JP6587978B2 - エンジンのピストン - Google Patents
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Description
前記スカート部1の表面1aに斑点状の樹脂皮膜2aが分散配置され、隣り合う前記斑点状の樹脂皮膜2aどうしの間の前記スカート部1の表面1aと、前記隣り合う樹脂皮膜2a,2aとにより形成される凹部3で網目状溝4が形成され、
前記スカート部1におけるピストン周方向の端部には、ピストン移動方向6に延びる外縁形状の樹脂皮膜2bが形成され、
前記外縁形状の樹脂皮膜2bは、前記外縁形状の樹脂皮膜2b及びこれと隣り合う前記斑点状の樹脂皮膜2aとの間にも前記網目状溝4が形成されるように、ピストン周方向で内向きの突起部10,28,22を有する状態に形成されていることを特徴とする。
前記外縁形状の樹脂皮膜2bのピストン移動方向6の長さが、前記スカート部1のピストン周方向8の端部でのピストン移動方向6長さの全域に亘る程度に設定されていることを特徴とする。
前記外縁形状の樹脂皮膜2bは、そのピストン移動方向6の中央部がピストン周方向8に突出する孕み出し形状に設定されていることを特徴とする。
前記斑点状の樹脂皮膜2aが六角形状又は/及び鼓形状に形成されていることを特徴とする。
前記スカート部1のピストン移動方向6の端部に、前記スカート部1の表面1aを落とし込んでなる凹入ポケット部23が形成されていることを特徴とする。
前記スカート部1の表面1aにおけるピストンピンの軸心P方向と交差する方向の部分に形成されている前記斑点状の樹脂皮膜2aは、ショットピーニング加工済みの前記ピストン12の粗表面24に形成されていることを特徴とする。
スラスト側12aの前記スカート部1におけるクランク軸から遠い側の端部、及び/又は反スラスト側12bの前記スカート部1におけるクランク軸に近い側の端部に、ピストン周方向8に延びる周縁形状の樹脂皮膜2cが形成されていることを特徴とする。
スカート部の表面が複数個に分かれてテクスチャリングされることにより、エンジオイルのピストン移動方向通路を設けることができ、エンジンオイルを各部により有効に供給することができる。凹部によって網目状溝が形成されているので、ピストンの往復運動を利用して凹部にオイルを積極的に供給することができる。
オイルをスカート部に効率良く保持できるので、オイルによる流体膜には正圧が発生し、摺動面を浮上させ、フリクション低減が図れ、従って、燃費低減の効果が期待できる。また、エンジンの耐焼き付き性も向上するようになる。特に、寒冷時でもオイル保持ができる利点もある。
その結果、樹脂皮膜が施されているピストンにおいて、さらなる鋭意研究により、凹部へのエンジンオイルの供給を改善することができる、エンジンのピストンを提供することができる。
また、斑点状の樹脂皮膜が鼓形状に形成されていれば、ピストン移動に伴い、ピストン周方向で隣り合う斑点状の樹脂皮膜どうしの間の凹部を移動する潤滑油は、凹部の開口部から出て、ピストン移動方向で相隣る斑点状の樹脂皮膜の端部にぶつかって受止められたり、跳ね返されたりし、エンジンオイルの保持機能に優れる利点がある。
この場合、周縁形状の樹脂皮膜は、スラスト側のスカート部においてはクランク軸から遠い側の端部に設け、反スラスト側のスカート部においてはクランク軸に近い側の端部に設けるのが、強くシリンダに押し付けられる箇所にエンジンオイルが保持され易くなって好都合である。
シリンダヘッド15には、吸気弁18と排気弁19と燃料インジェクタ20が取り付けられている。
次に、スカート部1に施されている樹脂皮膜2や凹部3、或いは樹脂皮膜2のコーティングパターンなどについて説明する。
図2(a),(b)に示されるように、スカート部1の表面1aに斑点状の樹脂皮膜2a(樹脂皮膜2の一例)が分散配置され、隣り合う斑点状の樹脂皮膜2aどうしの間のスカート部1の表面1aと、隣り合う斑点状の樹脂皮膜2a,2aとにより形成される凹部3により網目状溝4が形成されている。網目状溝4は、斑点状の樹脂皮膜2a,2aの間に形成され、その内底面は、斑点状の樹脂皮膜2aで覆われていないスカート部1の金属表面1aで形成されている。
従って、隣り合う斑点状の樹脂皮膜2a,2aは、ピストン移動方向6及びピストン周方向8には互いに重なる状態に配列されている。図2(a)の例では、斑点状の樹脂皮膜2aはピストン移動方向6に、周方向端部1Aでは5個(又は6個)並び、周方向中央部1Bでは7個(又は6個)並んでいる。つまり、多数の亀の甲形状の樹脂皮膜2aが縦横に配列されている樹脂皮膜2のコーティングパターンである。
樹脂皮膜列5の隣り合う斑点状の樹脂皮膜2a,2aどうしの間に形成される溝部分7(=凹部3)のピストン移動方向6側の両端開口部7a,7bは、ピストン移動方向6で隣り合う樹脂皮膜列5の斑点状の樹脂皮膜2a、詳しくは、斑点状の樹脂皮膜2aにおけるピストン周方向8の中心に対向する構成とされている。
また、オイルをスカート部1に効率良く保持できるので、オイルによる流体膜には正圧が発生し、摺動面を浮上させ、フリクション低減が図れ、従って、燃費低減の効果が期待できる。また、エンジンの耐焼き付き性も向上するようになる。特に、寒冷時でもオイル保持ができる利点もある。
樹脂皮膜2のピストン12の樹脂コーティングパターンは、図3に示されるものでも良い。多数の斑点状の樹脂皮膜2aは、図3(a),(b)に示されるように、鼓形状、詳しくは、ピストン移動方向6にやや長い鼓形状に形成されている。実施形態1のものと同様に、斑点状の樹脂皮膜2aがピストン周方向8に規則正しく並んで形成される樹脂皮膜列5の複数が、ピストン周方向に半ピッチずらしてピストン移動方向6に配列され、千鳥格子状に複数列配置されている。
そして、実施形態2のピストン12では、斑点状の樹脂皮膜2aのピストン移動方向6でのV字状端部における左右の端面11,11のなす挟角θは120度(又は120度±20度)に設定されている。なお、θの値は、60度≦θ<180度、とすることで効果が得られるが、より良い効果を狙うには「120度±20度」が良い。
隣り合う斑点状の樹脂皮膜2aの端部どうしによりなる、ピストン周方向8に延びるギザギザ状の凹部は、潤滑油の保持機能に優れるオイル溜め溝に構成されている。
この場合の外縁形状の樹脂皮膜2bも、ピストン移動方向6で並ぶ複数列(10列)の樹脂皮膜列5のピストン周方向8で端の斑点状の樹脂皮膜2aを繋ぎ、かつ、斑点状の樹脂皮膜2aを包含したようなピストン周方向8で内向きの突起部28を有する縦長形状のものに形成されている。
図4(a)に示されるように、図2(a)のピストン12において、スカート部1の上端部に樹脂皮膜2のない部分を設けた構成のものでも良い。即ち、最上列の樹脂皮膜列5を、スカート部1の上端縁から少し(斑点状の樹脂皮膜2aの一つ分程度の上下幅)下方に離して設けたピストン12である。樹脂皮膜2の無いピストン周方向8に長い表面1aによる帯状裸面部21が形成されている。
スカート部1の上端部に樹脂皮膜2の無い部分である帯状裸面部21を設けてあるので、網目状溝4など樹脂皮膜2の部分に帯状裸面部21からオイルが導入され易くなる。図4(b)のように、ピストン周方向8に樹脂皮膜2の壁である延長帯部9aを有する帯状裸面部21を設ければ、オイルの樹脂皮膜2への取り込み易さがより良くなる。
図5(a)に示されるように、スカート部1のピストン周方向8の両端部にある外縁形状の樹脂皮膜2bは、そのピストン移動方向6の中央部がピストン周方向8に、詳しくは、互いの存在方向である内向きに突出する孕み出し形状に設定されているピストン12でも良い。図示の外縁形状の樹脂皮膜2bは、上下対称で3箇所の角部が削られた略三角形に形成されており、隣接する斑点状の樹脂皮膜2aは、それぞれ外縁形状の樹脂皮膜2bとの間に隙間である凹部3が形成されるように、亀の甲の一部が削り取られたような形状とされている。
図6(a)に示されるように、スカート部1のピストン移動方向6の端部に、スカート部1の表面1aを落とし込んでなる凹入ポケット部23が形成されているピストン12でも良い。凹入ポケット部23は、図6(b)にも示されるように、スカート部1の周方向中央部1Bの下端部で樹脂皮膜2の圏外に、ピストン周方向8に長い状態で形成され、下側の凹み傾斜角度αが、上側の凹み傾斜角度βよりも大きい湾曲状の断面形状を呈している。
図7(a)に示されるように、スカート部1の表面1aにおけるピストンピン(図示省略)の軸心P方向と交差する方向の部分に形成されている斑点状の樹脂皮膜2aは、ショットピーニング加工済みのピストン12の表面、即ち粗表面24に形成された構成のピストン12でも良い。詳しくは、スカート部1における仮想線で囲まれた部分、つまりは周方向中央部1Bの表面1aにショットピーニング加工による粗表面24が形成されている。
図7(b)に示されるように、スカート部1の各周方向端部1Aにおける周方向中央部1B寄りの端部に、ピストン移動方向6に延びる条溝25が形成されているピストン12でも良い。各条溝25は、表面1aを凹ませてなる細長い縦溝である。条溝25の上端は、ピストンリング装着用の溝である周溝26の部位に形成されているオイル孔27に連なり、下端は、ピストン移動方向6の途中部位、詳しくは、周方向端部1Aの上下中央より若干下端に寄った位置まで延ばされている。
図8(a)に示されるように、反スラスト側12bのスカート部1におけるクランク軸17(図1参照)に近い側の端部に、ピストン周方向8に延びる周縁形状の樹脂皮膜2cが形成されているピストン12でも良い。また、図8(b)に示されるように、スラスト側12aのスカート部1におけるクランク軸17(図1参照)から遠い側の端部に、ピストン周方向8に延びる周縁形状の樹脂皮膜2cが形成されているピストン12でも良い。
図9(a)に示されるように、下端の周溝26の部位に形成されているオイル孔27が、下方に延ばした孔形状とされたピストン12でも良い。径外側に上下に長い開口部を備えたオイル孔27は、スカート部1の上端部に亘っており、図9(b)に示されるように、断面形状は、下側が凹湾曲状に広がる傾斜面27aに形成されている。
1a 表面
2 樹脂皮膜
2a 斑点状の樹脂皮膜
2b 外縁形状の樹脂皮膜
2c 周縁形状の樹脂皮膜
3 凹部
4 網目状溝
6 ピストン移動方向
8 ピストン周方向
10 突起部(横半分部)
12a スラスト側
12b 反スラスト側
22 突起部(傾斜辺)
23 凹入ポケット部
24 粗表面(ショットピーニング加工済みの表面)
28 突起部
P ピストンピンの軸心
Q 交差する方向
Claims (7)
- スカート部の表面に樹脂皮膜と凹部とを備えたエンジンのピストンであって、
前記スカート部の表面に斑点状の樹脂皮膜が分散配置され、隣り合う前記斑点状の樹脂皮膜どうしの間の前記スカート部の表面と、前記隣り合う樹脂皮膜とにより形成される凹部で網目状溝を形成するとともに、
前記スカート部におけるピストン周方向の端部には、ピストン移動方向に延びる外縁形状の樹脂皮膜が形成され、
前記外縁形状の樹脂皮膜は、前記外縁形状の樹脂皮膜及びこれと隣り合う前記斑点状の樹脂皮膜との間にも前記網目状溝が形成されるように、ピストン周方向で内向きの突起部を有する状態に形成されているエンジンのピストン。
- 前記外縁形状の樹脂皮膜のピストン移動方向の長さが、前記スカート部のピストン周方向の端部でのピストン移動方向長さの全域に亘る程度に設定されている請求項1に記載のエンジンのピストン。
- 前記外縁形状の樹脂皮膜は、そのピストン移動方向の中央部がピストン周方向に突出する孕み出し形状に設定されている請求項2に記載のエンジンのピストン。
- 前記斑点状の樹脂皮膜が六角形状又は/及び鼓形状に形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載のエンジンのピストン。
- 前記スカート部のピストン移動方向の端部に、前記スカート部の表面を落とし込んでなる凹入ポケット部が形成されている請求項1〜4の何れか一項に記載のエンジンのピストン。
- 前記スカート部の表面におけるピストンピンの軸心方向と交差する方向の部分に形成されている前記斑点状の樹脂皮膜は、ショットピーニング加工済みの前記ピストンの表面に形成されている請求項1〜5の何れか一項に記載のエンジンのピストン。
- スラスト側の前記スカート部におけるクランク軸から遠い側の端部、及び/又は反スラスト側の前記スカート部におけるクランク軸に近い側の端部に、ピストン周方向に延びる周縁形状の樹脂皮膜が形成されている請求項1〜6の何れか一項に記載のエンジンのピストン。
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