本発明の一実施の形態に係る顕微鏡システムについて図面を参照しながら説明する。以下では、顕微鏡システムの一例として共焦点顕微鏡システムを説明する。
(1)共焦点顕微鏡システムの基本構成 図1は、本発明の一実施の形態に係る共焦点顕微鏡システム500の構成を示すブロック図である。図1に示すように、共焦点顕微鏡システム500は、測定部100、PC(パーソナルコンピュータ)200、制御部300および表示部400を備える。測定部100は、レーザ光源10、X−Yスキャン光学系20、受光素子30、照明用白色光源40、カラーCCD(電荷結合素子)カメラ50およびステージ60を含む。ステージ60上には、観察対象物Sが載置される。
レーザ光源10は、例えば半導体レーザである。レーザ光源10から出射されたレーザ光は、レンズ1により平行光に変換された後、ハーフミラー4を透過してX−Yスキャン光学系20に入射する。なお、レーザ光源10に代えて水銀ランプ等の他の光源が用いられてもよい。この場合、水銀ランプ等の光源とX−Yスキャン光学系20との間に帯域通過フィルタが配置される。水銀ランプ等の光源から出射された光は、帯域通過フィルタを通過することにより単色光となり、X−Yスキャン光学系20に入射する。
X−Yスキャン光学系20は、例えばガルバノミラーである。X−Yスキャン光学系20は、ステージ60上の観察対象物Sの表面上においてレーザ光をX方向およびY方向に走査する機能を有する。X方向、Y方向およびZ方向の定義については後述する。X−Yスキャン光学系20により走査されたレーザ光は、ハーフミラー5により反射された後、ハーフミラー6を透過し、対物レンズ3によりステージ60上の観察対象物Sに集光される。なお、ハーフミラー4〜6に代えて偏光ビームスプリッタが用いられてもよい。
観察対象物Sにより反射されたレーザ光は、対物レンズ3およびハーフミラー6を透過した後、ハーフミラー5により反射され、X−Yスキャン光学系20を透過する。X−Yスキャン光学系20を透過したレーザ光は、ハーフミラー4により反射され、レンズ2により集光され、ピンホール部材7のピンホールおよびND(Neutral Density)フィルタ8を透過して受光素子30に入射する。このように、本実施の形態においては反射型の共焦点顕微鏡システム500が用いられるが、観察対象物Sが細胞等の透明体である場合には、透過型の共焦点顕微鏡システムが用いられてもよい。
ピンホール部材7のピンホールは、レンズ2の焦点位置に配置される。NDフィルタ8は、受光素子30に入射するレーザ光の強度を減衰させるために用いられる。そのため、レーザ光の強度が十分減衰されている場合には、NDフィルタ8は設けられなくてもよい。
本実施の形態では、受光素子30は光電子増倍管である。受光素子30としてフォトダイオードおよび増幅器を用いてもよい。受光素子30は、受光量に対応するアナログの電気信号(以下、受光信号と呼ぶ)を出力する。制御部300は、2つのA/D変換器(アナログ/デジタル変換器)、FIFO(First In First Out)メモリおよびCPU(中央演算処理装置)を含む。受光素子30から出力される受光信号は、制御部300の1つのA/D変換器により一定のサンプリング周期でサンプリングされるとともにデジタル信号に変換される。A/D変換器から出力されるデジタル信号は、FIFOメモリに順次蓄積される。FIFOメモリに蓄積されたデジタル信号は画素データとして順次PC200に転送される。
照明用白色光源40は、例えばハロゲンランプまたは白色LED(発光ダイオード)である。照明用白色光源40により発生された白色光は、ハーフミラー6により反射された後、対物レンズ3によりステージ60上の観察対象物Sに集光される。
観察対象物Sにより反射された白色光は、対物レンズ3、ハーフミラー6およびハーフミラー5を透過してカラーCCDカメラ50に入射する。カラーCCDカメラ50に代えてCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等の撮像素子が用いられてもよい。カラーCCDカメラ50は、受光量に対応する電気信号を出力する。カラーCCDカメラ50の出力信号は、制御部300の他の1つのA/D変換器により一定のサンプリング周期でサンプリングされるとともにデジタル信号に変換される。A/D変換器から出力されるデジタル信号は、カメラデータとして順次PC200に転送される。
制御部300は、画素データおよびカメラデータをPC200に与えるとともに、PC200からの指令に基づいてカラーCCDカメラ50を制御する。また、制御部300は、PC200からの指令に基づいて感度パラメータとして受光素子30のゲイン(受光感度)を制御する。ここで、感度パラメータとは、観察対象物Sの表面の状態(反射率、向き、粗さおよび色等)が一定の条件で制御部300により取得されるべき画素データの値を調整するためのパラメータをいう。
さらに、制御部300は、PC200からの指令に基づいてX−Yスキャン光学系20を制御することによりレーザ光を観察対象物S上でX方向およびY方向に走査させる。
対物レンズ3は、レンズ駆動部63によりZ方向に移動可能に設けられる。制御部300は、PC200からの指令に基づいてレンズ駆動部63を制御することにより対物レンズ3をZ方向に移動させることができる。これにより、対物レンズ3に対する観察対象物Sの相対的なZ方向の位置を変化させることができる。
PC200は、CPU(中央演算処理装置)210、ROM(リードオンリメモリ)220、作業用メモリ230および記憶装置240を含む。ROM220には、システムプログラムが記憶される。作業用メモリ230は、RAM(ランダムアクセスメモリ)からなり、種々のデータの処理のために用いられる。記憶装置240は、ハードディスク等からなる。記憶装置240には、焦点位置検出プログラムが記憶されるとともに、制御部300から与えられる画素データおよびカメラデータ等の種々のデータを保存するために用いられる
。焦点位置検出プログラムの詳細は後述する。
CPU210は、制御部300から与えられる画素データに基づいて画像データを生成する。以下、画素データに基づいて生成される画像データを共焦点画像データと呼ぶ。また、共焦点画像データに基づいて表示される画像を共焦点画像と呼ぶ。
CPU210は、制御部300から与えられるカメラデータに基づいて画像データを生成する。以下、カメラデータに基づいて生成される画像データをカメラ画像データと呼ぶ。また、カメラ画像データに基づいて表示される画像をカメラ画像と呼ぶ。
CPU210は、生成した共焦点画像データおよびカメラ画像データに作業用メモリ230を用いて各種処理を行うとともに、共焦点画像データに基づく共焦点画像およびカメラ画像データに基づくカメラ画像を表示部400に表示させる。また、CPU210は、後述するステージ駆動部62に駆動パルスを与える。
表示部400は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。
ステージ60は、X方向移動機構、Y方向移動機構およびZ方向移動機構を有する。X方向移動機構、Y方向移動機構およびZ方向移動機構には、ステッピングモータが用いられる。
ステージ60のX方向移動機構、Y方向移動機構およびZ方向移動機構は、ステージ操作部61およびステージ駆動部62により駆動される。使用者は、ステージ操作部61を手動で操作することにより、ステージ60を対物レンズ3に対して相対的にX方向、Y方向およびZ方向に移動させることができる。
ステージ駆動部62は、PC200より与えられる駆動パルスに基づいて、ステージ60のステッピングモータに電流を供給することにより、ステージ60を対物レンズ3に相対的にX方向、Y方向またはZ方向に移動させることができる。
(2)共焦点画像、超深度画像および高さ画像 図2は、X方向、Y方向およびZ方向を定義するための図である。図2に示すように、対物レンズ3により集光されたレーザ光が観察対象物Sに照射される。本実施の形態においては、対物レンズ3の光軸の方向をZ方向と定義する。また、Z方向と直交する面において、互いに直交する二方向をそれぞれX方向およびY方向と定義する。X方向、Y方向およびZ方向を矢印X,Y,Zでそれぞれ示す。
Z方向において対物レンズ3に対する観察対象物Sの表面の相対的な位置を観察対象物SのZ方向の位置と呼ぶ。共焦点画像データの生成は、単位領域ごとに行なわれる。単位領域は対物レンズ3の倍率により定まる。
観察対象物SのZ方向の位置が一定の状態で、X−Yスキャン光学系20により単位領域内のY方向の端部でレーザ光がX方向に走査される。X方向の走査が終了すると、レーザ光がX−Yスキャン光学系20によりY方向に一定の間隔変移される。この状態でレーザ光がX方向に走査される。単位領域内でレーザ光のX方向の走査およびY方向の変移が繰り返されることにより、単位領域のX方向およびY方向の走査が終了する。次に、対物レンズ3がZ方向に移動される。それにより、対物レンズ3のZ方向の位置が前回と異なる一定の状態で、単位領域のX方向およびY方向の走査が行なわれる。観察対象物SのZ方向の複数の位置で単位領域のX方向およびY方向の走査が行なわれる。
観察対象物SのZ方向の位置ごとにX方向およびY方向の走査により共焦点画像データが生成される。これにより、単位領域内でZ方向の位置が異なる複数の共焦点画像データが生成される。
ここで、共焦点画像データのX方向の画素数は、X−Yスキャン光学系20によるレーザ光のX方向の走査速度と制御部300のサンプリング周期とにより定まる。1回のX方向の走査(1本の走査線)におけるサンプリング数がX方向の画素数となる。また、単位領域の共焦点画像データのY方向の画素数は、X方向の走査の終了ごとのX−Yスキャン光学系20によるレーザ光のY方向の変移量により定まる。Y方向における走査線の数がY方向の画素数となる。さらに、単位領域の共焦点画像データの数は、対物レンズ3のZ方向の移動回数により定まる。単位領域の複数の共焦点画像データに基づいて後述する方法で、超深度画像データおよび高さ画像データが生成される。
図2の例では、まず、ステージ60の最初の位置で単位領域s1における観察対象物Sの複数の共焦点画像データが生成されるとともに単位領域s1の超深度画像データおよび高さ画像データが生成される。続いて、ステージ60が順次移動することにより単位領域s2〜s4における観察対象物Sの複数の共焦点画像データが生成されるとともに単位領域s2〜s4の超深度画像データおよび高さ画像データが生成される。この場合、隣接する単位領域の一部が互いに重なるように、単位領域s1〜s4が設定されてもよい。それにより、パターンマッチングを行うことにより、複数の単位領域s1〜s4の超深度画像データおよび高さ画像データを高い精度で連結することができる。特に、複数の単位領域の合計の面積が後述する画素データの取得範囲よりも大きい場合には、取得範囲からはみ出す部分の面積に相当する部分が重なり部分として設定される。
図3は、1つの画素についての観察対象物SのZ方向の位置と受光素子30の受光強度との関係を示す図である。図1に示したように、ピンホール部材7のピンホールはレンズ2の焦点位置に配置される。そのため、観察対象物Sの表面が対物レンズ3の焦点位置にあるときに、観察対象物Sにより反射されたレーザ光がピンホール部材7のピンホールの位置に集光される。それにより、観察対象物Sにより反射されたレーザ光の大部分がピンホール部材7のピンホールを通過して受光素子30に入射する。この場合、受光素子30の受光強度は最大になる。それにより、受光素子30から出力される受光信号の電圧値は最大となる。
一方、観察対象物Sの表面が対物レンズ3の焦点位置が外れた位置にあるときには、観察対象物Sにより反射されたレーザ光はピンホール部材7のピンホールの前または後の位置に集光される。それにより、観察対象物Sにより反射されたレーザ光の多くはピンホール部材7のピンホールの周囲の部分で遮られ、受光素子30の受光強度は低下する。それにより、受光素子30から出力される受光信号の電圧値は低下する。
このように、観察対象物Sの表面が対物レンズ3の焦点位置にある状態で受光素子30の受光強度分布にピークが現れる。各単位領域の複数の共焦点画像データから、画素ごとにZ方向における受光強度分布が得られる。それにより、画素ごとに受光強度分布のピーク位置とピーク強度(ピークの受光強度)とが得られる。
各単位領域の複数の画素についてのZ方向におけるピーク位置を表すデータを高さ画像データと呼び、高さ画像データに基づいて表示される画像を高さ画像と呼ぶ。高さ画像は、観察対象物Sの表面形状を表す。また、各単位領域の複数の画素についてのピーク強度を表すデータを超深度画像データと呼び、超深度画像データに基づいて表される画像を超深度画像と呼ぶ。超深度画像は、観察対象物Sの表面のすべての部分に対物レンズ3の焦点が合った状態で得られる画像である。PC200は、制御部300から与えられる単位領域の複数の画素データに基づいて単位領域の複数の共焦点画像データを生成し、複数の共焦点画像データに基づいて単位領域の高さ画像データおよび超深度画像データを生成する。
(3)オートフォーカス処理および上下限自動設定処理 図4は、表示部400の一表示例を示す図である。図4に示すように、表示部400の画面上には、画像表示領域410および条件設定領域420が表示される。画像表示領域410には、共焦点画像データに基づく共焦点画像またはカメラ画像データに基づくカメラ画像が表示される。条件設定領域420には、共焦点画像ボタン422、オートフォーカスボタン423、上下限自動設定ボタン424および取得開始ボタン425が表示される。
使用者は、図1の共焦点顕微鏡システム500のステージ60に観察対象物Sを載置する。使用者は、PC200に接続されたマウス等のポインティングデバイスを用いて図4の条件設定領域420の共焦点画像ボタン422を操作する。これにより、制御部300は、画素データを順次PC200に与える。PC200のCPU210は、制御部300により与えられた画素データに基づいて共焦点画像データを生成し、観察対象物Sの共焦点画像SVを表示部400の画像表示領域410に表示させる。
表示部400に共焦点画像SVが表示された状態で、使用者が条件設定領域420のオートフォーカスボタン423を操作すると、後述するオートフォーカス処理が実行される。
オートフォーカス処理は、対物レンズ3の焦点位置を観察対象物Sの表面の一部に合わせるために、対物レンズ3のZ方向の位置を自動的に調整する処理である。これにより、使用者は、観察対象物Sの表面の一部分に焦点が合った状態で共焦点画像SVを観察することができる。オートフォーカス処理の詳細は後述する。
使用者が条件設定領域420の上下限自動設定ボタン424を操作すると、後述する上下限自動設定処理が実行される。
上下限自動設定処理は、高さ画像データおよび超深度画像データの生成時に移動する対物レンズ3のZ方向における上限位置および下限位置を設定する処理である。上下限自動設定処理の詳細は後述する。
上下限自動設定処理が実行された後、使用者が条件設定領域420の取得開始ボタン425を操作すると、設定された上限位置と下限位置との間のZ方向の複数の位置でレーザ光が単位領域のX方向およびY方向に走査され、複数の画素データが取得される。これにより、単位領域内においてZ方向の異なる複数の位置に対応する複数の共焦点画像データが生成され、生成された複数の共焦点画像データに基づいて高さ画像データおよび超深度画像データが生成される。
(4)オートフォーカス処理の詳細 (4−1)対物レンズのZ方向の位置 図5は、1つの画素についての対物レンズ3のZ方向の位置と受光素子30の受光強度との関係を説明するための図である。図5(d)に対物レンズ3のZ方向の位置と受光素子30の受光強度との関係が示される。図5(d)において、縦軸は受光素子30の受光強度を表し、横軸は対物レンズ3のZ方向の位置を表す。
図5(a)に示すように、対物レンズ3の焦点位置fpが観察対象物Sの表面の一部STにあるときに受光素子30の受光強度がピークとなる。受光強度がピークとなる対物レンズ3のZ方向の位置をピーク位置z0と呼ぶ。
図5(b)に、対物レンズ3が観察対象物Sに対してピーク位置z0よりも近い位置z1にある状態が示される。この場合、観察対象物Sの表面が対物レンズ3の焦点位置fpから外れた位置にあるため、図5(d)に示すように、受光素子30の受光強度がピークよりも十分に低い。
図5(c)に、対物レンズ3が観察対象物Sに対してピーク位置z0よりも遠い位置z2にある状態が示される。この場合、観察対象物Sの表面が対物レンズ3の焦点位置fpから外れた位置にあるため、図5(d)に示すように、受光素子30の受光強度がピークよりも十分に低い。
図5(d)に示すように、受光素子30の受光強度は、対物レンズ3が観察対象物Sに近接する位置からピーク位置z0に近づくにつれて大きくなる。また、受光素子30の受光強度は、対物レンズ3が観察対象物Sに対してピーク位置z0から遠ざかるにつれて小さくなる。さらに、受光素子30の受光強度は、対物レンズ3がピーク位置z0の近傍を移動することにより大きく変化する。
(4−2)ピーク位置の検出 図6は、ピーク位置z
0の検出方法の概念を説明するための図である。図6には、1つの画素における対物レンズ3のZ方向の位置と受光素子30の受光強度との関係が示される。図6において、縦軸は受光素子30の受光強度を表し、横軸は対物レンズ3のZ方向の位置を表す。図6の横軸においては、左から右に向かって対物レンズ3のZ方向の位置が高くなる。
上記のように、受光素子30の受光強度は、対物レンズ3の焦点位置が観察対象物Sの表面にあるときにピーク値となり、対物レンズ3がピーク位置z0の近傍を移動することにより大きく変化する。
そこで、図6に太い実線の矢印で示すように、例えば対物レンズ3を現在のZ方向の位置zs1(ピーク位置z0よりも低い位置)から徐々に上方向に移動させつつ受光素子30の受光強度を取得する。
取得される受光素子30の受光強度は、ピーク値まで指数関数的に増加した後、ピーク値から指数関数的に減少する。そこで、対物レンズ3をZ方向の一方向(上方向)に移動させることにより、受光強度の増減が切り替わったことを検出することができる。これにより、受光強度がピーク値を示すときの対物レンズ3の位置をピーク位置z0として検出することができる。
対物レンズ3のZ方向に移動可能な範囲は、対物レンズ3の倍率により予め定められている。予め許容された対物レンズ3の下側の位置を下端位置zt1と呼び、予め許容された対物レンズ3の上側の位置を上端位置zt2と呼ぶ。
図6に太い点線の矢印で示すように、最初に対物レンズ3がピーク位置z0よりも高い位置zs2にある場合、対物レンズ3を上方向に移動させてもピーク位置z0を検出することはできない。この場合、対物レンズ3を上端位置zt2まで移動させた後、対物レンズ3を逆方向(下方向)に移動させる。これにより、上記と同様に、ピーク位置z0を検出することができる。
(4−3)画素データの値 上記では、受光素子30の受光強度に基づいてピーク位置z0を検出する方法について説明したが、実際にはピーク位置z0は画素データの値に基づいて検出される。
画素データは受光素子30から出力される受光信号に対応するデジタル信号である。そのため、画素データの値は、受光素子30のゲインが大きくなるほど大きく、受光素子30のゲインが小さくなるほど小さい。また、画素データはA/D変換器から出力される。したがって、画素データの上限値は、A/D変換器の出力レンジの上限値(以下、出力上限値と呼ぶ。)である。
ピーク位置z0を検出する場合には、以下のようにして受光素子30のゲインが設定される。図7は、ピーク位置z0の検出時における受光素子30のゲイン設定を説明するための図である。
図7(a)に、受光素子30のゲインが適切である場合の対物レンズ3のZ方向の位置と画素データの値との関係が示される。図7(a)において、縦軸は画素データの値を表し、横軸は対物レンズ3のZ方向の位置を表す。
図7(a)の例では、画素データのピーク値が、出力上限値maxよりも小さく、受光素子30のノイズのデジタル値(以下、ノイズレベルnlと呼ぶ。)よりも十分に大きい。この場合、画素データが出力上限値maxで飽和せず、画素データのピークを受光素子30のノイズから明確に識別することができる。これにより、画素データのピーク値およびピーク位置z0を容易かつ正確に検出することができる。
図7(b)に、受光素子30のゲインが過小である場合の対物レンズ3のZ方向の位置と画素データの値との関係が示される。図7(b)の例では、画素データのピーク値が、ノイズレベルnl以下である。この場合、画素データのピークをノイズから識別することができない。そのため、画素データのピーク値およびピーク位置z0を正確に検出することはできない。
図7(c)に、受光素子30のゲインが過大である場合の対物レンズ3のZ方向の位置と画素データの値との関係が示される。図7(c)の例では、画素データが、対物レンズ3のZ方向の位置の一部の範囲に渡って出力上限値maxで飽和している。そのため、画素データのピーク値およびピーク位置z0を正確に検出することはできない。
ピーク位置z0の検出開始時点で、使用者はピーク位置z0における受光素子30の受光強度を認識していない。そのため、ピーク位置z0の検出開始前に、予め受光素子30のゲインを設定することは難しい。そこで、本実施の形態では、受光素子30のゲインが調整されつつピーク位置z0が探索される。以下、受光素子30のゲインを調整しつつピーク位置z0を探索する処理をピーク位置探索処理と呼ぶ。
画素データの値は、レーザ光源10から出射されるレーザ光の光量またはNDフィルタ8の減衰率が変化する場合にも変化する。したがって、感度パラメータとして、レーザ光源10から出射されるレーザ光の光量、またはNDフィルタ8の減衰率が変更および設定されつつピーク位置z0が探索されてもよい。さらに、感度パラメータとして、受光素子30のゲイン、レーザ光源10から出射されるレーザ光の光量、およびNDフィルタ8の減衰率のうち2つ以上が変更および設定されつつピーク位置z0が探索されてもよい。
(4−4)ピーク位置探索処理 次に、評価値を用いたピーク位置探索処理について説明する。図8は、評価値を用いたピーク位置探索処理を説明するための図である。ここで、評価値は、観察対象物Sの表面のうち予め定められた領域内の複数の画素に対応する複数の画素データの値に基づいて算出される値である。本実施の形態では、評価値は、予め定められた領域内の複数の画素(例えば5画素または10画素等)の画素データの値の和である。評価値がピーク値を示すときの対物レンズ3のZ方向の位置を評価ピーク位置Ez0と呼ぶ。また、A/D変換器の出力上限値maxと評価値を算出するための複数の画素の数との乗算値を出力上限値Emaxと呼ぶ。
図8(a)に対物レンズ3のZ方向の位置と評価値との関係が示される。図8(a)において、縦軸は評価値を表し、横軸は対物レンズ3のZ方向の位置を表す。図8(a)の横軸においては、左から右に向かって対物レンズ3のZ方向の位置が高くなる。
ピーク位置探索処理の開始時においては、受光素子30のゲインは、算出される評価値が出力上限値Emaxよりも小さくかつノイズレベルnlと評価値を算出するための複数の画素の数との乗算値Enlよりも十分に大きくなるように設定される。受光素子30のゲインは、算出される評価値が出力上限値Emaxの例えば1/2になるように設定される。
その後、図8(a)に太い実線の矢印で示すように、対物レンズ3を現在のZ方向の位置zs1(評価ピーク位置Ez0よりも低い位置)から徐々に上方向に移動させつつ設定されたゲインで評価値を算出するための複数の画素に対応する画素データを取得するとともに評価値を算出する。
この場合、評価値は対物レンズ3が評価ピーク位置Ez0に到達するまでの間、指数関数的に増加する。そこで、このピーク位置探索処理においては、評価値が出力上限値Emaxに達するごとに一定量ゲインを減少させる。
これにより、対物レンズ3がZ方向の位置zs1から評価ピーク位置Ez0に移動するまでの間、指数関数的に増加する評価値が出力上限値Emaxで飽和することが防止される。その結果、評価ピーク位置Ez0の近傍では、最終的に受光素子30のゲインが適切な値に設定される。
評価値は受光素子30のゲインが減少すると小さくなる。そのため、ピーク位置探索処理においては、受光素子30のゲインの減少回数に基づいて、算出された評価値を補正する。
評価値は受光素子30のゲインが減少すると小さくなる。そのため、ピーク位置探索処理においては、受光素子30のゲインの減少回数に基づいて、算出された評価値を補正する。
この場合、受光素子30のゲインの減少時点の評価値に所定の演算を行うことにより、ゲインの減少時点の評価値を出力上限値Emax以上の値に補正する。ゲインの減少時点後からゲインの次の減少時点前までの複数の評価値に同じ演算を行うことにより、それらの評価値を補正する。例えば、受光素子30のゲインの減少時点の評価値に出力上限値maxを加算し、ゲインの減少時点後からゲインの次の減少時点前までの複数の評価値にそれぞれ同じ出力上限値maxを加算する。あるいは、受光素子30のゲインの減少時点の評価値に減少後のゲインと減少前のゲインとの比を乗算し、ゲインの減少時点後からゲインの次の減少時点前までの複数の評価値に同じ比をそれぞれ乗算する。
本実施の形態では、算出された評価値にピーク位置探索処理の開始後の受光素子30のゲインの減少回数と出力上限値maxとの乗算値を加算する。これにより、対物レンズ3のZ方向の全範囲に渡って、補正後の評価値と受光素子30の受光強度とを近似的に対応付けることが可能となる。あるいは、算出された評価値に、ピーク位置探索処理の開始時の受光素子30のゲインと各評価値の算出に用いた画素データの取得時のゲインとの比を乗算してもよい。これにより、対物レンズ3のZ方向の全範囲に渡って、補正後の評価値と受光素子30の受光強度とを正確に対応付けることが可能となる。
図8(b)に対物レンズ3のZ方向の位置と補正された評価値との関係が示される。図8(b)において、縦軸は補正後の評価値を表し、横軸は対物レンズ3のZ方向の位置を表す。図8(b)の横軸においては、左から右に向かって対物レンズ3のZ方向の位置が高くなる。
図8(b)に示すように、補正後の評価値は、受光素子30の受光強度と同様に、ピーク値まで指数関数的に増加した後、ピーク値から指数関数的に減少する。これにより、対物レンズ3をZ方向の一方向(上方向)に移動させることにより、補正後の評価値の増減が切り替わったことが検出され、補正後の評価値の増減の切り替わりの後に補正後の評価値が予め定められた値pi2分減少したことが検出され、補正後の評価値の増減の切り替わりの前に補正後の画素データの値が予め定められた値pi1分増加したことが検出された場合に、評価値がピーク値を示すときの対物レンズ3の位置を評価ピーク位置Ez0として検出することができる。
画素データの値は、受光素子30のノイズの影響により変化する。そこで、上記の値pi1,pi2は、例えばノイズレベルnlと評価値を算出するための複数の画素の数との乗算値Enlよりも大きい値に設定される。これにより、補正後の評価値が受光素子30のノイズの影響により変化する場合でも、評価ピーク位置Ez0が誤って検出されることが防止される。上記の値pi1,pi2は、後述する第1および第2の識別値にそれぞれ対応する。値pi1,pi2は、同じ値であってもよいし、互いに異なる値であってもよい。
上記のように、オートフォーカス処理が実行された場合には、ピーク位置探索処理により受光素子30のゲインが調整されつつ評価ピーク位置Ez0が探索される。この場合、評価値が出力上限値Emaxで飽和しない。また、評価値がノイズレベルnlと評価値を算出するための複数の画素の数との乗算値Enlよりも小さくならない。これにより、対物レンズ3が移動することによる評価値の変化におけるピークの位置が検出され、評価ピーク位置Ez0が自動的に検出される。その後、オートフォーカス処理では、検出された評価ピーク位置Ez0に対物レンズ3が移動される。
このように、受光素子30のゲインが自動的に設定されるとともに、評価ピーク位置Ez0が自動的に検出される。したがって、使用者は、煩雑な焦点合わせの作業を行うことなく、所望の領域で対物レンズ3の焦点が合った観察対象物Sの共焦点画像を観察することができる。
上記では、
評価値が出力上限値Emaxに達するごとに一定量ゲインを減少させる例を説明したが、評価値が乗算値Enlに達した場合には、受光素子30のゲインを一定量増加させてもよい。この場合、受光素子30のゲインの増加時点の評価値に所定の演算を行うことにより、ゲインの増加時点の評価値を乗算値Enl以下の値に補正する。ゲインの増加時点後からゲインの次の増加時点前までの複数の評価値に同じ演算を行うことにより、それらの評価値を補正する。例えば、受光素子30のゲインの増加時点の評価値から出力上限値maxを減算し、ゲインの増加時点後からゲインの次の増加時点前までの複数の評価値にそれぞれ同じ出力上限値maxを減算する。あるいは、受光素子30のゲインの増加時点の評価値に増加後のゲインと増加前のゲインとの比を乗算し、ゲインの増加時点後からゲインの次の増加時点前までの複数の評価値に同じ比をそれぞれ乗算する。これにより、対物レンズ3のZ方向の全範囲に渡って、補正後の評価値と受光素子30の受光強度とを対応付けることが可能となる。
(5)上下限自動設定処理の詳細 図9は、1つの画素についての対物レンズ3のZ方向の位置と有効な画素データの値との関係を説明するための図である。図9において、縦軸は画素データの値を表し、横軸は対物レンズ3のZ方向の位置を表す。図9の横軸においては、左から右に向かって対物レンズ3のZ方向の位置が高くなる。
画素データの値が出力上限値maxで飽和すると、受光素子30の受光強度に対応する画素データの値を得ることができない。また、画素データの値がノイズレベルnl以下であると、画素データのピークを受光素子30のノイズから明確に識別することはできない。以下では、出力上限値maxよりも小さく、ノイズレベルnlよりも大きい画素データの値を有効な画素データの値と呼ぶ。
図9においては、有効な画素データの値の範囲が矢印HLで示される。この場合、曲線l1で示すように、受光素子30に任意の第1のゲインが設定されているときに、1つの画素についての画素データの値は、対物レンズ3がピーク位置z0よりも低い位置ma1からピーク位置z0よりも高い位置mb1までの範囲にある状態で有効となる。
したがって、1つの画素についての有効な画素データの値を取得するための対物レンズ3のZ方向の上限位置および下限位置は、出力上限値maxおよびノイズレベルnlに応じて定まる。
図9に曲線l2で示すように、受光素子30に第1のゲインよりも小さい第2のゲインが設定されると、画素データの値は、受光素子30に第1のゲインが設定されている場合に比べて全体的に小さくなる。この場合、1つの画素についての画素データの値は、対物レンズ3が位置ma1よりも高い位置ma2から位置mb1よりも低い位置mb2までの範囲にある状態で有効となる。このように、受光素子30に設定されるゲインが変化すると、有効な画素データの値を得ることができる対物レンズ3のZ方向の上限位置および下限位置も変化する。
図10は、高さ画像データおよび超深度画像データの生成時における対物レンズ3のZ方向の上限位置および下限位置の設定方法を説明するための図である。
初めに対物レンズ3をZ方向の任意の位置zs1に保持した状態で、単位領域のX方向およびY方向の走査を行うことにより、単位領域内の全ての画素に対応する画素データを取得する。この状態で、全ての画素データの値が予め定められた規定値以上でない場合、受光素子30のゲインを一定量増加させる。
次に、上述の評価値を用いたピーク位置探索処理により、図10に太い実線の矢印naで示すように、例えば対物レンズ3を一定量づつZ方向に移動させつつ評価値を算出し、算出された評価値に基づいて評価ピーク位置Ez0を探索する。ここで、評価値は、単位領域の全画素に対応する画素データの値の和である。この探索時には、算出される評価値が、出力上限値Emaxに達するごとに一定量ゲインを減少させる。この場合の出力上限値Emaxは、A/D変換器30の出力上限値maxと単位領域内の全画素数との乗算値である。これにより、検出される評価ピーク位置Ez0を基準として対物レンズ3の上限位置UPおよび下限位置BPを探索することができる。
続いて、対物レンズ3を評価ピーク位置Ez0に移動させる。この状態で、単位領域のX方向およびY方向の走査を行うことにより、単位領域内の全ての画素に対応する画素データを取得する。
いずれかの画素データの値が出力上限値maxである場合には、その画素データの値は有効ではない。そこで、受光素子30のゲインを一定量減少させる。その後、再び単位領域のX方向およびY方向の走査を行うことにより、単位領域内の全ての画素に対応する画素データを取得する。
上記のゲイン調整および画素データの取得を繰り返すことにより、全ての画素データの値が出力上限値maxよりも小さくなった場合に、全ての画素データの値がノイズレベルnl以下であるか否かを判定する。
全ての画素データの値がノイズレベルnl以下でない場合、図10に太い実線の矢印nbで示すように、対物レンズ3を一定量上方向に移動させる。
続いて、上記のゲイン調整、画素データの取得、画素データの判定動作および対物レンズ3の上方向への移動を繰り返す。それにより、最終的に、全ての画素データの値がノイズレベルnl以下であると判定されたときの対物レンズ3のZ方向の位置を上限位置UPとして設定する。
上限位置UPの設定後、対物レンズ3を最後に受光素子30のゲインが減少された時点の位置までZ方向に移動させる。この状態で、単位領域のX方向およびY方向の走査を行うことにより、単位領域内の全ての画素に対応する画素データを取得する。
この場合においても、上記と同様に、いずれかの画素データの値が出力上限値maxである場合には、受光素子30のゲインを一定量減少させる。その後、再び単位領域のX方向およびY方向の走査を行うことにより、単位領域内の全ての画素に対応する画素データを取得する。
上記のゲイン調整および画素データの取得を繰り返すことにより、全ての画素データの値が出力上限値maxよりも小さくなった場合には、全ての画素データの値がノイズレベルnl以下であるか否かを判定する。
全ての画素データの値がノイズレベルnl以下でない場合、図10に太い実線の矢印ncで示すように、対物レンズ3を一定量下方向に移動させる。続いて、上記のゲイン調整、画素データの取得、画素データの判定動作および対物レンズ3の下方向への移動を繰り返す。最終的に、全ての画素データの値がノイズレベルnl以下であると判定されたときの対物レンズ3のZ方向の位置を下限位置BPとして設定する。
ここで、受光素子30のゲインが変化すると、有効な画素データの値を得ることができる対物レンズ3のZ方向の範囲も変化する。そこで、上限位置UPの設定後の下限位置BPの設定時に受光素子30のゲインが減少された場合、対物レンズ3を最後に受光素子30のゲインが減少された時点の位置に移動させた後、図10に太い実線の矢印ndで示すように、再び上限位置UPを探索する。
再度の上限位置UPの探索時には、対物レンズ3は初回の上限位置UPの探索時とほぼ同じ範囲でZ方向に移動する。そのため、受光素子30のゲインはほとんど減少されない。これにより、受光素子30が下限位置BPの設定時のゲインとほぼ同じゲインに調整された状態で、上限位置UPが再設定される。
上記のように、上下限自動設定処理が実行された場合には、ピーク位置探索処理により受光素子30のゲインが調整されつつ対物レンズ3の評価ピーク位置Ez0が探索される。この場合、評価値が出力上限値Emaxで飽和しない。また、評価値がノイズレベルnlと単位領域内の全画素数との乗算値Enlよりも小さくならない。これにより、対物レンズ3が移動することによる評価値の変化におけるピークの位置が検出され、評価ピーク位置Ez0が自動的に検出される。
その後、検出された評価ピーク位置Ez0に対物レンズ3が移動され、上限位置UPおよび下限位置BPの探索が行われる。これにより、高さ画像データおよび超深度画像データの生成時の対物レンズ3の上限位置UPおよび下限位置BPが設定される。
この場合、対物レンズ3を上限位置UPと下限位置BPとの範囲内で移動させることにより、単位領域内の全ての画素の各々について、ピーク位置z0を検出することができる。したがって、単位領域内の全ての画素の各々について対物レンズ3の焦点を観察対象物Sの表面に合わせることが可能となる。また、高さ画像データおよび超深度画像データの生成時の受光素子30のゲインも最適な値に調整される。これらの結果、使用者は、煩雑な上限位置UPおよび下限位置BPの設定作業を行うことなく、安定した高さ画像および超深度画像を観察することが可能になる。
さらに、対物レンズ3が、上限位置UPおよび下限位置BPを超えて移動されないことにより、レーザ光の無駄な走査が低減され、高さ画像データおよび超深度画像データの生成時間が短縮される。
(6)オートフォーカス処理フロー 図11は、オートフォーカス処理のフローチャートである。上述のように、オートフォーカス処理は、使用者により図4の条件設定領域420のオートフォーカスボタン423が操作されることにより開始される。図1のCPU210は、記憶装置240に記憶される焦点位置検出プログラムを実行することによりオートフォーカス処理を行う。以下の説明では、Z方向における対物レンズ3の位置をZ位置と呼ぶ。
図11に示すように、CPU210は、まず初期の対物レンズ3のZ位置において複数の画素に対応する画素データの値を取得することにより評価値を算出し、算出された評価値を図1の作業用メモリ230に記憶する(ステップS1)。評価値を算出するための複数の画素に対応する画素データとしては、例えば図4の画像表示領域410に表示される中央部の複数の画素(例えば5画素または10画素等)に対応する画素データが用いられる。
続いて、CPU210は、記憶された評価値が予め定められた規定値以上であるか否かを判定する(ステップS2)。この規定値は、出力上限値maxに評価値を算出するための画素数を乗算して得られる値よりも小さくなるように設定される。また、この規定値は、後述するピーク位置探索処理のステップS22,23で用いられる第1または第2の識別値とノイズレベルnlとの加算値に、評価値を算出するための画素数を乗算して得られる値よりも大きくなるように設定される。
評価値が規定値以上である場合、CPU210は、Z方向の一方向(例えば上方向)について後述する図12〜図14のピーク位置探索処理を行う(ステップS3)。
次に、CPU210は、ステップS3で評価ピーク位置Ez0が検出されたか否かを判定する(ステップS4)。評価ピーク位置Ez0が検出された場合、CPU210は、検出された評価ピーク位置Ez0に対物レンズ3を移動させ(ステップS5)、オートフォーカス処理を終了する。
上記ステップS2において、記憶された評価値が規定値よりも小さい場合、CPU210は、受光素子30のゲインを一定量増加させ(ステップS9)、ステップS1の処理に戻る。
上記ステップS4において、評価ピーク位置Ez0が検出されなかった場合、CPU210は、Z方向の逆方向(例えば下方向)について後述する図12〜図14のピーク位置探索処理を行う(ステップS6)。
次に、CPU210は、ステップS6で評価ピーク位置Ez0が検出されたか否かを判定する(ステップS7)。評価ピーク位置Ez0が検出された場合
、CPU210は、検出された評価ピーク位置Ez0に対物レンズ3を移動させ(ステップS5)、オートフォーカス処理を終了する。
一方、ステップS7で評価ピーク位置Ez0が検出されなかった場合、CPU210は、対物レンズ3を初期のZ位置に移動させ(ステップS8)、オートフォーカス処理を終了する。このとき、CPU210は、表示部400にオートフォーカス処理が正常に行われなかった旨の表示を行ってもよい。
(7)ピーク位置探索処理フロー 図12〜図14は、ピーク位置探索処理のフローチャートである。ピーク位置探索処理は、上記のオートフォーカス処理および後述する上下限自動設定処理の一部を構成する。ピーク位置探索処理は、オートフォーカス処理のステップS3,S6の処理時に開始される。また、ピーク位置探索処理は、後述する上下限自動設定処理の後述するステップS32,S41の処理時に開始される。
図12に示すように、CPU210は、まず初期の対物レンズ3のZ位置において複数の画素に対応する画素データの値を取得することにより評価値を算出する(ステップS11)。CPU210は、算出された評価値を初期評価値および最大評価値として図1の作業用メモリ230に記憶する(ステップS12)。
上述のように、オートフォーカス処理中のピーク位置探索処理では、評価値を算出するための複数の画素に対応する画素データとしては、例えば画像表示領域410に表示される中央部の複数の画素(例えば5画素または10画素等)に対応する画素データが用いられる。一方、後述する上下限自動設定処理中のピーク位置探索処理では、評価値を算出するための複数の画素に対応する画素データとしては、単位領域内の全ての画素に対応する画素データが用いられる。
続いて、CPU210は、対物レンズ3をZ方向の一方向(例えば上方向)に一定量移動させ(ステップS13)、移動後の対物レンズ3のZ位置において複数の画素に対応する画素データの値を再度取得することにより評価値を算出する(ステップS14)。
次に、CPU210は、算出された評価値を補正する(ステップS15)。この補正は、例えば、後述するステップS21における受光素子30のゲインの減少回数と上述の出力上限値Emaxとの乗算値に、ステップS14で算出された評価値を加算することにより行う。
その後、CPU210は、補正された評価値が作業用メモリ230に記憶された最大評価値以上であるか否かを判定する(ステップS16)。これにより、受光素子30の受光強度の増減が切り替わったか否かが判定される。
補正された評価値が記憶された最大評価値以上である場合(受光素子30の受光強度の増減が切り替わっていない場合)、CPU210は、補正された評価値で作業用メモリ230に記憶された最大評価値を更新する(ステップS17)。
次に、CPU210は、ステップS14において評価値を算出する際に取得された複数の画素データのうちのいずれかの値が出力上限値maxであるか否かを判定する(ステップS18)。
全ての画素データの値が出力上限値maxでない場合、CPU210は、対物レンズ3のZ位置が探索範囲を超えたか否かを判定する(ステップS19)。ここでいう探索範囲とは、対物レンズ3の倍率により予め定められた対物レンズ3のZ方向に移動可能な範囲であり、図6の下端位置zt1から上端位置zt2までの範囲に相当する。
これにより、対物レンズ3のZ位置が探索範囲を超えた場合には、CPU210はピーク位置探索処理が失敗したと判定する(ステップS20)。一方、対物レンズ3のZ位置が探索範囲を超えていない場合、CPU210は、上記のステップS13の処理に戻る。
上記のステップS18において、複数の画素データのうちのいずれかの値が出力上限値maxである場合、CPU210は、受光素子30のゲインを一定量減少させ(ステップS21)、ステップS19の処理に進む。
上記のステップS16において、補正された評価値が記憶された最大評価値よりも小さい場合(受光素子30の受光強度の増減が切り替わった場合)、CPU210は、補正された評価値と最大評価値との差分が予め定められた第1の識別値以上であるか否かを判定する(ステップS22)。第1の識別値は、図8の値pi2に対応する。第1の識別値は、ノイズレベルnlの値に評価値を算出するための画素の数を乗算して得られる値よりも大きくなるように設定される。
補正された評価値と最大評価値との差分が第1の識別値以上である場合、CPU210は、作業用メモリ230に記憶された初期評価値と最大評価値との差分が予め定められた第2の識別値以上であるか否かを判定する(ステップS22)。第2の識別値は、図8の値pi1に対応する。第2の識別値も、第1の識別値と同様に、ノイズレベルnlの値に評価値を算出するための画素数を乗算して得られる値よりも大きくなるように設定される。第1および第2の識別値は同じ値であってもよいし、互いに異なる値であってもよい。
初期評価値と最大評価値との差分が第2の識別値以上である場合、CPU210は、最大評価値が算出されたときの対物レンズ3のZ位置を評価ピーク位置Ez0として検出する(ステップS24)。上記のように、第1および第2の識別値は、ノイズレベルnlの値に評価値を算出するための画素数を乗算して得られる値よりも大きくなるように設定される。これにより、評価値が受光素子30のノイズの影響により変化する場合でも、評価ピーク位置Ez0が誤って検出されることが防止される。
上記のステップS22において、補正された評価値と最大評価値との差分が第1の識別値よりも小さい場合、CPU210は、上記のステップS19の処理に進む。
上記のステップS23において、初期評価値と最大評価値との差分が第2の識別値よりも小さい場合、CPU210は、初期の対物レンズ3のZ位置に対してZ方向の逆方向(例えば下方向)の位置に評価ピーク位置Ez0が存在することを判定する(ステップS25)。
これらより、オートフォーカス処理のステップS4,S7および後述する上下限自動設定処理のステップS33,S42においては、ピーク位置探索処理のステップS24の処理が行われることにより評価ピーク位置Ez0が検出されたことが判定される。また、ピーク位置探索処理のステップS20,S25の処理が行われることにより評価ピーク位置Ez0が検出されなかったことが判定される。
(8)上下限自動設定処理フロー 図15および図16は、上下限自動設定処理のフローチャートである。上述のように、上下限自動設定処理は、使用者により図4の条件設定領域420の上下限自動設定ボタン424が操作されることにより開始される。図1のCPU210は、記憶装置240に記憶される焦点位置検出プログラムを実行することにより上下限自動設定処理を行う。
図15に示すように、CPU210は、まず初期の対物レンズ3のZ位置において単位領域内の全ての画素に対応する画素データの値を取得し、取得された画素データの値を図1の作業用メモリ230に記憶する(ステップS30)。
続いて、CPU210は、記憶された全ての画素データの値が予め定められた規定値以上であるか否かを判定する(ステップS31)。この規定値は、出力上限値maxよりも小さくなるように設定される。また、この規定値は、上記のピーク位置探索処理のステップS22,23で用いられる第1または第2の識別値とノイズレベルnlとの加算値よりも大きくなるように設定される。
全ての画素データの値が規定値以上である場合、CPU210は、Z方向の一方向(例えば上方向)について図12〜図14のピーク位置探索処理を行う(ステップS32)。
次に、CPU210は、ステップS32で評価ピーク位置Ez0が検出されたか否かを判定する(ステップS33)。評価ピーク位置Ez0が検出された場合、CPU210は、検出された評価ピーク位置Ez0を作業用メモリ230に記憶する(ステップS34)。
続いて、CPU210は、対物レンズ3を評価ピーク位置Ez0に移動させる(ステップS35)。CPU210は、Z方向の一方向(例えば上方向)について後述する図17の境界位置探索処理を行う(ステップS36)。境界位置探索処理は、受光素子30のゲイン調整を行いつつ上限位置UPまたは下限位置BPを探索する処理である。境界位置探索処理の詳細は後述する。
境界位置探索処理においては、後述する図17のステップS61で受光素子30のゲインが一定量減少される場合がある。そこで、CPU210は、ステップS36の境界位置探索処理において受光素子30のゲインが減少したか否かを判定する(ステップS37)。受光素子30のゲインが減少していない場合、CPU210は、Z方向の逆方向(例えば下方向)について後述する図17の境界位置探索処理を行う(ステップS38)。
続いて、CPU210は、ステップS37と同様に、ステップS38の境界位置探索処理において受光素子30のゲインが減少したか否かを判定する(ステップS39)。
後述する境界位置探索処理においては、最終ステップS57の処理で作業用メモリ230に対物レンズ3のZ位置の境界位置が記憶される。ステップS39において受光素子30のゲインが減少していない場合、CPU210は、ステップS36で境界位置探索処理により記憶された境界位置に基づいて対物レンズ3の上限位置UPを設定し、ステップS38で境界位置探索処理により記憶された境界位置に基づいて対物レンズ3の下限位置BPを設定する(ステップS50)。これにより、上下限自動設定処理が終了する。
上記のステップS33において、評価ピーク位置Ez0が検出されなかった場合、CPU210は、Z方向の逆方向(例えば下方向)について図12〜図14のピーク位置探索処理を行う(ステップS41)。
次に、CPU210は、ステップS41で評価ピーク位置Ez0が検出されたか否かを判定する(ステップS42)。評価ピーク位置Ez0が検出された場合、CPU210は、ステップS34の処理に進む。一方、評価ピーク位置Ez0が検出されなかった場合、CPU210は、表示部400に上下限自動設定処理が失敗した旨の表示を行い(ステップS43)、上下限自動設定処理を終了する。
上記のステップS37において、受光素子30のゲインが減少している場合、CPU210は、対物レンズ3を後述する境界位置探索処理のステップS52またはステップS62で最後に記憶された対物レンズ3のZ位置へ移動させる(ステップS44)。
上記のステップS39において、受光素子30のゲインが減少している場合も同様に、CPU210は、対物レンズ3を後述する境界位置探索処理のステップS52またはステップS62で最後に記憶された対物レンズ3のZ位置へ移動させる(ステップS45)。その後、CPU210は、Z方向の一方向(例えば上方向)について再度後述する図17の境界位置探索処理を行う(ステップS46)。
その後、CPU210は、ステップS50の処理に進む。ステップS50において、CPU210は、ステップS46の処理を行った場合、ステップS46で境界位置探索処理により記憶された境界位置に基づいて対物レンズ3の上限位置UPを再設定し、ステップS38で境界位置探索処理により記憶された境界位置に基づいて対物レンズ3の下限位置BPを設定する。これにより、受光素子30のゲインが最適な値に調整された状態で、対物レンズ3の上限位置UPおよび下限位置BPが設定される。
(9)境界位置探索処理フロー 図17は、境界位置探索処理のフロ
ーチャートである。上述のように、境界位置探索処理は、上下限自動設定処理のステップS36,S38,S46の処理時に開始される。
図17に示すように、CPU210は、現在の対物レンズ3のZ位置を作業用メモリ230に記憶する(ステップS52)。
続いて、CPU210は、現在の対物レンズ3のZ位置において、単位領域内の全ての画素に対応する画素データの値を取得し、取得された画素データの値を図1の作業用メモリ230に記憶する(ステップS53)。
次に、CPU210は、記憶された複数の画素データのうちのいずれかの値が出力上限値maxであるか否かを判定する(ステップS54)。全ての画素データの値が出力上限値maxでない場合、CPU210は、単位領域内の全ての画素に対応する画素データの値を取得することにより評価値を算出し(ステップS55)、算出された評価値が予め定められたしきい値以下であるか否かを判定する(ステップS56)。ここで、しきい値は、例えば、ノイズレベルnlと評価値を算出するための複数の画素の数(本例では単位領域内の全画素数)との乗算値と等しい値に設定されてもよいし、その乗算値よりも大きい値に設定されてもよい。さらに、しきい値は、互いに異なる受光素子30の複数のゲインにそれぞれ対応するように複数設定されてもよい。この場合、ステップS56において、CPU210は、算出された評価値が現在設定されている受光素子30のゲインに対応するしきい値以下であるか否かを判定する。
算出された評価値がしきい値以下である場合、CPU210は現在の対物レンズ3のZ位置をZ方向の一方向における境界位置(例えば上述の上限位置UPまたは下限位置BP)として作業用メモリ230に記憶する(ステップS57)。
上記のステップS54において、いずれかの画素データの値が出力上限値maxである場合、CPU210は、受光素子30のゲインを一定量減少させるとともにゲインを減少した旨を作業用メモリ230に記憶する(ステップS61)。これにより、上記の上下限自動設定処理においては、ステップS37,39で作業用メモリ230にゲインを減少した旨が記憶されているか否かを判定することにより、受光素子30のゲインが減少されたか否かを判定することができる。
続いて、CPU210は、現在の対物レンズ3のZ位置によりステップS52で作業用メモリ230に記憶された対物レンズ3のZ位置を更新し(ステップS62)、ステップS53の処理に戻る。
上記のステップS56において、算出された評価値がしきい値よりも大きい場合、CPU210は対物レンズ3をZ方向の一方向に一定量移動させ(ステップS63)、ステップS53の処理に戻る。
(10)他の実施の形態 (10−1)上記では、共焦点顕微鏡システム500においてオートフォーカス処理、ピーク位置探索処理、上下限自動設定処理および境界位置探索処理が実行される。
これに限らず、上記のオートフォーカス処理、ピーク位置探索処理、上下限自動設定処理および境界位置探索処理は、観察対象物に投射され、受光素子30に導かれる光の強さに対応して取得されるデジタル信号に基づいて観察対象物の表面の状態を観察する顕微鏡システムに適用することができる。このような顕微鏡システムとして、例えば光干渉法を用いた顕微鏡システムがある。
(10−2)上記実施の形態において、対物レンズ3がZ方向に移動されることにより対物レンズ3に対する観察対象物Sの相対的なZ方向の位置が変化されるが、これに限定されない。ステージ60がZ方向に移動されることにより対物レンズ3に対する観察対象物Sの相対的なZ方向の位置が変化されてもよい。
(10−3)上記実施の形態において、X−Yスキャン光学系20が制御されることによりレーザ光が観察対象物S上でX方向およびY方向に走査されるが、これに限定されない。ステージ60が移動されることによりレーザ光が観察対象物S上でX方向およびY方向に走査されてもよい。
また、レーザ光としてライン光(例えばX方向に延びる細長い光)が用いられてもよい。この場合、X−Yスキャン光学系20に代えてX方向への走査を行わないYスキャン光学系が用いられる。また、受光素子30に代えて、X方向に対応する方向に配列された複数の受光素子からなるラインCCDカメラ等が用いられる。
なお、ラインCCDカメラの各受光素子のY方向に対応する方向の受光面のサイズは一般的に数10μmである。この場合、ラインCCDカメラの受光面がレンズ2の焦点位置に配置される。観察対象物Sの表面が対物レンズ3の焦点位置にあるときに、観察対象物Sにより反射されたライン光がラインCCDカメラの受光面に集光される。それにより、観察対象物Sにより反射されたライン光の大部分がラインCCDカメラの受光面に入射する。
一方、観察対象物Sが対物レンズ3の焦点位置から外れた位置にあるときには、観察対象物Sにより反射されたライン光はラインCCDカメラの受光面の前または後の位置に集光される。それにより、観察対象物Sにより反射されたライン光の一部のみがラインCCDカメラの受光面に入射する。したがって、ラインCCDカメラの前にピンホール部材7を配置することが不要となる。
(10−4)上記実施の形態において、PC200のCPU210が制御部300の機能を有していてもよい。この場合、制御部300は設けられなくてもよい。
(10−5)ピーク位置探索処理において、CPU210は、対物レンズ3のZ位置が探索範囲を超えるまで対物レンズ3がZ方向に一定量移動するごとに、評価値を算出し、算出された評価値と算出時の受光素子30のゲインとを作業用メモリ230に記憶してもよい。この場合、CPU210は、例えば対物レンズ3のZ位置が探索範囲を超えた時点で、記憶された複数の評価値とそれぞれの算出時の受光素子30のゲインとに基づいて各評価値を補正し、補正された複数の評価値に基づいて最大評価値を検出してもよい。
(10−6)評価値は、予め定められた領域内の複数の画素に対応する複数の画素データの値の平均値であってもよい。
(11)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係 以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
観察対象物Sが観察対象物の例であり、共焦点顕微鏡システム500が顕微鏡システムの例であり、レーザ光源10が光源の例であり、受光素子30が受光素子の例であり、レンズ1,2、対物レンズ3、ピンホール部材7、およびNDフィルタ8が光学系の例である。
また、制御部300が画素データ出力部および制御部の例であり、出力上限値Emaxが上限値の例であり、ノイズレベルnlと評価値を算出するための複数の画素の数との乗算値Enlが下限値の例であり、しきい値が検出限界の例である。
さらに、PC200が画像データ生成部の例であり、表示部400が表示部の例であり、上限位置UPが一方側の移動限界位置の例であり、下限位置BPが他方側の移動限界位置の例であり、PC200が処理装置の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。