JP7019328B2 - 液体吐出ヘッド - Google Patents
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Description
異なる種類(例えば異なる色)の液体が各チップへ供給される構成においては、異なる種類の液体同士が混ざり合うことが無いように、チップや基板等の接合部は流路ごとにシールされる必要がある。しかし特許文献1のように狭い領域に多数の流路が形成された構成においては、流路同士の間のシール領域が狭いため、流路ごとの信頼性の高いシールは困難である。
なお、インク等の液体を吐出する本発明の液体吐出ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に適用可能である。例えば、バイオチップ作製、電子回路印刷、半導体基板作製、3Dプリンタなどの用途としても用いることができる。
以下の実施形態の液体吐出装置は、インク等の液体をタンクと液体吐出ヘッドの間で循環させる形態のインクジェット記録装置(記録装置)であるが、その他の形態であっても良い。例えば、インクを循環せずに、液体吐出ヘッドの上流側と下流側に2つのタンクを設け、一方のタンクから他方のタンクへインクを流すことで、圧力室内のインクを流動させる形態であっても良い。
(インクジェット記録装置の説明)
本発明の、液体吐出装置、特にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置1000(以下、記録装置とも称する)の概略構成を図1に示す。記録装置1000は、被記録媒体2を搬送する搬送部1と、被記録媒体の搬送方向と略直交して配置されるライン型(ページワイド型)の液体吐出ヘッド3とを備えている。この記録装置1000は、複数の被記録媒体2を連続的もしくは間欠的に搬送しながら1パスで連続記録を行うライン型記録装置である。被記録媒体2はカット紙に限らず、連続したロール紙であってもよい。また、液体吐出ヘッド3から直接、紙等の媒体に吐出を行わず、まず中間転写体に液体を吐出して転写体上に像を形成した後に、その像を紙等の媒体上に転写を行う中間転写型の装置においても適用可能である。液体吐出ヘッド3はCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)インクによるフルカラー印刷が可能であり、後述するように液体を液体吐出ヘッドへ供給する供給路である液体供給手段、メインタンク、及びバッファタンク(図2)が流体的に接続される。また、液体吐出ヘッド3には、液体吐出ヘッド3へ電力及び吐出制御信号を伝送する電気制御部が電気的に接続される。吐出ヘッド3内における液体経路及び電気信号経路については後述する。
図2は、本実施形態の記録装置に適用される循環経路の一形態である第1の循環経路を示す模式図である。液体吐出ヘッド3を、第1循環ポンプ(高圧側)1001、第1循環ポンプ(低圧側)1002、及びバッファタンク1003等に流体的に接続した状態が示されている。なお図2では、説明を簡略化するためにCMYKインクのうちの1色のインクが流動する経路のみを示しているが、実際には4色分の循環経路が、液体吐出ヘッド3及び記録装置本体に設けられる。メインタンク1006と接続される、サブタンクとしてのバッファタンク1003は、タンク内部と外部とを連通する大気連通口(不図示)を有し、インク中の気泡を外部に排出することが可能である。バッファタンク1003は、補充ポンプ1005とも接続されている。補充ポンプ1005は、インク吐出による記録や吸引回復等、液体吐出ヘッドの吐出口からインクを吐出(排出)することによって液体吐出ヘッド3で液体が消費された際に、消費された分のインクをメインタンク1006からバッファタンク1003へ移送する。
第1の実施形態に係る液体吐出ヘッド3の構成について説明する。図3(a)及び図3(b)は本実施形態に係る液体吐出ヘッド3の斜視図である。液体吐出ヘッド3は、1つでC/M/Y/Kの4色のインクを吐出可能な記録素子基板10を直線状に15個配列(インラインに配置)したライン型の液体吐出ヘッドである。図3(a)に示すように、液体吐出ヘッド3は、各記録素子基板10と、フレキシブル配線基板40及び電気配線基板90を介して電気的に接続された信号入力端子91と電力供給端子92とを備えている。信号入力端子91及び電力供給端子92は記録装置1000の制御部と電気的に接続され、それぞれ、吐出駆動信号及び吐出に必要な電力を記録素子基板10に供給する。電気配線基板90内の電気回路によって配線を集約することで、信号出力端子91及び電力供給端子92の数を記録素子基板10の数に比べて少なくできる。これにより、記録装置1000に対して液体吐出ヘッド3を組み付ける時又は液体吐出ヘッドの交換時に取り外しが必要な電気接続部の数が少なくて済む。図3(b)に示すように、液体吐出ヘッド3の両端部に設けられた液体接続部111は、記録装置1000の液体供給系と接続される。これによりCMYK4色のインクが記録装置1000の供給系から液体吐出ヘッド3に供給され、また液体吐出ヘッド3内を通ったインクが記録装置1000の供給系へ回収されるようになっている。このように各色のインクは、記録装置1000の経路と液体吐出ヘッド3の経路を介して循環可能である。
図8(a)に1つの吐出モジュール200の斜視図を、図8(b)にその分解図を示す。吐出モジュール200の製造方法としては、まず記録素子基板10及びフレキシブル配線基板40を、予め液体連通口31が設けられた支持部材30上に接着する。その後、記録素子基板10上の端子16と、フレキシブル配線基板40上の端子41とをワイヤーボンディングによって電気接続し、その後にワイヤーボンディング部(電気接続部)を封止材110で覆って封止する。フレキシブル配線基板40の記録素子基板10と反対側の端子42は、電気配線基板90の接続端子93(図4参照)と電気接続される。支持部材30は、記録素子基板10を支持する支持体であるとともに、記録素子基板10と流路部材210とを流体的に連通させる流路部材である。支持部材の流路は、液体供給路18と個別供給流路213とを連結し、液体回収路19と個別回収流路214とを連結する。支持部材30は、平面度が高く、また十分に高い信頼性をもって記録素子基板と接合できるものが好ましい。材質としては例えばアルミナや樹脂材料が好ましい。
本実施形態における記録素子基板10の構成について説明する。図9(a)は液体吐出ヘッドの記録素子基板10の吐出口13が形成される側の面の平面図を示し、図9(b)は図9(a)のAで示した部分の拡大図を示し、図9(c)は図9(a)の底面図を示す。図9(a)に示すように、記録素子基板10の吐出口形成部材12に、各インク色に対応する4列の吐出口列が形成されている。なお、以後、複数の吐出口13が配列された吐出口列が延びる方向を「吐出口列方向」と呼ぶ。
図11は、隣り合う2つの吐出モジュールにおける、記録素子基板の隣接部を部分的に拡大して示す平面図である。図9に示すように、本実施形態では略平行四辺形の記録素子基板を用いている。図11に示すように、各記録素子基板10における吐出口13が配列された各吐出口列14a~14dは、被記録媒体の搬送方向(移動方向)に対し一定角度傾くように配置されている。それによって記録素子基板10同士の隣接部における吐出口列は、少なくとも1つの吐出口が被記録媒体の搬送方向にオーバーラップするようになっている。図11では、D線上の2つの吐出口が互いにオーバーラップ関係にある。このような配置によって、仮に記録素子基板10の位置が所定位置から多少ずれた場合でも、オーバーラップする吐出口の駆動制御によって、記録画像の黒スジや白抜けを目立たなくするようにすることができる。複数の記録素子基板10を、千鳥配置ではなく直線状(インライン)に配置した場合も、図11の構成により、液体吐出ヘッド10の被記録媒体の搬送方向の長さの増大を抑えつつ、記録素子基板10同士のつなぎ部における黒スジや白抜けを抑えることが出来る。なお、本実施形態では記録素子基板の主平面は平行四辺形であるが、本発明はこれに限るものではなく、例えば長方形、台形、その他形状の記録素子基板を用いた場合でも、本発明の構成を好ましく適用することができる。
本発明の第2の実施形態について以下に述べる。
図16は第2の実施形態における、第1~第3流路部材を接合して形成される流路部材210内の流路の一部を、第1の流路部材50の吐出モジュール200が搭載される面側から見た拡大透視図である。第1の流路部材50に形成された個別流路213、214は、連通口51側は被記録媒体の搬送方向に対し斜めに形成されているが、連通口61側は被記録媒体の搬送方向に対し平行に形成されている。隣接する個別流路213、214の距離が、連通口51側に比べ連通口61どうしの距離が十分に確保できている場合には、各個別流路の連通口61側を被記録媒体の搬送方向に対して斜めに形成しなくともよく、図16に示すように平行に形成してもよい。連通口61を配置する位置によって第1の実施形態の構成と第2の実施形態2の構成を好適に選択できる。
このように、本発明では、個別流路213、214は、吐出口列形成面から見て、液体供給路18または液体回収路19と接続される部分から、少なくとも記録素子基板10と重なる範囲において、被記録媒体の移動方向に対して傾斜する方向に延びている。ただし、個別流路213、214は、吐出口列形成面10aから見て、記録素子基板10と重ならない位置においては、被記録媒体の移動方向に対して平行に延びていてもよい。
本発明の第3の実施形態について以下に述べる。
図17は本実施形態における第1~第3流路部材の表面と裏面を示す図である。図17(a)は第1流路部材の表面、図17(b)は第1流路部材の裏面を示している。図17(c)は第2流路部材の表面、図17(d)は第2流路部材の裏面を示している。図17(e)は第3流路部材の表面、図17(f)は第3流路部材の裏面を示している。本実施形態では、第2の流路部材60に設けられている流路が、図17(d)に示す裏面側から図17(c)に示す表面側に向かってテーパ状に形成されている。断面図である図18に、第2の流路部材60のテーパ状の流路が示されている。このように第2流路部材60の流路がテーパ状に形成されているため、第3流路部材70側の流路のピッチに対して第1流路部材50側の流路のピッチを狭く形成でき、第1流路部材の個別流路の長さを短くできる。個別流路溝52の長さが短いということは、この個別流路において液体の混合(混色)やリークなどの不具合の可能性を低減できることを意味する。言い換えると、個別流路同士の間の封止領域は、流路の幅方向の寸法が大きいほど、かつ流路の長手方向の寸法が小さいほど、封止の信頼性が高く、封止不良が起こる確率が低減する。本実施形態では、単一の部材である第2流路部材にテーパ状の共通流路溝62が設けられ、表面に連通口61が形成されている。しかし、共通流路溝62のみを形成した板状の部材と、連通口61との形状を形成した部材とを接合することで、多層構造の第2流路部材を形成してもよい。
本発明の第4の実施形態について図19~20を用いて以下に述べる。
図19は本実施形態における第1~第3流路部材を接合して形成された流路部材210内の流路の一部を、吐出モジュールが搭載される面側から見た拡大透視図である。図20は、支持部材30の液体連通口31と記録素子基板10の液体供給路18及び液体回収路19との位置関係を示す図である。図20には示されていないが、連通口51が、開口21と重なるように投影される位置に設けられて、開口21と連通口51は連通している。本実施形態では、記録素子基板10の1組の液体供給路18および液体回収路19に対して、それらに連通する個別流路(213もしくは214)が1つだけ形成されている。1組の共通供給流路211および共通回収流路212に接続されている個別供給流路213の数は、当該組の共通供給流路211および共通回収流路212に接続されている個別回収流路214の数以上であることが好ましい。
液体吐出ヘッドの長手方向における記録素子基板10の長さがさほど長くなく、開口21からの液体供給路18の長さが短い場合には、液体の温度上昇による記録素子基板同士のつなぎ部の濃度ムラがあまり問題にならない。そのような場合には、前述したように記録素子基板10の1つの液体供給路18および1つの液体回収路19に対して、それらに連通する個別流路(213もしくは214)が1つだけ形成してもよい。ただし、本実施形態においても、個別流路213、214を被記録媒体の搬送方向に対して傾斜した方向に延びるように形成することにより、個別流路213、214の間のシールを確実に行うことができる。
14 吐出口列
18 液体供給路
19 液体回収路
2 被記録媒体
211 共通供給流路
212 共通回収流路
213 個別供給流路
214 個別回収流路
50 第1流路部材
51連通口
52個別流路溝
Claims (18)
- 被記録媒体に対して液体を吐出する複数の吐出口が配列されてなる吐出口列と、液体を吐出するためのエネルギーを発生する記録素子を内部に備える圧力室と、前記圧力室に液体を供給する液体供給路と、前記圧力室から液体を回収する液体回収路とを有する複数の記録素子基板と、
複数の前記記録素子基板が配列される流路部材と、
を備え、前記被記録媒体の搬送方向と直交する方向の前記被記録媒体の幅に対応した長さを有するページワイド型の液体吐出ヘッドであって、
前記流路部材は、液体吐出ヘッドの長手方向に沿って互いに並置して設けられ前記複数の記録素子基板に液体を供給するための複数の共通供給流路と、前記液体供給路と前記共通供給流路とを接続する複数の個別供給流路と、前記長手方向に沿って互いに並置して設けられ前記記録素子基板の前記液体回収路から液体を回収するための複数の共通回収流路と、前記液体回収路と前記共通回収流路とを接続する個別回収流路とを備え、
前記共通供給流路と、前記個別供給流路と、前記液体供給路と、前記圧力室と、前記液体回収路と、前記個別回収流路と、前記共通回収流路とをこの順に液体が流れる液体循環路が形成されており、
吐出口列形成面から見て、前記複数の個別供給流路は、前記液体吐出ヘッドの長手方向に直交する方向に対して傾斜する部分を備える、液体吐出ヘッド。 - 前記流路部材と前記記録素子基板の間に支持部材が設けられ、該支持部材は、前記液体供給路と前記個別供給流路とを連結する流路を有し、
前記吐出口列形成面から見て、前記個別供給流路は、前記支持部材の前記流路に連結される連通口から、前記直交する方向に対して傾斜する方向に延びている、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。 - 複数の前記個別供給流路が、前記吐出口列形成面から見て、前記液体供給路と接続される部分から、前記直交する方向に対して傾斜する方向に、かつ互いに沿って延びている、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記個別供給流路は、前記吐出口列形成面から見て、前記液体供給路と接続される部分から、少なくとも前記記録素子基板と重なる範囲において、前記直交する方向に対して傾斜する方向に延びている、請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記個別供給流路は、前記吐出口列形成面から見て、前記記録素子基板と重ならない位置において、前記直交する方向に対して沿って延びる部分を有する、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記記録素子基板は複数の前記液体供給路を有し、各々の前記液体供給路は液体流入用の開口を有し、複数の前記開口が千鳥状に配置されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 1組の前記共通供給流路および前記共通回収流路に接続されている前記個別供給流路の数は、当該組の前記共通供給流路および前記共通回収流路に接続されている前記個別回収流路の数以上である、請求項1から6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記吐出口列形成面から見て、前記個別回収流路は、前記液体回収路と接続される部分から、前記直交する方向に対して傾斜する部分を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記吐出口列形成面から見て、前記個別供給流路が、前記液体供給路と接続される部分から、前記直交する方向に対して傾斜する方向に延びている部分と、前記個別回収流路が、前記液体回収路と接続される部分から、前記直交する方向に対して傾斜する方向に延びている部分は、互いに沿って延在している、請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記記録素子基板は、前記直交する方向に対して交差する方向に延びる細長い平面形状を有し、前記記録素子基板の長手方向が前記直交する方向に対して交差する角度と、前記個別供給流路が、前記液体供給路と接続される部分から、前記直交する方向に対して傾斜する角度が一致している、請求項1から9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記流路部材は複数の板状部材が積層されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記個別供給流路は、板状部材の前記記録素子基板側の面に開口する孔と、前記孔と連通し前記板状部材の前記記録素子基板側と反対側の面に形成された溝とによって形成されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記複数の記録素子基板は、液体吐出ヘッドの長手方向に沿って直線状に配置されている、請求項1から12のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記圧力室の内部の液体は、前記液体供給路と前記液体回収路との圧力差により当該圧力室の外部との間で循環される、請求項1から13のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 被記録媒体に対して液体を吐出する複数の吐出口と、液体を吐出するためのエネルギーを発生する記録素子を内部に備える圧力室と、を備える複数の記録素子基板と、
複数の前記記録素子基板が配列される流路部材と、
を備え、前記被記録媒体の搬送方向と直交する方向の前記被記録媒体の幅に対応した長さを有するページワイド型の液体吐出ヘッドであって、
前記流路部材は、液体吐出ヘッドの長手方向に沿って互いに並置して設けられ、前記複数の記録素子基板と連通する第1および第2の共通流路と、前記第1および第2の共通流路と前記記録素子基板とを連通する第1および第2の個別供給流路と、を備え、
吐出口が設けられる面から見て、前記第1および第2の個別供給流路は、前記液体吐出ヘッドの長手方向に直交する方向に対して傾斜し、互いに沿って延在する部分を備える、液体吐出ヘッド。 - 前記第1および第2の共通流路の少なくとも一方は、前記記録素子基板から液体を回収するための共通流路である、請求項15に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記複数の記録素子基板は、液体吐出ヘッドの長手方向に沿って直線状に配置されている、請求項15または16に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記記録素子基板には、前記圧力室に液体を供給する液体供給路と、前記圧力室から液体を回収する液体回収路とが設けられており、前記圧力室の内部の液体は、前記液体供給路と前記液体回収路との圧力差により当該圧力室の外部との間で循環される、請求項15から17のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
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