JP2018094746A - 繊維強化プラスチック成形物の製造方法、これに用いるノズル及び3dプリンタ - Google Patents

繊維強化プラスチック成形物の製造方法、これに用いるノズル及び3dプリンタ Download PDF

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Abstract

【課題】高い繊維体積含有率(Vf)を実現することができる繊維強化プラスチック成形物の製造方法と、前記製造方法に好適な3Dプリンタ用のノズル及びこれを備える3Dプリンタの提供。【解決手段】3Dプリンタを用いて繊維強化プラスチック成形物を製造するに当たり、フィラメントとして、複数の連続繊維からなる強化繊維束11と、熱可塑性樹脂からなり強化繊維束11の周囲を覆う被覆層12とを備える複合フィラメント10を用いる繊維強化プラスチック成形物の製造方法。複合フィラメント10を加熱して被覆層12を溶融させた加熱溶融物を3Dプリンタ用のノズルから吐出する際に、加熱溶融物を厚み方向に押圧して加熱溶融物内の強化繊維束11を開繊する、繊維強化プラスチック成形物の製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、繊維強化プラスチック成形物の製造方法、これに用いるノズル及び3Dプリンタに関する。
3Dプリンタによる造形は、付加製造法とも呼ばれ、材料を付着することによって物体を3次元形状の数値表現から作成するプロセスである。
その方式としては、熱溶解積層、結合剤噴射、指向性エネルギー堆積、材料押出、材料噴射、粉末床溶融結合、シート積層、液槽光重合などが知られている。
このうち、熱溶解積層方式は加熱溶融によりノズルを通過できる流動性を付与できるものであれば、原理的に材料を選ばない。
他方、繊維とマトリックス樹脂で構成される繊維強化プラスチックとして、従来、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化熱硬化性プラスチックが広範囲に適用されてきたが、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化熱可塑性プラスチックについても検討が進んでいる。
繊維強化熱可塑性プラスチックは、加熱溶融することにより流動性を付与することができ、また、冷却して固化させることができることから、上述の熱溶解積層方式の3Dプリンタで成形することができると考えられ、そのような提案が、実際に行われている。
例えば、連続繊維と熱可塑性樹脂とを別々に供給する熱溶解積層方式の3Dプリンタを用いて、繊維強化プラスチックを成形する方法が知られている(非特許文献1参照。)。
具体的には、連続繊維と熱可塑性樹脂フィラメントとを別々に供給し、プリンタヘッドのノズル内で連続繊維に熱可塑性樹脂を含浸させること(ノズル内含浸方式)が提案されている。
また、ナイロンとFRP(繊維強化プラスチック)をそれぞれ出力する2種類の出力を備えたプリンタ機構による連続繊維CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の3Dプリンティングが提案されている(非特許文献2参照。)。
この方法では、一方からナイロン(登録商標)が出力され、他方から連続繊維にナイロン樹脂が予め含浸されたFRP(繊維強化プラスチック)材で構成されるFRPが出力される。
上田政人、外5名、「ノズル内含浸方式を用いた熱溶解積層3次元プリンタによる連続繊維強化熱可塑性プラスチックの成形」、強化プラスチックス、強化プラスチック協会、平成27年7月、Vol.61、No.7、p.369-374 古賀洋一郎、外5名、「3D-printed composites part 1:Evaluation of 3D printing process of continuous CFRTP」、第7回日本複合材料会議、日本材料学会、日本複合材料学会、平成27年3月16日
しかし、非特許文献1に記載の方法では、Vf(繊維体積含有率(%)、Fiber volume content)が低い。また、プリンタヘッドの構造が特殊であるため、既存の3Dプリンタを使用することができず、改造しなければならない。
非特許文献2に記載の方法においてもVfが低いという課題がある。すなわち、非特許文献2には、Vfを34.5%以上にすることができず、高いVfの出力が課題として記載されている。また、プリンタ機構が特殊であるため、専用の3Dプリンタが必要である。
そこで、本発明は、高いVfを実現することができる繊維強化プラスチック成形物の製造方法と、当該製造方法に好適なノズル及びこれを備える3Dプリンタを提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、本発明は下記構成を備える。
すなわち、本発明にかかる繊維強化プラスチック成形物の製造方法は、3Dプリンタを用いて繊維強化プラスチック成形物を製造するに当たり、フィラメントとして、複数の連続繊維からなる強化繊維束と、熱可塑性樹脂からなり前記強化繊維束の周囲を覆う被覆層とを備える複合フィラメントを用いることを特徴とする。
本発明にかかるノズルは、上記本発明にかかる繊維強化プラスチック成形物の製造方法に用いられる3Dプリンタ用のノズルであって、下流側に向けて徐々に内径が縮小する縮径部と、前記縮径部の下流側に設けられ、ノズル開口を外方に拡げる先端拡径部と、前記先端拡径部のさらに下流側に設けられ、前記複合フィラメントを加熱して前記被覆層を溶融させた加熱溶融物を厚み方向に押圧して当該加熱溶融物中の前記強化繊維束を開繊する開繊部とを備える。
本発明にかかる3Dプリンタは、上記本発明にかかるノズルを備える。
本発明にかかる繊維強化プラスチック成形物の製造方法は、フィラメントとして、複数の連続繊維からなる強化繊維束と、熱可塑性樹脂からなり前記強化繊維束の周囲を覆う被覆層とを備える複合フィラメントを用いる。これにより、強化繊維束と被覆層の割合を適宜に設定することができ、従来技術と比べて高いVfを実現することもできる。
本発明にかかるプリンタのノズル及びこれを用いたプリンタは、上記本発明にかかる繊維強化プラスチック成形物の製造方法に好適に用いることができ、Vfの高い繊維強化プラスチック成形物(3D造形物)を製造することができる。しかも、3Dプリンタの構造が簡易であり、既存の3Dプリンタのノズルのみを交換するだけで足りる。
本発明にかかる繊維強化プラスチック成形物の製造方法に好適な3Dプリンタの一例を示す概略図である。 本発明にかかる繊維強化プラスチック成形物の製造方法に好適な複合フィラメントの一例を示す一部破断概略側面図である。 本発明にかかる繊維強化プラスチック成形物の製造方法に好適な複合フィラメントの一例を示す端部正面図である。 本発明にかかる繊維強化プラスチック成形物の製造方法に好適な複合フィラメントの別の例を示す端部正面図である。 本発明にかかる繊維強化プラスチック成形物の製造方法に好適な複合フィラメントにおける被覆層の一例を示す展開図である。 本発明にかかる繊維強化プラスチック成形物の製造方法に好適なノズルの例を示す断面図である。 実施例1で用いた複合フィラメントの写真である。 実施例1における試験片作製の様子を示す写真である。 実施例1における試験片の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例2における試験片のSEM画像である。 実施例3における試験片のSEM画像である。 実施例4における試験片のSEM画像である。 実施例1〜4における引張試験で用いた試験片の状態を示す写真である。 実施例1〜4における引張試験の結果を示すグラフである。 実施例5で作製した4層平板の繊維強化プラスチック成形物の写真である。 実施例5で作製した円筒状の繊維強化プラスチック成形物の写真である。 実施例5で作製した文字を表す繊維強化プラスチック成形物の写真である。 図17に示す成形物作製の際のノズルの軌跡を示す写真である。
以下、本発明にかかる繊維強化プラスチック成形物の製造方法、ノズル及び3Dプリンタの好ましい実施形態について、図面を参照しつつ、詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
図1に、本発明に適用可能な3Dプリンタの概略的構成を示す。
この3Dプリンタは、ノズル20を備えており、ノズル20の周囲にはヒーター30が配置される。テーブル40上に繊維強化プラスチック成形物が形成される。なお、理解の容易化のために、実際の寸法とは異なる寸法で図示している。また、本発明においては、基本的な構造は従来の3Dプリンタと同様で良いので、3Dプリンタの詳細な構成は、図示を省略している。
この3Dプリンタにおいて、ノズル20に複合フィラメント10が供給される。
ここで、熱可塑性樹脂を材料とする従来の3Dプリンティングにおいては、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィラメントを用いるのが一般的であった。
これに対し、本発明にかかる繊維強化プラスチック成形物の製造方法では、図2,3に示す如く、フィラメントとして、複数の連続繊維からなる強化繊維束11と、熱可塑性樹脂からなり強化繊維束11の周囲を覆う被覆層12とを備える複合フィラメント10を用いることを特徴の1つとしている。
強化繊維束11としては、特に限定するわけではないが、例えば、炭素繊維束、ガラス繊維束などが挙げられる。
強化繊維束11は、多数本の強化繊維を集束したものであり、特に限定するわけではないが、例えば、1K(1000フィラメント)、3K(3000フィラメント)などを用いることができる。
被覆層12を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定するわけではないが、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
また、図2,3に示す例と異なり、強化繊維束を2種以上用いたり、被覆層12以外の熱可塑性樹脂材料を組み合わせたりしてもよい。
例えば、図4に示すように、熱可塑性樹脂の糸13が中心に配置され、その周囲に2種の強化繊維束11a,11bが配置され、さらにこれらの周囲を被覆層12が被覆している構造を備えるものでもよい。
このように、強化繊維束を2種以上用いれば、各強化繊維束の径や本数に加え、強化繊維束の種類や配置も含めて、種々の組合せが可能となり、設計の自由度が増大する。
また、中心に熱可塑性樹脂の糸を配置すると、加熱溶融した熱可塑性樹脂を、強化繊維束に対し、外側からだけでなく内側からも含浸させることができるので、含浸性が向上すると推測される。
複合フィラメント10において、強化繊維束11の周囲を被覆層12で被覆するための方法としては、特に限定されない。
例えば、熱可塑性樹脂からなる糸を用いて、編成(緯編み、経編みなど)、織成(平織、綾織、繻子織など)、紐組みなどにより、強化繊維束の周囲を被覆層で被覆することができる。
編成、織成、紐組みなどにより被覆層を形成する場合は、糸や紐の太さの調整、編成方法等の工夫による被覆率や被覆厚みの調整などが可能であり、設計の自由度が高いという利点がある。
図5は、強化繊維束11の周囲に、熱可塑性樹脂の糸を緯編みして被覆層12を形成し、複合フィラメント10を構成する場合の緯編みの例を示すものであり、被覆層12の展開図である。
このように、熱可塑性樹脂の糸を緯編みする場合、熱可塑性樹脂の糸の太さとしては、特に限定するわけではないが、例えば、33〜250dtexであることが好ましい。糸の太さが33dtex以上であれば、強化繊維束11に対する被覆層12の被覆率を高めることができ、糸の隙間から強化繊維束11が外方へ飛び出てしまうことを抑制することができる。また、編み機を用いた編成上は、250dtex以下が好ましい。
また、熱可塑性樹脂の糸を緯編みする場合、同一コースの編み目の数は、特に限定するわけではないが、例えば、2〜6個とすることができる。この範囲であれば、被覆層12による被覆部分の直径を小さくすることができ、強化繊維束11に対する被覆層12の密着度(締め付け力)を高めることができる。
また、熱可塑性樹脂の糸を緯編みする場合において、同一ウェールの自然長1cmあたりの編み目の数は、特に限定するわけではないが、例えば、6〜14個とすることができる。なお、自然長とは、テンション等を与えない状態、すなわちそのまま台の上に自然に置いた状態での長さを意味する。同一ウェールの自然長1cmあたりの編み目の数が6個以上であれば、強化繊維束11に対する被覆層12の被覆率を高めることができ、被覆層12の隙間から強化繊維束11が外方へ飛び出てしまうことを抑制することができる。また、同一ウェールの自然長1cmあたりの編み目の数が14個以下であれば、編目が細かくなり過ぎることに起因して、カバーリング編目の目かぶり(タックキズ)不良が発生することを抑制することができ、また、複合フィラメントの柔軟性がなくなることを抑制することができる。
ノズル20は、図6に示すように、複合フィラメント10が供給されるノズル入口21
を備える。
また、下流側に向けて徐々に内径が縮小する縮径部22を備える。この縮径部22において、ヒーター30により加熱溶融された被覆層12の強化繊維束11への含浸が促進される。
図6に示す例では縮径部22をテーパ状としているが、内径が縮小するように変化していれば良く、アール状でも良いし、内径が急激に縮小するものであっても良い。
また、図6に示す例では、縮径部22と後述の先端拡径部24との間に、ストレート部23が設けられている。
このストレート部23を設けることにより、縮径部22で圧縮された加熱溶融物における被覆層12の強化繊維束11への含浸をより確実に行うための時間及び距離を確保することができる。
ノズル20は、縮径部22よりも下流側に、ノズル20の開口を外方に広げる先端拡径部24と、さらにその下流側に開繊部25を備えている。
先端拡径部24により開繊部25へ円滑に移行する。図6に示す例では先端拡径部24をアール状としているが、これに限定されず、例えば、テーパ状でも良い。
そして、開繊部25において、加熱溶融物の断面積がさらに減少するため、溶融した被覆層12の強化繊維束11への含浸がさらに促進される。加えて、開繊部25では、繊維強化プラスチック成形物が形成されるテーブル40(成形物が積層して形成される場合はテーブル40上に形成された先行の層)と開繊部25との間で厚み方向に押圧されることにより強化繊維束11が開繊され、開繊された強化繊維束11に被覆層12が効率よく含浸する。
上記各部の作用効果を発現させるために、成形材料である複合フィラメントの断面積をX、縮径部22の最下流(最小内径部)における加熱溶融物の断面積をY、開繊部25における成形物の断面積をZとするとき、X>Y>Zとする。なお、Yは、縮径部22の最下流におけるノズル内径から求めることができる。
また、ノズル各部の寸法等について、強化繊維束や被覆層の種類などにもよるが、例えば、3Kの強化繊維束を用いる場合、含浸性の観点から以下のように設定することが好ましい。当業者であれば、強化繊維束や被覆層の種類などが異なる場合であっても、以下の例示から、容易に好適範囲を設定し得る。
縮径部22の最上流におけるノズル内径R1としては、例えば、0.5〜5mmの範囲であることが好ましい。
同様に、縮径部22の最下流におけるノズル内径R2は、例えば、0.5〜3mmの範囲であることが好ましい。
ストレート部23のノズル軸方向の距離Lは、例えば、0〜20mmの範囲であることが好ましい。
先端拡径部24は、例えば、半径rが0.1〜5mmのアール形状であることが好ましい。
開繊部25とテーブル40(成形物が積層して形成される場合はテーブル40上に形成された先行の層)との間隔dは、例えば、0.1〜1mmの範囲が好ましい。
図6では、ヒーター30も併せて図示している。
このヒーター30により、ノズル入口21から供給された複合フィラメント10が加熱されると、熱可塑性樹脂からなる被覆層12が溶融する。
複合フィラメント10の被覆層12は、縮径部22において溶融するか、又は縮径部22に至る以前に溶融している必要があるので、ヒーター30は、少なくとも縮径部22よりも上流側又は縮径部22の周囲に配置する。
図6に示す例では、縮径部22よりも上流側に配置している。
ヒーター30としては、特に限定されず、例えば、カートリッジヒーター、バンドヒーター、コイルヒーターなどの任意の加熱手段が適用できる。
加熱温度は、通常、熱可塑性樹脂の融解温度よりも高く、強化繊維束の融解温度よりも低くする。材料及び製造しようとする3D造形物の品質などに応じて適宜設定することができる。
本発明の3Dプリンタにおいて、上記ノズル以外の構成は、基本的に、従来の3Dプリンタと同様の構成を採用することができる。
具体的には、例えば、3次元データを記憶する記憶部、記憶部に入力された3次元データに基づき、ノズル20やテーブル40などの動作を制御する制御部、造形物をテーブルにつき易くするためのテーブル加熱部などを備えることができる。
3Dプリンティングを行う際のノズル移動速度は、特に限定されるものではないが、本発明者の検討によれば、ノズル移動速度を遅くした方が、被覆層を構成する熱可塑性樹脂の強化繊維束への含浸性が高くなることが分かっている。
従って、ノズル移動速度については、含浸性と、生産効率を考慮し、適宜設定するのが良い。
以下、実施例を用いて、本発明にかかる繊維強化プラスチック成形物の製造方法、ノズル及び3Dプリンタについて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例1では、MUTOH社製の3Dプリンタ「MF−1100」を用いた。ただし、ノズルは、図6に示す構造のものに交換した。
強化繊維束は、東レ社製炭素繊維「T300B−3000−50B」を用いた。
この強化繊維束の周囲を、東レ社製ナイロン糸PA6(6ナイロン)樹脂(70d・2−24f−VF555−BC)を用いて緯編みすることにより、図2〜4に示す構造の複合フィラメントを作製した。複合フィラメントの写真を図7に示す。
複合フィラメントの外径は、約1.1mm(真円ではない)であった。
複合フィラメントを作製後、サイジング剤除去のために、アセトンに60分間の漬け置き洗浄を行った。この複合フィラメントは、強化繊維を樹脂糸で覆っているため、サイジング剤が無くても強化繊維を繊維束の状態で保つことが可能である。洗浄後、80℃の炉で8時間放置し、樹脂を乾燥させてから3Dプリンタでの試験片作製を行った。
3Dプリンタでの試験片作製の様子を図8に示す。
試験片作製では、ノズル移動速度を20mm/minとし、100mm×10mmの一方向に炭素繊維を配向した単層の試験片を作製した。
実施例1の試験片の厚さは0.24mmであった。
なお、実施例1において、成形材料として用いた複合フィラメント10の断面積をX、縮径部22の最下流における加熱溶融物の断面積をY、開繊部25における成形物の断面積をZとするとき、
X=0.95mm2
Y=0.79mm2
Z=0.35mm2
であった。
また、ノズル各部の寸法等は以下のとおりであった。
縮径部22の最上流におけるノズル内径R1:3.5mm
縮径部22の最下流におけるノズル内径R2:1.0mm
ストレート部23のノズル軸方向の距離L:0.8mm
先端拡径部24:半径rが2.0mmのアール形状
試験片作製時における開繊部25とテーブル40(成形物積層時はテーブル40上に形成された先行の層)との間隔d:0.2mm
〔実施例2〜4〕
ノズル移動速度を変更したこと以外は実施例1と同様にして、試験片を作製した。
実施例2ではノズル移動速度40mm/minとし、実施例3ではノズル移動速度100mm/minとし、実施例4ではノズル移動速度400mm/minとした。
実施例2〜4の各試験片の厚さは、それぞれ0.26mm、0.28mm、0.29mmであった。
〔実施例1〜4の各試験片についての評価〕
<Vf>
実施例1〜4の各試験片のVfを測定したところ、実施例1は41.2%、実施例2は43.2%、実施例3は40.7%、実施例4は41.4%であった。これらの結果より、本発明によれば、高いVfが達成できることが分かった。
なお、Vfは、JIS7075に準拠した燃焼法により測定した。
<SEM画像及び含浸率>
実施例1〜4の各試験片断面のSEM画像を図9〜12に示す。
試験片断面における樹脂の存在する部分の面積の割合を含浸率とし、SEM画像より測定したところ、それぞれ、98%、78%、63%、52%であった。特に実施例1の試験片においては、ほぼ完全に樹脂が含浸していると評価できるものであった。
これらの結果から、ノズル移動速度が遅いほど樹脂の含浸性が高くなる傾向が認められた。
<引張試験>
実施例1〜4の各試験片について引張試験を行った。
チャック掴み部にはボール紙のタブをエポキシ系接着剤で接着した。タブの形状は25mm×10mm×0.55mmとした。試験片形状を図13に示す。試験機は万能試験機(AUTOGRAPH AG−I 100kN)を用い、試験速度は1mm/minとした。
実施例1〜4の各試験片について、引張強度を図14に示す。
図14より、ノズル移動速度が遅いほど引張強度が高くなることが分かり、特に、20mm/minでは694MPaとなった。
含浸済みフィラメントを用いた市販のCFRP作製可能3Dプリンタの引張強度は464MPaと報告されている(Frank van der Klift, Yoichiro Koga, Akira Todoroki, Masahito Ueda, Yoshiyasu Hirano, Ryosuke Matsuzaki:Open Journal of Composite Materials, 6 (2016))。
従って、ノズル移動速度を20mm/minとして、複合フィラメントを用いて3Dプリンタで材料作製を行った場合、事前に含浸させることなく市販の含浸フィラメント以上の強度を得ることができることが分かった。
〔実施例5〕
実施例1と同様にして、様々な形状の成形物の作製を行った。成形の際のノズル移動速度は、20mm/minである。
図15に、0°方向,90°方向の一方向材を交互に積層した100×100mmの4層の平板を示す。
図16に、半径50mm,厚さ12.5mmの円筒を示す。
図17に、四角い枠内に文字(DOSHISHA)を描いたものを示す。
また、図17の成形品を作製した際のノズルの軌跡を図18に示す。
これらの写真に見るように、本発明によれば、様々な3次元形状を造形できることが確認できた。
本発明にかかる繊維強化プラスチック成形物の製造方法、ノズル及び3Dプリンタは、繊維強化熱可塑性プラスチック成形物の3Dプリンティングに好適に利用することができ、特に得られる繊維強化熱可塑性プラスチックのVfが高いため、各種用途への応用可能性が高い。
10 複合フィラメント
11,11a,11b 強化繊維束
12 被覆層
13 熱可塑性樹脂の糸
20 ノズル
21 ノズル入口
22 縮径部
23 ストレート部
24 先端拡径部
25 開繊部
30 ヒーター
40 テーブル

Claims (6)

  1. 3Dプリンタを用いて繊維強化プラスチック成形物を製造するに当たり、フィラメントとして、複数の連続繊維からなる強化繊維束と、熱可塑性樹脂からなり前記強化繊維束の周囲を覆う被覆層とを備える複合フィラメントを用いることを特徴とする、繊維強化プラスチック成形物の製造方法。
  2. 前記複合フィラメントを加熱して前記被覆層を溶融させた加熱溶融物を3Dプリンタ用のノズルから吐出する際に、前記加熱溶融物を厚み方向に押圧して当該加熱溶融物内の前記強化繊維束を開繊する、請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形物の製造方法。
  3. 3Dプリンタ用のノズルとして、
    下流側に向けて徐々に内径が縮小する縮径部と、
    前記縮径部の下流側に設けられ、ノズル開口を外方に拡げる先端拡径部と、
    前記先端拡径部のさらに下流側に設けられ、前記加熱溶融物を厚み方向に押圧して当該加熱溶融物中の前記強化繊維束を開繊する開繊部と
    を備えるノズルを用いる、請求項2に記載の繊維強化プラスチック成形物の製造方法。
  4. 成形材料として用いる前記複合フィラメントの断面積をX、前記縮径部の最下流における加熱溶融物の断面積をY、前記開繊部における成形物の断面積をZとするとき、X>Y>Zとなる条件で繊維強化プラスチック成形物の造形を行う、請求項3に記載の繊維強化プラスチック成形物の製造方法。
  5. 請求項2に記載の繊維強化プラスチック成形物の製造方法に用いられる3Dプリンタ用のノズルであって、
    下流側に向けて徐々に内径が縮小する縮径部と、
    前記縮径部の下流側に設けられ、ノズル開口を外方に拡げる先端拡径部と、
    前記先端拡径部のさらに下流側に設けられ、前記加熱溶融物を厚み方向に押圧して当該加熱溶融物中の前記強化繊維束を開繊する開繊部と
    を備える、ノズル。
  6. 請求項5に記載のノズルを備える、3Dプリンタ。
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