JP2006143924A - 肥大化ゴム質重合体、ゴム含有グラフト共重合体、それらの製造方法、熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

肥大化ゴム質重合体、ゴム含有グラフト共重合体、それらの製造方法、熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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隆太郎 石川
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Abstract

【課題】 耐衝撃性が大幅に改善され、かつ表面外観および艶消し性に優れる成形品;該成形品を得るためのゴム含有グラフト共重合体;該ゴム含有グラフト共重合体を得るための肥大化ゴム質重合体;およびこれらの製造方法を提供する。
【解決手段】 アクリル酸等の酸基含有単量体1〜30質量部、およびアルキル基の炭素数が1〜12のアクリル酸アルキルエステル70〜99質量部を含有する単量体混合物100質量部に対してスルホキシル酸塩のアルデヒド誘導体0.05〜10質量部の存在下に、水中で前記単量体混合物を共重合させて得られた酸基含有共重合体(b)のラテックスを、ゴム質重合体(a)ラテックスに添加してゴム質重合体(a)を肥大化させた肥大化ゴム質重合体を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、肥大化ゴム質重合体、これを含有するゴム含有グラフト共重合体、それらの製造方法、ゴム含有グラフト共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物、およびその成形品に関する。
ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、AAS樹脂(アクリレート−スチレン−アクリロニトリル樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン樹脂)、MBS樹脂(メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂等は、得られる成形品の耐衝撃性、成形加工性、外観、光沢性に優れることから、広い用途に用いられてきた。しかしながら、最近では、自動車部品、家電製品、建築材料等に用いられる成形品に対しては、デザイン重視の傾向から、むしろ艶消しされていることが望まれている。
成形品の艶消しの方法としては、(1)金型表面にシボ加工を施す方法、(2)成形品表面に艶消し塗装する方法、(3)タルク、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等の無機充填剤を配合する方法、(4)メタクリル酸グリシジル等を用いてマトリックス樹脂を架橋させる方法、(5)粒径の比較的大きなゴム質重合体を用いる方法等が知られている。
しかしながら、(1)の方法では、成形条件、金型デザインによる艶消しに対する影響が大きく、艶消しの効果が充分はでなかった。(2)の方法では、塗装によるコストがかかるという問題があった。(3)または(4)の方法では、成形品の物性の低下が大きすぎ、また艶が均一でない艶ムラという現象が発生しやすかった。(5)の方法では、大粒子径のゴム質重合体を安定に製造すること自体が極めて困難であり、その結果、あまり衝撃性等の特性を必要としない小さな成形品にのみ適用されていた。このように、最近の艶消し要望の増加にも関わらず、さらなる艶消しの検討があきらめられた感があった。
また、自動車部品、家電製品、建築材料等に用いられる成形品に対しては、耐衝撃性のさらなる向上が求められている。ゴム質重合体にアクリロニトリル、スチレン等をグラフト重合してなる、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂等の耐衝撃性樹脂については、グラフト構造およびゴム含有量が得られる成形品の物性に大きな影響を与えること、特に、ゴム質重合体の粒子径が耐衝撃性を発現させるための重要な鍵を握っていること、また、ゴム質重合体の粒子径が大きくなるほど得られる成形品の耐衝撃性、加工性が向上することが、広く知られている。
そこで、成形品の耐衝撃性を向上させる方法として、大粒径のゴム含有グラフト重合体を配合する方法、小粒径部と大粒径部とからなる二峰性の粒子分布を持つゴム質重合体にビニル系単量体をグラフト重合させたゴム含有グラフト重合体を配合する方法が提案されている。しかしながら、いずれの方法でも、樹脂の流動性、成形品の表面外観、光沢性が大幅に低下してしまうという問題があった。このように、成形品の耐衝撃性と他の特性とを両立させることは難しく、実用に際しては、要求される重要特性を最優先し、その他の特性に対しは犠牲を強いてきた。
1000〜1500nm程度の大粒径のゴム質重合体を含有するゴム含有グラフト重合体の製造方法としては、塊状重合法が知られている。塊状重合法により得られる樹脂としては、1000nm程度の大粒径のゴム質重合体にスチレンをグラフト重合させたハイインパクトポリスチレン樹脂(HIPS樹脂)、1000nm程度の大粒径のゴム質重合体にアクリロニトリルおよびスチレンをグラフト重合させたゴム含有グラフト重合体等が知られている。しかしながら、塊状重合法で製造したゴム含有グラフト重合体中のゴム質重合体の含有率は、高々10〜20質量%程度であって、これら自体の衝撃強度が低い上に、これらを他の樹脂に耐衝撃性の改良を目的として配合しても、ゴム質重合体の含有率が低いことから、その改質効果が極めて低いという問題があった。
ゴム質重合体を肥大化させる方法としては、例えば、乳化重合法により得られた比較的小粒径のゴム質重合体を酸等によって化学的に凝集させる方法;乳化重合法により得られた比較的小粒径のゴム質重合体をホモミキサー等によって物理的に凝集させる方法;乳化重合を長時間かけて行い大粒径にする方法;乳化重合法により得られた比較的小粒径のゴム質重合体を酸基含有共重合体ラテックスによって肥大化処理する方法(特許文献1〜3参照)等が知られている。しかしながら、これらの方法では、いずれも生産効率等の観点から、中粒子径(500nm以下)のゴム質重合体しか得られなかった。
特開昭50−25655号公報 特開昭58−61102号公報 特開昭59−149902号公報
本発明の目的は、平均粒子径が大きく、かつ小粒径の粒子の含有量が少ない肥大化ゴム質重合体、およびその製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、成形品の耐衝撃性を大幅に改善し、かつ成形品に優れた表面外観および艶消し性を与えるゴム含有グラフト共重合体、およびその製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、得られる成形品の耐衝撃性が大幅に改善され、かつ得られる成形品の表面外観および艶消し性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、耐衝撃性が大幅に改善され、かつ表面外観および艶消し性に優れる成形品を提供することにある。
本発明の肥大化ゴム質重合体の製造方法は、ゴム質重合体(a)ラテックスに下記酸基含有共重合体(b)ラテックスを、ゴム質重合体(a)ラテックスの固形分100質量部に対して酸基含有共重合体(b)ラテックスの固形分が0.5〜10質量部となるように、添加し、ゴム質重合体(a)を肥大化させることを特徴とする。
〔酸基含有共重合体(b)〕
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、およびクロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基含有単量体1〜30質量部、およびアルキル基の炭素数が1〜12のアクリル酸アルキルエステル70〜99質量部を含有する単量体混合物100質量部に対してスルホキシル酸塩のアルデヒド誘導体0.05〜10質量部の存在下に、水中で前記単量体混合物を共重合させて得られた酸基含有共重合体(b)。
本発明の肥大化ゴム質重合体は、本発明の肥大化ゴム質重合体の製造方法によって得られたものである。
本発明のゴム含有グラフト共重合体の製造方法は、本発明の肥大化ゴム質重合体に、ビニル系単量体の一部または全量を含浸させた後、ビニル系単量体をグラフト重合することを特徴とする。
本発明のゴム含有グラフト共重合体は、本発明のゴム含有グラフト共重合体の製造方法によって得られたものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明のゴム含有グラフト共重合体を含有することを特徴とするものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、さらに、熱可塑性樹脂を含有していてもよい。
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形したものである。
本発明の肥大化ゴム質重合体の製造方法によれば、平均粒子径が大きく、かつ小粒径の粒子の含有量が少ない肥大化ゴム質重合体を得ることができる。また、本発明の肥大化ゴム質重合体は、平均粒子径が大きく、かつ小粒径の粒子の含有量が少ないものであるので、成形品の耐衝撃性を大幅に改善し、かつ成形品に優れた表面外観および艶消し性を与えるゴム含有グラフト共重合体の原料として有用である。
本発明のゴム含有グラフト共重合体は、成形品の耐衝撃性を大幅に改善し、かつ成形品に優れた表面外観および艶消し性を与えることができる。また、ゴム含有グラフト重合体の添加量に応じて、得られる成形品の光沢性、機械的強度、または硬度を選択でき、軟質材への実用性が望め、その工業的な実用価値は極めて大きい。また、本発明のゴム含有グラフト共重合体の製造方法によれば、成形品の耐衝撃性を大幅に改善し、かつ成形品に優れた表面外観および艶消し性を与えるゴム含有グラフト共重合体を容易に製造することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、耐衝撃性が大幅に改善され、かつ表面外観および艶消し性に優れる成形品を得ることができる。
本発明の成形品は、耐衝撃性が大幅に改善され、かつ表面外観および艶消し性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<肥大化ゴム質重合体>
本発明の肥大化ゴム質重合体(以下、肥大化ゴム質重合体(c)とも記す)は、後述の肥大化ゴム質重合体の製造方法によって得られるものである。
肥大化ゴム質重合体(c)の質量平均粒子径は、600〜2000nmが好ましく、800〜1500nmがより好ましい。肥大化ゴム質重合体(c)の質量平均粒子径が600nm未満では、得られる成形品の耐衝撃性の改善および/または艶消し効果が低くなるおそれがある。肥大化ゴム質重合体(c)の質量平均粒子径が2000nmを超えると、得られる成形品の表面外観の低下が起こりやすくなる。
肥大化ゴム質重合体(c)は、平均粒子径だけでなく、粒子径分布についても制御されることが好ましい。すなわち、肥大化ゴム質重合体(c)は、粒子径が500nm未満の粒子の累積質量分率が10質量%以下であることが好ましい。粒子径が500nm未満の粒子の累積質量分率が10質量%を超えると、得られる成形品の耐衝撃性の改善および/または艶消し効果が充分に得られないおそれがある。
<肥大化ゴム質重合体の製造方法>
肥大化ゴム質重合体(c)は、ゴム質重合体(a)ラテックスに酸基含有共重合体(b)ラテックスを添加し、ゴム質重合体(a)を肥大化させることにより製造される。
(ゴム質重合体(a)ラテックス)
ゴム質重合体(a)ラテックスは、ゴム質重合体(a)が粒子状態で水中に分散したものである。
ゴム質重合体(a)としては、ポリブタジエン、ブタジエンと他のビニル系単量体との共重合体;アクリル酸エステル重合体;アクリル酸エステルと他のビニル系単量体との共重合体;エチレン−プロピレン(またはブテン)−非共役ジエン共重合体;ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−メチルペンチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等が挙げられる。これらアクリル酸エステルは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
他のビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸N、N−ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、無水マレイン酸、N−置換マレイミド等が挙げられる。
非共役ジエンとしては、例えば、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−エチル−1,11−トリデカジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン等が挙げられる。これら非共役ジエンは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ゴム質重合体(a)としては、通常、ポリブタジエン、ブタジエンとビニル系単量体との共重合体が用いられる。得られる成形品に耐候性を付与する場合、ゴム質重合体(a)としては、アクリル酸エステル重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体が好ましい。得られる成形品にさらに耐薬品性を付与する場合、アクリル酸エステル重合体が好ましい。
ゴム質重合体(a)ラテックスは、乳化重合法等の公知の方法によって製造することができる。
(酸基含有共重合体(b)ラテックス)
酸基含有共重合体(b)ラテックスは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、およびクロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基含有単量体およびアルキル基の炭素数が1〜12のアクリル酸アルキルエステルを含有する単量体混合物を、スルホキシル酸塩のアルデヒド誘導体の存在下に、水中で共重合させて得られたものである。
酸基含有単量体としては、凝集効率の観点から、メタクリル酸が好ましい。
酸基含有単量体は、単量体混合物100質量部中、1〜30質量部であり、3〜20質量部が好ましい。酸基含有単量体が1質量部未満では、目的とする粒子径の肥大化ゴム質重合体(c)が得られない。酸基含有単量体が30質量部を超えると、酸基含有共重合体(b)ラテックスそのものを安定かつ工業的に得ることができない。
アルキル基の炭素数が1〜12のアクリル酸アルキルエステルは、単量体混合物100質量部中、70〜99質量部であり、80〜97質量部が好ましい。
単量体混合物は、酸基含有単量体およびアクリル酸アルキルエステルと共重合可能な多官能単量体をさらに含有していてもよい。
多官能単量体としては、例えば、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル等のアリル化合物;ジビニルベンゼン;ジメタクリル酸エチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸プロピレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコールジエステル等のジ(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。
多官能単量体は、単量体混合物100質量部中、0質量部を超えて5質量部以下が好ましい。
スルホキシル酸塩のアルデヒド誘導体は、酸基含有共重合体(b)ラテックス中の酸基含有共重合体(b)の粒子径を制御する上で最も重要な成分である。スルホキシル酸塩のアルデヒド誘導体としては、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、亜鉛ホルムアルデヒドスルホキシレート等が挙げられ、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートが特に好ましい。
スルホキシル酸塩のアルデヒド誘導体は、単量体混合物100質量部に対して、0.05〜10質量部であり、0.1〜3質量部が好ましく、0.3〜3質量部がより好ましい。スルホキシル酸塩のアルデヒド誘導体の量がこの範囲にあれば、酸基含有共重合体(b)の質量平均粒子径を150〜1000nmに制御できる。
酸基含有共重合体(b)の粒子径をより確実に制御するために、スルホキシル酸塩のアルデヒド誘導体に加え、他の電解質を併用してもよい。他の電解質としては、例えば、ピロリン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸カリウム等の無機電解質が挙げられる。他の電解質には、酸基含有共重合体(b)ラテックスの製造の際に用いられる酸基含有単量体、乳化剤は含まないものとする。
他の電解質の添加量は、0質量部を超えて10質量部以下であり、かつ他の電解質とスルホキシル酸塩のアルデヒド誘導体との合計量が0.3質量部以上10質量部以下となる量である。他の電解質の量がこの範囲にあれば、酸基含有共重合体(b)の質量平均粒子径を150〜1000nmにより確実に制御できる。
また、酸基含有共重合体(b)ラテックスの製造の際には、必要に応じて乳化剤を用いてもよい。
酸基含有共重合体(b)の質量平均粒子径は、150〜1000nmが好ましく、180〜500nmがより好ましい。酸基含有共重合体(b)の質量平均粒子径がこの範囲にあれば、目的とする粒子径の肥大化ゴム質重合体(c)を極めて安定に得ることができ、かつ酸基含有共重合体(b)自体をゴム質重合体として用いることもできる。
酸基含有共重合体(b)ラテックスは、ゴム質重合体(a)ラテックスの固形分100質量部に対して酸基含有共重合体(b)ラテックスの固形分が0.5〜10質量部となるように、ゴム質重合体(a)ラテックスに添加される。
<ゴム含有グラフト共重合体>
本発明のゴム含有グラフト共重合体(以下、ゴム含有グラフト共重合体(A)とも記す)は、後述のゴム含有グラフト共重合体の製造方法によって得られるものである。
ゴム含有グラフト共重合体(A)は、肥大化ゴム質重合体(c)にビニル系単量体をグラフト重合したグラフト共重合体たけではなく、ビニル系単量体がグラフト重合することなく単独重合または共重合した単独重合体または共重合体を含有する混合物となる。
ゴム含有グラフト重合体(A)の粒子径、粒子径分布は、所望の範囲にあれば必ずしも単峰性である必要はなく、多峰性であってもよいが、生産効率等の観点から、できるだけ単峰性が好ましい。
ゴム含有グラフト重合体(A)の肥大化ゴム質重合体(c)の含有率は、ゴム含有グラフト重合体(A)(100質量%)中、10〜100質量%が好ましい。ゴム含有グラフト重合体(A)の肥大化ゴム質重合体(c)の含有率がこの範囲にあれば、得られる成形品の衝撃性が充分に向上し、かつ艶消し効果が充分に発揮される。
<ゴム含有グラフト共重合体の製造方法>
ゴム含有グラフト共重合体(A)は、肥大化ゴム質重合体(c)に、ビニル系単量体の一部または全量を含浸させた後、ビニル系単量体をグラフト重合することにより製造される。この方法の採用により、平均粒子径がより大きいゴム質重合体を安定に、かつ低ゴム含有量から高ゴム含有量の幅広い範囲で含むゴム含有グラフト共重合体を得ることができ、結果、良好な表面外観を有し、耐衝撃性が改善され、かつ光沢性を選択できる成形品が得られる。
具体的な製造方法としては、つぎの方法が挙げられる。まず、肥大化ゴム質重合体(c)ラテックスを、撹拌翼、ジャケット付き反応器内に仕込む。これにグラフト重合させるビニル系単量体の全量または一部を数回に分けて、一括で投入または連続して滴下する。反応器内を撹拌しながら、40〜70℃にて、5〜60分放置した後、さらに開始剤を添加する。これにより、ビニル系単量体は、肥大化ゴム質重合体(c)に含浸し、肥大化ゴム質重合体(c)内にて一部または全量が重合体となる。
このようにして得られたゴム含有グラフト共重合体(A)ラテックスを、凝固剤を溶解させた熱水中に投入することにより、ゴム含有グラフト共重合体(A)が、凝固される。凝固したゴム含有グラフト共重合体(A)を含むスラリーを洗浄、脱水し、得られた固形分を乾燥すると、ゴム含有グラフト共重合体(A)が粉体または粒子状で得られる。
(ビニル系単量体)
ビニル系単量体としては、例えば、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合物、不飽和カルボン酸等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、スチレン、α−メチルスチレンが特に好ましい。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、アクリロニトリルが特に好ましい。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等のメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルが挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
マレイミド化合物としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。それぞれ1種又は2種以上用いることができる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
開始剤としては、10時間半減期温度が30〜120℃である、油溶解性熱分解開始剤が好ましい。該油溶解性熱分解開始剤としては、例えば、ラウロイルパーオキサイド、アゾイソブチルニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム含有グラフト共重合体(A)を必須成分として含み、必要に応じて熱可塑性樹脂(B)を含むものである。
ゴム含有グラフト共重合体(A)の量は、熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中、10質量%以上が好ましく、20質量以上%がより好ましく、30質量%以上が特に好ましい。ゴム含有グラフト共重合体(A)が10質量%以上であれば、得られる成形品の衝撃性が向上し、かつ光沢が低下し、艶消し効果が充分に発揮される。艶消し効果に関しては、ゴム含有グラフト共重合体(A)が多ければ多いほどその効果は高く、しかも軟質性能も得られる。
熱可塑性樹脂(B)としては、後述の硬質重合体(B1)、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン樹脂、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、MBS樹脂、等が挙げられ、ゴム含有グラフト共重合体(A)との相溶性および衝撃性の観点から、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、MBS樹脂が好ましい。また、熱可塑性樹脂(B)としては、スチレン系樹脂と、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のエンジニアリングプラスチックスとのアロイを用いることもできる。
硬質重合体(B1)は、芳香族ビニル系単量体、およびシアン化ビニル系単量体、必要に応じて他のビニル系単量体を共重合してなる硬質重合体である。芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、他のビニル系単量体としては、ゴム含有グラフト共重合体(A)の製造に用いたビニル系単量体と同様なものが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて顔料、染料、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、補強剤、充填剤等の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記各成分を公知の方法によって混合することにより得られる。混合方法としては、押出機、バンバリーミキサー等を用いた溶融混練が好ましい。
<成形品>
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法等の各種成形方法によって成形したものである。
本発明の成形品は、様々な用途で使用され、例えば、工業的用途として、自動車部品、特に無塗装で使用される各種外装・内装部品;壁材、窓枠等の建築材料;食器、玩具;掃除機ハウジング、テレビジョンハウジング、エアコンハウジング等の家電部品;インテリア部材;船舶部材;通信機器ハウジング、ノートパソコンハウジング、PDAハウジング、液晶プロジェクターハウジング等の電機機器ハウジングに好適である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。実施例における部は質量部を意味する。
質量平均粒子径の測定は、日機装(株)製、Microtrac Model:9230UPAを用い、動的光散乱法より行った。得られる値は、質量平均粒子径、粒子径分布、粒子径分布の累積質量分布である。
<ゴム質重合体(a)の製造>
(製造例1)
ブタジエン重合体(a−1)の製造:
耐圧容器に、1,3−ブタジエン 100部、t−ドデシルメルカプタン 0.3部、過硫酸カリウム 0.15部、ロジン酸ナトリウム 1.5部、水酸化ナトリウム 0.02部、脱イオン水 200部を仕込み、60℃にて反応させた。15時間後、冷却して反応を終了させた。得られたブタジエン重合体(a−1)ラテックスの固形分は、32.1質量%であり、ブタジエン重合体(a−1)の質量平均粒子径は、75nmであった。
(製造例2)
アクリル酸ブチル重合体(a−2)の製造:
耐圧容器に、オレイン酸カリウム 1.5部、ピロリン酸ナトリウム 0.5部、脱イオン水 200部を仕込み、窒素気流下で70℃まで昇温した。さらに、アクリル酸n−ブチル 100部、過硫酸カリウム 0.15部、シアヌル酸トリアリル 0.3部を4時間に亘って滴下した。滴下終了後、1時間放置した後、冷却して反応を終了させた。得られたアクリル酸ブチル重合体(a−2)ラテックスの固形分は、31.4質量%であり、アクリル酸ブチル重合体(a−2)の質量平均粒子径は、96nmであった。
<酸基含有共重合体(b)の製造>
(製造例3)
耐圧容器に、オレイン酸カリウム 2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部、ピロリン酸ナトリウム 0.1部、脱イオン水 200部を仕込み、窒素気流下で60℃まで昇温した。さらに、メタクリル酸 15部、アクリル酸n−ブチル 85部、クメンハイドロパーオキサイド 0.3部を2時間に亘って滴下した。滴下終了後、2時間放置した後、冷却して反応を終了させた。得られた酸基含有共重合体(b−1)ラテックスの固形分は、32.2質量%であり、酸基含有共重合体(b−1)の質量平均粒子径は、295nmであった。結果を表1に示す。
(製造例4)
耐圧容器に、オレイン酸カリウム 2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.6部、脱イオン水 200部を仕込み、窒素気流下で60℃まで昇温した。さらに、メタクリル酸 15部、アクリル酸n−ブチル 85部、クメンハイドロパーオキサイド 0.3部を2時間に亘って滴下した。滴下終了後、2時間放置した後、冷却して反応を終了させた。得られた酸基含有共重合体(b−2)ラテックスの固形分は、32.1質量%であり、酸基含有共重合体(b−2)の質量平均粒子径は、245nmであった。結果を表1に示す。
(製造例5)
耐圧容器に、オレイン酸カリウム 2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.9部、脱イオン水 200部を仕込み、窒素気流下で60℃まで昇温した。さらに、メタクリル酸 15部、アクリル酸n−ブチル 85部、クメンハイドロパーオキサイド 0.3部を2時間に亘って滴下した。滴下終了後、2時間放置した後、冷却して反応を終了させた。得られた酸基含有共重合体(b−3)ラテックスの固形分は32.3質量%であり、酸基含有共重合体(b−3)の質量平均粒子径は、290nmであった。結果を表1に示す。
(製造例6)
耐圧容器に、オレイン酸カリウム 2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部、ピロリン酸ナトリウム 1部、脱イオン水 200部を仕込み、窒素気流下で60℃まで昇温した。さらに、メタクリル酸 15部、アクリル酸n−ブチル 85部、クメンハイドロパーオキサイド 0.3部を2時間に亘って滴下した。滴下終了後、2時間放置した後、冷却して反応を終了させた。得られた酸基含有共重合体(b−4)ラテックスの固形分は、31.7質量%であり、酸基含有共重合体(b−4)の質量平均粒子径は、985nmであった。結果を表1に示す。
(製造例7)
耐圧容器に、オレイン酸カリウム 2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.25部、脱イオン水 200部を仕込み、窒素気流下で60℃まで昇温した。さらに、メタクリル酸 15部、アクリル酸n−ブチル 85部、クメンハイドロパーオキサイド 0.3部を2時間に亘って滴下した。滴下終了後、2時間放置した後、冷却して反応を終了させた。得られた酸基含有共重合体(b−5)ラテックスの固形分は、31.9質量%であり、酸基含有共重合体(b−5)の質量平均粒子径は、105mであった。結果を表1に示す。
(製造例8)
耐圧容器に、オレイン酸カリウム 2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.01部、ピロリン酸ナトリウム 2.5部、脱イオン水 200部を仕込み、窒素気流下で60℃まで昇温した。さらに、メタクリル酸 15部、アクリル酸n−ブチル 85部、クメンハイドロパーオキサイド 0.3部を2時間に亘って滴下した。滴下終了後、1時間後にラテックスが固結状態に至り、酸基含有共重合体(b’−6)ラテックスを得ることができなかった。結果を表1に示す。
(製造例9)
耐圧容器に、オレイン酸カリウム 2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部、ピロリン酸ナトリウム 0.05部、脱イオン水 200部を仕込み、窒素気流下で60℃まで昇温した。さらに、メタクリル酸 35部、アクリル酸n−ブチル 65部、クメンハイドロパーオキサイド 0.3部を2時間に亘って滴下した。滴下終了後、2時間放置した後、冷却して反応を終了させた。得られた酸基含有共重合体(b’−7)ラテックスの固形分は、32.1質量%であり、酸基含有共重合体(b’−7)の質量平均粒子径は、165nmであった。結果を表1に示す。
(製造例10)
耐圧容器に、オレイン酸カリウム 2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部、ピロリン酸ナトリウム 0.3部、脱イオン水 200部を仕込み、窒素気流下で60℃まで昇温した。さらに、メタクリル酸 0.5部、アクリル酸n−ブチル 99.5部、クメンハイドロパーオキサイド 0.3部を2時間に亘って滴下した。滴下終了後、2時間放置した後、冷却して反応を終了させた。得られた酸基含有共重合体(b’−8)ラテックスの固形分は、32.6質量%であり、酸基含有共重合体(b’−8)の質量平均粒子径は、95nmであった。結果を表1に示す。
Figure 2006143924
<肥大化ゴム質重合体(c)の製造>
(実施例1)
製造例1にて得られたブタジエン重合体(a−1)ラテックス(固形分100部)に、製造例3にて得られた酸基含有共重合体(b−1)ラテックス(固形分2部)を 時間にわたって滴下した。滴下終了30分後の肥大化ゴム質重合体(c−1)ラテックス中の肥大化ゴム質重合体(c)の質量平均粒子径は、980nmであり、該ラテックス中の塊状物は、0.04質量%であった。結果を表2に示す。
(実施例2)
ブタジエン重合体(a−1)ラテックスを、製造例2にて得られたアクリル酸ブチル重合体(a−2)ラテックス(固形分100部)に変更した以外は、実施例1と同様に行った。肥大化ゴム質重合体(c−2)ラテックス中の肥大化ゴム質重合体(c−2)の質量平均粒子径は、1100nmであり、該ラテックス中の塊状物は、0.01質量%であった。結果を表2に示す。
(実施例3〜5、比較例1〜3)
酸基含有共重合体(b−1)ラテックスを、製造例4、5、7〜10にて得られた酸基含有共重合体ラテックスに変更した以外は、実施例2と同様に行い、肥大化ゴム質重合体(c−3)〜(c−5)、(c’−6)〜(c’−8)のラテックスを得た。結果を表2に示す。
Figure 2006143924
<ゴム含有グラフト共重合体(A)の製造>
(実施例6)
オートクレーブに、脱イオン水 240部、半硬化牛脂ソーダ石鹸 1.5部、水酸化カリウム0.05部、および実施例1にて得られた肥大化ゴム質重合体(c−1)ラテックス(固形分60部)を仕込み、60℃に加熱した。60℃に保持したままスチレン 28部、アクリロニトリル 12部を添加し、60分間放置した後、ラウロイルパーオキサイド 0.25部を添加し、その後120分かけて75℃まで昇温して1時間保って反応を完結した。得られたラテックスの固形分を硫酸により凝固させ、充分水洗した後、乾燥してゴム含有グラフト共重合体(A−1)を得た。結果を表3に示す。
(実施例7〜10、比較例4、5)
肥大化ゴム質重合体(c−1)ラテックスを、実施例2〜5、比較例2、3にて得られた肥大化ゴム質重合体ラテックスに変更した以外は、実施例5と同様に行い、ゴム含有グラフト共重合体(A−2)〜(A−5)、(A’−6)、(A’−7)を得た。結果を表3に示す。
Figure 2006143924
<他の成分>
(製造例11)
硬質重合体(B1−1)の製造:
窒素置換した反応器に、脱イオン水 120部、水酸化アパタイト 0.4部、アゾビスイソブチルニトリル 0.15部、アクリロニトリル 30部、スチレン 70部、t−ドデシルメルカプタン 0.35部を仕込み、75℃に昇温した。75℃で5時間加熱した後、110℃に昇温した。110℃で6時間加熱した後に硬質重合体(B−1)を取り出した。
PMMA樹脂:三菱レイヨン製;アクリペット VH。
HIPS樹脂:塊状重合法により得られたゴム含有グラフト共重合体として、質量平均粒子径1300nm、粒子径が500nm未満の粒子の累積質量分率が18質量%の大粒径ゴム質重合体を用いた、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体{アクリロニトリル:20.6、ブタジエン:12.5、スチレン:66.9(質量%)}を用いた。
(実施例11〜19、比較例6〜11)
表4および表5に示す配合に、さらに、0.5重量部の滑剤(日本油脂(株)製、PRN−208)を加え、これらを混合した後、220℃で2軸押出機((株)東芝製、TEX−44)にて溶融混練し、ペレット化した。4オンス射出成形機(日本製鋼所(株)製)を用い、240℃にて成形を行い、必要な試験片を作製し、評価を行った。結果を表4および表5に示す。
(評価方法)
アイゾット衝撃強度:ASTM D256に準拠し、常温で測定した。表中、「N.B」は、「Non−Break」を表す。
表面光沢(反射率):スガ試験器(株)製、デジタル変角光計UGV−5Dを用い、入射角60゜、反射角60゜での反射率の測定を行った。
ショアー硬度:23℃、50%相対湿度下において、JIS K−7311記載の方法によりショアー硬度を測定した。なお、デュロメーターは、タイプAを使用した。
表面外観:50×200×2(mm)の試験片を作製し、つぎの評価基準に基づいて判定した。
◎:極めて均一な光沢性を示した。
○:光沢ムラは、僅かであり、実用できる。
△:部分的な光沢ムラがあり、実用に耐えない。
×:光沢ムラが顕著である。
××:光沢ムラが極めて顕著である。
Figure 2006143924
Figure 2006143924
(結果)
表4および表5から、つぎのようなことがわかる。
実施例11、12、15、17:ゴム含有グラフト共重合体(A)だけであると、艶消し効果が向上し、特に耐衝撃性および表面外観の向上が極めて著しく、その効果の向上には目を見張るものがある。さらに、極めて質感のよい、軟質性能が得られる。
実施例13、16、18:ゴム含有グラフト共重合体(A)と硬質重合体(B1)とからなる熱可塑性樹脂組成物は、艶消し効果が向上し、特に耐衝撃性および表面外観の向上が極めて著しい。艶消し効果に関しては、ゴム含有グラフト共重合体(A)が多いほどその効果は高く、しかも軟質性能を有している。
実施例14:ゴム含有グラフト共重合体(A)とPMMA樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物は、耐候性を有し、かつ耐衝撃性、表面外観に優れ、艶消し効果が得られる。
比較例6、9:質量平均粒子径が400nm未満である肥大化ゴム質重合体を用いたゴム含有グラフト共重合体(A’)だけであると、艶消し性および表面外観が劣る。
比較例7、8、10:質量平均粒子径が400nm未満である肥大化ゴム質重合体を用いたゴム含有グラフト共重合体(A’)と、硬質重合体(B1)またはPMMA樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物は、艶消し性の特性を有することはできない。
比較例11:HIPS樹脂は、質量平均粒子径1300nmの大粒径ゴム質重合体を用いているにもかかわらず、ゴム質重合体の含有率が低いため、耐衝撃性および艶消し効果が劣っている。
本発明の成形品は、耐衝撃性が大幅に改善され、かつ表面外観および艶消し性に優れる。このような成形品は、自動車部品、特に無塗装で使用される各種外装・内装部品;壁材、窓枠等の建築材料;食器、玩具;掃除機ハウジング、テレビジョンハウジング、エアコンハウジング等の家電部品;インテリア部材;船舶部材;通信機器ハウジング、ノートパソコンハウジング、PDAハウジング、液晶プロジェクターハウジング等の電機機器ハウジングに好適である。

Claims (7)

  1. ゴム質重合体(a)ラテックスに下記酸基含有共重合体(b)ラテックスを、ゴム質重合体(a)ラテックスの固形分100質量部に対して酸基含有共重合体(b)ラテックスの固形分が0.5〜10質量部となるように、添加し、ゴム質重合体(a)を肥大化させることを特徴とする肥大化ゴム質重合体の製造方法。
    〔酸基含有共重合体(b)〕
    アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、およびクロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基含有単量体1〜30質量部、およびアルキル基の炭素数が1〜12のアクリル酸アルキルエステル70〜99質量部を含有する単量体混合物100質量部に対してスルホキシル酸塩のアルデヒド誘導体0.05〜10質量部の存在下に、水中で前記単量体混合物を共重合させて得られた酸基含有共重合体(b)。
  2. 請求項1に記載の肥大化ゴム質重合体の製造方法によって得られた、肥大化ゴム質重合体。
  3. 請求項2に記載の肥大化ゴム質重合体に、ビニル系単量体の一部または全量を含浸させた後、ビニル系単量体をグラフト重合することを特徴とするゴム含有グラフト共重合体の製造方法。
  4. 請求項3に記載のゴム含有グラフト共重合体の製造方法によって得られた、ゴム含有グラフト共重合体。
  5. 請求項4に記載のゴム含有グラフト共重合体を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  6. さらに、熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする請求項5記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項5または請求項6に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品。
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