この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
実施の形態1.
図1から図12は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1はエレベータ装置の乗場の平面図、図2は乗りかごの停止可能階/不停止階の一例を説明する図、図3は乗りかごに設けられる操作盤の正面図、図4は階間走行時間を説明する図、図5は平均階間走行時間の一例を説明する図、図6は最適経路の決定に係る要素を説明する図、図7は最適経路の決定及び案内に係る処理を示すフロー図、図8は乗り換えを加味した最適経路の決定処理を示すフロー図、図9は乗り過ごしを加味した最適経路の決定処理を示すフロー図、図10は最適経路の決定の第1の例を説明する図、図11は最適経路の決定の第2の例を説明する図、図12は最適経路の決定の第3の例を説明する図である。
図1において、エレベータは、複数の乗りかご5を備えている。複数の乗りかご5は、複数のバンク(群)に区分されている。換言すると、複数の乗りかご5のそれぞれは、複数のバンクのいずれか1つに属している。ここでは、複数の乗りかご5は、第1のバンク1、第2のバンク2、第3のバンク3及び第4のバンク4の4つのバンクに区分されている。
第1のバンク1には、1a号機及び1b号機の2台の乗りかご5が属している。第2のバンク2には、2a号機、2b号機、2c号機及び2d号機の4台の乗りかご5が属している。第3のバンク3には、3a号機、3b号機、3c号機及び3d号機の4台の乗りかご5が属している。そして、第4のバンク4には、4a号機、4b号機、4c号機及び4d号機の4台の乗りかご5が属している。
これらのバンクに属する乗りかご5は、それぞれのバンク毎に異なる停止可能階が設定されている。各バンクの乗りかご5の停止可能階の具体例を、図2に示す。まず、ここでは、エレベータは、建物の1階から30階にわたって利用者等を運搬する。第1のバンク1は、全階行きエレベータバンクである。すなわち、第1のバンク1に属する1a号機及び1b号機の2台の乗りかご5は、1階から30階までの全ての階床が停止可能階として設定されている。
第2のバンク2は、低層階行きエレベータバンクである。すなわち、第2のバンク2に属する2a号機〜2d号機の4台の乗りかご5は、1階から10階までの各階床が停止可能階として設定されている。第2のバンク2に属する乗りかご5は、11階から30階までには停まらない。
第3のバンク3は、中間階行きエレベータバンクである。すなわち、第3のバンク3に属する3a号機〜3d号機の4台の乗りかご5は、1階及び10階から20階までの各階床が停止可能階として設定されている。第3のバンク3に属する乗りかご5は、2階から9階までと21階から30階までには停まらない。
第4のバンク4は、高層階行きエレベータバンクである。すなわち、第4のバンク4に属する4a号機〜4d号機の4台の乗りかご5は、1階、10階及び20階から30階までの各階床が停止可能階として設定されている。第4のバンク4に属する乗りかご5は、2階から9階までと11階から19階までには停まらない。
再び図1に戻ると、複数の乗りかご5のうちの少なくとも1つが停止可能である階床には、利用者が乗りかご5に乗り降りするための乗場6が設けられている。乗場6へと通じる通路7の、乗場6への侵入部付近には、行先階表示器8が設置されている。行先階表示器8は、各バンクの行先階(停止可能階)を利用者に対して案内するためのものである。すなわち、第1のバンク1の近傍に設けられた行先階表示器8には、第1のバンク1の乗りかご5の停止可能階である例えば「1−30階」等の表示がなされる。
また、第2のバンク2の近傍に設けられた行先階表示器8には、第2のバンク2の乗りかご5の停止可能階である例えば「1−10階」等の表示がなされる。第3のバンク3の近傍に設けられた行先階表示器8には、第3のバンク3の乗りかご5の停止可能階である例えば「1・10−20階」等の表示がなされる。そして、第4のバンク4の近傍に設けられた行先階表示器8には、第4のバンク4の乗りかご5の停止可能階である例えば「1・10・20−30階」等の表示がなされる。
各バンク(第1のバンク1、第2のバンク2、第3のバンク3及び第4のバンク4)に属するそれぞれの乗りかご5内には、操作盤9が設置されている。この操作盤9を図3に示す。
操作盤9は、利用者が所望する行先階への呼びを登録するための行先階ボタン10が設けられている。行先階ボタン10は、行先階として選択可能である全ての階床のそれぞれに対応して1つずつ設けられたボタンの集合である。ここでは、行先階ボタン10は、1階から30階までの各階床に対応して設けられた30個のボタンからなる。
この行先階ボタン10は、当該行先階ボタン10が設けられる乗りかご5の属するバンクに関わらず共通である。換言すれば、第1のバンク1から第4のバンク4までの全てのバンクに属する全ての乗りかご5に設けられた行先階ボタン10は、図3に示すように1階から30階までの各階床に対応するボタンの全てを備えている。
したがって、第2のバンク2、第3のバンク3及び第4のバンク4に属する乗りかご5に設けられた行先階ボタン10は、当該行先階ボタン10が設けられた乗りかご5の停止可能階として設定されていない不停止階に対応したボタンを含んでいる。具体的には、第2のバンク2に属する乗りかご5の行先階ボタン10には、第2のバンク2に属する乗りかご5の不停止階である11階から30階までの各階床に対応するボタンも設けられている。
また、第3のバンク3に属する乗りかご5の行先階ボタン10には、第3のバンク3に属する乗りかご5の不停止階である2階から9階までと21階から30階までの各階床に対応するボタンも設けられている。そして、第4のバンク4に属する乗りかご5の行先階ボタン10には、第4のバンク4に属する乗りかご5の不停止階である2階から9階までと11階から19階までの各階床に対応するボタンも設けられている。
それぞれの乗りかご5の操作盤9には、当該乗りかご5の利用者に案内情報を報知するための案内装置11が設けられている。案内装置11は、例えばオートアナウンススピーカを備える。案内装置11は、当該案内装置11が設けられた乗りかご5(自かご)の不停止階の行先階ボタン10が操作された場合に、他の乗りかご5を用いて現在の停止階(以下「出発階」)から当該不停止階(以下「目的階」)へと到達可能な最適経路をオートアナウンススピーカから利用者に案内する。
案内装置11は、エレベータの各バンク(第1のバンク1、第2のバンク2、第3のバンク3及び第4のバンク4)に属する乗りかご5の運行を制御する図示しない制御盤と、ケーブル等により通信可能に接続されている。そして、ある乗りかご5において不停止階の行先階ボタン10が操作されると、制御盤は、各バンクの停止可能階に基づいて他の乗りかご5を用いて出発階から目的階へと到達可能な経路を抽出し、抽出された経路のうちから最適経路を決定する。
この案内装置11により利用者に案内される出発階から目的階へと到達可能な最適経路の決定方法について次に説明する。この最適経路は、原則として、出発階から目的階までの到着予想時間に基づいて決定される。この到着予想時間は、乗りかご5の平均階間走行時間を用いて計算される。この平均階間走行時間について、図4及び図5を参照しながら説明する。
図4は、乗りかご5の階間走行時間を説明する図である。まず、1階から2階へと1階分だけ走行する場合、乗りかご5は1階を出発してから2秒間で最高走行速度にまで加速した後、直ちに減速し、減速開始後2秒間で2階に停止する。したがって、1階分だけ走行する場合、加速に2秒、減速に2秒の計4秒間が必要となる。
次に、1階から3階へと2階分だけ走行する場合、乗りかご5は1階を出発してから2秒間で最高走行速度にまで加速し、2秒間最高走行速度で巡行した後、2秒間で減速して3階に停止する。したがって、2階分だけ走行する場合、加速に2秒、巡行に2秒、減速に2秒の計6秒間が必要となる。
このようにして考えていくと、1階から(n+1)階へとn階分だけ走行する場合、加速に2秒、巡行に2(n−1)秒、減速に2秒の計2(n+1)秒間が必要となる。したがって、1階分走行するのに必要な平均時間は2(n+1)/n秒となる。
以上の考察から、ここでは、第1のバンク1及び第2のバンク2に属する乗りかご5の1階分の平均走行時間は2(n+1)/n秒とする。なお、一般的なエレベータにおいては、走行距離が長くなるほど走行速度も速くなる傾向がある。そこで、第1のバンク1及び第2のバンク2より走行距離の長い第3のバンク3に属する乗りかご5の1階分の平均走行時間は1.5(n+1)/n秒とする(係数を「2」から「1.5」にする)。また、さらに走行距離の長い第4のバンク4に属する乗りかご5の1階分の平均走行時間は(n+1)/n秒とする(係数を「1」とする)。
このようにして求めた各バンクの1階分の平均走行時間は、出発階から到着階まで途中で一度も停止することなく(ノンストップで)走行した場合のものである。ところが、実際には、乗りかご5は途中の階で何度が停止しながら走行することになる。そこで、このような途中停止の影響も考慮に入れた平均的な1階分の平均走行時間(これを「平均階間走行時間」という)について、図5を参照しながら説明する。
乗りかご5が、出発階から到着階までの途中で停止する頻度は、エレベータの運行状況、特に混雑状況に大きく左右される。そこで、ここでは、エレベータの運行状況を、「閑散時」、「平常時」及び「混雑時」の3つの場合に区分けして考える。「閑散時」とは、エレベータの利用者が比較的少ない状況であり、この場合の停止頻度は10%とする。この「閑散時」の具体的な例としては午前中が挙げられる。
「平常時」とは、エレベータの利用者数が概ね平均的である状況であり、この場合の停止頻度は30%とする。この「平常時」の具体的な例としては、当該建物内に入居している事務所等での移動が大半となる事務所内作業時が挙げられる。「混雑時」とは、エレベータの利用者が「平常時」と比較して多い状況であり、この場合の停止頻度は50%とする。この「混雑時」の具体的な例としては出退勤時間帯が挙げられる。
図5は、このように仮定した条件の下での各状況において、各バンクの乗りかご5の1階分の平均走行時間、すなわち、途中で停止する頻度を加味した平均階間走行時間を表形式でまとめたものである。この図5に示すように、まず、第1のバンク1及び第2のバンク2に属する乗りかご5については、閑散時の平均階間走行時間は2.4秒、平常時の平均階間走行時間は2.8秒、そして、混雑時の平均階間走行時間は3.3秒となる。
次に、第3のバンク3に属する乗りかご5については、閑散時の平均階間走行時間は1.8秒、平常時の平均階間走行時間は2.2秒、そして、混雑時の平均階間走行時間は2.5秒となる。最後に、第4のバンク4に属する乗りかご5については、閑散時の平均階間走行時間は1.2秒、平常時の平均階間走行時間は1.4秒、そして、混雑時の平均階間走行時間は1.6秒となる。
図示しない制御盤は、このようにして求めた平均階間走行時間を用いて、出発階から目的階までの到着予想時間を計算する。そして、制御盤は、抽出した出発階から目的階まで到達可能な経路毎の到着予想時間に基づいて、これらの経路のうちから最適経路を決定する。
ここで、この最適経路には、大きく分けて2種類が存在する。1つは最短時間経路であり、もう1つは高齢者用最適経路である。最短時間経路は、出発階から目的階までの到着予想時間が最短となる経路である。一方、高齢者用最適経路は、到着予想時間に、乗り換えや逆走等の高齢者にとって難易度の高い(好ましくない)移動手法の有無を加味して決定される経路である。
再び図3に戻ると、操作盤9には、当該操作盤9の行先階ボタン10を操作した利用者を撮影するカメラ12が設けられている。このカメラ12は、撮影した利用者の画像に基づいて、当該利用者が高齢者であるか否かを判別する。すなわち、カメラ12は、操作盤9に設けられた不停止階の行先階ボタン10を操作した利用者が高齢者であるか否かを判別する機能を有している。なお、カメラ12で撮影した利用者の画像を制御盤に送信し、制御盤において画像内の利用者が高齢者であるか否かを判別するようにしてもよい。
制御盤は、不停止階の行先階ボタン10を操作した利用者が高齢者でない場合には、前述した最短時間経路を、最適経路(すなわち、案内装置11により案内する経路)に決定する。一方、不停止階の行先階ボタン10を操作した利用者が高齢者である場合には、制御盤は、前述した高齢者用最適経路を最適経路に決定する。
次に、高齢者用最適経路の決定方法について説明する。図6は、高齢者用最適経路の決定の際に考慮する要素を示すものである。高齢者用最適経路の決定に関わる要素には、(A)目的階までの乗り換えの有無、(B)目的階までの到着予想時間、(C)目的階までの逆走の有無、及び、(D)目的階を乗り越した際のロスがある。
(A)目的階までの乗り換えの有無は、目的階に到達するために他の乗りかご5への乗り換えが必要か否かというものである。目的階に到達するために、出発階において他の乗りかご5に乗り換えることが必要な場合、次に述べる(B)目的階までの到着予想時間に15秒のペナルティが加算される。
また、目的階に到達するために、途中の階で他の乗りかご5に乗り換えることが必要な場合、すなわち、一旦乗りかご5に乗り走行した後に乗り換えることが必要な場合は20秒のペナルティが加算される。この場合、乗り換えを後回しにしなくてはならず、他のことに気をとられて乗り換えを忘れてしまう心配があるため、高齢者にとっては好ましくなく、高いペナルティが与えられる。なお、途中の階での乗り換えが必要な場合、乗換階において、再度、案内装置11から案内を行うことが望ましい。
一方、目的階に到達するために他の乗りかご5への乗り換えが必要ない場合、この経路は高齢者に優しく好ましい経路といえる。したがって、この場合、(A)目的階までの乗り換えの有無によるペナルティはなく、加算はない(0秒が加算される)。
(B)目的階までの到着予想時間は、前述した各バンクに属する乗りかご5の平均階間走行時間(図5)に、出発階から目的階までの階間数を乗じることにより算出される。出発階から目的階までの一部の区間においてのみ利用される乗りかご5(バンク)については、各バンクにつき当該区間分だけを平均階間走行時間を乗じた上で、これらの総和を求めることで到着予想時間が算出される。
(C)目的階までの逆走の有無は、目的階に到達するために当該目的階とは逆方向の乗りかご5の利用が必要か否かというものである。例えば、目的階が出発階より上にあるにもかかわらず、途中で下降する乗りかご5を利用する必要がある場合、不慣れな高齢者にとっては直感的に理解し難い複雑な経路となるため、(B)目的階までの到着予想時間に5秒のペナルティが加算される。
同様に、例えば、目的階が出発階より下にあるにもかかわらず、途中で上昇する乗りかご5を利用する必要がある場合も5秒のペナルティが加算される。なお、逆走する(逆方向の)乗りかご5への乗り換えが必要な場合、乗換階において、再度、案内装置11からその旨を案内することが望ましい。
(D)目的階を乗り越した際のロスは、目的階を乗り越した(乗り過ごした)場合の復帰の困難さを考慮するものである。高齢者である利用者が目的階で降り忘れて目的階を乗り過ごしてしまった場合、目的階へと戻るために必要な時間を算出し、この算出した時間をペナルティとして加算する。
具体的に、例えば1階から5階へと行く経路を考える。1階と5階が停止可能階であるバンクは、第1のバンク1と第2のバンク2の2つある。ところが、第1のバンク1は30階までサービスしているため、5階で降り忘れてしまった場合に最悪の場合30階まで行ってしまう。したがって、この場合の乗り過ごしによる最大ロス時間は、30階から5階にまで戻ってくるのに必要な時間である。この復帰に必要な時間は、当該バンクの平均階間走行時間に階間数を乗じることで算出することができる。
一方、第2のバンク2は10階までしかサービスしていないため、5階で降り忘れてしまった場合でも10階まで行けば止まる。したがって、この場合の乗り過ごしによる最大ロス時間は、10階から5階にまで戻ってくるのに必要な時間である。よって、1階から5階へと行く経路においては、第1のバンク1の方が、目的階を乗り越した際のロスが大きく目的階を乗り過ごした場合の復帰がより困難である。逆に、第2のバンク2の方が、目的階を乗り越した際のロスが小さく目的階を乗り過ごした場合の復帰がより簡単である。
このようにして、(D)目的階を乗り越した際のロスを評価することにより、高齢者である利用者が目的階で降り忘れて目的階を乗り過ごしてしまったとしても、目的階まで戻るのが大変な経路が選択されてしまうことを回避することができる。
なお、この(D)目的階を乗り越した際のロスは、高齢者用最適経路の決定において常に考慮する必要はない。通常は(A)〜(C)の要素によって高齢者用最適経路を決定し、(A)〜(C)の要素による評価値が同点となる経路が複数あった場合に、これらの経路について(D)を評価して、高齢者用最適経路としての優劣を決定する。
このように、高齢者用最適経路は、目的階までの到着予想時間(B)に、目的階に到達するために他の乗りかごへの乗り換えが必要か否か(A)と、目的階に到達するために当該目的階とは逆方向の乗りかごの利用が必要か否か(C)とを加味して決定される。また、必要に応じて、さらに、目的階を乗り過ごした場合の復帰の困難さ(D)も加味して決定される。なお、最短時間経路は、目的階までの到着予想時間(B)のみを考慮して決定される。
以上で説明したような制御盤における高齢者用最適経路の決定及び案内装置11からの案内に係る動作について、図7から図9のフロー図を参照しながら今一度説明する。図7に、高齢者用最適経路の決定及び案内に係る基本的な動作を示す。
この図7において、まず、利用者がいずれかの乗りかご5に乗り込み、当該乗りかご5の操作盤9に設けられた行先階ボタン10を操作すると(ステップS001)、ステップS002において、制御盤は、当該利用者が乗った乗りかご5のバンクは、目的階(すなわち、ステップS001において利用者が操作した行先階ボタン10の階床)が停止可能階として設定されているか否かを確認する。
目的階が停止可能階である場合には、ステップS003へと進む。このステップS003においては、制御盤は、利用者が乗った乗りかご5の目的階までの到着予想時間(B)が、他の乗りかご5の目的階までの到着予想時間(B)に15秒を加算したものより小さいか否かを確認する。なお、この15秒は、目的階までの乗り換えの有無(A)における出発階での乗り換えが必要な場合のペナルティに相当する。
ステップS003において、利用者が乗った乗りかご5のBが他の乗りかご5のB+15より小さい場合は、ステップS004へと進む。そして、このステップS004において、利用者が乗った乗りかご5が目的階へと走行することで、一連の動作は終了となる。
一方、ステップS002において目的階が停止可能階でない場合、及び、ステップS003において利用者が乗った乗りかご5のBが他の乗りかご5のB+15以上であった場合は、ステップS005へと進む。このステップS005においては、制御盤は、目的階へと到達可能な経路のうち、評価値が最小である経路を最適経路に決定する。案内装置11は、この決定された最適経路に従って、利用者に搭乗する乗りかご5と乗換階及び乗り換え先の乗りかご5をアナウンスする。
そして、ステップS006へと進み、利用者は、乗換階において乗り換えた乗りかご5に設けられた操作盤9の目的階の行先階ボタン10を操作する。このステップS005の後はステップS004へと進み、利用者が乗った乗りかご5が目的階へと走行することで、一連の動作は終了となる。
次に、図8を参照しながら、高齢者用最適経路の決定において、前述した(A)目的階までの乗り換えの有無を加味する処理を説明する。まず、図8のステップS101において、制御盤は、目的階まで到達可能な経路として抽出された経路のそれぞれについて、乗り換えが必要な経路であるか否かを確認する。
抽出された当該経路において乗り換えがない場合には、ステップS102へと進む。このステップS102においては、評価値へのペナルティ加算は無し(A=0)となる。そして、一連の処理は終了となる。
一方、ステップS101において抽出された当該経路において乗り換えがある場合は、ステップS103へと進む。このステップS103においては、制御盤は、当該経路における乗り換えは出発階ですぐに必要になるものか否か、すなわち、乗換階と出発階とが同じであるか否かを確認する。
乗換階と出発階とが同じである場合にはステップS104へと進む。この、ステップS104においては、評価値に対して15秒のペナルティが加算される(A=15)。そして、一連の処理は終了となる。
一方、乗換階と出発階とが同じでない場合にはステップS105へと進む。この、ステップS105においては、評価値に対して20秒のペナルティが加算される(A=20)。そして、一連の処理は終了となる。
次に、図9を参照しながら、高齢者用最適経路の決定において、前述した(D)目的階を乗り越した際のロスを考慮する処理を説明する。目的階まで到達可能な経路として抽出された経路の中に、評価値が同点である経路が複数あった場合(ステップS201)、ステップS202へと進む。
このステップS202においては、制御盤は、まず、評価値が同点である経路のそれぞれについて乗り過ごした場合の最大ロス時間を計算する。次に、計算した最大ロス時間を、それぞれの経路の評価値に加算する。そして、一連の処理は終了となる。なお、この図9の処理の後は、制御盤は、改めて各経路の評価値を比較して評価値が最小の経路を高齢者用最適経路に決定する。
以上のように構成されたエレベータ装置における高齢者用最適経路の決定について、次にいくつかの具体例を挙げて説明する。図10は、その第1の例で、出発階:1階、目的階:5階とした場合である。
まず、閑散時において1階から5階へと行く場合について説明する。第1のバンク1は5階が停止可能階であるため、(B)目的階までの到着予想時間は9.6秒であり、(A)目的階までの乗り換えの有無及び(C)目的階までの逆走の有無はともに0である。よって、第1のバンク1について(A)〜(C)の評価点の合計は9.6秒となる。
利用者が1階に停止中の第1のバンク1の乗りかご5に乗り込み、操作盤9の行先階ボタン10の「5階」を操作した場合、図10から分かるように、第1のバンク1のBは、他のバンクのB+15よりも小である。したがって、図7のステップS003からステップS004に進み、すなわち、この第1のバンク1で目的階まで行く経路が高齢者用最適経路に決定される。
第2のバンク2も第1のバンク1と同様に5階が停止可能階であるため、(B)目的階までの到着予想時間は9.6秒であり、(A)目的階までの乗り換えの有無及び(C)目的階までの逆走の有無はともに0である。よって、第2のバンク2について(A)〜(C)の評価点の合計は9.6秒となる。
利用者が1階に停止中の第2のバンク2の乗りかご5に乗り込み、操作盤9の行先階ボタン10の「5階」を操作した場合、図10から分かるように、第2のバンク2のBは、他のバンクのB+15よりも小である。したがって、図7のステップS003からステップS004に進み、すなわち、この第2のバンク2で目的階まで行く経路が高齢者用最適経路に決定される。
第3のバンク3及び第4のバンク4については、いずれも5階は停止可能階ではない。そこで、出発階の1階において第1のバンク1又は第2のバンク2のいずれかに乗り換えて5階へと向かう経路が目的階である5階に到達可能な経路となる。したがって、第3のバンク3及び第4のバンク4から第1のバンク1又は第2のバンク2のいずれかに乗り換えて5階へと向かう経路においては、出発階での乗り換えが必要なため、(A)目的階までの乗り換えの有無によるペナルティが15秒加算される。なお、(B)目的階までの到着予想時間は9.6秒、(C)目的階までの逆走の有無は0である。
利用者が1階に停止中の第3のバンク3又は第4のバンク4の乗りかご5に乗り込み、操作盤9の行先階ボタン10の「5階」を操作した場合、図10から分かるように、第1のバンク1に乗り換える経路と第2のバンク2に乗り換える経路のいずれも(A)〜(C)の評価点の合計は24.6秒となり同点である。
そこで、この場合には、さらに(D)目的階を乗り越した際のロスを考慮して高齢者用最適経路を決定する。第1のバンク1に乗り換えた場合、5階を乗り過ごしてしまうと最大で30階から5階へと戻らねばならないため、最大ロスは60秒となる。これに対し、第2のバンク2に乗り換えた場合、5階を乗り過ごしてしまった際でも10階で乗りかご5は止まるため最大ロスは12秒となる。
したがって、利用者が1階に停止中の第3のバンク3又は第4のバンク4の乗りかご5に乗り込み、操作盤9の行先階ボタン10の「5階」を操作した場合、(D)目的階を乗り越した際のロスがより小さい第2のバンク2へと出発階で乗り換えて5階へと向かう経路が高齢者用最適経路に決定されることになる。
なお、以上は、閑散時における評価点計算に基づいた最適経路の決定について説明したが、平常時及び混雑時においても(B)目的階までの到着予想時間の値が異なるだけで、各バンクの行先階ボタン10を操作した場合に選択される最適経路は閑散時の場合と同じになる。なお、平常時における各経路の(B)目的階までの到着予想時間は11.2秒、混雑時における各経路の(B)目的階までの到着予想時間は13.2秒である。
次に、図11は、高齢者用最適経路の決定についての第2の例で、出発階:1階、目的階:11階とした場合の例である。第1のバンク1は11階が停止可能階であり、(B)目的階までの到着予想時間は閑散時で24秒、平常時及び混雑時でそれぞれ28秒と33秒である。また、(A)目的階までの乗り換えの有無及び(C)目的階までの逆走の有無はともに0である。よって、第1のバンク1について(A)〜(C)の評価点の合計は閑散時で24秒、平常時で28秒、混雑時で33秒となる。
ここで、目的階である11階は第3のバンク3の停止可能階である。そこで、出発階である1階において第1のバンク1から第3のバンク3へと乗り換えて11階へと向かう経路も存在する。この経路においては、出発階である1階での乗り換えが必要なため、(A)目的階までの乗り換えの有無によるペナルティが15秒加算される。また、第3のバンク3で1階から11階まで走行するため(B)目的階までの到着予想時間は、閑散時で16.8秒、平常時で17.2秒、混雑時で17.5秒となる。逆走はないため(C)目的階までの逆走の有無は0である。
利用者が1階に停止中の第1のバンク1の乗りかご5に乗り込み、操作盤9の行先階ボタン10の「11階」を操作した場合、図11から分かるように、閑散時及び平常時においては、第1のバンク1のBは、他のバンクのB+15よりも小である。したがって、図7のステップS003からステップS004に進み、すなわち、この第1のバンク1で目的階まで行く経路が高齢者用最適経路に決定される。
一方、混雑時においては、第1のバンク1のBは33であるのに対し、第3のバンク3のB+15は32.5となる。すなわち、第1のバンク1のBは、他のバンクのB+15よりも小でないため、図7のステップS003からステップS005に進む。そして、出発階において第1のバンク1から第3のバンク3へと乗り換えて目的階へと向かう経路が高齢者用最適経路に決定される。
第2のバンク2は11階に停止しない。したがって、利用者が1階に停止中の第2のバンク2の乗りかご5に乗り込み、操作盤9の行先階ボタン10の「11階」を操作した場合、11階が停止可能階である第1のバンク1及び第3のバンク3のいずれかへの乗り換えが必要となる。
第2のバンク2から第1のバンク1への乗り換えは、1階から10階のいずれの階床でも可能であるが、出発階である1階以外で乗り換えた場合、(A)目的階までの乗り換えの有無によるペナルティが20秒となる。1階から10階のいずれの階床で乗り換えたとしても(B)目的階までの到着予想時間は変わらない。したがって、最適経路の決定においては、出発階である1階での乗り換えのみを考慮すればよいことになる。
そうすると、第2のバンク2から第1のバンク1へと乗り換える場合と、第2のバンク2から第3のバンク3へと乗り換える場合のいずれの場合も(A)目的階までの乗り換えの有無によるペナルティは15秒である。そして、(B)目的階までの到着予想時間は第1のバンク1を利用する場合よりも第3のバンク3を利用する場合の方が小さい。
したがって、閑散時、平常時及び混雑時のいずれにおいても、利用者が1階に停止中の第2のバンク2の乗りかご5に乗り込み、操作盤9の行先階ボタン10の「11階」を操作した場合、高齢者用最適経路は、出発階で第3のバンク3に乗り換えて目的階へと向かう経路に決定される。
第3のバンク3は11階が停止可能階として設定されている。図11から分かるように、第3のバンク3のみを利用して11階へと向かう経路のBは、他の経路のB+15よりも小である。したがって、利用者が1階に停止中の第3のバンク3の乗りかご5に乗り込み、操作盤9の行先階ボタン10の「11階」を操作した場合、図7のステップS003からステップS004に進み、すなわち、この第3のバンク3で目的階まで行く経路が高齢者用最適経路に決定される。
第4のバンク4は11階に停止しない。したがって、利用者が1階に停止中の第4のバンク4の乗りかご5に乗り込み、操作盤9の行先階ボタン10の「11階」を操作した場合、11階が停止可能階である第1のバンク1及び第3のバンク3のいずれかへの乗り換えが必要となる。
ここで、先ほどの第2のバンク2での結果をみると、各階に停止する第1のバンク1を利用するよりも第3のバンク3を利用した方が評価点は小さくなると判断することができる。ただし、第4のバンク4から第3のバンク3への乗り換えは1階と10階で可能である。
そこで、第4のバンク4から第3のバンク3へと、出発階である1階で乗り換えた場合と、途中の10階で乗り換えた場合の評価点を比較したものが図11に示されている。このように、閑散時、平常時及び混雑時のいずれにおいても、10階まで第4のバンク4を利用して10階で第3のバンク3に乗り換える経路の方が、1階から11階まで第3のバンク3を利用して行く経路と比べて(B)目的階までの到着予想時間が5秒短い。
しかしながら、出発階である1階で乗り換える経路は(A)目的階までの乗り換えの有無によるペナルティが15秒となる一方、10階で乗り換える経路は(A)目的階までの乗り換えの有無によるペナルティが20秒となる。したがって、(A)〜(C)の合計でみると、(A)と(B)の差が相殺されて1階と10階のいずれで乗り換える経路とも評価値は同点となる。
また、この場合、最終的に目的階に到着するのはいずれも第3のバンク3であるので、(D)目的階を乗り越した際のロスを考慮したとしても評価に差が出ない状況は変わらない。このような場合には、より高齢者に優しい経路を選択することを原則とし、(A)目的階までの乗り換えの有無によるペナルティがより小さい方の経路、具体的には出発階である1階で乗り換える経路を高齢者用最適経路に決定する。
最後に、図12は、高齢者用最適経路の決定についての第3の例で、出発階:1階、目的階:19階とした場合の例である。第1のバンク1は19階が停止可能階であり、(B)目的階までの到着予想時間は閑散時で43.2秒、平常時及び混雑時でそれぞれ50.4秒と59.4秒である。また、(A)目的階までの乗り換えの有無及び(C)目的階までの逆走の有無はともに0である。よって、第1のバンク1について(A)〜(C)の評価点の合計は閑散時で43.2秒、平常時で50.4秒、混雑時で59.4秒となる。
ここで、目的階である19階は第3のバンク3の停止可能階である。そこで、出発階である1階において第1のバンク1から第3のバンク3へと乗り換えて19階へと向かう経路も存在する。この経路においては、出発階である1階での乗り換えが必要なため、(A)目的階までの乗り換えの有無によるペナルティが15秒加算される。また、第3のバンク3で1階から19階まで走行するため(B)目的階までの到着予想時間は、閑散時で31.2秒、平常時で34.8秒、混雑時で37.5秒となる。逆走はないため(C)目的階までの逆走の有無は0である。
利用者が1階に停止中の第1のバンク1の乗りかご5に乗り込み、操作盤9の行先階ボタン10の「19階」を操作した場合、図12から分かるように、閑散時においては、第1のバンク1のBは、他のバンクのB+15よりも小である。したがって、図7のステップS003からステップS004に進み、すなわち、この第1のバンク1で目的階まで行く経路が高齢者用最適経路に決定される。
一方、平常時及び混雑時においては、第1のバンク1のBはそれぞれ50.4及び59.4であるのに対し、第3のバンク3のB+15はそれぞれ34.8及び37.5である。すなわち、第1のバンク1のBは、他のバンクのB+15よりも小でないため、図7のステップS003からステップS005に進む。そして、出発階において第1のバンク1から第3のバンク3へと乗り換えて目的階へと向かう経路が高齢者用最適経路に決定される。
第2のバンク2は19階に停止しない。したがって、利用者が1階に停止中の第2のバンク2の乗りかご5に乗り込み、操作盤9の行先階ボタン10の「19階」を操作した場合、19階が停止可能階である第1のバンク1及び第3のバンク3のいずれかへの乗り換えが必要となる。
第2のバンク2から第1のバンク1への乗り換えは、1階から10階のいずれの階床でも可能であるが、出発階である1階以外で乗り換えた場合、(A)目的階までの乗り換えの有無によるペナルティが20秒となる。1階から10階のいずれの階床で乗り換えたとしても(B)目的階までの到着予想時間は変わらない。したがって、最適経路の決定においては、出発階である1階での乗り換えのみを考慮すればよいことになる。
そうすると、第2のバンク2から第1のバンク1へと乗り換える場合と、第2のバンク2から第3のバンク3へと乗り換える場合のいずれの場合も(A)目的階までの乗り換えの有無によるペナルティは15秒である。そして、(B)目的階までの到着予想時間は第1のバンク1を利用する場合よりも第3のバンク3を利用する場合の方が小さい。
したがって、閑散時、平常時及び混雑時のいずれにおいても、利用者が1階に停止中の第2のバンク2の乗りかご5に乗り込み、操作盤9の行先階ボタン10の「19階」を操作した場合、高齢者用最適経路は、出発階で第3のバンク3に乗り換えて目的階へと向かう経路に決定される。
第3のバンク3は19階が停止可能階として設定されている。図12から分かるように、第3のバンク3のみを利用して19階へと向かう経路のBは、他の経路のB+15よりも小である。したがって、利用者が1階に停止中の第3のバンク3の乗りかご5に乗り込み、操作盤9の行先階ボタン10の「19階」を操作した場合、図7のステップS003からステップS004に進み、すなわち、この第3のバンク3で目的階まで行く経路が高齢者用最適経路に決定される。
第4のバンク4は19階に停止しない。したがって、利用者が1階に停止中の第4のバンク4の乗りかご5に乗り込み、操作盤9の行先階ボタン10の「19階」を操作した場合、19階が停止可能階である第1のバンク1及び第3のバンク3のいずれかへの乗り換えが必要となる。
ここで、先ほどの第2のバンク2での結果をみると、各階に停止する第1のバンク1を利用するよりも第3のバンク3を利用した方が評価点は小さくなると判断することができる。ただし、この場合、1階又は10階で第3のバンク3に乗り換える経路の他、20階で第3のバンク3に乗り換えて19階まで逆走する経路も考慮する必要がある。
そこで、第4のバンク4から第3のバンク3へと、出発階である1階で乗り換えた場合と、途中の10階乗り換えた場合と、20階で乗り換えて逆走した場合の評価点を比較したものが図12に示されている。図11の第2の例と同様に、1階で乗り換える経路と10階で乗り換える経路とは、閑散時、平常時及び混雑時のいずれにおいても、(A)と(B)の差が相殺されて評価値は同点となる。
そこで、20階で乗り換える経路も加えて評価してみると、まず、閑散時では、1階又は10階乗り換えの経路の評価点はどちらも46.2である。これに対し、20階乗り換えの経路では、(B)目的階までの到着予想時間21.8秒に、(A)目的階までの乗り換えの有無によるペナルティが20秒と(C)目的階までの逆走の有無によるペナルティの5秒が加算されて評価点は46.8となる。
したがって、閑散時においては、1階又は10階乗り換えの経路の評価点の方が小さい。よって、(A)のペナルティがより小さい1階乗り換えの経路が高齢者用最適経路に決定される。
次に、平常時では、1階又は10階乗り換えの経路の評価点はどちらも49.8である。これに対し、20階乗り換えの経路では、(B)目的階までの到着予想時間22.8秒に、(A)目的階までの乗り換えの有無によるペナルティが20秒と(C)目的階までの逆走の有無によるペナルティの5秒が加算されて評価点は47.8となる。したがって、平常時においては、20階乗り換えの経路の評価点の方が小さいため、20階で乗り換えて逆走して19階へと向かう経路が高齢者用最適経路に決定される。
最後に、混雑時においては、1階又は10階乗り換えの経路の評価点はどちらも52.5である。これに対し、20階乗り換えの経路では、(B)目的階までの到着予想時間22.5秒に、(A)目的階までの乗り換えの有無によるペナルティが20秒と(C)目的階までの逆走の有無によるペナルティの5秒が加算されて評価点は47.5となる。したがって、混雑時においても、20階乗り換えの経路の評価点の方が小さいため、20階で乗り換えて逆走して19階へと向かう経路が高齢者用最適経路に決定される。
以上のように構成されたエレベータ装置は、異なる停止可能階が設定された複数の乗りかごと、複数の乗りかごのそれぞれに設けられた行先階ボタンと、乗りかごの利用者に案内する案内手段(案内装置11)と、を備えている。
そして、行先階ボタンは、当該行先階ボタンが設けられた乗りかごの停止可能階として設定されていない不停止階のボタンを含み、案内手段は、不停止階の行先階ボタンが操作された場合に、複数の乗りかごのうち他の乗りかごを用いて当該不停止階へと到達可能な最適経路を利用者に案内する。
このため、異なる停止可能階が設定された複数の乗りかごを備えたエレベータにおいて、利用者が不停止階の行先階ボタンを操作した場合に、当該不停止階へと到達可能な最適経路が利用者に案内されるため、利用者はどの乗りかごに乗れば目的とする階へと辿り着くことができるのかを容易に知ることができ、利便性を向上することができる。
また、この際の最適経路を、当該不停止階までの到着予想時間に基づいて到着予想時間が最短となる最短時間経路に決定することで、利用者はより早く目的とする階へと到達することができる。
また、カメラ12を含む判別手段により、不停止階の行先階ボタンを操作した利用者が高齢者であるか否かを判別し、判別手段により前記利用者が高齢者であると判別された場合に、最適経路を高齢者用最適経路に決定することで、高齢者が確実に目的階に辿り着けるようにサポートすることが可能である。
また、この高齢者用最適経路の決定に際し、不停止階までの到着予想時間に、当該不停止階に到達するために他の乗りかごへの乗り換えが必要か否か、当該不停止階に到達するために当該不停止階とは逆方向の乗りかごの利用が必要か否か、及び、当該不停止階を乗り過ごした場合の復帰の困難さを加味することで、高齢者に対してより判り易い経路を案内することが可能である。