JP6526495B2 - パイプ成形品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、圧縮変形や曲げ変形に対して剛性や強度が高く、パイプ状構造材や継ぎ手などに好適なパイプ成形品とその製造方法に関する。特に、本発明は、強化用連続繊維のテキスタイルを含有する熱可塑性樹脂によって形成された外側筒状部と、射出成形された前記外側筒状部の内側に射出成形された熱可塑性樹脂によって形成された内側筒状部とからなるパイプ成形品とその製造方法に関する。
パイプ状樹脂成形品は、工業的には、特許文献1に開示されるように押出成形で製造されるのが一般的である。しかし、非常に高い強度や剛性を有するパイプ成形品を得るには、連続繊維等による補強が必要となるが、押出成形では、連続繊維により補強するための好適な方法は提案されていない。
一方、引抜き法によって、連続繊維で補強された熱硬化性樹脂の中空体の製造方法は、特許文献2に開示されている。しかし、熱硬化性樹脂を使用すると、成形時間が長くなり生産性が低いことや耐衝撃性が低いことのために、自動車部品や産業機械への適用には不適当であった。また、熱可塑性樹脂に引抜き法が広く試験されたが、溶融粘度が高く、繊維への含浸が難しく適用が困難であった。
さらに、繊維強化樹脂製パイプ成形品は、特許文献3に開示されるように、樹脂を含浸したロービング繊維を、所定の角度で、金型であるマンドレルを回転しながら所定の厚さまで付けた後、含浸した熱硬化性樹脂を加熱硬化して成形するフィラメントワインディング法などにより成形されている。フィラメントワインディング法は、含浸した熱硬化性樹脂を硬化反応させる必要があり、成形に長い時間がかかり、自動車部品のような大量生産が必要な部品への適用は困難であった。フィラメントメントワインディングの他に遠心力成形により成形品を得ることはできるが、やはり大量生産には大きな課題があった。
近年、特許文献4や特許文献5に開示されているように、ロービングに熱可塑性樹脂を含浸したプリプレグ強化繊維を加熱溶融しながらマンドレルに巻き付けて、冷却固化してパイプを作製する方法が提案されている。硬化処理の時間は、冷却固化に必要な時間まで短縮されたが、まだ大量生産が必要な部品への適用は困難であった。また、含浸したロービングを空気中で高温に曝すため、樹脂の酸化劣化や作業環境の悪化対策が必要という問題があった。
一方、熱可塑性樹脂を含浸したテープを編みあげてパイプ状の成形品とする方法も提案されている。この方法は、生産性が高いが、曲げや圧縮荷重を受けると座屈しやすく、構造体としての適用範囲は限られていた。また、特許文献6に開示されているように、編み上げたパイプ状成形品を、内圧成形で溶融固定する方法も開示されているが、やはり、トータルの成形時間は長く、大量生産には不適当であった。
さらに、二つの半円状開断面の成形品のフランジ部を接合して、円状閉断面のパイプ成形品を製造する方法もあるが、接合面の強度は一般部に比較して弱く、構造材としての曲げ強度や圧縮強度は全く未達であった。
自動車の燃費を高くするため、比強度や比剛性の高い成形品、特に骨格を形成する構造材に比強度や比剛性の高いものの開発の社会要請がある。このために、生産性が高く、曲げ強度や圧縮強度が非常に高く、構造材として使用可能なパイプ状構造材を開発する必要性があった。
特開2008−051124号公報 特開平8−34065号公報 特許第3375375号公報 特開平06−91769号公報 特開平06−143273号公報 特開2013−154624号公報
本発明は、上記の従来技術の現状及び社会要請に鑑み創案されたものであり、その目的は、生産性が高く、軽量で比強度や比剛性に優れるパイプ状成形品、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、パイプ成形品を外側筒状部と内側筒状部の2層構造にし、外側筒状部を強化用連続繊維のテキスタイルを含有する熱可塑性樹脂によって形成し、その外側筒状部の内側に熱可塑性樹脂を射出成形して内側筒状部を形成することにより、軽量でありながら剛性や強度に優れるパイプ状成形品が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の(1)〜()の構成を有するものである。
)以下の(i)〜(vi)の工程を含むことを特徴とするパイプ成形品の製造方法:
(i)強化用連続繊維のテキスタイルを含有する熱可塑性樹脂によって形成される外側筒状部を作製する、
(ii)射出成形機の金型を開き、金型キャビティに前記外側筒状部を配置する、
(iii)前記外側筒状部内に摺動コアを挿入し、金型を閉じる、
(iv)前記外側筒状部と前記摺動コアの間の端末より、内側筒状部となる熱可塑性樹脂を射出成形する、
(v)前記金型を開き、前記摺動コアを引き抜く、
(vi)前記外側筒状部と前記内側筒状部とからなるパイプ成形品を金型から取り出す。
)射出成形のゲートとなる形状を施した金属製リングを端部に付けた外側筒状部を金型キャビティに配置することを特徴とする()に記載のパイプ成形品の製造方法。
)外側筒状部は、熱可塑性樹脂を強化用連続繊維のロービングに含浸したプリプレグテープからなるテキスタイルによって形成されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載のパイプ成形品の製造方法
)テキスタイルがプリプレグテープの織物、編物又は組物であり、プリプレグテープの交差部が互いに溶融結合されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のパイプ成形品の製造方法
本発明のパイプ成形品は、強化用連続繊維のテキスタイルを含有する熱可塑性樹脂によって形成された外側筒状部の内側に熱可塑性樹脂を射出成形して内側筒状部を形成しているので、材料と形状の両面から軽量化を達成しながら、曲げや圧縮変形に対する高い剛性や強度を持つことができる。従って、本発明のパイプ成形品を使用した自動車は、燃費が良く、省資源に効果を発揮することができる。
図1は、本発明のパイプ成形品の断面図を示し、(a)は縦断面図、(b)は横断面図を示す。 図2は、本発明のパイプ成形品の外側筒状部に形成されるテキスタイルの例を示し、(a)は織物、(b)は編物、(c)は組物を示す。 図3は、本発明のパイプ成形品の外側筒状部に形成されるプリプレグテープの丸打ち組物の外観を示す。 図4は、金属製リングを端部に付けた外側筒状部の外観を示す。 図5は、本発明のパイプ成形品の製造に使用される射出成形機の外観を概略的に示す。 図6は、金型を開き、摺動コアを後退した状態の射出成形機の外観を概略的に示す。 図7は、金属製リング付きの外側筒状部を金型に配置し、摺動コアを外側筒状部の内部に前進させ、金型を閉じた状態の射出成形機の外観を概略的に示す。 図8は、射出成形用ランナーを配置した状態の射出成形機の外観を概略的に示す。
以下、本発明のパイプ成形品について詳述する。
本発明のパイプ成形品は、図1の(a)、(b)の各断面図に示すように、外側筒状部1と内側筒状部2とからなる2層構造を有する。外側筒状部は、強化用連続繊維のテキスタイルを含有する熱可塑性樹脂によって形成され、内側筒状部は、外側筒状部の内側に射出成形された熱可塑性樹脂によって形成される。本発明のパイプ成形品は、この2層構造を有する限り、他の層を適宜追加することができる。
外側筒状部は、予め熱可塑性樹脂を強化用連続繊維のロービングに含浸したプリプレグテープからなるテキスタイルによって形成されることが好ましい。強化用連続繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、PBO繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ビニールアルコール繊維、スチール繊維などが挙げられる。これらの中で、強度や弾性率が特に高いガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、PBO繊維が好ましく、特にガラス繊維、炭素繊維が好ましく、比強度や比弾性率の高い炭素繊維が最も好ましい。
炭素繊維としては、製造方法は特に制限されないが、ポリアクリロニトル繊維やセルロース繊維などの繊維を空気中で200〜300℃にて処理した後、不活性ガス中で1000〜3000℃以上で焼成され炭化製造された引っ張り強度20t/cm以上、引っ張り弾性率200GPa以上の炭素繊維が好ましい。炭素繊維の単繊維径は、特に制限されないが、複合化の製造ライン工程の取扱い性から3〜9μmが好ましい。3μm未満では、含浸や脱泡が難しく、9μmを超えると、比表面積が小さくなり、補強効果が小さくなる。炭素繊維は、空気や硝酸による湿式酸化、乾式酸化、ヒートクリーニング、ウイスカライジングなどによる接着性改良のための処理を施されたものが好ましい。また、炭素繊維は、作業工程の取り扱い性から、120℃以下で軟化する収束剤により収束されていることが好ましい。ロービングを形成するフィラメント数は、繊維の種類や繊維径によるが、500〜50000本が好ましく、特に1000〜25000本が好ましい。上記本数未満では、テープの断面積が小さく生産性が低く、上記本数を超えると、プリプレグテープ作製時の含浸が難しくなったり、組物が粗くなる。
外側筒状部に使用される熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリアミド6、ポリアミド66、テレフタルアミド共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエチルケトンケトンなどが挙げられる。成形性の面から、ポリプロピレン、ポリアミド6、ポリアミド66、テレフタルアミド共重合体、ポリフェニレンサルファイドなどの結晶性樹脂が好ましい。特に、比強度の高いポリプロピレン、ポリアミド6、ポリアミド66、テレフタルアミド共重合体が好ましい。これらの樹脂は、強化用連続繊維との接着強度を上げるために、酸、エポキシ、イソシアネート変性されていることが好ましい。特に、接着性の低いポレオレフィン系樹脂は変性されたものが特に好ましい。または、接着性を上げる樹脂が配合されているものが好ましい。
プリプレグテープ中の強化用連続繊維の含有率は、30〜80容量%が好ましく、特に35〜70容量%が特に好ましい。含有率が上記範囲未満であると、補強効率が低く、上記範囲を超えると、ボイドなどの欠陥点が発生しやすい。プリプレグテープの幅は、2〜50mmが好ましく、3〜20mmがより好ましく、3〜15mmが最も好ましい。幅が上記範囲未満であると、多数の旋回数が必要であり、生産条件が厳しくなり、上記範囲を超えると、ガイドでの折れ曲がりが発生しやすい。
外側筒状部において、プリプレグテープは、適正な強化形態にテキスタイル加工されるとともに、適正配置に設計されることが好ましい。テキスタイルは、図2の(a)、(b)、(c)のそれぞれに示されるように、織物、編物、組物のいずれかの形態であることが好ましい。織物は、縦糸と横糸を一定の規則で織ったもので、織り方としては、平織り、朱子織り、綾織り、斜文織りがある。また、編物としては、横編みと縦編みがある。組物としては、平打ち組物、丸打ち組物、特殊組物がある。本発明には、パイプ形状にしやすい丸打ち組物が好ましい。また、プリプレグテープを組物に加工した場合、図3に示したように、パイプの長さ方向の軸に対して、テープの繊維軸を±15度〜±60度の角度にすることが好ましい。角度がこの範囲を超えると、パイプの長さ方向の強度や剛性が低くなり、この範囲未満では、円周軸方向の強度や剛性が低くなりやすい。
テキスタイル加工されたプリプレグテープは、互いに接して交差する箇所が多数存在する。荷重による変形を防止する面から、テープの交差部は、互いに結合されていることが好ましい。特に、30%以上、特に好ましくは50%以上の箇所が結合されていることが好ましい。テープの交差部の結合は、接着剤による接着やテープを構成する熱可塑性樹脂の溶融結合により達成されることが好ましい。熱可塑性樹脂の溶融結合は、テキスタイル加工後、超音波エネルギーやレーザーエネルギーを交差部に適用して加熱した後、冷却することでもなされるが、テキスタイル部分以外の熱可塑性樹脂層を溶融成形するとき、特に内側筒状部を熱可塑性樹脂で射出成形するとき、溶融した熱可塑性樹脂の持つ熱によりプリプレグテープ表面を溶融して接合することが生産性から好ましい。
内側筒状部は、上述のようにして作製された外側筒状部の内側に熱可塑性樹脂を射出成形することによって形成される。射出成形は、生産性が高く、持ち込み熱容量が高く、射出圧による圧力が高いという利点を有するため、外側筒状部の内側と内側筒状部の強い一体化が可能である。このように外側筒状部の内側に直接射出成形することにより、外側筒状部のテキスタイルによる強度や剛性を大幅に向上することができる。内側筒状部を別途射出成形して作製した後、外側筒状部の内側に挿入して一体化を図ったとしても、このような強度や剛性の向上効果は見られない。射出成形は、基本的に従来公知の装置、方法及び条件を適宜採用して行なうことができる。射出成形に使用される熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリアミド6、ポリアミド66、テレフタルアミド共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネートなどが挙げられる。ここで使用される熱可塑性樹脂は、内側筒状部の熱可塑性樹脂との密着性が必要であり、内側筒状部を構成する熱可塑性樹脂と同種の樹脂であることが好ましい。また、外側筒状部の内側に熱可塑性樹脂を射出するので、外側筒状部を構成する熱可塑性樹脂より、内側に射出する熱可塑性樹脂の融点が高い方が好ましい。
射出成形に使用される熱可塑性樹脂は、融点より30℃高い温度における21.2N荷重下のメルトフローレートが、10〜500g/10minが好ましく、20〜300g/10minが特に好ましい。メルトフローレートが上記範囲未満では、射出成形時に熱可塑性樹脂の流動性が低下して外側筒状部への含浸性が低く、空隙率が高くなり、また上記範囲を超えると、成形時にバリが発生しやすく、製品強度も低下しやすい。
外側筒状部のテキスタイルの線膨張係数は極めて小さいので、その内側に射出成形される熱可塑性樹脂も同様に線膨張係数が小さいものが好ましい。具体的には、射出成形される熱可塑性樹脂は、炭素繊維・ガラス繊維・アラミド繊維のような繊維強化材やシリカ、マイカ、タルク、ワラストナイト、炭酸カルシウムのような無機充填剤を5〜40容量%、好ましくは10〜35容量%含むことが好ましい。両者の線膨張係数の差は10%未満であることが好ましい。両者の線膨張係数の差が大きいと、外側筒状部のテキスタイルとその内側に射出成形された熱可塑性樹脂の界面に内部応力が発生しやすく、界面剥離やテキスタイルの浮きなどが起こり、十分な剛性や強度を示さない可能性がある。
本発明のパイプ成形品に使用される熱可塑性樹脂には、上記の成分の他に、物性改良、成形性改良、耐久性改良を目的として、結晶核剤、離型剤、滑剤、酸化防止剤、難燃剤、耐光剤、耐候剤などを配合することができる。
本発明のパイプ成形品の外径は、好ましくは30〜120mm、より好ましくは40〜100mm、特に好ましくは50〜90mmである。また、内径は、好ましくは20〜100mm、より好ましくは30〜90mm、特に好ましくは35〜80mmである。射出成形される内側筒状部の厚さは、好ましくは1〜15mm、より好ましくは1.5〜10mm、特に好ましくは2〜8mmである。本発明のパイプ成形品の長さは、好ましくは50〜1500mm、より好ましくは100〜1000mm、特に好ましくは150〜800mmである。上記範囲外では、射出時の流動性が不足することや、固化時間が長くなるので、工業的に問題を生じうる。
次に、本発明のパイプ成形品の製造方法の一例について説明する。
まず(i)上述したように外側筒状部として強化用連続繊維のテキスタイルを含有する熱可塑性樹脂によって形成されるもの(例えば図3に示すもの)を作製する。
次に、(ii)図5に示すような射出成形機を用意し、その金型を開き、金型キャビティに前述の外側筒状部を配置する。外側筒状部は、切断等して必要な長さに調整した後、金型キャビティに配置する前に、図4に示すように射出成形のゲートとなる形状を施した金属製リング4を端部に付けることが好ましい。射出成形機は、外側筒状部を金型キャビティに配置するとき、図6に示したように予め金型(上型11及び下型21)を開き、摺動コア31を後退させておく。また、外側筒状部は、摺動コア31と金属製リング4の中心軸が一致するように金型キャビティに配置することが必要である。
次に、(iii)図7に示すように、外側筒状部内に両側から摺動コアを挿入し、金型を閉じる。
次に、(iv)図8に示すようにランナー5を配置し、外側筒状部と摺動コアの間の端末により、内側筒状部となる熱可塑性樹脂を射出する。射出後、所定時間その状態で保持し、金型内で冷却する。
次に、(v)金型を開き、摺動コアを内側筒状部から引き抜く。
最後に、(vi)外側筒状部と内側筒状部とからなるパイプ成形品を金型から引き抜く。具体的には、金型キャビティから、一体化したランナーと金属製リング付きパイプ成形品を取り出す。所定時間放置後、ゲート部でランナーを切り離し、その後、パイプ成形品の両端の金属製リングをはずして、パイプ成形品を得る。
本発明の成形品は、上述のように作製されているので、軽量でありながら、曲げや圧縮変形に対する剛性や強度が高い。従って、本発明のパイプ成形品は、自動車のフレーム、2輪車のフレーム、農機具のフレーム、OA機器のフレーム、及びフレームの連結部品などの高い強度と剛性の必要な部品に好適に使用されることができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。なお、軸圧縮剛性試験は以下のようにして行なった。
軸圧縮剛性試験
圧縮治具と圧縮用ロードセルをセットした島津製作所製オートグラフAGX−1000を使用して、長さ100mmの円筒型のパイプ成形品の軸方向に、予め50Nを負荷した後、5mm/minの変形速度で、圧縮して、荷重―変位挙動を測定した。得られた荷重―変位曲線の変位0.25mm〜0.5mm間の剛性を求めた。
実施例1
12000本の炭素繊維からなるロービングCF−R(三菱レイヨン製TR50)を拡張開繊して所定の速度で含浸台のダイヘッドに供給した。一方、変性ポリプロピレン樹脂PP1(東洋紡社製G2H、230℃、21.2N荷重下のメルトフローレート45g/10min)を,260℃に温度調節されたスクリュー式押し出し機のホッパーに投入し、溶融樹脂をギアポンプにより所定量計量して、含浸台のダイヘッドに供給した。含浸台で加圧含浸、脱泡後、幅10mm・高さ0.2mmのダイから含浸被覆されたプリプレグテープを押し出し、圧縮賦形固化した後、枷に巻き取った。(炭素繊維65質量%、樹脂35質量%)
得られたプリプレグテープを5mm幅にスリットし、変性プロピレン樹脂が含浸された連続炭素繊維のプリプレグテープ巻き3本を得た。このプリプレグテープを使用して、図3に示すように交差角45度にてパイプ状に組み上げ、内径48mm、長さ1000mmの円筒状のテキスタイルからなる外側筒状部を得た。得られた外側筒状部を長さ150mmに切断した、切断した外側筒状部の両端に、外径48mm、内径44mm、長さ2mmの金属製リングを配置した。なお、各リングの円周に、幅2mm、高さ1mmの溝を施した。
縦型圧縮成形機に、シリンダー温度(℃)を230−260−260−260に調節した横型射出成形機を組み合わせたハイブリッド成形用射出成形機(佐藤鉄工所製VIM003型)のホッパーに、変性ポリプロピレン樹脂(東洋紡製、G2H)を投入した。50℃に温度調節した圧縮成形機側の型を開き、キャビティ内に、上記の金属製リング付きの外側筒状部を配置した。金属製リングと外側筒状部内に摺動コアを挿入し、金型を閉じた。
ランナーを介して、両端より外側筒状部の内側に変性ポリプロピレンを、射出時間8秒、冷却時間20秒の条件で射出成形した。パイプ成形品の内側2mm厚部分と、外側筒状部の間隙に樹脂が充填し、また外側筒状部を構成する変性ポリプロピレン樹脂が溶着することで外側筒状部のテキスタイルが固定された。
冷却後、金型を開き、摺動コアを引き抜き、両端に金属製リングの付いたパイプ成形品を金型より取り出した。脱型後、金属製リングに施した溝部を切断して、外側が変性ポリプロピレン樹脂を含浸した連続炭素繊維テキスタイル、内側が変性ポリプロピレン樹脂からなる2層構造のパイプ成形品を得た。得られたパイプ成形品の詳細と軸圧縮剛性試験の評価結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、射出成形する樹脂を変性ポリプロピレンPP1から、予めチョップド炭素繊維を変性ポリプロピレンにコンパウンディングした炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂PP2に変更した以外は、実施例1と全く同様にパイプ成形品を作製し、実施例1と全く同様に軸圧縮剛性試験により評価した。得られたパイプ成形品の詳細と軸圧縮剛性試験の評価結果を表1に示す。
なお、コンパウンディングは、シリンダー温度を230℃に温度調節した池貝鉄工社製二軸押出機PCM30を使用し、変性ポリプロピレン樹脂とチョップド炭素繊維を重量比で80:20に予備混合して、スクリュウ回転数毎分100にて溶融混練して、ストランドをペレタイズした。
比較例1
実施例1と同じ成形機と金型を使用して、テキスタイルからなる外側筒状部を金型に配置せず、実施例1に使用した同じ変性ポリプロピレンを射出成形して、同形状で外層にテキスタイルを含まないパイプ成形品を作製した。得られたパイプ成形品の詳細と軸圧縮剛性試験の評価結果を表1に示す。
比較例2
実施例1と全く同様に、プリプレグテープから作製した円筒状のテキスタイルを作製し、実施例1と同じ長さにカットしてパイプ成形品を得た。得られたパイプ成形品の詳細と軸圧縮剛性試験の評価結果を表1に示す。
比較例3
実施例1と全く同様の成形機や金型を使用して、テキスタイルからなる外側筒状部を配置することなく射出成形して得た内側筒状部を、実施例1と全く同様にして得られた円筒状のテキスタイルからなる外側筒状部の内側に挿入し、内側筒状部が樹脂で、外側筒状部がテキスタイルのパイプ成形品を得た。テキスタイルからなる外側筒状部と、それとは別に射出成形されて形成された内側筒状部は、物理的な接触のみで溶融結合されていない。得られたパイプ成形品の詳細と軸圧縮剛性試験の評価結果を表1に示す。
比較例4
実施例1と全く同様に、プリプレグテープから円筒状のテキスタイルを作製し、実施例1と同じ長さにカットして筒状テキスタイルを得た。外径44mm、内径42mm、高さ150mmの鋼製パイプが垂直に固定された金属板型に、鋼製パイプの外側に筒状テキスタイルを同心円となるように配置した。筒状パイプと鋼製パイプの間隙に、シリンダー温度を230℃に温度調節した池貝鉄工社製二軸押出機PCM30の1mmφのノズルから、溶融した変性ポリプロピレン樹脂PP1を低速にて注入して、室温にて30分放冷した後、金属板型から積層パイプ成形品を脱型し、両端を切断して、長さ100mmの炭素繊維テキスタイルとPP1樹脂からなる積層パイプを得た。得られたパイプ成形品の詳細と軸圧縮剛性試験の評価結果を表1に示す。
表1中の記号は以下の通りである。
PP1:変性ポリプロピレン樹脂G2H(東洋紡製、230℃、21.2N荷重下におけるメルトフローレート 45g/10min,融点165℃)
PP2:PP1の3mmカットチョップド炭素繊維(三菱レイヨン製TR50)の20重量%コンパウンド品、230℃、21.2N荷重下におけるメルトフローレート 20g/10min
CF−R:炭素繊維、三菱レイヨン製TR50(フィラメント数12000本)
表1の結果からわかるように、射出成形により内側筒状部と外側筒状部を一体化した実施例のパイプ成形品は、同じ材料を使用して内側筒状部と外側筒状部を一度に作った比較例1や内側筒状部を形成していない比較例2や内側筒状部と外側筒状部の一体化を挿入で行なった比較例3や内側筒状部と外側筒状部の一体化を注入硬化で行なった比較例4に比べて、剛性が明らかに高くなっている。
本発明のパイプ成形品は、軽量でありながら、高い軸圧縮剛性を有し、使用時の安全性が高い。従って、自動車のフレーム、2輪車のフレーム、農機具のフレーム、OA機器のフレーム、フレームの連結部品、T型フレームや十字型フレームの連結部品に好適に使用されることができる。
1 外側筒状部
2 内側筒状部
3 プリプレグテープ
4 金属製リング
5 ランナー
11 上型
21 下型
31 摺動コア
41 ホッパー
42 バレル
43 ノズル
44 加圧盤

Claims (4)

  1. 以下の(i)〜(vi)の工程を含むことを特徴とするパイプ成形品の製造方法:
    (i)強化用連続繊維のテキスタイルを含有する熱可塑性樹脂によって形成される外側筒状部を作製する、
    (ii)射出成形機の金型を開き、金型キャビティに前記外側筒状部を配置する、
    (iii)前記外側筒状部内に摺動コアを挿入し、金型を閉じる、
    (iv)前記外側筒状部と前記摺動コアの間の端末より、内側筒状部となる熱可塑性樹脂を射出成形する、
    (v)前記金型を開き、前記摺動コアを引き抜く、
    (vi)前記外側筒状部と前記内側筒状部とからなるパイプ成形品を金型から取り出す。
  2. 射出成形のゲートとなる形状を施した金属製リングを端部に付けた外側筒状部を金型キャビティに配置することを特徴とする請求項に記載のパイプ成形品の製造方法。
  3. 外側筒状部は、熱可塑性樹脂を強化用連続繊維のロービングに含浸したプリプレグテープからなるテキスタイルによって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパイプ成形品の製造方法
  4. テキスタイルがプリプレグテープの織物、編物又は組物であり、プリプレグテープの交差部が互いに溶融結合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパイプ成形品の製造方法
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