JP2014214737A - 内燃機関のピストン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン1のピストン7において、スカート部13が、中央樹脂被膜層21Aが形成され、ピストンクラウン部9の軸線方向Oにおける中央部が最大外径となる中央スカート部13Aと、上部樹脂被膜層21Bが形成され、中央スカート部13Aの上部境界13aよりも上方が中央スカート部13Aから軸線方向Oに向かって外径が漸次小さくなるように湾曲する上部スカート部13Bと、下部樹脂被膜層21Cが形成され、中央スカート部13Aの下部境界13bに対して下方が中央スカート部13Aから軸線方向Oに向かって外径が漸次小さくなるように湾曲する下部スカート部13Cとを備えており、樹脂被膜層21は、中央樹脂被膜層21Aの表面が平滑面に形成され、上部樹脂被膜層21Bおよび下部樹脂被膜層21Cにオイルを保持する凹部22、23が形成される。
【選択図】図3
Description
このようなスカート部を有するピストンにあっては、シリンダボアの内壁に対向するスカート部の表面の摩擦抵抗が大きいと、ピストンの往復動時の摺動抵抗が増大して燃費の悪化や磨耗等の問題が発生する。
具体的には、スカート部は、ピストンの軸線方向中央部が最大外径となるバレル状に形成されており、ピストンの軸線方向に加わる荷重が小さい場合には、スカート部とシリンダボアとの接触圧を低くするために、この最大外径部がシリンダボアに当接することで、ピストンの首振り運動を抑制している。
このため、内燃機関の低回転時や膨張行程以外の行程のように、ピストンの軸線方向に加わる荷重が小さく、ピストンとシリンダボアの内壁との接触圧が小さい場合に、中央スカート部に形成された樹脂被膜層がシリンダボアの内壁と接触したときに、シリンダボアの内壁と中央スカート部に形成された樹脂被膜層との間に介在される潤滑油量を少なくすることができる。
したがって、中央スカート部が潤滑油から受ける抵抗を少なくして、ピストンの剪断抵抗を小さくすることができ、ピストンの摺動抵抗を低減することができる。
第1の態様のピストンは、上部スカート部および下部スカート部に形成された樹脂被膜層の表面に潤滑油を保持する複数の保持部が形成されるので、保持部からシリンダボアの内壁と上部スカート部および下部スカート部に形成された樹脂被膜層との間に潤滑油を供給して潤滑性能を高めることができるため、ピストンの摺動抵抗を低減することができる。この結果、内燃機関の運転状態の全域において内燃機関の燃費が悪化するのを防止することができる。
このため、ピストンの往復動時にスカート部全体に十分な量の潤滑油を供給することができ、ピストンの往復動時の摺動抵抗を低減することができる。これに加えて、樹脂被膜層の磨耗を抑制して樹脂被膜層の耐久性を向上させることができる。
図1〜図6は、本発明に係る一実施形態の内燃機関のピストンを示す図である。
まず、構成を説明する。図1において、内燃機関としてのエンジン1は、クランクケース2が一体に設けられたシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上部に取付けられたシリンダヘッド4とを含んで構成されている。
シリンダブロック3のシリンダボア6内にはピストン7が収納されており、このピストン7は、例えば、アルミニウム合金等によって構成されている。
また、図1に示すように、ピストンピン装着穴10にはピストンピン14が回転自在に挿通されており、このピストンピン14を介してピストン7とコネクティングロッド8とが連結される。
第1コンプレッションリング溝15および第2コンプレッションリング溝16には図示しない環状の第1コンプレッションリングおよび第2コンプレッションリングがそれぞれ嵌合されており、オイルリング溝17にはピストンリングとしての図示しない環状のオイルリングが嵌合されている。
また、オイルリングは、ピストン7の上下動に伴ってシリンダボア6の内壁6aに摺接することにより、シリンダボア6の内壁6aに付着している潤滑油としてのオイルを掻き落とす機能を有している。
また、反スラスト側とは、ピストン7がシリンダボア6内を上昇する行程において前記スラスト力と反対方向のスラスト力がシリンダボア6の内壁6aに掛かるピストン7の面である。
また、スカート部13は、ピストン7の往復動時にスラスト側または反スラスト側に摺接することでピストン7の首振り挙動を抑制するようになっている。
なお、図6では、説明の便宜上、スカート部13を極端に湾曲させて描いているが、実際は、このように極端に湾曲していないことは、いうまでもない。
エンジン1の低回転時や膨張行程以外の行程においては、ピストン7の軸線方向に加わる荷重が小さく、ピストン7とシリンダボア6の内壁6aとの接触圧が小さい。この場合には、主に、平滑面を有する中央樹脂被膜層21Aがシリンダボア6の内壁6aに摺接しながら、ピストン7がシリンダボア6に沿って往復動する。このとき、中央樹脂被膜層21Aがオイル層20を介してシリンダボア6の内壁6aに摺接する。
したがって、エンジン1の低回転時や膨張行程以外の行程にピストン7の摺動抵抗を低減することができ、エンジン1の燃費が悪化するのを防止することができる。
本実施形態のピストン7は、上部樹脂被膜層21Bおよび下部樹脂被膜層21Cの表面にオイルを保持する複数の凹部22、23が形成されているので、凹部22、23からシリンダボア6の内壁6aとスカート部13との間に潤滑に十分なオイルを供給することができる。
また、スカート部13が変形する場合には、ピストンクラウン部9に連接される上部スカート部13Bに対して、下端が自由端となる下部スカート部13Cの変形量が大きくなる。
本実施形態のピストン7は、凹部22に対して凹部23の数が多く形成されているので、下部樹脂被膜層21Cとシリンダボア6の内壁6aとの間に、上部樹脂被膜層21Bとシリンダボア6の内壁6aとの間よりも多くのオイルを供給することができる。
なお、本実施形態のピストン7は、凹部22および凹部23を同一形状にしているが、凹部22と凹部23とを異なる形状にしてもよい。要は、本実施形態のピストン7は、凹部22の合計容積に対して凹部23の合計容積を大きくして、凹部22よりも凹部23に多くのオイルを保持できるようにすればよいのである。
Claims (2)
- シリンダボアの内壁に対して往復動自在に設けられ、外周部にピストンリングを有するピストン本体と、前記ピストン本体の下方に設けられ、前記シリンダボアの内壁に対向する面に樹脂被膜層が形成されたスカート部とを備え、
前記スカート部が、前記ピストン本体の軸線方向における中央部が最大外径となる中央スカート部と、前記中央スカート部の上部境界よりも上方において前記上部境界から前記軸線方向に向かって外径が漸次小さくなるように湾曲する上部スカート部と、前記中央スカート部の下部境界に対して下方において前記下部境界から前記軸線方向に向かって外径が漸次小さくなるように湾曲する下部スカート部とを備えた内燃機関のピストンであって、
前記中央スカート部に形成された前記樹脂被膜層の表面が平滑面に形成され、前記上部スカート部および前記下部スカート部に形成された前記樹脂被膜層の表面に潤滑油を保持する保持部が形成されることを特徴とする内燃機関のピストン。 - 前記上部スカート部の前記保持部の合計容積に対して、前記下部スカート部の前記保持部の合計容積が大きく形成されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のピストン。
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