ての吐出口からインクを吐出する場合(全吐出時)の吐出流量を流量F(1吐出口当りの吐出量×単位時間当たりの吐出周波数×吐出口数)と定義する。
図4は、図2の循環形態と第1循環形態とにおける、液体吐出ヘッド3へのインクの流入量の違いを示した概略図である。図4(a)は、図2の循環形態における待機時を示しており、図4(b)は、図2の循環形態における全吐出時を示している。図4(c)から図4(f)は、第2循環流路を示しており、図4(c)、(d)が流量F<流量Aの場合で、図4(e)、(f)が流量F>流量Aの場合であり、それぞれ、待機時と全吐出時の流量を示している。
定量的な送液能力を有する第1循環ポンプ1001、1002が液体吐出ヘッド3の下流側に配置されている図2の循環形態の場合(図4(a)、(b))、第1循環ポンプ1001および第1循環ポンプ1002の合計設定流量は流量Aとなる。この流量Aによって、待機時の液体吐出ユニット300内の温度管理が可能となる。そして、液体吐出ヘッド3で全吐出が行われる場合、第1循環ポンプ1001、1002の合計設定流量は流量Aのままであるが、液体吐出ヘッド3で吐出によって生じる負圧が作用する。そのため、液体吐出ヘッド3へ供給される最大流量は、合計設定流量の流量Aに全吐出による消費分(流量F)が加算される。よって、液体吐出ヘッド3への供給量の最大値は、流量Fが流量Aに加算されるため流量A+流量Fとなる(図4(b))。
ここで、図2の循環形態(図2)において、複数の記録素子基板10のうち、一部の記録素子基板10が記録待機中であり、その他の記録素子基板10の全ての吐出口13からインクを吐出している全吐出中である場合を考える。本実施形態の液体吐出装置1000は、記録待機中の記録素子基板10にもインクが供給されるように構成されている。図2に示されるように、液体吐出ユニット300の記録素子基板10のうち、網掛けで示されるものは全吐出中の記録素子基板10を、白抜きで示されるものは記録待機中の記録素子基板10であるものとして説明する。このとき、全吐出中の記録素子基板10には、共通供給流路211からのインク供給(白抜き矢印方向)に加えて、共通回収流路212から(黒塗り矢印方向)も一定量のインク供給が行われる。一方、記録待機中の記録素子基板10にも、共通供給流路211からのインク供給(白抜き矢印方向)も継続して行われる。液体吐出ユニット300へのインク流入量が増大するため、共通供給流路211と共通回収流路212との間の差圧は多少変動するものの、共通流路の断面積を充分に確保することができれば、その影響は無視することができる。
このように、本実施形態の図2の循環形態では、一部の記録素子基板10が記録待機中に、その他の記録素子基板10が全吐出中になった場合であっても、記録待機中の記録素子基板10にもインクが供給されるように構成されている。かかる構成により、液体吐出ヘッド3へのインク供給量も好適に制御することができる。すなわち、記録待機中の記録素子基板10における個別流路215を通過するインクの流量を、当該記録素子基板10における全ての吐出口13から吐出されるインクの吐出流量よりも小さくなるように、共通流路の差圧を制御する。共通供給流路211と共通回収流路212との間の差圧を上記のように制御することにより、液体吐出ヘッド3の吐出口13からのインク吐出流量の変動にかかわらず、記録待機中の記録素子基板10に循環させるインク量を抑制することができる。記録待機中の記録素子基板10に循環させるインク量を抑制することができれば、液体吐出ヘッド3からの排熱を抑制することができ、循環流路内のインクを冷却するための冷却機構なども簡略化することができる。
第1循環ポンプ1001および第1循環ポンプ1002が液体吐出ヘッド3の上流側に配置されている第1循環形態の場合(図4(c)から図4(f))は、記録待機時に必要な液体吐出ヘッド3への供給量は、図2の循環形態と同様に流量Aである。従って、第1循環ポンプ1001および第1循環ポンプ1002が液体吐出ヘッド3の上流側に配置されている第1循環形態では、流量Fよりも流量Aが多い場合(図4(c)、(d))には、全吐出時でも液体吐出ヘッド3への供給量は流量Aで十分である。その際、液体吐出ヘッド3からの排出流量は、流量A−流量Fとなる(図4(d))。しかし、流量Aよりも流量Fが多い場合(図4(e)、(f))には、全吐出時には液体吐出ヘッド3への供給流量を流量Aとすると流量が足りなくなってしまう。そのため、流量Aよりも流量Fが多い場合には、液体吐出ヘッド3への供給量を流量Fとする必要がある。その際、全吐出が行われると、液体吐出ヘッド3では流量Fが消費されるため、液体吐出ヘッド3からの排出流量は、ほとんど排出されない状態となる(図4(f))。なお、流量Aよりも流量Fが多い場合で、吐出は行うが全吐出ではない場合には、流量Fから吐出で消費された分が引かれた量が液体吐出ヘッド3から排出される。
このように、第1循環形態の場合、第1循環ポンプ1001および第1循環ポンプ1002の設定流量の合計値、即ち必要供給流量の最大値は、流量Aまたは流量Fの大きい方の値となる。このため、同一構成の液体吐出ユニット300を使用する限り、第1循環形態における必要供給量の最大値(流量Aまたは流量F)は、図2の循環形態における必要供給流量の最大値(流量A+流量F)よりも小さくなる。なお、本実施形態の第1循環形態においても、一部の記録素子基板10が記録待機中に、その他の記録素子基板10が全吐出中になった場合であっても、記録待機中の記録素子基板10にもインクが供給されるように構成されている。共通供給流路211と共通回収流路212との間の差圧を制御することにより、液体吐出ヘッド3の吐出口13からのインク吐出流量の変動にかかわらず、記録待機中の記録素子基板10に循環させるインク量を抑制する態様についても図2の循環形態と同じである。
第1循環形態の場合、適用可能な循環ポンプの自由度が高まり、例えば構成の簡便な低コストの循環ポンプを使用したり、本体側経路に設置される冷却器(不図示)の負荷を低減したりすることができ、記録装置のコストを低減できるという利点がある。この利点は、流量Aまたは流量Fの値が比較的大きくなるラインヘッドであるほど大きくなり、ラインヘッドの中でも長手方向の長さが長いラインヘッドほど有益である。
(液体吐出ヘッド構成の説明)
実施形態1に係る液体吐出ヘッド3の構成について説明する。図5(a)および図5(b)は、本実施形態に係る液体吐出ヘッド3を示した斜視図である。液体吐出ヘッド3は、1つの記録素子基板10でシアンC/マゼンタM/イエローY/ブラックKの4色のインクを吐出可能な記録素子基板10を直線状に15個配列(インラインに配置)されるページワイド型の液体吐出ヘッドである。図5(a)に示すように液体吐出ヘッド3は、各記録素子基板10と、フレキシブル配線基板40および電気配線基板90を介して電気的に接続された信号入力端子91と電力供給端子92を備える。信号入力端子91および電力供給端子92は、液体吐出装置1000の制御部と電気的に接続され、それぞれ吐出駆動信号および吐出に必要な電力を記録素子基板10に供給する。電気配線基板90内の電気回路によって配線を集約することで、信号入力端子91および電力供給端子92の数を記録素子基板10の数に比べて少なくすることができる。これにより、液体吐出装置1000に対して液体吐出ヘッド3を組み付ける時または液体吐出ヘッドの交換時に取り外しが必要な電気接続部数が少なくて済む。図5(b)に示すように、液体吐出ヘッド3の両端部に設けられた液体接続部111は、液体吐出装置1000の液体供給系と接続される。これによりシアンC/マゼンタM/イエローY/ブラックK4色のインクが液体吐出装置1000の供給系から液体吐出ヘッド3に供給され、また液体吐出ヘッド3内を通ったインクが液体吐出装置1000の回収系へ回収されるようになっている。このように各色のインクは、液体吐出装置1000の経路と液体吐出ヘッド3の経路を介して循環可能である。
図6は、液体吐出ヘッド3を構成する各部品またはユニットを示した分解斜視図である。液体吐出ユニット300、液体供給ユニット220および電気配線基板90が筺体80に取り付けられている。液体供給ユニット220には液体接続部111(図3参照)が設けられるとともに、液体供給ユニット220の内部には、供給されるインク中の異物を取り除くため、液体接続部111の各開口と連通する各色別のフィルタ221(図2、図3参照)が設けられる。2つの液体供給ユニット220は、それぞれに2色分ずつのフィルタ221が設けられている。液体は、フィルタ221を通過する際に異物が取り除かれ、それぞれの色に対応して液体供給ユニット220上に配置された圧力制御ユニット230へ供給される。圧力制御ユニット230は、各色の圧力調整弁からなるユニットであり、それぞれの内部に設けられる弁やバネ部材などの働きで液体の流量の変動に伴って生じる液体吐出装置1000の供給系内(液体吐出ヘッド3の上流側の供給系)の圧損変化を大幅に減衰させる。これによって圧力制御ユニット230は、圧力制御ユニットよりも下流側(液体吐出ユニット300側)の負圧変化をある一定範囲内で安定化させることが可能である。各色の圧力制御ユニット230内には、図2で記述したように各色2つの圧力調整弁が内蔵されている。2つの圧力調整弁は、それぞれ異なる制御圧に設定され、高圧側が液体吐出ユニット300内の共通供給流路211(図2参照)、低圧側が共通回収流路212(図2参照)と液体供給ユニット220を介して連通している。
筐体80は、液体吐出ユニット支持部81および電気配線基板支持部82とから構成され、液体吐出ユニット300および電気配線基板90を支持するとともに、液体吐出ヘッド3の剛性を確保している。電気配線基板支持部82は、電気配線基板90を支持するためのものであり、液体吐出ユニット支持部81にネジ止めによって固定されている。液体吐出ユニット支持部81は、液体吐出ユニット300の反りや変形を矯正して、複数の記録素子基板10の相対位置精度を確保する役割を有し、それにより記録物におけるスジやムラを抑制する。そのため液体吐出ユニット支持部81は、十分な剛性を有することが好ましく、材質としてはSUSやアルミなどの金属材料、もしくはアルミナなどのセラミックが好適である。液体吐出ユニット支持部81には、ジョイントゴム100が挿入される開口83、84が設けられている。液体供給ユニット220から供給される液体は、ジョイントゴムを介して液体吐出ユニット300を構成する第3流路部材70へと導かれる。
液体吐出ユニット300は、複数の吐出モジュール200、流路部材210からなり、液体吐出ユニット300の記録媒体側の面にはカバー部材130が取り付けられる。ここで、カバー部材130は、図6に示したように長尺の開口131が設けられた額縁状の表面を持つ部材であり、開口131からは吐出モジュール200に含まれる記録素子基板10および封止材部110(後述する図10参照)が露出している。開口131の周囲の枠部は、記録待機時に液体吐出ヘッド3をキャップするキャップ部材の当接面としての機能を有する。このため、開口131の周囲に沿って接着剤、封止材、充填材等を塗布し、液体吐出ユニット300の吐出口面上の凹凸や隙間を埋めることで、キャップ時に閉空間が形成されるようにすることが好ましい。
次に、液体吐出ユニット300に含まれる流路部材210の構成について説明する。図6に示したように流路部材210は、第1流路部材50、第2流路部材60および第3流路部材70を積層したものであり、液体供給ユニット220から供給された液体を各吐出モジュール200へと分配する。また流路部材210は、吐出モジュール200から環流する液体を液体供給ユニット220へと戻すための流路部材である。流路部材210は、液体吐出ユニット支持部81にネジ止めで固定されており、それにより流路部材210の反りや変形が抑制されている。
図7(a)〜(f)は、第1〜第3流路部材の各流路部材の表面と裏面を示した図である。図7(a)は、第1流路部材50の、吐出モジュール200が搭載される側の面を示し、図7(f)は、第3流路部材70の、液体吐出ユニット支持部81と当接する側の面を示す。第1流路部材50と第2流路部材60とは、夫々の流路部材の当接面である図7(b)と図7(c)が対向するように接合し、第2流路部材と第3流路部材とは、夫々の流路部材の当接面である図7(d)と図7(e)が対向するように接合する。第2流路部材60と第3流路部材70とを接合することにより、共通流路溝62と71とが、流路部材の長手方向に延在する8本の共通流路(211a、211b、211c、211d、212a、212b、212c、212d)を形成する。これにより色毎に共通供給流路211と共通回収流路212のセットが流路部材210内に形成される。共通供給流路211から液体吐出ヘッド3にインクが供給されて、液体吐出ヘッド3に供給されたインクは共通回収流路212によって回収される。第3流路部材70の連通口72(図7(f)参照)は、ジョイントゴム100の各穴と連通しており、液体供給ユニット220(図6参照)と流体的に流通している。第2流路部材60の共通流路溝62の底面には、連通口61(共通供給流路211と連通する連通口61−1、共通回収流路212と連通する連通口61−2)が複数形成されており、第1流路部材50の個別流路溝52の一端部と連通している。第1流路部材50の個別流路溝52の他端部には連通口51が形成されており、連通口51を介して複数の吐出モジュール200と流体的に連通している。この個別流路溝52により流路部材の中央側へ流路を集約することが可能となる。
第1〜第3流路部材は、液体に対して耐腐食性を有するとともに、線膨張率の低い材質からなることが好ましい。材質としては例えば、アルミナや、LCP(液晶ポリマー)、PPS(ポリフェニルサルファイド)やPSF(ポリサルフォン)を母材としてシリカ微粒子やファイバーなどの無機フィラーを添加した複合材料(樹脂材料)を好適に用いることができる。流路部材210の形成方法としては、3つの流路部材を積層させて互いに接着してもよいし、材質として樹脂複合樹脂材料を選択した場合には、溶着による接合方法を用いてもよい。
図8は、図7(a)のα部を示しており、第1〜第3流路部材を接合して形成される流路部材210内の流路を第1の流路部材50の、吐出モジュール200が搭載される面側から一部を拡大して示した透視図である。共通供給流路211と共通回収流路212とは、両端部の流路からそれぞれ交互に共通供給流路211と共通回収流路212とが配置されている。ここで、流路部材210内の各流路の接続関係について説明する。
流路部材210には、色毎に液体吐出ヘッド3の長手方向に伸びる共通供給流路211(211a、211b、211c、211d)および共通回収流路212(212a、212b、212c、212d)が設けられている。各色の共通供給流路211には、個別流路溝52によって形成される複数の個別供給流路(213a、213b、213c、213d)が連通口61を介して接続されている。また、各色の共通回収流路212には、個別流路溝52によって形成される複数の個別回収流路(214a、214b、214c、214d)が連通口61を介して接続されている。このような流路構成により各共通供給流路211から個別供給流路213を介して、流路部材の中央部に位置する記録素子基板10にインクを集約することができる。また記録素子基板10から個別回収流路214を介して、各共通回収流路212にインクを回収することができる。
図9は、図8のIX−IXにおける断面を示した図である。それぞれの個別回収流路(214a、214c)は連通口51を介して、吐出モジュール200と連通している。図9では個別回収流路(214a、214c)のみ図示しているが、別の断面においては図8に示すように個別供給流路213と吐出モジュール200とが連通している。各吐出モジュール200に含まれる支持部材30および記録素子基板10には、第1流路部材50からのインクを記録素子基板10に設けられる記録素子15に供給するための流路が形成されている。更に、支持部材30および記録素子基板10には、記録素子15に供給した液体の1部または全部を第1流路部材50に回収(環流)するための流路が形成されている。
ここで、各色の共通供給流路211は、対応する色の圧力制御ユニット230(高圧側)と液体供給ユニット220を介して接続されており、また共通回収流路212は圧力制御ユニット230(低圧側)と液体供給ユニット220を介して接続されている。この圧力制御ユニット230により、共通供給流路211と共通回収流路212間に差圧(圧力差)を生じさせるようになっている。このため、図8および図9に示したように、各流路を接続した本実施形態の液体吐出ヘッド内では、各色で共通供給流路211〜個別供給流路213〜記録素子基板10〜個別回収流路214〜共通回収流路212へと順に流れる流れが発生する。
(吐出モジュールの説明)
図10(a)は、1つの吐出モジュール200を示した斜視図であり、図10(b)は、その分解図である。吐出モジュール200の製造方法としては、まず記録素子基板10およびフレキシブル配線基板40を、予め液体連通口31が設けられた支持部材30上に接着する。その後、記録素子基板10上の端子16と、フレキシブル配線基板40上の端子41とをワイヤーボンディングによって電気接続し、その後にワイヤーボンディング部(電気接続部)を封止部材110で覆って封止する。フレキシブル配線基板40の記録素子基板10と反対側の端子42は、電気配線基板90の接続端子93(図6参照)と電気接続される。支持部材30は、記録素子基板10を支持する支持体であるとともに、記録素子基板10と流路部材210とを流体的に連通させる流路部材であるため、平面度が高く、また十分に高い信頼性をもって記録素子基板と接合できるものが好ましい。材質としては例えばアルミナや樹脂材料が好ましい。
(記録素子基板の構造の説明)
図11(a)は記録素子基板10の吐出口13が形成される側の面の平面図を示し、図11(b)は、図11(a)のXIBで示した部分の拡大図を示し、図11(c)は、図11(a)の裏面の平面図を示す。ここで、本実施形態における記録素子基板10の構成について説明する。図11(a)に示すように、記録素子基板10の吐出口形成部材12に、各インク色に対応する4列の吐出口列が形成されている。なお、以後、複数の吐出口13が配列される吐出口列が延びる方向を「吐出口列方向」と呼称する。図11(b)に示すように、各吐出口13に対応した位置には液体を熱エネルギにより発泡させるための発熱素子である記録素子15が配置されている。隔壁22により、記録素子15を内部に備える圧力室23が区画されている。記録素子15は、記録素子基板10に設けられる電気配線(不図示)によって、端子16と電気的に接続されている。そして記録素子15は、液体吐出装置1000の制御回路から、電気配線基板90(図6参照)およびフレキシブル配線基板40(図10参照)を介して入力されるパルス信号に基づいて発熱して液体を沸騰させる。この沸騰による発泡の力で液体を吐出口13から吐出する。図11(b)に示すように、各吐出口列に沿って、一方の側には液体供給路18が、他方の側には液体回収路19が延在している。液体供給路18および液体回収路19は記録素子基板10に設けられた吐出口列方向に伸びた流路であり、それぞれ供給口17a、回収口17bを介して吐出口13と連通している。
図11(c)に示すように、記録素子基板10の、吐出口13が形成される面の裏面にはシート状のカバープレート20が積層されており、カバープレート20には、後述する液体供給路18および液体回収路19に連通する開口21が複数設けられている。本実施形態においては、液体供給路18の1本に対して3個、液体回収路19の1本に対して2個の開口21がカバープレート20に設けられている。図11(b)に示すようにカバープレート20の夫々の開口21は、図7(a)に示した複数の連通口51と連通している。カバープレート20は、液体に対して十分な耐食性を有している物が好ましく、また、混色防止の観点から、開口21の開口形状および開口位置には高い精度が求められる。このためカバープレート20の材質として、感光性樹脂材料やシリコン板を用い、フォトリソプロセスによって開口21を設けることが好ましい。このようにカバープレート20は、開口21により流路のピッチを変換するものであり、圧力損失を考慮すると厚みは薄いことが望ましく、フィルム状の部材で構成されることが望ましい。
図12は、図11(a)におけるXII−XIIの断面を示す斜視図である。ここで、記録素子基板10内での液体の流れについて説明する。カバープレート20は、記録素子基板10の基板11に形成される液体供給路18および液体回収路19の壁の一部を形成する蓋としての機能を有する。記録素子基板10は、Siにより形成される基板11と感光性の樹脂により形成される吐出口形成部材12とが積層されており、基板11の裏面にはカバープレート20が接合されている。基板11の一方の面側には、記録素子15が形成されており(図11参照)、その裏面側には、吐出口列に沿って延在する液体供給路18および液体回収路19を構成する溝が形成されている。基板11とカバープレート20とによって形成される液体供給路18および液体回収路19は、それぞれ流路部材210内の共通供給流路211と共通回収流路212と接続されており、液体供給路18と液体回収路19との間には差圧が生じている。吐出口13から液体を吐出して記録を行っている際に、吐出を行っていない吐出口では、この差圧によって基板11内に設けられた液体供給路18内の液体が、供給口17a、圧力室23、回収口17bを経由して液体回収路19へ流れる(図12の矢印C)。この流れによって、記録を休止している吐出口13や圧力室23において、吐出口13からの蒸発によって生じる増粘インク、泡および異物などを液体回収路19へ回収することができる。また吐出口13や圧力室23のインクが増粘するのを抑制することができる。液体回収路19へ回収された液体は、カバープレート20の開口21および支持部材30の液体連通口31(図10b参照)を通じて、流路部材210内の連通口51、個別回収流路214、共通回収流路212の順に回収される。つまり、記録装置本体から液体吐出ヘッド3へ供給される液体は、下記の順に流動し、供給および回収される。
液体は、まず液体供給ユニット220の液体接続部111から液体吐出ヘッド3の内部に流入する。そして液体は、ジョイントゴム100、第3流路部材に設けられた連通口72および共通流路溝71、第2流路部材に設けられた共通流路溝62および連通口61、第1流路部材に設けられた個別流路溝52および連通口51の順に供給される。その後、支持部材30に設けられた液体連通口31、カバープレート20に設けられた開口21、基板11に設けられた液体供給路18および供給口17aを順に介して圧力室23に供給される。圧力室23に供給された液体のうち、吐出口13から吐出されなかった液体は、基板11に設けられた回収口17bおよび液体回収路19、カバープレート20に設けられた開口21、支持部材30に設けられた液体連通口31を順に流れる。その後液体は、第1流路部材に設けられた連通口51および個別流路溝52、第2流路部材に設けられた連通口61および共通流路溝62、第3流路部材70に設けられた共通流路溝71および連通口72、ジョイントゴム100を順に流れる。そして液体は、液体供給ユニット220に設けられた液体接続部111から液体吐出ヘッド3の外部へ流動する。
図2に示す比較例としての循環形態の形態においては、液体接続部111から流入した液体は、圧力制御ユニット230を経由した後にジョイントゴム100に供給される。また図3に示す第1循環形態の形態においては、圧力室23から回収された液体は、ジョイントゴム100を通過した後、圧力制御ユニット230を介して液体接続部111から液体吐出ヘッドの外部へ流動する。また液体吐出ユニット300の共通供給流路211の一端から流入した全ての液体が、個別供給流路213を経由して圧力室23に供給されるわけではない。つまり、共通供給流路211の一端から流入した液体で、個別供給流路213に流入することなく、共通供給流路211の他端から液体供給ユニット220に流動する液体もある。このように、記録素子基板10を経由することなく流動する経路を備えることで、本実施形態のような微細で流抵抗の大きい流路を備える記録素子基板10を備える場合であっても、液体の循環流の逆流を抑制することができる。このように、本実施形態の液体吐出ヘッド3では、圧力室23や吐出口近傍部の液体の増粘を抑制することができるので、吐出のヨレや不吐出を抑制することができ、結果として高画質な記録を行うことができる。
(記録素子基板間の位置関係の説明)
図13は、隣り合う2つの吐出モジュールにおける、記録素子基板の隣接部を部分的に拡大して示した平面図である。本実施形態では略平行四辺形の記録素子基板を用いている。各記録素子基板10における吐出口13が配列される各吐出口列(14a〜14d)は、記録媒体の搬送方向に対し一定角度傾くように配置されている。そして、記録素子基板10同士の隣接部における吐出口列は、少なくとも1つの吐出口が記録媒体の搬送方向にオーバーラップするようになっている。図13では、線D上の2つの吐出口が互いにオーバーラップする関係にある。このような配置によって、仮に記録素子基板10の位置が所定位置から多少ずれた場合でも、オーバーラップする吐出口の駆動制御によって、記録画像の黒スジや白抜けを目立たなくすることができる。複数の記録素子基板10を千鳥配置ではなく、直線状(インライン)に配置した場合も、図13と同様に液体吐出ヘッド3の記録媒体の搬送方向の長さの増大を抑えつつ記録素子基板10同士のつなぎ部における黒スジや白抜け対策を行うことができる。なお、本実施形態では記録素子基板の主平面は平行四辺形であるが、これに限るものではなく、例えば長方形、台形、その他形状の記録素子基板を用いた場合でも、本発明の構成を好ましく適用することができる。
(圧力制御ユニットの構造の説明)
図15(a)(b)は、第1の循環形態で用いられる圧力制御ユニット230(背圧弁)を示した外観斜視図であり、図15(c)はその断面図である。低圧設定側の圧力調整機構230Lも制御圧(バネの初期荷重)が異なるだけで他は同一構成のものが用いられるため、圧力調整機構230Lの説明を割愛する。図15における圧力調整機構230Hの動作原理は、一般に「背圧弁」と呼ばれるものと同様である。図15(b)は、圧力調整機構230Hの内部を見やすくするために受圧板231および可撓性フィルム232を不図示にした状態を示している。図15(c)は図15(a)におけるXVC−XVCの断面を示した図である。
図15(b)および(c)に示されるように、圧力調整機構230Hは、受圧板231と、液体吐出ヘッド3が接続される上流側に設けられる第1圧力室233と、受圧板231と第1圧力室233とを流体的にシールする可撓性フィルム232とから構成される。本実施形態において、受圧板231は、第1圧力室内のインクの増減に応じて変位し、可撓性部材である可撓性フィルム232と接合される。また、第1圧力室233には、受圧板231とシャフト234とによって連結された弁235(バルブ)と、弁235に嵌合するオリフィス236がある。本実施形態のオリフィス236は、第1圧力室233と第2圧力室238との連通部に設けられている。シャフト234と、弁235と、受圧板231とは一体となって動く必要があり、接着剤や嵌合穴などで接合されている。また受圧板231および弁235は付勢部材237(バネ)によって、弁235が閉塞する方向に付勢されている。
図15(c)において、弁235はオリフィス236よりも上流側に設けられており、受圧板231が上方に移動するとオリフィス236と弁235との間のギャップが開放する。圧力調整機構230Hの流入口(Inlet)から入ったインクは、第1圧力室233へと流入し、その圧力を受圧板231へと伝達する。その後、インクは、オリフィス236と弁235との間のギャップを通過し、圧力調整機構230Hの流出口(Outlet)から液体吐出ヘッド3へと排出される。
各圧力室内の制御圧力は、各部に加わる力の釣り合いを示す下記の関係式から決定される。付勢部材237であるバネの力を変更することで、P1を所望の制御圧力に設定することができる。バネの力を変更するには、バネ定数Kを変更するか、動作時のバネ長さを変更する。動作時のバネ長さを変更するには、例えば図15(c)において、付勢部材237がケース側に当接する掘り込み部の深さを変更すれば良い。
P1=P0―(P2Sv+Kx)/Sd ・・・(式1)
ここでSd:受圧板面積、Sv:バルブ部の受圧面積
P0:大気圧、P1:圧力室内の圧力、P2:オリフィス下流側の圧力
K:バネ定数、x:バネ変位
式1の右辺第二項は常に正の値を取るため、P1<P0となり、P1は必ず負圧となる。
またバルブ部流抵抗をR、圧力調整機構230H内を通過する流量をQとすると、次式が成立する。
P2=P1-QR・・・(式2)
ここで、バルブ部流抵抗Rと、バルブ部開度は例えば図14のような関係になるように設計する。即ち、バルブ部開度の増大とともに流抵抗Rは低下する。
(式1)と(式2)が同時に成立するようにバルブ位置が決まることで、P1が決定される。圧力調整機構230Hに流入する流量が増加した場合、圧力調整機構230Hの下流に接続されているバッファタンク1003内の圧力は一定であるので、流量が増大したことによる圧力制御ユニット230〜バッファタンク1003間の流抵抗増加分だけ、P2は上昇する。このためバルブを開放する力P2Svが増加し、(式1)よりP1が瞬時的に低下する。
また(式2)からR=(P1―P2)/Qが導出される。ここでQ、P2は増加、P1は低下しているので、Rは低下することになる。Rが低下すると、バルブ開度が増加する。図15(c)から判るように、バルブ開度が増加すると付勢部材237長は大きくなるため、自由長からの変位であるxは低下する。このためバネの作用力kxは小さくなる。このため(式1)からP1は瞬時的に増加する。P1が瞬時的に増加すると、上述とは逆の作用により、P1が瞬時的に減少する。これが瞬時的に繰り返されることで、流量Qに応じて弁開度が変化しつつ(式1)(式2)を両立する結果、P1が一定に制御される。
(インク充填時の説明)
次に、本実施形態の液体吐出装置1000にインクを充填する操作について説明する。図16は、本実施形態におけるインク充填時の圧力調整機構230Hの構成を示す断面図である。本実施例では、第2の循環形態で用いられる圧力調整機構230Hを例に説明するが、第1の循環形態で用いられる圧力調整機構230Hであっても同様に構成することができる。低圧設定側の圧力調整機構230Lも制御圧(バネの初期荷重)が異なるだけで他は同一構成のものが用いられるため、圧力調整機構230Lの説明を割愛する。
本実施形態において、液体吐出ヘッド3の共通供給流路211、共通回収流路212、および個別流路215内にインクを充填する際、まず補充ポンプ1005を駆動して、所定量のインクをメインタンク1006からバッファタンク1003へ移送する。
次いで、図16に示されるように、拘束板241の一端が受圧板231に当接し弁235が閉鎖するように、ネジ242を調整して拘束板241の位置を固定する。拘束板241の他端はネジ242を介して保持部材243に連結されている。保持部材243は圧力調整機構230H本体に固定されており、拘束板241を固定する。拘束板241と、ネジ242と、保持部材243とは、第1循環ポンプ1001、1002および第2循環ポンプ1004からの加圧によって受圧板231が受ける圧力に対して、受圧板231の変形を小さくさせる剛性を備える。本実施形態では、拘束板241の位置固定のために、ネジ242を用いたが、その他手動式のレバー機構やモーター等を用いてもよい。
次いで、第1循環ポンプ1001、1002および第2循環ポンプ1004を駆動して循環経路内のインクを加圧することにより、液体吐出ヘッド3の共通供給流路211、共通回収流路212、および個別流路215内にインクを充填する。循環ポンプ1001〜1004が駆動する際、圧力調整機構230Hの受圧板231は、拘束板241によって弁235を閉鎖されているため、圧力調整機構内の圧力が上昇しても弁235は開放されることがない。そのため液体吐出ヘッド3内の流路を加圧状態に維持してインクを充填することができる。液体吐出ヘッド3内の流路にインクが充填された後、ネジ242を開放して拘束板241を受圧板231から離間させる。すると、弁235が開となり、インクが圧力制御ユニット230(圧力調整機構230H、圧力調整機構L)およびバッファタンク1003への循環流路に充填される。
圧力調整機構230Hに、拘束板241、ネジ242、保持部材243などの強制閉塞機構を用いることにより、インク循環経路に別途バルブなどを設けることなく液体吐出装置1000内にインクを充填することができる。かかる構成により、液体吐出装置1000にインクを補充する際に、液体吐出ヘッド内を印加するための機構を必要とすることがないため、コストアップと装置構造の複雑化とを抑制することができる。
(実施形態2)
以下、図面を参照して本発明の実施形態2による液体吐出装置2000および液体吐出ヘッド2003の構成を説明する。なお以降の説明においては、主として実施形態1と異なる部分のみを説明し、実施形態1と同様の部分については説明を省略する。
(液体吐出装置の説明)
図17は、本実施形態を適用可能な、液体を吐出して記録を行う液体吐出装置2000を示した図である。本実施形態の液体吐出装置2000は、シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックKのインクごとに対応した単色用の液体吐出ヘッド2003を4つ並列配置させることで記録媒体へフルカラー記録を行う点が実施形態1とは異なる。実施形態1において1色あたりに使用できる吐出口列数が1列だったのに対し、本実施形態においては、1色あたりに使用できる吐出口列数は20列となっている。このため、記録データを複数の吐出口列に適宜振り分けて記録を行うことで、非常に高速な記録が可能となる。更に、不吐出になる吐出口があったとしても、その吐出口に対して記録媒体の搬送方向に対応する位置にある、他列の吐出口から補間的に吐出を行うことで信頼性が向上し、商業記録などに好適である。実施形態1と同様に、各液体吐出ヘッド2003に対して、液体吐出装置2000の供給系、バッファタンク1003(図2、図3参照)およびメインタンク1006(図2、図3参照)が流体的に接続されている。また、それぞれの液体吐出ヘッド2003には、液体吐出ヘッド2003へ電力および吐出制御信号を伝送する電気制御部が電気的に接続されている。
(循環経路の説明)
実施形態1と同様に、液体吐出装置2000および液体吐出ヘッド2003間の液体循環経路としては、実施形態1同様、図2または図3に示した第1循環形態を用いることができる。
(液体吐出ヘッド構造の説明)
図18(a)および(b)は、本実施形態に係る液体吐出ヘッド2003を示した斜視図である。ここで、本実施形態に係る液体吐出ヘッド2003の構造について説明する。液体吐出ヘッド2003は、液体吐出ヘッド2003の長手方向に直線状に配列される16個の記録素子基板2010を備え、1色の液体で記録が可能なインクジェット式のページワイド型記録ヘッドである。液体吐出ヘッド2003は、実施形態1と同様、液体接続部111、信号入力端子91および電力供給端子92を備える。しかしながら本実施形態の液体吐出ヘッド2003は、実施形態1に比べて吐出口列が多いため、液体吐出ヘッド2003の両側に信号入力端子91および電力供給端子92が配置されている。これは記録素子基板2010に設けられる配線部で生じる電圧低下や信号伝送遅れを低減するためである。
図19は、液体吐出ヘッド2003を示した斜視分解図であり、液体吐出ヘッド2003を構成する各部品またはユニットがその機能毎に分割して示している。各ユニットおよび部材の役割や液体吐出ヘッド内の液体流通の順は、基本的に実施形態1と同様であるが、液体吐出ヘッドの剛性を担保する機能が異なる。実施形態1では主として液体吐出ユニット支持部81によって液体吐出ヘッド剛性を担保していたが、実施形態2の液体吐出ヘッド2003では、液体吐出ユニット2300に含まれる第2流路部材2060によって液体吐出ヘッドの剛性を担保している。本実施形態における液体吐出ユニット支持部81は、第2流路部材2060の両端部に接続されており、この液体吐出ユニット2300は液体吐出装置2000のキャリッジと機械的に結合されて、液体吐出ヘッド2003の位置決めを行う。圧力制御ユニット2230を備える液体供給ユニット2220と、電気配線基板90は、液体吐出ユニット支持部81に結合される。2つの液体供給ユニット2220内にはそれぞれフィルタ(不図示)が内蔵されている。
2つの圧力制御ユニット2230は、それぞれ異なる、相対的に高低の圧力を制御するように設定されている。また、図18のように、液体吐出ヘッド2003の両端部にそれぞれ、高圧側と低圧側の圧力制御ユニット2230を設置した場合、液体吐出ヘッド2003の長手方向に延在する共通供給流路と共通回収流路における液体の流れが互いに対向する。このような構成では、共通供給流路と共通回収流路の間で熱交換が促進されて、2つの共通流路内における温度差が低減される。これによって、共通流路に沿って複数設けられる各記録素子基板2010における温度差が少なくなり、温度差による記録ムラが生じにくくなるという利点がある。
次に、液体吐出ユニット2300の流路部材2210の詳細について説明する。図19に示すように流路部材2210は、第1流路部材2050と第2流路部材2060とを積層したものであり、液体供給ユニット2220から供給された液体を各吐出モジュール2200へと分配する。また流路部材2210は、吐出モジュール2200から環流する液体を液体供給ユニット2220へと戻すための流路部材として機能する。流路部材2210の第2流路部材2060は、内部に共通供給流路および共通回収流路が形成された流路部材であるとともに、液体吐出ヘッド2003の剛性を主に担うという機能を有する。このため、第2流路部材2060の材質としては、液体に対する十分な耐食性と高い機械強度を有するものが好ましい。具体的にはSUSやTi、アルミナなど用いることができる。
図20(a)は、第1流路部材2050の、吐出モジュール2200がマウントされる面を示した図であり、図20(b)は、その裏面を示しており、第2流路部材2060と当接される面を示した図である。実施形態1とは異なり、本実施形態における第1流路部材2050は、各吐出モジュール2200毎に対応した複数の部材を隣接して配列したものである。このように分割した構造を採ることで、複数のモジュールを配列させて、液体吐出ヘッド2003の長さに対応することができるので、例えばB2サイズおよびそれ以上の長さに対応した比較的ロングスケールの液体吐出ヘッドに特に好適に適用することができる。図20(a)に示すように、第1流路部材2050の連通口51は、吐出モジュール2200と流体的に連通し、図20(b)に示すように、第1流路部材2050の個別連通口53は、第2流路部材2060の連通口61と流体的に連通する。図20(c)は、第2流路部材60の、第1流路部材2050と当接される面を示し、図20(d)は、第2流路部材60の厚み方向中央部の断面を示し、図20(e)は、第2流路部材2060の、液体供給ユニット2220と当接する面を示す図である。第2流路部材2060の流路や連通口の機能は、実施形態1の1色分と同様である。第2流路部材2060の共通流路溝71は、その一方が後述する図21に示す共通供給流路2211であり、他方が共通回収流路2212であり、夫々、液体吐出ヘッド2003の長手方向に沿って設けられており、その一端側から他端側に液体が供給される。本実施形態は実施形態1と異なり、共通供給流路2211と共通回収流路2212の液体の流れは互いに反対方向となっている。
図21は、記録素子基板2010と流路部材2210との液体の接続関係を示した透視図である。流路部材2210内には、液体吐出ヘッド2003の長手方向に延びる一組の共通供給流路2211および共通回収流路2212が設けられている。第2流路部材2060の連通口61は、各々の第1流路部材50の個別連通口53と位置を合わせて接続され、第2流路部材2060の連通口72から共通供給流路2211を介して第1流路部材2050の連通口51へと連通する液体供給経路を形成している。同様に、第2流路部材2060の連通口72から共通回収流路2212を介して第1流路部材2050の連通口51へと連通する液体供給経路も形成されている。
図22は、図21のXXII−XXII線における断面を示した図である。共通供給流路2211は、連通口61、個別連通口53、連通口51を介して、吐出モジュール2200へ接続されている。図22では不図示であるが、別の断面においては、共通回収流路2212が同様の経路で吐出モジュール2200へ接続されていることは、図21を参照すれば明らかである。実施形態1と同様に、各吐出モジュール2200および記録素子基板2010には、各吐出口に連通する流路が形成されており、供給した液体の一部または全部が、吐出動作を休止している吐出口を通過して、環流できるようになっている。また実施形態1と同様に、共通供給流路2211は、圧力制御ユニット2230(高圧側)と、共通回収流路2212は圧力制御ユニット2230(低圧側)と液体供給ユニット2220を介して接続されている。従ってその差圧によって、共通供給流路2211から記録素子基板2010の吐出口を通過して共通回収流路2212へと流れる流れが発生する。
(吐出モジュールの説明)
図23(a)は、1つの吐出モジュール2200を示した斜視図であり、図23(b)は、その分解図である。実施形態1との差異は、記録素子基板2010の複数の吐出口列方向に沿った両辺部(記録素子基板2010の各長辺部)に複数の端子16がそれぞれ配置されている点である。これに伴い記録素子基板2010と電気接続されるフレキシブル配線基板40も、1つの記録素子基板2010に対して2枚配置されている。これは記録素子基板2010に設けられる吐出口列数が20列あり、実施形態1の8列よりも大幅に増加しているためであり、端子16から記録素子までの最大距離を短くして記録素子基板2010内の配線部で生じる電圧低下や信号遅れを低減するためである。また支持部材2030の液体連通口31は、記録素子基板2010に設けられ全吐出口列を跨るように開口している。その他の点は、実施形態1と同様である。
(記録素子基板の構造の説明)
図24(a)は、記録素子基板2010の吐出口13が配される面の模式図であり、図24(c)は、図24(a)の面の裏面を示す模式図である。図24(b)は図24(c)において、記録素子基板2010の裏面側に設けられているカバープレート2020を除去した場合の記録素子基板2010の面を示す模式図である。図24(b)に示すように、記録素子基板2010の裏面には吐出口列方向に沿って、液体供給路18と液体回収路19とが交互に設けられている。吐出口列数は、実施形態1よりも大幅に増加しているものの、実施形態1との本質的な差異は、前述のように端子16が記録素子基板の吐出口列方向に沿った両辺部に配置されていることである。各吐出口列毎に一組の液体供給路18と液体回収路19が設けられていること、カバープレート2020に、支持部材2030の液体連通口31と連通する開口21が設けられていることなど、基本的な構成は実施形態1と同様である。
なお、上記実施形態の記載は本発明の範囲を限定するものではない。1例として、本実施形態では発熱素子により気泡を発生させて液体を吐出するサーマル方式について説明したが、ピエゾ方式およびその他の各種液体吐出方式が採用された液体吐出ヘッドにも本発明を適用することができる。
本実施形態は、インク等の液体をタンクと液体吐出ヘッドとの間で循環させる形態の液体吐出装置(記録装置)について説明したが、その他の形態であってもよい。その他の形態は、例えばインクを循環せずに、液体吐出ヘッド上流側と下流側に2つのタンクを設け、一方のタンクから他方のタンクへインクを流すことで、圧力室内のインクを流動させる形態であってもよい。
また本実施形態は、記録媒体の幅に対応した長さを有する、所謂ページワイド型ヘッドを用いる例を説明したが、記録媒体に対してスキャンを行いながら記録を行う、所謂シリアル型の液体吐出ヘッドにも本発明を適用することができる。シリアル型の液体吐出ヘッドとしては、例えばブラックインクを吐出する記録素子基板およびカラーインクを吐出する記録素子基板を各1つずつ搭載する構成が挙げられるが、これに限るのもではない。つまり、複数個の記録素子基板を吐出口列方向に吐出口がオーバーラップするよう配置した、記録媒体の幅よりも短い短尺の液体吐出ヘッドを作成し、それを記録媒体に対してスキャンさせる形態であってもよい。
(実施形態3)
以下、図面を参照して本発明の実施形態3による液体吐出ヘッド3300などの構成を説明する。なお以降の説明においては、主として実施形態1,2と異なる部分のみを説明し、実施形態1,2と同様の部分については説明を省略する。
(循環形態の説明)
図25は、本実施形態の液体吐出装置に適用される循環形態を示す模式図である。上述した第1循環形態との主な相違点は、液体吐出ヘッド3300内の構成が異なる点、バッファタンク1003から供給されるインクが単一の流路を経由して液体吐出ヘッド3300に到達する点である。これに伴い、液体吐出ヘッド3300の上流側に位置するフィルタ3221と、液体吐出ヘッド3300の下流側に位置する圧力調整機構3230とが、それぞれ単一構成になっている点も第1循環形態との相違点である。なお、実施形態1,2と比較して、液体供給ユニット220、第2循環ポンプ1004などが削除されているが、これらを含む循環形態であってもよい。
第1循環形態と同様に、単位面積あたりの吐出量の変化によって生じる流量の差があっても、圧力調整機構3230は上流側(即ち液体吐出ヘッド3300側)の圧力変動を予め設定された圧力を中心として一定範囲内に安定させる。本実施形態の圧力調整機構3230は、図16で説明した圧力調整機構230と同様に動作する。
(液体吐出ヘッド構造の説明)
図26は、本実施形態の液体吐出ヘッド3300の構造を示した図である。図26(a)は本実施形態の液体吐出ヘッド3300の斜視図であり、図26(b)は図26(a)に示されるXXVIB−XXVIB線における断面図である。なお、図26(a)および図26(b)は、構造を理解し易くするために、FPCおよび封止材を省略して示されている。
本実施形態の液体吐出ヘッド3300は、複数の記録素子基板3010と、記録素子基板3010を支持するベース基板3310とを備える。図26(b)に示されるように、ベース基板内部にはインクを各記録素子基板へ供給するための共通流路3320が設けられている。
図27は、液体吐出ヘッド3300の内部構造を示す模式図である。図27に示されるように、液体吐出ヘッド3300の内部には、ベース基板3310の長手方向に沿って延びる共通流路3320が蛇行するように形成されている。共通流路3320には、液体吐出ヘッド3300外部のバッファタンク1003などと流体的に接続するインク流入口3321と、インク流出口3322と、記録素子基板3010にインクを供給するためのインク供給口3323とが形成されている。ベース基板3310は、複数枚の板状部材を積層して形成することにより共通流路3320を形成することができる。ベース基板3310は、液体吐出ヘッド3300が撓まないような剛性を備えることが好ましい。またベース基板3310は、インクに対して十分な耐腐食性を有することが必要であり、線膨張率の低い材質からなることが好ましい。例えば、ベース基板3310の材質として、アルミナ、樹脂材料、LCP(液晶ポリマー)やPPS(ポリフェニルサルファイド)やPSF(ポリサルフォン)を母材としてシリカ微粒子などの無機フィラーを添加した複合材料などを好適に用いることができる。図示されていないが、FPCはベース基板3310上に配置され、記録素子基板3010上の電極と電気的に接続される。
ベース基板3310は紙搬送方向(図26(a)に示される矢印方向)と交わる方向に延びており、複数の記録素子基板3010はベース基板3310の短手方向に互いに位置をずらされながら、ベース基板3310の長手方向に沿って千鳥配列されている。このように、本実施形態の液体吐出ヘッド3300はページワイド型液体吐出ヘッドである。なお、複数の記録素子基板3010の配置は千鳥配列に限定されず、例えば、ベース基板3310の長手方向に一直線状に配列されてもよい。あるいはベース基板3310の長手方向に対して各吐出口列が一定角度の傾きを有するように記録素子基板3010が配列され、かつそれぞれ記録素子基板3010の重心位置がベース基板3310の長手方向と平行になるように配列されていてもよい。
(記録素子基板の構造の説明)
図28は、本実施形態の記録素子基板3010の模式図であり、図29は図28におけるXXIX−XXIXでの記録素子基板3010の断面図である。
図28および図29に示されるように、記録素子基板3010は、複数の吐出口列が配列されてなる4つの吐出口部3011を有する。1つの吐出口部3011は2つの吐出口列を含んでいる。すなわち、それぞれの記録素子基板3010には8つの吐出口列が形成されている。
本実施形態では、吐出口部3011は、ベース基板3310の長手方向に延びているが実施形態はこれに限られない。例えば、吐出口部3011が、ベース基板3310の長手方向に傾いて延びていてもよい。
記録素子基板3010は、バブルジェット方式によりインクを吐出する。具体的には、図29に示されるように、記録素子基板3010は、流路形成部材3012と基板3013とを備える。流路形成部材3012には、インクを発泡させる発泡室3014と、インク滴を吐出するための吐出口3015と、が形成されている。
基板3013における発泡室3014に対応する位置には、エネルギ発生素子である発熱抵抗素子3016が配置されている。発熱抵抗素子3016は、吐出口列に沿って直線状に配置されており、吐出口3015は発熱抵抗素子3016の各々に対応して列状に配設されている。そして、基板3013は、流路形成部材3012とは反対の側の面に、ベース基板3310のインク供給口3323と連通するインク供給口3017を有する。1つのインク供給口3017は、複数の吐出口3015とも連通している。
基板3013の内部には、不図示の電気配線が形成されている。電気配線は、FPCの電極と電気的に接続され、不図示の外部制御回路から電極を介して基板3013にパルス電圧が入力されることにより、発熱抵抗素子3016が熱を発して発泡室3014内のインクが沸騰する。この沸騰によってインクが発泡し、インクは吐出口3015から吐出される。なお、本実施形態では記録素子基板3010の主平面は長方形であるが、本発明はこれに限るものではなく、例えば平行四辺形、台形、その他形状の記録素子基板を用いた場合でも、本発明の構成を好適に実現することができる。
図30は、本実施形態における循環経路において、印刷Dutyを変化させた場合のヘッド内の圧力分布の変化を示す図である。
流抵抗R、受圧板面積Sd、弁の受圧面積Sv、バネ定数Kはそれぞれ表1の通りに、そして循環ポンプ3001の流量を30mL/minに設定した。かかる設定により、液体吐出ヘッド3300のインク流出口3322から流出するインク流量は、印刷Duty0%時に30mL/minに、印刷Duty100%時に10mL/minになる。すなわち、一定量のインク流量を液体吐出ヘッド3300の上流側から送り込むので、記録に使用されるインク量(Max.20mL/min)を差し引いたインク流量が、液体吐出ヘッド3300から圧力調整機構3230へ流入する。この結果、圧力調整機構3230の流量範囲は10〜30(mL/min)となる。
また、バッファタンク1003内の内圧を−2000mmAq固定に設定し、弁開度とバルブ部流抵抗Rとの関係は、図14に示される関係となるように設定した。
図30から判るように、インク流量が変化すると、圧力調整機構3230〜バッファタンク1003間の圧損は、循環経路の接続部であるジョイント部や循環経路を構成するチューブの影響により可変する。そのため、圧力調整機構3230の入口位置での圧力P2が可変するが、出口位置での圧力P1は変わっておらず、圧力調整機構3230によって、液体吐出ヘッド3300の下流側の圧力が一定に制御されていることが判る。
このように、本実施形態の圧力調整機構3230は、圧力調整機構3230入口(即ちインク流出口3322)の圧力を一定に制御することができる。さらに、本実施形態の循環経路は、上述の実施形態2と同様に、液体吐出ヘッド3300の上流側にフィルタ3221が配置され、圧力調整機構3230は液体吐出ヘッド3300の下流側に配置されている。かかる構成により、液体吐出ヘッド3300のへの異物混入の恐れがない。
(比較例)
図31は、従来技術の液体吐出装置における循環形態を示す模式図である。従来技術の循環形態では、循環ポンプ3001は液体吐出ヘッド3300の下流側に配置されており、圧力調整機構3230は液体吐出ヘッド3300の上流側に配置されている。圧力調整機構3230は、いわゆる2次圧レギュレータと同様の構造であり、圧力調整機構3230よりも下流側の圧力を一定に維持するように動作する。
循環ポンプ3001の流量は30mL/minに設定した。このとき、液体吐出ヘッド3300のインク流出口3322から流出するインク流量は、印刷Duty0%時には30mL/min(図30の設定と同じ)となる。一方、印刷Duty100%時に液体吐出ヘッド3300のインク流入口3321に流入するインク流量は50mL/minとなる。すなわち、一定量のインク流量を液体吐出ヘッド3300の下流側から引き込むので、記録に使用されるインク量(Max.20mL/min)を足したインク流量が、圧力調整機構3230に流入する。この結果、圧力調整機構3230の流量範囲は30〜50(mL/min)となる。
比較例の圧力調整機構3230は、圧力調整機構3230の出口(即ちインク流入口3321)の圧力を一定に制御することができる。図31の循環形態において、圧力調整機構3230の出口で一定の範囲内に制御された圧力を、インク流入口3321までの経路で変動することを極力抑制するため、圧損の高いフィルタ3221は圧力調整機構3230の上流側に配置されている。かかる構成により、圧力調整機構3230内で発生した異物はフィルタ3221を通過することなく液体吐出ヘッド3300に到達するため、液体吐出ヘッド3300内に異物が混入する場合がある。
(液体吐出ヘッド内の圧力変動の比較)
図32、図33は、本実施形態および比較例における、共通流路3320内のそれぞれの圧力分布を示す図である。ここで、液体吐出ヘッド3300における記録素子基板(以下「chip」と記す場合がある)の搭載数は15個とし、記録素子基板3010へと通じる各インク供給口3323の流抵抗は0.2(mmAq・mL/min)とした。上述したように本実施形態と比較例とでは、記録待機時の循環流量が同じであるが、流量範囲が相違している。かかる構成により、液体吐出ヘッド3300内での最大圧力変動量に差が生じる。
図32、図33に示されるように、本実施形態ではΔP=108mmAqであるのに対して、比較例ではΔP=164mmAqであり、本実施形態の方が液体吐出ヘッド3300内の圧力変動を抑制できていることが判る。この圧力変動差は、インクの粘度が大きいほど大きくなるため、本実施形態の循環形態の方が、より多様なインクを用いて、高速かつ高画質な記録ができると言える。
なお、記録待機時の循環流量を低下させれば、比較例の構成でも本実施形態と同値の圧力変動を得ることはできる。但し、特にサーマル方式の液体吐出ヘッド3300では、色ムラを防止するためにサブヒータなどで温調制御を行っていることが多い。そのため、記録待機時において、インク循環流量を少量にすると、液体吐出ヘッド3300内の下流側の記録素子基板3010に供給されるインク温度が高くなり過ぎる。その結果、液体吐出ヘッド3300内の温度差が大きくなってしまい、記録媒体に出力される画像にムラを生じてしまうという問題が発生する。この問題は、吐出に必要な記録素子基板3010の電力や、液体吐出ヘッド3300内の熱抵抗値などで大小の差は発生するが、仮に同じ構成の液体吐出ヘッド3300を用いるのであれば待機時の循環量は同じに設計される。そのため、本実施形態の構成の方が比較例の構成よりも、圧力変動を必ず低く抑制できる。
なお、より長尺なフルページワイド型の液体吐出ヘッド3300内の圧力変動を抑制したい場合、液体吐出ヘッド3300の下流側に圧力調整機構3230を配置するのに加えて、液体吐出ヘッド3300の上流側に設けることも好ましい。かかる構成により、液体吐出ヘッド3300の上流側に配置された圧力調整機構3230に異物が混入する懸念があるものの、液体吐出ヘッド3300のインク流入口3321・インク流出口3322の圧力が一定に制御される。そのため、より長尺なフルページワイド型の液体吐出ヘッド3300であっても、共通流路3320内の圧力変動が抑制される。
3・・液体吐出ヘッド
10・・記録素子基板
211・・共通供給流路
212・・共通回収流路
213・・個別供給流路
214・・個別回収流路
221・・フィルタ
230・・圧力制御ユニット
230H・・圧力調整機構
230L・・圧力調整機構
1000・・液体吐出装置
1001・・第1循環ポンプ(高圧側)
1002・・第1循環ポンプ(低圧側)
1003・・バッファタンク
1004・・第2循環ポンプ
1005・・補充ポンプ
1006・・メインタンク

Claims (17)

  1. 液体を収容する液体収容容器と、
    液体を吐出する吐出口と、液体を吐出するためのエネルギを発生する記録素子を内部に備える圧力室と、を備える複数の記録素子基板と、
    前記複数の記録素子基板に液体を供給する共通供給流路と、
    前記液体収容容器と前記共通供給流路との間の経路中に設けられる、異物を取り除くための供給側フィルタと、
    前記共通供給流路より下流側の経路中に設けられる、前記共通供給流路の圧力を調整するための供給側圧力調整機構と、
    前記複数の記録素子基板から液体を回収する共通回収流路と、
    前記液体収容容器と前記共通回収流路との間の経路中に設けられる、異物を取り除くための回収側フィルタと、
    前記共通回収流路より下流側の経路中に設けられる、前記共通回収流路の圧力を調整するための回収側圧力調整機構と、
    を備えることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記共通供給流路と前記複数の記録素子基板とを連通する複数の個別供給流路と、
    前記複数の記録素子基板と前記共通回収流路とを連通する複数の個別回収流路と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記供給側圧力調整機構と前記回収側圧力調整機構とは、夫々異なる制御圧に設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記複数の記録素子基板と、前記共通供給流路と、を備える液体吐出ヘッドを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  5. 前記液体吐出ヘッドより下流側の経路中に、前記液体吐出ヘッドから前記液体収容容器へ液体を供給する送液手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
  6. 前記複数の記録素子基板と、前記共通供給流路と、前記共通回収流路と、前記供給側圧力調整機構と、前記回収側圧力調整機構と、を備える液体吐出ヘッドを有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  7. 前記液体収容容器内の液体は、前記供給側フィルタ、前記共通供給流路、前記圧力室、前記共通回収流路、前記回収側圧力調整機構をこの順に経由して前記液体収容容器に回収されることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  8. 前記液体収容容器内の液体は、前記圧力室を経由することなく、前記供給側フィルタ、前記共通供給流路、前記供給側圧力調整機構をこの順に経由して前記液体収容容器まで流れる経路と、
    前記圧力室を経由することなく、前記回収側フィルタ、前記共通回収流路、前記回収側圧力調整機構をこの順に経由して前記液体収容容器まで流れる経路と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  9. 前記供給側圧力調整機構と前記回収側圧力調整機構は共に背圧型圧力調整弁機構であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  10. 前記背圧型圧力調整弁機構は、
    第1圧力室と、
    前記第1圧力室より下流側に設けられる第2圧力室と、
    前記第1圧力室と前記第2圧力室との連通部に設けられるオリフィスと、
    前記第1圧力室内に設けられ、前記第1圧力室と前記第2圧力室と間の流抵抗を可変するバルブと、
    前記オリフィスと前記バルブとの間のギャップを閉塞する方向へ前記バルブを付勢する付勢部材と、
    前記第1圧力室内の液体の増減に応じて変位する受圧板と、
    を含むことを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
  11. 前記受圧板は前記変位を前記バルブに伝達し、前記バルブは前記変位に基づいて前記オリフィスと前記バルブとの間の前記ギャップを調整し、前記第1圧力室と前記第2圧力室との間の前記流抵抗を可変することを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。
  12. 前記供給側圧力調整機構または前記回収側圧力調整機構内における液体の経路を閉塞する強制閉塞手段をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
  13. 液体を収容する液体収容容器の液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、
    液体を吐出する吐出口と、液体を吐出するためのエネルギを発生する記録素子を内部に備える圧力室と、を備える複数の記録素子基板と、
    前記複数の記録素子基板に液体を供給する共通供給流路と、
    前記液体収容容器と前記共通供給流路との間の経路中に設けられる、異物を取り除くための供給側フィルタと、
    前記共通供給流路より下流側の経路中に設けられる、前記共通供給流路の圧力を調整するための供給側圧力調整機構と、
    前記複数の記録素子基板から液体を回収する共通回収流路と、
    前記液体収容容器と前記共通回収流路との間の経路中に設けられる、異物を取り除くための回収側フィルタと、
    前記共通回収流路より下流側の経路中に設けられる、前記共通回収流路の圧力を調整するための回収側圧力調整機構と、
    を備えることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  14. 前記供給側圧力調整機構と前記回収側圧力調整機構とは、夫々異なる制御圧に設定されることを特徴とする請求項13に記載の液体吐出ヘッド。
  15. 前記液体収容容器内の液体は、前記圧力室を経由することなく、前記供給側フィルタ、前記共通供給流路、前記供給側圧力調整機構をこの順に経由して前記液体収容容器まで流れる経路と、
    前記圧力室を経由することなく、前記回収側フィルタ、前記共通回収流路、前記回収側圧力調整機構をこの順に経由して前記液体収容容器まで流れる経路と、
    を有することを特徴とする請求項13に記載の液体吐出ヘッド。
  16. ページワイド型の液体吐出ヘッドであって、
    前記複数の記録素子基板は直線状に配列されていることを特徴とする請求項13から15のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  17. 前記圧力室内の液体は当該圧力室の外部との間で循環される、請求項13から16のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
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