JP3620103B2 - 樹脂被覆補強繊維糸の製造方法 - Google Patents

樹脂被覆補強繊維糸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、連続繊維で補強した熱可塑性樹脂成形体を成形するために用いる樹脂被覆補強繊維糸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、連続繊維で補強した熱可塑性樹脂成形体が補強効果が大きい利点を有するため、多用されている。このような連続繊維補強熱可塑性樹脂成形体を成形するには、通常、熱可塑性樹脂を補強繊維に含浸させて作ったシートを積層し、加熱加圧して成形する方法、補強繊維糸で形成された織物と熱可塑性樹脂フィルムとを交互に積層し、加熱加圧して成形する方法、或いは、補強繊維糸と熱可塑性樹脂繊維糸との交織織物を積層し、加熱加圧して成形する方法等が行われている。しかしながら、積層材としてフィルムやシートを用いる場合には、立体的な形状の成形をする時の賦形性に劣るという問題があった。また、織物を用いる場合には、補強繊維に対する樹脂含浸性が悪く、特に、織物内の補強繊維同士の交点において樹脂含浸性が悪いという問題があった。更に、補強繊維糸を製織する際に、繊維がばらけて損傷しやすいため、1本の補強繊維糸を構成する単繊維数をあまり多くできず(例えば、単糸径が7μmのガラス繊維では6000本程度が限度)、単繊維数を多くして生産性を上げることができなかった。
【0003】
そこで樹脂含浸性を改善するためには、予め補強用の連続繊維と熱可塑性樹脂とを含む糸(トウ、ヤーン等)を作成し、その糸で織物を作製し、その織物を成形材料として用いることが提案されており、その糸として以下のようなものが提案されている。
(a)補強用連続繊維と熱可塑性樹脂繊維を、繊維の状態で撚り合わせて作るプリプレグヤーン。
(b)補強用連続繊維と熱可塑性樹脂繊維を、繊維の状態でコミングルして作るプリプレグヤーン。
(c)補強用連続繊維に熱可塑性樹脂粉末を、静電気等を用いて吸着させるなどして作るプリプレグヤーン。
(d)補強用連続繊維を熱可塑性樹脂の溶融したバスに通して作るプリプレグトウ。
(e)補強用連続繊維と熱可塑性樹脂繊維を含むコアの外周に溶融した熱可塑性樹脂を高圧で供給し、コア内に含浸させると共に被覆した合成糸(特表平6−506643号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記(a)〜(e)に示す従来の糸には、それぞれ以下に示すような問題があった。
(a)のプリプレグヤーンでは、熱可塑性樹脂の紡糸工程、補強繊維との合撚工程が必要であり、コスト高となる。また、この合撚工程や、後工程である製織、製紐などの工程で補強繊維が損傷する。プリプレグヤーンの交点で含浸不良が発生し易い。
(b)のプリプレグヤーンでは、熱可塑性樹脂の紡糸工程、補強繊維とのコミングル工程が必要であり、コスト高となる。また、コミングル及び製織、製紐などの工程での補強繊維損傷が大きい。
(c)のプリプレグヤーンでは、樹脂粉末の吸着が不均一で且つ樹脂量のコントロールが困難、製織、製紐などの工程での補強繊維損傷が大きい。
(d)のプリプレグトウでは、プリプレグトウにフレキシブル性がなく、製織、製紐などができない。また、生産性も低い。
(e)の合成糸では、熱可塑性樹脂の紡糸工程、補強繊維との合糸工程が必要であり、コスト高となる。被覆樹脂が内部にかなり含浸するため硬くなっており、製織、製紐などが困難である。
【0005】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、補強繊維と熱可塑性樹脂とからなる糸であって、簡便で生産性良く製造可能な、且つ製織、製紐が容易なフレキシブル性を備え、しかも、製織、製紐などの工程での補強繊維の損傷を防止可能な糸の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記問題点を解決するため鋭意検討の結果、多数本の補強用連続繊維で形成した補強繊維束の外周に、外周に位置する繊維のみに接着し内部にはほとんど含浸しないように、熱可塑性樹脂をコーティングすることにより、適度な柔軟性を有する樹脂被覆補強繊維糸を形成でき、且つこの樹脂被覆補強繊維糸が織物やブレード等に容易に加工可能であると共に、その織物やブレードが成形材料として好ましい特性を備えていることを見出し、且つその樹脂被覆補強繊維糸を製造する方法を鋭意検討の結果、本発明を達成した。
【0007】
すなわち、本発明は、多数本の補強用連続繊維で形成された補強繊維束と、その補強繊維束の外周にコーティングされた熱可塑性樹脂とからなり、該熱可塑性樹脂の体積含有率が40〜60%である樹脂被覆補強繊維糸を製造する方法であって、多数本の補強用連続繊維で形成された補強繊維束を走行させた状態で、その補強繊維束を包囲するように且つその補強繊維束に接触しない位置に配置した環状の吐出口から、融点より30〜60℃高い温度に溶融した熱可塑性樹脂を中空の円筒状に押し出し、その熱可塑性樹脂を圧力フリーの状況下で且つ前記吐出口の直下5〜30mmの間で前記補強繊維束の外周に接触させ、外周に位置する連続繊維に接着した状態となるようにコーティングすることを特徴とする樹脂被覆補強繊維糸の製造方法である。
【0008】
本発明に用いる補強繊維としては、形態的には連続繊維であれば、フィラメント糸の状態でもストランドの状態でも可能である。種類としては、炭素繊維やガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維や、アラミド繊維などの有機繊維が使用されるが、これに限定されるものではない。これらの補強繊維は多数を集束して形成された補強繊維束の状態で使用される。その補強繊維束の形態は、多数本の連続繊維を単に集束して形成したトウであっても或いは適当に撚りを加えたヤーンであってもよい。補強繊維束を構成する補強繊維の繊維径、繊維数等は、この樹脂被覆補強繊維糸から製造する織物、ブレード等の成形材料に要求される条件に応じて定められるが、後述するように補強繊維束が樹脂被覆で保護されているため、後工程でばらけたり、損傷したりすることが少なく、このため、集束本数を多くすることが可能である。具体的には、補強繊維がカーボン繊維やガラス繊維の場合には、繊維径が3〜20μm、好ましくは5〜10μm程度、繊維数が2000〜17000本、好ましくは5000〜15000本程度が望ましく、また、アラミド繊維の場合には、繊維径が10〜14μm程度、繊維数が600〜5000本程度が好ましい。
【0009】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12などのポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアリルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等が使用されるが、これに限定されるものではない。又、上記の熱可塑性樹脂を複数種類混合して用いることも可能であり、更に、上記熱可塑性樹脂に着色剤や充填剤、難燃剤等を適当量添加して使用することも可能である。
【0010】
本発明方法で製造する樹脂被覆補強繊維糸において、補強用連続繊維の体積含有率は40〜60%に、従って、熱可塑性樹脂の体積含有率も40〜60%に選定される。ここで、熱可塑性樹脂の体積含有率を40%以上としたのは、それ未満ではコーティングが困難であると共に、形成された被膜が薄く、後工程で剥がれてトラブルを生じる恐れがあるためである。また、逆に熱可塑性樹脂を60%を越える体積含有率とすると、樹脂分が多くなりすぎて樹脂被覆補強繊維糸が硬くなり、後工程での加工が困難となるためである。更に、この補強繊維の含有率の範囲は、成形体に望まれる補強繊維含有率の範囲とも一致しており、従って、この樹脂被覆補強繊維糸のみで成形体を形成しうるという利点も有している。
【0011】
本発明では、吐出口から吐出された溶融樹脂を吐出口の直下5〜30mmの間で補強繊維束1に接触させ、且つ熱可塑性樹脂の吐出温度条件として、熱可塑性樹脂の融点より30〜60°C程度高い温度としている。これは、吐出された熱可塑性樹脂があまり冷却固化しない状態で補強繊維束に接触し、補強繊維束の外周に位置する連続繊維とそれを取り囲んだ熱可塑性樹脂被膜との良好な接着を確保するため及び高温時の粘度の低い状態で補強繊維束に接触し、補強繊維束内に含浸してしまうのを防止するためである。これらの条件を採用した本発明方法で製造した樹脂被覆補強繊維糸では、熱可塑性樹脂の体積含有率が40〜60%と多いにもかかわらず、この熱可塑性樹脂で被覆した熱可塑性樹脂は補強繊維束の内部にはほとんど含浸せず、外周に位置する連続繊維に接着されている。このように熱可塑性樹脂が補強繊維束の内部に含浸しないことにより、補強繊維束の内部では繊維同士が固着されず、全体の柔軟性が保たれる。また、被覆した熱可塑性樹脂が補強繊維束の外周に位置する連続繊維に接着していることにより、熱可塑性樹脂被膜が剥がれにくく、この樹脂被覆補強繊維糸を用いた製織、製紐等の後工程において熱可塑性樹脂被膜が剥がれてトラブルを起こすということが防止される。
【0012】
【0013】
以下、本発明の製造方法を詳細に説明する。図2は本発明方法の実施に用いるコーティング装置の1例を示す概略側面図、図1はそのコーティング装置のクロスヘッドダイの概略断面図、図3はそのクロスヘッドダイの樹脂吐出部分の概略断面図、図4は図3のA−A矢視図である。1は多数本の補強用連続繊維で形成された補強繊維束、2はその補強繊維束1を供給する給糸装置、3は樹脂を溶融して押し出すためのスクリュー式押出機、4は補強繊維束1の外周に樹脂をコーティングするためのクロスヘッドダイ、5は樹脂被覆補強繊維糸、6は熱可塑性樹脂冷却槽、7は巻取装置である。
【0014】
クロスヘッドダイ4は、中央に補強繊維束1を通過させる繊維用穴10を、その周囲に溶融樹脂を通す円筒状通路11を有しており、その下端に環状の吐出口12が形成されている。繊維用穴10は補強繊維束1をゆるく通過させることができるような寸法に作られている。例えば、補強繊維束1を円形断面とした時の直径が1mm程度の場合、繊維用穴10の内径は2〜4mm程度に定められる。吐出口12は補強繊維束1を通過させる繊維用穴10から間隔を開けて配置されており、従って吐出口12から吐出された後の溶融樹脂14が圧力フリーの状況下で補強繊維束1の外周に接触可能となっている。繊維用穴10の吐出口12との間隔はあまり大きくなると、吐出口12から円形断面で吐出された樹脂14が補強繊維束1に接触するまでに時間がかかり、必要な接着力を得られない場合が生じるので、通常は2mm以下に選定され、好ましくは1mm程度に選定される。
【0015】
次に、上記装置を用いた樹脂被覆補強繊維糸の製造方法を説明する。まず、熱可塑性樹脂ペレットをスクリュー式押出機3のホッパー3aに投入し、シリンダ部3bで加熱溶融させ、スクリューによりクロスヘッドダイ4に導入させる。クロスヘッドダイ4に導入された溶融樹脂14は円筒状通路11を通り、下端の環状の吐出口12から筒状に吐出される。一方、補強繊維束1は給糸装置2から引き出され、クロスヘッドダイ4の中央の繊維用穴10内を下方に走行しており、従って、吐出口12から吐出された樹脂14は走行中の補強繊維束1を取り囲んだ状態となっている。吐出口12から吐出された樹脂14は、表面張力や冷却による収縮、更には下方に引っ張られることによって縮径し、補強繊維束1の外周に接触すると共にその部分の連続繊維に接着する。かくして、補強繊維束1の周りに樹脂14が被覆コーティングされる。このコーティングによって形成された樹脂被覆補強繊維糸5は、その後、熱可塑性樹脂冷却槽6を通ることで冷却され、巻取装置7で巻き取られる。
【0016】
以上のコーティング動作において、熱可塑性樹脂は吐出口12から吐出され、圧力が解放された状態で即ち圧力フリーの状態で補強繊維束1の外周に接触する。このため、補強繊維束1に接触した樹脂14が内部の連続繊維間に含浸することはほとんどない。かくして、熱可塑性樹脂被膜が補強繊維束1の外周に位置する連続繊維のみに接着した構造の樹脂被覆補強繊維糸が製造される。ここで、補強繊維束1の外周に位置する連続繊維とそれを取り囲んだ熱可塑性樹脂被膜との良好な接着を確保するには、吐出口12から吐出された溶融樹脂14があまり冷却固化しない状態で補強繊維束1に接触することが望ましく、このため、吐出された溶融樹脂14を吐出口12の直下5〜30mmの間で補強繊維束1に接触させる。また、熱可塑性樹脂の吐出温度条件としては、熱可塑性樹脂の融点より30〜60°C程度高い温度とする。また、その時の溶融樹脂の粘度は10000ポイズ以下が望ましい。
【0017】
本発明方法で製造した樹脂被覆補強繊維糸は、繊維補強熱可塑性樹脂成形体を製造するための成形材料に使用可能である。成形材料の一つの形態は、上記した樹脂被覆補強繊維糸を用いて製織した織物である。この織物は、経糸、緯糸の全てに上記した樹脂被覆補強繊維糸を用いたものであってもよいし、経糸、緯糸の一部に上記した樹脂被覆補強繊維糸を用い、残部にその樹脂被覆補強繊維糸に用いている熱可塑性樹脂と同質の熱可塑性樹脂繊維糸を用いたものであってもよい。後者の場合、織物内に入れる熱可塑性樹脂繊維糸の割合を調整することにより、この織物を用いて得た成形体の補強繊維含有率を調整できる。
【0018】
樹脂被覆補強繊維糸と熱可塑性樹脂繊維糸とを用いて織物を製織する場合、両者の配列は任意であり、例えば、次の組み合わせを用いることができる。
(1) 経糸、緯糸の双方に、樹脂被覆補強繊維糸、熱可塑性樹脂繊維糸を用いる。
(2) 経糸、緯糸の一方に、樹脂被覆補強繊維糸、熱可塑性樹脂繊維糸を用い、他方に樹脂被覆補強繊維糸のみを用いる。
(3) 経糸、緯糸の一方に、樹脂被覆補強繊維糸、熱可塑性樹脂繊維糸を用い、他方に熱可塑性樹脂繊維糸のみを用いる。
(4) 経糸、緯糸の一方に、樹脂被覆補強繊維糸のみを用い、他方に熱可塑性樹脂繊維糸のみを用いる。
【0019】
これらの組み合わせは成形体に望まれる特性に応じて適当なものを選択すればよい。例えば、(1) 、(2) の組み合わせでは経糸、緯糸の双方に補強繊維が配列されるため、方向性無く補強した成形体を得ることができる。一方、(3) 、(4) の組み合わせでは、経糸、緯糸の一方のみに補強繊維が配列されるため、一方向のみを補強した成形体を得ることができる。なお、(3) 、(4) の組み合わせでも、この織物を積層する場合に補強繊維の方向を交差させるように積層することにより、方向性無く補強した成形体を得ることができる。
【0020】
成形材料として用いる織物の織り組織としては、特に限定されるものでなく、平織、綾織等任意である。また、製織も、従来と同様に、通常の織機により行うことができる。この製織工程において、経糸、緯糸は屈曲させられたり、擦られたりする。しかし、本発明の樹脂被覆補強繊維糸では、適度な柔軟性を有するので、屈曲させられても損傷することがなく、また、擦られて損傷しやすい補強繊維束を熱可塑性樹脂被膜が覆っているので、補強繊維の損傷、毛羽立ち等が生じない。また、この熱可塑性樹脂被膜は補強繊維束の外周の連続繊維に接着されているため、剥がれることもない。かくして、得られた織物は、それを構成する補強繊維に損傷がなく、且つ柔軟な特性を備えたものとなっている。
【0021】
次に、この織物を用いた成形方法を説明する。この織物を型内に、成形体に要求される肉厚に対応した枚数だけ重ねてセットする。この織物は柔軟であるので、賦形性が良く、単に平坦な形状のもののみならず、屈曲した面にも適合させることができる。型内に織物をセットする際、成形体内の補強繊維含有率の調整のために、織物間に樹脂フィルムを配置してもよく、また、必要な強度、剛性を確保するため、補強繊維糸のみからなる織物や、補強繊維を引き揃えて樹脂含浸したプリプレグ等を配置してもよい。ただし、これらの樹脂フィルムやプリプレグは賦形性を悪くするので、使用数は少ない方がよく、また、補強繊維糸のみからなる織物は含浸性が悪いので、これも使用数は少ない方がよい。型内にセットした後は、従来と同様に加圧、加熱する。加圧は、5〜20kg/cm2 程度、温度は使用する樹脂の融点より30〜50°C程度高い温度が適当である。これにより、熱可塑性樹脂が溶融して補強繊維間に含浸され、マトリクスとなる。その後、冷却、固化させることにより、繊維補強熱可塑性樹脂成形体が得られる。
【0022】
ここで、樹脂被覆補強繊維糸では熱可塑性樹脂が補強繊維束を取り囲んで存在しているため、加圧加熱による含浸の際、溶融した樹脂の流れる距離が短くてよく、このため、確実な含浸が得られる。また、含浸の困難な補強繊維同士の交点においても、樹脂被覆が補強繊維間に存在しているため、この部分での含浸不良を生じることがない。かくして、得られた成形体は、含浸性が良く、ボイドがほとんどなく、非常に優れた曲げ強度を備えている。
【0023】
形材料の他の形態は、上記した樹脂被覆補強繊維糸を用いて製紐したブレードである。ブレードは、S方向にらせん状に配列した複数本の糸(以下S方向糸という)と、それに交差する方向であるZ方向にらせん状に配列した複数本の糸(以下Z方向糸という)とで構成されるが、成形材料として用いるブレードにおいては、このS方向糸、Z方向糸の全てに上記した樹脂被覆補強繊維糸を用いたものであってもよいし、S方向糸、Z方向糸の一部に上記した樹脂被覆補強繊維糸を用い、残部にその樹脂被覆補強繊維糸に用いている熱可塑性樹脂と同質の熱可塑性樹脂繊維糸を用いたものであってもよい。後者の場合、ブレード内に入れる熱可塑性樹脂繊維糸の割合を調整することにより、このブレードを用いて得た成形体の補強繊維含有率を調整できる。
【0024】
樹脂被覆補強繊維糸と熱可塑性樹脂繊維糸とを用いてブレードを製紐する場合、両者の配列は任意であり、例えば、次の組み合わせを用いることができる。
(5) S方向糸、Z方向糸の双方に、樹脂被覆補強繊維糸、熱可塑性樹脂繊維糸を用いる。
(6) S方向糸、Z方向糸の一方に、樹脂被覆補強繊維糸、熱可塑性樹脂繊維糸を用い、他方に樹脂被覆補強繊維糸のみを用いる。
(7) S方向糸、Z方向糸の一方に、樹脂被覆補強繊維糸、熱可塑性樹脂繊維糸を用い、他方に熱可塑性樹脂繊維のみを用いる。
(8) S方向糸、Z方向糸の一方に、樹脂被覆補強繊維糸のみを用い、他方に熱可塑性樹脂繊維糸のみを用いる。
【0025】
これらの組み合わせは成形体に望まれる特性に応じて適当なものを選択すればよい。例えば、(5) 、(6) の組み合わせではS方向糸、Z方向糸の双方に補強繊維が配列されるため、方向性無く補強した成形体を得ることができる。一方、(7) 、(8) の組み合わせでは、S方向糸、Z方向糸の一方のみに補強繊維が配列されるため、一方向のみを補強した成形体を得ることができる。なお、(7) 、(8) の組み合わせでも、このブレードを積層する場合に補強繊維の方向を交差させるように積層することにより、方向性無く補強した成形体を得ることができる。
【0026】
上記したブレードの製紐は、特別な装置等を用いない極一般的な製紐機により行うことができる。すなわち、予め製紐管に巻き取った樹脂被覆補強繊維糸(及び必要に応じ予め製紐管に巻き取った熱可塑性樹脂繊維)を、製紐機の右周り、左周りの管差しにセットし、これを製紐機によりブレードにする。この際、樹脂被覆補強繊維糸は屈曲させられたり、擦られたりするが、上記した製織の場合と同様に、本発明の樹脂被覆補強繊維糸では、適度な柔軟性を有するので、屈曲させられても損傷することがなく、また、補強繊維の損傷、毛羽立ち等も生じない。更に、この熱可塑性樹脂被膜は補強繊維束の外周の連続繊維に接着されているため、剥がれることもない。かくして、得られたブレードは、それを構成する補強繊維に損傷がなく、且つ柔軟な特性を備えたものとなっている。
【0027】
レードは筒状をなしているので繊維補強熱可塑性樹脂管状成形体を成形するのに好適である。以下、このブレードを用いて繊維補強熱可塑性樹脂成形管(FRTP管)を形成する方法を説明する。まず、芯棒に上記ブレードを、成形体に要求される肉厚に対応した枚数だけ被せる。この際、このブレードは柔軟であるので取り扱い性が良く、被せ作業が容易である。芯棒にブレードをセットする際、成形体内の補強繊維含有率の調整のために、ブレード層間に樹脂のチューブを配置してもよく、また、必要な強度、剛性を確保するため、ブレード層間に、0、90°等の補強繊維を引き揃えて樹脂含浸したプリプレグや、補強繊維の織物等を配置してもよい。ただし、これらの樹脂フィルムやプリプレグは賦形性を悪くするので、使用数は少ない方がよく、また、補強繊維のみからなる織物は含浸性が悪いので、これも使用数は少ない方がよい。
【0028】
次に、芯棒を抜き、その代わりにシリコン等の内圧用チューブをセットする。このセットした物を所定の金型に入れ、加熱しながら内圧用チューブに窒素若しくは空気、ガス等を注入し加圧する。加圧は、5〜20kg/cm2 程度、温度は使用する樹脂の融点より30〜50°C程度高い温度が適当である。この加熱加圧により、熱可塑性樹脂が溶融して補強繊維間に含浸され、マトリクスとなる。その後、金型を冷却し、溶融状態の熱可塑性樹脂マトリクスを固化させ、金型より成形体を取り出す。以上の工程を経て、連続繊維で補強された熱可塑性樹脂の中空成形体が得られる。得られた成形体はボイドがほとんどなく、補強繊維の効果により非常に優れた曲げ強度、ねじれ強度を示す。
【0029】
【作用】
本発明方法は、多数本の補強用連続繊維で形成された補強繊維束を走行させた状態で、その補強繊維束を包囲するように且つその補強繊維束に接触しない位置に配置した環状の吐出口から、融点より30〜60℃高い温度に溶融した熱可塑性樹脂を中空の円筒状に押し出し、その熱可塑性樹脂を圧力フリーの状況下で且つ前記吐出口の直下5〜30mmの間で前記補強繊維束の外周に接触させる構成であるので、樹脂を補強繊維束の内部に含浸させることなく外周の連続繊維に接着させて樹脂被覆補強繊維糸を製造できる。この際、 熱可塑性樹脂を溶融状態で押し出した後、圧力フリーの状況下で補強繊維束の外周に接触させればよいので、処理速度(補強繊維束の走行速度)を大きくすることが可能であり、例えば、200m/min程度とすることが可能である。このため、生産効率を上げることができる。
【0030】
本発明方法で製造した樹脂被覆補強繊維糸は、多数本の連続繊維からなる補強繊維束を熱可塑性樹脂被覆が覆った構成であるが、その熱可塑性樹脂は補強繊維束の内部にはほとんど含浸しないため、樹脂含有率が40〜60%と高いにも係わらず柔軟性を有しており、且つ外周の熱可塑性樹脂被覆が内部の補強繊維束を保護するために、製織、製紐等の工程での補強繊維の損傷を防止できる。また、熱可塑性樹脂被覆が補強繊維束の外周の連続繊維に接着されており、且つ適度な厚さを有するため、製織、製紐等の工程で剥がれることもない。このため、繊維補強熱可塑性樹脂成形体を製造するための成形材料として使用する織物やブレードの材料として好適に使用可能である。
【0031】
上記した樹脂被覆補強繊維糸を用いて製織してなる織物からなる成形材料は、柔軟な樹脂被覆補強繊維糸を用いたため、フレキシブルであり、このため賦形性が良く、曲面を有する成形体の成形に適すると共に、積層、賦形時の作業性に優れている。また、熱可塑性樹脂が補強繊維束の外周に均一にコーティングされている為、成形時の含浸性が良く、織物内の補強繊維同士の交点でも含浸性が良く、しかも、補強繊維の分散性がよい。このため、より短時間、低圧力による成形が可能である。
【0032】
上記した樹脂被覆補強繊維糸を用いて製紐してなるブレードからなる成形材料も、織物の場合と同様に、柔軟な樹脂被覆補強繊維糸を用いたため、フレキシブルであり、このため賦形性が良く、積層、賦形時の作業性に優れている。また、熱可塑性樹脂が補強繊維束の外周に均一にコーティングされている為、成形時の含浸性が良く、織物内の補強繊維同士の交点でも含浸性が良く、しかも、補強繊維の分散性がよい。このため、より短時間、低圧力による成形が可能である。このブレードは筒状であるので、繊維補強熱可塑性樹脂管状成形体を成形するのに好適である。
【0033】
【実施例】
実施例1
次の条件で、樹脂被覆補強繊維糸を作製し、次の結果を得た。
Figure 0003620103
【0034】
(2)コーティング条件
使用装置:図1〜4に示す構成
繊維用穴10の内径:3.5mm
吐出口12の外径:7mm、内径:5.5mm
クロスヘッドダイ温度:270°C
押出機3のシリンダ温度:250°C
熱可塑性樹脂吐出量:46g/min
巻取速度:200m/min
【0035】
(3)結果
補強繊維束の外周に熱可塑性樹脂被覆を有する樹脂被覆補強繊維糸を得た。得られた樹脂被覆補強繊維糸の補強繊維体積含有率は54%であった。その樹脂被覆補強繊維糸を切断し、断面を電子顕微鏡で観察したところ、補強繊維束を取り囲んだ熱可塑性樹脂被覆が形成されており、その被覆は補強繊維束の外周の連続繊維に接着されていた。また、補強繊維束の内部への樹脂含浸は見られなかった。更に、熱可塑性樹脂被覆を剥がして内部の補強繊維束を観察したところ、内部の補強繊維に損傷は見られず、従って、コーティング工程で補強繊維に損傷は生じていなかった。
得られた樹脂被覆補強繊維糸は柔軟であり、製織テストを行ったところ、損傷を生じることなく製織可能であった。
【0036】
実施例2
次の条件で、樹脂被覆補強繊維糸を作製し、次の結果を得た。
Figure 0003620103
【0037】
(2)コーティング条件
使用装置:図1〜4に示す構成
繊維用穴10の内径:3.5mm
吐出口12の外径:7mm、内径:5.5mm
クロスヘッドダイ温度:320°C
押出機3のシリンダ温度:290°C
熱可塑性樹脂吐出量:46g/min
巻取速度:200m/min
【0038】
(3)結果
補強繊維束の外周に熱可塑性樹脂被覆を有する樹脂被覆補強繊維糸を得た。得られた樹脂被覆補強繊維糸の補強繊維体積含有率は54%であった。この樹脂被覆補強繊維糸も実施例1のものと同様な特性を備えていた。
【0039】
実施例3
次の条件で、樹脂被覆補強繊維糸を作製し、次の結果を得た。
Figure 0003620103
【0040】
(2)コーティング条件
使用装置:図1〜4に示す構成
繊維用穴10の内径:3.5mm
吐出口12の外径:7mm、内径:5.5mm
クロスヘッドダイ温度:280°C
押出機3のシリンダ温度:250°C
熱可塑性樹脂吐出量:30g/min
巻取速度:130m/min
【0041】
(3)結果
補強繊維束の外周に熱可塑性樹脂被覆を有する樹脂被覆補強繊維糸を得た。得られた樹脂被覆補強繊維糸の補強繊維体積含有率は54%であった。この樹脂被覆補強繊維糸も実施例1のものと同様な特性を備えていた。
【0042】
実施例4
次の条件で、樹脂被覆補強繊維糸を作製し、次の結果を得た。
Figure 0003620103
【0043】
(2)コーティング条件
使用装置:図1〜4に示す構成
繊維用穴10の内径:5mm
吐出口12の外径:9mm、内径:7mm
クロスヘッドダイ温度:270°C
押出機3のシリンダ温度:250°C
熱可塑性樹脂吐出量:30g/min
巻取速度:65m/min
【0044】
(3)結果
補強繊維束の外周に熱可塑性樹脂被覆を有する樹脂被覆補強繊維糸を得た。得られた樹脂被覆補強繊維糸の補強繊維体積含有率は54%であった。この樹脂被覆補強繊維糸も実施例1のものと同様な特性を備えていた。
【0045】
実施例5
実施例3の樹脂被覆補強繊維糸を用いて次の条件で織物を製織した。
織組織:平織
織り密度:経10本/25mm、緯10本/25mm
得られた織物は柔軟であり、且つ経糸、緯糸ともに損傷は見られなかった。
この織物を用いて、次の条件で平板を成形した。
積層構成:8ply
成形条件:270°C、10kgf/cm2 、10min
この成形により厚さ2.1mmの成形体を得た。この成形体について機械特性を測定した結果を表1に示す。
【0046】
比較例1
次の仕様の補強繊維束のみからなる織物と熱可塑性樹脂フィルムを用意した。
Figure 0003620103
この補強繊維織物及び熱可塑性樹脂フィルムを用いて、次の条件で平板を成形した。
積層構成:表面にPA6フィルムとなるように、PA6フィルムと補強繊維織物を交互に積層し、補強繊維織物を8枚積層した。
成形条件:270°C、10kgf/cm2 、10min
この成形により厚さ2.2mmの成形体を得た。この成形体について機械特性を測定した結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0003620103
【0048】
表1から良く分かるように、実施例5で得た成形体は、従来の補強繊維織物から得た比較例1のものに比べてきわめて優れた特性を有していた。
【0049】
実施例6
実施例4の樹脂被覆補強繊維糸を用いて次の条件でブレードを製紐した。
打ち数:24打
角度: 30°
ブレード径:18mm
得られたブレードは柔軟であり、樹脂被覆補強繊維糸に損傷は見られなかった。このブレードを用いて、次の条件でFRTP管を成形した。
積層構成:3ply
成形条件:260°C、内圧10kgf/cm2 、20min、冷却15°C/min、80°C以下で脱型
得られたFRTP管は外径20mm、肉厚1.2mmであり、補強繊維の体積含有率は55%であった。その機械特性を測定した結果を表2に示す。
【0050】
比較例2
次の条件で、12KCF/PA6の交織タイプのブレードを作製し、それを用いて内圧成形でFRTP管を成形した。
Figure 0003620103
【0051】
(2)ブレーディング条件
打ち数:48打
角度: 30°
ブレード径:18mm
左周り、右周り共にカーボンファイバー、ナイロンファイバーの製紐管をそれぞれ1本おきにしかけ、補強繊維が互いに交差する方向に等量配列された交織タイプのブレードを作製した。
【0052】
(3)内圧成形
得られたブレードを用いて、次の条件でFRTP管を成形した。
積層構成:3ply
成形条件:260°C、内圧8kgf/cm2 、10min、冷却15°C/min、80°C以下で脱型
得られたFRTP管は外径20mm、肉厚1.2mmであり、補強繊維の体積含有率は55%であった。その機械特性を測定した結果を表2に示す。
【0053】
比較例3
次の条件で、12KCF/PA6の1方向タイプのブレードを作製し、それを用いて内圧成形でFRTP管を成形した。
Figure 0003620103
【0054】
(2)ブレーディング条件
打ち数:32打
角度: 30°
ブレード径:18mm
左周りの管差しにカーボンファイバー、右周りの管差しにナイロンファイバーの製紐管をしかけた、所謂Z方向補強ブレードと、右周りの管差しにカーボンファイバー、左周りの管差しにナイロンファイバーの製紐管をしかけた、所謂S方向補強ブレードを作製した。
【0055】
(3)内圧成形
得られたブレードを用いて、次の条件でFRTP管を成形した。
積層構成:4ply
成形条件:260°C、内圧8kgf/cm2 、10min、冷却15°C/min、80°C以下で脱型
得られたFRTP管は外径20mm、肉厚1.1mmであり、補強繊維の体積含有率は55%であった。その機械特性を測定した結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
Figure 0003620103
【0057】
表2から良く分かるように、実施例6で得た成形体は、従来の補強繊維ブレードから得た比較例2、3のものに比べてきわめて優れた特性を有していた。
【0058】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明方法は、多数本の補強用連続繊維で形成された補強繊維束を走行させた状態で、その補強繊維束を包囲するように且つその補強繊維束に接触しない位置に配置した環状の吐出口から、融点より30〜60℃高い温度に溶融した熱可塑性樹脂を中空の円筒状に押し出し、その熱可塑性樹脂を圧力フリーの状況下で且つ前記吐出口の直下5〜30mmの間で前記補強繊維束の外周に接触させ、外周に位置する連続繊維に接着した状態となるようにコーティングする構成としたことにより、補強繊維束を体積含有率が40〜60%となる熱可塑性樹脂で被覆し且つその補強繊維束の外周の連続繊維に熱可塑性樹脂を接着させた構造の樹脂被覆補強繊維糸を製造でき、この際、溶融した熱可塑性樹脂を圧力フリーの状況下で補強繊維束の外周に接触させればよいので、処理速度(補強繊維束の走行速度)を大きくすることが可能で、生産効率を上げることができる等の効果を有している。また、本発明方法で製造した樹脂被覆補強繊維糸は、多数本の連続繊維からなる補強繊維束を熱可塑性樹脂被覆が覆って保護しており、且つ適度な柔軟性を有しているため、製織、製紐等の工程において損傷を生じることがなく、繊維補強熱可塑性樹脂成形体を製造するための成形材料として使用する織物やブレードの材料として好適に使用可能であり、しかも、成形時には、補強繊維に対する樹脂の含浸性が良く、高品質の成形体を成形できるという効果を有している。また、この樹脂被覆補強繊維糸は、補強繊維に対して熱可塑性樹脂を被覆した形態で一体化しているので、繊維化した後補強繊維と合撚或いはコミングルして形成したプリプレグヤーンに比べて、製造工程が簡単で、安価に製造可能であり、更に、補強繊維を熱可塑性樹脂被覆で保護しているため、後工程でばらけることがなく、このため補強繊維束を構成する単繊維数を多くすることが可能であり、生産性が良い等の効果も有している。
【0059】
上記した樹脂被覆補強繊維糸を用いて製織してなる織物からなる成形材料は、柔軟な樹脂被覆補強繊維糸を用いたため、フレキシブルであり、このため賦形性が良く、曲面を有する成形体の成形に適すると共に、積層、賦形時の作業性に優れ、また、熱可塑性樹脂が補強繊維束の外周に均一にコーティングされている為、成形時の含浸性が良く、織物内の補強繊維同士の交点でも含浸性が良く、しかも、補強繊維の分散性がよい。このため、より短時間、低圧力による成形が可能であり、ボイドの少ない、補強効果の高い成形体を作ることができるという効果を有している。
【0060】
上記した樹脂被覆補強繊維糸を用いて製紐してなるブレードからなる成形材料も、織物の場合と同様に、柔軟な樹脂被覆補強繊維糸を用いたため、フレキシブルであり、このため賦形性が良く、積層、賦形時の作業性に優れており、また、熱可塑性樹脂が補強繊維束の外周に均一にコーティングされている為、成形時の含浸性が良く、織物内の補強繊維同士の交点でも含浸性が良く、しかも、補強繊維の分散性がよい。このため、より短時間、低圧力による成形が可能であり、ボイドの少ない、補強効果の高い成形体を作ることができ、繊維補強熱可塑性樹脂管状成形体を成形するのにきわめて好適であるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の実施に用いるコーティング装置の1例のクロスヘッドダイを示す概略断面図
【図2】そのコーティング装置の概略側面図
【図3】そのクロスヘッドダイの樹脂吐出部分の概略断面図
【図4】図3のA−A矢視図
【符号の説明】
1 補強繊維束
2 給糸装置
3 スクリュー式押出機
4 クロスヘッドダイ
5 樹脂被覆補強繊維糸
6 熱可塑性樹脂冷却槽
7 巻取装置
10 繊維用穴
11 円筒状通路
12 吐出口
14 樹脂

Claims (1)

  1. 多数本の補強用連続繊維で形成された補強繊維束と、その補強繊維束の外周にコーティングされた熱可塑性樹脂とからなり、該熱可塑性樹脂の体積含有率が40〜60%である樹脂被覆補強繊維糸を製造する方法であって、多数本の補強用連続繊維で形成された補強繊維束を走行させた状態で、その補強繊維束を包囲するように且つその補強繊維束に接触しない位置に配置した環状の吐出口から、融点より30〜60℃高い温度に溶融した熱可塑性樹脂を中空の円筒状に押し出し、その熱可塑性樹脂を圧力フリーの状況下で且つ前記吐出口の直下5〜30mmの間で前記補強繊維束の外周に接触させ、外周に位置する連続繊維に接着した状態となるようにコーティングすることを特徴とする樹脂被覆補強繊維糸の製造方法。
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