JP2014227610A - Frp製織物、及びfrp製織物を用いた成形用材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた強度を有するFRP製織物、及び熱プレス成形等によって任意の3次元形状に成形した場合でも外観面及び強度面で問題を生じないFRP製織物を用いた成形用材料を提供すること。
【解決手段】 長手方向に引き揃えられた連続長繊維の強化繊維糸束に、熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂を含浸して被覆硬化して成るFRPテープを織り糸に使用してFRP製織物を作製すると共に、
前記FRPテープに、強化繊維の体積分率が10〜60%、各強化繊維糸の外周表面の少なくとも50%以上がマトリックス樹脂で被覆されている繊維糸数の割合が98〜100%、テープ肉厚が100〜5000μm、JIS K 7165の引張試験による引張比強度の最大値が100MPa以上のものを使用し、更に当該FRPテープを用いて開口率が30%以下となるように製織した。
【選択図】 図3

Description

本発明は、繊維強化プラスチック(Fiber-Reinforced-Plastics:FRP)材料の改良、詳しくは、優れた強度を有するFRP製織物、及び強度に優れたシート材やプレート材として使用できるだけでなく、熱プレス成形等により任意の3次元形状に成形した場合でも外観面及び強度面で問題を生じないFRP製織物を用いた成形用材料に関するものである。
周知のとおり、炭素繊維やガラス繊維などの強化繊維を樹脂内に封入したFRPは、高機能な複合材料として様々な産業分野(宇宙・航空産業、建築産業、自動車・オートバイ産業や医療産業等)で利用されている。また、FRPの利用形態の一つとして、建築用の補強材等に使用されるFRPテープも知られている。
一方、上記FRPテープを製造する方法としては、金型内にマトリックス樹脂を溶融状態で供給しつつ、この金型内に引き揃えた強化繊維糸束を挿入する方法が採用されているが(例えば、特許文献1参照)、従来の方法では、マトリックス樹脂が強化繊維糸間に充分に含浸しなかったことから、充分な強度を有するFRPテープを得られなかった。
そこで、本件出願人は以前に、引き揃えた強化繊維糸束を樹脂塗布機内に挿入して、樹脂塗布機内を通過する強化繊維糸束にマトリックス樹脂を塗布すると共に、サスペンションにより支持されたガイド片で強化繊維糸束を押さえ付けて、各強化繊維糸が被覆されるようにマトリックス樹脂を含浸させる技術を開発し、特許出願も行っている。
他方、FRP製のシート材としては、強化繊維から成るメッシュ状の織物に後からマトリックス樹脂を含浸させて作製したものが公知となっているが(特許文献2参照)、織物の状態でマトリックス樹脂を含浸させようとしても、強化繊維糸間にマトリックス樹脂が均一かつスムーズに入り込まないため、満足できる強度を得ることが難しい。
また、上記文献2に係るFRPシートに関しては、開口率が大きいメッシュ状の織物をベースにしているため、熱プレス成形等でシート材を任意の3次元形状に成形する際に、織物の目ズレが起きて成形品の外観が悪化し易いだけでなく、成形品の強度も部位によって不均一になり易い。
そしてまた、FRP製のプレート材としては、強化繊維糸を配列したシート層と熱可塑性樹脂層とを交互に積層して、これを熱プレスすることにより強化繊維糸間にマトリックス樹脂を含浸させつつ各シート層を一体化したものが公知となっているが(特許文献3参照)、このプレート材に関しても上記シート材と同様の理由で強度面の問題が生じ易い。
特開昭63−264326号公報 特開平7−243150号公報 特開昭63−264326号公報
本発明は、従来技術に上記問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、優れた強度を有するFRP製織物、及び強度に優れたシート材やプレート材として使用できるだけでなく、熱プレス成形等によって任意の3次元形状に成形した場合でも外観面及び強度面で問題を生じないFRP製織物を用いた成形用材料を提供することにある。
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
即ち、本発明は、長手方向に引き揃えられた連続長繊維の強化繊維糸束に、熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂を含浸して被覆硬化して成るFRPテープを織り糸に使用してFRP製織物を作製すると共に、
前記FRPテープに、強化繊維の体積分率が10〜60%、各強化繊維糸の外周表面の少なくとも50%以上がマトリックス樹脂で被覆されている繊維糸数の割合が98〜100%、テープ肉厚が100〜5000μm、JIS K 7165の引張試験による引張比強度の最大値が100MPa以上のものを使用し、更に当該FRPテープを用いて開口率が30%以下となるように製織した点に特徴がある。
また、上記FRP製織物に使用するFRPテープの強化繊維糸としては、炭素繊維糸を好適に使用でき、また強化繊維糸の繊密度は、800g/1000m〜112000g/1000mであることが望ましい。また更に、強化繊維糸の繊維径は3〜30μmであることが望ましい。
そしてまた、上記FRPテープのマトリックス樹脂に関しては、流動性がMFRで10〜2500g/10minのものを好適に使用できる。また、上記FRP製織物の開口率に関しては、25%以下であることがより好ましい。
また、本発明は、上記FRP製織物を熱プレス加工して、FRPテープのマトリックス樹脂を熱溶融させて重なり合うテープ同士を一体化し、更にJIS K 7165の引張試験による引張比強度の最大値が100MPa以上のシート状に構成して、これを成形用材料として使用することもできる。
また更に、上記成形用材料に関しては、FRP製織物を複数枚重ねて積層した状態で熱プレス加工して、FRPテープのマトリックス樹脂を熱溶融させて重なり合うテープ同士を一体化し、更にJIS K 7165の引張試験による引張比強度の最大値が100MPa以上のシート状またはプレート状に構成することもできる。なお、このシートまたはプレートの厚みは150〜5000μmであることが望ましい。
本発明では、本件出願人が以前に開発した製法(特願2011-286821号)を用いて作製した所定の条件を満たすFRPテープ(特願2011-251246号)を織り糸に使用したことにより、従来よりも強度に優れたFRP製織物を製造することが可能となる。これは織り糸に用いたFRPテープの強化繊維糸間にマトリックス樹脂が確実に含浸しているためである。
また、本発明で織り糸に使用したFRPテープは、マトリックス樹脂に熱可塑性樹脂を採用していることから、インサートインジェクション成形などの二次成形において界面密着性を確保できるだけでなく、熱硬化性樹脂と比較して保存方法や使用期間、輸送コストの面で有利になる。そしてまた、使用時にテープを溶かしながら貼り付けるAutomated Rayup法(オートレイアップ法)も採用できる。
一方、上記FRP製織物を一枚の状態で、或いは複数枚重ねた状態で熱プレス加工すれば、重なり合うテープ同士を一体化できる上に、強化繊維糸間にマトリックス樹脂を確実かつ均一に入り込ませることができるため、充分な強度を有するFRP製のシート材やプレート材を作製することも可能となる。
なお、本発明では、上記FRP製織物の開口率を小さくしたことにより、上下に重なり合うテープ同士はもちろん、横方向に並ぶテープ同士もマトリックス樹脂によって一体化される(FRP製織物の開口部がマトリックス樹脂で塞がれた状態となる)ため、開口率の大きいメッシュ状の織物をベースとする場合よりも強度を格段に向上できる。
また更に、FRP製織物の開口率を小さくしたことによって、シート材やプレート材を熱プレス成形等によって任意の3次元形状に成形した場合でも、目ずれ等の問題が殆ど生じないため、外観が良好な成形品を製造できる。また成形品の強度面に関しても、部位による強度のムラを解消することができる。
したがって、本発明により、織物状やシート状、プレート状に形成したFRPの強度を向上できるだけでなく、熱プレス加工を行うことによっり軽量かつ高強度なFRP成形品を任意の形状で製造できるFRP製織物、及びこれを用いた成形用材料を提供できることから、本発明の実用的価値は頗る高い。
本発明のFRP製織物に使用するFRPテープの構造を表わす全体斜視図である。 本発明のFRP製織物に使用するFRPテープの断面を表わす拡大断面写真である。 本発明のFRP製シートを表わす全体斜視図である。 本発明のFRP製プレートを表わす全体斜視図である。
次に、本発明を実施するための具体的態様及び好ましい条件を図1〜4に基づいて説明する。なお図中、符号1で指示するものは強化繊維糸であり、また、符号2で指示するものはマトリックス樹脂である。また符号Sで指示するものは、FRP製シートであり、符号Pで指示するものは、FRP製プレートである。
[FRP製織物に使用するFRPテープについて]
まず、本発明のFRP製織物に使用するFRPテープに関しては、図1に示すように長手方向に引き揃えられた連続長繊維の強化繊維糸1の束と、この強化繊維糸束に含浸されて各強化繊維糸1を被覆した状態で硬化されたマトリックス樹脂2とから構成する。
なお、上記FRPテープの強化繊維糸1には、金属繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、芳香族ポリアミド繊維、炭素繊維、バサルト繊維などの有機または無機の強化繊維からなる連続する長繊維糸等を採用することができる。
また、上記FRPテープのマトリックス樹脂2には、熱可塑性樹脂材料を採用することができ、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド61、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12などのポリアミド系、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリイミド熱可塑性ポリウレタン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルイミド、アクリルニトリル・スチレン樹脂を単独または複数の組み合わせからなるもの等を採用できる。
また更に、上記FRPテープの製造方法としては、引き揃えた強化繊維糸束を樹脂塗布機内に挿入して、樹脂塗布機内を通過する強化繊維糸束にマトリックス樹脂を塗布すると共に、サスペンションにより支持されたガイド片で強化繊維糸束を押さえ付けて、各強化繊維糸が被覆されるようにマトリックス樹脂を含浸させる方法を採用できる。
また、上記FRPテープの製造方法に関しては、一旦幅広のシート状に成形したのものを端からカッター等で細く切断して作製したり、または2連カッター刃付きスリッターを用いて幅広シートをスリットして作製することもできる。
一方、上記FRPテープの幅については0.3〜100mmが好ましく、FRPテープの強化繊維の体積分率(Vf)は10〜60%が好ましい。これは10%より小さいと十分な強度が得られない虞れがあり、逆に50%より大きいと柔軟性がなくなって良好な賦形性が得られなくなる虞れがあるためである。
また、上記FRPテープにおいては、各強化繊維糸の外周表面の少なくとも50%以上(好ましくは80%〜100%)がマトリックス樹脂で被覆されている繊維糸数の割合を98〜100%とするのが望ましい。
そしてまた、上記FRPテープの肉厚は、100〜5000μmの範囲が望ましく、より好ましくは100〜250μmとするのがよい。これは100μmより小さいと強度が不十分になる虞れがあり、逆に5000μmより大きいと柔軟性がなくなって良好な賦形性が得られなくなる虞れがあるためである。
また、上記FRPテープのマトリックス樹脂2の含浸に関しては、10(mm)×t(100〜250)(μm)の試験体において、所定の拡大倍率(本実施形態では800倍)で断面を観察した場合に、当該観察断面内に存在する全強化繊維糸数のうち、各強化繊維糸の外周表面50%以上(好ましくは80%〜100%)がマトリックス樹脂で被覆されている強化繊維糸数の割合(含浸度)を、98〜100%とするのが好ましい。
上記含浸度の判断について具体例を挙げると、図2は本発明で使用するFRPテープの切断面を800倍に拡大した顕微鏡写真であるが、この顕微鏡写真中にはボイド(気泡)が見当たらないため、含浸度は100%であると判断できる。
また更に、上記FRPテープの強度に関しては、JIS K 7165の引張試験による引張比強度の最大値を100MPa以上(好ましくは290MPa以上)とするのが好ましい。これは290MPaより小さいと、補強材としての機能を十分に果たせないためである。なお本明細書中において、「比強度」とは強度/比重であり、比強度の値が大きい材料は強度が高く軽量化し易い材料といえる。
ちなみに、強度の比較対象として、ステンレス鋼種「SUS304」の強度基準を例に挙げると、SUS304の強度は520MPaであるため、この数値を超えるFRPテープは、鉄の強度を超えることになる。
他方また、上記FRPテープのマトリックス樹脂2に関しては、粘度を400〜1800Pa・sとするのが好ましい。これは成形上、400Pa・sより小さいと樹脂が隙間に定着せずに流れ出てしまう虞れがあるためであり、逆に1800Pa・sより大きいと隙間に含浸し難くなるためである。なお、本明細書中において「粘度」とは、熱可塑性樹脂のうちの特にナイロン樹脂の物性を表わす数値を意味する。
また、上記マトリックス樹脂2に関しては、流動性をMFRで10〜2500g/10minとするのが好ましい。これは10g/10minより小さいと粘度が高すぎて充填できない虞れがあるためであり、逆に2500g/10minより大きいと粘度が低すぎて樹脂が繊維に纏わりつかず、異形断面に成形する二次加工にも適さないからである。なお、本明細書中において「流動性」とは、熱可塑性樹脂の内、ナイロン以外の樹脂の物性を表わす数値である。
また、上記FRPテープにおいては、10(mm)×t(100〜250)(μm)の単位断面あたりの強化繊維の本数を、200〜470000にするのが望ましい。これは200本より少ないと製品としての強度が不十分になる虞れがあるためであり、逆に470000本より多いと樹脂が含浸せずにテープとしての形態安定性が損なわれるだけでなく、柔軟性がなくなって良好な賦形性が得られなくなるためである。
また更に、上記FRPテープにおいては、強化繊維糸の繊密度を800g/1000m〜112000g/1000mとして、繊維を蛇行させずに真っ直ぐに配向させるのが望ましい。これは800g/1000mより小さいと製品としての強度が不十分になるためであり、逆に112000g/1000mより大きいと樹脂が含浸せずにテープとしての形態安定性が損なわれるだけでなく、柔軟性がなくなって良好な賦形性が得られなくなるためである。
そしてまた、上記FRPテープに使用する強化繊維糸1については、強化繊維糸1の繊維径を3〜30μmとして、繊維糸の周囲にマトリックス樹脂2を確実に付着させるのが望ましい。これは繊維径が3μmより小さいと製品としての強度が不十分になる虞れがあるためであり、逆に繊維径が30μmより大きいと樹脂が含浸せずにテープとしての形態安定性が損なわれるだけでなく、柔軟性がなくなって良好な賦形性が得られなくなるためである。
[FRP製織物について]
次に、上記FRPテープから成るFRP製織物について以下に説明する。本発明のFRP製織物においては、上記FRPテープを織り糸に用いて開口率が30%以下となるように製織する。なおFRP製織物の開口率に関しては、熱プレス加工を行った際の強度を考慮して25%以下とすることがより好ましい。
[FRP製織物を用いた成形用材料について]
次に、上記FRP製織物を用いた成形用材料について図3及び図4に基いて以下に説明する。上記FRP製織物を用いた成形用材料の一形態としては、FRP製織物を熱プレス加工して、FRPテープのマトリックス樹脂を熱溶融させて重なり合うテープ同士を一体化したFRP製シートSが挙げられる(図3参照)。なお、このFRP製シートSは、JIS K 7165の引張試験による引張比強度の最大値が100MPa以上となるようにする。
また、上記FRP製織物を用いた成形用材料の他の形態としては、FRP製織物を複数枚重ねて積層した状態で熱プレス加工して、FRPテープのマトリックス樹脂を熱溶融させて重なり合うテープ同士を一体化したFRP製シートまたはFRP製プレートPが挙げられる(図4参照)。
なお、上記FRP製シートまたはFRP製プレートPに関しても、JIS K 7165の引張試験による引張比強度の最大値が100MPa以上となるようにする。また更に、上記FRP製シートまたはFRP製プレートPの厚みに関しては、強度や賦形性等を考慮して150〜5000μmとするのが望ましい。
[効果の実証試験]
次に、上記FRP製織物を用いた成形用材料について行った効果の実証試験について説明する。なお試験は、「実施例1」「実施例2」「比較例1」「比較例2」の4サンプルについて行った。また以下の[表1]は、各実施例で使用した強化繊維の材料と、熱可塑性樹脂(マトリックス樹脂)の材料を例示するものである。
また、試験方法についても説明すると、引張試験は「JIS K 7165」に準拠し、まず試験片(長さ250mm×幅15mm×厚み1mm)を10本作製した後、試験速度1mm/min、標線間距離50mmの条件で試験を行った。
そしてまた、曲げ試験については「JIS K 7074」に準拠し、まず試験片(長さ60mm×幅15mm×厚み1mm)を作製した後、試験速度3mm/min、支点間距離40mmの条件で試験を行った。
また更に、強化繊維糸の外周表面へのマトリックス樹脂の判断については、以下の基準を利用した。
×:断面観察において強化繊維糸の外周表面樹脂被覆が50%未満,又は、50%以上被覆さている繊維糸の割合が98%未満,さらにはその両方である状態
△:断面観察において強化繊維糸の外周表面の50%〜70%未満が濡れている繊維糸数の割合が98%以上である状態
○:断面観察において強化繊維糸の外周表面の70%〜90%未満が濡れている繊維糸数の割合が98%以上である状態
◎:断面観察において強化繊維糸の外周表面の90%〜100%未満が濡れている繊維糸数の割合が98%以上である状態
「実施例1」
まず実施例1では、強化繊維に炭素繊維(A-2)を使用し、熱可塑性樹脂にポリカーボネート(B-3)を使用してFRPテープを作製した。また、FRPテープの強化繊維の体積分率(Vf)を38%とし、テープ肉厚を150μm、テープ幅を2mmとした(※幅25mmのテープを幅2mmにスリットして作製した)。そしてまた、上記FRPテープは、引張比強度の最大値が677MPaであり、強化繊維糸の外周表面へのマトリックス樹脂の被覆状態は◎であった。
次いで、上記FRPテープを、縦×横(サイズ):40cm×38cm、縦×横(テープ本数):133本×152本、開口率:20%(目開き幅で縦0.85mm,横0.34mm)の条件で平織りしてFRP製織物を製織した。
そして、上記FRP製織物に熱プレス成形(圧力:1MPa以下、時間:10分、温度:180〜230℃)を行うことにより、重なり合うまたは/及び隣り合うFRPテープ同士を一体化して、シート平均厚み:200μm、引張比強度の最大値:200MPaのFRP製シートを作製した。
最後に、上記FRP製シートをプレス加工で容器状に成形したところ、成形品の側面は綺麗な曲面状に成形され、割れや織物のシワ・ヨレなどは起こらなかった。これにより、本実施例のFRP製シートを成形材料として用いた場合に、外観及び強度に優れた成形品を作製できることが確認できた。
「実施例2」
この実施例2では、上記実施例1で作製したFRP製織物を8枚積層し、熱プレス成形(圧力:1MPa以下、時間:15分、温度:180〜230℃)を行うことにより、平均厚み:1000μm、引張比強度の最大値:250MPa、曲げ強度:767MPaのFRP製プレートを作製した。
そして、上記FRP製プレートをプレス加工で容器状に成形したところ、成形品の側面は綺麗な曲面状に成形され、割れや織物のシワ・ヨレなどは起こらなかった。これによって、本実施例のFRP製プレートを成形材料として用いた場合も、外観及び強度に優れた成形品を作製できることが確認できた。
「比較例1」
この比較例1では、強化繊維に炭素繊維(A-2)を使用して、繊維束間:2.2mm、肉厚:250μm、縦×横(サイズ):50cm×50cm、縦×横(繊維束本数):227本×227本、開口率:ほゞ0%の織物を製織した。
次いで、上記織物とポリカーボネート製の樹脂フィルム(厚み:200μm)を積層した状態で、熱プレス成形(圧力:1MPa以下、時間:15分、温度:180〜230℃)を行って両者を一体化することにより、平均厚み:370μm、引張比強度の最大値:130MPaのFRP製シートを作製した。なお、強化繊維糸の外周表面へのマトリックス樹脂の被覆状態は△であった。
そして、上記FRP製シートをプレス加工で容器状に成形したところ、成形品の側面は曲面状に成形されたが、曲面部では織物のシワ・ヨレが起こった。これにより、本比較例のFRP製シートを成形材料として用いた場合には、外観上の問題が発生することが確認できた。
「比較例2」
この比較例2では、上記比較例1と同様の織物及び樹脂フィルムを使用し、織物4枚間に樹脂フィルムをそれぞれ積層して、熱プレス成形(圧力:1MPa以下、時間:15分、温度:180〜230℃)を行うことにより、平均厚み:1000μm、引張比強度の最大値:50MPa、曲げ強度:168MPaのFRP製プレートを作製した。なお、強化繊維糸の外周表面へのマトリックス樹脂の被覆状態は△であった。
そして、上記FRP製プレートをプレス加工で容器状に成形したところ、成形品の側面は曲面状に成形されたが、曲面部では織物のシワ・ヨレが起こった。これにより、本比較例のFRP製プレートを成形材料として用いた場合にも、外観上の問題が発生することが確認できた。
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、FRPテープの強化繊維糸1及びマトリックス樹脂2の組み合わせは、要求される品質や形状に応じて組み合わせや使用量を選択することができる。
また、FRP製織物に関しては、FRPテープを平織りしたものだけでなく、FRPテープを綾織りしたものや朱子織りしたもの等も含まれる。
また、シートの断面形状は、3次元形状の熱プレス加工を行うことによって、T字型、コの字型、円弧型、楕円型、屈曲型などの幾何学形状や装飾形状に成形して、チャンネル部材等の建築用資材(例えば、フレームやサッシなど)とすることもでき、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
1 強化繊維糸
2 マトリックス樹脂
S FRP製シート
P FRP製プレート

Claims (9)

  1. 長手方向に引き揃えられた連続長繊維の強化繊維糸束に、熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂を含浸して被覆硬化して成るFRPテープを織り糸に使用して作製されたFRP製織物であって、
    前記FRPテープに、強化繊維の体積分率が10〜60%、各強化繊維糸の外周表面の少なくとも50%以上がマトリックス樹脂で被覆されている繊維糸数の割合が98〜100%、テープ肉厚が100〜5000μm、JIS K 7165の引張試験による引張比強度の最大値が100MPa以上のものが使用されると共に、当該FRPテープを用いて開口率が30%以下となるように製織されていることを特徴とするFRP製織物。
  2. FRPテープを用いて開口率が25%以下となるように製織されていることを特徴とする請求項1記載のFRP製織物。
  3. FRPテープの強化繊維糸が炭素繊維糸であることを特徴とする請求項1または2に記載のFRP製織物。
  4. FRPテープのマトリックス樹脂の流動性がMFRで、10〜2500g/10minであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のFRP製織物。
  5. FRPテープの強化繊維糸の繊密度が800g/1000m〜112000g/1000mであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載のFRP製織物。
  6. FRPテープの強化繊維糸の繊維径が3〜30μmであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載のFRP製織物。
  7. 請求項1〜6に記載されたFRP製織物を熱プレス加工することにより、FRPテープのマトリックス樹脂を熱溶融させて重なり合うテープ同士を一体化し、更にJIS K 7165の引張試験による引張比強度の最大値が100MPa以上のシート状に構成したことを特徴とするFRP製織物を用いた成形用材料。
  8. 請求項1〜6に記載されたFRP製織物を複数枚重ねて積層した状態で熱プレス加工することにより、FRPテープのマトリックス樹脂を熱溶融させて重なり合うテープ同士を一体化し、更にJIS K 7165の引張試験による引張比強度の最大値が100MPa以上のシート状またはプレート状に構成したことを特徴とするFRP製織物を用いた成形用材料。
  9. シートまたはプレートの厚みが150〜5000μmであることを特徴とする請求項8記載のFRP製織物を用いた成形用材料。
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