JP2014206681A - In−Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物、In−Cell型積層偏光子及びこれを備えてなる液晶表示素子 - Google Patents

In−Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物、In−Cell型積層偏光子及びこれを備えてなる液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】耐水性、耐溶剤性に優れるとともに、これを用いて形成されたオーバーコート層を有する光学素子が、オーバーコート層を形成することによる異方性色素膜としての性能の劣化がなく、これを用いて得られた液晶素子の光学特性が良好となる、In-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜であり、かつ、In-Cell型偏光子として用いられる該異方性色素膜に接して形成されるオーバーコート層形成用樹脂組成物であって、該樹脂組成物が、(A)光重合性モノマー、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂、及び、(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であることを特徴とするIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、In-Cell型偏光子として使用される、リオトロピック液晶性色素を用いて湿
式成膜法により形成される異方性色素膜の表面に、オーバーコート層を形成するための樹脂組成物、湿式成膜法により形成される異方性色素膜の表面に、該樹脂組成物を用いて形成されたオーバーコート層を有する光学素子、及び、該光学素子を備える液晶表示素子(LCD)に関する。
LCDでは、表示における旋光性や複屈折性等を制御するために直線偏光板や円偏光板が用いられ、従来、これらの偏光板(偏光素子)の製造には、ヨウ素或いは二色性を有する有機色素を、ポリビニルアルコール等の高分子材料のフィルム基材表面に溶解或いは吸着させ、それを一軸方向に延伸して二色性色素等を配向させる方法が広く用いられてきた。しかしながら、用いる色素や高分子材料によっては耐熱性や耐光性等が十分ではなく、そのため、通常、保護フィルムを貼り合わせ積層することが行われている。
例えば、特許文献1には、保護層としてポリエステル系等のプラスチックや、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系などの熱硬化型や紫外線硬化型の樹脂等を用いることが、また、特許文献2には、保護層として熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなるフィルムを用いることが記載されている。しかしながら、保護フィルムを貼り合わせ積層する場合には、偏光板自体が膜厚となり、又、保護フィルム貼り合わせ時の歩留りが悪い等の問題があった。
これに対して、ガラスや透明フィルム等の基材上に、二色性色素を含む溶液を塗布し乾燥させる湿式成膜法にて二色性色素を含む極めて薄い膜を形成し、分子間相互作用等を利用して二色性色素を配向させることにより異方性膜層を形成する方法が提案されている。しかしながら、一般に二色性色素は、水やアルコール等の溶媒中でリオトロピック液晶相を形成し、配向基材や流動場、電場、磁場等の外場により二色性色素を配向させて偏光板としての機能を得ているため、耐水性や耐湿性に劣るという欠点を有している。
リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法にて形成される異方性膜色素膜の耐水性や耐湿性を改良する方法として、例えば、特許文献3では、異方性膜色素膜の上に、親水性化合物及び疎水性化合物を含有するオーバーコート層用組成物を用いて保護層を形成する方法が提案されている。
また、耐摩耗性を改善した偏光膜として、特許文献4には、二色性色素会合体が配向した薄膜多孔質構造体に、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の樹脂や、アクリル樹脂とアクリルモノマーを含む放射線硬化型樹脂を充填させた偏光膜が記載されている。
一方、LCDの使用環境の多様化に伴い、軽量、薄型化や高耐久化などの改良がLCDに求められている。そのため、例えば特許文献5に記載されるように、有機系の二色性物質をLCDセルの内部に塗布してなる、いわゆるIn-Cell型偏光子が検討されている。
しかしながら、In-Cell型偏光子の異方性色素膜のオーバーコート層については、未だ
十分な検討がなされていない。
特開平10−62624号公報 特開平8−94833号公報 特開2008−179702号公報 特開2008−203754号公報 特開2006−309185号公報
ところで、In-Cell型偏光子を用いたLCDの場合、具体的には、例えば、電極と液晶
層の間に異方性色素膜であるIn-Cell型偏光子が存在する構造であって、異方性色素膜上
に液晶用の配向膜を形成する場合には、異方性色素膜に機械的強度を付与したり、異方性色素膜から液晶層への不純物の溶出を防止する等のために、異方性色素膜表面にオーバーコート層を有する必要がある。該オーバーコート層は、In-Cell型偏光子に接して形成さ
れるため、配向膜形成用の溶媒(n―メチルピロリドン)や洗浄溶媒である水に対する耐性が必要であるとともに、オーバーコート層を形成した後も本来の偏光子としての性能が保持される必要がある。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたもので、その硬化物が耐水性、耐溶剤性に優れるとともに、これを用いて形成されたオーバーコート層を有する光学素子が、オーバーコート層を形成することによる異方性色素膜としての性能の劣化がなく、その結果、これを用いて得られた液晶表示素子の光学特性が良好である、In-Cell型偏光子のオーバーコー
ト層形成用樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討の結果、側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂を含む感光性樹脂組成物を用いることにより、上記課題を解決することができることを見出し本発明に到達した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
(1)リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜であり、かつ、In-Cell型偏光子として用いられる該異方性色素膜に接して形成されるオーバ
ーコート層形成用樹脂組成物であって、該樹脂組成物が、(A)光重合性モノマー、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂、及び、(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であることを特徴とするIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成
物。
(2)(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂が、
(B1−1)エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、又は、
(B1−2) エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコール、並びに、多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、
である前記(1)に記載のIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。
(3)(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂が、構造中に脂環式炭化水素骨格を有する前記(1)又は(2)に記載のIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組
成物。
(4)(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂に対する(A)光重合性モノマーの割合(重量比)が、0.5〜2である前記(1)〜(3)の何れか1項に記載のIn-Cell
型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。
(5)更に、フッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか1項に記載のIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。
(6)フッ素系界面活性剤が重合性基を有する前記(5)に記載のIn-Cell型偏光子のオ
ーバーコート層形成用樹脂組成物。
(7)リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜に接してオーバーコート層が形成されてなるIn-Cell型積層偏光子であって、該オーバーコー
ト層が前記(1)〜(6)の何れか1項に記載のオーバーコート層形成用樹脂組成物を光硬化してなるものであるIn-Cell型積層偏光子。
(8)オーバーコート層の膜厚(d)が20nm以上2000nm以下である前記(7)に記載のIn-Cell型積層偏光子。
(9)前記(7)〜(8)の何れか1項に記載のIn-Cell型積層偏光子を備えてなる液晶
表示素子。
本発明の樹脂組成物を用いて形成されたオーバーコート層を有する異方性色素膜は、耐水性、耐溶剤性に優れると共に、オーバーコート層を有さない場合と比べ、光学特性の劣化もなく、In-Cell型積層偏光子として極めて有用である。
本発明の液晶素子の一例である透過型ツイストネマティック(TN)型液晶素子の構成を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
なお、本発明でいう異方性色素膜とは、色素膜の厚み方向及び任意の直交する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に異方性を有する色素膜である。電磁気学的性質としては、吸収、屈折などの光学的性質、抵抗、容量などの電気的性質などが挙げられる。吸収、屈折などの光学的異方性を有する膜としては、例えば、直線偏光膜、円偏光膜、位相差膜、導電異方性膜などがある。なお、異方性色素膜は、偏光膜、位相差膜、導電異方性膜に用いられる。
リオトロピック液晶性化合物とは、特定の溶媒に、特定の濃度範囲で溶解した場合に液晶性を示す化合物である(丸善株式会社、液晶便覧3p等を参照)。
また、In-Cell型偏光子とは、液晶セルの対向する基板間に配置される偏光子(膜)を
言い、詳細は後述するが、基板間に配置される限り、基板と電極の間、電極と液晶層の間等、いずれの場所に存在していてもよい。
本発明では、リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜をIn-Cell型偏光子として用いることを前提とし、異方性色素膜に接してオーバーコ
ート層が形成された素子をIn-Cell型積層偏光子と称する。なお、オーバーコート層は、In-Cell型偏光子に機械的強度を付与したり、In-Cell型偏光子から液晶層への不純物など
の溶出を防止する等の機能を有する層である。
本発明は、リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜であり、かつ、In-Cell型偏光子として用いられる該異方性色素膜に接して形成される
オーバーコート層形成用樹脂組成物であって、該樹脂組成物が、(A)光重合性モノマー、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂、及び、(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であるIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物にあるが
、本発明の最大の特徴は、In-Cell型偏光子という特定の用途において、リオトロピック
液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜に接して形成されるオーバーコート層形成用樹脂組成物が、特定の樹脂組成物であることにある。
まず、In-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物について説明する。
[オーバーコート層形成用樹脂組成物]
本発明のオーバーコート形成用樹脂組成物は、(A)光重合性モノマー、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂、(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物である。
<(A)光重合性モノマー>
本発明のオーバーコート層形成用樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であり、感度等の点から光重合性モノマーを含有する。
本発明に用いられる光重合性モノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和基を少なくとも1個有する化合物(以下、「エチレン性単量体」と称することがある)を挙げることができる。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、及びエチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸と多価又は1価アルコールのモノエステル、等が挙げられる。
本発明においては、特に、1分子中にエチレン性不飽和基を二個以上有する多官能エチレン性単量体を使用することが望ましい。
かかる多官能エチレン性単量体の例としては、例えば脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と、不飽和カルボン酸及び多塩基性カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステルなどが挙げられる。
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等の芳香族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。
多塩基性カルボン酸及び不飽和カルボン酸と、多価ヒドロキシ化合物のエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物ではないが、代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
その他、本発明に用いられる多官能エチレン性単量体の例としては、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル又はポリイソシアネート化合物とポリオール及び水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させて得られるようなウレタン(メタ)アクリレート類;多価エポキシ化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸との付加反応物のようなエポキシアクリレート類;エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタ
レート等のビニル基含有化合物等が有用である。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
<(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂>
本発明のオーバーコート層形成用樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であるが、該樹脂組成物中が(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂を含有し、該樹脂を上記光重合性モノマーと併用することで、本発明のオーバーコート層形成用樹脂組成物を塗布・乾燥・露光してオーバーコート層を形成する際の感度が良好で、硬化後の押し込み硬度、引っかき硬度等の機械的強度に優れ、光散乱やオーバーコート後の積層に悪影響を及ぼす原因となる可能性のある表面粗度が低く、ピンホール等の欠陥が極めて少ないオーバーコート層を形成可能である。従って、側鎖にエチレン性二重結合を有する限り、樹脂は特定されない。樹脂の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常、1,000以上、好ましくは1,500以上であり、通常、20,000以下、好ましくは15,000以下である。重量平均分子量が小さ過ぎると感度や塗膜強度が低下する傾向があり、大き過ぎると再溶解性に問題を生じたり、異物等の原因となる場合がある。
側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂としては、具体的には、後述の(B1−1)、(B1−2)等のカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が、機械強度、耐水性、耐溶剤性の点から特に望ましい。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−1)>
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−2)>
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコール、及び多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
原料となるエポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、油化シェルエポキシ社製の「エピコート828」、「エピコート1001」、「エピコート1002」、「エピコート1004」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ(例えば、日本化薬社製の「NER−1302」(エポキシ当量323,軟化点76℃))、ビスフェノールF型樹脂(例えば、油化シェルエポキシ社製の「エピコート807」、「EP−4001」、「EP−4002」、「EP−4004等」)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「NER−7406」(エポキシ当量350,軟化点66℃))、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルグリシジルエーテル(例えば、油化シェルエポキシ社製の「YX−4000」)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN−201」、油化シェルエポキシ社製の「EP−152」、「EP−154」、ダウケミカル社製の「DEN−438」)、(o,m,p−)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EOCN−102S」、「EOCN−1020」、「EOCN−104S」)、トリグリシジルイソシアヌレート(例えば、日産化学社製の「TEPIC」)、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN−501」、「EPN−502」、「EPPN−503」)、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製の「セロキサイド2021P」、「セロキサイドEHPE」)、ジシクロペンタジエンとフェノールの反応によるフェノール樹脂をグリシジル化したエポキシ樹脂(例えば、大日本インキ社製の「EXA−7200」、日本化薬社製の「NC−7300」)、下記一般式(b1)〜(b4)で表されるエポキシ樹脂、等
を好適に用いることができる。具体的には、下記一般式(b1)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「XD−1000」、下記一般式(b2)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「NC−3000」、下記一般式(b4)で表されるエポキシ樹脂として新日鐵化学社製の「ESF−300」等が挙げられる。
(b1)
Figure 2014206681
(上記一般式(b1)において、b11は平均値を示し0〜10の数を示す。R11は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基を表す。なお、1分子中に存在する複数のR11は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
(b2)
Figure 2014206681
(上記一般式(b2)において、b12は平均値を示し0〜10の数を示す。R21は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基を表す。なお、1分子中に存在する複数のR21は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
(b3)
Figure 2014206681
(上記一般式(b3)において、Xは下記一般式(b3−1)又は(b3−2)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に1つ以上のアダマンタン構造を含む。b13は2又は3の整数を示す。)
Figure 2014206681
(上記一般式(b3−1)及び(b3−2)において、R31〜R34及びR35〜R37は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。)
(b4)
Figure 2014206681
(上記一般式(b4)において、p及びqはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R41及びR42はそれぞれ独立してアルキル基又はハロゲン原子を表す。R43及びR44はそれぞれ独立してアルキレン基を表す。x及びyはそれぞれ独立して0以上の整数を表す。)
中でも、エポキシ樹脂が脂環式炭化水素骨格を有する場合、本発明のオーバーコート層形成用樹脂組成物を用いて異方性色素膜に接してオーバーコート層を形成した場合、該組成物を塗布・乾燥・光硬化における体積変化が抑制でき、オーバーコート層が積層される異方性色素膜が本来有する配向度、光学異方性等の性能の低下が抑制される傾向があり、また、疎水性、耐溶剤性が良好であり好ましい。この点から、上記の中でも、一般式(b1)及び(b3)で表されるエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸;クロトン酸;o−、m−、p−ビニル安息香酸;(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体などのモノカルボン酸;2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸;2−(メタ)アクリロイロキシエチルアジピン酸;2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸;2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸;2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸;2−(メタ)アクリロイロキシプロピルコハク酸;2−(メタ)アクリロイロキシプロピルアジピン酸;2−(メタ)アクリロイロキシプロピルテトラヒドロフタル酸;2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸;2−(メタ)アクリロイロキシプロピルマレイン酸;2−(メタ)アクリロイロキシブチルコハク酸;2−(メタ)アクリロイロキシブチルアジピン酸;2−(メタ)アクリロイロキシブチルヒドロフタル酸;2−(メタ)アクリロイロキシブチルフタル酸;2−(メタ)アクリロイロキシブチルマレイン酸;(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものである単
量体;或いは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートに(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などの酸(無水物)を付加させた単量体;(メタ)アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。
これらの内、感度の点から、特に好ましいものは(メタ)アクリル酸である。
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させる方法としては、公知の手法を用いることができる。例えば、エステル化触媒の存在下、50〜150℃の温度で、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとエポキシ樹脂とを反応させることができる。ここで用いるエステル化触媒としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。
なお、エポキシ樹脂、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステル、及びエステル化触媒は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し0.5〜1.2当量の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.1当量の範囲である。 α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの使用量が少ないと不飽和基の導入量が不足し多量のエポキシ基が残存するため、引き続く多塩基酸及び/又はその無水物との反応も不十分となる傾向にある。一方、該使用量が多いとα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルが未反応物として残存する。いずれの場合も硬化特性が悪化する傾向が認められる。
多塩基酸及び/又はその無水物としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、及びこれらの無水物等から選ばれた、1種又は2種以上が挙げられる。
好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、又はこれらの無水物である。特に好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、無水テトラヒドロフタル酸、又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応に関しても公知の手法を用いることができ、エポキシ樹脂へのα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの付加反応と同様な条件下で、継続反応させて目的物を得ることができる。多塩基酸及び/又はその無水物成分の付加量は、生成するカルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価が5〜150mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましく、さらに10〜120mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましい。カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価が上記範囲未満であると溶剤に対する溶解性が下がる傾向があり、また、上記範囲を超えると硬化性能が低下する傾向が認められる。
なお、この多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応時に、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールを添加し、多分岐
構造を導入したものとしてもよい。
カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、通常、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物を混合した後、もしくは、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物及び多価アルコールを混合した後に、加温することにより得られる。この場合、多塩基酸及び/又はその無水物と多価アルコールの混合順序に、特に制限はない。加温により、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物と多価アルコールとの混合物中に存在するいずれかの水酸基に対して多塩基酸及び/又はその無水物が付加反応する。
カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上の樹脂を混合して用いても良い。
多価アルコールの使用量は、少な過ぎると効果が薄く、多過ぎると増粘やゲル化の可能性があるので、エポキシ樹脂成分とα,β−不飽和モノカルボン酸又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステル成分との反応物に対して、通常0.01〜0.5重量倍程度、好ましくは0.02〜0.2重量倍程度である。
このようにして得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−1、B1−2)の酸価は、5〜150mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましく、さらに10〜120mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましい。カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価が上記範囲未満であると溶剤に対する溶解性が下がる傾向があり、また、上記範囲を超えると硬化性能が低下する傾向が認められる。
<その他の樹脂>
本発明の樹脂組成物に用いられるその他のアクリル共重合樹脂としては、例えば、特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号、特開2007−270147号などの各公報等に記載された様々な高分子化合物を使用することができるが、好ましくは、以下の(B2−1)〜(B2−4)の樹脂等が挙げられ、中でも、(B2−1)樹脂が特に好ましい。
(B2−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂(以下「(B2−1)樹脂」と称す場合がある。)
(B2−2):主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂(以下「(B2−2)樹脂」と称す場合がある。)
(B2−3):前記(B2−2)樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「(B2−3)樹脂」と称す場合がある。)
(B2−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下「(B2−4)樹脂」と称す場合がある。)
尚、上記(B2−1)及び(B2−3)は、側鎖に二重結合を有する樹脂であり、上記の(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂に包含される。また、上記(B2−1)の樹脂はエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の概念に包含される。
以下、これらの各樹脂について説明する。
<(B2−1)エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂>
(B2−1)樹脂としては、より具体的には、「エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に、更に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂」が挙げられる。
(B2−1)樹脂を構成する「エポキシ基含有(メタ)アクリレート」としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、下記一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
Figure 2014206681
上記一般式(11)において、R81〜R88は各々独立して、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示すが、R87及びR88は互いに連結して環を形成していてもよい。
一般式(11)において、R87とR88が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和の何れでもよく、炭素数が5〜6であるのが好ましい。
中でも、一般式(11)で表される構造としては、下記式(11a)、(11b)、又は(11c)で表される構造が好ましい。
Figure 2014206681
樹脂にこれらの構造を導入することによって、本発明の感光性樹脂組成物を液晶表示素子に使用する場合に、その耐熱性や強度を高めることができる。
前記一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、当該構造を有する限り様々なものが使用できるが、特に下記一般式(12)で表されるものが好ましい。
Figure 2014206681
(上記一般式(12)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は前記一般式(11)で表される構造を示す。)
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体において、前記一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
なお、前記一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、特に限定されるものではない。
(B2−1)樹脂の、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%とからなるものが好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とから
なるものが特に好ましい。
(B2−1)樹脂では、上記のエポキシ樹脂含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、多塩基酸無水物とを反応させる。
エポキシ基に付加させる「不飽和一塩基酸」としては、様々なものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、又はp−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、(B2−1)樹脂に重合性を付与することができる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは50〜100モル%に付加させる。
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる「多塩基酸無水物」としては、様々なものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸及び無水コハク酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、(B2−1)樹脂に溶剤への溶解性を付与することができる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜80モル%に付加させる。
<(B2−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂>
(B2−2)樹脂としては、カルボキシル基を有していれば特に限定されず、通常、カルボキシル基を含有する重合性モノマーを重合して得られる。
カルボキシル基含有重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルフタル酸等のビニル系モノマー;アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものであるモノマー;ヒドロキシアルキル(メタ)ア
クリレートにコハク酸、マレイン酸、フタル酸、或いはそれらの無水物等の酸或いは無水物を付加させたモノマー等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも好ましいのは、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸であり、更に好ましいのは(メタ)アクリル酸である。
また、(B2−2)樹脂は、上記のカルボキシル基含有重合性モノマーに、カルボキシル基を有さない他の重合性モノマーを共重合させたものであってもよい。
この場合、他の重合性モノマーとしては、特に限定されないが、特開2009−52010号公報に記載されているもの等が挙げられる。また、これら重合性モノマーのうち、特にベンジル(メタ)アクリレートを含む共重合体樹脂が好ましい。
<(B2−3)前記(2−2)樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂>
(B2−3)樹脂において、(B2−2)樹脂のカルボキシル基部分に付加させるエポキシ基含有不飽和化合物としては、分子内にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を有するものであれば、特に限定されるものではない。
このエポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジル−α−エチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の非環式エポキシ基含有不飽和化合物を挙げることができるが、耐熱性の観点から、以下に記載する脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が好ましい。
ここで、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物の脂環式エポキシ基として、例えば、2,3−エポキシシクロペンチル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕基等が挙げられる。また、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基に由来するものであるのが好ましい。
<(B2−4)(メタ)アクリル系樹脂>
(B2−4)樹脂としては、下記一般式(6)で表される化合物を必須とするモノマー成分を重合してなる(メタ)アクリル系樹脂を挙げることができる。
Figure 2014206681
(上記一般式(6)中、R71及びR72は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す。)
以下、一般式(6)の化合物について詳述する。
一般式(6)で表されるエーテルダイマーにおいて、R71及びR72で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル
、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシ基で置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級又は2級炭素原子を有する置換基が耐熱性の点で好ましい。なお、R71及びR72は、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
特に、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。
これらエーテルダイマーは、1種のみ単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(B2−4)樹脂を得る際の、モノマー成分中における前記エーテルダイマーの割合は、特に制限されないが、全モノマー成分中、通常2〜60重量%、好ましくは5〜50重量%である。
(B2−4)樹脂は、酸基を有することが好ましい。酸基を有することにより、これを用いて得られる本発明の感光性樹脂組成物が、酸基とエポキシ基が反応してエステル結合を形成する架橋反応(以下、「酸−エポキシ硬化」と略することがある。)により硬化が可能な感光性樹脂組成物とすることができる。前記酸基としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。樹脂1分子中に含まれるこれらの酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(B2−4)樹脂に酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマー、及び/又は、重合後に酸基を付与しうるモノマー(以下「酸基を導入するためのモノマー」と称することもある。)を、モノマー成分として使用すればよい。なお、「重合後に酸基を付与しうるモノマー」をモノマー成分として使用する場合には、重合後に、後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
前記酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。
これら酸基を導入するためのモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B2−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記酸基を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は、通常は全モノマー成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。
(B2−4)樹脂を得る際のモノマー成分は、上記必須のモノマー成分のほかに、必要
に応じて、他の共重合可能なモノマーを含んでいてもよい。
<(C)光重合開始剤>
光重合開始剤は、光を直接吸収し、分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。必要に応じて増感色素等の付加剤を添加して使用しても良い。
光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物;特開2000−56118号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体;特開平10−39503号公報記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体、ハロメチル−s−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体;特開2000−80068号公報、特開2006−36750号公報等に記載されているオキシムエステル誘導体等が挙げられる。
具体的には、例えば、チタノセン誘導体類としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,4−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウム〔2,6−ジ−フルオロ−3−(ピロ−1−イル)−フェニ−1−イル〕等が挙げられる。
また、ビイミダゾール誘導体類としては、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
また、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体類としては、2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−(6”−ベンゾフリル)ビニル)〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−フリル−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
また、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類としては、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
また、α−アミノアルキルフェノン誘導体類としては、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチル
アミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエ
チルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサ
ノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
更に、例えば、特開2000−80068号公報や、特開2006−36750号公報に記載されているオキシム及びケトオキシムエステル系化合物が挙げられる。上記光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他に、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体類;ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体類;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類;p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体類;9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体類;9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体類;ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体類等も挙げられる。
これらの光重合開始剤の中では、感度の点からオキシムエステル誘導体類が特に好ましい。
<増感色素>
光重合開始剤には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素を併用させることができる。
<界面活性剤>
本発明のオーバーコート層形成用樹脂組成物は、異方性色素膜にオーバーコート層形成用樹脂組成物を塗布する際の濡れ性、塗布性等を向上させるため、界面活性剤を含有するのが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等各種のものを用いることができる。中でも、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましく、中でもフッ素系やシリコン系の界面活性剤が塗布性の面で効果的である。
フッ素系界面活性剤としては、ペルフルオロアルキルスルホン酸、ペルフルオロアルキルカルボン酸、フッ素テロマーアルコール等が、シリコン系界面活性剤としては、種々の直鎖、及び分岐鎖を持つポリエーテル変性シリコン等が挙げられる。
このような界面活性剤としては、例えば、シリコン系ではTSF4460(ジーイー東芝シリコーン社製)、BYK−300、BYK−325、BYK−330(ビックケミー社製)、KP340(信越シリコーン社製)、SH7PA(トーレシリコーン社製)、L−77(日本ユニカー社製)、フッ素系ではFC4430(住友3M社製)、DFX−18(ネオス社製)、F−470、F−475、F−478及びF−559(いずれも、DIC(
株)製) 、DS−401(ダイキン社製)、等が挙げられる。
なお、界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
中でも、重合性基を有するフッ素系界面活性剤が、分散性、凝集に起因する欠陥の低減、及び界面活性作用の効果継続性の点で好ましい。フッ素系界面活性剤の有する重合性基としては、下記式U−1〜U−5に例示のものが挙げられる。
Figure 2014206681
このような界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファック RS−72K、RS−
75、RS−76E、RS−76NS、RS−77等が挙げられる。
<密着向上剤>
感光性樹脂組成物の密着性を改善するため、例えば、シランカップリング剤、リン酸系密着向上剤等を含有することができる。
シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、(メタ)アクリル系、アミノ系等種々のものが1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用できる。
好ましいシランカップリング剤として、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン類、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、等のエポキシシラン類、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン類、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン類が挙げられるが、特に好ましくは、エポキシシラン類のシランカップリング剤が挙げられる。
リン酸系密着向上剤としては、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類が好ましく、中でも下記一般式(g1)、(g2)、(g3)で表されるものが好ましい。
Figure 2014206681
(上記一般式(g1)、(g2)、(g3)において、R51は水素原子又はメチル基を示し、l及びl’は1〜10の整数、mは1、2又は3である。)
これらの燐酸基含有化合物も1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<溶剤>
本発明のオーバーコート層形成用樹脂組成物は、通常、(A)光重合性モノマー、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂、及び、(C)光重合開始剤、更に必要に応じて使用される各種材料が、有機溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
有機溶剤としては、沸点(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)が100〜300℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜280℃の沸点をもつ溶剤である。
このような有機溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコ
ールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等:
上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
これらの有機溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
後述するスピンコート法、ダイコート法のような塗布方式においては、有機溶剤としては
沸点が100〜200℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点を持つものである。沸点が極端に低い場合はムラ等を生じやすく、また高すぎると乾燥に負荷がかかる。
上記有機溶剤のうち、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
また、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の有機溶剤を併用してもよい。併用する有機溶剤として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、後に得られるオーバーコート層形成用樹脂組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5重量%〜30重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。
<感光性樹脂組成物中の成分配合量>
(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂の含有量は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上であり、通常85重量%以下、好ましくは80重量%以下である。該樹脂の含有量が著しく少ないと、膜強度が低下する可能性がある。逆に、該樹脂の含有量が多すぎると、相対的に光重合性モノマーが少なくなるため硬化性が低下する場合がある。
尚、本発明の感光性樹脂組成物が、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂以外の樹脂を含む場合、その含有割合は、樹脂の合計に対して、20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
尚、上記において、全固形分とは、溶剤を除く成分の全体(合計)を意味する。
(A)光重合性モノマーの割合は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常70重量%以下、好ましくは65重量%以下である。また、光重合性モノマーの含有量の下限は、通常30重量%、好ましくは35重量%である。上記範囲内にあることで、耐水性、耐溶剤性の両方をバランスして満足する傾向にある。
また、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂に対する(A)光重合性モノマーの割合(重量比)は、通常、0.5以上、好ましくは、0.55以上であり、通常、2以下、好ましくは1.95以下である。
(C)光重合開始剤の含有量は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは0.7重量以上であり、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。光重合開始剤の含有量が少なすぎると感度低下を起こすことがあり、反対に多すぎると(A)(B)成分が減り、膜強度を下げる可能性がある。
界面活性剤を用いる場合、その含有量は、感光性樹脂組成物中の全固形分に対して通常0.001〜10重量%、好ましくは0.05〜8重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.5〜3重量%である。界面活性剤の含有量が上記範囲よりも少ないと塗布膜の平滑性、均一性が劣る可能性があり、多い場合も塗布膜の平滑性、均一性が劣る可能性がある他、他の特性が低下する場合がある。
密着向上剤を用いる場合、その含有量は、感光性樹脂組成物中の全固形分に対して通常0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。密着向上剤を上記範囲で含有することで、膜の機械的、化学的接着性が増す傾向にある。
なお、本発明の感光性樹脂組成物は、使用に際して、前述の有機溶剤を使用して、その固形分濃度が通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%となるように、調液される。
<感光性樹脂組成物の製造方法>
本発明のオーバーコート層形成用樹脂組成物として用いられる感光性樹脂組成物は、少なくとも(A)光重合性モノマー、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂及び(C)光重合開始剤を混合することで得られるが、通常、溶剤に、これらの成分を混合することで得られる。
<オーバーコート層の形成>
後述の、リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜上に、上述の感光性樹脂組成物(オーバーコート層形成用樹脂組成物)を塗布し、乾燥した後、露光、必要に応じて熱硬化又は光硬化によりオーバーコート層を作成する。
感光性樹脂組成物の塗布・乾燥は、後述の異方性色素膜の塗布・乾燥と同様の方法、条件で行うこことが可能である。尚、塗膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、20nm以上が好ましく、50nm以上が更に好ましく、又、2000nm以下が好ましく、1000nm以下が更に好ましい。また、乾燥後の樹脂層に架橋操作を行い、樹脂層を補強してもよい。
基板に感光性樹脂組成物を塗布した後の塗膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、又はコンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。乾燥の条件は、前記溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥時間は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて、通常は、40〜200℃の温度で15秒〜5分間の範囲で選ばれ、好ましくは50〜130℃の温度で30秒〜3分間の範囲で選ばれる。
オーバーコート層を光硬化により作製する場合には、塗膜の硬化は、感光性樹脂組成物の塗膜上に、紫外線又は可視光線の光源を照射して行う。使用される光源は、特に限定されるものではなく、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
通常、上記塗膜を露光後、熱硬化処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、温度は100〜280℃の範囲、好ましくは150〜250℃の範囲で選ばれ、時間は5〜60分間の範囲で選ばれる。これら一連の工程を経て、異方性色素膜に接して、オーバーコート層が形成され、積層偏光子が得られる。かくして得られるオーバーコート層の膜厚は、通常、20nm以上、好ましくは、50nm以上、一方、通常、2000nm以下、好ましくは1000nm以下である。
[異方性色素膜]
本発明の前記樹脂組成物は、湿式成膜法により形成された、リオトロピック液晶性化合物の異方性色素膜層の表面に、オーバーコート層を形成するためのものである。
リオトロピック液晶性化合物の異方性色素膜は、基材上に湿式成膜法により形成されるが、ここで、基材としては、ガラス、及び、トリアセテート、アクリル、ポリエステル、トリアセチルセルロース、又はウレタン系等の樹脂のフィルム等が挙げられる。又、これらの基材表面には、リオトロピック液晶性化合物の配向方向を制御するために、「液晶便覧」(丸善株式会社、平成12年10月30日発行)226〜239頁等に記載の公知の
方法により、配向処理層が施されていてもよい。例えば、リオトロピック液晶性化合物を用いて湿式成膜法により形成された異方性色素膜に接してオーバーコート層を有するIn-Cell型積層偏光子を、電極と液晶層との間に用いる場合には、ポリイミド配向膜上に異方
性色素膜が形成され、その表面にオーバーコート層が形成されることとなる。
又、本発明で用いられるリオトロピック液晶性化合物としては、後述の湿式成膜法に供するために、水や有機溶媒に可溶であることが好ましく、特に水溶性であることが好ましい。さらに好ましいものは、「有機概念図−基礎と応用」(甲田善生著、三共出版、1984年)で定義される無機性値が有機性値よりも小さな化合物である。又、塩型をとらない遊離の状態で、その分子量が200以上であるのが好ましく、300以上であるのが特に好ましく、又、1500以下であるのが好ましく、1200以下であるのが特に好ましい。尚、水溶性とは、室温で化合物が水に、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上溶解することをいう。
リオトロピック液晶性化合物としては、色素であっても、透明材料であってもよい。特に、リオトロピック液晶性二色性色素を用いることが好ましい。また、リオトロピック液晶性化合物は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的な色素としては、縮合多環系、及びアゾ系色素等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。例えば、米国特許第2,400,877号明細書、DreyerJ. F., Phys. and Colloid Chem., 1948, 52, 808., "The Fixing of MolecularOrientation"、Dreyer J. F., Journal de Physique, 1969, 4, 114., "LightPolarization from Films of Lyotropic Nematic Liquid Crystals"、及び、J.Lydon, "Chromonics" in "Handbook of Liquid Crystals Vol.2B: Low MolecularWeight Liquid Crystals II", D. Demus, J. Goodby, G. W. Gray, H. W. Spiessm,V. Vill ed, Willey-VCH, P.981-1007(1998) 等に記載の色素を使用することができる。
特に好ましい色素としては、特開2007−126628号公報に記載の式(5)の色素が挙げられる。以下に、特開2007−126628号公報に記載の式(5)の色素と、好ましい色素の一例を説明する。
<特開2007−126628号公報に記載の式(5)の色素>
遊離酸の形が下記式(5)で表される色素。
Figure 2014206681
(式中、A12は、置換基を有していても芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
12は、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表す。
13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基
または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
は0または1を表す。n1は1または2を表す。
なお、n1が2の場合、1分子中に含まれる複数のB12は、同一であっても異なっていてもよい。)
式(5)中、A12は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表すが、該芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、芳香族複素環基としては、ヘテロ原子として窒素原子、硫黄原子を含有する芳香族複素環基、例えばピリジル基、キノリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フタルイミドイル基、キノロニル基などが挙げられる。
これらの基が有し得る置換基としては、色素の溶解性を高めるために導入される親水性基や色調を調節するために導入される電子供与性基や電子吸引性を有する基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、ヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基等の置換されていてもよいアルキル基(好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基);メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、1,2−ジヒドロキシプロポキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜4のアルコキシ基)が挙げられる。
また、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基等のアルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基で置換されたアミノ基);フェニルアミノ基;アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜7のアシル基で置換されたアミノ基)等の置換されていてもよいアミノ基;フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基等の置換カルバモイル基;カルボキシ基、スルホ基、水酸基、シアノ基及びハロゲン原子等が挙げられる。これらの置換基のうち、好ましくはスルホ基、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、カルバモイル基、メトキシ基、メチル基、塩素原子である。
上記アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びナフチル基は、更に置換基を有していてもよく、置換基としては水酸基、スルホ基、アルコキシ基などが挙げられる。
12は、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表すが、該2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、また2価の芳香族複素環基としては、ヘテロ原子として窒素原子を含む芳香族複素環基、例えばキノリンジイル基、イソキノリンジイル基などが挙げられる。これらの基が有し得る置換基としては、上記A12で表される基が有し得る置換基と同種の基が挙げられる。
13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル
基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基等))、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)である。
特に、R13及びR14が水素原子であるアミノ基、R13が水素原子及びR14がアルキル基であるアルキルアミノ基、R13が水素原子及びR14がフェニル基であるアリールアミノ基などが好ましい。該アルキル基及び該フェニル基の有していてもよい置換基としては、水酸基、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。
上記式(5)の色素の中で、好ましいものとして、特開2007−126628号公報に記載の一般式(I)の色素、及び、特開2010−168570号公報に記載の一般式(1)の色素が挙げられ、これらは、以下に記載の通りである。なお、好ましい基や具体例は各公報に記載の通りである。
<遊離酸の形が下記一般式(I)で表される色素(特開2007−126628号公報に記載)>
Figure 2014206681
[式(I)中、R11及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していても
よいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。
11は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
11は、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基を表す。
mは0または1を表す。n’は1または2を表す。
ただし、n’が1の場合、A11はビニル基を有するフェニル基であることは無く、又、n’が2の場合、A11は、下記式(I-a)若しくは(I−b)、または置換基を有し
ていてもよい芳香族複素環基を表す。
Figure 2014206681
(上記式中、R33は、水素原子、水酸基または置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。)
なお、n’が2の場合、1分子中に含まれる複数のB11は、同一であっても異なっていてもよい。]
<遊離酸の形が下記一般式(1)の色素(特開2010−168570号公報に記載)>
Figure 2014206681
(上記式(1)において、Aは、置換基として非イオン性の電子吸引基を少なくとも一つ有するフェニル基を表す。
、DおよびEは、それぞれ独立に置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化
水素基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
1およびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基
、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。
mおよびnは、0または1を表す。)
ここで、非イオン性の電子吸引基が、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基または置換基を有していてもよいフェニルカルバモイル基であるのが好ましい。
また、上記に記載の特開2007−126628号公報に記載の式(5)の色素の中で、A12で表される置換基を有していても芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基が、末端にエチレン性二重結合を有する基を1つ以上有し、かつ、末端にエチレン性二重結合を有する基以外の置換基を有していてもよいフェニル基、末端にエチレン性二重結合を有する基以外の置換基を有していてもよいナフチル基または末端にエチレン性二重結合を有する基以外の置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す色素も好ましい。
末端にエチレン性二重結合を有する基は特に限定されないが、例えば、−(L)−C(R)=CH(但し、Lは2価の連結基を表し、lは0又は1を、Rは、水素原子
又はメチル基を表す)が挙げられる。
ここで、Lで表される2価の連結基としては、アルキレン基、好ましくは炭素数が1以
上8以下、更に好ましくは炭素数1以上6以下のアルキレン基;カルボニルアミノ基;カルボニルオキシ基;カルボニルオキシアルキルアミノカルボニル基、好ましくはアルキル基の炭素数が2以上8以下、更に好ましくは2以上6以下のカルボニルオキシアルキルアミノカルボニル基;アルキレンカルバモイル基、好ましくはアルキレン基の炭素数が1以上8以下、更に好ましくは1以上6以下のアルキレンカルバモイル基;カルボニル基;カルボニルオキシアルキル基、好ましくはアルキル基の炭素数が1以上8以下、更に好ましくは1以上6以下のカルボニルオキシアルキル基等が挙げられる。尚、上記において、カルボニルアミノ基は、−C(R)=CHと連結する部分がカルボニルであり、その他の基はこれに準じて、−C(R)=CHと連結する基を初めに記載したものである。
具体的な重合性基としては、例えば以下のものが挙げられる。
(1)Lがアルキレン基;アルケニル基
(2)Lがカルボニルアミノ基;ビニルカルボニルアミノ基、1−メチルビニルカルボニルアミノ基
(3)Lがカルボニルオキシ基;ビニルカルボニルオキシ基、1−メチルビニルカルボニルオキシ基
(4)Lがカルボニルオキシアルキルアミノカルボニル基;ビニルカルボニルオキシアルキルアミノカルボニル基、1−メチルビニルカルボニルオキシアルキルアミノカルボニル基
(5)Lがアルキレンカルバモイル基;アリルカルバモイル基、
(6)Lがカルボニル基;ビニルカルボニル基、
(7)Lがカルボニルオキシアルキル基;1−メチルビニルカルボニルオキシエチル基
12が有する末端にエチレン性二重結合を有する基の数は1以上であり、その上限は
、これが結合するフェニル基、ナフチル基又は芳香族複素環基の置換可能な数であるが、好ましくは、2以下である。また、末端にエチレン性二重結合を有する基が結合する位置は特に限定されないが、A12がフェニル基の場合アゾ結合に対してパラ位であるのが液晶性発現の点で好ましく、また、A12がフェニル基で末端にエチレン性二重結合を有する基の数が2以上の場合、少なくとも2ヶがアゾ結合に対して対象の位置に結合するのが
液晶性発現の点で好ましい。A12が1−ナフチル基の場合、末端にエチレン性二重結合を有する基は、4または5位に結合するのが好ましく、2−ナフチル基の場合6または7位に結合するのが好ましい。
12が末端にエチレン性二重結合を有する基を有する場合の色素の遊離酸の形としての具体例としては、例えば、以下に記載の色素が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2014206681
Figure 2014206681
Figure 2014206681
Figure 2014206681
Figure 2014206681
Figure 2014206681
Figure 2014206681
なお、遊離酸の形が特開2007−126628号公報に記載の式(5)で表される色素の中でも、二色比が40以上であるのが特に好ましい。
本発明において、異方性色素膜層は上記リオトロピック液晶性化合物および溶剤を含有する異方性色素膜用組成物を前記基材上に湿式成膜法により成膜することにより得られる。通常は、該組成物を基材上に塗布し乾燥させて、リオトロピック液晶性化合物を含む極めて薄い膜を形成し、分子間相互作用等を利用して、リオトロピック液晶性化合物を配向させることにより形成される。
異方性色素膜用組成物中において、リオトロピック液晶性化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、混合される他の色素の好ましい例としては、特開2007−241269号公報に例示の化合物が挙げられる。
又、異方性色素膜用組成物に用いられる溶媒としては、水、水混和性のある有機溶媒、或いはこれらの混合物が適している。有機溶媒の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソル
ブ類等が挙げられ、これらは単独でも二種以上の混合溶媒としても使用できる。
又、異方性色素膜用組成物中におけるリオトロピック液晶性化合物の濃度としては、リオトロピック液晶性化合物の溶解性やリオトロピック液晶状態等の会合状態の形成濃度にも依存するが、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、又、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。化合物濃度が低過ぎると異方性色素膜において十分な異方性(色素であれば二色性)を得ることができず、高過ぎると化合物が析出する恐れがある。
尚、異方性色素膜用組成物には、基材への濡れ性、塗布性等を向上させるため、必要に応じて、界面活性剤等の添加剤が配合されてもよい。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性いずれも使用可能である。その添加濃度は、目的の効果を得るために十分であって、且つリオトロピック液晶性化合物の分子の配向を阻害しない量として、異方性色素膜用組成物中の濃度として通常0.05重量%以上、0.5重量%以下が好ましい。
又、異方性色素膜用組成物中での化合物の造塩や凝集等の不安定性を抑制する等の目的のために、通常公知の酸、アルカリ等のpH調整剤等を、構成成分の混合の前後いずれかで添加してpH調整を行ってもよい。
湿式成膜法としては、原崎勇次著「コーティング工学」(株式会社朝倉書店、1971年3月20日発行)253〜277頁や市村國宏監修「分子協調材料の創製と応用」(株式会社シーエムシー出版、1998年3月3日発行)118〜149頁等に記載の公知の方法や、例えば、予め配向処理を施した基材上に、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、ブレードコート法等で塗布する方法が挙げられる。塗布時の温度は、好ましくは0℃以上、80℃以下、湿度は好ましくは10%RH以上、80%RH以下程度である。又、塗膜の乾燥時の温度は、好ましくは0℃以上、120℃以下、湿度は好ましくは10%RH以上、80%RH以下程度である。
湿式成膜法で基材上に異方性色素膜層を形成する場合、異方性色素膜層の乾燥後の膜厚は、通常、好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上、又、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下である。
本発明において、前述の如き湿式成膜法により得られたリオトロピック液晶性化合物を含む薄膜層は、分子間相互作用等を利用してリオトロピック液晶性化合物を配向させることにより異方性色素膜層とされる。ここで、分子間相互作用等の利用方法としては、配向処理が施された基材を用いる方法の他、流動場、電場、磁場等の外場によりリオトロピック液晶性化合物を配向させる方法等の従来公知の方法が用いられる。
かくして得られる異方性色素膜の二色比は9以上のものが好ましく、より好ましくは12以上、特に好ましくは15以上のものが使用される。
[In-Cell型積層偏光子]
本発明のIn-Cell型積層偏光子は、リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法によ
り形成される異方性色素膜に接してオーバーコート層が形成されてなるIn-Cell型積層偏
光子であって、該オーバーコート層が上述のオーバーコート層形成用樹脂組成物を光硬化してなるものであり、その製造は、上述の異方性色素膜の製造及びオーバーコート層の形成方法による。
かくして得られたIn-Cell型積層偏光子のオーバーコート層のnーメチルピロリドンと
の接触角(θw)は、通常、5°以上、好ましくは10°以上であり、一方、通常、80
°以下、好ましくは70°以下である。この範囲であることにより、耐溶剤性を確保しつつ、オーバーコート上のポリイミド塗布が可能と成り得る。また、オーバーコート上のポリイミド塗布のために、UVオゾン処理、コロナ処理、アルカリ処理、酸処理などの膜表面のみを活性化させる物理処理、化学処理を追加しても良い。
また、該オーバーコート層の水との接触角(θw)は、通常、30°以上、好ましくは35°以上であり、一方、通常、120°以下、好ましくは110°以下である。この範囲であることにより、耐水性を確保することが可能である。
なお、接触角の測定方法は、下記実施例に記載の方法による。
[液晶表示素子]
本発明の液晶表示素子は、上述の本発明のIn-Cell型積層偏光子を用いてなるものであ
る。通常は、2枚の基板により液晶材料を挟持した液晶表示素子において、少なくとも一方の基板の内側(液晶材料を挟持している側)に、本発明のIn-Cell型積層偏光子が形成
されてなる。
本発明の液晶表示素子の基本構成は、例えば、株式会社工業調査会「フラットパネルディスプレイ大辞典」(内田龍男、内池平樹監修、2001年12月25日発行)の45頁の図1に示されている通りである。即ち、本発明の液晶表示素子は、対向して配置される一対の基板と、各基板の内側に設けられる一対の配向膜(液晶材料を配向させる配向層)と、基板間(液晶セル)に介装される液晶層(液晶材料を有する層)と、液晶層に電界を印加する電極(例えばITO電極等)とを少なくとも備えてなり、電極により液晶層に電界を印加して液晶の配列を変化させることによって、光の透過・遮断を制御するものである。ここで、本発明のIn-Cell型偏光子は、前述の配向膜と液晶層との間、配向膜と電極
との間に挿入され、用いられる。
液晶表示素子の具体的な表示方式としては、株式会社工業調査会「フラットパネルディスプレイ大辞典」(内田龍男、内池平樹監修、2001年12月25日発行)の54頁から83頁に記載された、TNモード、STNモード、DSMモード、ECBモード、VAモード、πセル、OCBモード、HANモード、相転移−コレステリック液晶モード、ECEモード、強誘電性液晶モード、反強誘電性液晶モード、ゲスト−ホスト液晶モード、IPSモード、高分子複合型モード、高分子液晶モード、フォトルミネッセントモードなどの各種液晶モードを用いた液晶素子が挙げられるが、本発明の液晶表示素子は、これらの何れに対しても適用可能である。
本発明の液晶表示素子の具体的な構成例としては、図1に示す構成が挙げられる。図1は、本発明の液晶表示素子の一種であるTNモードの透過型カラー液晶表示素子の構成の例を模式的に示す図である。図1に示す液晶表示素子は、TNモードの透過型カラー液晶表示素子であって、AR(AG)フィルム1、光学補償フィルム2、カラーフィルター付き基板3、ITO電極4、配向膜(配向層及び偏光子)5、スペーサ6、液晶層7、TFT,ITO電極8、基板9から構成されるとともに、輝度向上フィルム10、プリズムシート11、拡散板12、導光板13、光源14からなるバックライトユニット15と組み合わせて用いられる。本発明のIn-Cell型積層偏光子は、上述の配向膜(配向層及び偏光
子)5として用いられる。
なお、一対の配向膜5のうち、何れか一方のみが本発明のIn-Cell型積層偏光子であって
もよく、双方の配向膜5が本発明のIn-Cell型積層偏光子であってもよい。また、本発明
のIn-Cell型積層偏光子が配向層の機能を兼ねることにより、配向層を省略してもよい。
但し、図1の液晶表示素子の構成はあくまでも一例であって、液晶表示素子としての機能を損なわない限り、その用途に応じて各構成要素の配置・形状・積層順等を変更したり、一部の構成要素を省略したり、複数の構成要素を一体に構成したり、他の構成要素を追
加したり等、適宜変形を加えて実施することが可能である。
例えば、バックライトなどの補助光源を有しない反射型液晶表示素子や、フロントライトやサイドエッジライトを具備した透過型・半透過型液晶表示素子、マイクロカラーフィルターを具備しないモノクロ液晶表示素子や、フィールドシーケンシャル方式の液晶表示素子として、本発明の液晶表示素子を構成することも可能である。
また、本発明のIn-Cell型積層偏光子の配置位置は、In-Cell型であれば特に制限されず、電極と基板との間であっても、電極と液晶層との間であってもよい。また、本発明のIn-Cell型積層偏光子に対して、他の機能層である配向膜やλ/4板などの位相差膜、反射
膜、光拡散膜、光吸収膜を、単独若しくは複数組み合わせて付加、配置してもよい。更には、IPSモードのように液晶層などを挟持する2枚の基板(基材)のうち、一方の基材にのみ電極が形成されている液晶表示素子についても、電極を有していない基材及び基材表面に形成された各種膜が液晶表示素子の電気特性に影響を及ぼすことがあるため、本発明のIn-Cell型積層偏光子を設けることにより駆動特性や表示性能の向上という効果を得
ることができる可能性がある。
中でも、本発明のIn-Cell型積層偏光子は、例えば上述の図1に示すように、液晶材料
を電界効果により駆動させる電極よりも内側に配置される構成(即ち、本発明のIn-Cell
型積層偏光子にも電界が印加される構成)の液晶表示素子に適用した場合に、電荷保持特性(電圧保持率)の向上が得られる可能性がある。特に、ツイストネマティック(TN)モードや垂直配向(VA)モードなど、基板間でコモン電極とアドレス電極の両電極が対向するよう配置された液晶表示素子において有用な可能性があるが、インプレーンスイッチング(IPS)モードのように、同一基板上に両電極が配置されている場合にも有用な可能性がある。
また、本発明のIn-Cell型積層偏光子上に電極が形成される場合においても、電荷保持
特性(電圧保持率)を低下させる不純物の液晶層への溶出を低減できる可能性があるため有用である。
かくして、本発明の樹脂組成物を用いて形成されたオーバーコート層を有するIn-Cell
型積層偏光子は、膜厚の問題を生じることなく、且つ、オーバーコート層の形成時に異方性色素膜の破壊を伴うこともなく、結果、異方性色素膜が、例えば、好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、特に好ましくは15以上の高い二色比などの異方性を有すると共に、光学素子としての耐水性や耐湿性等にも優れ、液晶表示素子として広範な用途への応用が期待される。
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、以下の実施例中、オーバーコート層、及び、異方性色素膜に接してオーバーコート層が積層された素子の評価は下記の通り実施した。
<偏光度・透過率及びコントラスト>
大塚電子製偏光測定装置(RETS-100) を用いて評価した。
<接触角の測定>
JIS規格(R3257)に基づき、室温(26℃)、湿度55%環境中で、蒸留水又は
n−メチルピロリドン(NMP)3μlを滴下し、50秒後の接触角を測定した。
<耐溶剤性>
蒸留水又はNMPを、硬化膜に滴下後5分間保持し、色素膜中への溶媒侵触、色素溶出を
目視で確認し、以下の基準で評価した。
A:溶剤中への色素の溶出はなし。保護膜表面の荒れなし
B:溶剤中への色素の溶出はなし。保護膜表面の荒れ若干あり
C:溶剤中への色素の溶出はなし。保護膜表面の荒れあり
D:溶剤中への色素の溶出あり
<合成例1:側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂(b−2)の合成>
Figure 2014206681
上記構造のエポキシ化合物(エポキシ当量264)50g、アクリル酸13.65g、メトキシブチルアセテート60.5g、トリフェニルホスフィン0.936g、及びパラメトキシフェノール0.032gを、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら90℃で酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。反応には12時間を要し、エポキシアクリレート溶液を得た。
上記エポキシアクリレート溶液25重量部及び、トリメチロールプロパン(TMP)0.76重量部、ビフェニルテトラカルボン酸2無水物(BPDA)3.3重量部、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)3.5重量部を、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら105℃までゆっくり昇温し反応させた。
樹脂溶液が透明になったところで、メトキシブチルアセテートで希釈し、固形分50重量%となるよう調製して、酸価115mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)2600の樹脂b−2を得た。これは本明細書の樹脂(B1−2)に相当する。
<実施例1〜3及び比較例1〜2>
(樹脂組成物の製造)
表−1に示す各成分を表−1に示す固形分比となるように混合し、固形分濃度が15重量%となるようプロピレングリコールメチルエーテルアセテートで調整し、実施例1〜3及び比較例1〜2の樹脂組成物を作成した。
尚、表中の各成分は、以下に記載の通りである。
・光重合性モノマー a−1:
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学(株)製)
・樹脂 b−1:
日本化薬(株)製 ZAR1035(エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−1)に
該当。ビスフェノールA型エポキシ樹脂にアクリル酸を付加し、更にコハク酸無水物を付加した樹脂。分子量13,000、酸価 約100)
・樹脂 b−2:合成例1で得られた樹脂
・光重合開始剤 c−1:
BASF(株)製 IRGACURE907
・フッ素系界面活性剤:
DIC(株)製 RS−72−K(重合性基を有するフッ素系界面活性剤)
Figure 2014206681
<評価>
厚さ1.1mm光学ガラス上に配向膜としてポリイミド(日立化成社製 商品名:LX
1400)を塗布、280℃で焼成し膜厚60nmとし、色素配向のため一方向にラビング処理を施した膜面上に、室温25℃、湿度60%の環境中で、水溶性液晶色素( 前記式(23)) をギャップ2um,幅5cmのアプリケータで塗布、自然乾燥させた。別途断面
SEMで、この膜厚を確認したところ300nmであった。次にスピンコート実施のため、サンプルは3cm角に切り出した。
切り出したサンプルをスピンコーターに設置し、準備した実施例1〜3及び比較例1及び2の各溶液を約0.5cc滴下した後、ポストベーク後の膜厚が400nmとなるように回転数を調整し、10秒のコート条件で塗布した。その後、プリベークとして、ホットプレート上で90℃、90秒間加熱した。プリベーク後のサンプルを、照射光量300mJでUV照射し硬化させた。さらにポストベークとして、180℃30分間恒温槽内で保持し、完全に硬化させ、異方性色素膜上にオーバーコート層が形成された各サンプルを作成した。
各サンプルのオーバーコート層と水又はNMPとの接触角、各サンプルに水又はNMPを滴下前後の偏光度、透過率、コントラストを評価し、結果を表−2〜表−4に示した。
Figure 2014206681
Figure 2014206681
Figure 2014206681
比較例1及び2においては水又はNMP滴下前後で、偏光度、透過率、コントラスト等の光学特性が低下しているのに対して、実施例1〜3においては、偏光度、透過率、コントラストの光学特性の低下はほとんど認められなかった。また、実施例1〜3の樹脂組成物は、水及びNMPに対する耐性も良好であった。
1 AR(AG)フィルム
2 光学補償フィルム
3 カラーフィルタ付き基板
4 ITO電極
5 In-Cell型偏光子
6 スペーサ
7 液晶層
8 TFT,ITO電極
9 基板
10 輝度向上フィルム
11 プリズムシート
12 拡散板
13 導光板
14 光源
15 バックライトユニット

Claims (9)

  1. リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜であり、かつ、In-Cell型偏光子として用いられる該異方性色素膜に接して形成されるオーバーコ
    ート層形成用樹脂組成物であって、該樹脂組成物が、(A)光重合性モノマー、(B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂、及び、(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であることを特徴とするIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。
  2. (B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂が、
    (B1−1)エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、又は、
    (B1−2) エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコール、並びに、多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、
    である請求項1に記載のIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。
  3. (B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂が、構造中に脂環式炭化水素骨格を有する請求項1又は2に記載のIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。
  4. (B)側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂に対する(A)光重合性モノマーの割合(重量比)が、0.5〜2である請求項1〜3の何れか1項に記載のIn-Cell型偏光子の
    オーバーコート層形成用樹脂組成物。
  5. 更に、フッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のIn-Cell型偏光子のオーバーコート層形成用樹脂組成物。
  6. フッ素系界面活性剤が重合性基を有する請求項5に記載のIn-Cell型偏光子のオーバー
    コート層形成用樹脂組成物。
  7. リオトロピック液晶性色素を用いて湿式成膜法により形成される異方性色素膜に接してオーバーコート層が形成されてなるIn-Cell型積層偏光子であって、該オーバーコート層
    が請求項1〜6の何れか1項に記載のオーバーコート層形成用樹脂組成物を光硬化してなるものであるIn-Cell型積層偏光子。
  8. オーバーコート層の膜厚(d)が20nm以上2000nm以下である請求項7に記載のIn-Cell型積層偏光子。
  9. 請求項7〜8の何れか1項に記載のIn-Cell型積層偏光子を備えてなる液晶表示素子。
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