JP2014209555A - 電気二重層キャパシタ用電極及び電気二重層キャパシタ - Google Patents

電気二重層キャパシタ用電極及び電気二重層キャパシタ Download PDF

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威 下村
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透 角谷
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Shigeki Kihara
重来 木原
雅敏 小野
Masatoshi Ono
雅敏 小野
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Abstract

【課題】高エネルギー密度の電気二重層キャパシタを提供する。【解決手段】この電気二重層キャパシタ1は、正極側多孔体を含む正極活物質層12を有する正極10と、負極側多孔体を含む負極活物質層22を有する負極20とを備え、正極活物質層12の正極側多孔体と負極活物質層22の負極側多孔体とのうち少なくともいずれか一方には、充放電時に酸化還元反応を生じる酸化還元物質が吸着されている。【選択図】図1

Description

この発明は、電気二重層キャパシタ用電極及び当該電極を備えた電気二重層キャパシタに関する。
従来、出力密度に優れ、満充放電時間が短く、サイクル寿命にも優れた蓄電デバイスとして、電気二重層キャパシタ(「スーパーキャパシタ」ともいう)が知られている。電気二重層キャパシタは、スマートフォン、フォークリフト、アイドルストップ車等の様々な産業用機器、OA機器、家電・工具等に搭載されている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
上記特許文献1には、負極活物質を有する負極と電解質と正極とを有する蓄電デバイスが開示されている。この蓄電デバイスの正極は、集電体と、集電体の表面に形成された、導電材および有機高分子化合物を正極活物質とを含んでいる。また、正極活物質として含まれる有機高分子化合物は、少なくとも2電子以上が関与する多電子反応の反応機構を有している。
上記特許文献2には、正極と、負極と、電解質とを含む蓄電デバイスなどが提案されている。蓄電デバイスでは、正極および負極のうちの少なくともいずれか一方が、酸化還元反応に寄与する部位を有する有機化合物を活物質として含んでいる。また、活物質として含まれる有機化合物は、充電状態および放電状態の両方において結晶質であるように構成されている。
また、上記特許文献1の正極や、上記特許文献2の正極および負極のうちの少なくともいずれか一方には、活物質として有機高分子化合物や有機化合物がそのままの状態で含まれている。
上記特許文献3には、電極集電体上に2層以上の活物質層を含み、当該2層以上の活物質層が活性炭層及びグラフェン層である多層構造の電極を備えたスーパーキャパシタが提案されている。
特開2007−305461号公報 国際公開第2007/132786号 特開2012−114396号公報
しかしながら、上記特許文献1、上記特許文献2および上記特許文献3に記載の蓄電デバイスなどの従来の電気二重層キャパシタには、リチウムイオン充電池やニッケル水素充電池などの化学電池に比べてエネルギー密度が小さいという欠点がある。よって、更なるアプリケーション拡大のために、電気二重層キャパシタのエネルギー密度の向上が求められている。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、高エネルギー密度の電気二重層キャパシタおよびそれを達成するための電気二重層キャパシタ用電極を提供することである。
この発明の第1の局面による電気二重層キャパシタ用電極は、正極側多孔体を含む正極活物質層を有する正極と、負極側多孔体を含む負極活物質層を有する負極とを備え、正極活物質層の正極側多孔体と負極活物質層の負極側多孔体とのうち少なくともいずれか一方には、充放電時に酸化還元反応を生じる酸化還元物質が吸着されている。
この発明の第1の局面による電気二重層キャパシタ用電極では、正極活物質層の正極側多孔体と負極活物質層の負極側多孔体とのうち少なくともいずれか一方に、充放電時に酸化還元反応を生じる酸化還元物質を吸着させることによって、多孔体により、電気二重層の面積を大きくして電気二重層容量を増加させることができるだけでなく、さらに、その電気二重層容量に酸化還元物質の酸化還元反応に伴う擬似容量を付加することができるので、高エネルギー密度の電気二重層キャパシタを提供することができる。
上記第1の局面による電気二重層キャパシタ用電極において、好ましくは、正極側多孔体には、充電時に酸化反応を生じて還元状態から酸化状態になり、放電時に還元反応を生じて酸化状態から還元状態になる酸化還元物質が吸着されており、負極側多孔体には、充電時に還元反応を生じて酸化状態から還元状態になり、放電時に酸化反応を生じて還元状態から酸化状態になる酸化還元物質が吸着されている。このように構成すれば、正極では充電時に電子が放出され放電時に電子を受け取るので、充電時に、正極側多孔体に吸着された酸化還元物質が酸化反応を生じて還元状態から酸化状態になることにより酸化還元物質からも電子の放出が行われるので、正極からより多くの電子を放出することができる。また、放電時に、正極側多孔体に吸着された酸化還元物質が還元反応を生じて酸化状態から還元状態になることにより酸化還元物質においても電子の受け取りが行われるので、正極により多くの電子を受け取らせることができる。また、負極では充電時に電子を受け取り放電時に電子が放出されるので、充電時に、負極側多孔体に吸着された酸化還元物質が還元反応を生じて酸化状態から還元状態になることにより酸化還元物質においても電子の受け取りが行われるので、負極により多くの電子を受け取らせることができる。また、放電時に、負極側多孔体に吸着された酸化還元物質が酸化反応を生じて還元状態から酸化状態になることにより酸化還元物質からも電子の放出が行われるので、負極からより多くの電子を放出することができる。これらの結果、正極および負極の両方において擬似容量をより大きくすることができるので、より高エネルギー密度の電気二重層キャパシタを提供することができる。
上記第1の局面による電気二重層キャパシタ用電極において、好ましくは、負極側多孔体には、酸化還元物質が吸着されており、正極側多孔体には、負極側多孔体に吸着された酸化還元物質よりも酸化還元電位が高い酸化還元物質が吸着されている。このように構成すれば、負極側多孔体に吸着された酸化還元物質と正極側多孔体に吸着された酸化還元物質とが共に酸化状態である場合で、かつ、その後に充電を行った場合には、負極側多孔体の酸化還元物質を酸化状態から還元状態にすることができる。また、負極側多孔体の酸化還元物質と正極側多孔体の酸化還元物質とが共に酸化状態である場合で、かつ、その後に放電を行った場合には、正極側多孔体の酸化還元物質を酸化状態から還元状態にすることができる。さらに、負極側多孔体の酸化還元物質と正極側多孔体の酸化還元物質とが共に還元状態である場合で、かつ、その後に充電を行った場合には、正極側多孔体の酸化還元物質を還元状態から酸化状態にすることができる。また、負極側多孔体の酸化還元物質と正極側多孔体の酸化還元物質とが共に還元状態である場合で、かつ、その後に放電を行った場合には、負極側多孔体の酸化還元物質を還元状態から酸化状態にすることができる。これらの結果、負極側多孔体の酸化還元物質と正極側多孔体の酸化還元物質とが共に同一の酸化還元状態であったとしても擬似容量を生じさせることができるので、高エネルギー密度の電気二重層キャパシタを提供することができる。
上記第1の局面による電気二重層キャパシタ用電極において、好ましくは、正極側多孔体および負極側多孔体の少なくともいずれか一方に吸着される酸化還元物質は、複数の電子の移動を伴う多電子酸化還元反応を生じることが可能な酸化還元物質からなる。このように構成すれば、酸化還元物質において授受可能な電子の数を大きくすることができるので、さらに高エネルギー密度の電気二重層キャパシタを提供することができる。
上記第1の局面による電気二重層キャパシタ用電極において、好ましくは、正極側多孔体および負極側多孔体の少なくともいずれか一方に吸着される酸化還元物質は、下記の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体、下記の一般式(2)で表されるカテコール誘導体、下記の一般式(3)で表されるレゾルシノール誘導体、下記の一般式(4)で表されるベンゾキノン誘導体および下記の一般式(5)で表されるベンゾキノン誘導体の中から選択される酸化還元物質である。
Figure 2014209555
(ただし、式中R1、R2、R3およびR4は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、ホルミル基、スルホン酸基(一部または全部がカチオンと塩を形成していてもよい)、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基の中から選択される基を表す。あるいは、式中R1およびR2の組と式中R3およびR4の組とのうち少なくとも1組は、互いに縮合して5員または6員の縮合環を形成していてもよい。)
Figure 2014209555
(ただし、式中R5、R6、R7およびR8は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、ホルミル基、スルホン酸基(一部または全部がカチオンと塩を形成していてもよい)、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基の中から選択される基を表す。あるいは、式中R5およびR6の組と式中R6およびR7の組と式中R7およびR8の組とのうち少なくとも1組は、互いに縮合して5員または6員の縮合環を形成していてもよい。)
Figure 2014209555
(ただし、式中R9、R10、R11およびR12は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、ホルミル基、スルホン酸基(一部または全部がカチオンと塩を形成していてもよい)、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基の中から選択される基を表す。あるいは、式中R10およびR11の組と式中R11およびR12の組とのうちいずれか1組は、互いに縮合して5員または6員の縮合環を形成していてもよい。)
Figure 2014209555
(ただし、式中R21、R22、R23およびR24は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、ホルミル基、スルホン酸基(一部または全部がカチオンと塩を形成していてもよい)、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基の中から選択される基を表す。あるいは、式中R21およびR22の組と式中R23およびR24の組とのうち少なくとも1組は、互いに縮合して5員または6員の縮合環を形成していてもよい。)
Figure 2014209555
(ただし、式中R25、R26、R27およびR28は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、ホルミル基、スルホン酸基(一部または全部がカチオンと塩を形成していてもよい)、カルボキシル基およびアルコキシカルボニル基の中から選択される基を表す。あるいは、式中R25およびR26の組と式中R26およびR27の組と式中R27およびR28の組とのうち少なくとも1組は、互いに縮合して5員または6員の縮合環を形成していてもよい。)
このように構成すれば、酸化還元物質として、上記一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体、一般式(2)で表されるカテコール誘導体、一般式(3)で表されるレゾルシノール誘導体、一般式(4)および(5)で表されるベンゾキノン誘導体の中から選択される酸化還元物質を用いることによって、電気二重層キャパシタの充放電時に、電気二重層キャパシタ用電極においてより酸化還元反応が有効に生じるので、電気二重層キャパシタの高エネルギー密度化を容易に達成することができる。
上記第1の局面による電気二重層キャパシタ用電極において、好ましくは、正極側多孔体および負極側多孔体の少なくともいずれか一方に吸着される酸化還元物質は、充放電時に酸化還元反応を生じるキノン補酵素およびビタミン補酵素の中から選択される酸化還元物質である。このように構成すれば、電気二重層キャパシタの充放電時に、電気二重層キャパシタ用電極において酸化還元反応が有効に生じるので、電気二重層キャパシタの高エネルギー密度化を容易に達成することができる。
上記第1の局面による電気二重層キャパシタ用電極において、好ましくは、正極側多孔体および負極側多孔体の少なくともいずれか一方は、導電性炭素材料からなる多孔体である。このように構成すれば、導電性炭素材料からなる多孔体を用いることによって、多孔体に添加する導電助剤を削減するかまたは減少させることができる。これにより、電気二重層キャパシタ用電極の製造コストを抑えることができるとともに、導電助剤の種類や量の選択の自由度を増加させることができる。
この発明の第2の局面による電気二重層キャパシタは、正極側多孔体を含む正極活物質層を有する正極と、負極側多孔体を含む負極活物質層を有する負極とを備え、正極活物質層の正極側多孔体と負極活物質層の負極側多孔体とのうち少なくともいずれか一方には、充放電時に酸化還元反応を生じる酸化還元物質が吸着されている。
この発明の第2の局面による電気二重層キャパシタでは、正極活物質層の正極側多孔体と負極活物質層の負極側多孔体とのうち少なくともいずれか一方に、充放電時に酸化還元反応を生じる酸化還元物質を吸着させることによって、多孔体により、電気二重層の面積を大きくして電気二重層容量を増加させることができるだけでなく、さらに、その電気二重層容量に酸化還元物質の酸化還元反応に伴う擬似容量を付加することができるので、高エネルギー密度の電気二重層キャパシタを提供することができる。
この発明の第3の局面による電気二重層キャパシタ用電極は、正極側多孔体を含む正極活物質層を有する正極と、負極側多孔体を含む負極活物質層を有する負極とを備え、正極活物質層の正極側多孔体と負極活物質層の負極側多孔体とのうち少なくともいずれか一方には、充放電時に酸化還元反応を生じるキノン補酵素およびビタミン補酵素の少なくともいずれか一方が吸着されている。
この発明の第3の局面による電気二重層キャパシタ用電極では、正極活物質層の正極側多孔体と負極活物質層の負極側多孔体とのうち少なくともいずれか一方に、充放電時に酸化還元反応を生じるキノン補酵素およびビタミン補酵素の少なくともいずれか一方を吸着させることによって、多孔体により、電気二重層の面積を大きくして電気二重層容量を増加させることができるだけでなく、さらに、その電気二重層容量にキノン補酵素(ビタミン補酵素)の酸化還元反応に伴う擬似容量を付加することができるので、高エネルギー密度の電気二重層キャパシタを提供することができる。
本発明によれば、上記のように、高エネルギー密度の電気二重層キャパシタおよびそれを達成するための電気二重層キャパシタ用電極を提供することができる。
本発明の一実施形態による電気二重層キャパシタを示す分解斜視図である。 本発明の一実施形態による電気二重層キャパシタを示す断面図である。 キノン系物質の一例としてHQ(還元状態)の充放電時に生じる酸化還元反応を説明するための図である。 補酵素の一例としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの充放電時に生じる酸化還元反応を説明するための図である。 実施例、参考例および比較例の電気二重層キャパシタの充放電曲線を示す図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態による電気二重層キャパシタ1について説明する。
電気二重層キャパシタ1は、図1および図2に示すように、主に、互いに対向して配置された正極集電体11および負極集電体21と、正極集電体11の一方の面(負極集電体21側の面)に形成された正極活物質層12と、負極集電体21の一方の面(正極集電体11側の面)に形成された負極活物質層22と、正極活物質層12と負極活物質層22との間に配置されたセパレータ30と、これらを収納するための収納体40とを備えている。なお、図1においては、収納体40の図示を省略している。
集電体11および21(正極集電体11および負極集電体21)は、それぞれ、活物質層12および22(正極活物質層12および負極活物質層22)と図示しない外部回路とを電気的に接続する役割を果たす。集電体11および21には、それぞれ、収納体40の外部に引き出され、外部回路と接続される端子11aおよび21aが形成されている。
集電体11および21の材料としては、(1)電子伝導性に優れること、(2)キャパシタ内部で安定に存在すること、(3)キャパシタ内部での体積を縮小できること(薄膜化)、(4)単位体積あたりの重量が小さいこと(軽量化)、(5)加工が容易であること、(6)実用的強度があること、(7)密着性があること(機械的密着)、(8)電解液により腐食・溶解しないこと等の特性を有する材料であるのが好ましく、たとえば、プラチナ、アルミニウム、金、銀、銅、チタン、ニッケル、鉄またはステンレス鋼などの金属電極材料であってもよいし、カーボン、導電性ゴムまたは導電性ポリマーなどの非金属電極材料であってもよい。また、収納体40の少なくとも内面を金属電極材料および非金属電極材料の少なくともいずれか一方で形成するとともに、その内面に活物質層12および22を設けることも可能である。この場合、収納体40が集電体11および21を兼ねる。
また、電気二重層キャパシタ1の正極10は、正極集電体11と、正極集電体11の表面に設けられた正極活物質層12とにより構成されている。また、電気二重層キャパシタ1の負極20は、負極集電体21と、負極集電体21の表面に設けられた負極活物質層22とにより構成されている。なお、正極10および負極20は、本発明の「電気二重層キャパシタ用電極」の一例である。
活物質層12および22は、それぞれ、集電体11および21の表面に設けられ、セパレータ30に含まれる電解液との界面に電気二重層を形成する役割を果たす。活物質層12および22には、各々、多孔体(正極側多孔体および負極側多孔体)と、導電助剤と、バインダー樹脂とが含まれている。
活物質層12および22に含まれる多孔体は、セパレータ30に含まれる電解液との接触面積を増加させて、電気二重層キャパシタ1の静電容量を増加させる役割を果たす。多孔体は、活性炭等の導電性多孔体であってもよいし、シリカ等の絶縁性多孔体であってもよいが、電極材料として用いる等の観点から導電性多孔体であるのが好ましい。さらに、多孔体は、導電性多孔体の中でも、製造コスト等の観点から、導電性炭素材料からなる多孔体であるのがより好ましい。なお、導電助剤の種類や量を適宜選択することによって、活物質層12および22に含まれる多孔体として、絶縁性多孔体も好適に用いることが可能である。
ここで、本実施形態では、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体と、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体とのうち少なくともいずれか一方には、電気二重層キャパシタ1の充放電時に酸化還元反応を生じる酸化還元物質が吸着している。なお、酸化還元物質は、多孔体に、ファンデルワールス力により物理吸着していてもよいし、共有結合により化学吸着していてもよい。
酸化還元物質は、酸化還元反応による電子の授受によって、電気二重層キャパシタ1の静電容量を擬似的に増加させる役割を果たす。多孔体に吸着させる酸化還元物質は、適宜に選択可能であるが、高容量化等の観点から、複数の電子の移動を伴う多電子酸化還元反応を生じる酸化還元物質が好ましい。
多電子酸化還元反応を生じる酸化還元物質としては、たとえば、還元状態においてケトン基が還元された水酸基になり、酸化状態において水酸基が酸化されたケトン基になる官能基を有するとともに、2つの電子の移動を伴う二電子酸化還元反応を生じるキノン系物質を用いることができる。
キノン系物質としては、たとえば、上記一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体、上記一般式(2)で表されるカテコール誘導体、上記一般式(3)で表されるレゾルシノール誘導体、上記一般式(4)および(5)で表されるベンゾキノン誘導体等を用いることができる。
下記の式(6)に、上記一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体(1,4−Hydroquinone(HQ))の例を示すが、これは例示であり、上記一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体を限定するものではない。
Figure 2014209555
下記の式(7)〜(10)に、上記一般式(4)で表されるベンゾキノン誘導体の例を示すが、これらは例示であり、上記一般式(4)で表されるベンゾキノン誘導体を限定するものではない。なお、式(7)は、1,4−benzoquinoneであり、式(8)は2,5−Dihydroxy−1,4−benzoquinone(BQ)である。また、式(9)は2,5−Dimethoxy−1,4−benzoquinone(DEBQ)であり、式(10)はanthracene−9,10−dione(anthraquinone)である。
Figure 2014209555
Figure 2014209555
Figure 2014209555
Figure 2014209555
下記の式(11)に、上記一般式(5)で表されるベンゾキノン誘導体(1,2−Napthoquinone−4−sulfonic acid sodium salt(NQ))の例を示すが、これは例示であり、上記一般式(5)で表されるベンゾキノン誘導体を限定するものではない。
Figure 2014209555
また、上記一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体には、それを環拡張した環拡張ハイドロキノン誘導体も含まれる。同様に、上記一般式(2)で表されるカテコール誘導体には、それを環拡張した環拡張カテコール誘導体も含まれる。同様に、上記一般式(3)で表されるレゾルシノール誘導体には、それを環拡張した環拡張レゾルシノール誘導体も含まれる。
また、上記一般式(4)で表されるベンゾキノン誘導体には、それを環拡張した環拡張ベンゾキノン誘導体も含まれる。下記の式(12)に、当該環拡張ベンゾキノン誘導体(5,7,12,14−Pentacenetetrone(PCT))の例を示すが、これは例示であり、当該環拡張ベンゾキノン誘導体を限定するものではない。同様に、上記一般式(5)で表されるベンゾキノン誘導体には、それを環拡張した環拡張ベンゾキノン誘導体も含まれる。
Figure 2014209555
ここで、酸化還元物質には、電子を放出する還元状態の酸化還元物質と、電子を受け取る酸化状態の酸化還元物質とがある。
具体的には、たとえば、上記一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体は、還元状態の酸化還元物質であり、たとえば図3に示すように、電子を放出する反応(酸化反応)によって当該誘導体の有する水酸基がケトン基に変化し、酸化状態になる。上記一般式(2)で表されるカテコール誘導体や、上記一般式(3)で表されるレゾルシノール誘導体についても同様である。
また、たとえば、上記一般式(4)で表されるベンゾキノン誘導体は、酸化状態の酸化還元物質であり、たとえば図3に示すように、電子を受け取る反応(還元反応)によって当該誘導体の有するケトン基が水酸基に変化し、還元状態になる。上記一般式(5)で表されるベンゾキノン誘導体についても同様である。
酸化還元反応による電子の授受によって、電気二重層キャパシタ1の静電容量を増加させるためには、活物質層12および22に含まれる多孔体に吸着固定されている酸化還元物質は、電気二重層キャパシタ1の充放電時に酸化還元反応を生じる必要がある。
また、本実施形態では、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体に酸化還元物質が吸着されている場合、正極側多孔体には、充電時に酸化反応を生じて還元状態から酸化状態になり、放電時に還元反応を生じて酸化状態から還元状態になる酸化還元物質が吸着されている。また、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体に酸化還元物質が吸着されている場合、負極側多孔体には、充電時に還元反応を生じて酸化状態から還元状態になり、放電時に酸化反応を生じて還元状態から酸化状態になる酸化還元物質が吸着されている。
正極10は、電気二重層キャパシタ1の充電時に電子が流入し、放電時に電子が流出する電極である。したがって、充放電を電気二重層キャパシタ1の充電状態からはじめて放電させる場合(定電流放電)には、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体に、電子を受け取る酸化状態の酸化還元物質を吸着させ、充放電をキャパシタの放電状態からはじめて充電させる場合(定電流充電)には、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体に、電子を放出する還元状態の酸化還元物質を吸着させておけば、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体に吸着されている酸化還元物質は、電気二重層キャパシタ1の充放電時に酸化還元反応を生じ、擬似的な容量を発現することができる。
また、負極20は、電気二重層キャパシタ1の充電時に電子が流出し、放電時に電子が流入する電極である。したがって、充放電をキャパシタの充電状態からはじめて放電させる場合(定電流放電)には、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体に、電子を放出する還元状態の酸化還元物質を吸着させ、充放電をキャパシタの放電状態からはじめて充電させる場合(定電流充電)には、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体に、電子を受け取る酸化状態の酸化還元物質を吸着させておけば、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体に吸着されている酸化還元物質は、電気二重層キャパシタ1の充放電時に酸化還元反応を生じ、擬似的な容量を発現することができる。
このように、多孔体を含む活物質層12および22を集電体11および21の表面にそれぞれ設けることにより、活物質層に多孔体が含まれていない場合と比較して電気二重層の面積が大きくなるので、電気二重層容量が増加し、その結果、電気二重層キャパシタ1の高容量化が可能となる。さらに、正極活物質層に含まれる正極側多孔体と負極活物質層に含まれる負極側多孔体とのうち少なくともいずれか一方に、充放電時に酸化還元反応を生じる酸化還元物質を吸着させることにより、当該酸化還元物質の酸化還元反応による電子の授受を擬似容量として電気二重層容量に加えることができるので、電気二重層キャパシタ1の更なる高容量化が可能となる。
電気二重層キャパシタ1の静電エネルギーUは、U=(1/2)CVで表され、静電容量Cに比例し、電圧Vの二乗に比例する。すなわち、電気二重層キャパシタ1の静電容量が増加すれば、電気二重層キャパシタ1のエネルギー密度も増加する。したがって、多孔体によって電気二重層容量を増加させ、さらにその電気二重層容量に、酸化還元物質の酸化還元反応に伴う擬似容量を付加することにより、電気二重層キャパシタ1の高エネルギー密度化が可能となる。
なお、多孔体に吸着させる酸化還元物質は、キノン系物質に限ることはなく、充放電時に酸化還元反応を生じる酸化還元物質であれば適宜任意に変更可能である。
充放電時に酸化還元反応を生じる還元状態の酸化還元物質は、たとえば、上記一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体や上記一般式(2)で表されるカテコール誘導体や上記一般式(3)で表されるレゾルシノール誘導体の他に、これらの誘導体以外の、水酸基を有する酸化還元物質(好ましくは、複数の水酸基を有する酸化還元物質)であってもよい。
また、水酸基は、酸化反応により酸化状態にされた際には、酸化されてケトン基になり、さらに、還元反応により還元状態にされた際には、ケトン基が還元されて再度水酸基に戻る。つまり、上記一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体や上記一般式(2)で表されるカテコール誘導体や上記一般式(3)で表されるレゾルシノール誘導体などの水酸基を有する酸化還元物質は、還元状態においてケトン基が還元された水酸基になり、酸化状態において水酸基が酸化されたケトン基になる官能基を有している。
充放電時に酸化還元反応を生じる酸化状態の酸化還元物質は、たとえば、上記一般式(4)および(5)で表されるベンゾキノン誘導体の他に、これらの誘導体以外の、ケトン基を有する酸化還元物質(好ましくは、複数のケトン基を有する酸化還元物質)であってもよい。上記一般式(4)および(5)で表されるベンゾキノン誘導体以外の、ケトン基を有する酸化還元物質としては、たとえば、IngigoやIngigo Carmineなどがある。
このケトン基は、還元反応により還元状態にされた際には、還元されて水酸基になり、さらに、酸化反応により酸化状態にされた際には、水酸基が酸化されて再度ケトン基に戻る。つまり、上記一般式(4)および(5)で表されるベンゾキノン誘導体などのケトン基を有する酸化還元物質は、還元状態においてケトン基が還元された水酸基になり、酸化状態において水酸基が酸化されたケトン基になる官能基を有している。
また、多電子酸化還元反応を生じる酸化還元物質として、キノン補酵素やビタミン補酵素などの補酵素を用いることもできる。
キノン補酵素としては、たとえば、ピロロキノリンキノン、トパキノン、トリプトファン-トリプトフィルキノン、リシンチロシルキノン、システニル-トリプトファンキノンなどを用いることができる。
ビタミン補酵素としては、たとえば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、チアミン二リン酸、パントテン酸などを用いることができる。
また、多電子酸化還元反応を生じる酸化還元物質としては、その他、ユビキノン、シトクロム、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、プラストキノン、プラストシアニン、フェレドキシン、クロロフィル、フェオフィチン、チオレドキシンなどの電子伝達物質を用いることもできる。
キノン補酵素やビタミン補酵素などの補酵素は、電子を放出する還元型(還元状態)と電子を受け取る酸化型(酸化状態)との2つの状態を取り得る。具体的には、たとえば図4に示すように、還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)は、電子を放出する反応(酸化反応)によって酸化型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)になり、酸化型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)は、電子を受け取る反応(還元反応)によって還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)になる。
正極活物質層12に含まれる正極側多孔体に酸化還元物質として補酵素(キノン補酵素やビタミン補酵素など)を吸着させる際、充放電をキャパシタの充電状態からはじめて放電させる場合(定電流放電)には、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体に、酸化型(酸化状態)の補酵素を吸着させ、充放電をキャパシタの放電状態からはじめて充電させる場合(定電流充電)には、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体に、還元型(還元状態)の補酵素を吸着させておけば、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体に吸着されている補酵素は、電気二重層キャパシタ1の充放電時に酸化還元反応を生じ、擬似的な容量を発現することができる。
また、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体に酸化還元物質として補酵素(キノン補酵素やビタミン補酵素など)を吸着させる際、充放電をキャパシタの充電状態からはじめて放電させる場合(定電流放電)には、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体に、還元型(還元状態)の補酵素を吸着させ、充放電をキャパシタの放電状態からはじめて充電させる場合(定電流充電)には、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体に、酸化型(酸化状態)の補酵素を吸着させておけば、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体に吸着されている補酵素は、電気二重層キャパシタ1の充放電時に酸化還元反応を生じ、擬似的な容量を発現することができる。
また、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体に酸化還元物質が吸着されている場合、正極側多孔体には、充放電時に酸化還元反応を生じる酸化還元物質、すなわち充電時に還元状態から酸化状態になり、放電時に酸化状態から還元状態になる酸化還元物質として、1種類の酸化還元物質が吸着されていてもよいし、複数種類の酸化還元物質が吸着されていてもよい。この際、正極側多孔体にキノン系物質と補酵素との両方を吸着させてもよい。
同様に、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体に酸化還元物質が吸着されている場合、負極側多孔体には、充放電時に酸化還元反応を生じる酸化還元物質、すなわち充電時に酸化状態から還元状態になり、放電時に還元状態から酸化状態になる酸化還元物質として、1種類の酸化還元物質が吸着されていてもよいし、複数種類の酸化還元物質が吸着されていてもよい。この際、負極側多孔体にキノン系物質と補酵素との両方を吸着させてもよい。
また、正極活物質層12には、正極側多孔体として、1種類の多孔体が含まれていてもよいし、複数種類の多孔体が含まれていてもよい。同様に、負極活物質層22には、負極側多孔体として、1種類の多孔体が含まれていてもよいし、複数種類の多孔体が含まれていてもよい。また、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体と、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体とは、同一の多孔体であってもよいし、異なる多孔体であってもよい。
また、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体と、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体との両方に酸化還元物質を吸着させる際、充放電をキャパシタの充電状態からはじめて放電させる場合(定電流放電、放電時)には、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体には酸化状態の酸化還元物質を吸着させるとともに、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体には還元状態の酸化還元物質を吸着させ、充放電をキャパシタの放電状態からはじめて充電させる場合(定電流充電、充電時)には、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体には還元状態の酸化還元物質を吸着させるとともに、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体には酸化状態の酸化還元物質を吸着させるのが好ましい。
また、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体と、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体との両方に同じ状態(酸化状態または還元状態)の酸化還元物質を吸着させてもよい。この場合、ある電位の時に、吸着された正極10側の酸化還元物質と負極20側の酸化還元物質とが酸化状態と還元状態とのどちらの状態で存在しているかは、吸着されたこれらの酸化還元物質の相対的な組み合わせに依存する。
つまり、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体と、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体との両方に同じ状態(酸化状態または還元状態)の酸化還元物質を吸着させる際、充放電をキャパシタの充電状態からはじめる場合も、充放電をキャパシタの放電状態からはじめる場合も、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体に酸化還元電位がより高い酸化還元物質を吸着させるとともに、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体に酸化還元電位がより低い酸化還元物質を吸着させておけば、これらの酸化還元物質は、電気二重層キャパシタ1の充放電時に酸化還元反応を生じ、擬似的な容量を発現することができ、好ましい。
また、多孔体に吸着される酸化還元物質は、酸化状態と還元状態とに可逆的に変化可能な物質であるのが好ましい。
活物質層12および22に含まれる導電助剤は、電気二重層キャパシタ1の内部抵抗を下げる役割を果たす。導電助剤としては、たとえば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックなどを用いることができる。
活物質層12および22に含まれるバインダー樹脂は、多孔体と導電助剤とを混合した状態で互いに固定する役割を果たす。バインダー樹脂としては、たとえば、スチレンブタジエンゴム(SBR)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、テトラフルオロエチレン−プロピレン(FEPM)、エラストマーバインダーなどを用いることができる。また、多孔体と導電助剤とバインダー樹脂とを、湿式法、あるいは、乾式法により混練することによって、活物質層12および22を形成することができるとともに、形成した活物質層12および22を、それぞれ、集電体11および21へコーティングすることができる。
セパレータ30は、隣接する正極10と負極20との間に配置され、収納体40内で正極10と負極20とが接触してショートすることを防止する役割を果たす。セパレータ30の材料としては、電解液を保持可能な絶縁性材料を用いることができ、セパレータ30に含まれる電解液が、水系電解液であるか、非水系電解液であるかで適宜使い分けることが好ましい。具体的には、セパレータ30としては、たとえば、ポリオレフィンや、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、セルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)などのフィルムなどを用いることができる。
セパレータ30に含まれる電解液は、正極活物質層12や負極活物質層22に浸透して、正極集電体11および負極集電体21と電解液との界面に電気二重層を形成する役割を果たす。セパレータ30に含まれる電解液は、水系電解液であってもよいし、非水系電解液であってもよい。
電解液としては、所定の支持電解質の水溶液(水系電解液)または所定の支持電解質を所定の有機溶媒に溶解させたもの(非水系電解液)を用いることができる。所定の支持電解質としては、たとえば、下記の一般式(13)で表される化合物や、下記の一般式(14)で表される化合物などを用いることができる。
Figure 2014209555
(式中Mは、H、Li、Na、K、Rb、Cs、HまたはNHを表す。式中Xは、SO、Cl、OH、ClO、BF、CFSOまたはPFを表す。)
Figure 2014209555
(式中Rは、アルキル基またはアリール基を表す。式中Rは、アルキル基を表す。式中Nは、窒素原子を表す。式中Xは、Cl、Br、I、ClO、BF、CFSOまたはPFを表す。式中nは、0、1または2を表し、式中mは、4−nを表す。)
水系電解液の代表的な支持電解質は、HSOや、HCl、KCl、NaCl、KOH、OHなどであり、非水系電解液の代表的な支持電解質は、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEABF)やテトラエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート(TEAPF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)であるが、支持電解質はこれに限定されるものではない。
所定の有機溶媒としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)などの環状カーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)やジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)などの直鎖カーボネート、γ−ブチルラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)、スルフォラン(SL)やこれらを任意の割合で混合したものなどを用いることができる。
なお、電解液には、1種類の支持電解質が含まれていてもよいし、複数種類の支持電解質が含まれていてもよい。
収納体40は、集電体11および21と、活物質層12および22と、電解液を含むセパレータ30との積層体を収納する役割を果たす。ここで、収納体40と集電体11および21とは絶縁されている。収納体40の材料としては、アルミニウムやステンレス鋼、チタン、ニッケル、プラチナ、金などからなるラミネートフィルム材、あるいはこれらの合金からなるラミネートフィルム材などを用いることができる。
次に、本実施形態の電気二重層キャパシタ1の製造方法を説明する。
まず、正極活物質層12を形成する活物質の材料(正極活物質層12用の正極側多孔体、導電助剤、バインダー樹脂)と、粘結剤とを混練し、正極活物質スラリーを作成する。
また、負極活物質層22を形成する活物質の材料(負極活物質層22用の負極側多孔体、導電助剤、バインダー樹脂)と、粘結剤とを混練し、負極活物質スラリーを作成する。
ここで、正極活物質層12用の正極側多孔体および負極活物質層22用の負極側多孔体の少なくともいずれか一方に、電気二重層キャパシタ1の充放電時に酸化還元反応を生じる酸化還元物質が吸着させる。
また、粘結剤としては、たとえば、カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液などを用いることができる。
次いで、正極10を作成する。具体的には、正極活物質スラリーを正極集電体11に塗布して乾燥させることによって、正極集電体11の表面に正極活物質層12を形成する。また、負極20を作成する。具体的には、負極活物質スラリーを負極集電体21に塗布して乾燥させることによって、負極集電体21の表面に負極活物質層22を形成する。
次いで、正極活物質層12と負極活物質層22とが対向するように正極10と負極20とを配置し、その間に電解液を含むセパレータ30を挟んで、キャパシタ本体を作成する。
次いで、キャパシタ本体を収納体40に収納し、収納体40を減圧封口する。これにより、電気二重層キャパシタ1が完成する。
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体と負極活物質層22に含まれる負極側多孔体とのうち少なくともいずれか一方には、酸化還元物質が吸着されている。これにより、これにより、多孔体によって電気二重層容量を増加させることができるだけでなく、さらにその電気二重層容量に、酸化還元物質の酸化還元反応に伴う擬似容量を付加することができるので、高エネルギー密度の電気二重層キャパシタ1を提供することができる。
また、本実施形態では、正極活物質層12に含まれる正極側多孔体に酸化還元物質が吸着されている場合、正極側多孔体には、充電時に酸化反応を生じて還元状態から酸化状態になり、放電時に還元反応を生じて酸化状態から還元状態になる酸化還元物質が吸着されている。これにより、正極10では充電時に電子が放出され放電時に電子を受け取るので、充電時に、正極側多孔体に吸着された酸化還元物質が酸化反応を生じて還元状態から酸化状態になることにより、正極側多孔体だけでなく酸化還元物質からも電子の放出が行われるので、正極10からより多くの電子を放出することができる。また、放電時に、正極側多孔体に吸着された酸化還元物質が還元反応を生じて酸化状態から還元状態になることにより、正極側多孔体だけでなく酸化還元物質からも電子の受け取りが行われるので、正極10により多くの電子を受け取らせることができる。これらの結果、正極10において、擬似容量をより大きくすることができる。
また、本実施形態では、負極活物質層22に含まれる負極側多孔体に酸化還元物質が吸着されている場合、負極側多孔体には、充電時に還元反応を生じて酸化状態から還元状態になり、放電時に酸化反応を生じて還元状態から酸化状態になる酸化還元物質が吸着されている。これにより、負極20では充電時に電子を受け取り放電時に電子が放出されるので、充電時に、負極側多孔体に吸着された酸化還元物質が還元反応を生じて酸化状態から還元状態になることにより、負極側多孔体だけでなく酸化還元物質からも電子の受け取りが行われるので、負極20により多くの電子を受け取らせることができる。また、放電時に、負極側多孔体に吸着された酸化還元物質が酸化反応を生じて還元状態から酸化状態になることにより、負極側多孔体だけでなく酸化還元物質からも電子の放出が行われるので、負極20からより多くの電子を放出することができる。これらの結果、負極20において、擬似容量をより大きくすることができる。
また、本実施形態では、正極側多孔体には、充電時に酸化反応を生じて還元状態から酸化状態になり、放電時に還元反応を生じて酸化状態から還元状態になる酸化還元物質が吸着されており、負極側多孔体には、充電時に還元反応を生じて酸化状態から還元状態になり、放電時に酸化反応を生じて還元状態から酸化状態になる酸化還元物質が吸着されている。これにより、正極10および負極20の両方において擬似容量をより大きくすることができるので、より高エネルギー密度の電気二重層キャパシタ1を提供することができる。
また、本実施形態では、負極側多孔体には、酸化還元物質が吸着されており、正極側多孔体には、負極側多孔体に吸着された酸化還元物質よりも酸化還元電位が高い酸化還元物質が吸着されている。このように構成すれば、負極側多孔体に吸着された酸化還元物質と正極側多孔体に吸着された酸化還元物質とが共に酸化状態である場合で、かつ、その後に充電を行った場合には、負極側多孔体の酸化還元物質を酸化状態から還元状態にすることができる。また、負極側多孔体の酸化還元物質と正極側多孔体の酸化還元物質とが共に酸化状態である場合で、かつ、その後に放電を行った場合には、正極側多孔体の酸化還元物質を酸化状態から還元状態にすることができる。さらに、負極側多孔体の酸化還元物質と正極側多孔体の酸化還元物質とが共に還元状態である場合で、かつ、その後に充電を行った場合には、正極側多孔体の酸化還元物質を還元状態から酸化状態にすることができる。また、負極側多孔体の酸化還元物質と正極側多孔体の酸化還元物質とが共に還元状態である場合で、かつ、その後に放電を行った場合には、負極側多孔体の酸化還元物質を還元状態から酸化状態にすることができる。これらの結果、負極側多孔体の酸化還元物質と正極側多孔体の酸化還元物質とが共に同一の酸化還元状態であったとしても、高エネルギー密度の電気二重層キャパシタ1を提供することができる。
また、本実施形態では、正極側多孔体および負極側多孔体の少なくともいずれか一方に吸着される酸化還元物質を、複数の電子の移動を伴う多電子酸化還元反応を生じることが可能な酸化還元物質からなる。このように構成すれば、酸化還元物質において授受可能な電子の数を大きくすることができるので、さらに高エネルギー密度の電気二重層キャパシタ1を提供することができる。
また、本実施形態では、正極側多孔体および負極側多孔体の少なくともいずれか一方に吸着される酸化還元物質は、還元状態においてケトン基が還元された水酸基になり、酸化状態において水酸基が酸化されたケトン基になる官能基を有する。このように構成すれば、電気二重層キャパシタ1の充放電時に、正極10または負極20の少なくともいずれか一方において酸化還元反応が有効に生じるので、高エネルギー密度の電気二重層キャパシタ1を容易に提供することができる。
また、本実施形態では、正極側多孔体および負極側多孔体の少なくともいずれか一方に吸着される酸化還元物質として、上記一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体、上記一般式(2)で表されるカテコール誘導体、上記一般式(3)で表されるレゾルシノール誘導体、上記一般式(4)で表されるベンゾキノン誘導体および上記一般式(5)で表されるベンゾキノン誘導体の中から選択される酸化還元物質を用いる。これにより、電気二重層キャパシタ1の充放電時に酸化還元反応が有効に生じるので、電気二重層キャパシタ1の高エネルギー密度化を容易に達成することができる。
また、本実施形態では、正極側多孔体および負極側多孔体の少なくともいずれか一方に吸着される酸化還元物質は、充放電時に酸化還元反応を生じるキノン補酵素およびビタミン補酵素の中から選択される酸化還元物質である。これにより、電気二重層キャパシタ1の充放電時に、正極10または負極20の少なくともいずれか一方において酸化還元反応が有効に生じるので、電気二重層キャパシタ1の高エネルギー密度化を容易に達成することができる。
また、本実施形態では、正極側多孔体および負極側多孔体の少なくともいずれか一方は、導電性炭素材料からなる多孔体である。これにより、導電性炭素材料からなる多孔体を用いることによって、多孔体に添加する導電助剤を削減するかまたは減少させることができる。これにより、正極10または負極20の少なくともいずれか一方の製造コストを抑えることができるとともに、導電助剤の種類や量の選択の自由度を増加させることができる。
[実施例]
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、各実施例、参考例および比較例では、電気二重層キャパシタの充放電を、キャパシタの放電状態からはじめて充電する(定電流充電)こととする。
まず、各実施例、参考例および比較例の電気二重層キャパシタを作成した。
具体的には、多孔体(正極側多孔体および負極側多孔体)として活性炭(YP50、クラレ製)を、導電助剤としてアセチレンブラックを、バインダー樹脂としてSBRのディスパージョンを、粘結剤としてCMC水溶液を用意した。
また、正極集電体11および負極集電体21として、ガラス基板上にプラチナをスパッタして得たプラチナ電極を用意した。
また、セパレータ30として、厚み100μmのポリオレフィンフィルム(MPF30AC100、水系、日本高度樹脂工業製)を、セパレータ30に含ませる電解液として、10%の硫酸水溶液を用意した。
次いで、酸化還元物質(各実施例、参考例および比較例における酸化還元物質の種類については後述する)100mgと、多孔体100mgとを5ccのエタノールに添加し、ローテーターで一晩ゆっくりとかき混ぜた後、100℃で24時間乾燥させてエタノールを飛ばすことによって、酸化還元物質が吸着固定された多孔体からなる粉末試料を得た。
次いで、得られた粉末試料(酸化還元物質が吸着された多孔体)または多孔体(酸化還元物質が吸着されていない多孔体)40mgと、導電助剤5mgと、バインダー樹脂2.5mg相当(12.5μL)と、粘結剤2.5mg相当(250μL)とを乳鉢で混練し、正極活物質スラリーおよび負極活物質スラリーをそれぞれ作成した。
次いで、作成した正極活物質スラリーを、正極集電体11上にテフロン(登録商標)製のスキージで塗布して自然乾燥させた後、100℃で12時間乾燥させて、正極10を作成した。また、作成した負極活物質スラリーを、負極集電体21上にテフロン(登録商標)製のスキージで塗布して自然乾燥させた後、100℃で12時間乾燥させて、負極20を作成した。
次いで、電解液に浸漬させたセパレータ30を、作成した正極10と作成した負極20との間に挟み、電気二重層キャパシタを作成した。
次に、作成した各実施例、参考例および比較例の電気二重層キャパシタそれぞれの静電容量および内部抵抗を測定した。具体的には、作成した電気二重層キャパシタを用いて、7mA/cmの定電流で充放電試験を行った。
次いで、得られた充放電曲線のうち0.8Vから0.2Vまでの部分から電気二重層キャパシタのセル容量(静電容量)を求めた。また、得られた充放電曲線から電気二重層キャパシタの内部抵抗を求めた。
<実施例1>
実施例1の電気二重層キャパシタとして、正極活物質層に含まれる正極側多孔体(活性炭)には、酸化還元物質として上記式(6)で表される1,4−Hydroquinone(HQ)が吸着固定されており、負極活物質層に含まれる負極側多孔体には、酸化還元物質が吸着固定されていない電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果を表1に示す。
<比較例0>
比較例0の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体にも、負極側多孔体にも、酸化還元物質が吸着固定されていない電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表1に示す。
<参考例1−1>
参考例1−1の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体には、酸化還元物質が吸着固定されておらず、負極側多孔体には、酸化還元物質として1,4−Hydroquinone(HQ)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表1に示す。
<参考例1−2>
参考例1−2の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体にも、負極側多孔体にも、酸化還元物質として1,4−Hydroquinone(HQ)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表1に示す。
Figure 2014209555
1,4−Hydroquinone(HQ)は、上記一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体において、R1〜R4のすべてが水素原子であるハイドロキノン誘導体である。すなわち、HQは、還元状態の酸化還元物質である。表1に示すように、正極側多孔体に還元状態の酸化還元物質であるHQを吸着させ、負極側多孔体に酸化還元物質を吸着させない場合(すなわち「実施例1」の場合)は、正極側多孔体にも負極側多孔体にも酸化還元物質が吸着されていない場合(すなわち「比較例0」の場合)と比較して、セル容量が2倍以上高くなることが分かった。
これにより、充放電を、キャパシタの放電状態からはじめて充電する場合(定電流充電)、正極活物質層に含まれる正極側多孔体に還元状態の酸化還元物質を吸着させることにより、電気二重層キャパシタを高容量化できることが分かった。
また、正極側多孔体だけにHQを吸着させた場合(すなわち「実施例1」の場合)は、負極側多孔体だけにHQを吸着させた場合(すなわち「参考例1−1」の場合)や、正極側多孔体と負極側多孔体との両方にHQを吸着させた場合(すなわち「参考例1−2」の場合)と比較して、セル容量が高くなることが分かった。
したがって、HQは、活性炭を多孔体とする電極(活性炭電極)に対して正の値に充電する際に酸化状態となり、擬似的な容量を発現することが確認できた。これにより、充放電を、キャパシタの放電状態からはじめて充電する場合(定電流充電)、還元状態の酸化還元物質は、正極活物質層に導入するのがよいことが分かった。
<実施例2>
実施例2の電気二重層キャパシタとして、正極活物質層に含まれる正極側多孔体には、酸化還元物質が吸着固定されておらず、負極活物質層に含まれる負極側多孔体には、酸化還元物質として上記式(8)で表される2,5−Dihydroxy−1,4−benzoquinone(BQ)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果を表2に示す。
<参考例2−1>
参考例2−1の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体には、酸化還元物質として2,5−Dihydroxy−1,4−benzoquinone(BQ)が吸着固定されており、負極側多孔体には、酸化還元物質が吸着固定されていない電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表2に示す。
<参考例2−2>
参考例2−2の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体にも、負極側多孔体にも、酸化還元物質として2,5−Dihydroxy−1,4−benzoquinone(BQ)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表2に示す。
<実施例3>
実施例3の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体には、酸化還元物質が吸着固定されておらず、負極側多孔体には、酸化還元物質として上記式(9)で表される2,5−Dimethoxy−1,4−benzoquinone(DEBQ)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表2に示す。
<参考例3−1>
参考例3−1の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体には、酸化還元物質として2,5−Dimethoxy−1,4−benzoquinone(DEBQ)が吸着固定されており、負極側多孔体には、酸化還元物質が吸着固定されていない電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表2に示す。
<参考例3−2>
参考例3−2の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体にも、負極側多孔体にも、酸化還元物質として2,5−Dimethoxy−1,4−benzoquinone(DEBQ)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表2に示す。
Figure 2014209555
2,5−Dihydroxy−1,4−benzoquinone(BQ)は、上記一般式(4)で表されるベンゾキノン誘導体において、R21およびR24が水酸基であり、R22およびR23が水素原子であるベンゾキノン誘導体である。すなわち、BQは、酸化状態の酸化還元物質である。
また、2,5−Dimethoxy−1,4−benzoquinone(DEBQ)は、一般式(4)で表されるベンゾキノン誘導体において、R21およびR24がアルコキシ基であり、R22およびR23が水素原子であるベンゾキノン誘導体である。すなわち、DEBQは、酸化状態の酸化還元物質である。
表2に示すように、負極活物質層に含まれる負極側多孔体に酸化状態の酸化還元物質であるBQを吸着させ、正極活物質層に含まれる正極側多孔体に酸化還元物質を吸着させない場合(すなわち「実施例2」の場合)は、正極側多孔体にも負極側多孔体にも酸化還元物質が吸着されていない場合(すなわち「比較例0」の場合)と比較して、セル容量が2倍以上高くなることが分かった。
また、負極側多孔体に酸化状態の酸化還元物質であるDEBQを吸着させ、正極側多孔体に酸化還元物質を吸着させない場合(すなわち「実施例3」の場合)は、正極側多孔体にも負極側多孔体にも酸化還元物質が吸着されていない場合(すなわち「比較例0」の場合)と比較して、セル容量が1.75倍以上高くなることが分かった。
これにより、充放電を、キャパシタの放電状態からはじめて充電する場合(定電流充電)、負極活物質層に含まれる負極側多孔体に酸化状態の酸化還元物質を吸着させることにより、電気二重層キャパシタを高容量化できることが分かった。
また、負極側多孔体だけにBQやDEBQを吸着させた場合(すなわち「実施例2」や「実施例3」の場合)は、正極側多孔体だけにBQやDEBQを吸着させた場合(すなわち「参考例2−1」や「参考例3−1」の場合)や、正極側多孔体と負極側多孔体との両方にBQやDEBQを吸着させた場合(すなわち「参考例2−2」や「参考例3−2」の場合)と比較して、セル容量が高くなることが分かった。
したがって、活性炭電極をBQやDEBQに対して正の値に充電する際にBQやDEBQは還元状態となり、擬似的な容量を発現することが確認できた。これにより、充放電を、キャパシタの放電状態からはじめて充電する場合(定電流充電)、酸化状態の酸化還元物質は、負極活物質層に導入するのがよいことが分かった。
<実施例4>
実施例4の電気二重層キャパシタとして、正極活物質層に含まれる正極側多孔体には、酸化還元物質が吸着固定されておらず、負極活物質層に含まれる負極側多孔体には、酸化還元物質として上記式(12)で表される5,7,12,14−Pentacenetetrone(PCT)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果を表3に示す。
<参考例4−1>
参考例4−1の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体には、酸化還元物質として5,7,12,14−Pentacenetetrone(PCT)が吸着固定されており、負極側多孔体には、酸化還元物質が吸着固定されていない電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表3に示す。
<参考例4−2>
参考例4−2の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体にも、負極側多孔体にも、酸化還元物質として5,7,12,14−Pentacenetetrone(PCT)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表3に示す。
Figure 2014209555
5,7,12,14−Pentacenetetrone(PCT)は、上記一般式(4)で表されるベンゾキノン誘導体を環拡張した環拡張ベンゾキノン誘導体である。すなわち、PCTは、酸化状態の酸化還元物質である。
表3に示すように、負極活物質層に含まれる負極側多孔体に酸化状態の酸化還元物質であるPCTを吸着させ、正極活物質層に含まれる正極側多孔体に酸化還元物質を吸着させない場合(すなわち「実施例4」の場合)は、正極側多孔体にも負極側多孔体にも酸化還元物質が吸着されていない場合(すなわち「比較例0」の場合)と比較して、セル容量が2倍以上高くなることが分かった。
これによっても、充放電を、キャパシタの放電状態からはじめて充電する場合(定電流充電)、負極活物質層に含まれる負極側多孔体に酸化状態の酸化還元物質を吸着させることにより、電気二重層キャパシタを高容量化できることが分かった。
また、負極側多孔体だけにPCTを吸着させた場合(すなわち「実施例4」の場合)は、正極側多孔体だけにPCTを吸着させた場合(すなわち「参考例4−1」の場合)や、正極側多孔体と負極側多孔体との両方にPCTを吸着させた場合(すなわち「参考例4−2」の場合)と比較して、セル容量が高くなることが分かった。
したがって、活性炭電極をPCTに対して正の値に充電する際にPCTは還元状態となり、擬似的な容量を発現することが確認できた。これによっても、充放電を、キャパシタの放電状態からはじめて充電する場合(定電流充電)、酸化状態の酸化還元物質は、負極活物質層に導入するのがよいことが分かった。
<実施例5−1>
実施例5−1の電気二重層キャパシタとして、正極活物質層に含まれる正極側多孔体には、酸化還元物質として1,4−Hydroquinone(HQ)が吸着されており、負極活物質層に含まれる負極側多孔体には、酸化還元物質として2,5−Dihydroxy−1,4−benzoquinone(BQ)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果を表4に示す。
<実施例5−2>
実施例5−2の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体には、酸化還元物質として1,4−Hydroquinone(HQ)が吸着されており、負極側多孔体には、酸化還元物質として5,7,12,14−Pentacenetetrone(PCT)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表4に示す。
<実施例5−3>
実施例5−3の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体には、酸化還元物質として1,4−Hydroquinone(HQ)が吸着されており、負極側多孔体には、酸化還元物質として2,5−Dimethoxy−1,4−benzoquinone(DEBQ)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表4に示す。
<参考例5−1>
参考例5−1の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体には、酸化還元物質として2,5−Dihydroxy−1,4−benzoquinone(BQ)が吸着されており、負極側多孔体には、酸化還元物質として1,4−Hydroquinone(HQ)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表4に示す。
Figure 2014209555
表4に示すように、正極活物質層に含まれる正極側多孔体に、電気二重層キャパシタの充放電時に酸化還元反応が有効に生じる還元状態の酸化還元物質であるHQを吸着させるとともに、負極活物質層に含まれる負極側多孔体に、電気二重層キャパシタの充放電時に酸化還元反応が有効に生じる酸化状態の酸化還元物質であるBQ、PCTおよびDEBQをそれぞれ吸着させた場合(すなわち「実施例5−1」〜「実施例5−3」の場合)は、正極側多孔体にも負極側多孔体にも酸化還元物質が吸着されていない場合(すなわち「比較例0」の場合)と比較して、セル容量が2倍以上高くなることが分かった。特に、正極側多孔体にHQを吸着させるとともに、負極側多孔体にBQを吸着させた場合(すなわち「実施例5−1」の場合)は、「比較例0」の場合と比較して、セル容量が3倍以上高くなることが分かった。
また、正極側多孔体に酸化状態の酸化還元物質(BQ)を吸着させるとともに、負極側多孔体に還元状態の酸化還元物質(HQ)を吸着させた場合(すなわち「参考例5−1」の場合)には、「比較例0」の場合と比較して、セル容量は増加しないことが分かった。
これにより、充放電を、キャパシタの放電状態からはじめて充電する場合(定電流充電)、正極活物質層に含まれる正極側多孔体に還元状態の酸化還元物質を吸着させるとともに、負極活物質層に含まれる負極側多孔体に酸化状態の酸化還元物質を吸着させることにより、電気二重層キャパシタを高容量化できることが分かった。
<実施例6>
実施例6の電気二重層キャパシタとして、正極活物質層に含まれる正極側多孔体には、酸化還元物質として上記式(11)で表される1,2−Napthoquinone−4−sulfonic acid sodium salt(NQ)が吸着されており、負極活物質層に含まれる負極側多孔体には、酸化還元物質として2,5−Dihydroxy−1,4−benzoquinone(BQ)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果を表5に示す。
<参考例6>
参考例6の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体には、酸化還元物質として2,5−Dihydroxy−1,4−benzoquinone(BQ)が吸着されており、負極側多孔体には、酸化還元物質として1,2−Napthoquinone−4−sulfonic acid sodium salt(NQ)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表5に示す。
Figure 2014209555
1,2−Napthoquinone−4−sulfonic acid sodium salt(NQ)は、上記一般式(5)で表されるベンゾキノン誘導体において、R25が水素原子であり、R26がスルホン酸基(ナトリウム塩)であり、R27およびR28の組が互いに縮合して6員の縮合環を形成しているベンゾキノン誘導体である。すなわち、NQは、酸化状態の酸化還元物質である。
2,5−Dihydroxy−1,4−benzoquinone(BQ)は、上記一般式(4)で表されるベンゾキノン誘導体において、R21及びR24が水酸基であり、R22およびR23が水素原子であるベンゾキノン誘導体である。すなわち、BQは、酸化状態の酸化還元物質である。
そして、NQの酸化還元電位は、BQの酸化還元電位よりも高い。
表5に示すように、正極活物質層に含まれる正極側多孔体にも、負極活物質層に含まれる負極側多孔体にも、ベンゾキノン誘導体を吸着させた場合において、正極側多孔体に酸化還元電位がBQよりも高いNQを吸着させ、負極側多孔体に酸化還元電位がNQよりも低いBQを吸着させた場合(すなわち「実施例6」の場合)は、正極側多孔体に酸化還元電位がより低いBQを吸着させ、負極側多孔体に酸化還元電位がより高いNQを吸着させた場合(すなわち「参考例6」の場合)と比較して、セル容量が高くなることが分かった。
また、正極側多孔体に酸化還元電位がより高いNQを吸着させ、負極側多孔体に酸化還元電位がより低いBQを吸着させた場合(すなわち「実施例6」の場合)は、正極側多孔体にも負極側多孔体にも酸化還元物質が吸着されていない場合(すなわち「比較例0」の場合)と比較して、セル容量が1.65倍以上高くなることが分かった。
これにより、正極活物質層に含まれる正極側多孔体と、負極活物質層に含まれる負極側多孔体との両方に同じ状態(酸化状態又は還元状態)の酸化還元物質を吸着させてもよく、その際、正極側多孔体には酸化還元電位がより高い酸化還元物質を吸着させ、負極側多孔体には酸化還元電位がより低い酸化還元物質を吸着させることで、電気二重層キャパシタを高容量化できることが分かった。
ここで、「比較例0」の電気二重層キャパシタの充放電曲線の一例と、上記実施例の中で最もセル容量が高かった「実施例5−1」の電気二重層キャパシタの充放電曲線の一例とを図5に示す。
図5において実線で示すように、「実施例5−1」の電気二重層キャパシタの充放電曲線は、電圧0.3V程度で大きく湾曲しており、酸化還元反応(Redox反応)が生じていることが分かった。また、この充放電曲線から「実施例5−1」の電気二重層キャパシタの低電圧領域(0.4V→0.2V)でのセル容量を求めると、190F/g近くの高容量であることが分かった。
<比較例7−1>
比較例7−1の電気二重層キャパシタとして、正極活物質層には、多孔体が含まれておらず、かつ、酸化還元物質として1,4−Hydroquinone(HQ)が多孔体に吸着固定されていない状態で含まれており、負極活物質層に含まれる負極側多孔体には、酸化還元物質が吸着固定されていない電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果を表6に示す。
<比較例7−2>
比較例7−2の電気二重層キャパシタとして、正極活物質層に含まれる正極側多孔体には、酸化還元物質が含まれておらず、負極活物質層には、多孔体が含まれておらず、かつ、酸化還元物質として2,5−Dihydroxy−1,4−benzoquinone(BQ)が多孔体に吸着固定されていない状態で含まれている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表6に示す。
Figure 2014209555
表6に示すように、正極活物質層に、多孔体が含まれておらず、還元状態の酸化還元物質であるHQが多孔体に吸着固定されない状態で含まれている場合(すなわち「比較例7−1」の場合)は、正極活物質層に、還元状態の酸化還元物質であるHQが正極側多孔体に吸着固定された状態で含まれている場合(すなわち表1の「実施例1」の場合)と比較して、セル容量が低くなることが分かった。
また、負極活物質層に、多孔体が含まれておらず、酸化状態の酸化還元物質であるBQが多孔体に吸着固定されない状態で含まれている場合(すなわち「比較例7−2」の場合)は、負極活物質層に、酸化状態の酸化還元物質であるBQが負極側多孔体に吸着固定された状態で含まれている場合(すなわち表2の「実施例2」の場合)と比較して、セル容量が低くなることが分かった。
これにより、活物質層に活物質として酸化還元物質をそのままの状態で導入するのではなく、多孔体に吸着された状態で導入した方が、比表面積の大きい多孔体の表面に電気二重層が形成されることによる容量増加効果だけでなく、酸化還元物質の酸化還元反応に伴う擬似容量が付加されることによる容量増加効果も享受することができるので、電気二重層キャパシタを高容量化ができることが分かった。
<比較例8−1>
比較例8−1の電気二重層キャパシタとして、正極活物質層に含まれる正極側多孔体にも、負極活物質層に含まれる負極側多孔体にも、酸化還元物質が吸着固定されておらず、セパレータ30に含まれる電解液中に1,4−Hydroquinone(HQ)が添加されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量及び内部抵抗を測定した。その結果を表7に示す。
<比較例8−2>
比較例8−2の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体にも、負極側多孔体にも、酸化還元物質が吸着固定されておらず、セパレータ30に含まれる電解液中に1,4−Hydroquinone(HQ)および2,5−Dihydroxy−1,4−benzoquinone(BQ)が添加されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量及び内部抵抗を測定した。その結果も表7に示す。
Figure 2014209555
表7に示すように、正極側多孔体にも負極側多孔体にも酸化還元物質を吸着させず、電解液中に酸化還元物質を添加した場合(すなわち「比較例8−1」および「比較例8−2」の場合)は、電解液中に酸化還元物質を添加していない場合(すなわち「比較例0」の場合)と比較して、セル容量がほとんど変わらないことが分かった。
これにより、酸化還元物質を、電解液に添加して使用するのではなく、活物質として多孔体に吸着された状態で使用した方が、当該酸化還元物質による酸化還元反応が有効に生じ、電気二重層キャパシタを高容量化できることが分かった。
また、酸化還元物質として酸化型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を用いて、実施例9および参考例9の電気二重層キャパシタを作成した。
ここで、実施例9および参考例9の電気二重層キャパシタは、粉末試料(すなわち、NADが吸着された多孔体)の作成の仕方のみが、上記実施例1〜6参考例1〜6、比較例7および8の電気二重層キャパシタと異なる。
具体的には、実施例9および参考例9では、酸化型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)20mgと、多孔体80mgとを4ccのリン酸緩衝液に添加し、ローテーターで一晩ゆっくりとかき混ぜた後、遠心分離器にかけて上澄液を捨て、さらに水で1回、エタノールで2回洗浄および遠心分離を行い、得られた混合溶液を24時間乾燥させてエタノールを飛ばし、粉末試料(NADが吸着された多孔体)を得た。
<実施例9>
実施例9の電気二重層キャパシタとして、正極活物質層に含まれる正極側多孔体には、酸化還元物質が吸着固定されておらず、負極活物質層に含まれる負極側多孔体には、酸化還元物質として酸化型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)が吸着固定されている電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果を表8に示す。
<参考例9>
参考例9の電気二重層キャパシタとして、正極側多孔体には、酸化還元物質として酸化型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)が吸着固定されており、負極側多孔体には、酸化還元物質が吸着固定されていない電気二重層キャパシタを作成し、セル容量および内部抵抗を測定した。その結果も表8に示す。
Figure 2014209555
NADは、図4に示すように、酸化状態の酸化還元物質である。
表8に示すように、負極活物質層に含まれる負極側多孔体に酸化状態の酸化還元物質であるNADを吸着させ、正極活物質層に含まれる正極側多孔体に酸化還元物質を吸着させない場合(すなわち「実施例9」の場合)は、正極側多孔体にも負極側多孔体にも酸化還元物質が吸着されていない場合(すなわち「比較例0」の場合)と比較して、セル容量が1.3倍以上高くなることが分かった。
これによっても、充放電を、キャパシタの放電状態からはじめて充電する場合(定電流充電)、負極側多孔体に酸化状態の酸化還元物質を吸着させることで、電気二重層キャパシタを高容量化できることが分かった。
また、負極側多孔体だけにNADを吸着させた場合(すなわち「実施例9」の場合)は、正極側多孔体だけにNADを吸着させた場合(すなわち「参考例9」の場合)と比較して、セル容量が高くなることが分かった。
したがって、活性炭電極をNADに対して正の値に充電する際にNADは還元状態となり、擬似的な容量を発現することが確認できた。これにより、充放電を、キャパシタの放電状態からはじめて充電する場合(定電流充電)、酸化状態の酸化還元物質は、負極活物質層に導入するのがよいことが分かった。
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
1 電気二重層キャパシタ
10 正極(電気二重層キャパシタ用電極)
12 正極活物質層
20 負極(電気二重層キャパシタ用電極)
22 負極活物質層

Claims (9)

  1. 正極側多孔体を含む正極活物質層を有する正極と、
    負極側多孔体を含む負極活物質層を有する負極とを備え、
    前記正極活物質層の前記正極側多孔体と前記負極活物質層の前記負極側多孔体とのうち少なくともいずれか一方には、充放電時に酸化還元反応を生じる酸化還元物質が吸着されている、電気二重層キャパシタ用電極。
  2. 前記正極側多孔体には、充電時に酸化反応を生じて還元状態から酸化状態になり、放電時に還元反応を生じて酸化状態から還元状態になる酸化還元物質が吸着されており、
    前記負極側多孔体には、充電時に還元反応を生じて酸化状態から還元状態になり、放電時に酸化反応を生じて還元状態から酸化状態になる酸化還元物質が吸着されている、請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用電極。
  3. 前記負極側多孔体には、酸化還元物質が吸着されており、
    前記正極側多孔体には、前記負極側多孔体に吸着された酸化還元物質よりも酸化還元電位が高い酸化還元物質が吸着されている、請求項1または2に記載の電気二重層キャパシタ用電極。
  4. 前記正極側多孔体および前記負極側多孔体の少なくともいずれか一方に吸着される酸化還元物質は、複数の電子の移動を伴う多電子酸化還元反応を生じることが可能な酸化還元物質からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用電極。
  5. 前記正極側多孔体および前記負極側多孔体の少なくともいずれか一方に吸着される酸化還元物質は、下記の一般式(1)で表されるハイドロキノン誘導体、下記の一般式(2)で表されるカテコール誘導体、下記の一般式(3)で表されるレゾルシノール誘導体、下記の一般式(4)で表されるベンゾキノン誘導体および下記の一般式(5)で表されるベンゾキノン誘導体の中から選択される酸化還元物質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用電極。
    Figure 2014209555
    (ただし、式中R1、R2、R3およびR4は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、ホルミル基、スルホン酸基(一部または全部がカチオンと塩を形成していてもよい)、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基の中から選択される基を表す。あるいは、式中R1およびR2の組と式中R3およびR4の組とのうち少なくとも1組は、互いに縮合して5員または6員の縮合環を形成していてもよい。)
    Figure 2014209555
    (ただし、式中R5、R6、R7およびR8は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、ホルミル基、スルホン酸基(一部または全部がカチオンと塩を形成していてもよい)、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基の中から選択される基を表す。あるいは、式中R5およびR6の組と式中R6およびR7の組と式中R7およびR8の組とのうち少なくとも1組は、互いに縮合して5員または6員の縮合環を形成していてもよい。)
    Figure 2014209555
    (ただし、式中R9、R10、R11およびR12は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、ホルミル基、スルホン酸基(一部または全部がカチオンと塩を形成していてもよい)、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基の中から選択される基を表す。あるいは、式中R10およびR11の組と式中R11およびR12の組とのうちいずれか1組は、互いに縮合して5員または6員の縮合環を形成していてもよい。)
    Figure 2014209555
    (ただし、式中R21、R22、R23およびR24は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、ホルミル基、スルホン酸基(一部または全部がカチオンと塩を形成していてもよい)、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基の中から選択される基を表す。あるいは、式中R21およびR22の組と式中R23およびR24の組とのうち少なくとも1組は、互いに縮合して5員または6員の縮合環を形成していてもよい。)
    Figure 2014209555
    (ただし、式中R25、R26、R27およびR28は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、ホルミル基、スルホン酸基(一部または全部がカチオンと塩を形成していてもよい)、カルボキシル基およびアルコキシカルボニル基の中から選択される基を表す。あるいは、式中R25およびR26の組と式中R26およびR27の組と式中R27およびR28の組とのうち少なくとも1組は、互いに縮合して5員または6員の縮合環を形成していてもよい。)
  6. 前記正極側多孔体および前記負極側多孔体の少なくともいずれか一方に吸着される酸化還元物質は、充放電時に酸化還元反応を生じるキノン補酵素およびビタミン補酵素の中から選択される酸化還元物質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用電極。
  7. 前記正極側多孔体および前記負極側多孔体の少なくともいずれか一方は、導電性炭素材料からなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用電極。
  8. 正極側多孔体を含む正極活物質層を有する正極と、
    負極側多孔体を含む負極活物質層を有する負極とを備え、
    前記正極活物質層の前記正極側多孔体と前記負極活物質層の前記負極側多孔体とのうち少なくともいずれか一方には、充放電時に酸化還元反応を生じる酸化還元物質が吸着されている、電気二重層キャパシタ。
  9. 正極側多孔体を含む正極活物質層を有する正極と、
    負極側多孔体を含む負極活物質層を有する負極とを備え、
    前記正極活物質層の前記正極側多孔体と前記負極活物質層の前記負極側多孔体とのうち少なくともいずれか一方には、充放電時に酸化還元反応を生じるキノン補酵素およびビタミン補酵素の少なくともいずれか一方が吸着されている、電気二重層キャパシタ用電極。
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