JP2014233265A - 新規納豆およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、近年、納豆にはプロバイオティック作用、抗菌作用、機能性成分等による各種健康増進効果があることが報告されており、益々需要が期待されている食品である。
当該糸引き成分は、独特の風味や食感を納豆に与える性質を有し、白米を炊いたご飯との相性が抜群に良い。
一方、納豆菌の発酵過程が進行すると、大豆に含まれる成分の変化が起こり、納豆臭, アンモニア臭, 苦味が付与される代わりに、煮豆本来の風味が失われる傾向にある。このような独特な風味は、納豆を初めて食する場合の障壁となる場合がある。
そこで、納豆の風味等の嗜好性に関して、様々な改良が試みられており、特に特定納豆菌株を用いる様々な納豆製造技術が開示されている。例えば、納豆臭低減に関する特許文献1、納豆の硬さの低減に関する特許文献2などを挙げることができる。
[請求項1]に係る発明は、蒸煮大豆又は煮大豆に納豆菌を植菌した後、下記(1)及び(2)に記載の工程を行うことを特徴とする、納豆の製造方法に関するものである。
(1):6.5〜13.5時間の間、豆の品温を実質的に37〜53℃の温度帯に維持して発酵を行う工程。
(2):上記(1)に記載の工程を行った後、1.5〜6.5時間の間、豆の品温を実質的に20℃以上37℃未満の温度帯に維持して発酵を行う工程。
[請求項2]に係る発明は、上記(1)に記載の工程における温度帯の維持時間が7〜13時間である、請求項1に記載の納豆の製造方法に関するものである。
[請求項3]に係る発明は、上記(2)に記載の工程における温度帯の維持時間が2〜6時間である、請求項1又は2に記載の納豆の製造方法に関するものである。
[請求項4]に係る発明は、上記(1)及び(2)に記載の工程を行った後、豆の品温を3℃以上10℃未満に維持して熟成させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の納豆の製造方法に関するものである。
[請求項5]に係る発明は、前記製造した納豆が、豆の品温を3℃以上10℃未満に冷却した際に納豆1gに含まれる栄養細胞の数が2×108個以下である性質を有するものである、請求項1〜4のいずれかに記載の納豆の製造方法に関するものである。
[請求項6]に係る発明は、前記納豆菌の植菌量が、蒸煮大豆又は煮大豆1gに対して106個以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の納豆の製造方法に関するものである。
[請求項7]に係る発明は、前記納豆菌が、10℃以上20℃未満の温度帯での生育能及び発酵能が抑制された低温感受性の性質を示す菌株である、請求項1〜6のいずれかに記載の納豆の製造方法に関するものである。
[請求項8]に係る発明は、前記(1)に記載の工程が終了した後、又は、前記(2)に記載の工程が終了した後において、3.5時間以内の間、豆の品温を実質的に55〜75℃の温度帯に維持する加熱処理を行うことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の納豆の製造方法に関するものである。
[請求項9]に係る発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の方法によって製造された納豆に関するものである。
[請求項10]に係る発明は、下記(A)及び(B)に記載の性質を有する請求項9に記載の納豆に関するものである。
(A):煮豆本来の甘い風味, 及び, 枝豆様の香ばしい風味, を有する性質。
(B):納豆50gを水100mLに攪拌し20℃で3時間の抽出を行って得た抽出液の粘度が、70〜500mPa・sとなる性質。
[請求項11]に係る発明は、下記(A)及び(B)に記載の性質を有する納豆に関するものである。
(A):煮豆本来の甘い風味, 及び, 枝豆様の香ばしい風味, を有する性質。
(B):納豆50gを水100mLに攪拌し20℃で3時間の抽出を行って得た抽出液の粘度が、70〜500mPa・sとなる性質。
これにより本発明は、納豆自体が有する食品としての偏った嗜好性を改善し、納豆の魅力を向上させることに繋がる技術になることが期待される。
また、本発明の納豆の製造方法は、納豆菌の発酵特性が温度条件の違いに大きく依存した技術であるため、特定の納豆菌株, 添加物, 機器等の使用を必要とせずに実施することが可能となる。
また、本発明の納豆製造方法では、従来の納豆製造に要する通常の発酵時間(17時間程度)と比べて、短時間(発酵時間を最短とした場合の実施態様では8〜9時間)で、納豆の発酵を完了させることが可能となる。これにより、納豆製造の大幅な効率化に貢献する技術になることが期待される。
本発明は、高温発酵温度帯と低温発酵温度帯での発酵を所定の条件にて適切に行うことにより、風味, 食感, 糸引き性の観点から、従来の納豆とは全く異なる優れた嗜好性を有する納豆を製造する技術に関する。
本発明の納豆の製造方法では、通常の納豆の製造に用いることができる如何なる原料をも用いることができる。例えば、丸大豆、半割大豆、割砕大豆(引き割り納豆の原料)、脱脂大豆などを使用できる。特に高品質の納豆製造時に使用される中粒や大粒のものが好適である。これらの大豆は、生のまま用いることもできるが、乾燥処理を行ったもの(乾燥品)を用いることが一般的である。
ここで、蒸煮大豆の具体的な調製手順としては、大豆を水中に6〜24時間程度浸漬した後、水切りして、100〜135℃の蒸気で10〜30分の蒸煮処理する方法を採用することができる。また、0.12〜0.22Mpaの高圧条件にて、加圧蒸煮する方法を採用することもできる。
また、煮大豆の具体的な調製手順としては、大豆を水中に6〜24時間程度浸漬した後、90〜100℃の湯で20〜50分間煮込む方法を採用することができる。
本発明の方法では、通常の納豆発酵能を有する納豆菌であれば、如何なる納豆菌(菌株)であっても用いることができる。ここで納豆菌は、枯草菌バチルス・サチリス(Bacillus subtilis)の変種(B. subtilis var.natto、B. subtilis (natto))として、又は、枯草菌の近縁種バチルス・ナットウ(B. natto)として、分類されている細菌である。
納豆菌の最大の特徴は、煮大豆等に接種して発酵させた際に、粘質物(糸引物質)や納豆らしい風味を生成し、納豆としての特徴をつくり出す特性を有する点である。また、栄養的には、ビオチン要求性を示す。
本発明に用いることができる納豆菌として、具体的には、一般的な市販菌である宮城野菌、高橋菌、成瀬菌等を用いることができるが、特定の性質を有する突然変異株, 遺伝子組み換え株などの各種菌株(例えば、低温感受性菌、アンモニア生成抑制菌など)を利用することもできる。後述する実施例で例示した21541株は、通常の温度感受性を有する菌株であり、出願人が自社開発した菌株である。
ここで、‘低温感受性’とは、「通常の発酵が起こる温度帯(37〜53℃)では通常の納豆菌と同程度の生育能及び発酵能を示すが、常温よりやや低温の温度帯(特に10℃以上20℃未満)では通常の温度感受性の菌よりも生育能及び発酵能が大幅に低減された性質」を指す。
なお、T-058株は、2013年3月19日付けで独立行政法人製品評価技術基盤機構(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に寄託申請され、受託番号 NITE BP-1576としてBacillus subtilis T-058の名称で国際寄託が認められている菌株である。
また、K-2株は、2013年3月19日付けで独立行政法人製品評価技術基盤機構(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に寄託申請され、受託番号 NITE BP-1577としてBacillus subtilis K-2の名称で国際寄託が認められている菌株である。
また、低温感受性を有する菌株は、例えば、特開平1-191655号公報、特願2013-076211明細書に記載の方法により選抜して取得することも可能である。
大豆等への納豆菌の植菌は、発酵を均一に行うため、大豆等と納豆菌が均一になるように添加(又は、接種, 散布など)した後、混合等を行うことが望ましい。好ましくは、納豆菌液(納豆菌を液体に懸濁した状態)を調製し、液体状態にて添加して用いることが好適である。
ここで納豆菌液としては、(i) 市販の納豆菌胞子液の他、各種納豆菌の胞子形成培養液を用いることができる。また、(ii) グルタミン酸やグルコースを主原料とした合成培地, 大豆煮汁, 豆乳, 酵母エキスなどを含む液体培地にて納豆菌を培養した培養液も用いることができる。また、(iii) 納豆菌の固体培養物、例えば大豆(大豆粉や脱脂加工大豆も含む)に納豆菌を植菌し培養したもの(納豆そのもの)、から納豆菌を集菌し、溶液に懸濁して用いることができる。また、当該固形培養物の粉砕物等をそのまま溶液に懸濁して、用いることも可能である。
植菌する納豆菌の量としては、常法に準じた菌濃度で特に限定はないが、蒸煮大豆1gあたり103個以上、さらには104個以上、105個以上となるように添加することが望ましい。
ここで、非低温感受性(通常の温度感受性)の菌株を用いる場合、植菌量を少なくして製造した納豆は、二次発酵が起こりやすくなる。本発明では、植菌量を多くすることで、製造した納豆の二次発酵を抑制することが可能となる。具体的には、蒸煮大豆1gあたり5×105個以上、好ましくは106個以上、より好ましくは5×106個以上、さらに好ましくは107個以上となるように添加することで、二次発酵を顕著に抑制することが可能となる。その原理としては、スタートの植菌量が多い場合には、発酵中の早い段階で納豆菌の生育密度が過密となり、細胞の胞子化が促されるためである。これにより、納豆の製造が終了した段階では、栄養細胞が大幅に減少した状態となる。
また、数リットル体積容の容器等にて発酵を行うことも可能であるが、表面積に対する体積の値が大きくなると、中央部の豆に温度変化が伝わりにくくなることを考慮すると、大きめの容器を用いることは望ましくない。
また、容器の形状として、当該容器を用いて直接、喫食のための掻き混ぜ(攪拌)ができるような形状のものが好適である。
また、発酵後は、蓋やシーリングによる封を行うことができる態様のものが好適である。
本発明の発酵は、納豆菌の発酵特性が、温度条件により大きく異なることを利用した方法である(図1 参照)。具体的には、本発明の方法は、上記大豆に納豆菌を植菌した後、通常の発酵温度帯での発酵を従来法より大幅に短い時間で行い(第1発酵工程)、;その後、低温発酵温度帯にて所定時間の低温発酵を行う(第2発酵工程)、;ことを要する方法である。
本発明では、納豆菌を植菌した豆の品温が37〜53℃の温度になった時に、発酵が開始されたとみなすことができる。例えば、蒸煮等によって、豆の品温が37〜53℃となっている場合、植菌時点において発酵が開始したと判断できる。
また、豆の品温が53℃より高い場合、発酵室等に入れて品温が53℃以下に達した時点を発酵開始と判断できる。同様に、豆の品温が37℃未満の場合、発酵室等に入れて品温が37℃に達した時点を発酵開始と判断できる。
例えば、(i) 昇温及び冷却機能を有する発酵室等を用いて温度調節する手段を採用することができる。当該手段を採用した場合、温度条件を正確に調節することが可能となる。
(ii) また、最初に発酵温度帯に温度設定された恒温室等で発酵を行い、所定時間経過後に異なる温度帯に設定された恒温室等に豆を容器ごと移動することによって、豆の品温を調節することもできる。当該温度調節手段を採用した場合、容器の移動を自動化することにより、温度調節の無駄を省き、納豆の大量生産を効率良く行うことが可能となる。
本発明の発酵においては、発酵開始から所定時間の間、豆の品温を実質的に通常の発酵温度帯に維持することが必須となる。
ここで、通常の発酵温度帯とは37〜53℃の温度帯を指す。特に好ましくは40〜52℃、さらに好ましくは44〜51℃の温度帯を指す。豆の品温が当該温度にあると、植菌した納豆菌の発酵作用が全般的に活発となる発酵特性を示す。一般的には、納豆らしい風味の付与、豆の食感の消失、納豆臭やアンモニア臭の付与、糸引きの付与、菌膜の形成などが促進される。
ここで、当該発酵において「実質的に温度帯に維持する」とは、完全に当該温度帯を外れないことを意味するものではなく、例えば、若干の温度範囲(例えば、2℃以内, 好ましくは1℃以内)で、若干の時間(例えば、10分以内, 好ましくは5分以内)であれば、当該温度帯を外れた品温となった場合も、当該発酵条件を満たすことを意味する。
発酵時間の上限としては、13.5時間以内、好ましくは13時間以内、さらに好ましくは12時間以内を挙げることができる。発酵時間が所定より長い場合、発酵が進み過ぎて納豆臭が付与され、煮豆が本来有する風味が消失してしまい好ましくない。また、発酵が進み過ぎると一度付与された枝豆様風味が失われてしまい好ましくない。また、煮豆の食感が失われてしまうため好ましくない。
これらを総合的に考慮すると、通常発酵(第1発酵)を行う時間としては、6.5〜13.5時間、好ましくは7〜13時間、さらに好ましくは8〜12時間が望ましい。当該時間範囲は、煮豆本来の風味が十分に保持され且つ納豆中の枝豆様の香ばしい風味が十分に付与される時間帯に相当する。また、糸引き性もある程度付与された状態となる。
本発明においては、上記通常発酵(第1発酵)が終了した後、‘任意で’下記の所定条件での加熱処理を行うことにより、製造した納豆の二次発酵が顕著に抑制されたものとすることができる。その原理としては、当該加熱処理を行って製造した納豆では、納豆中に生存している納豆菌の栄養細胞が減少した状態となるためである。
ここで、当該加熱処理において「実質的に温度帯に維持する」とは、完全に当該温度帯を外れないことを意味するものではなく、例えば、若干の温度範囲(例えば、2℃以内、好ましくは1℃以内)で、若干の時間(例えば、10分以内、好ましくは5分以内)であれば、当該温度帯を外れた品温となった場合も、当該加熱処理条件を満たすことを意味する。
当該加熱処理条件は、第1発酵で増殖した栄養細胞の多くが死滅するが一部のものは生き残ることができる条件に相当する。なお、当該加熱処理の温度帯では、納豆菌の発酵が停止して発酵熱が発生しないため、室等の気相温度と定常状態での品温がほぼ同じ温度になる。
ここで、所定温度より高い場合, 又は, 所定時間より長い場合、栄養細胞が完全に死滅してしまい、低温発酵(第2発酵)自体が起こらなくなる。また、加熱により糸引き性や風味も失われる。そのため、所望の嗜好性を有する納豆を製造することができなくなり好適でない。
一方、加熱条件が所定温度より低い場合, 又は, 所定時間より短い場合、栄養細胞の死滅が十分でないため、納豆製造後の二次発酵が抑制できなくなり好適でない。
本発明の発酵では、上記通常発酵(第1発酵)が終了した後又は加熱処理が終了した後に、所定時間が経過するまで豆の品温を実質的に低温発酵温度帯に維持して低温発酵を行うことが必須となる。
ここで、低温発酵温度帯とは20℃以上37℃未満の温度帯を指す。特に好ましくは24〜36℃の温度帯を指す。当該温度帯では、発酵活性全般が抑制され、納豆臭の付与や菌膜形成は不活発化するが、糸引き成分の生成は比較的活発に行われる発酵特性を示す。
ここで、当該発酵において「実質的に温度帯に維持する」とは、完全に当該温度帯を外れないことを意味するものではなく、例えば、若干の温度範囲(例えば、2℃以内, 好ましくは1℃以内)で、若干の時間(例えば、10分以内, 好ましくは5分以内)であれば、当該温度帯を外れた品温となった場合も、当該発酵条件を満たすことを意味する。
発酵時間の上限としては、6.5時間以内、好ましくは6時間以内、さらに好ましくは5.5時間以内、より好ましくは5時間以内を挙げることができる。発酵時間が所定より長い場合、発酵が進み過ぎて納豆臭が付与され、煮豆が本来有する風味が消失してしまい好ましくない。また、発酵が進み過ぎると一度付与された枝豆様風味が失われてしまい好ましくない。また、煮豆の食感が失われてしまうため好ましくない。
これらを総合的に考慮すると、低温発酵(第2発酵)を行う時間としては、1.5〜6.5時間、好ましくは2〜6時間、さらに好ましくは3〜5時間が望ましい。当該時間範囲であると、煮豆本来の風味及び枝豆様の香ばしい風味を消失させることなく、糸引き性の原因成分を十分に生成させることが可能となる。
また、上記通常発酵(第1発酵)終了後の加熱処理を行わない場合においては、低温発酵(第2発酵)が終了した後、‘任意で’加熱処理を行うことにより、製造した納豆の二次発酵が顕著に抑制されたものとすることができる。その原理としては、当該加熱処理を行って製造した納豆では、納豆中に生存している納豆菌の栄養細胞が減少した状態となるためである。
当該加熱処理の温度調整手段及び加熱処理条件としては、上記第1発酵終了後の加熱処理の条件と同条件を採用することができる。
本発明における納豆の製造においては、上記低温発酵温度帯での品温維持が終了した納豆の品温が10℃未満になった時点で、製造が完了したとみなすことができる。
なお、製造した納豆の二次発酵を抑制するという点では、本発明の納豆の製造における好適な態様としては、上記発酵を経て製造した納豆の品温を3℃以上10℃未満、好ましくは3〜6℃の低温になるようにして熟成させることが望ましい。当該温度帯での熟成工程を行うことにより、納豆が二次発酵を起こし難くなる。
ここで、低温での熟成を行う場合における時間的制約はないが、例えば、6時間〜3日間、好ましくは8時間〜2日間程度の熟成を行うことが好適である。
製造後の納豆を保管する際には、二次発酵による納豆の品質の劣化やタンパク質等の分解を抑えるために、好ましくは3℃以上10℃未満、より好ましくは3〜6℃の品温になるように冷蔵状態にて保管することが好適である。
上記工程を経て製造された納豆は、風味, 食感, 糸引き性の観点から、従来の納豆とは全く異なる優れた嗜好性を有する納豆となる。具体的には、以下に示す性質を有する。
本発明の納豆は、従来の納豆では発酵によって失われるはずの煮豆本来の甘い風味を保持したものとなる。これは、通常の発酵温度帯での発酵を短時間で行うことにより、蒸煮大豆や煮大豆に由来する1オクテン3オール、β-ダマセノン、マルトール、γ-ノナラクトン、2-アセチル-1-ピロリンなどの成分が、上記発酵後にも高い含有量で残存し且つ当該風味を妨げる成分が生成されないことによって奏されるものと認められる。
本発明の納豆は、煮豆の食感を保持したものとなる。これは、発酵を大幅に短時間で行うことにより、通常発酵を行った場合では失われる煮豆の食感が保持されるからである。
本発明の納豆は、通常の納豆にはない枝豆様の香ばしい風味が付与されたものとなる。
当該枝豆様の風味は、蒸煮大豆や煮大豆に由来する2-アセチル-1-ピロリンに加えて、発酵によりアセトインや2,3-ブタンジオール等の成分が生成されることにより奏される風味と推測される。ところが、当該風味は、通常の発酵時間で発酵を行うと失われてしまう。
本発明の方法では、通常の発酵温度帯での発酵を短時間で行うことにより、当該風味成分が高い含有量で残存し且つ当該風味を妨げる成分が生成されないことによって奏されるものと認められる。
本発明の納豆は、従来の納豆では発酵によって付与される納豆臭及びアンモニア臭が大幅に低減された納豆となる。これは、発酵を短時間で行うことにより、従来法では付与されるはずの納豆臭及びアンモニア臭の付与が抑制されるからである。
ここで納豆臭の原因成分としては、イソ吉草酸, イソ絡酸等の低級分岐脂肪酸類、;2,5ジメチルピラジン, トリメチルピラジン, テトラメチルピラジン等のピラジン類、;などを挙げることできる。
本発明の納豆は、納豆としての良好な風味や食感に必要な十分な糸引き性を有するものである。具体的には、納豆を掻き混ぜた時に得られるネバが十分に発生したものを指す。
当該糸引き性は、納豆の抽出液の粘度として数値的により表現することが可能である。当該粘度の値が高いほど、糸引き性が高いことを示す。
具体的には、納豆50gを水100mLに攪拌し常温(20℃)で3時間の抽出を行って得られた水抽出液の粘度(Pa・s)が、70mPa・s以上, 好ましくは80mPa・s以上のものが好適である。
なお、当該値があまりにも高すぎる場合、ネバの発生量が多すぎて喫食し難くなる可能性がある。そのため、上限としては、例えば500mPa・s以下, 好ましくは400mPa・s以下, さらには300mPa・s以下を挙げることができる。
二次発酵とは、製造した納豆中に生存する納豆菌の栄養細胞の活動により保管流通時に二次的に発酵する現象を指し、納豆の品質を大きく劣化させる要因となる。具体的には、アンモニアや納豆臭の原因物質の過剰生成、糸引き成分及び風味成分の分解、などを引き起こす反応をいう。
上記製造工程おいて「納豆菌植菌量を所定量以上用いる態様」、「低温感受性の納豆菌株を用いる態様」、又は「第1発酵工程と第2発酵工程の間に所定の加熱処理を行う態様」を採用した場合、当該製造した納豆は、低温感受性菌の温度特性により二次発酵が顕著に抑制された性質の納豆となる。即ち、保管流通時の品質劣化が顕著に防止された納豆となる。特に、常温における二次発酵が著しく抑制されたものとなる。
なお、ここで、‘保管流通時’とは、製造業者が製造後の商品(納豆)を保管・貯蔵する時、メーカーや流通業者が商品(納豆)を運搬や配達する時、販売業者によって商品(納豆)として保管・陳列されている時、消費者が購入した商品(納豆)を自宅に保管している時、等の商品が物流している時の全体を意味する。
具体的には、当該納豆を気相温度15℃で48時間静置した際の品温を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆の最大品温が15.0〜17.0℃である場合に、;当該納豆の最大品温が17℃以下(最大発酵熱2℃以下)を指標として判定することができる。当該品温(最大発酵熱)が当該指標値以下であれば、二次発酵が抑制されていると判定することができる。
具体的に、製造した納豆1gあたりの栄養細胞の数が2×108個以下、好ましくは1.5×108個以下、さらに好ましくは1×108個以下、より好ましくは7.5×107個以下、特に好ましくは5×107個以下、一層好ましくは3×107個以下であるか、;を指標として判定することができる。当該栄養細胞密度が当該指標値以下であれば、二次発酵が抑制されているものと判定することができる。
納豆の発酵において、通常の発酵温度帯での発酵時間を変化させた場合に、納豆の性質にどのような影響が現れるかを検討した。
乾燥大豆を水に16時間浸漬し、水切りした後、1.65kg/cm2で30分間加圧蒸煮した。蒸煮した大豆1gあたり104個の納豆菌(K-2株:NITE BP-1577)を含むように納豆菌液を添加し、軽く均一化した。
その後、50gずつをPSP製納豆容器に入れて蓋をし、41℃の発酵室に静置し、表1に示す各所定時間静置した。静置後の品温は、発酵熱により表1に示す温度となっていた。その後、40〜60分かけて品温を37℃(通常の発酵温度帯の下限の温度)まで冷却した。
次いで、各試料を、冷却機能を備えたインキュベーター内に移動し、品温を37℃から20℃まで冷却する操作を4時間かけて行うことで、低温発酵を行った。
最後に、各試料の品温が20℃に到達した後、4℃の冷蔵室に移動して8時間静置し、品温を5℃以下になるように冷却した。
納豆の風味について、‘煮豆本来の甘い風味’が強く感じられる場合を「○」、やや感じられる場合を「△」、感じられない場合を「×」と評価した。
また、‘枝豆様の香ばしい風味’が強く感じられる場合を「○」、やや感じられる場合を「△」、感じられない場合を「×」と評価した。
また、納豆の糸引き性について、‘糸引き性’が強い場合を「○」、やや強い場合を「△」、糸引きがない場合を「×」と評価した。
これらの結果を表1に示した。
その結果、通常の発酵温度帯(37〜53℃)での発酵を7〜13時間行い、その後に適切な低温発酵を行った場合、製造した納豆は、煮豆本来の甘い風味, 枝豆様の香ばしい風味を有し、さらに糸引き性も十分に強くなることが示された(試料1-2〜1-6)。
逆に、当該温度帯での発酵を14時間かけて行った場合、煮豆本来の甘い風味が失われ、枝豆様の香ばしい風味も失われた(試料1-7)。これは、発酵時間が長すぎたことで納豆臭の原因成分が増加し、さらに煮豆風味, 枝豆様風味を阻害する成分も増加したためと推測された。
これらの結果から、通常の発酵温度帯(37〜53℃)での発酵時間に関して、一般的な発酵時間(約17時間)より大幅に短い7〜13時間(特には8〜12時間)で発酵を行うことによって、煮豆本来の甘い風味, 枝豆様の香ばしさを有する納豆を製造することができることが明らかになった。
通常の発酵温度帯での発酵を短時間しか行わずに納豆を製造した場合において、付加的に低温発酵を行った場合の効果を検討した。
以下に記載した条件を採用したことを除いては、実施例1に記載の方法と同様にして、各納豆を製造した。
納豆菌液を添加した蒸煮大豆(K-2株を納豆1gあたり104個添加したもの)について、通常発酵温度帯での発酵を10時間行った。次いで、各試料の品温を37℃から20℃まで冷却する操作を、表2に示す各所定時間を要するようにして行うことで、低温発酵を行った(試料2-1〜2-6)。そして、各試料の品温が20℃に到達した後、4℃の冷蔵室に移動して8時間静置し、品温を5℃以下になるように冷却した。
その結果、通常の発酵温度帯(37〜53℃)にて所定時間の発酵を行い、その後に低温発酵温度帯(20℃以上37℃未満)での発酵を2〜6時間行った場合、製造した納豆は、煮豆本来の甘い風味, 枝豆様の香ばしい風味を有し、さらに糸引き性も十分に強くなることが示された(試料2-2〜2-6)。
逆に、低温発酵を7時間かけて行った場合、煮豆本来の甘い風味が失われた(試料2-7)。これは、低温発酵時間が長すぎたことで、納豆臭の原因成分が増加し、さらに煮豆風味を阻害する成分も増加したためと推測された。
これらのことから、通常の発酵温度帯(37〜53℃)での発酵を短時間(10時間)しか行わない場合でも、2時間以上(特には3時間以上)の低温発酵を行うことによって、十分な糸引き性を有する納豆を製造できることが明らかになった。
また、風味の消失を抑えるためには、低温発酵時間の上限は、6時間以内(特には5時間以内)が好適であることが明らかになった。
実施例1,2に示した本発明の納豆の製造方法において、製造に用いる納豆菌の低温感受性の違いが、製造される納豆にどのような影響を与えるかを検討した。
以下に記載した条件を採用したことを除いては、実施例1に記載の方法と同様にして、各納豆を製造した。
納豆菌液を添加した蒸煮大豆(表3に示す菌株を納豆1gあたり5×104個添加したもの)について、49℃の発酵室に静置し、通常発酵温度帯での発酵を9.5時間行った。次いで、各試料の品温を37℃から20℃まで冷却する操作を4時間かけて行うことで、低温発酵を行った。最後に、各試料の品温が20℃に到達した後、4℃の冷蔵室に移動して8時間静置し、品温を5℃以下になるように冷却した。
得られた各試料(PSP製トレー容器内の納豆50g)について、15トレー(3列×5段)を密接して積んだ状態にしてダンボールケースに入れた。気相温度を15℃に設定された恒温室内で48時間静置し、中央の納豆の品温を経時的に測定した。測定結果を図2に示した。ここで、気相温度と当該品温の温度差が1.5℃以内の場合には、発酵熱の発生が抑制されていると判定できる。即ち、二次発酵が抑制されていると判定することができる。
また、当該静置後の各試料について、上記と同様にして糸引き性の評価を行った。結果を表3に示した。ここで、当該静置後でも良好な糸引き性が保持されている場合、二次発酵が抑制されていると判定することができる。
その結果、低温感受性の納豆菌株であるK-2株(試料3-1), T-058株(試料3-2)を用いて納豆を製造した場合、15℃に設定した恒温機に48時間静置した後でも、良好な糸引き性が保持されることが示された。
なお、これらの試料における48時間静置後の品温は、それぞれ15.2℃(試料3-1), 15.7℃(試料3-2)であり、設定温度(15℃)からの温度上昇(発酵熱の発生)は、極めて僅かであった。
これらの試料における48時間静置後の品温は、それぞれ17.3℃(試料3-3), 18.3℃(試料3-4)であり、設定温度(15℃)から2℃以上の温度上昇(発酵熱の発生)が認められた。
これらの結果から、本発明に係る納豆の製造方法において、‘低温感受性の納豆菌株’を採用した場合、製造後の納豆の二次発酵を顕著に抑制できることが示された。
即ち、これらの菌株を用いて製造した納豆(製品)は、当該納豆の品質を長期間保持するのに適したものとなることが示された。
実施例1,2に示した本発明の納豆の製造方法において、製造に用いる納豆菌の植菌量の違いが、製造される納豆にどのような影響を与えるかを検討した。
以下に記載した条件を採用したことを除いては、実施例1に記載の方法と同様にして、各納豆を製造した。
納豆菌液を添加した蒸煮大豆(1gあたり表4に示す菌量の21541株を添加したもの)について、通常発酵温度帯での発酵を9.5時間行った。なお、ここで発酵に用いた21541株は、非低温感受性(通常の温度感受性)の菌株である。次いで、各試料の品温を37℃から20℃まで冷却する操作を4時間かけて行うことで、低温発酵を行った。最後に、各試料の品温が20℃に到達した後、4℃の冷蔵室に移動して8時間静置し、品温を5℃以下になるように冷却した。
得られた各試料について、実施例3に記載の方法と同様にして、気相温度15℃に設定された恒温室内にて48時間静置した時の品温の経時変化を測定した。結果を図3に示した。また、当該静置後の糸引き性について上記と同様にして評価を行った。結果を表4に示した。
その結果、21541株(通常の温度感受性の菌株)を用いた場合であっても、植菌量を107個/g(試料4-1)で添加して納豆を製造した場合、15℃に設定した恒温機に48時間静置した後でも、良好な糸引き性が保持されることが示された。
なお、当該試料における48時間静置後の品温は15.1℃であり、設定温度(15℃)からの温度上昇(発酵熱の発生)は極めて僅かであった。
この時の品温は、16.3℃であり、設定温度(15℃)からの温度上昇(発酵熱の発生)は、1℃強の差異であった。
これらの試料における48時間静置後の品温は、それぞれ17.4℃(試料4-3), 18.3℃(試料4-4)であり、設定温度(15℃)から2℃以上の温度上昇(発酵熱の発生)が認められた。
これらの結果から、本発明に係る納豆の製造方法において、非低温感受性(通常の温度感受性)の菌株を採用した場合でも、植菌量を106個/g以上(特には107個/g)にして発酵を行うことによって、製造後の納豆の二次発酵を大幅に抑制できることが示された。
即ち、所定以上の量の菌を用いて製造した納豆(製品)は、当該納豆の品質を長期間保持するのに適したものとなることが示された。
実施例1,2に示した本発明の納豆の製造方法において、通常発酵と低温発酵の間に加熱処理が、製造される納豆にどのような影響を与えるかを調べた。
以下に記載した条件を採用したことを除いては、実施例1に記載の方法と同様にして、各納豆を製造した。
納豆菌液を添加した蒸煮大豆(1gあたり105個の21541株を添加したもの)について、プログラムインキュベーターにて通常発酵温度帯での発酵を8時間行った。次に、気相温度を60℃に設定して試料の品温を60℃に上昇させ、品温55〜60℃の状態(加熱状態)にて1時間40分間維持した。当該加熱後、約90分かけて品温を37℃まで冷却した。次いで、品温を37℃から20℃まで冷却する操作を4時間かけて行うことで、低温発酵を行った。最後に、試料の品温が20℃に到達した後、4℃の冷蔵室に移動して8時間静置し、品温を5℃以下になるように冷却した。
得られた試料について、実施例3に記載の方法と同様にして、気相温度15℃に設定された恒温室内にて48時間静置した時の品温の経時変化を測定した。結果を図4に示した。また、当該静置後の糸引き性について上記と同様にして評価を行った。結果を表5に示した。
その結果、21541株(通常の温度感受性の菌株)を105個/gにて添加して納豆を製造した場合であっても、通常発酵と低温発酵の間に「55〜60℃で1時間40分間の加熱処理」を行うことによって、15℃に設定した恒温機に48時間静置した後でも、良好な糸引き性が保持されることが示された(試料5-1)。
なお、当該試料における48時間静置後の品温は15.0℃であり、設定温度(15℃)からの温度上昇(発酵熱の発生)は全く認められなかった。
これらの結果から、本発明に係る納豆の製造方法において、通常発酵と低温発酵の間に所定の加熱処理を行うことによって、製造後の納豆の二次発酵を大幅に抑制できることが示された。
即ち、当該加熱処理を行って製造した納豆(製品)は、当該納豆の品質を長期間保持するのに適したものとなることが示された。
実施例3〜5で製造した納豆の二次発酵抑制能に関して、納豆に含まれる納豆菌の細胞状態との関係を検証した。
表6に示した各試料(実施例3〜5にて製造した5℃に冷却した納豆)について、納豆1gあたりの栄養細胞数(栄養細胞密度)を計測した。また、全細胞数に対する胞子数の割合を算出し、胞子化率を求めた。結果を表6に示した。なお、表6には、実施例3〜5で明らかになった二次発酵抑制能に関する評価を併記した。
・温度感受性について
その結果、低温感受性のK-2株を植菌して製造した納豆(試料3-1:二次発酵が抑制された納豆)の栄養細胞数は、2.9×107個/gであった。また、胞子化率は33%であり、約3割の細胞が胞子化し活動を休止していた。
一方、通常の温度感受性のN64株(試料3-3)を植菌して製造した納豆(試料3-3:二次発酵が抑制されていない納豆)には、2.3×108個/gもの栄養細胞が存在していた。これは試料3-1よりも約8倍も多い値であった。また、胞子化率は0%であり、ほとんど全ての細胞が活動状態にあると考えられた。
また、通常の温度感受性の菌株である21541株について、植菌量を107個/g(試料4-1), 106個/g(試料4-2)で添加して製造した納豆(二次発酵が抑制された納豆)では、胞子化率は100%であり、ほとんど全ての細胞が活動を休止しているものと思われた。
一方、植菌量が105個/g(試料4-3)で添加して製造した納豆(二次発酵が抑制されていない納豆)には、2.1×108個/gもの栄養細胞が存在していた。また、胞子化率は16%であり、ほとんどの細胞がまだ活動状態にあった。
また、通常発酵と低温発酵の間に所定の加熱処理を行って製造した納豆(試料5-1:二次発酵が抑制された納豆)の栄養細胞数は、1.46×108個/gであった。また、胞子化率は30%であり、約3割弱の細胞が胞子化し活動を休止していた。
一方、加熱処理を行わずに製造した納豆(試料4-3:二次発酵が抑制されていない納豆)の栄養細胞数は、2.1×108個/gであった。また、胞子化率は16%であり、ほとんどの細胞がまだ活動状態にあった。
これらの結果から、二次発酵が抑制された納豆における納豆菌は、栄養細胞数が少ない状態になっていることが示された。また、二次発酵抑制能が発揮されるための栄養細胞数の臨界値は、1.46〜2.1×108個/gの間にあると推定された。
また、二次発酵が抑制された納豆における納豆菌は、胞子化した細胞を多く含む状態となっていることが示された。
また、本発明の納豆製造方法は、特定の納豆菌株, 添加物, 機器等の使用を必要とせずに、納豆の製造全般に実施に即座に適用することが可能な技術である。
これにより、本発明は、納豆自体が有する食品としての偏った嗜好性を改善し、納豆の魅力を向上させることに繋がる技術になることが期待される。
Claims (11)
- 蒸煮大豆又は煮大豆に納豆菌を植菌した後、下記(1)及び(2)に記載の工程を行うことを特徴とする、納豆の製造方法。
(1):6.5〜13.5時間の間、豆の品温を実質的に37〜53℃の温度帯に維持して発酵を行う工程。
(2):上記(1)に記載の工程を行った後、1.5〜6.5時間の間、豆の品温を実質的に20℃以上37℃未満の温度帯に維持して発酵を行う工程。 - 上記(1)に記載の工程における温度帯の維持時間が7〜13時間である、請求項1に記載の納豆の製造方法。
- 上記(2)に記載の工程における温度帯の維持時間が2〜6時間である、請求項1又は2に記載の納豆の製造方法。
- 上記(1)及び(2)に記載の工程を行った後、豆の品温を3℃以上10℃未満に維持して熟成させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の納豆の製造方法。
- 前記製造した納豆が、豆の品温を3℃以上10℃未満に冷却した際に納豆1gに含まれる栄養細胞の数が2×108個以下である性質を有するものである、請求項1〜4のいずれかに記載の納豆の製造方法。
- 前記納豆菌の植菌量が、蒸煮大豆又は煮大豆1gに対して106個以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の納豆の製造方法。
- 前記納豆菌が、10℃以上20℃未満の温度帯での生育能及び発酵能が抑制された低温感受性の性質を示す菌株である、請求項1〜6のいずれかに記載の納豆の製造方法。
- 前記(1)に記載の工程が終了した後、又は、前記(2)に記載の工程が終了した後において、3.5時間以内の間、豆の品温を実質的に55〜75℃の温度帯に維持する加熱処理を行うことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の納豆の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の方法によって製造された納豆。
- 下記(A)及び(B)に記載の性質を有する請求項9に記載の納豆。
(A):煮豆本来の甘い風味, 及び, 枝豆様の香ばしい風味, を有する性質。
(B):納豆50gを水100mLに攪拌し20℃で3時間の抽出を行って得た抽出液の粘度が、70〜500mPa・sとなる性質。 - 下記(A)及び(B)に記載の性質を有する納豆。
(A):煮豆本来の甘い風味, 及び, 枝豆様の香ばしい風味, を有する性質。
(B):納豆50gを水100mLに攪拌し20℃で3時間の抽出を行って得た抽出液の粘度が、70〜500mPa・sとなる性質。
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