JP2014213318A - 改質シリカ膜の製造方法、塗工液、及び改質シリカ膜 - Google Patents

改質シリカ膜の製造方法、塗工液、及び改質シリカ膜 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも強度が大きく、かつ従来のシリカ膜よりも屈折率が小さい改質シリカ膜を作製することが可能な改質シリカ膜の製造方法、塗工液、及び改質シリカ膜を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ポリシラザンをポリシラザン用溶媒に溶解することでポリシラザン溶液を作製するステップと、ポリシラザン溶液と反発するフッ素粒子をポリシラザン溶液に混合することで、塗工液を作製するステップと、塗工液を基材上に塗工することで、塗工層を作製するステップと、塗工層からポリシラザン用溶媒を除去するステップと、ポリシラザンをシリカに転化するステップと、を含み、塗工液中のポリシラザンとフッ素粒子との質量比は95:5〜60:40であることを特徴とする、改質シリカ膜の製造方法が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、改質シリカ膜の製造方法、塗工液、及び改質シリカ膜に関する。
ポリシラザン(polysilazane)をシリカ転化する(すなわち硬化する)ことで作製されるシリカ(silica)膜は、ガラス(glass)に近い強度を有するので、各種の膜の表面強度を向上させたい場合に利用されることが多い。近年、このようなシリカ膜を光学フィルム(film)の低屈折率層に適用したいというニーズが高まっている。ここで、光学フィルムは、例えばディスプレイの表面に貼り付けられる反射防止フィルムである。
シリカ膜を低屈折率層に適用するためには、シリカ膜の屈折率を下げる必要がある。特許文献1には、シリカ膜の屈折率を下げる方法として、ポリシラザンに撥水撥油性付与剤を添加した上でポリシラザンをシリカ転化する方法が提案されている。ここで、撥水撥油性付与剤は、ポリシラザンと結合可能な結合基を有する反応性フッ素ポリマー(polimer)である。
特開2006−82341号公報
しかし、ポリシラザンは非常に反応性が高いので、単にポリシラザンに反応性フッ素樹脂を添加しただけでは、ポリシラザンのシリカ転化前にポリシラザンが反応性フッ素ポリマーと反応してしまう。そして、ポリシラザンのうち、反応性フッ素ポリマーと反応した反応点は、シリカ転化の際に周辺のシリカ骨格と架橋しない。したがって、改質シリカ膜の架橋密度が低下し、ひいては改質シリカ膜の強度が低下してしまう。このように、特許文献1に開示された技術は、改質シリカ膜の強度が低下するという問題があった。なお、反応性フッ素ポリマーとポリシラザンとの反応は、改質シリカ膜の強度低下によって確認される。ただし、一部の反応性フッ素ポリマーは、ポリシラザンとの反応によってポリシラザン溶液を白濁させるので、このような白濁化によっても反応性フッ素ポリマーとポリシラザンとの反応を確認することができる。
このような問題を解決する方法として、高屈折率層の屈折率をシリカ膜の屈折率よりも高くすることが提案されている。すなわち、光学フィルムには高屈折率層と低屈折率層との両方が必要である。そして、低屈折率層は高屈折率層よりも屈折率が低ければよい。そこで、この方法では、高屈折率層の屈折率をシリカ膜の屈折率よりも高めることで、シリカ膜を低屈折率層とする。しかし、この方法では、高屈折率層の材料が限定されるという別の問題が生じる。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、従来よりも強度が大きく、かつ従来のシリカ膜よりも屈折率が小さい改質シリカ膜を作製することが可能な改質シリカ膜の製造方法、塗工液、及び改質シリカ膜を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ポリシラザンをポリシラザン用溶媒に溶解することでポリシラザン溶液を作製するステップと、ポリシラザン溶液と反発するフッ素粒子をポリシラザン溶液に混合することで、塗工液を作製するステップと、塗工液を基材上に塗工することで、塗工層を作製するステップと、塗工層からポリシラザン用溶媒を除去するステップと、ポリシラザンをシリカに転化するステップと、を含み、塗工液中のポリシラザンとフッ素粒子との質量比は95:5〜60:40であることを特徴とする、改質シリカ膜の製造方法が提供される。
この観点によれば、ポリシラザン溶液とフッ素粒子とを混合することで、塗工液を作製する。そして、塗工液を基材上に塗工することで塗工層を作製する。塗工層中のフッ素粒子は、ポリシラザンと反発する。すなわち、ポリシラザンとフッ素粒子との反応が抑制される。したがって、この観点によれば、シリカの架橋密度が従来の改質シリカ膜(特許文献1開示の改質シリカ膜)よりも向上し、ひいては改質シリカ膜の強度が向上する。したがって、この観点によれば、従来の改質シリカ膜よりも強度(耐擦傷性)が大きく、かつ従来のシリカ膜よりも屈折率が小さい改質シリカ膜を作製することができる。また、この改質シリカ膜を光学フィルムの低屈折率層として用いることで、高屈折率層の材料の選択肢を広げることができる。
ここで、フッ素粒子の表面張力はポリシラザン用溶媒の表面張力よりも低くてもよい。
この観点によれば、塗工層内のフッ素粒子は塗工層の表面にブリードアウトする。これにより、低屈折率層の表面に保護層が形成される。したがって、本実施形態では、改質シリカ膜の防汚性、滑り性、及び耐擦傷性が向上する。
さらに、ブリードアウトは自然に起こるので、この観点によれば、塗工液を基材上に1層コーティングするだけで、改質シリカ膜、すなわち低屈折率層及び保護層を形成することができる。したがって、改質シリカ膜を容易に作製することができる。
また、フッ素粒子は、多分岐型フッ素ポリマーであってもよい。
この観点によれば、フッ素粒子は、多くの気孔を有する。したがって、この観点によれば、改質シリカ膜の屈折率をより低下させることができる。また、フッ素粒子は強固なバルク体となるので、改質シリカ膜の防汚性、滑り性、及び耐擦傷性を向上させることができる。
本発明の他の観点によれば、ポリシラザンをポリシラザン用溶媒に溶解することで作製されたポリシラザン溶液と、ポリシラザンと反発するフッ素粒子とを含み、ポリシラザンとフッ素粒子との質量比は95:5〜60:40であることを特徴とする、塗工液が提供される。
この観点による塗工液を基材上に塗工することで塗工層が形成される。そして、塗工層中のフッ素粒子は、ポリシラザンと反発する。すなわち、ポリシラザンとフッ素粒子との反応が抑制される。したがって、この観点による塗工液を用いて改質シリカ膜を作製することで、シリカの架橋密度が従来よりも向上し、ひいては改質シリカ膜の強度が向上する。したがって、この観点によれば、従来の改質シリカ膜よりも強度(耐擦傷性)が大きく、かつ従来のシリカ膜よりも屈折率が小さい改質シリカ膜を作製することができる。また、この改質シリカ膜を光学フィルムの低屈折率層として用いることで、高屈折率層の材料の選択肢を広げることができる。
本発明の他の観点によれば、上記の改質シリカ膜の製造方法により製造されたことを特徴とする、改質シリカ膜が提供される。
この改質シリカ膜は、従来の改質シリカ膜よりも架橋密度が高いシリカと屈折率が低いフッ素粒子とを含むので、従来の改質シリカ膜よりも強度(耐擦傷性)が大きく、かつ従来のシリカ膜よりも屈折率が小さい。
本発明の他の観点によれば、ポリシラザンから転化したシリカと、ポリシラザンと反発するフッ素粒子と、を含む低屈折率層を備えることを特徴とする、改質シリカ膜が提供される。
この改質シリカ膜は、従来の改質シリカ膜よりも架橋密度が高いシリカと屈折率が低いフッ素粒子とを含むので、従来の改質シリカ膜よりも強度(耐擦傷性)が大きく、かつ従来のシリカ膜よりも屈折率が小さい。
ここで、低屈折率層の表面に形成され、フッ素粒子を含む保護層を更に備えていてもよい。
この観点による改質シリカ膜は、フッ素粒子を含む保護層を有するので、防汚性、滑り性、及び耐擦傷性が向上する。
また、保護層の平均表面粗さは、6.5〜15.0(nm)であってもよい。
この観点によれば、改質シリカ膜の屈折率がより低下する。
以上説明したように本発明によれば、従来の改質シリカ膜よりも強度(耐擦傷性)が大きく、かつ従来のシリカ膜よりも屈折率が小さい改質シリカ膜を作製することができる。また、この改質シリカ膜を光学フィルムの低屈折率層として用いることで、高屈折率層の材料の選択肢を広げることができる。
本発明の実施形態に係る改質シリカ膜の製造方法及び改質シリカ膜の概要を示す模式図である。 同実施形態にかかる塗工液の模式図である。 本実施形態に係るフッ素粒子の構造を示す模式図である。 改質シリカ膜の構造を示す模式図である。 鉛筆擦り試験に使用される試験装置の構成を示す模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、表面張力は25℃での値であり、単位は(mN/m)とする。表面張力は、例えば自動表面張力計(具体的には、協和界面科学 DY−300)によって測定される。後述する実施例の表面張力は、協和界面科学 DY−300で測定されたものである。もちろん、表面張力は他の公知の方法で測定されてもよい。
<1.改質シリカ膜の製造方法>
まず、図1〜図3にもとづいて、本実施形態に係る改質シリカ膜の製造方法について説明する。本実施形態に係る改質シリカ膜の製造方法は、第1〜第6のステップに区分される。
第1のステップは、ポリシラザンをポリシラザン用溶媒に溶解することで図2に示すポリシラザン溶液11を作製するステップである。第2のステップは、ポリシラザン溶液11とフッ素粒子12とを混合することで、塗工液10を作製するステップである。
第3のステップは、図1に示すように、塗工液10を基材100上に塗工することで、塗工層を作製するステップである。塗工層は、塗工液10からなる層である。第4のステップは、塗工層からポリシラザン用溶媒を除去するステップである。第5のステップは、ポリシラザンをシリカに転化するステップである。これらのステップにより、基材100上に改質シリカ膜1が形成される。改質シリカ膜1は、低屈折率層20と保護層30とを含む。すなわち、本実施形態では、塗工液10の1層コーティングによって低屈折率層20と保護層30とを作製する。以下、各ステップについて説明する。
(第1のステップ)
第1のステップは、ポリシラザンをポリシラザン用溶媒に溶解することでポリシラザン溶液11を作製するステップである。
ポリシラザンは、パーヒドロ(perhydro)ポリシラザンとも称される無機ポリマーであり、以下の化学式(1)で示される構造を有する。化学式(1)中、nは自然数である。
Figure 2014213318
なお、ポリシラザンの重量平均分子量はなるべく低いことが好ましい。ポリシラザンの重量平均分子量が高いほど、ポリシラザンがポリシラザン溶液11中に結晶として析出しやすくなるからである。
ポリシラザン用溶媒は、ポリシラザンを溶解する溶媒である。ポリシラザン用溶媒の表面張力は、フッ素粒子12の表面張力よりも高いことが好ましい。ポリシラザン用溶媒の表面張力がフッ素粒子12の表面張力よりも高い場合、塗工層中のフッ素粒子12は塗工層の表面にブリードアウト(bleed out)することができる。すなわち、フッ素粒子12は大気側に引き寄せられる。
ポリシラザン用溶媒の表面張力とフッ素粒子12の表面張力との差分はなるべく大きいことが好ましい。当該差分が大きいほど、フッ素粒子12は塗工層の表面にブリードアウトしやすくなるからである。より詳細には、ポリシラザン用溶媒の表面張力からフッ素粒子12の表面張力減算した値は4.5以上であることが好ましい。
上記の要件を満たすポリシラザン用溶媒としては、例えば疎水性かつ無極性の有機溶媒が挙げられる。このような有機溶媒としては、ジブチルエーテル(dibutyl ether)、キシレン(xylene)、ミネラルターペン(mineral turpentine)、石油系炭化水素、及び高沸点芳香族系炭化水素が挙げられる。したがって、ポリシラザン用溶媒は、ジブチルエーテル、キシレン、ミネラルターペン、石油系炭化水素、及び高沸点芳香族系炭化水素からなる群から選択されるいずれか1種以上で構成されることが好ましい。なお、ジブチルエーテルの表面張力は22.4、キシレンの表面張力は30.0、ミネラルターペンの表面張力は25.0となる。
なお、ポリシラザン溶液11には、ポリシラザンを劣化させない添加剤を任意に溶解させてもよい。例えば、ポリシラザン溶液11には、アミン系の触媒を含めても良い。ポリシラザン溶液11にアミン系の触媒が含まれる場合、ポリシラザンのシリカ転化を室温で行うことができる。なお、ポリシラザンは、300〜400℃程度に加熱された場合にもシリカ転化するが、この処理では基材となる光学フィルムが熱ストレスを受ける。したがって、例えば光学フィルムに熱ストレスを掛けたくない場合、ポリシラザン溶液11にアミン系の触媒を含めればよい。
また、ポリシラザン用溶媒の含水率はなるべく低いことが好ましい。例えば、ポリシラザン用溶媒の含水率は1質量%未満(ポリシラザン用溶媒の総質量に対する水の質量%)であることが好ましい。ポリシラザン用溶媒中の水分はポリシラザンのシリカ転化を起こしてしまうからである。このようなシリカ転化は、改質シリカ膜1の品質を劣化させる。
(第2のステップ)
第2のステップは、ポリシラザン溶液11とフッ素粒子12とを混合することで、塗工液10を作製するステップである。
フッ素粒子12は、低屈折率層20の屈折率を低くするとともに、保護層30に防汚性、滑り性、及び耐擦傷性を付与するためにポリシラザン溶液10に添加される。フッ素粒子12は、ナノメートルサイズ(nanometer−size)のフッ素基導入型球状高分子である。すなわち、フッ素粒子12は、末端基数の多さが特徴である機能性微粒子である。また、フッ素粒子12は、ポリシラザン溶液と反発する。すなわち、フッ素粒子12は、ポリシラザンと反応する官能基を有しない。フッ素粒子12は、ポリシラザンと反応する官能基を多少有していても良いが、その数はなるべく少ないことが好ましい。
ここで、図3に基づいて、フッ素粒子12の構造の一例について説明する。フッ素粒子12は、コア部121と、複数の分岐点122と、複数の枝部123と、複数の末端基124とを有する。コア部121は、フッ素粒子12の中心となる部分であり、少なくとも1つ以上の枝部123に結合する。コア部121は、単一元素で構成されていても、有機残基で構成されていてもよい。単一元素としては、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子、リン原子等が挙げられる。また、有機残基としては、各種の鎖式化合物、環式化合物からなる有機残基が挙げられる。また、コア部121は複数存在していてもよい。
分岐点122は、枝部123の起点となる部分であり、1つの分岐点122から少なくとも2本の枝部123が伸びている。分岐点122は、コア部121または他の分岐点122に枝部123を介して接続する。分岐点122は、コア部121と同様の構成を有する。すなわち、分岐点122は、単一元素で構成されていても、有機残基で構成されていてもよい。分岐点122は、コア部121にもっとも近いものから順に第1世代、第2世代、・・・と称される。すなわち、コア部121に直接接続した分岐点122が第1世代となり、第1世代の分岐点122に接続した分岐点122が第2世代となる。
本実施形態で使用されるフッ素粒子12は、少なくとも第2世代以上の分岐点122を有する。例えば、図3に示す例では、フッ素粒子12は、第5世代の分岐点122aを有する。
枝部123は、コア部121と第1世代の分岐点122とを接続する他、第k世代(kは1以上の整数)の分岐点122と、第(k+1)世代の分岐点122とを接続する。枝部123は、コア部121または分岐点122が有する結合手である。なお、分岐点の世代数は多いことが好ましい。世代数が多いほど、フッ素粒子12の強度が大きくなり、ひいては、保護層30の防汚性、滑り性、及び耐擦傷性が向上するからである。
末端基124は、フッ素系官能基である。末端基124としては、例えば、(パー)フルオロアルキル基、(パー)フルオロポリエーテル基が挙げられる。
(パー)フルオロアルキル基の構造は、特に限定されない。すなわち、(パー)フルオロアルキル基は、直鎖(例えば−CFCF,−CH(CFH,−CH(CFCF,−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF,CHCF(CF,CH(CH)CFCF,CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル(perfluorocyclohexyl)基、パーフルオロシクロペンチル(perfluorocyclopentyl)基又はこれらで置換されたアルキル基等)であっても良い。
(パー)フルオロポリエーテル基は、エーテル結合を有する(パー)フルオロアルキル基であり、その構造は特に限定されない。すなわち、(パー)フルオロポリエーテル基としては、例えばCHOCHCFCF、CHCHOCHH、CHCHOCHCH17、CHCHOCFCFOCFCFH、フッ素原子を5個以上有する炭素数4〜20のフルオロシクロアルキルエーテル(fluorocycloalkylether)基等があげられる。また、他の例としては、(CFO(CFCFO)、[CF(CF)CFO]―[CF(CF)]、(CFCFCFO)、(CFCFO)などが挙げられる。ここで、x、yは任意の自然数である。
このように、フッ素粒子12は、末端基124がフッ素系官能基となっているので、フッ素粒子12の表面は実質的にフッ素系官能基で覆われている。このため、フッ素粒子12は、非常に強固なバルク体となっており、かつ、防汚性、滑り性に非常に優れる。また、フッ素粒子12は、多分岐型ポリマーであるので、弾性にも優れる。本実施形態では、このようなフッ素粒子12を塗工層の表面にブリードアウトさせるので、改質シリカ膜1の防汚性、滑り性、及び耐擦傷性が格段に向上する。
また、フッ素粒子12は、内部に多数の細孔を有しており、この細孔には空気が入り込む。さらに、フッ素粒子12は多数のフッ素原子を有している。したがって、フッ素粒子12の屈折率は非常に低い。本実施形態では、低屈折率層20の低屈折率は、フッ素粒子12によって実現されている。すなわち、フッ素粒子12は、塗工層の表面にブリードアウトするが、塗工層の表面がフッ素粒子12で埋め尽くされると、ブリードアウトは終了する。ブリードアウトしなかったフッ素粒子12は、塗工層表面のフッ素粒子12と反発し、塗工層内部にとどまる。塗工層の内部にとどまったフッ素粒子12は、ポリシラザンのシリカ転化後に低屈折率層20内に配置され、低屈折率層20の屈折率を下げる。すなわち、フッ素粒子12は、塗工層内の滞留及びブリードアウトのうち、ブリードアウトを優先的に起こす。そして、ブリードアウトできなかったフッ素粒子12が塗工層内に滞留する。
フッ素粒子12の平均粒径(直径)は特に限定されないが、30nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましい。フッ素粒子12の平均粒径がこの範囲となる場合に、低屈折率層20の強度が向上する。すなわち、フッ素粒子12そのものは強固なバルク体であるが、ポリシラザンから転化したシリカと比べると強度は落ちる。したがって、低屈折率層20内に占めるフッ素粒子12の体積はなるべく低いことが好ましい。このような観点から、フッ素粒子12の平均粒径(直径)は30nm以下が好ましい。また、フッ素粒子12の平均粒径が上記の範囲内となる場合、フッ素粒子12のブリードアウト性、保護層30の防汚性及び耐擦傷性が向上する。
ここで、平均粒径は、フッ素粒子12の粒径(フッ素粒子12を球と仮定したときの直径)の算術平均値である。フッ素粒子12の粒径は、例えば、レーザ回折・散乱粒度分布計(具体的には、HORIBA LA−920)によって測定される。なお、レーザ回折・散乱粒度分布計は、HORIBA LA−920に限られない。以下の実施例及び比較例では、平均粒径をHORIBA LA−920で測定した。
また、フッ素粒子12の表面張力は、ポリシラザン用溶媒の表面張力よりも低ければ特に制限されないが、20以下が好ましく、18以下がより好ましい。フッ素粒子12の表面張力がこの範囲となる場合に、フッ素粒子12のブリードアウト性が向上し、ひいては改質シリカ膜1の防汚性、耐擦傷性が向上する。
また、フッ素粒子12がブリードアウトされることで生成される改質シリカ膜1は、接触角が108度以上であることが好ましく、110度以上がより好ましい。接触角がこれらの範囲の値となる場合に、防汚性、擦傷性がより向上するからである。
また、フッ素粒子12は、その表面に反応性の官能基をなるべく有していないことが好ましい。反応性の官能基はポリシラザンと反応する可能性があるからである。なお、フッ素粒子12は、反応性の官能基を有していなくても、シリカの複雑な網目構造によって低屈折率層20及び保護層30内に強固に保持される。
ここで、塗工液10中のポリシラザンとフッ素粒子12との質量比は95:5〜60:40である。フッ素粒子12の質量比が40を超える場合、すなわちポリシラザンに対してフッ素粒子12が多すぎる場合、低屈折率層20の強度が落ちてしまう可能性がある。一方、フッ素粒子12の質量比が5未満となる場合、すなわちフッ素粒子12に対してポリシラザンが多すぎる場合、低屈折率層20の屈折率が十分に下がらず、保護層30の厚さも不足する。
(第3のステップ)
第3のステップは、図1に示すように、塗工液10を基材100上に塗工するステップである。なお、塗工の方法は特に問われず、公知の方法が任意に適用される。図1は、塗工の一例としてダイコーティング法(ダイスリット450を通して塗工液10を基材100上に塗工する方法)を示す。第3のステップによって、塗工層(塗工液10からなる層)が基材100上に形成される。塗工層中のフッ素粒子12は、塗工層の表面にブリードアウトするが、塗工層の表面がフッ素粒子12で埋め尽くされると、ブリードアウトは終了する。ブリードアウトしなかったフッ素粒子12は、塗工層表面のフッ素粒子12と反発し、塗工層内部にとどまる。なお、基材100は、改質シリカ膜1による機能が付与される膜である。改質シリカ膜1を用いて光学フィルムを作製する場合、基材100は例えば高屈折率層を含むフィルムとなる。
(第4のステップ)
第4のステップは、基材100上の塗工液10、すなわち塗工層からポリシラザン用溶媒を除去するステップである。ポリシラザン用溶媒は、例えば塗工層を100℃で1分間程度加熱することで除去される。
(第5のステップ)
第5のステップは、ポリシラザンをシリカに転化する(硬化する)ステップである。ポリシラザン用溶媒にアミン系の触媒が含まれる場合、シリカ転化反応は室温で進行する。ポリシラザン用溶媒にアミン系の溶媒が含まれない場合、これらの反応は、例えば塗工層を300〜400℃で加熱することにより進行する。塗工層のうち、ポリシラザンが主に分布している部分は低屈折率層20となり、フッ素粒子12が主に分布している部分は保護層30となる。以上のステップにより、基材100上に改質シリカ膜1が形成される。なお、シリカ転化の過程では、以下の化学式(2)で示す反応が起こっている。
Figure 2014213318
<2.改質シリカ膜の構造及び特性>
次に、図1及び図4にもとづいて、改質シリカ膜1の構造及び特性について説明する。
改質シリカ膜1は、図1及び図4に示すように、低屈折率層20と保護層30とを有する。低屈折率層20は、シリカ21と、フッ素粒子12とを含む。保護層30は、シリカ31とフッ素粒子12とを含む。低屈折率層20中のフッ素粒子12はシリカ21により保持され、保護層30中のフッ素粒子12はシリカ31により保持される。シリカ21、31はポリシラザンがシリカ転化したものである。
ここで、保護層30は、フッ素粒子12を塗工層内でブリードアウトさせることで形成されたものである。すなわち、本実施形態に係る改質シリカ膜の製造方法は、従来の2層コーティング法のように低屈折率層20の表面に人為的にフッ素粒子12を分布させるのではなく、低屈折率層20の表面に自然にフッ素粒子12を分布させている。
したがって、シリカの濃度分布(ケイ素原子濃度分布)とフッ素粒子12の濃度分布(フッ素原子濃度分布)とは低屈折率層20と保護層30との境界でゆるやかに変化する。すなわち、基材100の表面近傍ではケイ素原子濃度はほぼ100at%であるが、測定点から基材100までの距離が大きくなるほど測定点のケイ素原子濃度が低く、フッ素原子濃度が大きくなり、ある測定点で両者の原子濃度が同じ値となる。本実施形態では、両者の原子濃度が同じ値となる平面を低屈折率層20と保護層30との境界面20Aとする。境界面20Aよりも改質シリカ膜1の表面に近い側の測定点では、フッ素原子濃度がケイ素原子濃度よりも高くなり、改質シリカ膜1の表面ではフッ素原子濃度はほぼ100at%となる。
低屈折率層20内のフッ素粒子12は、低屈折率層20の屈折率を下げる役割を果たす。保護層30のフッ素粒子12は、保護層30の屈折率を下げる役割の他、改質シリカ膜1の防汚性、滑り性、及び耐擦傷性を向上させる役割を有する。
さらに、図4に示すように、保護層30の表面には凹凸が形成されている。すなわち、改質シリカ膜1の表面は荒くなっている(凹凸ができている)。この理由としては、以下のものが考えられる。すなわち、本実施形態では、フッ素粒子12のブリードアウト(自然な移動)によってフッ素粒子12を改質シリカ膜1の表面に分布させるので、改質シリカ膜1の表面、すなわち保護層30の表面が荒くなる。保護層30の表面形状は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)または形状測定レーザマイクロスコープによる観察により確認することができる。ここで、形状測定レーザマイクロスコープは、レーザを用いて対象物の非接触3次元測定を行うことで、観察視野全域の3次元データを取得するものである。形状測定レーザマイクロスコープとしては、KEYENCE JAPAN社製のVK−9500が挙げられる。もちろん、形状測定レーザマイクロスコープはこの例に限られない。
このように、改質シリカ膜1の表面に凹凸が形成される。そして、凹部には空気層40が形成される。この空気層40は、改質シリカ膜1の屈折率を下げる役割を果たす。また、改質シリカ膜1の表面に付着した汚れ成分と保護層30との間には当該空気層40が存在する。したがって、汚れ成分が液体(例えば指紋中の液体成分)である場合、汚れ成分の接触角は従来の保護層(例えば2層コーティング法により作製された保護層)よりも大きくなる。したがって、改質シリカ膜1は表面の濡れ性が低下する。
また、改質シリカ膜1の表面の凹凸は、フッ素粒子12の自然な移動(ブリードアウト)によって形成されたものなので、なだらかである。したがって、汚れ成分が固形(たとえば指紋中のワックス成分)である場合、凹部に入り込んだ汚れ成分が取れなくなる(すなわち改質シリカ膜1の表面にこびりつく)ことが抑制される。
また、後述する実施例に示されるように、改質シリカ膜1の平均表面粗さRa(nm)は6.5〜15.0であることが好ましい。平均表面粗さRa(nm)が6.5〜15.0となる場合、改質シリカ膜1の屈折率が低下し、汚れ成分の接触角も増加する。ここで、平均表面粗さRaは、保護層30の凸部の高さの算術平均値であり、凸部の高さは、凸部の頂点から凸部に隣接する凹部の下端点(最も低屈折率層20に近い点)までの距離である。これらの値は形状測定レーザマイクロスコープにより測定される。以下の実施例及び比較例では、平均表面粗さをKEYENCE JAPAN社製のVK−9500で測定した。
(実施例1)
次に、本実施形態の実施例について説明する。実施例1では、以下の製法により改質シリカ膜を作製した。
ポリシラザン溶液の原液として、AZエレクトロマテリアルズ社NAX120−20を用意した。以下、この原液を「ポリシラザン原液」とも称する。ポリシラザン原液は、ポリシラザンをポリシラザン原液の総質量に対して20質量%含む。また、ポリシラザン原液の溶媒はジブチルエーテルであり、アミン系の触媒を含む。
また、フッ素粒子溶液として、日産化学工業社製FX−012を用意した。以下、この原液を「フッ素粒子原液」とも称する。フッ素粒子原液は、フッ素粒子をフッ素粒子原液の総質量に対して5質量%含む。また、フッ素粒子原液の溶媒はジブチルエーテルである。フッ素粒子の表面張力は17.6であり、平均粒径は、約10nmであった。フッ素粒子は反応性の官能基を持たない。
次いで、ポリシラザン原液9.5質量部にフッ素粒子原液2質量部を加えて10分間撹拌することで、混合液を作製した。ついで、この混合液にジブチルエーテルを所定量加えて穏やかに10分間撹拌した。これにより、塗工液を作製した。ここで、混合液に加えるジブチルエーテルの量は、塗工液中の固形分(ポリシラザン+フッ素粒子)の質量部が2となるように決定した。すなわち、塗工液は、固形分(ポリシラザン+フッ素粒子)を2質量部、溶媒分を98質量部含む。
ついで、PMMA(Poly(methyl methacrylate))基材上に塗工液を改質シリカ膜の層厚が約100nmとなるように塗工した。塗工はワイヤーバー(wire bar)を用いて行われた。これにより、塗工層を作製した。上述したように、塗工層中のフッ素粒子は塗工層の表面にブリードアウトする。ついで、塗工層を100℃で1分間加熱することで、塗工層から溶媒を除去した。なお、上記の各処理はすべて窒素雰囲気下で行われた。
その後、塗工層を室温(23℃、相対湿度54%)で1週間放置した。これにより、ポリシラザンのシリカ転化が進行した。すなわち、改質シリカ膜が作製された。
(実施例2〜5、比較例1〜2)
実施例2〜5、比較例1〜2については、ポリシラザンとフッ素粒子との質量比を変更した他は実施例1と同様の処理を行った。
(比較例3)
比較例3、4については、フッ素粒子原液の代わりに反応性フッ素ポリマーを使用し、ポリシラザンと反応性フッ素ポリマーとの質量比を90:10としたこと以外は実施例1と同様の処理を行った。ここで、反応性フッ素ポリマーは、低屈折率層の屈折率を低くする役割を有する。ただし、反応性フッ素ポリマーはポリシラザンと反応する官能基(シラノール基)を有する。比較例3、4は特許文献1に開示された方法に相当する。表1に実施例1〜5、比較例1〜4における固形分の質量部、ポリシラザンとフッ素粒子との質量比をまとめて示す。
Figure 2014213318
※1は信越化学工業社製のKY−108(表面張力16.5)を示し、※2は信越化学工業社製のKY−164(表面張力16.1)を示す。無印は日産化学工業社製FX−012を示す。
表1に示されるように、実施例1〜5では、ポリシラザン用溶媒の表面張力からフッ素粒子の表面張力を減算した値は4.5以上となっている。また、実施例1〜5のポリシラザンとフッ素粒子との質量比は、本実施形態の範囲内の値となっている。また、比較例1ではシリカ膜の単一層だけが形成される(保護層は形成されない)。
(最低反射率の評価)
改質シリカ膜の最低反射率(%)を測定した。測定装置は、島津製作所社の分光光度計UV-2550により絶対反射率測定法にて測定を行った。この時の、光入射角は5°にて行った。ここで、最低反射率は改質シリカ膜の屈折率に相当するパラメータであり、最低反射率が低いほど屈折率が低い。
(接触角(CA)評価)
全自動接触角計DM700(協和界面科学株式会社製)を使用し、改質シリカ膜上に2μlの純水を滴下し接触角を測定した。接触角は、改質シリカ膜の防汚性、滑り性に影響するパラメータである。
(平均表面粗さ評価)
ワイプ擦り試験前の改質シリカ膜の平均表面粗さ(Ra)をKEYENCE JAPAN社製のVK−9500で測定した。
(鉛筆擦り試験)
改質シリカ膜の強度を評価するために、JIS−K−5600に準拠した鉛筆擦り試験を行った。ここで、図5に基づいて、鉛筆擦り試験に用いられる試験装置500について説明する。図5は、試験装置500を用いて本実施形態に係る改質シリカ膜1の鉛筆擦り試験を行う様子を示している。改質シリカ膜の強度は、改質シリカ膜の耐擦傷性に影響するパラメータである。
試験装置500は、装置本体500Aと、水準器502と、小型移動おもり503と、締め具504と、O型リング505とを備える。装置本体500Aには鉛筆501が挿入される貫通穴が形成されている。貫通穴に挿入された鉛筆501の長さ方向と装置本体500Aの底面(すなわち改質シリカ膜1の表面)との角度θは45度である。水準器502は装置本体500Aが水平であることを確認するための部品である。小型移動おもり503は、鉛筆501の芯501Aに掛ける荷重を調整するための部品である。小型移動おもり503は矢印503A方向に移動可能となっている。締め具504は、鉛筆501を装置本体500A内に固定するものである。O型リング505は、装置本体500Aに回転可能に取り付けられている。O型リング505は、改質シリカ膜1上を転がることで、試験装置500を試験方向に移動させる。
つぎに、鉛筆擦り試験の方法を説明する。ここでは、本実施形態に係る改質シリカ膜1(基材100上に形成されたもの)の鉛筆擦り試験を一例として鉛筆擦り試験の方法を説明する。
まず、試験装置500に鉛筆501を挿入、固定する。ついで、改質シリカ膜1に鉛筆500の芯を押し当てる。ついで、試験装置500が水平になっていることを水準器502で確認する。ついで、小型おもり503の位置を調整することで、鉛筆501の芯501Aに500gの荷重をかける。ついで、試験装置500を図5に示す試験方向に0.8mm/秒のスピードで移動させる。これにより、鉛筆501の芯501Aが改質シリカ膜1の表面を擦る。以上の処理が鉛筆擦り試験となる。その後、目視にて傷の有無を確認する。傷が確認された場合には、鉛筆501の芯501Aの硬度を下げて、上記の鉛筆擦り試験を行う。傷が確認されない場合には、鉛筆501の芯501Aの硬度を上げて、上記の鉛筆擦り試験を行う。そして、傷が確認されない最大の硬度(鉛筆硬度)を測定する。この硬度は、改質シリカ膜1の強度を示すパラメータとなる。鉛筆硬度は、2H>H>F>HB>Bの順番で高くなる。
(実施例と比較例との対比)
上記試験及び評価の結果を表2にまとめて示す。
Figure 2014213318
(最低反射率)
実施例と比較例とを比較すると、実施例の最低反射率はいずれも比較例の最低反射率以下となる。なお、実施例1の最低反射率は比較例3の最低反射率と同じ値である。しかし、比較例3における反応性フッ素ポリマーの質量比は実施例1におけるフッ素粒子の質量比の倍となっているので、同じ質量比で比較した場合、実施例1の最低反射率は比較例3の最低反射率よりも低くなる。
この理由として第1に考えられるのは、平均表面粗さRaである。実施例では、平均表面粗さRa(nm)が6.5〜15.0の範囲内の値となっているので、上述した空気層によって屈折率が低下したものと考えられる。
ただし、比較例3、4の平均表面粗さRa(nm)も6.5〜15.0の範囲内の値となっている。すなわち、反応性フッ素ポリマーも表面張力が低いため、塗工層の表面にブリードアウトする。この結果、改質シリカ膜の表面が荒くなったと推察される。
第2の理由として、実施例では改質シリカ膜の嵩密度が低くなることが考えられる。すなわち、実施例の改質シリカ膜では、気孔を多数有するフッ素粒子が分散している。これに対し、比較例3、4の反応性フッ素ポリマーは鎖状構造となっている。さらに、反応性フッ素ポリマーは塗工液中のポリシラザンと反応する。この反応性フッ素ポリマーとポリシラザンとの反応点では、嵩密度が高くなる。したがって、実施例の改質シリカ膜の嵩密度は、比較例3、4の嵩密度よりも低いと推察される。そして、嵩密度が低いほど、内部に多量の空気を含んでいることになるので、屈折率が低くなる。以上の理由により、実施例の屈折率は比較例3、4の屈折率よりも低くなっていると推察される。
(接触角)
実施例1〜5と比較例1とを比較すると、実施例1〜5では比較例1に比べて接触角が良好であった。実施例1〜5では、保護層が低屈折率層の表面に形成されるので、この保護層によって良好な接触角が得られたと推察される。なお、比較例2〜4でも良好な接触角が得られている。したがって、これらの比較例2〜4でも、フッ素粒子または反応性フッ素ポリマーによって保護層が形成されていると推察される。しかし、比較例2〜4の屈折率及び強度(鉛筆硬度)はいずれの実施例よりも低い。
(鉛筆硬度)
実施例1〜5と比較例1とを比較すると、実施例1〜5の強度(鉛筆硬度)は比較例1の強度よりも大きくなった。したがって、実施例1〜5では、フッ素粒子によって保護層が形成され、この保護層によって強度が向上したことがわかる。また、フッ素粒子の質量比の下限値は5であることがわかる。実施例1〜5と比較例2とを比較すると、実施例1〜5の強度(鉛筆硬度)は比較例2の強度よりも大きくなった。したがって、フッ素粒子の質量比の上限値は40であることがわかる。
また、実施例1〜5と比較例3、4とを比較すると、実施例1〜5の強度(鉛筆硬度)は比較例3、4の強度よりも大きくなった。比較例3、4では塗工液中で反応性フッ素ポリマーとポリシラザンとが反応することで白濁が生じ、この結果、改質シリカ膜の架橋密度が低下したと推察される。これに対し、実施例1〜5では、塗工液中でフッ素粒子とポリシラザンとは反応しない。したがって、改質シリカ膜の架橋密度が比較例3、4よりも大きくなったと推察される。
上記の実施例及び比較例により、本実施形態による改質シリカ膜は従来の改質シリカ膜よりも屈折率が低く、かつ強度が高いことが立証された。
以上により、本実施形態では、ポリシラザン溶液11とフッ素粒子12とを混合することで、塗工液10を作製する。そして、塗工液10を基材100上に塗工することで塗工層を作製する。塗工層中のフッ素粒子12は、ポリシラザンと反発する。すなわち、ポリシラザンとフッ素粒子との反応が抑制される。したがって、本実施形態では、シリカの架橋密度が従来よりも向上し、ひいては改質シリカ膜1の強度が向上する。したがって、本実施形態では、従来の改質シリカ膜よりも強度(耐擦傷性)が大きく、かつ従来のシリカ膜よりも屈折率が小さい改質シリカ膜1を作製することができる。また、改質シリカ膜1の屈折率は従来のシリカ膜よりも低いので、この改質シリカ膜を光学フィルムの低屈折率層として用いることで、高屈折率層の材料の選択肢を広げることができる。
また、フッ素粒子12の表面張力はポリシラザン用溶媒の表面張力よりも低いので、塗工層内のフッ素粒子12は塗工層の表面にブリードアウトする。これにより、低屈折率層20の表面に保護層30が形成される。したがって、本実施形態では、改質シリカ膜1の防汚性、滑り性、及び耐擦傷性が向上する。
さらに、ブリードアウトは自然に起こるので、本実施形態では、塗工液10を基材100上に1層コーティングするだけで、改質シリカ膜1、すなわち低屈折率層20及び保護層30を形成することができる。したがって、改質シリカ膜1を容易に作製することができる。
さらに、フッ素粒子12は、多分岐型フッ素ポリマーであるので、多くの気孔を有する。したがって、本実施形態では、改質シリカ膜1の屈折率をより低下させることができる。また、フッ素粒子12は強固なバルク体となるので、改質シリカ膜1の防汚性、滑り性、及び耐擦傷性を向上させることができる。
さらに、改質シリカ膜1の平均表面粗さは6.5〜15.0nmとなっているので、屈折率がより低下する。
さらに、ポリシラザン用溶媒の表面張力からフッ素粒子12の表面張力を減算した値は4.5以上であるので、フッ素粒子12はより効率的に塗工層の表面にブリードアウトすることができる。
さらに、ポリシラザン用溶媒は、疎水性かつ無極性の有機溶媒であるので、フッ素粒子12はより効率的に塗工層の表面にブリードアウトすることができる。
さらに、ポリシラザン用溶媒は、ジブチルエーテル、キシレン、ミネラルターペン、石油系炭化水素、及び高沸点芳香族系炭化水素からなる群から選択されるいずれか1種以上で構成される。したがって、フッ素粒子12はより効率的に塗工層の表面にブリードアウトすることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 改質シリカ膜
10 塗工液
11 ポリシラザン溶液
12 フッ素粒子
20 低屈折率層
30 保護層

Claims (8)

  1. ポリシラザンをポリシラザン用溶媒に溶解することでポリシラザン溶液を作製するステップと、
    前記ポリシラザン溶液と反発するフッ素粒子を前記ポリシラザン溶液に混合することで、塗工液を作製するステップと、
    前記塗工液を基材上に塗工することで、塗工層を作製するステップと、
    前記塗工層から前記ポリシラザン用溶媒を除去するステップと、
    前記ポリシラザンをシリカに転化するステップと、を含み、
    前記塗工液中の前記ポリシラザンと前記フッ素粒子との質量比は95:5〜60:40であることを特徴とする、改質シリカ膜の製造方法。
  2. 前記フッ素粒子の表面張力は前記ポリシラザン用溶媒の表面張力よりも低いことを特徴とする、請求項1または2に記載の改質シリカ膜の製造方法。
  3. 前記フッ素粒子は、多分岐型フッ素ポリマーであることを特徴とする、請求項1記載の改質シリカ膜の製造方法。
  4. ポリシラザンをポリシラザン用溶媒に溶解することで作製されたポリシラザン溶液と、前記ポリシラザンと反発するフッ素粒子とを含み、
    前記ポリシラザンと前記フッ素粒子との質量比は95:5〜60:40であることを特徴とする、塗工液。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の改質シリカ膜の製造方法により製造されたことを特徴とする、改質シリカ膜。
  6. ポリシラザンから転化したシリカと、前記ポリシラザンと反発するフッ素粒子と、を含む低屈折率層を備えることを特徴とする、改質シリカ膜。
  7. 前記低屈折率層の表面に形成され、前記フッ素粒子を含む保護層を更に備えることを特徴とする、請求項6記載の改質シリカ膜。
  8. 前記保護層の平均表面粗さは、6.5〜15.0(nm)であることを特徴とする、請求項7記載の改質シリカ膜。

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