JP2010137372A - 複合膜、およびその形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材の面粗度に関係なく、優れた耐食性を十分に発揮できる複合膜、およびその形成方法を提供する。
【解決手段】基板20上に設けられた、シリカと樹脂を含有するコーティング膜11と、該コーティング膜11上に設けられたシリカ膜12とを備えたことを特徴とする複合膜10、および基材20上に、ポリシラザンと、樹脂と、ポリシラザンとは反応せず、かつポリシラザンが溶解する溶媒とを含有する混合液を塗布し、乾燥させてコーティング膜11を形成するコーティング膜形成工程と、前記コーティング膜11上に、ポリシラザン溶液を塗布し、乾燥させてポリシラザン膜を形成するポリシラザン膜形成工程と、前記ポリシラザン膜中のポリシラザンをシリカに転化して、シリカ膜12を形成するシリカ膜形成工程とを有することを特徴とする複合膜の形成方法。
【選択図】図1
【解決手段】基板20上に設けられた、シリカと樹脂を含有するコーティング膜11と、該コーティング膜11上に設けられたシリカ膜12とを備えたことを特徴とする複合膜10、および基材20上に、ポリシラザンと、樹脂と、ポリシラザンとは反応せず、かつポリシラザンが溶解する溶媒とを含有する混合液を塗布し、乾燥させてコーティング膜11を形成するコーティング膜形成工程と、前記コーティング膜11上に、ポリシラザン溶液を塗布し、乾燥させてポリシラザン膜を形成するポリシラザン膜形成工程と、前記ポリシラザン膜中のポリシラザンをシリカに転化して、シリカ膜12を形成するシリカ膜形成工程とを有することを特徴とする複合膜の形成方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、複合膜、およびその形成方法に関する。
シリカ膜は、耐食性、耐熱性、耐磨耗性、高絶縁性など、優れた特性を有しているので、建造物等に用いられる基材の表面に設けられる場合が多い。シリカ膜は、通常、ポリシラザンを含む液を基材の表面に塗布した後、熱処理等を施してポリシラザンをシリカに転化することで得られる。
シリカ膜を設ける方法としては、例えば特許文献1には、有機溶媒に溶解したポリシラザンに、ポリアクリル酸を添加して撹拌混合した後、混合液を無機多孔質支持体に塗布し、乾燥後、酸化性雰囲気中、500〜700℃の温度で焼成するシリカ質多孔質膜の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、基板上に、ポリシラザン、樹脂及び溶媒からなる混合液を塗布し、塗布した混合液を熱処理することにより、シリカ多孔膜を得るシリカ多孔膜の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、基板上に、ポリシラザン、樹脂及び溶媒からなる混合液を塗布し、塗布した混合液を熱処理することにより、シリカ多孔膜を得るシリカ多孔膜の製造方法が開示されている。
ポリシラザンを含む液としては、例えば特許文献3には、有機溶剤中にアルミニウム含有ポリシラザンとポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルとを含むコーティング組成物が開示されている。
また、特許文献4には、アクリル系樹脂等を含む有機樹脂系塗料を含んで構成されている塗料、またはポリシラザン、ポリシラザン以外の窒化ケイ素樹脂系、セラミック樹脂系のうち少なくともいずれかを含む無機樹脂系塗料を含んで構成されている塗料が開示されている。
特開平10−218690号公報
特開2001−294419号公報
特開2001−26415号公報
特開2006−298967号公報
また、特許文献4には、アクリル系樹脂等を含む有機樹脂系塗料を含んで構成されている塗料、またはポリシラザン、ポリシラザン以外の窒化ケイ素樹脂系、セラミック樹脂系のうち少なくともいずれかを含む無機樹脂系塗料を含んで構成されている塗料が開示されている。
特許文献1、2に記載の方法で得られるシリカ膜や、特許文献3に記載のコーティング組成物により得られるシリカ膜は多孔質状である。これは、焼成によってポリシラザンがシリカに転化する際に、塗膜中の樹脂の全てが熱分解し消失することで、シリカ膜が多孔質状になるものと考えられる。
しかしながら、多孔質状のシリカ膜を基材上に設けた場合、シリカ膜本来の耐食性が発揮されにくく、基材の腐食を防止することが困難であった。
しかしながら、多孔質状のシリカ膜を基材上に設けた場合、シリカ膜本来の耐食性が発揮されにくく、基材の腐食を防止することが困難であった。
一方、特許文献4に記載の無機樹脂系塗料を含んで構成されている塗料のように、樹脂を含まない塗料より得られるシリカ膜は非多孔質状である。よって、非多孔質状のシリカ膜を基材上に設ければ、シリカ膜本来の耐食性を発揮できるので、基材の腐食防止が期待できる。
しかしながら、非多孔質状のシリカ膜は、膜厚が厚くなりにくいので、特に基材の面粗度の値が大きく表面が粗い基材上に設ける場合には、基材の表面状態の影響を受けやすかった。そのため、ピンホールなどの膜欠陥が生じやすく、その結果、耐食性が低下しやすかった。基材の表面状態の影響を受けなくするためには、基材の表面を研磨などして鏡面状にすればよいが、製造コストが高くなりやすかった。
しかしながら、非多孔質状のシリカ膜は、膜厚が厚くなりにくいので、特に基材の面粗度の値が大きく表面が粗い基材上に設ける場合には、基材の表面状態の影響を受けやすかった。そのため、ピンホールなどの膜欠陥が生じやすく、その結果、耐食性が低下しやすかった。基材の表面状態の影響を受けなくするためには、基材の表面を研磨などして鏡面状にすればよいが、製造コストが高くなりやすかった。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、基材の面粗度に関係なく、優れた耐食性を十分に発揮できる複合膜、およびその形成方法の提供を目的とする。
本発明の複合膜は、基板上に設けられた、シリカと樹脂を含有するコーティング膜と、該コーティング膜上に設けられたシリカ膜とを備えたことを特徴とする。
また、前記樹脂が、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
さらに、前記コーティング膜が、無機フィラーおよび/または有機フィラーを含有することが好ましい。
また、前記樹脂が、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
さらに、前記コーティング膜が、無機フィラーおよび/または有機フィラーを含有することが好ましい。
また、本発明の複合膜の形成方法は、基材上に、ポリシラザンと、樹脂と、ポリシラザンとは反応せず、かつポリシラザンが溶解する溶媒とを含有する混合液を塗布し、乾燥させてコーティング膜を形成するコーティング膜形成工程と、前記コーティング膜上に、ポリシラザン溶液を塗布し、乾燥させてポリシラザン膜を形成するポリシラザン膜形成工程と、前記ポリシラザン膜中のポリシラザンをシリカに転化して、シリカ膜を形成するシリカ膜形成工程とを有することを特徴とする。
さらに、前記ポリシラザン膜形成工程の前に、前記コーティング膜中のポリシラザンをシリカに転化することが好ましい。
また、前記樹脂が、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
さらに、前記混合液が、無機フィラーおよび/または有機フィラーを含有することが好ましい。
さらに、前記ポリシラザン膜形成工程の前に、前記コーティング膜中のポリシラザンをシリカに転化することが好ましい。
また、前記樹脂が、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
さらに、前記混合液が、無機フィラーおよび/または有機フィラーを含有することが好ましい。
また、前記ポリシラザンのシリカへの転化は、熱処理によりなされることが好ましい。
また、前記ポリシラザンのシリカへの転化は、レーザ光またはマイクロ波の照射によりなされることが好ましい。
また、前記ポリシラザンのシリカへの転化は、大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスの吹き付けによりなされることが好ましい。
さらに、前記キャリアガスの吹き付けは、過酸化水素水を含む雰囲気下において行われることが好ましい。
また、前記ポリシラザンのシリカへの転化は、レーザ光またはマイクロ波の照射によりなされることが好ましい。
また、前記ポリシラザンのシリカへの転化は、大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスの吹き付けによりなされることが好ましい。
さらに、前記キャリアガスの吹き付けは、過酸化水素水を含む雰囲気下において行われることが好ましい。
本発明の複合膜、およびその形成方法によれば、基材の面粗度に関係なく、優れた耐食性を十分に発揮できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1に本発明の複合膜の一例を示す。複合膜10は、基材20上に設けられたコーティング膜11と、該コーティング膜11上に設けられたシリカ膜12とを備える。なお、図1においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせてある。
図1に本発明の複合膜の一例を示す。複合膜10は、基材20上に設けられたコーティング膜11と、該コーティング膜11上に設けられたシリカ膜12とを備える。なお、図1においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせてある。
<基材>
基材20の材質としては特に制限されないが、例えばステンレス、チタン等の金属、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の樹脂、アルミナ、ジルコニア等のセラミックス、宝石、サンゴ、化石等の鉱物、骨、歯牙、木、紙、革、シリコンウェハ等が挙げられる。
基材20の材質としては特に制限されないが、例えばステンレス、チタン等の金属、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の樹脂、アルミナ、ジルコニア等のセラミックス、宝石、サンゴ、化石等の鉱物、骨、歯牙、木、紙、革、シリコンウェハ等が挙げられる。
本発明においては、基材20の面粗度は特に制限されず、面粗度の値が小さく表面が滑らかな基材はもちろんこと、面粗度の値が大きく表面が粗い基材をも用いることができる。
基材の面粗度は、例えばミツトヨ社製の表面粗さ計「SV−3100」を用いて測定できる。
基材の面粗度は、例えばミツトヨ社製の表面粗さ計「SV−3100」を用いて測定できる。
<コーティング膜>
コーティング膜11は、シリカと樹脂を含有する。
コーティング膜11がシリカを含有することで、耐食性に優れ、かつ摺動特性が良好な複合膜が得られる。
一方、コーティング膜11が樹脂を含有することで、コーティング膜11の膜厚を適度に維持できる。従って、表面の粗い基材20を用いたとしても、該基材20上に十分な厚さのコーティング膜11を設けることができるので、後述するシリカ膜12を設ける際の塗布面(すなわち、コーティング膜11表面)を滑らかにできる。通常、シリカ膜12は膜厚が厚くなりにくいので、塗布面の状態(面粗度)の影響を受けやすく、膜欠陥を生じやすい。しかし本発明であれば、シリカ膜12を設ける際の塗布面を滑らかにできるので、基材20の面粗度に関係なくシリカ膜12を均一に設けることができ、膜欠陥が生じるのを抑制できる。よって、耐食性に優れた複合膜10が得られる。なお、コーティング膜11中で樹脂が存在するということは、特許文献1〜3のように塗膜中の樹脂が完全に消失したものに比べて多孔質状になりにくいことを意味する。従って、耐食性を維持できると共に、シリカ膜12を保持できる程度の膜強度をコーティング膜11に付与できる。
コーティング膜11は、シリカと樹脂を含有する。
コーティング膜11がシリカを含有することで、耐食性に優れ、かつ摺動特性が良好な複合膜が得られる。
一方、コーティング膜11が樹脂を含有することで、コーティング膜11の膜厚を適度に維持できる。従って、表面の粗い基材20を用いたとしても、該基材20上に十分な厚さのコーティング膜11を設けることができるので、後述するシリカ膜12を設ける際の塗布面(すなわち、コーティング膜11表面)を滑らかにできる。通常、シリカ膜12は膜厚が厚くなりにくいので、塗布面の状態(面粗度)の影響を受けやすく、膜欠陥を生じやすい。しかし本発明であれば、シリカ膜12を設ける際の塗布面を滑らかにできるので、基材20の面粗度に関係なくシリカ膜12を均一に設けることができ、膜欠陥が生じるのを抑制できる。よって、耐食性に優れた複合膜10が得られる。なお、コーティング膜11中で樹脂が存在するということは、特許文献1〜3のように塗膜中の樹脂が完全に消失したものに比べて多孔質状になりにくいことを意味する。従って、耐食性を維持できると共に、シリカ膜12を保持できる程度の膜強度をコーティング膜11に付与できる。
シリカは、ポリシラザンが転化したものである。ポリシラザンは、「−(SiH2−NH)−」(ただし、Hの全部又は一部が置換基で置換されていてもよい。)を繰り返し単位とするポリマーであり、鎖状ポリシラザン、環状ポリシラザン等が挙げられる。鎖状ポリシラザンとしては、ペルヒドロポリシラザン、ポリメチルヒドロシラザン、ポリN―メチルシラザン、ポリN―(トリエチルシリル)アリルシラザン、ポリN―(ジメチルアミノ)シクロヘキシルシラザン、フェニルポリシラザン等のポリオルガノシラザンが挙げられる。これらはいずれも使用することができ、また、これらに限定されるものではない。ポリシラザンは1種を用いてもよく2種以上の混合物を用いてもよい。これらの中でも耐食性に優れる点で、ペルヒドロポリシラザン、ポリメチルヒドロシラザン、ポリN−メチルシラザン、フェニルポリシラザンが好ましい。
また、ポリシラザンとしては、市販のものを用いてもよく、例えばAZエレクトロニックマテリアルズ社製の「NAX120」、「NL120」、「NL720」、「NL320」などが挙げられる。
コーティング膜11を形成するポリシラザンは、その全てがシリカに転化していてもよく、一部はシリカに転化せずにコーティング膜11中でポリシラザンとして存在していてもよい。コーティング膜11を形成するポリシラザンの全てがシリカに転化していれば、より耐食性に優れた複合膜10が得られる。
樹脂としては、後述するシリカ膜12を構成するポリシラザンがシリカに転化し終わる温度(以下、「転化終了温度」という。)において、コーティング膜11中から完全に消失しない樹脂を用いる。なお、転化終了温度はシリカ膜を構成するポリシラザンの種類や、大気中の水分量(湿度)などに依存するので一概には決められないが、先の条件を満たす樹脂として、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂が挙げられる。中でも溶媒に溶解しやすく、ポリシラザンとの相溶性に優れる点で、アクリル系樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂としては、公知の材料を用いることができ、例えばメタクリル酸メチルの単独重合体(ポリメタクリル酸メチル:PMMA)や、メタクリル酸メチルと共重合可能な他の単量体と、メタクリル酸メチルとの共重合体が挙げられる。
メタクリル酸メチルと共重合可能な他の単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル、スチレン等が挙げられる。
また、アクリル系樹脂としては、市販のものを用いてもよく、例えばAZエレクトロニックマテリアルズ社製の「BR101」、「BR102」などが挙げられる。
メタクリル酸メチルと共重合可能な他の単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル、スチレン等が挙げられる。
また、アクリル系樹脂としては、市販のものを用いてもよく、例えばAZエレクトロニックマテリアルズ社製の「BR101」、「BR102」などが挙げられる。
フッ素系樹脂としては、例えば溶媒可溶型フッ素樹脂などが挙げられる。
また、フッ素系樹脂としては、市販のものを用いてもよく、例えば旭硝子社製の「ルミフロン」などが挙げられる。
また、フッ素系樹脂としては、市販のものを用いてもよく、例えば旭硝子社製の「ルミフロン」などが挙げられる。
ポリスチレン系樹脂としては、公知の材料を用いることができ、例えばスチレンの単独重合体や、スチレンと共重合可能な他の単量体と、スチレンとの共重合体が挙げられる。
スチレンと共重合可能な他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィン類、塩化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類などが挙げられる。
スチレンと共重合可能な他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィン類、塩化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類などが挙げられる。
コーティング膜11は、無機フィラーおよび/または有機フィラーを含有するのが好ましい。無機フィラーおよび/または有機フィラーを含有することで、コーティング膜11の膜厚を所望の厚さにより調節しやすくなる。従って、表面の粗い基材20を用いたとしても該基材20上に十分な厚さのコーティング膜11を容易に設けることができるので、その表面をより滑らかにできる。よって、基材20の面粗度に関係なくシリカ膜12を均一に設けることができるので、膜欠陥が生じるのを抑制でき、より耐食性に優れた複合膜10が得られる。さらに、無機フィラーおよび/または有機フィラーを含有することで、複合膜10全体としての耐熱性が向上する。
このようなフィラーとしては、粒子径が20〜300nmのフィラーが好ましい。
このようなフィラーとしては、粒子径が20〜300nmのフィラーが好ましい。
無機フィラーとしては、例えば酸化アルミニウム、酸化イットリウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。
有機フィラーとしては、例えばポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。
有機フィラーとしては、例えばポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。
コーティング膜11には、他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、防錆剤、顔料、染料、蛍光顔料、蛍光染料などが挙げられる。
コーティング膜11の膜厚は、0.2〜10μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。コーティング膜11の膜厚が0.2μm以上であれば、基材20の面粗度に関係なくコーティング膜11上にシリカ膜12を均一に設けることができ、膜欠陥の発生を抑制できる。従って、耐食性に優れた複合膜10が得られる。一方、コーティング膜11の膜厚が10μm以下であれば、クラックが入り難く、膜形成が容易となる。
<シリカ膜>
シリカ膜12は、ポリシラザンが転化することで得られる。また、シリカ膜12を形成する成分中には樹脂が含まれないので、ポリシラザンがシリカに転化してシリカ膜となる際に多孔質状にならない。
シリカ膜12は、ポリシラザンが転化することで得られる。また、シリカ膜12を形成する成分中には樹脂が含まれないので、ポリシラザンがシリカに転化してシリカ膜となる際に多孔質状にならない。
シリカ膜12を形成するポリシラザンとしては、コーティング膜の説明において先に例示したポリシラザンが挙げられる。
シリカ膜12を形成するポリシラザンと、コーティング膜11を形成するポリシラザンとは、同じ種類のものでもよく、異なる種類のものでもよいが、同じ種類のものが好ましい。シリカ膜12とコーティング膜11とで同じ種類のポリシラザンを用いることで、各膜の密着性が向上し、剥離しにくくなる。
シリカ膜12を形成するポリシラザンと、コーティング膜11を形成するポリシラザンとは、同じ種類のものでもよく、異なる種類のものでもよいが、同じ種類のものが好ましい。シリカ膜12とコーティング膜11とで同じ種類のポリシラザンを用いることで、各膜の密着性が向上し、剥離しにくくなる。
シリカ膜12の膜厚は、0.2μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。シリカ膜12の膜厚が0.2μm以上であれば、十分な耐食性を複合膜10に付与できる。
なお、複合膜10は、シリカ膜12の膜厚が厚くなるほど耐食性に優れる傾向にあるが、基材と複合膜10との熱膨張率の差を考慮すると、シリカ膜12の膜厚を厚くすることには限界がある。シリカ膜の膜厚の上限は、通常、5μm以下であり、2μm以下が好ましい。
なお、複合膜10は、シリカ膜12の膜厚が厚くなるほど耐食性に優れる傾向にあるが、基材と複合膜10との熱膨張率の差を考慮すると、シリカ膜12の膜厚を厚くすることには限界がある。シリカ膜の膜厚の上限は、通常、5μm以下であり、2μm以下が好ましい。
[複合膜]
本発明の複合膜10は、上述した基材20上に設けられたコーティング膜11と、該コーティング膜11上に設けられたシリカ膜12とを備える。図1に示すように、複合膜10は基材20上に設けられるが、非多孔質状のシリカ膜12が最外層に位置することで、シリカ膜の耐食性を十分に発揮でき、基材の腐食を防止できる。
本発明の複合膜10は、上述した基材20上に設けられたコーティング膜11と、該コーティング膜11上に設けられたシリカ膜12とを備える。図1に示すように、複合膜10は基材20上に設けられるが、非多孔質状のシリカ膜12が最外層に位置することで、シリカ膜の耐食性を十分に発揮でき、基材の腐食を防止できる。
一般的に、シリカ膜は耐食性に優れるので、基材の表面に設けて基材の腐食を防止するのに効果的である。しかし、ポリシラザンのシリカへの転化が不十分であると耐食性が低下しやすかった。また、ポリシラザンのシリカへの転化が十分であっても、多孔質状のシリカ膜の場合は耐食性が低下しやすかった。さらに、非多孔質状のシリカ膜は、耐食性に優れるものの、基材の表面状態の影響を受けやすかった。従って、表面の粗い基材上に設けられる場合は膜欠陥を生じ、結果として耐食性が低下しやすかった。そのため、シリカ膜本来の耐食性を十分に発揮しにくく、基材の腐食防止を満足することは必ずしも容易ではなかった。
しかし、本発明の複合膜は、基材上に設けられた特定のコーティング膜上に、非多孔質状で、かつポリシラザンが十分にシリカに転化したシリカ膜が設けられている。従って、表面の粗い基材を用いる場合でもコーティング膜によってシリカ膜を設ける際の塗布面が滑らかになるので、膜欠陥を生じることなくシリカ膜を形成できる。また、非多孔質状のシリカ膜が最外層に位置するので、シリカ膜の耐食性を十分に発揮できる。よって、本発明の複合膜であれば、基材の面粗度に関係なく、優れた耐食性を十分に発揮できる。
このような複合膜の用途としては、例えばビル、橋などの建造物、ガードレールや道路標識などの交通安全施設、自動販売機、自動車・バイク・自転車などの表面や部品、船舶、家電製品、義歯、便器、ウェハ処理装置等が例示できる。
このような複合膜の用途としては、例えばビル、橋などの建造物、ガードレールや道路標識などの交通安全施設、自動販売機、自動車・バイク・自転車などの表面や部品、船舶、家電製品、義歯、便器、ウェハ処理装置等が例示できる。
本発明の複合膜は、例えば以下のようにして形成できる。
[複合膜の形成方法]
本発明の複合膜の形成方法は、コーティング膜形成工程と、ポリシラザン膜形成工程と、シリカ膜形成工程とを有する。
<コーティング膜形成工程>
コーティング膜形成工程は、基材上に、ポリシラザンと、樹脂、溶媒とを含有する混合液を塗布し、乾燥させてコーティング膜を形成する工程である。
ポリシラザン、および樹脂としては、コーティング膜の説明において先に例示したポリシラザン、および樹脂が挙げられる。なお、樹脂は、後述する溶媒に溶解するものが好ましい。
[複合膜の形成方法]
本発明の複合膜の形成方法は、コーティング膜形成工程と、ポリシラザン膜形成工程と、シリカ膜形成工程とを有する。
<コーティング膜形成工程>
コーティング膜形成工程は、基材上に、ポリシラザンと、樹脂、溶媒とを含有する混合液を塗布し、乾燥させてコーティング膜を形成する工程である。
ポリシラザン、および樹脂としては、コーティング膜の説明において先に例示したポリシラザン、および樹脂が挙げられる。なお、樹脂は、後述する溶媒に溶解するものが好ましい。
溶媒としては、ポリシラザンとは反応せず、かつポリシラザンが溶解するものを用いる。このような溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、メチルペンタン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロモホルム、塩化エチレン、塩化エチリデン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;エチルエーテル、イソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジオキシエタン、シオキタサン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
混合液は、溶媒にポリシラザンおよび樹脂を加えて調製したり、溶媒にポリシラザンが溶解したポリシラザン溶液と、溶媒に樹脂が溶解または分散した樹脂溶液を各々調製し、これらを混合したりすることで得る。ポリシラザン溶液と樹脂溶液に用いる溶媒は同じ種類のものでもよく、異なる種類のものでもよいが、同じ種類のものが好ましい。
混合液中におけるポリシラザンと樹脂との質量比は、ポリシラザン:樹脂=10:1〜1:5が好ましく、5:1〜1:3がより好ましい。ポリシラザンの割合が上記範囲より少なくなると、コーティング膜中におけるシリカの含有量が少なくなり、耐食性が低下しやすくなる。一方、ポリシラザンの割合が上記範囲より多くなると、耐クラック性能が低下したり、コーティング膜の膜厚が厚くなりにくくなったりする。その結果、特に表面の粗い基材を用いた場合、基材上に十分な厚さのコーティング膜を設けることが困難となる。そのため、膜欠陥が生じて複合膜の耐食性が低下しやすくなる。
混合液中におけるポリシラザンと樹脂との質量比は、ポリシラザン:樹脂=10:1〜1:5が好ましく、5:1〜1:3がより好ましい。ポリシラザンの割合が上記範囲より少なくなると、コーティング膜中におけるシリカの含有量が少なくなり、耐食性が低下しやすくなる。一方、ポリシラザンの割合が上記範囲より多くなると、耐クラック性能が低下したり、コーティング膜の膜厚が厚くなりにくくなったりする。その結果、特に表面の粗い基材を用いた場合、基材上に十分な厚さのコーティング膜を設けることが困難となる。そのため、膜欠陥が生じて複合膜の耐食性が低下しやすくなる。
混合液には、無機フィラーおよび/または有機フィラーを含有させるのが好ましい。無機フィラーおよび/または有機フィラーを含有させることで、得られるコーティング膜の膜厚を所望の厚さにより調節しやすくなる。従って、表面の粗い基材を用いたとしても該基材上に十分な厚さのコーティング膜を容易に設けることができるので、その表面をより滑らかにできる。よって、基材の面粗度に関係なくシリカ膜を均一に設けることができるので、膜欠陥が生じるのを抑制でき、より耐食性に優れた複合膜が得られる。さらに、無機フィラーおよび/または有機フィラーを含有することで、複合膜全体としての耐熱性が向上する。
無機フィラーおよび有機フィラーとしては、コーティング膜の説明において先に例示した無機フィラーおよび有機フィラーが挙げられる。
無機フィラーおよび有機フィラーとしては、コーティング膜の説明において先に例示した無機フィラーおよび有機フィラーが挙げられる。
混合液に無機フィラーおよび/または有機フィラーを含有させる場合、その含有量は、混合液100質量%中、0.1〜30質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。含有量が0.1質量%以上であれば、コーティング膜の膜厚を所望の厚さにより調節しやすくなるので、表面の粗い基材を用いたとしても、該基材上に表面が滑らかで、十分な厚さのコーティング膜を形成できる。従って、基材の面粗度に関係なくシリカ膜を均一に設けることができる。一方、含有量が30質量%以下であれば、混合液中のポリシラザンおよび樹脂の量を確保できるので、コーティング膜の膜強度を維持できる。
また、混合液には、他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤としては、コーティング膜の説明において先に例示した他の添加剤が挙げられる。
混合液に他の添加剤を含有させる場合、その含有量は、混合液100質量%中、0.05〜30質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
混合液に他の添加剤を含有させる場合、その含有量は、混合液100質量%中、0.05〜30質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
基材上への混合液の塗布方法としては、刷毛塗り法、スプレー法、浸漬法、流し塗り法などを用いることができる。
混合液は、乾燥後の膜厚が0.2〜10μmになるように塗布するのが好ましく、より好ましくは0.5〜5μmである。
なお、混合液の塗布に先立って、必要に応じて基材の塗布面を研磨したり洗浄したりするなどの前処理を行ってもよい。このような前処理を行うことで基材上により均一で表面が滑らかなコーティング膜を形成でき、該コーティング膜上にシリカ膜を形成する際に膜欠陥が生じるのをより抑制しやすくなる。ただし、本発明であれば、前処理を行わなくても十分に表面が滑らかなコーティング膜を基材上に形成できるので、作業の手間を省いたり、製造コストを削減したりできる。
混合液は、乾燥後の膜厚が0.2〜10μmになるように塗布するのが好ましく、より好ましくは0.5〜5μmである。
なお、混合液の塗布に先立って、必要に応じて基材の塗布面を研磨したり洗浄したりするなどの前処理を行ってもよい。このような前処理を行うことで基材上により均一で表面が滑らかなコーティング膜を形成でき、該コーティング膜上にシリカ膜を形成する際に膜欠陥が生じるのをより抑制しやすくなる。ただし、本発明であれば、前処理を行わなくても十分に表面が滑らかなコーティング膜を基材上に形成できるので、作業の手間を省いたり、製造コストを削減したりできる。
基材上に混合液を塗布した後は、混合液中の溶媒を除去するために乾燥を行い、コーティング膜を形成する。乾燥方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
<ポリシラザン膜形成工程>
ポリシラザン膜形成工程は、先の工程で得られたコーティング膜上に、ポリシラザン溶液を塗布し、乾燥させてポリシラザン膜を形成する工程である。
ポリシラザン溶液は、溶媒にポリシラザンが溶解したものである。ポリシラザンとしては、コーティング膜の説明において先に例示したポリシラザンが挙げられる。一方、溶媒としては、コーティング膜形成工程の説明において先に説明した溶媒が挙げられる。ポリシラザン膜形成工程と、コーティング膜形成工程において用いるポリシラザンおよび溶媒は、同じ種類のものでもよく、異なる種類のものでもよいが、同じ種類のものが好ましい。同じ種類のポリシラザンや溶媒を用いることで、形成されるシリカ膜とコーティング膜の密着性が向上し、剥離しにくくなる。
ポリシラザン膜形成工程は、先の工程で得られたコーティング膜上に、ポリシラザン溶液を塗布し、乾燥させてポリシラザン膜を形成する工程である。
ポリシラザン溶液は、溶媒にポリシラザンが溶解したものである。ポリシラザンとしては、コーティング膜の説明において先に例示したポリシラザンが挙げられる。一方、溶媒としては、コーティング膜形成工程の説明において先に説明した溶媒が挙げられる。ポリシラザン膜形成工程と、コーティング膜形成工程において用いるポリシラザンおよび溶媒は、同じ種類のものでもよく、異なる種類のものでもよいが、同じ種類のものが好ましい。同じ種類のポリシラザンや溶媒を用いることで、形成されるシリカ膜とコーティング膜の密着性が向上し、剥離しにくくなる。
ポリシラザン溶液におけるポリシラザンの濃度は、0.01〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。ポリシラザンの濃度が0.01質量%以上であれば、ポリシラザン溶液の塗布回数を増やすことなく、所望の膜厚のシリカ膜を形成できる。一方、ポリシラザンの濃度が50質量%以下であれば、ポリシラザン溶液の粘度の上昇を抑制できるので、塗付しやすくなる。
コーティング膜上へのポリシラザン溶液の塗布方法としては、刷毛塗り法、スプレー法、浸漬法、流し塗り法などを用いることができる。
混合液は、乾燥後の膜厚が0.1〜5μmになるように塗布するのが好ましく、より好ましくは0.2〜2μmである。
コーティング膜上にポリシラザン溶液を塗布した後は、ポリシラザン溶液中の溶媒を除去するために乾燥を行い、ポリシラザン膜を形成する。乾燥方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
混合液は、乾燥後の膜厚が0.1〜5μmになるように塗布するのが好ましく、より好ましくは0.2〜2μmである。
コーティング膜上にポリシラザン溶液を塗布した後は、ポリシラザン溶液中の溶媒を除去するために乾燥を行い、ポリシラザン膜を形成する。乾燥方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
<シリカ膜形成工程>
シリカ膜形成工程は、先の工程で得られたポリシラザン膜中のポリシラザンをシリカに転化して、シリカ膜を形成する工程である。
ポリシラザンのシリカへの転化は、熱処理、レーザ光またはマイクロ波の照射、プラズマ照射のいずれかの方法によってなされるのが好ましい。熱処理は、作業が簡便で、製造コストを軽減できる点で好ましい。一方、レーザ光またはマイクロ波の照射、ならびにプラズマ照射は、基材の種類や用途によって加熱しにくい場合に好適である。
シリカ膜形成工程は、先の工程で得られたポリシラザン膜中のポリシラザンをシリカに転化して、シリカ膜を形成する工程である。
ポリシラザンのシリカへの転化は、熱処理、レーザ光またはマイクロ波の照射、プラズマ照射のいずれかの方法によってなされるのが好ましい。熱処理は、作業が簡便で、製造コストを軽減できる点で好ましい。一方、レーザ光またはマイクロ波の照射、ならびにプラズマ照射は、基材の種類や用途によって加熱しにくい場合に好適である。
(熱処理)
熱処理の場合、コーティング膜とポリシラザン膜が形成された基材を、大気中または水蒸気を含む雰囲気中で加熱して、ポリシラザンをシリカに転化し、シリカ膜を形成する。このように熱処理することで、ポリシラザン膜が加熱され、ポリシラザンと雰囲気中の水分とが反応してシリカに転化すると考えられる。
加熱温度はポリシラザンの種類に依存するが、60〜400℃が好ましく、100〜300℃がより好ましい。加熱温度が60℃以上であれば、短時間でシリカへの転化を終了できる。一方、加熱温度が400℃以下であれば、コーティング膜中の樹脂の消失を抑制できる。
加熱時間は、加熱温度に依存するが、10〜120分程度が好ましい。
熱処理の場合、コーティング膜とポリシラザン膜が形成された基材を、大気中または水蒸気を含む雰囲気中で加熱して、ポリシラザンをシリカに転化し、シリカ膜を形成する。このように熱処理することで、ポリシラザン膜が加熱され、ポリシラザンと雰囲気中の水分とが反応してシリカに転化すると考えられる。
加熱温度はポリシラザンの種類に依存するが、60〜400℃が好ましく、100〜300℃がより好ましい。加熱温度が60℃以上であれば、短時間でシリカへの転化を終了できる。一方、加熱温度が400℃以下であれば、コーティング膜中の樹脂の消失を抑制できる。
加熱時間は、加熱温度に依存するが、10〜120分程度が好ましい。
(レーザ光またはマイクロ波の照射)
レーザ光またはマイクロ波の照射の場合、ポリシラザン膜に向けてレーザ光またはマイクロ波を照射して、ポリシラザンをシリカに転化し、シリカ膜を形成する。レーザ光またはマイクロ波を照射することで、基材にこれらが吸収されて発熱し、該発熱によりポリシラザン膜が加熱されて、ポリシラザンと雰囲気中の水分とが反応してシリカに転化すると考えられる。
レーザ光またはマイクロ波の照射の場合、ポリシラザン膜に向けてレーザ光またはマイクロ波を照射して、ポリシラザンをシリカに転化し、シリカ膜を形成する。レーザ光またはマイクロ波を照射することで、基材にこれらが吸収されて発熱し、該発熱によりポリシラザン膜が加熱されて、ポリシラザンと雰囲気中の水分とが反応してシリカに転化すると考えられる。
レーザ光の種類は、特に限定されず、例えば炭酸ガスレーザ(以下、「CO2レーザ」ということもある。)、Er(エルビウム)−YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ、Nd(ネオジウム)−YAGレーザ等を用いることができる。
マイクロ波の波長は、特に限定されず、被照射物の材質に応じて、マイクロ波の照射による発熱が効率良く生じる波長を選択することが好ましい。
マイクロ波の波長は、特に限定されず、被照射物の材質に応じて、マイクロ波の照射による発熱が効率良く生じる波長を選択することが好ましい。
なお、本発明においては、レーザ光またはマイクロ波を照射する前に、ポリシラザン膜上に水を含有する水層を形成させておいてもよい。ポリシラザン上に水層を形成することで、レーザ光またはマイクロ波の照射によりポリシラザン膜が加熱される際に、ポリシラザンと水層中の水分と反応してシリカへの転化がより良好になり、シリカ膜の形成に要する時間を短縮できる。
また、CO2レーザを用いた場合など、レーザ光の種類またはマイクロ波の波長と、水層の種類の組み合わせによっては、レーザ光またはマイクロ波が水層に吸収され、該水層が発熱して水蒸気が生じ、ポリシラザンが該水蒸気と反応してシリカにより転化しやすくなる傾向にある。
また、CO2レーザを用いた場合など、レーザ光の種類またはマイクロ波の波長と、水層の種類の組み合わせによっては、レーザ光またはマイクロ波が水層に吸収され、該水層が発熱して水蒸気が生じ、ポリシラザンが該水蒸気と反応してシリカにより転化しやすくなる傾向にある。
水層は、ポリシラザン膜上に水層用塗布液を塗布することで形成できる。水層用塗布液としては、水(H2O)を含有していればよく、例えば水、pH4.5〜9.5の水溶液等が挙げられる。
また、水層用塗布液には、発熱剤を含有させてもよい。水層に発熱剤が含まれていれば、レーザ光またはマイクロ波が水層中の発熱剤に吸収されて発熱し、該発熱剤の周辺の水が加熱されて水蒸気が発生しやすくなり、ポリシラザンと該水蒸気と反応してシリカにより転化しやすくなる。
発熱剤としては、レーザ光またはマイクロ波が照射されると発熱するものであればよく、具体的には、CO2レーザを用いる場合には、カーボンナノチューブ、ナノダイヤ、活性炭等のカーボン、HAP(ヒドロキシアパタイト)が好ましく、YAGレーザを用いる場合には、カーボンナノチューブ、ナノダイヤ、活性炭等のカーボンが好ましい。また、発熱剤は微粒子であることが好ましい。
また、水層用塗布液には、発熱剤を含有させてもよい。水層に発熱剤が含まれていれば、レーザ光またはマイクロ波が水層中の発熱剤に吸収されて発熱し、該発熱剤の周辺の水が加熱されて水蒸気が発生しやすくなり、ポリシラザンと該水蒸気と反応してシリカにより転化しやすくなる。
発熱剤としては、レーザ光またはマイクロ波が照射されると発熱するものであればよく、具体的には、CO2レーザを用いる場合には、カーボンナノチューブ、ナノダイヤ、活性炭等のカーボン、HAP(ヒドロキシアパタイト)が好ましく、YAGレーザを用いる場合には、カーボンナノチューブ、ナノダイヤ、活性炭等のカーボンが好ましい。また、発熱剤は微粒子であることが好ましい。
(プラズマ照射)
プラズマ照射の場合、大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜の表面に吹き付けて、ポリシラザンをシリカに転化し、シリカ膜を形成する。キャリアガスは大気圧プラズマ領域を通過するとラジカルを発生するので、ラジカルを発生したキャリアガスをポリシラザン膜の表面に吹き付けることで、ラジカルがポリシラザンと反応し、ポリシラザンと雰囲気中の水分との反応を促進させ、シリカに転化すると考えられる。
プラズマ照射の場合、大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜の表面に吹き付けて、ポリシラザンをシリカに転化し、シリカ膜を形成する。キャリアガスは大気圧プラズマ領域を通過するとラジカルを発生するので、ラジカルを発生したキャリアガスをポリシラザン膜の表面に吹き付けることで、ラジカルがポリシラザンと反応し、ポリシラザンと雰囲気中の水分との反応を促進させ、シリカに転化すると考えられる。
キャリアガスは、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ネオン、クリプトンなどの希ガス、窒素、空気、水素、酸素などの放電ガスを含む。放電ガスは電圧を印加することにより放電を起こすことのできるガスであり、単独で用いても、混合して用いてもかまわない。キャリアガスは、放電ガス以外に、オゾン、二酸化炭素、一酸化炭素、アンモニア等のガスを含有してもよい。これらのガスは反応を促進する作用を有し、ポリシラザン膜に吹き付けてもよい。
キャリアガスとしては、希ガスまたは窒素のいずれかのガスと、酸素、窒素または水素のいずれか1種または2種以上との組合せが好ましく、希ガスと酸素、窒素または水素との組合せ、窒素と酸素または水素との組合せが特に好ましい。希ガスと酸素、窒素または水素との組合せの場合のキャリアガス中の酸素、窒素または水素の濃度、窒素と酸素または水素との組合せの場合のキャリアガス中の酸素または水素の濃度は0.01〜40容量%が好ましく、0.05〜20容量%がさらに好ましく、0.1〜10容量%が特に好ましい。
キャリアガスとしては、希ガスまたは窒素のいずれかのガスと、酸素、窒素または水素のいずれか1種または2種以上との組合せが好ましく、希ガスと酸素、窒素または水素との組合せ、窒素と酸素または水素との組合せが特に好ましい。希ガスと酸素、窒素または水素との組合せの場合のキャリアガス中の酸素、窒素または水素の濃度、窒素と酸素または水素との組合せの場合のキャリアガス中の酸素または水素の濃度は0.01〜40容量%が好ましく、0.05〜20容量%がさらに好ましく、0.1〜10容量%が特に好ましい。
なお、水、エタノール、過酢酸、過酸化水素水などを含む雰囲気下において、キャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けると、シリカへの転化反応を促進する効果が大きく、特に過酸化水素水を含む雰囲気下において転化反応を促進する効果が著しい。このように、水、エタノール、過酢酸、過酸化水素水などの液体は、転化反応を促進する作用を有する。
ここで、「雰囲気において」とは、例えばこれらの液体からなる層をポリシラザン膜上に形成させてから大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けたり、これらの液体を噴霧した状態で大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けたり、これらの液体を含んだキャリアガスを大気圧プラズマ領域中に通過させることにより、これらの液体を含んだキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けたりすることである。
中でも、これらの液体からなる層をポリシラザン膜上に形成させてから大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けたり、これらの液体を噴霧した状態で大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けたりする方法が好ましく、これらの液体からなる層をポリシラザン膜上に形成させてから大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付ける方法が特に好ましい。
ここで、「雰囲気において」とは、例えばこれらの液体からなる層をポリシラザン膜上に形成させてから大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けたり、これらの液体を噴霧した状態で大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けたり、これらの液体を含んだキャリアガスを大気圧プラズマ領域中に通過させることにより、これらの液体を含んだキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けたりすることである。
中でも、これらの液体からなる層をポリシラザン膜上に形成させてから大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けたり、これらの液体を噴霧した状態で大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けたりする方法が好ましく、これらの液体からなる層をポリシラザン膜上に形成させてから大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付ける方法が特に好ましい。
例えば、過酸化水素水を含む雰囲気下においてプラズマ照射を行う場合は、ポリシラザン膜上に過酸化水素水を滴下することで過酸化水素水層を形成し、該過酸化水素水の表面に、大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスを吹き付ける方法が好ましい。
過酸化水素水層の膜厚は特に限定されず、ポリシラザン膜の表面を覆う程度であればよい。
過酸化水素水は、過酸化水素(H2O2)を含有させた水(H2O)であるが、界面活性剤を含有させるとより均一な過酸化水素水層を形成でき、膜質がより良好なシリカ膜を形成できる点で好ましい。
過酸化水素水層中の過酸化水素の濃度は、0.1〜30質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。この濃度範囲にすることにより、シリカ膜転化工程の反応をより速やかに行うことができる。
過酸化水素水層の膜厚は特に限定されず、ポリシラザン膜の表面を覆う程度であればよい。
過酸化水素水は、過酸化水素(H2O2)を含有させた水(H2O)であるが、界面活性剤を含有させるとより均一な過酸化水素水層を形成でき、膜質がより良好なシリカ膜を形成できる点で好ましい。
過酸化水素水層中の過酸化水素の濃度は、0.1〜30質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。この濃度範囲にすることにより、シリカ膜転化工程の反応をより速やかに行うことができる。
大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスと過酸化水素水層とを併用することにより、ポリシラザンを非常に短時間でシリカに転化させることができる。これは大気圧プラズマ領域で発生したラジカルが過酸化水素水と反応することにより、より活性なラジカルを生成させるためと推測される。
なお、過酸化水素水層を形成する代わりに、過酸化水素水を噴霧した状態で大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けたり、過酸化水素水を混合したキャリアガスを大気圧プラズマ領域に通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けたりしてもよい。
なお、過酸化水素水層を形成する代わりに、過酸化水素水を噴霧した状態で大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けたり、過酸化水素水を混合したキャリアガスを大気圧プラズマ領域に通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に吹き付けたりしてもよい。
シリカ膜形成工程では、上述した各種方法によりポリシラザン膜中のポリシラザンが十分にシリカに転化したシリカ膜を形成するので、シリカ膜本来の耐食性を十分に発揮できる複合膜が得られる。
本工程では、ポリシラザン膜中のポリシラザンがシリカに転化する際に、コーティング膜中のポリシラザンの一部または全てがシリカに転化するものと考えられる。
本工程では、ポリシラザン膜中のポリシラザンがシリカに転化する際に、コーティング膜中のポリシラザンの一部または全てがシリカに転化するものと考えられる。
ところで、コーティング膜中のポリシラザンは、その全てがシリカに転化していれば、得られる複合膜の耐食性がより優れるものとなるので、コーティング膜中のポリシラザンを積極的にシリカに転化させることが好ましい。
従って、本発明の複合膜の形成方法においては、ポリシラザン膜形成工程の前に、コーティング膜中のポリシラザンをシリカに転化する処理を行うことが好ましい。処理の方法としては、シリカ膜形成工程の説明において先に例示した熱処理、レーザ光またはマイクロ波の照射、プラズマ照射のいずれかの方法が挙げられる。
従って、本発明の複合膜の形成方法においては、ポリシラザン膜形成工程の前に、コーティング膜中のポリシラザンをシリカに転化する処理を行うことが好ましい。処理の方法としては、シリカ膜形成工程の説明において先に例示した熱処理、レーザ光またはマイクロ波の照射、プラズマ照射のいずれかの方法が挙げられる。
なお、コーティング膜を形成する混合液中には、上述した特定の樹脂が含まれているので、コーティング膜中のポリシラザンをシリカに転化させる処理を行っても、樹脂は完全に消失せずにコーティング膜中に存在している。ただし、樹脂の種類や転化処理条件によっては樹脂の一部が消失する場合もあり、樹脂が消失した部分は孔部となる。しかし、転化処理後のコーティング膜上にポリシラザン溶液を塗布することで、孔部にポリシラザン溶液が充填されるので、耐食性を維持できる。さらに、ポリシラザン溶液は孔部に充填されつつコーティング膜上に塗布されるので、塗布面は平滑性を保持できる。従って、膜欠陥を生じることなくコーティング膜上にシリカ膜を形成できる。
本発明の複合膜の形成方法は、基材上に特定のコーティング膜を設けた後に、該コーティング膜上に、非多孔質状で、かつポリシラザンが十分にシリカに転化したシリカ膜を形成させる。従って、表面の粗い基材を用いる場合でもコーティング膜によってシリカ膜を設ける際の塗布面が滑らかになるので、膜欠陥を生じることなくシリカ膜を形成できる。また、非多孔質状のシリカ膜が最外層に位置するので、シリカ膜の耐食性を十分に発揮できる。よって、本発明の複合膜の形成方法によれば、基材の面粗度に関係なく、優れた耐食性を十分に発揮できる複合膜を形成できる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<混合液の調製>
ペルヒドロポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、「NAX120」)を、濃度が10質量%になるようにジブチルエーテルに溶解させ、ポリシラザン溶液Aを調製した。
別途、アクリル系樹脂(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、「BR101」)を、濃度が10質量%になるようにジブチルエーテルに溶解させ、樹脂溶液を調製した。
ポリシラザン溶液Aと樹脂溶液を1:1の割合で混合し、混合液を得た。
<混合液の調製>
ペルヒドロポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、「NAX120」)を、濃度が10質量%になるようにジブチルエーテルに溶解させ、ポリシラザン溶液Aを調製した。
別途、アクリル系樹脂(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、「BR101」)を、濃度が10質量%になるようにジブチルエーテルに溶解させ、樹脂溶液を調製した。
ポリシラザン溶液Aと樹脂溶液を1:1の割合で混合し、混合液を得た。
<複合膜の形成>
基材として直径10mmφ×長さ50mmの丸棒(SS400、面粗度(Rmax):3μm)を用い、該基材の表面に、乾燥後の膜厚が3μmになるように混合液を2回刷毛塗りし、25℃で30分間自然乾燥し、コーティング膜を形成した。
ついで、ペルヒドロポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、「NAX120」)を、濃度が8質量%になるようにジブチルエーテルに溶解させて調製したポリシラザン溶液Bを、乾燥後の膜厚が0.5μmになるように、コーティング膜上に2回刷毛塗りし、25℃で30分間自然乾燥し、ポリシラザン膜を形成した。
その後、大気中にて、250℃で1時間熱処理を行い、コーティング膜上にシリカ膜を形成し、基材上に複合膜が形成した試験片を得た。複合膜の構成を表1に示す。ただし、表1において、「1層目」とは、基材上に直接形成されている層を示す。
なお、基材の面粗度は、ミツトヨ社製の表面粗さ計「SV−3100」を用いて測定した。
基材として直径10mmφ×長さ50mmの丸棒(SS400、面粗度(Rmax):3μm)を用い、該基材の表面に、乾燥後の膜厚が3μmになるように混合液を2回刷毛塗りし、25℃で30分間自然乾燥し、コーティング膜を形成した。
ついで、ペルヒドロポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、「NAX120」)を、濃度が8質量%になるようにジブチルエーテルに溶解させて調製したポリシラザン溶液Bを、乾燥後の膜厚が0.5μmになるように、コーティング膜上に2回刷毛塗りし、25℃で30分間自然乾燥し、ポリシラザン膜を形成した。
その後、大気中にて、250℃で1時間熱処理を行い、コーティング膜上にシリカ膜を形成し、基材上に複合膜が形成した試験片を得た。複合膜の構成を表1に示す。ただし、表1において、「1層目」とは、基材上に直接形成されている層を示す。
なお、基材の面粗度は、ミツトヨ社製の表面粗さ計「SV−3100」を用いて測定した。
<評価>
(外観評価)
試験片について、顕微鏡(キーエンス社製、「VHX−900」)を用い、500倍に拡大して複合膜の表面を観察し、クラックの発生の有無について評価した。結果を表1に示す。
(外観評価)
試験片について、顕微鏡(キーエンス社製、「VHX−900」)を用い、500倍に拡大して複合膜の表面を観察し、クラックの発生の有無について評価した。結果を表1に示す。
(腐食試験)
試験片をティッシュで包み、水を含浸させた。湿潤状態を2日間維持できるように、定期的に水を含浸させ、腐食試験を行った。腐食試験後の試験片について目視観察し、錆の発生の有無について、以下の評価基準にて評価した。結果を表1に示す。
○:錆が発生していない。
△:点状に錆が発生している。
×:試験片の大部分に錆が発生している。
××:試験片の全面に錆が発生している。
試験片をティッシュで包み、水を含浸させた。湿潤状態を2日間維持できるように、定期的に水を含浸させ、腐食試験を行った。腐食試験後の試験片について目視観察し、錆の発生の有無について、以下の評価基準にて評価した。結果を表1に示す。
○:錆が発生していない。
△:点状に錆が発生している。
×:試験片の大部分に錆が発生している。
××:試験片の全面に錆が発生している。
[実施例2]
乾燥後の膜厚が4μmになるように、基材の表面に混合液を3回刷毛塗りした以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
乾燥後の膜厚が4μmになるように、基材の表面に混合液を3回刷毛塗りした以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
混合液10mLに、無機フィラーとしてセラミックス(シーアイ化成社製、「ナノテックY2O3」)を0.2g添加したものを用いて基材の表面を刷毛塗りした以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
混合液10mLに、無機フィラーとしてセラミックス(シーアイ化成社製、「ナノテックY2O3」)を0.2g添加したものを用いて基材の表面を刷毛塗りした以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
無機フィラーの代わりに有機フィラーとしてポリ4フッ化エチレン(喜多村社製、「KTL500F」)を用いた以外は、実施例3と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
無機フィラーの代わりに有機フィラーとしてポリ4フッ化エチレン(喜多村社製、「KTL500F」)を用いた以外は、実施例3と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
ポリシラザンとして、ペルヒドロポリシラザンの代わりにポリオルガノシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、「NL720」)を用いた以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
ポリシラザンとして、ペルヒドロポリシラザンの代わりにポリオルガノシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、「NL720」)を用いた以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
コーティング膜の形成後、ポリシラザン溶液Bをコーティング膜上に塗布する前に、大気中にて、250℃で1時間熱処理を行った以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
コーティング膜の形成後、ポリシラザン溶液Bをコーティング膜上に塗布する前に、大気中にて、250℃で1時間熱処理を行った以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
ポリシラザン膜を形成した後、過酸化水素水(過酸化水素水濃度3%)を滴下して、ポリシラザン膜上に過酸化水素水層(水層)を形成し、該過酸化水素水層にCO2レーザ(ヨシダ製作所社製、「OPELASER、03SII」)を照射して、コーティング膜上にシリカ膜を形成した以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、CO2レーザ照射条件は、出力1.0W、ジャストフォーカス(照射筒先端と基材照射面の距離:10mm)で2分間照射を2回繰り返した。
ポリシラザン膜を形成した後、過酸化水素水(過酸化水素水濃度3%)を滴下して、ポリシラザン膜上に過酸化水素水層(水層)を形成し、該過酸化水素水層にCO2レーザ(ヨシダ製作所社製、「OPELASER、03SII」)を照射して、コーティング膜上にシリカ膜を形成した以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、CO2レーザ照射条件は、出力1.0W、ジャストフォーカス(照射筒先端と基材照射面の距離:10mm)で2分間照射を2回繰り返した。
[実施例8]
ポリシラザン膜を形成した後、過酸化水素水(過酸化水素水濃度3%)を滴下して、ポリシラザン膜上に過酸化水素水層を形成し、これを電子レンジ(日立社製、「HITACHI MR−M220」)内に配置し、過酸化水素水層にマイクロ波を照射して、コーティング膜上にシリカ膜を形成した以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、マイクロ波の照射条件は、周波数2450MHz、出力500Wで1分間照射を2回繰り返した。
ポリシラザン膜を形成した後、過酸化水素水(過酸化水素水濃度3%)を滴下して、ポリシラザン膜上に過酸化水素水層を形成し、これを電子レンジ(日立社製、「HITACHI MR−M220」)内に配置し、過酸化水素水層にマイクロ波を照射して、コーティング膜上にシリカ膜を形成した以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、マイクロ波の照射条件は、周波数2450MHz、出力500Wで1分間照射を2回繰り返した。
[実施例9]
ポリシラザン膜を形成した後、O2ガスを5容量%含むArガスを1000sccmで供給して、大気圧プラズマ装置(NUエコ・エンジニアリング社製)を用いて、大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に5分間吹き付けて、コーティング膜上にシリカ膜を形成した以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
ポリシラザン膜を形成した後、O2ガスを5容量%含むArガスを1000sccmで供給して、大気圧プラズマ装置(NUエコ・エンジニアリング社製)を用いて、大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に5分間吹き付けて、コーティング膜上にシリカ膜を形成した以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例10]
ポリシラザン膜を形成した後、過酸化水素水(過酸化水素濃度3%)を滴下して、ポリシラザン膜上に過酸化水素水層を形成し、O2ガスを7容量%含むArガスを1000sccmで供給して、大気圧プラズマ装置(NUエコ・エンジニアリング社製)を用いて、大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に1分間吹き付けて、コーティング膜上にシリカ膜を形成した以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
ポリシラザン膜を形成した後、過酸化水素水(過酸化水素濃度3%)を滴下して、ポリシラザン膜上に過酸化水素水層を形成し、O2ガスを7容量%含むArガスを1000sccmで供給して、大気圧プラズマ装置(NUエコ・エンジニアリング社製)を用いて、大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスをポリシラザン膜に1分間吹き付けて、コーティング膜上にシリカ膜を形成した以外は、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成し、試験片の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で用いた基材の表面に、乾燥後の膜厚が3μmになるように、実施例1で調製したポリシラザン溶液Aを2回刷毛塗りし、25℃で30分間自然乾燥し、ポリシラザン膜を形成した。その後、大気中にて、250℃で1時間熱処理を行い、基材上にシリカ膜を形成し、試験片を得た。得られた試験片について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1で用いた基材の表面に、乾燥後の膜厚が3μmになるように、実施例1で調製したポリシラザン溶液Aを2回刷毛塗りし、25℃で30分間自然乾燥し、ポリシラザン膜を形成した。その後、大気中にて、250℃で1時間熱処理を行い、基材上にシリカ膜を形成し、試験片を得た。得られた試験片について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1で用いた基材の表面に、乾燥後の膜厚が1μmになるように、実施例1で調製したポリシラザン溶液Bを2回刷毛塗りし、25℃で30分間自然乾燥し、ポリシラザン膜を形成した。その後、大気中にて、250℃で1時間熱処理を行い、基材上にシリカ膜を形成し、試験片を得た。得られた試験片について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1で用いた基材の表面に、乾燥後の膜厚が1μmになるように、実施例1で調製したポリシラザン溶液Bを2回刷毛塗りし、25℃で30分間自然乾燥し、ポリシラザン膜を形成した。その後、大気中にて、250℃で1時間熱処理を行い、基材上にシリカ膜を形成し、試験片を得た。得られた試験片について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1で用いた基材の表面に、乾燥後の膜厚が3μmになるように、実施例1で調製した混合液を2回刷毛塗りし、25℃で30分間自然乾燥し、コーティング膜を形成した。その後、大気中にて、250℃で1時間熱処理を行い、試験片を得た。得られた試験片について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1で用いた基材の表面に、乾燥後の膜厚が3μmになるように、実施例1で調製した混合液を2回刷毛塗りし、25℃で30分間自然乾燥し、コーティング膜を形成した。その後、大気中にて、250℃で1時間熱処理を行い、試験片を得た。得られた試験片について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1で用いた基材の表面に、乾燥後の膜厚が1μmになるように、実施例1で調製したポリシラザン溶液Bを2回刷毛塗りし、25℃で30分間自然乾燥し、ポリシラザン膜を形成した。
ついで、乾燥後の膜厚が3μmになるように、実施例1で調製した混合液を2回刷毛塗りし、25℃で30分間自然乾燥し、コーティング膜を形成した。その後、大気中にて、250℃で1時間熱処理を行い、試験片を得た。得られた試験片について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1で用いた基材の表面に、乾燥後の膜厚が1μmになるように、実施例1で調製したポリシラザン溶液Bを2回刷毛塗りし、25℃で30分間自然乾燥し、ポリシラザン膜を形成した。
ついで、乾燥後の膜厚が3μmになるように、実施例1で調製した混合液を2回刷毛塗りし、25℃で30分間自然乾燥し、コーティング膜を形成した。その後、大気中にて、250℃で1時間熱処理を行い、試験片を得た。得られた試験片について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例5]
実施例1で用いた基材について、実施例1と同様にして腐食試験を行った。結果を表1に示す。
実施例1で用いた基材について、実施例1と同様にして腐食試験を行った。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、各実施例の場合、クラックが発生しにくく、かつ耐食性に優れた複合膜を形成できた。各実施例では、基材の面粗度に影響を受けることなく、シリカ膜の耐食性を十分に発揮でき、基材の腐食を抑制できた。
一方、比較例1、2の場合、基材とシリカ膜との間にコーティング膜を形成させなかったので、基材の表面状態の影響を受け、膜欠陥が生じやすかった。そのため、耐食性が低下し、腐食試験を行うと試験片の大部分に錆が発生した。また、比較例1の場合は、シリカ膜のみであるため、250℃で熱処理を行うと膜厚3μmでは熱膨張率の差が大きく、その結果、クラックが発生した。
比較例3の場合、コーティング膜上にシリカ膜を形成しなったので、コーティング膜が表面に露出していることになり、熱処理によりコーティング膜中の樹脂の一部が消失したため耐食性が低下し、腐食試験を行うと試験片に点状に錆が発生した。
比較例4の場合、ポリシラザン膜を形成した後に、コーティング膜を形成したので、コーティング膜が表面に露出していることになり、熱処理によりコーティング膜中の樹脂の一部が消失したため耐食性が低下し、腐食試験を行うと試験片に点状に錆が発生した。
比較例5の場合、基材表面にコーティング膜やシリカ膜を形成させなかったので、各比較例のうち、最も錆が発生した。
一方、比較例1、2の場合、基材とシリカ膜との間にコーティング膜を形成させなかったので、基材の表面状態の影響を受け、膜欠陥が生じやすかった。そのため、耐食性が低下し、腐食試験を行うと試験片の大部分に錆が発生した。また、比較例1の場合は、シリカ膜のみであるため、250℃で熱処理を行うと膜厚3μmでは熱膨張率の差が大きく、その結果、クラックが発生した。
比較例3の場合、コーティング膜上にシリカ膜を形成しなったので、コーティング膜が表面に露出していることになり、熱処理によりコーティング膜中の樹脂の一部が消失したため耐食性が低下し、腐食試験を行うと試験片に点状に錆が発生した。
比較例4の場合、ポリシラザン膜を形成した後に、コーティング膜を形成したので、コーティング膜が表面に露出していることになり、熱処理によりコーティング膜中の樹脂の一部が消失したため耐食性が低下し、腐食試験を行うと試験片に点状に錆が発生した。
比較例5の場合、基材表面にコーティング膜やシリカ膜を形成させなかったので、各比較例のうち、最も錆が発生した。
10:複合膜、11:コーティング膜、12:シリカ膜、20:基材。
Claims (11)
- 基板上に設けられた、シリカと樹脂を含有するコーティング膜と、該コーティング膜上に設けられたシリカ膜とを備えたことを特徴とする複合膜。
- 前記樹脂が、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の複合膜。
- 前記コーティング膜が、無機フィラーおよび/または有機フィラーを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の複合膜。
- 基材上に、ポリシラザンと、樹脂と、ポリシラザンとは反応せず、かつポリシラザンが溶解する溶媒とを含有する混合液を塗布し、乾燥させてコーティング膜を形成するコーティング膜形成工程と、
前記コーティング膜上に、ポリシラザン溶液を塗布し、乾燥させてポリシラザン膜を形成するポリシラザン膜形成工程と、
前記ポリシラザン膜中のポリシラザンをシリカに転化して、シリカ膜を形成するシリカ膜形成工程とを有することを特徴とする複合膜の形成方法。 - 前記ポリシラザン膜形成工程の前に、前記コーティング膜中のポリシラザンをシリカに転化することを特徴とする請求項4に記載の複合膜の形成方法。
- 前記樹脂が、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項4または5に記載の複合膜の形成方法。
- 前記混合液が、無機フィラーおよび/または有機フィラーを含有することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の複合膜の形成方法。
- 前記ポリシラザンのシリカへの転化は、熱処理によりなされることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の複合膜の形成方法。
- 前記ポリシラザンのシリカへの転化は、レーザ光またはマイクロ波の照射によりなされることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の複合膜の形成方法。
- 前記ポリシラザンのシリカへの転化は、大気圧プラズマ領域を通過させたキャリアガスの吹き付けによりなされることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の複合膜の形成方法。
- 前記キャリアガスの吹き付けは、過酸化水素水を含む雰囲気下において行われることを特徴とする請求項10に記載の複合膜の形成方法。
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- 2008-12-09 JP JP2008313300A patent/JP2010137372A/ja not_active Withdrawn
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