JP6587980B2 - エンジンのピストン - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンのピストンに係り、詳しくは、凹部へのエンジンオイルの供給を改善することができるエンジンのピストンに関するものである。
従来、図5に示すように、エンジンのピストンとして、スカート部101の表面に、樹脂皮膜102と凹部103とを備えたものがある。(例えば、特許文献1参照)
この種のピストンによれば、樹脂皮膜102でスカート部101のプロフィールが最適化され、ピストンスラップ音が低減されるとともに、凹部103に溜まったエンジンオイルでスカート部101の摩擦が低減される利点がある。
しかしながら、この従来技術では、図5に示すように、一連の樹脂皮膜102にスポット状に複数の凹部103が配置されているため、エンジンオイルによるスカート部の摩擦低減機能が不十分であった。
即ち、図5に示すように、一連の樹脂皮膜102にスポット状に複数の凹部103が配置されているため、凹部103が樹脂皮膜102に囲まれ、凹部103へのエンジンオイルの供給が困難である。このため、凹部103に十分な量のエンジンオイルが保持されず、エンジンオイルによるスカート部101の摩擦低減機能が不十分であった。
特許第4749399号公報(図1参照)
本発明の目的は、樹脂皮膜が施されているピストンにおいて、さらなる鋭意研究により、凹部へのエンジンオイルの供給を改善することができる、エンジンのピストンを提供する点にある。
請求項1に係る発明は、スカート部1の表面1aに樹脂皮膜2と凹部3とを備えたエンジンのピストンにおいて、
前記スカート部1の表面1aに斑点状の樹脂皮膜2aが分散配置され、隣り合う前記斑点状の樹脂皮膜2aどうしの間の前記スカート部1の表面1aと、前記隣り合う斑点状の樹脂皮膜2a,2aとにより形成される凹部3で網目状溝4が形成されるとともに、斑点状の樹脂皮膜のうちのピストン周方向で端に位置する周方向端皮膜2bは、ピストン移動方向6と平行な縦辺23、ピストン周方向8と平行な横辺24、及び、ピストン移動方向6に対して傾斜した斜辺25とを有し、
前記斜辺25は、前記スカート部1のピストン移動方向6への移動に伴ってエンジンオイルをピストン周方向8で前記スカート部1の中央側へ寄せ案内するガイド部Gとして機能するように形成されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のエンジンのピストンにおいて、
スラスト側の前記スカート部1に形成されている前記周方向端皮膜2bには、前記スカート部1がクランク軸に近づく方向への移動に伴ってエンジンオイルをピストン周方向8で前記スカート部1の中央側へ寄せ案内する第1のガイド部21が、前記ガイド部Gとして形成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のエンジンのピストンにおいて、反スラスト側の前記スカート部1に形成されている前記周方向端皮膜2bには、前記スカート部1がクランク軸から遠ざかる方向への移動に伴ってエンジンオイルをピストン周方向8で前記スカート部1の中央側へ寄せ案内する第2のガイド部22が、前記ガイド部Gとして形成されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のエンジンのピストンにおいて、
前記周方向端皮膜2bの形状が、三角形状に設定されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、スカート部1の表面1aに樹脂皮膜2と凹部3とを備えたエンジンのピストンにおいて、
前記スカート部1の表面1aに斑点状の樹脂皮膜2aが分散配置され、隣り合う前記斑点状の樹脂皮膜2aどうしの間の前記スカート部1の表面1aと、前記隣り合う斑点状の樹脂皮膜2a,2aとにより形成される凹部3で網目状溝4が形成されるとともに、斑点状の樹脂皮膜のうちのピストン周方向で端に位置する周方向端皮膜2bは、ピストン移動方向6に長い帯状部分9に、斑点状の樹脂皮膜2aの横半分部10をピストン移動方向6に一つ飛びで足して一体化したものに形成され、
前記周方向端皮膜2bには、ピストン移動方向6に対して傾斜した帯状のガイド溝11の複数が整列状態で形成されており、
前記ガイド溝11により、前記スカート部1のピストン移動方向6への移動に伴ってエンジンオイルをピストン周方向8で前記スカート部1の中央側へ寄せ案内するガイド部Gが構成されていることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、スカート部の広域に亘って、エンジンオイルの保持領域を形成することができる。スカート部の表面に、斑点状の樹脂皮膜が分散配置され、斑点状の樹脂皮膜どうしの間に形成される凹部で網目状溝が形成されているので、スカート部の広域に亘って、エンジンオイルの保持領域を形成することができる。
スカート部の表面が複数個に分かれてテクスチャリングされることにより、エンジオイルのピストン移動方向通路を設けることができ、エンジンオイルを各部により有効に供給することができる。凹部によって網目状溝が形成されているので、ピストンの往復運動を利用して凹部にオイルを積極的に供給することができる。
そして、ガイド部を備える周方向端皮膜を有しているので、ピストン移動に伴ってピストン周方向の外側からオイルを網目状溝に積極的に取り込む作用が生じ、網目状溝などスカート部にオイルが十分に供給されるようになり、オイル保持作用も強化され、耐久性向上に寄与可能となる。
その結果、樹脂皮膜が施されているピストンにおいて、さらなる鋭意研究により、凹部へのエンジンオイルの供給を改善することができ、耐久性向上も期待できるエンジンのピストンを提供することができる。
請求項2の発明によれば、次のような効果がある。即ち、爆発行程でピストンが下降する時に、クランク軸の回転方向と爆発圧力とによってピストンがシリンダに押し付けられるスラスト側では、スカート部も非常に強くシリンダに押される。
そこで、スラスト側の周方向端皮膜には、スカート部がクランク軸に近づく方向への移動に伴ってエンジンオイルをピストン周方向でスカート部の中央側へ寄せ案内する第1のガイド部が形成されているから、爆発によって強くシリンダに押される側のスカート部へのエンジンオイルの供給が促進されるようになる。
その結果、樹脂皮膜の形状工夫により、スカート部におけるエンジンオイルの取り込みや保持作用の強化が図れ、耐久性向上も可能となる利点が得られる。
請求項3の発明によれば、次のような効果がある。即ち、前述したスラスト側の反対側である反スラスト側においては、クランク軸の回転方向により、スラスト側ほど強烈ではないが、ピストンが上昇移動する際にシリンダに強く押される状態になる。
そこで、反スラスト側の周方向端皮膜に、スカート部がクランク軸から遠ざかる方向への移動に伴ってエンジンオイルをピストン周方向でスカート部の中央側へ寄せ案内する第2のガイド部が形成されているから、上昇移動によってシリンダに押される側のスカート部へのエンジンオイルの供給が促進されるようになる。
その結果、樹脂皮膜の形状工夫により、スカート部におけるエンジンオイルの取り込みや保持作用の強化が図れ、耐久性向上も可能となる利点が得られる。
ガイド部としては、請求項4の発明のように、三角形の周方向端皮膜における斜辺で構成される手段や、請求項5の発明のように、ピストン移動方向に対して傾斜したガイド溝により構成される手段を採ることができる。
シリンダに内嵌されたピストンなどを示す縦断面図 樹脂皮膜などを示すピストンの側面図 (a)反スラスト側の周方向端皮膜を示す要部の拡大図、(b)スラスト側の周方向端皮膜を示す要部の拡大図 (a)は実施形態2による周方向端皮膜を示す要部の拡大図、(b)は実施形態3による周方向端皮膜を示す要部の拡大図 従来技術に係るエンジンのピストンの側面図
以下に、本発明によるピストンの実施の形態を、立形ディーゼルエンジンのピストンについて、図面を参照しながら説明する。各図において、簡単のため、円筒面であるスカート部1の樹脂皮膜2は、いずれも展開した形状として描いてある。以下、潤滑油であるエンジンオイルは、単にオイルと略称する。
立形ディーゼルエンジン及びそのピストンは、図1に示すように、シリンダ14の上部にシリンダヘッド15が組み付けられており、ピストン12は、シリンダ14に内嵌され、ピストン12にコンロッド16を介してクランク軸17が連動連結されている。
シリンダヘッド15には、吸気弁18と排気弁19と燃料インジェクタ20が取り付けられている。
図1及び図2に示されるように、このピストン12は、ピストンリング13(図2では図示省略)が装備されるピストンヘッド部12Aと、その下方のピストンロワー部12Bとを有している。ピストンロワー部12Bは、ピストンヘッド部12Aのような円筒形ではなく、ピストン移動方向6の方向視で円弧面を呈するスカート部1の一対と、それらの間のピン連結部12pとを備える異形部分である。スカート部1は、スラスト側12aと反スラスト側12bとのそれぞれに位置する状態に形成されている。
スカート部1は、図1,2に示されるように、ピストン移動方向6でクランク軸側の端縁が傾斜している周方向端部1A,1Aと、それらの間で、かつ、クランク軸側に突出した周方向中央部1Bとを有する形状に形成されている。つまり、スカート部1は、ピストン周方向8で中央に寄るに従って下方に延びる形状に設定されている。図1は、ピストン12が下方に移動中の状態を描いたものである。なお、26は、ピストンリング13(図1を参照)を装着するための周溝であり、27はオイル孔である。
ピストン12のスカート部1の表面1aには、樹脂皮膜2と、樹脂皮膜2により形成される凹部3とを備えている。ピストン12本体の素材には、鋳鉄またはアルミ合金等の金属が用いられている。樹脂皮膜2には、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂が用いられている。樹脂皮膜2には、遷移金属酸化物、グラファイト等の無機固体潤滑剤が含まれている。
次に、スカート部1に施されている樹脂皮膜2や凹部3、或いは樹脂皮膜2のコーティングパターンなどについて説明する。
図2に示されるように、スカート部1の表面1aに斑点状の樹脂皮膜2a(樹脂皮膜2の一例)が分散配置され、隣り合う斑点状の樹脂皮膜2aどうしの間のスカート部1の表面1aと、隣り合う斑点状の樹脂皮膜2a,2aとにより形成される凹部3により網目状溝4が形成されている。網目状溝4は、斑点状の樹脂皮膜2a,2aの間に形成され、その内底面は、斑点状の樹脂皮膜2aで覆われていないスカート部1の金属表面1aで形成されている。
スカート部1に形成されている斑点状の樹脂皮膜2a及び凹部3は、ピストン12のスラスト側12aと反スラスト側12bとに存在している。スラスト側12aとは、爆発工程においてクランク軸17の回転方向とコンロッド16の傾斜とによりピストン12が下降する時に、クランク軸17の回転方向及び爆発圧力によりピストン12がシリンダ14に押し付けられる側を言い、反スラスト側12bはその反対側を言う。反スラスト側は、ピストン12が上昇移動するとき(排気工程や圧縮工程)に、クランク軸17の回転方向によりシリンダ14に押し付けられる側となる。
図2に示されるように、斑点状の樹脂皮膜2aは六角形状(正六角)に形成されており、隣り合う斑点状の樹脂皮膜2a,2aが若干の隙間(=凹部3=網目状溝4)を空けて縦横に規則正しく配列する状態でピストン12の表面1aに形成されている。
従って、隣り合う斑点状の樹脂皮膜2a,2aは、ピストン移動方向6及びピストン周方向8には互いに重なる状態に配列されている。
図2の例では、斑点状の樹脂皮膜2aはピストン移動方向6に、周方向端部1Aでは5個(又は6個)並び、周方向中央部1Bでは7個(又は6個)並んでいる。つまり、多数の亀の甲形状の樹脂皮膜2aが縦横に配列されている樹脂皮膜2のコーティングパターンである。
斑点状の樹脂皮膜2aの複数が、スカート部1のピストン周方向8に所定間隔を置いて配置されて樹脂皮膜列5を形成しており、その樹脂皮膜列5の複数がピストン周方向に半ピッチずらしてピストン移動方向6に配列されており、それによって千鳥格子状に複数列配置されている。
図4(b)に示されるように、樹脂皮膜列5の隣り合う斑点状の樹脂皮膜2a,2aどうしの間に形成される溝部分7(=凹部3)のピストン移動方向6側の両端開口部7a,7bは、ピストン移動方向6で隣り合う樹脂皮膜列5の斑点状の樹脂皮膜2a、詳しくは、斑点状の樹脂皮膜2aにおけるピストン周方向8の中心に対向する構成とされている。
〔実施形態1〕
そして、図2,図3に示されるように、スカート部1におけるピストン周方向8で左右双方の端(=周方向端部1Aの端)に位置する樹脂皮膜2、即ち周方向端皮膜2bは三角形に形状設定されており、ピストン移動に伴ってオイルをピストン周方向8でスカート部1の中央側へ寄せ案内するガイド部Gが形成されている。
上下(ピストン移動方向6)に5列並ぶ三角形の周方向端皮膜2bは、規則正しく並ぶ斑点状の樹脂皮膜2aのピストン周方向端のものから置き換えられた状態で設置されている。故に、周方向端皮膜2bの傍らには、部分的にカットされた形状の斑点状の樹脂皮膜2aが配備されている。
図3(a),(b)に示されるように、周方向端皮膜2bは、ピストン移動方向6と平行な縦辺23、ピストン周方向8と平行な横辺24、及び、ピストン移動方向6に対して傾斜した斜辺25とを有しており、斜辺25がガイド部Gとして機能する。なお、周方向端皮膜2bも機能構造的には斑点状の樹脂皮膜2aと同じものであり、それら両者2a,2bの間は凹部3(=網目状溝4)である。
図3(a)に示されるように、反スラスト側12bのスカート部1に形成されている周方向端皮膜2bには、スカート部1がクランク軸17から遠ざかる方向への移動に伴ってオイルをピストン周方向8でスカート部1の中央側へ寄せ案内する第2のガイド部22が、斜辺25、即ちガイド部Gとして形成されている。
つまり、ピストン12が上昇移動する場合には、隣り合う周方向端皮膜2b,2bの間の凹部3から斜辺25に沿って、或いは最も反クランク軸17側の周方向端皮膜2bの斜辺25に沿って、オイルが図3(a)に示す矢印の如く寄せ案内され、網目状溝4内に取り込まれるようになる。
図3(b)に示されるように、スラスト側12aのスカート部1に形成されている周方向端皮膜2bには、スカート部1がクランク軸17に近づく方向への移動に伴ってオイルをピストン周方向8でスカート部1の中央側へ寄せ案内する第1のガイド部21が、斜辺25、即ちガイド部Gとして形成されている。
つまり、ピストン12が下降移動する場合には、隣り合う周方向端皮膜2b,2bの間の凹部3から斜辺25に沿って、或いは最もクランク軸17側の周方向端皮膜2bの斜辺25に沿って、オイルが図3(b)に示す矢印の如く寄せ案内され、網目状溝4内に取り込まれるようになる。
実施形態1によるピストン12においては、スカート部1の広域に亘って、オイルの保持領域を形成することができる。スカート部1の表面1aに、斑点状の樹脂皮膜2aの多数が分散配置され、斑点状の樹脂皮膜2aどうしの間に形成される凹部3で網目状溝4が形成されているので、スカート部1の広域に亘って、オイルの保持領域を形成することができる。
スカート部1のピストン周方向8で隣り合う斑点状の樹脂皮膜2aどうしの間に形成される凹部3が、ピストン移動方向6で別の斑点状の樹脂皮膜2aと隣り合う状態に設定されているので、ピストン12の往復移動によって凹部3の両端開口部から流出するオイルがピストン移動方向6で隣の斑点状の樹脂皮膜2aに衝突し、凹部3からのエンジンオイルの流出が抑制され、網目状溝4のオイル保持機能を高めることができる。
スカート部1の表面1aが複数個に分かれてテクスチャリングされることにより、オイルの上下方向(ピストン移動方向6)通路を設けることができ、オイルを各部により有効に供給することができる。ピストン移動方向6で隣り合う樹脂皮膜列5,5どうしをピストン周方向8に互いに位置ずれさせて千鳥格子状に配置してあるので、ピストン12の往復運動を利用して凹部3にオイルを積極的に供給することができる。
スカート部1における樹脂皮膜2,2a,2bのコーティングでなる網目状溝4のピストン周方向8の両端部が、ガイド部Gを有する周方向端皮膜2bに形成されているので、ピストン移動に伴ってピストン周方向からオイルを網目状溝4に積極的に取り込む作用が生じ、スカート部1に(主に網目状溝4に)おけるオイル保持効果が強化される。
また、オイルをスカート部1に効率良く保持できるので、オイルによる流体膜には正圧が発生し、摺動面を浮上させ、フリクション低減が図れ、従って、燃費低減の効果が期待できる。また、エンジンの耐焼き付き性も向上するようになる。特に、寒冷時でもオイル保持ができる利点もある。
図1などに示されるように、スラスト側12aでは、スカート部1がクランク軸17に近づく方向へ移動する際にオイルをピストン周方向8でスカート部1の中央側へ寄せ案内するガイド部G(斜辺25)を有する周方向端皮膜2bが形成され、かつ、反スラスト側12bでは、前述とは逆の形態の周方向端皮膜2bが形成されているのが良い。
それ以外には、しかしながら、ピストン12の組付け間違いをなくす点からは、より強く押されるスラスト側12aに適する周方向端皮膜2bのみを有するピストン12、或いは、ピストン周方向8の一端にはスラスト側12a用の周方向端皮膜2bが、かつ、他端には反スラスト側12b用の周方向端皮膜2bが形成されたピストン12とする手段もあり得る。
〔実施形態2〕
例えば、図4(a)に示されるように、第2のガイド部2を有してピストン移動方向6に並ぶ周方向端皮膜2bにおいて、クランク軸17(図1参照)に近い周方向端皮膜2bほど、ピストン周方向8で外側に張出した長さを有する三角形とする構造でも良い。つまり、クランク軸17に近い周方向端皮膜2bの横辺24ほど長くする構成である。
各周方向端皮膜2bは、横辺24の始端(ピストン周方向8でスカート部1の中央側の端)の位置(ピストン周方向8の位置)は同じで、横辺24の長さが次第に長くなる三角形の列である。ピストン移動に伴うオイルの取り込み易さが、図3(a)に示される場合に比べて改善される良さが加わる。
なお、実施形態2による構成は、第1のガイド部21〔図3(b)参照〕を有する周方向端皮膜2bに採用しても良い。
〔実施形態3〕
図4(b)に示されるように、周方向端皮膜2bはピストン移動方向に長い単一の樹脂皮膜2からなる構成でも良い。即ち、実施形態3による周方向端皮膜2bは、ピストン移動方向6に長い矩形の帯状部分9に、斑点状の樹脂皮膜2aの横半分部10をピストン移動方向6に一つ飛びで3つ足して一体化したような形状に形成されている。
そして、周方向端皮膜2bには、ピストン移動方向6に対して傾斜した帯状のガイド溝11の複数が整列状態で形成されており、それらガイド溝11によりガイド部Gが構成されている。ガイド溝11の溝底はスカート部の表面1aであるが、樹脂皮膜2の厚みを減じてなる構造のガイド溝11(溝底は樹脂皮膜2)でも良い。
〔別実施例〕
周方向端皮膜2bに形成されるガイド部G(21,22,25,11)の個数、ピストン移動方向6に対する角度、などは適宜に選択設定することができる。また、2個以上のガイド部Gを設ける場合、それぞれのピストン移動方向6に対する傾斜角度を互いに異なる値にしても良い。
1 スカート部
1a 表面
2 樹脂皮膜
2a 斑点状の樹脂皮膜
2b 周方向端皮膜
3 凹部
4 網目状溝
6 ピストン移動方向
8 ピストン周方向
9 帯状部分
10 横半分部
11 ガイド溝
21 第1のガイド部
22 第2のガイド部
23 縦辺
24 横辺
25 斜辺
G ガイド部

Claims (5)

  1. スカート部の表面に樹脂皮膜と凹部とを備えたエンジンのピストンであって、
    前記スカート部の表面に斑点状の樹脂皮膜が分散配置され、隣り合う前記斑点状の樹脂皮膜どうしの間の前記スカート部の表面と、前記隣り合う斑点状の樹脂皮膜とにより形成される凹部で網目状溝が形成されるとともに、
    斑点状の樹脂皮膜のうちのピストン周方向で端に位置する周方向端皮膜は、ピストン移動方向と平行な縦辺、ピストン周方向と平行な横辺、及び、ピストン移動方向に対して傾斜した斜辺とを有し、
    前記斜辺は、前記スカート部のピストン移動方向への移動に伴ってエンジンオイルをピストン周方向で前記スカート部の中央側へ寄せ案内するガイド部として機能するように形成されているエンジンのピストン。
  2. スラスト側の前記スカート部に形成されている前記周方向端皮膜には、前記スカート部がクランク軸に近づく方向への移動に伴ってエンジンオイルをピストン周方向で前記スカート部の中央側へ寄せ案内する第1のガイド部が、前記ガイド部として形成されている請求項1に記載のエンジンのピストン。
  3. 反スラスト側の前記スカート部に形成されている前記周方向端皮膜には、前記スカート部がクランク軸から遠ざかる方向への移動に伴ってエンジンオイルをピストン周方向で前記スカート部の中央側へ寄せ案内する第2のガイド部が、前記ガイド部として形成されている請求項1に記載のエンジンのピストン。
  4. 前記周方向端皮膜の形状が、三角形状に設定されている請求項1〜3の何れか一項に記載のエンジンのピストン。
  5. スカート部の表面に樹脂皮膜と凹部とを備えたエンジンのピストンであって、
    前記スカート部の表面に斑点状の樹脂皮膜が分散配置され、隣り合う前記斑点状の樹脂皮膜どうしの間の前記スカート部の表面と、前記隣り合う斑点状の樹脂皮膜とにより形成される凹部で網目状溝が形成されるとともに、
    斑点状の樹脂皮膜のうちのピストン周方向で端に位置する周方向端皮膜は、ピストン移動方向に長い帯状部分に、斑点状の樹脂皮膜の横半分部をピストン移動方向に一つ飛びで足して一体化したものに形成され、
    前記周方向端皮膜には、ピストン移動方向に対して傾斜した帯状のガイド溝の複数が整列状態で形成されており、
    前記ガイド溝により、前記スカート部のピストン移動方向への移動に伴ってエンジンオイルをピストン周方向で前記スカート部の中央側へ寄せ案内するガイド部が構成されているエンジンのピストン。
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