以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、圧接コネクタとして、種々の用途に広く適用することができる。
[圧接コネクタの構成]
図1は、本発明の実施形態に係る圧接コネクタ1が、複数の相手側コンタクト102a,102bと対応する被覆電線101a,101bとを電気的に接続している状態を示す、斜視図である。図2は、圧接コネクタ1、各相手側コンタクト102a,102b及び各被覆電線101a,101bが互いに分離している状態を示す、斜視図である。
図1及び図2を参照して、圧接コネクタ1は、例えば、携帯型の小型の電子機器に備えられる。このような電子機器として、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話機、スマートフォン、PDA(パーソナル・ディジタル・アシスタント)を例示することができる。本実施形態において、圧接コネクタ1の大きさは、縦・横・厚みのそれぞれの一辺が最大で2〜3mm程度である。このように、圧接コネクタ1は、極めて小型である。また、圧接コネクタ1は、圧接型の電気コネクタであり、各被覆電線101a,101bの被覆部103を切断することで、各被覆部103の内部の芯線部104と接触することが可能である。
圧接コネクタ1は、各被覆電線101a,101bの芯線部104(第1導電部材)と、対応する相手側コンタクト(第2導電部材)102a,102bとを電気的に接続するために設けられている。
各相手側コンタクト102a,102bは、金属等の導電材料を用いて形成されている。本実施形態では、各相手側コンタクト102a,102bは、薄板状に形成されている。また、各相手側コンタクト102a,102bは、少なくとも一方が予め露出されており、本実施形態では、全部が予め露出されている。各相手側コンタクト102a,102bは、例えば、図示しない回路基板に半田を用いて固定されており、当該回路基板と電気的に接続されている。各被覆電線101a,101bは、例えば、バッテリー等の電気機器と電気的に接続されている。
図3は、圧接コネクタ1の平面図であり、圧接コネクタ1に各被覆電線101a,101b及び各相手側コンタクト102a,102bが接続された状態を示している。図3を参照して、各被覆電線101a,101bは、被覆部103と、芯線部104と、を有している。
被覆部103は、合成樹脂等の絶縁性の材料を用いて形成された、筒状の部材である。被覆部103は、芯線部104を、芯線部104の周方向の全域に亘って覆っている。
芯線部104は、金属等の導電材料を用いて形成されている。芯線部104の一端部は、圧接コネクタ1の対応する圧接コンタクト2a,2b(後述)に接触している。
圧接コネクタ1は、全体として、扁平なブロック状に形成されている。尚、以下では、圧接コネクタ1の長さ方向を、長さ方向X1という。また、圧接コネクタ1の平面視において、長さ方向X1と直交する方向を、幅方向Y1という。また、長さ方向X1及び幅方向Y1の双方と直交する方向を、厚み方向Z1という。
圧接コネクタ1に各被覆電線101a,101b及び各相手側コンタクト102a,102bが装着されている状態において、各被覆電線101a,101bの一端部は、長さ方向X1と平行に配置され、各相手側コンタクト102a,102bも、長さ方向X1と平行に配置される。
図1〜図3を参照して、圧接コネクタ1は、複数の圧接コンタクト2a,2bと、圧接コンタクト2a,2bを保持するハウジング3と、を有している。
圧接コンタクト2a,2bは、複数の被覆電線101a,101bのそれぞれに対応して設けられており、対応する被覆電線101a,101bの被覆部103を切断し、被覆部103から露呈する芯線部104に接触することが可能である。圧接コンタクト2a,2bは、対応する被覆電線101a,101bの芯線部104、及び対応する相手側コンタクト102a,102bと直接接触する。これにより、各被覆電線101a,101bの芯線部104は、対応する相手側コンタクト102a,102bと、電気的に接続される。
本実施形態において、2つの圧接コンタクト2a,2bは、互いに同様の形状を有している。よって、以下では、主に一方の圧接コンタクト2aに関する構成を説明する。
図4及び図5は、それぞれ、圧接コンタクト2aの斜視図であり、図5では一方の被覆電線101a及び一方の相手側コンタクト102aを併せて示している。
図3〜図5を参照して、圧接コンタクト2aは、導電性を有する材料を用いて形成されている。より具体的には、圧接コンタクト2aは、例えば、銅合金を素材として構成されている。そして、圧接コンタクト2aの表面には、例えば、すずめっき又は金めっき等のめっき処理が施されている。
圧接コンタクト2aは、圧接コンタクトとしての機能と、接点コンタクトとしての機能と、を有している。尚、本実施形態では、「圧接」とは、被覆電線101aの被覆部103を切断することで露呈した芯線部104に、圧接コンタクト2aが接触することをいう。圧接コンタクト2aは、相手側コンタクト102aの芯線部104及び相手側コンタクト102aの双方と直接接触する。
本実施形態において、圧接コンタクト2aは、上記導電性を有する1枚の平板部材を打ち抜き加工及び曲げ加工することで、形成されている。即ち、圧接コンタクト2aの全体が、単一の材料を用いて一体に形成されている。本実施形態において、圧接コンタクト2aは、鞍状に形成されている。また、本実施形態において、圧接コンタクト2aは、幅方向Y1に対称な形状に形成されている。
圧接コンタクト2aには、所定の挿入方向D1に沿って変位する、被覆電線101aの芯線部104が挿入される。また、圧接コンタクト2aには、挿入方向D1に沿って変位する相手側コンタクト102aが挿入される。本実施形態では、挿入方向D1は、厚み方向Z1と平行である。
圧接コンタクト2aは、圧接部4と、第1連結部5と、接点部6と、第2連結部7と、電線保持部8と、を有している。電線保持部8、第2連結部7、圧接部4、第1連結部5、及び接点部6は、長さ方向X1において、この順に並んでいる。
圧接部4は、被覆電線101aの被覆部104を切断し、且つ、被覆電線101aの芯線部104と接触するために設けられている。圧接部4は、長さ方向X1から見て、U字状に形成されている。圧接部4は、挿入方向D1と反対の反対方向D2に開放された第1スロット10を形成しており、挿入方向D1に沿って変位する被覆電線101aと接触可能である。第1スロット10は、被覆電線101aを受け容れる。圧接部4は、長さ方向X1と直交するように延びている。
幅方向Y1における圧接部4の両端部には、第1固定部16a,16bが形成されている。第1固定部16a,16bは、突起状の部分であり、ハウジング3のコンタクト保持部44a(詳細は後述)に圧入固定される。
厚み方向Z1における第1スロット10の中間部は、一対の圧接刃14a,14bを有している。圧接刃14a,14bは、被覆電線101aの被覆部103を切断するために設けられている。圧接刃14a,14bは、互いに近づく方向に向けて突出する小片状に形成されており、芯線部104が挿入される空間へ向けて突出している。圧接刃14a,14bは、被覆部103を切断し、芯線部104を露呈させる。露呈された芯線部104は、圧接部4と接触する。圧接部4から長さ方向X1の一方に向けて、第1連結部5が延びている。
第1連結部5は、圧接部4及び接点部6を一体に連結するために設けられている。第1連結部5は、一対のアーム部17a,17bを有している。
一対のアーム部17a,17bは、圧接コンタクト2aにおける梁部として設けられており、長さ方向X1に沿って延びている。一対のアーム部17a,17bは、幅方向Y1における圧接部4の両端部と、幅方向Y1における接点部6の両端部とを繋いでいる。
接点部6は、長さ方向X1から見て、U字状に形成されている。接点部6は、挿入方向D1と反対の反対方向D2に開放された第2スロット20を形成している。第2スロット20は、第1スロット10と長さ方向X1に並んでいる。第2スロット20は、相手側コンタクト102aを受け容れる。
接点部6は、相手側コンタクト102aを挟むことで当該相手側コンタクト102aに接触するように構成されている。接点部6は、平板状の部分であり、長さ方向X1と直交するように延びている。挿入方向D1における接点部6の下流側端部は、幅方向Y1に延びている。この下流側端部は、幅方向Y1における両端部において、第2固定部26a,26bを有している。第2固定部26a,26bは、ハウジング3のコンタクト保持部44aに圧入固定される。
挿入方向D1における接点部6の中間部は、一対の接点凸部24a,24bを有している。接点凸部24a,24bは、第2スロット20に向けて突出する小片状に形成されており、互いに近づく方向に向けて突出している。第2スロット20に相手側コンタクト102aが挿入されている状態において、一対の接点凸部24a,24bは、相手側コンタクト102aを弾性的に挟む。
圧接コンタクト2aの電線保持部8は、被覆電線101aが圧接コンタクト2aから抜けることを抑制するために設けられている。電線保持部8は、芯線部104と圧接部4との接触状態を維持するために、被覆電線101aを保持する。これにより、芯線部104が圧接部4から反対方向D2に抜けることを、抑制できる。電線保持部8は、圧接部4に隣接して配置されている。
電線保持部8は、長さ方向X1から見てU字状に形成されており、反対方向D2に開放された第3スロット30を形成している。幅方向Y1における第3スロット30の幅は、例えば、被覆電線101aの被覆部103の直径よりは小さく、且つ、芯線部104の直径よりは大きく設定されている。このような構成により、電線保持部8は、被覆電線101aの被覆部103を所定の保持力で挟むことができる。挿入方向D1における電線保持部8の下流側端部には、第3固定部31a,31bが形成されている。
第3固定部31a,31bは、幅方向Y1における電線保持部8の両端部に形成された突起状の部分であり、ハウジング3のコンタクト保持部44aに圧入固定される。挿入方向D1における電線保持部8の下流側端部は、第2連結部7を介して、圧接部4に連結されている。
第2連結部7は、圧接部4と電線保持部8とを一体に連結するために設けられている。本実施形態では、第2連結部7は、側面視において、U字状に形成されており、挿入方向D1に向かって突出した形状を有している。上記の構成を有する圧接コンタクト2aはハウジング3に保持されている。
図6は、圧接コネクタ1の単体の斜視図であり、圧接コネクタ1を挿入方向D1の上流側から見た状態を示している。図7は、圧接コネクタ1の単体の斜視図であり、圧接コネクタ1を挿入方向D1の下流側から見た状態を示している。図8は、圧接コネクタ1の単体の側面図である。
図3、及び図6〜図8参照して、ハウジング3は、合成樹脂等の絶縁材料を用いて形成されている。ハウジング3は、射出成形等によって形成された、単一の部材である。本実施形態では、ハウジング3は、2つの圧接コンタクト2a,2bを保持している。
ハウジング3は、扁平なブロック状に形成されており、且つ、平面視(厚み方向Z1から見た状態)において、略矩形に形成されている。また、ハウジング3は、幅方向Y1に対称な形状に形成されている。
ハウジング3は、外周壁41と、仕切壁(仕切部)42と、底壁43と、コンタクト保持部44a,44bと、電線保持部600,700と、を有している。
外周壁41は、複数の圧接コンタクト2a,2bを取り囲む壁部として設けられている。外周壁41は、平面視において、略矩形状に形成されている。外周壁41は、第1壁部46と、第2壁部47と、第3壁部48と、第4壁部49と、を有している。
第1壁部46及び第2壁部47は、幅方向Y1に延びる部分として設けられている。第1壁部46及び第2壁部47は、長さ方向X1に離隔して配置されている。幅方向Y1における第1壁部46の一端部及び第2壁部47の一端部は、第3壁部48と連続している。また、幅方向Y1における第1壁部46の他端部及び第2壁部47の他端部は、第4壁部49と連続している。
第3壁部48及び第4壁部49は、長さ方向X1に延びる部分として設けられている。第3壁部48及び第4壁部49は、幅方向Y1に離隔して配置されている。第3壁部48及び第4壁部49と平行に延びるようにして、仕切壁42が配置されている。
仕切壁42は、ハウジング3内において、幅方向Y1に隣接する圧接コンタクト2a,2bの間に配置される仕切部として設けられている。仕切壁42の数は、圧接コネクタ1における圧接コンタクト2a,2bの数から1を減じた値である。即ち、本実施形態では、2つの圧接コンタクト2a,2bが設けられており、仕切壁42の数は1である。
本実施形態では、長さ方向X1における仕切壁42の一端部は、第1壁部46と離隔して配置されている。また、長さ方向X1における仕切壁42の他端部は、第2壁部47に連続している。仕切壁42は、所定の配列方向E1に隣接する圧接コンタクト2a,2bの間に配置されている。
仕切壁42と第3壁部48との間に、一方の圧接コンタクト2aが配置されている。仕切壁42と第4壁部49との間に、他方の圧接コンタクト2bが配置されている。上記仕切壁42、及び外周壁41から挿入方向D1の下流側に進んだ位置に、底壁43が配置されている。底壁43は、挿入方向D1における外周壁41の下流側の開口を部分的に塞ぐように配置されている。
底壁43、外周壁41及び仕切壁42によって、複数のコンタクト保持部44a,44bが形成されている。コンタクト保持部44a,44bは、圧接コンタクト2a,2bを保持するために設けられている。コンタクト保持部44a,44bは、対応する圧接コンタクト2a,2bを保持している。コンタクト保持部44a,44bは、幅方向Y1に並んでいる。
一方のコンタクト保持部44aは、第1〜第3壁部46〜48、仕切壁42及び底壁43を用いて形成されており、一方の圧接コンタクト2aを取り囲んでいる。他方のコンタクト保持部44bは、第1壁部46、第2壁部47、第4壁部49、仕切壁42及び底壁43を用いて形成されており、他方の圧接コンタクト2bを取り囲んでいる。
図3及び図6を参照して、一方のコンタクト保持部44aは、一方の圧接コンタクト2aを圧入固定により保持している。具体的には、圧接コンタクト2aの第1固定部16a,16b、第2固定部26a,26b、及び第3固定部31a,31bは、第3壁部48の内側面及び仕切壁42の一側面に圧入固定されている。
また、一方のコンタクト保持部44aは、相手側コンタクト102aが挿入されるスリット52aを有している。スリット52aは、ハウジング3の第2壁部47に形成されており、ハウジング3を長さ方向X1に貫通している。スリット52aは、接点部6の第2スロット20と長さ方向X1に並んでいる。
また、ハウジング3は、当該ハウジング3の底壁43から延びるストッパ部53aを有している。ストッパ部53aは、一方の圧接コンタクト2aの第2スロット20に隣接して配置された、壁状の部分である。第2スロット20に挿入された相手側コンタクト102aは、ストッパ部53aに受けられることにより、それ以上のコンタクト保持部44a内への進入を規制される。これにより、相手側コンタクト102aと被覆電線101aとが接触することを抑制できる。
次に、他方のコンタクト保持部44bについて説明する。他方のコンタクト保持部44bは、一方のコンタクト保持部44aと同様の構成を有している。
他方のコンタクト保持部44bは、他方の圧接コンタクト2bを圧入固定により保持している。具体的には、圧接コンタクト2bの第1固定部16a,16a、第2固定部26a,26b、及び第3固定部31a,31bは、仕切壁42の他側面及び第4壁部49の内側面に圧入固定されている。
また、他方のコンタクト保持部44bは、相手側コンタクト102bが挿入されるスリット52bを有している。スリット52bは、ハウジング3の第2壁部47に形成されており、ハウジング3を長さ方向X1に貫通している。スリット52bは、他方の圧接コンタクト2bの接点部6の第2スロット20と長さ方向X1に並んでいる。
また、ハウジング3は、当該ハウジング3の底壁43から延びるストッパ部53bを有している。ストッパ部53bは、他方の圧接コンタクト2bの第2スロット20に隣接して配置された、壁状の部分である。第2スロット20に挿入された相手側コンタクト102bは、ストッパ53bに受けられることにより、それ以上のコンタクト保持部44b内への進入を規制される。これにより、相手側コンタクト102bと被覆電線101bとが接触することを抑制できる。
上記の構成を有するコンタクト保持部44a,44bに隣接するように、電線保持体50が形成されている。
図9は、圧接コネクタ1の主要部を電線保持体50側から見た斜視図である。図10は、圧接コネクタ1の主要部の平面図である。図8〜図10を参照して、電線保持体50は、複数の被覆電線101a,101bを保持するために設けられている。本実施形態において、電線保持体50は、第1壁部46の一部を構成しており、コンタクト保持部44a,44bと長さ方向X1に並んでいる。本実施形態では、電線保持体50について、長さ方向X1と直交する断面形状は、一様である。
電線保持体50は、複数の電線保持部600,700を有している。
電線保持部600,700は、対応する被覆電線101a,101bを保持するように構成されている。即ち、電線保持部600,700は、複数の被覆電線101a,101bのそれぞれに対応して設けられており、対応する被覆電線101a,101bを保持するように構成されている。電線保持部600,700の数は、被覆電線101a,101bの数と同じである。これら複数の電線保持部600,700は、被覆電線101a,101bが配列される方向としての所定の配列方向E1に並んで配置されている。本実施形態では、配列方向E1は、幅方向Y1でもある。
本実施形態では、電線保持部600,700は、配列方向E1に対称な形状に形成されている。電線保持部600,700は、挿入方向D1に沿って変位された対応する被覆電線101a,101bの一端部を、受け容れる。
電線保持部600は、長さ方向X1から見て、略U字状に形成されている。電線保持部600は、配列方向E1における電線保持体50の一端部を含んでいる。電線保持部600は、一方のコンタクト保持部44aと長さ方向X1に並んでいる。これにより、一方の圧接コンタクト2aに接続された被覆電線101aの一端部は、真っ直ぐに配置された状態で、電線保持部600に保持される。
電線保持部600は、ベース部601と、一対の本体としての第1本体602及び第2本体603と、電線保持溝604とを有している。第1本体602及び第2本体603は、協働して被覆電線101aを保持するために設けられている。
ベース部601は、電線保持部600における土台部分として設けられている。ベース部601は、幅方向Y1に延びる部分であり、ハウジング3の底壁43と連続している。ベース部601から、第1本体602及び第2本体603が延びている。
第1本体602は、配列方向E1における電線保持体50の一端部に配置されている。本実施形態では、第1本体602は、ハウジング3の第3壁部48に隣接して配置されている。第2本体603は、ハウジング3の仕切壁42に隣接して配置されている。第1本体602及び第2本体603は、それぞれ、長さ方向X1から見て鉤状に形成されている。
第1本体602は、第1電線保持片605と、第1電線保持片605から突出する第1押さえ片606と、を有している。同様に、第2本体603は、第2電線保持片607と、第2電線保持片607から突出する第2押さえ片608と、を有している。
第1電線保持片605及び第2電線保持片607は、本発明の「一対の電線保持片」の一例である。第1電線保持片605及び第2電線保持片607は、被覆電線101aを受け容れる電線保持溝604を形成するように対向配置されている。第1電線保持片605及び第2電線保持片607は、それぞれ、反対方向D2へ向けて延びる柱状に形成されている。本実施形態では、第1電線保持片605は、反対方向D2へ向かうに従い、第2電線保持片607に近づくように傾斜している。また、第2電線保持片607は、反対方向D2と平行に延びている。長さ方向X1から見て、本実施形態では、第2電線保持片607の幅は、第1電線保持片605の幅よりも小さく設定されている。このような構成により、第2電線保持片607の剛性は、第1電線保持片605の剛性よりも小さく設定されている。即ち、第2電線保持片607は、十分な可撓性を有している。
第1電線保持片605の先端部寄りの位置に、第1電線押さえ片606が形成されている。同様に、第2電線保持片607の先端部寄りの位置に、第2電線押さえ片608が形成されている。
第1電線押さえ片606及び第2電線押さえ片608は、協働して、被覆電線101aが電線保持溝604から抜けることを抑制するために設けられている。第1電線押さえ片606及び第2電線押さえ片608は、本発明の「突起部」の一例である。
第1電線押さえ片606及び第2電線押さえ片608は、それぞれ、対応する電線保持片605,607から電線保持溝604に向けて突出する突起状に形成されており、対応する被覆電線101aを受けることが可能である。このように、第1電線押さえ片606及び第2電線押さえ片608は、それぞれ、対応する電線保持片605,607から幅方向Y1に向かって突出している。本実施形態では、第1電線押さえ片606及び第2電線押さえ片608は、それぞれ、長さ方向X1から見て、三角形形状に形成されている。また、長さ方向X1から見て、第1電線押さえ片606の大きさと、第2電線押さえ片608の大きさは、ほぼ同じに設定されている。
電線押さえ片606,608に、配列方向E1と平行な方向に被覆電線101aから荷重が作用したときにおいて、電線押さえ片606,608の撓み量は、電線保持片605,607の撓み量よりも小さくなるように、電線押さえ片606,608の剛性が設定されている。
第1電線押さえ片606は、第1案内傾斜面609と、第1電線規制面610とを有している。同様に、第2電線押さえ片608は、第2案内傾斜面611と、第2電線規制面612とを有している。
第1案内傾斜面609及び第2案内傾斜面611は、挿入方向D1に沿って変位される被覆電線101aからの力を、電線保持溝604の溝幅を拡げる力に変換するための運動変換部として設けられている。
第1案内傾斜面609及び第2案内傾斜面611は、挿入方向D1における電線保持部600の上流側端部から挿入方向D1に向けて延びるように配置されている。第1案内傾斜面609及び第2案内傾斜面611は、反対方向D2側を向くように配置されている。第1案内傾斜面609及び第2案内傾斜面611は、挿入方向D1に対して傾斜する形状に形成されており、挿入方向D1に進むに従い、互いの間隔が狭くなっている。本実施形態では、第1案内傾斜面609及び第2案内傾斜面611は、それぞれ、平坦な形状に形成されている。
第1案内傾斜面609から挿入方向D1に進んだ位置に、第1電線規制面610が形成されている。同様に、第2案内傾斜面611から挿入方向D1に進んだ位置に、第2電線規制面612が形成されている。
第1電線規制面610及び第2電線規制面612は、協働して、電線保持溝604に挿入された被覆電線101aが電線保持溝604から抜けることを抑制するように構成されている。
第1電線規制面610及び第2電線規制面612は、挿入方向D1側を向くように配置されている。第1電線規制面610及び第2電線規制面612は、挿入方向D1と交差する方向に延びており、本実施形態では、挿入方向D1と直交する平坦面によって形成されている。尚、第1電線規制面610及び第2電線規制面612は、挿入方向D1と直交していなくてもよく、挿入方向D1に対して傾斜する面であってもよい。上記の構成により、電線保持溝604に挿入された被覆電線101aは、電線保持溝604に挟まれ、且つ、電線規制面610,612によって、電線保持溝604から抜けることを抑制されている。
上記の構成を有する第1本体602及び第2本体603間に、電線保持溝604が形成されている。電線保持溝604は、被覆電線101aを保持する溝部として設けられている。電線保持溝604は、第1本体602と、第2本体603と、ベース部601とを用いて形成されている。より具体的には、電線保持溝604は、第1本体602及び第2本体603の内側面によって、幅方向Y1における両端部を構成され、且つ、ベース部601の内側面によって、底部を構成されている。
本実施形態では、電線保持溝604は、長さ方向X1から見てU字状に形成されており、反対方向D2に開放されている。このような構成により、電線保持溝604は、挿入方向D1に沿って変位される被覆電線101aを受け容れることが可能に構成されている。電線保持溝604の底部は、長さ方向X1から見て円弧状に形成されている。長さ方向X1から見て、電線保持溝604の溝幅は、被覆電線101aの直径と略同じか、被覆電線101aの直径よりもわずかに小さく設定されている。
上記の構成を有する電線保持部600と、電線保持部700とは、配列方向E1に隣接して配置されている。
電線保持部700は、前述したように、被覆電線101bを保持するように構成されている。また、電線保持部600,700は、配列方向E1に対称な形状に形成されている。
電線保持部700は、長さ方向X1から見て、略U字状に形成されている。電線保持部700は、配列方向E1における電線保持体50の他端部を含んでいる。電線保持部700は、コンタクト保持部44bと長さ方向X1に並んでいる。これにより、他方の圧接コンタクト2bに接続された被覆電線101bの一端部は、真っ直ぐに配置された状態で、電線保持部700に保持される。
電線保持部700は、ベース部701と、一対の本体としての第1本体702及び第2本体703と、電線保持溝704とを有している。第1本体702及び第2本体703は、協働して被覆電線101bを保持するために設けられている。
ベース部701は、電線保持部700における土台部分として設けられている。ベース部701は、幅方向Y1に延びる部分であり、ハウジング3の底壁43及びベース部601と連続している。ベース部701から、第1本体702及び第2本体703が延びている。
第1本体702は、配列方向E1における電線保持体50の他端部に配置されている。本実施形態では、第1本体702は、ハウジング3の第4壁部49に隣接して配置されている。第2本体703は、ハウジング3の仕切壁42に隣接して配置されている。第1本体702及び第2本体703は、それぞれ、長さ方向X1から見て鉤状に形成されている。
第1本体702は、第1電線保持片705と、第1電線保持片705から突出する第1押さえ片706と、を有している。同様に、第2本体703は、第2電線保持片707と、第2電線保持片707から突出する第2押さえ片708と、を有している。
第1電線保持片705及び第2電線保持片707は、本発明の「一対の電線保持片」の一例である。第1電線保持片705及び第2電線保持片707は、被覆電線101bを受け容れる電線保持溝704を形成するように対向配置されている。第1電線保持片705及び第2電線保持片707は、それぞれ、反対方向D2へ向けて延びる柱状に形成されている。本実施形態では、第1電線保持片705は、反対方向D2へ向かうに従い、第2電線保持片707に近づくように傾斜している。また、第2電線保持片707は、反対方向D2と平行に延びている。長さ方向X1から見て、本実施形態では、第2電線保持片707の幅は、第1電線保持片705の幅よりも小さく設定されている。このような構成により、第2電線保持片707の剛性は、第1電線保持片705の剛性よりも小さく設定されている。即ち、第2電線保持片707は、十分な可撓性を有している。
第1電線保持片705の先端部寄りの位置に、第1電線押さえ片706が形成されている。同様に、第2電線保持片707の先端部寄りの位置に、第2電線押さえ片708が形成されている。
第1電線押さえ片706及び第2電線押さえ片708は、協働して、被覆電線101bが電線保持溝704から抜けることを抑制するために設けられている。第1電線押さえ片706及び第2電線押さえ片708は、本発明の「突起部」の一例である。
第1電線押さえ片706及び第2電線押さえ片708は、それぞれ、対応する電線保持片705,707から電線保持溝704に向けて突出する突起状に形成されており、対応する被覆電線101bを受けることが可能である。このように、第1電線押さえ片706及び第2電線押さえ片708は、それぞれ、対応する電線保持片705,707から幅方向Y1に向かって突出している。本実施形態では、第1電線押さえ片706,第2電線押さえ片708は、それぞれ、長さ方向X1から見て、三角形形状に形成されている。長さ方向X1から見て、第1電線押さえ片706の大きさと、第2電線押さえ片708の大きさは、ほぼ同じに設定されている。
電線押さえ片706,708に、配列方向E1と平行な方向に被覆電線101bから荷重が作用したときにおいて、電線押さえ片706,708の撓み量は、電線保持片705,707の撓み量よりも小さくなるように、電線押さえ片706,708の剛性が設定されている。
第1電線押さえ片706は、第1案内傾斜面709と、第1電線規制面710とを有している。同様に、第2電線押さえ片708は、第2案内傾斜面711と、第2電線規制面712とを有している。
第1案内傾斜面709及び第2案内傾斜面711は、挿入方向D1に沿って変位される被覆電線101bからの力を、電線保持溝704の溝幅を拡げる力に変換するための運動変換部として設けられている。
第1案内傾斜面709及び第2案内傾斜面711は、挿入方向D1における電線保持部700の上流側の端部から挿入方向D1に向けて延びるように配置されている。第1案内傾斜面709及び第2案内傾斜面711は、反対方向D2側を向くように配置されている。第1案内傾斜面709及び第2案内傾斜面711は、挿入方向D1に対して傾斜する形状に形成されており、挿入方向D1に進むに従い、互いの間隔が狭くなっている。本実施形態では、第1案内傾斜面709及び第2案内傾斜面711は、それぞれ、平坦な形状に形成されている。
第1案内傾斜面709から挿入方向D1に進んだ位置に、第1電線規制面710が形成されている。同様に、第2案内傾斜面711から挿入方向D1に進んだ位置に、第2電線規制面712が形成されている。
第1電線規制面710及び第2電線規制面712は、協働して、電線保持溝704に挿入された被覆電線101bが電線保持溝704から抜けることを抑制するように構成されている。
第1電線規制面710及び第2電線規制面712は、挿入方向D1側を向くように配置されている。第1電線規制面710及び第2電線規制面712は、挿入方向D1と交差する方向に延びており、本実施形態では、挿入方向D1と直交する平坦面によって形成されている。尚、第1電線規制面710及び第2電線規制面712は、挿入方向D1と直交していなくてもよく、挿入方向D1に対して傾斜する面であってもよい。上記の構成により、電線保持溝704に挿入された被覆電線101bは、電線保持溝704に挟まれ、且つ、電線規制面710,712によって、電線保持溝704から抜けることを抑制されている。
上記の構成を有する第1本体702及び第2本体703間に、電線保持溝704が形成されている。電線保持溝704は、被覆電線101bを保持する溝部として設けられている。電線保持溝704は、第1本体702と、第2本体703と、ベース部701とを用いて形成されている。より具体的には、電線保持溝704は、第1本体702及び第2本体703の内側面によって、幅方向Y1における両端部を構成され、且つ、ベース部701の内側面によって、底部を構成されている。
本実施形態では、電線保持溝704は、長さ方向X1から見てU字状に形成されており、反対方向D2に開放されている。このような構成により、電線保持溝704は、挿入方向D1に沿って変位される被覆電線101bを受け容れることが可能に構成されている。電線保持溝704の底部は、長さ方向X1から見て円弧状に形成されている。長さ方向X1から見て、電線保持溝704の溝幅は、被覆電線101bの直径と略同じか、被覆電線101bの直径よりもわずかに小さく設定されている。
上記の構成を有する電線保持体50において、ハウジング3への被覆電線101a,101bの挿入に伴いハウジング3に作用する負荷を低減するための構成が設けられている。
具体的には、ハウジング3は、第1剛性低減部81、第2剛性低減部82、及び第3剛性低減部83を有している。
第1剛性低減部81は、配列方向E1に隣接する2つの電線保持部600,700において配列方向E1に隣接する2つの第2電線保持片607,707間に配置されている。第1剛性低減部81は、第2電線保持片607,707の可撓性を増すように構成されている。2つの第2電線保持片607,707は、本発明の「2つの所定の電線保持片」の一例である。
第1剛性低減部81は、ハウジング3における第2電線保持片607,707間の一部の領域の剛性を低減させる構成を有している。より具体的には、第1剛性低減部81は、配列方向E1において、第2電線保持片607,707間に配置されている。
第1剛性低減部81は、第1空間形成部84を有している。第1空間形成部84は、第1スリット85を形成している。第1スリット85は、第2電線保持片607,707の先端部から挿入方向D1に向けて延びるように形成されており、反対方向D2に開放されている。
本実施形態では、第1スリット85は、挿入方向D1と平行に延びており、挿入方向D1に細長い。また、挿入方向D1(厚み方向Z1)において、第1スリット85の深さL1は、電線保持溝604(704)の深さL2よりも小さく設定されている。本実施形態では、第1スリット85の深さL1は、電線保持溝604,704の深さL2の50%以上100%未満に設定されている。このように、配列方向E1と直交し且つ電線保持溝604,704が延びる方向と平行な厚み方向Z1において、電線保持溝604,704の深さL2(長さ)は、第1剛性低減部81の深さL1よりも大きく設定されている。挿入方向D1における第1スリット85の下流側端部は、長さ方向X1から見て、滑らかな円弧形状に形成されており、第1空間形成部84に応力集中が生じにくい形状を有している。本実施形態では、配列方向E1(幅方向Y1)において、第1スリット85の幅(長さ)は、第2電線保持片607,707のそれぞれの幅よりも小さく設定されている。電線保持溝604,704のそれぞれに対応する被覆電線101a,101bが同時に挿入される際に、第2電線保持片607,707同士が過度の力で接触しないように、第1スリット85の幅が適宜設定されている。
電線保持溝604、第1スリット85、電線保持溝704は、配列方向E1に沿って並んでいる。即ち、第1スリット85は、電線保持溝604,704間に配置されている。より具体的には、第1スリット85は、配列方向E1において、2つの第2電線保持片607,707間に配置されており、且つ、2つの電線押さえ片608,708間に配置されている。上記の構成を有する第1剛性低減部81と長さ方向X1に隣接するようにして、第2剛性低減部82が配置されている。
第2剛性低減部82は、第2電線保持片607,707の可撓性を増すように構成されている。第2剛性低減部82は、仕切壁42に隣接する第2電線保持片607,707と仕切壁42との間に形成されている。第2剛性低減部82は、第2電線保持片607,707を仕切壁42と独立して撓み変形可能となるように形成されている。より具体的には、第2剛性低減部82は、第2電線保持片607,707と仕切壁42とを離隔する空間86を形成している。
この空間86が形成されていることにより、仕切壁42は、電線保持部600,700のベース部601,701とは連続しているけれども、第2電線保持片607,707とは離隔して配置されている。上記の構成を有する第2剛性低減部82とは配列方向E1に離隔して、第3剛性低減部83(831,832)が設けられている。
第3剛性低減部83(831,832)は、各第1電線保持片605,705の可撓性を増すように構成されている。第1電線保持片605,705は、本発明の「端部電線保持片」の一例であり、配列方向E1における複数の電線保持部600,700の両端部に配置されている。
第3剛性低減部831は、電線保持部600の第1電線保持片605と第3壁部48との間に配置されており、この電線保持片605を第3壁部48と独立して撓み変形可能にしている。第3剛性低減部832は、電線保持部700の第1電線保持片705と第4壁部49との間に配置されており、この電線保持片705を第4壁部49と独立して撓み変形可能にしている。電線保持部600,700は、本発明の「配列方向における複数の電線保持部の端部に配置された端部電線保持部」の一例である。また、第3壁部48及び第4壁部49は、それぞれ、本発明の「端部電線保持片に隣接して配置された壁部」の一例である。
より具体的には、第3剛性低減部831,832は、第1電線保持片605,705と対応する第3壁部48及び第4壁部49との間にスリット87,88を形成している。
このスリット87が形成されていることにより、第3壁部48は、電線保持部600のベース部601とは連続しているけれども、第1電線保持片605とは不連続である。同様に、スリット88が形成されていることにより、第4壁部49は、電線保持部700のベース部701とは連続しているけれども、第1電線保持片705とは不連続である。
以上が、圧接コネクタ1の概略構成である。
[圧接コネクタへの被覆電線及び相手側コンタクトの接続作業]
次に、圧接コネクタ1に被覆電線101a,101b及び相手側コンタクト102a,102bを接続する作業について説明する。図11は、被覆電線101a及び相手側コンタクト102aが接続される前の状態の圧接コネクタ1を示す側面図である。図12は、被覆電線101a,101bが電線保持部600,700に挿入される途中の状態を示す側面図であり、一部を断面で示している。
図13は、被覆電線101a,101bが電線保持部600,700に挿入され終わった状態を示す側面図であり、一部を断面で示している。図14は、圧接コネクタ1に被覆電線101a,101bが接続された状態を示す、主要部の平面図である。図15は、圧接コネクタ1に被覆電線101a,101b及び相手側コンタクト102a,102bが接続された状態を示す、主要部の平面図である。
図11を参照して、圧接コネクタ1における接続作業に際しては、作業員は、まず、圧接コネクタ1と、被覆電線101a,101bとを厚み方向Z1に向かい合わせる。また、作業員は、圧接コネクタ1と、相手側コンタクト102a,102bとを厚み方向Z1に向かい合わせる。
次に、作業員は、被覆電線101a,101bを一括して挿入方向D1に変位することで、被覆電線101a,101bを圧接コネクタ1に挿入する。この際、図12に示すように、被覆電線101a,101bは、対応する電線保持部600,700に向けて変位される。これにより、被覆電線101aは、第1及び第2電線押さえ片606,608の案内傾斜面609,611に接触し、これらの案内傾斜面609,611間の間隔を拡げる。同様に、被覆電線101bは、電線押さえ片706,708の案内傾斜面709,711に接触し、これらの案内傾斜面709,711間の間隔を拡げる。即ち、被覆電線101a,101bは、対応する電線保持溝604,704間の間隔を拡げる。
上記の動作により、被覆電線101a,101bは、対応する電線保持溝604,704の底部へ押し込まれる。この際、第1剛性低減部81及び第2剛性低減部82が設けられていることにより、第2電線保持片607,707が容易に撓む。これにより、第2電線保持片607,707の先端部は、互いに近づく方向へ変位する。この作用が生じることで、被覆電線101a,101bから各第2電線押さえ片608,708に過度な荷重が作用することが抑制される。また、第3剛性低減部83が設けられていることにより、第1電線保持片605,705は容易に撓み、第1電線保持片605,705の先端部は、互いに遠ざかる方向へ変位する。これにより、被覆電線101a,101bから第1電線押さえ片606,706に過度な荷重が作用することが抑制される。
被覆電線101a,101bが対応する電線保持溝604,704に挿入されると、図13に示すように、被覆電線101aは、電線保持溝604の底部に保持され、第1電線規制面610,第2電線規制面612とは隙間をあけて対向する。同様に、被覆電線101bは、電線保持溝704の底部に保持され、第1電線規制面710,第2電線規制面712とは隙間をあけて対向する。
また、図14に示すように、被覆電線101a,101bの一部は、圧接コンタクト2a,2bの対応する第1スロット10に挿入され、圧接刃14a,14bに接触する。圧接刃14a,14bは、対応する被覆電線101a,101bの被覆部103を切断し、芯線部104を露呈させる。そして、芯線部104は、圧接部4に挟まれる。これにより、被覆電線101a,101bの芯線部104は、対応する圧接部4と接触する。
また、被覆電線101a,101bの一部は、圧接コンタクト2a,2bの電線保持部8の対応する第3スロット30に挿入される。これにより、被覆電線101a,101bは、対応する電線保持部8に挟まれる。
次に、作業員は、相手側コンタクト102a,102b(図14では図示せず)を、挿入方向D1に変位させ、相手側コンタクト102a,102bを対応するスリット52a,52b及び第2スロット20に挿入する。これにより、図15に示すように、相手側コンタクト102a,102bは、圧接コンタクト2a,2bの対応する接点部6の一対の接点凸部24a,24bに挟まれる。これにより、相手側コンタクト102a,102bは、対応する接点部6と接触する。その結果、相手側コンタクト102a,102bは、対応する圧接コンタクト2a,2bを介して、対応する被覆電線101a,101bの芯線部104と電気的に接続される。
以上説明したように、本発明の第1実施形態にかかる圧接コネクタ1によると、配列方向E1に隣り合う2つの第2電線保持片607,707は、互いに向かい合う方向に沿う荷重を受けた場合に、第1剛性低減部81に向けて変位することができる。これにより、配列方向E1に隣接する2つの電線保持溝604,704に同時に被覆電線101a,101bが挿入された場合に、2つの第2電線保持片607,707は、対応する被覆電線101a,101bからの荷重を受けて、第1剛性低減部81に向けて変位することができる。このため、各第2電線保持片607,707及び各第2電線押さえ片608,708に過大な負荷が作用することを抑制できる。したがって、複数の被覆電線101a,101bが取り付けられる圧接コネクタ1において、破損が生じることを、より確実に抑制できる。
また、電線押さえ片606,608;706,708の大型化、長身化を通じて各電線押さえ片606,608;706,708の破損を抑制する構成ではない。このため、電線保持部600,700のさらなる小型化を通じて、圧接コネクタ1のさらなる小型化を実現できる。さらに、被覆電線101a,101bを一括して対応する電線保持溝604,704に挿入できるので、圧接コネクタ1と被覆電線101a,101bとを接続する作業を、より迅速に行うことができる。
また、電線保持部600は、電線保持片605,607から電線保持溝604に向けて突出する電線押さえ片606,608を有している。また、電線保持部700は、電線保持片705,707から電線保持溝704に向けて突出する電線押さえ片706,708を有している。この構成によると、第2電線押さえ片606,608;706,708は、電線保持溝604,704に挿入された対応する被覆電線101a,101bを受けることで、被覆電線101a,101bが電線保持溝604,704から抜けることを抑制できる。また、被覆電線101a,101bが電線保持溝604,704に挿入される際、被覆電線101a,101bは、第2電線押さえ片608,708を押しのけるように第2電線押さえ片608,708と接触することとなる。この際、被覆電線101a,101bから第2電線押さえ片608,708に作用する荷重は、対応する第2電線保持片607,707に伝わり、その結果、第2電線保持片607,707が第1剛性低減部81へ向けて変位する。これにより、被覆電線101a,101bから第2電線押さえ片608,708へ作用する荷重が逃がされ、第2電線押さえ片608,708が破損することを抑制できる。したがって、第2電線押さえ片608,708の破損に起因して被覆電線101a,101bが電線保持溝604,704から外れることを、抑制できる。
また、圧接コネクタ1によると、第2電線押さえ片608,708と第1剛性低減部81とは、配列方向E1に並んで配置されている。この構成によると、被覆電線101a,101bから第2電線押さえ片608,708が受けた荷重によって、第2電線保持片607,707が変位し易い。これにより、被覆電線101a,101bから第2電線押さえ片608,708へ作用する荷重を逃がす効果が、より強く発揮される。
また、圧接コネクタ1によると、第1剛性低減部81は、2つの第2電線保持片607,707間に形成された第1空間形成部64を有している。この構成によると、2つの第2電線保持片607,707間に第1スリット85を形成するという簡易な構成で、第1剛性低減部81を実現できる。
また、圧接コネクタ1によると、電線保持溝604,704は、反対方向D2に開放されており、且つ、挿入方向D1に沿って変位される被覆電線101a,101bを受け容れることが可能に構成されている。また、第1空間形成部64によって形成された第1スリット85は、反対方向D2に向けて開放されている。この構成によると、2つの第2電線保持片607,707間に第1スリット85を形成するという簡易な構成で、第1剛性低減部81を実現できる。また、第1剛性低減部81は、反対方向D2に向けて開放されている。これにより、第2電線保持片607,707は、より撓み易くなる。その結果、ハウジング3の破損を、より確実に抑制できる。
また、圧接コネクタ1によると、電線保持溝604,704の深さ(長さ)L2は第1剛性低減部81の深さ(長さ)L1よりも大きく設定されている。この構成によると、第2電線保持片607,707の撓み量が過度に大きくなることを抑制できる。よって、第2電線保持片607,707が対応する被覆電線101a,101bを保持する力を、十分に確保することができる。
また、圧接コネクタ1によると、ハウジング3は、仕切壁42に隣接する第2電線保持片607,707と仕切壁42との間に形成された第2剛性低減部82を有している。この構成によると、仕切壁42が設けられていることにより、配列方向E1に沿って並ぶ圧接コンタクト2a,2b同士が接触することを抑制できる。また、仕切壁42に隣接する第2電線保持片607,707と仕切壁42との間に第2剛性低減部82が形成されている。これにより、第2電線保持片607,707の可撓性を、より大きく確保できる。よって、電線保持溝604,704に被覆電線101a,101bが挿入される際に電線保持部600,700に過度に大きい力が作用することを、抑制できる。
また、圧接コネクタ1によると、電線保持部600の第1電線保持片605と第3壁部48との間に第3剛性低減部831が形成されている。また、電線保持部700の第1電線保持片705と第4壁部49との間に第3剛性低減部832が形成されている。これにより、第1電線保持片605,705の可撓性を、十分に確保できる。よって、第1電線保持片605,705を用いて形成された電線保持溝604,704に被覆電線101a,101bが挿入される際に、上記第1電線保持片605,705に過度に大きい力が作用することを、抑制できる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上記実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。例えば、次のように変更して実施してもよい。尚、以下では、上記実施形態と異なる構成を主に説明し、上記実施形態と同様の構成については、図に同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[第1変形例]
図16は、本発明の第1変形例に係る圧接コネクタ1Aの斜視図であり、圧接コネクタ1Aを電線保持体50A側から見た状態を示している。図17は、本発明の第1変形例に係る圧接コネクタ1Aの主要部の斜視図であり、圧接コネクタ1Aをコンタクト保持部44a側から見た状態を示している。
図16及び図17を参照して、本第1変形例では、圧接コネクタ1Aのハウジング3Aは、第1剛性低減部81Aを有している。第1剛性低減部81Aは、第1空間形成部84と、第1空間形成部84に配置された低剛性部材89とを有している。
本変形例では、ハウジング3Aは、低剛性部材89と、ハウジング本体90とを有している。
ハウジング本体90は、第1実施形態におけるハウジング3と同一の構成を有している。ハウジング本体90の材料である合成樹脂は、ハウジング3Aの母材である。低剛性部材89は、ハウジング本体90に保持されている。低剛性部材89は、ハウジング本体90の第1スリット85を埋めるように配置されている。本変形例では、低剛性部材89の材料は、ゴムであり、弾性変形可能である。低剛性部材89の材料の剛性は、ハウジング本体90の材料の剛性よりも低く設定されている。換言すれば、低剛性部材89の材料の弾力性は、ハウジング本体90の材料の弾力性よりも高く設定されている。即ち、第1剛性低減部81Aは、ハウジング3Aの母材の弾力性よりも高い弾力性を有する材料を用いて形成されている。
以上説明した圧接コネクタ1Aによると、低剛性部材89は、第2電線保持片607,707の間の第1スリット85の少なくとも一部を埋めることとなる。これにより、埃等の異物がハウジング3Aの外部からハウジング3Aの内部に侵入することを、より確実に抑制できる。
[第2変形例]
図18は、本発明の第2変形例に係る圧接コネクタ1Bの斜視図であり、圧接コネクタ1Bを電線保持体50側から見た状態を示している。図19は、本発明の第2変形例に係る圧接コネクタ1Bの側面図である。
図18及び図19を参照して、本変形例では、圧接コネクタ1Bのハウジング3Bは、ストッパ部91,92を有している。
ストッパ部91,92は、配列方向E1における電線保持体50の両端部に配置された第1電線保持片605,705の変位量を規制するために設けられている。第1電線保持片605,705は、本発明の「端部電線保持片」の一例である。
ストッパ部91は、第3壁部48から長さ方向X1の一方に延びる小片状に形成されており、第1電線保持片605に隣接して配置されている。ストッパ部92は、第4壁部49から長さ方向X1の一方に延びる小片状に形成されており、第1電線保持片705に隣接して配置されている。
圧接コネクタ1Bに外力が作用していない状態としての自由状態において、配列方向E1における第1電線保持片605とストッパ部91との間には、間隔K11が設けられている。間隔K11は、配列方向E1における第1スリット85の幅の略半分と同じに設定されていることが好ましい。同様に、自由状態において、配列方向E1における第1電線保持片705とストッパ部92との間には、間隔K12が設けられている。間隔K12は、配列方向E1における第1スリット85の幅の略半分と同じに設定されていることが好ましい。このような構成により、被覆電線101a,101bが電線保持溝604,704に挿入される際において、各電線保持片605,607;705,707の先端部が配列方向E1に変位する量を、ほぼ同じに規制できる。
尚、被覆電線101a,101bが電線保持溝604,704に挿入される際、ストッパ部91,92は、対応する第1電線保持片605,705を受けるように配置されていてもよいし、対応する第1電線保持片605,705を受けないように配置されていてもよい。
この構成によると、例えば、圧接コネクタ1Bの運搬時に第1電線保持片605,705に異物が接触した場合等、当該第1電線保持片605,705に大きな力が作用した場合に、当該第1電線保持片605,705の過度な変位は、ストッパ部91,92によって規制される。よって、第1電線保持片605,705に塑性変形、破損等が生じることを抑制できる。
[他の変形例]
(1)上記実施形態及び各変形例では、電線保持部が2つ設けられる形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、図20に示すように、3つ以上の電線保持部600,700,800を有する電線保持体50Cが設けられてもよい。この場合、配列方向E1における電線保持体50Cの両端部の電線保持部600,700は、第1実施形態における電線保持部600,700と同様の構成を有している。また、電線保持部800は、電線保持部600,700の間に配置されている。電線保持部800は、第2本体603,703を有している。電線保持部800の第2電線保持片607,707は、第1スリット85を介して対応する電線保持部600,700,800に隣接している。
(2)また、上記実施形態及び各変形例では、圧接コネクタのハウジングに第2剛性低減部及び第3剛性低減部が設けられている形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、第2剛性低減部及び第3剛性低減部の少なくとも一方は、省略されていてもよい。この場合でも、第1剛性低減部が設けられていることにより、第2電線保持片の可撓性を十分に確保できる。
(3)また、上記実施形態及び各変形例では、第1スリットが反対方向に開放されている形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、第1スリットは、反対方向に開放されていなくてもよい。
(4)また、上記実施形態及び各変形例では、圧接コンタクトに接続される第1導電部材及び第2導電部材として、被覆電線の芯線部と、板状の相手側コンタクトとを例示した。しかしながら、この通りでなくてもよい。第1導電部材及び第2導電部材について、双方が芯線部であってもよい。また、例えば、一方の導電部材として、回路基板、FFC(フレキシブルフラットケーブル)、FPC(フレキシブルプリント基板)等、他の導電部材を用いてもよい。
(5)また、上記実施形態及び各変形例では、圧接コネクタの構成について、種々説明した。しかしながら、本発明の圧接コネクタのハウジングは、配列方向に隣り合う少なくとも2つの電線保持部を有していればよく、これ以外の構成は、限定されない。