JP2014226851A - 射出成形方法及び射出成形品 - Google Patents

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紀彦 古谷
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一己 野村
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Abstract

【課題】光輝材を含有する熱可塑性樹脂組成物を用いた場合でも、ウェルド部の外観不良が少ない射出成形品を成形することができる射出成形方法、及び該射出成形方法により得られる射出成形品を提供する。
【解決手段】金型に複数設けられた媒体通路14.16の全部又は一部に前記金型の温度を調節するために用いる媒体が実質的に存在しない状態で、金型内壁面の全部又は一部を加熱し、溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物を前記金型内に充填する充填工程と、前記充填工程後、前記媒体通路の全部又は一部に前記媒体を通すことにより前記金型を冷却させる冷却工程と、を有し、前記熱可塑性樹脂組成物が、光輝材を含有する、熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、射出成形方法、及び該射出成形方法により得られる射出成形品に関する。
従来、光輝材を含有する熱可塑性樹脂組成物を射出成形する際には、そのゲート部、ウェルド部等にフローマークおよび、ウェルドライン等の外観不良が発生しやすいという問題があった。ここで、「ウェルド」とは、金型キャビティ内で溶融状態の熱可塑性樹脂の流れが合流して融着した部分を指す。また、「ウェルドライン」とは、ウェルド部の成形品表面に発生するライン状の凹みのほか、ウェルド近傍に発生する黒筋を含む。
そこで、このウェルドラインを解消するために、金型温度を高温にする技術(例えば、特許文献1、2参照)、樹脂と金型温度を樹脂の荷重たわみ温度以上になるように加熱する成形方法(例えば、特許文献3参照)、及び金型温度を選択的に加熱変形温度以上に加熱した後、金型キャビティ内に溶融状態の樹脂を充填し、溶融樹脂の一部にせん断力を加えることで、ウェルド内部の流動の変化(流動ムラ)を改善する方法が報告されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2010−264703号公報 特開2011−206979号公報 特開2003−200477号公報 特開平9−1611号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の技術を用いて、光輝材が添加された樹脂組成物を成形すると、筋状のムラ等の外観不良が発生し、成形品全体における輝度感、深みのある金属系色調感において、さらなる改善の余地がある。なお、外観不良が発生する原因は、ウェルド部や金型内で樹脂の流動の変化により、光輝材の配向が不均一となることに起因すると考えられる。
また、特許文献4に記載の技術は、成形品の表面全体での輝度の統一感にさらなる改善が求められる。また、ウェルド部や金型内で樹脂の流動の変化による光輝材の配向を均一にする温度領域まで金型温度を昇温させる場合には、成形サイクルが長くなるという問題を抱えている。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光輝材を含有する熱可塑性樹脂組成物を用いた場合でも、ウェルド部の外観不良が少ない射出成形品を成形することができる射出成形方法、及び該射出成形方法により得られる射出成形品を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、所定の充填工程と冷却工程とを有する射出成形方法であれば、上記問題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
〔1〕
金型に複数設けられた媒体通路の全部又は一部に前記金型の温度を調節するために用いる媒体が実質的に存在しない状態で、金型内壁面の全部又は一部を加熱し、溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物を前記金型内に充填する充填工程と、
前記充填工程後、前記媒体通路の全部又は一部に前記媒体を通すことにより前記金型を冷却させる冷却工程と、を有し、
前記熱可塑性樹脂組成物は、光輝材を含有する、
熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法。
〔2〕
前記金型内に設けられた電熱ヒーターにより、前記金型内壁面の全部又は一部を加熱する、前項〔1〕に記載の熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法。
〔3〕
前記金型は、製品キャビティと、該製品キャビティよりも前記熱可塑性樹脂組成物の流動方向下流側に位置する捨てキャビティと、を有する、前項〔1〕又は〔2〕に記載の熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法。
〔4〕
前記加熱された金型内壁面の全部又は一部の温度と、前記溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物の温度と、の差が0〜60℃である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法。
〔5〕
前記熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法が、ガスアシスト成形方法である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法。
〔6〕
光輝材である金属顔料100質量部、及びポリエチレングリコール5〜10質量部を含むペースト状金属顔料と、熱可塑性樹脂と、を含む熱可塑性樹脂組成物を含み、
前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法により成形された、射出成形品。
〔7〕
前記熱可塑性樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、前記金属顔料を0.1〜5質量部含む、前項〔6〕に記載の射出成形品。
〔8〕
前記熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂を含む、前項〔6〕又は〔7〕に記載の射出成形品。
〔9〕
自動車の内外装部品として用いられる、前項〔6〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の射出成形品。
〔10〕
電気及び/又は電子機器の筐体として用いられる、前項〔6〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の射出成形品。
本発明によると、光輝材を含有する熱可塑性樹脂組成物を用いた場合でも、成形品全体として、ウェルド部の外観不良が少ない射出成形品を成形することができる熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法、及び該射出成形方法により得られる射出成形品を提供することができる。
本実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法で用いうる金型の一例を示す側面図である。 射出成形品の一例を示す上面図である。 実施例13〜14、比較例13において成形した射出成形品を示す上面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法〕
本実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法は、
金型に複数設けられた媒体通路の全部又は一部に前記金型の温度を調節するために用いる媒体が実質的に存在しない状態で、金型内壁面の全部又は一部を加熱し、溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物を前記金型内に充填する充填工程と、
前記充填工程後、前記媒体通路の全部又は一部に前記媒体を通すことにより前記金型を冷却させる冷却工程と、を有し、
前記熱可塑性樹脂組成物は、光輝材を含有する。
上記射出成形方法により、ウェルド部や金型内で樹脂の流動の変化による光輝材の配向を均一にする温度領域まで金型温度を昇温させる成形サイクルが長くなることなく、光輝材を含有する熱可塑性樹脂組成物による射出成形品のウェルド部や金型内で樹脂の流動の変化による光輝材の配向が均一になり、成形品全体で輝度感、深みのある金属系色調感を有する射出成形品を得ることができる。以下、図1〜2を参照して、本実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法について説明する。図1は、本実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法で用いうる金型の一例を示す側面図である。また、図2は、射出成形品の一例を示す上面図である。
〔充填工程〕
充填工程は、金型10に複数設けられた媒体通路(モールドベース温調媒体通路14,キャビブロック冷却媒体通路16等。以下、「媒体通路14,16」ともいう。)の全部又は一部に金型10の温度を調節するために用いる媒体が実質的に存在しない状態で金型内壁面の全部又は一部を加熱し、溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物を金型10内に充填する工程である。ここで、「溶融状態」とは、固化温度より高温である状態をいう。
本実施形態の射出成形方法において、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を金型10内に充填する際に金型内壁面の全部又は一部を加熱することにより、ウェルド部23や金型内における熱可塑性樹脂組成物の流動ムラによる光輝材の配向の不均一性を解消して、熱可塑性樹脂組成物中の光輝材の配向を均一にすることができる。これにより、流動ムラによるウェルド部23の外観不良を低減し、成形品全体で輝度感、深みのある金属系色調感を有する射出成形品20を提供することができる。
金型内壁面の全部又は一部の加熱方法としては、特に限定されないが、例えば、電熱ヒーター15による加熱法、スチームや油による加熱方法等が挙げられる。このなかでも金型10内に設けられた電熱ヒーター15による加熱法は、ヒーター容量により加熱速度の調節ができるほか、通電により加熱の開始、終了が瞬時にできるため、装置構成、インフラ整備の点でより優れる傾向にある。
加熱された金型内壁面の全部又は一部の温度と、溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物の温度との差は、0〜60℃が好ましく、0〜50℃がより好ましく、0〜40℃がさらに好ましい。加熱された金型内壁面の全部又は一部の温度と、溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物の温度との差が0〜60℃であることにより、熱可塑性樹脂組成物の流動ムラによる光輝材の配向の不均一性を解消して、熱可塑性樹脂組成物中の光輝材の配向をより均一にすることができる。これにより、流動ムラによるウェルド部23の外観不良をより低減し、成形品全体で輝度感、深みのある金属系色調感により優れる射出成形品20を提供することができる傾向にある。
本実施形態に係る射出成形方法においては、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を金型10内に充填する際に金型内壁面の全部又は一部を加熱する。この際、金型内壁面の全部を加熱する必要はなく、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物が接する金型内壁面のうち、得られる射出成形品20の意匠面に相当する内壁面のみを加熱してもよい。このように金型内壁面の一部を加熱することにより、その部分における樹脂の流動ムラによる光輝材の配向の不均一性を解消でき、当該部分における熱可塑性樹脂組成物中の光輝材の配向を均一にすることができる。これにより、流動ムラによるウェルド部23の外観不良を低減し、成形品全体で輝度感、深みのある金属系色調感を有する射出成形品20を得ることができる。ここで、「意匠面」とは、成形品のなかでも、特に最終製品になった際、使用者(製品のユーザー)の目、手に触れる箇所をいう。
また、金型を構成する部材全体を加熱する必要はなく、例えば、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物が充填される部分を補うことができる大きさであり、電熱ヒーターを組み込んだ上で可能な限り容積の小さいブロック(例えば、キャビブロック13、コアブロック(不図示))だけを加熱してもよい。金型10のうち熱可塑性樹脂組成物が充填される部分以外のモールドベース(キャビ側)11,モールドベース(コア側)12等の必要以上の部分を加熱せず、無駄な電気エネルギー、熱エネルギーを消費しないことにより省エネルギー化を図ることができる。また、このようにブロック毎に加熱すれば、ブロックとブロックを囲むモールドベース11,12の境界部に断熱材を設けることにより、各ブロックの熱が各モールドベースへ伝熱することを抑えることができるため好ましい。
また、金型10内に充填された溶融状態の熱可塑性樹脂組成物は、金型キャビティ内の流動末端部分に到達するまで、樹脂温度の流動に十分な温度を保っていることが好ましい。このためには、熱可塑性樹脂組成物を充填する際、ランナー部分も高温に保たれていることが好ましく、ホットランナー(不図示)が組み込まれた金型10を用いることがより好ましい。
また、金型内壁面を加熱する際には、金型に複数設けられた媒体通路14,16の全部又は一部を金型の温度を調節するために用いる媒体が実質的に存在しない状態で金型内壁面を加熱する。これにより、効率よく加熱することができる。ここで、「実質的に存在しない」とは、金型内壁面を加熱開始する前に、金型に複数設けられた媒体通路の全部又は一部に圧縮空気等を一定時間送り込むことなどにより、該金型に設けられた媒体通路内に存在する媒体を該媒体通路外へ排出した状態を指す。
さらに、溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物の金型内への充填が完了するまでの間、金型内壁面を高温に保った状態であることが好ましい。これにより、流動ムラによるウェルド部23の外観不良を低減し、成形品全体で輝度感、深みのある金属系色調感を有する射出成形品を得ることができる。
また、射出成形品20に開口部22(成形品に設けられた穴)がある場合、金型10は、金型内に設けられた製品キャビティと、該製品キャビティよりも熱可塑性樹脂組成物の流動方向下流側に位置する捨てキャビティと、を有することが好ましい。このような金型を用いることにより、キャビティ内の樹脂の流動の合流点から流動末端までの流動距離を長くすることができる。これにより、ウェルド部分23に外観不良がより発生しにくくなるため好ましい。なお、捨てキャビティにも樹脂が充填される。捨てキャビティに充填された樹脂は製品となる部分ではないが、射出成形品20に付属する付属部24として、金型から取り出される。
〔冷却工程〕
冷却工程は、前記充填工程後、媒体通路14,16の全部又は一部に媒体を通すことにより金型10を冷却させる工程である。金型10内に充填された溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物は固化温度より高温である状態にあるため、冷却する。冷却工程では、溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物を金型へ充填した後、媒体通路14,16の全部又は一部に冷却媒体を通して金型を冷却させることにより、金型内の熱可塑性樹脂組成物を固化させ、取り出すことができる。冷却温度は特に制限されず、金型から取り出すことができる温度域まで冷却することが好ましい。
本実施形態の射出成形方法は、上述のように金型10の冷熱サイクルを伴う射出成形法である。上述のような金型の冷熱サイクルを伴えば特に限定されず、一般的な熱可塑性樹脂を成形するのに用いられる射出成形方法を用いることができる。具体的には、例えば、発泡射出成形、射出圧縮成形、窒素ガスや炭酸ガス等によるガスアシスト成形方法を用いることができる。これらの方法は、1種を単独で用いても又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、発泡射出成形とガスアシスト成形とを組み合わせることも好ましい。発泡射出成形とガスアシスト成形とを組み合わせることにより、得られる成形品のヒケ、ソリの発生をより抑制することができる傾向にある。
ここでいう、「ガスアシスト成形」とは、一般的に公知な窒素ガスや炭酸ガスを用いた射出成形である。より具体的には、例えば特公昭57−14968号公報等に記載のように、樹脂を金型キャビティ内に射出した後に、成形品内部に加圧ガスを注入する方法、例えば特許3819972号公報等に記載のように、樹脂組成物を金型キャビティ内に射出した後に、成形品の片面に対応するキャビティに加圧ガスを圧入する方法、例えば特許3349070号公報等に記載の方法のように、熱可塑性樹脂に予めガスを充填させ成形する方法が挙げられる。これらのうち、成形品の片面に対応するキャビティに加圧ガスを圧入する方法が好ましい。
本実施形態においては、金型内に充填された熱可塑性樹脂組成物が充填完了した後、冷却完了までの間の工程において、非意匠面と金型内壁面の間隙に高圧の窒素ガスを充てんするガスアシスト成形を用いることが好ましい。本実施形態に係る射出成形方法では、熱可塑性樹脂組成物を充填する際の金型温度が高温であるため、熱可塑性樹脂組成物の冷却は通常の射出成形法と比較して緩やかに進行する傾向にある。そのため、非意匠面と金型内壁面の間隙に高圧の窒素ガスを充てんすることにより、意匠面と意匠面に対応する金型内壁面との密着を冷却終了まで維持することができ、ヒケ及びソリをより防止できる傾向にある。
媒体通路14、16のうち、金型壁面を加熱する際に媒体が実質的に存在しない状態となる媒体通路を通過する媒体は、加熱された金型壁面を冷却できる媒体であれば限定されないが、例えば、水、オイル(例えば、高沸点高温度用熱媒体油)などが挙げられる。この中でも、金型内壁面を加熱する前に媒体通路を実質的に存在しない状態とする際には媒体通路内の媒体を媒体通路外へ排出することが容易であることから水であることが好ましい。
また、媒体通路14、16のうち、成形サイクルを通じて媒体が存在する媒体通路を通過する媒体は、金型10の温度を調節できれば限定されないが、水、オイル(例えば、高沸点高温度用熱媒体油)などが挙げられる。媒体の温度としては特に制限されないが、用いられる熱可塑性樹脂を射出成形する際の金型温度領域であることが好ましい。
ゲート部21は、成形機から射出された溶融状態の熱可塑性樹脂組成物が、スプルー、ランナーを介して製品となる金型キャビティに流入する流入口であり、その形状と個数は限定されない。
〔熱可塑性樹脂組成物〕
本実施形態で用いる熱可塑性樹脂組成物は、光輝材と、熱可塑性樹脂と、を含む。
〔光輝材〕
本実施形態で用いる光輝材としては、光を反射し、熱可塑性樹脂組成物の輝度感を向上させるものであれば特に制限されないが、具体的には、雲母、金属顔料、金属被覆ガラス等を挙げることができる。
上記雲母としては天然雲母又は合成雲母が挙げられる。天然雲母としては、特に限定されないが、例えば、白雲母、黒雲母、金雲母を挙げることができる。なお、雲母には金属酸化物を被覆する場合もある。その場合の金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等を挙げることができる。このなかでも、輝度感の観点から酸化チタンが好ましい。酸化チタンは、アナターゼ型、ルチル型のいずれであってもよいが、樹脂との安定性の観点から、ルチル型が好ましい。雲母における金属酸化物の被覆率は、輝度感の観点から雲母100質量%に対して、20〜50質量%の範囲であることが好ましく、20〜45質量%の範囲であることがより好ましい。雲母の製造方法については限定されるものではなく、一般的に公知の製造方法(例えば、特開平10−279828号公報に記載の製造方法)によるものでよい。
雲母の平均粒度は耐衝撃性の観点から、2〜200μmの範囲であることが好ましく、5〜100μmの範囲であることがより好ましい。また、雲母のアスペクト比は2〜2000の範囲であることが好ましく、5〜1000の範囲であることがより好ましい。
なお、本実施形態における「アスペクト比」とは短径に対する長径の比を意味する。光輝材が鱗片状又は板状である場合は、短径はその鱗片、板の平均厚さであり、長径はその鱗片、板の平均直径、長さである。また、光輝材が繊維状である場合は、短径はその繊維径であり、長径は繊維長である。光輝材が球状である場合は、短径は直径の最小値、長径は最大直径であり、真球の場合アスペクト比は1である。
上記金属顔料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム顔料を使用することが好ましい。このなかでも、純度の高いアルミニウムを主体として製造された光輝性を有するアルミニウム顔料が好ましい。その形状については、特に限定されないが、例えば、鱗片状、フレーク状、円盤状、多面体形状等の形状を挙げることができる。アルミニウム顔料の製造方法は、特に限定されるものではなく、一般的に公知の製造方法を用いることができる。例えば、アルミニウム粉末又はアルミニウム箔をミネラルスピリットとステアリン酸又はオレイン酸等を収容したボールミル等の中で粉砕、研磨して製造する方法が挙げられる。アルミニウム顔料の平均粒度は、耐衝撃性の観点から0.05〜200μmの範囲であることが好ましく、0.1〜100μmの範囲であることがより好ましい。この平均粒度は、セイシン企業株式会社製レーザーミクロンサイザーLMS−24を用いて測定することができる。
本実施形態に好適に用いられるアルミニウム顔料の厚みは耐衝撃性の観点から0.05〜0.4μmの範囲であることが好ましく、0.08〜0.3μmの範囲であることがより好ましい。なお、メタリック顔料の厚みは、金属成分1g当たりの水面拡散面積:WCA(m2/g)を用いて次式により算出できる。また、水面拡散面積は、アルミニウム顔料に対して一定の予備処理を行ったのち、JIS−K−5906−1991に従って求めることができる。
暑さ(t)=0.4/WCA
また、本実施形態に好適に用いられるアルミニウム顔料のアスペクト比は、強度の観点から3〜200の範囲であることが好ましく、10〜100の範囲であることがより好ましい。
本実施形態に好適に用いられる光輝材が金属顔料である場合、熱可塑性樹脂組成物は、光輝材である金属顔料100質量部、及びポリエチレングリコールを5〜10質量部を含むペースト状金属顔料と、熱可塑性樹脂と、を含むことが好ましい。このような熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、熱可塑性樹脂と金属顔料とが均一に分散しやすく、成形品表面の金属顔料のムラが抑制され、外観特性により優れる傾向にある。
上記金属被覆ガラスとしては、特に限定されないが、例えば、基材となるフレーク状ガラスに金属酸化物を被覆したものが挙げられる。「フレーク状ガラス」とは、薄い板状、あるいは鱗片状である微小なガラス粉をいう。被覆する金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化鉄が挙げられる。このなかでも、輝度感の観点から、酸化チタンが好ましい。酸化チタンは、アナターゼ型、ルチル型のいずれであってもよいが、樹脂との安定性の観点から、ルチル型が好ましい。金属被覆ガラスは、被覆する金属酸化物の厚さを制御することにより、反射する色調を調整することができる。具体的には金属酸化物の平均厚さを40〜60nmとすると白色、60〜80nmとすると黄色、80〜100nmとすると赤色、100〜130nmとすると青色の色調を得ることができる。フレーク状ガラスに金属酸化物を被覆させる方法としては、特に制限されず、一般的に公知の製造方法が用いることができ、例えば、スパッタリング法、ゾルーゲル法、化学蒸着(Chemical Vapor Deposition)法、液相抽出(Liquid Phase Deposition)法等を挙げることができる。
金属被覆ガラスの平均粒度は、耐衝撃性の観点から5〜600μmの範囲であることが好ましく、75〜125μmの範囲であることがより好ましい。そのアスペクト比は強度の観点から2〜60の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは3〜20の範囲であることがより好ましい。
光輝材の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましく、0.2〜2質量部がより好ましく、0.5〜1.5質量部がさらに好ましい。含有量が上記範囲内であることにより、輝度感と物性のバランスにより優れる傾向にある。
〔熱可塑性樹脂〕
本実施形態において用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;GPPS(ポリスチレン)、HIPS(ハイインパクトポリスチレン)、MS樹脂(メチルメタクリレート−スチレン共重合体)、MBS樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)、MAS樹脂(メチルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ASA樹脂(アクリロニトリル−アクリレート−スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体)、及びACS樹脂(アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体)等のスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリトリメチレンテレフタレート等のエステル系樹脂;その他、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリカプロラクトン、芳香族ポリエステルエラストマー、及びポリアミド系エラストマー等を挙げることができる。なお、熱可塑性樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
これらのうち、熱可塑性樹脂としては、成形加工性の観点から、スチレン系樹脂を含むことが好ましく、芳香族ビニル単量体の単独重合体、又は芳香族ビニル単量体と、該芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であるスチレン系樹脂を含むことがより好ましい。このような熱可塑性樹脂は、射出成形時の樹脂温度が比較的低い傾向にあり、外観不良を改善するための樹脂充填時の金型温度についても比較的低温度域にすることができ、結果として成形サイクルが長くならないため好ましい。また、難燃性を確保しやすいこと、金属顔料に代表される着色剤の発色性が良好であることから、意匠部材に好適に用いられる傾向にある。
芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体及びマレイミド系単量体が挙げられる。このような単量体であれば、芳香族ビニル単量体との共重合容易性に優れる傾向にある。これらの他の単量体は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なお、具体的な製造方法としては、芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体とを含む単量体混合物を共重合させて共重合体を得る方法が挙げられる。この単量体混合物には、芳香族ビニル単量体又は他の単量体の前駆体となる化合物が含まれてもよく、共重合に先立って、又は共重合の際に、その化合物を芳香族ビニル単量体又は他の単量体に変換してもよい。
上記芳香族ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン及びp−t−ブチルスチレンが挙げられる。これらのうち、単量体の汎用性の観点から、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記不飽和ニトリル単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、及びエタクリロニトリルが挙げられる。これらのうち、芳香族ビニル単量体との共重合容易性の観点から、アクリロニトリルが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
上記不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、例えば、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルフェニルメタクリレート及びイソプロピルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;並びに、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートが挙げられる。これらのうち、芳香族ビニル単量体との共重合容易性の観点から、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートが好ましく、ブチルアクリレート及びメチルメタクリレートがより好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
マレイミド系単量体としては、特に限定されないが、例えば、N−フェニルマレイミド及びN−メチルマレイミドが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
また、上記スチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、耐衝撃性の観点から、ゴム状重合体に芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物をグラフト重合させたグラフト共重合体を含むことが好ましい。
ゴム状重合体としては、耐衝撃性の観点から、ガラス転移温度が0℃以下のものが好ましい。ゴム状重合体としては、特に限定されないが、具体的には、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム等のジエン系ゴム;ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム;ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム、シリコンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、シリコーン−アクリル複合ゴム及びそれらの水素添加物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。これらのゴム状重合体の中でグラフト重合の容易性の観点から、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム及びポリアクリル酸ブチルが好ましい。
グラフト共重合体の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合、及びこれらの重合法の組み合わせが挙げられる。より具体的な製造方法としては、例えば、乳化重合で製造されたゴム状重合体ラテックスに単量体混合物をグラフト重合させる乳化グラフト重合方式が挙げられる。グラフト重合におけるゴム状重合体及び単量体混合物の供給方法は、連続式、バッチ式及びセミバッチ式のいずれの方法であってもよい。グラフト共重合体の製造過程で生成する、ゴム状重合体にグラフトした成分(以下、「グラフト成分」ともいう。)の割合は、耐衝撃性の観点から、ゴム状重合体を100質量部に対して、10〜80質量部が好ましく、20〜60質量部がより好ましい。グラフト重合により生成するグラフト共重合体は、副生したビニル系共重合体(ゴム状重合体と芳香族ビニル単量体との共重合体のうちグラフト共重合体以外の共重合体)との混合物の状態で得てもよい。この場合、混合物のうち、アセトンに溶解しない不溶分がグラフト共重合体であり、アセトンに溶解する可溶分がビニル系共重合体である。したがって、グラフト成分の割合は、上記不溶分から、原料であるゴム状重合体の割合を差し引くことにより求めることができる。
本実施形態で用いられる熱可塑性樹脂は、外観性の観点から、スチレン系樹脂と、結晶性のスチレン系樹脂以外の結晶性樹脂と、を含むことが好ましい。ここでいう結晶性樹脂とは、少なくとも結晶構造を有する樹脂のことであり、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリアミド、及びポリアセタールが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。これらのうち、スチレン系樹脂との相溶性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、及びポリアミドが好ましい。
スチレン系樹脂と結晶性樹脂とを混合する際には、それらの相容性を考慮して、さらに相容化剤を配合してもよい。相容化剤としては、特に制限されず、組み合わされる樹脂により異なるが、例えば、スチレン系樹脂とポリアミドとを混合する場合、スチレン系樹脂との相溶性の観点から、マレイン酸含有樹脂を用いるのが好ましい。マレイン酸含有樹脂としては、特に限定されないが、具体的には、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メチルメタクリレート−マレイン酸共重合体、及びスチレン−N−フェニルマレイミド−マレイン酸共重合体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
熱可塑性樹脂における非晶性樹脂の比率は、表面ヒケの観点から、0〜70質量%であることが好ましく、0〜50質量%であることがより好ましい。言い換えると、熱可塑性樹脂における結晶性樹脂(結晶性であるスチレン系樹脂も含む。)の比率は、30〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましい。
〔充填剤〕
本実施形態で用いられる熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて充填剤を添加した熱可塑性樹脂でもよい。このような充填剤としては、特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属珪酸塩、炭素、セルロースを主体とする有機物、金属繊維を挙げることができる。
上記金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化スズ及び珪藻土が挙げられる。
上記金属水酸化物としては、特に限定されないが、例えば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムが挙げられる。
上記金属炭酸塩としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム及びハイドロタルサイトが挙げられる。
上記金属硫酸塩としては、特に限定されないが、例えば、硫酸カルシウム及び硫酸バリウムが挙げられる。
上記金属珪酸塩としては、特に限定されないが、例えば、珪酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)、タルク、マイカ、クレー、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサリト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン及びガラスフレークが挙げられる。
上記炭素としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン及び木炭粉末が挙げられる。
上記セルロースを主体とする有機物としては、特に限定されないが、例えば、木粉、パルプ、もみがら粉、クルミ粉及びペーパースラッジが挙げられる。
上記充填剤のうち、強度の観点から、アスペクト比が1よりも大きいものが好ましい。このなかでも、例えば、珪酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、炭素繊維、及び木粉が好ましい。
また、充填剤の質量平均粒子径は、耐衝撃性の観点から、1〜500μmが好ましい。なお、質量平均粒子径は、充填剤の任意の50個を選択し、各種顕微鏡にて観察することによって測定できる。上記充填剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
また、本実施形態において、充填剤は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、鮮映性の観点から50質量部以下であることが好ましい。また、充填剤の添加量は、その下限は特に限定されないが、物性補強効果の観点から、熱可塑性樹脂100質量部に対して5質量部以上であることが好ましい。
〔その他の添加剤〕
本実施形態で用いる熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、滑剤、紫外線吸収剤、耐光剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、発泡剤、及びその他、熱可塑性樹脂組成物に一般的に含まれるその他の配合剤及び添加剤を含有してもよい。これらのうち、熱可塑性樹脂組成物の射出成形品が無塗装で使用される場合を考慮して、熱可塑性樹脂組成物は、滑剤、紫外線吸収剤、及び耐光剤を含むことが好ましい。
上記滑剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪酸金属塩及びアミド基又はエステル基を有する滑剤が挙げられる。滑剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
脂肪酸金属塩としては、特に限定されないが、例えば、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム及び亜鉛からなる群より選ばれる1種以上の金属の脂肪酸塩が挙げられる。このなかでも、脂肪酸金属塩としては、熱可塑性樹脂との親和性の観点から、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム(モノ、ジ、トリ)、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム及びラウリン酸カルシウムが好ましく、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸亜鉛がより好ましい。
アミド基又はエステル基を有する滑剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレンビスステアリルアミド、モンタン酸及びモンタン酸から誘導されるワックスからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。モンタン酸から誘導されるワックスとしては、例えば、モンタン酸エステルワックス、モンタン酸部分ケン化エステルワックス、モンタン酸リチウム、モンタン酸亜鉛、及びこれらから選ばれるワックスとモンタン酸との混合物が挙げられる。
滑剤は、その効果をより有効かつ確実に奏する観点、及び他の成分による効果を阻害しない観点から、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.05〜10質量部配合されることが好ましく、0.1〜5質量部配合されることがより好ましい。
上記紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、オキザニリド系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、及び無機紫外線吸収剤が挙げられ、熱可塑性樹脂組成物に一般的に配合されるものを使用することができる。これらのうち、紫外線吸収の効果の観点から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤がより好ましい。紫外線吸収剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
紫外線吸収剤は、その効果をより有効かつ確実に奏する観点、及び他の成分による効果を阻害しない観点から、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部配合されることが好ましい。
上記耐光剤としては、特に限定されないが、例えば、ラジカルによる分子切断抑制効果の観点から、アミン系耐光剤が好ましく、ヒンダードアミンがより好ましい。耐光剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。耐光剤は、その効果をより有効かつ確実に奏する観点、及び他の成分による効果を阻害しない観点から、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部配合されることが好ましい。
〔熱可塑性樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態に用いる熱可塑性樹脂組成物は、単軸又は2軸のベント付き押出機、プラストミル、ニーダー、バンバリーミキサー及びブラベンダー等の熱可塑性樹脂組成物の製造に一般的に用いられる各種混合装置を用いて製造することができる。これらのうち、樹脂組成物の分散性の観点から、2軸のベント付き押出機を用いて製造することが好ましい。このようにして得られた熱可塑性樹脂組成物を前述の本実施形態に係る射出成形方法に用いることができる。
〔射出成形品〕
本実施形態に係る射出成形品は、光輝材である金属顔料100質量部、及びポリエチレングリコール5〜10質量部を含むペースト状金属顔料と、熱可塑性樹脂と、を含む熱可塑性樹脂組成物を含み、上記熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法により成形される。このような射出成形品であれば、ウェルド部や金型内において光輝材の配向が均一となるため、流動ムラによる外観不良が低減され、成形品全体で輝度感、深みのある金属系色調感を有するものとなる。なお、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂組成物などは上記と同様のものを用いることができる。
〔用途〕
上記射出成形品は、特に限定されないが、例えば、自動車の内外装部品、電気及び/又は電子機器の筐体やボタン、スイッチ類、シャワーヘッド、吐水口などの水回り用品や照明器具に代表される住設部品、スポーツ用品、各種容器、蓋などの日用雑貨に好適に用いることができる。本実施形態に係る射出成形品を用いることにより、従来、射出成形品を塗装することにより得ていた意匠部品、意匠性を持った機能部品を、塗装工程を省略することができる。また、塗装工程における歩留りの改善、作業環境の改善が可能であるほか、溶剤成分の揮発による健康被害を避けることができる。
下記の実施例及び比較例は、本実施形態をさらに具体的に説明するためのものであり、本実施形態は、下記の実施例及び比較例に限定されるものではない。なお、用いられた原材料は下記の通りである。
1.実施例及び比較例に用いた原材料
(熱可塑性樹脂)
「テナック−C Z4513」旭化成ケミカルズ社製ポリアセタールコポリマー樹脂
「スタイラック−ABS 190F」旭化成ケミカルズ社製ABS樹脂
「スタイラック−ABS IM10」旭化成ケミカルズ社製ABS樹脂
(光輝材)
アルミペーストA:旭化成メタルズ社製「旭化成アルミペースト FD−4070」である。平均粒度は7μmであり、平均厚さが0.12μmであるコイン状アルミ顔料である。
アルミペーストB:旭化成メタルズ社製「旭化成アルミペースト GX−40A」である。平均粒度は19μmであり、平均厚さが0.36μmであるコイン状アルミ顔料である。
アルミペーストC:旭化成メタルズ社製「旭化成アルミペースト 0−2100」である。平均粒度は10μmであり、平均厚さが0.36μmであるのコイン状アルミ顔料である。
アルミペーストD;平均粒度が7μm、平均厚さが0.12μmのコイン状アルミ顔料(旭化成メタルズ社製「旭化成アルミペースト FD−4070」)を遠心分離機にかけてミネラルスピリットを分離したのち、株式会社ADEKA製 アデカPEG400(ポリエチレングリコール)にて残留したアルミニウムを湿潤状態として、アルミペーストDを得た。この時のポリエチレングリコールはアルミニウム100質量部に対し、ポリエチレングリコール10質量部としたものである。
(光輝材)
光輝材:日本光研工業社製「PEARL GLAZE MF−100」である。これは、粒度が5〜30μmの範囲にある薄板状の雲母粒子に酸化チタンの層を蒸着したパール系発色材である。
〔熱可塑性樹脂組成物の製造方法〕
実施例及び比較例で用いた熱可塑性樹脂組成物の製造には、溶融混練装置として2軸押出機(商品名「ZSK−25」、L/D=37、Werner&Pfleiderer社製、Dは押出機内の直径を示し、Lは原料供給口から排出口までの距離を示す。)を用いた。シリンダー設定温度は、熱可塑性樹脂としてポリアセタール樹脂を用いて造粒する際には190℃とし、熱可塑性樹脂としてABS樹脂を造粒する際には250℃とした。また、スクリュー回転数150rpm、混練樹脂の吐出速度20kg/時間となる条件で、熱可塑性樹脂及び光輝材を表2〜5に示す質量比で混合、溶融混練し、ペレットの造粒を行った。
2.射出成形品の作製及び評価方法
実施例及び比較例において、金型の温度測定方法、射出成形品の作製方法、評価及び測定方法は下記の通りである。
〔参考例1〜4〕
参考例1〜4では、金型を成形機に取り付け、金型内に設けた電熱ヒーターに給電することによって金型の温度を上昇させた。参考例1〜4において、それぞれ、60℃から150℃、60℃から200℃まで金型温度を昇温させるに必要な時間を測定した。金型温度の測定は、キャビブロックに設置した熱電対からの信号を読み取った。その結果を表1に示す。
なお、参考例1では、加熱されるキャビブロック内の媒体通路に一定時間、圧縮空気を送気することにより、媒体通路内に実質的に媒体がない状態とした上で、電熱ヒーターに給電した。また、参考例2〜4では、それぞれ、加熱されるキャビブロック内の媒体通路に70℃の温水、120℃の加熱温水、170℃のスチームを送っている状態で、電熱ヒーターに給電した。参考例1〜4を実施の際には、金型温調機からの送媒温度が60℃となるように金型モールドベースの温度を調整した状態で行った。
〔実施例1〜2、比較例1〜4〕
実施例1〜2、比較例1〜4の熱顔性樹脂組成物としては、「テナック−C Z4513」100質量部に対し、アルミペーストA又はBを各1.3部添加したものを調製した。
成形機は、住友重機械社製SG125射出成形機を用い、シリンダー温度は190℃、金型温調機からの送媒温度が80℃となるように金型モールドベースの温度を調整した。また、金型キャビティと捨てキャビティ間は連通状態とした。実施例1〜2、比較例3〜4では、加熱されるキャビブロック内の媒体通路に一定時間、圧縮空気を送気することにより、媒体通路内に実質的に媒体がない状態とした上で、キャビブロックの温度が設定温度になるまで金型内に設けられた電熱ヒーターに給電した。
その後、金型へ熱可塑性樹脂組成物を充填速度20mm/secで充填した。充填が完了したタイミングで、電熱ヒーターへの給電を停止し、キャビブロック内の媒体通路に水を通水することで、キャビブロックの冷却を行い、キャビブロックの温度を冷却した後、40秒経過後に金型を開き、射出成形品を取り出した。
図2に示すウェルド及びその付近をあらゆる角度から目視して、黒い筋及び色別れが確認できない場合を○、黒い筋は確認できないが、ウェルドを境界にして色別れが確認できる場合を△、ウェルドの全てに黒筋が確認できる場合を×と評価した。結果を表2に示す。
〔実施例3〜6、比較例5〜6〕
実施例3〜6、比較例5〜6の熱可塑性樹脂組成物としては、「スタイラック−ABS 190F」100質量部に対し、アルミペーストCを樹脂1.3部添加したものを調製した。
成形機は、住友重機械社製SG125射出成形機を用い、シリンダー温度は260℃、金型温調機からの送媒温度が60℃となるように金型モールドベースの温度を調整した。また、金型キャビティと捨てキャビティ間は連通状態とした。
実施例3〜6では、加熱されるキャビブロック内の媒体通路に一定時間、圧縮空気を送気することにより、該媒体通路内に実質的に媒体がない状態とした上で、キャビブロックの温度が設定温度になるまで金型内に設けられた電熱ヒーターに給電した。熱可塑性樹脂組成物を金型に充填する際の充填速度を5〜20mm/sec、キャビブロックの設定温度は240〜260℃と設定した。
比較例5〜6では、加熱されるキャビブロック内の媒体通路に60℃の温水を送っている状態で、金型内に設けられた電熱ヒーターに給電した。熱可塑性樹脂組成物を金型に充填する際の充填速度を5mm/sec、キャビブロックの設定温度は60℃又は150℃とした。
その後、金型へ熱可塑性樹脂組成物を充填した。充填が完了したタイミングで、電熱ヒーターへの給電を停止し、キャビブロック内の媒体通路に水を通水することで、キャビブロックの冷却を行い、キャビブロックの温度を冷却した後、40秒経過後に金型を開き、射出成形品を取り出した。
図2に示すウェルド及びその付近をあらゆる角度から目視して、黒い筋及び色別れが確認できない場合を○、黒い筋は確認できないが、ウェルドを境界にして色別れが確認できる場合を△、ウェルドの全てに黒筋が確認できる場合を×と評価した。結果を表3に示す。
〔実施例7〜8、比較例7〜8〕
実施例7、比較例7で用いた熱可塑性樹脂組成物としては、「スタイラック−ABS IM10」100質量部に対し、アルミペーストC1.3部を添加したものを調製した。また、実施例8、比較例8で用いた熱可塑性樹脂組成物としては、「スタイラック−ABS 190F」100質量部に対し、アルミペーストC0.2部と光輝材2.0部とを添加したものを調製した。
実施例7〜8では、加熱されるキャビブロック内の媒体通路に一定時間、圧縮空気を送気することにより、該媒体通路内に実質的に媒体がない状態とした上で、キャビブロックの温度が設定温度になるまで金型内に設けられた電熱ヒーターに給電した。熱可塑性樹脂組成物を金型に充填する際の充填速度を5mm/sec、キャビブロックの昇温温度設定は240℃とした。また、金型キャビティと捨てキャビティ間は連通状態とした。
比較例7〜8では、加熱されるキャビブロック内の媒体通路に60℃の温水を送っている状態で、金型内に設けられた電熱ヒーターに給電した。熱可塑性樹脂組成物を金型に充填する際の充填速度を5mm/sec、キャビブロックの設定温度は60℃とした。また、金型キャビティと捨てキャビティ間は連通状態とした。
その後、金型へ熱可塑性樹脂組成物を充填した。充填が完了したときに、電熱ヒーターへの給電を停止し、キャビブロック内の媒体通路に水を通水することで、キャビブロックの冷却を行い、キャビブロックの温度を冷却した後、40秒経過後に金型を開き、射出成形品を取り出した。
取り出した成形品について、図2に示すウェルド及びその付近をあらゆる角度から目視して、黒い筋及び色別れが確認できない場合を○、黒い筋は確認できないが、ウェルドを境界にして色別れが確認できる場合を△、ウェルドの全てに黒筋が確認できる場合を×と評価した。結果を表4に示す。
〔実施例9〜10、比較例9〜10〕
実施例9、比較例9の熱可塑性樹脂組成物としては、「スタイラック−ABS IM10」100質量部に対し、アルミペーストAを1.3部添加したものを調製した。また、実施例10、比較例10の熱可塑性樹脂組成物としては、「スタイラック−ABS IM10」100質量部に対し、アルミペーストDを1.1部添加したものを調製した。
成形機は、住友重機械社製SG125射出成形機を用い、シリンダー温度は260℃、金型温調機からの送媒温度が60℃となるように金型モールドベースの温度を調整した。また、金型キャビティと捨てキャビティ間は連通状態とした。実施例9〜10では、加熱されるキャビブロック内の媒体通路に一定時間、圧縮空気を送気することにより、該媒体通路内に実質的に媒体がない状態とした上で、キャビブロックの温度が設定温度になるまで金型内に設けられた電熱ヒーターに給電した。熱可塑性樹脂を金型に充填する際の充填速度を5mm/sec、キャビブロックの昇温温度設定は240℃とした。
比較例9〜10では、加熱されるキャビブロック内の媒体通路に60℃の温水を送っている状態で、金型内に設けられた電熱ヒーターに給電した。熱可塑性樹脂組成物を金型に充填する際の充填速度を5mm/sec、キャビブロックの設定温度は150℃とした。
その後、金型へ熱可塑性樹脂組成物を充填した。充填完了したタイミングで、電熱ヒーターへの給電を停止し、キャビブロック内の媒体通路に水を通水することで、キャビブロックの冷却を行い、キャビブロックの温度を冷却した後、40秒経過後に金型を開き、射出成形品を取り出した。
取り出した成形品について、図2に示すウェルド及びその付近をあらゆる角度から目視して、黒い筋及び色別れが確認できない場合を○、黒い筋は確認できないが、ウェルドを境界にして色別れが確認できる場合を△、ウェルドの全てに黒筋が確認できる場合を×と評価した。また、成形品のムラの有無については、ムラが確認できないものを○、薄いムラが確認できるものを△、ムラがハッキリと確認できるものを×と評価した。結果を表5に示す。
〔実施例11〜12、比較例11〜12〕
実施例11〜12、比較例11〜12の熱可塑性樹脂としては、「スタイラック−ABS IM10」100質量部に対し、アルミペーストAを1.3部添加したものを調製した。
成形機は、住友重機械社製SG125射出成形機を用い、シリンダー温度は260℃、金型温調機からの送媒温度が60℃となるように金型モールドベースの温度を調整した。実施例11〜12では、製品キャビティと捨てキャビティの間を連通させた状態で、加熱されるキャビブロック内の媒体通路に一定時間、圧縮空気を送気することにより、該媒体通路内に実質的に媒体がない状態とした上で、キャビブロックの温度が設定温度になるまで金型内に設けられた電熱ヒーターに給電した。熱可塑性樹脂を金型に充填する際の充填速度を5mm/sec、キャビブロックの昇温温度設定を220、240℃とした。
比較例11は、製品キャビティと捨てキャビティ間を連通させた状態で、キャビブロック内の媒体通路に60℃の温水を送っている状態で金型内に設けられた電熱ヒーターに給電した。キャビブロックの設定温度は190℃とした。
比較例12は、製品キャビティと捨てキャビティ間を遮断させた状態で、キャビブロック内の媒体通路に60℃の温水を送っている状態で金型内に設けられた電熱ヒーターに給電した。キャビブロックの設定温度は190℃とした。
その後、充填完了したタイミングで、電熱ヒーターへの給電を停止し、キャビブロック内の媒体通路に水を通水することで、キャビブロックの冷却を行い、キャビブロックの温度を冷却した後、40秒経過後に金型を開き、射出成形品を取り出した。
図2に示すウェルド及びその付近をあらゆる角度から目視して、黒い筋及び色別れが確認できない場合を○、黒い筋は確認できないが、ウェルドを境界にして色別れが確認できる場合を△、ウェルドの全てに黒筋が確認できる場合を×と評価した。結果を表6に示す。
〔実施例13〜14、比較例13〕
実施例13〜14、比較例13の熱可塑性樹脂としては、「スタイラック−ABS IM10」100質量部に対し、アルミペーストAを1.3部添加したものを調製し、図3に示した、開口部を有する箱形状の成形品を得た。
成形機は、住友重機械社製SG125射出成形機を用い、シリンダー温度は260℃、金型温調機からの送媒温度が60℃となるように金型モールドベースの温度を調整した。また、金型キャビティと捨てキャビティ間は連通状態とした。実施例13〜14では、加熱されるキャビブロック内の媒体通路に一定時間、圧縮空気を送気することにより、該媒体通路内に実質的に媒体がない状態とした上で、キャビブロックの温度が設定温度になるまで金型内に設けられた電熱ヒーターに給電した。熱可塑性樹脂を金型に充填する際の充填速度を5mm/sec、キャビブロックの昇温温度設定を220、240℃とした。その後、充填完了したタイミングで、電熱ヒーターへの給電を停止し、キャビブロック内の媒体通路に水を通水することで、キャビブロックの冷却を行った。樹脂充填完了から30秒経過した後、成形品の意匠面ではない箱形状の内側と金型のコア面の間に窒素ガスを供給した。この時の窒素ガス圧は実施例13では10MPa、実施例14では12MPaとした。窒素ガス供給後45秒経過した後、窒素ガスを大気中に解放した。
比較例13は、キャビブロック内の媒体通路に60℃の温水を送っている状態で金型内に設けられた電熱ヒーターに給電した。キャビブロックの設定温度は190℃とした。また、窒素ガスの供給は行なわなかった。
図3に示すウェルド及びその付近をあらゆる角度から目視して、黒い筋及び色別れが確認できない場合を○、黒い筋は確認できないが、ウェルドを境界にして色別れが確認できる場合を△、ウェルドの全てに黒筋が確認できる場合を×と評価した。
また、ヒケ発生の有無の判断基準として、意匠面(箱形状の外側)に室内灯に用いている真っ直ぐな蛍光灯を映し、その変形具合を目視して、映った蛍光灯に変形が認められない場合は○、認められる場合は×と評価した。結果を表7に示す。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法により成形された射出成形品は、ウェルドにおける筋状ムラが十分に低減されるため、自動車部品、及び家電部品等幅広い分野の部品において産業上の利用可能性を有し、従来、塗装していた製品の無塗装化を可能にすることができる。
10…金型
11…モールドベース(キャビ側)
12…モールドベース(コア側)
13…キャビブロック
14…モールドベース温調媒体通路
15…電熱ヒーター
16…キャビブロック冷却媒体通路
20…成形品
21…ゲート
22…開口部
23…ウェルド部
24…付属部

Claims (10)

  1. 金型に複数設けられた媒体通路の全部又は一部に前記金型の温度を調節するために用いる媒体が実質的に存在しない状態で、金型内壁面の全部又は一部を加熱し、溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物を前記金型内に充填する充填工程と、
    前記充填工程後、前記媒体通路の全部又は一部に前記媒体を通すことにより前記金型を冷却させる冷却工程と、を有し、
    前記熱可塑性樹脂組成物は、光輝材を含有する、
    熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法。
  2. 前記金型内に設けられた電熱ヒーターにより、前記金型内壁面の全部又は一部を加熱する、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法。
  3. 前記金型は、製品キャビティと、該製品キャビティよりも前記熱可塑性樹脂組成物の流動方向下流側に位置する捨てキャビティと、を有する、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法。
  4. 前記加熱された金型内壁面の全部又は一部の温度と、前記溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物の温度と、の差が0〜60℃である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法が、ガスアシスト成形方法である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法。
  6. 光輝材である金属顔料100質量部、及びポリエチレングリコール5〜10質量部を含むペースト状金属顔料と、熱可塑性樹脂と、を含む熱可塑性樹脂組成物を含み、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法により成形された、射出成形品。
  7. 前記熱可塑性樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、前記金属顔料を0.1〜5質量部含む、請求項6に記載の射出成形品。
  8. 前記熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂を含む、請求項6又は7に記載の射出成形品。
  9. 自動車の内外装部品として用いられる、請求項6〜8のいずれか1項に記載の射出成形品。
  10. 電気及び/又は電子機器の筐体として用いられる、請求項6〜8のいずれか1項に記載の射出成形品。
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