JP2014206681A - In−Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物、In−Cell型積層偏光子及びこれを備えてなる液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜であり、かつ、In-Cell型偏光子として用いられる該異方性色素膜に接して形成されるオーバーコート層形成用樹脂組成物であって、該樹脂組成物が、(A)光重合性モノマー、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂、及び、(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であることを特徴とするIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
式成膜法により形成される異方性色素膜の表面に、オーバーコート層を形成するための樹脂組成物、湿式成膜法により形成される異方性色素膜の表面に、該樹脂組成物を用いて形成されたオーバーコート層を有する光学素子、及び、該光学素子を備える液晶表示素子(LCD)に関する。
例えば、特許文献1には、保護層としてポリエステル系等のプラスチックや、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系などの熱硬化型や紫外線硬化型の樹脂等を用いることが、また、特許文献2には、保護層として熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなるフィルムを用いることが記載されている。しかしながら、保護フィルムを貼り合わせ積層する場合には、偏光板自体が膜厚となり、又、保護フィルム貼り合わせ時の歩留りが悪い等の問題があった。
また、耐摩耗性を改善した偏光膜として、特許文献4には、二色性色素会合体が配向した薄膜多孔質構造体に、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の樹脂や、アクリル樹脂とアクリルモノマーを含む放射線硬化型樹脂を充填させた偏光膜が記載されている。
しかしながら、In-Cell型偏光子の異方性色素膜のオーバーコート層については、未だ
十分な検討がなされていない。
層の間に異方性色素膜であるIn-Cell型偏光子が存在する構造であって、異方性色素膜上
に液晶用の配向膜を形成する場合には、異方性色素膜に機械的強度を付与したり、異方性色素膜から液晶層への不純物の溶出を防止する等のために、異方性色素膜表面にオーバーコート層を有する必要がある。該オーバーコート層は、In-Cell型偏光子に接して形成さ
れるため、配向膜形成用の溶媒(n―メチルピロリドン)や洗浄溶媒である水に対する耐性が必要であるとともに、オーバーコート層を形成した後も本来の偏光子としての性能が保持される必要がある。
ト層形成用樹脂組成物を提供することにある。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
ーコート層形成用樹脂組成物であって、該樹脂組成物が、(A)光重合性モノマー、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂、及び、(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であることを特徴とするIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成
物。
(2)(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂が、
(B1−1)エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、又は、
(B1−2) エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコール、並びに、多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、
である前記(1)に記載のIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。
(3)(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂が、構造中に脂環式炭化水素骨格を有する前記(1)又は(2)に記載のIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組
成物。
(4)(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂に対する(A)光重合性モノマーの割合(重量比)が、0.5〜2である前記(1)〜(3)の何れか1項に記載のIn-Cell
型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。
(5)更に、フッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか1項に記載のIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。
(6)フッ素系界面活性剤が重合性基を有する前記(5)に記載のIn-Cell型偏光子のオ
ーバーコート層形成用樹脂組成物。
(7)リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜に接してオーバーコート層が形成されてなるIn-Cell型積層偏光子であって、該オーバーコー
ト層が前記(1)〜(6)の何れか1項に記載のオーバーコート層形成用樹脂組成物を光硬化してなるものであるIn-Cell型積層偏光子。
(8)オーバーコート層の膜厚(d)が20nm以上2000nm以下である前記(7)に記載のIn-Cell型積層偏光子。
(9)前記(7)〜(8)の何れか1項に記載のIn-Cell型積層偏光子を備えてなる液晶
表示素子。
なお、本発明でいう異方性色素膜とは、色素膜の厚み方向及び任意の直交する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に異方性を有する色素膜である。電磁気学的性質としては、吸収、屈折などの光学的性質、抵抗、容量などの電気的性質などが挙げられる。吸収、屈折などの光学的異方性を有する膜としては、例えば、直線偏光膜、円偏光膜、位相差膜、導電異方性膜などがある。なお、異方性色素膜は、偏光膜、位相差膜、導電異方性膜に用いられる。
リオトロピック液晶性化合物とは、特定の溶媒に、特定の濃度範囲で溶解した場合に液晶性を示す化合物である(丸善株式会社、液晶便覧3p等を参照)。
言い、詳細は後述するが、基板間に配置される限り、基板と電極の間、電極と液晶層の間等、いずれの場所に存在していてもよい。
本発明では、リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜をIn-Cell型偏光子として用いることを前提とし、異方性色素膜に接してオーバーコ
ート層が形成された素子をIn-Cell型積層偏光子と称する。なお、オーバーコート層は、In-Cell型偏光子に機械的強度を付与したり、In-Cell型偏光子から液晶層への不純物など
の溶出を防止する等の機能を有する層である。
オーバーコート層形成用樹脂組成物であって、該樹脂組成物が、(A)光重合性モノマー、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂、及び、(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であるIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物にあるが
、本発明の最大の特徴は、In-Cell型偏光子という特定の用途において、リオトロピック
液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜に接して形成されるオーバーコート層形成用樹脂組成物が、特定の樹脂組成物であることにある。
まず、In-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物について説明する。
本発明のオーバーコート形成用樹脂組成物は、(A)光重合性モノマー、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂、(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物である。
<(A)光重合性モノマー>
本発明のオーバーコート層形成用樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であり、感度等の点から光重合性モノマーを含有する。
本発明に用いられる光重合性モノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和基を少なくとも1個有する化合物(以下、「エチレン性単量体」と称することがある)を挙げることができる。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、及びエチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸と多価又は1価アルコールのモノエステル、等が挙げられる。
かかる多官能エチレン性単量体の例としては、例えば脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と、不飽和カルボン酸及び多塩基性カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステルなどが挙げられる。
多塩基性カルボン酸及び不飽和カルボン酸と、多価ヒドロキシ化合物のエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物ではないが、代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
レート等のビニル基含有化合物等が有用である。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明のオーバーコート層形成用樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であるが、該樹脂組成物中が(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂を含有し、該樹脂を上記光重合性モノマーと併用することで、本発明のオーバーコート層形成用樹脂組成物を塗布・乾燥・露光してオーバーコート層を形成する際の感度が良好で、硬化後の押し込み硬度、引っかき硬度等の機械的強度に優れ、光散乱やオーバーコート後の積層に悪影響を及ぼす原因となる可能性のある表面粗度が低く、ピンホール等の欠陥が極めて少ないオーバーコート層を形成可能である。従って、側鎖にエチレン性二重結合を有する限り、樹脂は特定されない。樹脂の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常、1,000以上、好ましくは1,500以上であり、通常、20,000以下、好ましくは15,000以下である。重量平均分子量が小さ過ぎると感度や塗膜強度が低下する傾向があり、大き過ぎると再溶解性に問題を生じたり、異物等の原因となる場合がある。
側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂としては、具体的には、後述の(B1−1)、(B1−2)等のカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が、機械強度、耐水性、耐溶剤性の点から特に望ましい。
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−2)>
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコール、及び多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
を好適に用いることができる。具体的には、下記一般式(b1)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「XD−1000」、下記一般式(b2)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「NC−3000」、下記一般式(b4)で表されるエポキシ樹脂として新日鐵化学社製の「ESF−300」等が挙げられる。
(b1)
(b2)
(b3)
(b4)
中でも、エポキシ樹脂が脂環式炭化水素骨格を有する場合、本発明のオーバーコート層形成用樹脂組成物を用いて異方性色素膜に接してオーバーコート層を形成した場合、該組成物を塗布・乾燥・光硬化における体積変化が抑制でき、オーバーコート層が積層される異方性色素膜が本来有する配向度、光学異方性等の性能の低下が抑制される傾向があり、また、疎水性、耐溶剤性が良好であり好ましい。この点から、上記の中でも、一般式(b1)及び(b3)で表されるエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
量体;或いは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートに(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などの酸(無水物)を付加させた単量体;(メタ)アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。
これらの内、感度の点から、特に好ましいものは(メタ)アクリル酸である。
なお、エポキシ樹脂、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステル、及びエステル化触媒は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、又はこれらの無水物である。特に好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、無水テトラヒドロフタル酸、又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
なお、この多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応時に、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールを添加し、多分岐
構造を導入したものとしてもよい。
カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上の樹脂を混合して用いても良い。
このようにして得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−1、B1−2)の酸価は、5〜150mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましく、さらに10〜120mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましい。カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価が上記範囲未満であると溶剤に対する溶解性が下がる傾向があり、また、上記範囲を超えると硬化性能が低下する傾向が認められる。
(B2−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂(以下「(B2−1)樹脂」と称す場合がある。)
(B2−3):前記(B2−2)樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「(B2−3)樹脂」と称す場合がある。)
(B2−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下「(B2−4)樹脂」と称す場合がある。)
尚、上記(B2−1)及び(B2−3)は、側鎖に二重結合を有する樹脂であり、上記の(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂に包含される。また、上記(B2−1)の樹脂はエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の概念に包含される。
<(B2−1)エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂>
(B2−1)樹脂としては、より具体的には、「エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に、更に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂」が挙げられる。
一般式(11)において、R87とR88が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和の何れでもよく、炭素数が5〜6であるのが好ましい。
中でも、一般式(11)で表される構造としては、下記式(11a)、(11b)、又は(11c)で表される構造が好ましい。
前記一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、当該構造を有する限り様々なものが使用できるが、特に下記一般式(12)で表されるものが好ましい。
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体において、前記一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
なるものが特に好ましい。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは50〜100モル%に付加させる。
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる「多塩基酸無水物」としては、様々なものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸及び無水コハク酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、(B2−1)樹脂に溶剤への溶解性を付与することができる。
(B2−2)樹脂としては、カルボキシル基を有していれば特に限定されず、通常、カルボキシル基を含有する重合性モノマーを重合して得られる。
クリレートにコハク酸、マレイン酸、フタル酸、或いはそれらの無水物等の酸或いは無水物を付加させたモノマー等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(B2−2)樹脂は、上記のカルボキシル基含有重合性モノマーに、カルボキシル基を有さない他の重合性モノマーを共重合させたものであってもよい。
この場合、他の重合性モノマーとしては、特に限定されないが、特開2009−52010号公報に記載されているもの等が挙げられる。また、これら重合性モノマーのうち、特にベンジル(メタ)アクリレートを含む共重合体樹脂が好ましい。
(B2−3)樹脂において、(B2−2)樹脂のカルボキシル基部分に付加させるエポキシ基含有不飽和化合物としては、分子内にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を有するものであれば、特に限定されるものではない。
(B2−4)樹脂としては、下記一般式(6)で表される化合物を必須とするモノマー成分を重合してなる(メタ)アクリル系樹脂を挙げることができる。
一般式(6)で表されるエーテルダイマーにおいて、R71及びR72で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル
、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシ基で置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級又は2級炭素原子を有する置換基が耐熱性の点で好ましい。なお、R71及びR72は、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
これらエーテルダイマーは、1種のみ単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(B2−4)樹脂を得る際の、モノマー成分中における前記エーテルダイマーの割合は、特に制限されないが、全モノマー成分中、通常2〜60重量%、好ましくは5〜50重量%である。
(B2−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記酸基を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は、通常は全モノマー成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。
に応じて、他の共重合可能なモノマーを含んでいてもよい。
光重合開始剤は、光を直接吸収し、分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。必要に応じて増感色素等の付加剤を添加して使用しても良い。
アミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエ
チルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサ
ノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
これらの光重合開始剤の中では、感度の点からオキシムエステル誘導体類が特に好ましい。
光重合開始剤には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素を併用させることができる。
本発明のオーバーコート層形成用樹脂組成物は、異方性色素膜にオーバーコート層形成用樹脂組成物を塗布する際の濡れ性、塗布性等を向上させるため、界面活性剤を含有するのが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等各種のものを用いることができる。中でも、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましく、中でもフッ素系やシリコン系の界面活性剤が塗布性の面で効果的である。
フッ素系界面活性剤としては、ペルフルオロアルキルスルホン酸、ペルフルオロアルキルカルボン酸、フッ素テロマーアルコール等が、シリコン系界面活性剤としては、種々の直鎖、及び分岐鎖を持つポリエーテル変性シリコン等が挙げられる。
株)製) 、DS−401(ダイキン社製)、等が挙げられる。
なお、界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
中でも、重合性基を有するフッ素系界面活性剤が、分散性、凝集に起因する欠陥の低減、及び界面活性作用の効果継続性の点で好ましい。フッ素系界面活性剤の有する重合性基としては、下記式U−1〜U−5に例示のものが挙げられる。
75、RS−76E、RS−76NS、RS−77等が挙げられる。
感光性樹脂組成物の密着性を改善するため、例えば、シランカップリング剤、リン酸系密着向上剤等を含有することができる。
シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、(メタ)アクリル系、アミノ系等種々のものが1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用できる。
好ましいシランカップリング剤として、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン類、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、等のエポキシシラン類、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン類、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン類が挙げられるが、特に好ましくは、エポキシシラン類のシランカップリング剤が挙げられる。
これらの燐酸基含有化合物も1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<溶剤>
本発明のオーバーコート層形成用樹脂組成物は、通常、(A)光重合性モノマー、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂、及び、(C)光重合開始剤、更に必要に応じて使用される各種材料が、有機溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
有機溶剤としては、沸点(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)が100〜300℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜280℃の沸点をもつ溶剤である。
このような有機溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
ールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等:
後述するスピンコート法、ダイコート法のような塗布方式においては、有機溶剤としては
沸点が100〜200℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点を持つものである。沸点が極端に低い場合はムラ等を生じやすく、また高すぎると乾燥に負荷がかかる。
また、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の有機溶剤を併用してもよい。併用する有機溶剤として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、後に得られるオーバーコート層形成用樹脂組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5重量%〜30重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。
<感光性樹脂組成物中の成分配合量>
(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂の含有量は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上であり、通常85重量%以下、好ましくは80重量%以下である。該樹脂の含有量が著しく少ないと、膜強度が低下する可能性がある。逆に、該樹脂の含有量が多すぎると、相対的に光重合性モノマーが少なくなるため硬化性が低下する場合がある。
尚、本発明の感光性樹脂組成物が、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂以外の樹脂を含む場合、その含有割合は、樹脂の合計に対して、20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
尚、上記において、全固形分とは、溶剤を除く成分の全体(合計)を意味する。
また、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂に対する(A)光重合性モノマーの割合(重量比)は、通常、0.5以上、好ましくは、0.55以上であり、通常、2以下、好ましくは1.95以下である。
(C)光重合開始剤の含有量は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは0.7重量以上であり、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。光重合開始剤の含有量が少なすぎると感度低下を起こすことがあり、反対に多すぎると(A)(B)成分が減り、膜強度を下げる可能性がある。
なお、本発明の感光性樹脂組成物は、使用に際して、前述の有機溶剤を使用して、その固形分濃度が通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%となるように、調液される。
本発明のオーバーコート層形成用樹脂組成物として用いられる感光性樹脂組成物は、少なくとも(A)光重合性モノマー、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂及び(C)光重合開始剤を混合することで得られるが、通常、溶剤に、これらの成分を混合することで得られる。
後述の、リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜上に、上述の感光性樹脂組成物(オーバーコート層形成用樹脂組成物)を塗布し、乾燥した後、露光、必要に応じて熱硬化又は光硬化によりオーバーコート層を作成する。
方法により、配向処理層が施されていてもよい。例えば、リオトロピック液晶性化合物を用いて湿式成膜法により形成された異方性色素膜に接してオーバーコート層を有するIn-Cell型積層偏光子を、電極と液晶層との間に用いる場合には、ポリイミド配向膜上に異方
性色素膜が形成され、その表面にオーバーコート層が形成されることとなる。
<特開2007−126628号公報に記載の式(5)の色素>
遊離酸の形が下記式(5)で表される色素。
B12は、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表す。
R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基
または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
m5は0または1を表す。n1は1または2を表す。
なお、n1が2の場合、1分子中に含まれる複数のB12は、同一であっても異なっていてもよい。)
上記アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びナフチル基は、更に置換基を有していてもよく、置換基としては水酸基、スルホ基、アルコキシ基などが挙げられる。
基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基等))、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)である。
<遊離酸の形が下記一般式(I)で表される色素(特開2007−126628号公報に記載)>
よいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。
A11は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
B11は、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基を表す。
mは0または1を表す。n’は1または2を表す。
ただし、n’が1の場合、A11はビニル基を有するフェニル基であることは無く、又、n’が2の場合、A11は、下記式(I-a)若しくは(I−b)、または置換基を有し
ていてもよい芳香族複素環基を表す。
なお、n’が2の場合、1分子中に含まれる複数のB11は、同一であっても異なっていてもよい。]
<遊離酸の形が下記一般式(1)の色素(特開2010−168570号公報に記載)>
B1、D1およびE1は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化
水素基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基
、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。
mおよびnは、0または1を表す。)
ここで、非イオン性の電子吸引基が、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基または置換基を有していてもよいフェニルカルバモイル基であるのが好ましい。
末端にエチレン性二重結合を有する基は特に限定されないが、例えば、−(L)l−C(R3)=CH2(但し、Lは2価の連結基を表し、lは0又は1を、R3は、水素原子
又はメチル基を表す)が挙げられる。
上8以下、更に好ましくは炭素数1以上6以下のアルキレン基;カルボニルアミノ基;カルボニルオキシ基;カルボニルオキシアルキルアミノカルボニル基、好ましくはアルキル基の炭素数が2以上8以下、更に好ましくは2以上6以下のカルボニルオキシアルキルアミノカルボニル基;アルキレンカルバモイル基、好ましくはアルキレン基の炭素数が1以上8以下、更に好ましくは1以上6以下のアルキレンカルバモイル基;カルボニル基;カルボニルオキシアルキル基、好ましくはアルキル基の炭素数が1以上8以下、更に好ましくは1以上6以下のカルボニルオキシアルキル基等が挙げられる。尚、上記において、カルボニルアミノ基は、−C(R3)=CH2と連結する部分がカルボニルであり、その他の基はこれに準じて、−C(R3)=CH2と連結する基を初めに記載したものである。
(1)Lがアルキレン基;アルケニル基
(2)Lがカルボニルアミノ基;ビニルカルボニルアミノ基、1−メチルビニルカルボニルアミノ基
(3)Lがカルボニルオキシ基;ビニルカルボニルオキシ基、1−メチルビニルカルボニルオキシ基
(4)Lがカルボニルオキシアルキルアミノカルボニル基;ビニルカルボニルオキシアルキルアミノカルボニル基、1−メチルビニルカルボニルオキシアルキルアミノカルボニル基
(5)Lがアルキレンカルバモイル基;アリルカルバモイル基、
(6)Lがカルボニル基;ビニルカルボニル基、
(7)Lがカルボニルオキシアルキル基;1−メチルビニルカルボニルオキシエチル基
、これが結合するフェニル基、ナフチル基又は芳香族複素環基の置換可能な数であるが、好ましくは、2以下である。また、末端にエチレン性二重結合を有する基が結合する位置は特に限定されないが、A12がフェニル基の場合アゾ結合に対してパラ位であるのが液晶性発現の点で好ましく、また、A12がフェニル基で末端にエチレン性二重結合を有する基の数が2以上の場合、少なくとも2ヶがアゾ結合に対して対象の位置に結合するのが
液晶性発現の点で好ましい。A12が1−ナフチル基の場合、末端にエチレン性二重結合を有する基は、4または5位に結合するのが好ましく、2−ナフチル基の場合6または7位に結合するのが好ましい。
A12が末端にエチレン性二重結合を有する基を有する場合の色素の遊離酸の形としての具体例としては、例えば、以下に記載の色素が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において、異方性色素膜層は上記リオトロピック液晶性化合物および溶剤を含有する異方性色素膜用組成物を前記基材上に湿式成膜法により成膜することにより得られる。通常は、該組成物を基材上に塗布し乾燥させて、リオトロピック液晶性化合物を含む極めて薄い膜を形成し、分子間相互作用等を利用して、リオトロピック液晶性化合物を配向させることにより形成される。
ブ類等が挙げられ、これらは単独でも二種以上の混合溶媒としても使用できる。
かくして得られる異方性色素膜の二色比は9以上のものが好ましく、より好ましくは12以上、特に好ましくは15以上のものが使用される。
本発明のIn-Cell型積層偏光子は、リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法によ
り形成される異方性色素膜に接してオーバーコート層が形成されてなるIn-Cell型積層偏
光子であって、該オーバーコート層が上述のオーバーコート層形成用樹脂組成物を光硬化してなるものであり、その製造は、上述の異方性色素膜の製造及びオーバーコート層の形成方法による。
の接触角(θw)は、通常、5°以上、好ましくは10°以上であり、一方、通常、80
°以下、好ましくは70°以下である。この範囲であることにより、耐溶剤性を確保しつつ、オーバーコート上のポリイミド塗布が可能と成り得る。また、オーバーコート上のポリイミド塗布のために、UVオゾン処理、コロナ処理、アルカリ処理、酸処理などの膜表面のみを活性化させる物理処理、化学処理を追加しても良い。
また、該オーバーコート層の水との接触角(θw)は、通常、30°以上、好ましくは35°以上であり、一方、通常、120°以下、好ましくは110°以下である。この範囲であることにより、耐水性を確保することが可能である。
なお、接触角の測定方法は、下記実施例に記載の方法による。
本発明の液晶表示素子は、上述の本発明のIn-Cell型積層偏光子を用いてなるものであ
る。通常は、2枚の基板により液晶材料を挟持した液晶表示素子において、少なくとも一方の基板の内側(液晶材料を挟持している側)に、本発明のIn-Cell型積層偏光子が形成
されてなる。
との間に挿入され、用いられる。
子)5として用いられる。
なお、一対の配向膜5のうち、何れか一方のみが本発明のIn-Cell型積層偏光子であって
もよく、双方の配向膜5が本発明のIn-Cell型積層偏光子であってもよい。また、本発明
のIn-Cell型積層偏光子が配向層の機能を兼ねることにより、配向層を省略してもよい。
加したり等、適宜変形を加えて実施することが可能である。
膜、光拡散膜、光吸収膜を、単独若しくは複数組み合わせて付加、配置してもよい。更には、IPSモードのように液晶層などを挟持する2枚の基板(基材)のうち、一方の基材にのみ電極が形成されている液晶表示素子についても、電極を有していない基材及び基材表面に形成された各種膜が液晶表示素子の電気特性に影響を及ぼすことがあるため、本発明のIn-Cell型積層偏光子を設けることにより駆動特性や表示性能の向上という効果を得
ることができる可能性がある。
を電界効果により駆動させる電極よりも内側に配置される構成(即ち、本発明のIn-Cell
型積層偏光子にも電界が印加される構成)の液晶表示素子に適用した場合に、電荷保持特性(電圧保持率)の向上が得られる可能性がある。特に、ツイストネマティック(TN)モードや垂直配向(VA)モードなど、基板間でコモン電極とアドレス電極の両電極が対向するよう配置された液晶表示素子において有用な可能性があるが、インプレーンスイッチング(IPS)モードのように、同一基板上に両電極が配置されている場合にも有用な可能性がある。
特性(電圧保持率)を低下させる不純物の液晶層への溶出を低減できる可能性があるため有用である。
型積層偏光子は、膜厚の問題を生じることなく、且つ、オーバーコート層の形成時に異方性色素膜の破壊を伴うこともなく、結果、異方性色素膜が、例えば、好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、特に好ましくは15以上の高い二色比などの異方性を有すると共に、光学素子としての耐水性や耐湿性等にも優れ、液晶表示素子として広範な用途への応用が期待される。
尚、以下の実施例中、オーバーコート層、及び、異方性色素膜に接してオーバーコート層が積層された素子の評価は下記の通り実施した。
大塚電子製偏光測定装置(RETS-100) を用いて評価した。
<接触角の測定>
JIS規格(R3257)に基づき、室温(26℃)、湿度55%環境中で、蒸留水又は
n−メチルピロリドン(NMP)3μlを滴下し、50秒後の接触角を測定した。
<耐溶剤性>
蒸留水又はNMPを、硬化膜に滴下後5分間保持し、色素膜中への溶媒侵触、色素溶出を
目視で確認し、以下の基準で評価した。
A:溶剤中への色素の溶出はなし。保護膜表面の荒れなし
B:溶剤中への色素の溶出はなし。保護膜表面の荒れ若干あり
C:溶剤中への色素の溶出はなし。保護膜表面の荒れあり
D:溶剤中への色素の溶出あり
<合成例1:側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂(b−2)の合成>
上記エポキシアクリレート溶液25重量部及び、トリメチロールプロパン(TMP)0.76重量部、ビフェニルテトラカルボン酸2無水物(BPDA)3.3重量部、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)3.5重量部を、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら105℃までゆっくり昇温し反応させた。
樹脂溶液が透明になったところで、メトキシブチルアセテートで希釈し、固形分50重量%となるよう調製して、酸価115mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)2600の樹脂b−2を得た。これは本明細書の樹脂(B1−2)に相当する。
(樹脂組成物の製造)
表−1に示す各成分を表−1に示す固形分比となるように混合し、固形分濃度が15重量%となるようプロピレングリコールメチルエーテルアセテートで調整し、実施例1〜3及び比較例1〜2の樹脂組成物を作成した。
尚、表中の各成分は、以下に記載の通りである。
・光重合性モノマー a−1:
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学(株)製)
・樹脂 b−1:
日本化薬(株)製 ZAR1035(エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−1)に
該当。ビスフェノールA型エポキシ樹脂にアクリル酸を付加し、更にコハク酸無水物を付加した樹脂。分子量13,000、酸価 約100)
・樹脂 b−2:合成例1で得られた樹脂
・光重合開始剤 c−1:
BASF(株)製 IRGACURE907
・フッ素系界面活性剤:
DIC(株)製 RS−72−K(重合性基を有するフッ素系界面活性剤)
厚さ1.1mm光学ガラス上に配向膜としてポリイミド(日立化成社製 商品名:LX
1400)を塗布、280℃で焼成し膜厚60nmとし、色素配向のため一方向にラビング処理を施した膜面上に、室温25℃、湿度60%の環境中で、水溶性液晶色素( 前記式(23)) をギャップ2um,幅5cmのアプリケータで塗布、自然乾燥させた。別途断面
SEMで、この膜厚を確認したところ300nmであった。次にスピンコート実施のため、サンプルは3cm角に切り出した。
各サンプルのオーバーコート層と水又はNMPとの接触角、各サンプルに水又はNMPを滴下前後の偏光度、透過率、コントラストを評価し、結果を表−2〜表−4に示した。
2 光学補償フィルム
3 カラーフィルタ付き基板
4 ITO電極
5 In-Cell型偏光子
6 スペーサ
7 液晶層
8 TFT,ITO電極
9 基板
10 輝度向上フィルム
11 プリズムシート
12 拡散板
13 導光板
14 光源
15 バックライトユニット
Claims (9)
- リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜であり、かつ、In-Cell型偏光子として用いられる該異方性色素膜に接して形成されるオーバーコ
ート層形成用樹脂組成物であって、該樹脂組成物が、(A)光重合性モノマー、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂、及び、(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であることを特徴とするIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。 - (B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂が、
(B1−1)エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、又は、
(B1−2) エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコール、並びに、多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、
である請求項1に記載のIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。 - (B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂が、構造中に脂環式炭化水素骨格を有する請求項1又は2に記載のIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。
- (B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂に対する(A)光重合性モノマーの割合(重量比)が、0.5〜2である請求項1〜3の何れか1項に記載のIn-Cell型偏光子の
オーバーコート層形成用樹脂組成物。 - 更に、フッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。
- フッ素系界面活性剤が重合性基を有する請求項5に記載のIn-Cell型偏光子のオーバー
コート層形成用樹脂組成物。 - リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜に接してオーバーコート層が形成されてなるIn-Cell型積層偏光子であって、該オーバーコート層
が請求項1〜6の何れか1項に記載のオーバーコート層形成用樹脂組成物を光硬化してなるものであるIn-Cell型積層偏光子。 - オーバーコート層の膜厚(d)が20nm以上2000nm以下である請求項7に記載のIn-Cell型積層偏光子。
- 請求項7〜8の何れか1項に記載のIn-Cell型積層偏光子を備えてなる液晶表示素子。
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