JP2014208935A - 塗工白板紙およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原紙上に、ブレード、フィルムトランスファーおよびロッド塗工方式から選択される塗工方式により下塗り塗工層を設ける工程、乾燥工程を挟むことなく前記下塗り塗工層の上に最外塗工層を含むカーテン塗工層を設ける工程、を含む塗工白板紙の製造方法。
【選択図】なし
Description
このような状況に鑑み、本発明は、白色度の低い原紙を用いても、製品の白色度が高く、白色ムラがなく平滑性に優れた塗工白板紙を、カーテン塗工により製造する方法を提供することを課題とする。
(1)原紙上に、ブレード、フィルムトランスファーおよびロッド塗工方式のいずれかから選択される塗工方式により下塗り塗工層を設ける工程、
乾燥工程を経ることなく前記下塗り塗工層の上にカーテン塗工層を設ける工程、
を含む塗工白板紙の製造方法。
(2)前記方法により製造された塗工白板紙。
塗工白板紙とは、原紙の片面、もしくは両面に顔料塗工層を設けた板紙であり、古紙パルプが少なくとも配合されることが好ましい。本発明で製造される塗工白板紙の坪量は、特に限定されないが一般的には150〜800g/m2程度であり、200g/m2以上が好ましい。塗工白板紙の紙中灰分は、10重量%以上であることが好まく、15重量%以上であることがより好ましい。灰分が10重量%より少ないと不透明度が十分に向上しないことがあるためである。塗工白板紙の白色度は、75%以上が好ましく、77.5%以上がより好ましく、80%以上がよりさらに好ましい。
本工程では、原紙上に、ブレード、フィルムトランスファーおよびロッド塗工方式のいずれかから選択される塗工方式により下塗り塗工層を設ける。下塗り層は1層以上設けることができ、その場合は、ブレード、フィルムトランスファー、ロッド方式を組み合わせてもよい。
ブレード塗工方式とは後計量の塗工方式であり、紙面上に過剰に付着させた塗料をブレードにより掻き落として平滑に塗工する方式である。具体的には、ブレード刃先に設けた角度を用いて多くの塗料を掻き落とすベベルブレード方式やブレードの側面を紙面に押し付けて塗料を掻き落とすベントブレード方式等が挙げられる。
本発明で用いる下塗り塗工液は特に限定されない。しかしながら、後述するカーテン下塗り塗工液と近い特性を有すると、本発明の効果がより顕著となるので好ましい。
本発明で使用される原紙は、古紙パルプが少なくとも配合されていることが好ましい。それ以外のパルプ配合は特に制限されない。例えば、晒化学パルプ、未晒化学パルプなどを配合した原紙を使用できる。古紙パルプは、脱墨処理されていてもいなくてもよい。脱墨パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプなどを使用することができる。古紙パルプの配合率は全パルプ中50重量%以上、好ましくは80重量%以上とできる。
さらに、原紙の平滑性を改善する手段として、下塗り塗工前に、澱粉を主成分としたクリア塗料または顔料を含んだ塗料を原紙に塗工(プレ塗工)することができる。
カーテン塗工とは、塗工液をカーテン状に流下させて膜を形成し、その膜に原紙を通すことにより原紙上に塗工層を設ける塗工方式である。カーテン塗工は、原紙に沿って塗工層が形成される輪郭塗工であり、また、いわゆる前計量方式であるため塗工量の制御が容易であるという特徴を有する。
1)カーテン下塗り塗工層の光散乱性
カーテン下塗り塗工層は、原紙をより効果的に隠蔽するために、光散乱性が高いことが好ましい。塗工層の光散乱性は、単位塗工量あたりの散乱性、すなわち比散乱係数を指標とすることができる。比散乱係数が高いほど、塗工層の隠蔽性が高い。
i)透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ100μm、不透明度5%以下)上に、塗工液をメイヤーバーにより乾燥後の塗工層の重量が20g/m2前後になるように塗布し、塗工層の重量W[g/m2]を天秤により正確に測定する。乾燥は105℃で30分以上、水分減少量の変動がなくなるまで行う。
ii)次に、この塗工したフィルムに黒色板を裏あてし、反射率計を用いて塗工層の反射率を測定し、反射率R0を得る。
iii)オーブンを用いて、塗工液を105℃で30分以上、水分減少量の変動がなくなるまで乾燥し、透けない程度の十分な厚み(1mm以上)を有するペレットを得て、その反射率R∞を前述のとおり測定する。
iv)これらの値を用いて、TAPPI T425(ISO 9426)に規定される次式により、比散乱係数sを算出する。
b = 0.5 [(1/R∞) − R∞)]
X = [1 − aR0]/[bR0]
s = 1/W ×(0.5/b) ln [(X + 1)/(X − 1)]
上記の性質を有する下塗り塗工層を得るために、カーテン下塗り塗工液は、特定の顔料と接着剤(バインダー)を含むことが好ましい。顔料としては、隠蔽性の高い顔料が好ましい。カーテン下塗り塗工液を上記の比散乱係数の範囲とするためには、粒子径の分布が狭く光散乱性の高い軽質炭酸カルシウムを主として用いることが好ましい。含有率は特に制限されないが、顔料100重量部中、軽質炭酸カルシウムの含有量が20〜100重量部であると隠蔽効果が顕著となる。より好ましくは50重量部以上である。軽質炭酸カルシウムの形状としては、立方体状、紡錘状、針状などがあり、いずれを使用してもよいが、紡錘状あるいは針状のものを使用した場合に特に隠蔽効果が高くなる。軽質炭酸カルシウムの粒子径としては、平均粒子径(D50)で0.2〜0.8μmが好ましく、0.2〜0.5μmがさらに好ましい。軽質炭酸カルシウムの代わりとして、粒度分布が狭くなるように制御したエンジニアード重質炭酸カルシウムやエンジニアードカオリンを含有させてもよいが、隠蔽性は軽質炭酸カルシウムよりも劣る。
カーテン下塗り塗工液の固形分濃度は、好ましくは40〜75重量%であり、より好ましくは50〜70重量%であり、さらに好ましくは60〜70重量%である。カーテン下塗り塗工液の固形分濃度が40重量%未満であると、塗工乾燥時における塗工層の体積変化が大きくなり、結果として塗工後の表面平滑性が低下することがある。また前記濃度が75重量%より多いと、塗工液の流動性が悪化し、均一なカーテン膜を形成することが難しくなることがある。
1)カーテン上塗り塗工層の白色度
カーテン上塗り塗工層の白色度は85%以上が好ましく、90%以上であることがより好ましい。カーテン下塗り層によって隠蔽され白色度が向上した表面の上に、当該上塗り層を設けることで、塗工白板紙の白色度をより一層高めることができる。
カーテン上塗り塗工層の隠蔽性は、本発明の白板紙の品質には影響しないため、カーテン下塗り塗工層ほど高い必要はなく特に限定されないが、通常の範囲において、70m2/kg以上であることが好ましい。
カーテン上塗り塗工液は顔料と接着剤を含んでなる。顔料としては白色度の高いものが好ましく、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、高白色カオリン、二酸化チタン、プラスチックピグメント等が挙げられる。これらの顔料は単独で使用できるが、必要に応じて二種以上を混合して使用してもよい。中でも、比較的安価である重質炭酸カルシウムあるいは軽質炭酸カルシウムを主成分とすることが好ましい。重質炭酸カルシウムの平均粒径(D50)は0.3〜2.0μmが好ましく、0.5〜1.0μmがさらに好ましい。重質炭酸カルシウムを用いた場合、比散乱係数は高くないが白色度が高くなる。さらに重質炭酸カルシウムは安価であるため、カーテン上塗り層に使用する顔料として好適である。軽質炭酸カルシウムについては既に述べたとおりである。重質炭酸カルシウムあるいは軽質炭酸カルシウムの含有率は特に制限されないが、顔料100重量部中、炭酸カルシウムの含有量が50重量部以上、好ましくは70重量部以上であると白色度向上の効果が顕著となる。
上塗り塗工液の固形分濃度は、好ましくは40〜75重量%であり、より好ましくは50〜70重量%であり、さらに好ましくは60〜70重量%である。上塗り塗工液の固形分濃度が、40重量%未満であると、塗工乾燥時における塗工層の体積変化が大きくなり、結果として塗工後の表面平滑性が劣ることがある。また前記濃度が75重量%より多いと、塗工液の流動性が悪化し、均一なカーテン膜を形成することが難しくなることがある。
本発明では、複数の塗工液から、複数の層を含む1のカーテン塗工膜を形成し、原紙またはプレ塗工された原紙に下塗り層を設けた後、当該原紙を前記カーテン膜に通してカーテン塗工層を形成することが好ましい。複数の塗工液から複数のカーテン膜を形成してカーテン塗工すると、走行する紙にカーテン膜が接触する際にカーテン膜にある程度の乱れが生じることが不可避であるが、複数の塗工液から1つのカーテン膜を形成させて複数の塗工層を同時にカーテン塗工すると、塗工層間の層構造を維持することができる。
本発明の塗工白板紙は、原紙上に塗工層を設けた後、通常の乾燥工程を経て製造されるが、必要に応じて表面処理工程等で平滑化処理してもよい。好ましい態様において、製造後の塗工白板紙の水分が3〜10重量%、より好ましくは4〜8重量%程度となるように調整して仕上げられる。平滑化処理には、通常のスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ、熱キャレンダ、シューキャレンダ等の平滑化処理装置を用いることができる。
平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整される。
また、本発明においては、剛度およびカール抑制のために、カーテン塗工層を設けていない面にクリアもしくは顔料塗工層を設けてもよい。裏面塗工層を形成する塗工液には、必要に応じて、従来から公知公用の顔料やバインダー、および、分散剤、粘性改良剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、蛍光染料、着色染料、着色顔料、界面活性剤、pH調整剤、カチオン性樹脂、アニオン性樹脂、紫外線吸収剤、金属塩など、通常の塗工液に配合される各種助剤を適宜使用できる。
(1)白色度:JIS P8148「紙,板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した。塗工層の白色度については、塗工液をオーブンにより乾燥し、十分な厚み(1mm以上)を持ったペレット状にして測定した。乾燥は、オーブンを用い、105℃で30分以上、水分減少量の変動がなくなるまで実施した。
(2)白色ムラ:以下の基準:
◎:ムラが全く目立たない
○:軽度のムラが認められる
△:ムラが認められ、実用上問題となる可能性がある
×:顕著なムラが認められ、実用に適さない
を用いて、目視により評価した。
(4)平滑度:JIS P8151「紙及び板紙−表面粗さ及び平滑度試験方法(エア・リーク法)−プリント・サーフ試験機法」に準拠し、測定ヘッドの圧力差が19.6±0.1kPaである場合における平滑度を測定した。
(5)密度
坪量および紙厚をJIS P 8124およびJIS P 8118に準じてそれぞれ測定し、JIS P 8118に準じて坪量と紙厚から密度を求めた。
<原紙>
脱墨古紙100%の割合で配合したパルプを使用して白色度70%、米坪40g/m2の表層、脱墨しない雑誌古紙100%で配合したパルプを使用して白色度55%、米坪220g/m2の中層、中層と同様のパルプを使用して白色度45%、米坪40g/m2の裏層をそれぞれ抄造し抄き合わせ、プレス、乾燥処理を行い、米坪300g/m2の塗工白板紙原紙を得た。原紙の白色度は65%であった。抄紙速度は300m/分であった。
紡錘状軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP−221−70GS、D50=0.5μm、D75/D25=2.5)55重量部、デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)45重量部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(旭化成ケミカル社製、ALB1735)14重量部を添加し下塗り塗工液を得た。
紡錘状軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP−221−70GS、D50=0.5μm、D75/D25=2.5)75重量部、デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)15重量部、焼成カオリン(Imerys社製、Alphatex)10重量部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(旭化成ケミカル社製、ALB1735)14重量部、PVA(クラレ社製ポリビニルアルコール、ポバール105)0.5重量部、界面活性剤(日本乳化剤社製、Newcol291−PG)0.5重量部を添加した。この混合物にさらに水を添加して、30℃、60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整し、固形分濃度63%、静的表面張力30mN/mの下塗り塗工液を得た。
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、FMT97、D50=0.7μm、D75/D25=3.8)95重量部、二酸化チタン(Dupont社製、RPS−V)5重量部からなる顔料スラリーを調整した後、顔料100重量部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(旭化成社ケミカル製、ALB1443)14重量部、界面活性剤(日本乳化剤社製、Newcol291−PG)0.5重量部を添加し、さらに水を添加して60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整し、固形分濃度66%、静的表面張力30mN/mの上塗り塗工液を得た。
ブレード塗工装置を用いて、上記下塗り塗工液を原紙の両面に乾燥後の固形分重量で片面あたり8g/m2となるように塗工した後、乾燥工程を経ずに、直ちに、スライド型カーテン塗工装置を用いて、上記2つのカーテン塗工液から複数の層を有する1のカーテン膜を形成し、当該カーテン膜に原紙を通して同時2層塗工を行い、乾燥した。塗工量は、乾燥後重量で片面当たり、カーテン下塗り塗工層が18g/m2、カーテン上塗り塗工層が4g/m2であった。得られた塗工白板紙の坪量は330g/m2であった。塗工速度は、オンマシンにより抄紙と一貫して行ったため、抄紙速度と同じく300m/分であった。
得られた塗工白板紙をカレンダー処理することにより、塗工白板紙を得た。処理速度は、オンマシンにより抄紙、塗工と一貫して行ったため、抄紙速度および塗工速度と同じく300m/分であった。
実施例1の下塗り塗工を、ロッド塗工(バー塗工)に変えた以外は実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
表1に記載の配合で塗工液を調製し、表2に記載の塗工条件となるように塗工を行った以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。実施例3はカーテン塗工方式をスロット型に変更した例であり、実施例4はカーテン塗工液を変更した例である。
ブレード塗工後、乾燥し、次いでカーテン塗工を行った以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
Claims (5)
- 原紙上に、ブレード、フィルムトランスファーおよびロッド塗工方式のいずれかから選択される塗工方式により下塗り塗工層を設ける工程、
乾燥工程を経ることなく前記下塗り塗工層の上にカーテン塗工層を設ける工程、
を含む塗工白板紙の製造方法。 - 前記カーテン塗工層が2層以上である、請求項1に記載の方法。
- 前記上塗り層の白色度が85%以上であり、かつ当該上塗り層に隣接する下塗り層の比散乱係数が80m2/kg以上である、請求項1または2記載の方法。
- 前記比散乱係数が120m2/kg以上である、請求項4に記載の方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の方法により製造された塗工白板紙。
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